JP2009017994A - 遠隔看護システムおよび遠隔看護の方法 - Google Patents

遠隔看護システムおよび遠隔看護の方法 Download PDF

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Abstract

【課題】遠隔地から高齢者でも自身の療養状況を容易に入力できる操作性の高い通信端末、入力データの一次処理により容態を評価する指標を提示する処理システム、また、その処理方法を提供する。
【解決手段】在宅酸素療法を行う患者が、タッチパネル方式の入力操作により、療養中の計測データ及び問診回答を、定期的に在宅で送信する療養患者端末と、送信された計測データ及び問診回答を受信し、集計及び一次解析を行って、患者毎に保存すると共に、前記集計及び一次解析の結果を、担当看護師および医師に閲覧可能に提示するデータ処理メインサーバと、これを閲覧した前記担当看護師が、前記患者の療養の状況に対する看護所見を送信し、前記遠隔看護モニタデータセンターのデータ処理メインサーバの患者毎の前記記録用ファイルに追加書き込みする担当看護師端末と、がそれぞれ接続されて構成されることを特徴とする遠隔看護システム。
【選択図】図1

Description

本発明は、医療機関から遠隔地の自宅において、在宅酸素療法を行っている患者からの療養状況の連絡、及びこの患者の連絡に対応する遠隔看護モニタセンターから行う看護指導の連絡に係わり、特に遠隔地に直接出向かずに、質が高く、且つ操作性も良く看護業務に関わるコミュニケ−ションを行う遠隔看護システム、および遠隔看護の方法に関する。
肺気腫、肺がん、膠原病肺などによる慢性呼吸不全患者は近年、増加している。これらの慢性呼吸不全者に適用される在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy:HOTと略称する)においては、高齢及び長期わたる実施者が増加し、これ等の療養生活の経過中に原疾患等の増悪や、呼吸器感染による呼吸不全急性増悪を生じることがある。この急性増悪は、呼吸困難感の増大、及び再入院による医療費負担の増大、在宅療養生活の中断による生活の質の低下を引き起こす。そのため、長期に安定して療養生活を送ることができるように、生活の場における増悪回避のための予防的看護を行うことが重要である。
一方、多数の患者は、分散してそれぞれ在宅で普段の生活を行いながら、高濃度酸素吸入を行うので、在宅の患者自身或いは家族によるこの医療行為に対し、遠隔看護の対象になる。この遠隔看護の実施においては、コストの高い保険医療サービスの利用を患者へのタイムリーな看護指導により低減し、限られた保健医療資源を広い範囲の多くの人に効果的に提供できることが求められる。
このような遠隔地に居住する患者に対する遠隔看護では、患者の状況情報及び患者への看護対応情報を、近年、ICT(Information Communication Technology)の高まりにより、高速性と操作性が向上した情報交換システムにより実施できる(例えば、特許文献1、特許文献2を参照。)。
特開2002−92768号公報 特開2002−236759号公報
解決しようとする問題点は、在宅酸素療法の対象となる患者は比較的高齢者であり、患者である自身の身体状況を、医師あるいは看護師に詳細に伝えることが難しく、また遠隔地からのデータ送信を行う通信端末の取り扱いが、高齢者では不慣れで、操作ミスや操作不可となる場合が多発することである。
本発明は上記のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、遠隔地からのデータ送信を高齢の患者でも容易に、自身の療養状況を的確に入力できる操作性の高い情報通信端末と、患者が連絡してきたデータに対して、一次処理を施した指標を医療関係者の看護師、医師に提示するデータ処理サーバとを有する遠隔看護システム、および遠隔看護の方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の遠隔看護システムは、在宅酸素療法を行う患者が、在宅で、計測結果をデジタル表示するパルスオキシメータ、ピークフローメータ、血圧計、体温計による療養中の計測データ及び自らの心身の状況に係わる問診回答である療養情報を、タッチパネル方式により入力し、送信する療養患者端末手段の少なくも1つと、送信された前記療養情報を受信し、この療養情報に対し、予め設定した配点と閾値による集計及び一次解析を行って、前記療養情報とこの集計及び一次解析の結果を患者療養状況データとして、患者毎の記録ファイルに保存すると共に、この患者療養状況データに対し所定の基準により増悪徴候を判定する増悪徴候判定手段の判定結果を、前記患者療養状況データと共に前記患者の担当看護師および担当医師のコンピュータ端末若しくは携帯電話端末に、メール送信する遠隔看護モニタデータセンターのデータ処理メインサーバ手段と、このデータ処理メインサーバ手段から送信された前記判定結果及び患者療養状況データを表示し、これを閲覧した担当看護師が作成する前記患者対する所見を、前記データ処理メインサーバ手段に送信し、当該患者の前記記録ファイルに追加の書き込みする担当看護師端末手段と、が通信ネットワーク或いはインターネットによりそれぞれ接続されて構成されることを特徴とするものを提供する。
さらに、本発明の請求項2の遠隔看護システムにおいては、前記療養患者端末手段により在宅の患者が入力する計測データは、計測結果がデジタル表示される市販の家庭向け医療機器により計測した血中酸素飽和度、脈拍数、呼気の最大流量、最高血圧値、最低血圧値、及び体温の少なくも1つが含まれることを特徴とするものを提供する。
さらに、本発明の請求項3の遠隔看護システムにおいては、前記療養患者端末手段は、療養情報であるデータ値或いは問診内容の回答に関連する複数の絵柄、数字によりタッチパネルの背景図を表示し、前記患者がこの絵柄、数字の押しボタンエリアを指定して、データ値或いは問診回答として選択入力するコンピュータであることを特徴とするものを提供する。
