JP2005317748A - 複合電子部品及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部42と、内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部44と、前記コイル部及び前記コンデンサ部の間に形成された中間材層46とを、有する積層型フィルタ2であって、前記中間材層46が、Znを含む非磁性セラミックと、ホウ珪酸亜鉛系ガラスとを、含んで構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
従って、コイル部及びコンデンサ部中の各セラミックの組成に対して、中間材層に含まれるガラス成分の組成を適切に制御することは極めて重要である。
コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
コイル部及びコンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品であって、
中間材層が、Znを含む非磁性セラミックと、ホウ珪酸亜鉛系ガラスとを、含んで構成されていることを特徴とする複合電子部品が提供される。
そのため、磁性材料に対し接着性の良い非磁性セラミックを選択する必要がある。このような非磁性セラミックの例示として、たとえばFeZnCu系非磁性セラミックが挙げられる。
本発明において、”非磁性”セラミックとは、常温(本発明の複合電子部品の使用温度よりも低い温度)にキュリー点を持たないセラミック(たとえばフェライトなど)を意味しており、常温より高いキュリー点を持つセラミックを意味する”磁性”セラミックと区別して用いる。
コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
コイル部及びコンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品を製造する方法であって、
最終的に、Znを含む非磁性セラミックとホウ珪酸亜鉛系ガラスを含んで構成されることとなる中間材層のすべての製造原料成分を混合する工程と、
混合後の原料を500〜850℃で予備焼成する工程と、
予備焼成後の粉体を粉砕し、0.1〜0.8μmの平均粒子径を持つ粉体を得る工程と、
粉体をスラリー化して、焼成前中間材層を形成し、焼成する工程とを、有する。
コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
コイル部及びコンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品を製造する方法であって、
最終的に、Znを含む非磁性セラミックとホウ珪酸亜鉛系ガラスを含んで構成されることとなる中間材層の製造原料成分のうち、Znを含む非磁性セラミックの製造原料成分を混合する工程と、
混合後の原料を500〜850℃で予備焼成する工程と、
予備焼成後の粉体を粉砕し、0.1〜0.8μmの平均粒子径を持つ粉体を得る工程と、
粉体に対して、ホウ珪酸亜鉛系ガラスまたは該ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分を加えてスラリー化し、焼成前中間材層を形成し、焼成する工程とを、有する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層型フィルタの外観斜視図、
図2は図1のII−II線に沿った断面図、
図3は図1の積層型フィルタの内部構造を示す要部分解斜視図、
図4(A)はT型の回路の回路図、図4(B)はπ型の回路の回路図、図4(C)はL型の回路の回路図、
図5は本発明の他の実施形態に係る積層型フィルタ(L型回路アレータイプの層型フィルタ)の外観斜視図、
図6は図5の積層型フィルタの内部構造を示す要部分解斜視図、
図7(A)は本発明の実施例サンプル(サンプル5)における中間材層近辺の焼結状態を模式的に表した図、図7(B)は本発明の比較例サンプル(サンプル1)における中間材層近辺の焼結状態を模式的に表した図、
図8(A)は本発明の比較例サンプル(サンプル1)におけるコンデンサ部と中間材層付近の焼結状態を示す電子顕微鏡写真、図8(B)は本発明の実施例サンプル(サンプル5)におけるコンデンサ部と中間材層付近の焼結状態を示す電子顕微鏡写真、
図9(A)は本発明の比較例サンプル(サンプル1)におけるコンデンサ部と中間材層付近のEPMA分析図、図9(B)は本発明の実施例サンプル(サンプル5)におけるコンデンサ部と中間材層付近のEPMA分析図、である。
積層型フィルタ
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層型フィルタ2は、T型の集中定数回路構成の積層型3端子フィルタであり、素子本体4を有する。素子本体4の両端部には、外部電極61〜66が設けられている。
