JP2009013362A - 生分解性樹脂組成物及びその成型品 - Google Patents

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Abstract

【課題】生分解性の特性を維持しつつ、剛性及び衝撃耐性に優れた生分解性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】生分解性樹脂組成物として、生分解性樹脂(A)と、メディアン径10μm以下の無機充填物(B)とを含有させ、デュポン衝撃強度が0.6J以上とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、生分解性樹脂組成物に関する。詳しくは、生分解性の特性を維持しつつ、剛性及び衝撃耐性に優れた生分解性樹脂組成物に関する。
現代社会において、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材など幅広い用途で、紙、プラスチック、アルミ箔等が用いられている。特にプラスチックは強度、耐水性、成形性、透明性、コスト等において優れており、袋や容器として、多くの用途で使用されている。現在これらの用途に使用されているプラスチックとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等がある。
しかしながら、上記プラスチックからなる成形品は、自然環境下においては生分解又は加水分解しないか、又は分解速度が極めて遅い。そのため、使用後埋設処理された場合に、土中に残存したり、投棄された場合は景観を損ねたりすることがある。また、焼却処理された場合でも、有害なガスを発生したり、焼却炉を傷めたりするなどの課題がある。
そこで上述の課題を解決する手段として、生分解性を有する材料についての研究が数多くなされてきた。生分解性材料の代表例としては、ポリ乳酸、ポリブチレンスクシネート、ポリブチレンスクシネートアジペート等の脂肪族ポリエステル樹脂や、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の芳香族−脂肪族共重合ポリエステル樹脂等が挙げられる。中でも、生分解性の高さから、使い捨て用途にはポリブチレンスクシネートや、ポリブチレンスクシネートアジペート等の柔軟性生分解性材料が用いられる。しかし、これらの柔軟性の高い生分解性樹脂は、一般に衝撃強度は高いが剛性などが低く、単体での使用は難しいのが現状である。
従来、これらの課題に対して、カップリング剤を使用して鎖延長をした脂肪族ポリエステル樹脂に無機鉱物をブレンドすることにより、熱安定性及び引張強さで代表される機械的性質に優れた組成物が開示されている(特許文献1参照)。
特開平6−172621号公報
上述のように、従来から様々な充填剤を生分解性樹脂に混合し、実用レベルの物性を備える生分解性樹脂組成物を製造する試みがなされてきた。その一例として、特許文献1に示すように、鎖延長した脂肪族ポリエステル樹脂に無機充填物を混合する方法が考案されてきた。しかしこの方法では、脂肪族ポリエステル樹脂の引張強さなどは向上するものの、耐衝撃性が損なわれるという課題を有していた。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、生分解性の特性を維持しつつ、剛性及び衝撃耐性に優れた生分解性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、生分解性樹脂と、特定のメディアン径を有する無機充填物とを一定量配合することによって、生分解性の特性を維持しつつ、剛性及び衝撃耐性に優れた生分解性樹脂組成物を得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明の要旨は、生分解性樹脂(A)と、メディアン径10μm以下の無機充填物(B)とを含有し、デュポン衝撃強度が0.6J以上であることを特徴とする生分解性樹脂組成物に存する(請求項1)。
このとき、前記生分解性樹脂(A)が、脂肪族ポリエステル樹脂及び芳香族−脂肪族ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂であることが好ましい(請求項2)。
また、前記無機充填物(B)が、タルク、炭酸カルシウム及びシリカからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい(請求項3)。
さらに、前記生分解性樹脂(A)に対する前記無機充填物(B)の割合が、10重量%以上50重量%以下であることが好ましい(請求項4)。
本発明の別の要旨は、上記の生分解性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする、成形品に存する(請求項5)。
また、該成型品が、シートであることが好ましく(請求項6)、又は、シートを真空成形してなる容器であることが好ましい(請求項7)。
本発明によれば、生分解性の特性を維持しつつ、剛性及び衝撃耐性に優れた生分解性樹脂組成物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明は以下に説明する例示や実施形態等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々に変更して実施することができる。
本発明では、特定の樹脂を成分として含有する樹脂組成物を、その主成分となる樹脂の名前を冠して呼ぶ場合がある。ここで「主成分」とは、組成物の50重量%以上を占める成分をいうものとする。即ち、「ポリエステル樹脂組成物」とは、ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂組成物をいう。
また、本明細書では「重合体」という語を、単一種の繰り返し構造単位から構成される重合体(所謂「単独重合体」)と、複数種の繰り返し構造単位から構成される重合体(所謂「共重合体」)とを包含する概念として使用する。
なお、以下の記載では、ある単量体に由来する重合体の部分構造単位を、その単量体の名称に「単位」という言葉を付して表わす。例えば、ジカルボン酸に由来する部分構造単位は、「ジカルボン酸単位」という名称で表わされる。
また、同一の部分構造単位を与える単量体を、その部分構造単位の名称の「単位」を「成分」に換えた名称で総称する。例えば、芳香族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸ジエステル等の単量体は、重合体を形成する過程の反応は異なったとしても、何れも芳香族ジカルボン酸単位を形成する。よって、これらの芳香族ジカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸ジエステルを、「芳香族ジカルボン酸成分」という名で総称する。
本発明の樹脂組成物は、生分解性樹脂(A)と、メディアン径10μm以下の無機充填物(B)とを含有し、デュポン衝撃強度が0.6J以上であることを特徴とする。
以下、生分解性樹脂(A)、及び無機充填物(B)について説明した後、これらを混合した生分解性樹脂組成物について説明する。
[1.生分解性樹脂(A)]
生分解性樹脂(A)は、生分解性を有する樹脂であれば制限はなく、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知の何れの生分解性樹脂を用いることができる。
具体的には、脂肪族ポリエステル樹脂、脂肪族芳香族ポリエステル、ナイロン6等のポリアミド樹脂、ポリアスパラギン酸等のポリアミノ酸樹脂、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール等のポリエーテル樹脂、セルロース及びプルラン等の多糖類、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられる。中でも、脂肪族ポリエステル樹脂が好ましい。成形加工性が良好であるためである。生分解性樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
なお、生分解性樹脂(A)は、後述の例に限定されるわけではない。また、その製造方法も、公知の何れの技術を用いて製造してもよく、市販の生分解性樹脂を用いてもよい。例えば、脂肪族ポリエステル樹脂及び脂肪族芳香族ポリエステルを例に挙げるならば、三菱化学社製GSpla(登録商標)、昭和高分子株式会社製ビオノーレ(登録商標)、三井化学株式会社製レイシア(登録商標)、ダイセル化学工業株式会社セルグリーン(登録商標)、イー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー社Biomax(登録商標)、BASF社Ecoflex(登録商標)、等が挙げられる。
より具体的には、脂肪族ポリエステルとは、主たる構成成分が脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸であるものや、ポリ乳酸、ポリカプロラクタムのように脂肪族オキシカルボン酸が主たる構成成分であるものも含まれる。
以下、生分解性の脂肪族ポリエステル樹脂を例に、具体的に説明する。
〔1−1.脂肪族ポリエステル樹脂〕
〔1−1−1.脂肪族ポリエステル樹脂の構成単位〕
生分解性を有するポリエステル樹脂としては、例えば、下記式(1)で表わされる脂肪族ジオール単位(以下、適宜「特定脂肪族ジオール単位」ということがある。)、下記式(2)で表わされる脂肪族ジカルボン酸単位(以下、適宜「特定脂肪族ジカルボン酸単位」ということがある。)、及び、下記式(3)で表わされる脂肪族オキシカルボン酸単位(以下、適宜「特定脂肪族オキシカルボン酸単位」ということがある。)からなる群のうち、少なくとも1種以上の構造単位を有してなる、脂肪族ポリエステル樹脂が挙げられる。
Figure 2009013362
(式(1)中、R1は、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を示す。ポリエステル樹脂中の複数のR1は、互いに同一でもよいし、異なっていてもよい。)
Figure 2009013362
(式(2)中、R2は、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を示す。mは0または1をあらわし、mが0のときはR2が存在しないことを示す。)
