JP2009006537A - 静電アクチュエータの駆動方法、液滴吐出ヘッドの駆動方法及び液滴吐出装置の駆動方法 - Google Patents

静電アクチュエータの駆動方法、液滴吐出ヘッドの駆動方法及び液滴吐出装置の駆動方法 Download PDF

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JP2009006537A JP2007168601A JP2007168601A JP2009006537A JP 2009006537 A JP2009006537 A JP 2009006537A JP 2007168601 A JP2007168601 A JP 2007168601A JP 2007168601 A JP2007168601 A JP 2007168601A JP 2009006537 A JP2009006537 A JP 2009006537A
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Yasushi Matsuno
靖史 松野
Tomonori Matsushita
友紀 松下
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Abstract

【課題】充電時間の応答性を満足し、静電容量のばらつきがある場合にも、充電時間の応
答性のばらつきを低減可能にし、振動板の吸引速度が安定して上がるようにした液滴吐出
ヘッドの駆動方法を提供する。
【解決手段】振動板8と個別電極17との間に、振動板8を変位するのに十分な駆動電圧
V1を印加する工程と、振動板8が対応する個別電極17に接触する前に、駆動電圧V1
を駆動電圧V2にまで低下させる工程と、振動板8が対応する個別電極17に接触する前
に、駆動電圧V2の印加を所定時間継続させる工程と、振動板8が対応する個別電極に当
接した後も、駆動電圧V2の印加を所定時間継続させる工程と、駆動電圧V2の印加を停
止させ、振動板8の当接を解除し、圧力室7に液体圧力変動を発生させ、圧力室7内の液
体を吐出させることを特徴とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、静電駆動方式の静電アクチュエータの駆動方法、液滴吐出ヘッドの駆動方法
及び液滴吐出装置の駆動方法に関し、特に容量ばらつきがあっても動作遅れを生じさせな
いようにした静電アクチュエータの駆動方法、液滴吐出ヘッドの駆動方法及び液滴吐出装
置の駆動方法に関するものである。
近年、シリコン等を加工して微小な素子等を形成する微細加工技術(MEMS:Mic
ro Electro Mechanical Systems)が急激に進歩している
。この微細加工技術により形成される微細加工素子には、たとえば、液滴吐出方式のプリ
ンタのような記録(印刷)装置で用いられている液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド
)やマイクロポンプ、光可変フィルタ、モータのようなアクチュエータ、圧力センサ等が
ある。
このうち、インクジェットヘッドは、一般にインク滴を吐出するための複数のノズル孔
が形成されたノズル基板と、このノズル基板に接合されノズル孔に連通する圧力室や、リ
ザーバ等のインク流路が形成されたキャビティ基板とを備え、圧力室に圧力を加えること
によりインク滴を選択されたノズル孔より吐出するように構成されている。このようにイ
ンク滴を吐出させる方式としては、静電気力を利用する静電駆動方式や、圧電素子による
圧電(PZT)方式、発熱素子を利用するバブルジェット(登録商標)方式等がある。
静電駆動方式のインクジェットヘッドにおいては、圧力室の底部を振動板としたキャビ
ティ基板と、この振動板に所定のギャップ(空隙)を介して対向する個別電極(対向電極
)を形成した電極基板とを接合させた構成となっている。インク滴を吐出する際には、個
別電極に駆動電圧を印加してプラスに帯電させ、対応する振動板に駆動電圧を印加してマ
イナスに帯電させる。そうすると、この時に生じる静電引力により振動板が個別電極側に
弾性変形する。そして、この駆動電圧をオフにすると、振動板が復元する。このとき、圧
力室の内部の圧力が急激に上昇し、圧力室内のインクの一部をインク滴としてノズル孔か
ら吐出させることになる。
つまり、このような静電駆動方式のインクジェットヘッドは、外部から供給される電圧
が、振動板及び個別電極に充電されることにより、振動板を吸引する静電力が作用し、振
