JP2000093886A - 塗膜剥離用被覆剤及びそれを用いた塗膜剥離方法 - Google Patents

塗膜剥離用被覆剤及びそれを用いた塗膜剥離方法

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JP2000093886A
JP2000093886A JP10264869A JP26486998A JP2000093886A JP 2000093886 A JP2000093886 A JP 2000093886A JP 10264869 A JP10264869 A JP 10264869A JP 26486998 A JP26486998 A JP 26486998A JP 2000093886 A JP2000093886 A JP 2000093886A
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coating film
film
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Masami Kawachi
正水 河内
Ryuji Kitaguchi
龍司 北口
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Sanwa Yuka Industry Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の物体の表面に形成された塗膜、特に、
従来では剥離が困難とされている熱硬化型塗膜に対して
も、容易に剥離可能と為すと共に、廃棄物の発生量が少
なく、その取り扱いも容易である塗膜剥離用被覆剤、及
びそれを用いた塗膜剥離方法を提供すること。 【解決手段】 少なくとも1種の被膜形成物質と共に、
加熱により分解してガスを発生する少なくとも1種の発
泡剤が添加、含有せしめられてなる、塗膜剥離用被覆剤
を調製し、所定の物体の表面に、予め塗布せしめた。そ
して、その塗布により、物体の表面に塗膜剥離層を形成
して、その塗膜剥離層上に、除去されるべき塗膜が形成
されるように為し、塗膜の形成の後に、塗膜が形成され
た物体を発泡剤の分解温度以上に加熱することによっ
て、塗膜剥離層中に存在する発泡剤を分解せしめ、生じ
た分解ガスにて塗膜を浮き上がらせて、塗膜を剥離・除
去せしめるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、塗膜剥離用被覆剤及びそれを用
いた塗膜剥離方法に係り、特に、塗装工程で用いられる
治具等の物体の表面に付着する塗膜の剥離を容易に行な
い得る被覆剤と、そのような被覆剤を用いて、塗装治具
等の物体の表面に付着する塗膜を効果的に剥離・除去せ
しめ得る方法に関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、金属製品やプラスチック成形品
等を塗装する際に、それら被塗装物を支持する支台や支
持具として、またそれを釣り下げるフックとして、更に
は非塗装部分を覆うカバー等として、各種の塗装治具が
用いられてきている。ところで、塗装操作は、塗料を噴
霧、ハケ塗り、浸漬等の手法によって被塗装物表面に被
着せしめることにより実施され、特に、噴霧や浸漬にて
塗装を行なう場合にあっては、塗装治具に、塗料が付着
するのは避けられない。而して、そのような治具に付着
した塗料は、乾燥工程において乾燥されたり、更には焼
き付け工程を経ることにより、強靱な塗膜を形成するよ
うになるのであり、また、塗装治具が繰り返し使用され
ると、治具表面に塗膜が幾重にも堆積することとなるの
であって、そのために、塗装治具としての使用が困難と
なったり、或いは何らかの理由にて塗膜が剥がれ落ちた
り等すると、それが塗膜欠陥の発生の原因ともなったり
するところから、そのような塗装治具表面に堆積した塗
