JP2009016589A - 圧電素子及びその製造方法、アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置 - Google Patents

圧電素子及びその製造方法、アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置

Info

Publication number
JP2009016589A
JP2009016589A JP2007176997A JP2007176997A JP2009016589A JP 2009016589 A JP2009016589 A JP 2009016589A JP 2007176997 A JP2007176997 A JP 2007176997A JP 2007176997 A JP2007176997 A JP 2007176997A JP 2009016589 A JP2009016589 A JP 2009016589A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
layer
lower electrode
film
piezoelectric element
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2007176997A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5376107B2 (ja
Inventor
Kinzan Ri
欣山 李
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2007176997A priority Critical patent/JP5376107B2/ja
Publication of JP2009016589A publication Critical patent/JP2009016589A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5376107B2 publication Critical patent/JP5376107B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】圧電特性を向上して面内で均一な圧電特性を得ることができる圧電素子及びその製造方法、アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置を提供する。
【解決手段】基板10上に設けられた下電極60と、該下電極60を含む下地層上に当該下電極60の端部の外側まで設けられた圧電体層70と、該圧電体層70上に設けられた上電極80とを具備し、前記下電極60の端部の外側の前記圧電体層70と前記基板10との間に、当該下電極60を含む下地層の前記圧電体層70側の表面と面一となる厚さで設けられた絶縁材料からなる充填層75を設ける。
【選択図】 図3