さらに、本発明の請求項4の遠隔看護システムにおいては、前記遠隔看護モニタデータセンターのデータ処理メインサーバ手段は、受信した計測データ及び問診回答に対し、この療養情報の程度ランクの区分に対応する予め設定した配点リストにより配点値を集計し、さらにこの集計点数及び計測データ個々に対し、患者状態の増悪兆候に関連する所定の閾値と比較する一次解析を行うことを特徴とするものを提供する。
さらに、本発明の請求項5の遠隔看護システムにおいては、前記集計及び一次解析は、当該患者の既往病歴を参考にして、その療養情報であるデータ或いは回答の程度ランクの区分に対応する、患者毎に予め設定した個別配点リストに基づいて配点値を集計し、さらに集計点数及び計測データ個々に対し、患者状態の増悪兆候に関連する患者毎の個別閾値と比較する一次解析を行うことを特徴とするものを提供する。
また、上記の目的を達成するために、本発明の請求項6記載の遠隔看護の方法は、在宅酸素療法を行う患者が、結果をデジタル表示するパルスオキシメータ、ピークフローメータ、血圧計、体温計により測定した計測データ、及び療養状況に対する問診回答である療養情報を、絵柄表示されたタッチパネル方式のコンピュータの療養患者端末を操作して入力し、インターネット或いは通信ネットワークを介して、居所から遠隔看護モニタデータセンターのデータ処理メインサーバに送信する療養患者データ送信ステップと、前記データ処理メインサーバが、送信された前記療養情報を受信し、この療養情報に対し、予め設定した配点と閾値による集計及び一次解析を行って、前記療養情報とこの集計及び一次解析の結果を患者療養状況データとして、このデータ処理メインサーバが管理する情報データベースの患者毎の療養記録ファイルに保存する患者データ処理・保存スッテプと、前記データ処理メインサーバが、前記患者療養状況データに対し所定の基準により増悪徴候を判定する増悪徴候判定ステップと、前記データ処理メインサーバが、前記情報データベースの前記療養情報と前記患者療養状況データと前記増悪徴候の判定結果を、インターネット或いはローカルエリアネットワークを介して接続される前記患者の担当看護師の看護師端末に送信する患者状況連絡ステップと、前記患者状況連絡ステップで閲覧した前記療養情報と前記患者療養状況データと前記増悪徴候の判定結果に対する看護所見を、前記看護師端末により、当該患者の前記療養記録ファイルに追加書き込みする看護所見作成ステップと、がインターネット或いはローカルエリアネットワークを介して接続したコンピュータ端末の処理により実行されることを特徴とする方法を提供する。
また、本発明の請求項7の遠隔看護の方法においては、前記療養患者データ送信ステップにおいて送信する前記計測データは、その測定結果がデジタル表示される市販家庭向け医療機器により計測した血中酸素飽和度、脈拍数、呼気の最大流量、最高血圧値、最低血圧値、及び体温であって、これ等のデータを患者或いはその家族が前記療養患者端末を操作して入力し、この入力結果を送信処理するステップであることを特徴とする方法を提供する。
本願発明の遠隔看護システムによれば、遠隔看護モニタセンターから遠隔地において在宅酸素療法を行う患者が、患者自身の状況を容易に、且つ正確に、遠隔看護モニタセンターの担当看護師に通報、申告することができ、患者から送信された情報に基づいてデータ処理メインサーバが行った一次解析の結果を担当看護師に提示するので、担当看護師は、遠隔地の患者の状況を的確に把握することができる。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。
以下、図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
(遠隔看護システムの全体構成の実施形態)
本発明の一実施形態に係る遠隔看護システムの概略構成を図1に示す。また、図2には、本願実施形態の遠隔看護システムの4つのターミナルサイトそれぞれに備えるコンピュータによる処理機能手段の構成を示す。
本願実施形態の遠隔看護システム1は、高齢の慢性呼吸不全患者に対し、その呼吸機能、循環機能、一般的な身体健康状態、及び日常生活における状況、行動を常に見守る必要性の高い要看護者の状態を、家族などの家庭内介護者にできる限り依存をなくし、患者自身により遠隔地から比較的短日周期、例えば毎日、把握できるようにするものである。
本実施形態の遠隔看護システム1は、図1に示すように、概略的には、在宅療養する患者が操作する患者用端末であるHOTネット端末、この患者に対し医療処置を実施する遠隔看護モニタセンターである遠隔看護モニタの担当看護師が操作する看護師端末、及び療養を処方する担当医師が操作する担当医師端末、及び在宅で収集された患者の状態データを集計し、前記看護師或いは医師による医療処置の指示を再び患者に連絡する遠隔看護モニタデータセンターのデータ処理メインサーバの4つのターミナルコンピュータと、これ等を接続するインターネット或いは通信ネットワークにより構成される。
以下に、各ターミナルサイトの詳細を図1により、さらに説明する。
患者ターミナルサイトでは、被看護者である患者A宅において、タッチパネル入力が行えるポータブル・パーソナルコンピュータが設けられる。これは、本実施形態の遠隔看護システム1の下で行われる在宅酸素療法(HOTもしくはLMS−HOT:Life Management System for Home Oxygen Therapyの略称)の在宅治療・看護支援プログラム、すなわち本実施形態の遠隔看護システムの一部である患者端末プログラムが組み込まれたHOTネット端末41として備えられている。被看護者である患者Aの生体機能を計測するパルスオキシメータ42a、ピークフローメータ42b、血圧計42c、体温計42dなどのHOT測定器セット42と、患者Aが慢性呼吸不全の症状を快癒するために使用する酸素発生装置とこれの制御器具とからなる酸素吸入器セット45が、患者側システムセット40として、同じく患者A宅に設置されている。これ等のパルスオキシメータ42a、ピークフローメータ42b、血圧計42c、体温計42dは、高齢者の使用を容易とするために、操作が簡単で自動計測を行い、計測結果の読み取りに間違いを生じないように家庭向け市販医療機器で、特に計測結果がデジタル表示される形態のものを使用する。
