JPH09110574A - ガス発生剤及びその製造方法 - Google Patents

ガス発生剤及びその製造方法

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JPH09110574A
JPH09110574A JP7292163A JP29216395A JPH09110574A JP H09110574 A JPH09110574 A JP H09110574A JP 7292163 A JP7292163 A JP 7292163A JP 29216395 A JP29216395 A JP 29216395A JP H09110574 A JPH09110574 A JP H09110574A
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裕二 伊藤
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英史 佐藤
Makoto Iwasaki
誠 岩崎
Akihiko Tanaka
昭彦 田中
Tooru Minoguchi
亨 箕口
Eiichiro Yoshikawa
英一郎 吉川
Akihiko Kuroiwa
顕彦 黒岩
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全く新しい合成系のバインダーを用いたガス
発生剤とその製造方法を提供すること。 【解決手段】 本発明は、次の(a) 〜(d) の反応生成物
のいずれか1種以上をバインダーとして用いて所定形状
に成形するガス発生剤であり、その製造方法である。 (a) アンモニア若しくはその塩又は−NH2 基若しくは
構造式中に−NH−を有する化合物と、構造式中に−C
HO基を有する有機化合物又は−CHO基を生じ得る有
機化合物とを反応させて得られた反応生成物。 (b) 上記(a) で得られた反応生成物と、構造式中に−O
H基を有する化合物とを反応させて得られた二次反応生
成物 (c) 構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
と、N−メチロール化合物とを反応させて得られた反応
生成物。 (d) 構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
と、N−アルコキシ化合物とを反応させて得られた反応
生成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の乗員保護
装置であるエアバッグ装置に好適なガス発生剤とその製
造方法に関するものであり、特に従来のアジ化金属化合
物に代わる安全性の高い非アジ化系ガス発生剤の耐熱特
性の向上を図るものである。
【0002】
【従来の技術】エアバッグ装置は、自動車の乗員の安全
性向上の方策として近年広く採用されてきている乗員保
護装置であり、その原理は、衝突を検出したセンサーか
らの信号によりガス発生器を作動させてバッグを展開さ
せ、乗員をこの展開したバッグで保護するものである。
このガス発生剤には、有害ガスを含まずクリーンなガス
を発生する事,急速に必要且つ十分なガスを発生する事
及び耐熱劣化性(120℃で100時間又は107℃で
400時間保持しても性能が低下しない事)を有する事
という機能が要求されている。これらの機能を満足する
ものとして従来よりアジ化ソーダ,アジ化カリウム等の
アジ化金属化合物が使用されている。このアジ化金属化
合物は、瞬時にして燃焼し且つ燃焼ガス成分が実質的に
窒素のみでありCO(一酸化炭素)やNOx(窒素酸化
物)の如き有害ガスを発生させない事,燃焼速度が周囲
の環境の影響即ちガス発生器の構造の影響を受け難いの
でガス発生器の設計が容易である事及び耐熱劣化性に優
れている事等の利点から、広く使用されているガス発生
剤であるが、反面、衝撃や摩擦によって容易に爆発する
性質を有しているため、製造工程において大小の爆発事
故が散見されており、その防爆対策は困難であり、更に
水や酸の存在下では分解して有毒ガスを発生するという
大きな問題点を有している。このため最近は、このアジ
化金属化合物に代わる、より安全な新規なガス発生剤の
開発が急務とされており、多くの新ガス発生剤が提案さ
れている。
【0003】例えば、特開昭49−87583公報,特
開平2−184590号公報或いは特開平2−2211
79号公報には、アジ化金属化合物と共にテトラゾール
系化合物を混合して併用する方法が提案されている。テ
トラゾール系化合物は、分子構造中の窒素原子の比率が
高くCOの発生を本質的に阻止する機能があるので、ア
ジ化化合物と同様に、燃焼ガス中にCOを殆ど含有せ
ず、しかも上記したアジ化化合物に比べて危険性や有毒
性が遙かに小さいという点で優れているので、これとア
ジ化化合物との混合物からなるガス発生剤は、アジ化化
合物単独使用に比べて上記アジ化化合物の持つ問題点を
軽減させる点では成功している。しかしながらアジ化化
合物を使用する限り上記したアジ化化合物の持つ問題点
の根本的解決には至っていない。
【0004】そこで、アジ化化合物との併用を止めて、
非アジ化系のテトラゾール系化合物やアミン系化合物の
みを使用するガス発生剤、即ちテトラゾール系化合物や
アミン系化合物をガス発生成分とし、それに酸化剤とし
て硝酸カリウム等の硝酸塩又は過塩素酸カリウム等のオ
キソハロゲン酸塩を加え、更に必要に応じて金属又は金
属酸化物等の燃焼触媒を添加するガス発生剤が特公昭6
4−6156号公報,特公昭64−6157号公報,特
開平2−225159号公報,特開平2−225389
号公報,特開平3−20888号公報,特開平5−21
3687号公報,特開平6−80492号公報,特開平
6−239684号公報及び特開平6−298587号
