JP2009007526A - 剥離用塗料組成物およびその塗膜を有する塗工基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】PCMの分野で用いられるプレコート用の塗料に、反応性が高いガス発生剤を含有させることにより、リサイクルを要する金属と異種材料との接着体を効率よく分離・解体し得る塗膜を形成する塗料組成物およびその塗膜を有する塗工基材を提供すること。
【解決手段】剥離用塗料組成物は、塗膜形成樹脂とガス発生剤とを含有し、該ガス発生剤が酸素を含むグアニジン誘導体である。塗工基材は、このような剥離用塗料組成物を用いて形成された塗膜を有する。
【選択図】なし
【解決手段】剥離用塗料組成物は、塗膜形成樹脂とガス発生剤とを含有し、該ガス発生剤が酸素を含むグアニジン誘導体である。塗工基材は、このような剥離用塗料組成物を用いて形成された塗膜を有する。
【選択図】なし
Description
本発明は、剥離用塗料組成物およびその塗膜を有する塗工基材に関する。さらに詳しくは、本発明は、特にリサイクルのニーズが高まっている複合部材などの分野において、金属と異種材料との接着体を効率よく分離・解体し得る塗膜を形成する塗料組成物およびその塗膜を有する塗工基材に関する。
金属と異種材料との接着体に易剥離性を付与する技術の開発は、剥離性を有するプレコートメタル(PCM)を開発するのではなく、むしろ剥離性を有する接着剤の開発が中心である。剥離性を有するPCMを開発するということは、結局、剥離性を有する塗膜を開発することに他ならない。
剥離性を有する塗膜を形成するために塗料に配合される添加剤としては、例えば、発泡剤、膨張剤、加熱により再溶融する熱溶融エポキシ樹脂、加熱により有機樹脂成分の90%以上が消滅する加熱消滅型接着剤などが挙げられる。具体的には、アゾジカルボンアミド、4,4−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)などの有機系発泡剤が用いられている。また、例えば、特許文献1には、耐熱性接着剤用として、高温で膨張する熱膨張黒鉛、バーミキュライト、パーライト、雲母、ヴェルムランダイト、タンマジット、ハイドロサルタイトなどの無機系膨張剤が提案されている。
しかし、上記の無機系膨張剤は、耐熱性を有し、価格も安いが、粒子径が大きいので、それを用いた塗膜が厚くなり、接合強度が向上しにくく、それを配合した塗料の塗工性も悪いなどの問題点がある。
発泡剤や膨張剤以外では、炭酸塩、高沸点アルコール、高沸点オイル、多価カルボン酸などのガス発生源により、塗膜に剥離性を付与することも行われている。また、特許文献2には、ポリビニリデンまたはアクリル樹脂からなるシェルと、その内部に充填された液状炭化水素とからなるマイクロバルーンが提案されている。
しかし、上記のマイクロバルーンは、それを用いた塗膜が多種多様にわたる金属と異種材料との接着性に劣るので、対象とする部位が小さい場合の使用に限定される。また、上記のマイクロバルーンは、加熱によりマイクロバルーン中の発泡剤が反応して接着力が低下し、接着体を容易に分離・解体し得るが、マイクロバルーンの膨張温度が90℃という比較的低温であるので、多種多様な加工・成形工程を経るPCMの分野では、用いることができない。
また、特許文献3には、熱膨張黒鉛または金属水酸化物の加熱剥離成分とアクリル系接着剤とからなる表面処理剤を基材の表面に塗布してなる接着構造が開示されている。しかし、加熱剥離成分の含有量が多いと、表面処理剤の粘度が高くなるので、その塗膜が厚くなって接着性が不充分となり、耐久性の点で問題を生じる場合がある。
さらに、特許文献4には、アクリル樹脂と、アゾ系化合物、ヒドラジン誘導体、N,N’−ジニトロソ化合物、テトラゾール誘導体などの有機発泡剤とからなる塗膜剥離用被覆剤が提案されている。この塗膜剥離用被覆剤は、その塗工基材を発泡剤の分解温度以上に加熱することにより、分解ガスを発生させ、塗膜を物体表面より剥離させるというものである。しかし、その発泡剤の分解性が低いので、分解温度以上で10分間保持しなければ剥離性を得ることができなかった。
