JP2009010277A - 太陽電池モジュール用充填材シートおよび太陽電池モジュール - Google Patents
太陽電池モジュール用充填材シートおよび太陽電池モジュール Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明は、透明難燃層用シラン変性透明樹脂および架橋剤を含む透明難燃層と、上記透明難燃層の両面に形成され、透明接着層用シラン変性透明樹脂を含み架橋剤を含まない透明接着層とを有することを特徴とする太陽電池モジュール用充填材シートを提供することにより、上記課題を解決するものである。
【選択図】図1
Description
しかしながら、太陽電池モジュールに用いられる充填材シートは、その必須の性質として太陽電池素子と裏面保護シート、または、太陽電池素子と透明前面基板とを接着する接着性を有することが求められるものであるが、所望の難燃性を付与するのに十分な量の難燃剤が充填材に含有されると、上記接着性が損なわれてしまうという問題点が指摘されている。
このため、特許文献1に開示されたような難燃剤を含有する太陽電池モジュール用充填材シートを用いて作製した太陽電池モジュールは、難燃性には優れるもののその主たる性質である接着性が不十分となってしまうという問題点があった。
また、通常、難燃剤は白色の化合物からなるものであるため、このような難燃剤を含む太陽電池モジュール用充填材シートは、通常、白色化してしまい、太陽電池モジュールの透明前面基板と、太陽電池素子との接着に用いられる前面充填材シートとして使用した場合、発電効率が低下するといった問題があった。
また、上記透明難燃層の両面に形成される透明接着層を有することにより、接着性に優れたものとすることができる。さらに、上記透明接着層が、架橋剤を含まないものであることにより、品質保証期間が長いものとすることができる。
上記透明難燃層用シラン変性透明樹脂および上記透明接着層用シラン変性透明樹脂が、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用樹脂とをグラフト重合してなるシラン変性重合体であることにより、諸物性を調整することが容易だからである。また、太陽電池素子等との接着性に優れたものとすることができるからである。
さらに、上記重合用樹脂として、ポリエチレンを用いることにより、加熱時に、異臭の発生や、太陽電池モジュールを構成する電極等の腐食を生ずる恐れのある熱分解物を発生することがないからである。
また、上記架橋透明難燃層の両面に形成される透明接着層が、非架橋の透明接着層用シラン変性透明樹脂を含むことにより、上記太陽電池モジュール用充填材層が、その両面に配置される部材と十分な強度で密着するものとすることができる。
さらに、少なくとも上記前面充填材シートが、上述した架橋透明難燃層および透明接着層を有する太陽電池モジュール用充填材層であることにより、上記太陽電池モジュールを難燃性に優れたものとすることができる。
以下、本発明の太陽電池モジュール用充填材シートおよび太陽電池モジュールについて順に説明する。
まず、本発明の太陽電池モジュール用充填材シートについて説明する。本発明の太陽電池モジュール用充填材シートは、透明難燃層用シラン変性透明樹脂および架橋剤を含む透明難燃層と、上記透明難燃層の両面に形成され、透明接着層用シラン変性透明樹脂を含み架橋剤を含まない透明接着層とを有することを特徴とするものである。
このような例において、本発明の太陽電池モジュール用充填材シート10は、上記透明難燃層1が透明難燃層用シラン変性透明樹脂および架橋剤を含むものであり、かつ、上記透明接着層2が、透明接着層用シラン変性透明樹脂を含み架橋剤を含まないことを特徴とするものである。
また、このように難燃剤が含有されていないものであっても難燃性を得ることができるため、難燃剤の含有を不要なものとすることができる。このため、通常、太陽電池モジュール用充填材シートに用いられる難燃剤を太陽電池モジュール用充填材シートに含有させた際に生じる太陽電池モジュール用充填材シートの白色化を、生じさせないものとすることができる。このようなことから、上記太陽電池モジュール用充填材シートは、透明性に優れたものとすることができ、前面充填材シートとして用いた場合であっても発電効率の低下を生じないものとすることができる。
