JP2009030728A - 摩擦伝動ベルト及びそれを用いた自動車の補機駆動ベルト伝動装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】摩擦伝動ベルトBは、ゴム製のベルト本体10の少なくともプーリ接触部分13表面に露出するように短繊維14及びカーボンブラック18が分散して配されている。短繊維14は、JIS L 1013に準じて測定される初期引張抵抗度が100cN/dtex以上である主鎖に芳香族を含まないポリマーで形成された高弾性短繊維を含み、且つ、カーボンブラック18は、JIS K 6217−1に準じて測定されるよう素吸着量が40g/Kg以下、及び/又は、JIS K 6217−2に準じて測定される窒素吸着比表面積が40m2/g以下である大粒径カーボンブラックを含む。
【選択図】図1
Description
上記短繊維は、JIS L 1013に準じて測定される初期引張抵抗度が100cN/dtex以上である主鎖に芳香族を含まないポリマーで形成された高弾性短繊維を含み、かつ、
上記カーボンブラックは、JIS K 6217−1に準じて測定されるよう素吸着量が40g/Kg以下、及び/又は、JIS K 6217−2に準じて測定される窒素吸着比表面積が40m2/g以下である大粒径カーボンブラックを含む。
上記Vリブドベルトは、ベルト内周側に、各々、ベルト長さ方向に延びる複数のVリブがベルト幅方向に並設されたゴム製のVリブドベルトを有すると共に、該Vリブドベルト本体の少なくともプーリ接触部分表面に露出するように短繊維及びカーボンブラックが分散して配されており、
上記短繊維は、JIS L 1013に準じて測定される初期引張抵抗度が100cN/dtex以上である主鎖に芳香族を含まないポリマーで形成された高弾性短繊維を含み、且つ、
上記カーボンブラックは、JIS K 6217−1に準じて測定されるよう素吸着量が40g/Kg以下、及び/又は、JIS K 6217−2に準じて測定される窒素吸着比表面積が40m2/g以下である大粒径カーボンブラックを含む。
試験評価用のVリブドベルトの圧縮ゴムを形成するゴム組成物として以下の基本配合1〜10を用いた。配合の詳細は表1にも示す。
ゴム成分をEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマーゴム)(1)(JSR社製 商品名:EP43)とし、そのゴム成分100質量部に対して、パラフィン系オイル(日本サン石油社製 商品名:サンパー2280)15質量部、酸化亜鉛(堺化学工業社製 商品名:亜鉛華3種)5質量部、ステアリン酸(新日本理化社製 商品名:ステアリン酸50S)1質量部、老化防止剤(1)(大内新興化学社製 商品名:ノクラック224)0.5質量部、老化防止剤(2)(大内新興化学社製 商品名:ノクラックMB)1.5質量部、有機過酸化物(日本油脂社製 商品名:パークミルD−40)8質量部、及び硫黄(鶴見化学工業社製 商品名:オイル硫黄)0.2質量部を配合すると共に、所定のカーボンブラック及び短繊維のそれぞれを所定量配合するゴム配合を基本配合1とした。
ゴム成分をEPDM(2)(JSR社製 商品名:EP24)とし、そのゴム成分100質量部に対して、パラフィン系オイル15質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、老化防止剤(1)2質量部、硫黄2質量部、及び加硫促進剤(1)(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーMSA)4質量部を配合すると共に、所定のカーボンブラック及び短繊維のそれぞれを所定量配合するゴム配合を基本配合2とした。
ゴム成分をEOM(エチレンオクテンモノマーゴム)(The Dow Chemical Company社製 商品名:Engage8180)とし、そのゴム成分100質量部に対して、パラフィン系オイル15質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、老化防止剤(1)0.5質量部、老化防止剤(2)1.5質量部、有機過酸化物8質量部、及び硫黄0.2質量部を配合すると共に、所定のカーボンブラック及び短繊維のそれぞれを所定量配合するゴム配合を基本配合3とした。
ゴム成分をEBM(エチレンブテンモノマーゴム)(The Dow Chemical Company社製 商品名:Engage7447)とし、そのゴム成分100質量部に対して、パラフィン系オイル15質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、老化防止剤(1)0.5質量部、老化防止剤(2)1.5質量部、有機過酸化物8質量部、及び硫黄0.2質量部を配合すると共に、所定のカーボンブラック及び短繊維のそれぞれを所定量配合するゴム配合を基本配合4とした。
ゴム成分をNR(天然ゴム)(Thai Thevee Rubber社製 商品名:RSS3)とし、そのゴム成分100質量部に対して、アロマ系オイル(神戸油化学工業社製 商品名:アロマックスBK)10質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、老化防止剤(1)1質量部、硫黄0.5質量部、加硫促進剤(2)(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーTT)0.5質量部、及び、加硫促進剤(3)(大内新興化学社製 商品名:ノクセラーD)1.5質量部を配合すると共に、所定のカーボンブラック及び短繊維のそれぞれを所定量配合するゴム配合を基本配合5とした。
ゴム成分をBR(ブタジエンゴム)(JSR社製 商品名:BR01)とし、そのゴム成分100質量部に対して、アロマ系オイル10質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、老化防止剤(1)1質量部、硫黄0.5質量部、加硫促進剤(2)0.5質量部、及び加硫促進剤(3)1.5質量部を配合すると共に、所定のカーボンブラック及び短繊維のそれぞれを所定量配合するゴム配合を基本配合6とした。
