JP2009016223A - 固体酸化物形燃料電池の作動方法及び作動システム - Google Patents

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Abstract

【課題】固体酸化物形燃料電池の起電力を理論起電力に近づける。
【解決手段】少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セル2の内側に燃料ガスを供給すると共に管状セルの外側に酸化剤ガスを供給して固体酸化物形燃料電池を作動させる際に、管状セル2の内側の圧力を管状セル2の外側の圧力に対して陽圧に制御するようにした。具体的には、少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セル2と、管状セル2の両端部にシール材3を介して接続されるガス不透過性の燃料ガス流通管4と、燃料ガス流通管4に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段5と、管状セル2の外側に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段6と、管状セル2を加熱する加熱手段7と、管状セル2の内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御する圧力調整手段8とを含むものとした。
【選択図】図1

Description

本発明は固体酸化物形燃料電池の作動方法及び作動システムに関する。さらに詳述すると、本発明は、固体酸化物形燃料電池の管状セルの起電力を高めて理論起電力に近づけるのに好適な固体酸化物形燃料電池の作動方法及び作動システムに関する。
固体酸化物形燃料電池は、化石燃料を使用するエネルギー変換技術の中でも最高の効率が達成可能であると期待されており、研究が活発に行われている。
最近では、急速起動等の柔軟な運転技術の開発さらには小型電源の開発を目的として、600〜800℃程度の温度域で作動する固体酸化物形燃料電池の開発が盛んに行われている(特許文献1、非特許文献1、非特許文献2)。
特開2004−143023 K.Eguchi, T. Setoguchi, T. Inoue and H. Arai,"Electrical properties of ceria-based oxides and their application tosolid oxide fuel cells", Solid State Ionics, 52 (1992) 165. T.Suzuki, T. Yamaguchi, Y. fujishiro, M. Awano, "Fabrication and characterization of micro tubular SOFCs foroperation in the intermediate temperature", J.Power Source, 160 (2006) 73.
上記のように、固体酸化物形燃料電池の単セル自体の性能を高めるための研究が各種実施されており、これらの研究の成果により、優れた発電性能を有する固体酸化物形燃料電池が得られつつある。しかしながら、固体酸化物形燃料電池の単セルの起電力は、ネルンストの式から理論的に計算される起電力(以下、理論起電力と呼ぶ)よりも低い場合が多く、その性能が十分に発揮されていない問題がある。そこで、固体酸化物形燃料電池の単セル自体の性能を高めるだけでなく、その起電力を理論起電力に近づける手法の確立が望まれている。
本発明は、固体酸化物形燃料電池の起電力を理論起電力に近づけて固体酸化物形燃料電池の性能を最大限に発揮させることができる固体酸化物形燃料電池の作動方法と作動システムを提供することを目的とする。
かかる課題を解決するため、本願発明者等は、少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルにおける酸化剤ガスの燃料極側への侵入と、燃料ガスの空気極側へのリークに着目して鋭意研究を行った。その結果、酸化剤ガスの燃料極側への侵入量が大きくなるにつれて管状セルの起電力が低下し、逆に、燃料ガスを空気極側へリークさせるようにして酸化剤ガスの燃料極側への侵入を防いだ場合には、管状セルの起電力を理論起電力に近づけることができることを知見し、本願発明に至った。
かかる知見に基づく本発明の固体酸化物形燃料電池の作動方法は、少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルの内側に燃料ガスを供給すると共に管状セルの外側に酸化剤ガスを供給して固体酸化物形燃料電池を作動させる際に、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御するようにしている。
このように、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御することで、管状セルの起電力を低下させる要因、即ち、管状セルの内側への酸化剤ガスの侵入が防止される。したがって、管状セルの起電力が理論起電力に近づく。
ここで、管状セルの内側の圧力と管状セルの外側の圧力とを常圧よりも高めながら、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御するようにしてもよい。
このように、管状セルの内側の圧力と管状セルの外側の圧力とを常圧よりも高めることにより、電極過電圧とオーム抵抗が低減され、管状セルの理論起電力が常圧の場合よりも高まる。したがって、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御することで、管状セルの起電力が常圧の場合よりも高められた理論起電力に近づく。
次に、本発明の固体酸化物形燃料電池の作動システムは、少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルと、管状セルの両端部にシール材を介して接続されるガス不透過性の燃料ガス流通管と、燃料ガス流通管に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、管状セルの外側に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、管状セルを加熱する加熱手段と、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御する圧力調整手段とを含むものである
このように、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御する圧力調整手段を備えることにより、管状セルの内側への酸化剤ガスの侵入が防止される。したがって、管状セルの起電力が理論起電力に近づく。
また、本発明の固体酸化物形燃料電池の作動システムは、少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルと、管状セルの両端部にシール材を介して接続されるガス不透過性の燃料ガス流通管と、管状セルを収容する密閉容器と、燃料ガス流通管に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、密閉容器内に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、管状セルを加熱する加熱手段と、管状セルの内側に供給された燃料ガスを密閉容器外に排出する燃料ガス排出手段と、密閉容器に供給された酸化剤ガスを密閉容器外に排出する酸化剤ガス排出部と、管状セルの内側を流通する燃料ガスの供給量を調節する手段と、管状セルの内側を流通する燃料ガスの排出量を調節する手段と、密閉容器を流通する酸化剤ガスの供給量を調節する手段と、密閉容器を流通する酸化剤ガスの排出量を調節する手段とを含むものである。
