JP2009012522A - 車両用スイッチ装置及び車両用通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】外部の通信機と電磁結合して該通信機に無線通信用の電力を供給する機能を有する車両用スイッチ装置において、その加飾性を損なうことなく、当該通信機との充分な通信距離が確保できるようにする。
【解決手段】自動車等の車両に設けられ、車載機器のスイッチ操作を行うための車両用スイッチ装置1である。車両のユーザにより所持される携帯機と無線通信するとともに、該携帯機に当該無線通信用の電力を供給するために当該携帯機と電磁結合する通信部が内蔵されている。さらに、該装置1は、車両のエンジンのスイッチ操作を行うための操作ボタン10pと、該操作ボタン10pを円周状に包囲し、当該装置1の加飾性と視認性を高めるための金属めっき部分1rとを備えている。この金属めっき部分1rには、その周方向の電気的連続性を切断する微細なスリット1sが設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両に搭載された車載機器のスイッチ操作を行うための車両用スイッチ装置及び該車両用スイッチ装置を備える車両用通信システムに関する。
近年、自動車等の車両においては、その基本性能や安全性の向上に加え、その操作性の向上が求められており、このため、車両の正規のユーザ(運転者)を判定するとともに自動的にエンジンの始動・停止を許可するようにしたエンジン始動・停止制御システム(車両用通信システム)が搭載されている(例えば、特許文献1を参照)。
<エンジン始動・停止制御システム12の構成>
図3に示すように、この種のエンジン始動・停止制御システム12は、車両(自動車)13に設けられた車両側通信機14と、該車両13のユーザによって所持され、外部の通信機としての携帯機15とから構成されている。尚、図示を省略するが、携帯機15は、通常、電池で駆動される。
前記車両側通信機14には、車両側マイコン(車両側マイクロコンピュータ)16が設けられている。そして、該車両側マイコン16には、アンテナコイル17cに接続された車両側送信回路17、アンテナ18aに接続された車両側受信回路18、及び通信部としてのアンテナコイル10cに接続されたトランスポンダ用送受信回路10s、操作ボタン10pがそれぞれ電気的に接続されている。この車両側マイコン16に設けられたメモリ16mには、ユーザの使用する車両13に割り当てられた車両固有のIDコード及びリクエストコード、並びに、同じく車両固有のトランスポンダ用IDコード(以下、「トランスポンダコード」という。)とが記憶されている。そして、車両側マイコン16は、バスを介してエンジンECU33に接続され、スターターリレー33aによって、図示しないエンジン(車載機器)の始動・停止の制御を可能としている。
前記トランスポンダ用送受信回路10sは、携帯機15の電池切れや故障等によって車両側通信機14と携帯機15の間で通信不良が発生した時(以下、「非常時」という。)に使用される回路である。以下、本明細書では、「トランスポンダ(通信)」という用語を、非常時に車両側通信機14と携帯機15との間で行われる車両13のエンジン始動・停止のための通信の意味で用いることにする。
また、前記車両側送信回路17は、車両側マイコン16から間欠的に出力される前記リクエストコードを含むリクエスト信号を、所定周波数(ここではLF帯)の電波に変調し、アンテナコイル17cを介して携帯機15に向けて送信するようにされている。
<押しボタンスイッチ装置10(1)の構成>
前記トランスポンダ用送受信回路10sは、さらに図4、図5(a)、及び図5(b)を参照して、エンジンの始動・停止のためにスイッチ操作される略円柱状の押しボタンスイッチ装置(車両用スイッチ装置)10内に、前記アンテナコイル10c及び操作ボタン10pとともに内蔵されている。
前記押しボタンスイッチ装置10は、その操作性を考慮して、車両13のインストルメントパネル2において、ハンドルコラム3の近傍右側の所定位置に装着されている。