Figure 2009013362
(式(3)中、R3は、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を示す。)
(特定脂肪族ジオール単位のR1
式(1)のR1は、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表わす。
脂肪族炭化水素基は、鎖状脂肪族炭化水素基であってもよく、環状脂肪族炭化水素基であってもよく、鎖状脂肪族炭化水素基と環状脂肪族炭化水素基が結合したものであってもよい。鎖状脂肪族炭化水素基の場合は、直鎖状脂肪族炭化水素基であってもよく、分岐鎖状脂肪族炭化水素基であってもよい。環状脂肪族炭化水素基の場合は、単環でもよいし、複数の環が互いに結合、又は縮合したものでもよい。
このようなR1の炭化水素基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、1,3−ジメチルエチル基等の鎖状脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の環状脂肪族炭化水素基;等が挙げられる。中でも、ブチル基等が好ましい。
これらの置換基は1つを単独で有していてもよく、2つ以上を任意の組み合わせ及び比率で有していても良い。
(特定脂肪族カルボン酸単位のR2及びm)
式(2)のR2は、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表わす。mは0または1をあらわし、mが0のときはR2が存在しないことを示す。m=1の場合、その種類や好ましい例、有していてもよい置換基の種類等の好ましい範囲は、式(1)のR1と同様である。
(特定脂肪族オキシカルボン酸単位のR3
式(3)のR3は、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基を表わす。その種類や好ましい例、有していてもよい置換基の種類等の好ましい範囲は、式(1)のR1と同様である。
〔1−1−2.脂肪族ポリエステル樹脂の構成単位の重合の様態〕
脂肪族ポリエステル樹脂は、特定脂肪族ジオール単位、特定脂肪族ジカルボン酸単位、及び、特定脂肪族オキシカルボン酸単位からなる群のうち、少なくとも1種の構造単位を有してなる重合体である。したがって、前記脂肪族ポリエステル樹脂は、これらの構造単位を組み合わせに応じて種々の構成を有する。さらに、R1〜R3の選択によっても、種々の構成を有する。
(構造単位の組み合わせ)
生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂における、具体的な構成単位の組み合わせに制限はない。生分解性を有する脂肪族ポリエステル樹脂は、単一種の構成単位からなる単独重合体(ホモポリマー)であってもよく、複数種の構成単位からなる共重合体(コポリマー)であってもよい。共重合体の場合、複数種の構成単位の結合順についても制限はない。共重合体の種類としてはランダムコポリマー、ブロックコポリマー、交互コポリマー等が挙げられるが、何れであってもよい。
ただし、構成単位相互間の結合は、通常エステル結合となるように選択される。このような構成単位の組合せの代表例を、以下式(4)、式(5)に示す。ただし、以下の例に限定されるわけではなく、他の種々の組合せであってもよい。
Figure 2009013362
Figure 2009013362
式(4)は、重合体中で繰り返される構成単位の組合せの一例として、上述の特定脂肪族ジオール単位と、上述の特定脂肪族ジカルボン酸単位とからなる繰り返し構造を示している。従って、R1は式(1)のR1と同じ定義の基を示し、R2は式(2)のR2と同じ定義の基を示す。mは式(2)のmと同じ定義である。また、p及びqは各々の各構造単位の重合度を表わす。
なお、重合体の中、複数のR1、R2が存在する場合、それらは各々互いに同一であっていてもよいし、異なっていてもよい。
式(5)は、重合体中で繰り返される構成単位の組合せの一例として、上述の特定脂肪族オキシカルボン酸単位からなる繰り返し構造を示している。従って、R3は、式(3)のR3と同じ定義の基を示す。また、rは重合度を表わす。
なお、重合体の中、複数のR3が、互いに同一であっていてもよいし、異なっていてもよい。
(各構成単位の割合)
・式(4)に示される構造単位の組合せ
式(4)に示される繰り返し構造において、特定脂肪族ジオール単位と特定脂肪族ジカルボン酸単位との結合順序は、交互に規則性をもってエステル結合していてもよく、生分解性を失わない程度に不規則な順で結合していてもよい。
また、式(4)に示される繰り返し構造を主成分として共重合した構造を有する脂肪族ポリエステル樹脂は、生分解性を失わない程度に他の構造単位を有していてもよい。
上述の他の構成単位として、例えば特定オキシカルボン酸単位が挙げられる。特定オキシカルボン酸を有することによって、高重合度の脂肪族ポリエステル樹脂を容易に製造することができる。
この場合、全構成単位数に対する、特定オキシカルボン酸単位数の割合は、通常0%以上、好ましくは、0.01%以上、より好ましくは0.1%以上、さらに好ましくは0.5%以上、また、通常30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは10%以下である。
・式(5)に示される構造単位の組合せ
式(5)に示される繰り返し構造は、特定脂肪族オキシカルボン酸単位が、単独でエステル結合した構造を示している。
特定脂肪族オキシカルボン酸単位を主成分として単独重合した構造を有する脂肪族ポリエステル樹脂は、生分解性を失わない程度に他の構造単位を有していてもよい。
(脂肪族ポリエステル樹脂の構造)
脂肪族ポリエステル樹脂は、鎖状脂肪族ポリエステル樹脂と、環状脂肪族ポリエステル樹脂とがあるが、鎖状脂肪族ポリエステル樹脂が好ましい。
ここで、鎖状脂肪族ポリエステル樹脂とは、該樹脂を構成する特定ジオール単位と、特定ジカルボン酸単位とが、共に鎖状脂肪族炭化水素基を有してなるものをいう。また、環状脂肪族ポリエステル樹脂とは、該樹脂を構成する特定ジオール単位と、特定ジカルボン酸単位との少なくとも一方が、環状脂肪族炭化水素基を有してなるものをいう。
〔1−1−3.特定脂肪族ジオール化合物〕
特定脂肪族ジオール単位の原料となる化合物(以下、適宜「特定脂肪族ジオール成分」ということがある。)としては、例えば、以下式(6)に示す構造を有する脂肪族ジオール化合物(以下、適宜「特定脂肪族ジオール化合物」ということがある。)、及びその誘導体が挙げられる。
Figure 2009013362
式(6)中、R1は、式(1)のR1と同じ定義の基を表わす。
特定脂肪族ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の鎖状又は環状脂肪族ジオール化合物等が挙げられる。
中でも1,4−ブタンジオールが好ましい。好ましい物性の脂肪族ポリエステル樹脂が得られるためである。
特定脂肪族ジオール成分としては、脂肪族ジオール化合物の誘導体でもよい。例えば、上記の特定脂肪族ジカルボン酸化合物の誘導体が好ましい。
また、特定脂肪族ジオール成分として、複数分子の脂肪族ジオール化合物が互いに脱水縮合した構造を有する化合物であってもよい。
その様な化合物の例としては、上述した特定脂肪族ジオール化合物同士が互いに脱水縮合した化合物であることが好ましく、具体的には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリエチレングリコールと、ポリプロピレングリコールとの共重合体;ジブタンジオール、ポリテトラメチレングリコール;等が挙げられる。
中でも、分子量100万以上200万以下のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリエチレングリコールと、ポリプロピレングリコールとの共重合体;ポリテトラメチレングリコール等のジヒドロキシアルキレングリコール縮合体;等が好ましい。
特定脂肪族ジオール成分としては、脂肪族ポリエステル樹脂に特定ジオール単位を与えることができれば、上記の特定脂肪族ジオール化合物に限定されるものではない。また、特定脂肪族ジオール成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
特定脂肪族ジオール成分に、光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれを用いてもよい。また、特定脂肪族ジオール成分の形態は固体、液体、または水溶液のいずれでであってもよいが、容易に入手することが可能なため、30重量%以上95重量%以下の水溶液が好ましい。
なお、特定脂肪族ジオール成分は、バイオマス資源から誘導されたものを用いてもよい。このようなバイオマス資源は、特に限定はされないが、具体的には、グルコース等の炭素源から発酵法により直接製造してもよいし、発酵法により得られたジカルボン酸、ジカルボン酸無水物、環状エーテルを化学反応により脂肪族ジオール化合物に変換してもよい。
〔1−1−4.特定脂肪族ジカルボン酸化合物〕
特定脂肪族ジカルボン酸単位の原料となる化合物(以下、適宜「特定脂肪族ジカルボン酸成分」ということがある。)としては、例えば、以下式(7)に示す構造を有する脂肪族ジカルボン酸化合物(以下、適宜「特定脂肪族ジカルボン酸化合物」ということがある。)、及びその誘導体が挙げられる。
Figure 2009013362
式(7)中、R2、mは、式(2)のR2、mと同じ定義である。
特定脂肪族ジカルボン酸化合物の具体例としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、ダイマー酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の鎖状又は環状脂肪族ジカルボン酸等が挙げられる。
また、特定脂肪族ジカルボン酸成分としては、脂肪族ジカルボン酸化合物の誘導体でもよい。例えば、上記の特定脂肪族ジカルボン酸化合物の誘導体が好ましく、中でも、炭素数1以上4以下である低級アルキルエステルや、酸無水物等が好ましい。
特定脂肪族ジカルボン酸化合物の誘導体の具体例としては、上記の特定脂肪族ジカルボン酸化合物のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等の低級アルキルエステル;無水コハク酸等の上記特定脂肪族ジカルボン酸化合物の環状酸無水物;等が挙げられる。
