JP2009019025A - 非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状の改善剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】嗜好性に優れ、安全で日常的に継続摂取が可能で、かつ優れた効果を有する、非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状の改善剤を提供すること。
【解決手段】アラキドン酸及び/又はアラキドン酸を構成脂肪酸とする化合物とドコサヘキサエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とする化合物とを有効成分として組合せて用いる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、アラキドン酸及び/又はアラキドン酸を構成脂肪酸とする化合物とドコサヘキサエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とする化合物とを有効成分として含む、非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状の改善剤に関する。また、本発明は、前記改善剤を含む医薬組成物又は飲食品に関する。
近年、イヌ及びネコのようなペット動物の寿命が延び、ペット動物においてもヒトと同じように老化に伴う様々な症状が認められることが明らかとなっている。そのような症状には、夜鳴き、食欲の異常亢進、旋回運動、感覚異常、並びに、生活リズム、排泄状態、姿勢、感情表出及び飼い主との相互関係における異常を包含する様々なものが含まれるが、最も大きな問題となっているのが、夜鳴き、特に痴呆による夜鳴きである。ペット動物のこのような症状は、飼い主に精神的/肉体的な負担をもたらすため、ペット動物だけでなく、飼い主にとっても大きな問題となる。
ペットの夜鳴き改善剤としては、ドコサヘキサエン酸(DHA)及びエイコサペンタエン酸(EPA)を有効成分として含有する、家庭で飼育される痴呆のイヌの夜鳴き改善薬が知られている(特許文献1)。しかしながら、当該改善薬は、比較的高用量の有効成分を必要とするものであった。例えば、その実施例においては、ドコサヘキサエン酸エチルエステル又はエイコサペンタエン酸エチルエステルが0.5又は1.0g/頭/日投与されている。
特許第3731983号公報 特開2004−59848号公報
上記のとおり、DHA及びEPAを有効成分として含有する痴呆のイヌの夜鳴き改善薬が提案されているが、これは比較的高用量の有効成分を必要とするものであった。DHA又はEPAは合成品を用いることもあるが、飲食品等で利用する場合は、通常、それらを含有する魚油から抽出・精製により得られたものか、又は魚油自体を用いている。この場合、魚油は独特の不快な臭いを有することが知られている。また、DHAやEPA自体も酸化により、独特の臭いを呈することが知られている(特許文献2;特開2004−59848号公報)。したがって、DHA又はEPAを多量に摂取する場合には、嗜好性の観点から摂取に不都合を生じることがあることが問題となっていた。
すなわち、本発明の課題は、嗜好性に優れ、安全で日常的に継続摂取が可能で、かつ非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状に対して優れた改善効果を有する物質を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、アラキドン酸をドコサヘキサエン酸と組み合わせて用いることにより、嗜好性に問題がなく摂取できる用量で老化又は痴呆に伴う様々な疾患又は症状に対して優れた改善効果が得られることを見出した。
従って、本発明は、以下のものに関する。
1.アラキドン酸及び/又はアラキドン酸を構成脂肪酸とする化合物とドコサヘキサエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸する化合物とを有効成分として含む、非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状の改善剤;
2.老化又は痴呆に伴う疾患又は症状が鳴き声の異常、歩行状態の異常、生活リズムの異常及び姿勢の異常からなる群から選択される少なくとも一種である、1に記載の改善剤。
3.鳴き声の異常が夜鳴きであり、歩行状態の異常が旋回運動であり、生活リズムの異常が日中活動量の低下であり、姿勢の異常が立位保持能力の低下である、2に記載の改善剤。
4.非ヒト動物がペット動物である、1〜3のいずれか1項に記載の改善剤;
5.アラキドン酸及び/又はアラキドン酸を構成脂肪酸とする化合物とドコサヘキサエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とする化合物とを有効成分として含むペット動物の夜鳴き改善剤;