詳しくは、該押しボタンスイッチ装置10は、前記インストルメントパネル2に埋設された略円筒状のケース10bと、該ケース10bにコンタクト10eを介して中心軸axに沿う押圧方向Aに手指で押し込み可能に配設された有蓋円筒状の操作ボタン10pと、該操作ボタン10pの押圧部をリング状に包囲するとともに、前記ケース10bの先端部に取り付けられたベゼル10aとを備えている。
前記ベゼル10aは樹脂で形成されるとともに外側に折曲されており、該折曲部分がインストルメントパネル2に係止されている。そして、該ベゼル10aの外側表面には、操作ボタン10pをリング状に包囲するように、加飾性(美観)を高めるための金属めっき10r(図5(b)の領域Bを参照)が施されている。尚、この金属めっき10rによって、押しボタンスイッチ装置10のインストルメントパネル2における装着位置の確認のための視認性も向上する。また、このリング状の金属めっき10rは、車両13の電気系統とは電気的に絶縁されている。
また、前記ベゼル10aとケース10bとの間には、前記アンテナコイル10cを保持する円筒状のボビン10dが配設されている。このアンテナコイル10cは、前記ボビン10dに操作ボタン10pの外縁且つ金属めっき10rの内側に位置するように配設されている。
前記トランスポンダ用送受信回路10sは、アンテナコイル10cに電気的に接続され、その端部には、車両13の電気系統と電気信号のやりとりを行うためのコネクタ端子10tが突設されている。
尚、操作ボタン10pの正面中央位置には、英文字で‘ENGINE START STOP’の表記がなされている。さらに、該表記の上方位置には、ACC(アクセサリ)やON(イグニッションオン)等、車両13の電気系統の機能ポジションが切り替えられると、その機能ポジションを認識できるように点灯するLEDインジケータ10iが配設されている。このLEDインジケータ10iは、ケース10b内に配設されるとともに図示しない点灯回路によって点灯制御されるLED10Lによって照明される。
そして、前記トランスポンダ用送受信回路10sは、例えば、図4のブレーキペダル13bの操作をトリガとして、所定周波数(ここではLF帯)のトランスポンダ駆動電波をアンテナコイル10cを介して車室内の所定領域に送信する。すると、車室内において押しボタンスイッチ装置10の近傍にはトランスポンダ駆動電波領域(電磁界)が形成される。
<携帯機15の構成>
前記携帯機15には、携帯機側マイコン(携帯機側マイクロコンピュータ)20が設けられており、該携帯機側マイコン20には、アンテナ21aに接続された携帯機側送信回路21と、アンテナコイル11cに接続され、トランスポンダ機能を備えるトランスポンダ装置11とが電気的に接続されている。このトランスポンダ装置11内には、携帯機側受信回路11aとトランスポンダ11bとが配設されている。この携帯機側マイコン20に設けられたメモリ20mには、前記車両側のIDコード及びリクエストコードにそれぞれ対応する携帯機15側のIDコード及びリクエストコードが記憶されている。また、トランスポンダ11bに設けられたメモリ(図示省略)には、携帯機15側のトランスポンダコードが記憶されている。
<エンジン始動・停止制御システム12の動作>
そして、車両側通信機14と携帯機15の間で正常な通信が行われている通常時には、前記携帯機15は、前記車両側送信回路17から送信されるリクエスト信号をトランスポンダ装置11のアンテナコイル11cを介して受信すると、前記携帯機側マイコン20から出力されるIDコードを所定周波数(ここではUHF帯)のIDコード信号(電波)に変調し、携帯機側送信回路21のアンテナ21aを介して車両側通信機14に送信する。そして、車両側通信機14の車両側受信回路18は、前記IDコード信号をアンテナ18aで受信すると、それをパルス信号に復調して車両側マイコン16に出力し、該マイコン16で当該IDコードは車両固有のIDコードと照合され、両IDコードの一致・不一致が判定される。その結果、携帯機15からのIDコードが、車両固有のIDコードと一致していることを条件としてエンジンの始動・停止が許可される。
