図1(a) は、実施例1における部品搭載装置の外観斜視図であり、同図(b) は、その上下の遮蔽カバーを取り除いて内部の構成を模式的に示す斜視図である。
図1(a) に示すように、部品搭載装置1は、天井カバー上の前後に、それぞれCRTディスプレイからなるモニタ装置2と、同じく天井カバー上の左右に、それぞれ稼動状態を報知する警報ランプ3を備えている。
また、上部遮蔽カバー4の前部と後部の面には、液晶ディスプレイとタッチ式入力装置からなり外部からの操作により各種の指示を入力することができる操作入力用表示装置5が配設されている(図の右斜め上方向になる後部の操作入力用表示装置5は陰になって見えない)。
下部の基台6の上には、中央に、固定と可動の1対の平行する基板案内レール7が同図(b) に示す基板8の搬送方向(X軸方向、図の斜め右下から斜め左上方向)に水平に延在して配設される。これらの基板案内レール7の下部に接して、図には見えないループ状の搬送ベルト(コンベアベルト)が走行可能に配設される。
搬送ベルトは、それぞれ数ミリ幅のベルト脇部を基板案内レール7の下から基板搬送路に覗かせて、不図示のベルト駆動モータにより駆動され、基板搬送方向に走行し、基板8の裏面両側を下から支持しながら装置本体内に部品搭載前の基板8をライン上流側から搬入し、部品搭載済みの基板8を順次ライン下流側に搬出する。
この部品搭載装置1内には、常時2枚の基板8が搬入され、位置決めされて、部品の搭載が終了するまで固定されている。
基台6の前後には、それぞれ部品供給ステージ9が形成されている(同図(a) では図の右斜め上方向になる後部の部品供給ステージ9は陰になって見えない。また、同図(b) では、後部の部品供給ステージ9は図示を省略している)。
部品供給ステージ9には、テープフィーダ11が、50個〜70個と多数配置される。テープフィーダ11には、その後端部に、部品を収容したテープを捲着したテープリール12が着脱自在に装着されている。
また、基台6の上方には本体フレームの左右(X軸方向)に分かれて固定された二本のY軸レール13と、これら二本のY軸レール13にそれぞれ摺動自在に支持される二本(装置全体で合計四本)のX軸レール14が配置されている。
X軸レール14は、Y軸レール13に沿ってY軸方向に摺動でき、これらのX軸レール14には、それぞれ1台(装置全体で合計4台)の作業ヘッド15(15−1、15−2及び15−3、15−4)がX軸レール14に沿ってX軸方向に摺動自在に懸架されている。
そして、これらの各作業ヘッド15には、同図(b) に示す例では2個の搭載ヘッド16が配設されている。つまり、この部品搭載装置1には合計8個の搭載ヘッド16が配設されている。各搭載ヘッド16の先端には吸着ノズル10が着脱自在に装着されている。
上記の作業ヘッド15は、屈曲自在で内部が空洞な帯状のチェーン体17に保護・収容された複数本の不図示の信号コードを介して装置本体1の基台6内部の電装部マザーボード上に配設されている中央制御部と連結されている。
作業ヘッド15は、これらの信号コードを介して中央制御部からは電力及び制御信号を供給され、中央制御部へは基板の位置決め用マークや部品の搭載位置の情報を示す画像データを送信する。
また、基板案内レール7と部品供給ステージ9との間には、搭載ヘッド16に交換自在に装着される複数のノズルを収容・保持するノズルホルダ18と、搭載ヘッド16のノズルに吸着された部品を画像認識して、その良否と被吸着姿勢を判断するための複数の部品認識用カメラ19が、4個の作業ヘッド15に対応して4箇所にそれぞれ配置されている。
また、基台6の内部には、上述した中央制御部のほかに、特には図示しないが、基板の位置決め装置、基板を2本の基板案内レール7間に固定する基板固定機構等が備えられている。
図2は、上述したテープフィーダ11の側面図である。このテープフィーダ11は、後述するように、部品搭載装置1の部品供給ステージ9に水平にスライドさせながら装着するようになっており、装着時の上下の作業空間が狭くて済むように構成されている。