公報等に示されている。
【0005】これらの非アジ化系ガス発生剤は、アジ化
系ガス発生剤の持つ取扱い上の危険性や有毒性という問
題点を解決する事には成功しているが、更に新たな問題
が生じている。即ち、耐熱老化の問題である。これらの
ガス発生剤の製造工程において、ガス発生成分と酸化剤
及び必要に応じて添加される燃焼触媒からなる原料混合
物に、デキストリン,セルロース等の炭水化物をバイン
ダーとして添加混合してペレット状に成形するのが一般
的である。これらのバインダーを用いた場合、120℃
で100時間保持、又は、107℃で400時間保持す
る耐熱老化試験において、ペレット強度が著しく低下す
る。更に、これらのバインダーは、ガス発生時に、ガス
成分としては好ましくないCO2 (二酸化炭素)やCO
(一酸化炭素)を増加させる問題があり、テトラゾール
系化合物の有するCO発生を抑制する機能を減殺する事
にもなる。加えて、着火時間を遅らせたり、燃焼速度を
遅らせる等のマイナス要因もある。一方、これらのバイ
ンダーを添加混合する事なくペレット成形した場合に
は、+90℃〜−40℃の繰り返し試験である熱衝撃試
験に耐えられず、粉化してしまい、使用に耐えないとい
う致命的な問題がある。
【0006】そこで、上記問題を解決する為に、着火
時間や燃焼速度等の燃焼特性に悪影響を与える事なく、
耐熱老化試験や熱衝撃試験等の環境試験を満足し、
発生ガス組成に悪影響を与えず、しかも取扱の容易な
新規なバインダーが求められている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来のアジ化系ガス発生剤用バインダーの有する問題点を
解決すると同時にテトラゾール系化合物やアミン系化合
物の如き非アジ化系ガス発生剤の持つ前述の問題点を解
決するものであって、具体的には、全く新しい合成系の
バインダーを用いたガス発生剤とその製造方法を提供す
るものである。換言すると、本発明の目的は、以下の特
性を有するバインダーを用いて、従来の非アジ化系ガス
発生剤の熱的特性を改善する事にある。 (1)ガス発生成分の燃焼特性に悪影響を与えない事。 (2)耐熱老化試験や熱衝撃試験等の環境試験を満足す
る事。 (3)発生ガス組成に悪影響を与えない事。 (4)取扱が容易である事。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明におけるガス発生剤は、次の(a) 〜(d) の反
応生成物のいずれか1種以上をバインダーとして用いて
所定形状に成形するものである。 (a) アンモニア若しくはその塩又は−NH2 基若しくは
構造式中に−NH−を有する化合物と、構造式中に−C
HO基を有する有機化合物又は−CHO基を生じ得る有
機化合物とを反応させて得られた反応生成物。 (b) 上記(a) で得られた反応生成物と、構造式中に−O
H基を有する化合物とを反応させて得られた二次反応生
成物 (c) 構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
と、N−メチロール化合物とを反応させて得られた反応
生成物。 (d) 構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
と、N−アルコキシ化合物とを反応させて得られた反応
生成物。
【0009】又、本発明の第一の製造方法は、ガス発生
成分と酸化剤とを含む混合物を、バインダーとしての上
記(a) 〜(d) の反応生成物のいずれか1種以上の存在下
で混練した後、これを乾燥し、続いてこの乾燥物を粉砕
し、得られた粉砕物を所定形状に成形するものである。
【0010】又、本発明の第二の製造方法は、前記バイ
ンダーを添加して混練した後、これを所定形状に成形し
て乾燥、固化するものである。
【0011】特に、前記ガス発生成分が、テトラゾール
系化合物或いはアミド系化合物の如く−NH2 基又は−
NH−を有する化合物である場合には、このガス発生成
分自体が、本発明のバインダー原料にも成り得るもので
あるので、この一部を予め上記(a) 〜(d) の反応により
バンダーに変化させ、これに酸化剤を添加、混練した
後、前述の第一の方法又は第二の方法によってガス発生
剤を製造する事もできる。
【0012】更に、この成形したペレットを加熱する事
によりバインダーを熱硬化させて強度を向上させる方法
もある。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に、本発明について詳細に説
明する。本発明で用いるバインダーは、従来の炭水化物
系の如き物質とは異なり、合成によって製造されるもの
である。即ち、「アンモニア若しくはその塩」又は構造
式中に「−NH2 基」若しくは「−NH−」を有する化
合物(以下本発明では、これらを総称して便宜的に「ア
ミン類」と略称する)と、構造式中に「−CHO基」を
有する有機化合物又は反応の過程で分解して「−CHO
基」を生じ得る化合物(以下本発明では、これら両方を
総称して便宜的に「アルデヒド類」と略称する)とは、
次の推定反応式(1)〜(6)に示す様に、付加反応
(奇数番号の反応式)と縮合反応(偶数番号の反応式)
とを繰り返す付加・縮合反応によって低分子量の粘稠な
熱硬化性樹脂を生成するものと推定されている。尚、推
定反応式(1)(2)は、「−NH2 基」と「−CHO
基」との反応を推定した式であり、推定反応式(3)〜
(6)は「−NH−」と「−CHO基」との反応を推定
した式であって、特に推定反応式(3)〜(6)は、
「−NH−」が「−NH−R基」を有する化合物の場合
と「N−モノメチロール化合物」の場合を示している。
この反応生成物である樹脂及びこれを硬化処理した樹脂
は、所謂「ホルムアルデヒド系樹脂」として知られてい
るもので、本発明では、この「ホルムアルデヒド系樹
