JP2009010197A - 半導体レーザ素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】 レーザ発振波長を変更可能であって、光処理素子を同一基板上に集積可能な半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】 半導体レーザ素子11は、利得導波路57と、透過波長を変更可能な多重リング共振器17と、多重リング共振器の透過波長の変更範囲に応じた第1の反射波長帯域を有する第1の反射手段19と、第1の反射手段とレーザキャビティを構成しており第2の反射波長帯域を有する第2の反射手段21と、利得導波路及び多重リング共振器が設けられる基板Sとを備え、利得導波路及び多重リング共振器はレーザーキャビティ内に直列に配置されて光学的に結合されており、第1の反射手段は、基板上に設けられ利得導波路及び多重リング共振器の何れか一方に光学的に結合される導波路型回折格子19を含み、その回折格子19はチャープトグレーティングである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、半導体レーザ素子に関するものである。
非特許文献1には、波長可変レーザが記載されている。この波長可変レーザは、2個以上のリング共振器を備える。詳しくは、波長可変レーザの構造では、レーザ共振器はチップの両端面からなる。この半導体レーザは、波長可変機能を持たせるために互いに異なる半径のリング状導波路を有する2つのリング共振器を使った波長可変フィルターをレーザ共振器内に形成している。これらのリング共振器が有するリング状導波路に流す電流を変えることによりリング状導波路の屈折率が変わる。リング状導波路への注入電流を変えることにより、リング共振器を透過する光の波長を変えることができ、2個のリング共振器は、波長可変フィルタの役割を果たす。半径の異なるリング状導波路を有する2つのリング共振器はそれぞれ異なる透過スペクトル間隔を持ち、2つのリング共振器の透過波長が一致したときに高い透過率が提供される。したがって、リング共振器への少ない注入電流により、ピーク透過波長の波長位置を大幅に変化させることができる(バーニア効果)。
S.Matsuo et. al. "TuB2 Widely tunable laser using microring resonators",IEEE International Semiconductor Laser Conference 2006
しかしながら、非特許文献1に記載の波長可変レーザでは、チップの両端面をレーザ共振器としているため、チップ端面からレーザ光が出射される。そのため、レーザ光の強度に変調を加えるための外部光変調器等のようにレーザ光を処理するための光処理素子を同一基板上に集積することが困難であるという問題点がある。
そこで、本発明は、レーザ発振波長を変更可能であって、光処理素子を同一基板上に集積可能な半導体レーザ素子を提供することを目的とする。
本発明に係る半導体レーザ素子は、レーザ発振波長を変更可能な半導体レーザ素子であって、(1)キャリヤ注入による光学的利得を有する利得導波路と、(2)光路長が互いに異なっており光学的に結合された複数のリング状導波路及び複数のリング状導波路の少なくとも一つに信号印加するための電極を有する多重リング共振器であって、電極による信号印加によって複数のリング状導波路に共通の共振波長を生じせしめると共に、共通の共振波長を変化させることで当該多重リング共振器の透過波長を変更する、多重リング共振器と、(3)利得導波路及び多重リング共振器が設けられる基板と、(4)第1の反射波長帯域を有する第1の反射手段と、(5)半導体レーザ素子のレーザキャビティを第1の反射手段とともに構成しており、第2の反射波長帯域を有する第2の反射手段と、を備え、(6)利得導波路及び多重リング共振器は、レーザーキャビティ内に直列に配置されると共に、光学的に結合されており、(7)第1の反射手段は、基板上に設けられており利得導波路及び多重リング共振器の何れか一方に光学的に結合される導波路型回折格子を含んで構成されており、(8)導波路型回折格子は長手方向に沿って周期が変化しているチャープトグレーティングであり、(9)第1及び第2の反射波長帯域は、多重リング共振器における上記透過波長の変更範囲を含むことを特徴とする。
上記多重リング共振器では、電極によってリング状導波路に信号印加することによって、信号が印加されたリング状導波路の光路長を変更することが可能である。そのため、電極による信号印加によって複数のリング状導波路に共通の共振波長を生じせしめることができる。光学的に結合された複数のリング状導波路に共通の共振波長が生じると、その共通の共振波長を有する光が高い透過率で多重リング共振器を透過することになる。そして、電極による信号の印加量を変えることで、共通の共振波長を変えられることから、多重リング共振器の透過波長を変更できる。よって、多重リング共振器は、波長可変フィルタとして機能する。上記半導体レーザ素子の構成では、レーザキャビティ内に波長可変フィルタとしての多重リング共振器と利得導波路とが配置されている。そのため、利得導波路で生じた光のうちレーザ発振させるべき光を、多重リング共振器で選択できる。そして、レーザキャビティを構成する第1及び第2の反射手段が所望のレーザ発振波長をカバーする反射波長帯域を有していることから、レーザキャビティ内に多重リング共振器を配置していてもレーザ発振を生じさせることができると共に、レーザ発振波長を変更可能である。また、第1の反射手段がチャープトグレーティングとしての導波路型回折格子を含んで構成され、導波路型回折格子は、利得導波路又は多重リング共振器の何れか一方に光学的に結合されている。このように、基板上に設けられた導波路型回折格子からレーザ光が出射されるため、半導体レーザ素子では、レーザ光を光処理するための光処理素子を基板上に集積することが可能である。更に、チャープトグレーティングを採用していることにより、第1の反射手段の反射特性の波長依存性を容易に変更することができる。