以下、本発明の太陽電池モジュール用充填材シートの各構成について順に説明する。
まず、本発明に用いられる透明難燃層について説明する。本発明に用いられる透明難燃層は、少なくとも透明難燃層用シラン変性透明樹脂および架橋剤を含むものである。
本発明に用いられる透明難燃層用シラン変性透明樹脂としては、アルコキシシリル基を含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば、エチレン性不飽和シラン化合物と、重合用樹脂とをグラフト重合もしくは共重合させたものを用いることができる。
本発明においては、なかでも、グラフト重合させたものを用いることが好ましく、さらには、重合用樹脂を主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物を側鎖としてグラフト重合させたものが好ましい。接着力に寄与するアルコキシシリル基の自由度が高くなるため、上記太陽電池モジュール用充填材シートの接着力をより強固にすることができるからである。
なお、上記共重合の方法としては、例えば、ランダム共重合、交互共重合、およびブロック共重合等を挙げることができる。
本発明に用いられるエチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、または、ビニルトリカルボキシシランを挙げることができる。
本発明に用いられる重合用樹脂としては、上記エチレン性不飽和シラン化合物と重合することができるものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、エチレン‐ビニルアルコール共重合体、エチレン‐不飽和カルボン酸エステル共重合体、エチレン‐不飽和カルボン酸共重合体および、上記エチレン‐不飽和カルボン酸共重合体をナトリウムや亜鉛などの金属の塩で分子間結合したアイオノマーなどを挙げることができる。
なお、融点の測定方法としては、プラスチックの転移温度測定方法(JISK7121)に準拠し、示差走査熱量計による分析で行う。なお、その際、融点ピークが2つ以上存在する場合は高い温度の方を融点とする。
本発明に用いられる透明難燃層用シラン変性透明樹脂の融点としては、上記太陽電池モジュール用充填材シートを安定に成形し、所望の接着性を発揮することができるものであれば特に限定されるものではないが、上記太陽電池モジュール用充填材シートを用いた太陽電池モジュールの製造時において、成形性に優れる点から、80℃〜110℃の範囲内のものが好ましく用いられる。
なお、融点の測定は、上記重合用樹脂の融点の測定方法と同様の方法を用いることができる。
本発明に用いられる透明難燃層に含まれる架橋剤としては、本発明の太陽電池モジュール用充填材シートを用いて太陽電池モジュールを作製した際に、上記透明難燃層用シラン変性透明樹脂を架橋させることができるものである。
本発明においては、なかでも、ジクミルパーオキサイド、ジブチル錫ジラウレートを好ましく用いることができる。汎用性が高いからである。
なお、ゲル分率の測定方法としては、太陽電池モジュール用充填材シートを透明難燃層と、透明接着層とに剥離・分離し、次いで上記透明難燃層を1g秤量し、80メッシュの金網袋に入れる。次いで、ソックスレー抽出器内に金網ごとサンプル投入し、キシレンを沸点下において還流させる。10時間連続抽出したのち、金網ごとサンプルを取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の重量比較を行い残留不溶分の質量%を測定し、これをゲル分率とする方法が用いられる。
本発明に用いられる透明難燃層は、本発明の太陽電池モジュール用充填材シートを用いて太陽電池モジュールを作製した際に、架橋された透明難燃層用シラン変性透明樹脂を有するものである。したがって、本発明においては、上記透明難燃層に含まれる透明難燃層用シラン変性透明樹脂が、既に架橋されたものであっても良く、架橋されていないものであっても良い。
本発明においては、なかでも、上記透明難燃層用シラン変性透明樹脂が、架橋されていないものであることが好ましい。太陽電池モジュールを形成する一般的な方法である、ラミネーション法を用いて、太陽電池モジュールの各部材を積層する際の加熱によって架橋させることができるため、本発明において、上記透明難燃層用シラン変性透明樹脂を架橋させる工程を不要なものとし、コストの削減を図ることができるからである。
