JP2009011965A - 中空糸膜モジュールおよびこれを用いた中空糸膜ユニット - Google Patents
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【解決手段】複数の中空糸膜12を束ねてなる中空糸膜束を備え、該中空糸膜束の下端を固定端とすると共に上端を自由端とする中空糸膜モジュール10において、1本または複数本の中空糸膜12が二つ折りとなった中空糸膜対を同一向きで複数重ねて、前記中空糸膜束が形成され、前記中空糸膜対における前記中空糸膜12の末端側が前記固定端側、前記中空糸膜の折り返し側が前記自由端側であり、かつ前記自由端側の中空糸膜12の端部に吊り具15を備えたことを特徴とする中空糸膜モジュール10、およびこれを用いた中空糸膜ユニット。
【選択図】図4
Description
前記中空糸膜モジュールにおいては、複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束の下端を固定端とすると共に上端を自由端とすることで、中空糸膜に付着するし渣(廃水中の細かい繊維状屑)をその自由端側に除去し易くしたものがある。また、中空糸膜束と、縦方向の両端を開口させるモジュールケースとを備え、前記中空糸膜束をその長手方向が前記縦方向に沿うように前記モジュールケース内に収容したものもある。(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかし、水処理装置の整備などで水槽より中空糸膜モジュールや、中空糸膜ユニットを引き上げる際に、中空糸膜が水流や重力により下方(鉛直方向)に倒れたり、中空糸膜同士が絡み合ったりして取り扱いにくい場合があり、作業性が低下することがあった。
また、前記中空糸膜の少なくとも一部が、拘束糸によりシート状に形成されたことが好ましい。
また、縦方向の両端を開口させるモジュールケースをさらに備え、前記中空糸膜束をその長手方向が前記縦方向に沿うように前記モジュールケース内に収容し、かつ、前記中空糸膜束における前記自由端から所定長さの範囲を前記モジュールケースの外側に出したことが好ましい。
さらに、前記モジュールケースの縦方向と略直交する断面における該モジュールケースの内部空間の断面積が、前記縦方向の位置と共に変化することが好ましい。
また、自由端側の中空糸膜の端部に吊り具を備えたことで、該吊り具を吊り下げられる支持部材などに吊り具を吊り下げて中空糸膜を支持し、その長手方向に保持することが可能となり、水処理装置の整備などで水槽より中空糸膜モジュールや中空糸膜ユニットを引き上げでも、中空糸膜が水流や重力により下方(鉛直方向)に倒れたり、中空糸膜同士が絡み合ったりするのを抑制し、取り扱い性を向上させることができる。
さらに、中空糸膜対の折り返し部を疎水性とすることで、中空糸膜内にエアが混入した場合にも、該エアを中空糸膜対の上端部である折り返し部から膜外に逃がし易くなり、エアの噛み込みによるポンプ負荷の増大を防止できる。
また、モジュールケースが中空糸膜モジュールに備わる場合であっても、比較的し渣等が絡み付き易い前記折り返し部をモジュールケースの外側に出せば、折り返し部にし渣等が絡み付いたとしてもこれがモジュールケース内の目詰まりの原因にならず、かつ該し渣等が水槽内の被処理水の旋回流に乗ってより除去され易くなる。
さらに、モジュールケースの内部空間の断面積が縦方向位置と共に変化することで、モジュールケース内の被処理水の上昇流に乱流を起こし易くなり、曝気によるスクラビング効果を高めることができる。
この例の中空糸膜モジュール10は、上下方向に沿って起立する厚板状の外観を有し、正面視(前面視)で縦長の矩形状とされる。中空糸膜モジュール10は、複数の中空糸膜12を束ねてなる中空糸膜束11を備え、該中空糸膜束11の下端は揺動が規制された固定端とされ、中空糸膜束11の上端は自由に揺動可能な自由端となっている。
これら中空糸膜12の折り返し部12bにおいては、一本の中空糸膜12を二つ折りにしても良いし、複数本の中空糸膜12の小束を二つ折りにしても構わない。この小束を構成する中空糸膜12の本数は、中空糸膜12間の洗浄性を良好にする点で、十本以内が好ましく、五本以内とすることがさらに好ましい。
なお、吊り具15の他方の端部は、後述する支持部材16に吊り下げるものとする。吊り具15を支持部材16に吊り下げることにより、中空糸膜12をその長手方向に保持できるので、図1に示す水槽2内から取り出す場合でも、中空糸膜12が水流や重力により下方(鉛直方向)に倒れたり、中空糸膜同士が絡み合ったりするのを抑制できるので、取り扱い性が良好となる。
また、吊り具15の高さ方向の長さdは特に限定されず、中空糸膜モジュール10の折り返し部12bから後述する支持部材16までの距離に応じて適宜調整すればよい。