このテープフィーダ11は、図2に示すように、部品リール保持部21に保持される部品リール22から不図示の部品テープが引き出され、本体内部の搬送経路23を通り抜け、テープへの案内と浮き上がり防止を兼ねるテープ押圧部材24の下を通って、部品供給口25まで引き出される。
部品供給口25まで引き出された部品テープは上下のテープが剥離されて部品が収納部から露出し、この露出した部品が部品搭載装置1の搭載ヘッド16の先端のノズル10によって吸着されて取り出される。
上下に剥離された上側のトップテープはテープ回収容器26に回収され、下側の収容テープはテープフィーダ11本体内の排出路27を通過して、矢印Aで示すように外部下方に落下して、製造ラインの作業通路に堆積する。
このテープフィーダ11の上部の中ほどに、作業者がテープフィーダ11を取扱うための取っ手28が設けられており、その後方に、支持ピン29を支点にして回動可能に構成された操作桿31が配置されている。
この操作桿31に連動するようにローラ付き固定フック32が本体下部前端部に配設されている。本体下部は、ローラ付き固定フック32が配設されている前端部から全長の3/5ほど後方へ直線状に形成され、それより後部はほぼ直角に下方に曲がって、そこには上述した部品リール保持部21が形成されている。
上記のローラ付き固定フック32が配設されている前端部から後方へ直線状に形成された本体下部には、スライドレール係合部33が形成されている。
そして、上記直角に下方に曲がった部分の前面上方に、RFID(radio-frequency-identification)タグ34が埋め込まれている。このRFIDタグ34は、応答無線装置の中では小型で安価なもので構成されている。
このRFIDタグ34は、図の矢印B方向から放射される質問無線装置からの電波に反応し、共振電流による通信電波の通信距離が数mm程度の機能のアンテナと、このアンテナの給電点に接続されたタグLSIとで構成されている。
RFIDタグ34は、特には図示しないが、CPUと共振電流供給回路とメモリとを備えている。メモリは一旦書き込んだ後は読み出し一方のメモリである。このメモリには、このRFIDタグ34が埋設されているテープフィーダ11の種類を示す数バイトのデータが予め書き込まれている。
図3は、テープフィーダ11を部品供給ステージ9に多数装着した状態の部品搭載装置1の主要部の内部構成を模式的に示す図である。
図3には、2本の基板案内レール7、本体装置内に搬入された基板8、部品供給ステージ9、その部品供給ステージ9に配設された多数のテープフィーダ11等を示している。
尚、図3には、基板8の上を前後(Y軸方向)左右(X軸方向)に移動する作業ヘッドや、この作業ヘッドに保持されて上下(Z軸方向)に昇降し且つ360度方向(θ軸方向)に回転自在な搭載ヘッド等の図示は省略している。
また、図3には、上記の図示を省略した作業ヘッドの近傍に配置され、搭載ヘッドの先端の吸着ノズルに吸着される部品を画像認識する装置本体側に固定の部品認識用カメラ19を示している。
また、図3には、任意の装着位置35から脱抜されたテープフィーダ11(11´)を図の手前側に示している。このようにテープフィーダ11(11´)を脱抜した後の装着位置35には、最小サイズの8mmのテープフィーダ11(11´)の場合でも24mm弱の間隙(装置本体内部への開口部)が形成される。
したがって、作業者がこのまま作業を続けようとする場合、この開口部に十分注意しないと危険である。本例では後述するように、このような場合でも十分な安全性が確保されている。
また、部品供給ステージ9のテープフィーダ装着位置の手前側面9aには、RFID質問無線装置37が配設されている。
通常、RFID質問無線装置は、円偏波発生型のリーダライタと呼ばれる形式のものが多いが、このRFID質問無線装置37は、RFIDタグ34への書き込み動作は行わず読み出し動作のみを行う。