上述の特定脂肪族ジカルボン酸化合物の中でも、アジピン酸、コハク酸、ダイマー酸、又はこれらの酸を含有する混合物が好ましく、中でもアジピン酸、コハク酸、又はこれらの酸を含有する混合物が好ましく、特にコハク酸、又はこれらの酸を含有する混合物が好ましい。分子量の小さな方が、減圧下での加熱により比較的容易に留去できるためである。
特定脂肪族ジカルボン酸成分としては、ポリエステル樹脂に特定脂肪族ジカルボン酸単位を与えることができれば、上述の特定脂肪族ジカルボン酸化合物、及び、特定脂肪族ジカルボン酸化合物の誘導体に限定されるものではない。また、特定脂肪族ジカルボン酸成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
特定脂肪族ジカルボン酸成分に、光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれを用いてもよい。また、特定脂肪族ジカルボン酸成分の形態は固体、液体、または水溶液のいずれでであってもよいが、容易に入手することが可能なため、30重量%以上95重量%以下の水溶液が好ましい。
なお、特定脂肪族ジカルボン酸成分は、バイオマス資源から誘導されたものを用いてもよい。この様なバイオマス資源には限定はされないが、具体的には、酸やアルカリ等の化学的処理、微生物等を用いた生物学的処理、物理的処理等の公知の前処理・糖化の工程を経て炭素源へ誘導して得られた脂肪族ジカルボン酸化合物を用いることもできる。
〔1−1−5.脂肪族オキシカルボン酸化合物〕
特定脂肪族オキシカルボン酸単位の原料となる化合物(以下、適宜「脂肪族オキシカルボン酸成分」ということがある。)としては、例えば、以下式(8)に示す構造を有する脂肪族オキシカルボン酸化合物(以下、適宜「特定脂肪族ジカルボン酸化合物」ということがある。)、及びその誘導体が挙げられる。
Figure 2009013362
式(8)中、R3は、式(3)のR3と同じ定義の基を表わす。
特定脂肪族オキシカルボン酸化合物の具体例としては、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、カプロラクトン等の鎖状又は環状脂肪族オキシカルボン酸化合物等が挙げられる。
また、特定脂肪族オキシカルボン酸成分としては、脂肪族オキシカルボン酸化合物の誘導体でもよい。例えば、上記の特定脂肪族オキシカルボン酸化合物のエステル、ラクトン、又はオキシカルボン酸重合体等が挙げられる。
特定脂肪酸オキシカルボン酸化合物の誘導体の具体例としては、乳酸、グリコール酸等が好ましい。入手性が容易なためである。
特定脂肪族オキシカルボン酸成分としては、複数の脂肪族オキシカルボン酸化合物が互いに脱水縮合した構造を有する化合物(オリゴマー)であってもよい。即ち、原料物質としてオリゴマーを用いてもよい。
なお、特定脂肪族オキシカルボン酸成分としては、脂肪族ポリエステル樹脂に特定脂肪族オキシカルボン酸単位を与えることができれば、上述の特定脂肪族オキシカルボン酸化合物、及び、特定脂肪族オキシカルボン酸化合物の誘導体に限定されるものではない。また、特定脂肪族オキシカルボン酸成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
特定脂肪族オキシカルボン酸成分に、光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれを用いてもよい。また、特定脂肪族オキシカルボン酸成分の形態は固体、液体、または水溶液のいずれでであってもよいが、容易に入手することが可能なため、30重量%以上95重量%以下の水溶液が好ましい。
なお、特定脂肪族オキシカルボン酸成分は、バイオマス資源から誘導されたものを用いてもよい。
〔1−2.その他のポリエステル樹脂の種類〕
以下、脂肪族ポリエステル樹脂以外の生分解性樹脂(A)の例について説明する。なお、以下の説明は例示であり、本発明の効果を著しく損なわない限り、その種類に制限はない。
〔1−2−1.芳香族−脂肪族ポリエステル樹脂〕
生分解性樹脂(A)としては、上述の脂肪族ポリエステル樹脂の構造中の少なくとも一部の構造単位が、芳香族を備える構造単位(以下、適宜「芳香族単位」ということがある。)である、芳香族−脂肪族ポリエステル樹脂であってもよい。
(芳香族単位)
芳香族単位としては、例えば、上記式(1)のR1を脂肪族炭化水素基に代わって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を有する特定芳香族ジオール単位;上記式(2)のR2を脂肪族炭化水素基に代わって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を有する特定芳香族ジカルボン酸単位;上記式(3)のR3を脂肪族炭化水素基に代わって、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を有する特定芳香族オキシカルボン酸単位;等が挙げられる。
上述の芳香族炭化水素基としては、芳香族炭化水素基単独であってもよく、脂肪族炭化水素基と芳香族炭化水素基とが結合したものであってもよい。また、芳香族炭化水素基は、単環でもよいし、複数の環が互いに結合、又は縮合したものでもよい。
芳香族炭化水素基の具体例としては、1,2−フェニル基、1,3−フェニル基、1,4−フェニル基、ジナフチル基、ジフェニル基等が挙げられる。
(特定芳香族成分)
特定芳香族ジカルボン酸単位の原料となる化合物(以下、適宜「特定芳香族ジカルボン酸成分」ということがある。)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等の、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
中でも、テレフタル酸等が好ましい。
特定芳香族ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸化合物の誘導体でもよい。例えば、上記に例示した特定芳香族ジカルボン酸成分の誘導体が好ましく、中でも、炭素数1以上4以下である低級アルキルエステルや、酸無水物等が挙げられる。
芳香族ジカルボン酸化合物の誘導体の具体例としては、上記の特定芳香族ジカルボン酸成分のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル等の、低級アルキルエステル;無水コハク酸等の、上記の特定芳香族ジカルボン酸成分の環状酸無水物;等が挙げられる。中でも、ジメチルテレフタレート等が好ましい。
特定芳香族ジオール単位の原料となる化合物(以下、適宜「特定芳香族ジオール成分」ということがある。)としては、例えば、キシリレングリコール、4,4'−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4'−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−β−ヒドロキシエトキシフェニル)スルホン酸等が挙げられる。
特定芳香族ジオール成分としては、芳香族ジオール化合物の誘導体でもよい。また、特定芳香族ジオール成分として、複数の脂肪族ジオール化合物及び/又は芳香族ジオール化合物が互いに脱水縮合した構造を有する化合物であってもよい。
特定芳香族オキシカルボン酸単位の原料となる化合物(以下、適宜「特定芳香族オキシカルボン酸」ということがある。)としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸等が挙げられる。
特定芳香族オキシカルボン酸成分としては、芳香族オキシカルボン酸化合物の誘導体でもよい。また、特定芳香族オキシカルボン酸化合物としては、複数の脂肪族オキシカルボン酸化合物及び/又は芳香族オキシカルボン酸化合物が互いに脱水縮合した構造を有する化合物(オリゴマー)であってもよい。即ち、原料物質としてオリゴマーを用いてもよい。
特定脂芳香族成分に、光学異性体が存在する場合には、D体、L体、またはラセミ体のいずれを用いてもよい。また、特定芳香族ジカルボン酸成分の形態は固体、液体、または水溶液のいずれでであってもよいが、容易に入手することが可能なため、30重量%以上95重量%以下の水溶液が好ましい。
特定芳香族成分としては、芳香族−脂肪族ポリエステル樹脂に特定芳香族単位を与えることができれば、上記の例に限定されるものではない。また、特定芳香族成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。
なお、特定芳香族成分は、バイオマス資源から誘導されたものを用いてもよい。
〔1−2−2.共重合単位を有するポリエステル樹脂〕
前述のポリエステル樹脂は、上記の特定ジオール単位、特定ジカルボン酸単位、及び特定オキシカルボン酸単位、並びに、芳香族単位に加えて、その他の1種又は2種以上の構造単位(以下、適宜「共重合単位」ということがある。)を有していてもよい。
前述のポリエステル樹脂に、共重合単位を与える化合物(以下、適宜「共重合成分」ということがある。)としては、例えば、上記特定ジオール化合物及び特定ジカルボン酸化合物とは異なる官能基を3個以上有する、鎖状又は環状脂肪族多価アルコール、鎖状又は環状脂肪族多価カルボン酸及びそれらの無水物、或いは、鎖状又は環状脂肪族多価オキシカルボン酸等が好ましい。得られる生分解性樹脂の溶融粘度を高めることができるためである。
官能基を3個有する脂肪族または脂環式多価アルコールの具体例としては、トリメチロールプロパン、グリセリン、またはその無水物等が挙げられる。
官能基を4個有する脂肪族または脂環式多価アルコールの具体例としては、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
官能基を3個有する鎖状又は環状脂肪族多価カルボン酸成分、及びその無水物の具体例としては、プロパントリカルボン酸、及びその無水物等が挙げられる。
官能基を4個有する鎖状又は環状脂肪族多価カルボン酸、及びその無水物の具体例としては、シクロペンタンテトラカルボン酸、及びその無水物等が挙げられる。
