JP2009026420A - 光ディスク記録再生装置 - Google Patents

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【課題】トラックピッチの異なる2箇所の領域でのゲイン調整の一方を削除し、立ち上げ時間の短縮を図ると共に、両方の領域で安定したトラッキングサーボをかけられるようにした光ディスク記録再生装置を提供する。
【解決手段】ノーマルピッチエリアでトラッキングサーボ用フィルタのゲイン調整を行った場合、ワイドピッチエリアに光ピックアップをシークした後、ノーマルピッチエリアで調整されたゲインと、トラッキングエラー信号の振幅変化によるよるゲイン差と、トラックピッチによるゲイン差とに基づいて、ワイドピッチエリアで必要なトラッキングサーボ用フィルタのゲインを算出し、そのゲインをトラッキングサーボ用フィルタに設定するようにしたので、トラックピッチの異なる2箇所の領域でのゲイン調整の一方を削除できて立ち上げ時間を短縮でき、且つ両方の領域で安定したトラッキングサーボをかけることができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、光ディスクに対して情報を記録/再生する光ディスク記録再生装置に関し、特に、トラッキングサーボ系のゲインを調整する処理に関する。
従来から光ディスク記録再生装置は、レーザ光を光ディスク上のトラックに収束させるための対物レンズを有し、光ディスクに対して情報の記録/再生を光学的に行うための光ピックアップと、この光ピックアップからのRF信号に含まれるトラッキングエラー信号に基づいて前記対物レンズをトラッキング制御するトラッキングサーボ系と、前記光ピックアップからのRF信号に含まれるフォーカスエラー信号に基づいて前記対物レンズをフォーカス制御するフォーカスサーボ系とを備えている。
トラッキングサーボ系では、光ピックアップの対物レンズで収束されたレーザ光が、光ディスクのトラックに対する中心位置からシフトした場合、即ち、対物レンズがレンズシフトした場合、トラッキングサーボ用アクチュエータを制御して対物レンズのレンズシフトを補正して、対物レンズを本来の位置(レーザ光がトラックの中心に照射できるような位置)に戻そうとするフィードバック制御によるトラッキングサーボが掛けられる。
特開2005−166156号公報
ところで、BD(ブルーレイ・ディスク)では、トラックピッチが0.32μmのノーマルピッチエリア(データエリア)と、内周側でトラックピッチが0.35μmのワイドピッチエリア(リードインエリア)とが設けられている。このように、ノーマルピッチエリアとワイドピッチエリアでは、トラックピッチが異なるので、このようなBDなどの光ディスクに対して記録/再生を行う光ディスク記録再生装置では、ノーマルピッチエリアに対するトラッキングエラー信号の振幅とワイドピッチエリアに対するトラッキングエラー信号の振幅も異なり、この結果、トラッキングサーボ用フィルタのゲインも変わることになる。
なお、トラッキングサーボ用フィルタとは、トラッキングサーボ系において、トラッキングエラー信号の周波数特性を適切に調整し、トラッキングエラー信号を増幅すると共にサーボ制御部からのゲイン制御信号に従ってトラッキング駆動信号のゲインを調整するものである。一般的にトラッキングサーボ用フィルタに必要なゲインは、トラックピッチが大きい順に、CD、DVD、BDという順に、高くなるように調整している。その理由は、トラックピッチが小さくなると、レーザビームをより良く追従させるために、ゲインを高くするが、ゲインが高いまま、トラックピッチの大きいCDに対してトラッキングを行うと、記録面上の傷に対しても反応し易くなり、トラッキングサーボが不安定になる。したがって、トラックピッチの大きさに応じて、最適なゲインに合わせ込む必要がある。
