JP2009007292A - 口腔用組成物 - Google Patents

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Abstract

【解決手段】(A)プロタミンと、(B)グルコン酸銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、酢酸第二銅から選ばれる1種以上の銅化合物とを含有してなることを特徴とする口腔用組成物。更に、(A)成分/(B)成分が質量比で0.01〜100である上記の口腔用組成物。
【効果】本発明の口腔用組成物は、歯周病原菌による炎症を効果的に抑制し、口臭抑制効果も高く、歯周病の予防又は治療、更には口臭の予防又は抑制に有効である。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯周炎及び口臭抑制効果に優れ、歯周病の予防又は治療、更には口臭の予防又は抑制に有効な口腔用組成物に関する。
歯周病は、歯周病原因菌の病原作用と原因菌に対する生体の防御機構とのバランスが崩れることにより生じる慢性感染性疾患である。原因菌の感染により炎症が進行すると、歯肉が腫れ、出血や膿を生じる。やがては、歯牙を支える歯槽骨が破壊され、歯牙の動揺や歯牙喪失にいたる。歯周病による歯牙の動揺や喪失は、咀嚼機能を低下させ、物を美味しく食べるという生活の質を低下させる。更に、歯周病は、糖尿病や心疾患、妊婦における低体重児出産などの全身疾患のリスクファクターとなることが知られている。そのため、歯周病の予防又は治療は、健康な口腔機能、及び生活の質の維持、回復だけではなく、全身疾患のリスク低減という面からも重要である。
歯周病の予防又は治療には、歯周病の原因菌の排除を目的とした殺菌剤や抗生剤、炎症を抑制する抗炎症剤が用いられている。しかし、殺菌剤や抗生剤は、原因菌以外の常在菌まで除去し、更に、耐性菌の出現や菌交代症を生じるリスクが懸念される。また、抗炎症剤は、生じた炎症を抑制する対処療法的作用であり、原因自体を排除することができず、再発の可能性が高いという欠点があった。そのため、殺菌剤や抗生剤、抗炎症剤を用いる技術に代わるより有効かつ安全性の高い歯周病の予防又は治療技術の開発が望まれている。
抗体を用いた技術は、その代表的なものである。即ち、抗体は、病原菌や病原因子に特異的に結合し、無毒化することで、他の口腔内細菌に影響を与えることなく歯周病の予防又は治療を行うことができる技術であり、原因自体を排除できる有効な手段である。しかし、生体への為害作用を持たない抗体を作製することは難しく、安全性に問題があり、実用化されるには至っていない。
このような状況の中、歯周病原菌が産生するプロテアーゼであるアルジンジパインが、歯周病原因菌の感染に対する生体防御機能で重要な好中球の機能阻害作用、抗体分解作用、また、歯周組織を構成するコラーゲンなどの細胞外マトリックス分解作用を有することなどが報告され、アルジンジパインが歯周病の重要な病原因子であることが解明されてきた。そこで、抗体に代わる病原因子に特異的な歯周病の予防又は治療技術として、アルジンジパイン阻害剤の開発が期待されている。
アルジンジパインを阻害する物質としては、アンチパイン、ロイペプチン、TLCKあるいはE−64等の既知のシステインプロテアーゼ阻害剤が知られているが、いずれも毒性が高いため歯周病の予防、治療には使用されていない。また、アルジンジパインがアルギニン末端を選択的に分解する基質特性に着目した拮抗的阻害剤として、アルギニンを含むペプチド誘導体が提案されている(特許文献1、2参照)が、これは安全性が確認されておらず、実用化されるに至っていない。
また、一般に保存料として食品などに用いられている安全性の高いプロタミンが、アルジンジパイン阻害効果を有することが報告され(非特許文献1参照)、従来の殺菌剤、抗生剤に代わるアルジンジパイン阻害による新しい歯周病の予防又は治療技術として有望とされている(特許文献3、4参照)が、その効果は十分ではなかった。
一方、口臭は、円滑なコミュニケーションを阻害する原因となり、更に、他人から悪く思われたくないと言う気持ちからも、口臭予防に対するニーズは非常に高い。一般に口臭が他覚的に認められる人のほとんどは、口腔内に原因があり、歯槽膿漏などの歯周病やう蝕、口腔内の汚染、不潔な義歯による口腔内自浄作用の低下、更にはフゾクバクテリウム種等の口臭原因菌の増加などが原因となっている。歯牙や歯周組織に炎症反応が生じるとその結果、血球成分や上皮細胞などの含硫アミノ酸に脱アミノ反応が起こり、揮発性硫化物である硫化水素やメチルメルカプタン,ジメチルサルファイドなどの臭気物質が発生すると考えられ、また、プラークコントロールができていないと口腔内細菌により分解されてできた揮発性硫化物質などが発生して口臭となる。
口臭予防技術としては、銅や亜鉛による口臭原因菌に対する抗菌作用及び口臭原因物質の分解作用が開示されている(特許文献5参照)。また、亜鉛がアルジンジパイン阻害効果を有すること、更に、亜鉛がクロルヘキシジンやベンズアミジンと相乗的なアルジンジパイン阻害効果を発揮することも報告され(非特許文献2、3参照)、歯周病予防及び治療技術としても有望である。しかし、これらの技術も十分な口臭予防効果を発揮するとは言い難く、口臭予防においてもより有効な技術の開発が望まれる。
