JP2009035704A - 土木建築用吸水防止剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】土木建築構造物基材に対し、基材の垂直面に適用しても液だれせず、優れた浸透性を有し、表面撥水性に優れ、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易な吸水防止剤を提供すること。
【解決手段】(A)アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物100重量部、および(B)シリカ0.5〜25重量部からなり、(A)が一般式
Si(OR4−X
[R;炭素数1〜20のアルキル基、R;炭素数1〜6のアルキル基または水素原子、X;1または2の整数]で表わされる土木建築用吸水防止剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、土木建築構造物基材に対し、優れた浸透性を有し、表面撥水性に優れ、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易な吸水防止剤に関するものである。
シラン化合物やポリシロキサンなどの有機ケイ素化合物を各種の建材に塗布することにより、建材表面を疎水性とし、建材内部への水の浸透を抑制することは従来から知られている。対象となる建材はコンクリート、モルタル、軽量気泡コンクリート、レンガなどの無機の多孔質建材であり、多孔質建材の細孔に上記化合物が浸透して表層を疎水化することにより、これら建材の劣化・老朽化が抑制される。更に撥水性も付与されることで埃の付着、カビの発生が抑制され汚れを付きにくくするという効果もある。特に土木建築構造物基材に使用されるコンクリートに塗布した場合、コンクリート表面の細孔から基材に浸透して細孔の内面に吸水防止層を形成するため、細孔を遮蔽することなく水蒸気の通気性が維持されることにより、建材内の水分の蒸発を妨げず、かつ、水分の浸透を防止することによって中性化の進行による鉄筋のさび・膨張による剥離などの劣化を抑制する効果がある。
例えば、特許文献1には、乳化剤を用いてアルキルアルコキシシランを水に分散させたエマルジョンが開示されている。このエマルジョンはコンクリートに浸透するものの塗布したコンクリート表面付近のシランが大気中に揮発しやすいため、コンクリート内部に深く浸透した吸水防止層が形成されず、また表面の撥水性に劣るため、数回に分けエマルジョンを塗り重ねる必要がある。
また、特許文献2には、アルキルトリアルコキシシランの他にアルキルアルコキシポリシロキサンを併用したシラン/シロキサン系のエマルジョンが開示されている。この方法ではエマルジョンを塗布したコンクリート表面に近い部分の疎水化は十分だが、エマルジョン中のシラン/シロキサン濃度が最大でも50%程度と低いためにエマルジョンの粘度が低く、土木構造物のようなより緻密なコンクリートの水平面以外の場所に塗布した場合には浸透する前に液だれが発生しやすく、コンクリートの疎水化が斑になるという欠点がある。
更に、特許文献3には、アルキルアルコキシシランとアミノ基を有するポリシロキサン、またはこれにアルキルアルコキシポリシロキサンを加えたシラン/シロキサン系のエマルジョンであり、シラン/シロキサン濃度の高いクリーム状のエマルジョンが開示されている。クリーム状であるために、土木構造物の垂直面に適用しても液だれが発生しにくいが、土木用の緻密なコンクリートへの浸透性が十分ではないという欠点がある。
一方、特許文献4には、バインダーに疎水化粉末および充填材を添加し撥水性を得る塗料組成物が開示されているが、これらは多孔質建材に塗布した場合通気性を損なうため、中性化の進行、鉄筋のさび膨張による剥離などの劣化を抑制できない。
特開昭62−197369号公報 特表平6−501514号公報 特開平10−81824号公報 特開平7−118577号公報
これら従来技術による組成物は、緻密なコンクリートからなる土木建築構造物に対して適用した場合に、液だれを起こしたり、浸透性が十分でないために十分な深さの吸水防止層が形成されず、表面撥水性に劣り、表面に雨筋が残りやすいという欠点を有していたのである。
本発明の課題は、上記の従来技術による組成物を土木建築構造物に対して用いた場合の問題点を解決すること、すなわち土木建築構造物の垂直面に適用しても液だれが抑えられ、優れた浸透性を有し、表面撥水性に優れ、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易な吸水防止剤組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、吸水防止剤の各成分の構造、組成について鋭意研究を重ねた結果、アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物にシリカを組み合わせることにより課題が解決されることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は、