6.一日投与量として、アラキドン酸を遊離脂肪酸換算で1〜95mg、及びドコサヘキサエン酸を遊離脂肪酸換算で1〜95mg含む、1〜5のいずれか1項に記載の改善剤;
7.さらにアスタキサンチンを含むことを特徴とする、1〜6のいずれか1項に記載の改善剤;
8.ペット動物がイヌである、4〜7のいずれか1項に記載の改善剤;
9.ペット動物が老年又は痴呆のイヌである、8に記載の改善剤;
10.動物用飲食品である、1〜9のいずれか1項に記載の改善剤;
11.動物用医薬品である、1〜9のいずれか1項に記載の改善剤。
本発明においては、アラキドン酸及び/又はアラキドン酸を構成脂肪酸とする化合物とドコサヘキサエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とする化合物とを有効成分として、鳴き声の異常、歩行状態の異常、生活リズムの異常及び姿勢の異常のような老化又は痴呆に伴う様々な疾患又は症状を呈する非ヒト動物に投与することにより、当該疾患又は症状に対する優れた改善効果を提供することができる。その上、それら成分を含む改善剤は嗜好性に優れており、かつ食品成分として安全であることから、日常的に継続摂取することができ、非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状を、長期的に治療又は予防することが可能となる。
発明を実施するための形態
本発明は、アラキドン酸及び/又はアラキドン酸を構成脂肪酸とする化合物とドコサヘキサエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とする化合物とを有効成分として含む、非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状の改善剤に関するものである。また、本発明は、前記改善剤を含む医薬組成物又は飲食品にも関する。
アラキドン酸及びドコサヘキサエン酸
本発明において用いられるアラキドン酸及びドコサヘキサエン酸は、その形態や製造方法等によって何等制限されるものではないが、例示として、それらの形態や製造及び入手に関して以下に記載する。
本発明においては、有効成分として遊離脂肪酸であるアラキドン酸及びドコサヘキサエン酸を用いてもよいが、アラキドン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とするいずれの化合物も有効成分として用いることができる。アラキドン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とする化合物の例としては、アラキドン酸及び/又はドコサヘキサエン酸の塩類、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等の金属との塩、並びにアンモニウム塩及びテトラブチルアンモニウム塩のような、食品学的又は薬学的に許容可能な塩を挙げることができる。また、アラキドン酸及び/又はドコサヘキサエン酸のメチルエステルやエチルエステルなどのアルコールエステルも例として挙げることができる。また、構成脂肪酸の一部又は全部がアラキドン酸及び/又はドコサヘキサエン酸であるトリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリド、リン脂質、さらには糖脂質なども有効成分として利用することができる。食品への適応を考えた場合には、アラキドン酸及び/又はドコサヘキサエン酸はトリグリセリドやリン脂質の形態、特にトリグリセリドの形態で用いることが望ましい。
アラキドン酸及びそれを構成脂肪酸とする化合物の入手法は特に制限されないが、例えば、特開平9−135696号公報に記載されている方法にしたがって、アラキドン酸を含有する油脂(トリグリセリド)を生産する能力を有する微生物を培養して得られたものを利用することができる。本発明においては、この方法にしたがって得られる脂質を用いてもよいし、当該脂質を精製して得られるアラキドン酸を高濃度で含有する脂質を用いてもよいし、当該脂質から加工・精製等により得られたアラキドン酸を用いてもよい。
ドコサヘキサエン酸及びそれを構成脂肪酸とする化合物の入手法も特に制限されないが、例えば、イワシ、サバ、マグロ、オキアミ等の魚介類から抽出した油脂を用いることができる。本発明においては、それら油脂をそのまま用いてもよいし、精製してドコサヘキサエン酸濃度を高めたものを用いてもよいし、それら油脂から加工・精製等を経て得られたドコサヘキサエン酸を用いてもよい。
非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状の改善
本発明は、非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状を改善することができる。本明細書における「改善」との用語の定義には、疾患又は症状を治療又は軽減することだけでなく、予防又は防止することも含まれる。