官能基を3個有する脂肪族オキシカルボン酸成分は、カルボキシル基が2個とヒドロキシル基が1個を同一分子中に有するタイプ(例えば、リンゴ酸等)と、カルボキシル基が1個とヒドロキシル基が2個のタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。
また、官能基を4個有する脂肪族オキシカルボン酸成分は、3個のカルボキシル基と1個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプ(例えば、クエン酸等)と、2個のカルボキシル基と2個のヒドロキシル基とを同一分子中に有するタイプ(例えば、酒石酸等)と、3個のヒドロキシル基と1個のカルボキシル基とを同一分子中に有するタイプとに分かれ、いずれのタイプも使用可能である。
これらの脂肪族多価オキシカルボン酸成分の中でも、入手のし易さから、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、又はその混合物がより好ましい。特にポリエステル樹脂の熱安定化性を向上させる理由から、リンゴ酸、クエン酸、又はその混合物が特に好ましい。
上記の共重合単位は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いてもよい。
また、ポリエステル樹脂における共重合単位の割合は、ポリエステル樹脂を構成する全単量体単位100モル%に対して、通常5モル%以下、好ましくは1モル%以下、更に好ましくは0.50モル%以下、特に好ましくは0.3モル%以下である。この範囲を上回ると、ゲルの発生原因となる可能性がある。
一方、高重合度のポリエステル樹脂を容易に製造する目的で共重合成分を使用する場合、該ポリエステル樹脂における共重合単位の割合は、ポリエステル樹脂を構成する全単量体単位100モル%に対して、通常、0.0001モル%以上、好ましくは、0.001モル%以上、より好ましくは、0.005モル%以上、特に好ましくは0.01モル%以上である。
〔1−3.ポリエステル樹脂の具体例〕
上述したポリエステル樹脂の好ましい具体例としては、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバリレート等の鎖状脂肪族ポリエステル樹脂及びその誘導体;ポリシクロヘキシレンジメチルアジペート等の環状脂肪族ポリエステル樹脂及びその誘導体;ヒドロキシブチレート−ヒドロキシバリレート共重合体等の脂肪酸エステル共重合体樹脂;ブチレンアジペート−テレフタレート共重合体、エチレンテレフタレート−サクシネート共重合体等の芳香族−脂肪族ポリエステル樹脂;ポリ乳酸;等が好ましい。
〔1−4.生分解性樹脂(A)の製造方法〕
生分解性樹脂(A)の製造方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はなく、公知の何れの方法でも製造することができる。
例えば、ポリエステル樹脂の場合、ジカルボン酸成分と、ジオール成分とのエステル化反応及び/又はエステル交換反応を行った後、減圧下で重縮合反応を行なうといった溶融重合法や、有機溶媒を用いた溶液加熱脱水縮合法等によって製造することができる。中でも、経済性ならびに製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行なう溶融重合法が好ましい。
なお、生分解性樹脂(A)はバイオマス資源から誘導してもよい。バイオマス資源の種類やその製造方法は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はない。例えば、酸やアルカリ等の化学処理、微生物を用いた生物学的処理、及び、物理的処理等の、公知の何れの前処理・糖化の工程を経て炭素源へ誘導して得られたバイオマス資源を用いることもできる。
以下、ポリエステル樹脂を溶融重合法で製造する場合について詳しく説明するが、溶融重合法の手順はこれに限定されるものではなく、一部の工程を省略したり、他に代わる工程に変更したり、他の任意の工程を有していてもよい。
(原料)
生分解性樹脂(A)として、例えば上記式(4)に表わされる構成単位の組合せを主成分とする脂肪族ポリエステル樹脂を製造する場合、少なくとも特定脂肪族ジオール成分と、特定脂肪族ジカルボン酸成分とを用いる。また、得られる脂肪族ポリエステル樹脂の物性を変化させたりするため、他の成分を混合させてもよい。これらの成分はそれぞれ1種ずつを用いてもよいし、2つ以上を任意の組み合わせ、及び比率で混合してもよい。
脂肪族ポリエステル樹脂の特定脂肪族ジオール単位と特定脂肪族ジカルボン酸単位とのモル比は、特定脂肪族ジカルボン酸単位1モルに対して、特定脂肪族ジオール単位の量が、通常0.8モル以上、好ましくは0.9モル以上、また、通常1.5モル以下、好ましくは1.3モル以下、更に好ましくは1.2モル以下である。この範囲であると、得られる脂肪族ポリエステル樹脂の融点が、上述した好ましい範囲となる。
また、脂肪族ポリエステル樹脂以外の生分解性樹脂(A)を製造する場合、上記の特定ジオール成分と、特定ジカルボン酸成分との代わりに、若しくは、加えて、その他の成分を混合してもよい。
例えば、特定ジオール成分及び特定ジカルボン酸成分として、特定脂肪族ジオール成分及び/又は特定脂肪族ジカルボン酸成分と、特定芳香族ジオール成分及び/又は特定芳香族ジカルボン酸成分とを併用してもよい。
また、脂肪族ポリエステル樹脂を製造するときに用いる構成成分は、モノマーに限定されるものではなく、オリゴマーを用いてもよい。例えば、予めモノマーをオリゴマーに重合させたものを原料として、ブロック共重合させた脂肪族ポリエステル樹脂を製造してもよい。
(エステル化反応・エステル交換反応)
溶融重合法におけるエステル化反応及びエステル交換反応は、反応が進行する限り任意であるが、その反応温度は通常150℃以上、好ましくは180℃以上、また、通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。
また、上記反応の雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下が好ましい。
反応圧力は、通常常圧以上、また、通常10kPa以下であるが、常圧が特に好ましい。
反応時間は、通常1時間以上、また、通常10時間以下、好ましくは4時間以下である。
(重縮合反応)
溶融重合法における重縮合反応の反応温度は反応が進行する限り任意であるが、通常150℃以上、好ましくは180℃以上、また、通常260℃以下、好ましくは250℃以下である。
反応圧力は、通常0.01×103Pa以上、また、通常1.4×103Pa以下、好ましくは0.4×103Pa以下の真空度下で行なう。
反応時間は、通常2時間以上、また、通常15時間以下、好ましくは10時間以下である。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下で行なうことが好ましい。
重合触媒と原料との混合は、重縮合反応以前に混合すれば限定はなく、原料仕込み時に混合してもよく、減圧開始時に混合してもよい。
重合触媒としては、通常、長周期型周期表で、水素、及び炭素を除く、1族〜14族金属元素を含有する化合物である。
具体的には、チタン、ジルコニウム、錫、アンチモン、セリウム、ゲルマニウム、亜鉛、コバルト、マンガン、鉄、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、ナトリウム、及びカリウムからなる群から選ばれた少なくとも1種以上の金属を含む、カルボン酸塩、アルコキシ塩、有機スルホン酸塩、又はβ−ジケトナート塩等の有機基を含む化合物や、前記の金属の酸化物、ハロゲン化物等の無機化合物や、これらの化合物の混合物等が挙げられる。
これらの中でも、チタン、ジルコニウム、ゲルマニウム、亜鉛、アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムを含有する金属化合物、並びにそれらの混合物が好ましい。その中でも、チタン化合物、及びゲルマニウム化合物が特に好ましい。
また、重合触媒は、重合時に溶融或いは溶解した状態であると、重合速度が高くなる傾向がある。そのため、重合時に液状であるか、エステル低重合体やポリエステル樹脂に溶解する化合物が好ましい。
これらの重合触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい。
これらの重合触媒として金属化合物を用いる場合の触媒の使用量は、生成するポリエステル樹脂に対する金属量として、通常5ppm以上、好ましくは10ppm以上、また、通常30000ppm以下、好ましくは1000ppm以下、より好ましくは250ppm以下、特に好ましくは130ppm以下である。使用する触媒の量が多すぎると、経済的に不利になる傾向があるばかりでなく、ポリマーの熱安定性が低くなる傾向がある。また、少なすぎると重合活性が低くなる傾向があり、それに伴いポリマー製造中にポリマーの分解が誘発されやすくなる傾向がある。
(反応装置)
生分解性樹脂(A)を製造する反応装置としては、公知の縦型あるいは横型撹拌槽型反応器を用いることができる。
例えば、溶融重合法の工程を1つの反応装置を用いて行なう場合、真空ポンプと反応器を結ぶ減圧用排気管を具備した攪拌槽型反応器を使用することが好ましい。このとき、真空ポンプと反応器とを結ぶ減圧用排気管の間には、凝縮器が結合されており、該凝縮器にて縮重合反応中に生成する揮発成分や未反応モノマーを回収することが好ましい。
(添加剤)
生分解性樹脂(A)を製造するときに、必要に応じて添加剤を反応系に共存させてもよい。添加剤は本発明の効果を著しく損なわない限り制限はなく任意である。また、添加剤は、1種のみを用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
添加剤としては、例えば、カーボネート化合物や多官能イソシアネート化合物等を混合させてもよい。これらの化合物を混合させることにより、構造中にカーボネート結合(以下、この結合部分を特に「カーボネート結合単位」という。)や、ウレタン結合(以下、この結合部分を特に「ウレタン結合単位」という。)が備わった生分解性樹脂(A)が製造することができる。また、生分解性樹脂(A)の炭素鎖を延長することもできる。
生分解性樹脂(A)の全構成単位に対する、カーボネート結合単位の量は、通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下、より好ましくは10モル%以下であり、また、下限はなく、混合させなくてもよい。