膜を定期的に剥離・除去せしめる必要が生じる。
【0003】このため、そのような塗装治具に付着した
塗膜を剥離する方法として各種の手法が提案され、例え
ば、ハロゲン化炭化水素、シンナー、高沸点有機溶剤等
の溶剤中に浸漬して、塗膜を膨潤、溶解せしめる方法;
高温の濃厚なアルカリ水溶液中に浸漬することにより、
塗膜を分解して、剥離する方法;高圧のウォータージェ
ットで塗膜を剥離する方法;液体窒素中に浸漬して、脆
くなった状態で、機械的な力を加えて、剥離する方法等
が知られているが、それら何れの方法にも、各種の問題
が内在しているのである。
【0004】因みに、治具表面に堆積した塗膜を、有機
溶剤中に浸漬することによって、塗膜を膨潤、溶解する
方法にあっては、熱硬化型塗膜の如き架橋した塗膜に対
しては、膨潤が困難であって、剥離し難く、また膨潤し
た塗膜片や溶解した塗料が治具へ再付着する問題を内在
しているのである。また、高温の濃厚なアルカリ水溶液
中への浸漬による塗膜の分解・剥離方法では、泥状化し
た塗料が浮上して、前記と同様な再付着の問題があるこ
とに加えて、多量の廃液を発生するという問題も内在し
ているのである。更に、高圧ウォータージェットを用い
る方法は、未硬化の塗膜や生乾き状態の塗料(膜)の剥
離・除去には有効であるものの、堆積して強靱な塗膜と
なったものの剥離は困難であって、単に、上記の有機溶
剤を用いる方法や濃厚なアルカリ水溶液を用いる方法の
補完的な手段として用いられ得るのみであり、しかも形
状の複雑な治具には適用し難い問題があったのであり、
更にまた、液体窒素を用いる方法にあっては、廃棄物の
発生量が少なく、その取り扱いも容易ではあるが、大型
の治具には適用し難く、また処理コストが高くつくとい
う問題も内在している。
【0005】その他、塗装治具の表面に塗膜が付着する
のを回避する方法として、予め治具表面をフィルム状の
テープで被覆する一方、塗装作業が終了した後、かかる
テープを剥離することによって、形成された塗膜を除去
せしめる方法も、検討されてはいるが、そのようなテー
プによる治具表面の被覆には、手間がかかり、またその
剥離も容易ではなく、作業性に問題があり、満足し得る
ものではなかったのである。
【0006】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その解決しようとする
課題とするところは、治具表面に堆積した塗膜の如き、
所定の物体の表面に形成された塗膜を、廃棄物の発生量
が少なく、その取り扱いも容易であり、且つ従来では剥
離が困難とされている熱硬化型塗膜に対しても容易に剥
離可能と為す塗膜剥離用被覆剤を提供することにあり、
また、そのような塗膜を効果的に剥離・除去せしめて、
物体の表面を容易に清浄化し得る方法を提供することに
ある。
【0007】
【解決手段】そこで、本発明者等は、上述せる如き課題
を解決するために、鋭意検討した結果、所定の塗装操作
に先立って、塗膜が形成される物体の表面に、予め、被
膜形成物質と所定の発泡剤とを含有する被覆剤を塗布し
て、かかる物体表面に塗膜剥離層を設けておき、そして
所定の塗装操作で形成される塗膜の付着した物体を、前
記発泡剤の分解温度以上に加熱することにより、分解ガ
スを発生せしめて、塗膜を浮き上がらせ、以て物体表面
より剥離せしめて、容易に除去し得ることを見い出し、
本発明に到達したのである。
【0008】すなわち、本発明は、かかる知見に基づい
て完成されたものであって、その要旨とするところは、
所定の物体の表面に形成される塗膜を剥離・除去するた
めに、該物体の表面に予め塗布せしめられる被覆剤にし
て、少なくとも1種の被膜形成物質と共に、加熱により
分解してガスを発生する発泡剤の少なくとも1種を添
加、含有せしめてなることを特徴とする塗膜剥離用被覆
剤にある。
【0009】このように、本発明に従う塗膜剥離用被覆
剤にあっては、加熱により分解してガスを発生する発泡