このように、管状セルの内側を流通する燃料ガスの供給量を調節する手段と、管状セルの内側を流通する燃料ガスの排出量を調節する手段と、密閉容器を流通する酸化剤ガスの供給量を調節する手段と、密閉容器を流通する酸化剤ガスの排出量を調節する手段とを備えることにより、管状セルの内側の圧力と外側の圧力を制御して、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御することができる。したがって、管状セルの起電力が理論起電力に近づく。しかも、管状セルの内側を流通する燃料ガスの供給量を調節する手段と、管状セルの内側を流通する燃料ガスの排出量を調節する手段とを備えることにより、燃料ガスの供給量に対して排出量を少なくすることで、管状セルの内側の圧力を常圧よりも高めることができる。また、密閉容器を流通する酸化剤ガスの供給量を調節する手段と、密閉容器を流通する酸化剤ガスの排出量を調節する手段とを備えることにより、酸化剤ガスの供給量に対して排出量を少なくすることで、密閉容器内の圧力を常圧よりも高めて、管状セルの外側の圧力を常圧よりも高めることができる。したがって、管状セルの内側の圧力と外側の圧力の双方を常圧よりも高めることができ、電極過電圧とオーム抵抗が低減され、管状セルの理論起電力が常圧の場合よりも高めることができる。
さらに、本発明の固体酸化物形燃料電池の作動システムは、固体酸化物形燃料電池の作動温度域が500〜650℃であり、燃料極を構成する材料には酸化ニッケルが含まれ、電解質を構成する材料にはスカンジア安定化ジルコニアまたはセリア系固溶体が含まれ、シール材は無機接着剤からなる多孔質体と無機コーティング剤からなる緻密膜との二層構造であり、管状セルの両端部と燃料ガス流通管とが多孔質体で接続され、多孔質体のうちの少なくとも酸化剤ガスと接触する側の表面に緻密膜が被覆されているものである。
例えば、無機接着剤はアロンセラミックC(登録商標)であり、無機コーティング剤はアロンセラミックCC(登録商標)である。アロンセラミックCからなる多孔質体とアロンセラミックCCからなる緻密膜は、酸化ニッケルが含まれる燃料極の熱膨張率と同程度の熱膨張率を有し、酸化ニッケル、スカンジア安定化ジルコニア及びセリア系固溶体と反応することがない。しかも、アロンセラミックCからなる多孔質体は、管状セル及び燃料ガス流通管との接着性が優れており、多孔質体のうちの少なくとも酸化剤ガスと接触する側の表面にアロンセラミックCCからなる緻密膜を形成することで、優れたガスシール性が発揮される。勿論、無機接着剤はアロンセラミックCに限定されるものではなく、アロンセラミックCと同様の性質を有する無機接着剤を使用することができる。また、無機コーティング剤はアロンセラミックCCに限定されるものではなく、アロンセラミックCCと同様の性質を有する無機コーティング剤を使用することができる。
請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池の作動方法によれば、固体酸化物形燃料電池の管状セルの内側の圧力を外側の圧力に対して陽圧に制御するようにしているので、管状セルの起電力を低下させる要因、即ち、管状セルの外側を流通する酸化剤ガスの内側への侵入の影響を排除することができる。したがって、管状セルの起電力を理論起電力に近づけることができ、固体酸化物形燃料電池の性能を最大限に発揮させながら、固体酸化物形燃料電池を作動させることが可能となる。
請求項2に記載の固体酸化物形燃料電池の作動方法によれば、管状セルの内側の圧力と管状セルの外側の圧力とを常圧よりも高めながら、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御するようにしているので、管状セルの理論起電力を常圧の場合よりも高めつつも、管状セルの起電力を理論起電力に近づけることができる。したがって、管状セルの内側の圧力と外側の圧力とを常圧よりも高めた場合の理論起電力の増大効果を最大限に発揮させながら、固体酸化物形燃料電池を作動させることが可能となる。
請求項3に記載の固体酸化物形燃料電池の作動システムによれば、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御する圧力調整手段を備えているので、管状セルの内側への酸化剤ガスの侵入を防止することができる。したがって、管状セルの起電力を理論起電力に近づけることができ、固体酸化物形燃料電池の性能を最大限に発揮させながら、固体酸化物形燃料電池を作動させることが可能となる。
請求項4に記載の固体酸化物形燃料電池の作動システムによれば、管状セルの内側を流通する燃料ガスの供給量を調節する手段と、管状セルの内側を流通する燃料ガスの排出量を調節する手段と、密閉容器を流通する酸化剤ガスの供給量を調節する手段と、密閉容器を流通する酸化剤ガスの排出量を調節する手段とを備えているので、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御することができる。したがって、管状セルの起電力を理論起電力に近づけることができ、固体酸化物形燃料電池の性能を最大限に発揮させながら、固体酸化物形燃料電池を作動させることが可能となる。
しかも、この場合は、管状セルの内側の圧力と外側の圧力の双方を常圧よりも高めることができ、電極過電圧とオーム抵抗が低減され、管状セルの理論起電力を常圧の場合よりも高めることができる。よって、管状セルの内側の圧力と外側の圧力とを常圧よりも高めた場合の理論起電力の増大効果を最大限に発揮させながら、固体酸化物形燃料電池を作動させることが可能となる。
請求項5に記載の固体酸化物形燃料電池の作動システムによれば、シール材は無機接着剤からなる多孔質体と無機コーティング剤からなる緻密膜との二層構造であり、管状セルの両端部と燃料ガス流通管とが多孔質体で接続され、多孔質体のうちの少なくとも酸化剤ガスと接触する側の表面に緻密膜が被覆されているので、優れたガスシール性を発揮させることができ、管状セルの外側を流通する酸化剤ガスの管状セルの内側への侵入量を2〜5%に抑えることができる。したがって、作動温度域が500〜650℃の固体酸化物形燃料電池の性能を最大限に発揮させながら、固体酸化物形燃料電池を作動させることが可能となる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の固体酸化物形燃料電池の作動方法は、少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルの内側に燃料ガスを供給すると共に管状セルの外側に酸化剤ガスを供給して固体酸化物形燃料電池を作動させる際に、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御するようにしている。
つまり、本発明の固体酸化物形燃料電池の作動方法は、少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルを作動させる際に、以下の状況が発生する場合において有効な作動方法である。
(a)管状セルの外側を流通する酸化剤ガスが管状セルの内側に侵入する場合
(b)管状セルの外側を流通する酸化剤ガスが管状セルの内側に侵入し、且つ管状セルの内側を流通する燃料ガスが管状セルの外側にリークする場合
一般に、管状セルに燃料ガスと酸化剤ガスとを流通させる場合、燃料ガスと酸化剤ガスの流量を同程度としたときや、管状セルの内側の圧力と外側の圧力とがほぼ等しいときには、上記(b)が生じる。また、酸化剤ガスの流量を燃料ガスの流量よりも多くしたときや、管状セルの内側の圧力に対して外側の圧力を高めたときには、上記(a)が生じやすくなる。
上記(a)及び(b)が生じる状況下においては、管状セルの起電力がネルンストの式から計算される理論起電力よりも低下し、その性能が十分に発揮されない。このような場合に、管状セルの内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御することで、上記(a)及び(b)を防いで、管状セルの起電力をネルンストの式から計算される理論起電力に近づけることができる。
ここで、管状セルは、一般的に、管状セルの内側の容積と比較して大きな容積を有する容器に収容されて使用されるか、あるいは容器等に収容されずに、管状セルの外側が大気中に晒された状態で使用される。したがって、燃料ガスが流通する管状セルの内側の容積に対し、酸化剤ガスが流通する管状セルの外側の容積は大きく、管状セルの内側から管状セルの外側に燃料ガスがリークしても、管状セルの外側を流通する酸化剤ガスの酸素分圧の変動はほとんど無いことから、管状セルの内側から外側への燃料ガスのリークにより管状セルの起電力の低下が引き起こされることはほとんど無い。逆に、管状セルの外側を流通する酸化剤ガスが管状セルの内側に侵入すると、管状セルの内側の酸素分圧が変動しやすくなり、結果として起電力の低下が生じる。