一方、非常時には、前記携帯機15が前記トランスポンダ駆動電波領域内に配置されると、トランスポンダ装置11のアンテナコイル11cに誘導起電力が生じる。即ち、押しボタンスイッチ装置10内のアンテナコイル10cが、アンテナコイル11cと電磁結合して当該アンテナコイル11cに誘導起電力が発生する。そして、この誘導起電力がトランスポンダ装置11内に一時的に蓄電され、これを非常用電力として、トランスポンダ11bは、アンテナコイル11cを介して車両側通信機14からのリクエスト信号を受信する。すると、トランスポンダ11bは、その中に記憶されているトランスポンダコードを所定周波数(ここではLF帯)のトランスポンダ信号(電波)に変調し、アンテナコイル11cを介して車両側通信機14に送信する。そして、車両側通信機14のトランスポンダ用送受信回路10sは、前記トランスポンダ信号をアンテナコイル10cで受信すると、それをパルス信号に復調して車両側マイコン16に出力し、該マイコン16で当該トランスポンダコードは車両固有のトランスポンダコードと照合され、両トランスポンダコードの一致・不一致が判定される。その結果、携帯機15からのトランスポンダコードが、車両固有のトランスポンダコードと一致していることを条件としてエンジンの始動・停止が許可される。
そして、図5(a)及び図5(b)を参照して、上記通常時及び非常時のいずれの場合であっても、エンジンの始動・停止が許可されたときには、前記押しボタンスイッチ装置10にその中心軸ax方向に沿って押圧可能に設けられた操作ボタン10pを押圧操作することで、当該装置10によるスイッチ操作が有効化され、エンジンの始動及び停止が可能となる。
特開2004−314806号公報
ところが、このような押しボタンスイッチ装置10では、前述したように、トランスポンダ駆動電波を送信するアンテナコイル10cが、リング状の金属めっき部分10rと同軸上で近接して配置され、これにより当該金属めっき部分10rによって電磁的に遮蔽された状態となっている。
このため、図6に示すように、そのトランスポンダ駆動電波に起因して、前記リング状の金属めっき部分10rの周方向の電気的連続性により、当該金属めっき部分10rに交流の渦電流iが発生する。そして、トランスポンダ通信の際、その渦電流iによる渦電流損のため、携帯機15のアンテナコイル11cで発生する誘導起電力が減弱され、車両側通信機14と携帯機15の間の通信距離が短くなってしまう不良が発生することがあった。
これに対して、一般に渦電流の大きさは金属層(導体層)の厚さの2乗に比例することから、例えば、金属めっき部分10rの金属層の厚さを薄くする対策が考えられるが、そうすると、該金属めっき部分10rの加工方法が難しくなり、加飾性が損なわれたり、耐摩耗性が低下したりする問題が発生する。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、外部の通信機に無線通信のための電力を供給するべく当該通信機と電磁結合する機能を有する車両用スイッチ装置において、その美観を損なうことなく、当該通信機との充分な通信距離が確保できる車両用スイッチ装置、及び、該車両用スイッチ装置を具備して、安定した通信性能を発揮する車両用通信システムを提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、自動車等の車両に設けられ、車載機器のスイッチ操作を行うための車両用スイッチ装置であって、外部の通信機と無線通信するとともに、該通信機に当該無線通信のための電力を供給するべく当該通信機と電磁結合する通信部が内蔵され、前記車載機器のスイッチ操作を行うためのスイッチ部分と、該スイッチ部分を円周状に包囲し、当該装置の加飾性を高めるための金属部分とを備え、前記金属部分には、その周方向の電気的連続性を切断する微細なスリットが設けられていること、を要旨とする。
同構成によれば、スイッチ部分を円周状に包囲する金属部分には、その周方向の電気的連続性を切断する微細なスリットが設けられている。このため、車両用スイッチ装置の加飾性(美観)や視認性を損なうことなく、外部の通信機と電磁結合することにより発生する誘導起電力によって当該通信機に無線通信のための電力を供給する際に、その誘導起電力を減弱するように金属部分に流れる渦電流が遮断され、該渦電流による過電流損に起因して通信性能が低下する不具合が効果的に回避される。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用スイッチ装置において、前記スイッチ部分は、前記車両のエンジンの始動・停止を押圧操作により行うための操作ボタンであり、前記通信部には、前記車両のユーザにより所持される携帯機との間で前記エンジンの始動・停止を許可するためのトランスポンダ通信を行うアンテナコイルが含まれ、前記金属部分における微細なスリットは、このトランスポンダ通信の際に前記金属部分で生じる渦電流損を解消するべく設けられていること、を要旨とする。