しかしながら、従来の光ディスク記録再生装置では、ノーマルピッチエリアにて調整したトラッキングサーボのゲイン調整の結果のまま、ワイドピッチエリアに光ピックアップをシークした場合、前述したように、ノーマルピッチエリアとワイドピッチエリアではトラックピッチが異なり、また、ノーマルピッチエリアに対するトラッキングエラー信号の振幅とワイドピッチエリアに対するトラッキングエラー信号の振幅も異なり、この結果、トラッキングサーボ用フィルタのゲインも変わることになるので、トラッキングサーボが不安定になる可能性があると言う課題が生じる。また、ノーマルピッチエリアとワイドピッチエリアのそれぞれのエリアでトラッキングサーボのゲイン調整を行うようにした構成の場合は、トラッキングサーボに引き込むまでの時間が多くかかり、当該ディスクに対する立ち上げ時間が長くなってしまうと言う課題が生じる。
なお、特許文献1の従来技術では、光ピックアップを光ディスクの基本トラックピッチ領域(ノーマルピッチエリアに相当)に移動し、基本トラックピッチ領域におけるトラッキングサーボゲインが所定の特性となるように、トラッキングゲインを調整し、この調整により得られた値から、トラックピッチの異なる他の領域におけるトラッキングゲインを算出し、これにより、複数の記録領域におけるトラッキングゲインを調整するようにしている。
しかし、この従来技術は、トラックピッチが変わることによって、トラッキングエラー信号の振幅が変わることについては開示されていなく、トラックピッチの違いだけで、トラッキングゲインを算出しているので、実際の目標とするトラッキングゲインからずれる可能性があると言う課題が生じる。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、トラックピッチの異なる2箇所の領域でのゲイン調整の一方を削除し、立ち上げ時間の短縮を図ると共に、両方の領域で安定したトラッキングサーボをかけられるようにした光ディスク記録再生装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、レーザ光を光ディスク上のトラックに収束させるための対物レンズを有し、光ディスクに対して情報の記録/再生を光学的に行うための光ピックアップと、この光ピックアップからのRF信号に含まれるトラッキングエラー信号に基づいて前記対物レンズをトラッキング制御するトラッキングサーボ系を備えた光ディスク記録再生装置において、光ディスクにおけるトラックピッチの異なる一方の領域に前記光ピックアップをシークさせ、前記光ピックアップから出力されたRF信号より検出されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、この測定された振幅に基づいて前記トラッキングサーボ系のゲインの調整を行うゲイン調整手段と、前記トラッキングサーボ系のゲインの調整が行われた後、光ディスクにおけるトラックピッチの異なる他方の領域に前記光ピックアップをシークさせ、前記光ピックアップから出力されたRF信号より検出されたトラッキングエラー信号の振幅を測定するトラッキングエラー振幅測定手段と、前記一方の領域において測定されたトラッキングエラー信号の振幅から前記他方の領域において測定されたトラッキングエラー信号の振幅への振幅変化によるゲイン差を算出すると共に、前記光ディスクにおけるトラックピッチの差によるゲイン差を算出するゲイン差算出手段と、前記一方の領域で調整されたゲインと前記振幅変化によるゲイン差と前記トラックピッチの差によるゲイン差とに基づいて前記他方の領域に必要なゲインを算出して前記トラッキングサーボ系に設定するゲイン設定手段とを有するサーボ制御部を備えたことを特徴とする光ディスク記録再生装置を提供する。
この構成によれば、トラックピッチの異なる一方の領域でトラッキングサーボ系のゲイン調整を行った場合、他方の領域に光ピックアップをシークした後、一方の領域で調整されたゲインと、トラッキングエラー信号の振幅変化によるよるゲイン差と、トラックピッチによるゲイン差とに基づいて、他方の領域で必要なトラッキングサーボ系のゲインを算出し、そのゲインをトラッキングサーボ系に設定するようにしたので、トラックピッチの異なる2箇所の領域でのゲイン調整の一方を削除でき、これにより、立ち上げ時間が短縮でき、且つ両方の領域で安定したトラッキングサーボをかけることができる。