ゴム成分をCR(クロロプレンゴム)(昭和ネオプレン社製 商品名:ショウプレンGS)とし、そのゴム成分100質量部に対して、アロマ系オイル5質量部、酸化亜鉛5質量部、酸化マグネシウム(協和化学工業社製 商品名:キョウマグ150)4質量部、及びステアリン酸1質量部を配合すると共に、所定のカーボンブラック及び短繊維のそれぞれを所定量配合するゴム配合を基本配合7とした。
ゴム成分をACSM(アルキル化クロロスルホン化ポリエチレンゴム)(東ソー社製 商品名:エクストスET−8010)とし、そのゴム成分100質量部に対して、可塑剤(旭電化工業社製 商品名:アデカサイザーRS107)10質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、及び有機過酸化物8質量部を配合すると共に、所定のカーボンブラック及び短繊維のそれぞれを所定量配合するゴム配合を基本配合8とした。
ゴム成分をNBR(ニトリルゴム)(日本ゼオン社製 商品名:Nipol1041)とし、そのゴム成分100質量部に対して、可塑剤10質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、老化防止剤(1)1.5質量部、硫黄0.5質量部、加硫促進剤(2)0.5質量部、及び加硫促進剤(3)1.5質量部を配合すると共に、所定のカーボンブラック及び短繊維のそれぞれを所定量配合するゴム配合を基本配合9とした。
ゴム成分をH−NBR(水素化ニトリルゴム)(日本ゼオン社製 商品名:Zetpol2020)とし、そのゴム成分100質量部に対して、可塑剤10質量部、酸化亜鉛5質量部、ステアリン酸1質量部、及び有機過酸化物8質量部を配合すると共に、所定のカーボンブラック及び短繊維のそれぞれを所定量配合するゴム配合を基本配合10とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF(東海カーボン社 商品名:シーストV よう素吸着量26g/Kg及び窒素吸着比表面積27m2/g 平均粒子径62nm)60質量部、及び、短繊維としてビニロン短繊維(ユニチカ社製 商品名:HM1 初期引張抵抗度215cN/dtex 繊維長1mm 主鎖芳香族:無し)10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを実施例1とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックSRF(東海カーボン社 商品名:シーストS、よう素吸着量26g/Kg及び窒素吸着比表面積27m2/g、平均粒子径66nm)65質量部、及び、短繊維としてビニロン短繊維10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを実施例2とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックMT(Degussa Engineered Carbons, LP社製 商品名:N−990、よう素吸着量8.7g/Kg)80質量部、及び、短繊維としてビニロン短繊維10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを実施例3とした。
ビニロン短繊維の配合量を18質量部として混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例4とした。
ビニロン短繊維の配合量を16質量部とし、さらにナイロン短繊維(旭化成社製 商品名:レオナ66 初期引張抵抗度44cN/dtex 繊維長1mm 主鎖芳香族:無し)4質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したことを除いて実施例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例5とした。
ビニロン短繊維の配合量を10質量部及びナイロン短繊維の配合量を16質量部として混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したことを除いて実施例5と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例6とした。
さらに超高分子量ポリエチレンパウダー(三井化学社製 商品名:ハイゼックスミリオン240S)10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したことを除いて実施例6と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを実施例7とした。
上記基本配合2〜10のそれぞれにおいて、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF60質量部、並びに、短繊維としてビニロン短繊維10質量部及びナイロン短繊維16質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これらを実施例8〜16とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF60質量部、及び、短繊維としてポリアセタール繊維(旭化成社製 商品名:テナックSD 初期引張抵抗度141cN/dtex 繊維長1mm 主鎖芳香族:無し)10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを実施例17とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF60質量部、及び、短繊維としてポリプロピレン繊維(1)(宇部日東化成社製 商品名:シムテックスHM 初期引張抵抗度100〜140cN/dtex 繊維長1mm 主鎖芳香族:無し)10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを実施例18とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックFEF(東海カーボン社 商品名:シーストSO、よう素吸着量44g/Kg及び窒素吸着比表面積42m2/g、平均粒子径43nm)50質量部、及び、短繊維としてビニロン短繊維18質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例1とした。なお、これは特許文献3の仕様である。
