JP5220570B2 - シリコンウェハーエッチング剤及びそれを用いたエッチング方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコンウェハーエッチング剤及びそれを用いたエッチング方法に関する。
シリコンウェハーの製造方法は、一般に、単結晶のインゴットをスライスする「スライシング工程」、ウェハーの外周部を面取りする「面取り工程」、ウェハーを平面化する「ラッピング工程」、残留加工歪を除去する「エッチング工程」、ドープされた酸化ドナーを消滅させる「熱処理工程」、表面を研磨する「ポリッシング工程」、及び洗浄する「洗浄工程」を有する。
上述の各工程の中でエッチング工程は、ラッピング処理したウェハーの表面層に残留する加工歪層を化学エッチングにより除去すると共に、ウェハー表面に付着した研磨剤、金属不純物などを除去する工程である。
化学エッチングとしては、フッ酸と硝酸と酢酸とを混合した混酸による酸エッチング、及びアルカリ水溶液にウェハーを浸漬して行うアルカリエッチングがある。これらのうち、酸エッチングは、エッチング速度が速いためにシリコンウェハーの表面を均一に平坦化するのが困難である。そこで近年では、酸エッチングから、エッチング速度が比較的遅く、そのためシリコンウェハーの表面の平坦性に優れるアルカリエッチングに移行しつつある。
アルカリ水溶液の中でも特に苛性ソーダ水溶液は、シリコンウェハーの表面特性の改善に有効であり、ウェハーの平坦性を高くすることができる。その結果、苛性ソーダ水溶液をシリコンウェハーのエッチングに用いることで、シリコンウェハーの生産性を大幅に向上させることができる。
しかしながら、一般に、苛性ソーダ水溶液は食塩の電解によって製造されるため、通常、鉄分、ニッケル分、銅分などの金属不純物分を含有する。これらの金属不純物分は、シリコンウェハーをエッチングするときにシリコンウェハー内へ浸透して残存し、シリコンウェハーの電気絶縁特性を変化させる。このため、これら金属不純物分を含む苛性ソーダ水溶液は、そのままではエッチング剤として用いることは困難である。
このように、苛性ソーダ水溶液をシリコンウェハーエッチングに用いるためには、そこに含有される金属不純物分、特に多く含有される鉄分、ニッケル分、銅分の濃度を低減する必要がある。それらの金属不純物分の濃度を低減するには高度で複雑な精製技術が必要になる。
苛性ソーダ水溶液に含まれる金属不純物を除去し精製する方法として、特許文献1には、陽イオン交換膜を用いた苛性ソーダ水溶液の電解による精製方法が開示されている。また、苛性ソーダ水溶液に含まれる金属不純物によるシリコンウェハーの汚染を防止するために、特許文献2では、苛性ソーダ水溶液に還元剤を添加して、金属不純物のイオン成分を不活性な金属に還元してエッチングに用いるという方法が開示されている。さらに、特許文献3では苛性ソーダなどのアルカリ金属水酸化物水溶液にアミノポリカルボン酸系キレート剤を添加して、半導体基板の金属不純物の汚染を抑制するエッチング剤及びエッチング方法が開示されている。
また、特許文献4に記載のように、繊維状活性炭を用いて金属分、特にNiを1ppb以下にまで低減した金属含有量が少ない苛性ソーダ水溶液は、金属汚染を抑制できるエッチング液として有効である。
特開2002−317285号公報 特開平10−310883号公報 特開2006−324452号公報 特許第4125344号公報
特許文献1に記載されている方法によれば、苛性ソーダ水溶液中の金属不純物濃度は1ppb以下にできるとされている。しかしながら、この方法は食塩を電気分解して得た苛性ソーダ水溶液を再び電気分解して、苛性ソーダ水溶液の濃度を高めながら金属不純物を除去する方法であるため、精製効率が良好ではないという欠点がある。
また、特許文献2に記載の方法では、エッチングに用いる前に苛性ソーダ水溶液中のイオン性の金属不純物分を全て金属の不活性な状態に還元し、この状態をエッチングに用いるまで維持しなければならない。その結果、この方法は、苛性ソーダ水溶液中への酸素の混入を防ぐために、窒素雰囲気下で貯蔵し搬送することを必要とし、さらに過剰の還元剤の添加が必要になるなどの欠点を有する。
さらに、特許文献3に記載の方法のように、単に苛性ソーダ水溶液にキレート剤を添加するだけでは、高精細化する先進の半導体基板での金属不純物分の汚染を抑制しつつエッチングするには十分とはいえない。
また、近年の技術の高度化に伴い、更に高いレベルで金属汚染を抑制する技術が要求されている。しかしながら、特許文献4に記載のように、活性炭吸着などによる分離によって、これ以上苛性ソーダ水溶液中の鉄分、ニッケル分、銅分を始めとする金属不純物分を低減させることは、分析方法、精製方法も含めて技術的に困難である。
ところで、昨今、エッチング時のシリコンウェハーの表面状態を改良するために、高濃度のアルカリを用いたエッチング剤が求められている。ところが、一般に、アルカリエッチング液は、そのアルカリ濃度が高くなるにつれて、添加したキレート剤の能力を発現し難くなる。その結果、アルカリエッチング液中のアルカリ濃度を高くすると、エッチング後のシリコンウェハー上に残留する金属不純物分が多くなるため、高濃度アルカリのエッチング液では十分な金属汚染抑制能力を発揮できない問題が生じている。