特開平11−228526号公報 特開2001−89436号公報 特開平02−250815号公報 特開平03−261716号公報 特開平07−165544号公報 Kotani M、他5名 「Inhibitory effects of protamines on proteolytic and adhesive activities of Porphiromonasgingivalis.」、Infection Immunity、1999年、第67巻、第9号、p.4917−4920 Krauser JA、他3名、「Inhibition of arginine gingipains(RgpB and HRgpA) with benzamindine inhibitors:zinc increases inhibitory potency.」、Biological Chemistry、2002年、第383巻、第7−8号、p.1193−1198 Cronan CA、他3名、「Inhibition of Porphyromonas gingivalis proteinases(gingipains) by chlorhexidine:synergistic effect of Zn(II).」、Oral Microbiological Immunology、2006年、第21巻、第4号、p.212−217
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、病原因子である歯周病原因菌が産生するアルジンジパイン阻害効果が高く、歯周炎抑制効果及び口臭抑制効果に優れ、歯周病の予防又は治療、口臭の予防又は抑制に有効な口腔用組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、(A)プロタミンと、(B)グルコン酸銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、酢酸第二銅から選ばれる1種以上の銅化合物とを併用することで、高いアルジンジパイン阻害効果が発揮され、歯周炎及び口臭抑制効果に優れ、歯周病予防又は治療、更には口臭予防又は抑制に有効な口腔用組成物が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
この場合、上記したようにプロタミンは、一般に保存料として食品などに用いられて安全性が高いが、後述する実験結果からもわかるように、アルジンジパイン阻害効果が十分とは言い難いものであるのに対して、プロタミンに上記した銅の有機酸塩及び無機酸塩から選ばれる銅化合物を組み合わせて配合することで、これら成分が相乗的に作用して、格段に優れたアルジンジパイン阻害効果が発揮され、高い歯肉炎抑制効果が発揮される上、高い口臭抑制効果も発揮される。このような相乗効果は、プロタミンに、銅が配位した銅クロロフィリンナトリウム、あるいはアルジンジパイン阻害効果を有することが知られている亜鉛化合物、例えばグルコン酸亜鉛を併用してもなし得るものではなく、プロタミンと上記した特定の銅の有機酸塩又は無機酸塩との併用によって発揮されるものである。
従って、本発明は、(A)プロタミンと、(B)グルコン酸銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、酢酸第二銅から選ばれる1種以上の銅化合物とを含有してなることを特徴とする口腔用組成物を提供する。
本発明の口腔用組成物は、歯周病原菌による炎症を効果的に抑制し、口臭抑制効果も高く、人体への安全性も高く、歯周病の予防又は治療、口臭の予防又は抑制に有効である。
以下、本発明につき更に詳細に説明すると、本発明の口腔用組成物は、(A)プロタミンと、(B)グルコン酸銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、酢酸第二銅から選ばれる1種以上の銅化合物とを含有してなる。
本発明で用いる(A)成分のプロタミンは、サケ、マス、ニシン、サバ等の精子核中にデオキシリボ核酸と結合して存在する高アルギニン含量の塩基性蛋白質であり、これら魚介類の精巣中から抽出され、硫酸塩、塩酸塩などの形でも用いることができる。
プロタミンとしては、通常、食品添加物などとして用いられている市販品を使用することができ、例えば株式会社ニチロ製のプロタミンや、有機合成薬品工業株式会社の硫酸プロタミンなどを用いることができる。
プロタミンの配合量は特に定めるものではないが、組成物全体の0.001〜5%(質量百分率、以下同じ)、特に0.01〜1%が好適である。配合量が0.001%未満では配合効果が十分発揮されない場合があり、5%を超えると製剤の安定化が困難となることがある。