Description

本発明は、下電極、圧電体層及び上電極からなる圧電素子及びその製造方法並びに圧電素子を変位可能に具備するアクチュエータ装置、このアクチュエータ装置をノズル開口から液体を噴射するための圧力発生手段として具備する液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置に関する。
アクチュエータ装置等として用いられる圧電素子としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料、例えば、結晶化した圧電性セラミックス等からなる圧電体層を、下電極膜と上電極膜との2つの電極で挟んで構成されたものがある。また、圧電素子を有するアクチュエータ装置、すなわち、撓み振動モードのアクチュエータ装置を用いた装置としては、例えば、圧電素子の変位を利用してノズル開口から液滴を吐出する液体噴射ヘッドがある。この液体噴射ヘッドの代表例としては、例えば、インク滴を吐出するノズル開口と連通する圧力発生室の一部を振動板で構成し、この振動板を圧電素子により変形させて圧力発生室のインクを加圧してノズル開口からインク滴を吐出させるインクジェット式記録ヘッドが挙げられる。
また、インクジェット式記録ヘッド等に用いられるアクチュエータ装置としては、基板上に設けられて所定形状にパターニングされた下電極と、下電極上に下電極の端面を覆うように設けられた圧電体層と、圧電体層上に設けられた上電極とからなる圧電素子を具備し、下電極の端面を基板の面に対して10〜50度の範囲で傾斜する傾斜面としたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2005−35282号公報(第7及び8頁、第2及び3図)
しかしながら、下電極の端面を傾斜面としても、下電極の端面に電界集中が発生し、圧電体層が破壊されてしまうという問題がある。
また、下電極の端面を傾斜面とした場合、傾斜面上に圧電体層をゾル−ゲル法又はMOD法等により形成すると、傾斜面上に形成された圧電体層の結晶粒子が傾いて成長し、歪な形状で形成されてしまうため、圧電体層の結晶が優先配向しておらず、圧電特性が劣化してしまう。ちなみに、傾斜面上に形成された圧電体層の結晶粒子が傾いて成長すると、これに隣接する結晶粒子も影響を受けてしまい結晶粒子が傾いて形成された周囲の圧電特性にも悪影響を与えてしまう。したがって、圧電素子の特に下電極の端部に相対向する領域及びその周囲の圧電特性が劣化すると共に、圧電素子の面内で圧電特性にばらつきが生じ、下電極の端面に相対向する領域の圧電体層が破壊され易いという問題がある。
さらに、下電極の端面を基板の表面に対して垂直面で形成したとしても、下電極上に形成された結晶粒子と、基板上に形成された結晶粒子とが不連続となり、これらの間に界面が形成されて、圧電特性の劣化及び面内でのばらつきが生じると共に、破壊され易いという問題がある。
なお、このような問題は、インクジェット式記録ヘッド等の液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置の圧電素子だけでなく、勿論、その他のあらゆる装置で用いられる圧電素子においても同様に存在する。
本発明はこのような事情に鑑み、圧電特性を向上して面内で均一な圧電特性を得ることができる圧電素子及びその製造方法、アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の第1の態様は、基板上に設けられた下電極と、該下電極を含む下地層上に当該下電極の端部の外側まで設けられた圧電体層と、該圧電体層上に設けられた上電極とを具備し、前記下電極の端部の外側の前記圧電体層と前記基板との間には、当該下電極を含む下地層の前記圧電体層側の表面と面一となる厚さで設けられた絶縁材料からなる充填層を具備することを特徴とする圧電素子にある。
かかる態様では、充填層を設けることで、下電極の端部に相対向する領域及びその周辺の圧電体層の結晶を垂直とすることができ、圧電素子の圧電特性を向上して、圧電素子の圧電特性を面内で均一化することができる。また、充填層を設けることによって、下電極の端面が絶縁材料で覆われることになり、下電極膜の端面に印加される電界を減少させて、電界集中を防止することができ、圧電素子の破壊を防止することができる。
ここで、前記充填層が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛からなる群から選択される少なくとも1つの材料からなることが好ましい。これによれば、何れの絶縁材料からなる充填層を設けても、圧電体層の結晶状態を良好にすることができる。
また、前記圧電体層の側面と、前記充填層の側面とが面一となるように設けられていることが好ましい。これによれば、圧電素子をアクチュエータ装置として用いた際に、圧電素子の変位特性が充填層によって阻害されるのを防止することができる。
また、前記下地層が、前記下電極のみで構成されていることが好ましい。これによれば、充填層が、下電極の表面と面一となり、下電極及び充填層の平坦化された表面に亘って良好な結晶状態で圧電体層を形成することができる。
また、前記圧電体層は複数の圧電体膜が積層されて形成されていると共に、前記下地層が、前記下電極と、当該下電極上に設けられた少なくとも1層の前記圧電体膜とで構成されていることが好ましい。これによれば、充填層が、圧電体膜の表面と面一となり、下電極及び充填層の平坦化された表面に亘って良好な結晶状態で圧電体層を形成することができる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様に記載された圧電素子を撓み変形可能に具備することを特徴とするアクチュエータ装置にある。
かかる態様では、充填層を設けることによって、下電極の端部に相対向する領域の圧電体層の応力集中を防止して、圧電素子の破壊を防止することができる。また、圧電素子の変位特性を向上して、変位特性の面内での均一化を図ることができる。
また、本発明の他の態様は、上記態様に記載のアクチュエータ装置と、該アクチュエータ装置が一方面側に設けられると共に液滴を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、液体噴射特性を向上して信頼性を向上した液体噴射ヘッドを実現できる。
さらに、本発明の他の態様は、上記態様に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、印刷品質を向上して信頼性を向上した液体噴射装置を実現できる。
また、本発明の他の態様は、基板上に下電極を含む下地層を形成すると共に該下地層をパターニングする工程と、前記下地層の端部に充填層を形成すると共に該充填層と前記下地層の表面とを面一とする工程と、前記下地層及び前記充填層上に亘って圧電体層を形成する工程と、前記圧電体層上に上電極を形成する工程と、前記圧電体層、前記上電極及び前記充填層を同時にパターニングして、前記圧電体層を前記下電極の端部の外側に設け、前記下電極、前記圧電体層及び前記上電極からなる圧電素子を形成する工程とを具備することを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる態様では、所望の領域に充填層を形成することができると共に、下地層と充填層とに亘って圧電体層を形成することで、基板の表面に対して垂直に結晶が成長した圧電体層を得ることができる。
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図であり、図2は、図1の平面図及びそのA−A′断面図であり、図3は、図2の要部拡大断面図である。
図示するように、流路形成基板10は、本実施形態では面方位(110)のシリコン単結晶基板からなり、その一方の面には予め熱酸化によって二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。
流路形成基板10には、他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された圧力発生室12がその幅方向(短手方向)に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(液体室)となるリザーバ100の一部を構成する連通部13が形成されている。すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15からなる液体流路が設けられている。