特開2000−204332号公報
特開平8−271138号公報
特開2003−326640号公報
特開2000−93886号公報
上述した状況の下、本発明が解決すべき課題は、PCMの分野で用いられるプレコート用の塗料に、反応性が高いガス発生剤を含有させることにより、リサイクルを要する金属と異種材料との接着体を効率よく分離・解体し得る塗膜を形成する塗料組成物およびその塗膜を有する塗工基材を提供することにある。
本発明者らは、種々検討の結果、ガス発生剤として、酸素を含むグアニジン誘導体を用いることにより、上記の課題が解決できることを見出して、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、塗膜形成樹脂とガス発生剤とを含有する剥離用塗料組成物であって、該ガス発生剤が酸素を含むグアニジン誘導体であることを特徴とする剥離用塗料組成物を提供する。本発明の剥離用塗料組成物において、前記ガス発生剤は、好ましくは、トリアミノグアニジン硝酸塩および/またはニトログアニジンである。また、本発明の剥離用塗料組成物は、好ましくは、骨格内にグアニジン誘導体由来の基を有する樹脂を含有する。
また、本発明は、上記のような剥離用塗料組成物を用いて形成された塗膜を有することを特徴とする塗工基材を提供する。本発明の塗工基材において、前記塗膜の焼き付け温度は、好ましくは220℃以下である。
本発明の剥離用塗料組成物を用いれば、金属と異種材料との接着体を効率よく分離・解体し得る塗膜を形成することができる。また、本発明の塗工基材を用いれば、効率よく分離・解体し得る金属と異種材料との接着体を得ることができる。得られた接着体は、複合部材を廃棄する際にリサイクル可能な部位(例えば、金属)を効率よく分離・解体することができる。
≪剥離用塗料組成物≫
本発明の剥離用塗料組成物(以下、単に「剥離用塗料組成物」または「塗料組成物」ということがある。)は、塗膜形成樹脂とガス発生剤とを含有する剥離用塗料組成物であって、該ガス発生剤が酸素を含むグアニジン誘導体であることを特徴とする。
本発明の剥離用塗料組成物(以下、単に「剥離用塗料組成物」または「塗料組成物」ということがある。)は、塗膜形成樹脂とガス発生剤とを含有する剥離用塗料組成物であって、該ガス発生剤が酸素を含むグアニジン誘導体であることを特徴とする。
本発明の剥離用塗料組成物を用いて形成された塗膜を有する塗工基材が剥離性を発現するメカニズムは、例えば、下記のように考えられるが、これに限定されるものではない。
塗工基材がその塗膜にガス発生剤を含有すると、ガス発生処理(すなわち、加熱処理)を行った際に、ガス発生剤が熱分解してガスを効率よく発生する。そして、発生するガスの圧力により、塗膜が破壊されて剥離性を発現する。それゆえ、塗工基材と他の基材とを接着させた接着体を効率よく分離・解体することができる。このとき、ガス発生剤として酸素を含むグアニジン誘導体を用いると、酸化反応に必要な酸素を分子内から供給することが可能となり、ガス発生効率が向上するので、より高い剥離性を塗工基材に付与することができると考えられる。
塗膜形成樹脂は、固体であるためそのままでは塗工することができないガス発生剤と混合することにより、塗膜を形成するために用いられる。また、塗膜形成樹脂は、基材との密着性を向上させ、耐久性に優れた塗膜を基材に付与することができる。
塗膜形成樹脂としては、それを配合した塗料組成物を基材に塗布した後、220℃以下の焼き付け処理によって塗膜を形成することができる限り、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
ガス発生剤として用いる「酸素を含むグアニジン誘導体」とは、グアニジンと酸素を含む酸(例えば、硝酸、炭酸)との塩;グアニジンのアミノ基やイミノ基の水素のうち少なくとも1個の水素が酸素を含まない置換基(例えば、アミノ基)で置換された誘導体と酸素を含む酸(例えば、硝酸、炭酸)との塩;グアニジンのアミノ基やイミノ基の水素のうち少なくとも1個の水素が酸素を含む置換基(例えば、ニトロ基)で置換された誘導体もしくはその塩;などを意味する。