さらに、この患者宅に在るHOTネット端末41は、例えばPHS等の電話回線、或いはインターネットなどのデータ通信ネットワーク50aを介して、遠隔看護システム1のシステムセンターとなる遠隔看護モニタデータセンター10に設置されたHOTデータのデータ処理メインサーバ11に接続される。
このデータ処理メインサーバ11には、データベース12と集計サーバ13が接続されて、在宅治療・看護支援プログラム、即ち遠隔看護システムのセンターメインプログラムが組み込まれている。
看護師ターミナルサイトである遠隔看護モニタセンターの遠隔看護セクション20には、データ処理メインサーバ11に、データ通信ネットワーク50を介して接続する看護端末PC21が備えられて、これに、担当看護師が遠隔地の患者Aからのデータ及びその一次処理結果、判定結果などを閲覧するモニタ21a接続され、在宅治療・看護支援プログラム、即ち遠隔看護システムの看護師端末プログラムが組み込まれる。
さらに、担当医師ターミナルサイトである患者Aに対する診断および治療処置を実施するかかりつけ医療機関30の担当医師に対し、表示モニタ31aを接続した担当医師端末PC31が設けられて、これが遠隔看護モニタデータセンター10のデータ処理メインサーバ11にデータ通信ネットワーク50を介して接続される。
なお、本実施形態の遠隔看護システム1の運用においては、患者Aの他に、煩雑になるので詳細を図示していない患者B、C、・・・・・が、患者Aと同様のHOTネット端末及びHOT測定器セットから成る患者システムセット40を備えて、日々の患者自身のデータ及び問診回答を遠隔看護モニタデータセンター10へ送信することができ、ただ1人の患者に対して運用されるシステムではない。また複数の患者A、B、C、・・に対し、かかりつけ医療機関30は患者個々に異なる担当医が対応する場合でも、患者対応をするそれぞれ担当医師に対し同様の専用担当医端末PCが設置されるか、もしくは共用の端末PCが設置される。本実施形態の説明では、煩雑を避けて、代表する患者Aに対するシステム、看護師、担当医師の対応を、複数の患者に対しHOTが行われる場合の1つの対応例として説明する。
本実施形態の動作、作用について、図2に示す4つのターミナルサイトの端末PC或いはサーバで行われるそれぞれの処理機能P101〜P109、P201〜P204、P301〜P304、及びP401〜P407の中で特徴のある処理を、各端末或いはサーバにおける処理の手順を示す図3、5、7の各フローチャートを用いて、詳しく説明する。
(遠隔看護システムの全体に対する処理フローの実施形態)
本願実施形態の遠隔看護システム1の各患者に対する運用は、図3のフローチャートに示す遠隔看護モニタセンターのセンターメインプログラムの処理手順が実行される。
このセンターメインプログラムの処理手順は、大略的に、
1)本システムの起動の端緒となる患者によるデータ及び問診回答の入力、送信。
2)送信されたデータ・回答に対する所定の処理を行って、その結果の保存、記録。
3)この保存、記録された処理結果に対する担当看護師の所見・処置の発信。
を処理する。
この1)の処理手順は、図3に示すフローチャートのステップS11及びS12行われる。すなわち、先ず、HOT(在宅酸素療法)を行っている患者Aが、定期的に、例えば毎日、自宅でHOT測定器セット42により、HOTを行っている患者自身の状態の計測結果及び問診に対する回答のデータを、HOTネット端末41を用いて入力するステップS11が行われる。さらにステップS12で、この計測と問診の入力結果が、患者のHOTネット端末41からデータ通信ネットワーク50aを介して、データ処理メインサーバ11に送信される。この2つのステップは、患者宅に設置した患者側システムセット40により、図2に示す問診データ送信P402の処理機能手段により実施される。後述する患者端末サイトの説明で詳細を述べる。
さらに、2)の処理手順は、データセンター10のデータ処理メインサーバ11により処理される手順で、図3に示す遠隔看護システム1の運用のステップS13〜S16で処理される。すなわち、先ず、患者Aからの計測結果及び問診のデータ送信をステップS13で受信する。これは、図2に示す問診データ受信P102の処理機能手段により実施される。
この送信されたデータをステップS14において、一次解析する。この一次解析は、慢性呼吸不全の症状に対する酸素吸入療法のプロトコルに基づいて、例えば図8にその評価項目の1例を示す患者の状態に対応し、良好状態で評価点数がより大きい配点リストにより、総合点、及び呼吸器系、循環器系、消化器系、排泄器官系等のグループ点などの評価点を算出し、これ等の結果を所定の表示グラフで表示する。また症状の増悪兆候因子となる項目ではトリガー閾値を医師、看護師の指示で予め設定し、判別の結果により増悪の前兆に対する緊急連絡メッセージも出力する。これ等の患者から送られて来たデータの数値的な解析処理は、データセンター10の集計サーバ13により、図2に示す問診情報一次解析P106の処理機能手段により自動的、かつ機械的に解析される。
なお、前記配点リストは、標準的な慢性呼吸不全患者に対し適用する標準配点リストの他に、対象患者の既往歴(過去の病歴)により配点配分を変更した特定患者に適用する個別配点リストを予め準備し、患者を識別して当該患者の個別配点リストを適用することも、該患者の過去状況を加味するので好適となる。この配点リストの配点数値は、医師、看護師により設定、決定される。
この一次解析結果は、ステップS15で、データセンター10のデータベース12に患者毎に設けたフォルダ、ファイルに、送信されたデータと共に記録されて保存される。このデータベース12には、過去に集計した同患者のデータが保存されている他に、患者の病歴や医学的な個人情報、前述の個別配点リストが記録保存されている。また、前述の配点リストや増悪兆候のデータも記録保存される。この増悪兆候のデータは、前述の配点リストと同様に、何れの患者にも共通に適用する基礎リスト・データと患者毎にその既往歴に基づいて特定患者に適用する個別サブリスト・データも予め設定し、保存している。増悪兆候の判別データも、医師、看護師により設定、決定される。