同構成によれば、車両用スイッチ装置の加飾性を高めるための金属部分の電気的連続性を遮断する微細なスリットによって、車両用スイッチ装置の加飾性や視認性を損なうことなく、携帯機と車両用スイッチ装置との間でエンジンの始動・停止を許可するためのトランスポンダ通信の際に金属部分で生じる渦電流損が解消される。このため、該過電流損に起因してトランスポンダ通信の通信性能が低下する不具合が効果的に回避され、車両の盗難防止のためのセキュリティが向上し、車載装置としての信頼性が高められるようになる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の車両用スイッチ装置を具備した車両用通信システムであって、前記車両のユーザにより所持される携帯機と、前記車両に設けられ、前記アンテナコイルを介して前記携帯機との間で前記トランスポンダ通信を行うトランスポンダ用送受信回路と、前記車両に設けられるとともに、前記トランスポンダ用送受信回路に接続され、該回路を介して前記携帯機から送信されるトランスポンダ通信用のIDコードと該IDコードに対応する前記車両固有のIDコードとを照合して一致・不一致を判定し、一致していることを条件に前記車両用スイッチ装置によるスイッチ操作を有効化してエンジンの始動・停止を許可するようにした車両側マイコンとをさらに備えていること、を要旨とする。
同構成によれば、ID認証により車両のエンジンの始動・停止を行う車両用通信システムにおいて、そのエンジンの始動・停止のスイッチ操作を行う車両用スイッチ装置として、請求項2に記載の車両用スイッチ装置を用いるので、該装置の加飾性や視認性を損なうことなく、車両のセキュリティが確保される。
本発明によれば、外部の通信機に無線通信のための電力を供給するべく当該通信機と電磁結合する機能を有する車両用スイッチ装置において、その美観を損なうことなく、当該通信機との充分な通信距離が確保できるようになる。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。
尚、本実施形態の押しボタンスイッチ装置1及び該装置1を具備するエンジン始動・停止制御システム12は、図3〜図6に示す押しボタンスイッチ装置10及びエンジン始動・停止制御システム12と、以下に特に説明する場合を除き、構成及び機能上同一であって、対応する部位や名称には同一の符号を付してその説明を省略する。
図1に示すように、本実施形態の押しボタンスイッチ装置1では、操作ボタン10pをリング状に包囲する金属めっき部分1rを備えている。この金属めっき部分1rは、図5(a)及び図5(b)に示すリング状のベゼル10aの外端面に、装飾性と耐摩耗性に優れる所謂無電解ニッケルめっきにより、従来周知の方法で被着されたものである。
そして、本実施形態の押しボタンスイッチ装置1では、前記リング状の金属めっき部分1rに、その周方向の電気的連続性を切断する微細なスリット1sが設けられている点に特徴を有する。
この微細なスリット1sは、リング状の金属めっき部分1rの径方向外方に直線状に延びるように形成されている。
ここで、微細なスリット1sは、前記ベゼル10aに金属めっき部分1rを形成した後、その加飾性を損なわないように、微細な加工に適するYAG等のレーザービームを用いた従来公知の加工方法によって、ベゼル10aの表面から金属めっき部分1rを微細な幅で線状に削ぎ落とすようにして形成したものである。このスリット1sの幅は、トランスポンダ通信時にリング状の金属めっき部分1rにおいて生じる渦電流が遮断され、しかも目立ち難いものであれば特に限定されないが、例えば、1μm以上100μm以下、好ましくは10μm以上100μm以下とすることがよい。
尚、ここで、微細なスリット1s上に、該スリット1sを覆い隠すような塗装、例えば、クリア塗装を施すことで、さらに目立ち難いようにすることもできる。