[1] (A)アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物100重量部、および(B)シリカ0.5〜25重量部からなり、(A)が一般式(1)
Si(OR4−X (1)
[式中、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基または水素原子、Xは1または2の整数]で表わされる土木建築用吸水防止剤組成物。
[2](B)シリカが乾式シリカである[1]記載の吸水防止剤組成物。
[3](B)シリカが疎水性乾式シリカである[1]または[2]のいずれかに記載の吸水防止剤組成物。
[4](C)シロキサンユニットの平均組成が式(2)
SiO(4−a−b)/2 (2)
[式中、Rは、O、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む基で置換され、ハロゲン原子で置換されていてもよい、同一または異なっていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、あるいはヒドロキシル基である。Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。aは0.001〜1.0、bは0.9〜2.4で、a+bは1.0〜2.5である。]であらわされるポリオルガノシロキサンを、(A)アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物100重量部に対して、0.1〜10重量部含有する[1]ないし[3]のいずれかに記載の吸水防止剤組成物。
[5](C)ポリオルガノシロキサンがアミノアルキル基を有するポリオルガノシロキサンである[1]ないし[4]のいずれかに記載の吸水防止剤組成物。
[6]土木建築用コンクリート構造物に使用される[1]ないし[5]記載の吸水防止剤組成物。
本発明の組成物は、土木建築構造物の垂直面に適用しても液だれが抑えられ、優れた浸透性を有し、表面に撥水性を付与し、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易であるという効果を奏する。
以下、本願発明について具体的に説明する。本発明の(A)成分であるアルキルアルコキシシランは一般式(1)で表わされるものである。
Si(OR4−X (1)
式(1)中のRは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基または水素原子、Xは1または2の整数である。式(1)中のRの例は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等であって、これらの一種または2種以上であってもよい。これらのアルキル基の中では、炭素数6または10のアルキル基が好ましい。
式(1)中のRの例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基のようなアルキル基であり、分子中で同一または異なっていてもよい。これらのなかでも好ましいRは炭素数1または2のアルキル基である。
このようなアルキルアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
中でも、式(1)中のRで示されるアルキル基の炭素数が6以上のヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランが好適に用いられる。これらのアルキルアルコキシシランは、部分縮合物または混合物として用いることもできる。
本発明の吸水防止剤組成物中、(B)成分のシリカは当業者には公知の方法により製造されたものが使用できる。例えばケイ酸ソーダと鉱酸をアルカリ側で反応させろ過しやすいシリカを析出させる沈降法により合成される湿式シリカ、気化させた四塩化ケイ素と水素を混合させたものを1000〜1200℃以上にて空気中で燃焼させ10nm程度の非常に微細な粒子を得る燃焼法により合成される乾式シリカ、乾式シリカを疎水化表面処理剤および水蒸気を不活性のキャリアーガスとともに約400℃に加熱し、乾式シリカ表面の親水性であるシラノール基と疎水化表面処理剤を反応させ合成される疎水性乾式シリカ等が挙げられる。疎水化表面処理剤としてはオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等があげられる。本発明において、シリカは乾式シリカであることが好ましく、特に疎水性乾式シリカが好適に用いられる。これらのシリカは1種単独でも2種以上併用してもよい。
本発明において、シリカは本発明の課題を解決するに重要な成分である。従来から、シリカには塗料・建材用シーラント等において、不飽和ポリエステル樹脂などの有機樹脂、ポリオルガノシロキサンに添加すると、粘性を調整し、垂直面に塗布する時に液だれを防止する効果があることは知られている。しかしながら、粘度の極めて低い(A)成分のアルキルアルコキシシランに(B)成分のシリカを用い、混合物の液だれを大幅に改善するほどに粘性が調整され、アルキルアルコキシシランの浸透性を大幅に改善することは予想されなかった。(B)成分のシリカ、特に疎水性乾式シリカは(A)成分のアルキルアルコキシシランに対し相溶性・湿潤作用に特に優れているために、均一に分散し、基材塗布後(A)成分の流出・揮発が抑制されると考えられる。また同時に乾燥後基材表面にロータス効果を発現させるために表面撥水性が大幅に向上したと考えられる。
(B)成分は(A)成分100重量部に対して0.5〜25重量部であることが必要であり、好ましくは2〜10重量部である。0.5重量部未満では、シリカ添加の効果が十分でないため液だれすることにより、十分な深さの吸水防止層が形成されず、表面撥水性に劣る。また25重量部より多くすると、吸水防止剤組成物の粘度が高すぎて塗布の作業性が劣り、また基材表面に多量の残留物が固着する欠点が生じる。
本発明において、更に(C)成分として、極性基を有するポリオルガノシロキサンを用いることができる。極性基を有するポリオルガノシロキサンは、(B)成分のシリカの効果を増加させるものであり、(B)成分の量を減少させても、本発明の目的とする効果を達成することができる。(B)成分は本発明の組成物を土木建築構造物に適用した後に表面に残留するが、(C)成分を用いる場合には(B)成分の残留量を減少させることができ、この残留物の除去も容易になるという効果も奏する。
本発明の(C)成分である極性基を有するポリオルガノシロキサンは、そのシロキサンユニットの平均組成が、一般式(2)
SiO(4−a−b)/2 (2)
で表されるポリオルガノポリシロキサンである。
式(2)中のRは、O、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む基で置換され、ハロゲン原子で置換されていてもよい、同一または異なっていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、あるいはヒドロキシル基である。aは0.001〜1.0、bは0.9〜2.4で、a+bは1.0〜2.5である。(C)成分は、(A)成分のアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物100重量部に対して、0.1〜10重量部用いることができる。
の例としては、極性基を構造中に含有する炭化水素基が挙げられる。Rを構成するO、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む極性基の例としては、メチルアクリレート基、アクリレート基、エポキシ基(グリシジル基)、アミノ基、アミノアルキル基、ヒドロキシアミノ基、カルボニル基、ジカルボニル基、酸無水物基、アルデヒド基、イソシアネート基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、ポリオキシアルキレン基、ホルムアミド基、アセトアミド基、シアノ基、アミド基、イミド基、水酸基、オキサゾリン基等をあげることができる。Rを構成する炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基などのアラルキル基;これらの炭化水素基中の水素原子の一部がハロゲン原子によって置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジブロモフェニル基、テトラクロロフェニル基、ジフルオロフェニル基などのハロゲン置換炭化水素基等が挙げられる。Rは分子中で同一であっても、異なっていてもよい。
を例示すれば、ヒドロキシル基、アミノプロピル基、N−アミノエチル−アミノプロピル基、メルカプトプロピル基、メチルアクリレートプロピル基、ポリオキシエチレンプロピル基等である。
式(2)中のRは、炭素数1〜10の炭化水素基である。Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基などのアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基などのアラルキル基;これらの炭化水素基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子によって置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジブロモフェニル基、テトラクロロフェニル基、ジフルオロフェニル基などのハロゲン置換炭化水素基等が挙げられる。Rの好ましい例は、メチル基である。
本発明の極性基を有するポリオルガノシロキサンは、当業者には公知の方法により製造することができ、好ましくは25℃における粘度が1000〜100000mPa.sのものである。粘度1000mPa.s未満では、土木建築構造物の垂直面に適用した場合に組成物の液だれ防止効果が不十分であり、また粘度が100000mPa.sより大きい場合、吸水防止剤組成物の粘度が高すぎて塗布の作業性が劣り、また基材表面に付着し汚損する欠点が生じる。
(C)成分の好適な例は、式(2)のRとしてアミノアルキル基を有するポリオルガノシロキサンであり、アミノアルキル基を有するRは、一般式(3)で示されるものである。
−R−[(NR)−RNR (3)
式(3)中、R、Rは、2価の炭素数1〜18の炭化水素基を表し、R、R及びRは、水素原子または未置換の、またはハロゲン置換の炭素数1〜10のアルキル基を表し、tは0〜6の値の整数を表す。
2価の炭素数1〜18の炭化水素基R及びRの例は、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソ−プロピレン基、n―ブチレン基、イソ−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、イソ−ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基である。R、R及びRのアルキル基の例は、Rで述べたアルキル基のうち、炭素数10までのアルキル基である。
アミノアルキル基を有するポリオルガノシロキサンの例をあげれば、アミノプロピル変性されたポリジメチルシロキサン、アミノエチルアミノプロピル変性されたポリジメチルシロキサン等であり、これらは、メトキシ基やエトキシ基などのアルコキシ基やヒドロキシル基を含む場合がある。
本発明のアミノアルキル基を有するポリオルガノシロキサンは、当業者には公知の方法により製造することができ、好ましくは25℃における粘度が1000〜100000mPa.sのものである。粘度1000mPa.s未満では、土木建築構造物の垂直面に適用した場合に組成物の液だれ防止効果が不十分であり、また粘度が100000mPa.sより大きい場合、吸水防止剤組成物の粘度が高すぎて塗布の作業性が劣り、また基材表面に付着し汚損する欠点が生じる。
本発明の吸水防止剤組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で殺カビ剤、殺菌剤、殺藻剤、殺微生物剤、香料、防食剤、紫外線吸収剤、光触媒及び消泡剤等を副次的に添加することができる。
本発明の吸水防止剤組成物は、室温下、ホモミキサー、ウルトラディスパーザー、高圧ホモジナイザーなどの攪拌機を用いて、攪拌混合することにより製造することができる。
本発明の吸水防止剤組成物は、土木建築構造物基材、特にコンクリート、モルタル、軽量気泡コンクリート、レンガなどのような無機の多孔質建材に対して、刷毛塗りまたは吹付け塗装により用いることができる。また、乾燥方法としては、室温下に放置して乾燥させても良いし、天日乾燥、加熱乾燥によっても良い。
これら土木建築構造物基材に対する本発明の吸水防止剤組成物の塗布量は通常は200〜500g/mであるが特に限定されるものではない。また、一度の塗装で所要量を塗布することが可能だが、重ね塗りすることもできる。
本発明の吸水防止剤組成物は、すでに設置されている土木建築構造物基材のコンクリート面に用いるときに特にその効果を発揮する。好適に用いられる土木建築構造物基材としては、現場打設のものだけでなく、工場やヤードで製作したプレキャストコンクリートの製品・部材等も含まれる。
本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例におけるモルタル供試体、塗工性の評価方法、塗工サンプルの作成方法、浸透深さの評価方法、残留物の除去性の評価方法、残留物除去後の基材表面の変色の評価方法、および表面撥水効果の評価方法は以下のとおりである。
(モルタル供試体)
JIS R5201に準じたJISモルタル(70×70×20mm)を供試体として用いた。
(塗工性の評価方法)
モルタル供試体の垂直面に対して吸水防止剤組成物を360g/mとなるように刷毛を用いて塗布し、塗布2時間後までに塗布した吸水防止剤組成物が液だれするかを観察した。
(塗工サンプルの作成方法)
塗工評価に用いるサンプルを、モルタル供試体の垂直面に対して吸水防止剤組成物を360g/mとなるように刷毛を用いて塗布し、塗布後3日間気乾養生(雰囲気:気温20℃、湿度60%)して作成し、評価を行った。
(浸透深さの評価方法)
塗工サンプルの浸透深さは、吸水防止剤組成物を塗布した面から垂直に割裂して、割裂面に水を散布し、水による塗れ色を示さなかった部分(疎水層)の長さを測定し、5ヵ所測定の平均値を浸透深さとした。
(残留物除去性の評価方法)
塗工サンプルの吸水防止剤塗布面をブラシで軽く5回こすり基材表面の残留物の付着状態を観察した。
(残留物除去後の基材表面の変色評価方法)
塗工サンプルの吸水防止剤塗布面をブラシで軽く5回こすり基材表面の残留物を除去した後、塗布面の変色を観察した。
(残留物除去後の基材表面の表面撥水効果の評価方法)
塗工サンプルの吸水防止剤塗布面をブラシで軽く5回こすり基材表面の残留物を除去した。塗布供試体を傾斜角45°で静置し吸水防止剤塗布表面にスポイトで水をかけ流した後、表面状態を観察した。
[実施例1]
ヘキシルトリエトキシシラン94重量部、親水性乾式シリカ(商品名;WACKER HDK N20、Wacker Chemie AG社製)6重量部をホモミキサーを用いて高速で撹拌混合して本発明の吸水防止剤組成物を得た。得られた吸水防止剤は透明の液状であった。組成、塗工性の評価、浸透性の評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価、および表面撥水効果の評価を表1に示す。