本発明に用いられる透明接着層は、透明接着層用シラン変性透明樹脂を含み架橋剤を含まないものである。
本発明に用いられる透明接着層に含まれる透明接着層用シラン変性透明樹脂としては、アルコキシシリル基を含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば、エチレン性不飽和シラン化合物と、重合用樹脂とをグラフト重合もしくは共重合させたものを用いることができる。
また、本発明においては、特に、上記透明接着層用シラン変性透明樹脂が、上記透明難燃層用シラン変性透明樹脂と同一の樹脂であることが好ましい。本発明の太陽電池モジュール用充填材シートの製造コストを削減することが可能になるからである。
また、上記透明難燃層用シラン変性透明樹脂と、上記透明接着層用シラン変性透明樹脂とが、同一の樹脂であるとは、上記透明難燃層用シラン変性透明樹脂および上記透明接着層用シラン変性透明樹脂上記接着性樹脂が、同一の種類のモノマーを重合させた主鎖および置換基を有する樹脂であることをいい、上記置換基の含有量、分子量、密度、架橋の有無等の同一まで要求するものではない。
本発明に用いられる透明接着層は、上記透明接着層用シラン変性透明樹脂を含み、架橋剤を含まないものである。また、本発明に用いられる透明接着層に含まれる透明接着層用シラン変性透明樹脂は、通常、非架橋の透明接着層用シラン変性透明樹脂である。上記透明接着層用シラン変性透明樹脂が架橋を有すると、上記透明接着層の接着性が低下するからである。
なお、上記剥離強度は以下の試験条件により得た値とする。
・測定角度:180°剥離
・剥離速度:50mm/min
・温度:25℃
・サンプル幅:15mm
このようなその他添加物としては、例えば添加用樹脂や、他の添加剤を挙げることができ、具体的には、上記「1.透明難燃層」の項に記載されたものと同様のものを用いることができる。
本発明に用いられる太陽電池モジュール用充填材シートは、上記透明難燃層および透明接着層を含むものであり、上記透明難燃層が、上記透明難燃層用シラン変性透明樹脂および架橋剤を含むことにより、難燃剤が含まれていない場合であっても、難燃性を発揮するものであるが、上記太陽電池モジュール用充填材シートの透明性および接着性を維持できる範囲内で難燃剤を有するものであっても良い。
ここで、上記線燃焼速度の評価方法は次の通りである。
各試験片(13mm×125mm)の炎を当てる端から25mm及び100mmのところに長辺に垂直に縦線を入れて標線を引く。試験片は端をクランプで保持して水平に配置する。試験炎の高さは20mm、ガス流量は105mL/分に設定する。試験片のクランプでとめていない方の端にバーナを45°に傾けて当て着炎させる。燃焼炎の先端が25mm標線に達した時点で時間を測り始める。試験炎を遠ざけた後も試験片が燃え続ける場合には、25mm標線から100mm標線まで燃える時間と損傷を受けた距離を記録する。各試験片の燃焼速度Vは次の方程式を用いて求める。
V=60L/t
(V=線燃焼速度(mm/min),L=炎による損傷を受けた距離(mm),t=時間(s))
なお、測定を行う周囲の環境(ルームコンディション)としては、温度15℃〜35℃、湿度45%〜75%とする。
なお、上記透明難燃層および透明接着層の膜厚比(透明難燃層/透明接着層)における透明接着層の膜厚とは、上記透明難燃層の両面に形成された透明接着層の合計の膜厚をいうものである。
なお、上記全光線透過率は、通常の方法により測定することができ、例えばカラーコンピュータにより測定することができる。
ここで、前面充填材シートとして用いられることが好ましいとする理由は次のとおりである。
すなわち、従来の難燃性を有する太陽電池モジュール用充填材シートは、通常、難燃剤を含むものである。また、一般的に、難燃剤は、白色の化合物であるので、このような難燃剤を含む太陽電池モジュール用充填材シートは、光反射率が高いものとなる。このため、従来の難燃性を有する太陽電池モジュール用充填材シートを、前面充填材シートとして用いた場合には、太陽電池モジュールの発電効率を低下させる恐れがあるといった問題があった。このような問題から、従来は、前面充填材シートが難燃性を有する太陽電池モジュールを作製することが困難であった。
