JP2005317748A - 複合電子部品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 絶縁抵抗の劣化が抑制され、信頼性が高められた積層型フィルタ2を提供すること。
【解決手段】 コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部42と、内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部44と、前記コイル部及び前記コンデンサ部の間に形成された中間材層46とを、有する積層型フィルタ2であって、前記中間材層46が、Znを含む非磁性セラミックと、ホウ珪酸亜鉛系ガラスとを、含んで構成されていることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、電子機器等のノイズ除去に用いられる積層型フィルタに係り、特に、コイル導体及び磁性体層と、コンデンサ電極及び誘電体層を一体焼成して得られる積層体を備える積層型フィルタなどの複合電子部品の、信頼性向上を目的とした構造と製造方法に関する。
各種電子機器のEMI対策部品として、複合電子部品としての積層型フィルタが用いられている。この積層型フィルタは、コイル部とコンデンサ部とを独立させて有する電子部品である。このため、該積層型フィルタを製造するに際し、コイル導体及び磁性体で構成されるコイル部と、コンデンサ電極及び誘電体で構成されるコンデンサ部とを、互いに重ね合わせた上で同時焼成し、一体焼結させる必要がある。なお、EMIとは、「Electro Magnetic Interference(電磁妨害)」の略であり、電子機器が、他の電子機器の妨害要因となる電磁波を意図的にではなく放射することを意味する。
近年、積層型フィルタを製造するに際し、コイル部とコンデンサ部との間に、両者の中間の焼結特性を持つ中間材層を介在させることが行われている。中間材層を介在させるのは、第1にコイル部とコンデンサ部の接着性を向上させ、十分な強度を保つこと、第2にコイル部とコンデンサ部の熱収縮率の違いによる界面の剥離を防止すること、第3にコイル部とコンデンサ部の熱膨張係数の差による応力の緩和をはかること、第4にコイル部とコンデンサ部の界面において相互拡散が生じ、磁性体及び誘電体の双方における特性の劣化を防止すること、などが挙げられる。
中間材層を介在させる技術として、種々の提案が為されている。
積層型フィルタではないが、コンデンサ単独またはインダクタ単独の積層部品に関し、特許文献1では、誘電体または磁性体と内部電極金属との間に、誘電体、ガラス等の絶縁体、磁性体およびこれらと金属粉末の混合物より選ばれた材料からなる中間材層を介在させることが開示されている。
積層型フィルタに関し、特許文献2及び3では、コイル部とコンデンサ部との間に、前記特許文献1での中間材層と略同様の材料で構成される中間材層を介在させることが開示されている。
上述したいずれの特許文献1〜3でも、要するに、上下層に配置される各層間での、熱膨張係数の差により生じる応力を緩和することを目的としている。
確かに、特許文献1〜3での中間材層は、応力緩和作用を発揮し、同時焼成され、一体焼結されたコイル部とコンデンサ部との界面におけるクラックを防止できる効果を奏する。
しかしながら、積層型フィルタにおいて、コイル部とコンデンサ部とを同時焼成し、一体焼結させる場合、両部の界面を通して相互拡散が生じ易く、誘電体および磁性体の双方において特性が変化することがある。
この問題を解決する技術として、特許文献4では、コイル部とコンデンサ部との間に、中間材として、ZrO、TiOまたはそれらの混合系にCuOを所定量で含有させて調合されたセラミック材料を介在させる技術が提案されている。
また、特許文献5では、ガラスを含有するコンデンサ部とコイル部との間に、BaOとTiOを所定割合で含むセラミック及び前記コンデンサ部に含有されているガラスで構成される中間材層を介在させる技術が開示されている。
しかしながら、これらの特許文献4及び5の技術をもってしても、未だコイル部とコンデンサ部の接合部で生じる相互拡散を適切に制御できるものではなく、依然として課題を有していた。
特にガラス成分は、コイル部とコンデンサ部との良好な接合を図るために有効であるが、その反面、ガラスを含む中間材層を介在させた場合、ガラス成分自体が磁性体または誘電体に拡散し、磁性体または誘電体の特性を劣化させ、特に素子の絶縁抵抗を劣化させることがあった。
従って、コイル部及びコンデンサ部中の各セラミックの組成に対して、中間材層に含まれるガラス成分の組成を適切に制御することは極めて重要である。
特開昭59−90915号公報 特開昭58−172804号公報 特公昭59−33247号公報 特開平3−97211号公報 特開平8−31693号公報
本発明の目的は、絶縁抵抗の劣化が抑制され、信頼性が高められた積層型フィルタなどの複合電子部品と、該複合電子部品の製造方法とを、提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
Znを含む非磁性セラミック(たとえばFeZnCu系非磁性セラミック)単独の中間材層、あるいはZnを含む非磁性セラミックにZnを含まないガラス(たとえばホウ珪酸系ガラス)を混合させた中間材層を、コイル部とコンデンサ部の間に介在させた場合、コイル部とコンデンサ部の界面において、Znの相互拡散が生じ、コンデンサ部のコンデンサ電極層間の絶縁抵抗が劣化し、結果としてCu偏析が生じ(図7(B)、図8(A)、図9(A)参照)、コイル部とコンデンサ部との接着強度が保てず、デラミネーションと称される層間剥離現象が発生する。また、現在、電子部品には使用禁止となっている鉛系ガラスやビスマス系ガラスをZnを含む非磁性セラミックに混合した中間材層を、コイル部とコンデンサ部との間に介在させた場合も同様である。このように、中間材層の一構成材料としてZnを含まないガラスを使用した場合、コイル部の磁性体層からZn成分の拡散が多く、拡散個溶したZnがTiとの価数の違いにより、電気的収支が合わず、酸素欠乏を多く生成してしまう。このため、焼結性を劣化させ、結果として絶縁抵抗を劣化させるものと考えられる。
本発明者らは、相互拡散は濃度勾配に起因するため、コイル部の磁性体層に対してZn含有量の多い層を中間材層に介在させることで、コイル部の磁性体層からの拡散量を抑制できるとの知見を得、この知見の下に検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、
コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
コイル部及びコンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品であって、
中間材層が、Znを含む非磁性セラミックと、ホウ珪酸亜鉛系ガラスとを、含んで構成されていることを特徴とする複合電子部品が提供される。
この発明によると、コイル部とコンデンサ部の間に介在させる中間材層として、FeZnCu系非磁性セラミックなどのZnを含む非磁性セラミックにホウ珪酸亜鉛系ガラスを含有させたものを用いる。すなわち、Znを含む非磁性セラミックに対して、最適化されたガラス成分を含有させる。このため、コイル部とコンデンサ部の界面においてZnの相互拡散が生じにくく、コンデンサ部のコンデンサ電極層間の絶縁抵抗の劣化が抑制され、結果的にはCu偏析も抑えられ(図7(A)、図8(B)、図9(B)参照)、さらに中間材層自体もガラスの液相効果により、焼結性の向上がなされ、これらの相乗効果により複合電子部品の絶縁抵抗の向上を図ることができる。その結果、複合電子部品の信頼性が高められる。
本発明において用いる非磁性セラミック中にZnを含めるのは、セラミックを非磁性にするためであるとともに、同時焼成の際に、焼成前コイル部と焼成前コンデンサ部との熱膨張係数を合わせるためであり、かつ熱膨張係数が多少ずれても熱膨張係数差による応力を緩和させるためである。
