JP5671354B2 - 農業用塩化ビニル系樹脂組成物 - Google Patents

農業用塩化ビニル系樹脂組成物 Download PDF

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Description

本発明は、農業用塩化ビニル系樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、低重合度の塩化ビニル系樹脂を使用しながら、従来品と同様の全光線透過率を維持しつつ、表面のべたつきの軽減された農業用塩化ビニル系樹脂組成物に関する。
従来、ハウス施設を利用した植物栽培が盛んに行われており、その被覆材として可塑剤を含有する農業用塩化ビニル系樹脂フィルムが多用されている。たとえば、特許文献1には、1500〜2700の重合度を有する塩化ビニル系樹脂と、可塑剤と、長石の微粉末とを配合してなる農業用ビニルフィルムの押出成形用樹脂組成物が開示されている。かかる農業用ビニルフィルムの押出成形用樹脂組成物によれば、全光線透過率を維持しつつ、フィルム表面がべたつかない押出成型用樹脂組成物が得られるとのことである。
特開2005−139216号公報
しかしながら、特許文献1に記載の樹脂組成物は、べたつきをある程度軽減するために、高重合度の塩化ビニル系樹脂組成物を用いているが、このような高重合度の塩化ビニル系樹脂組成物は、カレンダー成型によりシートを調製するには不向きであり、成型方法は押出成型用に限定されており、生産性が優れているとはいえない。
さらに、そもそも農業用塩化ビニル系樹脂フィルムにおいては、ハウス内太陽光を直接入射させるだけでは、たとえばマンゴーなど色ムラを生じやすい植物を栽培する上で不都合である。すなわち、太陽光が直接入射される場合、ハウス内の植物に直接的に太陽光が照射されることとなり、太陽光が照射される箇所とされない箇所との間で色ムラが生じるという問題がある。かかる色ムラは、外観上の不良を生じるだけでなく、果物の場合は個体内で糖度の異なる部位が生じるという問題がある。また、マンゴーの色ムラを防ぐ目的で、成熟前のマンゴーのそれぞれに白い薄い袋をかぶせることが知られているが面倒である。さらに、単に入射光の量を減らすと植物の発育に影響を及ぼす可能性がある。
そこで、全光線透過率を透明フィルムと同等に維持しつつ、拡散光透過率を所定の範囲とすることにより、入射する太陽光の量を減らすことなく、太陽光の散乱を促すことにより、色ムラを防止する必要があるが、かかる課題および解決手段については特許文献1に開示も示唆もされていない。
本発明は、低重合度の塩化ビニル系樹脂を使用しながら、従来の透明フィルムと同等の全光線透過率を維持しつつ、太陽光の散乱を促し、かつ、表面のべたつきの軽減された農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを提供するための農業用塩化ビニル系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明の農業用塩化ビニル系樹脂組成物は、平均重合度が1300以上1500未満の塩化ビニル系樹脂と、可塑剤とを含み、
前記塩化ビニル系樹脂100重量部当たり、前記可塑剤を30〜60重量部含み、
前記塩化ビニル系樹脂が、架橋された塩化ビニル系重合体を含むことを特徴とする。当該農業用塩化ビニル系樹脂組成物によれば、低重合度の塩化ビニル系樹脂を使用しながら、従来の透明フィルムと同等の全光線透過率を維持しつつ、太陽光の散乱を促し、かつ、表面のべたつきの軽減された農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを提供することができる。
前記塩化ビニル系樹脂における塩化ビニル系重合体と架橋された塩化ビニル系重合体との混合比が、99:1〜60:40であることが好ましい。当該農業用ポリビニル系樹脂組成物によれば、架橋された塩化ビニル系重合体が適量混合されていることにより、フィルム表面のべたつきが改善され、かつ、太陽光の乱反射を促し、植物へ直接的に光が照射されることを防ぐことができる。
さらに、平均粒径が1〜7μmの不活性固体物質の微粉末を、前記塩化ビニル系樹脂100重量部当たり、0.5〜5重量部含むことが好ましく、前記不活性固体物質が長石であることが好ましい。当該不活性固体物質を含むことにより、フィルム強度に影響を及ぼすことなく、フィルム同士の密着を防止することが可能となる。
また、カレンダー成型用であることが好ましい。これにより、従来の押出成型により得られた樹脂フィルムと比べて品質が劣ることなく、かつ、量産性に優れたフィルムが得られる。
本発明によれば、低重合度の塩化ビニル系樹脂を使用しながら、従来の透明フィルムと同等の全光線透過率を維持しつつ、太陽光の散乱を促し、かつ、表面のべたつきの軽減された農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを提供するための農業用塩化ビニル系樹脂組成物を提供することができる。
本発明の農業用塩化ビニル系樹脂組成物は、平均重合度が1300以上1500未満の塩化ビニル系樹脂100重量部当たり、可塑剤30〜60重量部を含み、前記塩化ビニル系樹脂が、架橋された塩化ビニル系樹脂を含むことを特徴とする。なお、本発明では、架橋された塩化ビニル系樹脂に対して、架橋されていない塩化ビニル系樹脂を単に塩化ビニル系樹脂ということとする。
塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、1300以上1500未満であることが好ましく、1350以上1450以下の場合がさらに好ましい。平均重合度が1300未満の場合、成形したフィルムにコシがなく、取り扱いづらくなる傾向があり、平均重合度が1500以上の場合、成形中に焼け、異物が発生しやすくなる傾向がある。