管状セルの内側と外側との間の差圧については、管状セルの内側の圧力を外側の圧力に対して、0kPa超とすればよい。換言すれば、管状セルの内側の圧力値から外側の圧力値を引いた値が0kPa超となるようにすればよい。ここで、差圧の上限値については、管状セルの内側の圧力を外側の圧力に対して高め過ぎると、管状セルの内側を流通する燃料ガスが外側へリークしやすくなって、管状セルの外側を流通する酸化剤ガスと燃料ガスの燃焼反応が起こりやすくなり、管状セルの起電力の低下や、管状セルの破壊が引き起こされる虞がある。本発明者の実験によると、+5kPaまでであれば、作動上の問題は生じることはないが、+2kPa以上になると起電力の上昇はほとんど見られなくなる。したがって、固体酸化物形燃料電池の起電力を理論起電力に近づけるためには、0kPa超〜+5kPaとすればよいが、実質的には0kPa超〜+2kPaとすることが好ましく、+1kPa〜2kPaとすることがより好ましく、+2kPaとすることがさらに好ましい。
以下に、本発明の固体酸化物形燃料電池の作動方法を実施するための作動システムの第一の実施形態を示す。
図1に示す固体酸化物形燃料電池の作動システム1は、固体酸化物形燃料電池の管状セル2と、管状セルの両端部にシール材3を介して接続されるガス不透過性の燃料ガス流通管4と、燃料ガス流通管4に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段5と、管状セル2の外側に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段6と、管状セル2を加熱する加熱手段7と、管状セル2の内側の圧力を管状セル2の外側の圧力に対して陽圧に制御する圧力調整手段8とを含むものである。図1では、管状セル2の両端部にシール材3を介して燃料ガス流通管4が接続されたシール構造体を符号Aで示している。シール構造体Aの燃料ガス流通管4のうちの一方には燃料ガス供給手段5から燃料ガスが供給され、燃料ガス流通管4のうちの他方から排出され、燃料ガスは燃料ガス流路A1を流通している。また、シール構造体Aの管状セル2の外側には、酸化剤ガス供給手段6から酸化剤ガスが供給される。
要するに、第一の実施形態の作動システム1では、圧力調整手段8により、管状セル2の内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御し、管状セル2の外側を流通する酸化剤ガスが管状セル2の内側に侵入するのを防止するものである。これにより、管状セル2の起電力をネルンストの式から計算される理論起電力に近づけることができる。
固体酸化物形燃料電池の管状セル2は、少なくとも燃料極20と電解質21と空気極23とが内側から外側に向かって積層されているものであり、各部材を構成する材料や作動温度及びセルサイズは特に限定されない。また、燃料極20と電解質21との間に中間層22が備えられたセルや空気極23と電解質21との間に中間層22が設けられた管状セル2も本発明の作動システム1に適用することができる。尚、管状セル2の基材については、燃料極20を管状の基材としてその外側表面に電解質21と空気極23とを順に積層してもよいし、空気極23を管状の基材としてその内側表面に電解質21と燃料極20とを順に積層してもよい。または、管状の基材を燃料極20とは別の多孔性部材で作製し、この基材の外側表面に燃料極20と電解質21と空気極23とを順に積層してもよいし、管状の基材を燃料極23とは別の多孔性部材で作製し、この基材の内側表面に空気極23と電解質21と燃料極20とを順に積層してもよい。
管状セル2と燃料ガス流通管4とを接続するシール材3としては、公知あるいは新規のものを適宜使用し、管状セル2と燃料ガス流通管4とを接続することができる。例えば、シール材3として接着剤を用い、この接着剤により管状セル2と燃料ガス供給管4とを接続する接着方式、シール材3として変形性を有する緩衝材を用い、この緩衝材により管状セル2と燃料ガス供給管4とを接続する緩衝材方式、シール材3として不活性ガスや流動性物質を用いる方法等が知られているが、これらに限定されるものではなく、固体酸化物形燃料電池の各部材を構成する材料や作動温度域に応じて適宜選択することができる。
ここで、500〜650℃の温度域で作動させる固体酸化物形燃料電池の管状セルを用いる場合には、シール材3を無機接着剤からなる多孔質体と無機コーティング剤からなる緻密膜との二層構造とし、管状セル2の両端部と燃料ガス流通管4とが多孔質体3aで接続され、多孔質体3aのうちの少なくとも酸化剤ガスと接触する側の表面に緻密膜3bが被覆されていることが好ましい。例えば、無機接着剤としては、アロンセラミックCを用いることができる。また、無機コーティング剤としては、アロンセラミックCCを用いることができる。東亞合成性の耐熱性無機接着剤であるアロンセラミックCと無機コーティング剤であるアロンセラミックCCとからなる二重構造のシール材を使用することが好ましい。500〜650℃の温度域で作動させる固体酸化物形燃料電池の管状セルにおいては、電解質材料として、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)やCGO(セリア系固溶体)が使用され、燃料極材料として酸化ニッケルを含む材料、例えばNiO−ScSZやNiO−CGOが使用される。アロンセラミックCとアロンセラミックCCは、酸化ニッケルを含む燃料極材料と熱膨張率が同程度であることから、熱処理の際や作動時に管状セル2からの剥離が起こりにくい。また、アロンセラミックCは酸化ニッケル、ScSZ及びCGOと反応することがなく、電解質の性能や燃料極の性能を妨げることがない。さらに、アロンセラミックCは管状セル2と燃料ガス流通管4との隙間を埋めることのできる十分な充填性を有している。したがって、管状セル2と燃料ガス流通管4との接着性を十分に確保できる。但し、アロンセラミックCは熱硬化させた後に多孔質体となることから、少なくともアロンセラミックCからなる多孔質体の酸化剤ガスと接触する側の面にアロンセラミックCCからなる緻密膜を形成するようにする。このシール材を用いることで、管状セル2の外側を流通する酸化剤ガスの内側への侵入量を2〜5%に抑えることができる。
アロンセラミックCとアロンセラミックCCによりシール材を形成する場合には、以下の手順により行う。即ち、管状セル2の両端部と燃料ガス流通管4との隙間をアロンセラミックCで充填した後、室温で乾燥し、90℃で1〜2時間加熱脱水する。次に、150℃〜700℃の温度で1時間以上加熱し、加熱炉の内部で徐冷する。次に、少なくともアロンセラミックCからなる多孔質体の酸化剤ガスと接触する側の面にアロンセラミックCCをコーティングした後、室温で乾燥し、90℃で1〜2時間加熱脱水する。次に、150℃〜700℃の温度で1時間以上加熱し、加熱炉の内部で徐冷する。ここで、アロンセラミックCを150℃〜700℃の温度で1時間以上加熱する工程を省略して、アロンセラミックCを充填・乾燥後にアロンセラミックCCを塗布しても構わない。但し、この場合には、熱処理時にアロンセラミックCから水分などの揮発成分が発生してアロンセラミックCCの緻密性に影響をおよぼす可能性があるので、熱処理の昇温速度を抑えることが好ましい。
尚、無機接着剤はアロンセラミックCに限定されるものではなく、アロンセラミックCと同等の性質を有する無機接着剤を用いることができる。アロンセラミックCは、その主成分をシリカとし、20℃における粘土が70000cpであり、密度が1.9gcm−3であり、線膨張率が13×10−6−1(0〜600℃平均)である。したがって、この性質とほぼ同等の性質を有する無機接着剤であれば使用することができる。要するに、管状セル2と燃料ガス流通管4との隙間を埋める十分な充填性を有するとともに接着性を有し、管状セル2を構成する部材との線膨張率が同程度であり、且つ管状セル2を構成する部材と反応することのない無機接着剤を使用することができる。
また、無機コーティング剤はアロンセラミックCCに限定されるものではなく、アロンセラミックCCと同等の性質を有する無機コーティング剤を用いることができる。アロンセラミックCCは、その主成分をシリカとし、20℃における粘土が700cpであり、線膨張率が13×10−6−1(0〜600℃平均)である。したがって、この性質とほぼ同等の性質を有する無機コーティング剤であれば使用することができる。要するに、多孔質体3aを被覆することのできる十分な被覆性を有するととも、管状セル2を構成する部材との線膨張率が同程度であり、且つ管状セル2を構成する部材と反応することのない無機接着剤を使用することができる。