データ処理メインサーバ11による処理のステップS16では、患者Aの送信データ及び解析結果を、図2に問診一次解析結果表示P201と示すように、遠隔看護セクション20の担当看護師の看護端末PC21へ送信するによって、担当看護師に問診情報一次解析P106の結果を連絡する。例えばこの担当看護師が所属する遠隔看護セクション20が、遠隔看護モニタセンターの中でデータセンター10の近くで業務を行っている場合は、データ処理メインサーバ11と看護端末PC21のデータ通信は、LAN接続55b、55cで行われても良い。
なお、ステップS14における解析で、増悪兆候因子の判定の結果により増悪の前兆に対する緊急連絡メッセージが出力された場合は、ステップS16の閲覧を待つまでも無く、ステップS16aにより、直ちに、担当看護師および担当医師それぞれが操作するコンピュータ端末若しくは携帯電話端末に、緊急通報メッセージをメール送信することも行われるように設定される。
さらに、3)の処理手順は、図3に示す遠隔看護システム1の運用のステップS17及びS18で行われる。
ステップS16で送信された遠隔地の在宅酸素療法を行っている患者の療養状況のデータ及びこのデータの評点を、ステップS17で、看護端末サイトである遠隔看護セクション20の担当看護師が、看護端末PC21によって確認し、患者への連絡指示事項や療養状況に対する所見をデータ処理メインサーバ11に設けた患者毎のフォルダに送信し、記録する。すなわち、この確認、所見作成では、担当看護師が表示モニタに表示された患者のデータ及び評点を見て、看護師として患者の身体状況について、当日分データ・評点の異常、過去のデータ及び評点との比較での特異的な状況等の有無、及び、患者に連絡指導する事項等の有無を判定し、看護報告、すなわち図2の問診情報詳細解析P202および緊急対応所見P203を作成する。
作成される看護報告は、患者へ連絡、指導する患者用報告と、担当医師への報告と、特に緊急を要する処置対応の要請と、そして遠隔看護モニタデータセンター10のデータベース12に患者毎のフォルダ・ファイルにより保存する看護記録の報告とがある。
これ等の報告は、すなわち担当医師への報告、要請など以外である患者用と、データベース記録用は、患者のHOTネット端末41、データベース12へ直ちに送信される。そして、担当医師に対しては、データ通信ネットワーク50を介して、データ処理メインサーバ11経由で接続される担当医端末PC31に表示する他、直接電話にて状況について報告し看護処置の指示を受ける様にしても良い。
さらにステップS18では、ステップS16およびS17により、担当医師が患者のデータや看護師の所見を閲覧して、患者の状況により診断所見あるいは治療指示(治療処方)を、同じくデータベース12へ送信し、記録、保存する。また、1ケ月に少なくも1回行われる定期的な診察の診断結果を、カルテに記載した事項を転記する形で、同じくデータベース12へ送信し、患者毎のファイルに記録、保存することも行う。
本実施形態では、以上に説明した一人の患者Aのデータが処理されと同様に、遠隔看護システム1に接続している複数の患者それぞれが、データ処理メインサーバ11にデータ・問診回答を送信し、それぞれに対し、担当看護師が、さらに状況により担当医師が、患者の状況を把握し、所見・処置のメッセージを発信する。
(患者の操作するHOTネット患者端末の実施形態)
次に、処理対象となるデータを送信する患者宅に備えるHOTネット端末10で行われる処理の詳細について、図4〜7を用いて説明する。
患者宅に備える患者側セット40には、図1に示すように、患者A自身が操作する、在宅酸素療法のデータ入力、遠隔看護モニタデータセンター10からのメッセージ受信、表示に特化した慢性呼吸不全患者向け専用プログラムがインストールされたHOTネット端末41が設置される。また、この患者は、酸素吸入器セット45により発生させた酸素を担当医師の指示に従って吸入療法を行って、例えば毎日、HOT測定器セット42のパルスオキシメータ42aにより血中酸素飽和度と脈拍数を、ピークフローメータ42bにより呼気の最大流量を、血圧計42cにより最高/最低血圧を、体温計42dにより体温を、それぞれの測定器具を自ら操作して測定する。なお、これらの測定器具は、器具扱いに不慣れな高齢者でも混乱無く容易に操作できるように簡易型或いは家庭用など医療計測機器で、測定結果の読み取りが正確にできるデジタル表示で表示されるものを、予め遠隔看護モニタセンターが指定もしくは貸与する。
この測定データは、患者自身の操作で、HOTネット端末41により入力し、これが接続されるデータ通信ネットワーク50aを介して、遠隔看護システム1のセンターサーバサイトである遠隔看護モニタデータセンター10に設置されたデータ処理メインサーバ11に送信される。
次に、このHOTネット端末41が行う処理について、詳しく説明する。本願実施形態のHOTネット端末41には、コンピュータ操作に詳しくない高齢者にも、容易に操作できるように、要求する入力項目に関連つけた画面表示と画面内にタッチパネル入力部を表示して、簡便で見やすい画面表示と共に、一部は音声表示も併用してもよい。
HOTネット端末41の主要な処理は、図4(a)にメインメニューからの各機能への遷移を示すように、問診入力、最新結果表示、過去データが記録されたカレンダーの3つの機能と、患者のデータと直接係らない操作法の説明とによる4機能から構成される。同図(b)には、HOTネット端末41の起動時に表示されるメニュー選択画面の例を示す。
問診入力メニューの選択により行われる測定データと問診回答の入力処理について、この入力処理のフローチャートを示す図5と、その画面表示の表示例を示す図6を用いて、詳細を説明する。
患者の状況のデータを送信する入力処理は、図5のフローチャートの左側に点線枠囲みで入力操作手法を示すように、ステップS101〜S106ではHOT測定器セット42の各計測器具で測定した測定値を、ステップS107〜S121では患者自身の身体の状態を複数の段階で状態レベルを表現する絵柄の1つを、タッチパネル機能を有する表示画面で仮想スイッチ或いは仮想ボタンを押して入力するように構成する。