請求項2の発明では、請求項1の発明において、光ディスクにおけるトラックピッチの異なる一方の領域とは、ノーマルピッチエリアであり、他方の領域とは、ワイドピッチエリアであるので、ノーマルピッチエリアでトラッキングサーボ系のゲイン調整を行った場合、ワイドピッチエリアに光ピックアップをシークした後、ノーマルピッチエリアで調整されたゲインと、トラッキングエラー信号の振幅変化によるよるゲイン差と、トラックピッチによるゲイン差とに基づいて、ワイドピッチエリアで必要なトラッキングサーボ系のゲインを算出することができる。
請求項3の発明では、請求項1の発明において、前記ゲイン設定手段は、一方の領域で調整されたゲインをG1〔dB〕、振幅変化によるゲイン差をG2〔dB〕、トラックピッチ差によるゲイン差をG3〔dB〕とすると、他方の領域でのゲイン設定値G〔dB〕を、G〔dB〕=G1〔dB〕−G2〔dB〕+G3〔dB〕と言う計算式で算出するので、トラックピッチの異なる2箇所の領域でのゲイン調整の一方を削除できる。
請求項4の発明では、請求項1の発明において、前記ゲイン設定手段は、一方の領域で調整されたゲインをG1〔dB〕、振幅変化によるゲイン差をG2〔dB〕、トラックピッチ差によるゲイン差をG3〔dB〕、一方の領域と他方の領域で理想とするゲインが異なる場合、目標カットオフゲイン差をα〔dB〕とすると、他方の領域での補正後のゲイン設定値G〔dB〕を、G〔dB〕=G1〔dB〕−G2〔dB〕+G3〔dB〕+α〔dB〕と言う計算式で算出するので、トラックピッチの異なる2箇所の領域でのゲイン調整の一方を削除でき、更に、一方の領域と他方の領域で理想とするゲインが異なる可能性があっても、トラッキングサーボ系に適切なゲインを設定することができる。
以上のように本発明によれば、トラックピッチの異なる一方の領域でトラッキングサーボ系のゲイン調整を行った場合、他方の領域に光ピックアップをシークした後、一方の領域で調整されたゲインと、トラッキングエラー信号の振幅変化によるよるゲイン差と、トラックピッチによるゲイン差とに基づいて、他方の領域で必要なトラッキングサーボ系のゲインを算出し、そのゲインをトラッキングサーボ系に設定するようにしたので、トラックピッチの異なる2箇所の領域でのゲイン調整の一方を削除でき、これにより、立ち上げ時間が短縮でき、且つ両方の領域で安定したトラッキングサーボをかけることができる。
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の一実施形態に係る光ディスク記録再生装置の構成を示すブロック図である。
この光ディスク記録再生装置は、装置全体を制御するシステムコントローラ22と、光ディスク1を回転させるスピンドルモータ5と、光ディスク1に対して情報の書き込み/読み出しを光学的に行う光ピックアップ2と、この光ピックアップ2を光ディスク1の半径方向に移動させるためのスレッド3と、システムコントローラ22の指示に応じて、モータ駆動回路34を通じてスピンドルモータ5、およびスレッド3を駆動すると共に、光ピックアップ2に内蔵された対物レンズ(図示せず)を動かすことによりレーザ光の焦点位置を光ディスク1の記録面に対して、垂直方向に移動させる制御(フォーカスサーボ)および水平方向に移動させる制御(トラッキングサーボ)を行うサーボ制御部4とを備えている。
また、この光ディスク記録再生装置は、光ディスク1の再生時に光ピックアップ2からの読取信号であるRF信号を増幅するRFアンプ6と、このRFアンプ6から出力されたRF信号をデジタルデータに変換した後に光ディスク1のデータフォーマットに応じた信号復調処理と誤り訂正処理を行って生成したデータをバッファメモリとしてのRAM7に格納するデジタル信号処理部8と、システムコントローラ22の指示に応じてデジタル信号処理部8から出力されたデータストリームの中からオーディオデータとサブピクチャデータとビデオデータとを分離するストリーム分離部9とを備えている。