ビニロン短繊維の配合量を16質量部とし、さらにナイロン短繊維4質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したことを除いて比較例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例2とした。なお、これも特許文献3の仕様である。
ビニロン短繊維の配合量を10質量部及びナイロン短繊維の配合量を16質量部として混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したことを除いて比較例1と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例3とした。なお、これも特許文献3の仕様である。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックHAF(東海カーボン社 商品名:シースト3 よう素吸着量80g/Kg及び窒素吸着比表面積79m2/g 平均粒子径28nm)20質量部及びカーボンブラックGPF55質量部、並びに、短繊維としてナイロン短繊維25質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例4とした。なお、これは特許文献1と同等の仕様である。
カーボンブラックHAFの配合量を60質量部及びカーボンブラックGPFの配合量を15質量部として混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したことを除いて比較例4と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例5とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックISAF(東海カーボン社 商品名:シースト6 よう素吸着量121g/Kg及び窒素吸着比表面積119m2/g 平均粒子径22nm)20質量部及びカーボンブラックGPF50質量部、並びに、短繊維としてナイロン短繊維25質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例6とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
カーボンブラックISAFの配合量を55質量部及びカーボンブラックGPFの配合量を15質量部として混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したことを除いて比較例6と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例7とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックISAF20質量部及びカーボンブラックSRF50質量部、並びに、短繊維としてナイロン短繊維25質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例8とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
カーボンブラックISAFの配合量を50質量部及びカーボンブラックSRFの配合量を15質量部として混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したことを除いて比較例8と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例9とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックHAF20質量部及びカーボンブラックSRF55質量部、並びに、短繊維としてナイロン短繊維25質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例10とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
カーボンブラックHAFの配合量を60質量部及びカーボンブラックSRFの配合量を15質量部として混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したことを除いて比較例10と同一構成のVリブドベルトを作製し、これを比較例11とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックHAF45質量部及びカーボンブラックGPF30質量部、並びに、短繊維としてナイロン短繊維25質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例12とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF60質量部、及び、短繊維としてナイロン短繊維25質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例13とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックHAF15質量部及びカーボンブラックGPF60質量部、並びに、短繊維としてナイロン短繊維25質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例14とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF55質量部及びカーボンブラックSRF15質量部、並びに、短繊維としてナイロン短繊維25質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例15とした。なお、これも特許文献1の仕様である。