次に、本発明で使用する(B)成分の銅化合物は、グルコン酸銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、酢酸第二銅から選ばれる1種又は2種以上の銅の無機酸塩又は有機酸塩である。これら銅化合物としては、無水物だけではなく、硫酸第二銅5水和物などの結晶水を含む水和物も使用することができる。本発明組成物では、これら銅化合物が1種以上含有されていれば良いが、中でも食品や医薬品などの使用実績(安全性)の点からグルコン酸銅及び/又は硫酸第二銅が特に好ましく用いられる。
(B)成分の銅化合物の配合量は、特に定めるものではないが、組成物全体の0.001〜5%、特に0.01〜1%であることが好ましい。配合量が0.001%未満では配合効果が十分に発揮されない場合があり、5%を超えると製剤の安定化が困難となり、かつ、金属味などの問題が顕著になり好ましくない場合がある。
更に、本発明において(A)成分のプロタミンと(B)成分の銅化合物との配合割合は、(A)/(B)が質量比で0.01〜100、好ましくは0.1〜10であり、この範囲内となるように上記配合量の範囲内で調整する。(A)/(B)の質量比が0.01未満であったり、100を超えると、両成分の併用による相乗的な効果が満足に発揮されないことがある。
本発明の口腔用組成物は、プロタミンと特定の銅化合物とを必須に含有するもので、練歯磨、潤製歯磨、液体歯磨等の歯磨剤、洗口剤、ゲル剤、軟膏剤、口中清涼剤、うがい用錠剤、口腔用パスタ、ガム等の各種剤型に調製でき、特に練歯磨、ゲル剤、洗口剤として好適である。ここで、各種剤型に調製する場合、上記必須成分に加えて、その剤型に応じてその他の成分を本発明の効果を損ねない範囲で配合し、通常の方法で調製することができる。
例えば歯磨類の場合には、各種研磨剤、湿潤剤、粘結剤、界面活性剤、甘味料、香料、着色剤、防腐剤、その他の有効成分などを、本発明の効果を妨げない範囲で通常量で用いることができる。
研磨剤としては、沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、ゼオライト、ジルコノシリケート、第2リン酸カルシウム・2水和物及び無水物、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、炭酸マグネシウム、第3リン酸マグネシウム、不溶性メタリン酸ナトリウム、不溶性メタリン酸カリウム、酸化チタン、ハイドロキシアパタイト、合成樹脂系研磨剤等が挙げられる(配合量;通常、組成物全体に対して5〜50%)。
湿潤剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる(配合量;通常、組成物全体に対して10〜50%)。
粘結剤としては、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、タラガム、グアガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ゼラチン、カードラン、アラビアガム、寒天、ペクチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、プルラン等が挙げられる(配合量;通常、組成物全体に対して0.1〜5%)。
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びカチオン性界面活性剤、両性界面活性剤を配合し得る。アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸ナトリウム、N−ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ミリストイルサルコシンナトリウム等のN−アシルサルコシンナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N−パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN−アシルグルタミン酸塩、N−メチル−N−アシルタウリンナトリウム、N−メチル−N−アシルアラニンナトリウム、α−オレフィンスルフォン酸ナトリウムなどが挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの糖アルコール脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などのエーテル型の界面活性剤、ラウリン酸ジエタノールアミド等の脂肪酸アルカノールアミド類が挙げられる。カチオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン、イミダゾリニウムベタイン、レシチンなどが挙げられる(配合量;通常、組成物全体に対して0.5〜5%)。
有効成分としては、上記プロタミンと水溶性銅化合物に加えて、例えば、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸等の抗プラスミン剤、グリチルリチン、グリチルリチン酸塩、アラントイン類等の抗炎症剤、アスコルビン酸塩、トコフェロールエステル等のビタミン類、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム等の酵素、オウバクエキス、オウゴンエキス、チョウジエキス等の生薬成分、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、ヒノキチオール等の殺菌剤、塩化ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、オルソリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、乳酸アルミニウム、キトサン等の無機塩類や有機塩類などである。なお、これら有効成分の配合量は、本発明の効果を妨げない範囲で有効量とすることができる。