本明細書における、非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状としては、認知不全症候群(CDS)、孤独不安症及び後退行動、並びに食欲、生活リズム、歩行状態、排泄状態、感覚、姿勢、鳴き声、感情表出、飼い主との相互関係、習慣行動等における異常が挙げられる。このような非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状の評価は、その程度を客観的にスコア化することにより行うことができる。非ヒト動物がイヌである場合の評価基準としては、例えば痴呆症の診断基準(第2案)[100点法](内野富弥ら考案、小動物臨床 Vol.21 No.4 (2002.7)281〜289)に記載された基準を用いることができる。そして、本明細書において、「改善剤」とは、前記の改善のために用いる剤をいう。
本発明は、特に鳴き声の異常、歩行状態の異常、生活リズムの異常、姿勢の異常に対して有効である。「鳴き声の異常」とは鳴き声が単調な状態(単調な鳴き声)、単調で大きな鳴き声を出す状態(単調で大きな鳴き声)、真夜中から明け方に鳴き出す状態(夜鳴き)等をいい、「歩行状態の異常」とは一定方向にふらふら歩く不正運動を行う状態(一定方向の不正運動)、旋回運動をする状態(大円運動、小円運動、自分中心の旋回を含む旋回運動)等をいい、生活リズムの異常(破綻)とは、日中活動量の低下、例えば、昼の活動が少なくなり夜も昼も眠る状態、昼も夜も眠っていることが多い状態、昼も夜も食事以外は死んだように眠る状態、夜中から明け方に突然起きて動き回る状態等をいい、姿勢の異常(正常姿勢保持能力の低下)とは、常に頭部と尾が下がっている状態、正常な起立姿勢を保てない状態(立位保持能力の低下)、持続的にぼーっと起立していることがある状態、異常な姿勢で寝る状態等をいう。
本明細書において用いられる「非ヒト動物」の用語の定義にはヒト以外の全ての動物が含まれ、その例は、ネコ、イヌ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、サル、ウマ、シカ、マウス、ラット、モルモット、ハムスターなどであるが、これらに限定されない。好ましい非ヒト動物は、イヌ又はネコのようなペットとして飼育されるペット動物である。
老化とは、老年性の様々な変化である(株式会社東京化学同人発行「生化学辞典(第3版)」)。本明細書において用いられる「老年」との用語は、動物又はペット業界で通常に「老年」であると認識される年齢を意味し、その年齢は動物の種類によって異なる。非ヒト動物がイヌである場合には、老年とは典型的には、7歳以上、特に12歳以上のイヌのことを意味する。
本明細書において動物に関して用いられる「痴呆」との用語は、公知のいずれかの試験により痴呆動物又は痴呆予備動物と診断される状態のことを意味する。非ヒト動物がイヌである場合には、当該試験は、例えば痴呆症の診断基準(第2案)[100点法](内野富弥ら考案、小動物臨床 Vol.21 No.4 (2002.7)281〜289)に基づいて行うことができる。この診断基準では、試験項目1〜10の総合スコアが31〜49点であるものが痴呆予備犬と定義され、当該総合スコアが50点以上であるものが痴呆犬と定義される。
ペット動物を含む非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状を改善するための投与量は、疾患又は症状の性質および重症度、および対象動物の年齢や体重等の因子によって変動しうる。しかしながら、ドコサヘキサエン酸の臭いによる影響を考慮すると、ドコサヘキサエン酸の一日投与量は、1〜95mg/頭、好ましくは20〜90mg/頭であり、さらに好ましくは50〜90mg/頭である。またアラキドン酸の一日投与量は1〜95mg/頭、好ましくは20〜90mg/頭であり、さらに好ましくは50〜90mg/頭である。投与は1回で行ってもよいし、分割して行ってもよい。アラキドン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とする化合物を用いる場合には、それらの用量は、対応する遊離脂肪酸に換算した場合に上記の用量範囲内となるように調整すればよい。
本発明は、ペット用サプリメント(動物用栄養補助食品)を包含する動物用飲食品として、或いは動物用医薬として好適に実施される。
本発明は、アラキドン酸及び/又はアラキドン酸を構成脂肪酸とする化合物とドコサヘキサエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とする化合物とを非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状の改善のために用いることができる限り、その形態は何等限定されるものではない。これらの化合物はその混合物である組成物として摂取しても良いし、または、実質的に同時摂取するのであれば、それぞれ異なる化合物を含む別の組成物として摂取してもよい。ここでいう同時摂取とは、24時間以内に摂取することを意味する。