また、この光ディスク記録再生装置は、ストリーム分離部9から出力されたオーディオデータを入力して所定のデコード処理を行うオーディオデコーダ11と、このオーディオデコーダ11でのデコード処理を行うためにデータを一時的に格納するRAM10と、ストリーム分離部9から出力されたサブピクチャデータを入力して所定のデコード処理を行うサブピクチャデコーダ13と、このサブピクチャデコーダ13でのデコード処理を行うためにデータを一時的に格納するRAM12と、ストリーム分離部9から出力されたビデオデータを入力してMPEGでデコード処理を行うビデオMPEGデコーダ15と、このビデオMPEGデコーダ15でのデコード処理を行うためにデータを一時的に格納するRAM14とを備えている。
また、この光ディスク記録再生装置は、システムコントローラ22の指示に応じてビデオMPEGデコーダ15から出力されたデータとサブピクチャデコーダ13から出力されたデータとを合成するビデオプロセッサ17と、このビデオプロセッサ17から出力された合成データを表示用のビデオ信号に変換して画像をディスプレイ装置20に表示させるビデオエンコーダ18と、オーディオデコーダ11から出力されたデータをアナログのオーディオ信号に変換して図示しない音声回路を介して例えばスピーカ19に供給するD/A変換器16とを備えている。
また、この光ディスク記録再生装置は、システムコントローラ22に対して、記録指示を与えるための記録キー、再生指示を与えるための再生キー、記録や再生の停止指示を与えるための停止キーなど、各種操作キーを有するリモコン21と、このリモコン21の操作キーよりも少ない操作キーを有する本体操作部(図示せず)とを備えている。また、この光ディスク記録再生装置は、装置の各構成要素を制御したり、装置全体を制御したりするためのプログラムやデータなどが記憶されたフラッシュROM23と、このフラッシュROM23のプログラムやデータに従って演算処理を行いシステムコントローラ22を制御するCPU24と、このCPU24の演算処理に必要なデータを一時的に格納するRAM27とを備えている。
また、この光ディスク記録再生装置は、アンテナ28に接続されるチューナ29と、このチューナ29で選局されたテレビジョン放送のアナログの映像音声信号、あるいは図示しないテレビジョン受信機や他の映像音声出力機器からの映像音声信号をデジタルの映像音声データに変換するA/D変換回路30と、前記映像音声データをMPEGでエンコードするMPEGエンコーダ31と、前記エンコードした映像音声データ(以下エンコードデータと言う)を一時的に所定量だけ格納するバッファメモリとしてのRAM32と、記録データ変調回路25と接続するインターフェースであるATAPI(AT Attachment Packet Interface)33と、このATAPI33から送られてきたエンコードデータを光ディスク1に記録するために変調をかける記録データ変調回路25と、この記録データ変調回路25により変調された変調データに基づいて光ピックアップ2から出射するレーザ光を変調させるためのレーザ変調信号を光ピックアップ2に出力するレーザ変調回路26とを備えている。
図2は本発明の一実施形態に係る光ディスク記録再生装置におけるトラッキングサーボ系の構成を示すブロック図である。なお、図2において、図1に示す構成要素に対応するものには同一の符号を付す。
図2において、トラッキングサーボ系Aは、光ピックアップ2、RFアンプ6、トラッキングエラー検出回路38、トラッキングサーボ用フィルタ39、サーボ制御部4、アクチュエータ駆動回路45などにより構成されている。
光ピックアップ2は、光ディスク1に対して情報の記録/再生を光学的に行うものであり、図示しないレーザダイオードから出射されたレーザ光を光ディスク1上のトラックに収束させるための対物レンズ35と、この対物レンズ35を光ディスク1の半径方向に微小移動させるトラッキング用アクチュエータ37と、対物レンズ35で集光した光ディスク1からの反射光を図示しないビームスプリッタなどの光学系を介して受光する光検出器36とを含み構成されている。
RFアンプ6は、光ディスク1の再生時に光ピックアップ2からの読取信号であるRF信号を増幅し、トラッキングエラー検出回路38は、RFアンプ6からのRF信号に含まれるトラッキングエラー信号を検出する。トラッキングサーボ用フィルタ39は、トラッキングエラー検出回路38により検出されたトラッキングエラー信号の周波数特性を適切に調整し、そのトラッキングエラー信号を増幅すると共にサーボ制御部4からのゲイン制御信号に従ってトラッキング駆動信号のゲインを調整する。
アクチュエータ駆動回路45は、トラッキングサーボ用フィルタ39からのトラッキング駆動信号に基づいて、光ピックアップ2の対物レンズ35をトラッキング位置制御するためのトラッキングサーボ用アクチュエータ37を駆動させるアクチュエータ駆動信号を出力する。スレッド駆動回路46は、サーボ制御部4からのスレッド制御信号に従ってスレッド3を移動させるための図示しないスレッド用モータにスレッド駆動信号を出力する。
サーボ制御部4は、本実施形態の特徴として、光ディスク1におけるトラックピッチの異なる一方の領域に光ピックアップ2をシークさせ、光ピックアップ2から出力されたRF信号より検出されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、この測定された振幅に基づいてトラッキングサーボ系Aのゲインの調整を行うゲイン調整手段41と、トラッキングサーボ系Aのゲインの調整が行われた後、光ディスク1おけるトラックピッチの異なる他方の領域に光ピックアップ2をシークさせ、光ピックアップ2から出力されたRF信号より検出されたトラッキングエラー信号の振幅を測定するトラッキングエラー振幅測定手段42と、前記一方の領域において測定されたトラッキングエラー信号の振幅から前記他方の領域において測定されたトラッキングエラー信号の振幅への振幅変化によるゲイン差を算出すると共に、光ディスク1におけるトラックピッチの差によるゲイン差を算出するゲイン差算出手段43と、前記一方の領域で調整されたゲインと前記振幅変化によるゲイン差と前記トラックピッチの差によるゲイン差とに基づいて前記他方の領域に必要なゲインを算出してトラッキングサーボ系Aに設定するゲイン設定手段44とを有する。
次に、図2に示すトラッキングサーボ系Aの動作について説明する。ここでは、光ディスク1がBD(ブルーレイ・ディスク)であるとして説明するが、光ディスクはBDに限ることはない。
この光ディスク記録再生装置において、光ディスク1が挿入され、立ち上げが開始されると、光ピックアップ1からのRF信号に含まれるトラッキングエラー信号が、トラッキングエラー検出回路3により検出され、この後、トラッキングサーボ用フィルタ39により、そのトラッキングエラー信号の周波数特性が適切に調整される。
トラッキングサーボ用フィルタ39は、トラッキングエラー検出回路38により検出されたトラッキングエラー信号の周波数特性を適切に調整し、そのトラッキングエラー信号を増幅すると共に、サーボ制御部4からのゲイン制御信号に従ってトラッキング駆動信号のゲインを調整する(トラッキングサーボ系Aのゲインを調整する)。
アクチュエータ駆動回路45は、トラッキングサーボ用フィルタ39からのトラッキング駆動信号に基づいて、光ピックアップ2の対物レンズ35をトラッキング位置制御するためのトラッキングサーボ用アクチュエータ37を駆動させるアクチュエータ駆動信号を出力する。これにより、トラッキングサーボ用アクチュエータ37は、対物レンズ35で収束されたレーザ光が光ディスク1のトラックの中心を照射するように、対物レンズ35をトラックに対して追従動作させる。