動板を変位させることが可能となっているのである。このような静電駆動方式のインクジ
ェットヘッドにおいて、振動板を応答性よく駆動させるためには、振動板及び個別電極へ
の充電時間を短くすることが要求される。特に、充電時間が長くなった場合は、応答性が
低下するだけでなく、圧力室に発生する圧力も低下してしまい、所望のインク吐出が得ら
れず、良好な印刷ができないことになってしまう。
この充電時間は、振動板及び個別電極で構成される静電アクチュエータの静電容量、及
び抵抗(主には配線抵抗)によって変化する。特に、静電容量は、振動板と個別電極との
ギャップ量ばらつきや、配線の引き回し面積のばらつき、ギャップの気密を確保する封止
材の塗布面積ばらつき等によって、ばらついてしまう。また、静電力を大きくするために
振動板と個別電極との間に設けた絶縁膜を誘電率の高い材料で形成することがある。この
ように、絶縁膜を誘電率の高い材料で形成すると、静電容量が大きくなるものの、応答性
が遅くなるという傾向がある。そうすると、静電容量のばらつきに更に上乗せとなってし
まうことになりやすい。
静電アクチュエータを有するインクジェットヘッドの駆動方法として、「前記振動板と
対向電極の間に電圧を印加し、実効的な前記ギャップの1/3まで前記振動板を変位させ
た後、前記振動板が対応する対向電極に接触せず、かつ前記振動板の変位が大きくなるよ
うに印加していた電圧を低下するインクジェットヘッド記録装置」が提案されている(た
とえば、特許文献1参照)。この駆動方法は、振動板と対向電極との間に印加する電圧の
低電圧化を図るようにしたものである。
特開2000−153611号公報(請求項3)
特許文献1に記載の駆動方法では、ギャップの1/3まで変位させた以降の振動板の変
位量は、インクの慣性力によって変位量がギャップの1/3より大きくなるため、十分な
振動板の吸引速度を得ることができず、インク吐出速度が遅くなりやすいといった問題が
あった。つまり、このような駆動方法では、充電時間の応答性を改善することができず、
静電容量のばらつきによって振動板の動作遅れが生じてしまい、その結果として所望のイ
ンク吐出を得ることができないという問題があったのである。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたもので、充電時間の応答性を満
足し、静電容量のばらつきがある場合にも、充電時間の応答性のばらつきを低減可能にし
、振動板の吸引速度が安定して上がるようにした静電アクチュエータの駆動方法、液滴吐
出ヘッドの駆動方法及び液滴吐出装置の駆動方法を提供することを目的とするものである
本発明に係る静電アクチュエータの駆動方法は、ギャップを隔てて対向配置されている
個別電極と振動板との間に、駆動電圧を印加し、これらの電極間に発生する静電気力によ
って振動板を駆動させる静電アクチュエータの駆動方法であって、振動板と個別電極との
間に、振動板を個別電極に当接させるのに必要な駆動電圧V2よりも大きく、振動板を変
位させるのに十分な駆動電圧V1を印加する工程と、振動板が対応する個別電極に接触す
る前に、駆動電圧V1を駆動電圧V2にまで低下させる工程と、振動板が対応する個別電
極に接触する前に、駆動電圧V2の印加を所定時間継続させる工程とを有することを特徴
とする。
したがって、静電容量がばらついたとしても、静電アクチュエータを構成する振動板及
び個別電極(対向電極)に所望の電圧が充電されるまでの時間のばらつきを低減すること
が可能である。このため、ギャップ量ばらつきや、配線の引き回し面積のばらつき、ギャ
ップの気密を確保する封止材の塗布面積ばらつきがあっても、充電時間の応答性を所定の
範囲で満足しながら、充電時間の応答性のばらつきを低減することができる。よって、振
動板を安定して吸引することのできる静電アクチュエータを提供することが可能となる。
また、振動板と個別電極との間に設けた絶縁膜に誘電率の高い材料を用いても、充電時間
の応答性を確保することができる。
本発明に係る静電アクチュエータの駆動方法は、所定時間経過後、駆動電圧V2を、振
動板が対応する個別電極に当接保持可能な駆動電圧V3にまで低下させる工程を有するこ
とを特徴とする。したがって、振動板が当接した時の電圧を低くすることができ、振動板
と個別電極との間に設けた絶縁膜に印加される電界を小さくすることが可能である。つま
り、絶縁膜の耐久性を大幅に向上させることでき、絶縁膜の絶縁破壊を高効率で防止する
ことができるのである。また、電圧解除の際の電圧変化(傾き)を小さくすることが可能