剤を含有するものであるところから、そのような被覆剤
の塗布によって、所定の物体表面に形成される塗膜剥離
層中には、かかる発泡剤が存在しており、そして除去さ
れるべき塗膜は、そのような塗膜剥離層の上に形成され
ることとなるために、かかる塗膜剥離層中の発泡剤を加
熱により分解せしめて、ガスを発生させることによっ
て、かかる塗膜剥離層上に形成された塗膜が容易に浮き
上がることとなり、以てその剥離・除去が、効果的に行
なわれ得るようになるのである。
【0010】なお、かかる本発明に従う塗膜剥離用被覆
剤の好ましい態様の一つによれば、前記発泡剤は、前記
被膜形成物質の1重量部に対して、0.01〜1重量部
の割合において含有せしめられている。
【0011】また、本発明の望ましい態様の他の一つに
よれば、前記被膜形成物質は、水溶性若しくはアルカリ
可溶性の有機高分子化合物であって、該有機高分子化合
物を溶解せしめてなる液体媒体中に、前記発泡剤が更に
添加、配合されてなるものであり、これによって、所定
の物体表面上に形成される塗膜剥離層の除去も効果的に
行なわれ得ることとなるのである。
【0012】さらに、本発明にあっては、前記発泡剤と
して、アゾ系化合物、ヒドラジン誘導体、N,N′−ジ
ニトロソ化合物、及びテトラゾール誘導体からなる群よ
り選ばれた有機発泡剤が、有利に用いられることとな
る。
【0013】そして、本発明は、かくの如き塗膜被覆剤
を用いた塗膜剥離方法をも、その要旨とするものであっ
て、それは、少なくとも1種の被膜形成物質と共に、加
熱により分解してガスを発生する発泡剤の少なくも1種
を添加、含有せしめてなる被覆剤を用いて、その塗布に
より、所定の物体の表面に塗膜剥離層を形成して、かか
る物体の表面の塗膜剥離層上に、除去されるべき塗膜が
形成されるように為し、そして該塗膜の形成の後に、該
塗膜が形成された物体を前記発泡剤の分解温度以上に加
熱することによって、前記塗膜剥離層中に存在する該発
泡剤を分解せしめ、生じた分解ガスにて前記塗膜を浮き
上がらせて、剥離・除去せしめることを特徴としてい
る。
【0014】なお、このような本発明に従う塗膜剥離方
法にあっても、前記被覆剤における発泡剤は、前記被膜
形成物質の1重量部に対して、0.01〜1重量部の割
合において含有せしめられていることが望ましく、ま
た、被膜形成物質は、水溶性若しくはアルカリ可溶性の
有機高分子化合物であって、該有機高分子化合物を溶解
せしめてなる液体媒体中に、前記発泡剤が更に添加、配
合されていることが、望ましい。
【0015】また、本発明に従う塗膜剥離方法の好まし
い態様の一つによれば、前記被覆剤における発泡剤は、
前記塗膜の形成工程における熱履歴温度よりも10℃以
上高い分解温度を有しており、これによって、塗膜の形
成工程の後に、物体表面から塗膜の剥離を有効に行なう
ことが出来るのである。
【0016】さらに、本発明に従う塗膜剥離方法の他の
望ましい態様によれば、前記塗膜剥離層は、10〜30
0μmの厚さの被覆として形成され、或いはまた、前記
塗膜の形成された物体の加熱温度が、前記発泡剤の分解
温度よりも10℃以上高い温度とされ、これらによっ
て、また、除去されるべき塗膜の剥離が、有効に行なわ
れることとなる。
【0017】なお、かかる本発明に従う塗膜剥離方法に
おいては、また、前記塗膜の剥離操作が実施された後、
前記物体が更に温水中若しくは希アルカリ水中に浸漬せ
しめられて、該物体表面の清浄化が有利に実施されるこ
ととなるのである。
【0018】そして、このような本発明に従う塗膜剥離
方法は、特に、前記物体として塗装治具が対象とされる
場合において、有利に適用され得るものであり、そのよ
うな塗装治具上に、塗装作業の進行に伴って堆積する塗
膜が、本発明に従って、有利に剥離・除去せしめられる
のである。
【0019】
【発明の実施の形態】ところで、かくの如き本発明に従
う塗膜剥離用被覆剤、及びそれを用いた塗膜剥離方法に