カーボネート化合物の具体例としては、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。その他に、フェノール類、アルコール類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、または異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物が使用可能である。
一方、生分解性樹脂(A)の全構成単位に対する、ウレタン結合単位の量は、通常5モル%以下、好ましくは3モル%以下、より好ましくは1モル%以下であり、また、下限はなく、混合させなくてもよい。
多官能イソシアネート化合物の具体例としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合体、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の公知のジイソシアネートや3官能以上のイソシアネート化合物等が挙げられる。
また、その他の添加剤の例を挙げると、鎖延長剤として、ジオキサゾリン、珪酸エステル等も用いることができる。
珪酸エステルの具体例としては、テトラメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジヒドロキシラン等が好ましい。珪酸エステルは、環境保全や安全性の観点からは、その含有量に制限はない。ただし、操作が煩雑になったり、重合速度に影響を与えたりする可能性があるため、その使用量は少ない方が好ましい。具体的には、生分解性樹脂(A)を構成する全構成単位に対して、0.1モル%以下が好ましく、10-5モル%以下が更に好ましい。
また、溶融テンションを高めるため、毒性の低い化合物を混合する限り、少量のパーオキサイドを混合してもよい。また、ポリエステル樹脂末端基を、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、単官能性のアルコール、又はカルボン酸で封止してもよい。
〔1−5.生分解性樹脂(A)の物性〕
上述の手法により得られる生分解性樹脂(A)の分子量や分子量分布は、実質的に十分な機械物性などを有し、成形加工が可能であれば特に制限はない。
(MFI)
生分解性樹脂(A)のメルトフローインデックス(MFI)は、190℃、2.16kgで測定した場合、通常0.1g/10分以上、また、通常100g/10分以下、好ましくは50g/10分以下、更に好ましくは30g/10分以下である。
ここで、MFIとは、JIS K7210に規定される、熱可塑性プラスチックの流れ試験方法に準じて190℃、荷重2.16kgにおける値である。
(重量平均分子量)
生分解性樹脂(A)の重量平均分子量は、通常10,000以上、好ましくは30,000以上、さらに好ましくは50,000以上、また、通常1,000,000以下、好ましくは800,000以下、さらに好ましくは600,000以下である。この範囲意外であると、各種成形加工の実施が困難になる傾向がある。
(融点)
生分解性樹脂(A)の融点は、通常60℃以上、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、また、通常150℃以下、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。
なお、上記の融点は、例えば示差走査熱量測定(DSC)により、測定することができる。具体的には、パーキン・エルマー社製のDSC7型示差走査熱量計を用いて、試料を室温から80℃/分の条件で230℃まで昇温し、同温度にて10分間保持後、−10℃/分にて40℃まで降温し、同温度にて3分間保持した後、10℃/分の昇温条件下で融解した時のピーク温度をもって融点とすることができる。
(その他)
生分解性樹脂(A)として、例えば上記式(5)に表わされる構成単位の組合せを主成分とする脂肪族ポリエステル樹脂を製造する場合、少なくとも特定脂肪族オキシカルボン酸成分を用いる。また、得られる脂肪族ポリエステル樹脂の物性を変化させたりするため、他の成分を混合させてもよい。これらの成分はそれぞれ1種ずつ用いてもよいし、2つ以上を任意の組み合わせ、及び比率で混合してもよい。該ポリエステル樹脂を製造する方法としては、上記の方法と同様である。
[2.無機充填物(B)]
無機充填物(B)の種類は、本発明の効果を著しく損なわない限り、公知の何れの無機化合物を用いることができる。
無機充填物(B)としては、例えば、天然鉱物、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、塩基性硫酸マグネシウム、セピオライト、ゾノトライト、ホウ酸アルミニウム、針状水酸化マグネシウム、その他ウィスカー等の針状充填物;ガラス繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア、ロックウール等の繊維状無機充填物;タルク、マイカ、黒鉛、BN(六方晶)、MIO(板状酸化鉄)、板状炭酸カルシウム、板状水酸化アルミニウム、ガラスフレーク、各種金属箔等の板状粒子;球状炭酸カルシウム、シリカ、クレイ、各種ビーズ等が挙げられる。中でも、タルク、マイカ等の充填物が好ましい。
無機充填物(B)は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で用いることができるが、1種を単独で用いることが望ましい。
〔2−1.形状〕
無機充填物(B)の形状は、本発明の効果を著しく損なわない限り制限はないが、通常は粒子状である。
無機充填物(B)の形状をアスペクト比で規定すると、通常20以下、好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、また、1に近いほど好ましい。アスペクト比が高すぎると、外観不良の原因になる傾向がある。
ここでアスペクト比とは、無機充填物(B)の長径と短径の比であり、短径を1としたときの長径の値を示したものである。
無機充填物(B)のメディアン径は、通常10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは4μm以下、更に好ましくは3μm以下、また、通常0.1μm以上、好ましくは0.3μm以上、更に好ましくは0.5μm以上である。メディアン径が小さすぎると、無機充填物(B)の取り扱いが難しくなる傾向がある。また、大きすぎると、衝撃強度などの期待される物性が得にくくなる傾向がある。
ここで、メディアン径とは、レーザー回折・散乱法を測定原理とする粒度分布測定装置を用いて、試料を測定し、粒度分布(累積分布)を求めたときの相対粒子量が50%になる粒子径と定義される。
〔2−2.モース硬度〕
無機充填物(B)のモース硬度は、通常9以下、好ましくは8以下、また、通常3.5以上、好ましくは4以上である。モース硬度が低すぎると、剛性、耐熱性などの物性が低くなる傾向がある。また、高すぎると、外観不良を起こしやすくなる傾向がある。
ここで、モース硬度とは、試料物質で標準物質をこすり、ひっかき傷の有無で硬さを測定する値をいう。なお、標準物質は以下の通りである。硬度1は滑石、硬度2は石膏、硬度3は方解石、硬度4は蛍石、硬度5はリン灰石、硬度6は正長石、硬度7は水晶、硬度8は黄玉、硬度9はコランダム(鋼玉)、硬度10はダイヤモンドである。
〔2−3.表面処理〕
無機充填物(B)は、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等により、表面処理がなされていれば、なお好ましい。表面処理を行なうと、生分解性樹脂組成物中の無機充填物(B)の分散性が増す傾向にある。また、生分解性樹脂(A)と無機充填物(B)との界面における剥離を抑制することができ、強度低下を防ぐことができる。
[3.生分解性樹脂組成物]
生分解性樹脂組成物は、少なくとも1種の生分解性樹脂(A)と、少なくとも1種のメディアン径10μm以下の無機充填物(B)とを有してなる。
また、さらに他の物質を混合することを妨げない。以下、生分解性樹脂組成物について説明する。
〔3−1.無機充填材の含有比率〕
生分解性樹脂組成物における、生分解性樹脂(A)に対する無機充填物(B)の配合量は、例えば生分解性樹脂(A)として脂肪族ポリエステル樹脂を用いた場合、生分解性樹脂(A)100重量%に対する無機充填物(B)の割合として、通常50重量%以下、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは35重量%以下、また、通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上、より好ましくは18重量%以上、更に好ましくは20重量%以上である。
無機充填物(B)の含有量が少なすぎると、無機充填物(B)の配合による剛性の向上が不十分となる傾向がある。また、無機充填物(B)の含有量が多すぎると、無機充填物(B)の配合による物性の向上が得られない場合があり、かえって成形性等が低下する傾向がある。
なお、生分解性樹脂(A)及び無機充填物(B)は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ、及び比率で併用してもよい。2種以上を併用する場合には、各々の合計量が上述の範囲であればよい。
〔3−2.生分解性樹脂(A)と無機充填物(B)との混合〕
生分解性樹脂(A)と無機充填物(B)との混合方法に制限はなく、生分解性樹脂組成物中に無機充填物(B)を溶融させることなく分散せしめることが可能な方法であれば、公知の何れの方法を用いてもよい。例えば、生分解性樹脂(A)と無機充填物(B)とを混練する方法が挙げられる。
生分解性樹脂(A)と無機充填物(B)とを混練する温度は、無機充填物(B)が融解する温度よりも低ければよい。具体的には、混練によるせん断発熱を考慮した上で、無機充填物(B)が溶融せず、生分解性樹脂(A)は溶融する温度を適宜選択し、その温度で混練することが好ましい。
生分解性樹脂(A)と無機充填物(B)とを混練する時間に限定はなく、生分解性樹脂組成物中に無機充填物(B)が均一に分散している状態になればよく、混練する樹脂の量、種類、及びその他の条件によって適宜決めればよい。
