JP2009013736A - 住居用建築物 - Google Patents

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Hirohide Igawa
博英 井川
Sachiko Murata
佐知子 村田
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Abstract

【課題】バルコニー本来の機能を確保し、かつバルコニー側で火災が発生した場合にも、居室内への延焼をより効果的に抑制すること。
【解決手段】居室11とバルコニー12とを備えた住居用建築物において、居室11からバルコニー12に至る間を、耐火性を有した境界構造壁80A、外部構造壁80B及び内方外部構造壁80C、さらには下部構造壁80E及び上部構造壁80Fによって構成した屈曲する通路200によってのみ連通し、かつこの通路200の途中に浴槽14a、便器14b、洗面台14c、洗濯機用防水パン14dを集約させている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、居室とバルコニーとを備えた住居用建築物に関するもので、特に、浴槽やトイレ、キッチン等の水回り要素のレイアウトに関するものである。
リビング等の居室と、バルコニーとを備えた住居用建築物では、バルコニー側に居室を配置する一方、玄関側に水回り要素を集約するのが一般的である。しかしながら、昨今においては、玄関側に居室を配置し、バルコニー側に水回り要素を集約するようなレイアウトの住居用建築物も提供されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
この種の住居用建築物によれば、バルコニー側に水回り要素を集約しているため、仮にバルコニー側近隣で火災が発生した場合にも、バルコニー側に居室を配置したものに比べれば、居室への延焼を抑制することができるといえる。特に、特許文献1に記載のものにあっては、水回り要素を集約した水回りユニットを構造壁によって覆うようにしており、バルコニー側の屋外へは直接開口を有していないため、バルコニー側近隣で発生した火災に対する延焼の抑制効果はさらに高くなる。
特開平9−195537号公報 実開平1−75542号公報
ところで、バルコニー本来の機能を考慮すれば、居室からバルコニーに至る間に窓や出入口を設けるのは必須となる。例えば、特許文献1においては、居室からバルコニーを臨む壁面に採光窓が設けられている。また特許文献2においては、居室からバルコニーに至る直線経路上に水回りユニットを配置し、居室から水回りユニットを介してバルコニーに出入りするように構成されている。
しかしながら、これらの窓や出入口は、バルコニー側の近隣で火災が発生した場合、居室へと直接繋がる直線状の延焼経路ともなり得る虞れがある。従って、延焼抑制の観点からすれば、バルコニーに対して窓や出入口を設けるのは必ずしも好ましいものとはいえない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、バルコニー本来の機能を確保し、かつバルコニー側近隣で火災が発生した場合にも、居室内への延焼をより効果的に抑制することが可能な住居用建築物を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1に係る住居用建築物は、居室とバルコニーとを備えた住居用建築物において、居室からバルコニーに至る間を、耐火性を有する構造壁によって屈曲構成した通路により連通することを特徴とする。
また、本発明の請求項2に係る住居用建築物は、上述した請求項1において、前記屈曲構成した通路の途中に水回り要素を集約させたことを特徴とする。
また、本発明の請求項3に係る住居用建築物は、上述した請求項1において、居室において玄関を有する玄関側壁面を採光用のガラス部材によって構成し、かつこの玄関側壁面に対向する壁面に前記通路を開口させたことを特徴とする。
本発明によれば、居室とバルコニーとの間に通路を確保しているため、バルコニー本来の機能は確保される。しかも、この通路は、耐火性を有する構造壁によって屈曲するように構成しているため、バルコニー側の近隣で火災が発生した場合にも居室内へ延焼を効果的に抑制することが可能となる。
以下に、本発明に係る延焼防止構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態である住居用建築物を示す平面図であり、図2は図1に示した住居用建築物を屋外側から見た斜視図である。