ここで、対物レンズ35で収束されたレーザ光が光ディスク1のトラックに対する中心位置からシフトした場合、トラッキングサーボ用フィルタ39は、サーボ制御部4からのゲイン制御信号により、ゲインが上げられ、トラッキングサーボ用アクチュエータ37に対する制御力が低下しないように補正される。
例えば、対物レンズ35がレンズ中心位置から光ディスク1のトラックの中心位置から例えば右へシフトした場合、トラッキングサーボ用アクチュエータ37の感度が低下するが、トラッキングサーボ用フィルタ39のゲイン補正分は、サーボ制御部4からのゲイン制御信号によって上げられ、トラッキングサーボ用アクチュエータ37に対する制御力は大きくなる。
このトラッキングサーボ系Aによれば、対物レンズ35がシフトして来ると、その分、トラッキングサーボ用フィルタ39のゲインを上げることで、トラッキングサーボ用アクチュエータ37の制御力が落ちるのを抑制することができる。
図3は本実施形態においてトラッキングサーボ系がトラッキングサーボ制御に引き込むまでの処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートおよび図1、図2を参照して、トラッキングサーボ系がトラッキングサーボ制御に引き込むまでの処理について説明する。ここでは、光ディスク1はBDであり、トラックピッチの異なる一方の領域とは、ノーマルピッチエリア(データエリア)であり、他方の領域とは、ワイドピッチエリア(リードインエリア)であるとして説明する。
光ディスク1は、スピンドルモータ5によって回転しており、また、同時に、サーボ制御部4によるフォーカスサーボ制御が定常的に行われている状態にあるものとする。このような状態において、サーボ制御部4のゲイン調整手段41は、スレッド駆動回路46を介してスレッド3を移動させ、光ディスク1のノーマルピッチエリアに光ピックアップ2をシークさせる(ステップS1)。
そして、ゲイン調整手段41は、光ピックアップ2から出力されたRF信号より検出されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、この測定された振幅に基づいてトラッキングサーボ系Aのゲインの調整を行う。即ち、ゲイン調整手段41は、図2に示す構成例ではトラッキングエラー検出回路38から出力されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、この測定された振幅に基づいて、光ディスク1のノーマルピッチエリアでトラッキングサーボ用フィルタ39のゲインを調整する(ステップS2)。
トラッキングサーボ用フィルタ39のゲインの調整が行われた後、トラッキングエラー振幅測定手段42は、スレッド駆動回路46を介してスレッド3を駆動させ、光ディスク1におけるトラックピッチの異なる他方の領域であるワイドピッチエリア(リードインエリア)に光ピックアップ2をシークさせ(ステップS3)、光ピックアップ2から出力されたRF信号より検出されたトラッキングエラー信号の振幅(TE振幅)を測定する(ステップS4)。即ち、トラッキングエラー振幅測定手段42は、図2に示す構成例では、トラッキングエラー信号の振幅を測定するため、トラッキングエラー検出回路38からのトラッキングエラー信号を入力して、そのトラッキングエラー信号の振幅を測定する。
次に、ゲイン差算出手段43は、ノーマルピッチエリアにおいて測定されたトラッキングエラー信号の振幅からワイドピッチエリアにおいて測定されたトラッキングエラー信号の振幅への振幅変化によるゲイン差を算出する(ステップS5)と共に、光ディスク1におけるトラックピッチの差によるゲイン差を算出する(ステップS6)。
例えば、BDの光ディスクにおいて、規格上、ノーマルピッチエリアのトラックピッチは0.32μmであり、ワイドピッチエリアは0.35μmであるので、トラックピッチの差によるゲイン差(G3)〔dB〕は、20・log(0.32/0.35)〔dB〕≒−0.8〔dB〕となる。これにより、光ピックアップ2がノーマルピッチエリアからワイドピッチエリアにシークした場合は、トラッキングサーボ用フィルタ39のゲインを約0.8dB下げる必要があることが分かる。