ガス発生剤としては、酸素を含むグアニジン誘導体であって、塗膜形成樹脂と共に配合した塗料組成物を基材に塗布した後、焼き付け処理によって塗膜を形成することができる限り、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、グアニジン硝酸塩、グアニジン炭酸塩、アミノグアニジン硝酸塩、アミノグアニジン炭酸塩、トリアミノグアニジン硝酸塩、ニトログアニジン、N−メチル−N’−ニトログアニジン、N,N’−ジメチル−N”−ニトログアニジン、N−エチル−N’−ニトログアニジン、N−アミノ−N’−ニトログアニジンなどが挙げられる。これらのガス発生剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのガス発生剤は、市販品を利用することができる。これらのガス発生剤のうち、トリアミノグアニジン硝酸塩およびニトログアニジンが特に好適である。
塗膜形成樹脂とガス発生剤との混合比は、固形分の質量比で、好ましくは、塗膜形成樹脂:ガス発生剤=90:10〜40:60、より好ましくは、塗膜形成樹脂:ガス発生剤=80:20〜50:50である。ガス発生剤が塗膜形成樹脂およびガス発生剤の合計固形分100質量部に対して10質量部未満になると、ガス発生効率が低下し、塗料組成物を用いて作製した接着体を効率よく分離・解体することができないことがある。逆に、ガス発生剤が塗膜形成樹脂およびガス発生剤の合計固形分100質量部に対して60質量部を超えると、基材に対する塗膜の密着性が低下し、塗膜の厚さや意匠性に影響を及ぼすことがある。
また、塗膜形成樹脂にガス発生剤としての役割を持たせることもできる。例えば、塗膜形成樹脂として、骨格内にグアニジン誘導体由来の基を有する樹脂を用いればよい。ここで、「グアニジン誘導体由来の基」とは、樹脂を製造する際に原料として用いたグアニジン誘導体の分子構造の主要部であって、樹脂を構成するポリマーの骨格内に取り込まれた部分を意味する。骨格内にグアニジン誘導体由来の基を有する樹脂は、単独で用いても塗膜形成樹脂および/またはガス形成剤と併用してもよい。
骨格内にグアニジン誘導体由来の基を有する樹脂は、単独で、あるいは塗膜形成樹脂と共に配合した塗料組成物を基材に塗布した後、220℃の焼き付け処理によって塗膜を形成することができる限り、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、特開平9−110574号公報に開示されている方法で製造されるホルムアルデヒド系樹脂が挙げられる。
本発明の剥離用塗料組成物は、その性能を損なわない範囲で、添加剤として、例えば、分散剤、増粘剤、顔料などを含有することができる。また、必要に応じて、溶媒を含有することができる。溶媒としては、通常の希釈溶媒のうち、ガス発生剤である酸素を含むグアニジン誘導体をよく分散させることができる溶媒が好適である。具体的には、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、キシレン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の剥離用塗料組成物は、塗膜形成樹脂およびガス発泡剤、ならびに、必要に応じて、添加剤、溶媒などを充分に攪拌・混合することにより製造することができる。
≪塗工基材≫
本発明の塗工基材は、剥離用塗料組成物を用いて形成された塗膜を有することを特徴とする。このような塗工基材は、基材上に剥離用塗料組成物を塗布した後、焼き付け処理を行うことにより製造することができる。
本発明の塗工基材は、剥離用塗料組成物を用いて形成された塗膜を有することを特徴とする。このような塗工基材は、基材上に剥離用塗料組成物を塗布した後、焼き付け処理を行うことにより製造することができる。
基材としては、接着体の用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、アルミニウム、鉄(ステンレスを含む)、チタン、銅などの金属が挙げられる。