混練装置は、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー等が挙げられるが、押出機等を用いてポリマーを溶融させながら混練する方法を用いることもできる。
回転動作を伴う混練装置を用いる場合、生分解性樹脂(A)と無機充填物(B)とを混練する際の回転数は、通常300rpm以下、好ましくは250rpm以下、更に好ましくは200rpm以下、また、通常30rpm以上、好ましくは35rpm以上、更に好ましくは40rpm以上である。
回転数が速すぎると、せん断発熱により樹脂の温度が著しく上昇し、無機充填物(B)が溶融する可能性がある。また、回転数が遅すぎると混練が進まない傾向がある。
〔3−3.その他の物質〕
生分解性樹脂組成物には、その機能性の改善などを目的として、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、生分解性樹脂(A)及び無機充填物(B)以外に、その他の物質を混合させてもよい。
生分解性樹脂組成物に混合させてもよい物質としては、生分解性樹脂(A)以外の樹脂、酸化防止剤等の熱安定剤、光安定剤(耐光剤)、紫外線吸収剤、相溶化剤、帯電防止剤、金属石鹸類、滑剤、界面活性剤、ブロッキング防止剤、離型剤、防曇剤、結晶核剤、可塑剤、着色剤、有機充填物、難燃剤、発泡剤等が挙げられる。
以下これらの物質について、説明する。
[3−3−1.生分解性樹脂(A)以外の樹脂]
本発明の生分解性樹脂組成物は、生分解性樹脂(A)以外の樹脂を含有していてもよい。
生分解性樹脂(A)以外の樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンゴム、ポリ酢酸ビニル、ポリブテン、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリエチレンオキシド等のポリエーテル、等の熱可塑性樹脂;ロジン、ダンマル、グッタベルカ等の天然樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ただし、生分解性樹脂(A)以外の樹脂を混合する場合、その混合する量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂(A)に対して、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。この範囲を上回ると、生分解性が低下する傾向がある。
なお、生分解性樹脂(A)以外の樹脂を2種以上併用する場合には、それらの使用量の合計が上記範囲を満たすことが好ましい。
[3−3−2.その他の添加物]
生分解性樹脂組成物には、以下に例示する物質を混合してもよい。該物質を混合する量は、本発明の効果を損なわない限り制限されないが、混合する物質の総量が、生分解性樹脂組成物に対して、0.01重量%以上10重量%以下が好ましい。
また、これらの物質は任意の形態で混合することができる。例えば、固体で混合してもよいし、溶剤に溶解した溶液として、あるいは、溶剤に分散させたスラリーとして混合してもよい。
<熱安定剤>
生分解性樹脂組成物に熱安定剤を含有させてもよい。熱安定剤を含有させると、熱成形時の樹脂の劣化を抑制するという効果が得られる。
熱安定剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
その具体例としては、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT;2,6−ジオーブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,3’,3”,5,5’,5”−ヘキサ−tert−ブチル−a,a’,a”−(メシチレン−2,4,6−トリイル)トリ−p−クレゾール、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリス[(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−キシリル)メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H、3H,5H)−トリオン、カルシウムジエチルビス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ホスホネート、ビス(2,2’−ジヒドロキシ−3,3’−ジ−tert−ブチル−5,5’−ジメチルフェニル)エタン、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド等のヒンダードフェノール系熱安定剤;トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス[2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル]エチルエステル亜リン酸、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジファスファイト等のリン系熱安定剤;3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとキシレンの反応性生物等のラクトン系熱安定剤;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤;等が挙げられる。
これらの熱安定剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、熱安定剤を混合する量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂(A)に対して、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、また、通常5重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。この範囲を下回ると熱安定剤の効果が小さくなる傾向がある。また、この範囲を上回ると、製造費が高くなる傾向があり、熱安定剤のブリードアウトが生じたりする可能性がある。
なお、本明細書において「ppm」とは、重量を基準とした比率を表わす。また、熱安定化剤を2種以上併用する場合には、それらの使用量の合計が上記範囲を満たすことが好ましい。
熱安定剤は、生分解性樹脂組成物を製造する如何なる工程において、混合してもよい。
<耐光剤>
生分解性樹脂組成物に耐光剤を含有させてもよい。耐光剤を含有させると、光による樹脂の劣化(分子量の低下)を抑制できる。
耐光剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
その具体例としては、デカンニ酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステル、1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドトキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ポリ[[6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等のヒンダードアミン系安定剤等が挙げられる。
耐光剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。特に異なる種類の耐光剤を組み合わせて用いることが好ましく、さらに、紫外線吸収剤と組み合わせて用いることが好ましい。中でも、ヒンダードアミン系安定剤と紫外線吸収剤との組み合わせが有効である。
耐光剤を混合する量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂(A)に対して、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、また、通常5重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下である。この範囲を下回ると耐光剤の効果が小さくなる傾向がある。また、この範囲を上回ると製造費が高くなる傾向があり、生分解性樹脂組成物の耐熱性が劣ったり、耐光剤のブリードアウトが生じたりする傾向がある。
なお、耐光剤を2種以上併用する場合には、それらの使用量の合計が上記範囲を満たすことが好ましい。
耐光剤は、生分解性樹脂組成物を製造する如何なる工程において、混合してもよい。
<紫外線吸収剤>
生分解性樹脂組成物に紫外線吸収剤を含有させてもよい。
紫外線吸収剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
その具体例としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]フェノール等が挙げられる。
紫外線吸収剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。特に異なる種類の紫外線吸収剤を組み合わせて用いることが好ましく、さらに、耐光剤と組み合わせて用いることが好ましい。
紫外線吸収剤を混合する量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂(A)に対して、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、また、通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下である。この範囲を下回ると紫外線吸収剤の効果が低下する傾向がある。また、この範囲を上回ると製造費が高くなりすぎたり、生分解性樹脂組成物の耐熱性が劣ったり、紫外線吸収剤のブリードアウトが生じたりする傾向ある。
なお、紫外線吸収剤を2種以上併用する場合には、それらの使用量の合計が上記範囲を満たすことが好ましい。
紫外線吸収剤は、生分解性樹脂組成物を製造する如何なる工程において、混合してもよい。
<相溶化剤>
生分解性樹脂組成物に相溶化剤を含有させてもよい。
相溶化剤は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。
その具体例としては、脂肪族ポリエステルの末端または主鎖に、エステル基、カルボン酸無水物、アミド基、エーテル基、シアノ基、不飽和炭化水素基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、芳香族炭化水素基などを反応させた化合物等が挙げられる。