積層型チップインダクタ部42は、磁性体層422と内部電極層424とが交互に積層一体化された多層構造のチップ本体426を有する。
積層型チップコンデンサ部44は、誘電体層442と内部電極層444とが交互に積層一体化された多層構造のチップ本体446を有する。
中間材層46は、本実施形態では、FeZnCu系非磁性フェライトと、ホウ珪酸亜鉛系ガラスとを、含んで構成されている。
外部電極61〜66は、特に限定されないが、たとえば電気メッキを施したAg電極が使用できる。電気メッキは、Cu−Ni−Sn、Ni−Sn、Ni−Au、Ni−Ag等で行うことが好ましい。
次に、積層型フィルタ2の製造方法の一例を説明する。本実施形態の積層型フィルタ2は、誘電体グリーンシート、磁性体グリーンシート及び中間材グリーンシートを準備し、これらのグリーンシートを積層し、グリーン状態の焼成前素子本体を形成し、これを焼成した後、外部電極を形成することにより製造される。以下、具体的に説明する。
まず、誘電体原料を構成する各原料を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。
まず、磁性体原料を構成する各原料を準備し、これを塗料化して、磁性体層用ペーストを調製する。
まず、中間材原料を構成する各原料を準備する。中間材原料としては、FeZnCu系非磁性セラミックの製造原料成分と、ホウ珪酸亜鉛系ガラスまたは該ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分とが挙げられる。
第1の観点では、上述した中間材原料を構成する各原料のうち、FeZnCu系非磁性セラミックの製造原料成分を混合し、第1粉体を調製する。本実施形態では、FeZnCu系非磁性セラミックの製造原料成分として、Fe、Zn、Cu、Mnの酸化物及び/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物を用いる。
第1粉体の調製方法は、特に限定されないが、たとえば、原料粉末を粉体状態で乾式混合により行っても良いし、原料粉末に水や有機溶媒などを添加し、ボールミル等を使用し、湿式混合により行っても良い。
第2の観点では、上述した中間材原料を構成する各原料のすべての製造原料成分を混合し、第1粉体を調製する。本実施形態では、中間材原料を構成する各原料のすべての製造原料成分として、少なくともFe、Cu、Zn、B、Si、Mnの酸化物及び/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物と、Al、Ca、Mg、Ba及びNaの酸化物を用いる。ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分の添加量は、FeZnCu系非磁性セラミックの製造原料成分100重量部に対して、好ましくは0.3〜4重量部、より好ましくは0.5〜3重量部とする。ここでの第1粉体の調製方法は、上述した第1の観点における場合と同様である。
次に、誘電体グリーンシート、磁性体グリーンシート及び中間材グリーンシートを1枚以上積層し、グリーン状態の焼成前素子本体を形成する。
この内部電極を形成していない誘電体グリーンシート32cは、コンデンサ部を保護するため、あるいは積層型フィルタ2としての厚み寸法を維持するために使用され、その厚みは、適宜調整すれば良い。なお、この内部電極を形成していない誘電体グリーンシート32cのみの最終層には、個々のチップになった場合に方向性を示す、マークを設けてもよい。
次に、上記にて作製されたグリーン状態の焼成前素子本体を焼成して、焼結体としての素子本体4(図1及び図2参照)を形成する。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施しうることは勿論である。
まず、誘電体原料を構成する各原料として、主成分原料としてのTiO2 、CuO及びNiOと、副成分原料としてのMnCO3 を準備し、これらの原料を配合し、仮焼成および粉砕を行い誘電体原料粉末を調製した。なお、各化合物の配合量は、主成分原料を、TiO2 :92モル%、CuO:3モル%及びNiO:5モル%で構成し、主成分原料100重量部に対して、MnCO3 を1重量部の割合で添加した。得られた誘電体原料粉末に、樹脂バインダー、溶剤、可塑剤および分散剤を添加し、ドクターブレード法により誘電体グリーンシートを作製した。誘電体グリーンシートの厚みは、焼成後に25.0μmとなる厚みとした。
まず、磁性体原料粉末を構成する原料として、NiO、CuO、ZnOおよびFe2 O3 を準備し、これらの原料を配合し、仮焼成および粉砕を行い磁性体原料粉末を調製した。なお、各化合物の配合量は、NiO:25モル%、CuO:11モル%、ZnO:15モル%、残部をFe2 O3 とした。得られた磁性体原料粉末に、樹脂バインダー、溶剤、可塑剤および分散剤を添加し、ドクターブレード法により磁性体グリーンシートを作製した。磁性体グリーンシートの厚みは、約20μmとした。