基材上に塗料組成物を塗布する方法としては、従来公知の塗布方法の中から適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ディッピング法、ロールコーター法、スピンコーティング法、スプレー法などが挙げられる。
焼き付け処理の手段としては、従来公知の加熱手段の中から適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波誘導加熱などが挙げられる。
焼き付け処理の条件としては、塗膜形成樹脂の種類や基材の材質に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、焼き付け温度は、その下限が好ましくは120℃、より好ましくは140℃であり、また、その上限が好ましくは220℃、より好ましくは200℃である。焼き付け温度が120℃未満であると、焼き付けが不充分となり、他の材料に対する塗膜の接着性が低下することがある。逆に、焼き付け温度が220℃を超えると、焼き付け処理の段階でガス発生が起こり、本発明の効果が充分に得られないことがある。さらに、焼き付け時間は、その下限が好ましくは30秒間、より好ましくは1分間であり、また、その上限が好ましくは10分間、より好ましくは5分間である。焼き付け時間が30秒間未満であると、焼き付けが不充分となり、他の材料に対する塗膜の接着性が低下することがある。逆に、焼き付け時間が10分間を超えると、焼き付けは充分に行えるが、必要以上にエネルギーを浪費することになり、製造コストが上昇することがある。
焼き付け処理後の塗膜の厚さは、特に限定されるものではないが、具体的には、その下限が好ましくは1μm、より好ましくは5μmであり、また、その上限が好ましくは200μm、より好ましくは100μmである。塗膜の厚さが1μm未満であると、本発明の効果が充分に得られないことがある。逆に、塗膜の厚さが200μmを超えると、他の材料に対する塗膜の接着性が低下することがある。
本発明の塗工基材は、剥離用塗料組成物を用いて形成された塗膜が剥離層として機能するので、この剥離層を介して、例えば、接着剤などを用いて、他の材料を接着することにより接着体を製造することができる。この場合、必要に応じて、他の材料にも剥離用塗料組成物を用いて塗膜を形成しておいてもよい。他の材料としては、接着体の用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されるものではない。なお、他の材料は、基材と同一の材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。
得られた接着体は、例えば、リサイクル工程において、ガス発生処理(すなわち、加熱処理)を施すことにより、塗膜に含有されるガス発生剤である酸素を含むグアニジン誘導体が熱分解してガスを発生するので、塗膜が破壊されて基材が剥離し、基材と他の材料とを効率よく分離・解体することができる。
ガス発生処理の手段としては、従来公知の加熱手段の中から適宜選択すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、熱風加熱、赤外線加熱、高周波誘導加熱などが挙げられる。
ガス発生処理の条件としては、ガス発生剤の種類や基材の材質に応じて適宜調節すればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、加熱温度は、その下限が好ましくは250℃、より好ましくは260℃であり、また、その上限が好ましくは350℃、より好ましくは300℃である。加熱温度が250℃未満であると、ガス発生が不充分となり、基材の剥離性が低下することがある。逆に、加熱温度が350℃を超えると、ガス発生は充分に行えるが、必要以上にエネルギーを浪費することになり、製造コストが上昇することがある。さらに、加熱時間は、その下限が好ましくは30秒間、より好ましくは1分間であり、また、その上限が好ましくは5分間、より好ましくは2分間である。加熱時間が30秒間未満であると、ガス発生が不充分となり、基材の剥離性が低下することがある。逆に、加熱時間が10分間を超えると、ガス発生は充分に行えるが、必要以上にエネルギーを浪費することになり、製造コストが上昇することがある。
