JP2009024085A - 紫外線吸収性ポリマー材料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のセリウム(Ce)又はタンタル(Ta)イオンアイオノマーからなる紫外線吸収材、及び、その紫外線吸収材からなるフィルム、シート等の成形品。
【選択図】図1
Description
特に近時、地球を取り巻くオゾン層の退縮現象が大きな問題として取り上げられ、オゾン層の破壊による紫外線量の増大による被害を防止するため新規で有効な紫外線吸収材の提供が注目されている。
例えば、特許文献1には、ポリエチレン系熱可塑性樹脂に特定の化学構造式を有するトリアジン系紫外線吸収剤を配合した農業用フィルム組成物の発明が開示されている。
又、紫外線吸収剤を樹脂に配合する場合は、その吸収剤の種類あるいは配合量によっては、樹脂の成形加工に必要な温度での加熱で分解、揮発、昇華、ブリードアウトによる汚染等の問題が生ずる。
又、一旦架橋を施した後は、該物品の形状を大きく変形するような加工処理はでき難いと云う問題があり、この点で用途よっては使用が制限されることもある。
従って、自由な熱変形加工が随時可能な熱可塑性樹脂からなる紫外線吸収材が求められていた。
更に、本発明の別の目的は、上記の紫外線吸収材を成形してなる成形品、特に、該材からなるフィルム、シートを提供するにある。
前記アイオノマーのセリウム(イオン)又タンタル(イオン)による中和度は 10モル%以上であることが好ましい。
前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体はエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体からなることが好ましい。
又、本発明の紫外線吸収能に優れたポリマー組成物は、前記アイオノマーに、更に、酸化亜鉛(ZnO)微粉末が配合された態様が好ましい。
また、本発明は、前記紫外線吸能収材を成形してなる成形品、特に、該紫外線吸収材からなるフィルム又はシートを提供する。
従って、紫外線カットや紫外線耐久性を必要とする成形品、例えば、ホース、チューブ、建材、自動車外装部品、化粧品容器、医薬品容器等の成形品、更に、農業用フィルム・シートや食品包装用フィルム等、紫外線吸収用フィルム、シートとして好適に用いられる。
本発明の紫外線吸収能を有するポリマー材料及び紫外線吸収材は、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のセリウム(Ce)アイオノマー又はタンタル(Ta)アイオノマーからなる。
これらの内ではアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
尚、本発明に於いては、エチレン・不飽和カルボン酸共重合体はエチレンと不飽和カルボン酸との2元共重合体だけでなく、エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体等のエチレンと不飽和カルボン酸を含む多元共重合体もその範疇に包含する。
該エチレン・不飽和カルボン酸・不飽和カルボン酸エステル共重合体に於ける不飽和カルボン酸エステル成分としては、前記不飽和カルボン酸成分に用いられる各カルボン酸の炭素数1〜20のアルキルエステルを挙げることができ、アルキル基としてより具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、イソオクチルなどのアルキル基を例示することがでる。
これらの内ではアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、特にアクリル酸又はメタクリル酸のメチル、エチル、イソブチルエステルが好ましい。
尚、本発明では、該共重合体は、不飽和カルボン酸種や重合組成を異にする複数種を組み合わせたものでも良く、不飽和カルボン酸種の異なる複数の共重合体からなるものは成形、加工時の溶融粘弾性性状の微妙な調整が可能であると云う利点もある。
セリウム(Ce)は周期律表3族に属し希土類元素の内のランタノイド系元素の一つで、酸化数3と4、即ち3価又は4価のイオンが知られている。
タンタル(Ta)は周期律表5族に属しバナジウム族元素の一つで、酸化数3、4、5として存在する。
本発明のアイオノマーではセリウムは3価イオン状態で用いることが好ましい。
またエチレン・不飽和カルボン酸共重合体のセリウム(Ce)又はタンタル(Ta)イオンアイオノマーの190℃、2160g荷重(JIS K7210に準拠)に於けるメルトフローレート(MFR)が0.01〜100g/10分、特に 0.1〜 50g /10分であることが得られる成形品への強度付与等の観点から好ましい。
所望のメタクリル酸単位含量のエチレン・メタクリル酸共重合体をベース樹脂として選択、準備し、これに該樹脂のカルボン酸単位含量、所望の中和度等を勘案した所定量のCe塩またはTa塩の粉末或いはその溶液、例えばセリウムの場合であれば酢酸セリウム(Ce(CH3COO)3)粉末又はその水溶液、を添加し、例えば、プラストミル 1軸もしくは2軸押出機等の混練装置を用い、100 〜 250℃程度の温度で、攪拌速度20 〜 150rpm程度で約 5 〜 50 分混練してアイオノマー素材を得る。
これを直接、或いは一旦ペレット状等にした後、フィルム、シート等所望の形状に成形加工する。
特に、充填剤として所謂ナノフィラーと称せられる、超微粒無機粉末、例えば、粒径1〜100nm程度の超微粒酸化亜鉛(ZnO)粉末を配合した物は、近紫外領域での紫外線吸収効果がより良好で、然も可視領域や近赤外領域での光透過率を殆ど低下させず、低分子量成分のブリードアウトによる汚染等もないので好適である。
該図は、(1)Ceアイオノマー(本発明品:ベース樹脂;エチレン・メタクリル酸共重合体、メタクリル酸含量=15重量%、MFR=60g/10分、密度940kg/m3、;ベース樹脂中のカルボキシル基のCe(イオン)による中和度30%)、(2)市販品Znアイオノマー(比較例品:三井・デュポン社製ハイミランH1706)、及び、(3)該市販品Znアイオノマーに酸化亜鉛超微粒子(平均粒径:20 nm)を1000ppm配合した組成物(比較例品)、からなるプレスシート(厚さは何れも約500μm)の200nm〜2200nm波長領域の光に対する透過率(T:%)を示した線図である。