となるため、ピーク電流を低減することができる。このため、外部回路での経時的な破壊
モードを発生させないようにすることができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの駆動方法は、ギャップを隔てて対向配置されている個別
電極と振動板とからなる静電アクチュエータに駆動電圧を印加し、これらの電極間に静電
気力を発生させ、振動板を個別電極に当接させ、その後、振動板を個別電極から離脱させ
て振動板を振動させ、これにより発生する液体圧力変動を利用して、圧力室内の液体を吐
出させる液滴吐出ヘッドの駆動方法であって、振動板と個別電極との間に、振動板を個別
電極に当接させるのに必要な駆動電圧V2よりも大きく、振動板を変位するのに十分な駆
動電圧V1を印加する工程と、振動板が対応する個別電極に接触する前に、駆動電圧V1
を駆動電圧V2にまで低下させる工程と、振動板が対応する個別電極に接触する前に、駆
動電圧V2の印加を所定時間継続させる工程と、振動板が対応する個別電極に当接した後
も、駆動電圧V2の印加を所定時間継続させる工程とを有し、駆動電圧V2の印加を停止
させ、振動板の当接を解除し、圧力室に液体圧力変動を発生させて、圧力室内の液体を吐
出させることを特徴とする。
したがって、静電容量がばらついたとしても、静電アクチュエータを構成する振動板及
び個別電極(対向電極)に所望の電圧が充電されるまでの時間のばらつきを低減すること
が可能である。このため、ギャップ量ばらつきや、配線の引き回し面積のばらつき、ギャ
ップの気密を確保する封止材の塗布面積ばらつきがあっても、充電時間の応答性を所定の
範囲で満足しながら、充電時間の応答性のばらつきを低減することができる。よって、振
動板を安定して吸引することのできる静電アクチュエータを提供することが可能となる。
また、振動板が安定して吸引可能なので、インク滴の吐出特性を安定させた液滴吐出ヘッ
ドを提供できる。さらに、振動板と個別電極との間に設けた絶縁膜に誘電率の高い材料を
用いても、充電時間の応答性を確保することができる。
本発明に係る液滴吐出ヘッドの駆動方法は、駆動電圧V2を所定時間印加させた後、駆
動電圧V2を、振動板が対応する個別電極に当接保持可能な駆動電圧V3にまで低下させ
る工程を有し、駆動電圧V3の印加を停止させ、振動板の当接を解除し、圧力室に液体圧
力変動を発生させて、圧力室内の液体を吐出させることを特徴とする。
したがって、振動板が当接した時の電圧を低くすることができ、振動板と個別電極との
間に設けた絶縁膜に印加される電界を小さくすることが可能である。つまり、絶縁膜の耐
久性を大幅に向上させることでき、絶縁膜の絶縁破壊を高効率で防止することができるの
である。また、電圧解除の際の電圧変化(傾き)を小さくすることが可能となるため、ピ
ーク電流を低減することができる。このため、外部回路での経時的な破壊モードを発生さ
せないようにすることができる。さらに、圧力室に発生した圧力振動に合わせて当接保持
した振動板を当接解除するため、インク滴の吐出特性が向上し、安定した吐出が可能とな
る。
本発明に係る液滴吐出装置の駆動方法は、上記の液滴吐出ヘッドの駆動方法を適用した
ことを特徴とする。したがって、上記の液滴吐出ヘッドの駆動方法の効果をすべて有して
いる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド100を分解した状態を示す分解
斜視図である。図2は、液滴吐出ヘッド100が組み立てられた状態の縦断面図である。
図1及び図2に基づいて、液滴吐出ヘッド100の構成及び動作について説明する。なお
、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合が
ある。この液滴吐出ヘッド100は、静電気力により駆動される静電駆動方式の静電アク
チュエータの代表として、ノズル基板の表面側に設けられたノズル孔から液滴を吐出する
フェイスイジェクトタイプの液滴吐出ヘッドを表している。
図1及び図2に示すように、この液滴吐出ヘッド100は、ノズル基板1、キャビティ
基板3及び電極ガラス基板4の3つの基板が順に積層されるように接合された3層構造を
特徴としている。このキャビティ基板3の一方の面(上面)にはノズル基板1が接合され
ており、他方の面(下面)には電極ガラス基板4が接合されている。すなわち、キャビテ
ィ基板3を電極ガラス基板4とノズル基板1とが上下から挟む構造となっている。