上記第1の反射手段は、導波路型回折格子に対応して設けられる電極を更に備えることが好ましい。電極による導波路型回折格子への信号印加によりチャープトグレーティングである導波路型回折格子の反射波長帯域はシフトする。この場合、シフト前後の反射波長帯域で、上記第1の反射波長帯域を構成すればよいことから、導波路型回折格子の長手方向の長さを短くすることが可能である。その結果、半導体レーザ素子の小型化を図れる。
更に、上記第1の反射手段は、第1の反射波長帯域において低波長側より長波長側で反射率が低減している反射スペクトルを有することが好ましい。通常、半導体素子では内部吸収が生じ、その内部吸収は典型的には長波長側で大きくなる傾向にある。そのため、第1の反射手段が上記反射スペクトルを有することで、半導体レーザ素子の内部吸収を補正することができる。その結果、第1の反射手段から出力されるレーザ光の強度を波長可変範囲内でほぼ一定にすることが可能である。
更に、上記半導体レーザ素子では、レーザキャビティから出射されるレーザ光の強度を変調するための光変調器を更に備え、光変調器は、基板上に配置されると共に、導波路型回折格子に光学的に結合されていることが好ましい。この構成によれば、光変調器により強度変調されたレーザ光を半導体レーザ素子から出射することが可能である。
本発明によれば、レーザ発振波長を変更可能であって、光処理素子を同一基板上に集積可能な半導体レーザ素子を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明に係る半導体レーザ素子の実施形態について説明する。以下の説明においては、同一の要素には同一の符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、図中の寸法比率は必ずしも説明中のものとは一致していない。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子を概略的に示す図面である。半導体レーザ素子11はレーザ発振波長を変更可能な集積型半導体レーザ素子である。半導体レーザ素子11は、例えば、WDM等伝送システムなどによる光通信の波長可変光源として好適に使用することができるものである。
半導体レーザ素子11は、半導体基板といった基板を有し、その基板上に、利得導波路部13、位相調整器15、多重リング共振器17及び導波路型回折格子(以下、単に「回折格子」とも称す)19が設けられている。また、半導体レーザ素子11は、回折格子19と共にレーザキャビティを構成するための反射鏡21を有する。先ず、レーザキャビティ内の構成について説明する。
図1に示すように、レーザキャビティ内には、利得導波路部13、位相調整器15及び多重リング共振器17が、直列に配置され光学的に結合されている。
利得導波路部13は、利得導波路23と、利得導波路23に対応して設けられた電極25とを含む。利得導波路23は、電極25からのキャリア注入による光学的利得を有する。利得導波路23の一端23a側には位相調整器15が配置されている。
位相調整器15は、利得導波路23の一端23aに光学的に結合されている半導体光導波路27と、半導体光導波路27に対応して設けられた電極29とを含んで構成されている。位相調整器15は、電極29による信号印加により半導体光導波路27を伝搬する光の位相を調整する。電極29による信号印加としては、電圧の印加又は電流印加が例示される。位相調整器15と、反射鏡21との間には、多重リング共振器17が配置されている。
多重リング共振器17は、光学的に結合された2つのリング共振器31,33と、リング共振器31,33に対応して設けられた電極35,37とを有する。
リング共振器31,33は、互いに異なる光路長を有するリング状導波路39,41を含む。リング状導波路39,41は、閉じた曲線に沿って延びている半導体光導波路である。リング状導波路39,41の基板面に略直交する方向からみた場合の形状は、閉じた曲線を構成していれば特に限定されない。リング状導波路39は複数の共振波長を有することから、リング共振器31は、複数の極大値を含む透過スペクトルを有する。具体的には、リング共振器31の透過スペクトルでは、リング状導波路39の光路長に応じて規定されるフリー・スペクトラル・レンジ(FSR)の間隔で透過率のピークが配列されている。よって、リング共振器31は複数の共振波長の光を高い透過率で透過することができる。リング共振器33についても同様に、リング状導波路41の複数の共振波長の光を高い透過率で透過することができる。
リング共振器31,33は、2つのリング状導波路39,41が光学的に結合されることによって結合されている。リング状導波路39,41を光学的に結合する手段の一例としては、図1に示したように、半導体光導波路43を利用することができる。すなわち、半導体光導波路43の一端43a側の一部をリング状導波路39に光学的に結合し、半導体光導波路43の他端43b側の一部をリング状導波路41に光学的に結合する。半導体光導波路43と各リング状導波路39,41との光学的結合には、例えば、光結合器45,47を利用することができる。光結合器45,47としては、方向性結合器や多モード干渉(MMI : Multi-Mode Interference)結合器等が例示される。半導体光導波路43は、一端43a側及び他端43b側にそれぞれ余長43c及び余長43dを有する。この余長43c,43dの部分は、光導波路幅を徐々に狭くする、或いは、曲げる等により、一端43a及び他端43b側で反射が生じないように終端処理されている。終端処理の他の方法としては、半導体光導波路43の両端部に光吸収層を形成することも例示される。