前記のように、BDの光ディスクにおいて、トラックピッチの差によるゲイン差は、BDの規格によって決まり、光ピックアップ2がノーマルピッチエリアからワイドピッチエリアにシークしたとき、トラッキングエラー信号の振幅が変動するので、トラッキングエラー信号の振幅を測定して、そのトラッキングエラー信号の振幅変化の倍率(ゲイン差)も同時に算出する。
例えば、ノーマルピッチエリアでのトラッキングエラー信号のゲイン(G1)〔dB〕が0〔dB〕であり、ワイドピッチエリアにシーク後にトラッキングエラー信号の振幅のゲイン(G2)〔dB〕が3〔dB〕になると仮定すると、トラックピッチ差によるゲイン差が前記のように−0.8dBであるので、ワイドピッチエリアでのゲイン設定値(G)〔dB〕は、G〔dB〕=G1〔dB〕−G2〔dB〕+G3〔dB〕=0〔dB〕−3〔dB〕+(−0.8)〔dB〕=−3,8〔dB〕と言う計算式より、−3.8〔dB〕になる。
即ち、光ピックアップ2がノーマルピッチエリアからワイドピッチエリアにシークしたとき、トラッキングエラー信号の振幅が大きくなり、このままではトラッキングサーボ用フィルタ39から出力されるトラッキング駆動信号の振幅も大きくなるので、トラッキングサーボ用フィルタ39のゲインを3dB下げる。そして、トラックピッチの差によるゲイン差である−0.8dBを前記−3dBに加算して、−3.8dBを得る。この−3.8dBがワイドピッチエリアで必要なトラッキングサーボ用フィルタ39のゲイン設定値になる。
ところで、ノーマルピッチエリアとワイドピッチエリアで理想とするゲインが異なる場合がある。例えば、DVDやBDであれば、トラッキングサーボ用フィルタ39は、数KHz程度のカットオフ周波数であり、例えば、BDへの情報の記録時においてノーマルピッチエリアでのカットオフ周波数が3.5KHzであり、ワイドピッチエリアではカットオフ周波数が変わってくるので、例えば、ワイドピッチエリアでのカットオフ周波数が3KHzとすれば、3.5KHzから3KHzに下がるように、オフセット値αを前記式で算出したワイドピッチエリアでのゲイン設定値(G)に加算する。
オフセット値αは、例えばα〔dB〕=20・log(3/3.5)〔dB〕≒−1dBとなり、補正後のゲイン設定値(G)は、約−3.9dBとなる。この補正後のゲイン設定値(G)〔dB〕は、G〔dB〕=G1〔dB〕−G2〔dB〕+G3〔dB〕+α〔dB〕と言う計算式により算出される。オフセット値αは、ノーマルピッチエリアとワイドピッチエリアでの目標カットオフゲインの誤差を示すので、目標カットオフゲイン差と呼ぶことにする。
以上のようにしてワイドピッチエリアでのトラッキングサーボ用フィルタ39のゲインが設定された後、サーボ制御部4は、トラッキングサーボ系Aをトラッキングサーボ制御に引き込む(ステップS8)。したがって、光ピックアップ2は、トラッキングサーボ制御により、光ディスク1のトラックに対してレーザ光が適切に照射されるようになる。
以上説明したように本実施形態によれば、トラックピッチの異なる一方の領域(ノーマルピッチエリア)でトラッキングサーボ系Aのトラッキングサーボ用フィルタ39のゲイン調整を行った場合、他方の領域(ワイドピッチエリア)に光ピックアップ2をシークした後、一方の領域で調整されたゲインと、トラッキングエラー信号の振幅変化によるよるゲイン差と、トラックピッチによるゲイン差とに基づいて、他方の領域で必要なトラッキングサーボ系Aのゲインを算出し、そのゲインをトラッキングサーボ系Aに設定するようにしたので、トラックピッチの異なる2箇所の領域でのゲイン調整の一方を削除でき、これにより、立ち上げ時間が短縮でき、且つ両方の領域で安定したトラッキングサーボをかけることができる。また、一方の領域と他方の領域で理想とするゲインが異なる可能性があっても、トラッキングサーボ系Aのトラッキングサーボ用フィルタ39に適切なゲインを設定することができる。