本発明の塗工基材は、例えば、効率よく分離・解体し得る金属と異種材料との接着体を提供するので、複合材料などの分野、特にプレコートメタル(PCM)の分野で好適に用いられる。
以下、実験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記の実験例により制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に含まれる。なお、下記の実験例において、特に断りがない限り、「部」は質量部、「%」は質量%を意味する。
まず、基材の剥離性、接着前の塗膜の状態および剥離後の基材の状態を評価する方法について説明する。
<接着前の塗膜の状態>
基材に塗料組成物を塗布して焼き付け処理を行った後、無塗工アルミ板を接着する前の塗膜の状態を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:塗膜表面に凹凸がなく、均一であり、無塗工アルミ板との接着が充分に行える状態;
△:塗膜表面に凹凸が少しあるが、無塗工アルミ板との接着が行える状態;
×:塗膜表面に凹凸があり、無塗工アルミ板との接着が充分に行えない状態;
−:塗膜なし。
基材に塗料組成物を塗布して焼き付け処理を行った後、無塗工アルミ板を接着する前の塗膜の状態を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
○:塗膜表面に凹凸がなく、均一であり、無塗工アルミ板との接着が充分に行える状態;
△:塗膜表面に凹凸が少しあるが、無塗工アルミ板との接着が行える状態;
×:塗膜表面に凹凸があり、無塗工アルミ板との接着が充分に行えない状態;
−:塗膜なし。
<基材の剥離性>
基材に接着した無塗工アルミ板の非接着部と基材の引っ張り部を手でつかんで引き離すことにより、無塗工アルミ板から基材を剥離させる際の状況を、下記の基準で評価した。
◎:ほとんど力を加えることなく容易に基材を剥離させることができる;
○:少し力を加えれば基材を剥離させることができる;
△:基材を剥離することができるが、基材に接着した無塗工アルミ板が変形する;
×:基材を剥離することができない。
基材に接着した無塗工アルミ板の非接着部と基材の引っ張り部を手でつかんで引き離すことにより、無塗工アルミ板から基材を剥離させる際の状況を、下記の基準で評価した。
◎:ほとんど力を加えることなく容易に基材を剥離させることができる;
○:少し力を加えれば基材を剥離させることができる;
△:基材を剥離することができるが、基材に接着した無塗工アルミ板が変形する;
×:基材を剥離することができない。
<剥離後の基材の状態>
無塗工アルミ板から基材を剥離した後、基材の剥離層を形成した側の表面を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
◎:変形なし;
○:ほぼ変形なし;
△:小さい変形あり;
×:大きい変形あり。
無塗工アルミ板から基材を剥離した後、基材の剥離層を形成した側の表面を目視にて観察し、下記の基準で評価した。
◎:変形なし;
○:ほぼ変形なし;
△:小さい変形あり;
×:大きい変形あり。
次に、各種の塗料組成物を用いて接着体を作製した実験例について説明する。
≪実験例1≫
基材として、横50mm×縦130mm×厚さ0.5mmのアルミ板を用いた。また、塗料組成物として、市販のエポキシ樹脂(商品名「アデカレジンEM434」、株式会社ADEKA製)64部、トリアミノグアニジン硝酸塩7部、N−メチル−2−ピロリドン29部を混合して、固形分25.8%の混合液を得た。なお、塗膜形成樹脂(エポキシ樹脂)に対するグアニジン誘導体(トリアミノグアニジン硝酸塩)の混合比は、固形分の質量比で、エポキシ樹脂:トリアミノグアニジン硝酸塩=72.5:27.5であった。