図2に管状セル2と燃料ガス流通管4の接続状態を示す。管状セル2は少なくとも燃料極20と電解質21と空気極23とが内側から外側に向かって積層されているものである。そして、この管状セル2の両端部が燃料ガス流通管4に挿入され、管状セル2と燃料ガス流通管4との間の隙間にアロンセラミックCからなる多孔質体3aが充填され、多孔質体3aの少なくとも酸化剤ガスと接触する側の面にアロンセラミックCCからなる緻密膜が形成されている。これをシール構造体Aと呼ぶ。シール構造体Aの燃料ガス流通管4のうちの一方には燃料ガス供給手段5から燃料ガスが供給され、燃料ガス流通管4のうちの他方から排出され、燃料ガスは燃料ガス流路A1を流通している。酸化剤ガスは管状セルの外側に供給される。図1に示す符号Aはこのシール構造体を意味している。
燃料ガス流通管4は、燃料ガス流通管4の内側を流通する燃料ガスと、燃料ガス流通管4の外側を流通する酸化剤ガスとを透過させることのない部材により構成される。例えば、アルミナその他のセラミックス材料を部材として用いることができるが、これに限定されるものではない。
燃料ガス供給手段5は、燃料ガス流通管4のうちの一方を介して管状セル2の内側に燃料ガスを供給する手段である。燃料ガスとしては、固体酸化物形燃料電池を作動させる際に一般的に使用されている燃料ガスを用いればよい。例えば、水素ガスを燃料ガスとし、これにキャリアガス(例えば、希ガスや窒素ガスなどの不活性ガス)を混合した後に燃料ガス流通管4のうちの一方を介して管状セル2の内側に供給すればよいが、これに限定されるものではなく、天然ガス等を改質したガスを用いてもよい。また、図示省略しているが、燃料ガス供給手段5と燃料ガス流通管4の間に燃料ガスを加湿するためのバブラーを設けてもよい。燃料ガスを適度に加湿することで、燃料ガスの還元力を抑制して、還元性雰囲気に弱い電解質の劣化を防ぐことができる。また、実燃料を用いる場合には、炭素析出を抑制することもできる。例えば、メタンを燃料ガスとして用いた場合、メタンに対する水蒸気のモル比は2〜3とすればよいが、この条件に限定されるものではない。
酸化剤ガス供給手段6は、管状セル2の外側に酸化剤ガスを供給する手段である。酸化剤ガスとしては、固体酸化物形燃料電池を作動させる際に一般的に使用されている酸化剤ガスである空気、酸素富化空気または酸素を用いればよい。例えば、酸素と空気を混合して酸素富化空気とし、これにキャリアガス(例えば、希ガスや窒素ガスなどの不活性ガス)を混合した後に管状セル2の外側に供給するようにすればよいが、これに限定されるものではない。
加熱手段7は、管状セル2を適切な作動温度域に加熱するものであれば特に限定されないが、例えば電気炉等で利用される、電流によるジュール熱を利用する加熱手段、アーク放電の発生する熱を利用する加熱手段、または高周波による誘導電流の発生する熱を利用する加熱手段を用いることができる。
圧力調整手段8は、管状セル2の内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御するものである。
本実施形態では、圧力調整手段8として、燃料ガス供給手段5と燃料ガス流通管4のうちの一方とを接続している配管5aに燃料ガス供給量を調節する第一背圧弁8aを設けてこの弁の開度により管状セル2の内側に供給される燃料ガスの流量を調整すると共に、管状セル2の内側を流通した燃料ガスの排気量を調整する第二背圧弁8bを配管11に設けている。配管11は、燃料ガス流通管4のうちの他方から排出される燃料ガスを排気ダクトに導く配管である。第二背圧弁8bの開度により管状セル2の内側から排出される燃料ガスの流量を調整し、燃料ガスの供給量に対する排出量を小さくすることによって、管状セル2の内側の圧力を常圧よりも高め、管状セル2の内側の圧力が外側の圧力に対して相対的に高まるようにしている。
ここで、圧力調整手段8はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、上記の燃料ガス供給量調節弁8aのみを設けてこの弁の開度により管状セル2の内側に供給される燃料ガスの流量を調整し、管状セル2の外側を流通する酸化剤ガスの流量に対し、管状セル2の内側を流通する燃料ガスの流量を相対的に高めるようにして、管状セル2の内側の圧力を外側の圧力に対して陽圧に制御してもよい。
また、燃料ガス供給手段から供給される燃料ガスの圧力を、例えば加圧装置により予め高めてから管状セル2の内側に供給することによって、管状セル2の内側の圧力を高め、管状セル2の内側の圧力を外側の圧力に対して陽圧に制御してもよい。
管状セルの内側と外側との間の差圧については、上述したように、管状セルの内側の圧力を外側の圧力に対して、0kPa超〜+5kPaとすればよいが、実質的には0kPa超〜+2kPaとすることが好ましく、+1kPa〜+2kPaとすることがより好ましく、+2kPaとすることがさらに好ましい。
尚、この作動システムにおいて、管状セル2からの集電を行う際には、例えば、空気極に白金メッシュを巻き付け、白金メッシュ表面に白金線を巻き付けて空気極側の集電を行い、管状セル2の外側表面に露出している燃料極に白金線を巻き付けて燃料極側の集電を行えばよいが、集電はこの方法には限定されない。
次に、本発明の固体酸化物形燃料電池の作動方法を実施するための作動システムの第二の実施形態を示す。
図3に示す固体酸化物形燃料電池の作動システム1は、固体酸化物形燃料電池の管状セル2と、管状セル2の両端部にシール材3を介して接続されるガス不透過性の燃料ガス流通管4と、管状セル2を収容する密閉容器10と、燃料ガス流通管4に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段5と、密閉容器10内に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段6と、管状セル2を加熱する加熱手段7と、管状セル2の内側に供給された燃料ガスを密閉容器10外に排出する燃料ガス排出手段11と、密閉容器10に供給された酸化剤ガスを密閉容器10外に排出する酸化剤ガス排出部12と、管状セル2の内側を流通する燃料ガスの供給量を調整する手段13(以下、燃料ガス供給量調整手段13と呼ぶ)と、管状セル2の内側を流通する燃料ガスの排出量を調整する手段14(以下、燃料ガス排出量調整手段14と呼ぶ)と、密閉容器10を流通する酸化剤ガスの供給量を調整する手段15(以下、酸化剤ガス供給量調整手段15と呼ぶ)と、密閉容器10を流通する酸化剤ガスの排出量を調整する手段16(以下、酸化剤ガス排出量調整手段16と呼ぶ)とを備えるものである。図3においても、管状セル2の両端部にシール材3を介して燃料ガス流通管が接続されたシール構造体を符号Aで示している。シール構造体Aの燃料ガス流通管4のうちの一方には燃料ガス供給手段5から燃料ガスが供給され、燃料ガス流通管4のうちの他方から排出され、燃料ガスは燃料ガス流路A1を流通している。また、密閉容器10に酸化剤ガス供給手段6から酸化剤ガスが供給されて、シール構造体Aの管状セル2の外側に酸化剤ガスが流通している。
尚、本実施形態では、燃料ガス流通管4のうちの一方と燃料ガス供給手段5は配管5aで接続されている。燃料ガス排出手段11は、燃料ガス排出管11であり、燃料ガス流通管4のうちの他方に接続されている。密閉容器10と酸化剤ガス供給手段6は配管6aで接続されている。酸化剤ガス排出部12には配管12aが接続されている。
要するに、第二の実施形態の作動システム1では、燃料ガス供給量調整手段13と、燃料ガス排出量調整手段14と、酸化剤ガス供給量調整手段15と、酸化剤ガス排出量調整手段16とを備えることにより、管状セル2の内側の圧力を管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御し、管状セル2の外側を流通する酸化剤ガスが管状セル2の内側に侵入するのを防止するものである。これにより、管状セル2の起電力をネルンストの式から計算される理論起電力に近づけることができる。