脂」をバインダーとして用いる点に特徴を有していると
いえる。
【0014】
【化学式1】
【0015】又、上述の「アミン類」と「アルデヒド
類」との反応生成物に、更に構造式中に「−OH基」を
有する化合物を反応させて得られる二次反応生成物も、
本発明のバインダーとして使用する事ができる。この場
合の推定反応式の例を式(7)〜(8)に示す。この場
合には、上記「アミン類」と「アルデヒド類」との反応
生成物であるメチロール化合物と「−OH基」を有する
化合物が付加反応と縮合反応を繰り返して「ホルムアル
デヒド系樹脂」を生成する。
【0016】
【化学式2】
【0017】尚、本発明に言う構造式中に「−OH基」
を有する化合物とは、上記反応式からも明らかな様に炭
素(C)に結合したアルコール類或いはメチロール類又
は複素環の窒素(N)に結合したもの等を意味し、具体
的には、メタノール,エタノール,モノエタノールアミ
ン,アミノプロパノール,ジエタノールアミン,ヒドロ
キシエチルヒドラジン,エチルアミノエタノールアミ
ン,ヒドロキシルアミン,ヒドロキシル尿素,ホルムア
ミドキシム,ホルムアルドキシムが例示される。
【0018】更に、「ホルムアルデヒド系樹脂」を生成
する反応系としては、前記「アミン類」と「アルデヒド
類」との組合せの他、「アミン類」と「N−メチロール
化合物」或いは「N−アルコキシ化合物」がある。この
反応を、夫々反応式(9)〜(10)及び(11)〜
(14)に示す。
【0019】
【化学式3】
【0020】
【化学式4】
【0021】次に、本発明で使用する各種化合物につい
て例示すると、先ず構造式中に「−NH2 基」を有する
化合物としては、モノエタノールアミン,ヒドロキシア
ミン,ホルムアミド,酢酸アミド,カルボンアミド,ア
ゾジカルボンアミド,ヒドラゾジカルボアミド,アミノ
モノプロパノール,アゾビスホルムアミド,セミカルバ
ジド,アセトンセミカルバゾン,ヒドラジン,ホルミル
ヒドラジン,ホルムアミジン,モノエチルヒドラジン,
カルボヒドラジド,シアナミド,ジシアンジアミド,ア
ミノテトラゾール,グアニジン,アミノグアニジン,ト
リアミノグアニジンナイトレート,ニトログアニジン,
アゾジグアニジン,ビグアニド,蓚酸ジヒドラジド,ビ
ウレット,尿素,モノヒドロキシ尿素,チオ尿素,メラ
ミン及びその塩が例示される。又、構造式中に「−NH
−」を有する化合物としては、ジエタノールアミン,モ
ノエチルアミノモノエタノールアミン,ヘキサメチレン
テトラミン,トリアゾール,テトラゾール,ビテトラゾ
ール及びその塩が例示され、これらの群から選ばれた1
種以上が使用される。尚、上記化合物の中には、アミノ
テトラゾールの如く構造式中に「−NH2 基」と「−N
H−」の両方を有するものがあるが、上記例示では、い
ずれか一方のみに便宜的に分類したが、両方に分類して
もよい事は言うまでもない。
【0022】次に、本発明で使用する構造式中に「−C
HO基」を有する有機化合物としては、ホルムアルデヒ
ド,アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,n−ブ
チルアルデヒド,n−ヴァレルアルデヒド,n−カプロ
ンアルデヒド,アクロレイン,クロトンアルデヒド,グ
リオキザールが例示され、これらの群から選ばれた1種
以上が使用される。
【0023】次に、「−CHO基」を生じ得る有機化合
物としては、ホルムアミド,パラホルムアルデヒド,ト
リオキサン,ヘキサメチレンテトラミン,テトラオキサ
ン,めたアルデヒド,アゾビスホルムアミドが例示さ
れ、これらの群から選ばれた1種以上が使用される。
【0024】次に、本発明で使用する構造式中に「−O
H基」を有する有機化合物としては「−OH基」が、炭
素(C)又は窒素(N)に結合したアルコール類或いは
メチロール類又は複素環の窒素(N)に結合したものが
使用でき、その具体例は前述の通りである。
【0025】次に、本発明で使用する「N−メチロール
化合物」としては、前述の「アミン類」をN−メチロー
ル化して得られたものが例示され、これらの1種以上が
使用される。
【0026】次に、本発明で使用する「N−アルコキシ
メチル化合物」としては、前述の「アミン類」をN−ア
ルコキシ化して得られたものが例示され、これらの1種
以上が使用される。
【0027】尚、本発明において「アミン類」として、
テトラゾール系化合物或いはグアニジン系化合物の如く
窒素を主要元素とした化合物の場合には、前述の特開平
5−117070号公報或いはUSP3,468,73
0号明細書等に記載されている様に、それ自体がガス発
生成分とも成り得るものであるから、その誘導体である
「ホルムアルデヒド系樹脂」はガス発生成分の機能をも
有している。従って、これらを本発明のバインダー原料
としての「アミン類」として用いる場合には、発生ガス
組成に悪影響を与える事なく、逆にガス発生成分と同様
の望ましいガスを発生し、ガス発生成分の増量効果も果
たす事になる。
【0028】本発明で使用しうるガス発生成分の具体例
としては、トリアミノグアニジンナイトレートに代表さ
れるグアニジン系化合物,5−アミノテトラゾールに代
表されるテトラゾール系化合物の如きアミノ基含有化合
物等が挙げられるが、本発明で使用する「ホルムアルデ
ヒド系樹脂」自体も、ガス発生成分として使用できる。
これらのガス発生成分の含有量は、系によっても異なる
が、一般的にはガス発生剤中10〜40重量%の範囲で
含有される。
【0029】又、本発明で使用される酸化剤は、従来公
知の酸化剤が使用でき、その種類は、主として前記ガス
発生成分の種類によって適宜選択され得るものである
が、一般的には、硝酸ナトリウム,硝酸カリウム,硝酸
バリウム,硝酸アンモニウム,硝酸ストロンチウム等の
硝酸塩,又は、塩素酸塩,過塩素酸塩,臭素酸塩,過臭