本発明による改善剤は、好ましくは経口投与用の形態、例えば、錠剤、カプセル、顆粒、粉末またはロゼンジの形態をとることができ、或いは懸濁液のような液体製剤の形態をとることができる。カプセルは、硬質または軟質ゼラチンタイプのものでよい。
また、本発明による改善剤には、必要に応じて、食品学的又は薬学的に許容できる担体又は添加剤を含んでいてよい。特に、本発明の有効成分の酸化防止の目的で抗酸化剤を含むことが望ましい。抗酸化剤としては、例えば、トコフェロール類、フラボン誘導体、フィロズルシン類、コウジ酸、没食子酸誘導体、カテキン類、フキ酸、ゴシポール、ピラジン誘導体、セサモール、グァヤオール、グァヤク酸、p−クマリン酸、ノールジヒドログァヤテッチク酸、ステロール類、テルペン類、核酸塩基類、カロテノイド類、リグナン類などのような天然抗酸化剤;およびアスコルビン酸パルミチン酸エステル、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、モノ−t−ブチルヒドロキノン(TBHQ)、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール(HMBP)に代表されるような合成抗酸化剤を挙げることができる。
トコフェロール類の例としては、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、ε−トコフェロール、ξ−トコフェロール、η−トコフェロールおよびトコフェロールエステル(酢酸トコフェロール等)等を挙げることができる。さらに、カロテノイド類の例としては、β−カロチン、カンタキサンチン、アスタキサンチン等を挙げることができる。カロテノイド類、特にアスタキサンチンは、油脂臭の脱臭効果を有するので好ましい。
また、本発明の改善剤には、当該技術分野で公知の適切な賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、懸濁剤、コーティング剤、溶解補助剤、安定化剤、着香料、着色剤、甘味料、酸味料などが含まれてもよい。例えば、本発明の改善剤に公知の甘味料、酸味料、ビタミン等の各種成分を配合して非ヒト動物の嗜好に合う製品とすることができるが、これらに限定されるものではない。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、これにより本発明の範囲を限定するものではない。当業者は、本発明を種々変更、修飾して使用することが可能であり、これらも本発明の範囲に含まれる。
実施例1 実験用サンプルの調製
アラキドン酸含有食用油脂(SUNTGA(登録商標)40S:アラキドン酸を構成脂肪酸とするトリグリセリドであり、総構成脂肪酸に占めるアラキドン酸の割合は40%である;サントリー株式会社)、DHA(ドコサヘキサエン酸)含有精製魚油(総脂肪酸に占めるDHAの割合は46%)および抗酸化剤としてヘマトコッカス藻色素(アスタキサンチン純度5.0%)を用い、内容液が1カプセルあたり表1に示す組成で各成分を含有するようにソフトカプセル剤を調製した。具体的には、所定量の割合で原料を混合した後、得られた混合物をゼラチン皮膜の中に常法(ロータリー法)により充填し、重量125mgのソフトカプセル剤(アラキドン酸、DHAをそれぞれ27mgずつ含有)を製造した。
実施例2 イヌにおける、アラキドン酸及びDHAを含有する食用油脂の経口摂取試験
イヌ13頭を用いて試験を行った。表2に被験犬の犬種、年齢及び体重を示す。
また、試験に供されたイヌの試験開始時の痴呆の程度を評価するため、試験開始時において、痴呆症の診断基準(第2案)[100点法](内野富弥ら考案、小動物臨床 Vol.21 No.4 (2002.7)281〜289)(表3)に従って、総合的な痴呆症スコア評価を実施した。その結果も表2に示す。
内野富弥らの診断基準では、試験項目1〜10の総合スコアが31〜49点であるものが痴呆予備犬と定義され、当該総合スコアが50点以上であるものが痴呆犬と定義される。表2に示されているとおり、試験例1〜7及び試験例12〜13は試験開始時に痴呆犬又は痴呆予備犬であると評価され、試験例8〜11はいずれにも該当しなかった。
これら13頭のイヌに対し、実施例1で調製したソフトカプセル剤(アラキドン酸及びDHAの遊離脂肪酸としての含有量は、それぞれ27mg/カプセル及び27mg/カプセルである)を1日あたり2粒(体重10kg未満のイヌに対して)又は3粒(体重10kg以上のイヌに対して)、6週間摂取させた(食事は通常通り与えた)。試験期間中の被験犬の評価は、獣医師が表3に示す判定基準に基づいて、ソフトカプセル剤摂取前(0週目)、摂取の1、2、3、4、5及び6週間後の状態をスコア評価した。
先ず、項目8の鳴き声に関する結果を表4に示す。