塩化ビニル系樹脂は、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルを主体とする共重合体であり、例えば、エチレン−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、塩化ビニル−ハロゲン化オレフィン共重合体などをあげることができる。また、これらの塩化ビニル系樹脂を主体とする他の相溶性の樹脂(例えばポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体、部分ケン化ポリビニルアルコールなど)とのブレンド物も含まれる。これら塩化ビニル系樹脂の重合方法は特に限定されず、塊状重合法、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法など常用の製造方法により得られる。さらに、これら塩化ビニル系樹脂は1種を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、架橋された塩化ビニル系樹脂は、前述の塩化ビニル系樹脂が架橋された樹脂であり、架橋方法としては特に限定されないが、たとえば電子線架橋法、有機過酸化物法およびシラン架橋法等を採用することができる。
本発明では、塩化ビニル系樹脂だけではなく、架橋された塩化ビニル系樹脂が混合されている点に特徴がある。すなわち、フィルム作成時の処方において、塩化ビニル系樹脂と架橋された塩化ビニル系樹脂とが混合されていることを特徴とする。塩化ビニル系樹脂と架橋された塩化ビニル系樹脂との混合比は特に限定されないが、塩化ビニル系樹脂と架橋された塩化ビニル系樹脂との混合比が99:1〜60:40の場合、フィルム表面のべたつきが改善され、かつ、太陽光の乱反射を促し、植物へ直接的に光が照射されることを防ぐことができるため好ましい。混合比は、97:3〜70:30がさらに好ましく、95:5〜80:20が特に好ましい。このように、架橋された塩化ビニル系樹脂を配合することにより、塩化ビニル系樹脂フィルムの表面に架橋された塩化ビニル系樹脂が偏在することとなり、かかる偏在した架橋された塩化ビニル系樹脂により太陽光の乱反射が促され、植物への直射日光の照射を回避することができ、これにより植物の色ムラを防止することが可能となる。また、フィルム表面に偏在する架橋された塩化ビニル系樹脂により、樹脂フィルム表面のべたつきが軽減され、かつ、樹脂フィルムをロール状に巻き上げた際にフィルム同士が融着することを防ぐことができる。
可塑剤としては、たとえばジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸誘導体;ジイソオクチルイソフタレート等のイソフタル酸誘導体;ジオクチルアジペート、ジ−n−ブチルアジペート等のアジピン酸誘導体;ジ−n−ブチルマレート等のマレイン酸誘導体;トリ−n−ブチルシトレート等のクエン酸誘導体;モノブチルイタコネート等のイタコン酸誘導体;ブチルオレエート等のオレイン酸誘導体;グリセリンモノリシノレート等のリシノール酸誘導体;その他リン酸トリクレジル、リン酸トリキシレニル、エポキシ化大豆油等があげられる。フィルムに柔軟性を付与しやすく、かつ、コストの観点から、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルアジペート、エポキシ化大豆油が好ましい。
可塑剤の配合量としては、塩化ビニル系樹脂フィルムに柔軟性を付与する観点から、塩化ビニル系樹脂と架橋された塩化ビニル系樹脂との合計100重量部当たり30〜60重量部が好ましく、40〜55重量部がさらに好ましい。30重量部未満の場合、フィルムへの柔軟性が充分に付与されない可能性があり、60重量部を超える場合、フィルムの保形性が劣る傾向がある。
本発明の農業用塩化ビニル系樹脂組成物は、フィルム同士の密着を防止する観点から、平均粒径が1〜7μmの不活性固体物質の微粉末を塩化ビニル系樹脂と架橋された塩化ビニル系樹脂との合計100重量部当たり0.5〜5重量部含むことが好ましい。
不活性固体物質の微粉末としては、たとえば酸化珪素(シリカ)、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、マグネシウム珪酸塩(タルク)、炭酸マグネシウム、、酸化アルミニウム、長石、雲母、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、珪酸アルミニウムの少なくとも1種または2種以上を組み合わせて添加することができる。これらの中でも、物理的、化学的に安定であること、特に樹脂フィルムの成型中に溶融したり、変質したりしないものが好ましく、具体的には、長石が好ましい。平均粒径は、1〜7μmが好ましく、2〜6μmがさらに好ましく、4〜5μmのものが特に好ましい。平均粒径が1μm未満の場合、フィルム同士の密着防止効果が低い傾向があり、7μmを超える場合、樹脂フィルムの強度を低下させる傾向がある。
当該不活性固体物質の配合量としては、塩化ビニル系樹脂100重量部当たり0.5〜5重量部含むことが好ましく、0.8〜4重量部含むことがさらに好ましく、1.0〜2.5重量部含むことが特に好ましい。配合量が0.5重量部未満の場合、フィルム同士の密着防止効果が低い傾向があり、5重量部を超える場合、樹脂フィルムの強度を低下させる傾向がある。当該配合量の範囲内であれば、樹脂フィルムの強度を実用可能な範囲外に低下させることがなく、かつ、フィルム同士の密着を充分に防止し得る。