インク供給路14は、圧力発生室12の長手方向一端部側に連通し且つ圧力発生室12より小さい断面積を有する。
すなわち、流路形成基板10には、圧力発生室12と、圧力発生室12の短手方向の断面積より小さい断面積を有するインク供給路14と、このインク供給路14に連通すると共にインク供給路14の短手方向の断面積よりも大きい断面積を有する連通路15とが複数の隔壁11により区画されて設けられている。
また、流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル開口21が穿設されたノズルプレート20が、接着剤や熱溶着フィルム等によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、厚さが例えば、0.01〜1mmで、線膨張係数が300℃以下で、例えば2.5〜4.5[×10-6/℃]であるガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
一方、このような流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述したように、弾性膜50が形成され、この弾性膜50上には絶縁体膜55が形成されている。さらに、この絶縁体膜55上には、下電極膜60と圧電体層70と上電極膜80とが、後述するプロセスで積層形成されて、圧電素子300を構成している。ここで、圧電素子300は、下電極膜60、圧電体層70及び上電極膜80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を各圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部320という。
本実施形態では、下電極膜60を複数の圧電素子300に亘って設けることで、下電極膜60を複数の圧電素子300の共通電極とし、圧電体層70及び上電極膜80を各圧電素子300毎に設けることで上電極膜80を各圧電素子300の個別電極としている。なお、本実施形態では、下電極膜60を複数の圧電素子300の共通電極とし、上電極膜80を各圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、各圧力発生室12毎に圧電体能動部320が形成されていることになる。
また、図2及び図3に示すように、本実施形態では、下電極膜60は、複数の圧電素子300に亘って設けられているが、当該下電極膜60の圧力発生室12の長手方向に相当する方向を長手方向とし、圧力発生室12の幅方向に相当する方向を下電極膜60の短手方向(幅方向)とする。そして、下電極膜60の長手方向の端部を圧力発生室12に相対向する領域内に設けることで、圧電素子300の実質的な駆動部となる圧電体能動部320の長手方向の端部(長さ)を規定している。また、圧電素子300の短手方向である上電極膜80の短手方向の端部を圧力発生室12に相対向する領域内に設けることで、圧電体能動部320の短手方向の端部(幅)を規定している。すなわち、圧電体能動部320は、パターニングされた下電極膜60及び上電極膜80によって、圧力発生室12に相対向する領域にのみ設けられていることになる。さらに、圧電体層70及び上電極膜80は、圧電素子300の長手方向で、下電極膜60の両端部の外側まで延設されて設けられている。
また、下電極膜60の端部の外側の圧電体層70と絶縁体膜55(特許請求の範囲に記載の基板)との間には、充填層75が設けられている。
充填層75は、下電極膜60を含む下地層の表面と面一となるように設けられている。なお、本実施形態では、詳しくは後述するが圧電体層70が複数の圧電体膜72が積層されて構成されており、充填層75は、下電極膜60上に設けられた1層目の圧電体膜72の表面と面一となるように設けられている。すなわち、本実施形態の下地層は、下電極膜60と1層目の圧電体膜72とで構成されていることになる。
このような充填層75としては、絶縁材料であれば特に限定されず、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等からなる群から選択される少なくとも1つの材料が挙げられる。充填層75は、1層であっても、複数層を積層したものであってもよい。
なお、圧電体層70にPZTを用いると共に充填層75にPZTを用いた場合、両者が同一材料となるが、詳しくは後述する製造方法によってこれらは個別に形成されるため、圧電体層70と充填層75との間には界面が存在する。
また、充填層75として、チタン酸鉛やチタン酸ジルコン酸鉛などのチタンを有する材料以外の材料を用いた場合には、充填層75の表面にチタン等の圧電体層70を結晶成長させる中間種膜を設けるのが好ましい。中間種膜は、製造段階において圧電体層70に拡散してなくなっていてもよく、また、中間種膜が圧電体層70に拡散しても残留するように設けるようにしてもよい。ちなみに、充填層75として、基板側(絶縁体膜55側)に酸化ジルコニウムからなる酸化ジルコニウム層を設け、圧電体層70側に酸化チタンからなる酸化チタン層を設けるようにすれば、充填層75は、絶縁性が良く、圧電体層70の結晶成長させる際の種として機能させることができ、優れた圧電特性の圧電素子300とすることができる。
このように、下電極膜60の端部の外側の圧電体層70と絶縁体膜55との間に、充填層75を設けることで、下電極膜60の端部に相対向する領域及びその周辺の圧電体層70の結晶を垂直に形成することができる。これにより、圧電体層70全体の結晶を所望の結晶系、優先配向に形成させることができ、圧電素子300の圧電特性を向上して、圧電素子300の変位特性を向上することができる。
また、充填層75を設けることによって、下電極膜60の端面が絶縁材料で覆われることになり、下電極膜60の端面に印加される電界を減少させて、電界集中を防止することができる。これにより、圧電素子300全体の変位を小さくすることなく、下電極膜60の端部近傍での変位を小さくして、下電極膜60の端部への応力集中を分散させることができ、圧電素子300及び振動板にクラックなどの破壊が発生するのを防止することができると共に、圧電素子300の各層の剥離を防止することができる。なお、このような圧電体層70のクラック等の破壊は、例えば、下電極膜の端面を傾斜した傾斜面で形成すると、下電極膜の傾斜面上に圧電体層70の結晶が流路形成基板10に対して垂直に形成されるのではなく、当該流路形成基板10に対して斜めに形成され、圧電体層の下電極膜の端部に相対向する領域に結晶が斜めに形成された結晶性の悪い領域が存在する場合に頻繁に発生するが、本実施形態では、上述のように、充填層75を設けることで、下電極膜60端部近傍で、結晶が流路形成基板10に対して垂直に形成された圧電体層70を設けたため、結晶性が悪い領域が存在することなく、圧電体層70の破壊を防止することができると共に、圧電特性を向上して圧電特性を均一化することができる。
なお、本実施形態では、圧電体層70及び上電極膜80が、図2に示すように、上電極膜80側の幅が狭くなるようにパターニングされ、その側面は傾斜面となっている。
ここで、圧電素子300を所定の基板上(流路形成基板10上)に設け、当該圧電素子300を駆動させた装置をアクチュエータ装置と称する。なお、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び下電極膜60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、下電極膜60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
なお、圧電体層70は、下電極膜60上に形成される電気機械変換作用を示す強誘電性セラミックス材料からなるペロブスカイト構造の結晶膜である。圧電体層70の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等が好適である。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),TiO3)ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O3)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O3)等を用いることができる。圧電体層70の厚さについては、製造工程でクラックが発生しない程度に厚さを抑え、且つ十分な変位特性を呈する程度に厚く形成する。例えば、本実施形態では、圧電体層70を1〜2μm前後の厚さで形成した。