入力処理の手順の詳細は、ステップS101では、パルスオキシメータ42aにより計測した患者自身の動脈血酸素飽和度の表示値を読んで、図6(a)に例示しているHOTネット端末41の表示画面の第1ページに表示され、見出し表示部分51に「酸素飽和度」と表示された計測値入力画面のテンキータッチパネル部52を操作して入力する。この入力された数値は、入力表示部53に表示される。また、入力操作を間違えた場合には、「取消」を操作し訂正できる。入力が複数のボタン操作で行われる場合は、「次へ」ボタン55を押して、次ページへ進められる。前のページへ戻る場合は、左下横向き三角の「戻る」ボタン54で、1つ前のページに戻ることもできる。また、一つひとつの操作を確認できるように、操作ボタンを押す毎に、「イチ」、「ロク」とか、「トリケシ」、「モドル」などの音声データを連動させて発声させること、あるいは次の操作に対する音声ガイダンスを発声させることは、操作性を高める点で好適となる。
このステップS101と同様に、ステップS102では、同じくパルスオキシメータ42aにより計測した患者自身の脈拍数を、ステップS103では、デジタル体温計42dにより測定した体温を、ステップS104及びS105では、デジタル血圧計42cにより測定した最高血圧と最低血圧をそれぞれ、ステップS106では、ピークフローメータ42bにより測定した呼気の最大流量を、それぞれ見出し表示部分51と入力表示部53が対応するデータ名に替えられた計測値入力画面に入力する。
次のステップS107からステップS122までは、患者自身による身体の状況、状態の申告を入力する手順です。この申告において、一般的な問診と異なり、直接の対話が行なわれないので、文言の入力では患者と看護師・担当医師の相互間で表現差が生じることが予想される。本実施形態では、この表現差を排除するために、問診内容に関連する絵柄を予め作成し、これと共に多肢選択を表示する画面により、その多肢から回答を選び、入力する方法で行うように構成してある。幾つかを例示して、以下に身体状況、状態のデータ入力について、詳細に説明する。
ステップS107では、予め担当医師が指示処方した酸素吸入療法を実施したか否かを問う質問で、その入力画面は図6(b)に示すような「はい」、「いいえ」の二者択一の画面で、タッチパネル機能のいずれか一方のボタンを押して、入力する。なお、画面上半分には、処方の内容、例えば、在宅酸素療法を実施している時間やその時に設定する酸素流量値が、表示されている。
ステップS108では、患者の睡眠の程度を問うもので、その入力画面は図6(c)に示すような睡眠状況を示すイラストシンボルあるいはビジュアルスケールと共に問診が、五者択一の形態で表示される。
患者は、この表示画面で、いずれか1つの絵柄のボタンを選んで、回答を入力する。
ステップS109は患者の食欲を問うもので、ステップS110は患者の動作可能の状況を歩行の可否で問うもので、これ等の場合は、四者択一でいずれかの絵柄(図示せず)のボタンを押して回答を入力する。
ステップS111は浮腫の有無を問い、浮腫がある場合はステップS112で、図6(d)に示すような四肢、胴、頭部を指す絵柄を表示して、浮腫の部位を回答できるように構成し、この表示画面のパネルタッチ機能で入力する。
ステップS113及びS114は、それぞれ患者の排泄器官の状態を問う設問で、スッテプS113では排便の状況を、ステップS114では排尿量を複数の選択肢から選んで入力する。
ステップS115では、喀痰の量と出方を問い、喀痰が有る場合は、ステップS116でその色合いについて問い、その画面表示は複数の出方の絵柄、或いは複数の色合いの表示の1つを選んで、パネルタッチの押しボタン機能で入力する。
ステップS117では、身体に感じている痛みの強さの程度を問い、痛みがある場合には、ステップS118で、図6(e)に示すような身体各部を正面、背面で表示した画面表示によりその部位を申告する入力を行なう。複数の部位で痛みがある場合、それ等の部位をタッチパネル機能で入力し、「次へ」で指示を完了して次のステップに進める。
ステップS119では患者の呼吸・循環系の器官の変調を、ステップS120では患者の体調全般の変調を、図6(f)及び(g)に示す表示画面で、それぞれ申告する。ステップS119では、「なし」、「咳がひどい」、「ゼイゼイ(喘鳴)する」、「呼吸が止まりそう」、「動悸がする」、「脈が乱れる」、「血圧が上った」、「血圧が下った」の項目文言が表示され、複数の申告ができる。また、ステップS120では、「なし」、「体がだるい」、「寒気がする」、「冷や汗をかく」、「唇・爪が青い」、「気分が落ち込む」、「イライラする」、「ひどく興奮する」、「頭が重い」、「意識が薄れる」の項目文言が同じく表示されて、これも複数の申告ができる。
ステップS121では、在宅酸素療法を行っている慢性呼吸不全患者の主訴である「息切れの程度」を、図6(h)に示す縦棒グラフの位置で入力する。ステップS122では、最後に現在の総合的な体調を「もっとも悪い」から「もっとも良い」の10段階縦棒グラフの高さ位置で入力する。
以上で、患者が入力すべきデータ項目が終了するので、HOTネット端末41は、次のステップS123〜S126の手順を自動的に実行する。
ステップS123において、患者が入力すべきデータ項目の全てに入力が行われていることを、ステップS124に一旦抜けて、計測データの「計測せず」は入力相当とし、チェックする。不合理な計測データの入力が有れば、再度の計測、入力を要することをHOTネット端末41に表示し、入力漏れ、ミスが無ければ、ステップS123へ戻る。
この確認が完了するとこれ等のデータ、問診回答を、センターサーバサイトである遠隔看護モニタデータセンター10のデータ処理メインサーバ11に送信を開始し、ステップS125で、HOTネット端末41の表示画面に、データ送信の進行状況をバーグラフで表示する。
