JP2009006817A - タイヤ・リム組立体 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸音部材、ひいては、タイヤ・リム組立体の軽量化と併せて、吸音効果の一層の向上をもたらすタイヤ・リム組立体およびそれに積みつける空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】フィラメントの断面における最大幅をL1とし、この最大幅方向と直交する方向における最大高さをL2としたとき、L2とL1との比L2/L1を、0.9以下にする。
【選択図】図4
【解決手段】フィラメントの断面における最大幅をL1とし、この最大幅方向と直交する方向における最大高さをL2としたとき、L2とL1との比L2/L1を、0.9以下にする。
【選択図】図4
Description
この発明は車室内騒音の低減をもたらすタイヤ・リム組立体、および、それに組み付けられる空気入りタイヤに関するものであり、タイヤ・リム組立体の軽量化を図るとともに、タイヤ気室内の空洞共鳴騒音の一層の低減を可能とする技術に関する。
車室内騒音の発生原因の一つとしては、空気入りタイヤと、それを気密に組付けた適用リムとで区画されるタイヤ気室内への充填空気が、タイヤの負荷転動に伴う、トレッド接地面の路面凹凸への衝接によって振動されて空洞共鳴を生じることが挙げられる。
そこで、このような空洞共鳴騒音を吸収して車室内騒音の低減を図るべく、特許文献1および2のそれぞれには、空気入りタイヤの内面に、不織布もしくはスポンジ材からなる吸音部材を固着させて配置して、充填空気の振動エネルギを、吸音部材の内部で熱エネルギに返還することによって空洞共鳴騒音を低減させる技術が提案されている。
特許第3384633号公報
特許第3622957号公報
この発明は、とくに、不織布からなる吸音部材を配設してなる上記提案技術のタイヤ・リム組立体に一層の改良を加えたものであり、吸音部材、ひいては、タイヤ・リム組立体の軽量化と併せて、吸音効果の一層の向上をもたらすタイヤ・リム組立体、および、それに組み付けられる空気入りタイヤを提供するものである。
<1>は、空気入りタイヤと、それを気密に組付けた適用リムとで区画されるタイヤ気室内に、繊維フィラメントを絡ませて成型した不織布からなる吸音部材を配設したタイヤ・リム組立体において、
フィラメントの断面における最大幅をL1とし、この最大幅方向と直交する方向における最大高さをL2としたとき、L2とL1との比L2/L1が、0.9以下であることを特徴とするタイヤ・リム組立体である。
フィラメントの断面における最大幅をL1とし、この最大幅方向と直交する方向における最大高さをL2としたとき、L2とL1との比L2/L1が、0.9以下であることを特徴とするタイヤ・リム組立体である。
ここで、「適用リム」とは、タイヤのサイズに応じて下記の規格に規定されるリムをいい、規格とは、タイヤが生産または使用される地域に有効な産業規格をいい、たとえば、アメリカ合衆国では“THE TIRE AND RIM ASSOCIATION INC.のYEAR BOOK”であり、欧州では、“THE European Tyre and Rim Technical Organisation のSTANDARDS MANUAL”であり、日本では日本自動車タイヤ協会の“JATMA YEAR BOOK”である。
<2>は、<1>において、前記フィラメントの断面形状が楕円形であることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のタイヤ・リム組立体である。
<3>は、<1>もしくは<2>において、前記吸音部材が前記適用リム上の少なくとも一部に固着されていることを特徴とするタイヤ・リム組立体である。
<4>は、<1>〜<3>のいずれかのタイヤ・リム組立体に組み付けられる空気入りタイヤであって、前記吸音部材が、トレッド部内面の少なくとも一部に固着されていることを特徴とする空気入りタイヤである。
<1>の発明によれば、前記L2とL1との比L2/L1が、0.9以下であるとしたので、不織布よりなる吸音部材内に進入した音波の振動エネルギーを繊維フィラメントにより効果的に減衰させて、空洞共鳴音を効果的に低減することができる。
<2>によれば、前記フィラメントの断面形状が楕円形としたので、一般的な円形断面のフィラメントに対比して、製造コストを増加させることなく、吸音効果を高めることができる。
<4>によれば、前記吸音部材が前記適用リム上の少なくとも一部に固着されているので、吸音部材の位置における回転半径が小さいことによりタイヤが回転する際の吸音部材の慣性モーメントを小さくし、吸音部材がタイヤ・リム組立体に及ぼす影響を抑えることができる。
