JP2011101873A - 土木建築構造物の吸水防止方法 - Google Patents

土木建築構造物の吸水防止方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
シラン系吸水防止剤を土木建築構造物にローラー塗布する場合に、液だれが抑えられ、表面に均一に塗布され、浸透性および表面撥水性に優れ、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易な塗布方法を提供する。
【解決手段】
アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物、(B)シリカ、(C)変性シリコーン0.1〜10重量部とからなる土木建築用吸水防止剤組成物で、せん断速度4s−1における粘度が25℃で1,000〜60,000mPa・sであり、せん断速度1s−1における粘度とせん断速度4s−1における粘度との比が1.8〜4.0である組成物を用いてローラーで塗布する。
【選択図】なし

Description

本発明は、土木建築構造物基材に対し、優れた浸透性を有し、表面撥水性に優れ、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易な吸水防止剤の施工方法に関するものである。本発明は、特にローラーにより塗布する方法に関する。
建材表面を疎水性とし、建材内部への水の浸透を抑制するために、シラン化合物やポリシロキサンなどの有機ケイ素化合物を塗布することは従来から知られている。塗布する方法は、吹き付けやローラーによるが、吹き付けによる方法に比較して、ローラーは特別な装置を用いることなく、揮発性成分の揮発も少なく、簡便に塗布する方法として用いられている。対象となる建材はコンクリート、モルタル、軽量気泡コンクリート、レンガなどの無機の多孔質建材であり、上記化合物を塗布することにより、上記化合物が多孔質建材の細孔に浸透して表層を疎水化することにより、これら建材の劣化・老朽化が抑制される。更に撥水性も付与されることで埃の付着、カビの発生が抑制され汚れを付きにくくするという効果もある。特に土木建築構造物基材に使用されるコンクリートに塗布した場合、コンクリート表面の細孔から基材に浸透して細孔の内面に吸水防止層を形成するため、細孔を遮蔽することなく水蒸気の通気性が維持されることにより、建材内の水分の蒸発を妨げず、かつ、水分の浸透を防止することによって中性化の進行による鉄筋のさび・膨張による剥離などの劣化を抑制する効果がある。
このようなケイ素化合物として、例えば、特許文献1には、乳化剤を用いてアルキルアルコキシシランを水に分散させたエマルジョンが開示されている。このエマルジョンはコンクリートに浸透するものの、その浸透の速度は十分なものではなく、塗布したコンクリート表面付近のシランが大気中に揮発しやすいものであった。このため、コンクリート内部に深く浸透した吸水防止層が形成されず、また表面の撥水性に劣るため、数回に分けエマルジョンを塗り重ねる必要がある。
一方、特許文献2には、アルキルアルコキシシランとシリカとからなる組成物、または、更に変性シリコーンを加えた組成物を用いることが開示されている。この方法は、エマルジョン系の組成物を土木建築構造物に対して用いた場合の問題点が解決されており、一度塗りによっても優れた浸透性を有し、表面撥水性に優れ、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易な吸水防止剤組成物となるものである。しかしながら、この組成物をローラーを用いて塗布する場合には、組成物の流動特性によっては、土木構造物のようなより緻密なコンクリートの水平面以外の場所に塗布した場合にはその効果を十分に発揮できない場合があった。ローラー塗布する場合に、ローラーからたれ落ちたり、塗布した後に浸透する前に液だれが発生する場合があり、コンクリートの表面の処理が不均一で、疎水化が斑になる場合があったためである。土木構造物にこれら組成物を適用する場合には、表面に対して均一に一定量を塗布することにより、その効果を発揮できるものであるが、液だれがある場合には、均一な塗布が困難となる場合もあったのである。
特開昭62−197369号公報 特開2009−35704号公報
本発明の課題は、アルキルアルコキシシラン、シリカおよび変性シリコーンとからなる吸水防止剤を土木建築構造物にローラーにより塗布する場合に、液だれが抑えられ、表面に均一に塗布されることにより、優れた浸透性を有し、表面撥水性に優れる、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易なローラー塗布方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために、吸水防止剤の各成分の構造、組成、更に流動特性について鋭意研究を重ねた結果、特定のアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物とシリカ、特定の変性シリコーンとからなる吸水防止剤であって特定の流動特性を有するものを用いてローラー塗布することにより課題が解決されることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち本発明は、