また、相溶化剤としては、例えば、脂肪族ポリエステルと、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー等の芳香族系ポリエステル樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;SEBS(ポリスチレン−block−ポリ(エチレン−co−ブチレン)−block−ポリスチレン)、SEPS(ポリスチレン−block−ポリ(エチレン−co−プロピレン)−block−ポリスチレン)、ポリスチレン等のスチレン系樹脂;ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン9、ナイロン11、ナイロン13ナイロン4、ナイロン4-6、ナイロン5-6、ナイロン12・ナイロン10−12、アラミド等のポリアミド系樹脂;リアセタール樹脂;ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ1,3−プロパンジオール、ポリテトラメレングリコール、変性ポリフェニレンエーテル等のポリエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;等が挙げられる。また、上述の樹脂とのグラフト共重合体、ブロック共重合体、マルチブロック共重合体、ランダム共重合体等も挙げられる。
さらに、上記の共重合体以外にも、相溶化剤としては、ブレンドする異なる樹脂の構造の両方を同一分子中に含む化合物も挙げられる。
また、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、SEBS、SEPS、ポリスチレン、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン12、ポリアセタール樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル等のアクリル樹脂、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ1,3−プロパンジオール、ポリテトラメレングリコールのポリマー分子の末端または側鎖に、水酸基、カルボキシル基、エステル基、アルキル基、アルキレン基と反応可能な官能基を有するポリマーなども挙げられる。
相溶化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。特に、本発明の生分解性樹脂組成物において、生分解性樹脂(A)が2種以上から併用される場合には、相溶化剤を使用することが好ましい。
相溶化剤を混合する量は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂(A)に対して、通常0.01重量部以上、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは1重量部以上、また、通常50重量部以下、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。この範囲を上回ると製造費が高くなる傾向ある。また、この範囲を下回ると相溶化剤の効果が小さくなる傾向がある。
なお、相溶化剤を2種以上併用する場合には、それらの使用量の合計が上記範囲を満たすことが好ましい。
相溶化剤は、生分解性樹脂組成物を製造する如何なる工程において、混合してもよい。
<帯電防止剤>
生分解性樹脂組成物に帯電防止剤を含有させてもよい。
帯電防止剤としては、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。具体例としては、界面活性剤型のノニオン系、カチオン系、アニオン系が好ましい。
ノニオン系の帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、アルキルジエタノールアミン、ヒドロキシアルキルモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステルアルキルジエタノールアマイド類等が挙げられる。中でもアルキルジエタノールアミン類等が好ましい。
カチオン系の帯電防止剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、トリアルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。
アニオン系の帯電防止剤としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルホスフェート等が挙げられる。中でも、アルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。生分解性樹脂(A)との混練性がよく、帯電防止効果も高いためである。
帯電防止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
帯電防止剤の使用量は本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、生分解性樹脂(A)に対して、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、また、通常5重量%以下、好ましくは3重量%以下である。
上記範囲を上回ると、生分解性樹脂組成物同士の融着性が低下する傾向がある。さらに、生分解性樹脂組成物の表面べたつきが発生し、製品価値が低下する傾向がある。また、上記範囲を下回ると、帯電防止性向上効果が低減する傾向がある。
帯電防止剤は、生分解性樹脂組成物を製造する如何なる工程において、混合してもよい。
<その他>
さらに、上記のように、滑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、防曇剤、結晶核剤、着色剤、難燃剤などを添加剤として用いてもよい。これらはいずれも、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。また、その使用量も、本発明の効果を著しく損なわない限り任意である。さらに、これらの添加剤はいずれも、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
ただし、上記の添加剤は、それぞれ、生分解性樹脂(A)に対して、通常100ppm以上、好ましくは200ppm以上、また、通常5重量部以下、好ましくは1重量部以下、より好ましくは0.5重量部以下用いるようにすることが望ましい。この範囲を下回ると添加効果が小さくなる傾向がある。この範囲を上回ると製造費が高くなる傾向があり、生分解性樹脂組成物の耐熱性が低下したり、添加剤のブリードアウトが生じたりする傾向がある。
〔3−4.生分解性樹脂組成物の物性〕
上述の方法で得られた生分解性樹脂組成物は、生分解性樹脂(A)中に無機充填物(B)が溶融することなく分散している状態にある組成物である。
この生分解性樹脂組成物は、生分解性の特性を維持しつつ、優れた剛性及び衝撃耐性を有するものである。
(曲げ弾性率)
具体的には、例えば、脂肪族ポリエステル樹脂組成物を押出成形することにより得られるシートの曲げ弾性率は、通常1400MPa以上、好ましくは1800MPa以上である。曲げ弾性率が低すぎると、コシがなくなり成形品の形状保持が困難になる傾向がある。なお、曲げ弾性率はJIS K7203に規定される。
(曲げ強度)
また、上記シートの曲げ強度は、通常10Mpa以上、好ましくは15MPa以上、さらに好ましくは20MPa以上である。この範囲を下回ると、成型品の長さ・厚み等の形状や、成形品の使用条件にもよるが、成型品が降状し、変形が元に戻らなくなる可能性がある。
(デュポン衝撃強度)
また、脂肪族ポリエステル樹脂組成物を押出成形することにより得られたシート(厚み450ミクロン)の23℃におけるデュポン衝撃試験におけるデュポン衝撃強度は、通常0.6J以上、好ましくは1.0J以上である。衝撃強度が低すぎると、脆く壊れやすい材料となる傾向がある。
〔3−5.生分解性樹脂組成物の成形と用途〕
本発明の生分解性樹脂組成物は、成形することによって各種用途に用いることができる。具体例としては、フィルム、ラミネートフィルム、シート、板、延伸シート、容器、トレイ、多孔性フィルム、合成紙、ブローボトル、発泡体などの各種成形品に利用することが可能である。
生分解性樹脂組成物の成形方法は、通常の熱可塑性樹脂組成物の成形方法と同様な方法を用いることができる。ここでは、シート成形、並びに、シート成形品をさらに加工する方法である真空成形、又は真空圧空成形について説明する。
(シート成形)
生分解性樹脂組成物のシート成形法としては、汎用プラスチックのシート成形に用いられる公知の何れの方法を用いることができる。
具体例としては、押出成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、注型成形法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダーロール法等を用いることができる。中でも好ましくは押出成形法、Tダイ法、インフレーション法、カレンダーロール法などが挙げられる。
なお、Tダイ法の冷却方式としては、2本以上の冷却ロールで狭窄する方法、エアーナイフでロールに押し付ける方法、片面又は両面に金属ベルトを接触させ冷却する方法等が挙げられる。
上述のシート成形法により、単層シート、多層シート、又は延伸シート等のシート成形品を製造することができる。
シート成型品の厚さは、その用途に応じて任意であるが、通常100μm以上、好ましくは200μm以上、更に好ましくは300μm以上、また、通常3.0mm以下、好ましくは2.5mm以下、更に好ましくは2.0mm以下である。
(真空成形・真空圧空成形)
生分解性樹脂組成物のシート成型品は、熱成形により各種容器、カップ、トレー等に賦形することができる。
ここで熱成形とは、一般に、プラスチックシートを加熱軟化して所望の型に押し当て、型と材料の間隙にある空気を排除し、大気圧により型に密着させて成形する真空成形、並びに、大気圧以上の圧縮エア、又は真空を併用して成形する真空圧空成形などの総称である。