そのため、磁性材料に対し接着性の良い非磁性セラミックを選択する必要がある。このような非磁性セラミックの例示として、たとえばFeZnCu系非磁性セラミックが挙げられる。
本発明において、”非磁性”セラミックとは、常温(本発明の複合電子部品の使用温度よりも低い温度)にキュリー点を持たないセラミック(たとえばフェライトなど)を意味しており、常温より高いキュリー点を持つセラミックを意味する”磁性”セラミックと区別して用いる。
ホウ珪酸亜鉛系ガラスは、非磁性セラミックの組成ずれを防止する役割を果たすものであり、ホウ珪酸亜鉛系ガラスとしては、(B−ZnO−SiO)に、Al、CaO、MgO、BaO、NaOのうち1種類以上を含有するものが挙げられる。このように、中間材層のFeZnCu系の非磁性体に含有するホウ珪酸亜鉛系ガラスは、B−ZnO−SiOの混合粉に対し、AlあるいはCaO、MgO、BaO、NaOのうち1種類以上を含有することで、所望の信頼性を得ることが可能である。
中間材層の熱収縮率は、デラミネーションを防止するために、コイル部の磁性体層の熱収縮率と、コンデンサ部の誘電体層の熱収縮率の、中間位に設計してあることが好ましい。
中間材層の厚みは、5〜100μmであることが好ましい。コイル部とコンデンサ部を有する複合電子部品は、使用される電子機器によって要求される電流容量や耐圧、基板の実装スペースにより形状が決定され、0603形状(長さ0.6mm、幅0.3mm、高さ0.3mm)の超小型品から、4532形状(長さ4.5mm、幅3.2mm、高さ2.0mm)の大型品でも、前記中間材層の厚みが、5〜100μmであればどの形状にでも対応可能である。
中間材層は、Znを含む非磁性セラミック100重量部に対し、ホウ珪酸亜鉛系ガラスが0.3〜4重量部、含有されていることが好ましい。ホウ珪酸亜鉛系ガラスを含有しない場合や含有量が少ない場合は、コイル部の磁性体層側からコンデンサ部の誘電体層側へのZnの拡散を抑制できない傾向がある。このようなZnの拡散を抑制できないと、絶縁抵抗が低下するとともに、高温負荷寿命試験において絶縁抵抗劣化が早くなる傾向がある。逆に、ガラス含有量が多くなると、ガラスの脆性により層間クラックが増加する傾向にある。
コイル部の一構成材料としての磁性体層は、NiCuZn系磁性フェライト、CuZn系磁性フェライトなどで構成されることが好ましい。コンデンサ部の一構成材料としての誘電体層は、焼成温度が低いTi系セラミックで構成されることが好ましい。このように、積層型フィルタ等の複合電子部品においては、コイル部の一構成材料としての磁性体層や、コンデンサ部の一構成材料としての誘電体層材料として、種々の材料が使用可能であり、選択した材料によって、積層型フィルタ等の複合電子部品の周波数特性を制御することは可能であるが、本発明においては、上記材料を使用することが好ましい。
本発明に係る複合電子部品において、好ましくは、前記コイル部とコンデンサ部とで構成される集中定数回路が形成される。
本発明に係る複合電子部品において、好ましくは、前記集中定数回路が、L型、T型、π型またはダブルπ型の回路のいずれかである。
本発明の複合電子部品において、その回路構成は、目的に応じて種々の構成とすれば良いが、L型、T型、π型またはダブルπ型の集中定数回路のいずれかを形成することが好ましい。
本発明に係る複合電子部品は、たとえば次に示す方法により製造されることが好ましい。次に示す方法によると、所望の信頼性を持つ複合電子部品を製造することができる。
その方法は、
コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
コイル部及びコンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品を製造する方法であって、
最終的に、Znを含む非磁性セラミックとホウ珪酸亜鉛系ガラスを含んで構成されることとなる中間材層のすべての製造原料成分を混合する工程と、
混合後の原料を500〜850℃で予備焼成する工程と、
予備焼成後の粉体を粉砕し、0.1〜0.8μmの平均粒子径を持つ粉体を得る工程と、
粉体をスラリー化して、焼成前中間材層を形成し、焼成する工程とを、有する。
また、別の方法は、
コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
コイル部及びコンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品を製造する方法であって、
最終的に、Znを含む非磁性セラミックとホウ珪酸亜鉛系ガラスを含んで構成されることとなる中間材層の製造原料成分のうち、Znを含む非磁性セラミックの製造原料成分を混合する工程と、
混合後の原料を500〜850℃で予備焼成する工程と、
予備焼成後の粉体を粉砕し、0.1〜0.8μmの平均粒子径を持つ粉体を得る工程と、
粉体に対して、ホウ珪酸亜鉛系ガラスまたは該ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分を加えてスラリー化し、焼成前中間材層を形成し、焼成する工程とを、有する。
スラリーは、粘度調整を施し、そのまま印刷積層工法用のペーストとして使用してもよい。
好ましくは、前記焼成前中間材層を焼成する際に、前記コイル部を形成することとなる焼成前コイル部と、前記コンデンサ部を形成することとなる焼成前コンデンサ部とを同時焼成し、前記コイル部、前記中間材層及び前記コンデンサ部を一体焼結させる。
好ましくは、前記製造原料成分が、少なくともFe、Cu、Zn、B、Si、Mnの酸化物及び/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物と、Al、Ca、Mg、Ba及びNaの酸化物のうち1種類以上とを含有するものである。
好ましくは、Znを含む非磁性セラミックの製造原料成分が、Fe、Zn、Cu、Mnの酸化物及び/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物である。
好ましくは、前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスが、(B−ZnO−SiO)と、Al、CaO、MgO、BaO、NaOのうち1種類以上とを含有するものである。
好ましくは、前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分が、少なくともB、ZnO及びSiOを含み、さらにAl、CaO、MgO、BaO、NaOのうち1種類以上を含有するものである。
本発明に係る複合電子部品としては、特に限定されないが、積層型フィルタ、積層型ノイズフィルタなどが例示される。
本発明に係る複合電子部品は、たとえば、パソコンや携帯電話などの情報機器;テレビやビデオカメラなどの映像機器;などのさまざまな電子機器に搭載されて使用される。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層型フィルタの外観斜視図、
図2は図1のII−II線に沿った断面図、
図3は図1の積層型フィルタの内部構造を示す要部分解斜視図、
図4(A)はT型の回路の回路図、図4(B)はπ型の回路の回路図、図4(C)はL型の回路の回路図、
図5は本発明の他の実施形態に係る積層型フィルタ(L型回路アレータイプの層型フィルタ)の外観斜視図、
図6は図5の積層型フィルタの内部構造を示す要部分解斜視図、
図7(A)は本発明の実施例サンプル(サンプル5)における中間材層近辺の焼結状態を模式的に表した図、図7(B)は本発明の比較例サンプル(サンプル1)における中間材層近辺の焼結状態を模式的に表した図、
図8(A)は本発明の比較例サンプル(サンプル1)におけるコンデンサ部と中間材層付近の焼結状態を示す電子顕微鏡写真、図8(B)は本発明の実施例サンプル(サンプル5)におけるコンデンサ部と中間材層付近の焼結状態を示す電子顕微鏡写真、