あっては、所定の物体の表面に形成される塗膜を剥離・
除去するために、かかる物体の表面に予め塗布されて、
所定の発泡剤を含む塗膜剥離層を形成せしめる必要があ
るところから、そこで用いられる被覆剤には、少なくと
も1種の天然若しくは合成の被膜形成物質が含有せしめ
られている必要があり、そのような被膜形成物質の含有
によって、初めて、所定厚さの塗膜剥離層の形成が可能
となるのである。そして、そのような被膜形成物質とし
ては、水、或いは他の溶媒に可溶性である、従来から公
知の各種の天然若しくは合成のものが、単独で、或いは
組み合わせて、適宜に用いられることとなるが、物体表
面に形成される塗膜剥離層も、また、塗膜と同様に最終
的に除去せしめる必要があるところから、被膜形成物質
としては、水洗により、或いは低濃度のアルカリ水溶液
にての洗浄により除去のしやすい、水溶性またはアルカ
リ可溶性の天然若しくは合成の有機高分子化合物である
ことが望ましい。
【0020】なお、そのような水溶性またはアルカリ可
溶性の有機高分子化合物としては、部分鹸化若しくは完
全鹸化したポリビニルアルコールの他、アクリル酸、メ
タクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキ
シエチルメタクリレート、スチレンスルホン酸等の水溶
性単量体群から選ばれた1種以上の単量体と、アクリル
酸若しくはメタクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)
エステル、スチレン等の非水溶性単量体群から選ばれた
1種以上の単量体との共重合によって得られる高分子化
合物や、無水マレイン酸とビニル系単量体との共重合物
等を挙げることが出来、また、それら高分子化合物は、
1価のカチオンで部分中和若しくは完全中和されたもの
であっても、何ら差し支えない。更に、天然の被膜形成
物質としては、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、
酢酸セルロース等のセルロース誘導体を挙げることが出
来る。
【0021】また、上記の被膜形成物質と共に、本発明
に従う被覆剤の構成成分の他の一つである発泡剤は、加
熱によりガスを発生するものであって、一般にプラスチ
ックの発泡剤として知られているものが適宜に用いら
れ、例えば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチ
ロニトリル等のアゾ系化合物;p−トルエンスルホニル
ヒドラジン、p,p′−オキシビス(ベンゼンスルホヒ
ドラジド)等のヒドラジン誘導体;N,N′−ジニトロ
ソペンタメチレンテトラミン等のN,N′−ジニトロソ
化合物;1−H−テトラゾール、5−フェニルテトラゾ
ール、1−メチル−5−メルカプトテトラゾール、1−
フェニル−5−メルカプトテトラゾール、1,5′−ビ
ステトラゾール・グアニジン塩、5,5′−ビステトラ
ゾール・2アンモニウム塩、5,5′−ビステトラゾー
ル・2アミノグアニジン塩、5,5′−ビステトラゾー
ル・ピペラジン塩、5,5′−アゾビステトラゾール・
ジアミノグアニジン塩、5,5′−アゾビステトラゾー
ル・2グアニジン塩、5,5′−アゾビステトラゾール
・2アミノグアニジン塩等のテトラゾール誘導体の如き
有機性発泡剤が、単独にて、または組み合わせて、用い
られることとなる。
【0022】特に、本発明にあっては、発泡剤として、
塗膜の形成される塗装工程における乾燥操作或いは焼き
付け操作での熱履歴(加熱温度)を考慮して、そのよう
な熱履歴の温度(最高温度)よりも高い温度、望ましく
は10℃以上、更に望ましくは20℃以上高い温度の分
解温度を有するものが有利に用いられることとなる。即
ち、塗装工程では、発泡させず、塗装操作に悪影響をも
たらさないようにする一方、塗装作業が終了した後にお