素酸塩,沃素酸塩,過沃素酸塩等のオキソハロゲン酸
塩、或いは、二酸化マンガン,過マンガン酸カリウム,
過酸化バリウム等の金属酸化物等が例示され、これらの
一種又は二種以上が使用される。又これらの含有量は、
前述の通りガス発生成分の種類によって異なるが、一般
的には、ガス発生剤中50〜80重量%の範囲で含有さ
れる。
【0030】更に本発明のガス発生剤には、上記ガス発
生成分の酸化反応を効果的に促進させるために燃焼触媒
を添加することもできる。燃焼触媒としては、金属単体
又は金属酸化物或いは金属硫化物が使用され、具体的に
はモリブデン,三酸化モリブデン,二硫化モリブデン,
鉄,酸化第二鉄,硫化鉄,ニッケル,酸化ニッケル,タ
ングステン,三酸化タングステン,マンガン,二酸化マ
ンガン,ハフニウム,二酸化ハフニウム等が例示され、
これらの燃焼触媒の添加量は、ガス発生剤中、必要によ
り1〜10重量%の範囲で含有される。
【0031】又、バインダーは、前記ガス発生成分や酸
化剤の種類及び量によって当然異なるが、一般的にはガ
ス発生剤中3〜20重量%の範囲で含有される。
【0032】次に本発明のガス発生剤の製造方法につい
て説明する。本発明の製造方法は、ガス発生成分と酸化
剤および必要に応じて金属酸化物或いは硫化物等の燃焼
触媒とを含む混合物を、前記バインダーの存在下で混練
した後、これを用いて、例えば、次の2つの方法によっ
て製造される。即ち、第一の方法は、この混練物を乾
燥、粉砕し、得られた粉砕物を所定形状に成形する方法
であり、第二の方法は、前記混練物をプラスチック成形
用の押出機と成形型を用いて所定形状に成形し、しかる
後に乾燥、固化させる方法である。乾燥は熱硬化しない
温度である60〜80℃で行うのが好ましい。また、更
に強度を高める為に成形物を加熱処理してバインダーで
あるホルムアルデヒド系樹脂を熱硬化させる事により、
その強度を一層高める事ができる。熱硬化は通常100
〜130℃で2〜24時間の条件で行われる。
【0033】尚、前記バインダーの合成反応は、ホルマ
リン水溶液等の水溶液中での反応であり、水の含有割合
は通常10〜60%である。しかも、その反応の過程で
水が生成するので、バインダーを含んだ混練物をそのま
ま成形する前記第二の製造方法の場合には、成形に適し
たスラリーを得るためのスラリー濃度調整手段として、
成形前に減圧脱水等の手段により、水分の一部を除去す
る事が望ましい事はいうまでもない。又、この方法の場
合には、水の存在下で成形する事になるので、ガス発生
剤組成物の種類の如何に拘らず、成形作業は安全なもの
となる。
【0034】尚、バインダー原料としての「アミン類」
は、前述の通りガス発生成分とも成り得るものであるの
で、その製造工程において、反応生成物を分離精製する
必要が全くない。この意味から、製造工程は極めて簡素
化される事になる。更に、バインダーとしての「アミン
類」とガス発生成分としての「アミン類」とを、例えば
5−アミノテトラゾールの如く同一物質に選定すれば、
予め過剰の「アミン類」を装入した反応容器に、バイン
ダーとして必要な少量の「アルデヒド類」を添加して前
記付加・縮合反応を行わせてバインダーを生成させ、こ
の反応液中に他のガス発生剤成分である酸化剤,燃焼触
媒等を適宜添加して混練する事により、バインダー原料
としての「アミン類」と、ガス発生成分としての「アミ
ン類」とを区別する事なく、製造作業を行う事ができ
る。
【0035】次に、本発明の実施例について説明する。
【0036】
【実施例1】「アミン類」として「5−アミノテトラゾ
ール(5−ATZ)」17gと「アルデヒド類」として
「ホルマリン(37%水溶液)」40.5gとを「炭酸
アンモニウム」1.0gと共に混合して室温で約30分
反応させ、バインダーとしての粘稠な液体を得た。一
方、ガス発生成分としての「5−ATZ」51.1gと
酸化剤としての「過塩素酸カリウム」6.1gと「硝酸
カリウム」149gと燃焼調整剤としての「三酸化モリ
ブデン」6.9gとを粉末状で均一に混合し、次いで、
この粉状混合物に上記粘稠液(バインダー)を添加して
10分間混練した後、厚さ5mmの板状に成形して75
℃で10時間乾燥した。この乾燥品を粒径1mm以下に
粉砕した後、直径7mm,高さ4.7mm,300mg
/粒のペレットに打錠機で加圧成形した。このペレット
の圧壊強度は16kgfであった。尚、圧壊強度は萱垣
医理科工業株式会社製の錠剤用硬度計を用いて測定し
た。このペレットをアルミニウム製のガス発生剤容器に
封入して、+90℃〜−40℃を1.1時間内に200
サイクル繰り返す熱衝撃試験を行った処、試験後の重量
変化は0(ゼロ)であり、圧壊強度は18kgfと、熱
衝撃試験前よりも増加していた。この事実は、加熱され
た事により、前記バインダーの熱硬化反応が進行してペ
レットを硬化させた結果と考えられる。又、試験後のガ
ス発生剤容器及びペレットのいずれにも、外観上の変化
は全く認められなかった。次に、同一のガス発生剤容器
に前記ペレットを封入して、120℃で100時間保持
する耐熱老化試験を行った処、重量変化は−0.5%で
あり、ペレットの圧壊強度は18kgfと、上記熱衝撃
試験の場合と同様に、試験前よりも高くなっていた。
尚、外観上の変化は全く認められなかった。更に、前記
熱衝撃試験及び耐熱老化試験前後のペレット各10gを
用いて1リットルタンクテストを行った処、いずれも燃
焼速度に変化は認められなかった。
【0037】
【実施例2】「アミン類」として「5−ATZ」17g
と「アルデヒド類」として「ホルマリン(37%水溶
液)」16.2gとを「炭酸アンモニウム」3.5gと
共に混合し、室温で約1時間反応させて粘稠な液体を得
た。次に、この粘稠な液体に「−OH基を有する化合
物」として「トリメチロールメラミン」14.4gを加
えて30分反応させ、バインダーとしての粘稠な液体を