またウェハーに残留する上記金属不純物分のうち、ニッケル分は特に残留量の低減を求められており、ニッケル分の残留量を選択的に低減できるエッチング剤の技術が求められている。
本発明は、上記事情にかんがみてなされたものであり、特別の管理を必要とすることなく、アルカリ濃度が高くてもエッチング後のシリコンウェハー上に鉄分、ニッケル分、銅分、特にニッケル分が残留し難いシリコンウェハーエッチング剤及びそれを用いたエッチング方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、アルカリ水溶液に添加するキレート剤の種類及びアルカリの濃度に着目して鋭意検討した結果、これらを適正に組み合わせることにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記のとおりである。
[1] アルカリ水溶液を含むシリコンウェハーエッチング剤であって、前記アルカリ水溶液はジアミノプロパン四酢酸を0.002モル/L〜0.007モル/L含有するシリコンウェハーエッチング剤。
[2]前記アルカリ水溶液は、アルカリ濃度が30〜55質量%である、[1]に記載のシリコンウェハーエッチング剤。
[3]前記アルカリ水溶液は、金属不純物分として、鉄分、ニッケル分及び銅分からなる群より選ばれる1種以上の金属成分を含有するものである、[1]又は[2]に記載のシリコンウェハーエッチング剤
[4]前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを含有する、[1]〜[]のいずれか1つに記載のシリコンウェハーエッチング剤。
]前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウムを含有する、[1]〜[]のいずれか1つに記載のシリコンウェハーエッチング剤。
][1]〜[]のいずれか1つに記載のシリコンウェハーエッチング剤を用いてシリコンウェハーをエッチングする工程を有するエッチング方法。
]前記エッチングする工程において、前記シリコンウェハーエッチング剤の温度が50〜100℃である、[]に記載のエッチング方法。
本発明によると、特別の管理を必要とすることなく、アルカリ濃度が高くてもエッチング後のシリコンウェハー上に鉄分、ニッケル分、銅分、特にニッケル分が残留し難いシリコンウェハーエッチング剤及びそれを用いたエッチング方法を提供することができる。
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本実施形態のシリコンウェハーエッチング剤(以下、単に「エッチング剤」という。)は、アルカリ水溶液を含むシリコンウェハーエッチング剤であって、上記アルカリ水溶液は、ジアミノプロパン四酢酸を含有し、かつアルカリ濃度が30〜55質量%である。
本実施形態に係るアルカリ水溶液に含有されるアルカリは、特に制限されず、アルカリ金属及びアルカリ土類金属からなる群より選ばれる少なくとも一種の金属からなる水酸化物を含むと好ましい。それらの中でもアルカリ金属水酸化物がより好ましく、その具体例としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。本実施形態に係るアルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを含むと更に好ましく、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムを含むと特に好ましく、水酸化ナトリウムを含むと特に好ましい。
水酸化ナトリウム水溶液は、例えば食塩水(塩化ナトリウム水溶液)の電気分解により得られ、水酸化カリウム水溶液は、例えば塩化カリウム水溶液の電気分解により得られる。電気分解により得られるアルカリ水溶液のアルカリ濃度が30質量%未満である場合、水分を蒸発させたり、固形フレーク状のアルカリを添加することにより、30〜55質量%のアルカリ濃度を実現できる。
アルカリ濃度が30質量%未満では、アルカリ有効成分が少なくエッチング剤の液寿命が短くなるため、液更新を頻繁に行う必要があり生産性が低下する。アルカリ濃度が55質量%を越えると、濃度の増加に伴うエッチング能力の向上が鈍化するだけでなく、液粘度や比重が高くなって取り扱いが困難になる。
また、本発明による目的の達成を阻害しない範囲において、本実施形態のアルカリ水溶液として、TMAH(テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド)を含有するアルカリ水溶液を用いてもよい。
本実施形態に係るアルカリ水溶液は、数ppmからppbオーダーまでの微少量の鉄分、ニッケル分、クロム分、銅分、マンガン分などの金属不純物分を含有する。一般にエッチング用途に用いるアルカリ水溶液中の金属塩や金属イオンなどの濃度はウェハーの汚染源にならないように低い方が望ましい。上記各金属成分のうち、ニッケル分はシリコンウェハーに拡散して汚染源となりやすいため、特にその濃度が低い方がよい。具体的には、アルカリ水溶液中のニッケル分は10ppb以下が好ましく、更に好ましくは0.1ppb以下である。また、アルカリ水溶液中の鉄分は50ppb以下が好ましく、更に好ましくは10ppb以下である。