図3に示すように、テープフィーダ11(11´)は、後端部の部品リール保持部(図2参照)に交換自在に部品リール22を装着されている。この部品リール22には、部品テープ36が巻着されている。
部品テープ36は、部品供給口25まで引き出される手前で、トップテープ36bが本体テープ36aから引き剥がされて二方に引き分けられる。
図示を省略した搭載ヘッド10(図1(b) 参照)は、テープフィーダ11の部品供給口25まで引き出された本体テープ36aの部品収容凹部に収容されている部品を吸着して引き上げ、基板8上に移動する途上で部品認識用カメラ19で部品の吸着姿勢を画像認識し、位置の補正を行って、その部品を基板8の所定の搭載位置に搭載する。
図4(a),(b) は、上記のテープフィーダ11の部品供給ステージ9への着脱状態を示す図である。
テープフィーダ11の部品供給ステージ9への着脱では、作業者は、先ず、テープフィーダ11の後端(図では左端)上部に設けられている操作桿31を支持ピン29を支点にして図4(a) の矢印Cで示す反時計回り方向に回動させて上後方(図では左上方向)に引き起こした状態にする。
これにより、操作桿31に連動するローラ付き固定フック32が前方上向き(図4(a) では右方上向き)つまり図4(a) の反時計回り方向に回動して持ち上がった状態になる。
図4(a),(b) に示す部品搭載装置1の部品供給ステージ9には、テープフィーダ11の各装着位置ごとに、テープフィーダ11のスライドレール係合部33に対応する係合溝38が穿設されている。
上記のように前上方に回動して持ち上がったローラ付き固定フック32が、係合溝38へのスライドレール係合部33の進入路を開放していることにより、作業者は、取っ手28(図2参照)でテープフィーダ11を保持しながら、スライドレール係合部33の先端を、係合溝38の手前端部(図の左端部)に容易に差し込むことができる。
そして、作業者は、そのままスライドレール係合部33を、図4(a) に示すように、係合溝38に挿通させながら、同図(b) に示すように、最終位置までテープフィーダ11を押し込んでいく。
そして、作業者が、図4(b) の矢印Dで示すように、操作桿31を時計回り方向へ回動させてテープフィーダ11本体に接する方向に倒し込むと、これに連動してローラ付き固定フック32が矢印Eで示すように時計回り方向に回動する。
これにより、ローラ付き固定フック32のローラが付いた鉤型の先端が部品供給ステージ9の端部を咥え込むように下面に回り込んで、部品供給ステージ9に係止し、テープフィーダ11が部品供給ステージ9に固定される。
また、このときテープフィーダ11のRFIDタグ34と、部品供給ステージ9のRFID質問無線装置37のアンテナは、2mm以内に接近する。
尚、テープフィーダ11を部品供給ステージ9から取り外すときは、図4(a),(b) で説明した手順と逆の操作になる。
図5は、上記のように構成される部品搭載装置1のシステムブロック図である。同図に示すように、部品搭載装置1は、CPU40と、このCPU40にバス41で接続されたi/o(入出力)制御ユニット42及び画像処理ユニット43からなる制御部を備えている。
また、CPU40にはメモリ44が接続されている。メモリ44は特には図示しないがプログラム領域とデータ領域を備えている。
また、i/o制御ユニット42には、基板8(図1(b) 参照)の部品搭載位置を照明するための基板照明装置45や、搭載ヘッド16のノズル10(図1参照)に吸着されている部品46を照明するための部品認識用カメラ19と一体に組みつけられているLED(発光ダイオード)照明器47が照明制御ユニット48を介して接続されている。
更に、i/o制御ユニット42には、それぞれのアンプ(AMP)を介して4個のX軸モータ51、4個のY軸モータ52、8個のZ軸モータ53、及び8個のθ軸モータ54が接続されている。