本発明は、CD、DVD、BD、HD・DVDなどの光ディスクに対して情報の記録/再生を行う光ディスク記録再生装置におけるトラッキングサーボ系に利用可能である。
本発明の一実施形態に係る光ディスク記録再生装置の構成を示すブロック図である。 前記実施形態に係る光ディスク記録再生装置におけるトラッキングサーボ系の構成を示すブロック図である。 前記実施形態においてトラッキングサーボ系がトラッキングサーボ制御に引き込むまでの処理を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
A トラッキングサーボ系
1 光ディスク
2 光ピックアップ
4 サーボ制御部
35 対物レンズ
39 トラッキングサーボ用フィルタ
41 ゲイン調整手段
42 トラッキングエラー振幅測定手段
43 ゲイン差算出手段
44 ゲイン設定手段

Claims (4)

  1. レーザ光を光ディスク上のトラックに収束させるための対物レンズを有し、光ディスクに対して情報の記録/再生を光学的に行うための光ピックアップと、この光ピックアップからのRF信号に含まれるトラッキングエラー信号に基づいて前記対物レンズをトラッキング制御するトラッキングサーボ系を備えた光ディスク記録再生装置において、
    光ディスクにおけるトラックピッチの異なる一方の領域に前記光ピックアップをシークさせ、前記光ピックアップから出力されたRF信号より検出されたトラッキングエラー信号の振幅を測定し、この測定された振幅に基づいて前記トラッキングサーボ系のゲインの調整を行うゲイン調整手段と、
    前記トラッキングサーボ系のゲインの調整が行われた後、光ディスクにおけるトラックピッチの異なる他方の領域に前記光ピックアップをシークさせ、前記光ピックアップから出力されたRF信号より検出されたトラッキングエラー信号の振幅を測定するトラッキングエラー振幅測定手段と、
    前記一方の領域において測定されたトラッキングエラー信号の振幅から前記他方の領域において測定されたトラッキングエラー信号の振幅への振幅変化によるゲイン差を算出すると共に、前記光ディスクにおけるトラックピッチの差によるゲイン差を算出するゲイン差算出手段と、
    前記一方の領域で調整されたゲインと前記振幅変化によるゲイン差と前記トラックピッチの差によるゲイン差とに基づいて前記他方の領域に必要なゲインを算出して前記トラッキングサーボ系に設定するゲイン設定手段と、を有するサーボ制御部を備えたことを特徴とする光ディスク記録再生装置。
  2. 光ディスクにおけるトラックピッチの異なる一方の領域とは、ノーマルピッチエリアであり、他方の領域とは、ワイドピッチエリアであることを特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録再生装置。
  3. 前記ゲイン設定手段は、一方の領域で調整されたゲインをG1〔dB〕、振幅変化によるゲイン差をG2〔dB〕、トラックピッチ差によるゲイン差をG3〔dB〕とすると、他方の領域でのゲイン設定値G〔dB〕を、G〔dB〕=G1〔dB〕−G2〔dB〕+G3〔dB〕と言う計算式で算出することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録再生装置。
  4. 前記ゲイン設定手段は、一方の領域で調整されたゲインをG1〔dB〕、振幅変化によるゲイン差をG2〔dB〕、トラックピッチ差によるゲイン差をG3〔dB〕、一方の領域と他方の領域で理想とするゲインが異なる場合、目標カットオフゲイン差をα〔dB〕とすると、他方の領域での補正後のゲイン設定値G〔dB〕を、G〔dB〕=G1〔dB〕−G2〔dB〕+G3〔dB〕+α〔dB〕と言う計算式で算出することを特徴とする請求項1に記載の光ディスク記録再生装置。
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