図9(A)は本発明の比較例サンプル(サンプル1)におけるコンデンサ部と中間材層付近のEPMA分析図、図9(B)は本発明の実施例サンプル(サンプル5)におけるコンデンサ部と中間材層付近のEPMA分析図、である。
本実施形態では、複合電子部品を具体化した積層型フィルタを例示し、その構造と製造方法を説明する。
第1実施形態
積層型フィルタ
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層型フィルタ2は、T型の集中定数回路構成の積層型3端子フィルタであり、素子本体4を有する。素子本体4の両端部には、外部電極61〜66が設けられている。
素子本体4の外形や寸法には特に制限はなく、用途に応じて適宜設定することができ、通常、外形はほぼ直方体形状とし、寸法は通常、(0.6〜5.6mm)×(0.3〜5.0mm)×(0.3〜1.9mm)程度とすることができる。
図2に示すように、素子本体4は、コイル部としての積層型チップインダクタ部42と、コンデンサ部としての積層型チップコンデンサ部44とが上下に形成され、これらインダクタ部42及びコンデンサ部44の間に中間材層46を介在させ、一体化してある。
積層型チップインダクタ部
積層型チップインダクタ部42は、磁性体層422と内部電極層424とが交互に積層一体化された多層構造のチップ本体426を有する。
磁性体層422は、磁性フェライト組成物を含有する。磁性フェライト組成物としては、たとえば、NiCuZn系磁性フェライト、NiCuZnMg系磁性フェライト、CuZn系磁性フェライト、NiCu系磁性フェライトなどが挙げられる。NiCuZn系磁性フェライトを例示した場合、NiCuZn系磁性フェライトとしては特に制限はなく、目的に応じて種々の組成のものを選択すればよいが、焼成後のフェライト焼結体中のモル%で、Fe:30〜50モル%、NiO:0.1〜40モル%、CuO:3〜20モル%、及びZnO:0.5〜35モル%であるフェライト組成物を用いることが好ましい。
内部電極層424は、各層が略C字形であり、チップ本体426の内部で、スパイラル状に導通が確保されて閉磁路コイル(巻線パターン)を構成し、その両端は、外部電極61,63,64,66に接続されている。この内部電極層424は、抵抗率の小さいAgを主体とした導電材を用いて形成される。
インダクタ部42の磁性体層422の電極間厚みおよびベース厚みには特に制限はなく、電極間厚み(内部電極層424,424の間隔)は10〜100μm、ベース厚みは100〜500μm程度で設定することができる。さらに、内部電極層424の厚みは、通常5〜30μmの範囲で設定でき、巻線パターンのピッチは10〜400μm程度、巻数は1.5〜50.5ターン程度とすることができる。
積層型チップコンデンサ部
積層型チップコンデンサ部44は、誘電体層442と内部電極層444とが交互に積層一体化された多層構造のチップ本体446を有する。
誘電体層442は、誘電体磁器組成物を含有する。誘電体磁器組成物としては、特に制限はないが、焼成温度が低いTi系セラミックで構成されることが好ましい。Ti系セラミックとしては、たとえば、TiO、CuO及びNiOを主成分とし、これらに若干量のMnやガラス等を添加した材料が挙げられる。また、チタン酸系複合酸化物、ジルコン酸系複合酸化物、あるいは、これらの混合物を使用することもできる。
内部電極層444は、抵抗率の小さいAgを主体とした導電材を用いて形成されており、内部電極層444の各層は、交互に、外部電極62,65に接続されている。
コンデンサ部44の誘電体層442の電極間厚みおよびベース厚みには特に制限はなく、電極間厚み(内部電極層444,444の間隔)は10〜30μm、ベース厚みは50〜500μm程度で設定することができる。さらに、内部電極層444の厚みは、誘電体層442の厚みに応じて適宜決定すればよいが、通常5〜30μmの範囲で設定できる。
中間材層
中間材層46は、本実施形態では、FeZnCu系非磁性フェライトと、ホウ珪酸亜鉛系ガラスとを、含んで構成されている。
FeZnCu系非磁性フェライトとしては、特に制限はなく、目的に応じて種々の組成のものを選択すればよいが、焼成後のフェライト焼結体中のモル%で、Fe:35〜50モル%、ZnO:33〜60モル%、及びCuO:3〜20モル%の主成分を含むフェライト組成物を用いることが好ましい。このフェライト組成物は、前記主成分の他に、たとえばMn、CoOなどの副成分を含有してあってもよい。副成分を含有する場合の含有量は、主成分100モルに対し、0〜3モル(0モルを除く)程度とすることができる。
ホウ珪酸亜鉛系ガラスとしては、少なくとも、B、ZnO及びSiOを主成分として含有するガラスを意味する。主成分中の組成は、B:15〜35モル%、ZnO:35〜70モル%、及びSiO:5〜25モル%のガラス組成物を用いることが好ましい。
ホウ珪酸亜鉛系ガラス中には、前記主成分以外に、添加成分として、Al、CaO、MgO、BaO、NaOの1種類以上を含有させてもよい。この場合の添加量は、主成分100重量部に対して、合計で、0.3〜4重量部程度である。また、添加成分は、ガラスの性質に影響するため、適切のものを選択する必要がある。
FeZnCu系非磁性フェライトとホウ珪酸亜鉛系ガラスの割合は、FeZnCu系非磁性フェライト100重量部に対して、ホウ珪酸亜鉛系ガラスが、好ましくは0.3〜4重量部、より好ましくは0.5〜3重量部とする。ホウ珪酸亜鉛系ガラスの混合割合が少なすぎると、コイル部の磁性体層側から、コンデンサ部の誘電体層側へのZnの拡散を抑制できない傾向がある。このようなZnの拡散を抑制できないと、絶縁抵抗が若干低下するとともに、高温負荷寿命試験において絶縁抵抗劣化が早くなる傾向がある。逆に、ガラスの混合割合が多くなりすぎると、ガラスの脆性により層間クラックが増加する傾向にある。
中間材層46の厚みは、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50μmである。あまりに薄すぎると効果がない。
外部電極
外部電極61〜66は、特に限定されないが、たとえば電気メッキを施したAg電極が使用できる。電気メッキは、Cu−Ni−Sn、Ni−Sn、Ni−Au、Ni−Ag等で行うことが好ましい。
積層型フィルタの製造方法
次に、積層型フィルタ2の製造方法の一例を説明する。本実施形態の積層型フィルタ2は、誘電体グリーンシート、磁性体グリーンシート及び中間材グリーンシートを準備し、これらのグリーンシートを積層し、グリーン状態の焼成前素子本体を形成し、これを焼成した後、外部電極を形成することにより製造される。以下、具体的に説明する。
誘電体グリーンシートの製造
まず、誘電体原料を構成する各原料を準備し、これを塗料化して、誘電体層用ペーストを調製する。
誘電体層用ペーストは、誘電体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。誘電体原料としては、Ti、Cu、Niなどの酸化物あるいは焼成後にこれらの酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。誘電体原料として、上記主成分以外にも、必要に応じて、Mnの酸化物やガラスなどの副成分の出発原料を含有してもよい。なお、誘電体原料は、誘電体層用ペーストとする前に、誘電体原料を構成する各出発原料を予備焼成(仮焼成)等により、あらかじめ反応させておいてもよい。
内部電極層用ペーストは、たとえばAgなどの導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、焼成前粉体100重量%に対して、バインダは5〜15重量%程度、溶剤は50〜150重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
次に、誘電体層用ペーストをドクターブレード法などによりシート化し、誘電体グリーンシートを形成する。