さらに、送信が終了すると、ステップS126で、「送信完了」を表示して、所定時間の経過後に、図4(b)に示すメインメニューの選択画面へ遷移させる。
このステップS101〜S126の手順で、患者による計測データ及び問診の回答入力操作が完了するので、ステップS127において、他のメニュー項目を選択すれば、そのメニューが開始される。ステップS127で、患者がメインメニューの選択画面で例えば、「最新結果表示」を指定すれば、送信先のデータセンター10のデータ処理メインサーバ11の処理の結果である入力したデータの一覧及びそれ等のグラフを示す画面を表示し、「カレンダー表示」を指定すれば、過去履歴・カレンダー、担当看護師からの連絡事項などを示す画面を引き続いて表示する。患者が他の選択を行う意思の無い場合は、HOTネット端末41の電源スイッチが所定の時間内に操作が無い場合、自動で「OFF」になり、使用を終了する。
本願発明の患者端末であるHOTネット端末によれば、データ入力においては測定器の表示値をそのままタッチパネルに表示される数値ボタンエリアを押せば入力できる。また問診回答においては、複雑な表現を必要としない複数の程度表現の中から選択するので、操作が単純で非常に操作性が高く、高齢者にとっても容易に操作できると共に、客観的なレベルで正確に回答できる。
また、本実施形態のHOTネット端末41とデータ処理メインサーバ11のデータ送受において、問診データの入力と送信が終わった時点で、すなわち、ステップS127における「最新結果表示」の指定により、HOTネット端末41の電源を切ってシステムから切り離さず、引き続いてデータ処理メインサーバ11の処理結果である問診データの解析の結果を、本実施形態のHOTネット端末41へ返信する処理手順が設定されている。患者にとっては、自身の療養の状況を送信した直後に、その状況の解析、判定の結果が返信され直ちに知ることができるので、必ずしも容易でない体調状態の計測やその入力・送信の手間に対し、患者がこのシステムから受けられるリアクションとして、本実施形態は重要な価値を提供することができる。
(遠隔看護モニタデータセンター10のデータ処理メインサーバ11における一次解析の実施形態)
上述のように、患者から計測及び問診のデータが送信されると、これ等データは、前述の遠隔看護システムの各患者に対する運用として、図3に示す遠隔看護システムの全体の処理フローのステップS13〜S15が、遠隔看護モニタデータセンター10のデータ処理メインサーバ11により実行される。この処理の詳細ついては、前述の「システムの全体に対する処理フローの実施形態」の2)の処理手順として説明した。このステップS14で行われる一次解析の処理では、前述した様に、患者の状態に対応する予め設定された配点リストによる点数を、総合点、及び呼吸器系、循環器系、消化器系、排泄器官系等のグループ集計するグループ点などの評価点として算出し、所定のグラフ表示、例えば横軸を日付とする日変化グラフを、総合点及び前記グループ毎のグループ点に対し作成し、出力する。或いは、予め設定した増悪兆候因子のトリガー閾値により増悪の前兆を判別した結果により、緊急連絡メッセージも出力する。さらに、本遠隔看護システム全体の集計、出力として、患者個々人の日別データ、月別データ、及び対応患者全員の一覧の日別データ、月別データ等も集計、出力を行う。
さらに、図3の処理フローのステップS16により、この処理の結果が、当該患者を担当する看護師の看護師端末PC21に送信される。なお、このステップS16の送信は、この担当看護師が遠隔看護モニタデータセンター10内で業務を行って、例えば、看護端末サイトである遠隔看護セクション20の看護端末PC21が、データ処理メインサーバ11とLAN接続されている場合では、この処理結果の送信に替えて、メール連絡するようにしても良い。このメール連絡では、患者からの最新データに対する一次解析結果が記録、更新された旨を伝え、センターサーバサイトのデータベース12に記録され当該患者のデータファイルを、看護端末PC21のLAN接続により検索するように促す。
前述の本システムの全体に対する処理フローにおいて示したが、増悪兆候因子の判定の結果により増悪の前兆に対する緊急連絡メッセージが出力された場合には、ステップS16の送信の閲覧を待つまでも無く、ステップS16aにより、直ちに、担当看護師および担当医師それぞれが操作するコンピュータ端末若しくは携帯電話端末に、緊急連絡メッセージをメール送信する。
なお、上述では在宅の患者からのデータ処理に限ってデータ処理メインサーバ11の作動、作用を説明したが、システム全体を管理するメインサーバとしての処理も、データ処理メインサーバ11が行う。これ等は、図2の本願遠隔看護システムの実施形態における処理機能構成図に示すように、システム管理者ログイン認証P101及び患者端末認証P104の認証機能、患者登録P102及びシステム管理者登録P103の登録機能、問診最終結果送信P107及び緊急通報送信P108の患者への連絡返答機能などが、データ処理メインサーバ11により実施される。
本願実施形態のデータ処理メインサーバ11によれば、評価点あるいはトリガー閾値の一次解析の結果が提示されるので、患者の状況変化を容易に把握できると共に、患者の療養状況の改善、好転を図る処置に対する情報を、患者が自身の計測値や体調状況を送信すると、担当看護師や担当医師は、直ちに得ることができる。
(看護端末PCから発信する遠隔看護の実施形態)
遠隔地でHOTを行う患者の送信した最新問診データおよびその情報に対する一次解析の結果の連絡を受信した担当看護師が、図3に示すステップS17として、この受信した新たな患者情報に対し、看護プロトコルに基づいて、看護の立場から詳細な解析を行って、その看護所見をデータベース12に記録され当該患者のデータファイルに書き込む作業を、看護端末PC21からデータ処理メインサーバ11にアクセスして行う。
担当看護師が対応する看護所見の作成と、看護所見の一部を担当医師の診断のための提供と、療養中の患者への看護指導の連絡、それぞれの手順を図7にフロー図として示す。