ここで例示する住居用建築物は、寮やマンション、アパート等、複数戸の独立した住居単位を備える形態の集合住宅である。本実施の形態では、特に、直線状に延設される廊下1に沿って複数戸の住居単位10を並設し、かつ住居単位10と隣接する住居単位10とで一対をなすように互いに対称に構成したものを例示している。それぞれの住居単位10は、一方の端部が廊下1に面している一方、他方の端部が屋外2に面している。
各住居単位10において廊下1に面し、玄関を有する玄関側壁面の全面には、ガラス体20が配設してある。ガラス体20は、透光性を有する一方、防犯性及びプライバシーを確保する目的で、ガラス板の表面に視界を妨げる樹脂製のフィルム(図示せず)を貼り付けて構成したものである。このガラス体20には、住居単位10と廊下1との間を出入りするための玄関扉21が設けてある。
それぞれの住居単位10は、居室11、バルコニー12、キッチンユニット13及び水回りユニット14を備えている。尚、以下においては図1において左方に位置する住居単位10を代表して順次説明を行う。また、説明の上で住居単位10を区別する場合には、図1において左方に位置する住居単位を「主住居単位10」と称し、主住居単位10の右方に位置する住居単位、つまり主住居単位10と対を成す住居単位を「対住居単位10」と称し、図1において主住居単位10の左方に位置する住居単位、つまり別の主住居単位と対を成す住居単位を「隣設住居単位10」と称する。
居室11は、主住居単位10の全幅に亘る幅を有した直方状の空間であり、主住居単位10において最も廊下1側となる部位に配置してある。
バルコニー12は、居室11よりも小さい幅、本実施の形態では1/2以下の幅に構成した直方状の空間であり、主住居単位10において最も屋外2側で、対住居単位10に近接する部位に配置してある。このバルコニー12は、最も屋外2側となる面に外部に連通する開口12aが設けてある。この開口12aには、手摺り12bが付設してある。尚、本実施の形態では、隣設した対住居単位10との間で連続するようにバルコニー12が画成してあり、互いの間に簡易外部仕切壁12cを配置することによって両者を仕切るように構成してある。また、図中の符号30は空調のための屋外機、符号40は避難はしご、符号50は電気温水器である。
キッチンユニット13は、電磁調理台13a及び小型シンク13bを備えた簡易的なもので、バルコニー12とほぼ同等となる幅に構成してある。このキッチンユニット13は、バルコニー12との間に中央パイプスペース60を介在させた状態で居室11とバルコニー12との間に配置してある。中央パイプスペース60は、上下方向に沿って貫通する共用設備であり、例えば小型シンク13bに対して給排水を行うための給排水管(図示せず)が収納してある。
水回りユニット14は、主住居単位10で必要となる水回り要素、具体的には浴槽14a、便器14b、洗面台14c、洗濯機用防水パン14d等を集約した直方状の空間である。この水回りユニット14は、居室11よりも屋外2側となる部位においてバルコニー12に並設する態様で配置してある。水回りユニット14の幅は、バルコニー12と並設した場合に居室11と同等となる寸法に構成してある。
尚、水回りユニット14において隣設住居単位10との間に位置する部分には、メインパイプスペース70が設けてある。メインパイプスペース70は、中央パイプスペース60と同様、上下方向に沿って貫通する共用設備であり、例えば水回りユニット14の各要素に対して給排水を行うための給排水管(図示せず)が収納してある。
上述の配置態様となる主住居単位10では、図1に明示するように、隣設住居単位10との境界となる居室11の左端縁及び水回りユニット14の左端縁に、隣設住居単位10との間を隔絶する連続した一連の境界構造壁80Aが構成してある。水回りユニット14において屋外2側に位置する上端縁には、屋外2との間を隔絶する外部構造壁80Bが構成してある。キッチンユニット13においてバルコニー12との境界となる上端縁から水回りユニット14との境界となる左端縁に至る間には、L字状に屈曲する態様で内方外部構造壁80Cが構成してある。居室11において対住居単位10との境界となる右端縁には、両者を隔絶する内部構造壁80Dが構成してある。