X軸モータ51は、X軸レール14を介してX軸方向に、作業ヘッド15を駆動し、Y軸モータ52は、Y軸レール13を介してY軸方向に、X軸レールすなわち作業ヘッド15を駆動する。
Z軸モータ53は作業ヘッド15の搭載ヘッド16を上下に駆動し、そしてθ軸モータ54は搭載ヘッド16すなわちノズル10を360度回転させる。
上記の各アンプには、特には図示しないが、それぞれエンコーダが配設されており、これらのエンコーダにより各モータ(X軸モータ51、Y軸モータ52)の回転に応じたエンコーダ値がi/o制御ユニット42を介してCPU40に入力する。
これにより、CPU40は、各搭載ヘッド16の前後、左右、上下の現在位置、及び回転角を認識することができる。
更に、上記のi/o制御ユニット42には、バキュームユニット55が接続されている。バキュームユニット55はバキュームチューブ56を介して搭載ヘッド16のノズル10に空気的に接続されている。
このバキュームチューブ56には空圧センサ57が配設されている。バキュームユニット55は、ノズル10に対しバキュームによって部品46を吸着させ、又はバキューム解除とエアブローとバキュームブレイク(真空破壊)によって吸着を解除させる。
このとき、空圧センサ57からバキュームチューブ56内の空気圧データが電気信号としてi/o制御ユニット42を介しCPU40に出力される。
これにより、CPU40は、バキュームチューブ56内の空気圧の状態を知って、ノズル10によって部品46を吸着する準備が出来ているか否かを認識することができ、また、吸着された部品46が正常に吸着されているかを認識することができる。
更に、上記のi/o制御ユニット42には、位置決め装置、ベルト駆動モータ、基板センサ、異常表示ランプ、スプロケットセンサ等がそれぞれのドライバを介して接続されている。
位置決め装置は、前述したように部品搭載装置1の基台6内部において基板案内レール7の下方に配置され、装置内に案内されてくる基板8の位置決めを行う。ベルト駆動モータは案内レール7に一体的に配設されている搬送ベルトを循環駆動する。
基板センサは基板8の搬入と搬出を検知する。異常表示ランプ3(図1(a) 参照)は部品搭載装置1の動作異常や作業領域内の異物進入等の異常時に点灯又は点滅して異常発生を現場作業者に報知する。
また、CPU40には、通信i/oインターフェース58、図1(a) に示した操作入力用表示装置5、記録装置59が接続されている。
通信i/oインターフェース58は、例えばティーチング処理などを、例えばパーソナルコンピュータ等の他の処理装置で行う場合などに、これらの処理装置と有線又は無線で接続してCPU40との通信が可能であるようにする。
記録装置59は、例えばハードデスク、MO、FD、CD−ROM/RW、フラッシュメモリ等の各種の記録媒体を装着可能であり、部品搭載装置1の部品搭載処理、その事前に行なわれる部品搭載ティーチング処理等のプログラムや、部品ライブラリのデータ、CADからのNCデータ、テープフィーダ段取表等の各種のデータを記録して保持している。
これらのプログラムは、CPU40によりメモリ44のプログラム領域にロードされて各部の制御の処理に使用され、データも同様にメモリ44のデータ領域に読み出されて、所定の処理がなされる。
また、メモリ44のデータ領域は、細分化された多数のレジスタ領域を備えており、このレジスタ領域には各種の計数値が保存される。
操作入力用表示装置5は、部品搭載作業の実行時には、画像処理ユニット43が作業ヘッド15側の基板認識用カメラ61で撮像した基板8の画像や、同じく画像処理ユニット43が本体装置側の部品認識用カメラ19(図1(b) 参照)で撮像した部品46の画像を表示装置に表示する。
また、図1に示したモニタ装置2又は操作入力用表示装置5には、部品供給装置に部品切れが起きたとき、その部品切れが発生したことを画面に表示される。
図6は、図2乃至図4に示したRFIDタグ34とRFID質問無線装置37の対応関係を示すブロック図である。