基材として、横50mm×縦130mm×厚さ0.5mmのアルミ板を用いた。また、塗料組成物として、市販のエポキシ樹脂(商品名「アデカレジンEM434」、株式会社ADEKA製)64部、トリアミノグアニジン硝酸塩7部、N−メチル−2−ピロリドン29部を混合して、固形分25.8%の混合液を得た。なお、塗膜形成樹脂(エポキシ樹脂)に対するグアニジン誘導体(トリアミノグアニジン硝酸塩)の混合比は、固形分の質量比で、エポキシ樹脂:トリアミノグアニジン硝酸塩=72.5:27.5であった。
得られた溶液を基材にバーコーターを用いて塗布した後、約155℃で2分間の焼き付け処理を行った。この段階で、接着前の塗膜の状態を評価した。結果を表1に示す。
次いで、焼き付け処理後のアルミ板の縦方向の片端を、塗膜を形成していない側に、幅30mmだけ90度に折り曲げて、剥離性試験のための引っ張り部とした。そして、塗膜を形成した側に、横50mm×縦130mm×厚さ0.5mmの無塗工アルミ板を市販の接着剤(商品名「アドマーQE60」、三井化学株式会社製)で接着した。さらに、得られた接着体を270℃で2分間加熱することにより、ガス発生処理を行った。
ガス発生処理後の接着体について、基材の剥離性、剥離後の基材の状態を評価した。結果を表1に示す。
≪実験例2≫
基材として、実験例1と同様のアルミ板を用いた。また、塗料組成物として、市販のエポキシ樹脂(商品名「アデカレジンEM434」、株式会社ADEKA製)64部、トリアミノグアニジン硝酸塩3.5部、ニトログアニジン3.5部、N−メチル−2−ピロリドン29部を混合して、固形分25.9%の混合液を得た。なお、塗膜形成樹脂(エポキシ樹脂)に対するグアニジン誘導体(トリアミノグアニジン硝酸塩およびニトログアニジン)の混合比は、固形分の質量比で、エポキシ樹脂:トリアミノグアニジン硝酸塩:ニトログアニジン=72.2:13.9:13.9であった。
基材として、実験例1と同様のアルミ板を用いた。また、塗料組成物として、市販のエポキシ樹脂(商品名「アデカレジンEM434」、株式会社ADEKA製)64部、トリアミノグアニジン硝酸塩3.5部、ニトログアニジン3.5部、N−メチル−2−ピロリドン29部を混合して、固形分25.9%の混合液を得た。なお、塗膜形成樹脂(エポキシ樹脂)に対するグアニジン誘導体(トリアミノグアニジン硝酸塩およびニトログアニジン)の混合比は、固形分の質量比で、エポキシ樹脂:トリアミノグアニジン硝酸塩:ニトログアニジン=72.2:13.9:13.9であった。
得られた溶液を基材にバーコーターを用いて塗布した後、約155℃で2分間の焼き付け処理を行った。この段階で、接着前の塗膜の状態を評価した。結果を表1に示す。
次いで、焼き付け処理後のアルミ板の縦方向の片端を、塗膜を形成していない側に、幅30mmだけ90度に折り曲げて、剥離性試験のための引っ張り部とした。そして、塗膜を形成した側に、横50mm×縦130mm×厚さ0.5mmの無塗工アルミ板を市販の接着剤(商品名「アドマーQE60」、三井化学株式会社製)で接着した。さらに、得られた接着体を270℃で2分間加熱することにより、ガス発生処理を行った。
ガス発生処理後の接着体について、基材の剥離性、剥離後の基材の状態を評価した。結果を表1に示す。
≪実験例3≫
実験例1と同様にして、基材に塗料組成物を塗布した後、焼き付け処理を行った。この段階で、接着前の塗膜の状態を評価した。結果を表1に示す。
実験例1と同様にして、基材に塗料組成物を塗布した後、焼き付け処理を行った。この段階で、接着前の塗膜の状態を評価した。結果を表1に示す。
次いで、実験例1において、270℃で2分間のガス発生処理を行わなかったこと以外は、実験例1と同様にして、接着体を得た。
得られた接着体について、基材の剥離性、剥離後の基材の状態を評価した。結果を表1に示す。
≪実験例4≫
実験例2と同様にして、基材に塗料組成物を塗布した後、焼き付け処理を行った。この段階で、接着前の塗膜の状態を評価した。結果を表1に示す。
実験例2と同様にして、基材に塗料組成物を塗布した後、焼き付け処理を行った。この段階で、接着前の塗膜の状態を評価した。結果を表1に示す。
次いで、実験例2において、270℃で2分間のガス発生処理を行わなかったこと以外は、実験例2と同様にして、接着体を得た。
得られた接着体について、基材の剥離性、剥離後の基材の状態を評価した。結果を表1に示す。