上記構成の多重リング共振器17は、導波路型の波長可変フィルターとして機能する。図2を利用して、多重リング共振器17におけるフィルタリング機能について説明する。図2は、多重リング共振器17におけるフィルタリング機能を説明するための図面である。図2は、電極35,37により電流注入を実施した状態を示している。図2中の実線は、リング共振器31における透過スペクトルを示しており、破線はリング共振器33における透過スペクトルを示している。
リング状導波路39,41の光路長が互いに異なっていることから、リング共振器31,33のFSRは異なる。よって、電極35,37によるリング状導波路39,41への電流注入が実施されていない場合には、多重リング共振器17を光は殆ど透過しない。
一方、電極35,37による電流注入(信号印加)を実施すると、リング状導波路39,41に屈折率変化が生じて光路長が変化するため、FSRも変わる。従って、注入する電流量を調整することで、図2に示したように、各リング共振器31,33が有する複数の共振波長の一つを一致させることが可能である。
この場合、リング状導波路39,41に共通の共振波長(透過波長)の光は、光学的に結合された2つのリング共振器31,33の何れも透過できることから、多重リング共振器17を高い透過率を有して透過することになる。そして、電流注入量を変更することにより、多重リング共振器17を高透過率で透過する光の波長(以下、「ピーク透過波長」とも称す)を変更できる。よって、多重リング共振器17は、波長可変フィルタとして機能することになる。
更に、上記のように、FSRを調整して共通の共振波長(透過波長)を生じせしめると共に、共通の共振波長を変化させてピーク透過波長を調整する多重リング共振器17では、リング共振器31,33への少ない注入電流により、ピーク透過波長の波長位置を大幅に変化させることが可能である(バーニア効果)。この多重リング共振器17におけるピーク透過波長の変更範囲である波長可変範囲をλ〜λ(ただし、λ<λ)とすると、λとしては1.57μmが例示され、λとしては1.61μmが例示される。ここでは、電極35,37による信号印加として電流印加を例示しているが、信号印加としては電圧を印加してもよい。
再び、図1に戻って半導体レーザ素子11の構成について説明する。
半導体レーザ素子11は、多重リング共振器17と、利得導波路部13及び反射鏡21とを光学的に結合するために半導体光導波路49,51を更に有することができる。半導体光導波路49の一端49a側の一部は、リング状導波路39と光学的に結合されている。リング状導波路39と半導体光導波路49との結合部は、リング状導波路39と半導体光導波路43との結合部と異なる位置であればよい。半導体光導波路49とリング状導波路39との光学的結合は光結合器53を利用することができる。光結合器53としては、方向性結合器やMMI結合器等が例示される。また、半導体光導波路49の他端49bは、半導体光導波路27に光学的に結合されている。これにより、リング共振器31と位相調整器15とが光学的に結合されており、結果として、位相調整器15を介して多重リング共振器17と利得導波路部13とが光学的に結合されていることになる。
半導体光導波路51の一端51a側の一部は、リング状導波路41と光学的に結合されている。リング状導波路41と半導体光導波路51との結合部は、リング状導波路41と半導体光導波路43との結合部と異なる位置であればよい。半導体光導波路51とリング状導波路41との光学的結合は光結合器55を利用することができる。光結合器55としては、方向性結合器やMMI結合器等が例示される。半導体光導波路51の他端51bは反射鏡21に到達している。
図1に示したように、半導体光導波路49,51は、それぞれ一端49a,51a側に余長49c,51cを有する。この余長49c,51cの部分は、半導体光導波路43の余長43c,43dの部分と同様に終端処理されている。なお、ここでは、多重リング共振器17と、半導体光導波路49,51とを分けて説明したが、多重リング共振器17が半導体光導波路49,51を含んで構成されているとすることもできる。
次に、半導体レーザ素子11が有するレーザキャビティについて説明する。前述したように、レーザキャビティは、導波路型回折格子19と反射鏡21とから構成されている。
回折格子19は、半導体光導波路57に屈折率変化による回折格子構造59が形成されて構成されており、回折格子19の一端は、利得導波路23の他端23bに光学的に結合されている。回折格子19は、長手方向に沿って一定の割合で周期が変化しているチャープトグレーティングである。この場合、回折格子19は、複数の周期を有することから、その周期に応じた複数のブラッグ反射波長を有する。その結果、回折格子19は、所定の反射波長帯域(第1の反射波長帯域)を有する。この所定の反射波長帯域内での反射率は1%〜30%が好ましい。
反射鏡21は、回折格子19の上記所定の反射波長帯域を少なくとも含む反射波長帯域(第2の反射波長帯域)を有し、その反射波長帯域内において80%以上の反射率を有する。反射鏡21は、半導体レーザ素子11を構成するために基板上に積層した半導体層構造の一端面上に形成されたHRコート等の高反射膜とすることが可能である。ただし、上記反射率を有していれば特に限定されず、例えば、半導体レーザ素子11における劈開面としてもよい。