図7に示すように、看護端末サイトで担当看護師が行う遠隔の患者に対する看護対応は、ステップS51で受信した患者A自身が送信した計測・問診データとこれ等をデータ処理メインサーバ11が一次解析した結果に対し、先ずステップS52で、緊急の対応あるいは連絡を要する事項があるかを、担当看護師が医療従事者として判断する。有れば、ステップS52aで、所定の連絡先へ、メール連絡もしくは電話連絡をする。
次のステップS53で、一次解析のデータである解析評点、すなわち、計測値や体調の状態により配点された点数の総合点数、グループでの集計点などに対し、患者の容態、悪化、回復を看護師が判断する。顕著な所見はステップS53aで、その所見内容をデータベース12の当該患者のデータファイルに書き込み、記録する。
ステップS54で、担当看護師は、個々のデータに対しする所見事項、例えば増悪兆候因子としてトリガー閾値を設定している項目における所見などがあるか判定し、有ればステップS54aで、所見メッセージをデータベース12の当該患者のデータファイルに書き込み、記録する。
ステップS55で、過去に同患者から送信されたデータの日変化を示すグラフや、過去の治療対応の記録を、データベース12から呼び出して、最新のデータがどの様に対応するかをステップS56で、担当看護師が判定、解析する。このステップS56において所見があれば、ステップS56aで、所見メッセージをデータベース12の当該患者のデータファイルに書き込み、記録する。
次のステップS57では、ステップS52〜S56において判明した所見について、患者の担当医師に報告すべきものがあるか、担当看護師が判断して、有ればステップS57aで、緊急事項及び所見メッセージをデータベース12の患者Aファイルに記録した事を報告、連絡する。
さらに、ステップS58で、患者の送信してきたデータ、問診回答、及びデータ処理メインサーバ11による一次解析結果、及びこれ等の日変化を示す過去データグラフそれぞれを、当該患者端末サイトのHOTネット端末41からの要求(端末41に設定され、表示されるメニューの1つとして)に対応して、患者当人のHOTネット端末41にデータ提供を許可する指示を、データ処理メインサーバ11に対し送信する。
また、ステップS59で、データ処理メインサーバ11による一次解析結果、過去データグラフ、ステップS52〜S56において判明した所見について、担当看護師が患者Aに看護指導として連絡すべき事項や注意があると判断した場合には、電話、或いはデータ処理メインサーバ11を介して、在宅患者が使用するHOTネット端末41にメール様式の看護指導を直接連絡する。
一方、図1に概略構成を示す本願発明の遠隔看護システムにおいて、一翼を担う担当医師端末サイトの担当医師には、患者Aに対し当初にHOTによる療法を処方しており、本実施形態の遠隔看護システムにより、在宅療養中には病状が安定した患者の場合は月1回の定期的な担当医師の直接の診察は行わないが、看護師による毎日の実務的な部分の支援を受けて、その処方したHOTの経過を見極めることが求められる。看護端末サイトの担当看護師が、前述図3のステップS17、すなわち、図7に示したステップS52〜S56における所見メッセージ、或いはステップS57aにおいて行ったその具体的な報告内容を、担当医師端末31により、図2に示す問診一時解析結果P301、問診情報詳細解析表示P302、及び緊急対応所見確認P303の処理機能で閲覧する。この閲覧は、例えば、その担当する患者Aが入院或いは通院するとすれば、定期的な日々の担当医師自らの診察により得る患者AのHOT療法中の状態に関する診察、診断の医学的情報と見成すことができる。したがって、担当医師にとっては、所定の期間毎の定期診察日に行う、HOT実施中の患者Aに対する直接の診察における診断に反映させることもでき、連続的な患者容態の観察をすることと同等の効果を得ることができる。
本願発明の本実施形態の遠隔看護システム1よれば、
先ず、1)患者端末サイトにおいて操作されるHOTネット端末の操作が、計測器の表示するデジタル数値をそのままパネルタッチで入力でき、問診回答も予め表示される回答事項のいずれかを指定入力するので高齢の患者でも入力ミスが少なくできる。
2)患者が送信した計測データ・問診回答は、予め設定した配点リストにより、一次解析の処理がデータ処理メインサーバにおいて行われて、所定の分類での評点、増悪兆候のトリガーサインなどの結果も共に、提示と記録がなされて、看護師、医師が直ちに参照でき、遠隔地の患者の状況が判定できる。
3)患者からの送信されたデータ、集計サーバの処理した一次解析結果、及び看護師と担当医師の所見が、本遠隔看護システムのセンターサーバサイト(遠隔看護モニタデータセンター)に備えるデータベースに、患者ファイルとして記録・保存するので、これ等の対応者の操作に対する時間の制約を排除できる。すなわち、患者とっては、データ採取に拘束されること無く、データ計測時の緊張を緩和できる。また、業務の多忙な看護師・担当医師においては、在宅患者への対応について特別のスケジュールを組むこと無く、何れかに設置された自らが操作できる端末から、何れの時間帯であっても、患者の状態を閲覧でき、それに対する所見を記録、連絡できる。
4)前記配点リストは、標準的な慢性呼吸不全患者に対し適用する標準配点リストの他に、対象患者の既往歴(過去の病歴)により配点配分を変更した特定患者に適用する個別配点リストを予め準備し、患者を識別して該患者の個別配点リストを適用するように一次解析を行えば、該患者の過去状況、すなわち履歴を加味する判定となって、患者の予後の情報を予測する確度を高めることができる。
などの効果が有る。
本願実施形態に係る遠隔看護システムの概略構成図。 本願実施形態の各ターミナルサイトそれぞれにおける処理機能の構成図。 本願実施形態の処理全体に対するフローチャート。 本願実施形態のHOTネット端末のメインメニューからの各機能への遷移図、及び起動時に表示されるメニュー選択画面の例。 本願実施形態のHOTネット端末の測定データと問診回答の入力処理のフローチャート。 本願実施形態の測定データと問診回答の入力画面の表示例。 本願実施形態の看護端末サイトでの看護対応を示すフロー図。 本願実施形態の測定データと問診回答に対する評価点を設定する項目の例。