一方、本発明の太陽電池モジュール用充填材シートは、上述したように、透明性および難燃性を有するものであるため、前面充填材シートとして用いた場合であっても、太陽電池モジュールの発電効率を低下させないものとすることができる。このため、前面充填材シートが難燃性を有する太陽電池モジュールを容易に作製することができ、難燃性に特に優れた太陽電池モジュールとすることができるという利点があるからである。
次に、本発明の太陽電池モジュールについて説明する。本発明の太陽電池モジュールは、裏面保護シートと、上記裏面保護シート上に形成された裏面充填材シートと、上記裏面充填材シート上に形成された、太陽電池素子と、上記太陽電池素子上に形成された前面充填材シートと、上記前面充填材シート上に形成された透明前面基板とを有する太陽電池モジュールであって、少なくとも、上記前面充填材シートが、架橋された透明難燃層用シラン変性透明樹脂を含む架橋透明難燃層、および、上記架橋透明難燃層の両面に形成され、非架橋の透明接着層用シラン変性透明樹脂を含む透明接着層を有する太陽電池モジュール用充填材層であることを特徴とするものである。
ここで、上記太陽電池モジュール用充填材層20は、架橋された透明難燃層用シラン変性透明樹脂を含む架橋透明難燃層21、および、上記架橋透明難燃層21の両面に形成され、非架橋の透明接着層用シラン変性透明樹脂を含む透明接着層22を有することを特徴とするものである。
また、上記架橋透明難燃層の両面に形成される透明接着層が、非架橋の透明接着層用シラン変性透明樹脂を含むことにより、上記太陽電池モジュール用充填材層が、その両面に配置される部材と十分な強度で密着するものとすることができる。
さらに、少なくとも上記前面充填材シートが、上述した架橋透明難燃層および透明接着層を有する太陽電池モジュール用充填材層であることにより、上記太陽電池モジュールを難燃性に優れたものとすることができる。
本発明に用いられる前面充填材シートは、後述する透明前面基板と、太陽電池素子とを接着する用途に用いられるものであり、太陽電池モジュール用充填材層からなるものである。
本発明に用いられる架橋透明難燃層は、架橋された透明難燃層用シラン変性透明樹脂を含むものである。
本発明においては、架橋された透明難燃層用シラン変性透明樹脂を含むことにより、難燃性を発揮することができる。
本発明に用いられる透明接着層は、非架橋の透明接着層用シラン変性透明樹脂を含むものである。
本発明においては、上記非架橋の透明接着層用シラン変性透明樹脂を含むことにより、上記太陽電池モジュール用充填材層が、その両面に配置される透明前面基板および太陽電池素子と十分な強度で密着したものとすることができる。
本発明に用いられる太陽電池モジュール用充填材層の難燃性、厚み、難燃性を有する層および接着性を有する層の膜厚比(架橋透明難燃層/透明接着層)、および全光線透過率としては、本発明の太陽電池モジュールの種類等に応じて、適宜調整されるものである。具体的には、上記「A.太陽電池モジュール用充填材シート」の「3.太陽電池モジュール用充填材シート」の項に記載したものと同様の内容とすることができる。
本発明に用いられる裏面充填材シートとしては、後述する裏面保護シートおよび太陽電池素子に対して接着性を示すものであれば良く、上記前面充填材シートとして用いられる太陽電池モジュール用充填材層と同一であっても良く、同一でなくとも良い。
本発明に用いられる裏面保護シートとしては、所望の耐熱性、耐光性、耐水性等の耐候性を有するものであれば特に限定されない。このような裏面保護シートとしては、例えば、絶縁性の樹脂フィルムや、金属板等が好適に用いられる。なかでも本発明においては上記絶縁性の樹脂フィルムを用いることが好ましい。
本発明に用いられる太陽電池素子としては、一般的な太陽電池素子を用いることができる。具体的には、単結晶シリコン型太陽電池素子、多結晶シリコン型太陽電池素子等の結晶シリコン太陽電子素子、シングル接合型あるいはタンデム構造型等からなるアモルファスシリコン太陽電池素子、ガリウムヒ素(GaAs)やインジウム燐(InP)等のIII−V族化合物半導体太陽電子素子、カドミウムテルル(CdTe)や銅インジウムセレナイド(CuInSe2)等のII−VI族化合物半導体太陽電子素子、有機太陽電池素子等を用いることができる。