上記基本配合2〜10のそれぞれにおいて、カーボンブラックとしてカーボンブラックFEF50質量部、並びに、短繊維としてビニロン短繊維10質量部及びナイロン短繊維16質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これらを比較例16〜24とした。
上記基本配合2〜10のそれぞれにおいて、カーボンブラックとしてカーボンブラックHAF20質量部及びカーボンブラックGPF55質量部、並びに、短繊維としてナイロン短繊維25質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これらを比較例25〜33とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF60質量部、及び、短繊維としてナイロン短繊維10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例34とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF60質量部、及び、短繊維としてポリプロピレン繊維(2)(宇部日東化成社製 商品名:シムテックスHT 初期引張抵抗度65〜100cN/dtex 繊維長1mm 主鎖芳香族:無し)10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例35とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF60質量部、及び、短繊維として綿(橋本株式会社製 商品名:デニムチョッパー5 初期引張抵抗度60〜82cN/dtex 繊維長5mm 主鎖芳香族:無し)10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例36とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF60質量部、及び、短繊維としてp−アラミド短繊維(帝人社製 商品名:テクノーラ 初期引張抵抗度520cN/dtex 繊維長1mm 主鎖芳香族:有り)10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例37とした。
上記基本配合1において、カーボンブラックとしてカーボンブラックGPF60質量部、及び、短繊維としてm−アラミド短繊維(帝人社製 商品名:コーネックス 初期引張抵抗度64cN/dtex 繊維長1mm 主鎖芳香族:有り)10質量部を配合して混練した未架橋ゴム組成物から圧縮ゴム層を形成したVリブドベルトを作製し、これを比較例38とした。
図7は、試験評価に用いたベルト走行試験機70のプーリのレイアウトを示す。
実施例1〜18及び比較例1〜38のそれぞれについて、上記ベルト走行試験機70にセットし、第1アイドラプーリ74との間のミスアライメント量が0.00°となるように第3従動リブプーリ75を調整し、その状態で第1従動プーリ71に300N(1Vリブ当たり50N)のデッドウェイトを負荷し、雰囲気温度5℃の下、駆動リブプーリを1500rpmで回転させて時計回りにベルト走行させた。このとき、第1従動プーリ71、第2従動プーリ72及び第3従動プーリ75のいずれにも負荷トルクを付与しなかった。
実施例1〜7、実施例17〜18、比較例1〜15及び比較例34〜38のそれぞれについて、上記ベルト走行試験機70にセットし、第1アイドラプーリ74との間のミスアライメント量が2.00°となるように第3従動リブプーリ75を手前側にオフセットしてプーリずれによるミスアライメントを生じさせ、雰囲気温度5℃の下、駆動リブプーリを1500rpmで回転させて、上記評価基準における異音が発生するまで時計回りにベルト走行させた(ただし、比較例1は試験開始直後から異音が発生したため、ベルト走行を行っていない。)。このとき、第1従動プーリ71、第2従動プーリ72及び第3従動プーリ75のいずれにも負荷トルクを付与しなかった。そして、その異音が発生するまでのベルト走行時間を異音発生走行時間とした。なお、ベルト走行時間が300時間を越えたときには、そこで試験を打ち切った。
実施例1〜7及び比較例1〜15のそれぞれについて、圧縮ゴム層表面の摩擦係数及びベルト質量を測定した後、上記ベルト走行試験機70にセットし、第1アイドラプーリ74との間のミスアライメント量が0.00°となるように第3従動リブプーリ75を調整し、第1従動プーリ71には300N(1リブあたり50N)のデッドウェイトを負荷し、第3従動プーリ75には1リブあたり5Nmの負荷トルクを付与した状態で、雰囲気温度80℃の下、駆動リブプーリを4500rpmで回転させて50時間時計回りにベルト走行させた。
実施例1〜7及び比較例1〜15のそれぞれについて、上記圧縮ゴム層表面の摩擦係数及びベルト質量の測定の後、再び、上記ベルト走行試験機70にセットし、第1アイドラプーリ74との間のミスアライメント量が0.00°となるように第3従動リブプーリ75を調整し、第1従動プーリ71には300N(1リブあたり50N)のデッドウェイトを負荷し、第3従動プーリ75には1リブあたり5Nmの負荷トルクを付与した状態で、雰囲気温度80℃の下、駆動リブプーリを4500rpmで回転させて時計回りにベルト走行させた。
圧縮ゴム層の温度測定の後、心線の分離(心線セパレーション)が発生するまでベルト走行を継続し、そのときのベルト走行時間を心線セパレーション発生時間とした。なお、ベルト走行時間が300時間を越えたときには、そこで試験を打ち切った。