さらに、圧電素子300の個別電極である各上電極膜80には、インク供給路14側の端部近傍から引き出され、絶縁体膜55上にまで延設される、例えば、金(Au)等からなるリード電極90が接続されている。
このような圧電素子300が形成された流路形成基板10上、すなわち、下電極膜60、弾性膜50及びリード電極90上には、リザーバ100の少なくとも一部を構成するリザーバ部31を有する保護基板30が接着剤35を介して接合されている。このリザーバ部31は、本実施形態では、保護基板30を厚さ方向に貫通して圧力発生室12の幅方向に亘って形成されており、上述のように流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室となるリザーバ100を構成している。
また、保護基板30の圧電素子300に対向する領域には、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有する圧電素子保持部32が設けられている。圧電素子保持部32は、圧電素子300の運動を阻害しない程度の空間を有していればよく、当該空間は密封されていても、密封されていなくてもよい。
このような保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料のシリコン単結晶基板を用いて形成した。
また、保護基板30には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられている。そして、各圧電素子300から引き出されたリード電極90の端部近傍は、貫通孔33内に露出するように設けられている。
また、保護基板30上には、並設された圧電素子300を駆動するための駆動回路200が固定されている。この駆動回路200としては、例えば、回路基板や半導体集積回路(IC)等を用いることができる。そして、駆動回路200とリード電極90とは、ボンディングワイヤ等の導電性ワイヤからなる接続配線210を介して電気的に接続されている。
また、このような保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。ここで、封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、厚さが6μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってリザーバ部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、厚さが30μmのステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のリザーバ100に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、リザーバ100の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
このような本実施形態のインクジェット式記録ヘッドでは、図示しない外部インク供給手段と接続したインク導入口からインクを取り込み、リザーバ100からノズル開口21に至るまで内部をインクで満たした後、駆動回路200からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの下電極膜60と上電極膜80との間に電圧を印加し、弾性膜50、下電極膜60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル開口21からインク滴が吐出する。
以下、このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について、図4〜図9を参照して説明する。なお、図4〜図9は、本発明の実施形態1に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す圧力発生室の長手方向の断面図である。まず、図4(a)に示すように、シリコンウェハである流路形成基板用ウェハ110の表面に弾性膜50を構成する二酸化シリコン(SiO2)からなる二酸化シリコン膜51を形成する。
次いで、図4(b)に示すように、弾性膜50(二酸化シリコン膜51)上に、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜55を形成する。
次いで、図4(c)に示すように、例えば、白金及びイリジウムからなる下電極膜60を絶縁体膜55の全面に亘って形成する。下電極膜60は、例えば、スパッタリング法などにより形成することができる。
次に、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる圧電体層70を形成する。ここで、本実施形態では、金属有機物を溶媒に溶解・分散したいわゆるゾルを塗布乾燥してゲル化し、さらに高温で焼成することで金属酸化物からなる圧電体層70を得る、いわゆるゾル−ゲル法を用いて圧電体層70を形成している。なお、圧電体層70の材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛に限定されず、例えば、リラクサ強誘電体(例えば、PMN−PT、PZN-PT、PNN-PT等)の他の圧電材料を用いてもよい。また、圧電体層70の製造方法は、ゾル−ゲル法に限定されず、例えば、MOD(Metal-Organic Decomposition)法等を用いてもよい。
圧電体層70の具体的な形成手順としては、まず、図5(a)に示すように、下電極膜60上にPZT前駆体膜である圧電体前駆体膜71を成膜する。すなわち、下電極膜60が形成された流路形成基板10上に金属有機化合物を含むゾル(溶液)を塗布する(塗布工程)。次いで、この圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間乾燥させる(乾燥工程)。例えば、本実施形態では、圧電体前駆体膜71を170〜180℃で8〜30分間保持することで乾燥することができる。
次に、乾燥した圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって脱脂する(脱脂工程)。例えば、本実施形態では、圧電体前駆体膜71を300〜400℃程度の温度に加熱して約10〜30分保持することで脱脂した。なお、ここで言う脱脂とは、圧電体前駆体膜71に含まれる有機成分を、例えば、NO2、CO2、H2O等として離脱させることである。
次に、図5(b)に示すように、圧電体前駆体膜71を所定温度に加熱して一定時間保持することによって結晶化させ、圧電体膜72を形成する(焼成工程)。焼成工程では、圧電体前駆体膜71を680〜900℃に加熱するのが好ましく、本実施形態では、680℃で5〜30分間加熱を行って圧電体前駆体膜71を焼成して圧電体膜72を形成した。
なお、このような乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程で用いられる加熱装置としては、例えば、ホットプレートや、赤外線ランプの照射により加熱するRTP(Rapid Thermal Processing)装置などを用いることができる。
次に、図5(c)に示すように、圧電体膜形成工程によって、1層目の圧電体膜72を形成した段階で、圧電体膜72と下電極膜60の厚さ方向の一部とを同時にエッチングにより除去する。
なお、1層目の圧電体膜72は、上述のように下電極膜60の全面に亘って形成するため、圧電体前駆体膜71を加熱して焼成する際に、圧電体前駆体膜71の下地として、下電極膜60が全面に設けられていることになり、圧電体前駆体膜71の加熱温度のばらつきをなくして、圧電体膜72の結晶化を均一にすることができ、優れた特性の圧電体膜72を得ることができる。
このように、同時にパターニングした下電極膜60と1層目の圧電体膜72が、本実施形態の下地層となる。
次に、図6(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の一方面の全面に亘って充填層75を形成する。充填層75の形成方法は、特に限定されず、例えば、スパッタリング法、ゾル−ゲル法、MOD法、CVD法等が挙げられる。