次に、誘電体グリーンシート上に、内部電極を形成する。内部電極の形成は、内部電極用ペーストをスクリーン印刷等の方法によって、誘電体グリーンシート上に形成する。なお、内部電極の形成パターンは、製造する積層型フィルタの回路構成等に応じて適宜選択すればよいが、本実施形態においては、後述する各パターンとする。
磁性体グリーンシートの製造
まず、磁性体原料を構成する各原料を準備し、これを塗料化して、磁性体層用ペーストを調製する。
磁性体層用ペーストは、磁性体原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。磁性体原料としては、主成分の出発原料として、Ni、Cu、Znなどの酸化物あるいは焼成後にこれらの酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いることもできる。また、磁性体原料として、上記主成分以外にも必要に応じて副成分の出発原料を含有してもよい。なお、磁性体原料は、磁性体層用ペーストとする前に、磁性体原料を構成する各出発原料を予備焼成(仮焼成)等により、あらかじめ反応させておいてもよい。
内部電極(コイル導体)用ペーストは、たとえばAgなどの導電材と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
次に、磁性体層用ペーストをドクターブレード法などによりシート化し、磁性体グリーンシートを形成する。
次に、上記にて作製した磁性体グリーンシート上に、内部電極(コイル導体)を形成する。コイル導体の形成は、コイル導体用ペーストをスクリーン印刷等の方法によって、磁性体グリーンシート上に形成する。なお、コイル導体の形成パターンは、製造する積層型フィルタの回路構成等に応じて適宜選択すればよいが、本実施形態においては、後述する各パターンとする。
次に、磁性体グリーンシート上のコイル導体にスルーホールを形成する。スルーホールの形成方法としては、特に限定されないが、たとえばレーザー加工などにより行うことができる。なお、スルーホールの形成位置は、コイル導体上であれば特に限定されないが、コイル導体の端部に形成することが好ましく、本実施形態においては、後述する各位置とする。
中間材グリーンシートの製造
まず、中間材原料を構成する各原料を準備する。中間材原料としては、FeZnCu系非磁性セラミックの製造原料成分と、ホウ珪酸亜鉛系ガラスまたは該ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分とが挙げられる。
次に、後述する第1の観点の方法か、第2の観点の方法のいずれかの方法により製造された中間材原料を塗料化して、中間材層用ペーストを調製する。
中間材層用ペーストは、中間材原料と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
中間材層用ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、例えば、中間材原料100重量%に対して、バインダは5〜15重量%程度、溶剤は50〜150重量%程度とすればよい。また、ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
次に、中間材層用ペーストをドクターブレード法などによりシート化し、中間材グリーンシートを形成する。
第1の観点
第1の観点では、上述した中間材原料を構成する各原料のうち、FeZnCu系非磁性セラミックの製造原料成分を混合し、第1粉体を調製する。本実施形態では、FeZnCu系非磁性セラミックの製造原料成分として、Fe、Zn、Cu、Mnの酸化物及び/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物を用いる。
第1粉体の調製方法は、特に限定されないが、たとえば、原料粉末を粉体状態で乾式混合により行っても良いし、原料粉末に水や有機溶媒などを添加し、ボールミル等を使用し、湿式混合により行っても良い。
次に、得られた第1粉体について、予備焼成を行い粉体化する。予備焼成は、保持温度を好ましくは500〜850℃、さらに好ましくは600〜850℃、温度保持時間を好ましくは1〜15時間とする。この予備焼成は、大気中で行っても良く、また大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気または純酸素雰囲気で行っても良い。
次に、予備焼成にて得られた粉体の粉砕を行い、第2粉体を得る。粉体の粉砕の方法としては、特に限定されないが、たとえば、粉体に水や有機溶媒などを添加し、ボールミル等を使用し、湿式混合により行うことができる。粉砕は、粉砕後の第2粉体の平均粒子径が、好ましくは0.1〜0.8μm程度となるように行う。第2粉体の平均粒子径が、大き過ぎると焼結性が劣化する傾向にあり、小さ過ぎると取扱が困難になる傾向にある。粉砕時間は、12〜72時間であることが好ましく、さらに好ましくは16〜48時間である。粉砕時間が短すぎると、粉砕が不十分となる傾向にある。
次に、第2粉体に対して、ホウ珪酸亜鉛系ガラスまたは該ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分を加えて第3粉体(中間材原料)とする。本実施形態では、前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスとして、(B−ZnO−SiO)と、Al、CaO、MgO、BaO、NaOのうち1種類以上とを含有するものを用いる。前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分として、少なくともB、ZnO及びSiOを含み、さらにAl、CaO、MgO、BaO、NaOのうち1種類以上を含有するものを用いる。ホウ珪酸亜鉛系ガラスまたは該ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分の添加量は、第2粉体100重量部に対して、好ましくは0.3〜4重量部、より好ましくは0.5〜3重量部とする。
第2の観点
第2の観点では、上述した中間材原料を構成する各原料のすべての製造原料成分を混合し、第1粉体を調製する。本実施形態では、中間材原料を構成する各原料のすべての製造原料成分として、少なくともFe、Cu、Zn、B、Si、Mnの酸化物及び/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物と、Al、Ca、Mg、Ba及びNaの酸化物を用いる。ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分の添加量は、FeZnCu系非磁性セラミックの製造原料成分100重量部に対して、好ましくは0.3〜4重量部、より好ましくは0.5〜3重量部とする。ここでの第1粉体の調製方法は、上述した第1の観点における場合と同様である。
次に、得られた第1粉体について、予備焼成を行い粉体化する。予備焼成の条件は、上述した第1の観点における場合と同様である。
次に、予備焼成にて得られた粉体の粉砕を行い、第2粉体(中間材原料)を得る。粉体の粉砕条件についても上述した第1の観点における場合と同様である。
各グリーンシートの積層
次に、誘電体グリーンシート、磁性体グリーンシート及び中間材グリーンシートを1枚以上積層し、グリーン状態の焼成前素子本体を形成する。
本実施形態では、グリーン状態の焼成前素子本体は、図3に示すように、コイル部を構成するコイル導体が形成された磁性体グリーンシートを複数枚積層し、その上に中間材グリーンシートを介して、コンデンサ部を構成する内部電極が形成された誘電体グリーンシートを複数枚積層して製造される。
なお、図3に示すように、コイル部の最下層にコイル導体を形成していない磁性体グリーンシートを積層してもよいし、コンデンサ部の最上層に内部電極を形成していない誘電体グリーンシートを積層してもよい。
以下、グリーンシートの積層工程の一例を説明する。