この実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド100では、電極ガラス基板4とキャビティ基
板3とを陽極接合により接合するものとし、キャビティ基板3とノズル基板1とをエポキ
シ樹脂等の接着剤を用いて接合するものとして説明する。また、液滴吐出ヘッド100の
電極ガラス基板4に形成する個別電極17は、ドライバIC15等の電力供給手段によっ
て駆動信号(パルス電圧)が供給されるようになっている。
[電極ガラス基板4]
電極ガラス基板4は、たとえば、厚さ1mmのホウ珪酸ガラス等のガラスを主要な材料
として形成するとよい。ここでは、電極ガラス基板4がホウ珪酸ガラスで形成されている
場合を例に示すが、たとえば電極ガラス基板4を単結晶シリコンで形成してもよい。この
電極ガラス基板4の表面には、後述するキャビティ基板3の圧力室(吐出室)7の形状に
合わせた凹部(ガラス溝)32が形成されている。この凹部32は、たとえばエッチング
により深さ0.3μm程度で形成するとよい。
また、この凹部32の内部(特に底部)には、対向電極となる個別電極17が、一定の
間隔を有して後述のキャビティ基板3の各圧力室7(振動板8)と対向するように作製さ
れている。そして、この凹部32は、その一部が個別電極17を装着できるように、これ
らの形状に類似したやや大きめの形状にパターン形成されている。この個別電極17は、
たとえばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を0.1μ
mの厚さでスパッタして作製するとよい。このようにITOで個別電極17を作製すると
、透明なので放電したかどうかの確認が行いやすいという利点がある。
また、個別電極17は、リード部33及び端子部34が一体となって作製されている。
そして、個別電極17の一端(端子部34)が電力供給手段であるドライバIC15(図
3参照)と接続されており、そのドライバIC15から個別電極17に駆動信号が供給さ
れるようになっている。なお、特に区別する必要がない限り、個別電極17は、リード部
33と端子部34とを含んだものとして説明するものとする。なお、ドライバIC15は
、液滴吐出ヘッド100の内部に搭載してもよく、外部に設けられていてもよい。また、
液滴吐出ヘッド100には、ドライバIC15に電力を供給するためのFPC(Flex
ible Printed Circuit)を搭載してもよい。
電極ガラス基板4とキャビティ基板3とを陽極接合して積層体を形成すると、振動板8
と個別電極17との間には、振動板8を撓ませる(変位させる)ことができる一定のギャ
ップ(空隙)18が、電極ガラス基板4の凹部32により形成されるようになっている。
このギャップ18は、凹部32の深さ、個別電極17及び振動板8の厚さにより決まるこ
とになる。このギャップ18は、液滴吐出ヘッド100の吐出特性に大きく影響するため
、厳格な精度管理が要求される。つまり、ギャップ18は、各振動板8に対向する位置に
細長く所定の深さを有するように形成されている。
また、このギャップ18は、内部に湿気や埃等が侵入しないようエポキシ樹脂等の封止
材14で気密に封止されている。この封止材14に使用する材料を特に限定するものでは
なく、ギャップ18を気密封止できる材料であればよい。たとえば、水分透過性の低い酸
化シリコン(SiO2 )や、酸化アルミニウム(Al23)、酸窒化シリコン(SiON
)、窒化シリコン(SiN)、ポリパラキシリレン等で封止材14を形成するとよい。な
お、ギャップ18は、電極ガラス基板4に凹部32を形成する他に、キャビティ基板3と
なるシリコン基板に凹部を形成したり、スペーサを挟むことによって設けたりすることも
可能である。
この液滴吐出ヘッド100は、複数の個別電極17が長辺及び短辺を有する長方形状に
形成されており、この個別電極17が、互いの長辺が平行になるように配置されている。
そして、図1では、個別電極17の短辺方向に伸びる1つの電極列を示している。なお、
個別電極17の短辺が長辺に対して斜めに形成されており、個別電極17が細長い平行四
辺形状になっている場合には、長辺方向に直角方向に伸びる電極列を形成するようにすれ
ばよい。
なお、電極ガラス基板4には、図示省略の外部のインクタンクから供給される液体を取
り入れる流路となるインク供給孔25が設けられている。このインク供給孔25は、電極
ガラス基板4を貫通するように形成されている。また、個別電極17をITOで作製した
場合を例に示したが、これに限定するものではなく、クロム等の金属等で作製してもよい