得た。一方、ガス発生成分としての「5−ATZ」5
1.1gと酸化剤としての「硝酸カリウム」170.0
gと燃焼調整剤としての「三酸化モリブデン」7.5g
とを粉末状で均一に混合し、次いで、この粉状混合物
に、上記粘稠液(バインダー)を添加して5分間混練し
た後、厚さ5mmの板状に成形して75℃で10時間乾
燥した。この乾燥品を粒径1mm以下に粉砕した後、直
径7mm,高さ4.7mm,300mg/粒のペレット
に打錠機で加圧成形した。このペレットの圧壊強度は1
7kgfであった。このペレットを用いて実施例1と同
一条件の熱衝撃試験を行った処、試験後の重量変化は0
(ゼロ)であり、圧壊強度は20kgfと、熱衝撃試験
前よりも増加していた。この事実は、加熱された事によ
り、前記バインダーの硬化反応が進行してペレットを硬
化させた結果と考えられる。又、試験後のガス発生剤容
器及びペレットのいずれにも、外観上の変化は全く認め
られなかった。続いて実施例1と同一条件で耐熱老化試
験を行った処、重量変化は−0.4%であり、ペレット
の圧壊強度は19kgfと、上記熱衝撃試験の場合と同
様に、試験前よりも高くなっていた。尚、外観上の変化
は全く認められなかった。更に、前記熱衝撃試験及び耐
熱老化試験前後のペレット各10gを用いて1リットル
タンクテストを行った処、いずれも燃焼速度に変化は認
められなかった。
【0038】
【実施例3】「アミン類」として「炭酸グアニジン
((NH=C(NH2 2 2 ・H2 CO3 )」18g
と「−OH基を有する化合物」として「トリメチロール
メラミン」21.6gと水50gを混合して反応させ、
バインダーとしての粘稠な液体を得た。次に、ガス発生
成分としての「5−ATZ」85.1gと酸化剤として
の「硝酸カリウム」220.4gと燃焼調整剤としての
「三酸化モリブデン」11.0gとを粉末状で均一に混
合し、この粉状混合物に、上記粘稠液(バインダー)を
添加して5分間混練した後、厚さ5mmの板状に成形し
て75℃で10時間乾燥した。この乾燥品を粒径1mm
以下に粉砕して直径7mm,高さ4.7mm,300m
g/粒のペレットに打錠機で加圧成形した。このペレッ
トの圧壊強度は16kgfであった。このペレットを用
いて実施例1と同一条件の熱衝撃試験を行った処、試験
後の重量変化は0(ゼロ)であり、圧壊強度は18kg
fと、熱衝撃試験前よりも増加していた。加熱により前
記バインダーの硬化反応が進行してペレットを硬化させ
た結果と考えられる。又、試験後のガス発生剤容器及び
ペレットのいずれにも、外観上の変化は全く認められな
かった。続いて実施例1と同一条件の耐熱老化試験を行
った処、重量変化は−0.5%であり、ペレットの圧壊
強度は18kgfと、上記熱衝撃試験の場合と同様に、
試験前よりも高くなっていた。尚、外観上の変化は全く
認められなかった。更に、前記熱衝撃試験及び耐熱老化
試験前後のペレット各10gを用いて1リットルタンク
テストを行った処、いずれも燃焼速度に変化は認められ
なかった。
【0039】
【実施例4】「アミン類」として「炭酸グアニジン」1
8gと「N−アルコキシ化合物」として「ヘキサメトキ
シメチロールメラミン」40.4gと水50gを混合し
て反応させ、バインダーとしての粘稠な液体を得た。次
に、ガス発生成分としての「5−ATZ」85.1gと
酸化剤としての「硝酸カリウム」256.8gと燃焼調
整剤としての「三酸化モリブデン」12.0gとを粉末
状で均一に混合し、この粉状混合物に、上記粘稠液(バ
インダー)を添加して5分間混練した後、厚さ5mmの
板状に成形して75℃で10時間乾燥した。この乾燥品
を粒径1mm以下に粉砕して直径7mm,高さ4.7m
m,300mg/粒のペレットに打錠機で加圧成形し
た。このペレットの圧壊強度は18kgfであった。こ
のペレットを用いて実施例1と同一条件の熱衝撃試験を
行った処、試験後の重量変化は0(ゼロ)であり、圧壊
強度は21kgfと、熱衝撃試験前よりも増加してい
た。加熱により前記バインダーの硬化反応が進行してペ
レットを硬化させた結果と考えられる。又、試験後のガ
ス発生剤容器及びペレットのいずれにも、外観上の変化
は全く認められなかった。続いて実施例1と同一条件の
耐熱老化試験を行った処、重量変化は−0.3%であ
り、ペレットの圧壊強度は21kgfと、上記熱衝撃試
験の場合と同様に、試験前よりも高くなっていた。尚、
外観上の変化は全く認められなかった。更に、前記熱衝
撃試験及び耐熱老化試験前後のペレット各10gを用い
て1リットルタンクテストを行った処、いずれも燃焼速
度に変化は認められなかった。
【0040】
【実施例5】予め水酸化ナトリウムでpH8.0に調整
した「アルデヒド類」として「ホルリン溶液(37%水
溶液)」13.8gを90℃に加熱し、これに「アミン
類」として「尿素(50%水溶液)」10.0gを徐々
に添加しつつ90℃で30分間攪拌し反応させた。これ
に「−OH基を有する化合物」として「エタノール」
7.8gを加え、更にpH調整剤として燐酸を添加して
pHを5.5に調整して更に90℃で1時間反応させた
処、バインダーとしてのやや粘稠な液体を得た。次に、
この溶液に、ガス発生成分としての「5−ATZ」粉末
34.04gと酸化剤としての「硝酸カリウム」14
6.0gと燃焼調整剤としての「三酸化モリブデン」1
0.3gを加えて20分間混練した後、厚さ5mmの板
状に成形して75℃で12時間乾燥した。この乾燥品を
粒径1mm以下に粉砕して直径7mm,厚さ4.0mm
のペレットに打錠機で加圧成形し、このペレットを更に
高温炉中で120℃×10時間の硬化反応を行わせてガ
ス発生剤ペレットを得た。このペレットの圧壊強度は、
硬化反応前が16kgfであり硬化反応後が18kgf
であった。このペレットを実施例1と同一条件で熱衝撃
試験を行った処、試験後の重量変化は0(ゼロ)であ