まず、FeZnCu系非磁性セラミックの製造原料成分として、主成分原料としてのCuO、ZnO及びFe2 O3 と、副成分原料としてのMn3 O4 を準備し、これらの各粉末原料を配合し、混合粉末とした。なお、各化合物の配合量は、主成分原料を、Fe2 O3 :43.85モル%、CuO:4.90モル%及びZnO:51.25モル%で構成し、主成分原料100モルに対して、Mn3 O4 を0.93モルの割合で添加した。
次に、図3に示すように、作製した複数の誘電体グリーンシート及び複数の磁性体グリーンシートを、間に中間材グリーンシートを挟んで積層し、多数個取りの積層型3端子フィルタをグリーン状態で形成し、その後の切断において、寸法が焼成後に2012形状(長さ2.0mm、幅1.2mm、高さ0.8mm)の寸法となるように単体(焼成前素子本体)に切断し、870℃にて焼成して、焼結体としての素子本体4(図1及び図2参照)を作製した。
フィルタ試料のコンデンサ部に対し、基準温度20℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1MHz,入力信号レベル(測定電圧)0.7Vrms/μmの条件下で、静電容量Cを測定した。そして、得られた静電容量から、比誘電率(単位なし)を算出したところ、各試料の比誘電率(ε)は、約100であった。
フィルタ試料のコンデンサ部に対し、絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、25℃においてDC50Vを60秒間印加した後の絶縁抵抗IR(単位はΩ)を測定した。絶縁抵抗IRは、108 Ω以上を良好とした。結果を表1に示す。
直流電界下でのIR寿命の測定は、得られたフィルタ試料に対し、85℃の恒温槽中で、10Vの直流電界を印加し、500時間、1000時間、1500時間および2000時間の各印加時間の絶縁抵抗を測定することにより行った。直流電界下でのIR寿命の評価としては、20個の試料について試験を行い、各印加時間における絶縁抵抗が108 Ω以下となったものを「不可」とした。各印加時間における、試験を行った試料の数(20個)に対する「不可」となった試料の数を表1に示す。
層間クラックの発生率は、各フィルタ試料毎に、1万個を抜き取り、100倍の金属顕微鏡にて外観検査を行い、算出した。層間クラックの発生率は、0.1%以下を良好とした。結果を表1に示す。
図7(B)にサンプル1における中間材層近辺の焼結状態を模式的に表した図を示し、図8(A)にサンプル1におけるコンデンサ部と中間材層付近の焼結状態を示す電子顕微鏡写真を示し、図9(A)にサンプル1におけるコンデンサ部と中間材層付近のEPMA分析図を示す。図7(B)、図8(A)及び図9(A)に示すように、FeZnCu系非磁性セラミック単独の中間材層をコイル部とコンデンサ部の間に介在させると、コイル部とコンデンサ部の界面において、Znの相互拡散が生じ、コンデンサ部のコンデンサ電極層間の絶縁抵抗が劣化し、結果としてCu偏析が生じた。
図7(A)にサンプル5における中間材層近辺の焼結状態を模式的に表した図を示し、図8(B)にサンプル5におけるコンデンサ部と中間材層付近の焼結状態を示す電子顕微鏡写真を示し、図9(B)にサンプル5におけるコンデンサ部と中間材層付近のEPMA分析図を示す。図7(A)、図8(B)及び図9(B)に示すように、FeZnCu系非磁性セラミックに適正量のホウ珪酸亜鉛系ガラスを混合させた中間材層をコイル部とコンデンサ部の間に介在させると、コイル部とコンデンサ部の界面においてZnの相互拡散がほとんど生じず、コンデンサ部のコンデンサ電極層間の絶縁抵抗の劣化が抑制され、結果的にはCu偏析も抑えられた。
4,111… 素子本体
42… 積層型チップインダクタ部(コイル部)
422… 磁性体層
424… 内部電極層
426… チップ本体
44… 積層型チップコンデンサ部(コンデンサ部)
442… 誘電体層
444… 内部電極層
446… チップ本体
46… 中間材層
61〜66,120〜129… 外部電極
21a〜26a,24b,26b,120a〜129a,125b〜128b… 導出部
30a,30b,130a〜130e… コンデンサ
31a,31b,131a〜131e… 内部電極
32a〜32c,132a〜132f… 誘電体グリーンシート
41a〜41d,141a〜141f… コイル導体
42a〜42f,142a〜142h… 磁性体グリーンシート
51b〜51d,151b〜151f… スルーホール
100… 中間材グリーンシート
Claims (13)
- コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
前記コイル部及び前記コンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品であって、