なお、アルカリ水溶液中の金属不純物分はICP−MS(発光プラズマ質量分析計)で定量することができる。
本実施形態のエッチング剤は、上記アルカリ水溶液にキレート剤を含有するものである。
本発明者らは鋭意検討した結果、アルカリ水溶液を含むエッチング剤に、ジアミノプロパン四酢酸(以下、「Methyl−EDTA」とも表記する。)を加えることにより、驚くべきことに、エッチング剤のアルカリが40質量%以上の高濃度であっても、エッチング後のシリコンウェハー上に残留する金属成分量、特に、鉄、ニッケル、銅の合計量の抑制に対して大きな効果が見られることを見出した。更に、エッチング剤のアルカリ濃度が40質量%未満の低い領域では、エッチング後のシリコンウェハー上に残留するニッケル分を特に選択的に低減させることを本発明者らは見出し、本発明を完成させるに至った。
キレート剤として機能するMethyl−EDTAの純度は、キレート剤から持ち込まれる不純物を少なくするという理由で、高純度ほど好ましく、それにより金属汚染の抑制能力が向上し、更にその効果が向上する。したがって、本実施形態に係るキレート剤中の金属はできるだけ少なく、高純度の方が好ましい。
本実施形態のエッチング剤におけるキレート剤の好ましい含有量は、アルカリ水溶液の全量に対して0.002モル/L〜0.007モル/Lであると好ましい。キレート剤の含有量が0.002モル/L未満では、汚染を抑制する効果、特にニッケル分以外の金属不純物分による汚染を抑制する効果が低くなる傾向にある。キレート剤の含有量が0.007モル/Lよりも大きくなると、アルカリ水溶液の物性にキレート剤が影響を及ぼして、エッチング性能を変化させ汚染を抑制する効果、特にニッケル分以外の金属不純物分による汚染を抑制する効果が低くなったり、キレート剤自体がエッチング後のシリコンウェハー上に残留したりする傾向にあるので好ましくない。
なお、エッチング剤中のアルカリの濃度、例えば、アルカリ水溶液が苛性ソーダ水溶液である場合の苛性ソーダ濃度は、JIS規格K 1200−2に準拠して測定できる。JIS規格K 1200−2には、水酸化ナトリウムの含有量の求め方として、付属書1に中和滴定法、付属書2に電位差滴定法が記載されているが、どちらの方法で測定しても苛性ソーダの濃度(質量%)の値を同様の精度で求めることができる。
以下に本実施形態のエッチング剤を用いて、シリコンウェハーをエッチングする方法を詳述する。
本実施形態のエッチング方法は、上述のエッチング剤を用いる他は公知のエッチング方法に準じて実施すればよい。すなわち、本実施形態のエッチング方法は、上記エッチング剤を用いてシリコンウェハーをエッチングする工程を有するエッチング方法である。
エッチングする工程におけるエッチング方式としては、液状であるエッチング剤を満たした容器内でエッチング剤にシリコンウェハーを浸漬するディップ式、シリコンウェハーにスプレー式にエッチング剤を吹き付けるスプレー式、スピナーと呼ばれる回転台にシリコンウェハーを取り付けて、エッチング剤をシリコンウェハーに滴下するスピン式が挙げられる。また、本実施形態において、シリコンウェハーの供給方式は特に限定されず、バッチ式でもよく、枚葉式でもよい。
エッチングする工程におけるエッチング剤の温度は、50℃〜100℃であると好ましく、更に好ましくは60℃〜90℃の範囲である。この温度が50℃を下回ると、十分なエッチング速度が得られ難い傾向にある。この温度が100℃を上回ると、エッチング速度が高くなる傾向にある。
本実施形態によるアルカリ水溶液を含有するシリコンウェハーのエッチング液を用いると、そのアルカリ濃度が高くても金属不純物分によるシリコンウェハーの汚染を抑制することが可能となる。よって、例えば、エッチング後のシリコンウェハー上に残留する鉄分、ニッケル分、銅分の合計量を効果的に低減することができる。また、そのエッチング液におけるアルカリ濃度が低い場合、金属不純物分の内、特にニッケル分の残留量を選択的に低減させることができる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。
[実施例1]
ニッケル分を10ppb、鉄分を10ppb、銅分を10ppb含む40質量%の苛性ソーダ水溶液250mLに、キレート剤としてジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA)0.353gを添加し溶解させて、エッチング剤を得た。このエッチング剤におけるキレート剤の濃度は0.005モル/Lであった。
直径50mm、厚み350μmの円板状のシリコンウェハー表面をフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液で洗浄した。その後、上記エッチング剤200mLをポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに入れて、そのビーカーをウォーターバスにより2時間以上加熱し、ビーカー内のエッチング剤が80℃になるように調整した。次に、先の洗浄済みのシリコンウェハーを上記ビーカー内のエッチング剤中に30分間浸漬した後、ビーカーから取り出した。