このとき、充填層75は、下電極膜60及び1層目の圧電体膜72からなる下地層の厚さよりも厚く形成しておく必要がある。これは、充填層75を下地層よりも薄く形成すると、充填層75の表面を下地層の表面と面一にできないからである。
次に、図6(b)に示すように、充填層75の表面側を除去することにより、下電極60及び1層目の圧電体膜72からなる下地層の表面と面一とする。これにより、充填層75と下地層との表面は平坦化される。
なお、充填層75の表面側の除去は、例えば、充填層75の表面側を研磨した後、洗浄することで行うことができる。また、充填層75の表面側の除去は、例えば、ドライエッチングや反応性イオンエッチングで行うことができる。
そして、充填層75を形成した後は、図6(c)に示すように、上述した塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程からなる圧電体膜形成工程を複数回繰り返すことで、複数層の圧電体膜72からなる所定厚さの圧電体層70を形成する。例えば、ゾルの1回あたりの膜厚が0.1μm程度の場合には、例えば、10層の圧電体膜72からなる圧電体層70全体の膜厚は約1.1μm程度となる。
このとき、2層目以降の圧電体膜72は、1層目の圧電体膜72と充填層75との平坦化された表面に亘って形成されるため、圧電体層70を基板(流路形成基板用ウェハ110)の表面に対してその結晶粒子を均一に成長させて形成することができる。これにより、圧電体層70全体の結晶を所望の結晶系、優先配向(一例として、菱面体晶系の(100)又は(111))に形成させることができ、圧電素子300の圧電特性を向上して、圧電素子300の変位特性を向上することができる。
次に、図7(a)に示すように、例えば、イリジウム(Ir)からなる上電極膜80を流路形成基板用ウェハ110の一方面の全面に亘って形成する。
そして、図7(b)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。本実施形態では、同時に充填層75をパターニングして、圧電体層70の側面と充填層75の側面とが面一となるようにした。このように充填層75をパターニングすることで、圧電体層70の外側の圧力発生室12に相対向する領域に充填層75が残留することがなく、余分な充填層75によって振動板の変位特性が劣化するのを防止している。すなわち、充填層75が圧電体層70の外側まで設けられていると、充填層75が振動板を拘束し、変位特性が低下してしまう虞がある。
また、本実施形態では、上電極膜80側の幅が狭くなるようにパターニングして、その側面を傾斜面とした。なお、圧電体層70及び上電極膜80のパターニングでは、上述した除去工程と同様に反応性イオンエッチングを用いてもよいが、圧電素子300の側面を傾斜面にするため、反応性イオンエッチングに限定されず、例えば、イオンミリング等のドライエッチングであってもよい。
次に、リード電極90を形成する。具体的には、図7(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の一方面の全面に亘って、例えば、金(Au)等からなるリード電極90を形成後、例えば、レジスト等からなるマスクパターン(図示なし)を介して各圧電素子300毎にパターニングすることで形成される。このとき、上述のように圧電素子300の側面は傾斜面で形成されているため、リード電極90の付きまわりを向上して、均一な厚さのリード電極90を形成することができる。これにより、リード電極90の抵抗のばらつきや、断線等を防止することができる。
また、本実施形態では、リード電極90は、充填層75の側面上にも設けられているが、充填層75は絶縁材料からなるため、下電極膜60とリード電極90(上電極膜80)とが充填層75によって短絡することがない。すなわち、下電極膜60を圧電体層70の側面まで延設することも考えられるが、下電極膜60を圧電体層70の側面まで延設すると、下電極膜60とリード電極90とが短絡してしまう。また、このとき、下電極膜60とリード電極90との間に絶縁膜を設ければ、下電極膜60とリード電極90との短絡を防止できるものの、絶縁膜が圧電素子300の変位を阻害しないようにするために、薄く形成する必要があり、薄い絶縁膜では、下電極膜60とリード電極90とを確実に絶縁することができず、信頼性が低下してしまう。本実施形態では、絶縁材料からなる充填層75を設けることで、上記問題が発生することがなく、信頼性を向上することができる。
次に、図8(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の圧電素子300側に、シリコンウェハであり複数の保護基板30となる保護基板用ウェハ130を接着剤35を介して接合する。なお、この保護基板用ウェハ130は、例えば、400μm程度の厚さを有するため、保護基板用ウェハ130を接合することによって流路形成基板用ウェハ110の剛性は著しく向上することになる。
次に、図8(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110を所定の厚みに薄くする。
次いで、図8(c)に示すように、流路形成基板用ウェハ110のエッチング加工した面に、例えば、窒化シリコン(SiN)等からなるマスク膜52を新たに形成し、所定形状にパターニングする。
そして、図9に示すように、流路形成基板用ウェハ110をマスク膜52を介してKOH等のアルカリ溶液を用いた異方性エッチング(ウェットエッチング)することにより、圧電素子300に対応する圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15等を形成する。
その後は、流路形成基板用ウェハ110及び保護基板用ウェハ130の外周縁部の不要部分を、例えば、ダイシング等により切断することによって除去する。そして、流路形成基板用ウェハ110の保護基板用ウェハ130とは反対側の面にノズル開口21が穿設されたノズルプレート20を接合すると共に、保護基板用ウェハ130にコンプライアンス基板40を接合し、流路形成基板用ウェハ110等を図1に示すような一つのチップサイズの流路形成基板10等に分割することによって、本実施形態のインクジェット式記録ヘッドIとする。
(実施形態2)
図10は、本発明の実施形態2に係る液体噴射ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッドの要部断面図である。なお、上述した実施形態1と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
図10に示すように、本実施形態では、圧電素子300には、下電極膜60の端部の外側の圧電体層70と基板(絶縁体膜55)との間に充填層75Aが設けられている。
充填層75Aは、下電極膜60の表面と面一となる厚さで形成されている。すなわち、本実施形態の下地層は、下電極膜60のみで構成されていることになる。
このようなインクジェット式記録ヘッドの製造方法について以下に詳細に説明する。なお、図11及び図12は、インクジェット式記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。
上述した実施形態1と同様に、流路形成基板用ウェハ110に弾性膜50、絶縁体膜55を形成する。
次に、図11(a)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の一方面の全面に亘って下電極膜60を形成すると共にパターニングする。この下電極膜60が、本実施形態の下地層となる。
次に、図11(b)に示すように、流路形成基板用ウェハ110の一方面の全面に亘って充填層75Aを形成する。充填層75Aは、下地層である下電極膜60の厚さよりも厚く形成する。
次に、図11(c)に示すように、充填層75の表面側を除去することにより、充填層75Aの表面を下地層である下電極膜60の表面と面一とする。すなわち、充填層75Aと、下地層である下電極膜60との表面は平坦化される。
次に、図11(d)に示すように、上述した実施形態1と同様の、塗布工程、乾燥工程、脱脂工程及び焼成工程からなる圧電体膜形成工程を繰り返し行って、複数層の圧電体膜72からなる圧電体層70を形成する。