そして、第二の実施形態の作動システム1では、燃料ガス供給量調整手段13と、燃料ガス排出量調整手段14とを備えることにより、燃料ガス供給量に対する燃料ガス排出量を小さくして、管状セル2の内側の圧力を常圧よりも高めることができる。また、酸化剤ガス供給量調整手段15と、酸化剤ガス排出量調整手段16とを備えることにより、酸化剤ガス供給量に対する酸化剤ガス排出量を小さくして、密閉容器10内の圧力を常圧よりも高めることができる。したがって、管状セル2の内側の圧力と外側の圧力の双方を常圧よりも高めて、管状セル2の電極過電圧とオーム抵抗とを低減し、管状セル2の理論起電力を常圧の場合よりも高めることができる。よって、管状セル2の内側の圧力と外側の圧力とを常圧よりも高めた場合の理論起電力の増大効果を最大限に発揮させながら、固体酸化物形燃料電池を作動させることができる。
第二の実施形態における管状セル2、シール材3、燃料ガス流通管4、燃料ガス供給手段5、酸化剤ガス供給手段6、加熱手段7及び集電方法については第一の実施形態と同様であり、ここでは説明を省略する。
密閉容器10としては、酸化剤ガスの供給量と排出量とを調整することによって、加圧雰囲気が形成されるように気密性を有するものとし、且つ、管状セル2を収容でき、管状セル2の内側を流通する燃料ガスが管状セル2の外側にリークした場合に、管状セル2の外側の酸素分圧の変動がほとんど無視できる程度の容積を有するものを用いることが好ましい。
密閉容器10には、酸化剤ガス供給手段6から酸化剤ガスが供給される酸化剤ガス供給部10aと酸化剤ガスが排出される酸化剤ガス排出部12が備えられている。酸化剤ガス供給部10aと酸化剤ガス供給手段6とは配管6aを介して接続され、配管6aには酸化剤ガス供給量調整手段15が備えられている。そして、酸化剤ガス排出部12から酸化剤ガス排気ダクトに続く配管12aには酸化剤ガス排出量調整手段16が備えられている。つまり、酸化剤ガス供給量調整手段15と酸化剤ガス排出量調整手段16とを閉じた状態とすることで、密閉容器10が密閉状態となる。尚、酸化剤ガス排出量調整手段16は配管12aに備える形態には限定されず、密閉容器10の酸化剤ガス排出部12に設けられた開度調整機構を酸化剤ガス排出量調整手段16としてもよい。
密閉容器10に収容された管状セル2には燃料ガス流通管4が接続されている。そして、本実施形態では、燃料ガス流通管4のうちの一方と燃料ガス供給手段5とが配管5aを介して接続され、配管5aは密閉容器10の気密性を低下させることなく密閉容器10を貫通している。また、燃料ガス流通管4のうちの他方と燃料ガス排出管11とが接続され、燃料ガス排出管11は密閉容器10の気密性を低下させることなく密閉容器10を貫通して排気ダクトに接続されている。そして、配管5aには燃料ガス供給量調整手段13が備えられ、密閉容器10の外側の燃料ガス排出管11には、燃料ガス排出量調整手段14が備えられている。
燃料ガス供給量調整手段13と、燃料ガス排出量調整手段14は、管状セル2の内側に燃料ガスを供給すると共に、管状セル2の内側の圧力を外側の圧力に対して相対的に高めて陽圧とし、さらに、管状セル2の内側の圧力を常圧よりも高めるものである。
燃料ガス供給量調整手段13と、燃料ガス排出量調整手段14は、例えば背圧弁である。即ち、燃料ガス供給量に対する燃料ガス排出量が小さくなるように背圧弁の開度を調整することにより、管状セル2の内側の圧力を高めることができる。例えば、燃料ガス供給量調整手段13としての背圧弁の開度よりも燃料ガス排出量調整手段14としての背圧弁の開度を小さくすることによって、管状セル2の内側の圧力を高めることができる。したがって、管状セル2の内側の圧力を外側の圧力に対して相対的に高めて陽圧とし、さらに、管状セル2の内側の圧力を常圧よりも高めることができる。
酸化剤ガス供給量調整手段15と、酸化剤ガス排出量調整手段16は、密閉容器10内に酸化剤ガスを供給することにより、管状セル2の外側に酸化剤ガスを供給すると共に、密閉容器10内の圧力を管状セル2の内側の圧力に対して相対的に小さくして陰圧とし、さらに、密閉容器10内の圧力を常圧よりも高めることにより、管状セル2の外側の圧力を常圧よりも高めるものである。
酸化剤ガス供給量調整手段15と、酸化剤ガス排出量調整手段16は、例えば背圧弁である。即ち、酸化剤ガス供給量に対する酸化剤ガス排出量が小さくなるように背圧弁の開度を調整することにより、密閉容器10内の圧力を高めることができる。例えば、酸化剤ガス供給量調整手段15としての背圧弁の開度よりも酸化剤ガス排出量調整手段16としての背圧弁の開度を小さくすることによって、密閉容器10内の圧力、換言すれば、管状セル2の外側の圧力を高めることができる。したがって、管状セル2の内側の圧力を常圧よりも高めることができる。そして、酸化剤ガス排出量調整手段16としての背圧弁の開度により、管状セル2の内側の圧力を外側の圧力に対して相対的に高めて陽圧とすることができる。
管状セル2の内側と外側の圧力の差は、例えば、燃料ガス供給量調整手段13と酸化剤ガス調整手段15との間に差圧計を設置することによって測定することができる。この差圧計が、管状セル2の外側の圧力に対する内側の圧力として、0kPa超〜+5kPa、好ましくは0kPa超〜+2kPa、より好ましくは+1kPa〜+2kPa、さらに好ましくは+2kPaとなるように燃料ガス供給量調整手段13と、燃料ガス排出量調整手段14と、酸化剤ガス供給量調整手段15と、酸化剤ガス排出量調整手段16とを調整する。
また、管状セル2の内側の圧力と外側の圧力の加圧の程度については、理論起電力がネルンストの式に従うことから、管状セル2の内側を流通する成分、例えば水素の分圧と、管状セル2の外側を流通する酸素の分圧とを加圧により上昇させるのに伴って高まる。ここで、発電時の分極特性の改善効果や加圧時のエネルギーロスを勘案すると0.5〜1MPa程度の加圧で運用されるのが一般的であるが、必ずしもこの条件に限定されるものではない。
なお、上述の形態は本発明の好適な形態の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、上述の実施形態では、固体酸化物形燃料電池の管状セル2を一つだけ作動させる場合について説明したが、管状セル2を複数個用いてモジュール化した形態の固体酸化物形燃料電池についても、本発明を適用することで、複数の管状セル2それぞれの起電力を理論起電力に近づけて、固体酸化物形燃料電池の性能を最大限に発揮させながら作動させることが可能となる。
例えば、図14に示すように、複数の燃料ガス流通路33aを有する支持部材33に燃料ガス流通管4を差し込み、複数本の管状セル2の空気極部分のみを多孔質導電性セラミックス18、例えば、La0.6Sr0.4Fe0.8Co0.23−δで集積して、この多孔質導電性セラミックス18から空気極の集電を行うことで、空気極側の集電が容易となる。
または、多孔質導電性セラミックス18を使用せず、各管状セル2の空気極から、白金メッシュ及び白金線を用いて集電を行うようにしてもよい。この場合には、複数の管状セル2それぞれから独立に集電を行う必要があるデメリットがあるものの、複数の管状セル2のうちの1つに故障が発生した場合に、故障が発生した部分のみを簡単に交換できるというメリットを有している。
尚、燃料ガス流通路33aを有する支持部材33に燃料ガス流通管4を差し込み、燃料ガス流通管4に管状セル2を挿入してシール材3で接続する場合、管状セル2と燃料ガス流通管4との間だけでなく、燃料ガス流通管4と支持部材33の燃料ガス流通路33aとの間からもガスリークが生じる虞がある。したがって、このような場合には、ガスリークが懸念される部分を全てシール材3で充填する必要がある。例えば、図14に示すように、アロンセラミックCからなる多孔質体3aで支持部材33から突出している燃料ガス流通管4全体を覆うことにより、燃料ガス流通管4と支持部材33の燃料ガス流通路33aとの接続部を覆い、且つ、管状セル2と燃料ガス流通管4の隙間にも多孔質体3aを充填して、多孔質体3aのうちの少なくとも酸化剤ガスと接触する側の面にアロンセラミックCからなる緻密膜3bを設けるようにすればよい。