その後、取り出したシリコンウェハーを純水に浸漬することによる洗浄を2回行った。次いで、その洗浄後のシリコンウェハー表面にフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液を滴下し、滴下した後の溶解液を全て回収した。これを定容液として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP質量分析(ICP−MASS)装置により、Ni、Cu、Feの定量を行い、シリコンウェハーに残留するそれら金属不純物分の濃度を算出した。なお、金属不純物分の濃度は、シリコンウェハーの単位表面積当たりの金属原子の数として評価した(以下同様)。
[実施例2]
ニッケル分を10ppb、鉄分を10ppb、銅分を10ppb含む44質量%の苛性ソーダ水溶液250mLに、キレート剤としてジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA)0.077gを添加し溶解させて、エッチング剤を得た。このエッチング剤におけるキレート剤の濃度は0.001モル/Lであった。
直径50mm、厚み350μmの円板状のシリコンウェハー表面をフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液で洗浄した。その後、上記エッチング剤200mLをポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに入れて、そのビーカーをウォーターバスにより2時間以上加熱し、ビーカー内のエッチング剤が80℃になるように調整した。次に、先の洗浄済みのシリコンウェハーを上記ビーカー内のエッチング剤中に30分間浸漬した後、ビーカーから取り出した。
その後、取り出したシリコンウェハーを純水に浸漬することによる洗浄を2回行った。次いで、その洗浄後のシリコンウェハー表面にフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液を滴下し、滴下した後の溶解液を全て回収した。これを定容液として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP質量分析(ICP−MASS)装置により、Ni、Cu、Feの定量を行い、シリコンウェハーに残留するそれら金属不純物分の濃度を算出した。
[実施例3]
ニッケル分を10ppb、鉄分を10ppb、銅分を10ppb含む42質量%の苛性ソーダ水溶液250mLに、キレート剤としてジアミノプロパン四酢酸(Methyl−EDTA)0.613gを添加し溶解させて、エッチング剤を得た。このエッチング剤におけるキレート剤の濃度は0.008モル/Lであった。
直径50mm、厚み350μmの円板状のシリコンウェハー表面をフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液で洗浄した。その後、上記エッチング剤200mLをポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに入れて、そのビーカーをウォーターバスにより2時間以上加熱し、ビーカー内のエッチング剤が80℃になるように調整した。次に、先の洗浄済みのシリコンウェハーを上記ビーカー内のエッチング剤中に30分間浸漬した後、ビーカーから取り出した。
その後、取り出したシリコンウェハーを純水に浸漬することによる洗浄を2回行った。次いで、その洗浄後のシリコンウェハー表面にフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液を滴下し、滴下した後の溶解液を全て回収した。これを定容液として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP質量分析(ICP−MASS)装置により、Ni、Cu、Feの定量を行い、シリコンウェハーに残留するそれら金属不純物分の濃度を算出した。
[比較例1]
ニッケル分を10ppb、鉄分を10ppb、銅分を10ppb含む30質量%の水酸化カリウム水溶液250mLに、キレート剤としてトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸(CyDTA)0.455gを添加し溶解させて、エッチング剤を得た。このエッチング剤におけるキレート剤の濃度は0.005モル/Lであった。
直径50mm、厚み350μmの円板状のシリコンウェハー表面をフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液で洗浄した。その後、上記エッチング剤200mLをポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに入れて、そのビーカーをウォーターバスにより2時間以上加熱し、ビーカー内のエッチング剤が80℃になるように調整した。次に、先の洗浄済みのシリコンウェハーを上記ビーカー内のエッチング剤中に30分間浸漬した後、ビーカーから取り出した。