り、圧壊強度は18kgfと、熱衝撃試験前と変化が無
かった。又、試験後のガス発生剤容器及びペレットのい
ずれにも、外観上の変化は全く認められなかった。続い
て実施例1と同一条件の耐熱老化試験を行った処、重量
変化は−0.1%、ペレットの圧壊強度は18kgfで
あり、上記熱衝撃試験の場合と同様に、試験前後の差は
なかった。尚、外観上の変化も全く認められなかった。
更に、前記熱衝撃試験及び耐熱老化試験前後のペレット
各10gを用いて1リットルタンクテストを行った処、
いずれも燃焼速度に変化は認められなかった。
【0041】
【実施例6】ガス発生成分としての「5−ATZ」8
5.0gと酸化剤としての「硝酸カリウム」185.0
gと燃焼調整剤としての「酸化モリブデン」13.5g
の各粉末を混合し、この粉状混合物中にバインダーとし
ての「トリメチロールメラミン」17.0gを水50g
と共に添加して混練した後、厚さ5mmの板状に成形し
て75℃で10時間乾燥させた。尚、この「トリメチロ
ールメラミン」或いは「ヘキサメトキシメチロールメラ
ミン」は、これ自体は市販されている物質であるが、本
発明にいう「アミン類」と「アルデヒド類」とを反応さ
せて得られる物質であるので、本実施例では、市販のも
のを使用している。この意味から、本発明のバインダー
としては、前述の反応によって得られるものであれば市
販品を使用する事ができることはいうまでもない。前記
乾燥品を粒径1mm以下に粉砕して直径7mm,高さ
4.7mm,300mg/粒のペレットに打錠機で加圧
成形した。このペレットの圧壊強度は20kgfであっ
た。更にこのペレットを110℃で10時間硬化処理を
した処、圧壊強度は22kfgに増加した。このペレッ
トを用いて前記実施例1と同一条件で熱衝撃試験を行っ
た処、圧壊強度は21kgfと殆ど変化がなく且つ外観
上の変化も認められなかった。続いて実施例1と同一条
件の耐熱老化試験を行った処、重量変化は−0.3%で
あり、ペレットの圧壊強度も23kgfと、僅かながら
増加していた。これは加熱により硬化反応が進行した結
果と考えられる。尚、外観上の変化も全く認められなか
った。更に、前記熱衝撃試験及び耐熱老化試験前後のペ
レット各10gを用いて1リットルタンクテストを行っ
た処、いずれも燃焼速度に変化は認められなかった。
【0042】
【比較例1】ガス発生成分としての「5−ATZ」85
gに、酸化剤としての「硝酸カリウム」142gを添
加、混合して、バインダーを添加する事なく、上記実施
例1で用いた打錠機で同一形状のペレットを成形した。
このペレットの圧壊強度は19kgfであった。このペ
レットを上記実施例と同一のアルミニウム製のガス発生
剤容器に封入して、前記実施例1と同一条件で熱衝撃試
験を行った処、ペレットは殆ど粉化しており、ガス発生
剤としては不合格であった。
【0043】
【比較例2】ガス発生成分としての「5−ATZ」85
gに、酸化剤としての「硝酸カリウム」185gと燃焼
調整剤としての「酸化モリブデン」13.5gを添加混
合し、これに50gの温水に溶解したバインダーとして
の「デキストリン」20gを添加混練した後、これを厚
さ5mmの板状に乾燥した。この乾燥品を目開き1mm
の篩を通過する様に粉砕した。この粉砕品を前記打錠機
で、前記実施例1と同一形状のペレットに成形した。得
られたペレットの圧壊強度は30kgfであった。この
ペレットを上記実施例と同様にアルミニウム製のガス発
生剤容器に封入して、前記実施例1と同一条件で熱衝撃
試験を行った処、圧壊強度は20kgfに低下してい
た。続いて前記実施例1と同一条件で耐熱老化試験を行
った処、重量変化は−4.5%であり、ペレットの圧壊
強度は20kgfに低下していた。ペレットの外観は、
試験前の灰白色から真っ黒に変色していた。これはデキ
ストリンが熱分解して一部炭化したものと考えられる。
【0044】
【実施例7】上記実施例1〜6及び比較例1〜2で用い
たガス発生剤を用いて1リットルタンクテストを行っ
た。尚、1リットルタンクテストは、1リットルの密閉
されたタンク内にガス発生剤を装着したガス発生器を配
置して点火し、そのときの時間の経過と容器内圧力の変
化を調べるものであり、その一般的なパターンを図1に
示した。図1において、t0 は点火開始時間,t1 は点
火から燃焼開始までの時間,Pmax.は最高圧力,t
Pmax.はPmax.までの時間を示しており、t1
が短いほど着火性が良い事を意味し、tPmax.が短
いほど燃焼速度が速い事を意味している。この1リット
ルタンクテストの結果をまとめて表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1において、各実施例及び比較例中の上
段の「環境試験前」の欄には、打錠機で加圧成形して得
られたままのペレットを用いた試験結果を示し、中段の
「熱衝撃試験後」の欄には、前述の+90℃〜−40℃
を1.1時間内に200サイクル繰り返す熱衝撃試験を
行った後のペレットを用いた試験結果を示し、下段の
「耐熱老化試験後」の欄には、前述の120℃で100
時間保持する耐熱老化試験を行った後のペレットを用い
た試験結果を夫々示している。従って、比較例1では、
熱衝撃試験で粉化しているので、熱衝撃試験後の1リッ
トルタンクテストは見送っている。又、比較例2では、
耐熱老化試験では変色が激しく且つ重量減も大きいの
で、このペレットによる1リットルタンクテストは見送
っている。
【0047】この表1から明らかな様に、本発明のガス
発生剤は、熱衝撃試験及び耐熱老化試験の後でもt1 ,
Pmax.,t−Pmax.のいずれの値も略一定して
おり、環境の変化があっても燃焼特性が維持される事が
分かる。一方、バインダーとして従来から最もよく使用
されているデキストリンを用いた比較例2の場合には、
環境試験を行う前と後とでは、上記データは著しく異な