一方、紫外線波長領域では市販Znアイオノマー(2)に対して格段に低い透過率(高い吸収率)を示し、紫外線吸収性に優れると云われている組成物(3)よりも更に透過率が低いことが判る。
紫外線吸収特性:
◎:350nm、330nm及び300nmの光波長の透過率が、可視光500nmの透過率より小さく、特
に300nmの透過率が0%である。
○ :300nmの光波長の透過率が10%未満である。
△ :300nmの光波長の透過率が20%未満である。
× :300nmの光波長の透過率が20%以上である。
可視光線透過率:
◎ :可視光域の500nmの光波長の透過率が、80%以上である。
○ :可視光域の500nmの光波長の透過率が、70%以上である。
△ :可視光域の500nmの光波長の透過率が、50%以上である。
× :可視光域の500nmの光波長の透過率が、50%未満である。
フ゛リート゛アウト性:
○ :500μm厚の試験片を40℃×90%RHの雰囲気下に3ケ月間曝しても、表面状態に変化
が見られない。
× :500μm厚の試験片を40℃×90%RHの雰囲気下に3ケ月間曝すと、試験片表面に低分
子量成分により汚染されている。
ベース樹脂としてエチレン・メタクリル酸共重合体(メタクリル酸含量=15重量%、MFR=60g/10分、密度940kg/m3を用い、この樹脂に酢酸セリウム(Ce(CH3COO)3)微粉末を添加してラボプラストミル中で、190℃、攪拌速度40rpmで約40分混練して、中和度30%の(即ちベース樹脂のカルボキシル基の30%がCe(イオン)で中和された)Ceアイオノマー素材を得た。
そしてこの素材を用いて加熱圧縮成形機により厚さ500μmのプレスシートを作製した。
これを裁断したシート試料を紫外可視赤外分光光度計(島津製作所社製UVpc)にて光波長走査範囲200〜2200nmで透過率(T%)を測定した。
得られた分光光度測定線図を図1(符号(1))に示した。
図1(1)から明らかなように実施例1のシートは極めて優れた紫外光線吸収能を示し、光透過率は波長350nmで31.6%、330nmで2.0%、300nmでは0%である。
一方、可視光線領域である波長500nmでは透過率83.3%を示し透明性に優れる市販のZnアイオノマーシートに近い透過率を示す。
実施例1で用いたベース樹脂と同じ樹脂を用い、タンタル(V)エトキシド(Ta(OC2H5)5)微粉末を添加してラボプラストミル中で、190℃、攪拌速度40rpmで約40分混練し、中和度30 %の(即ちベース樹脂のカルボキシル基の30%がTa(イオン)で中和された)Taアイオノマー素材を得た。
これを実施例1と同様にシート成形し、実施例1と同様に分光光度測定した。 その結果、光透過率は波長350nmで64.6、330nmで27.9%、300nmで0%であった。
又、波長500nmでは透過率84.8%を示した。表−1に実施例2の結果を示す。
市販品Znアイオノマー(三井・デュポン社製ハイミランH1706)素材から厚さ500μmのプレスシートを作製した。
これを裁断したシート試料を紫外可視赤外分光光度計(島津製作所社製UVpc)にて光波長走査範囲200〜2200nmで透過率(T%)を測定した。
得られた分光光度測定線図を図1(符号(2))に示した。
光透過率は波長350nmで84.8%、330nmで83.1%、300nmでは66.8%である。
又、可視光線領域である波長500nmでは透過率88.6%を示した。
表−1に比較例1の結果を示す。
比較例1と同じZnアイオノマー70gに超微粒酸化亜鉛(ZnO:ナノフィラー:平均粒径約 20 nm)0.07gを配合し、ラボプラストミル中で、130℃、攪拌速度40rpmで約20分混練して酸化亜鉛微粒子を配合したZnアイオノマー組成物を得た。
これを実施例1と同様にシート成形し、実施例1と同様に分光光度測定した。
得られた分光光度測定線図を図1(符号(3))に示した。
光透過率は波長350nmで36.9%、330nmで31.8%、300nmでは16.9%である。
又、可視光線領域である波長500nmでは透過率78.1%を示した。
実施例1で用いたと同じベース樹脂から、Yb、Dy、Ho、Nd、Gd、Er、Cs、Sm及びNbの各金属イオンアイオノマー(中和度は何れも約30%)を調製し、これを実施例1と同様にシート成形し、実施例1と同様に分光光度測定した。
測定結果を表2に纏めて示した。
2 比較例1(Znアイオノマー)
3 比較例2(ZnO微粒子配合組成物)
Claims (8)
- エチレン・不飽和カルボン酸共重合体のセリウム(Ce)又はタンタル(Ta)アイオノマーからなる優れた紫外線吸収能を有するポリマー材料。
- 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体の不飽和カルボン酸単位含量が 2 〜 30 重量%である請求項1記載のポリマー材料。
- 前記アイオノマーのセリウム又タンタルイオン中和度が 10 %以上である請求項1又は2記載のポリマー材料。
- 前記エチレン・不飽和カルボン酸共重合体がエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体からなる請求項1乃至3の何れかに記載のポリマー。
- 前記アイオノマーに更に酸化亜鉛(ZnO)微粉末を配合してなる請求項1乃至4の何れかに記載のポリマー組成物。
- 前記請求項1乃至5の何れかに記載のポリマーを成形してなる成形品。
- 前記請求項1乃至5の何れかに記載のポリマーからなるフィルム又はシート。
- 請求項1及至5のポリマー材料またはポリマー組成物からなる紫外線吸収(カット)材。
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