その後、取り出したシリコンウェハーを純水に浸漬することによる洗浄を2回行った。次いで、その洗浄後のシリコンウェハー表面にフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液を滴下し、滴下した後の溶解液を全て回収した。これを定容液として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP質量分析(ICP−MASS)装置により、Ni、Cu、Feの定量を行い、シリコンウェハーに残留するそれら金属不純物分の濃度を算出した。
[比較例2]
ニッケル分を10ppb、鉄分を10ppb、銅分を10ppb含む35質量%の苛性ソーダ水溶液250mLにトリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)0.865gを添加し溶解させて、エッチング剤を得た。このエッチング剤におけるキレート剤の濃度は0.007モル/Lであった。
直径50mm、厚み350μmの円板状のシリコンウェハー表面をフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液で洗浄した。その後、上記エッチング剤200mLをポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに入れて、そのビーカーをウォーターバスにより2時間以上加熱し、ビーカー内のエッチング剤が80℃になるように調整した。次に、先の洗浄済みのシリコンウェハーを上記ビーカー内のエッチング剤中に30分間浸漬した後、ビーカーから取り出した。
その後、取り出したシリコンウェハーを純水に浸漬することによる洗浄を2回行った。次いで、その洗浄後のシリコンウェハー表面にフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液を滴下し、滴下した後の溶解液を全て回収した。これを定容液として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP質量分析(ICP−MASS)装置により、Ni、Cu、Feの定量を行い、シリコンウェハーに残留するそれら金属不純物分の濃度を算出した。
[比較例3]
ニッケル分を10ppb、鉄分を10ppb、銅分を10ppb含む45質量%の苛性ソーダ水溶液250mLに、キレート剤としてグルコン酸0.218gを添加し溶解させて、エッチング剤を得た。このエッチング剤におけるキレート剤の濃度は0.004モル/Lであった。
直径50mm、厚み350μmの円板状のシリコンウェハー表面をフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液で洗浄した。その後、上記エッチング剤200mLをポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに入れて、そのビーカーをウォーターバスにより2時間以上加熱し、ビーカー内のエッチング剤が80℃になるように調整した。次に、先の洗浄済みのシリコンウェハーを上記ビーカー内のエッチング剤中に30分間浸漬した後、ビーカーから取り出した。
その後、取り出したシリコンウェハーを純水に浸漬することによる洗浄を2回行った。次いで、その洗浄後のシリコンウェハー表面にフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液を滴下し、滴下した後の溶解液を全て回収した。これを定容液として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP質量分析(ICP−MASS)装置により、Ni、Cu、Feの定量を行い、シリコンウェハーに残留するそれら金属不純物分の濃度を算出した。
[比較例4]
ニッケル分を10ppb、鉄分を10ppb、銅分を10ppb含む48質量%の苛性ソーダ水溶液250mLに、キレート剤としてトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン四酢酸(CyDTA)0.638gを添加し溶解させて、エッチング剤を得た。このエッチング剤におけるキレート剤の濃度は0.007モル/Lであった。
直径50mm、厚み350μmの円板状のシリコンウェハー表面をフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液で洗浄した。その後、上記エッチング剤200mLをポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに入れて、そのビーカーをウォーターバスにより2時間以上加熱し、ビーカー内のエッチング剤が80℃になるように調整した。次に、先の洗浄済みのシリコンウェハーを上記ビーカー内のエッチング剤中に30分間浸漬した後、ビーカーから取り出した。
その後、取り出したシリコンウェハーを純水に浸漬することによる洗浄を2回行った。次いで、その洗浄後のシリコンウェハー表面にフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液を滴下し、滴下した後の溶解液を全て回収した。これを定容液として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP質量分析(ICP−MASS)装置により、Ni、Cu、Feの定量を行い、シリコンウェハーに残留するそれら金属不純物分の濃度を算出した。