図3及び図4を利用して回折格子19について更に説明する。図3は、導波路型回折格子を概略的に示す図面である。図3中のハッチングは、回折格子構造59を説明するための便宜的なものであり、屈折率の異なる領域を示している。図4は、導波路型回折格子の反射スペクトルを示す図面である。
回折格子19は、前述したように、長手方向に沿って一定の割合で周期が変化しているチャープトグレーティングである。回折格子19が有する複数の周期をΛ〜Λ(nは、2以上の整数)とすると、Λ〜Λは次の関係を満たしている。
Λ<Λ<・・・<Λn−1<Λ
また、各周期Λ〜Λに対応したブラッグ反射波長をλB1、λB2、・・・・、λBnとすると、それらの中の任意のブラッグ反射波長λBj(j=1,2,・・・,n)は次式で表される。
λBj=2nΛ/m
ここで、nは実効屈折率であり、mは回折次数である。nとしては3.3〜3.5が例示され、mは通常1である。
そして、多重リング共振器17における波長可変範囲を、前述したように波長範囲λ〜λ(ただし、λ<λ)とすると、波長λB1,λ,λ,λBnは次の関係を満たす。
λB1≦λ<λ≦λBn
この場合、回折格子19の所定の反射波長帯域(第1の反射波長帯域)は、多重リング共振器17における透過波長の変更可能な範囲(波長可変範囲)を含むため、多重リング共振器17の波長可変範囲内の波長の光を反射させることができる。
回折格子19は、上記反射波長帯域λB1〜λBnにおいて、図4に示すように、ほぼ一定の反射率Rを有する。この反射率Rの値は、回折格子19側からレーザ光を出射するように反射鏡21の反射率より小さければよいが、1%〜30%が好ましい。
上記のように、回折格子19をレーザキャビティに含む半導体レーザ素子11は、図1に示すように、レーザキャビティから出射されるレーザ光の強度を光変調するための光変調器(光処理素子)61を有することができる。光変調器61は、電界吸収型光変調器でもよいし、マッハツェンダー型の光変調器でもよい。ここでは、光変調器61は電界吸収型のものとして説明する。
光変調器61は、多重量子井戸構造を含む吸収層を有する半導体光導波路63と、それに対応して設けられた電極65とを有する。半導体光導波路63の一端は、半導体光導波路57の他端に光学的に結合しており、半導体光導波路63の他端側の端面61aは、光変調器61におけるレーザ光の出射端面として機能する。光変調器61は、半導体光導波路63に電極65からの信号を印加することによって回折格子19から出射されるレーザ光の強度に所定の変調を加え、出射端面61aから出射する。電極65による信号の印加は、例えば、電圧による印加でよい。
また、半導体レーザ素子11では、図1に示したように、出射端面61a上には、出射端面61aでのレーザ光の反射を抑制するために、ARコート等の反射防止膜67を形成しておくことが好ましい。このように反射防止膜67を有する場合には、反射防止膜67の表面67aが半導体レーザ素子11の端面11bを構成することになり、半導体レーザ素子11は低反射端面を有することになる。
図5を利用して、半導体レーザ素子11の構成について更に説明する。図5は、図1に示されたV−V線に沿って取られた半導体レーザ素子の縦断面を概略的に示す図面である。
図5に示すように、半導体レーザ素子11は、基板Sを有し、基板S上に、図1を利用して説明した構成物(利得導波路部13、多重リング共振器17、回折格子19、光変調器61等)が設けられている。また、基板Sの裏面にはほぼ全面に電極69が設けられている。
利得導波路部13は、n型基板S上に順に形成されたn型クラッド層71、光ガイド層73a、量子井戸構造を含む活性層75a、光ガイド層77a、p型クラッド層79及びコンタクト層81aを含み、コンタクト層81a上に電極25が設けられている。
位相調整器15は、基板S上に順に形成されたn型クラッド層71、光ガイド層73a、コア導波路層75b、光ガイド層77b、p型クラッド層79およびコンタクト層81bを含み、コンタクト層81b上に電極29が設けられている。
多重リング共振器17が有するリング共振器31,33は、基板S上に順に形成されたn型クラッド層71、光ガイド層73a、コア導波路層75b、光ガイド層77b及びp型クラッド層79を含む。リング共振器31,33が有するp型クラッド層79の所定位置にはコンタクト層81c,81dがそれぞれ形成されており、コンタクト層81c,81d上に電極35,37が設けられている。
回折格子19は、基板S上に順に形成されたn型クラッド層71、光ガイド層73a、コア導波路層75c、光ガイド層77c、回折格子構造59及びp型クラッド層79を含む。回折格子構造59は、光ガイド層77cの表面に設けられた周期構造から構成されている。周期構造は、図5に示すように、光ガイド層77dとクラッド層79との屈折率差により形成することができる。
光変調器61は、基板S上に順に形成されたn型クラッド層71、光ガイド層73b、多重量子井戸構造からなる吸収層75d、光ガイド層77d、p型クラッド層79及びコンタクト層81eを含み、コンタクト層81e上に電極65が設けられている。
縦方向の光閉じ込めはクラッド層71、79により行われる。また、横方向の光閉じ込めはストライプ状の導波路構造と、この導波路構造を埋め込む埋め込み層83によって提供される。リング共振器31,33では、上記ストライプ状の導波路構造を、例えばフォトリソグラフィ技術などを利用してリング状にそれぞれ形成し、埋め込み層83によって埋め込めばよい。また、上記コンタクト層81a〜81eは互いに分離して形成されている。なお、半導体光導波路33,49,51の構成は、導波路構造がリング状ではなく、図1に示すような所定の形状に形成されている点並びにコンタクト層及び電極を含まない点以外は、リング共振器31,33の構成と同様とすることができる。