。さらに、ここで示した凹部32の深さやギャップ18の長辺方向の長さ、個別電極17
の厚さは一例であり、ここで示す値に限定するものではない。
[キャビティ基板3]
キャビティ基板3は、たとえば厚さ約50μm(マイクロメートル)の(110)面方
位のシリコン単結晶基板(以下、単にシリコン基板という)を主要な材料として構成され
ている。このシリコン基板にドライエッチングまたは異方性ウエットエッチングのいずれ
かあるいは双方を行い、底壁が可撓性を有する振動板8となる圧力室7が複数形成されて
いる。この圧力室7は、個別電極17の電極列に対応して形成されており、インク等の液
滴が保持されて吐出圧が加えられるようになっている。また、圧力室7は、紙面手前側か
ら奥側にかけて平行に並んで形成されているものとする。
また、キャビティ基板3には、各圧力室7にインク等の液滴を供給するための共通イン
ク室であるリザーバ23が形成されている。このリザーバ23の底面には、リザーバ23
の底面を貫通するインク供給孔25が形成されている。さらに、キャビティ基板3とノズ
ル基板1とを接合すると、リザーバ23から各圧力室7に液滴を移送するために、リザー
バ23と各圧力室7とを連通させるオリフィス24(図2参照)が、キャビティ基板3と
ノズル基板1との間に形成されるようになっている。
なお、キャビティ基板3の下面(電極ガラス基板4と対向する面)には、振動板8と個
別電極17との間を電気的に絶縁するためのTEOS膜(ここでは、Tetraethy
l orthosilicate Tetraethoxysilane:テトラエトキ
シシラン(珪酸エチル)を用いてできるSiO2 膜をいう)である絶縁膜19をプラズマ
CVD(Chemical Vapor Deposition:TEOS−pCVDと
もいう)法を用いて、0.1μm程成膜している。これは、振動板8の駆動時における絶
縁破壊及びショートを防止するためと、インク等の液滴によるキャビティ基板3のエッチ
ングを防止するためのものである。
ここでは、絶縁膜19がTEOS膜である場合を例に説明するが、これに限定するもの
ではなく、絶縁性能が向上する物質であればよい。たとえば、Al23(酸化アルミニウ
ム(アルミナ))を用いてもよい。また、キャビティ基板3の上面にも、図示省略の液体
保護膜となるSiO2 膜(TEOS膜を含む)を、プラズマCVD法又はスパッタリング
法により成膜するとよい。このような液体保護膜を成膜することによって、インク滴で流
路が腐食されるのを防止できるからである。この液体保護膜の応力と絶縁膜19の応力と
を相殺させ、振動板8の反りを小さくできるという効果もある。
なお、振動板8は、高濃度のボロンドープ層で形成するようにしてもよい。水酸化カリ
ウム水溶液等のアルカリ溶液による単結晶シリコンのエッチングにおけるエッチングレー
トは、ドーパントがボロンの場合、約5×1019atoms/cm3 以上の高濃度の領域
において、非常に小さくなる。このため、振動板8の部分を高濃度のボロンドープ層とし
、アルカリ溶液による異方性エッチングによって圧力室7を形成する際に、ボロンドープ
層が露出してエッチングレートが極端に小さくなる、いわゆるエッチングストップ技術を
用いることにより、振動板8を所望の厚さに形成することができる。
また、キャビティ基板3にも、インク供給孔25が設けられている(電極ガラス基板4
に設けられたインク供給孔25と連通するようになっている)。さらに、キャビティ基板
3には、外部電極端子としての共通電極端子16が形成されている。この共通電極端子1
6は、図示省略の外部の発振回路等から振動板8に個別電極17と反対の極性の電荷が供
給される際の端子となるものである。
[ノズル基板1]
ノズル基板1は、たとえば厚さ約100μmのシリコン基板を主要な材料として構成さ
れている。そして、キャビティ基板3の上面(電極ガラス基板4を接合する面の反対面)
と接合している。ノズル基板1の上面には、圧力室7と連通するノズル孔5が複数形成さ
れている。各ノズル孔5は、圧力室7から移送された液滴を外部に吐出するようになって
いる。なお、ノズル孔5を複数段(たとえば、2段)で形成すると、液滴を吐出する際の
直進性の向上が期待できる。
ここでは、ノズル基板1を上面とし、電極ガラス基板4を下面として説明しているが、
実際に用いられる場合には、ノズル基板1の方が電極ガラス基板4よりも下面となること
が多い。なお、実施の形態1では、キャビティ基板3にオリフィス24を形成した場合を