っており、環境の変化に耐えられない事が分かる。因み
に、バインダーを添加していない比較例1の場合には、
熱衝撃試験に全く耐えられず、従って、使用に耐えない
事は言うまでもない。
【0048】
【発明の効果】以上詳述した如く、本発明のガス発生剤
は、従来のデキストリン等の一般的なバインダーに代え
て、所謂「ホルムアルデヒド系樹脂」をバインダーとし
て使用するものであるので、以下の如き顕著な効果があ
る。 (1)「ホルムアルデヒド系樹脂」は、熱硬化性樹脂の
一種であるので、熱衝撃試験や耐熱老化試験等の熱的環
境の変化があっても、加熱される事によりバインダー自
体が硬化してガス発生剤構成成分の粒子を強固に結合さ
せる事になり、その結果、熱的環境の変化があっても、
その燃焼特性は殆ど影響を受ける事のないガス発生剤を
提供する事が可能となる。 (2)「ホルムアルデヒド系樹脂」は、熱硬化性樹脂の
一種であるので、所定形状のペレットに成形後に加熱処
理を施す事により、ペレットの強度を一層高める事が可
能となる。 (3)前記「ホルムアルデヒド系樹脂」の原料となるテ
トラゾール系化合物或いはグアニジン系化合物等の「ア
ミン類」は、ガス発生成分としても使用されるものであ
るから、バインダー原料としての「アミン類」とガス発
生成分としての「アミン類」とを、同一物質に選定すれ
ば、多量の「アミン類」にバインダーとして必要量の
「アルデヒド類」等の反応物を添加し、余剰の「アミン
類」を含有したこの反応液中に、酸化剤,燃焼調整剤等
の他の成分を添加、混練する事ができるので、バインダ
ーの合成工程とガス発生剤の成分調整工程を分離する必
要がなく一ケ所で且つ1つの容器で行う事が可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】1リットルタンク試験の結果を示す時間と圧力
変化を示す図である。
【符号の説明】
0 点火開始時間 t1 燃焼開始時間 Pmax. 最高圧力 t−Pmax. 最高圧力までの時間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩崎 誠 兵庫県姫路市豊富町豊富3903−39 日本化 薬株式会社姫路工場内 (72)発明者 田中 昭彦 兵庫県姫路市豊富町豊富3903−39 日本化 薬株式会社姫路工場内 (72)発明者 箕口 亨 兵庫県姫路市豊富町豊富3903−39 日本化 薬株式会社姫路工場内センサー・テクノロ ジー株式会社姫路テクニカルセンター内 (72)発明者 吉川 英一郎 兵庫県姫路市豊富町豊富3903−39 日本化 薬株式会社姫路工場内センサー・テクノロ ジー株式会社姫路テクニカルセンター内 (72)発明者 黒岩 顕彦 兵庫県姫路市豊富町豊富3903−39 日本化 薬株式会社姫路工場内センサー・テクノロ ジー株式会社姫路テクニカルセンター内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガス発生成分と酸化剤とを含むガス発生
    剤組成物を、次の(a) 〜(d) の反応生成物のいずれか1
    種以上をバインダーとして用いて所定形状に成形した事
    を特徴とするエアバッグ用ガス発生剤。 (a) アンモニア若しくはその塩又は構造式中に−NH2
    基若しくは−NH−を有する化合物と、構造式中に−C
    HO基を有する有機化合物又は−CHO基を生じ得る有
    機化合物とを反応させて得られた反応生成物。 (b) 上記(a) で得られた反応生成物と、構造式中に−O
    H基を有する化合物とを反応させて得られた二次反応生
    成物。 (c) 構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
    と、N−メチロール化合物とを反応させて得られた反応
    生成物。 (d) 構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
    と、N−アルコキシ化合物とを反応させて得られた反応
    生成物。
  2. 【請求項2】 前記請求項1の(a) ,(c) 又は(d) に記
    載の構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
    が、モノエタノールアミン,ヒドロキシアミン,ホルム
    アミド,酢酸アミド,カルボンアミド,アゾジカルボン
    アミド,ヒドラゾジカルボアミド,アミノモノプロパノ
    ール,アゾビスホルムアミド,セミカルバジド,アセト
    ンセミカルバゾン,ヒドラジン,ホルミルヒドラジン,
    ホルムアミジン,モノエチルヒドラジン,カルボヒドラ
    ジド,シアナミド,ジシアンジアミド,アミノテトラゾ
    ール,グアニジン,アミノグアニジン,トリアミノグア
    ニジンナイトレート,ニトログアニジン,アゾジグアニ
    ジン,ビグアニド,蓚酸ジヒドラジド,ビウレット,尿
    素,モノヒドロキシ尿素,チオ尿素,メラミン,ジエタ
    ノールアミン,モノエチルアミノモノエタノールアミ
    ン,ヘキサメチレンテトラミン,トリアゾール,テトラ
    ゾール,ビテトラゾール或いはこれらの塩からなる群よ
    り選ばれた1種以上である請求項1に記載のエアバッグ
    用ガス発生剤。
  3. 【請求項3】 前記請求項1の(a) ,(c) 又は(d) に記
    載の構造式中に−NH−を有する化合物が、請求項2に
    記載の化合物をN−メチロール化して得られたものであ
    る請求項1に記載のエアバッグ用ガス発生剤。
  4. 【請求項4】 前記請求項1の(a) に記載の構造式中に
    −CHO基を有する有機化合物が、ホルムアルデヒド,
    アセトアルデヒド,プロピオンアルデヒド,n−ブチル