本実施形態の押しボタンスイッチ装置1では、リング状の金属めっき部分1rの周方向の電気的連続性を切断する微細なスリット1sにより、押しボタンスイッチ装置1の加飾性や視認性を損なうことなく、車両13のユーザにより所持される携帯機15との電磁結合により発生する誘導起電力によって当該携帯機15にトランスポンダ通信用の電力を供給する際に、その誘導起電力を減弱するように金属めっき部分1rに流れる渦電流iが遮断される。そして、該渦電流iによる過電流損に起因してトランスポンダ通信のための通信距離が低下する不具合が効果的に回避される。
具体的には、前記トランスポンダ通信が正常に行われる最大の距離を、本実施形態と従来例で、押しボタンスイッチ装置1の操作ボタン10pと携帯機15との間の離間距離によって測定し、比較した。
その結果、従来例の押しボタンスイッチ装置10では前記離間距離は約35mmと不足しており、本実施形態の押しボタンスイッチ装置1では約50mmと、トランスポンダ通信のために充分な距離となり、前記装置10でリング状のベゼル10aに金属めっき部分10rを施していない場合の測定値である約50mmと同等の結果が得られた。
本実施形態の押しボタンスイッチ装置1及びエンジン始動・停止制御システム12によれば、以下のような作用・効果を得ることができる。
(1)リング状の金属めっき部分1rにおける微細なスリット1sにより、押しボタンスイッチ装置1の加飾性や視認性を損なうことなく、携帯機15と押しボタンスイッチ装置1との間でエンジンの始動・停止を許可するためのトランスポンダ通信の際に、当該金属めっき部分1rで生じる渦電流損が解消される。このため、該過電流損に起因して非常時に行われるトランスポンダ通信の通信性能が低下する不具合が効果的に回避され、車両13の盗難防止のためのセキュリティが向上し、車載装置としての信頼性が高められるようになる。
(2)ID認証により車両13のエンジンの始動・停止を行うエンジン始動・停止制御システムにおいて、そのエンジンの始動・停止のスイッチ操作を行う車両用スイッチ装置として上記押しボタンスイッチ装置1を用いるので、該装置1の加飾性や視認性を損なうことなく、車両13のセキュリティが確保される。
尚、上記実施形態は以下のように変形してもよい。
・上記実施形態では、渦電流損が発生する金属めっき部分1rは、リング状の形態のものとしたが、本発明の技術的思想は、これに限られず、トランスポンダ通信の際に渦電流損が発生し得るものであれば、例えば、多角形の形態のものにも適用できる。
・上記実施形態では、レーザービームによって金属めっき部分1rに微細なスリット1sを加工形成したが、該スリット1sを目立たないように加工し得る方法であれば、これに限られず、例えば、電子銃を用いて加工成形することも可能である。さらには、精密スライサ等を用いた機械的手段やフォトエッチング等の化学的手段によることも可能である。
・上記実施形態では、ベゼル10aの外端面全周に亘って金属めっきを施した後、その一部を切除するように微細なスリット1sを形成した。しかし、これに限られず、該微細なスリット1sは、予めベゼル10aの外端面に当該スリット1sに対応したマスキングを施しておき、さらにその上から金属めっきを施し、しかる後に該マスキングを除去することで形成することもできる。
・上記実施形態では、金属めっき10rは無電解ニッケルめっきとしたが、その他の磁性体の金属めっきの他、非磁性体の金属めっきでもあってもよい。さらには、ケース10bの先端部が、導電性を有する金属材料そのもので形成されていてもよい。この場合、例えば、その周方向の一部を精密スライサ等を用いた機械的手段で切り欠くようにスリットを形成することで上記実施形態と同様な効果が得られる。
・上記実施形態では、微細なスリット1sは、リング状の金属めっき部分1rの径方向外方に直線状に延びるように形成した。しかし、これに限られず、例えば、図2(a)の押しボタンスイッチ装置1aのように中途に屈曲部分を有するスリット1saに形成することもできるし、図2(b)の押しボタンスイッチ装置1bのように波状のスリット1sbに形成することもできる。