このとき、圧電体層70は、下電極膜60と充填層75Aとの平坦化された表面に亘って形成されるため、圧電体層70を基板(流路形成基板用ウェハ110)の表面に対してその結晶粒子を均一に成長させて形成することができる。これにより、圧電体層70全体の結晶を所望の結晶系、優先配向(一例として、菱面体晶系の(100)又は(111))に形成させることができ、圧電素子300の圧電特性を向上して、圧電素子300の変位特性を向上することができる。
次に、図12(a)に示すように、上電極膜80を流路形成基板用ウェハ110の一方面の全面に亘って形成する。
そして、図12(b)に示すように、圧電体層70及び上電極膜80を、各圧力発生室12に対向する領域にパターニングして圧電素子300を形成する。本実施形態では、同時に充填層75Aをパターニングして、圧電体層70の側面と充填層75Aの側面とが面一となるようにした。
その後は、上述した実施形態1と同様に、リード電極90を形成すると共に、流路形成基板用ウェハ110に保護基板用ウェハ130を接合し、圧力発生室12等を形成する。
このような構成の圧電素子300としても、上述した実施形態1と同様の効果を奏することができる。
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態を説明したが、インクジェット式記録ヘッドの基本的構成は上述したものに限定されるものではない。例えば、上述した実施形態1及び2では、圧電体前駆体膜71を塗布、乾燥及び脱脂した後、焼成して圧電体膜72を形成するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、圧電体前駆体膜71を塗布、乾燥及び脱脂する工程を複数回、例えば、2回繰り返し行った後、焼成することで圧電体膜72を形成するようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態1及び2では、下電極膜60として、白金及びイリジウムを例示したが、特にこれに限定されず、例えば、下電極膜60の絶縁体膜55側の最下層に密着性を向上するチタン(Ti)等の密着層を設けるようにしてもよい。また、下電極膜60として、絶縁体膜55側から白金とイリジウムとを積層した構成としても、絶縁体膜55側からイリジウムと白金とを積層した構成としても、絶縁体膜55側からイリジウムと白金とイリジウムとを積層した構成としてもよい。
また、上述した実施形態1の下電極膜60の圧電体層70を形成する表面に、厚さが、3.5〜5.5nmのチタン(Ti)からなる種チタン層を設けた後、下電極膜60上に1層目の圧電体膜72を形成するようにしてもよい。このように種チタン層を設けることで、下電極膜60上に種チタン層を介して1層目の圧電体膜72を形成する際に、圧電体膜72の優先配向方位を(100)又は(111)に制御することができ、電気機械変換素子として好適な圧電体層70を得ることができる。なお、種チタン層は、圧電体膜72が結晶化する際に、結晶化を促進させるシードとして機能し、圧電体膜72の焼成後には圧電体膜72内に拡散するものである。なお、上述した実施形態2では、1層目の圧電体膜72が、下電極膜60及び充填層75A上に亘って形成されるため、種チタン層は、下電極膜60及び充填層75A上に亘って形成するのが好ましい。もちろん、充填層75Aとして、チタンを含有する絶縁材料を用いた場合には、充填層75Aが種チタン層として機能するため、下電極膜60上のみに種チタン層を設けるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態2では、下電極膜60をパターニングした後、充填層75Aを形成するようにしたが、特にこれに限定されず、例えば、流路形成基板用ウェハ110の一方面の全面に亘って充填層75Aを形成した後、充填層75Aの下電極膜60が形成される領域を除去し、その後、充填層75が除去された領域に下電極膜60を形成するようにしてもよい。もちろん、充填層75として、酸化ジルコニウム等の絶縁体膜55と同一材料を用いる場合には、絶縁体膜55の下電極膜60が形成される領域に凹部を形成し、この凹部内に下電極膜60を形成するようにしてもよい。すなわち、充填層が、絶縁体膜55と一体的に形成されていてもよい。
また、上述した実施形態1及び2では、流路形成基板10として、結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板を例示したが、特にこれに限定されず、例えば、結晶面方位が(100)面のシリコン単結晶基板を用いるようにしてもよく、また、SOI基板、ガラス等の材料を用いるようにしてもよい。
なお、このようなインクジェット式記録ヘッドIは、インクカートリッジ等と連通するインク流路を具備する記録ヘッドユニットの一部を構成して、インクジェット式記録装置に搭載される。図13は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す概略図である。図13に示すように、インクジェット式記録ヘッドを有する記録ヘッドユニット1A及び1Bは、インク供給手段を構成するカートリッジ2A及び2Bが着脱可能に設けられ、この記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3は、装置本体4に取り付けられたキャリッジ軸5に軸方向移動自在に設けられている。この記録ヘッドユニット1A及び1Bは、例えば、それぞれブラックインク組成物及びカラーインク組成物を吐出するものとしている。
そして、駆動モータ6の駆動力が図示しない複数の歯車およびタイミングベルト7を介してキャリッジ3に伝達されることで、記録ヘッドユニット1A及び1Bを搭載したキャリッジ3はキャリッジ軸5に沿って移動される。一方、装置本体4にはキャリッジ軸5に沿ってプラテン8が設けられており、図示しない給紙ローラなどにより給紙された紙等の記録媒体である記録シートSがプラテン8上を搬送されるようになっている。
なお、上述した実施形態1では、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであり、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドの製造方法にも勿論適用することができる。その他の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンタ等の画像記録装置に用いられる各種の記録ヘッド、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレー、FED(電界放出ディスプレー)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる。
また、本発明は、インクジェット式記録ヘッドに代表される液体噴射ヘッドに搭載されるアクチュエータ装置に限られず、他の装置に搭載されるアクチュエータ装置及びその製造方法にも適用することができる。
さらに、本発明は、液体噴射ヘッド等に利用されるアクチュエータ装置としての圧電素子だけでなく、他のあらゆる装置、例えば、マイクロホン、発音体、各種振動子、発信子、メモリ等に搭載される圧電素子にも適用できることは言うまでもない。
本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの平面図及び断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの要部拡大断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの要部断面図である。 本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の実施形態2に係る記録ヘッドの製造方法を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係る記録装置の概略図である。
符号の説明
I インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 II インクジェット式記録装置、 10 流路形成基板、 12 圧力発生室、 13 連通部、 14 インク供給路、 20 ノズルプレート、 21 ノズル開口、 30 保護基板、 31 リザーバ部、 32 圧電素子保持部、 40 コンプライアンス基板、 60 下電極膜、 70 圧電体層、 72 圧電体膜、 75、75A 充填層、 80 上電極膜、 90 リード電極、 100 リザーバ、 200 駆動回路、 210 接続配線、 300 圧電素子

