JP2009029649A - シリコンウエハーエッチング用苛性ソーダ水溶液 - Google Patents

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一幸 浜田
Soichi Sakaki
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Abstract

【課題】シリコンウエハーがニッケルで汚染されるのを高度に抑制する高機能のエッチング用苛性ソーダ水溶液を提供する。
【解決手段】フェノール類を含有させた苛性ソーダ水溶液をシリコンウエハーのエッチングに供することで、シリコンウエハーの金属汚染を大幅に抑制できる。フェノール類の苛性ソーダ水溶液中の好ましい含有量は特に限定されないが、0.01重量%以上で5重量%以下が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、シリコンウエハーをエッチングする際に、苛性ソーダ水溶液に含まれる金属不純物、特にニッケル不純物によるシリコンウエハーの汚染を防止することが可能な高機能の苛性ソーダ水溶液に関する。
近年、シリコンウエハーのエッチングは混酸(弗酸+硝酸+酢酸)から取り扱いのやさしい苛性アルカリ水溶液に転換が進もうとしている。特に、苛性ソーダ水溶液がシリコンウエハーの表面特性を改善し生産性を大幅に向上させるので好ましい。しかし、一般に、苛性ソーダ水溶液は、食塩の電解によって製造されるが一般的に数ppmの鉄分、ニッケル分などを含有しており、これら鉄分、ニッケルなど金属不純物分は、ウエハーエッチングするときにシリコンウエハーへ浸透して残存し、ウエハー電気絶縁特性を変化させる。
苛性ソーダ水溶液に含まれる金属不純物を除去し精製する方法として、特許文献1には、陽イオン交換膜を用いた苛性ソーダ水溶液の電解による精製方法が開示されている。この方法によれば、苛性ソーダ水溶液中の金属不純物濃度は1ppb以下にできるとされている。また、特許文献2には水酸化ナトリウム中のニッケル濃度を0.1ppb以下にすることでシリコンウエハーに残存するニッケル分などを低減できると開示している。しかし、この方法は食塩を電気分解して得た苛性ソーダ水溶液を再び電気分解して、苛性ソーダ水溶液の濃度を高めながら金属不純物を除去する方法であり精製効率が悪いという欠点がある。
また、苛性ソーダ水溶液に含まれる金属不純物によるシリコンウエハーの汚染を防止するために、特許文献3では、苛性ソーダ水溶液に還元剤を添加して、金属不純物のイオン成分を不活性な金属に還元してエッチングに供するという方法が開示されている。この方法はエッチングに供する前に、イオン性の金属不純物を全て金属の不活性な状態に還元し、この状態をエッチングに供するまで維持しなければならないので、酸素の混入を防ぐために、窒素雰囲気下で貯蔵と搬送することを必要とし、さらに過剰の還元剤の添加が必要になるなどの欠点がある。
特開2002-317285号公報 特開2007-138233号公報 特開平10-310883号公報
本発明は、こうした実情の下に、特別の管理や高度な精製を必要とせずに、シリコンウエハーのエッチング剤として使用できる高機能の苛性ソーダ水溶液を提供することを目的とするものである。
本発明者は鋭意検討した結果、フェノール類を苛性ソーダ水溶液に含有させることにより、シリコンウエハーをエッチングする際に、苛性ソーダ水溶液に微量含まれるニッケル不純物のシリコンウエハーへの浸透を高度に防止する能力をもつことを見出したことにより本発明に至った。
すなわち、本発明は、
(I)フェノール類を含有することを特徴とするシリコンウエハーエッチング用苛性ソーダ水溶液、
(II)フェノール類が下記式(1)記載の化学構造を有すること
Figure 2009029649
(ここで、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、アルキル基、アミノ基、ヒドロキシルアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、水素およびケトン基から選ばれる基である)
を特徴とする前記(I)記載のシリコンウエハーエッチング用苛性ソーダ水溶液、
(III)フェノール類の苛性ソーダ水溶液中の含有量が0.01重量%以上であることを特徴とする前記(I)または(II)記載のシリコンウエハーエッチング用苛性ソーダ水溶液、
である。
以上説明したようにように、本発明の苛性ソーダ水溶液でシリコンウエハーをエッチングするとニッケル汚染濃度の極めて低いシリコンウエハーを得ることができる。
本発明において用いる原料苛性ソーダ水溶液は、食塩の電気分解により得られる30〜52重量%の水溶液が好ましい。また、この原料苛性ソーダ水溶液は鉄分、ニッケル分、クロム分、銅分、マンガン分などを数ppmから数ppb含んでいる場合がある。好ましい原料苛性ソーダ水溶液は不純物の少ないより高純度の苛性ソーダ水溶液である。特に、ニッケル分と銅分は10ppb以下が好ましい。
本発明の苛性ソーダ水溶液は上記原料苛性ソーダ水溶液にフェノール類を含有してなるものである。
フェノール類は下記式(1)記載の化学構造を有することが好ましい。
Figure 2009029649
ここで、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、アルキル基、アミノ基、ヒドロキシルアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、水素およびケトン基から選ばれる基である。
本発明のフェノール類の置換基は特に限定されるものでなくエステル化されていてもいいし、ナトリウム塩あるいはカリウム塩であってもよい。
本発明のフェノール類の苛性ソーダ水溶液中の好ましい含有量は特に限定されないが、0.01重量%以上で5重量%以下が好ましい、0.01重量%以上のときに汚染を抑制する効果が高くなり、5重量%以下であると苛性ソーダ水溶液の物性に影響してエッチング性能を変化させることが少ないので好ましい。より好ましくは0.05重量%〜2重量%である。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1〜5]
ニッケル分を2ppb含む48重量%苛性ソーダ水溶液に表1に示すフェノール類を水に溶解したのち原料苛性ソーダ水溶液に含有させて本発明の苛性ソーダ水溶液を作成する。この苛性ソーダ水溶液1リットルをエッチング槽に入れて、ニッケルの不純物濃度が2×1011atoms/cm、抵抗が0.01Ωのポリッシングした200mmシリコンウエハーを80℃で2分間エッチングし、水洗、フッ酸で洗浄した後、シリコンウエハーの金属不純物濃度を調べた。シリコンウエハー表面付近に含まれる金属不純物は表面を硝酸酸化して二酸化珪素とした後、フッ酸で溶解してICP−MS(誘導結合プラズマ質量分析)法により分析した。
[比較例1]
フェノール類を含まない、ニッケル分を2ppb含む48%重量%苛性ソーダ水溶液を用いて、実施例1記載の同様の方法を用いてシリコンウエハーをエッチングし、金属不純物濃度を調べた。
表1から分かるように、本発明の苛性ソーダ水溶液でシリコンウエハーをエッチングすることでニッケル汚染を大幅に抑制していることが分かる。
Figure 2009029649
本発明は半導体基板等に用いられるシリコンウエハーのエッチング剤として好適に利用することができる。

Claims (3)

  1. フェノール類を含有することを特徴とするシリコンウエハーエッチング用苛性ソーダ水溶液。
  2. フェノール類が下記式(1)記載の化学構造を有すること
    Figure 2009029649
    (ここで、R、R、R、RおよびRは、各々独立に、アルキル基、アミノ基、ヒドロキシルアミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、水素およびケトン基から選ばれる基である)
    を特徴とする請求項1記載のシリコンウエハーエッチング用苛性ソーダ水溶液。
  3. フェノール類の苛性ソーダ水溶液中の含有量が0.01重量%以上であることを特徴とする請求項1または2記載のシリコンウエハーエッチング用苛性ソーダ水溶液。
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