被験犬13頭のうち、試験開始時に「鳴き声」の項目に異常の認められなかった3頭を除く10頭(試験例1〜4、6、7、9及び11〜13)の多くにおいて、被験カプセルの摂取1週間又は2週間後から鳴き声の状態の改善が認められた。そして、摂取6週間後にはこれら10頭の平均スコアは5.9点低下した。さらに、試験開始時に夜鳴き症状のあった5頭(試験例2、3、6、11〜13)のうち4頭(試験例2、3、6、11及び12)においては、摂取4週目までに夜鳴き症状が解消された。これらのことは、アラキドン酸及びDHAを経口摂取することにより、鳴き声異常(夜鳴きを含む)の優れた改善効果が速やかに得られることを意味する。また、試験開始時に鳴き声が正常であった試験例5、8及び10のスコアは試験期間を通じて変動せず、このことは、本発明の改善剤が正常な個体の鳴き声の状態には悪影響を及ぼさないことを示している。
また、図1に示されるように、本実施例においては鳴き声の改善効果だけでなく、痴呆症の診断基準(第2案)の総スコアも低下していた。特に、図2に示すとおり、「歩行状態」、「生活リズム」、「姿勢」の項目においても「鳴き声」と同様に統計学的に有意な改善が認められた。代表例として、「歩行状態」の個別データを表5に示す。
試験開始時に「歩行状態」の項目に異常の認められなかった3頭を除く10頭(試験例1、2、4、6〜8、及び10〜13)の多くにおいて、被験カプセルの摂取1週間又は2週間後から症状の改善が認められた。そして、摂取6週間後にはこれら10頭の平均スコアは2.2点減少した。さらに、試験開始時に旋回運動を示した動物の多く(試験例2、4、11及び13)においては、その症状が解消された。これらのことは、アラキドン酸及びDHAを経口摂取することにより、速やかに歩行状態異常(旋回運動を含む)の優れた改善効果が得られることを意味する。また、試験開始時に歩行状態が正常であった試験例3、5及び9のスコアは試験期間を通じて変動せず、このことは、本発明の改善剤が正常な個体の歩行状態には悪影響を及ぼさないことを示している。
また、表4及び表5に示されているとおり、本発明の組成物は、痴呆犬又は痴呆予備犬ではないが「鳴き声異常」及び/又は「歩行状態異常」の認められた試験例に関しても改善効果を示した(表4の試験例9及び11、及び表5の試験例10及び11)。したがって、本発明の改善効果は、痴呆犬や痴呆予備犬に限定されず、単に老化又は老年のイヌにも効果があることが明らかとなった。
さらに、医師の所見として、「活動性が上がった」、「反応性が上がった」、「しっぽを振るようになった」といった作用も認められた。
なお、本試験においては被検犬がサンプルを敬遠する現象は認められず、サンプルは通常食と同様にスムースに摂取された。したがって、本発明は、所望の効果を発揮できる用量で嗜好性に問題なく摂取されうる改善剤を提供することができ、これにより老化又は痴呆に伴う疾患又は症状を総合的に改善できると考えられる。
図1は、摂取開始時及び終了時におけるイヌの痴呆に関する総合スコア(13頭平均)を示すグラフである。 図2は、摂取開始時及び終了時におけるイヌの痴呆に関するスコア(13頭平均)を示すグラフである。

Claims (11)

  1. アラキドン酸及び/又はアラキドン酸を構成脂肪酸とする化合物とドコサヘキサエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸する化合物とを有効成分として含む、非ヒト動物の老化又は痴呆に伴う疾患又は症状の改善剤。
  2. 老化又は痴呆に伴う疾患又は症状が、鳴き声の異常、歩行状態の異常、生活リズムの異常及び姿勢の異常からなる群から選択される少なくとも一種である、請求項1に記載の改善剤。
  3. 鳴き声の異常が夜鳴きであり、歩行状態の異常が旋回運動であり、生活リズムの異常が日中活動量の低下であり、姿勢の異常が立位保持能力の低下である請求項2に記載の改善剤。
  4. 非ヒト動物がペット動物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の改善剤。
  5. アラキドン酸及び/又はアラキドン酸を構成脂肪酸とする化合物とドコサヘキサエン酸及び/又はドコサヘキサエン酸を構成脂肪酸とする化合物とを有効成分として含むペット動物の夜鳴き改善剤。
  6. 一日投与量として、アラキドン酸を遊離脂肪酸換算で1〜95mg、及びドコサヘキサエン酸を遊離脂肪酸換算で1〜95mg含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の改善剤。
  7. さらにアスタキサンチンを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の改善剤。
  8. ペット動物がイヌである、請求項4〜7のいずれか1項に記載の改善剤。
  9. ペット動物が老年又は痴呆のイヌである、請求項8に記載の改善剤。
  10. 動物用飲食品である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の改善剤。
  11. 動物用医薬品である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の改善剤。
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