また、上述の実施形態では、少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セル2を例に挙げて説明したが、管の少なくとも空気極と電解質と燃料極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルであっても、管状セルの内側の圧力を外側の圧力に対して陽圧にすることで、その起電力を理論起電力に近づけることができるものと推定される。即ち、管状セルの外側を流通する燃料ガスが管状セルの内側に侵入した場合には、管状セルの内側を流通する酸化剤ガスの酸素分圧が大きく変動して起電力の低下が引き起こされるものと推定されるが、管状セルの内側を流通する酸化剤ガスが管状セルの外側にリークした場合には、管状セルの外側を流通する燃料ガスの酸素分圧の変動が無視できるほど小さく、起電力の低下は引き起こされないものと推定される。
以下実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルの両端部に燃料ガス流通管を接続し、管状セルの内側への酸化剤ガスの侵入と、管状セルの外側への燃料ガスのリークとを防止するためのシール材について検討した。
本実施例において用いた固体酸化物形燃料電池の管状セルの構造を図15に示す。図15に示す管状セル2は、燃料極20を基材とし、基材の両端部を露出させた状態でその外側表面に固体電解質21が備えられている。そして、固体電解質21の両端部を露出させた状態で中間層22が固体電解質21の表面に備えられている。さらに、中間層22の両端部を露出させた状態で空気極23が中間層22の表面に備えられている。
燃料極20を構成する材料として、還元後のNi組成が50体積%となるNiO−ScSZを用いた。ScSZとはスカンジア安定化ジルコニアを意味しており、本実施例では(ZrO89(Sc(CeO01を用いた。固体電解質22を構成する材料として、燃料極20を構成する材料として使用したScSZと同様、(ZrO89(Sc(CeO01を用いた。中間層22を構成する材料として、GOを用いた。CGOとはセリウム系酸化物固溶体を意味しており、本実施例では、Ce0.9Gd0.11.95を用いた。空気極23を構成する材料として、LSCF(La0.6Sr0.4Fe0.8Co0.23−δ)とCGO(Ce0.9Gd0.11.95)とを7:3の比で混合したものを用いた。
本実施例で作製した管状セルのサイズは、内径を1.3mmとし、外径を1.8mmとし、発電部の長さを30mmとし、発電面積を1.75cmとした。
燃料ガス流通管には、内径4mm、外径6mmのアルミナ製の管を使用した。
シール材の検討は、東亜合成製のアロンセラミックに注目して行った。アロンセラミックは液状の耐熱無機接着剤で熱硬化性を有し、主成分の異なる四種類とコーティング用の全五種類のバリエーションがある。それぞれの特徴を表1に示す。
表1に示す各種アロンセラミックは、室温で乾燥させた後、90℃で脱水し、150℃で1時間以上加熱することで硬化し、1200〜1300℃の耐熱性を有する。本実施例では、比較的熱膨張係数の大きいアロンセラミックCと、熱衝撃に強く、管状セル2を構成する固体電解質21に用いられる電解質材料の一部を構成するジルコニアをその組成中に有するアロンセラミックEと、アロンセラミックCと同じ成分からなるコーティング用のアロンセラミックCCについて検討した。
ここで、上述したように、アロンセラミックE、アロンセラミックC及びアロンセラミックCCは、150℃で硬化するが、本実施例で用いる上記の固体酸化物形燃料電池の管状セル2は、作動温度域が500〜650℃である。そこで、実際の作動温度域でのシール材の挙動を評価するため、150℃で1時間加熱した後、700℃まで昇温して1時間保持した後、加熱炉内で徐冷し、状態観察等を行った。
図4にアロンセラミックCとアロンセラミックEについてのTG/DTA測定結果を示す。図4において、(a)がアロンセラミックCのTG/DTA測定結果であり、(b)がアロンセラミックEのTG/DTA測定結果である。双方のシール材とも、150℃で大きな重量減少が見られ、600℃付近まで重量減少が継続した後、重量減少が終了した。冷却過程における重量変化と熱変動は確認されなかった。
次に、アロンセラミックC、アロンセラミックE及びアロンセラミックCCを700℃で1時間熱処理した後の表面SEM像を図5に示す。図5において、(a)がアロンセラミックCの表面SEM像であり、(b)がアロンセラミックEの表面SEM像であり、(c)がアロンセラミックCCの表面SEM像である。アロンセラミックCとアロンセラミックEについては、多孔質体となっていることが確認された。また、アロンセラミックCCについては、若干のクラックが確認されたものの、緻密な組織を有することが明らかとなった。
次に、アロンセラミックCとアロンセラミックCとをそれぞれ乾燥させて粉末状態とし、これに管状セル2を構成する部材の原料粉を重量比が1:1となるように混合して、700℃で熱処理し、X線回折測定を行うことにより、アロンセラミックCと管状セル構成部材との反応性及びアロンセラミックEと管状セル構成部材との反応性について検討した。結果を図6及び図7に示す。図6はアロンセラミックCと管状セル構成部材との反応性を示す結果であり、図7はアロンセラミックEと管状セル構成部材との反応性を示す結果である。また、図6及び図7における○は管状セルの各構成部材のピークを示している。双方の結果ともに、反応副生成物に該当するピークは検出されなかったことから、アロンセラミックCと管状セル構成部材は反応せず、また、アロンセラミックEと管状セル構成部材は反応しないことが確認された。
次に、アロンセラミックCと管状セル構成部材との接着性、並びにアロンセラミックEと管状セル構成部材との接着性について検討した。尚、この実験では、管状セルと同じ部材で構成した平板セルを2枚使用し、平板セルに各シール材を挟み込み、700℃で1時間熱処理した後、加熱炉内で徐冷した。図8にアロンセラミックCの接着試験結果として断面SEM像を示す。(a)がCGOとアロンセラミックCとの接着試験結果であり、(b)がScSZとアロンセラミックCとの接着試験結果であり、(c)がNiO−ScSZとアロンセラミックCとの接着試験結果である。アロンセラミックCはどのセル部材に対しても、接着面での剥離等は確認されなかった。
図9に、アロンセラミックEの接着試験結果として断面SEM像を示す。(a)がCGOとアロンセラミックEとの接着試験結果であり、(b)がScSZとアロンセラミックEとの接着試験結果である。電解質材料であるScSZと中間層材料であるCGOについては、十分に接着しており、断面SEM像からも顕著なクラック等は見られなかった。しかしながら、燃料極材料であるNiO−ScSZからは剥離してしまい、断面SEM像を得ることができなかった。燃料極材料であるNiO−ScSZからアロンセラミックEが剥離した理由は、アロンセラミックEの熱膨張率が4×10−6−1であるのに対し、NiO−ScSZの熱膨張率が約12×10−6−1であることから、熱膨張率の差に起因するものと推定される。
以上の結果から、アロンセラミックCとアロンセラミックEは、シール材自体の緻密性とセル構成部材との反応性の面では大きな違いは見られなかったが、セル構成部材との接着性についてはその熱膨張率の違いからアロンセラミックEよりもアロンセラミックCの方が上記の管状セルのシール材として用いるのに適していることが明らかとなった。
しかしながら、アロンセラミックCについても、熱硬化後に多孔質性を示すことから、充分なガスシール性が見込めないことが予想された。そこで、シール材自体の緻密性が比較的高いアロンセラミックCCを併用することについて検討した。
管状セル2の両端部と燃料ガス流通管4との接合部分にはアロンセラミックCを充填し、これを700℃で1時間熱処理して管状セル2の両端部と燃料ガス流通管4とを接着した。次に、アロンセラミックCのうち、管状セル2の外側を流通する酸化剤ガスとの接触部分をアロンセラミックCCでコーティングすることで二重構造とし、これを700℃で熱処理して二重構造のシール材とした。このシール材の断面SEM像を図10に示す。アロンセラミックCからなる多孔質体がアロンセラミックCCからなる緻密膜によりコーティングされたシール材となっていることが確認された。ここで、アロンセラミックCとアロンセラミックCCは共に主成分をシリカとしており、熱処理や昇降温の繰り返しによる剥離等も起こり難いものと推定される。
以上の結果から、シール材3としてアロンセラミックCを無機接着剤とした多孔質体3aとアロンセラミックCCを無機コーティング剤とした緻密膜3bとの二層構造のシール材の有効性が示唆された。また、この結果から、アロンセラミックCと同等の性質を有する無機接着剤からなる多孔質体3aと、アロンセラミックCCと同様の性質を有する無機コーティング剤からなる多孔質体3aを用いることで、優れたシール材となることが示唆された。