<5>の発明によれば、前記吸音部材が、トレッド部内面の少なくとも一部に固着されているので、適用リムに対する空気入りタイヤの着脱に際し、前記吸音部材が作業の邪魔になることがなく、吸音部材の損傷の発生の虞を効果的に取り除くことができ、その本来の機能を長期間に亘って発揮させることができる。
図1はこの発明に係るタイヤ・リム組立体の実施形態を、それの転動姿勢で示すタイヤ幅方向の部分略線断面図であり、図中1は空気入りタイヤの全体を、2は、そのタイヤ1を組付けた適用リムをそれぞれ示す。
空気入りタイヤ1は、トレッド部3、このトレッド部3のそれぞれの側部に連続する一部のサイドウォール部4および、各サイドウォール部4の内周側に連続するビード部5を具えてなり、これらの各部は、両ビード部間にトロイダルに延びてタイヤの骨格をなすカーカス6によって補強され、そしてトレッド部3は、カーカス6のクラウン域の外周側に配置したベルト7によってさらに補強される。
なお、図中Wは、トレッド接地幅を示すものとし、Eは、タイヤ赤道面を示すものとする。
なお、図中Wは、トレッド接地幅を示すものとし、Eは、タイヤ赤道面を示すものとする。
そして、ここにおけるタイヤ1はさらに、インナーライナ8の内面、繊維フィラメントを絡ませて成型した不織布からなる吸音部材9を、たとえば、そこに溶融含浸させた含浸層その他の接着層10を介して、タイヤ赤道面Eを中心として、たとえば、インナーライナ8の全周にわたって、または周方向の一部分だけに固着させてなる。
なお、吸音部材9をトレッド部の内側に貼り付ける場合の他、図1において2点鎖線で示すようにサイドウォール部4に固着させたり、あるいは、ビード部5の内面に固着させてもよい。
ここで、不織布からなる吸音部材9は、図2に要部を拡大断面図で例示するように、タイヤ赤道面Eを中心として、トレッド接地幅Wの30〜100%に相当する範囲内の幅を有するものとすることが、タイヤの耐久性を損なうことなしに、すぐれた吸音効果を発揮させることができる点で好ましい。また、それの厚さtは、0.5〜50mmの範囲とするのが、すぐれた吸音効果を発揮させるとともに吸音材の耐久性を確保する点で好ましく、その厚みが0.5mm未満では、吸音効果が不足ぎみとなり、50mmを超えると、質量の増加に起因して、高速回転時の遠心力による変形が大きくなって、剥離等の発生のおそれが高くなる。
上記の説明において、「トレッド接地幅」とは、空気入りタイヤを前記適用リムに装着して規定の空気圧を充填するとともに、そのタイヤを平板上に重直姿勢で静止配置して、規定の質量に対応する負荷を加えたときの、平板との接触面におけるタイヤ軸方向最大直線距離をいう。
なお、上記の説明において、「規定の空気圧」とは、下記の規格において、最大負荷能力に対応させて規定される空気圧をいい、最大負荷能力とは、下記の規格で、タイヤに負荷することが許容される最大の質量をいう。また、「規定の質量」とは、上記の最大負荷能力をいう。なお、ここでいう空気は、窒素ガス等の不活性ガスその他に置換することも可能である。
なお、吸音部材9を適用リム2の表面に固着させるときは、その適用リム2に対する空気入りタイヤ1の着脱操作に当って、吸音部材9が損傷を受ける事のない部位にそれを固着させることが、吸音部材9に、それ本来の機能を十分に発揮させる上で必要となる。
また、空気入りタイヤ1および適用リム2の両者に、吸音部材9をともに部分的に配設するときは、それぞれの吸音部材9を、静的および動的なアンバランスを相殺ないしは低減できる相対位置に、互いに位相差をつけて配設することが好ましい。
本発明は、このような吸音部材9を構成する不織布の繊維フィラメント5、たとえば、有機もしくは無機繊維フィラメント、植物もしくは動物繊維フィラメント、合成繊維フィラメント等は、図3に、単位フィラメントの断面を一般化して示すように、その各々の断面において、最大幅をL1とし、この最大幅方向と直交する方向における最大高さをL2としたとき、L2とL1とが異なることを特徴とするものであり、このことによて、不織布内の音波の通過経路を複雑化し、振動エネルギーを熱エネルギーとして損失させる効果を高めることができる。
ここで、L2とL1とが異なる場合の例として、図4(a)に断面図で示すように、断面が楕円形の場合、図4(b)に示すような小判状の場合、そして、図4(c)のような長方形の場合を挙げることができ、一方、本発明以外の例、すなわち、L2とL1とが同じ場合の例として、図5(a)に示すような円形の場合の他、図5(b)の断面正方形の場合を挙げることができる。なお、断面形状に関しては、これを楕円形とするのが好ましい。
また、L2とL1との比L2/L1の値としては、後で説明する実施例において示すように、0.9以下とするのが吸音効果の点で好ましく、これを0.3〜0.7とするのがこの点でさらに好ましい。また、比L2/L1の値を0.1未満とした場合には、糸切れ等に起因する製造上の困難さがあり、さらに、タイヤ・リム組立体としても、形状を保持して吸音効果を保つことが難しいという問題もあり、好ましくない。