Claims (9)

  1. 基板上に設けられた下電極と、該下電極を含む下地層上に当該下電極の端部の外側まで設けられた圧電体層と、該圧電体層上に設けられた上電極とを具備し、
    前記下電極の端部の外側の前記圧電体層と前記基板との間には、当該下電極を含む下地層の前記圧電体層側の表面と面一となる厚さで設けられた絶縁材料からなる充填層を具備することを特徴とする圧電素子。
  2. 前記充填層が、酸化ジルコニウム、酸化チタン、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛からなる群から選択される少なくとも1つの材料からなることを特徴とする請求項1記載の圧電素子。
  3. 前記圧電体層の側面と、前記充填層の側面とが面一となるように設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電素子。
  4. 前記下地層が、前記下電極のみで構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の圧電素子。
  5. 前記圧電体層は複数の圧電体膜が積層されて形成されていると共に、前記下地層が、前記下電極と、当該下電極上に設けられた少なくとも1層の前記圧電体膜とで構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の圧電素子。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載された圧電素子を撓み変形可能に具備することを特徴とするアクチュエータ装置。
  7. 請求項6記載のアクチュエータ装置と、該アクチュエータ装置が一方面側に設けられると共に液滴を噴射するノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板とを具備することを特徴とする液体噴射ヘッド。
  8. 請求項7記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射装置。
  9. 基板上に下電極を含む下地層を形成すると共に該下地層をパターニングする工程と、前記下地層の端部に充填層を形成すると共に該充填層と前記下地層の表面とを面一とする工程と、前記下地層及び前記充填層上に亘って圧電体層を形成する工程と、前記圧電体層上に上電極を形成する工程と、前記圧電体層、前記上電極及び前記充填層を同時にパターニングして、前記圧電体層を前記下電極の端部の外側に設け、前記下電極、前記圧電体層及び前記上電極からなる圧電素子を形成する工程とを具備することを特徴とする圧電素子の製造方法。
JP2007176997A 2007-07-05 2007-07-05 圧電素子及びその製造方法、アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置 Expired - Fee Related JP5376107B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007176997A JP5376107B2 (ja) 2007-07-05 2007-07-05 圧電素子及びその製造方法、アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007176997A JP5376107B2 (ja) 2007-07-05 2007-07-05 圧電素子及びその製造方法、アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009016589A true JP2009016589A (ja) 2009-01-22
JP5376107B2 JP5376107B2 (ja) 2013-12-25