図4(b) に示したように、部品供給ステージ9の、テープフィーダ装着位置の手前側面9aには、RFID質問無線装置37が配置されている。RFID質問無線装置37は、図6に示すように、RFID受信素子37aとRFIDアンテナ37bとで構成され、RFIDアンテナ37bはテープフィーダ装着位置の手前側面9a側に配置されている。
部品供給ステージ9のテープフィーダ装着位置が16mm間隔で70個あるものとすれば、それら70個のテープフィーダ装着位置に、70個のRFID質問無線装置37がそれぞれ配置される。
各RFID質問無線装置37のRFIDアンテナ37bの通信距離は数mm程度であり、各RFID質問無線装置37は、それぞれのRFIDアンテナ37bにテープフィーダ装着位置で対向する各RFIDタグ34と1対1に対応し、それぞれ排他的に通信する。
CPU40は、データバス41を介して、フロント側の部品供給ステージ9の1番目のRFID質問無線装置37から70番目のRFID質問無線装置37まで、ポーリングする。
各RFID質問無線装置37は、CPU40からのポーリングに対して、RFID受信素子37aを駆動してRFIDアンテナ37bからUHF(Ultra-High-Frequency)帯の所定の周波数(日本では953MHz)の電波を、RFIDタグ34があるべき位置に向けて送出する。
テープフィーダ装着位置にテープフィーダ11が装着されていれば、そのテープフィーダ11に埋め込まれているRFIDタグ34は、RFIDアンテナ37bからの電波によってタグアンテナに発生する誘起電流を電源としてタグLSIの回路に取り込み、タグメモリに予め書き込まれているテープフィーダの種類情報を読み出してその種類情報をタグアンテナからRFIDアンテナ37bに送信する。
RFID質問無線装置37のRFID受信素子37aは、RFIDアンテナ37bでテープフィーダの種類情報を受信したときは、そのテープフィーダの種類情報をデータバス41を介してCPU40に通知する。
また、RFID受信素子37aは、送信したUHF電波に対するRFIDタグからの応答が無いときは、応答が無い旨をCPU40に通知する。CPU40は、RFIDタグからの応答が無いことを通知されたときは、テープフィーダ11の装着位置にテープフィーダ11が装着されていないと判断する。
続いて、CPU40は、データバス41を介して、リア側の部品供給ステージ9の1番目のFID質問無線装置37から70番目のRFID質問無線装置37まで、ポーリングして、上記と同様にテープフィーダ11が装着されているか否かを判断する。
このようにして、CPU40は、フロント側及びリア側の部品供給ステージ9上のテープフィーダ11の装着の有無と、装着されている場合のテープフィーダ11の種類を検出し、その種類を検出したテープフィーダ11の装着位置を、順次ポーリングした順位によって認識する。
図7(a),(b) は、CPU40によるテープフィーダ11の装着位置と、そのテープフィーダの種類情報に基づいて、危険防止の安全性をチェックするフローチャートであり、同図(c) は、その安全性のチェックにおいて検出される開口部(隣接するテープフィーダ11間に形成される間隙つまり装置本体内に通じる開口部)の例を示す図である。
図7(a) は、装置本体の稼動前のチェック・フローチャートであり、同図(b) は、装置本体の動作中(稼動中)のチェック・フローチャートである。
また、図7(c) に示すテープフィーダA11aは、例えば、32ミリのテープフィーダであり、テープフィーダB11bは例えば8ミリのテープフィーダである。この場合、両テープフィーダの間に形成される開口部dの幅は約12mmであり、人の指が入り得る危険な開口部が形成されている例を示している。
なお、本例では、テープフィーダの上部と垂れ幕式の中間遮蔽カバーとの間に開口部が形成されるようなときは、テープフィーダの上部に遮蔽カバーを取り付けて開口部を塞ぐようにしている。