(実施例2)
管状セル2の両端部にアロンセラミックCとアロンセラミックCCの二重構造シール材を介して燃料ガス流通管4を接続したシール構造体について、ガスリーク試験を実施した。
図11に本実施例で使用した作動システムの概略図を示す。図11に示す作動システムは図3に示す作動システムをさらに具体的に示したものである。この作動システム1は、固体酸化物形燃料電池の管状セル2と、管状セル2の両端部にシール材3を介して接続される燃料ガス流通管4と、管状セル2を収容する密閉容器10と、燃料ガス流通管4のうちの一方一方と配管5aを介して接続されて管状セル2の内側に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段5と、密閉容器10と配管6aを介して接続されて密閉容器10内に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段6と、管状セル2を加熱する加熱手段7と、燃料ガス流通管4のうちの他方に接続され、管状セル2の内側に供給された燃料ガスを密閉容器10外に排出する燃料ガス排出管11と、密閉容器10に供給された酸化剤ガスを密閉容器10外に排出する酸化剤ガス排出部12と、燃料ガス供給量調整手段13と、燃料ガス排出量調整手段14と、酸化剤ガス供給量調整手段15と、酸化剤ガス排出量調整手段16とを備えるものである。酸化剤ガス排出部12は配管12aと接続されている。
燃料ガス供給手段5は、水素と窒素とを混合したガスを管状セル2の内側に供給する手段であり、それぞれのガスはボンベから供給されてマスフローコントローラー40で流量が制御されてミキサー41で所定比に混合される。尚、燃料ガス供給手段5には、各ボンベの直上に緊急遮断弁42が設けられ、レギュレータ43と仕切り弁44とを介してマスフローコントローラー40に各種ガスがそれぞれ供給される。そして、逆止弁45と仕切り弁46を介して各種ガスがミキサー41に供給される。尚、仕切り弁とは、開度調整機構を有しない、開閉機構のみを有する弁を意味している。
酸化剤ガス供給手段6は、酸素と空気と窒素を混合したガスを密閉容器10に供給する手段であり、それぞれのガスはボンベから供給されてマスフローコントローラー50で流量が制御されてミキサー51で所定比に混合される。尚、酸化剤ガス供給手段6には、各ボンベの直上に緊急遮断弁52が設けられ、レギュレータ53と仕切り弁54とを介してマスフローコントローラー50に各種ガスがそれぞれ供給される。そして、逆止弁55と仕切り弁56を介して各種ガスがミキサー51に供給される。
図11に示す作動システムにおいては、さらに、燃料ガスの加湿を行うバブラー31と、密閉容器内の温度を測定するための熱電対32とを含んでいる。バブラー31には、水が収容されており、室温から80℃まで温度を変化させることで、燃料ガス中の水蒸気分圧を制御することが可能である。また、燃料ガス供給量調整手段13と、燃料ガス排出量調整手段14と、酸化剤ガス供給量調整手段15と、酸化剤ガス排出量調整手段16とは、本実施例では、それぞれ開度調整可能な背圧弁である。
燃料ガス供給量調整手段13は配管5aに設けられている。燃料ガス排出量調整手段14は配管11に設けられている。酸化剤ガス供給量調整手段15は配管6aに設けられている。酸化剤ガス排出量調整手段16は配管12aに設けられている。
次に、図12に管状セル2と燃料ガス流通管4との接続状態と、起電力(開回路電圧)を得るための測定端子の接続状態を示す。燃料ガス流通管4はアルミナ製の管であり、燃料ガス流通管4は共にSUS製の支持部材33の燃料ガス流通口33aにその一部を嵌入して残りの部分を突出させた状態としている。そして、管状セル2の両端部が支持部材33から突出している燃料ガス流通管4に挿入され、管状セル2の両端部と燃料ガス流通管4との隙間と燃料ガス流通管4の支持部材33から突出した部分全体を覆うようにシール材3が備えられている。シール材3は、アロンセラミックCからなる多孔質体3aの表面にアロンセラミックCCからなる緻密膜3bがコーティングされている。
管状セル2の空気極23の表面には、Ptメッシュ34を巻き付け、これを銀ペーストにより固定するとともに、Ptメッシュ34の表面にPt線35を巻き付け、このPt線35の一端を空気極用電圧端子35aとし、他端を空気極用電流端子35bとした。また、燃料極20にもPt線36、37を巻き付けて銀ペーストで固定し、Pt線36を燃料極用電圧端子とし、Pt線37を燃料極用電流端子とした。
ガスリーク試験は、図11中の▲印で示した部分に流量計を設置し、▲部のガス流量をそれぞれ測定することにより行った。
ガスリーク試験は以下の条件で行った。即ち、測定温度は650℃とした。また、酸化剤ガス排出量調整手段16と燃料ガス排出量調整手段14は開度を100%として、密閉容器10内の雰囲気圧力を0.1MPa(常圧)とし、管状セルの内側の圧力も0.1MPa(常圧)とした。
はじめに、Nガスのみを用いてガスリーク試験を行った。その結果、設定ガス流量100cm/minに対し、管状セル導入前のガス流量が104.1cm/minであり、管状セル導入後のガス流量が103.3cm/minであったことから、ガスリーク割合が0.8%であることがわかった。
次に、HをNで希釈した発電試験条件ガス(室温加湿飽和31%H−69%N混合ガス)を用いてガスリーク試験を行った。尚、室温加湿飽和とは、室温でガスを水中にバブリングさせて、飽和するまで加湿したことを意味している。その結果、設定ガス流量145cm/minに対し、管状セル導入前のガス流量が154.4cm/minであり、管状セル導入後のガス流量が151.1cm/minであったことから、ガスリーク割合が2.1%であることがわかった。
この結果から、アロンセラミックCとアロンセラミックCCからなる二重構造シール材が非常に優れたガスシール性能を有することが確認された。
(実施例3)
管状セル2の両端部にアロンセラミックCとアロンセラミックCCの二重構造シール材を介して燃料ガス流通管4を接続したシール構造体について、開回路電圧の圧力依存性の測定を実施した。
管状セル2の作動温度は650℃とした。燃料ガスとして、室温加湿飽和31%H−69%N混合ガスを使用した。また、酸化剤ガスとしては、空気を用いた。燃料ガスと酸化剤ガスの設定流量は共に145cm/minとした。
開回路電圧の圧力依存性の測定は、管状セルの外側の圧力を0.1MPa(常圧)及び0.7MPaとした場合の二種類について行い、管状セル2の外側の圧力と内側の圧力の差を、外側の圧力に対して、−4kPa、−2kPa、−1kPa、±0kPa、+1kPa、+2kPa、+4kPa、+5kPaとして行った。圧力制御は、燃料ガス供給量調整用背圧弁13と、燃料ガス排出量調整用背圧弁14と、酸化剤ガス供給量調整用背圧弁15と、酸化剤ガス排出量調整用背圧弁16との開度を制御することにより行った。また、管状セルの外側の圧力と内側の圧力との差は、酸化剤ガス供給量調整用背圧弁15の直後と、バブラー31の直後の圧力を測定してその差圧を測定する差圧計19により測定した。
開回路電圧の圧力依存性の測定結果を図13に示す。図13において、○は管状セルの外側の圧力を0.1MPa(常圧)とした場合の結果であり、●は管状セルの外側の圧力を0.7MPaとした場合の結果である。また、図13の横軸のΔPは、管状セルの外側の圧力に対する内側の圧力(換言すれば、ΔP=(管状セルの内側の圧力(Panode))−(管状セルの外側の圧力(Pcathode)))である。いずれの結果においても、管状セルの外側の圧力を内側の圧力よりも高めるにつれて、開回路電圧が減少していく傾向が見られた。また、管状セルの外側の圧力と内側の圧力が等しい場合(±0kPa)については、管状セルの外側の圧力を0.1MPa(常圧)とした場合には、開回路電圧は1.02Vであった。ネルンストの式から見積もった理論起電力は1.08Vであることから、理論起電力よりも僅かに低い値となることが確認された。また、管状セルの外側の圧力を0.7MPaとした場合には、開回路電圧は1.04Vであった。ネルンストの式から見積もった理論起電力は1.12Vであることから、この場合にも理論起電力よりも僅かに低い値であることが確認された。