これら境界構造壁80A、外部構造壁80B、内方外部構造壁80C及び内部構造壁80Dは、いずれも鉄筋コンクリート等の耐火性を有した不燃材料によって高強度に構成したもので、主住居単位10の全高に亘る部位に設けてある。尚、図2に示すように、主住居単位10の床となる下部構造壁80E及び天井となる上部構造壁80Fは、いずれも境界構造壁80A等の構造壁と同様に、耐火性を有した鉄筋コンクリート等の不燃材料によって構成してある。
水回りユニット14とバルコニー12との境界となる面には、引き戸90aによって開閉可能となる外方仕切壁90が構成してあり、両者の間を出入りすることが可能である。外方仕切壁90の引き戸90aとしては、ガラス窓を有したものを適用することが好ましい。また、水回りユニット14と居室11との間には、開き戸100aによって開閉可能となる内方仕切壁100が設けてあり、両者の間を出入りすることが可能である。
上記のような住居単位10を備える住居用建築物によれば、水回りユニット14を介して居室11とバルコニー12とが連通した構成であり、外方仕切壁90の引き戸90a及び内方仕切壁100の開き戸100aを開成することにより両者の間を行き来することが可能である。これにより、居住者はバルコニー12に出入りしてこれを有効に利用することができるようになる。
しかも、居室11からバルコニー12に至る間には、境界構造壁80A、外部構造壁80B及び内方外部構造壁80C、さらには下部構造壁80E及び上部構造壁80Fによって囲まれた直角に屈曲する通路200が構成してあり、これ以外に両者の間を接続する通路は存在しない。つまり、バルコニー12側から居室11に至るには、外方仕切壁90を通過して一旦水回りユニット14に進入した後、直角に屈曲して内方仕切壁100を通過する必要がある。従って、仮にバルコニー12側の屋外2で火災が発生した場合にも、上述の屈曲通路200を経なければ居室11に火が進入することがないため、居室11への延焼を効果的に抑制することが可能となる。さらに、屈曲通路200の途中に水回りユニット14を配置しているため、換言すれば、バルコニー12から居室11へ至る通路200の途中に水を取り扱う浴槽14a、便器14b、洗面台14c、洗濯機用防水パン14d等の水回り要素を多数集約しているため、居室11への火の進入を一層効果的に抑制することが可能である。
また、居室11において廊下1に面し、玄関を有する玄関側壁面の全面にガラス体20を配設しているため、屈曲通路200の存在によってバルコニー12側から直接採光を得ることが困難である場合にも、居室11に対する採光性を十分に確保することが可能である。
尚、上述した実施の形態では、バルコニー12の屋外2への開口12aを外方仕切壁90に対して直角となる位置に構成しているため、屋外2から居室11への通路200は2回屈曲しなければならないことになり、居室11への延焼抑制効果をさらに高めることが可能であるが、バルコニー12の屋外2への開口12aは、外方仕切壁90と平行となる位置に設けてあっても構わない。
以上のように、本発明に係る住居用建築物は、寮やマンション、アパート等、複数戸の独立した住居単位を集合させた形態の集合住宅に適している。
本発明の実施の形態である住居用建築物を示す平面図である。 図1に示した住居用建築物を屋外側から見た斜視図である。
符号の説明
1 廊下
2 屋外
10 住居単位
11 居室
12 バルコニー
12a 開口
12b 手摺り
12c 簡易外部仕切壁
13 キッチンユニット
13a 電磁調理台
13b 小型シンク
14 水回りユニット
14a 浴槽
14b 便器
14c 洗面台
14d 洗濯機用防水パン
20 ガラス体
21 玄関扉
30 屋外機
40 避難はしご
50 電気温水器
60 中央パイプスペース
70 メインパイプスペース
80A 境界構造壁
80B 外部構造壁
80C 内方外部構造壁
80D 内部構造壁
80E 下部構造壁
80F 上部構造壁
90 外方仕切壁
90a 引き戸
100 内方仕切壁
100a 開き戸
200 通路

Claims (3)

  1. 居室とバルコニーとを備えた住居用建築物において、居室からバルコニーに至る間を、耐火性を有する構造壁によって屈曲構成した通路により連通することを特徴とする住居用建築物。
  2. 前記屈曲構成した通路の途中に水回り要素を集約させたことを特徴とする請求項1に記載の住居用建築物。
  3. 居室において玄関を有する玄関側壁面を採光用のガラス部材によって構成し、かつこの玄関側壁面に対向する壁面に前記通路を開口させたことを特徴とする請求項1に記載の住居用建築物。
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