例に示したが、ノズル基板1にオリフィス24を形成するようにしてもよい。また、ノズ
ル基板1には、振動板8によりリザーバ23側の液体に加わる圧力を緩衝するためのダイ
ヤフラム13を設けるとよい。
なお、電極ガラス基板4、キャビティ基板3及びノズル基板1を接合するときに、シリ
コンからなる基板とホウ珪酸ガラスからなる基板とを接合する場合(電極ガラス基板4と
キャビティ基板3とを接合する場合)は陽極接合により、シリコンからなる基板同士を接
合する場合(キャビティ基板3とノズル基板1とを接合する場合)は直接接合によって接
合することができる。また、シリコンからなる基板同士は、接着剤を用いて接合すること
もできる。
ここで、液滴吐出ヘッド100の動作について説明する。キャビティ基板3のリザーバ
23には、インク供給孔25を介して外部からインク等の液滴が供給されている。また、
キャビティ基板3の圧力室7には、オリフィス24を介してリザーバ23から液滴が供給
されている。そして、ドライバIC15等の電力供給手段によって選択された個別電極1
7には0V〜40V程度のパルス電圧が印加され、その個別電極17を正に帯電させる。
このとき、共通電極端子16を介してキャビティ基板3には負の極性を有する電荷が供
給され、正に帯電された個別電極17に対応する振動板8を相対的に負に帯電させる。そ
のため、選択された個別電極17と振動板8との間では静電気力が発生することになる。
そうすると、振動板8は、静電気力によって個別電極17側に引き寄せられて撓むことに
なる。これによって圧力室7の容積が増大する。つまり、振動板8は、個別電極17に引
き寄せられて当接することになる。これによって圧力室7の容積が増大する。
その後、個別電極17への電荷の供給を止めると、振動板8と個別電極17との間の静
電気力がなくなり、振動板8はその弾性力により元の状態に復元する。このとき、圧力室
7の容積が急激に減少するため、圧力室7内部の圧力が急激に上昇する。これにより、圧
力室7内のインクの一部がインク滴12としてノズル孔5より吐出されることになる。こ
のインク滴12が、たとえば記録紙に着弾することによって印刷等が行われるようになっ
ている。その後、液滴がリザーバ23からオリフィス24を通じて圧力室7内に補給され
、初期状態に戻る。このように振動板8を駆動させることで、静電アクチュエータとして
機能させているのである。このような方法は、引き打ちと呼ばれるものであるが、バネ等
を用いて液滴を吐出する押し打ちと呼ばれる方法もある。
図3は、液滴吐出ヘッド100が搭載された液滴吐出装置の制御系を示す概略ブロック
図である。図3に基づいて、液滴吐出ヘッド100が搭載されたインクジェットヘッドプ
リンタ等の液滴吐出装置の制御系について説明する。ただし、液滴吐出ヘッド100が搭
載された液滴吐出装置の制御系を、図3で示す制御系に限定するものではない。この液滴
吐出装置は、液滴吐出ヘッド100を駆動制御するための駆動制御装置41を備えている
。この駆動制御装置41は、CPU(中央処理装置)42aを中心に構成された制御部4
2を備えている。
CPU42aには、パーソナルコンピュータや遠隔制御装置(リモコン)等の外部装置
43から印刷情報が入力されるようになっている。この印刷情報は、バス52を介して入
力されたり、赤外線信号等の無線信号で入力されたりするようになっている。また、CP
U42aには、内部バス53を介してROM44a、RAM44b及びキャラクタジェネ
レータ44cが接続されている。制御部42では、RAM44b内の記憶領域を作業領域
として用いて、ROM44a内に格納されている制御プログラムを実行し、キャラクタジ
ェネレータ44cから発生するキャラクタ情報に基づき、液滴吐出ヘッド100を駆動す
るための制御信号を生成する。
制御信号は、理論ゲートアレイ45及び駆動パルス発生回路46を介して、印刷情報に
対応した駆動制御信号となって、コネクタ47を経由して液滴吐出ヘッド100に内蔵さ
れた電力供給手段であるドライバIC15に供給されるほか、COM発生回路46aに供
給される。また、ドライバIC15には、印字用の駆動パルス信号V3、制御信号LP、
極性反転制御信号REV等(図4参照)も供給されるようになっている。なお、COM発
生回路46aは、たとえば駆動パルスを発生するための図示省略の共通電極ICで構成す
るとよい。
COM発生回路46aでは、供給された上記の各信号に基づき、液滴吐出ヘッド100
の共通電極端子16、すなわち各振動板8に印加すべき駆動信号(駆動電圧パルス)をそ