    アルデヒド,n−ヴァレルアルデヒド,n−カプロンア
    ルデヒド,アクロレイン,クロトンアルデヒド,グリオ
    キザールからなる群より選ばれた1種以上である請求項
    1に記載のエアバッグ用ガス発生剤。
  5. 【請求項5】 前記請求項1の(a) に記載の−CHO基
    を生じ得る有機化合物が、ホルムアミド,パラホルムア
    ルデヒド,トリオキサン,ヘキサメチレンテトラミン,
    テトラオキサン,メタアルデヒド,アゾビスホルムアミ
    ドからなる群より選ばれた1種以上である請求項1に記
    載のエアバッグ用ガス発生剤。
  6. 【請求項6】 前記請求項1の(b) に記載の構造式中に
    −OH基を有する化合物が、炭素(C)又は窒素(N)
    に結合した−OH基を有するものである請求項1に記載
    のエアバッグ用ガス発生剤。
  7. 【請求項7】 前記炭素(C)又は窒素(N)に結合し
    た−OH基を有する化合物が、メタノール,エタノー
    ル,モノエタノールアミン,アミノプロパノール,ジエ
    タノールアミン,ヒドロキシエチルヒドラジン,エチル
    アミノエタノールアミン,ヒドロキシルアミン,ヒドロ
    キシル尿素,ホルムアミドキシム,ホルムアルドキシム
    からなる群より選ばれた1種以上である請求項6に記載
    のエアバッグ用ガス発生剤。
  8. 【請求項8】 前記請求項1の(c) に記載のN−メチロ
    ール化合物が、請求項2又は3に記載の物質をN−メチ
    ロール化して得られたものである請求項1に記載のエア
    バッグ用ガス発生剤。
  9. 【請求項9】 前記請求項1の(d) に記載のN−アルコ
    キシ化合物が、請求項2に記載の物質をN−アルコキシ
    化して得られたものである請求項1に記載のエアバッグ
    用ガス発生剤。
  10. 【請求項10】 前記ガス発生剤が、10〜40重量%
    のガス発生成分と、50〜80重量%の酸化剤と、3〜
    20重量%のバインダーとからなる請求項1乃至9のい
    ずれかに記載のエアバッグ用ガス発生剤。
  11. 【請求項11】 前記ガス発生剤が、10〜40重量%
    のガス発生成分と、50〜80重量%の酸化剤と、1〜
    10重量%の燃焼触媒成分と、3〜20重量%のバイン
    ダーとからなる請求項1乃至10のいずれかに記載のエ
    アバッグ用ガス発生剤。
  12. 【請求項12】 ガス発生成分と酸化剤とを含む混合物
    を、バインダーとしての次の(a) 〜(d) の反応生成物の
    いずれか1種以上の存在下で混練した後、これを乾燥
    し、続いてこの乾燥物を粉砕し、得られた粉砕物を所定
    形状に成形する事を特徴とするガス発生剤の製造方法。 (a) アンモニア若しくはその塩又は構造式中に−NH2
    基若しくは−NH−を有する化合物と、構造式中に−C
    HO基を有する有機化合物又は−CHO基を生じ得る有
    機化合物とを反応させて得られた反応生成物。 (b) 上記(a) で得られた反応生成物と、構造式中に−O
    H基を有する化合物とを反応させて得られた二次反応生
    成物。 (c) 構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
    と、N−メチロール化合物とを反応させて得られた反応
    生成物。 (d) 構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
    と、N−アルコキシ化合物とを反応させて得られた反応
    生成物。
  13. 【請求項13】 ガス発生成分と酸化剤とを含む混合物
    を、バインダーとしての次の(a) 〜(d) の反応生成物の
    いずれか1種以上の存在下で混練した後、それを所定形
    状に成形し、しかる後に、これを乾燥する事を特徴とす
    るガス発生剤の製造方法。 (a) アンモニア若しくはその塩又は構造式中に−NH2
    基若しくは−NH−を有する化合物と、構造式中に−C
    HO基を有する有機化合物又は−CHO基を生じ得る有
    機化合物とを反応させて得られた反応生成物。 (b) 上記(a) で得られた反応生成物と、構造式中に−O
    H基を有する化合物とを反応させて得られた二次反応生
    成物。 (c) 構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
    と、N−メチロール化合物とを反応させて得られた反応
    生成物。 (d) 構造式中に−NH2 基又は−NH−を有する化合物
    と、N−アルコキシ化合物とを反応させて得られた反応
    生成物。
  14. 【請求項14】 前記ガス発生成分が、構造式中に−N
    2 基又は−NH−を有する化合物であり、この化合物
    に、構造式中に−CHO基を有する有機化合物、−CH
    O基を生じ得る有機化合物、N−メチロール化合物、又
    は、N−アルコキシ化合物を反応させる事により、前記
    ガス発生成分の一部を予めバインダーに変化させ、この
    混合物に、酸化剤その他のガス発生剤用添加物を添加混
    練する請求項12又は13に記載のガス発生剤の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 前記所定形状に成形して得られた成形
    体を90℃以上の温度で加熱する事により、前記成形体
    中のバインダーを熱硬化させる請求項12乃至14のい
    ずれかに記載のガス発生剤の製造方法。
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