甘味剤としては、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、ステビアエキス、パラメトキシシンナミックアルデヒド、ネオヘスペリジルヒドロカルコン、ペリラルチン等が挙げられる。着色剤としては、青色1号、黄色4号、二酸化チタン等が挙げられる。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
香料としては、l−メントール、カルボン、アネトール、リモネン等のテルペン類又はその誘導体やペパーミント油等が挙げられる。
pH調整剤としては、クエン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などが挙げられる。
以下、実験例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において配合量はいずれも質量%である。
また、下記例において、プロタミンは株式会社ニチロ製、グルコン酸銅は富田製薬株式会社製、硫酸第二銅,塩化第二銅,酢酸第二銅,銅クロロフィリンナトリウムはいずれも湘南和光株式会社製のものを用いた。
〔実験例1〕アルジンジパイン阻害活性効果の検討
ビーグル犬(5歳齢、雌)の歯肉炎が見られる下顎4部位(P3、P4、M1近心、M2遠心)を被検部位とし、表1に示す組成のゲル製剤0.5mLをシリンジで被検部位に3時間毎に3回塗布した。処置前及び最終処置3時間後の歯肉溝浸出液(GCF)を、GCFコレクション ストリップス(ぺリオペーパー(登録商標)、ヨシダ社製)を各被験部位歯周ポケットに30秒間挿入することで採取した。GCFコレクション ストリップスを10mmol/Lリン酸ナトリウムバッファー(pH6.0)*1100μLに浸漬することで、GCFの抽出を行い、GCF抽出液のアルジンジパイン活性を測定*2した。
試験薬剤処置前後の単位GCF質量当たりのアルジンジパイン活性の比から、GCF中のアルジンジパイン阻害効果を下記式により求めた。なお、GCF採取量は、GCF採取前後のGCFコレクション ストリップスの質量差から求めた。
結果を表1に示す。
アルジンジパイン阻害効果(%)={(M−N)/M}×100
M;(薬剤処置前のアルジンジパイン活性)/(薬剤処置前の採取GCF質量)
N;(薬剤処置後のアルジンジパイン活性)/(薬剤処置後の採取GCF質量)
*1リン酸ナトリウムバッファー
リン酸二水素ナトリウム二水和物(和光純薬工業社製): 0.156g
1N 水酸化ナトリウム(和光純薬工業社製): 適量(pH6.0に調整)
蒸留水: 残
(全量を100mLにメスアップ)
*2アルジンジパイン活性測定法
5mmol/Lシステインを含む20mmol/Lのリン酸ナトリウムバッファー(pH7.5)を反応バッファー*3とし、GCF抽出液10μLと、反応バッファーにより10μmol/Lに調製した基質(Bz−Arg−MCA:カルボベンゾキシ−L−フェニルアラニル−L−アルギニン−4−メチルクマリル−7−アミド、ペプチド研究所製)140μLを混合し、37℃で15分間反応させた。反応により生成したAMC(7−アミノ−4−メチルクマリン)の蛍光強度を励起波長390nm、測定波長460nmで測定し(フルオロスキャン アセント、大日本製薬社製)、アルジンジパインの活性とした。即ち、蛍光強度が強いほどアルジンジパイン活性が高いことになる。
*3反応バッファー:100mL中の質量
L−システイン(シグマ アルドリッチ社製): 0.0788g
リン酸二水素ナトリウム二水和物(和光純薬工業社製): 0.312g
1N 水酸化ナトリウム(和光純薬工業社製): 適量(pH7.5に調整)
蒸留水: 残
(全量を100mLにメスアップ)
Figure 2009007292
表1から明らかなように、プロタミンとグルコン酸銅、硫酸第二銅、塩化第二銅又は酢酸第二銅とを併用することで、アルジンジパイン阻害効果が相乗的に向上することがわかった。この向上作用は、銅が配位結合した銅クロロフィリンナトリウムや、アルジンジパイン阻害効果が知られる亜鉛の化合物であるグルコン酸亜鉛をプロタアミンと併用した場合では認められず、前記の銅の無機酸塩あるいは有機酸塩からなる銅化合物に特異的な作用であることもわかった。
〔実験例2〕歯肉炎及び口臭の改善効果の検討
アルジンジパイン阻害活性による歯肉炎及び口臭の改善効果を下記方法で検証した。