例示すれば、利得導波路23が有する活性層75aは、1.25μm〜1.65μm帯に利得を持つ4元混晶GaInAsP/GaInAsP量子井戸構造を有することができる。また、光変調器61が有する吸収層75dもGaInAsP/GaInAsP量子井戸構造を有することができる。コア導波層75a〜75cは、GaInAsP半導体からなることができ、n型およびp型クラッド層71,79はInP半導体からなることができる。コンタクト層81a〜81eは、高濃度ドープされたGaInAs層からなることができる。なお、基板Sとしてp型基板を用いた場合、クラッド層71がp型であって、クラッド層79をn型とすることも可能である。
また、半導体レーザ素子11が有する反射鏡21は、基板S上に順に形成された半導体積層構造の多重リング共振器17側の一端面に形成された高反射膜とすることができる。また、半導体レーザ素子11では、基板S上に順に形成された半導体積層構造の光変調器61側の他端面に反射防止膜67が形成されているとすることができる。
半導体レーザ素子11は、上記のように複数の半導体層からなる半導体積層構造及び電極から構成されている。よって、半導体レーザ素子11は、例えば、半導体素子を作製するための工程(結晶成長、エッチング、電極形成等)の組み合わせにより作製することができる。
次に、半導体レーザ素子11の作用・効果について説明する。
回折格子19及び反射鏡21が前述したような反射特性を有することから、利得導波路部13からの光は、多重リング共振器17によってフィルタリングされると共に、レーザキャビティ内を往復する。レーザキャビティ内で光が一往復する際の位相調整は位相調整器15を利用して実施することができる。レーザキャビティ内でレーザ発振が生じると、回折格子19からレーザ光が出射される。そして、半導体レーザ素子11の構成では、多重リング共振器17の透過波長を変更することで、半導体レーザ素子11でのレーザ発振波長を変更可能である。
半導体レーザ素子11では、レーザキャビティを構成する反射手段の一つを、チャープトグレーティングである回折格子19としていることが重要である。
多重リング共振器17では、図2を利用して説明したように、少ない電流注入で透過波長を大きく変動させることが可能である(バーニア効果)。多重リング共振器17におけるバーニア効果を有効に利用してレーザ光の波長を可変にするためには、レーザキャビティを構成する反射手段は、多重リング共振器17における波長可変範囲内の波長の光を反射させる必要がある。
そのため、典型的には、レーザキャビティを構成する2つの反射手段を半導体レーザ素子の2つの端面上に形成した反射率80%以上の高反射膜と、反射率30%以下の低反射膜とから構成することが考えられる。しかしながら、この場合、半導体素子の一つの端面に形成された低反射膜からレーザ光が出射される。そのため、レーザ光を外部光変調しようとすると、半導体レーザ素子の外部に光変調器を別に設ける必要が生じ、結果として、光変調器を半導体レーザ素子に集積することができない。一方、このような問題点を解決する方法としては、例えば、利得導波路に光学的に結合された半導体光導波路を基板上に設け、その半導体光導波路に溝を形成して反射鏡とすることも考えられる。しかしながら、この場合、溝を挟んだ2つの半導体光導波路の光結合効率や、溝内での多重反射の影響を考慮して溝を形成しなければならず、半導体レーザ素子の製造が困難になる場合がある。
これに対して、半導体レーザ素子11では、光通信等において信号伝送等に使用されるレーザ光が出射される側の反射手段に、チャープトグレーティングとしての回折格子19を採用している。そのため、回折格子19が、多重リング共振器17の波長可変範囲を含む反射波長帯域を有することが可能となっている。その結果、多重リング共振器17におけるフィルタリング機能を有効に利用してレーザ光の波長を変更可能である。
また、導波路型回折格子19を利用していることから、図1に示したように、半導体レーザ素子11を構成する基板S上に光変調器61を集積することが可能である。よって、回折格子19から出射されるレーザ光を光変調器61により光変調して半導体レーザ素子11の端面11bから出射可能である。この場合、半導体レーザ素子11と別に光変調器を用意する必要がないため、例えば、光通信システムにおける光源部の小型化を図ることが可能である。
また、回折格子19は、前述したように、光ガイド層77cの表面に回折格子構造59を形成することで構成されているので、例えば、前述したような溝を形成する場合のような問題点が生じないため、半導体レーザ素子11の製造が容易である。また、回折格子19としてチャープトグレーティングを採用していることにより、回折格子19の反射特性の波長依存性を容易に変更することができる。
(第2の実施形態)
図6は、本発明の他の実施形態に係る半導体レーザ素子を概略的に示す図面である。図7は、図6におけるVII―VII線に沿って取られた半導体レーザ素子の縦断面を概略的に示す図面である。
半導体レーザ素子85は、図6及び図7に示すように、半導体基板といった基板Sを有する。基板S上には、利得導波路部13、位相調整器15、多重リング共振器17、光変調器61、半導体光導波路49,51及び光反射器(第1の反射手段)87等が設けられている。