いて、物体の表面から塗膜を剥離・除去すべき時におい
て、そのような塗装工程における熱履歴温度よりも高い
温度に加熱せしめることによって、発泡剤を急激に分解
せしめ、多量の分解ガスを発生させることによって、塗
膜の剥離・除去を有利に行ない得るのである。
【0023】さらに、かかる発泡剤の被膜形成物質に対
する割合について、それは、目的に応じて任意に選択さ
れるものであるが、通常、被膜形成物質の1重量部に対
して、発泡剤は0.01〜1重量部、好ましくは0.0
5〜0.5重量部の割合において用いられることとな
る。けだし、発泡剤の使用割合が少なくなり過ぎると、
分解ガスの発生が充分でなく、従って、物体表面に被着
した塗膜の持ち上げ(浮き上がり)を充分に行ない難く
なるからであり、また、過剰の発泡剤の使用は、その使
用量に見合う効果を充分に期待し得ず、経済的にコスト
アップを招くおそれを生じるからである。
【0024】そして、本発明に従う被覆剤は、通常、前
記した被膜形成物質及び発泡剤を適当な液体媒体中に添
加、含有せしめて調製され、所定の物体表面に塗布せし
められることとなるのである。中でも、被膜形成物質
は、そのような液体媒体に溶解せしめられると共に、そ
の溶液中に、発泡剤が更に添加、配合されるものであっ
て、一般に、水溶液乃至は水懸濁液の形態において、或
いは適当な有機溶剤を用いた溶剤溶液乃至は溶剤系懸濁
液の形態において調製されるものであるが、そのような
被覆剤(溶液乃至は分散液)には、更に必要に応じて、
物体の被覆部分を識別するための着色剤や粘度調整剤等
の公知の各種の添加剤を加えることも可能である。
【0025】このように、溶液形態において、或いは分
散液形態において調製された被覆剤は、剥離・除去され
るべき塗膜が形成される所定の物体の表面に対して、噴
霧、ハケ塗り、浸漬等の通常の手法により塗布され、そ
の表面に、所定厚さで塗膜剥離層(被膜)が形成される
のである。
【0026】なお、ここで、塗膜剥離層の形成される物
体としては、剥離・除去する必要のある塗膜が形成され
る、部材や部品等の各種形状の物体の何れもが、その対
象とされるものであるが、特に本発明にあっては、繰り
返しの使用によって剥離・除去の困難な堆積塗膜が形成
される塗装治具に対して、有利に適用されるものであっ
て、そのような塗装治具の表面に、本発明に従う被覆剤
を予め塗布して、塗膜剥離層を形成しておくことによ
り、塗装作業の終了後において、そのような塗装治具か
ら堆積塗膜を有利に剥離・除去せしめ得るのである。
【0027】また、かくの如き被覆剤の塗布の後、常温
乾燥乃至は加熱乾燥が行なわれて、目的とする塗膜剥離
層(被膜)が物体表面に形成されるのであるが、その際
の加熱温度は、発泡剤の分解温度よりも低い温度に設定
される必要があることは言うまでもないところである。
そして、そのような乾燥操作を経て形成される塗膜剥離
層(被膜)の厚さとしては、特に限定されるものではな
いが、一般に、10〜300μm、好ましくは30〜2
00μm程度の厚さにおいて、そのような塗膜剥離層の
形成が行なわれるのである。この塗膜剥離層の厚さが薄
くなり過ぎると、分解ガスによる塗膜の持ち上げ作用乃
至は浮き上げ作用が弱くなり、塗膜の剥離・除去効果が
充分でなくなるからであり、また厚くなり過ぎると、塗
膜剥離層自体が脆くなる等の問題を惹起する。
【0028】その後、かかる塗膜剥離層の形成された塗
装治具等の物体は、所定の塗装工程に供され、所定の塗
装操作が実施されるのであり、そして、そのような塗装
操作の終了の後に、かかる物体表面に形成された塗膜を
剥離・除去するために、そのような物体を発泡剤の分解
温度以上に加熱せしめる加熱操作が実施され、これによ
って、塗膜と物体表面との間に存在せしめられる塗膜剥
離層中の発泡剤を分解せしめて、ガスを発生せしめ、以
てその生じた分解ガスにて塗膜を下から持ち上げ、物体
表面から浮き上がらせるようにするのである。