図3に示すように、まず、最下層に、コイル導体が形成されていない磁性体グリーンシート42eを配置する。コイル導体が形成されていない磁性体グリーンシート42eは、コイル部を保護するために使用され、その厚みは、適宜調整すれば良い。
次に、コイル導体が形成されていない磁性体グリーンシート42eの上に、一端が磁性体グリーンシートの短手方向Xの手前側の端部に突出する導出部21aおよび23aをそれぞれ有する一対のコイル導体41aが形成された磁性体グリーンシート42aを積層する。
その上に、略C字形の一対のコイル導体41bが形成された磁性体グリーンシート42bを積層する。なお、略C字形のコイル導体41bは、曲部が磁性体グリーンシートの長手方向Yの手前側となるように配置され、さらに、磁性体グリーンシートの短手方向Xの手前側の一端にスルーホール51bが形成されている。
また、略C字形の一対のコイル導体41bが形成された磁性体グリーンシート42bを積層する際に、導体ペーストを使用し、スルーホール51bを介して、コイル導体41aとコイル導体41bを接合する。なお、スルーホールを接合する際に使用する導体ペーストは、特に限定されないが、Agペーストであることが好ましい。
略C字形の一対のコイル導体41bが形成された磁性体グリーンシート42bの上に、上記コイル導体41bと逆のパターンの一対のコイル導体41cが形成された磁性体グリーンシート42cを積層する。すなわち、略C字形のコイル導体41cは、曲部が磁性体グリーンシートの長手方向Yの奥側となるように配置されている。さらに、コイル導体41cは、磁性体グリーンシートの短手方向Xの奥側の一端にスルーホール51cが形成されており、このスルーホール51cを介して、導体ペーストを使用し、コイル導体41bとコイル導体41cを接合する。
同様に、コイル導体41bが形成された磁性体グリーンシート42bと、コイル導体41cが形成された磁性体グリーンシート42cとを交互に複数枚積層する。そして、コイル導体41bが形成された磁性体グリーンシート42bの上に、一端が磁性体グリーンシートの短手方向Xの奥側の端部に突出する導出部24bおよび26bをそれぞれ有する一対のコイル導体41dが形成された磁性体グリーンシート42dを積層する。なお、コイル導体41dには、磁性体グリーンシートの短手方向Xの手前側の一端にスルーホール51dが形成されており、このスルーホール51dを介して、導体ペーストを使用し、コイル導体41bとコイル導体41dを接合する。
上記のように、各スルーホールを介して、各磁性体グリーンシート上のコイル導体を接合することにより、磁性体グリーンシート2枚で1巻きとなるコイルが形成される。コイルの形成数については、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
次に、コイル導体41dが形成された磁性体グリーンシート42dの上に、中間材グリーンシート100を積層する。なお、中間材グリーンシート100を積層する前に、コイル導体が形成されていない磁性体グリーンシート42eを1枚以上積層してもよい。中間材グリーンシート100は、主として、コイル部の磁性体層側からコンデンサ部の誘電体層側へのZnの拡散を抑制するために使用され、その厚みは、焼成後の厚みが5〜100μmとなるように、調整することが好ましい。なお、中間材グリーンシート100は、上述した目的の他に、コイル部と後述するコンデンサ部とを分離する目的、あるいは積層型フィルタの厚み寸法を調整する目的でも用いられる。
次に、上記にて積層された中間材グリーンシート100の上に、グリーン状態のコンデンサ部を形成する。
まず、中間材グリーンシート100の上に、誘電体グリーンシートの短手方向Xの奥側の側部から誘電体グリーンシートの端部に突出する一対の導出部24aおよび26aを有する内部電極31aが形成された誘電体グリーンシート32aを積層する。
次に、内部電極31aが形成された誘電体グリーンシート32aの上に、誘電体グリーンシートの短手方向Xの手前側及び奥側からそれぞれ誘電体グリーンシートの端部に突出する一対の導出部22aおよび25aを有する内部電極31bが形成された誘電体グリーンシート32bを積層する。
このように内部電極31aが形成された誘電体グリーンシート32aと、内部電極31bが形成された誘電体グリーンシート32bとを積層することにより、内部電極31a、31bと誘電体グリーンシート32bとで構成されるグリーン状態の単層のコンデンサ30bが形成される。
次に、内部電極31bが形成された誘電体グリーンシート32bの上に、内部電極31aが形成された誘電体グリーンシート32aを積層し、同様に、内部電極31a、31bと誘電体グリーンシート32aとで構成されるグリーン状態の単層のコンデンサ30aが形成される。
同様に、内部電極31aが形成された誘電体グリーンシート32aと、内部電極31bが形成された誘電体グリーンシート32bとを交互に積層することにより、複数のグリーン状態の単層のコンデンサ30aおよび30bを交互に形成することができる。
最後に、内部電極31aが形成された誘電体グリーンシート32aの上に、内部電極を形成していない誘電体グリーンシート32cを積層して、グリーン状態の焼成前素子本体を得る。
この内部電極を形成していない誘電体グリーンシート32cは、コンデンサ部を保護するため、あるいは積層型フィルタ2としての厚み寸法を維持するために使用され、その厚みは、適宜調整すれば良い。なお、この内部電極を形成していない誘電体グリーンシート32cのみの最終層には、個々のチップになった場合に方向性を示す、マークを設けてもよい。
本実施形態においては、単層のコンデンサ30a、30bが合計で6層となるように積層したが、その積層数については特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
焼成前素子本体の焼成、及び外部電極の形成
次に、上記にて作製されたグリーン状態の焼成前素子本体を焼成して、焼結体としての素子本体4(図1及び図2参照)を形成する。
焼成条件としては、昇温速度を好ましくは50〜500℃/時間、さらに好ましくは200〜300℃/時間、保持温度を好ましくは840〜900℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜8時間、さらに好ましくは1〜3時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、さらに好ましくは200〜300℃/時間とする。
次に、素子本体(焼結体)4に、たとえばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、素子本体4の両側面に外部電極用ペーストを塗布・乾燥した後、焼き付けを行うことにより図1に示す外部電極61〜66を形成する。なお、外部電極には、電気メッキを行う。電気メッキは、Cu−Ni−Sn、Ni−Sn、Ni−Au、Ni−Ag等で行うことが好ましい。
外部電極を形成する際に、図1に示す外部電極61,63は、コイル部の導出部21aおよび23aと接続し、入出力端子とする。図1に示す外部電極64は、コンデンサ部の各導出部24aおよびコイル部の導出部24bに接続し、コンデンサ部とコイル部を接続する入出力端子とする。図1に示す外部電極66も同様に、コンデンサ部の各導出部26aおよびコイル部の導出部26bに接続し、コンデンサ部とコイル部を接続する入出力端子とする。図1に示す外部電極62および65は、それぞれコンデンサ部の各導出部22aおよび25aに接続し、接地(グランド)端子とする。
上記のように、素子本体4に外部電極61〜66を形成することにより、本実施形態の積層型フィルタ2は、図4(A)に示すT型の集中定数回路構成の積層型3端子フィルタを構成する。
このようにして製造された本実施形態の積層型フィルタ2は、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