本発明に用いられる透明前面基板としては、太陽光の透過性を有する基板であれば特に限定されず、例えば、ガラス板、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂(各種のナイロン)、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、アセタール系樹脂、セルロ−ス系樹脂等の各種の樹脂フィルムを用いることができる。
また、本発明に用いられる透明前面基板の厚みは、所望の強度を実現できる範囲内であれば特に限定されないが、通常、12μm〜7000μmの範囲内が好ましく、特に25μm〜4000μmの範囲内が好ましい。
本発明の太陽電池モジュールにおいては、太陽光の吸収性、補強、その他等の目的のもとに、さらに、他の層を任意に加えて積層することができるものである。このような他の層としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂のフィルムないしシートから任意に選択して使用することができる。
本発明において透明前面基板、前面充填材シート、太陽電池素子、裏面充填材シート、および、裏面保護シートをこの順で積層した後、これらを加熱圧着する方法としては、上記各構成を密着できる方法であれば特に限定されず、一般的に公知の方法を用いることができる。このような方法としては、例えば、透明前面基板、前面充填材シート、太陽電池素子、裏面充填材シート、および、裏面保護シートをこの順で積層した後、これらを一体として、真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等を例示することができる。
1.透明接着層用シラン変性透明樹脂の調製
密度が0.898g/cm3であり、190℃でのメルトマスフローレートが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(以下、M−LLDPEと称する。)98重量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2重量部、およびラジカル開始剤としてジクミルパーオキサイド0.1重量部を混合し、200℃で加熱溶融攪拌し、透明接着層用シラン変性透明樹脂を調製した。
上記M−LLDPE85重量部に対して、ヒンダードアミン系光安定剤2.5重量部、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤7.5重量部、リン系熱安定剤5重量部を混合して溶融・加工しペレット化することにより、添加剤マスターバッチを調製した。
上記透明接着層用シラン変性透明樹脂100重量部に、架橋剤としてジクミルパーオキサイド4重量部、光安定剤として2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン0.3重量部、および酸化防止剤としてテトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ第3ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.1重量部の3種の化合物をドライブレンドし、透明難燃層用シラン変性透明樹脂を調製した。
上記透明接着層用シラン変性透明樹脂5重量部と、上記M−LLDPE95重量部と、上記添加剤マスターバッチ5重量部とを混合して透明接着層とし、上記M−LLDPE80重量部と、上記添加剤マスターバッチ5重量部と、上記透明難燃層用シラン変性透明樹脂とを混合して透明難燃層とし、2種3層の層構成のシートを形成可能なφ25mm押出機および300mm幅のTダイスを有するフィルム成型機を用い、押し出し温度210℃、引き取り速度2m/minで、透明接着層/透明難燃層/透明接着層の構成を有する厚み400μmの太陽電池モジュール用充填材シートを作製した。
このとき、上記透明接着層および透明難燃層の厚みは、それぞれ50μmおよび300μmであった。
架橋剤であるジクミルパーオキサイドを添加せず透明難燃層用シラン変性透明樹脂を調製した以外は、実施例1と同様にして透明接着層/透明難燃層/透明接着層の構成を有する厚み400μmの太陽電池モジュール用充填材シートを作製した。
このとき、上記透明接着層および透明難燃層の厚みは、それぞれ50μmおよび300μmであった。