また、半導体レーザ素子85は第1の実施形態の場合と同様の反射鏡21を有しており、反射鏡21は、光反射器87とともに半導体レーザ素子85におけるレーザキャビティを構成している。半導体レーザ素子85においても、反射鏡21の表面21aが半導体レーザ素子85の一端面85aを構成しているため、半導体レーザ素子85は高反射端面を有することになる。また、半導体レーザ素子85は、第1の実施形態の場合と同様に、光変調器61の一端面上に、ARコート等の反射防止膜67を有することもできる。この場合、反射防止膜67の表面67aが半導体レーザ素子85の他の端面85bを構成することになるので、半導体レーザ素子85は、低反射端面を有することになる。
上記半導体レーザ素子85は、光反射器87を備える点で、半導体レーザ素子11の構成と相違するが、その他の構成は半導体レーザ素子11の場合と同様である。そのため、それらの説明を省略し、半導体レーザ素子11との相違点を中心にして半導体レーザ素子85について説明する。
光反射器87は、導波路型回折格子(以下、単に「回折格子」とも称す)89と、回折格子89に対応して設けられた電極91とを有する。
回折格子89は、回折格子19の場合と同様に、利得導波路部13と光変調器61との間に配置され、利得導波路23及び半導体光導波路63に光学的に結合されている。回折格子89は、半導体光導波路93に屈折率変化による回折格子構造95が形成されて構成されている。回折格子89は、長手方向に沿って一定の割合で周期が変化しているチャープトグレーティングである。チャープトグレーティングとしての回折格子89は、複数の周期を有するため、その周期に応じた複数のブラッグ反射波長を有する。その結果、回折格子89は、所定の反射波長帯域を有することになる。電極91は、回折格子89への信号印加が可能なように回折格子89上に設けられている。
光反射器87の構成について図7を利用して更に説明する。図7に示すように、光反射器87は、基板S上に順に形成されたn型クラッド層71、光ガイド層73a、コア導波路層75c、光ガイド層77c、回折格子構造95、p型クラッド層79及びコンタクト層81fを含み、コンタクト層81fに電極91が設けられている。回折格子構造95は、回折格子19の場合と同様に、光ガイド層77cの表面に周期構造として形成されている。
上記構成の光反射器87では、電極91によって回折格子89に信号を印加することで、回折格子89における反射波長帯域をシフトさせることが可能である。図8及び図9を利用して詳細に説明する。
図8は、図6に示した導波路型回折格子を概略的に示す図面である。前述したように、回折格子89は、長手方向に沿って一定の割合で周期が変化しているチャープトグレーティングである。回折格子89が有する複数の周期Λ、Λ・・・、Λ(kは2以上でnより小さい整数)は、次の関係を満たしている。
Λ<Λ<・・・<Λ
各周期Λ〜Λに対応したブラッグ反射波長をλB1、λB2、・・・・、λBkとすると、それらの中の任意のブラッグ反射波長λBi(i=1,2,・・・k)は次式で表される。
λBi=2nΛ/m
ここで、nは実効屈折率であり、mは回折次数である。nとしては3.3〜3.5が例示され、mは通常1である。
周期Λに対応するブラッグ反射波長λBiが上記のように表されることから、回折格子89は波長範囲λB1〜λBkの光を反射可能である。そして、ブラッグ反射波長λBiが実効屈折率nに依存していることから、電極91による信号印加により実効屈折率nを変更することで、回折格子89の反射波長範囲をシフトさせることが可能である。信号印加前の周期Λ、Λに対応するブラッグ反射波長をλ1B1、λ1Bkとし、信号印加後の周期Λ、Λに対応するブラッグ反射波長をλ2B1、λ2Bkとした場合の光反射器87の反射特性を図9に示す。図9では、信号印加前の周期Λ、Λに対応するブラッグ反射波長をλ1B1、λ1Bkとし、信号印加後の周期Λ、Λに対応するブラッグ反射波長をλ2B1、λ2Bkとしている。図9中の実線は電極91による信号印加前の反射スペクトルを示しており、図9中の破線は電極91による信号印加後の反射スペクトルを示している。
図9に示すように、光反射器87では、電極91による信号印加によって、回折格子89の反射波長帯域を波長範囲λ1B1〜λ1Bkから波長範囲λ2B1〜λ2Bkに変化することができる。そのため、光反射器87は、反射波長帯域(第1の反射波長帯域)として波長範囲min(λ1B1,λ2B1)〜max(λ1Bk,λ2Bk)を有することが可能である。多重リング共振器17の波長可変範囲を第1の実施形態の場合と同様に波長範囲λ〜λとすれば、波長λ1B1,λ2Bkは、次の関係が満たすものであればよい。
min(λ1B1,λ2B1)≦λ<λ≦max(λ1Bk,λ2Bk
波長λ1B1,λ,λ,λ2Bkが上記関係を満たすことにより、光反射器87により多重リング共振器17の波長可変範囲内の光を反射させることができるからである。
このように、シフト前後の回折格子89の反射波長帯域により多重リング共振器17の波長可変範囲をカバーすればよいため、回折格子89の長手方向の長さをより短くすることが可能である。
なお、反射波長範囲λ1B1〜λ1Bk及び反射波長範囲λ2B1〜λ2Bkにおける反射率は、第1の実施形態の場合と同様にほぼ一定値であるRである。そして、反射率Rとしては1%〜30%が好ましい。
次に、半導体レーザ素子85の作用・効果について説明する。
半導体レーザ素子11の場合と同様に、レーザキャビティ内に利得導波路部13と、波長可変フィルターとしての多重リング共振器17が配置されている。これにより、レーザ発振させるべき波長の光を、利得導波路部13で生じた光から多重リング共振器17によって選択できる。そして、多重リング共振器17による選択波長を変えることで、レーザ発振波長を変更することが可能である。