成人男性を対象に、歯肉炎の評価*4及び口臭の評価*5を行い、歯肉炎評点が0.5点以上1.5点未満、及び、口臭の強度が2点以上3点未満の者を被験者として選定した。被験者は、歯肉炎及び口臭の評点の平均がほぼ同じ値となるように7群に分け(各群5名)、1日2回、表2に示す組成の洗口剤約15mLを口に含み約20秒程すすいだ後、歯ブラシでブラッシングさせた。4週間後に、再び歯肉炎及び口臭の評価を行い、下記評価基準により試験組成物の歯肉炎抑制効果及び口臭抑制効果を求めた。結果を表2に示す。
*4歯肉炎の評価
代表歯6歯(左右の上顎2、6番及び下顎の4番)について、各歯の舌側面の近心、遠心及び頬側面の近心、遠心の4部位、即ち、総部位数24部位(6歯×4部位)に対して下記評価基準により歯肉炎を評価し、24部位の平均値を求めた。更に、下記式により、歯肉炎改善度を求め、歯肉炎抑制効果を下記評価基準により評価した。
<歯肉炎の評価基準>
0点:炎症は認められない。
1点:軽度の炎症。わずかな色調変化があるが、プロービングにより出血は認められな
い。
2点:中等度の炎症。発赤、浮腫、腫脹があり、プロービングにより出血が認められる

3点:重度な炎症。著しい発赤、自然出血が認められる。
<歯肉炎改善度の算出式>
(歯肉炎改善度)=(A−B)/(各群の被験者数)
A:(試験前の歯肉炎評点24部位平均値の合計)
B:(試験後の歯肉炎評点24部位平均値の合計)
<試験組成物の歯肉炎抑制効果評価基準>
◎:顕著な効果あり。 歯肉炎改善度が、0.5点以上
○:効果あり。 歯肉炎改善度が、0.25点以上0.5点未満
△:若干の効果あり。 歯肉炎改善度が、0点より大きく0.25点未満
×:効果なし。 歯肉炎改善度が、0点以下
*5口臭の評価
テドラバッグに採取した呼気1リットルの口臭強度を、専門評価者が下記評価基準に従い評価した。更に、下記式により、口臭改善度を求め、試験組成物の口臭抑制効果を下記評価基準により求めた。
<口臭強度の評価基準>
0点:口臭は認められない。
1点:わずかな口臭が認められる。
2点:口臭が認められる。
3点:著しい口臭が認められる。
<口臭改善度の算出式>
(口臭改善度)=(試験開始前の口臭強度平均値)−(試験後の口臭強度平均値)
なお、口臭強度平均値は、各群における被験者5名の口臭強度を平均した値である。
<試験組成物の口臭抑制効果評価基準>
◎:顕著な効果あり。口臭改善度が、1.5点以上
○:効果あり。口臭改善度が、0.5点以上1.5点未満
△:若干の効果あり。口臭改善度が、0.2点以上0.5点未満
×:効果なし。口臭改善度が、0.2点未満。
Figure 2009007292
表2から明らかなように、プロタミンとグルコン酸銅との併用により、高い歯肉炎抑制効果及び口臭抑制効果が得られ、特にプロタミン/グルコン酸銅が質量比で0.1〜10の場合により効果が高いことが確認された。
〔実施例10〕軟膏剤
プロタミン 0.05
硫酸第二銅 0.5
モノミリスチン酸グリセリル 5
クエン酸 0.1
流動パラフィン 15
白色ワセリン バランス
合計 100.0%
〔実施例11〕ゲル剤
プロタミン 0.01
グルコン酸銅 0.5
ヒロドキシエチルセルロース 1.5
ポリエチレングリコール4000 15
パラオキシ安息香酸エチル 0.03
水 バランス
合計 100.0%
〔実施例12〕歯磨剤(練歯磨)
リン酸カルシウム 25.0
無水ケイ酸 5.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.2
カルボキシメチルセルロース 0.8
カラゲナン 0.5
フッ化ナトリウム 0.2
プロタミン 0.01
グルコン酸銅 0.05
ソルビトール 15.0
香料 1.0
水 バランス
合計 100.0%
〔実施例13〕歯磨剤(練歯磨)
無水ケイ酸 15.0
ラウリル硫酸ナトリウム 1.0
キサンタンガム 0.5
アルギン酸ナトリウム 0.5
サッカリンナトリウム 0.1
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.1
プロタミン 0.02
グルコン酸銅 0.05
ソルビトール 10.0
キシリトール 5.0
香料 1.0
水 バランス
合計 100.0%
〔実施例14〕洗口剤
エタノール 10.0
プロタミン 0.01
グルコン酸銅 0.05
トラネキサム酸 0.05
ソルビトール 5.0
キシリトール 5.0
ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.5
サッカリンナトリウム 0.2
香料 0.8
水 バランス
合計 100.0%
〔実施例15〕ガム
ガムベース 20.0
香料 1.0
水飴 20.0
粉糖 10.0
クエン酸3ナトリウム 1.5
プロタミン 0.01
グルコン酸銅 0.3
ソルビトール 15.0
キシリトール 10.0
水 バランス
合計 100.0%

Claims (2)

  1. (A)プロタミンと、(B)グルコン酸銅、硫酸第二銅、塩化第二銅、酢酸第二銅から選ばれる1種以上の銅化合物とを含有してなることを特徴とする口腔用組成物。
  2. (A)成分/(B)成分が質量比で0.01〜100であることを特徴とする請求項1に記載の口腔用組成物。
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