の図示省略の共通出力端子COMから出力するようになっている。また、ドライバIC1
5では、供給された上記の各信号及び電源回路70から供給される駆動電圧Vpに基づき
、各個別電極17に印加すべき駆動信号(駆動電圧パルス)を、各個別電極17に対応し
た個数の個別出力端子SEGから出力するようになっている。そして、共通出力端子CO
Mの出力と個別出力端子SEGの出力との電位差が、各振動板8とそれに対向する個別電
極17との間に印加される。振動板8の駆動時(液滴の吐出時)には指定された向きの駆
動電位差波形を与え、非駆動時には駆動電位差を与えないようになっている。
図4は、ドライバIC15及びCOM発生回路46aの内部構成の一例を示す概略ブロ
ック図である。なお、図4に示すドライバIC15及びCOM発生回路46aは、1組で
64個の個別電極17及び振動板8に駆動信号を供給するものとする。また、ドライバI
C15が、電源回路70から高電圧系の駆動電圧Vp及び論理回路系の駆動電圧Vccが
供給されて動作するCMOSの64ビット出力の高耐圧ドライバである場合を例に示して
いる。
ドライバIC15は、供給された駆動制御信号に応じて、駆動電圧パルスとGND電位
の一方を、個別電極17に印加する。ドライバIC15は、64ビットのシフトレジスタ
61を有し、シフトレジスタ61はシリアルデータとして理論ゲートアレイ45より送信
された64ビット長のDI信号入力を、DI信号に同期する基本クロックパルスであるX
SCLパルス信号入力によりデータをシフトアップし、シフトレジスタ61内のレジスタ
に格納するスタティクシフトレジスタとなっている。DI信号は、64個の個別電極17
のそれぞれを選択するための選択情報をオン/オフにより示す制御信号であり、この信号
がシリアルデータとして送信される。
また、ドライバIC15は、64ビットのラッチ回路62を有し、ラッチ回路62はシ
フトレジスタ61内に格納された64ビットデータを制御信号(ラッチパルス)LPによ
りラッチしてデータを格納し、格納されたデータを64ビット反転回路63に信号出力す
るスタティクラッチである。ラッチ回路62では、シリアルデータのDI信号が各振動板
8の駆動を行うための64セグメント出力を行うための64ビットのパラレル信号へと変
換される。
反転回路63では、ラッチ回路62から入力される信号と、REV信号との排他的論理
和をレベルシフタ64へ出力する。レベルシフタ64は、反転回路63からの信号の電圧
レベルをロジック系の電圧レベル(5Vレベル又は3.3Vレベル)からヘッド駆動系の
電圧レベル(0〜45Vレベル)に変換するレベルインターフェイス回路である。SEG
ドライバ65は、64チャンネルのトランスミッションゲート出力となっていて、レベル
シフタ64の入力によりSEG1〜SEG64のセグメント出力に対して、駆動電圧パル
ス入力か又はGND入力のいずれかを出力する。COM発生回路46aに内蔵されたCO
Mドライバ66は、REV入力に対して駆動電圧パルスか又はGND入力のいずれかをC
OMへ出力する。
XSCL、DI、LP及びREVの各信号は、ロジック系の電圧レベルの信号であり、
理論ゲートアレイ45よりドライバIC15に送信される信号である。このように、ドラ
イバIC15及びCOM発生回路46aを構成することにより、駆動するセグメント数(
振動板8の数)が増加した場合においても容易に液滴吐出ヘッド100の振動板8の駆動
する駆動電圧パルスとGNDとを切り替えることが可能となる。
図5は、液滴吐出ヘッド100に印加する駆動電圧の電圧波形を説明するための説明図
である。図5(a)では、縦軸が電圧を、横軸が時間を示し、駆動電圧の駆動波形を表し
ている。また、図5(b)では、縦軸が振動板8の変位量を、横軸が時間を示し、印加さ
れる駆動電圧に応じて変位する振動板8の変位量を表している。この図5に基づいて、駆
動パルス発生回路46で生成され、個別電極17及び共通電極端子16に印加される駆動
電圧の電圧波形について説明する。
液滴吐出ヘッド100が動作を開始すると、振動板8を変位するのに十分な駆動電圧V
1(振動板8を個別電極17に当接させるのに必要な駆動電圧V2よりも大きな駆動電圧
、たとえば駆動電圧V2よりも10%程度大きな駆動電圧)が印加される(t0〜t1)
。そうすると、その個別電極17と振動板8との間に静電気力が発生し、振動板8が個別
電極17側に撓む。それから、振動板8が個別電極17に接触する前に、駆動電圧V1か
ら駆動電圧V2にまで電圧値を低下させる(t1〜t2)。そして、駆動電圧V2の印加