その他の実施形態
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様で実施しうることは勿論である。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る複合電子部品として積層型フィルタを例示したが、本発明に係る複合電子部品としては、積層型フィルタに限定されない。
また、上述した実施形態では、T型の回路が形成された積層型フィルタを例示したが、他の集中定数回路が形成された積層型フィルタとすることも可能である。たとえば、他の集中定数回路としては、図4(B)に示すπ型や、図4(C)に示すL型や、二つのπ型の回路により形成されるダブルπ型としても良く、また、図5及び図6に示すL型の回路が4つ形成された積層型フィルタとしても良い。
図5及び図6に示すL型の回路が4つ形成された積層型フィルタは、上述した実施形態と誘電体層や磁性体層を構成する材料などは同じものが使用でき、誘電体グリーンシート、磁性体グリーンシート及び中間材グリーンシートは、上述した実施形態と同様に作製すればよい。
以下に、L型の回路が4つ形成された積層型フィルタの製造方法について、図6を参照しつつ、誘電体グリーンシート、磁性体グリーンシート及び中間材グリーンシートを積層する工程から後の工程を説明する。
図6に示すように、まず、最下層に、コイル導体が形成されていない磁性体グリーンシート142gを積層し、その上に、一端が磁性体グリーンシートの短手方向Xの奥側から端部に突出する導出部125b、126b、127b、128bをそれぞれ有する4つのコイル導体141aが形成された磁性体グリーンシート142aを積層する。
次に、その上に、略U字形の4つのコイル導体141bが形成された磁性体グリーンシート142bを積層する。なお、略U字形のコイル導体141bは、曲部が磁性体グリーンシートの短手方向Xの手前側となるように配置されている。なお、コイル導体141bには、コイル導体141bの一端にスルーホール151bが形成されており、このスルーホール151bを介して、導体ペーストを使用し、コイル導体141aとコイル導体141bとを接合する。
次に、その上に、略C字形の4つのコイル導体141cが形成された磁性体グリーンシート142cを積層する。なお、略C字形のコイル導体141cは、曲部が磁性体グリーンシートの長手方向Yの手前側となるように配置されている。なお、コイル導体141cには、コイル導体141cの一端にスルーホール151cが形成されており、このスルーホール151cを介して、導体ペーストを使用し、コイル導体141bとコイル導体141cとを接合する。
次に、その上に、略C字形の4つのコイル導体141dが形成された磁性体グリーンシート142dを積層する。なお、略C字形のコイル導体141dは、曲部が磁性体グリーンシートの長手方向Yの手前側となるように配置されている。なお、コイル導体141dには、コイル導体141dの一端にスルーホール151dが形成されており、このスルーホール151dを介して、導体ペーストを使用し、コイル導体141cとコイル導体141dとを接合する。
次に、その上に、略U字形の4つのコイル導体141eが形成された磁性体グリーンシート142eを積層する。なお、略U字形のコイル導体141eは、曲部が磁性体グリーンシートの短手方向Xの奥側となるように配置されている。なお、コイル導体141eには、図6に示すように、コイル導体141eの一端にスルーホール151eが形成されており、このスルーホール151eを介して、導体ペーストを使用し、コイル導体141dとコイル導体141eとを接合する。
次に、その上に、一端が磁性体グリーンシートの短手方向Xの手前側から端部に突出する導出部121b、122b、123b、124bをそれぞれ有する4つのコイル導体141fが形成された磁性体グリーンシート142fを積層する。なお、コイル導体141fの導出部の一端には、スルーホール151fが形成されており、このスルーホール151fを介して、導体ペーストを使用し、コイル導体141eとコイル導体141fとを接合する。
上記のように、各スルーホールを介して、各磁性体グリーンシート上のコイル導体を接合することにより、コイルが形成される。コイルの形成数については、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
次に、4つのコイル導体141fが形成された磁性体グリーンシート142fの上に、中間材グリーンシート100を積層する。
次に、上記にて積層された中間材グリーンシート100の上に、グリーン状態のコンデンサ部を形成する。
まず、中間材グリーンシート100の上に、誘電体グリーンシートの長手方向Yの手前側および奥側の側部から、誘電体グリーンシートの端部に突出する一対の導出部120aおよび129aを有する内部電極131aが形成された誘電体グリーンシート132aを積層する。
次に、内部電極131aが形成された誘電体グリーンシート132aの上に、誘電体グリーンシートの短手方向Xの奥側の側部から、誘電体層の端部に突出する導出部125aを有する内部電極131bが形成された誘電体グリーンシート132bを積層する。
次に、内部電極131aが形成された誘電体グリーンシート132aを積層し、その上に、誘電体グリーンシートの短手方向Xの奥側の側部から、誘電体層の端部に突出する導出部126aを有する内部電極131cが形成された誘電体グリーンシート132cを積層する。なお、導出部126aは、導出部125aより誘電体グリーンシートの長手方向Yに沿って奥側に配置してある。
次に、内部電極131aが形成された誘電体グリーンシート132aを積層し、その上に、導出部が126aより誘電体グリーンシートの長手方向Yに沿って奥側に配置された導出部127aを有する内部電極131dが形成された誘電体グリーンシート132dを積層する。
次に、内部電極131aが形成された誘電体グリーンシート132aを積層し、その上に、導出部が127aより誘電体グリーンシートの長手方向Yに沿って奥側に配置された導出部128aを有する内部電極131eが形成された誘電体グリーンシート132eを積層する。
次に、内部電極131aが形成された誘電体グリーンシート132aを積層し、それぞれの導出部が誘電体グリーンシートの長手方向Yに沿って異なる位置に形成されたグリーン状態の単層のコンデンサ130a〜130eが形成される。
最後に、内部電極131aが形成された誘電体グリーンシート132aの上に、内部電極を形成していない誘電体グリーンシート132fを積層し、グリーン状態の焼成前素子本体を得る。この内部電極を形成していない誘電体グリーンシート132fは、コンデンサ部を保護するため、あるいは積層型フィルタとしての厚み寸法を維持するために使用され、その厚みは、適宜調整すれば良い。なお、この内部電極を形成していない誘電体グリーンシート132fのみの最終層には、個々のチップになった場合に方向性を示す、マークを設けてもよい。
次に、得られたグリーン状態の焼成前素子本体を焼成して素子本体111を得た後、該素子本体111に端面研磨を施し、外部電極121〜129を形成する。
外部電極を形成する際に、図5に示す外部電極121〜124は、コイル部の各導出部121a〜124aと接続し、入出力端子とする。図5に示す外部電極125〜128は、コンデンサ部の各導出部125a〜128aおよびコイル部の各導出部125b〜128bに接続し、コンデンサ部とコイル部を接続する入出力端子とする。図5に示す外部電極120および129は、それぞれコンデンサ部の各導出部120aおよび129aに接続し、接地(グランド)端子とする。
上記のように、素子本体111に各外部電極120〜129を形成することにより、本実施形態の積層型フィルタは、図4(C)に示すL型の回路が4つ形成された構成となる。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
誘電体グリーンシートの作製