上記M−LLDPE80重量部と、上記添加剤マスターバッチ5重量部と、上記透明難燃層用シラン変性透明樹脂20重量部とを混合して透明接着層を形成した以外は、実施例1と同様にして、透明接着層/透明難燃層/透明接着層の構成を有する厚み400μmの太陽電池モジュール用充填材シートを作製した。
このとき、上記透明接着層および透明難燃層の厚みは、それぞれ50μmおよび300μmであった。
実施例1、比較例1〜2で作製した太陽電池モジュール用充填材シートについて、以下(1)剥離強度、(2)ゲル分率、(3)水平燃焼試験の評価を行った。
実施例1、比較例1〜2で作製した太陽電池モジュール用充填材シートについて、40℃、RH90%の環境下に保存し、保存前、6ヶ月、1年経過後に、太陽電池モジュール製造用の真空ラミネーターにて、厚み3mmのガラス板と150℃で、15分間圧着し、JIS Z1707に従い15mm幅での剥離強度(単位:N/15mm)を測定した。測定結果を表1に示す。
実施例1、比較例1〜2で作製した太陽電池モジュール用充填材シートを、太陽電池モジュールの製造に一般的に用いられるラミネーション法による積層条件である150℃で30分間の加熱をする前後において、上述したゲル分率の測定法によって、上記太陽電池モジュール用充填材シートを構成する透明難燃層および透明接着層のゲル分率を測定した。結果を表2に示す。
実施例1、比較例1〜2で作製した太陽電池モジュール用充填材シートを、太陽電池モジュールの製造に一般的に用いられるラミネーション法による積層条件である150℃で30分間の加熱をした後、UL94に基づいて、水平燃焼試験を行い、着火の様子、線燃焼速度を測定して比較評価した。測定結果を表1に示す。ここで、水平燃焼試験での評価については、HB規格に従い、25mmと100mmの標線間の線燃焼速度が75mm/min未満で、かつ100mmの標線まで延焼しない場合は、○とし、そうでない場合は、×とした。
2 … 透明接着層
3 … 裏面保護シート
4 … 裏面充填材シート
5 … 太陽電池素子
6 … 透明前面基板
10 … 太陽電池モジュール用充填材シート
20 … 太陽電池モジュール用充填材層
21 … 架橋透明難燃層
22 … 透明接着層
30 … 太陽電池モジュール
Claims (6)
- 透明難燃層用シラン変性透明樹脂および架橋剤を含む透明難燃層と、
前記透明難燃層の両面に形成され、透明接着層用シラン変性透明樹脂を含み架橋剤を含まない透明接着層とを有することを特徴とする太陽電池モジュール用充填材シート。 - 前記透明難燃層用シラン変性透明樹脂および前記透明接着層用シラン変性透明樹脂が、同種の樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール用充填材シート。
- 前記透明難燃層用シラン変性透明樹脂および前記透明接着層用シラン変性透明樹脂が、エチレン性不飽和シラン化合物と重合用樹脂とをグラフト重合してなるシラン変性重合体であり、
前記重合用樹脂が、ポリエチレンであることを特徴とする請求項2に記載の太陽電池モジュール用充填材シート。 - 前記透明難燃層用樹脂に含まれる架橋剤の含有量が、太陽電池モジュールを形成した際の前記透明難燃層のゲル分率が、30%以上となる量であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載の太陽電池モジュール用充填材シート。
- 裏面保護シートと、
前記裏面保護シート上に形成された裏面充填材シートと、
前記裏面充填材シート上に形成された、太陽電池素子と、
前記太陽電池素子上に形成された前面充填材シートと、
前記前面充填材シート上に形成された透明前面基板とを有する太陽電池モジュールであって、
少なくとも、前記前面充填材シートが、架橋された透明難燃層用シラン変性透明樹脂を含む架橋透明難燃層、および、前記架橋透明難燃層の両面に形成され、非架橋の透明接着層用シラン変性透明樹脂を含む透明接着層を有する太陽電池モジュール用充填材層であることを特徴とする太陽電池モジュール。 - 前記架橋透明難燃層のゲル分率が、30%以上であることを特徴とする請求項5に記載の太陽電池モジュール。
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