【0029】なお、このように物体表面に形成された塗
膜の剥離のための加熱操作は、通常、熱風、赤外線ヒー
ター、火炎等の加熱手段を備えた炉乃至は装置を用いて
行なわれ、一般に、塗膜剥離層中の発泡剤の分解温度以
上、好ましくは、そのような分解温度よりも10℃以上
高い温度に加熱せしめることによって、かかる発泡剤の
分解による分解ガスの発生を有効に行ない、以て塗膜の
浮き上がり、更には剥離を有効に行なわしめ得るのであ
る。具体的には、発泡剤として、例えば、アゾビスイソ
ブチロニトリルやp−トルエンスルホニルヒトラジンを
用いた場合にあっては、それらの分解温度が約100〜
110℃の範囲内にあるところから、上記の剥離のため
の加熱温度としては、120〜150℃程度に設定する
のが望ましいのであり、また、5,5′−アゾビステト
ラゾール・2アミノグアニジン塩を用いた場合にあって
は、その分解温度が約195〜215℃の範囲内にある
ところから、剥離のための加熱温度としては、225〜
250℃程度に設定することが望ましいのである。
【0030】そして、かくの如き加熱操作にて発泡剤が
分解せしめられ、その分解ガスにより浮き上がった物体
表面の塗膜は、軽く叩き落とす等の機械的な操作にて、
極めて容易に除去せしめられ得るのであり、またそのよ
うな脱落した塗膜剥離物は、従来とは異なり、溶剤や水
分を含んでいないために、その嵩が極めて少なく、従っ
て、廃棄量も少なくなるのでり、また取り扱いも容易で
ある等の特徴を有しているのである。
【0031】また、かかる塗膜の物理的な除去操作に
て、物体表面の塗膜は殆ど取り除かれることとなるが、
そのような物体表面に未だ塗膜が残存していたり、塗膜
剥離層が部分的に付着していたりする場合には、必要に
応じて、水乃至は適当な溶媒中において、物体表面の洗
浄操作が実施され、特に、温水中若しくは希アルカリ水
中に浸漬することにより、表面の清浄化が実施されるこ
ととなる。なお、かかる温水中乃至は希アルカリ水中へ
の浸漬による表面清浄化効果を有利に実現せしめ得る上
において、前記被覆剤中の被膜形成物質として、水溶性
若しくはアルカリ可溶性の有機高分子化合物を用いるこ
とが望ましく、そのような有機高分子化合物からなる被
膜形成物質にて形成された塗膜剥離層は、温水乃至は希
アルカリ水にて容易に溶解、除去せしめられ得るところ
から、そのような塗膜剥離層が存在していても、更には
その上に塗膜が付着していても、それらを物体表面から
効果的に除去せしめ得るのである。
【0032】
【実施例】以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更
に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、その
ような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるも
のでないことは言うまでもないところである。また、本
発明には、以下の実施例の他にも、更には上記した具体
的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおい
て、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良
等を加え得るものであることが、理解されるべきであ
る。なお、以下の実施例中、部及び百分率は、何れも、
重量基準にて示されている。
【0033】実施例 1 アルカリ可溶性のアクリル樹脂を50%濃度において含
むメチルエチルケトン溶液(東亜合成株式会社、商品
名:S−444)の100部と、発泡剤:5−フェニル
テトラゾール(東洋化成工業株式会社、分解温度:21
7〜265℃)の5部と、希釈溶剤:メチルイソブチル
ケトンの30部とを、常温下において均一に混合して、
135部の白濁分散液からなる被覆剤Aを調製した。
【0034】また、比較のために、上記発泡剤(5−フ