図7(a) に示す装置本体の稼動前のチェックにおいて、CPU40は、先ず詳しくは後述する開口部の検査を行う(ステップS1)。そして、開口部が有るか否かを判別する(ステップS2)。
この判別の基準は開口部dの幅が10mm以下であれば開口部無し、10mmを超えているときは、人の指が入る大きさの空間であるので開口部有りと判別する。
そして、この判別で、開口部があれば(S2で「あり」)、動作しない(ステップS3)。すなわち、装置本体は停止したまま動作を開始しない。
他方、ステップS2の判別で、開口部がなければ(S2で「なし」)、動作する(ステップS4)。すなわち、装置本体は動作を開始する。
また、図7(b) に示す装置本体の動作中のチェックは、一定周期で、例えば数秒間隔で、装置本体の部品搭載処理への割り込み処理として行われる。CPU40は、ここでも最初に詳しくは後述する開口部の検査を行う(ステップS1)。そして、開口部が有るか否かを判別する(ステップS2)。
ここで装置本体の動作中のチェックの場合は、上記の判別において開口部がなければ(S2で「なし」)、ステップS1に戻って、ステップS1及びS2を繰り返す。
他方、ステップS2の判別で、開口部があれば(S2で「あり」)、緊急停止する(ステップS5)。この処理では、CPU40は、装置本体の動作を一連のシーケンスの区切りとなるところで直ちに停止させ、例えば図1(a) に示した警報ランプ3を点滅させて、緊急停止したことを作業者に報知する。
一連のシーケンスの区切りとは、例えば、搭載ヘッドが既に部品を吸着しているときは、その部品の搭載を実行して、Z軸が基準位置に戻ったとき、などである。
図8は、上記のステップS1における開口部検査の処理の詳細を示すフローチャートである。この処理では、CPU40に内蔵のレジスタiが使用される。また、開口部の検査は、1番から140番までのテープフィーダ装着位置のRFID質問無線装置37からの応答に基づいて行われる。
図8において、CPU40は、先ずレジスタiの値を「1」に初期化する(ステップS101)。続いて、i番のテープフィーダ(以下、単にフィーダという)装着位置にフィーダ11が装着されているか否かを判別する(ステップS102)。
そして、i番のフィーダ装着位置のRFID質問無線装置37から、RFIDタグからの応答が無い旨の通知を受けたときは(S102で「なし」)、次に、iの値と最大数とを比較する(ステップS107)。この最大数はフィーダ装着位置の最大数であり、本例では140である。
そして、CPU40は、上記の比較の結果、iの値が最大数よりも小さいときは(S107で「小さい」)、iの値を「1」デクリメントして(ステップS108)、ステップS102の処理に戻る。
これにより、1番の位置から最大数140番の位置まで、順番にフィーダ11が装着されているか探し出される。
そして、ステップS102において、i番のフィーダ装着位置のRFID質問無線装置37から、RFIDタグからの応答がある旨の通知を受けたときは(S102で「あり」)、先ず、詳しくは後述する左側開口部のチェックを行う(ステップS103)。
この処理は、i番のフィーダ11の左側に危険な開口部が有るか否かを調べる処理である。続いてCPU40は、上記調査の結果、開口部があるか否か判別する(ステップS104)。
そして、開口部があれば(S104で「あり」)、開口部が存在したという結果をもって、図7(a) 又は(b) のステップS2の処理に戻る。
他方、ステップS104の判別で、開口部がなければ(S104で「なし」)、次に、CPU40は、詳しくは後述する右側開口部のチェックを行う(ステップS105)。
この処理は、i番のフィーダ11の右側に危険な開口部が有るか否かを調べる処理である。続いてCPU40は、上記調査の結果、開口部があるか否か判別する(ステップS106)。
そして、開口部があれば(S106で「あり」)、開口部が存在したという結果をもって、図7(a) 又は(b) のステップS2の処理に戻る。