熱成型な方法としては、真空又は圧空を用いて、必要により、更にプラグを併せて用いて、金型形状に成形する方法(具体的には、ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法、プラグアシストリバースドロー成形法、マルチモールド成形法等)、固相プレス成形する方法、スタンピング成形する方法等が挙げられる。
熱成形の温度、真空度、圧空の圧力、又は成形速度等の各種条件は、プラグ形状や金型形状、又は原料シートの性質等により適宜設定すればよい。
(二次加工)
また、これらのシート及び容器などの成形品に対して、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、各種合目的二次加工を施すことも可能である。
二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。
以下に本発明の実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限り、これらの実施例によって限定されるものではない。
[生分解性樹脂(A)]
生分解性樹脂(A)としては、以下の2種類を用いた。
(A−1) 脂肪族ポリエステル系樹脂
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた容量1立方メートルの反応容器に、コハク酸134kg、1,4−ブタンジオール116リットル、DLリンゴ酸0.24kg、酸化ゲルマニウムを予め1重量%溶解させた90%DL乳酸水溶液7.21kgを仕込んだ。容器内容物を攪拌下、窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下120℃から反応を開始し、1時間40分かけて200℃まで昇温した。引き続き、1時間25分かけて230℃に昇温すると同時に1mmHgまで減圧し、230℃、1mmHgにて4時間20分重合を行い、脂肪族ポリエステル系樹脂(A−1)を得た。得られた脂肪族ポリエステル系樹脂(A−1)のMFI(190℃、2.16kg荷重)は4.2g/10分、結晶化温度82℃(半値幅は7.2℃)であった。また融点は110℃であった。
(A−2) ポリ乳酸
三井化学社製 H−400 [ポリ乳酸、融点168℃、MFI=4(190℃、2.16kg荷重)]
[無機充填物(B)]
無機充填物(B)としては、以下の5種を用いた。
(B−1)
日本タルク株式会社製 超微粒子タルク SG−2000 (メディアン径;1.0ミクロン)
(B−2)
日本タルク株式会社製 超微粒子タルク SG−95 (メディアン径;2.5ミクロン)
(B−3)
富士タルク株式会社製 タルク微粒子品 LMS−200 (メディアン径:5.0ミクロン)
(B−4)
日本タルク株式会社製 微粉タルク K−1 (メディアン径;7.4ミクロン)
(B−5)
富士タルク株式会社製 タルク一般品 LMP (メディアン径;16ミクロン)
[物性測定・評価方法]
後述の各実施例、比較例で得られた生分解性樹脂組成物、シート、及び容器の、物性測定、及び評価は以下の手順で行なった。
<メルトフローインデックス(MFI)>
生分解性樹脂組成物の溶融時の流動性を表わすメルトルフローインデックス(MFI)の評価は、JIS K7210に規定される、熱可塑性プラスチックの流れ試験方法に準じて、190℃、荷重2.16kgにて測定を行なった。
<曲げ試験>
生分解性樹脂組成物のシートから曲げ試験片を切り出し、24時間以上状態調節(23℃、50RH%)した後、JIS K7171に規定されるプラスチック−曲げ特性の試験方法に準じて、前記曲げ試験片の23℃における曲げ弾性率、曲げ強度を測定した。
<デュポン衝撃強度>
生分解性樹脂組成物のシートから試験片を切り出して、デュポン衝撃強度を測定した。測定には、東洋精機製作所製のデュポン衝撃試験機を使用し、重錘300g、撃芯突端半径6.3mm、受け台半径6.3mmの条件で、50%破壊エネルギーを求めた。
<成形品外観評価>
生分解性脂組成物容器の外観を目視で観察し、以下の判断基準に従って評価した。
○:容器の表面に凹凸が目視で確認されず、表面状態(平滑性)が良好である。
×:容器の表面に凹凸を目視で確認できる。
[実施例]
<実施例1>
生分解性樹脂(A−1)80重量%と、無機充填物(B−1)20重量%とを、押出機のホッパーに投入し、190℃の2軸押出混合機にて150rpmにて溶融混合し、ストランドを水冷し切断することで、生分解性樹脂組成物を得た。生分解性樹脂組成物の流動性を上述したMFI測定により求めた。
次に、上記の得られた生分解性樹脂組成物を、Tダイシート成形機(スクリュー径30mm、L/D=32、Tダイ幅:350mm、クリアランス1.0mm)を用いて、成形温度190℃、ロール温度30℃にて押出成形して、厚み450μmのシートを得た。得られたシートを切り出し、上述した手法で曲げ試験、及び衝撃強度試験を行った。
また、上記の得られたシートを、間接加熱式圧空成形機を使用して、温度325℃、加熱時間12秒、圧空圧力2kg/cm2の条件にて、縦24cm、横18cm、深さ4cmの容器に成形し、その容器の外観評価を上述の方法で行なった。
<実施例2>
生分解性樹脂組成物の材料として、生分解性樹脂(A−1)70重量%と、無機充填物(B−1)30重量%とを用いた他は、実施例1と同様の条件により混合及びシート成形を行った。得られたサンプル(生分解性樹脂組成物、シート、容器)に対して、実施例1と同項目の評価を行った。
<実施例3>
生分解性樹脂組成物の材料として、生分解性樹脂(A−1)50重量%と、無機充填物(B−1)50重量%とを用いた他は、実施例1と同様の条件により混合及びシート成形を行った。得られたサンプル(生分解性樹脂組成物、シート、容器)に対して、実施例1と同項目の評価を行った。
<実施例4>
生分解性樹脂組成物の材料として、生分解性樹脂(A−1)50重量%と、生分解性樹脂(A−2)30重量%と、無機充填物(B−1)20重量%とを用いた他は、実施例1と同様の条件により混合及びシート成形を行った。得られたサンプル(生分解性樹脂組成物、シート、容器)に対して、実施例1と同項目の評価を行った。
<実施例5>
生分解性樹脂組成物の材料として、生分解性樹脂(A−1)70重量%と、無機充填物(B−2)30重量%とを用いた他は、実施例2同様の条件により混合及びシート成形を行った。得られたサンプル(生分解性樹脂組成物、シート、容器)に対して、実施例1と同項目の評価を行った。
<実施例6>
生分解性樹脂組成物の材料として、生分解性樹脂(A−1)80重量%と、無機充填物(B−3)20重量%とを用いた他は、実施例1同様の条件により混合及びシート成形を行った。得られたサンプル(生分解性樹脂組成物、シート、容器)に対して、実施例1と同項目の評価を行った。
<実施例7>
生分解性樹脂組成物の材料として、生分解性樹脂(A−1)70重量%と、無機充填物(B−4)30重量%とを用いた他は、実施例2同様の条件により混合及びシート成形を行った。得られたサンプル(生分解性樹脂組成物、シート、容器)に対して、実施例1と同項目の評価を行った。
[比較例]
<比較例1>
生分解性樹脂組成物の材料として、生分解性樹脂(A−1)100重量%を用いた他は、実施例1同様の条件によりシート成形を行った。得られたサンプル(生分解性樹脂組成物、シート、容器)に対して、実施例1と同項目の評価を行った。
<比較例2>
生分解性樹脂組成物の材料として、生分解性樹脂(A−1)70重量%と、無機充填物(B−5)30重量%とを用いた他は、実施例2と同様の条件により混合及びシート成形を行った。得られたサンプル(生分解性樹脂組成物、シート、容器)に対して、実施例1と同項目の評価を行った。
<材料の混合割合>
上述の実施例、及び比較例における、生分解性樹脂組成物の材料の混合比を以下[表1]にまとめた。
Figure 2009013362
[結果]
結果を表2に示す。
実施例1〜7に示す通り、生分解性樹脂にメディアン径10μm以下の無機充填物を配合することにより、1500MPa以上の剛性を有し、かつ0.6J以上の面衝撃強度を有するシートを製造できる。これは容器などとして、実用に供するに十分な性能である。また、成形した容器の外観もいずれも良好であった。
一方、比較例1に示すように、無機充填物を配合しないと、デュポン衝撃強度は良好であるものの、剛性が低いため、実際に容器などの成形品として使用するには不十分である。
また、比較例2に示すように、メディアン径が10μmよりも大きい無機充填物を使用すると高い剛性を有するものの、デュポン衝撃強度の低下が生じ、実用に供するには不十分である。また、成形した容器の外観も凹凸が目立ち、実用には不十分である。
Figure 2009013362
本発明は、例えば、各種食品、薬品、雑貨用等の液状物や粉粒物、固形物の包装用資材、農業用資材、建築資材等、生分解性樹脂組成物を利用する全ての産業分野に利用することができる。

Claims (7)

  1. 生分解性樹脂(A)と、メディアン径10μm以下の無機充填物(B)とを含有し、
    デュポン衝撃強度が0.6J以上である
    ことを特徴とする生分解性樹脂組成物。
  2. 前記生分解性樹脂(A)が、脂肪族ポリエステル樹脂及び芳香族−脂肪族ポリエステル樹脂からなる群より選択される少なくとも一種の樹脂である
    ことを特徴とする、請求項1記載の生分解性樹脂組成物。
  3. 前記無機充填物(B)が、タルク、炭酸カルシウム及びシリカからなる群より選択される少なくとも一種である
    ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の生分解性樹脂組成物。
  4. 前記生分解性樹脂(A)に対する前記無機充填物(B)の割合が、10重量%以上50重量%以下である
    ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の生分解性樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の生分解性樹脂組成物を成形してなる
    ことを特徴とする、成形品。
  6. シートである
    ことを特徴とする、請求項5記載の成形品。
  7. シートを真空成形してなる容器である
    ことを特徴とする、請求項5記載の成形品。
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