ただし、吊り具15を一部の中空糸膜12の折り返し部12bに取り付ける場合は、中空糸膜として、当該中空糸膜の少なくとも一部が、拘束糸によりシート状に形成されたもの(膜体)を用いるのが好ましい。特に、図3に示すように中空糸膜12の折り返し部12bの近傍で、拘束糸17を用いチェーンステッチ(鎖編み)にて各中空糸膜12を拘束したものが好ましい。
拘束糸17により各中空糸膜12を拘束したシート状の膜体を用いることにより、隣り合う中空糸膜同士が連結されるので、図4に示すように、一つのシート状の膜体に対して一つの吊り具15を設けるだけでも本発明の効果を発揮できる。また、このような場合は、例えば吊り具15の一方の端部を面状に形成し、これを拘束部分に貼り付けてもよく、一度に複数の中空糸膜12に吊り具15の一方の端部を取り付けることができ、取り付け部分を補強できる。
前記折り返し部12bに疎水性をもたせる方法には様々なものがあるが、その中でも簡便な方法として、折り返し部12bに疎水性樹脂を塗布しておくという方法がある。前記疎水性樹脂としては、公知のウレタン樹脂やシリコン樹脂、エポキシ樹脂等がある。
また、中空糸膜束11の上端側は、前記折り返し部12bから所定長さの範囲(後述の突出量L2に相当、図14参照。)が、モジュールケース18の上端開口から該モジュールケース18の外側に(上端開口よりも上方に)突出するように設けるのが好ましい。
すなわち、比較的し渣等が絡み付き易い折り返し部12bにおいてし渣等が絡み付き難くなり、仮に絡み付いたとしても折り返し部12b周辺がモジュールケース18の外側に配置されることで、モジュールケース18内での目詰まりを生じさせずに水処理装置1の長期に渡る安定運転を可能とする。
なお、図5においては、吊り具15の図示を略している。
この中空糸膜モジュール110の外観を形成するモジュールケース118においても、例えばその縦方向中間部に内部空間の横幅を狭める絞り部118aを設けた構成としてもよい。
なお、図6(a)、(b)においては、吊り具15の図示を略している。
一方、中空糸膜ユニットとして用いる場合は、例えば図7に示すような構成の中空糸膜ユニット20を架台3上に起立状態で固定させて用いる。この例の中空糸膜ユニット20は、中空糸膜モジュール10を複数配列させ、これらの集水器14が集水ヘッダ21によって連接されることによって一体化してなるものである。
このような中空糸膜ユニット20にあっては、上述の中空糸膜モジュール10を複数配列し、集水ヘッダ21により積層、一体化させたものであるので、集積率を高く設計できると共に、簡便に中空糸膜モジュール10の交換を行うことができる。
支持部材16は、モジュールケースに設けてもよく、中空糸膜ユニットに設けてもよい。さらに、水槽に設けることも可能である。
一方、支持部材16を中空糸膜ユニットに設ける場合は、例えば図10に示すように、中空糸膜ユニット20の集水ヘッダ21の両端から鉛直方向に設けた2本の支柱(鉛直方向の支柱)24aと、該鉛直方向の支柱24aの上端から垂直方向かつ中空糸膜モジュール10側に設けた互いに平行な2本の支柱(垂直方向の支柱)24bからなるユニット枠24において、2本の垂直方向の支柱24b同士を連結するように支持部材16bを配置すればよい。連結箇所は、垂直方向の支柱24bの中央部分が好ましい。
支持部材16cに、吊り具15を吊り下げる場合は、一つの中空糸膜モジュール10を架台3上に固定させたり、図11に示すように複数の中空糸膜モジュール10を配列させて架台3上に固定させたりして、吊り具15を支持部材16cに吊り下げればよい。
なお、図11に示すような形態とする場合、図5や図6に示されるモジュールケース18を省略し、例えば図12に示すように、架台3に対して鉛直方向に立設された4本の支柱3cの外周部に4枚の側板18bを取り付け、ユニット全体としてケース構造となすことが可能である。この場合も側板18bの上方に中空糸膜束の折り返し部が配されることが好ましい。
また、図7に示すような中空糸膜ユニット20を架台3上に固定させて、吊り具15を支持部材16cに吊り下げてもよい。このような構成で中空糸膜モジュール10または中空糸膜ユニット20を水槽から引き上げる場合には、脱着可能な架台枠3aごと支持部材16cに吊り具15を吊り下げた状態で引き上げればよい。
なお、図14においては、吊り具15の図示を略している。
特に、モジュールケースを備えた場合であっても、上記のような構成とすることで、モジュールケース内での目詰まりが防止されるので、水処理性能を良好に保つことができる。また、比較的し渣等が絡み付き易い前記折り返し部をモジュールケースの外側に出したことで、折り返し部にし渣等が絡み付いたとしてもこれがモジュールケース内の目詰まりの原因にならず、かつ該し渣等が水槽2内の被処理水の旋回流に乗って除去され易くなる。