半導体レーザ素子85では、多重リング共振器17により選択した波長が、波長範囲λ1B1〜λ1Bk内であれば、電極91からの信号印加を実施せず、選択した波長が波長範囲λ2B1〜λ2Bk内であれば、電極からの信号印加を実施する。これにより、光反射器87と反射鏡21で構成されるレーザキャビティ内で、その選択された波長の光が往復できる。位相調整器15を利用して、レーザキャビティ内で光が一往復する際の位相調整を実施する。そして、レーザ発振が生じると、光反射器85の反射波長帯域内の反射率Rcは、反射鏡21の反射率より小さいため、回折格子89を通してレーザ光が出射される。
このように、回折格子89をとおしてレーザ光が出射されるため、第1の実施形態の場合と同様に、半導体レーザ素子85でも、図6及び図7に示したように、光変調器61を基板S上に集積可能である。また、半導体レーザ素子85の製造も、第1の実施形態で説明したように、例えば、光導波路上に溝を形成するような場合に比べて容易である。更にまた、回折格子89としてチャープトグレーティングを採用していることにより、回折格子89の反射特性の波長依存性を容易に変更することができる。
更に、光反射器87の波長反射帯域(第1の反射波長帯域)を、電極91の信号印加によるシフト前後の回折格子89の反射波長帯域から構成できるため、回折格子89の反射波長帯域の波長範囲をより小さくすることが可能である。その結果、回折格子89の長手方向の長さをより短くすることができ、半導体レーザ素子85の小型化を図ることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記第1及び第2の実施形態に限定されない。例えば、回折格子19,89の反射波長帯域内において反射率Rはほぼ一定として説明したが、反射率に波長依存性を持たせてもよい。
半導体レーザ素子11,85のような半導体素子では、通常、素子自体の構成に起因する光吸収が生じる。そのため、光吸収によるレーザ光出力変化を補償するように、反射率に波長依存性を持たせることで、回折格子19,89をとおして出力されるレーザ光の光出力を、反射波長帯域内でほぼ一定にすることが可能である。図10〜図12を利用して具体的に説明する。ここでは、半導体レーザ素子11の回折格子19が有する反射波長帯域λB1〜λBnを例にして説明するが、回折格子89の場合も同様である。
図10は、半導体レーザ素子における典型的な内部吸収の吸収スペクトルを示す図面である。図11は、導波路型回折格子の反射スペクトルの他の例を示す図面である。
図10に示すように、半導体素子自体の内部吸収は、通常、長波長側で増加する傾向にある。この場合、図11に示すように、反射波長帯域λB1〜λBnにおいて、長波長側で反射率が低減するような波長依存性を回折格子が有することが好ましい。このよう波長依存性は、回折格子における単位長さ当たりの回折波長変化を短波長側(λB1)側ほど小さくする、或いは、短波長(λB1)側ほど回折格子における屈折率変化を大きくすることで実現できる。
図12は、回折格子を通して出力されるレーザ光の出力の波長依存性を示す図面である。
図12中の実線は、反射率が波長依存性を有する回折格子の場合の反射スペクトルを示している。また、図12中の破線は、比較のために反射率が波長依存性を殆ど有しない回折格子の場合の反射スペクトルを示している。図12中の一点鎖線で示すように、反射率が波長依存性を有しない回折格子の場合には、回折格子からのレーザ光の出力は、内部吸収を反映した波長依存性を有する。一方、図12の実線で示しすように、反射率が波長依存性を有する回折格子を利用した場合には、図10に示した内部吸収が補償されて、波長範囲λB1〜λBnに対してほぼ一定のレーザ光の出力を得ることが可能である。
また、半導体レーザ素子11,85が有する導波路型回折格子としては、図13に示す導波路型回折格子(以下、単に「回折格子」とも称す)97とすることも可能である。回折格子97は、回折格子19,89と同様にチャープトグレーティングである。しかしながら、半導体光導波路に形成される回折格子構造の構成が、回折格子19,89の場合と相違する。すなわち、回折格子97における回折格子構造99はn個(nは2以上の整数)の領域101〜101を有する。各領域101〜101内では、図13に示すように、同一周期の周期構造が形成されている。この場合も、半導体レーザ素子85の場合のように回折格子97に対して電極を設けて光反射器としているときには、電極を設けない場合に比較して、回折格子97の長手方向の長さを短くすることが可能である。更に、回折格子19,89の代わりに、図13に示すような構成の回折格子97を採用する場合でも、屈折率変化などを調整して、反射波長帯域に波長依存性を持たせてもよい。このような反射波長帯域における波長依存性の変更は、チャープ型回折格子を利用していることにより容易となっている。
更にまた、レーザキャビティの一部を構成する第2の反射手段は、半導体素子の一端面を構成する反射鏡21としたがこれに限定されず、回折格子19,89と同様の構成のチャープトグレーティングとしての回折格子としてもよい。
更にまた、位相調整器15は、利得導波路部13と多重リング共振器17との間に設けられるとしているが、この場合に限定されず、レーザキャビティ内における光導波路を伝搬する光の位相を調整可能な位置に配置されていればよい。換言すれば、半導体レーザ素子では、レーザキャビティ内に設けられた光導波路の位相調整のための信号を印加するための電極を有していればよく、当該電極と、レーザキャビティ内における光導波路において電極を通して位相調整のための信号が印加される光導波路の部分とが位相調整器として機能する。
また、多重リング共振器17では、リング共振器31,33に対応して電極35,37が設けられているとしたが、リング共振器31,33におけるFSRを調整して共通の透過波長が得られるのであれば、どちらか一方に電極が設けられていればよい。
更に、多重リング共振器17が有するリング共振器の数は2個以上でもよい。すなわち、多重リング共振器17は、互いに異なる光路長を有するリング状導波路を2つ以上有していればよい。3つ以上のリング状導波路を含む場合には、それらは光学的に且つ直列に結合されていればよい。そして、3つ以上のリング状導波路を含んで多重リング共振器が構成される場合には、各リング状導波路に対応してFSRを調整するための調整手段としての電極が設けられていることが好ましい。
更にまた、第1の反射手段が有しており、レーザ光が出射されるべき導波路型回折格子は、利得導波路23に光学的に結合されているとしたが、これに限定されず、多重リング共振器17に光学的に結合されていてもよい。具体的に説明する。多重リング共振器が有する複数のリング状導波路は、光学的に且つ直列に結合されている。この直列に結合された複数のリング状導波路のうち両端のリング状導波路は、それぞれ波長可変フィルタとしての多重リング共振器への光の入出力部として機能する。そして、導波路型回折格子は、利得導波路23側の入出力部として機能するリング状導波路と反対側の入出力部として機能するリング状導波路に光学的に結合させていてもよい。
更にまた、半導体レーザ素子11,85は、光変調器61を備えるものとしたが、必ずしも光変調器61を備えなくともよい。また、半導体レーザ素子11,85は、光処理素子として光変調器61を備えるとしたが、光変調器61の代わりに、例えば、光増幅器等を同一基板S上に集積したものとすることも可能である。
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体レーザ素子を概略的に示す図面である。 図2は、多重リング共振器におけるフィルタリング機能を説明するための図面である。 図3は、導波路型回折格子の一例を概略的に示す図面である。 図4は、導波路型回折格子の反射スペクトルを示す図面である。 図5は、図1に示されたV−V線に沿って取られた半導体レーザ素子の縦断面を概略的に示す図面である。 図6は、本発明の他の実施形態に係る半導体レーザ素子を概略的に示す図面である。 図7は、図6におけるVII―VII線に沿って取られた半導体レーザ素子の縦断面を概略的に示す図面である。 図8は、図6に示した導波路型回折格子を概略的に示す図面である。 図9は、光反射器の反射特性の一例を示す図面である。 図10は、半導体レーザ素子における内部吸収の吸収スペクトルの一例を示す図面である。 図11は、導波路型回折格子の反射スペクトルの他の例を示す図面である。 図12は、図11に示した反射スペクトルを有する導波路型回折格子を通して出力されるレーザ光の出力の波長依存性を示す図面である。 図13は、導波路型回折格子の更に他の例を概略的に示す図面である。
符号の説明
11…半導体レーザ素子、17…多重リング共振器、19…導波路型回折格子(第1の反射手段)、21…反射鏡(第2の反射手段)、23…利得導波路、35,37…電極(多重リング共振器が有する電極)、39,41…リング状導波路、61…光変調器(光処理素子)、85…半導体レーザ素子、87…光反射器(第1の反射手段)、89…導波路型回折格子、91…電極、97…導波路型回折格子、S…基板。

Claims (4)

  1. レーザ発振波長を変更可能な半導体レーザ素子であって、
    キャリヤ注入による光学的利得を有する利得導波路と、
    光路長が互いに異なっており光学的に結合された複数のリング状導波路及び前記複数のリング状導波路の少なくとも一つに信号印加するための電極を有する多重リング共振器であって、前記電極による信号印加によって前記複数のリング状導波路に共通の共振波長を生じせしめると共に、前記共通の共振波長を変化させることで当該多重リング共振器の透過波長を変更する、前記多重リング共振器と、
    前記利得導波路及び前記多重リング共振器が設けられる基板と、
    第1の反射波長帯域を有する第1の反射手段と、
    前記半導体レーザ素子のレーザキャビティを前記第1の反射手段とともに構成しており、第2の反射波長帯域を有する第2の反射手段と、
    を備え、
    前記利得導波路及び前記多重リング共振器は、前記レーザーキャビティ内に直列に配置されると共に、光学的に結合されており、
    前記第1の反射手段は、前記基板上に設けられており前記利得導波路及び前記多重リング共振器の何れか一方に光学的に結合される導波路型回折格子を含んで構成されており、
    前記導波路型回折格子は長手方向に沿って周期が変化しているチャープトグレーティングであり、
    前記第1及び第2の反射波長帯域は、前記多重リング共振器における前記透過波長の変更範囲を含むことを特徴とする半導体レーザ素子。
  2. 前記第1の反射手段は、前記導波路型回折格子に対応して設けられる電極を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体レーザ素子。
  3. 前記第1の反射手段は、前記第1の反射波長帯域において低波長側より長波長側で反射率が低減している反射スペクトルを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体レーザ素子。
  4. 前記レーザキャビティから出射されるレーザ光の強度を変調するための光変調器を更に備え、
    前記光変調器は、前記基板上に配置されると共に、前記導波路型回折格子に光学的に結合されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の半導体レーザ素子。
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