また、本発明の樹脂組成物の成型方法としては特に限定されず、押出成型、カレンダー成型などの各種成型方法を採用することができる。本発明は、前述のとおり低重合度の塩化ビニル系樹脂を使用しているため、高重合度の塩化ビニル系樹脂を使用した場合に困難であったカレンダー成型にも適用することができる。これにより、量産性に優れ、低コストとなる。フィルムの厚さとしては特に限定されないが、一般には0.03〜0.3mm、好ましくは0.05〜0.2mmの範囲とするのが適当である。
なお、本発明においては、上記添加剤以外に、必要に応じて、成形用の合成樹脂に通常配合される公知の樹脂添加剤、例えば、防曇剤、防霧剤、滑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、有機リン酸金属塩、無機物、抗酸化剤、安定化助剤、帯電防止剤、防黴剤、防藻剤及び着色剤等の各種添加剤を配合することができる。
防曇剤としては、農業用塩化ビニル系樹脂フィルムに通常使用されうる任意のものであることができ、例えば、非イオン系界面活性剤が好適であり、ポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のエーテル型のもの、多価アルコールとの脂肪酸の部分エステル化物のエステル型のもの、グリセリンエステルのポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンエステルのポリオキシルエチレンエーテル等のエーテルエステル型のものがあげられる。
防霧剤としては特に限定されないが、たとえばフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤があげられる。フッ素系界面活性剤としては、たとえば通常の界面活性剤の疎水基のCに結合したHのかわりにその一部または全部をFで置換した界面活性剤で、特にパーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル基を含有する界面活性剤である。フッ素系界面活性剤の配合量は、塩化ビニル樹脂100重量部当たり、たとえば0.01重量部以上0.5重量部以下である。シリコーン系界面活性剤としては、たとえばシリコーン系界面活性剤としては、アニオン型シリコーン系界面活性剤、ノニオン型シリコーン系界面活性剤、カチオン型シリコーン系界面活性剤及び両性型シリコーン系界面活性剤があげられる。アニオン型シリコーン系界面活性剤としては、カルボン酸塩変性シリコーン、スルホン酸塩変性シリコーン、硫酸エステル塩変性シリコーン及びリン酸エステル塩変性シリコーンなどがあげられ、ノニオン型シリコーン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、(ポリ)グリセリン変性シリコーン、糖類変性シリコーンなどがあげられ、カチオン型シリコーン系界面活性剤としては、4級アンモニウム変性シリコーンなどがあげられ、両性型シリコーン系界面活性剤としては、ベタイン変性シリコーンなどをあげることができる。
滑剤及び/又は熱安定助剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、脂肪酸アミド、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、リシノール酸バリウム、有機亜リン酸エステルのようなキレーター、エポキシ樹脂などがあげられ、これらの配合量としては、樹脂組成物100重量部当たり、たとえば0.01〜0.5重量部である。
紫外線吸収剤としては、農業用塩化ビニル系樹脂フィルムに通常使用されうる任意のものであることができ、例えば、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリチル酸エステル系、ハイドロキノン系、シアノアクリレート系等各種の紫外線吸収剤があげられる。具体的には、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−5−カルボン酸ブチルエステルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5,6−ジクロルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−エチルスルホンベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アミノフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−メチル−4’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ステアリルオキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5−カルボン酸フェニル)ベンゾトリアゾールエチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−3’−メチル−5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−シクロヘキシルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジメチルフェニル)−5−カルボン酸ベンゾトリアゾールブチルエステル、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジクロルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’,5’−ジクロルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)−5−エチルスルホンベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メトキシフェニル)−5−メチルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)−5−カルボン酸エステルベンゾトリアゾール、2−(2’−アセトキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンゾイルオキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホンベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−5−クロルベンゾフェノン、ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)メタン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤があげられる。これら紫外線吸収剤は、1種または2種以上を組み合わせて使用することができ、その配合量としては、塩化ビニル樹脂100重量部当たり、0.01〜3.0重量部が好ましい。
その他、光安定剤、有機リン酸金属塩、無機物、抗酸化剤、安定化助剤、帯電防止剤、防黴剤、防藻剤及び着色剤等の樹脂添加剤を必要に応じて配合することが可能である。
本発明の塩化ビニル系樹脂組成物に各種樹脂添加剤を配合するには、それぞれ必要量秤量し、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、スーパーミキサーその他従来から知られている配合機、混合機に仕込み混練すればよい。
以上、本発明の農業用塩化ビニル系樹脂組成物によれば、低重合度の塩化ビニル系樹脂を使用しながら、太陽光の散乱を促し、かつ、表面のべたつきの軽減された農業用塩化ビニル系樹脂フィルムを提供するための農業用塩化ビニル系樹脂組成物を提供することができる。
以下、実施例により本発明の農業用塩化ビニル系樹脂組成物を具体的に説明する。
評価方法を以下に示す。
1.全光線透過率および拡散光透過率
ヘーズメータ(スガ試験機(株)製、NDH2000)で試料フィルムの全光線透過率および拡散光透過率を測定し、次の基準で評価した。
全光線透過率
○:85%以上
△:80%以上、85%未満
×:80%未満
拡散光透過率
○:40〜70%
△:70%を超える
×:0%未満
2.べたつき防止性
23℃の恒温室内において、試料フィルムのべたつきの程度を手で触った感触により、次の基準で評価した。
○:さらさらしている
△:ややべたついている
×:べたついている
5.引裂き強度
エルメンドルフ試験機((株)東洋精機製作所製、D型)で試料フィルムの引裂き強さを測定し、次の基準で評価した。
○:8N以上
△:7N以上、8N未満
×:7N未満
使用原料を以下に示す。
塩化ビニル系樹脂:ポリ塩化ビニル(大洋塩ビ(株)製、TH−1400、平均重合度1400)
架橋された塩化ビニル系樹脂(架橋塩化ビニル系樹脂):ポリ塩化ビニル(架橋塩化ビニル系樹脂 平均重合度:750)
可塑剤:ジ‐2‐エチルヘキシルフタレート((株)ジェイプラス製、DOP)
可塑剤:トリクレジルホスフェート(味の素ファインテクノ(株)製、TCP)
熱安定助剤:エポキシ樹脂((株)ADEKA製、エポキシ)
防霧剤:フッ素系界面活性剤(ダイキン工業(株)製、DS−403)
滑剤: エチレンビスステアリン酸アミド(カセイ商事(株)製、EBA−16G)
紫外線吸収剤:2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン(シプロ化成(株)製、シーソーブ102)
防曇剤:界面活性剤(丸菱油化工業(株)製、PA−6653)
無機化合物: 長石粉末(白石工業(株)製、ミネックス#7、平均粒径4.5μm)
実施例1〜4、比較例1〜3
表1に示す配合組成により原料を混合し、カレンダーロール温度170〜190℃でカレンダー成型し、厚さ0.1mm、幅300cmのフィルムを得た。得られたフィルムについて、全光線透過率、拡散光透過率、べたつき、引裂き強度を評価した。結果を表2に示す。
Figure 0005671354
Figure 0005671354
本発明の農業用塩化ビニル系樹脂組成物は、ハウス施設などに利用される農業用塩化ビニル系樹脂フィルム等に利用可能である。かかる利用に際し、低重合度の塩化ビニル系樹脂を使用しながら、従来の透明フィルムと同等の全光線透過率を維持しつつ、太陽光の散乱を促し、かつ、表面のべたつきの軽減されているため、利便性がよく、また、植物に色ムラを生じにくい等の効果を奏する。

Claims (3)

  1. 農業用フィルムであって、
    平均重合度が1300以上1500未満の塩化ビニル系樹脂と、
    架橋された塩化ビニル系重合体と、
    可塑剤と
    平均粒径が4〜5μmの長石とを含み、
    前記塩化ビニル系樹脂と前記架橋された塩化ビニル系重合体との合計100重量部当たり、前記可塑剤の含有量が、30〜60重量部であり
    前記塩化ビニル系樹脂と前記架橋された塩化ビニル系重合体との混合比が、99:1〜90:10であり、前記架橋された塩化ビニル系重合体は前記農業用フィルムの表面に偏在し、
    前記塩化ビニル系樹脂と前記架橋された塩化ビニル系重合体との合計100重量部当たり、前記長石の含有量が、1.0〜2.5重量部であり、
    全光線透過率が85%以上、かつ、拡散光透過率が40〜70%であることを特徴とする農業用フィルム
  2. 前記架橋された塩化ビニル系重合体の平均重合度が750である請求項1に記載の農業用フィルム。
  3. カレンダー成型により形成された請求項1または2に記載の農業用フィルム
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