まず、誘電体原料を構成する各原料として、主成分原料としてのTiO、CuO及びNiOと、副成分原料としてのMnCOを準備し、これらの原料を配合し、仮焼成および粉砕を行い誘電体原料粉末を調製した。なお、各化合物の配合量は、主成分原料を、TiO:92モル%、CuO:3モル%及びNiO:5モル%で構成し、主成分原料100重量部に対して、MnCOを1重量部の割合で添加した。得られた誘電体原料粉末に、樹脂バインダー、溶剤、可塑剤および分散剤を添加し、ドクターブレード法により誘電体グリーンシートを作製した。誘電体グリーンシートの厚みは、焼成後に25.0μmとなる厚みとした。
次に、Agを主成分とする内部電極用ペーストを使用し、内部電極を誘電体グリーンシート上に形成し、所望の電極パターン(焼成後に厚み5.0μmとなる厚み)を有する誘電体グリーンシートを作製した。なお、本実施例においては、内部電極のパターンが、図3に示すような各パターンとなるよう、複数のパターンを有する誘電体グリーンシートを作製した。
磁性体グリーンシートの作製
まず、磁性体原料粉末を構成する原料として、NiO、CuO、ZnOおよびFeを準備し、これらの原料を配合し、仮焼成および粉砕を行い磁性体原料粉末を調製した。なお、各化合物の配合量は、NiO:25モル%、CuO:11モル%、ZnO:15モル%、残部をFeとした。得られた磁性体原料粉末に、樹脂バインダー、溶剤、可塑剤および分散剤を添加し、ドクターブレード法により磁性体グリーンシートを作製した。磁性体グリーンシートの厚みは、約20μmとした。
次に、Agを主成分とするコイル導体用ペーストを使用し、スクリーン印刷によりコイル導体のパターン(焼成後に厚み12μmとなる厚み)を磁性体グリーンシート上に形成し、さらに、レーザー加工によりスルーホールを作製し、所望の導体パターンおよび、スルーホールを有する磁性体グリーンシートを作製した。なお、本実施例においては、コイル導体のパターンおよびスルーホールの位置が、図3に示すような各パターンおよび各位置となるよう、複数のパターンを有する磁性体グリーンシートを作製した。
中間材グリーンシートの作製
まず、FeZnCu系非磁性セラミックの製造原料成分として、主成分原料としてのCuO、ZnO及びFeと、副成分原料としてのMnを準備し、これらの各粉末原料を配合し、混合粉末とした。なお、各化合物の配合量は、主成分原料を、Fe:43.85モル%、CuO:4.90モル%及びZnO:51.25モル%で構成し、主成分原料100モルに対して、Mnを0.93モルの割合で添加した。
次に、混合原料100重量部に対し、所定量(表1の「ガラス添加量」の欄を参照)のホウ珪酸亜鉛系ガラスを添加して、混合粉とした。なお、ホウ珪酸亜鉛系ガラスの組成は、B:21.50モル%、ZnO:58.30モル%、SiO:9.80モル%、Al:9.30モル%とした。
次に、得られた混合紛に、純水とジルコニアボールをメディアとして加えた後、ボールミルにて16時間混合してスラリーを得た。
次に、得られたスラリーを乾燥した後、770℃で2時間、仮焼成(予備焼成)し、粉体を得た。
次に、得られた粉体に、純水とジルコニアボールをメディアとして再度加え、ボールミルにより18時間粉砕した後に乾燥し、平均粒子径が0.6μmの中間材原料を得た。
次に、中間材原料に樹脂バインダー、溶剤、可塑剤および分散剤を添加してスラリー化し、これを用いてドクターブレード法により中間材グリーンシートを作製した。中間材グリーンシートの厚みは、約20μmとした。
各グリーンシートの積層、焼成、及び外部電極の形成
次に、図3に示すように、作製した複数の誘電体グリーンシート及び複数の磁性体グリーンシートを、間に中間材グリーンシートを挟んで積層し、多数個取りの積層型3端子フィルタをグリーン状態で形成し、その後の切断において、寸法が焼成後に2012形状(長さ2.0mm、幅1.2mm、高さ0.8mm)の寸法となるように単体(焼成前素子本体)に切断し、870℃にて焼成して、焼結体としての素子本体4(図1及び図2参照)を作製した。
次に、焼成を行った素子本体4の両側面に外部電極用ペーストを塗布・乾燥し、焼成による外部電極の焼き付けを行い、図1に示すような積層型フィルタ試料を作製した。
得られたフィルタ試料について、比誘電率ε及び絶縁抵抗IRの測定、直流電界下でのIR寿命の測定(高温負荷寿命)、層間クラックの発生率の測定を行った。
比誘電率(ε)
フィルタ試料のコンデンサ部に対し、基準温度20℃において、デジタルLCRメータ(YHP社製4274A)にて、周波数1MHz,入力信号レベル(測定電圧)0.7Vrms/μmの条件下で、静電容量Cを測定した。そして、得られた静電容量から、比誘電率(単位なし)を算出したところ、各試料の比誘電率(ε)は、約100であった。
絶縁抵抗(IR)
フィルタ試料のコンデンサ部に対し、絶縁抵抗計(アドバンテスト社製R8340A)を用いて、25℃においてDC50Vを60秒間印加した後の絶縁抵抗IR(単位はΩ)を測定した。絶縁抵抗IRは、10Ω以上を良好とした。結果を表1に示す。
直流電界下でのIR寿命(高温負荷寿命)
直流電界下でのIR寿命の測定は、得られたフィルタ試料に対し、85℃の恒温槽中で、10Vの直流電界を印加し、500時間、1000時間、1500時間および2000時間の各印加時間の絶縁抵抗を測定することにより行った。直流電界下でのIR寿命の評価としては、20個の試料について試験を行い、各印加時間における絶縁抵抗が10Ω以下となったものを「不可」とした。各印加時間における、試験を行った試料の数(20個)に対する「不可」となった試料の数を表1に示す。
層間クラックの発生率
層間クラックの発生率は、各フィルタ試料毎に、1万個を抜き取り、100倍の金属顕微鏡にて外観検査を行い、算出した。層間クラックの発生率は、0.1%以下を良好とした。結果を表1に示す。
表1に示すように、ホウ珪酸亜鉛系ガラスを添加しない場合(サンプル1)や、FeZnCu系非磁性セラミック100重量部に対するホウ珪酸亜鉛系ガラスの添加量が少ない場合(サンプル2)は、コイル部の磁性体層側からコンデンサ部の誘電体層側へのZnの拡散を抑制することができず、絶縁抵抗が低下する傾向にある。また、高温負荷寿命試験において絶縁抵抗劣化が早いことが分かる。
図7(B)にサンプル1における中間材層近辺の焼結状態を模式的に表した図を示し、図8(A)にサンプル1におけるコンデンサ部と中間材層付近の焼結状態を示す電子顕微鏡写真を示し、図9(A)にサンプル1におけるコンデンサ部と中間材層付近のEPMA分析図を示す。図7(B)、図8(A)及び図9(A)に示すように、FeZnCu系非磁性セラミック単独の中間材層をコイル部とコンデンサ部の間に介在させると、コイル部とコンデンサ部の界面において、Znの相互拡散が生じ、コンデンサ部のコンデンサ電極層間の絶縁抵抗が劣化し、結果としてCu偏析が生じた。
FeZnCu系非磁性セラミック100重量部に対するホウ珪酸亜鉛系ガラスの添加量が多い場合(サンプル9,10)は、ガラスの脆性により層間クラックが増加する傾向にある。また、サンプル9では、層間クラックの発生を多少、抑制できているとも考えられるが、印加時間1000時間以上で、絶縁抵抗が10Ω以下となるものが発生した。なお、サンプル10については、層間クラックが多く発生したので、高温負荷寿命試験を行わなかった。
これに対し、FeZnCu系非磁性セラミック100重量部に対するホウ珪酸亜鉛系ガラスの添加量が適正範囲にある場合(サンプル3〜8)は、コイル部の磁性体層側からコンデンサ部の誘電体層側へのZnの拡散を抑制できており、絶縁抵抗の低下や、高温負荷寿命試験における絶縁抵抗の劣化を防止できている。特に、印加時間2000時間においても、絶縁抵抗の極端な低下は確認されず、「不可」となる試料は無かった。しかも、層間クラックの発生も極めて少ない。