サイズが215/45 R17の空気入りタイヤのインナーライナに、ポリエチレンテレフタレート繊維フィラメントからなる、表1に示す諸元を有する吸音部材を、全周領域にわたって連続的に固着させてなる実施例タイヤを、7.55JJのリムに組付け、空気圧を210kPa、荷重3.92kN、速度60km/hの条件下で、一般路面を模した表面を有するドラム転動させて、車軸の上下方向の力を測定し周波数分析した。
230Hz付近に現れるピーク値が空洞共鳴によって生じるピーク値であることから、空洞共鳴騒音の高低を測定し、それのピーク値のエネルギーレベルで比較した。結果を、比較例1のエネルギーレベルに対する低減率(%)に100を足した指数で表した。数値が大きい方が低減効果が大きい。
なお、すべての実施例、比較例は、吸音材の幅bを100mm、吸音材の厚さtを20mm、不織布の目付を500g/m2、フィラメント1本当たりの太さを1.6dtexとしたものを用いた。
1 空気入りタイヤ
2 リム
3 トレッド部
7 ベルト
8 インナーライナ
9 吸音部材
10 接着層
W トレッド接地幅
E タイヤ赤道面
t 厚さ
f 繊維フィラメント
2 リム
3 トレッド部
7 ベルト
8 インナーライナ
9 吸音部材
10 接着層
W トレッド接地幅
E タイヤ赤道面
t 厚さ
f 繊維フィラメント
Claims (4)
- 空気入りタイヤと、それを気密に組付けた適用リムとで区画されるタイヤ気室内に、繊維フィラメントを絡ませて成型した不織布からなる吸音部材を配設したタイヤ・リム組立体において、
フィラメントの断面における最大幅をL1とし、この最大幅方向と直交する方向における最大高さをL2としたとき、L2とL1との比L2/L1が、0.9以下であることを特徴とするタイヤ・リム組立体。 - 前記フィラメントの断面形状が楕円形であることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ・リム組立体。
- 前記吸音部材が前記適用リム上の少なくとも一部に固着されていることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のタイヤ・リム組立体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ・リム組立体に組み付けられる空気入りタイヤであって、前記吸音部材が、トレッド部内面の少なくとも一部に固着されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007169257A JP2009006817A (ja) | 2007-06-27 | 2007-06-27 | タイヤ・リム組立体 |
PCT/JP2008/061345 WO2009001779A1 (ja) | 2007-06-27 | 2008-06-20 | タイヤ・リム組立体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007169257A JP2009006817A (ja) | 2007-06-27 | 2007-06-27 | タイヤ・リム組立体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009006817A true JP2009006817A (ja) | 2009-01-15 |
Family
ID=40322367
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2007169257A Withdrawn JP2009006817A (ja) | 2007-06-27 | 2007-06-27 | タイヤ・リム組立体 |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2009006817A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113195252A (zh) * | 2018-12-17 | 2021-07-30 | 株式会社普利司通 | 充气轮胎 |
-
2007
- 2007-06-27 JP JP2007169257A patent/JP2009006817A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113195252A (zh) * | 2018-12-17 | 2021-07-30 | 株式会社普利司通 | 充气轮胎 |
CN113195252B (zh) * | 2018-12-17 | 2023-04-21 | 株式会社普利司通 | 充气轮胎 |
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