ェニルテトラゾール)を添加、配合せしめない、アクリ
ル樹脂のメチルエチルケトン溶液と希釈溶剤(メチルイ
ソブチルケトン)のみからなる透明な溶液を、被覆剤D
として調製した。
【0035】実施例 2 実施例1における発泡剤を、5−アミノ−1H−テトラ
ゾール(東洋化成工業株式会社、分解温度:200〜2
04℃)に置き換えて、実施例1と同様にして、135
部の白濁分散液からなる被覆剤Bを調製した。
【0036】実施例 3 20%ポリビニルアルコール水溶液(クラレ株式会社、
商品名:クラレポバールPVA−105)の100部
と、発泡剤:アゾビスイソブチロニトリル(大塚化学株
式会社、商品名:AIBN、分解温度:100〜102
℃)の10部と、着色剤:炭酸カルシウム粉末の5部と
を、均一に混合せしめて、115部の白濁分散液からな
る被覆剤Cを調製した。
【0037】また、比較のために、発泡剤(アゾビスイ
ソブチロニトリル)を含まないポリビニルアルコール水
溶液と着色剤とからなる白濁分散液を、被覆剤Eとして
調製した。
【0038】実施例 4 上記の実施例で調製された被覆剤A〜Eを用い、各被覆
剤を、それぞれ、一辺が10cmの正方形状の鉄板上
に、ハケにて塗布した後、常温下で4時間乾燥させるこ
とにより、下記の表1に示される如き、平均膜厚を有す
る塗膜剥離層を形成させてなる各種の試験片を作製し
た。
【0039】次いで、各々の試験片の表面に形成してな
る塗膜剥離層の効果を比較するために、各々の試験片
に、アルキッド樹脂系合成樹脂塗料(関西ペイント株式
会社)を常法に従って塗り重ね、下記表1に示される如
き膜厚の塗膜を有する試験片とした後、それぞれの試験
片を下記表1に示す加熱温度にて10分間保持した後、
それぞれの試験片に塗り重ねた塗膜の剥離効果を評価
し、その結果を下記表1に併せ示した。なお、下記表1
における剥離効果において、◎:塗膜層が剥離し、脱落
した、○:塗膜層が剥離し、軽く叩くことにより脱落し
た、×:塗膜層が剥離せず、の状態をそれぞれ表わして
いる。
【0040】
【表1】
【0041】かかる表1の結果から明らかなように、本
発明に従う発泡剤を含有する被覆剤A〜Cにあっては、
それによって鉄板上に形成された塗膜剥離層が、かかる
発泡剤の分解温度以上に加熱せしめられることによっ
て、そのような塗膜剥離層の上に形成された樹脂塗膜を
浮き上がらせて剥離せしめ、以て軽く叩く等することに
より、塗膜層を容易に剥離・除去せしめ得たのに対し
て、比較例の被覆剤D及びEを用いて形成された塗膜剥
離層にあっては、発泡剤が存在せしめられていないとこ
ろから、加熱処理されても、樹脂塗膜は全く剥離せず、
そのために塗膜の除去は不可能であった。
【0042】
【発明の効果】以上の説明から明らかな如く、本発明に
よれば、被膜形成物質と共に、所定の発泡剤を含有せし
めてなる被覆剤にて、塗膜剥離層が形成されて、その上
に、剥離・除去されるべき塗膜が形成されるものである
ところから、加熱によって、かかる塗膜剥離層中の発泡
剤を分解せしめて、分解ガスを発生させることにより、
物体表面より塗膜を効果的に浮き上がらせて、剥離せし
めることが出来るのであり、そして、そのような浮き上
がらせた塗膜は、単に、軽く叩く等の物理的な除去操作
にて容易に除去せしめられ得るところから、従来の方法
に比べて廃棄物の発生量が少なく、またその取り扱いも
容易であり、更には剥離が困難な熱硬化型の塗膜に対し
ても容易に剥離・除去せしめ得る等の優れた効果を奏し
得るのである。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定の物体の表面に形成される塗膜を剥
    離・除去するために、該物体の表面に予め塗布せしめら
    れる被覆剤にして、 少なくとも1種の被膜形成物質と共に、加熱により分解
    してガスを発生する発泡剤の少なくとも1種を添加、含