≪実験例5≫
基材として、実験例1と同様のアルミ板を用いた。また、塗料組成物として、市販のエポキシ樹脂(商品名「アデカレジンEM434」、株式会社ADEKA製)を基材にバーコーターを用いて塗布した後、約155℃で2分間の焼き付け処理を行った。この段階で、接着前の塗膜の状態を評価した。結果を表1に示す。
基材として、実験例1と同様のアルミ板を用いた。また、塗料組成物として、市販のエポキシ樹脂(商品名「アデカレジンEM434」、株式会社ADEKA製)を基材にバーコーターを用いて塗布した後、約155℃で2分間の焼き付け処理を行った。この段階で、接着前の塗膜の状態を評価した。結果を表1に示す。
次いで、焼き付け処理後のアルミ板の縦方向の片端を、塗膜を形成していない側に、幅30mmだけ90度に折り曲げて、剥離性試験のための引っ張り部とした。そして、塗膜を形成した側に、横50mm×縦130mm×厚さ0.5mmの無塗工アルミ板を市販の接着剤(商品名「アドマーQE60」、三井化学株式会社製)で接着した。さらに、得られた接着体を270℃で2分間の加熱処理を行った。
加熱処理後の接着体について、基材の剥離性、剥離後の基材の状態を評価した。結果を表1に示す。
≪実験例6≫
実験例5と同様にして、基材に塗料組成物を塗布した後、焼き付け処理を行った。この段階で、接着前の塗膜の状態を評価した。結果を表1に示す。
実験例5と同様にして、基材に塗料組成物を塗布した後、焼き付け処理を行った。この段階で、接着前の塗膜の状態を評価した。結果を表1に示す。
次いで、実験例5において、270℃で2分間の加熱処理を行わなかったこと以外は、実験例5と同様にして、接着体を得た。
得られた接着体について、基材の剥離性、剥離後の基材の状態を評価した。結果を表1に示す。
表1から明らかなように、酸素を含むグアニジン誘導体を含有する塗料組成物を用いて塗膜を形成した基材に無塗工アルミ板を接着剤で接着した接着体にガス発生処理を行った実験例1および2は、基材の剥離性に優れ、また、接着前の塗膜の状態および剥離後の基材の状態が良好であった。
これに対し、酸素を含むグアニジン誘導体を含有する塗料組成物を用いて塗膜を形成した基材に無塗工アルミ板を接着剤で接着した接着体にガス発生処理を行わなかった実験例3および4は、基材の剥離性に劣り、また、接着前の塗膜の状態が良好であるものの、剥離後の基材の状態が不良であった。さらに、酸素を含むグアニジン誘導体を含有しない塗料組成物を用いて塗膜を形成した基材に無塗工アルミ板を接着剤で接着した接着体に加熱処理を行った実験例5および加熱処理を行わなかった実験例6は、基材の剥離性に劣り、また、剥離後の基材の状態が不良であった。
かくして、酸素を含むグアニジン誘導体を含有する塗料組成物は、ガス発生処理により接着体を効率よく分離・解体し得る塗膜を剥離層として基材上に形成できること、また、その塗膜を有する塗工基材は、それを用いて作製した接着体がガス発生処理により効率よく分離・解体できることがわかる。
本発明の剥離用塗料組成物は、例えば、金属と異種材料との接着体を効率よく分離・解体し得る塗膜を形成するので、また、その塗膜を有する塗工基材は、例えば、効率よく分離・解体し得る金属と異種材料との接着体を提供するので、複合材料などの分野、特にプレコートメタル(PCM)の分野で多大の貢献をなすものである。
Claims (4)
- 塗膜形成樹脂とガス発生剤とを含有する剥離用塗料組成物であって、該ガス発生剤が酸素を含むグアニジン誘導体であることを特徴とする剥離用塗料組成物。
- 前記ガス発生剤がトリアミノグアニジン硝酸塩および/またはニトログアニジンである請求項1記載の剥離用塗料組成物。
- 骨格内にグアニジン誘導体由来の基を有する樹脂を含有する請求項1または2記載の剥離用塗料組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項記載の剥離用塗料組成物を用いて形成された塗膜を有することを特徴とする塗工基材。
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