符号の説明
1・・・遠隔看護システム、
10・・・遠隔看護モニタデータセンター(センターサーバサイト)、
11・・・データ処理メインサーバ、
12・・・データベース、
13・・・集計サーバ、
20・・・遠隔看護セクション(看護端末サイト)、
21・・・看護端末PC、
21a・・・モニタ、
30・・・かかりつけ医療機関(担当医師端末サイト)、
31・・・担当医師端末PC、
31a・・・表示モニタ、
40・・・患者側システムセット(患者端末サイト)、
41・・・HOTネット端末、
42・・・HOT測定器セット、
42a・・・パルスオキシメータ、
42b・・・ピークフローメータ、
42c・・・血圧計、
42d・・・体温計、
45・・・酸素吸入器セット、
50a、50b、50c・・・データ通信ネットワーク、
51・・・見出し表示部分、
52・・・テンキータッチパネル部、
53・・・入力表示部、
54・・・「戻る」ボタン、
55・・・「次へ」ボタン。

Claims (7)

  1. 在宅酸素療法を行う患者が、在宅で、計測結果をデジタル表示するパルスオキシメータ、ピークフローメータ、血圧計、体温計による療養中の計測データ及び自らの心身の状況に係わる問診回答である療養情報を、タッチパネル方式により入力し、送信する療養患者端末手段の少なくも1つと、
    送信された前記療養情報を受信し、この療養情報に対し、予め設定した配点と閾値による集計及び一次解析を行って、前記療養情報とこの集計及び一次解析の結果を患者療養状況データとして、患者毎の記録ファイルに保存すると共に、この患者療養状況データに対し所定の基準により増悪徴候を判定する増悪徴候判定手段の判定結果を、前記患者療養状況データと共に前記患者の担当看護師および担当医師のコンピュータ端末若しくは携帯電話端末に、メール送信する遠隔看護モニタデータセンターのデータ処理メインサーバ手段と、
    このデータ処理メインサーバ手段から送信された前記判定結果及び患者療養状況データを表示し、これを閲覧した担当看護師が作成する前記患者に対する所見を、前記データ処理メインサーバ手段に送信し、当該患者の前記記録ファイルに追加の書き込みをする担当看護師端末手段と、
    が通信ネットワーク或いはインターネットによりそれぞれ接続されて構成されることを特徴とする遠隔看護システム。
  2. 前記療養患者端末手段により、在宅の患者が入力する計測データは、計測結果がデジタル表示される市販の家庭向け医療機器により計測した血中酸素飽和度、脈拍数、呼気の最大流量、最高血圧値、最低血圧値、及び体温の少なくも1つが含まれることを特徴とする請求項1記載の遠隔看護システム。
  3. 前記療養患者端末手段は、療養情報であるデータ値或いは問診内容の回答に関連する複数の絵柄、数字によりタッチパネルの背景図を表示し、前記患者がこの絵柄、数字の押しボタンエリアを指定して、データ値或いは問診回答として選択入力するコンピュータであることを特徴とする請求項1記載の遠隔看護システム。
  4. 前記遠隔看護モニタデータセンターのデータ処理メインサーバ手段は、受信した計測データ及び問診回答に対し、この療養情報の程度ランクの区分に対応する予め設定した配点リストにより配点値を集計し、さらにこの集計点数及び計測データ個々に対し、患者状態の増悪兆候に関連する所定の閾値と比較する一次解析を行うことを特徴とする請求項1記載の遠隔看護システム。
  5. 前記集計及び一次解析は、当該患者の既往病歴を参考にして、その療養情報であるデータ或いは回答の程度ランクの区分に対応する、患者毎に予め設定した個別配点リストに基づいて配点値を集計し、さらに集計点数及び計測データ個々に対し、患者状態の増悪兆候に関連する患者毎の個別閾値と比較する一次解析を行うことを特徴とする請求項4記載の遠隔看護システム。
  6. 在宅酸素療法を行う患者が、結果をデジタル表示するパルスオキシメータ、ピークフローメータ、血圧計、体温計により測定した計測データ、及び療養状況に対する問診回答である療養情報を、絵柄表示されたタッチパネル方式のコンピュータの療養患者端末を操作して入力し、インターネット或いは通信ネットワークを介して、居所から遠隔看護モニタデータセンターのデータ処理メインサーバに送信する療養患者データ送信ステップと、
    前記データ処理メインサーバが、送信された前記療養情報を受信し、この療養情報に対し、予め設定した配点と閾値による集計及び一次解析を行って、前記療養情報とこの集計及び一次解析の結果を患者療養状況データとして、このデータ処理メインサーバが管理する情報データベースの患者毎の療養記録ファイルに保存する患者データ処理・保存スッテプと、
    前記データ処理メインサーバが、前記患者療養状況データに対し所定の基準により増悪徴候を判定する増悪徴候判定ステップと、
    前記データ処理メインサーバが、前記情報データベースの前記療養情報と前記患者療養状況データと前記増悪徴候の判定結果を、インターネット或いはローカルエリアネットワークを介して接続される前記患者の担当看護師の看護師端末に送信する患者状況連絡ステップと、
    前記患者状況連絡ステップで閲覧した前記療養情報と前記患者療養状況データと前記増悪徴候の判定結果に対する看護所見を、前記看護師端末により、当該患者の前記療養記録ファイルに追加書き込みする看護所見作成ステップと、
    がインターネット或いはローカルエリアネットワークを介して接続したコンピュータ端末の処理により実行されることを特徴とする遠隔看護の方法。
  7. 前記療養患者データ送信ステップにおいて送信する前記計測データは、その測定結果がデジタル表示される市販家庭向け医療機器により計測した血中酸素飽和度、脈拍数、呼気の最大流量、最高血圧値、最低血圧値、及び体温であって、これ等のデータを患者或いはその家族が前記療養患者端末を操作して入力し、この入力結果を送信処理するステップであることを特徴とする請求項6記載の遠隔看護の方法。
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