他方、ステップS106の判別で、開口部がなければ(S106で「なし」)、次に、CPU40は、上述したステップS107のiの値と最大数とを比較する処理を行う。
そして、CPU40は、上記の比較の結果、iの値が最大数よりも小さいときは(S107で「小さい」)、iの値を「1」デクリメントして(ステップS108)、ステップS102の処理に戻る。
これにより、1番の位置から最大数140番の位置まで、装着されているフィーダ11の左右に危険な開口部が存在するか否かが調査される。
そして、ステップS104で左側に開口部がなく、ステップS106で右側にも開口部がなく、最大数140番の位置まで調査が終了したときは(S107で「等しい」)、開口部はなかったという結果をもって、図7(a) 又は(b) のステップS2の処理に戻る。
図9は、図8の処理におけるステップS103における左側開口部のチェックの処理の詳細を示すフローチャートである。この処理では、CPU40に内蔵のレジスタi及びnが使用される。
図9の処理の始めにおいて、図8に示す処理を行う上位モジュールから、レジスタiにある該当フィーダを示す変数iが、処理モジュールに引き渡される。これに基づき、CPU40は、先ず、i番のフィーダの種類情報を取得する(ステップS201)。
続いてCPU40は、i番のフィーダの左側に存在するフィーダを調べるためのフィーダ番号を示す変数nを、i番のフィーダのすぐ左に隣接するフィーダの番号である「i−1」に初期化する(ステップS202)。
そして、変数nと数1とを比較して、その大小を判別する(ステップS203)。
この判別でn<1なら、i番のフィーダのすぐ左にフィーダ装着部は無く、i番のフィーダが最左端のフィーダである。
したがって、この場合は、i番のフィーダと装置本体の左端部との間に開口部があるか否かを判別する(ステップS208)。この処理は、i番のフィーダと装置本体の左端部との間に遮蔽カバー等が設置されているか否かを判断する処理である。
尚、本例では、部品供給ステージ9に取り付けられる物、例えば、ダミーフィーダや遮蔽用蛇腹など、全ての物にRFIDタグを取り付けて、部品供給ステージ9に取り付けられている物体の存在を確認できるようにしている。
そして、人の指が入る程度以上の危険な開口部があるときは(S208で「あり」)、開口部があるという結果をもって、図8のステップS104の処理に戻る。
他方、ステップS208の判別で、危険な開口部がないときは(S208で「なし」)、開口部がないという結果をもって、図8のステップS104の処理に戻る。
また、ステップS203の判別で、n≧1なら、i番のフィーダのすぐ左にn番のフィーダ装着部があるので、この場合は、そのn番のフィーダ装着部にフィーダが装着されているか否かを判別する(ステップS204)。
もし、n番のフィーダ装着部にフィーダが装着されていないときは(S204で「なし」)、レジスタnの値を「1」デクリメントして(ステップS205)、ステップS203の処理に戻り、ステップS203、S204を繰り返す。
これにより、i番のフィーダの左側にあるフィーダ装着部についてレジスタnの値が「1」デクリメントされてn番のフィーダ装着部にフィーダが装着されていることが検出されるまで、又はn番のフィーダ装着部が無いことが判明するまで、ステップS203、S204、S205の処理が繰り返される。
そして、ステップS204の判別で、n番のフィーダ装着部にフィーダが装着されていることが検出されたときは(S204で「あり」)、n番のフィーダの種類情報を取得する(ステップS206)。
そして、i番目とn番目のフィーダとの間に、開口部があるかいなかを判別する(ステップS207)。この処理では、フィーダの有無および隣接するフィーダの種類によって危険な開口部の有無を判別する。
そして、開口部がないときは(S207で「なし」)、開口部なしという結果をもって、図8のステップS104の処理に戻る。