[1](A)アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物100重量部、および(B)シリカ0.5〜25重量部、(C)変性シリコーン0.1〜10重量部とからなる土木建築用吸水防止剤組成物をローラーで塗布する方法において、
(A)アルキルアルコキシシランが、一般式(1)で表され、
Si(OR4−X (1)
[式中、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基または水素原子、Xは1または2の整数]
(C)変性シリコーンが、シロキサンユニットの平均組成が式(2)で表され、
SiO(4−a−b)/2 (2)
[式中、Rは、O、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む基で置換され、ハロゲン原子で置換されていてもよい、同一または異なっていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、あるいはヒドロキシル基である。Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。aは0.001〜1.0、bは0.9〜2.4で、a+bは1.0〜2.5である。]
吸水防止剤組成物の、平板型コーンプレート粘度計によるせん断速度4s−1における粘度が25℃で1,000〜60,000mPa・sであり、25℃でせん断速度1s−1における粘度とせん断速度4s−1における粘度との比であるチキソトロピーインデックスが1.8〜4.0である組成物を用いることを特徴とする方法。
[2](B)シリカが乾式シリカである[1]記載の吸水防止剤組成物。
[3]一般式(2)のRが、一般式(3)
−R−O−(R−O)−R (3)
[式中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、nは0〜100の整数]
で表される基を有する変性シリコーンである[1]または[2]に記載の方法。
[4]セメント/水比が0.5以上である土木建築用コンクリート構造物に使用される[1]ないし[3]記載の方法。
本発明の塗布方法を用いることにより、土木建築構造物の垂直面に適用しても液だれが抑えられ、優れた浸透性を有し、表面に撥水性を付与し、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易であるという効果を奏する。
以下、本願発明について具体的に説明する。本発明に用いる組成物の(A)成分であるアルキルアルコキシシランおよびまたはその縮合物に用いるアルキルアルコキシシランは、一般式(1)で表わされるものである。
Si(OR4−X (1)
式(1)中のRは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基または水素原子、Xは1または2の整数である。式(1)中のRの例は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等であって、これらの一種または2種以上であってもよい。これらのアルキル基の中では、炭素数6ないし10のアルキル基が好ましい。
式(1)中のRの例は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基のようなアルキル基であり、分子中で同一または異なっていてもよい。これらのなかでも好ましいRは炭素数1または2のアルキル基である。反応性の点から、Xは好ましくは1であって、アルキルトリアルコキシシランであることが好ましい。
このようなアルキルアルコキシシランの具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリメトキシシラン、ウンデシルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリメトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリメトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリメトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、オクチルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン等があげられる。
中でも、式(1)中のRで示されるアルキル基の炭素数が6以上のヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランが好適に用いられる。これらのアルキルアルコキシシランは単独で、または混合物として用いることができ、更に部分縮合物またはこれらの混合物として用いることもできる。