特に、中空糸膜の少なくとも一部が、拘束糸によりシート状に形成されれば、各中空糸膜が拘束されるので、一つのシート状の膜体に対して一つの吊り具を設けるだけでも本発明の効果を発揮できる。
〔構成概要〕
中空糸膜は、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)製、外径2.8mm、有効長さ1300mmのものを約800本用意した。
集水器は、ABS製、上下高さ65mm×左右幅850mm×前後厚35mmのものを用意した。
吊り具は、図3に示すような形状となるように、線径2mmのステンレス製の棒を折り曲げて製作したものを用意した。
水処理装置としては、図1に示す構成のものを用意した。
まず、図2に示すように、各中空糸膜12を個別に(又は小束毎に)二つ折りにして中空糸膜対12Aを形成した後、所定数の中空糸膜対12Aを各中空糸膜12間のピッチが3.2mmとなるように並べ、これに拘束糸を編み込む等によってシート状の膜体(上下高さ1550mm×左右幅750mm)を形成させた。
このシート状の膜体を五枚作成し重ねて中空糸膜束11とし、その下端側(前記中空糸膜対12Aにおける中空糸膜12の末端側)を固定部13形成用の樹脂容器内に挿入し、該樹脂容器内にウレタン等のポッティング樹脂13aを充填した。
そして、硬化したポッティング樹脂13aを所定厚さにカットすることで、中空糸膜束11の下端部をブロック状に一体化した固定部13を形成し、該固定部13の下面に各中空糸膜12の端面を開口させた。
一方、各シート状膜体の中空糸膜12の折り返し部12bに、吊り具15を取り付け、中空糸膜モジュール10を作製した。
上記中空糸膜モジュール10を四つ用意した。一方、水槽2内に配置した架台3上には、図12に示すような支持部材16cを設けた脱着可能な架橋枠aを取り付けた。そして、四つの中空糸膜モジュール10をその前後厚さ方向で隙間無く並べた状態で、前記水槽2内の架台3上に固定し、吊り具15を支持部材16cに吊り下げた。また、支柱3cの外周部に4枚の側板18bを配した。各中空糸膜モジュール10を隙間無く並べることで、これらの下方から供給される曝気エアBが中空糸膜モジュール10内に供給され易くなる。
水槽2内には被処理水W及び活性汚泥を貯留し、中空糸膜モジュール10は被処理水W内に浸漬させ、前記散気装置6は水槽2底部に沈殿した活性汚泥内に浸漬させる。そして、前記ブロワ8を作動させ0.5m3/分でエアを供給して曝気を開始すると共に、前記ポンプ4を作動させて被処理水Wの吸引ろ過を開始した。
一週間後、水処理装置1の運転状況に異常は見られなかった。また、中空糸膜モジュール10を水上に引き上げてし渣等の堆積状況を確認したところ、中空糸膜対12Aの折り返し部12bに若干のし渣の堆積が見られたが、曝気エアBの流路は確保されていた。
さらに、中空糸膜モジュール10を水上に引き上げる際においても、中空糸膜同士が絡みつくことはなく、取り扱い性が良好で、作業しやすかった。
Claims (6)
- 複数の中空糸膜を束ねてなる中空糸膜束を備え、該中空糸膜束の下端を固定端とすると共に上端を自由端とする中空糸膜モジュールにおいて、
1本または複数本の中空糸膜が二つ折りとなった中空糸膜対を同一向きで複数重ねて、前記中空糸膜束が形成され、前記中空糸膜対における前記中空糸膜の末端側が前記固定端側、前記中空糸膜の折り返し側が前記自由端側であり、かつ前記自由端側の中空糸膜の端部に吊り具を備えたことを特徴とする中空糸膜モジュール。 - 前記中空糸膜の少なくとも一部が、拘束糸によりシート状に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
- 前記中空糸膜対における前記中空糸膜の折り返し部が疎水性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の中空糸膜モジュール。
- 縦方向の両端を開口させるモジュールケースをさらに備え、前記中空糸膜束をその長手方向が前記縦方向に沿うように前記モジュールケース内に収容し、かつ、前記中空糸膜束における前記自由端から所定長さの範囲を前記モジュールケースの外側に出したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸膜モジュール。
- 前記モジュールケースの縦方向と略直交する断面における該モジュールケースの内部空間の断面積が、前記縦方向の位置と共に変化することを特徴とする請求項4に記載の中空糸膜モジュール。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の中空糸膜モジュールが複数配列したことを特徴とする中空糸膜ユニット。
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