ここで、常圧で測定されたセル開回路電圧から、ネルンストの式を用いて推定される燃料極雰囲気のガス濃度及び流量について考えた場合、空気極から燃料極側へのガスの流入、即ち、管状セルの外側を流通している酸化剤ガスが管状セルの内側へ侵入することが考えられる。その場合、管状セルの内側に流入した酸化剤ガスによって燃料ガス中の水素ガスが燃焼し水蒸気になることで水素ガス濃度の減少、すなわち燃料極側の酸素分圧が変化することが考えられる。本実施例の結果から、管状セルの外側の圧力を常圧とし、管状セルの外側の圧力と内側の圧力が等しい場合(±0kPa)について、開回路電圧(1.02V)に基づいてネルンストの式から管状セルの内側の水素濃度の低下量を見積もった結果、水素濃度は導入ガスと比べ約3%低下し、またそのときの燃料極ガスの総流量は約148cm/minと見積もられた。これは、導入ガス(約154cm/min)と比べ、約4%少ない値であった。この計算結果は実施例2のガスリーク試験から推定されたガスリーク値と近似する値となり、管状セルの開回路電圧が固体酸化物形燃料電池のガスリークを理解する指標のひとつであることが示唆された。
本実施例の結果から、管状セルの外側の圧力を常圧とし、管状セルの外側の圧力と内側の圧力とを等しくした場合には、1V以上の安定した開回路電圧が得られることがわかり、実施例1で選択したガスシール材は、500〜650℃の温度域で作動させる固体酸化物形燃料電池の作動時にシール材として適用することが可能であることが明らかとなった。
また、管状セルの外側の圧力を0.1MPa(常圧)とした場合と、管状セルの外側の圧力を0.7MPaとした場合のいずれにおいても、管状セルの内側の圧力を外側の圧力に対して陽圧に制御することで、管状セルの外側の圧力と内側の圧力が等しい場合(±0kPa)よりも、開回路電圧が上昇することが明らかとなった。また、開回路電圧の上昇の効果は、管状セルの外側の圧力を0.1MPa(常圧)とした場合には、管状セルの外側の圧力に対する内側の圧力が+1kPa〜+4kPaの範囲内でほぼ一定であった。ただし、+1kPa〜+2kPaの間で僅かに開回路電圧の上昇が見られた。また、管状セルの外側の圧力を0.7MPaとした場合には、管状セルの外側の圧力に対する内側の圧力が+2kPa〜+5kPaの範囲内でほぼ一定であった。以上の結果から、管状セルの外側の圧力を0.1MPa(常圧)とした場合と、管状セルの外側の圧力を0.7MPaとした場合のいずれにおいても、管状セルの外側の圧力に対する内側の圧力を、0kPa超〜+5kPaとすれば開回路電圧の上昇効果が得られるが、0kPa超〜+2kPa、好ましくは+1kPa〜+2kPa、さらに好ましくは+2kPaとすることで、開回路電圧の上昇効果を十分に得られることが明らかとなった。
本実施例のように、シール材自体のガスシール性能が非常に優れている場合であっても(ガスリーク量2−5%)、管状セルの外側の圧力に対する内側の圧力を陽圧に制御することで、開回路電圧(起電力)を理論起電力に近づける効果が十分に得られることが明らかとなった。シール材の性能が低く、ガスリーク量が本実施例よりもさらに大きくなる場合、開回路電圧が本実施例よりもさらに低下するものと推定されるが、このような場合にも、本発明の作動方法並びに作動システムを採用することで、開回路電圧(起電力)を理論起電力に近づけて、固体酸化物形燃料電池の性能を最大限に発揮させながら作動させることが可能である。
固体酸化物形燃料電池の作動システムの第一の実施形態を示す図である。 管状セルと燃料ガス流通管との接続状態を示す図である。 固体酸化物形燃料電池の作動システムの第二の実施形態を示す図である。 アロンセラミックCとアロンセラミックEについてのTG/DTA測定結果を示す図である。 アロンセラミックC、アロンセラミックE及びアロンセラミックCCを700℃で熱処理した後の表面SEM像である。 アロンセラミックCと管状セル構成部材との混合物を試料としたX線回折測定結果を示す図である。 アロンセラミックEと管状セル構成部材との混合物を試料としたX線回折測定結果を示す図である。 アロンセラミックCと平板セルとの接着試験結果を示す断面SEM像である。 アロンセラミックEと平板セルとの接着試験結果を示す断面SEM像である。 アロンセラミックCとアロンセラミックCCからなる二重構造シール材の断面SEM像である。 実施例で使用した作動システムの構成を示す図である。 管状セルと燃料ガス供給管との接続状態と、各種測定端子の接続状態とを示す図である。 常圧下及び加圧条件下における開回路電圧を示す図である。 管状セルと燃料ガス流通管の接続体を複数本集積した例を示す図である。 実施例で使用した管状セルの斜視図である。
符号の説明
1 作動システム
2 管状セル
3 シール材
3a 多孔質体
3b 緻密膜
4 燃料ガス流通管
5 燃料ガス供給手段
6 酸化剤ガス供給手段
7 加熱手段
8 圧力調整装置
10 密閉容器
11 燃料ガス排出手段
12 酸化剤ガス排出部
13 燃料ガス供給量調整手段
14 燃料ガス排出量調整手段
15 酸化剤ガス供給量調整手段
16 酸化剤ガス排出量調整手段

Claims (5)

  1. 少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルの内側に燃料ガスを供給すると共に前記管状セルの外側に酸化剤ガスを供給して前記固体酸化物形燃料電池を作動させる際に、前記管状セルの内側の圧力を前記管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御することを特徴とする固体酸化物形燃料電池の作動方法。
  2. 前記管状セルの内側の圧力と前記管状セルの外側の圧力とを常圧よりも高める請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池の作動方法。
  3. 少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルと、前記管状セルの両端部にシール材を介して接続されるガス不透過性の燃料ガス流通管と、前記燃料ガス流通管に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記管状セルの外側に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、前記管状セルを加熱する加熱手段と、前記管状セルの内側の圧力を前記管状セルの外側の圧力に対して陽圧に制御する圧力調整手段とを含むことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の作動システム。
  4. 少なくとも燃料極と電解質と空気極とが内側から外側に向かって積層されている固体酸化物形燃料電池の管状セルと、前記管状セルの両端部にシール材を介して接続されるガス不透過性の燃料ガス流通管と、前記管状セルと前記燃料ガス流通管とを収容する密閉容器と、前記燃料ガス流通管に燃料ガスを供給する燃料ガス供給手段と、前記密閉容器内に酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給手段と、前記管状セルを加熱する加熱手段と、前記管状セルの内側に供給された燃料ガスを前記密閉容器外に排出する燃料ガス排出手段と、前記密閉容器に供給された酸化剤ガスを前記密閉容器外に排出する酸化剤ガス排出部と、前記管状セルの内側を流通する燃料ガスの供給量を調節する手段と、前記管状セルの内側を流通する燃料ガスの排出量を調節する手段と、前記密閉容器を流通する酸化剤ガスの供給量を調節する手段と、前記密閉容器を流通する酸化剤ガスの排出量を調節する手段とを含むことを特徴とする固体酸化物形燃料電池の作動システム。
  5. 前記固体酸化物形燃料電池は作動温度域が500〜650℃であり、前記燃料極を構成する材料には酸化ニッケルが含まれ、前記電解質を構成する材料にはスカンジア安定化ジルコニアまたはセリア系固溶体が含まれ、前記シール材は無機接着剤からなる多孔質体と無機コーティング剤からなる緻密膜との二層構造であり、前記管状セルの両端部と前記燃料ガス流通管とが前記多孔質体で接続され、前記多孔質体のうちの少なくとも酸化剤ガスと接触する側の表面に前記緻密膜が被覆されている請求項3または4に記載の固体酸化物形燃料電池の作動システム。
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