Family

ID=40357135

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007176997A Expired - Fee Related JP5376107B2 (ja) 2007-07-05 2007-07-05 圧電素子及びその製造方法、アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5376107B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011121179A (ja) * 2009-12-08 2011-06-23 Seiko Epson Corp 圧電素子およびその製造方法、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッド、並びに、液体噴射装置
JP2012011615A (ja) * 2010-06-30 2012-01-19 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置
CN106994825A (zh) * 2015-10-05 2017-08-01 精工爱普生株式会社 压电设备以及压电设备的驱动方法

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000133905A (ja) * 1998-10-28 2000-05-12 Kyocera Corp 容量素子付き回路基板
JP2000133907A (ja) * 1998-10-28 2000-05-12 Kyocera Corp 容量素子付き回路基板
JP2004072001A (ja) * 2002-08-09 2004-03-04 Matsushita Electric Ind Co Ltd 容量素子およびその製造方法
JP2005536908A (ja) * 2002-01-11 2005-12-02 インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト 薄膜技術における位相が最適化された共振器用電極の製造方法
JP2006297909A (ja) * 2005-03-24 2006-11-02 Seiko Epson Corp アクチュエータ装置及びその製造方法並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000133905A (ja) * 1998-10-28 2000-05-12 Kyocera Corp 容量素子付き回路基板
JP2000133907A (ja) * 1998-10-28 2000-05-12 Kyocera Corp 容量素子付き回路基板
JP2005536908A (ja) * 2002-01-11 2005-12-02 インフィネオン テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト 薄膜技術における位相が最適化された共振器用電極の製造方法
JP2004072001A (ja) * 2002-08-09 2004-03-04 Matsushita Electric Ind Co Ltd 容量素子およびその製造方法
JP2006297909A (ja) * 2005-03-24 2006-11-02 Seiko Epson Corp アクチュエータ装置及びその製造方法並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011121179A (ja) * 2009-12-08 2011-06-23 Seiko Epson Corp 圧電素子およびその製造方法、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッド、並びに、液体噴射装置
JP2012011615A (ja) * 2010-06-30 2012-01-19 Seiko Epson Corp 液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置
CN106994825A (zh) * 2015-10-05 2017-08-01 精工爱普生株式会社 压电设备以及压电设备的驱动方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5376107B2 (ja) 2013-12-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5251031B2 (ja) 圧電素子、液体噴射ヘッド、液体噴射装置、センサー
JP2006245247A (ja) 圧電素子及びその製造方法、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP2008060259A (ja) 圧電素子及びその製造方法並びに液体噴射ヘッド
JP2008284781A (ja) 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP5187489B2 (ja) アクチュエータ装置の製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法
JP5297576B2 (ja) 圧電素子及びアクチュエータ装置並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2009113419A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法及び圧電素子の製造方法
JP2007073931A (ja) アクチュエータ装置の製造方法及びアクチュエータ装置並びに液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2012106342A (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2011171335A (ja) 圧電アクチュエーターの製造方法、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP4811598B2 (ja) アクチュエータ装置及びその製造方法並びに液体噴射ヘッド
JP5376107B2 (ja) 圧電素子及びその製造方法、アクチュエータ装置、液体噴射ヘッド並びに液体噴射装置
JP5105040B2 (ja) 圧電素子の製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法
JP2009190351A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法及び圧電素子の製造方法
JP2010221434A (ja) 液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP2008016586A (ja) 誘電体膜の製造方法及び圧電素子の製造方法並びに液体噴射ヘッドの製造方法
JP5304976B2 (ja) 積層膜の製造方法及びアクチュエータ装置の製造方法並びに液体噴射ヘッドの製造方法、アクチュエータ装置
JP2012011615A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射ヘッドユニット及び液体噴射装置
JP5773134B2 (ja) 圧電素子の製造方法、圧電素子、液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2010173197A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、アクチュエーター装置及び液体噴射ヘッドの製造方法
JP4888647B2 (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置
JP2006245248A (ja) 圧電素子及びその製造方法、液体噴射ヘッド及びその製造方法並びに液体噴射装置
JP2010199265A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法及びアクチュエーター装置の製造方法
JP2010228277A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、アクチュエーター装置及び液体噴射ヘッドの製造方法
JP2007173605A (ja) 圧電素子の製造方法及び液体噴射ヘッドの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121226

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121228

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130222

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130612

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130812

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130828

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130910

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees