JP2009007672A - スーパーソルバス熱処理ニッケル基超合金の最終結晶粒径を制御及び微細化する方法 - Google Patents

スーパーソルバス熱処理ニッケル基超合金の最終結晶粒径を制御及び微細化する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】γ′析出強化ニッケル基超合金から一層微細な結晶粒径を有する部品を製造する方法を提供する。
【解決手段】0.060重量%超の十分に高い炭素含有量を有するように超合金を処方すること、及び十分に高い局所歪速度で超合金を鍛造することを含む。その結果、スーパーソルバス熱処理後には、部品は微細で実質的に均一な結晶粒径分布(好ましくはASTM7より微細、さらに好ましくは約ASTM8〜10の範囲内)によって特徴づけられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、一般的にはニッケル基超合金の加工方法に関する。具体的には、本発明は、ニッケル基超合金から物品を鍛造する方法であって、炭素含有量の増加と組み合わせた局所歪速度の増加がスーパーソルバス熱処理時に結晶粒成長の抑制を促進する結果、一層微細な結晶粒径を有するミクロ組織で特徴づけられる物品が得られる方法に関する。
γ′析出強化ニッケル基超合金は、ニッケルと化合してγマトリックスを形成する主要元素としてクロム、タングステン、モリブデン、レニウム及び/又はコバルトを含むと共に、ニッケルと化合して望ましいγ′析出物(主にNi(Al,Ti))の強化相を形成する主要元素としてアルミニウム、チタン、タンタル、ニオブ及び/又はバナジウムを含んでいる。γ′析出強化ニッケル基超合金(以後はγ′ニッケル基超合金)は、粉末冶金法(P/M)、通常の鋳造鍛錬法及びスプレー鋳造又は核生成鋳造成形法で製造したビレットから鍛造されるディスク及び他の重要ガスタービンエンジン部品として広く使用されている。粉末冶金法で成形したγ′ニッケル基超合金は、特に、タービンディスクのようなある種のガスタービンエンジン部品の性能要件を満足するようなクリープ特性、引張特性及び疲労亀裂成長特性を良好なバランスで与えることができる。典型的な粉末冶金法では、所望超合金の粉末が熱間静水圧圧縮成形法(HIP)及び/又は押出固化成形法などによって固化成形される。次いで、得られたビレットは超塑性成形条件に近づけるため合金のγ′ソルバス温度を僅かに下回る温度で等温鍛造され、大きな冶金的歪の蓄積を伴わずに高い幾何学的歪の蓄積によって金型キャビティを充填できるようにする。これらの加工段階は、ビレット中に元来存在する微細な結晶粒径(例えば、ASTM10〜13又はさらに微細)を保持し、ニアネットシェイプ鍛造金型を充填するための高い塑性を達成し、鍛造時の破壊を回避し、かつ鍛造応力及び金型応力を比較的低く維持するように設計される。(本明細書を通してASTM結晶粒径は、ASTM規格E122に規定する基準による。)高温での疲労亀裂成長耐性及び機械的特性を向上させるため、次に合金をそれのγ′ソルバス温度を超える温度で熱処理(一般にスーパーソルバス熱処理と呼ばれる)して結晶粒の顕著で均一な粗大化を引き起こす。
鍛造ガスタービンエンジン部品は、多くの場合、約ASTM9及びそれより粗い粒径(例えば、ASTM2〜9)を有する結晶粒を含むが、それよりはるかに狭い範囲(例えば、2〜3ASTM単位の限定された範囲内の結晶粒径)が通例好ましい。かかる限定された範囲は均一と見なすことができ、以後は不均一な臨界結晶粒成長が実質的に存在しないことを特徴とする結晶粒径及び結晶粒成長に対して使用される。本明細書中で使用する臨界結晶粒成長(CGG)とは、典型的な均一結晶粒径分布の範囲外に、合金から形成された物品の低サイクル疲労(LCF)特性に悪影響を及ぼす程度に合金の平均結晶粒径を超える粒径をもった結晶粒(例えば、ASTM6〜10の視野中においてASTM00ほど粗い領域)の形成をもたらす合金中の局所的な過大結晶粒成長をいい、これはCGG領域中における初期優先亀裂核生成として現れる。臨界結晶粒成長はまた、引張強さのような他の機械的性質に悪影響を及ぼすこともある。臨界結晶粒成長は、広範囲の局所歪及び歪速度が材料中に導入される熱間鍛造作業後のスーパーソルバス熱処理時に起こる。特定の理論に固執することは望まないが、臨界結晶粒成長は加工品内での過度の蓄積エネルギーによって推進されると考えられ、個々の結晶粒として、小さい領域内における複数の個々の結晶粒として、或いは隣接結晶粒の大きな領域として現れることがある。影響を受けた結晶粒の粒径は、多くの場合、所望の結晶粒径より実質的に粗い。粉末冶金法及び押出固化法で製造したビレットから鍛造したディスク及び他の重要ガスタービンエンジン部品は、通常の鋳造鍛錬法又はスプレー鋳造成形法で製造したビレットから鍛造した場合よりも臨界結晶粒成長の傾向は低いように思われている。しかし、かかる部品は依然としてスーパーソルバス熱処理時に臨界結晶粒成長を起こしやすい。
本願出願人に譲渡されたKruegerらの米国特許第4957567号には、熱間鍛造作業中に経験する局所歪速度を制御することにより、微細結晶粒のγ′ニッケル基超合金部品での臨界(異常)結晶粒成長を排除する方法が教示されている。歪速度は、幾何学的歪の経時変化の瞬間速度として定義される。Kruegerらは、続くスーパーソルバス熱処理時の有害な臨界結晶粒成長を回避するため、局所歪速度を一般に臨界値(ε)未満に保たなければならないと教示している。Kruegerらによれば、最大歪速度は組成、ミクロ組織及び温度に依存し、所定の超合金については、様々な歪速度条件下で試験試料を変形させ、次いで適当なスーパーソルバス熱処理を実施することによって決定できる。その場合、最大(臨界)歪速度は、超合金の変形及び加工時に十分な量の全歪を伴ってその歪速度を超えると、スーパーソルバス熱処理後に臨界結晶粒成長をもたらす歪速度として定義される。
例えば30〜46体積%及びそれ以上のγ′含有量を有するニッケル基超合金における臨界結晶粒成長を回避するものとしてKruegerらにより確認されたもう1つの加工上の制約は、鍛造時にビレットの超塑性変形を確実にすることである。この目的のため、ビレットは、鍛造温度範囲内で超合金に関して約0.3以上の最小歪速度感受性(m)を達成する微細結晶粒ミクロ組織を有するように加工される。当技術分野で公知の通り、微細結晶粒ビレットが超塑性変形する能力は歪速度感受性に依存し、超塑性材料は次の式で表される低い流動応力を示す。
σ=Kε′
式中、σは流動応力であり、Kは定数であり、ε′は歪速度であり、mは歪速度感受性である。mの値が高いことは、超塑性が大きいことに相当する。
本願出願人に譲渡されたYoonらの米国特許第5529643号及びRaymondらの米国特許第5584947号の教示によれば、最終結晶粒径を制御するための追加の改善がなされている。Raymondらは、鍛造時における超塑性の要件(換言すれば、高いm値を維持すること)に加え、化学的制御(特に、65体積%以下のγ′含有量を有する合金において粒界ピン止めを達成するための合金の炭素及び/又はイットリウム含有量)と共同した最大歪速度の重要性を教示している。特定の例では、Raymondらは、アロイDとして特定されかつ商業的にはRene 88DTとして知られるγ′ニッケル基超合金(R88DT、米国特許第4957567号)に関して約0.032/秒(s−1)未満の上限歪速度を記載している。高いm値を維持することに加え、Yoonらもまた、特にYoonらがアロイAとして特定した合金(これもR88DTである)の鍛造に関して約0.032s−1以下の最大歪速度を規定している。Yoonらはさらに、鍛造時の最大歪速度勾配に上限を設けると共に、スーパーソルバス熱処理の実施に先立って蓄積歪エネルギーを除去するためにスーパーソルバス温度での鍛造品の長時間アニールを要求している。最後に、Yoonらは、約ASTM12より微細な結晶粒径を有するようにビレットを形成し、かつ鍛造温度範囲内でm=約0.3の最小歪速度感受性を達成するようにビレットのミクロ組織を維持することで最適超塑性を達成している。
Kruegerら、Yoonら及びRaymondらの教示は臨界結晶粒成長を制御するのに概ね有効であったが、これらの教示を実現するには、鍛造プレスヘッドの非常に遅いラム速度制御(一般に単純な線形減衰対ストローク制御方式による)と連動して、プレスヘッド変形速度を温度、鍛造用素材の構造特性データ、金型形状及び金型又は素材潤滑の関数として実際の歪速度に変換するシミュレーションモデリングを使用することが一般に必要とされる。
結晶粒径分布の制御を改善してできるだけ狭い分布及びできるだけ微細な平均結晶粒径を達成することは、臨界結晶粒成長が存在しないことに加えて、さらに微細結晶粒ニッケル基超合金から鍛造される部品の機械的特性にも利益をもたらす。このような可能性は、ガスタービンディスクにとっての所望の均一結晶粒径が一般にASTM6より粗くないR88DTのような高温高γ′含有量(例えば、約30体積%以上)超合金に関して特に有益である。上述したタイプの従来の鍛造方法ではASTM5〜8の範囲内の結晶粒径が達成されたものの、依然として最適とは言えない機械的性質が得られることがある。例えば、低サイクル疲労耐性は、たとえ均一であっても平均結晶粒径が粗くなるほど低下することが知られている。スーパーソルバス熱処理P/M超合金に対する低サイクル疲労特性の影響は、例えば約400〜約750°F(約200〜約400℃)の範囲内の低温ないし中温で最も明らかとなる。P/M合金が提供する総合温度性能及び特性バランスは非常に魅力的であり、最新の現行エンジン用途はそれに頼っているが、低温ないし中温での低サイクル疲労特性が改善できれば、これらの合金からさらに一段と多くの利益が得られるであろう。
米国特許第4957567号明細書 米国特許第5529643号明細書 米国特許第5584947号明細書
以上の点を考慮すれば、ガスタービンエンジン鍛造品において局在する臨界結晶粒成長を回避すると共に一層の結晶粒径微細化(さらに微細な平均結晶粒径)が達成できれば望ましいであろう。製造性及びコスト上の制約の実用範囲内にあるパラメータを有するプロセスを用いてこれらの目標が共に達成できれば特に望ましいでうあろう。
本発明は、γ′ニッケル基超合金から部品を製造する方法を提供する。本方法では、十分に高い炭素含有量を有するようにかかる超合金を処方し、かつ十分に高い局所歪速度で超合金を鍛造する結果、スーパーソルバス熱処理後には、部品は微細で実質的に均一な結晶粒径分布、好ましくはASTM7より微細な平均結晶粒径、さらに好ましくは約ASTM8〜10の範囲内の平均結晶粒径で特徴づけられる。本発明はさらに、部品中の平均結晶粒径より5ASTM単位(好ましくは3ASTM単位)を超えて粗い結晶粒径を有する個々の結晶粒又はかかる結晶粒の小さい領域、或いは結晶粒径は均一であるが約2ASTM単位の所望結晶粒径範囲を超えて粗い結晶粒径を有する大きい領域を生じる臨界結晶粒成長を回避できる。
本方法は、高温及び動的荷重にさらされる鍛造多結晶質物品(その顕著な例はガスタービンエンジンのタービンディスクである)を製造するために適した組成を有するように超合金を処方することを含んでいる。かかる合金の典型例は上述のγ′析出強化ニッケル基超合金R88DTであるが、本発明の教示はタービンディスクにとって極めて重要なR88DTの機械的性質(例えば、低サイクル疲労寿命)に近似した他のγ′ニッケル基超合金にも拡張可能であることが予知できる。R88DTとは対照的に、本発明の方法で使用する超合金は、0.045重量%以上、好ましくはR88DT中の炭素に関する通常の上限である0.060重量%を超える炭素含有量を有するように処方される。超合金からビレットを形成し、超合金のγ′ソルバス温度未満の未満の温度で加工することで加工品が形成される。特にビレットは、平均結晶粒径を制御するためにできるだけ高いが、臨界結晶粒成長を回避するために上限歪速度未満である歪速度を維持しながら加工される。本発明の一態様に従えば、ビレットは超塑性的に加工する必要がなく、即ち、加工(例えば、鍛造)温度で0.3未満の歪速度感受性(m)を有するすることができる。実際、最も微細な結晶粒径を達成するためにはビレットを非超塑性的に加工することが好ましい。次に加工品は、加工品の結晶粒を均一に粗大化するのに十分な時間にわたり、超合金のγ′ソルバス温度を超える温度で熱処理される。その後、加工品は加工品中にγ′相を再析出させるのに十分な速度で冷却される。冷却された加工品は、ASTM6より粗くなく、好ましくはASTM7より粗くない平均結晶粒径、例えば約ASTM8〜10の範囲内の平均結晶粒径を有する。
本発明の大きな利点は、臨界結晶粒成長が回避されかつ超塑性的に鍛造する必要性能が回避されることに加えて、ビレットを加工するためのプロセスウィンドウの上限歪速度が、部品の平均結晶粒径の顕著な制御を達成すると共に、従前達成することができたものより顕著に微細な所望の狭い範囲内で均一な結晶粒径分布を達成することが証明された点である。このようにして、低サイクル疲労及び引張強さをはじめとする部品の機械的性質を向上させることができる。特定の理論に固執することは望まないが、R88DTのような超合金について炭素レベルをそれの通常の上限(0.060重量%)より高くするように処方することは、R88DTに通例関連する0.010/秒(s−1)の上限歪速度を超え、さらにはR88DTに関してYoonら及びRaymondらにより以前に許容された0.032s−1の上限歪速度さえ超える歪速度の使用を可能にし、その結果として一層微細化した平均結晶粒径を示すことができかつ臨界結晶粒成長を実質的に含まない部品を生じ、このことが一緒になって部品の低サイクル疲労寿命を向上させると考えられる。低サイクル疲労寿命は、0.060重量%以下の通常の炭素含有量を有するR88DTに比べ、約400〜約750°F(約200〜約400℃)の温度範囲内で特に向上する。
低サイクル疲労寿命の向上が可能となるのに伴い、R88DTのような粉末冶金合金に関して達成される高温特性がさらに高まるという追加の利益も得られると考えられる。本発明で達成される一層微細な平均結晶粒径がもたらす他の利益には、低い音波ノイズによる音波検査性の向上、及び微細な結晶粒径に伴う降伏強さの向上による実用時の降伏挙動の向上がある。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の詳細な説明から明らかとなろう。
本発明は、特にγ′析出強化ニッケル基超合金を鍛造することで形成される部品に関する。特定の例はガスタービンエンジンの高圧タービンディスクであって、これらは通例、大きな冶金的歪の蓄積を伴わずに高い幾何学的歪の蓄積によって鍛造金型キャビティを充填できるようにするため、合金の再結晶温度又はその近傍であるが合金のγ′ソルバス温度より低い温度でかつ超塑性成形条件下で微細結晶粒ビレットを等温鍛造することで形成される。鍛造後、スーパーソルバス熱処理が実施されるが、その間に結晶粒成長が起こる。従来、かかるスーパーソルバス熱処理は通例、許容できるが完全に最適ではない約ASTM2〜9の結晶粒径範囲を生じていた。本願出願人に譲渡されたKruegerらの米国特許第4957567号、Yoonらの米国特許第5529643号及びRaymondらの米国特許第5584947号(歪速度、歪速度勾配及び超塑性に関するこれらの教示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす)に従えば、鍛造の際に歪速度の上限(臨界歪速度)、歪速度勾配の上限(臨界歪速度勾配)及び約0.3以上の歪速度感受性(m)を設けることにより、スーパーソルバス熱処理時の臨界結晶粒成長が回避される。しかし、Kruegerら、Yoonら及びRaymondらの恩恵を受けても、鍛造γ′析出強化ニッケル基超合金中の結晶粒径は約ASTM5〜8の範囲に制限されるのが通例であった。
本発明では、γ′析出強化ニッケル基超合金において、臨界結晶粒成長を回避できるだけでなく一層微細な平均結晶粒径及び一層望ましい結晶粒径分布を達成できるプロセスパラメータが規定される。本発明の一態様に従えば、鍛造時の歪速度を増大させることで一層微細かつ一層制御可能な平均結晶粒径を達成できるが、これによって臨界結晶粒成長を誘起せずに可能であると従来考えられていたものより高い上限を有する歪速度ウィンドウが得られる。歪速度ウィンドウの上限は、臨界結晶粒成長を回避できる最大歪速度に対応している。本発明の第2の態様に従えば、比較的高い炭素含有量を有するように合金を改質することにより、臨界結晶粒成長を誘起せずに一層高い歪速度及び非超塑性変形を使用することができる。
本発明の上述の態様をガスタービンエンジン用高圧タービンディスクの加工に関して説明する。しかし、当業者であれば、本発明の教示内容及び利益は鍛造を受けかつ微細に制御された結晶粒径分布が所望されるその他数多くの部品にも適用できることが理解されよう。
γ′ニッケル基超合金からの高圧タービンディスクの製造では、通例、粉末冶金法(P/M)、鋳造鍛錬法或いはスプレー鋳造又は核生成鋳造タイプの技法によってビレットが形成される。かかる方法は、鍛造時に低い流動応力を達成するため、微細な結晶粒径(通例は約ASTM10又はそれより微細な結晶粒径)をもってビレットを生み出すように実施される。前述の通り、微細結晶粒ビレットが超塑性変形する能力は、歪速度感受性(m)に依存する。粉末冶金法、スプレー鋳造成形法、鋳造鍛錬法又はその他の適用な方法のいずれで形成されるにせよ、高圧タービンディスク用の従来のビレットは、所望の微細な結晶粒径を生じると共に、鍛造温度範囲内で約0.3以上の最小歪速度感受性(m)を維持するための、特定の温度範囲をはじめとする条件下で形成されていた。別法として、歪速度感受性を制御するため、あらゆる歪に対して流動応力が一定となる(歪硬化又は歪軟化が無視できる)歪速度及び温度レジームでの鍛造により、超塑性となるように鍛造プロセスを制御することが従来から行われていた。以下に一層詳しく説明する通り、本発明では、以前に可能と考えられていたものより高い歪速度を使用することにより、鍛造プロセスを完全に超塑性とすることなく(即ち、約0.3未満の歪速度感受性値で)好適な鍛造品を製造できると考えられる。
粉末冶金法を使用する好ましい実施形態では、ビレットは、例えば熱間静水圧圧縮成形法(HIP)又は押出固化成形法によって超合金粉末を固化成形することで形成できる。後者の方法では、好ましくは断熱昇温を防ぐため十分に低いラム速度が使用され、装置の押圧トン限界及び過度の冷却によってのみ制限される。当技術分野で公知の通り、固化成形では、好ましくは理論密度の約98%以上の十分に緻密な微細結晶粒ビレットが得られる。ビレットの加工前に、過度の望ましくない流動応力増加をもたらす総合結晶粒径の過度の粗大化が防止されるように高温均熱処理が通例実施される。本発明の実施に際しては、単にビレットをそれの鍛造温度に予熱して約5時間まで該温度に保持することで好適な均熱処理が達成されたが、それより長い保持時間も想定されている。
次いで、ビレットを熱間加工(例えば、鍛造)して所望の幾何学的形状をもった部品を形成した後、スーパーソルバス(溶体化)熱処理が施される。ある条件下では、Yoonらによって教示されているように、物品内部の蓄積歪エネルギーを散逸させかつ部品の温度を平衡化するために、長時間のサブソルバスアニール処理又はスーパーソルバス熱処理温度への低加熱速度が望ましい場合もある。蓄積エネルギーの散逸は、超合金の不均一核生成傾向を低減させるように働くことができ、その結果として部品中での臨界結晶粒成長の傾向も低減させる。しかし、本発明では、かかる長時間のサブソルバスアニール処理段階は不要であると思われる。その代わりに、加工ビレット(鍛造品)を先行する鍛造温度の約50〜約75°F(約30〜約40℃)以内の温度程度に予熱しさえすれば、長い均熱処理時間なしでも十分である。
次いで、スーパーソルバス熱処理が超合金のγ′ソルバス温度を超える(しかし、融解開始温度未満の)温度で実施され、超合金内の加工結晶粒組織を再結晶させかつγ′析出物を溶解(溶体化)する働きをする。炉の変動性に対処するため、好適なスーパーソルバス温度は通例は合金のγ′ソルバス温度よりも約30〜70°F(約15〜40℃)高いが、ソルバス温度より高い(しかし、融解開始温度未満の)任意の温度が一般に許容し得る。スーパーソルバス熱処理に続いて、所望される特定の機械的性質が達成されるように、γマトリックス内又は粒界にγ′を再析出させるための適当な速度で部品が冷却される。好適な冷却段階の例としては、制御空気冷却又は短時間の制御空気冷却に続く油又は他の適当な媒体中での急冷が挙げられる。部品は公知の技法を用いて時効を施してもよく、残留応力を低減させるのが望ましい場合には合金の時効温度を超える温度で短時間の応力除去サイクルを行ってもよい。
前述の通りかつ当技術分野で公知の通り、結晶粒の再結晶及びγ′析出物の溶体化に加えて、γ′ソルバス温度を超える温度での超合金の加熱は結晶粒成長(粗大化)を引き起こし、通例は元のビレット結晶粒径より粗い結晶粒径(例えば、約ASTM9より粗く、約ASTM2〜9の範囲内のような結晶粒径)を与える。ガスタービンディスクに望まれる機械的性質を達成するためには、約2又は3ASTM単位の範囲内の均一な平均結晶粒径が通例望ましい。部品において結晶粒径が所望の結晶粒径範囲よりも約2〜3ASTM単位を超えて粗大な領域は、かかる結晶粒の存在は部品の低サイクル疲労耐性を大幅に低下させると共に、引張強さ及び疲労強さのような部品のその他の機械的性質に悪影響を及ぼしかねないという点で望ましくない。例えば、約ASTM5〜8の結晶粒径範囲を有する部品では、ASTM3よりも粗い孤立した結晶粒又はかかる結晶粒の小さな領域が存在せず(ただし、僅かに大きい結晶粒が広く散在していることは許容できる)、約ASTM6より粗い大きな領域が存在しないことが好ましい。上述の通り、臨界結晶粒成長によって引き起こされる過大な結晶粒は、ビレット加工時にKruegerらに従って歪速度を超合金の臨界(最大)歪速度未満に維持することによって回避できる。しかし、結晶粒径分布を改善しかつ一層微細な平均結晶粒径(例えば、約ASTM7〜9、さらに好ましくは約8〜10の範囲内の平均結晶粒径)を達成することによって機械的特性はさらに向上するであろう。
本発明に従えば、歪速度ウィンドウの最小歪速度を増大させることによって結晶粒径分布の改善及び平均結晶粒径の微細化が達成できる。さらに、最大歪速度を以前には所定の超合金における臨界結晶粒成長の誘起に関連していた値にまで増大させることができ、臨界結晶粒成長の誘起は超合金の炭素含有量をそれの通常の上限を超えて増加させることで回避される。一つには、炭素含有量増加の効果は異常な結晶粒成長を阻止するピン止め力の増加にあると考えられる。一般に、微細に分散した炭化物はスーパーソルバス熱処理時に結晶粒界の運動を制限する結果、結晶粒は臨界結晶粒成長が起こる程度まで過度及び/又はランダムに成長することが許されない。以下に報告する研究から、鍛造プロセスの迅速化及び性質の向上に加えて、比較的低い温度でかつ非超塑性条件(m<0.3)下で鍛造作業を実施できるという他の利益も得られるように思われる。
Kruegerらによれば、γ′ニッケル基超合金の臨界歪速度は組成、ミクロ組織及び温度に依存し、様々な歪速度条件下で試験試料を変形させ、次いで適当なスーパーソルバス熱処理を実施することによって決定できる。その場合、臨界歪速度は、超合金の変形及び加工時に十分な量の全歪を伴ってその歪速度を超えると、スーパーソルバス熱処理後に臨界結晶粒成長をもたらす歪速度として定義される。スーパーソルバス熱処理後に一層制御されかつ一層微細な結晶粒径を達成できるものとして一層高い歪速度が規定される本発明に従えば、最小歪速度未満の歪速度では、最適特性のために望まれるものより粗い平均結晶粒径を生じることがある。Kruegerらによって規定された最大歪速度と同じく、本発明の最小歪速度パラメータの正確な値は、問題とする超合金の組成及びミクロ組織に応じて変化すると思われる。大形部品内の様々な領域に関する歪速度は、小形の実験用試験片に関して実験を行った後、部品内の局所変形挙動を予測するためのモデルリング技法を用いて解析的に予測することができる。
鍛造時の歪速度を増大させることで結晶粒径分布を改善しかつ一層微細な平均結晶粒径を達成できることは、通常のR88DT合金の鍛造試験片(「先行技術鍛造品」)及びR88DTの組成を本発明に従って高い炭素レベルを含むように改質してなる合金の鍛造試験片(「微細結晶粒鍛造品」)について観察された、歪速度と温度及び得られる平均結晶粒径との関係を示すグラフである図1に示される。詳しくは、通常のR88DT合金及び改質R88DT合金は炭素含有量の点で異なっていて、通常のR88DT合金の試験片は約0.045〜0.060重量%の炭素を含み、改質R88DT合金の試験片は0.060重量%を超える(好ましくは約0.065〜約0.085%及び場合によってはそれ以上の)炭素を含んでいる。図1中の棒は、本発明に至る研究中に確認された、歪速度及び鍛造温度に関する許容範囲のシフトを表している。各棒の上方の限界は、その棒によって表される試験片において臨界結晶粒成長が回避できる上限歪速度を表している。図1から、改質R88DT試験片は、通常のR88DT試験片よりはるかに高い速度(最大約0.010s−1に対して最大約0.1s−1)で臨界結晶粒成長なしに鍛造できることが理解できよう。図1はまた、通常のR88DT試験片(約ASTM6〜約ASTM8)に比べ、改質R88DT試験片(約ASTM7〜約ASTM8)では顕著に微細な結晶粒が得られたことを示している。
図1に示したパラメータ及び効果は、一連の研究によって決定された。予備的な研究において、最終結晶粒径と最大(臨界)歪速度を含めた歪速度との関係は、サブスケールの直円柱(RCC)及びダブルコーン(DC)試験片に関して実施した試験から証明された。すべての試験片は、超合金R88DTに基づく組成物から形成された。この超合金は、本願出願人に譲渡されたKruegerらの米国特許第4957567号中に、重量%で、約15.0〜17.0%のクロム、約12.0〜14.0%のコバルト、約3.5〜4.5%のモリブデン、約3.5〜4.5%のタングステン、約1.5〜2.5%のアルミニウム、約3.2〜4.2%のチタン、約0.5〜1.0%のニオブ、約0.010〜0.060%の炭素、約0.010〜0.060%のジルコニウム、約0.010〜0.040%のホウ素、約0.0〜0.3%のハフニウム、約0.0〜0.01%のバナジウム及び約0.0〜0.01%のイットリウムと、残部のニッケル及び不可避不純物とからなる組成を有するものとして開示されている。R88DTのγ′ソルバス温度は、約40体積%のγ′相に関して約1950〜2150°F(約1065〜1180℃)、通例は約2025〜2050°F(約1105〜1120℃)であると推定されている。試験片の実際の化学組成を下記表中にまとめて示す。
Figure 2009007672

上記の表から、本研究では、約0.066%又は約0.070%の炭素を含むように合金化した2群の実験用試験片を評価したことが理解できよう。
図2及び3は、両群のRCC試験片に関し、それぞれ平均ASTM結晶粒径(ASTM規格E112)及びALA結晶粒径(ASTM規格E930)を歪速度に対してプロットしたものである。すべての試験片は、約1850°F、約1875°F又は約1900°F(約1010℃、約1025℃又は約1040℃)の温度において、約0.00032〜約1s−1の範囲内の歪速度で鍛造した。公称歪レベルは約0.7%であった。鍛造温度は、通常のR88DT合金からなる類似のRCC及びDC試験片に関する以前の研究に基づいて選択された(通常のR88DTデータに関する基準は図1に示してある)。Huron(“Control of Grain Size via Forging Stain Rate Limits for R88DT”,Superalloys 2000,September 17−21,2000(TMSの出版物))によって報告された以前の研究では、臨界結晶粒成長を回避するためには、約0.010sec−1の歪速度が通常のR88DT合金の試験片に関する上限歪速度であることが示されているが、試験したいずれの歪速度においても、さらに以前には可能と考えられていたものの1000倍にもなる約1sec−1の歪速度(1875°Fで鍛造した0.066%C試験片)においてさえ、臨界結晶粒成長が認められた実験用試験片は存在しなかった。それとは対照的に、0.010sec−1未満の歪速度における現行の低歪速度方法に対応するデータは、平均及びALAのいずれについても、全体的な結晶粒径分布が炭素含有量にかかわらず一層粗い結晶粒径にシフトしたことを実証しており、歪速度効果の影響を証明している。
上記の結果から、実験用試験片の高い炭素含有量は、臨界結晶粒成長に出会うことなく、通常のR88DT合金を用いて以前に可能であったものより顕著に高く、さらにはRaymondらによって教示された高炭素合金に関して可能と考えられたものよりも高い歪速度での鍛造を可能にするという結論が得られた。さらに、高い歪速度は通常のR88DT合金を用いて以前に可能であったものより微細な平均結晶粒径を与えるという結論も得られた。図2に報告した試験片中で達成された平均結晶粒径は、低サイクル疲労寿命及び他の機械的性質(例えば、極限引張強さ(UTS))並びに超音波検査時におけるノイズ低減のようなプロセス考慮事項に対して有益で顕著な効果を及ぼすのに十分微細である。
図3のデータプロットは、ALA結晶粒径も0.010sec−1未満の歪速度における現行の低歪速度方法に比べて改善を示すことを実証している。このデータは、高い炭素レベルにおいても、全体的な結晶粒径分布(平均及びALAの両方)が一層粗い結晶粒径にシフトしたことを示しており、やはり歪速度効果の影響を証明している。
図2及び3にプロットしたデータは0.066又は0.070重量%の炭素を含む試験片に関するものであるが、グラフに示された傾向は、さらに高い炭素含有量を用いても同様な利益及びさらには一層の改善が可能であることを表している。これらの結果に基づき、炭素含有量の好適な範囲は約0.065〜約0.085重量%であると考えられる。さらに高い炭素含有量(例えば、約0.10重量%)も可能であると考えられるが、その上限は一般に過剰な炭素が超合金の他の性質に及ぼす有害な影響の可能性によってのみ制限される。
上述の通り、本発明では、高い歪速度を使用することで、鍛造プロセスを完全に超塑性とすることなく好適な鍛造品を製造できる、換言すれば、約0.3未満の歪速度感受性値を用いて鍛造を製造できると考えられる。本発明のこの態様は、1875°Fで鍛造した0.066%C試験片に対応する図2のデータについて、歪速度感受性値(m)及び平均結晶粒径と歪速度との関係をプロットしたグラフである図4から明らかである。図4は、約0.3未満、したがってYoonら及びRaymondらによって教示された最小歪速度感受性より十分に低い歪速度感受性値を用いて微細な結晶粒径が達成されたことを実証している。
図5は、0.070%C試験片について平均結晶粒径及びALA結晶粒径と鍛造温度との関係をプロットしたグラフである。図5は、0.070%C試験片では鍛造温度の低下に伴って平均結晶粒径が一層微細かつ均一になる傾向が存在することも示唆している。この傾向は0.066%C試験片についても見られ、高い炭素含有量に関する広いプロセスウィンドウ及び低い鍛造温度の潜在的な利益を実証している。
別の研究では、鍛造時に歪速度を増大させることによって一層微細な平均結晶粒径を得ることができるという上述の知見をさらに確認するため、高圧タービンディスクを鍛造して解析した。約0.066又は約0.070重量%の炭素含有量を有するように改質したR88DTから3つのディスクを形成し、粉末冶金、押出固化成形、鍛造及び約2080°F(約1140℃)でのスーパーソルバス熱処理によって製造した。鍛造分野の当業者には理解される通り、鍛造プロセスは、シミュレーションモデルを用いて金型形状を製作し、鍛造品の領域の局所歪及び歪速度履歴を所望のパラメータ内に制御する鍛造プレス操作を達成することで設計できる。さらに、本研究の鍛造ディスク及び以前の研究の鍛造試験片は加工物のアプセット比に基づく所定のマクロ総合歪速度に対して一連の局所歪及び歪速度を有するので、ディスク及び以前の試験片に関する鍛造速度を最大歪速度に基づいて比較することができる。このようなアプローチを用いて、本研究において評価した0.066%C及び0.070%Cディスクは、約0.032sec−1の最大歪速度を達成するように設計された公称等温プロセスで鍛造した。0.066%C及び0.070%Cディスクに関する鍛造段階は、鍛造品のすべての領域が0.032sec−1の上限以下になるように局所限界ベースで制御した。
高い歪速度を用いて一層微細な結晶粒径が一貫して得られることは、上述した0.066%C及び0.070%C組成の一方を有するようにして製造した3つの鍛造品(鍛造品#2、#3及び#4)の平均結晶粒径及びALA結晶粒径のそれぞれの正規確率プロットである図6及び7で実証されている。各鍛造品について、鍛造品横断面の回りに均一に配列された20の測定値を求めた。0.066%C及び0.070%C鍛造品に関するデータを、同じ幾何学的形状を有するが、約0.052重量%の通常の炭素含有量を有する通常のR88DT組成物から形成されかつ0.010sec−1未満の通常の歪速度限界で加工された第4のディスク(鍛造品#1)から求めたデータと共にプロットした。輪郭鍛造品では形態係数が複雑であったにせよ、本発明の改良方法では、約2ASTM結晶粒径単位だけ微細な平均結晶粒径、及び約1ASTM結晶粒径単位の平均ALA結晶粒径向上が実証されている。
これらの結果に基づき、形態係数が局所歪速度の変動を押し進める複雑な輪郭鍛造品において利益を達成するためには、0.3未満の歪速度感受性値に対応する約0.032sec−1以上の最大歪速度を用いてかかる鍛造品の全体にわたり微細化した結晶粒径を達成すべきであると考えられる。前述の通り、複雑な鍛造品では、鍛造品のすべての領域で目標最大歪速度が均一に達成されることはほとんどありそうになく、歪速度の変動は鍛造品において絶対最小歪速度を設定することが実際的でないようなものであり得る。他方、本発明に従って一層微細な結晶粒径及び分布を達成しながら臨界結晶粒成長を回避できる最大歪速度は、本質的に一定の範囲にわたっている。したがって、最大歪速度は所定の鍛造品に関する好適な最大歪速度の範囲内の目標として設定できる。かかる範囲の上限は臨界結晶粒成長を回避する必要があり、かかる範囲の下限は本発明によって求められる所望の微細な結晶粒径及び分布を得るために十分高い歪速度加工を達成できない低歪領域を回避又は最小にする必要がある。別法として又は加えて、高い歪速度で非超塑性的に変形される領域が部品の動作及び寿命にとって有利である特定の区域内に位置するように鍛造品形状を定義することもできる。
図6及び7に報告した試験片中で達成された平均結晶粒径は、低サイクル疲労寿命及び他の機械的性質(例えば、極限引張強さ(UTS))並びに超音波検査時におけるノイズ低減のようなプロセス考慮事項に対して有益で顕著な効果を及ぼすのに十分微細であると結論された。かかる利益は図8〜10から明らかである。図8は、図6及び7の通常の0.052%C鍛造品に比べて、図6及び7の0.066%C及び0.070%C鍛造品の超音波検査性が向上したことを実証する棒グラフである。かかるデータは約40%の音波ノイズレベル低下を示しており、通常の現行加工方法及び化学組成に比べて検査性が向上したことを表している。
最後に、図9及び10は、図6及び7の0.066%C及び0.070%C鍛造品の極限引張強さ及び降伏強さのそれぞれを、図6及び7の通常の0.052%C鍛造品と比較して示す正規確率プロットである。引張性能の両方の尺度(極限引張強さ及び0.2%降伏強さ)とも、本発明の方法及び組成物を使用した場合には、既存の方法及び組成物に比べて平均値が約9〜約10ksi(約62〜約69MPa)の顕著な向上を示している。
上記の点を考慮すれば、本発明の方法は、R88DT及び類似のγ′ニッケル基超合金から、一層微細な結晶粒径を一貫して示す部品を製造することができる。本発明の利益は粉末冶金出発原料から加工したR88DT超合金に関して説明したが、スプレー鋳造材料、鋳造鍛錬材料などの他の材料も使用できよう。さらに、R88DTと同様な機械的性質(例えば、低サイクル疲労寿命)を有するのに十分な程度にR88DTの組成に近似した組成を有するγ′ニッケル基超合金も本発明の加工上及び組成上の修正から利益を受けると考えられる。かかる合金の例としては、重量%で、約16.0〜22.4%のコバルト、約6.6〜14.3%のクロム、約2.6〜4.8%のアルミニウム、約2.4〜4.6%のチタン、約1.4〜3.5%のタンタル、約0.9〜3.0%のニオブ、約1.9〜4.0%のタングステン、約1.9〜3.9%のモリブデン、約0.0〜2.5%のレニウム、約0.02〜0.10%の炭素、約0.02〜0.10%のホウ素、約0.03〜0.10%のジルコニウム並びに残部のニッケル及び不可避不純物からなる公称組成を有するRene 104(米国特許第6521175号)が考えられる。もう1つの顕著な例は、約16.0〜20.0%のコバルト、約8.5〜12.5%のクロム、約1.5〜3.5%のタンタル、約2.0〜4.0%のタングステン、約1.9〜3.9%のモリブデン、約0.04〜0.06%のジルコニウム、約1.0〜3.0%のニオブ、約2.4〜4.6%のチタン、約2.6〜4.6%のアルミニウム、約0.02〜0.04%の炭素、約0.02〜0.04%のホウ素並びに残部のニッケル及び不可避不純物からなる公称組成を有するNF3(米国特許第6521175号)である。
以上、特定の処理パラメータ及び組成物に関して本発明を説明してきたが、本発明の技術範囲はそれに限定されない。それどころか、例えば、一層高い又は低いγ′相含有量を有する他のγ′析出強化ニッケル基超合金に置き換えたり、或いは他の加工段階を代用し又は追加の加工段階を含めることで好ましい方法を修正したりすることにより、当業者は他の形態を採用できる。したがって、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によってのみ限定される。
通常のR88DT試験片及び0.060重量%を超える炭素レベルを含むように改質したR88DT試験片について歪速度と温度及び得られる結晶粒径分布との関係を示す模式グラフである。 0.066又は0.070重量%の炭素を含むように改質されかつ相対的に速い歪速度(0.01s−1以上)及び遅い歪速度(0.01s−1未満)レジームで加工されたR88DT試験片について平均結晶粒径をプロットしたグラフである。 0.066又は0.070重量%の炭素を含むように改質されかつ相対的に速い歪速度(0.01s−1以上)及び遅い歪速度(0.01s−1未満)レジームで加工されたR88DT試験片についてALA結晶粒径をプロットしたグラフである。 1875°Fで鍛造した試験片に対応する図2のデータについて、歪速度感受性値及び平均結晶粒径と歪速度との関係をプロットしたグラフである。 0.070重量%の炭素を含むR88DT試験片について、図2及び3に示された平均結晶粒径及びALA結晶粒径と鍛造温度との関係データをプロットしたグラフである。 現行の方法及び本発明に従って処方しかつ鍛造した試験片についての平均結晶粒径の正規確率プロットである。 現行の方法及び本発明に従って処方しかつ鍛造した試験片についてのALA結晶粒径の正規確率プロットである。 図6及び7の鍛造試験片の超音波検査性を比較した棒グラフである。 図6及び7の鍛造試験片の極限引張強さの正規確率プロットである。 図6及び7の鍛造試験片の降伏強さの正規確率プロットである。

Claims (10)

  1. γ′ソルバス温度を有するγ′析出強化ニッケル基超合金から物品を製造する方法であって、該γ′析出強化ニッケル基超合金が0.060重量%超の炭素を含んでいるとともにビレットとして形成されたものであり、当該方法が、
    超合金のγ′ソルバス温度未満の温度でビレットを加工して加工品を形成する段階であって、ビレットが非超塑性変形を受け、かつ臨界結晶粒成長を避けるために上限歪速度未満であるが平均結晶粒径を制御するために十分に高い最大歪速度が達成されるようにビレットを加工し、上限歪速度が0.008/秒を超える段階と、
    加工品の結晶粒を均一に粗大化するのに十分な時間にわたり超合金のγ′ソルバス温度を超える温度で加工品を熱処理する段階と、
    加工品中にγ′相を再析出させるのに十分な速度で加工品を冷却する段階であって、加工品はASTM7より粗くない平均結晶粒径を有しかつ平均結晶粒径より3ASTM単位を超えて粗い結晶粒を実質的に含まない段階と
    を含んでなる方法。
  2. 超合金が約0.10%以下の炭素を含む、請求項1記載の方法。
  3. 最大歪速度が0.010/秒以上である、請求項1又は請求項2記載の方法。
  4. 最大歪速度が0.032/秒以上である、請求項1又は請求項2記載の方法。
  5. 上限歪速度が0.100/秒を超える、請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の方法。
  6. 加工品が約ASTM7〜10の範囲内の平均結晶粒径を有する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  7. 加工品がASTM8より粗くない平均結晶粒径を有する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  8. 加工品が約ASTM8〜約ASTM10の平均結晶粒径を有する、請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載の方法。
  9. 超合金が、重量%で、約15.0〜17.0%のクロム、約12.0〜14.0%のコバルト、約3.5〜4.5%のモリブデン、約3.5〜4.5%のタングステン、約1.5〜2.5%のアルミニウム、約3.2〜4.2%のチタン、約0.5〜1.0%のニオブ、約0.065〜0.10%の炭素、約0.010〜0.060%のジルコニウム、約0.010〜0.040%のホウ素、約0.0〜0.3%のハフニウム、約0.0〜0.01%のバナジウム及び約0.0〜0.01%のイットリウムと、残部のニッケル及び不可避不純物とを含む、請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれか1項記載の方法で製造された加工品であって、当該加工品がガスタービンエンジンのタービンディスクであり、冷却段階後の加工品がASTM8〜10の平均結晶粒径を有する、加工品。
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