[比較例5]
ニッケル分を10ppb、鉄分を10ppb、銅分を10ppb含む50質量%の苛性ソーダ水溶液250mLに、キレート剤としてジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)0.393gを添加し溶解させて、エッチング剤を得た。このエッチング剤におけるキレート剤の濃度は0.004モル/Lであった。
直径50mm、厚み350μmの円板状のシリコンウェハー表面をフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液で洗浄した。その後、上記エッチング剤200mLをポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに入れて、そのビーカーをウォーターバスにより2時間以上加熱し、ビーカー内のエッチング剤が80℃になるように調整した。次に、先の洗浄済みのシリコンウェハーを上記ビーカー内のエッチング剤中に30分間浸漬した後、ビーカーから取り出した。
その後、取り出したシリコンウェハーを純水に浸漬することによる洗浄を2回行った。次いで、その洗浄後のシリコンウェハー表面にフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液を滴下し、滴下した後の溶解液を全て回収した。これを定容液として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP質量分析(ICP−MASS)装置により、Ni、Cu、Feの定量を行い、シリコンウェハーに残留するそれら金属不純物分の濃度を算出した。
[比較例6]
ニッケル分を10ppb、鉄分を10ppb、銅分を10ppb含む50質量%の水酸化カリウム水溶液250mLに、キレート剤としてトリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)0.742gを添加し溶解させて、エッチング剤を得た。このエッチング剤におけるキレート剤の濃度は0.006モル/Lであった。
直径50mm、厚み350μmの円板状のシリコンウェハー表面をフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液で洗浄した。その後、上記エッチング剤200mLをポリテトラフルオロエチレン製ビーカーに入れて、そのビーカーをウォーターバスにより2時間以上加熱し、ビーカー内のエッチング剤が80℃になるように調整した。次に、先の洗浄済みのシリコンウェハーを上記ビーカー内のエッチング剤中に30分間浸漬した後、ビーカーから取り出した。
その後、取り出したシリコンウェハーを純水に浸漬することによる洗浄を2回行った。次いで、その洗浄後のシリコンウェハー表面にフッ化水素酸と過酸化水素水との混合液を滴下し、滴下した後の溶解液を全て回収した。これを定容液として、エスアイアイ・ナノテクノロジー社製ICP質量分析(ICP−MASS)装置により、Ni、Cu、Feの定量を行い、シリコンウェハーに残留するそれら金属不純物分の濃度を算出した。
上述の実施例及び各比較例の結果を表1に示す。
Figure 0005220570
本発明によるシリコンウェハーエッチング剤及びそれを用いたエッチング方法は、特別の管理を必要とすることなく、アルカリ濃度が高くてもエッチング後のシリコンウェハー上に鉄分、ニッケル分、銅分、特にニッケル分が残留し難いので、そのような要求のある用途に利用することができる。

Claims (7)

  1. アルカリ水溶液を含むシリコンウェハーエッチング剤であって、
    前記アルカリ水溶液はジアミノプロパン四酢酸を0.002モル/L〜0.007モル/L含有するシリコンウェハーエッチング剤。
  2. 前記アルカリ水溶液は、アルカリ濃度が30〜55質量%である、請求項1に記載のシリコンウェハーエッチング剤。
  3. 前記アルカリ水溶液は、金属不純物分として、鉄分、ニッケル分及び銅分からなる群より選ばれる1種以上の金属成分を含有するものである、請求項1又は2に記載のシリコンウェハーエッチング剤。
  4. 前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウム及び/又は水酸化カリウムを含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のシリコンウェハーエッチング剤。
  5. 前記アルカリ水溶液は、水酸化ナトリウムを含有する、請求項1〜のいずれか1項に記載のシリコンウェハーエッチング剤。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のシリコンウェハーエッチング剤を用いてシリコンウェハーをエッチングする工程を有するエッチング方法。
  7. 前記エッチングする工程において、前記シリコンウェハーエッチング剤の温度が50〜100℃である、請求項に記載のエッチング方法。
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