本発明に用いる組成物中、(B)成分のシリカは、ローラー塗布に好適な組成物の流動特性にかかわる重要な成分である。(B)成分のシリカは、当業者には公知の方法により製造された各種のものを使用することができる。シリカとして、例えばケイ酸ソーダと鉱酸をアルカリ側で反応させろ過しやすいシリカを析出させる沈降法により合成される湿式シリカ、気化させた四塩化ケイ素と水素を混合させたものを1000〜1200℃以上にて空気中で燃焼させ10nm程度の非常に微細な粒子を得る燃焼法により合成される乾式シリカ、乾式シリカを疎水化表面処理剤および水蒸気を不活性のキャリアーガスとともに約400℃に加熱し、乾式シリカ表面の親水性であるシラノール基と疎水化表面処理剤を反応させ合成される疎水性乾式シリカ等があげられる。疎水化表面処理剤としてはオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等があげられる。本発明において、シリカは乾式シリカであることが好ましく、特に疎水性乾式シリカが好適に用いられる。これらのシリカは1種単独でも2種以上併用してもよい。
(B)成分は(A)成分100重量部に対して0.5〜25重量部であることが必要であり、好ましくは2〜10重量部である。0.5重量部未満では、シリカ添加の効果が十分でないため液だれすることにより、十分な深さの吸水防止層が形成されず、表面撥水性に劣る。また25重量部より多くすると、吸水防止剤組成物の粘度が高すぎて塗布の作業性が劣り、また基材表面に多量の残留物が固着する欠点が生じる。
本発明に用いる組成物中の(C)成分は、極性基を有するポリオルガノシロキサンであって、組成物の流動特性を制御する重要な成分である。極性基を有するポリオルガノシロキサンは、(B)成分の量を減少させても、本発明の目的とする好適な粘度およびチキソトロピー性を有する組成物とすることができる。(B)成分は本発明の組成物を土木建築構造物に適用した後に表面に残留するが、(C)成分を用いることで(B)成分の使用量を減少させることができるために、結果として(B)成分の残留量を減少させることができ、この残留物の除去も容易になるという効果も奏する。
本発明の(C)成分である極性基を有するポリオルガノシロキサンは、そのシロキサンユニットの平均組成が、一般式(2)
SiO(4−a−b)/2 (2)
で表されるポリオルガノポリシロキサンである。
式(2)中のRは、O、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む基で置換され、ハロゲン原子で置換されていてもよい、同一または異なっていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、あるいはヒドロキシル基である。aは0.001〜1.0、bは0.9〜2.4で、a+bは1.0〜2.5である。(C)成分は、(A)成分のアルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物100重量部に対して、0.1〜10重量部用いることができる。(C)成分のポリオルガノシロキサンは、変性シリコーンと称されるものであって、当業者には公知の方法により製造することができる。(C)成分のポリオルガノシロキサンは、直鎖状でも分岐状であっても良いが、組成物の流動特性を好ましいものとする上では、好ましくは直鎖状のものである。
の例としては、極性基を構造中に含有する炭化水素基が挙げられる。Rを構成するO、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む極性基の例としては、メチルアクリレート基、アクリレート基、エポキシ基(グリシジル基)、アミノ基、アミノアルキル基、ヒドロキシアミノ基、カルボニル基、ジカルボニル基、酸無水物基、アルデヒド基、イソシアネート基、メルカプト基、アルキルメルカプト基、ポリオキシアルキレン基、ホルムアミド基、アセトアミド基、シアノ基、アミド基、イミド基、水酸基、オキサゾリン基等をあげることができる。これら極性基が結合したRの骨格となる炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基などのアラルキル基;これらの炭化水素基中の水素原子の一部がハロゲン原子によって置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジブロモフェニル基、テトラクロロフェニル基、ジフルオロフェニル基などのハロゲン置換炭化水素基等が挙げられる。Rは分子中で同一であっても、異なっていてもよい。
極性基を有する炭化水素基であるRの全体を例示すれば、ヒドロキシル基、ヒドロキシプロピル基、アミノプロピル基、N−アミノエチル−アミノプロピル基、メルカプトプロピル基、メチルアクリレートプロピル基、ポリオキシエチレンプロピル基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンプロピル基等である。
式(2)中のRは、炭素数1〜10の炭化水素基である。Rの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などのアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基などのシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基などのアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、メチルベンジル基などのアラルキル基;これらの炭化水素基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子によって置換されたクロロメチル基、2−ブロモエチル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、クロロフェニル基、ジブロモフェニル基、テトラクロロフェニル基、ジフルオロフェニル基などのハロゲン置換炭化水素基等が挙げられる。Rの好ましい例は、メチル基である。
本発明の極性基を有するポリオルガノシロキサンは、当業者には公知の方法により製造することができ、好ましくは25℃における粘度が1,000〜100,000mPa.sのものである。粘度1,000mPa.s未満では、土木建築構造物の垂直面に適用した場合に組成物の液だれ防止効果が不十分であり、また粘度が100,000mPa.sより大きい場合、吸水防止剤組成物の粘度が高すぎて塗布の作業性が劣り、また基材表面に付着し汚損する欠点が生じる。
本発明のローラー塗布方法に用いる、(A)〜(C)成分からなる吸水防止剤組成物は、平板型コーンプレート粘度計により測定される流動特性が、せん断速度4s−1における粘度が25℃で1,000〜60,000mPa・sであり、25℃でせん断速度1s−1における粘度とせん断速度4s−1における粘度との比であるチキソトロピーインデックス(せん断速度1s−1における粘度/せん断速度4s−1における粘度)が1.8〜4.0であることを必要とする。粘度が1,000mPa・s以下であると液だれが発生し、粘度が60,000mPa・s以上であると、ローラーで均一に塗り伸ばしすることが困難となり好ましくない。チキソトロピーインデックスは組成物のチキソトロピー性を示すもので、チキソトロピーインデックスが1.8以下であるとローラーからのたれ落ちや塗布後の液だれが発生し、好ましくない。チキソトロピーインデックスが4.0以上であると、ローラーからのたれ落ちや塗布面からの液だれは発生しないものの、ローラーで均一に塗り伸ばしすることが困難で、時間を要することとなり好ましくない。本発明に用いる組成物の主成分であるアルキルアルコキシシラン自体は、土木建築構造物に対する浸透性と浸透速度に優れるものであり、厚塗りされた部分ではアルキルアルコキシシランがすみやかに浸透して、厚塗り部分に残留する組成物の粘度およびチキソトロピーインデックスは更に上昇することとなる。塗布後の早い段階で均一な塗り伸ばしができないと、基材上に残留するアルキルアルコキシシランが不均一となり、結果として均一な塗布が困難となるのである。好ましくは、組成物の粘度は、25℃で1,500〜20,000mPa・s、チキソトロピーインデックスは、2.0〜3.5である。
本発明に用いる組成物の流動特性、特にチキソトロピー性を制御する上では、(C)成分としては一般式(2)におけるRが一般式(3)で表されものを用いることが好ましい。
−R−O−(R−O)−R (3)
式中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、nは0〜100の整数である。式(2)のRが式(3)で表されるポリオルガノシロキサンは、一般にカルビノール変性シリコーンと称されるものであり、(B)成分のシリカとの親和性から、組成物に対してチキソトロピー性を付与するという効果を有し、組成物全体のチキソトロピー性の制御が容易となる。また、カルビノール変性シリコーンを用いることにより、組成物中で(B)成分の使用量を減少させることができ、結果として土木建築構造物に浸透せず表面に残留する成分である(B)成分の残留量を低減させることができる。
一般式(3)におけるRの具体的な例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基をあげることができ、好ましくはプロピレン基である。Rの具体的な例としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基であり、これらの混合物であってもよい。Rのアルキル基としては、R1として例示したものの中の炭素数1〜6のものをあげることができる。nは0〜100の整数であって、好ましくは、0〜40である。
一般式(3)で表される基を有する(C)成分のポリオルガノシロキサンは、直鎖状であることが好ましく、一般式(3)で表されるRの結合位置は、主鎖中でも末端でもよく、その個数に限定はないが、両末端に少なくとも1個は結合していることが好ましい。一般式(3)で表される基を有する(C)成分の好ましい例は、式(4)で示されるような、主鎖がジメチルシロキシ基からなり、両末端のシリル基が一般式(3)で示される基を有し、残余がメチル基であるものである。
一般式(4)でMeはメチル基を表し、最も好ましくは、Rがプロピレン基、Rがエチレン基、またはエチレン基とプロピレン基との混合であり、Rが水素原子であって、mは10〜1,000、nが3〜20のものである。
本発明に用いる吸水防止剤組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で殺カビ剤、殺菌剤、殺藻剤、殺微生物剤、香料、防食剤、紫外線吸収剤、光触媒及び消泡剤等を副次的に添加することができる。
本発明に用いる吸水防止剤組成物は、室温下、ホモミキサー、ウルトラディスパーザー、高圧ホモジナイザーなどの攪拌機を用いて、攪拌混合することにより製造することができる。
本発明において、塗布に用いるローラーとして、塗装用に市販されている各種のローラーを用いることができ、特に限定はない。ローラーで塗布する前には、吸水防止剤組成物をいったん棒または櫂のようなもので攪拌することが好ましい。組成物を保存している間に、(B)成分のシリカが沈降しないまでも、上部と下部とで濃度が異なるものとなってくるためである。本発明による吸水防止剤組成物の塗布量は400g/m以下、100g/m以上である。一度の塗装で所要量を塗布することが可能だが、重ね塗りすることもできる。塗布後は、室温下に放置して乾燥させても良いし、天日乾燥、加熱乾燥によっても良い。
本発明方法は、土木建築構造物基材、特にコンクリート、モルタル、軽量気泡コンクリート、レンガなどのような無機の多孔質建材に対して適用されるが、特に緻密なコンクリートに対して用いるときに、この浸透性の高さが特に発揮される。コンクリートの緻密さは、水セメント比で表わすことができ、水/セメントの重量比が0.5以下であるような緻密なコンクリートは、土木構造物に用いられているものである。本発明で用いる組成物は、このような土木構造物コンクリートへの浸透性に優れるが、クリーム状で垂直面へ塗布しても流れ落ちることがないという有利さとあいまって、すでに設置されている土木構造物のコンクリート面に用いるときに特にその効果を発揮する。
本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例におけるモルタル供試体、粘度測定方法、塗工性の評価方法、浸透深さの評価方法、残留物の付着状態(除去前)評価方法、残留物の除去性の評価方法、残留物除去後の基材表面の変色の評価方法および表面撥水効果の評価方法は以下のとおりである。
(モルタル供試体)
JIS R5201に準じたJISモルタル(70×70×20mm)を供試体として用いた。
(粘度測定方法)
塗工評価に用いる吸水防止剤組成物サンプルの粘度を、ウエルズ−ブルックフィールド・コーン/プレート粘度計、型式DV−II+Proを用いて、せん断速度を1s−1または4s−1として、25℃で、測定開始1分後の値を読取った。
(塗工性の評価方法)
モルタル供試体の垂直面に対して吸水防止剤組成物を360g/mとなるように、市販の塗装用中毛ローラーを用い、ローラーからの液だれ、塗布2時間後までに塗布した吸水防止剤組成物が液だれするかを観察した。
(浸透深さの評価方法)
塗工サンプルの浸透深さは、吸水防止剤組成物を塗布した面から垂直に割裂して、割裂面に水を散布し、水による塗れ色を示さなかった部分(疎水層)の長さを測定し、5ヵ所測定の平均値を浸透深さとした。
(残留物の付着状態(除去前)評価方法)
塗布後、表面が乾燥した状態で、塗布が均一に行われたかの指標として、付着物が均一に付着しているか、ムラがあるかを観察した。
(残留物除去性の評価方法)
塗工サンプルの吸水防止剤塗布面をブラシで軽く5回こすり基材表面の残留物の付着状態を観察した。
(残留物除去後の基材表面の変色評価方法)
塗工サンプルの吸水防止剤塗布面をブラシで軽く5回こすり基材表面の残留物を除去した後、塗布面の変色を観察した。
(残留物除去後の基材表面の表面撥水効果の評価方法)
塗工サンプルの吸水防止剤塗布面をブラシで軽く5回こすり基材表面の残留物を除去した。塗布供試体を傾斜角45°で静置し吸水防止剤塗布表面にスポイトで水をかけ流した後、表面状態を観察した。
[実施例1]
イソオクチルトリエトキシシラン92重量部、疎水性乾式シリカ(商品名;WACKER HDK H30、Wacker Chemie AG社製)5重量部およびカルビノール変性ポリジメチルシロキサン(両末端にポリオキシエチレンプロピル基を有するポリジメチルシロキサンで、シロキサンの平均重合度は15、ポリオキシエチレン部分の平均重合度は20)3重量部を、高速で撹拌混合して本発明の吸水防止剤組成物を得た。得られた吸水防止剤組成物は、半透明のペースト状で、せん断速度4s−1の粘度が、2,000mPa・s、せん断速度1s−1の粘度が5,300mPa・sであった。吸水防止剤組成物をモルタル供試体にローラーを用いて塗布し、塗工性の評価、浸透深さの評価、残留物の付着状態(除去前)評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価および表面撥水効果の評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例1]