[実施例2]
ヘキシルトリエトキシシラン94重量部、疎水性乾式シリカ(商品名;WACKER HDK H30、Wacker Chemie AG社製)6重量部をホモミキサーを用いて、高速で撹拌混合して本発明の吸水防止剤組成物を得た。得られた吸水防止剤は半透明のペースト状であった。組成、塗工性の評価、浸透性の評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価、および表面撥水効果の評価を表1に示す。
[実施例3]
ヘキシルトリエトキシシラン93重量部、疎水性乾式シリカ(商品名;WACKER HDK H30、Wacker Chemie AG社製)4重量部及び25℃の粘度が10000mPa.sのアミノエチルアミノプロピル変性されたポリジメチルシロキサン(I)を3重量部ホモミキサーを用い、高速で撹拌混合し本発明の吸水防止剤組成物を得た。得られた吸水防止剤は半透明のペースト状であった。組成、塗工性の評価、浸透性の評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価、および表面撥水効果の評価を表1に示す。
[実施例4]
25℃の粘度が10000mPa.sのアミノエチルアミノプロピル変性されたポリジメチルシロキサンに替えて粘度1000mPa.sのアミノエチルアミノプロピル変性されたポリジメチルシロキサン(II)を用いる以外は実施例3と同様にして本発明の吸水防止剤組成物を得た。得られた吸水防止剤は半透明のペースト状であった。組成、塗工性の評価、浸透性の評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価、および表面撥水効果の評価を表1に示す。
[比較例1]
ヘキシルトリエトキシシラン100重量部を高速で撹拌混合した。得られた吸水防止剤組成物は透明の液状であった。組成、塗工性の評価、浸透性の評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価、および表面撥水効果の評価を表1に示す。
[比較例2]
ヘキシルトリエトキシシラン94重量部、モンモリロナイト
6重量部をホモミキサーを用いて、高速で撹拌混合し本発明の吸水防止剤を得た。得られた吸水防止剤組成物は灰白色の液状であった。組成、塗工性の評価、浸透性の評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価、および表面撥水効果の評価を表1に示す。
Figure 2009035704
本発明の吸水防止剤組成物は、土木建築構造物基材の垂直面に適用しても液だれせずほぼ全量が基材の内部に浸透し深い吸水防止層が形成される。また乾燥後、表面撥水性に優れ、水滴のぬれ跡が残らず、基材表面上の残留物が容易に除去でき、塗布後の汚損・変色が少ない。という効果があり、極めて有用である。

Claims (6)

  1. (A)アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物100重量部、および(B)シリカ0.5〜25重量部からなり、(A)が一般式(1)
    Si(OR4−X (1)
    [式中、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基または水素原子、Xは1または2の整数]で表わされる土木建築用吸水防止剤組成物。
  2. (B)シリカが乾式シリカである請求項1記載の吸水防止剤組成物。
  3. (B)シリカが疎水性乾式シリカである請求項1または2のいずれかに記載の吸水防止剤組成物。
  4. (C)シロキサンユニットの平均組成が式(2)
    SiO(4−a−b)/2 (2)
    [式中、Rは、O、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む基で置換され、ハロゲン原子で置換されていてもよい、同一または異なっていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、あるいはヒドロキシル基である。Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。aは0.001〜1.0、bは0.9〜2.4で、a+bは1.0〜2.5である。]であらわされるポリオルガノシロキサンを、(A)アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物100重量部に対して、0.1〜10重量部含有する請求項1ないし3のいずれかに記載の吸水防止剤組成物。
  5. (C)ポリオルガノシロキサンがアミノアルキル基を有するポリオルガノシロキサンである請求項1ないし4のいずれかに記載の吸水防止剤組成物。
  6. 土木建築用コンクリート構造物に使用される請求項1ないし5記載の吸水防止剤組成物。
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