・上記実施形態では、押しボタンスイッチ装置1内にアンテナコイル10cと該コイル10cに接続されたトランスポンダ用送受信回路10sとを配設する構成とした。しかし、これに限られず、トランスポンダ用送受信回路10sは、押しボタンスイッチ装置1の外部、例えば、押しボタンスイッチ装置1と車両側マイコン16との間に接続するようにしても勿論よい。
・上記実施形態では、押しボタンスイッチ装置1を非常用のトランスポンダ通信を行うためのエンジン始動・停止制御システム12に適用した。しかし、その他、押しボタンスイッチ装置1は、外部の通信機に電力を供給するために当該通信機と電磁結合する機能が必要となるものであれば、通常の通信を行うためのエンジン始動・停止制御システムに適用することも勿論可能である。
さらに、前記した実施形態および変形例より把握できる技術的思想について以下に記載する。
○請求項1に記載の車両用スイッチ装置において、前記金属部分における微細なスリット上には、クリア塗装が施されている車両用スイッチ装置。これにより、製造工程上、特別な処理を追加する必要のない安価な方法によって、微細なスリットをさらに目立ち難いようにすることができる。
○請求項1に記載の車両用スイッチ装置において、前記金属部分における微細なスリットは、中途で屈曲するか又は波状に形成されている車両用スイッチ装置。これにより、大きな工程上の変更を要さない簡便な方法によって、微細なスリットをさらに目立ち難いようにすることができる。
本発明の実施形態に係る押しボタンスイッチ装置の要部を示す正面図。 (a)は、本発明の変形例に係る押しボタンスイッチ装置の要部を示す正面図、(b)は、本発明の別の変形例に係る押しボタンスイッチ装置の要部を示す正面図。 エンジン始動・停止制御システムのブロック図。 車室内のインストルメントパネルにおける押しボタンスイッチ装置の装着状態図。 (a)は、押しボタンスイッチ装置の斜視立体図、(b)は同押しボタンスイッチ装置の一部破断側面図。 従来例に係る押しボタンスイッチ装置の正面図。
符号の説明
1,10…押しボタンスイッチ装置(車両用スイッチ装置)、1r…リング状の金属めっき部分、1s,1sa,1sb…微細なスリット、10i…LEDインジケータ、10p…操作ボタン(スイッチ部分)、12…エンジン始動・停止制御システム(車両用通信システム)、13…車両、14…車両側通信機、15…携帯機、16…車両側マイコン。

Claims (3)

  1. 自動車等の車両に設けられ、車載機器のスイッチ操作を行うための車両用スイッチ装置であって、
    外部の通信機と無線通信するとともに、該通信機に当該無線通信のための電力を供給するべく当該通信機と電磁結合する通信部が内蔵され、
    前記車載機器のスイッチ操作を行うためのスイッチ部分と、該スイッチ部分を円周状に包囲し、当該装置の加飾性を高めるための金属部分とを備え、
    前記金属部分には、その周方向の電気的連続性を切断する微細なスリットが設けられていることを特徴とする車両用スイッチ装置。
  2. 請求項1に記載の車両用スイッチ装置において、
    前記スイッチ部分は、前記車両のエンジンの始動・停止を押圧操作により行うための操作ボタンであり、
    前記通信部には、前記車両のユーザにより所持される携帯機との間で前記エンジンの始動・停止を許可するためのトランスポンダ通信を行うアンテナコイルが含まれ、前記金属部分における微細なスリットは、このトランスポンダ通信の際に前記金属部分で生じる渦電流損を解消するべく設けられている車両用スイッチ装置。
  3. 請求項2に記載の車両用スイッチ装置を具備した車両用通信システムであって、
    前記車両のユーザにより所持される携帯機と、
    前記車両に設けられ、前記アンテナコイルを介して前記携帯機との間で前記トランスポンダ通信を行うトランスポンダ用送受信回路と、
    前記車両に設けられるとともに、前記トランスポンダ用送受信回路に接続され、該回路を介して前記携帯機から送信されるトランスポンダ通信用のIDコードと該IDコードに対応する前記車両固有のIDコードとを照合して一致・不一致を判定し、一致していることを条件に前記車両用スイッチ装置によるスイッチ操作を有効化してエンジンの始動・停止を許可するようにした車両側マイコンとをさらに備えていることを特徴とする車両用通信システム。
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