前記中間材層が、Znを含む非磁性セラミックと、ホウ珪酸亜鉛系ガラスとを、含んで構成されていることを特徴とする複合電子部品。 - 前記中間材層は、Znを含む非磁性セラミック100重量部に対し、ホウ珪酸亜鉛系ガラスが0.3〜4重量部含有されている請求項1に記載の複合電子部品。
- 前記非磁性セラミックが、FeZnCu系非磁性セラミックである請求項1または2に記載の複合電子部品。
- 前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスは、(B2 O3 −ZnO−SiO2 )に、Al2 O3 、CaO、MgO、BaO、Na2 Oのうち1種類以上を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の複合電子部品。
- 前記中間材層の厚みが、5〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載の複合電子部品。
- 前記磁性体層は、NiCuZn系磁性フェライトまたはCuZn系磁性フェライトで構成されており、前記誘電体層は、Ti系セラミックで構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の複合電子部品。
- 前記コイル部とコンデンサ部とで構成される集中定数回路が形成される請求項1〜6のいずれかに記載の複合電子部品。
- 前記集中定数回路が、L型、T型、π型、またはダブルπ型のいずれかである請求項7に記載の複合電子部品。
- コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
前記コイル部及び前記コンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品を製造する方法であって、
最終的に、Znを含む非磁性セラミックとホウ珪酸亜鉛系ガラスを含んで構成されることとなる中間材層のすべての製造原料成分を混合する工程と、
前記混合後の原料を500〜850℃で予備焼成する工程と、
前記予備焼成後の粉体を粉砕し、0.1〜0.8μmの平均粒子径を持つ粉体を得る工程と、
前記粉体をスラリー化して、焼成前中間材層を形成し、焼成する工程とを、有する複合電子部品の製造方法。 - 前記製造原料成分が、少なくともFe、Cu、Zn、B、Si、Mnの酸化物及び/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物と、Al、Ca、Mg、Ba及びNaの酸化物のうち1種類以上とを含有するものである、請求項9に記載の複合電子部品の製造方法。
- コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
前記コイル部及び前記コンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品を製造する方法であって、
最終的に、Znを含む非磁性セラミックとホウ珪酸亜鉛系ガラスを含んで構成されることとなる中間材層の製造原料成分のうち、Znを含む非磁性セラミックの製造原料成分を混合する工程と、
前記混合後の原料を500〜850℃で予備焼成する工程と、
前記予備焼成後の粉体を粉砕し、0.1〜0.8μmの平均粒子径を持つ粉体を得る工程と、
前記粉体に対して、ホウ珪酸亜鉛系ガラスまたは該ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分を加えてスラリー化し、焼成前中間材層を形成し、焼成する工程とを、有する複合電子部品の製造方法。 - 前記Znを含む非磁性セラミックの製造原料成分が、Fe、Zn、Cu、Mnの酸化物及び/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物であり、
前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスが、(B2 O3 −ZnO−SiO2 )と、Al2 O3 、CaO、MgO、BaO、Na2 Oのうち1種類以上とを含有するものであり、
前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分が、少なくともB2 O3 、ZnO及びSiO2 を含み、さらにAl2 O3 、CaO、MgO、BaO、Na2 Oのうち1種類以上を含有するものである、請求項11に記載の複合電子部品の製造方法。 - 前記焼成前中間材層を焼成する際に、前記コイル部を形成することとなる焼成前コイル部と、前記コンデンサ部を形成することとなる焼成前コンデンサ部とを同時焼成し、前記コイル部、前記中間材層及び前記コンデンサ部を一体焼結させる、請求項9〜12のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
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