図7(A)にサンプル5における中間材層近辺の焼結状態を模式的に表した図を示し、図8(B)にサンプル5におけるコンデンサ部と中間材層付近の焼結状態を示す電子顕微鏡写真を示し、図9(B)にサンプル5におけるコンデンサ部と中間材層付近のEPMA分析図を示す。図7(A)、図8(B)及び図9(B)に示すように、FeZnCu系非磁性セラミックに適正量のホウ珪酸亜鉛系ガラスを混合させた中間材層をコイル部とコンデンサ部の間に介在させると、コイル部とコンデンサ部の界面においてZnの相互拡散がほとんど生じず、コンデンサ部のコンデンサ電極層間の絶縁抵抗の劣化が抑制され、結果的にはCu偏析も抑えられた。
図1は本発明の一実施形態に係る積層型フィルタの外観斜視図である。 図2は図1のII−II線に沿った断面図である。 図3は図1の積層型フィルタの内部構造を示す要部分解斜視図である。 図4(A)はT型の回路の回路図、図4(B)はπ型の回路の回路図、図4(C)はL型の回路の回路図である。 図5は本発明の他の実施形態に係る積層型フィルタ(L型回路アレータイプの層型フィルタ)の外観斜視図である。 図6は図5の積層型フィルタの内部構造を示す要部分解斜視図である。 図7(A)は本発明の実施例サンプル(サンプル5)における中間材層近辺の焼結状態を模式的に表した図、図7(B)は本発明の比較例サンプル(サンプル1)における中間材層近辺の焼結状態を模式的に表した図である。 図8(A)は本発明の比較例サンプル(サンプル1)におけるコンデンサ部と中間材層付近の焼結状態を示す電子顕微鏡写真、図8(B)は本発明の実施例サンプル(サンプル5)におけるコンデンサ部と中間材層付近の焼結状態を示す電子顕微鏡写真である。 図9(A)は本発明の比較例サンプル(サンプル1)におけるコンデンサ部と中間材層付近のEPMA分析図、図9(B)は本発明の実施例サンプル(サンプル5)におけるコンデンサ部と中間材層付近のEPMA分析図である。
符号の説明
2,101… 積層型フィルタ
4,111… 素子本体
42… 積層型チップインダクタ部(コイル部)
422… 磁性体層
424… 内部電極層
426… チップ本体
44… 積層型チップコンデンサ部(コンデンサ部)
442… 誘電体層
444… 内部電極層
446… チップ本体
46… 中間材層
61〜66,120〜129… 外部電極
21a〜26a,24b,26b,120a〜129a,125b〜128b… 導出部
30a,30b,130a〜130e… コンデンサ
31a,31b,131a〜131e… 内部電極
32a〜32c,132a〜132f… 誘電体グリーンシート
41a〜41d,141a〜141f… コイル導体
42a〜42f,142a〜142h… 磁性体グリーンシート
51b〜51d,151b〜151f… スルーホール
100… 中間材グリーンシート

Claims (13)

  1. コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
    内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
    前記コイル部及び前記コンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品であって、
    前記中間材層が、Znを含む非磁性セラミックと、ホウ珪酸亜鉛系ガラスとを、含んで構成されていることを特徴とする複合電子部品。
  2. 前記中間材層は、Znを含む非磁性セラミック100重量部に対し、ホウ珪酸亜鉛系ガラスが0.3〜4重量部含有されている請求項1に記載の複合電子部品。
  3. 前記非磁性セラミックが、FeZnCu系非磁性セラミックである請求項1または2に記載の複合電子部品。
  4. 前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスは、(B−ZnO−SiO)に、Al、CaO、MgO、BaO、NaOのうち1種類以上を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の複合電子部品。
  5. 前記中間材層の厚みが、5〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載の複合電子部品。
  6. 前記磁性体層は、NiCuZn系磁性フェライトまたはCuZn系磁性フェライトで構成されており、前記誘電体層は、Ti系セラミックで構成されている請求項1〜5のいずれかに記載の複合電子部品。
  7. 前記コイル部とコンデンサ部とで構成される集中定数回路が形成される請求項1〜6のいずれかに記載の複合電子部品。
  8. 前記集中定数回路が、L型、T型、π型、またはダブルπ型のいずれかである請求項7に記載の複合電子部品。
  9. コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
    内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
    前記コイル部及び前記コンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品を製造する方法であって、
    最終的に、Znを含む非磁性セラミックとホウ珪酸亜鉛系ガラスを含んで構成されることとなる中間材層のすべての製造原料成分を混合する工程と、
    前記混合後の原料を500〜850℃で予備焼成する工程と、
    前記予備焼成後の粉体を粉砕し、0.1〜0.8μmの平均粒子径を持つ粉体を得る工程と、
    前記粉体をスラリー化して、焼成前中間材層を形成し、焼成する工程とを、有する複合電子部品の製造方法。
  10. 前記製造原料成分が、少なくともFe、Cu、Zn、B、Si、Mnの酸化物及び/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物と、Al、Ca、Mg、Ba及びNaの酸化物のうち1種類以上とを含有するものである、請求項9に記載の複合電子部品の製造方法。
  11. コイル導体及び磁性体層で構成されるコイル部と、
    内部電極及び誘電体層で構成されるコンデンサ部と、
    前記コイル部及び前記コンデンサ部の間に形成された中間材層とを、有する複合電子部品を製造する方法であって、
    最終的に、Znを含む非磁性セラミックとホウ珪酸亜鉛系ガラスを含んで構成されることとなる中間材層の製造原料成分のうち、Znを含む非磁性セラミックの製造原料成分を混合する工程と、
    前記混合後の原料を500〜850℃で予備焼成する工程と、
    前記予備焼成後の粉体を粉砕し、0.1〜0.8μmの平均粒子径を持つ粉体を得る工程と、
    前記粉体に対して、ホウ珪酸亜鉛系ガラスまたは該ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分を加えてスラリー化し、焼成前中間材層を形成し、焼成する工程とを、有する複合電子部品の製造方法。
  12. 前記Znを含む非磁性セラミックの製造原料成分が、Fe、Zn、Cu、Mnの酸化物及び/または焼成後にこれらの酸化物になる化合物であり、
    前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスが、(B−ZnO−SiO)と、Al、CaO、MgO、BaO、NaOのうち1種類以上とを含有するものであり、
    前記ホウ珪酸亜鉛系ガラスの製造原料成分が、少なくともB、ZnO及びSiOを含み、さらにAl、CaO、MgO、BaO、NaOのうち1種類以上を含有するものである、請求項11に記載の複合電子部品の製造方法。
  13. 前記焼成前中間材層を焼成する際に、前記コイル部を形成することとなる焼成前コイル部と、前記コンデンサ部を形成することとなる焼成前コンデンサ部とを同時焼成し、前記コイル部、前記中間材層及び前記コンデンサ部を一体焼結させる、請求項9〜12のいずれかに記載の複合電子部品の製造方法。
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