    有せしめてなることを特徴とする塗膜剥離用被覆剤。
  2. 【請求項2】 前記被膜形成物質の1重量部に対して、
    前記発泡剤が、0.01〜1重量部の割合において含有
    せしめられている請求項1記載の塗膜剥離用被覆剤。
  3. 【請求項3】 前記被膜形成物質が、水溶性若しくはア
    ルカリ可溶性の有機高分子化合物であって、該有機高分
    子化合物を溶解せしめてなる液体媒体中に、前記発泡剤
    が更に添加、配合されている請求項1又は請求項2記載
    の塗膜剥離用被覆剤。
  4. 【請求項4】 前記発泡剤が、アゾ系化合物、ヒドラジ
    ン誘導体、N,N′−ジニトロソ化合物、及びテトラゾ
    ール誘導体からなる群より選ばれた有機発泡剤である請
    求項1乃至請求項3の何れかに記載の塗膜剥離用被覆
    剤。
  5. 【請求項5】 少なくとも1種の被膜形成物質と共に、
    加熱により分解してガスを発生する発泡剤の少なくも1
    種を添加、含有せしめてなる被覆剤を用いて、その塗布
    により、所定の物体の表面に塗膜剥離層を形成して、か
    かる物体の表面の塗膜剥離層上に、除去されるべき塗膜
    が形成されるように為し、そして該塗膜の形成の後に、
    該塗膜が形成された物体を前記発泡剤の分解温度以上に
    加熱することによって、前記塗膜剥離層中に存在する該
    発泡剤を分解せしめ、生じた分解ガスにて前記塗膜を浮
    き上がらせて、剥離・除去せしめることを特徴とする塗
    膜剥離方法。
  6. 【請求項6】 前記被膜形成物質の1重量部に対して、
    前記発泡剤が、0.01〜1重量部の割合において含有
    せしめられている請求項5記載の塗膜剥離方法。
  7. 【請求項7】 前記被膜形成物質が、水溶性若しくはア
    ルカリ可溶性の有機高分子化合物であって、該有機高分
    子化合物を溶解せしめてなる液体媒体中に、前記発泡剤
    が更に添加、配合されている請求項5又は請求項6記載
    の塗膜剥離方法。
  8. 【請求項8】 前記発泡剤が、前記塗膜の形成工程にお
    ける熱履歴温度よりも10℃以上高い分解温度を有して
    いる請求項5乃至請求項7の何れかに記載の塗膜剥離方
    法。
  9. 【請求項9】 前記塗膜剥離層が、10〜300μmの
    厚さの被覆として形成されている請求項5乃至請求項8
    の何れかに記載の塗膜剥離方法。
  10. 【請求項10】 前記塗膜の形成された物体の加熱温度
    が、前記発泡剤の分解温度よりも10℃以上高い温度で
    ある請求項5乃至請求項9の何れかに記載の塗膜剥離方
    法。
  11. 【請求項11】 前記塗膜の剥離操作が実施された後、
    前記物体が更に温水中若しくは希アルカリ水中に浸漬さ
    れて、該物体表面の清浄化が行なわれる請求項5乃至請
    求項10の何れかに記載の塗膜剥離方法。
  12. 【請求項12】 前記物体が、塗装治具である請求項5
    乃至請求項11の何れかに記載の塗膜剥離方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009007526A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Kobe Steel Ltd 剥離用塗料組成物およびその塗膜を有する塗工基材
KR100953863B1 (ko) 2008-08-27 2010-04-20 한국과학기술원 누설 검사용 피에이치 반응성 분체도료의 제거방법
JP2020163330A (ja) * 2019-03-29 2020-10-08 株式会社神鋼環境ソリューション 除染方法

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