せん断速度4s−1およびせん断速度1s−1の粘度が1mPa・sであるイソオクチルトリエトキシシランのみを用いて、モルタル供試体にローラーを用いて塗布し、塗工性の評価、浸透深さの評価、残留物の付着状態(除去前)評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価および表面撥水効果の評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例2]
イソオクチルトリエトキシシラン94重量部およびモンモリロナイト6重量部をホモミキサーを用いて、高速で撹拌混合して組成物を得た。得られた組成物は、淡褐色液状であり、せん断速度4s−1およびせん断速度1s−1の粘度は共に1mPa・sであった。、組成物をモルタル供試体にローラーを用いて塗布し、塗工性の評価、浸透深さの評価、残留物の付着状態(除去前)評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価および表面撥水効果の評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例3]
イソオクチルトリエトキシシラン93重量部、疎水性乾式シリカ4重量部、カルビノール変性ポリジメチルシロキサン3重量部を用いた以外は実施例1と同様にして組成物を得た。得られた組成物は、半透明のペースト状で、せん断速度4s−1の粘度が110mPa・s、せん断速度1s−1の粘度が180mPa・sであった。組成物をモルタル供試体にローラーを用いて塗布し、塗工性の評価、浸透深さの評価、残留物の付着状態(除去前)評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価および表面撥水効果の評価を行い、結果を表1に示した。
[比較例4]
比較例2のモンモリナイトに代えて、親水性乾式シリカ(商品名;WACKER HDK N20、Wacker Chemie AG社製)を用いた以外は比較例2と同様にして組成物を得た。得られた組成物は、半透明で、せん断速度4s−1の粘度が5,4000mPa・s、せん断速度1s−1の粘度が230,000mPa・sであった。組成物をモルタル供試体にローラーを用いて塗布し、塗工性の評価、浸透深さの評価、残留物の付着状態(除去前)評価、残留物の除去性の評価、残留物除去後の基材表面の変色の評価および表面撥水効果の評価を行い、結果を表1に示した。
本発明の塗布方法を用いることにより、土木建築構造物の垂直面に適用しても液だれが抑えられ、優れた浸透性を有し、表面に撥水性を付与し、乾燥後基材表面上の残留物の除去が容易であるという効果を奏し、特に緻密なコンクリートの吸水防止に有用である。

Claims (4)

  1. (A)アルキルアルコキシシランおよび/またはその縮合物100重量部、および(B)シリカ0.5〜25重量部、(C)変性シリコーン0.1〜10重量部とからなる土木建築用吸水防止剤組成物をローラーで塗布する方法において、
    (A)アルキルアルコキシシランが、一般式(1)で表され、
    Si(OR4−X (1)
    [式中、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜6のアルキル基または水素原子、Xは1または2の整数]
    (C)変性シリコーンが、シロキサンユニットの平均組成が式(2)で表され、
    SiO(4−a−b)/2 (2)
    [式中、Rは、O、N、SまたはP原子のいずれか一種以上を含む基で置換され、ハロゲン原子で置換されていてもよい、同一または異なっていてもよい炭素数1〜20の1価の炭化水素基、あるいはヒドロキシル基である。Rは同一または異なっていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基である。aは0.001〜1.0、bは0.9〜2.4で、a+bは1.0〜2.5である。]、
    吸水防止剤組成物の、平板型コーンプレート粘度計によるせん断速度4s−1における粘度が25℃で1,000〜60,000mPa・sであり、25℃でせん断速度1s−1における粘度とせん断速度4s−1における粘度との比であるチキソトロピーインデックスが1.8〜4.0である組成物を用いることを特徴とする方法。
  2. (B)シリカが乾式シリカである請求項1記載の吸水防止剤組成物。
  3. 一般式(2)のRが、一般式(3)
    −R−O−(R−O)−R (3)
    [式中、Rは炭素数1〜6のアルキレン基、Rは炭素数2〜4のアルキレン基、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基、nは0〜100の整数]
    で表される基を有する変性シリコーンである請求項1または2に記載の方法。
  4. セメント/水比が0.5以上である土木建築用コンクリート構造物に使用される請求項1ないし3記載の方法。
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