実施例1〜7及び比較例1〜15のそれぞれについて、自動車の補機駆動ベルト伝動装置に装着し、エンジンをかけ、エアコン及びヘッドライトをONの状態で10分間アイドリング運転を行った後、Vリブドベルトに約100mlの水道水を注いだとき、上記評価基準における異音が発生するか否かを観測した。
実施例1〜7及び比較例1〜15のそれぞれについて、研削砥石によるVリブの研削加工において、研削砥石に研削された後30cm移動した位置でのベルト表面の温度を非接触型温度計で測定した。
表2〜5は試験評価結果を示す。
表2〜4によれば、圧縮ゴム層を構成するゴム組成物に特定の高弾性短繊維及び大粒径カーボンブラックが組み合わされて含まれる実施例1〜16は、それらの両方が含まれない場合或いはそれらのうち一方のみが含まれる場合である比較例1〜33に比べて、異音発生時ミスアライメント量が非常に高いことが分かる。つまり、実施例1〜16によれば、比較例1〜33に比べて、ミスアライメント量が大きいプーリレイアウトにおいて、異音の発生を効果的に抑えることができる。具体的には、実施例1〜16によれば、ミスアライメント量が2.70°よりも大きい場合であっても、ミスアライメント量が4°を超えベルトがプーリを乗り越えて評価が続行できなくなるまで、ミスアライメントによる異音が発生しない、卓越した異音発生防止効果を得ることができる。
表2及び3によれば、実施例1〜7は、比較例1〜15に比べて、異音発生走行時間が著しく長いことが分かる(30倍以上)。つまり、実施例1〜7によれば、比較例1〜15に比べて、使用初期段階だけではなく、長期に亘って永続的に異音の発生を効果的に抑えることができる。
表2及び3によれば、実施例1〜7は、比較例1〜15に比べて、摩擦係数変化が非常に小さいことが分かる。また、実施例1〜7は、比較例1〜15に比べて、ベルト質量変化が同等乃至小さいことが分かる。つまり、実施例1〜7によれば、比較例1〜15に比べて、安定した動力伝達を行うことができる。
表2及び3によれば、実施例1〜7は、比較例1〜15に比べて、伝動面ベルト温度が同等乃至低いことが分かる。つまり、実施例1〜7は、比較例1〜15に比べて、ベルト走行時における圧縮ゴム層の発熱が相対的に小さい。
表2及び3によれば、実施例1〜7は、比較例1〜15に比べて、心線セパレーション発生時間が非常に長いことが分かる。これは、実施例1〜7では、比較例1〜15に比べて、上記の通りベルト走行時における圧縮ゴム層の発熱が相対的に小さいことから、熱による心線の接着力の低下に起因する心線の分離(心線セパレーション)も生じがたいためであると考えられる。
表2及び3によれば、実施例1〜7は、上記評価基準における異音の発生がなかったにも関わらず、比較例1〜15では、いずれも異音が発生したことが分かる。つまり、実施例1〜7によれば、実車においても、また、水の存在下においても、異音の発生を効果的に抑えることができる。
表2及び3によれば、実施例1〜7は、比較例1〜15に比べて、研削加工時のベルト表面温度が低いことが分かる。これも、実施例1〜7では、比較例1〜15に比べて、圧縮ゴム層の発熱が相対的に小さいことに起因するものであると考えられる。従って、研削砥石は、実施例1〜7の製造に使用される場合の方が比較例1〜15の製造に使用される場合よりも長寿命となる。
10 Vリブドベルト本体
13 Vリブ(プーリ接触部分)
14 短繊維
31 パワーステアリングプーリ(リブプーリ)
32 ACジェネレータプーリ(リブプーリ)
35 クランクシャフトプーリ(リブプーリ)
36 エアコンプーリ
Claims (6)
- ゴム製のベルト本体の少なくともプーリ接触部分表面に露出するように短繊維及びカーボンブラックが分散して配された摩擦伝動ベルトであって、
上記短繊維は、JIS L 1013に準じて測定される初期引張抵抗度が100cN/dtex以上である主鎖に芳香族を含まないポリマーで形成された高弾性短繊維を含み、且つ、
上記カーボンブラックは、JIS K 6217−1に準じて測定されるよう素吸着量が40g/Kg以下、及び/又は、JIS K 6217−2に準じて測定される窒素吸着比表面積が40m2/g以下である大粒径カーボンブラックを含む摩擦伝動ベルト。 - 請求項1に記載された摩擦伝動ベルトにおいて、
上記短繊維がポリビニルアルコール短繊維である摩擦伝動ベルト。 - 請求項1又は2に記載された摩擦伝動ベルトにおいて、
上記ベルト本体は、ベルト内周側に、各々、ベルト長さ方向に延びる複数のVリブがベルト幅方向に併設されたVリブドベルト本体である摩擦伝動ベルト。 - 請求項3に記載された摩擦伝動ベルトにおいて、
用途が一対のリブプーリを含む3つ以上のプーリを備えた自動車の補機駆動ベルト伝動装置用である摩擦伝動ベルト。 - Vリブドベルトが一対のリブプーリを含む3つ以上のプーリに巻き掛けられた自動車の補機駆動ベルト伝動装置であって、
上記Vリブドベルトは、ベルト内周側に、各々、ベルト長さ方向に延びる複数のVリブがベルト幅方向に並設されたゴム製のVリブドベルトを有すると共に、該Vリブドベルト本体の少なくともプーリ接触部分表面に露出するように短繊維及びカーボンブラックが分散して配されており、
上記短繊維は、JIS L 1013に準じて測定される初期引張抵抗度が100cN/dtex以上である主鎖に芳香族を含まないポリマーで形成された高弾性短繊維を含み、且つ、
上記カーボンブラックは、JIS K 6217−1に準じて測定されるよう素吸着量が40g/Kg以下、及び/又は、JIS K 6217−2に準じて測定される窒素吸着比表面積が40m2/g以下である大粒径カーボンブラックを含む自動車の補機駆動ベルト伝動装置。 - 請求項5に記載された自動車の補機駆動ベルト伝動装置であって、
上記3つ以上のプーリは、ミスアライメント量が2.70°よりも大きい相互に隣接して上記Vリブドベルトが巻き掛けられた、少なくとも一方がリブプーリである一対のプーリを含む自動車の補機駆動ベルト伝動装置。
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