他方、危険な開口部があるときは(S207で「あり」)、開口部があるという結果をもって、図8のステップS104の処理に戻る。
図10は、図8の処理におけるステップS105における右側開口部のチェックの処理の詳細を示すフローチャートである。この処理でも、CPU40に内蔵のレジスタi及びnが使用される。
図10の処理の始めにおいて、図8に示す処理を行う上位モジュールから、レジスタiにある該当フィーダを示す変数iが、処理モジュールに引き渡される。これに基づき、CPU40は、先ず、i番のフィーダの種類情報を取得する(ステップS301)。
続いてCPU40は、i番のフィーダの右側に存在するフィーダを調べるためのフィーダ番号を示す変数nを、i番のフィーダのすぐ右に隣接するフィーダの番号である「i+1」に初期化する(ステップS302)。
そして、変数nと最大数(本例では70)とを比較して、その大小を判別する(ステップS303)。
この判別で「n>最大数」なら、i番のフィーダのすぐ右にフィーダ装着部は無く、i番のフィーダが最右端のフィーダである。
したがって、この場合は、i番のフィーダと装置本体の右端部との間に開口部があるか否かを判別する(ステップS308)。この処理は、i番のフィーダと装置本体の右端部との間に遮蔽カバー等が設置されているか否かを判断する処理である。
そして、人の指が入る程度以上の危険な開口部があるときは(S308で「あり」)、開口部があるという結果をもって、図8のステップS106の処理に戻る。
他方、ステップS308の判別で、危険な開口部がないときは(S308で「なし」)、開口部がないという結果をもって、図8のステップS106の処理に戻る。
また、ステップS303の判別で、「n≦最大数」なら、i番のフィーダのすぐ右にn番のフィーダ装着部があるので、この場合は、そのn番のフィーダ装着部にフィーダが装着されているか否かを判別する(ステップS304)。
もし、n番のフィーダ装着部にフィーダが装着されていないときは(S304で「なし」)、レジスタnの値を「1」インクリメントして(ステップS305)、ステップS303の処理に戻り、ステップS303、S304を繰り返す。
これにより、i番のフィーダの右側にあるフィーダ装着部についてレジスタnの値が「1」インクリメントされてn番のフィーダ装着部にフィーダが装着されていることが検出されるまで、又はn番のフィーダ装着部が無いことが判明するまで、ステップS303、S304、S305の処理が繰り返される。
そして、ステップS304の判別で、n番のフィーダ装着部にフィーダが装着されていることが検出されたときは(S304で「あり」)、n番のフィーダの種類情報を取得する(ステップS306)。
そして、i番目とn番目のフィーダとの間に、開口部があるかいなかを判別する(ステップS307)。この処理では、フィーダの有無および隣接するフィーダの種類によって危険な開口部の有無を判別する。
そして、開口部がないときは(S307で「なし」)、開口部なしという結果をもって、図8のステップS106の処理に戻る。
他方、危険な開口部があるときは(S307で「あり」)、開口部があるという結果をもって、図8のステップS106の処理に戻る。
このように、本発明の部品搭載装置1では、CPU40は、1つのフィーダ11の左側と右側を順番に探して、各フィーダ11の配設位置とそのフィーダのRFIDタグ34から読み取ったフィーダ種類情報とから、1つのフィーダと次に位置するフィーダとの間に、人の指が入る程度以上の開口部があるかどうかを判断している。
そして、CPU40は、装置本体の動作前に開口部を検出したときは、装置本体による生産作業を開始しない。また、生産作業の動作中にフィーダの脱抜などで開口部が発生すると装置本体を緊急停止させる。
これにより、例えば部品テープの交換などでは、装置本体を停止させることなく交換作業を続行でき、作業性を損ねることなく且つ安全性も確保することができる。