を続け、振動板8を個別電極17に当接させた状態を保持する(t2〜t4)。
その後、駆動電圧の印加を停止し、圧力室7に発生した圧力振動に合わせて当接保持し
た振動板8の当接の解除を行う(t4〜t5)。そうすると、振動板8と個別電極17と
の間の静電気力がなくなり、振動板8はその弾性力により元の状態に復元する。このとき
、圧力室7内のインクをノズル孔5からインク滴12として吐出させることができる。す
なわち、液滴吐出ヘッド100の動作開始直後に、駆動電圧V1を印加することによって
、振動板8及び個別電極17の充電時間を短くすることを可能にしている。
図6は、静電容量のばらつきが基準の範囲内である場合における液滴吐出ヘッド100
に印加する駆動電圧の電圧波形による効果を説明するための説明図である。図6(a)で
は、この実施の形態に係る液滴吐出ヘッド100に対して外部から印加される駆動電圧の
駆動波形(破線(ア))と、静電アクチュエータに充電される電圧の時間暦(実線(イ)
)とを示している。また、図6(b)では、従来の液滴吐出ヘッドに対して外部から印加
される駆動電圧の駆動波形(破線(ア’))と、静電アクチュエータに充電される電圧の
時間暦(実線(イ’))とを示している。図6(c)は、図6(a)及び図6(b)にお
ける静電アクチュエータに30[V]の電圧が充電されるまでの時間を示している。なお
、図6(a),(b)では、縦軸が電圧[V]を、横軸が時間[sec]をそれぞれ示し
ている。
図6に基づいて、静電容量のばらつきが小さい場合における液滴吐出ヘッド100に印
加する駆動電圧の電圧波形による効果を従来の液滴吐出ヘッドと比較しながら説明する。
図6(a)及び図6(c)に示すように、この実施の形態に係る液滴吐出ヘッド100に
印加する駆動電圧の電圧波形によれば、静電アクチュエータに所望の電圧(たとえば、3
0[V])を充電する時間が短くできることがわかる。液滴吐出ヘッド100では、図6
(a)及び図6(c)から静電アクチュエータに30[V]の電圧を充電する時間が2.
4[μs(マイクロセック)]であることがわかる。一方、従来の液滴吐出ヘッドでは、
図6(b)及び図6(c)から静電アクチュエータに30[V]の電圧を充電する時間が
3.1[μs]であることがわかる。
図7は、静電容量のばらつきが大きい場合における液滴吐出ヘッド100に印加する駆
動電圧の電圧波形による効果を説明するための説明図である。図7(a)では、この実施
の形態に係る液滴吐出ヘッド100に対して外部から印加される駆動電圧の駆動波形(破
線(ウ))と、静電アクチュエータに充電される電圧の時間暦(実線エ)とを示している
。また、図7(b)では、従来の液滴吐出ヘッドに対して外部から印加される駆動電圧の
駆動波形(破線ウ’)と、静電アクチュエータに充電される電圧の時間暦(実線エ’)と
を示している。図7(c)は、図7(a)及び図7(b)における静電アクチュエータに
30[V]の電圧が充電されるまでの時間を示している。なお、図7(a),(b)では
、縦軸が電圧[V]を、横軸が時間[sec]をそれぞれ示している。
図7に基づいて、静電容量のばらつきが大きい場合における液滴吐出ヘッド100に印
加する駆動電圧の電圧波形による効果を従来の液滴吐出ヘッドと比較しながら説明する。
図7(a)及び図7(c)に示すように、この実施の形態に係る液滴吐出ヘッド100に
印加する駆動電圧の電圧波形によれば、静電アクチュエータに所望の電圧(たとえば、3
0[V])を充電する時間が短くできることがわかる。液滴吐出ヘッド100では、図7
(a)及び図7(c)から静電アクチュエータに30[V]の電圧を充電する時間が3.
1[μs]であることがわかる。一方、従来の液滴吐出ヘッドでは、図7(b)及び図7
(c)から静電アクチュエータに30[V]の電圧を充電する時間が4.6[μs]であ
ることがわかる。
図7(c)に示す変化の割合は、静電容量のばらつきが小さいアクチュエータと静電容
量のばらつきが大きいアクチュエータに同一の駆動波形を印加した場合における、静電ア
クチュエータに30[V]の電圧が充電されるまでの時間の変化の割合を示している。
図7(c)に示すように、本発明の液滴吐出ヘッド100では変化の割合が28.0[
%]であるが、従来の液滴吐出ヘッドでは変化の割合が50.5[%]である。つまり、
静電容量のばらつきが大きい場合、従来の液滴吐出ヘッドでは、充電時間の変化の割合が
50.5[%]であるのに対し、本発明の液滴吐出ヘッド100では、充電時間の変化の
割合が28.0[%]と従来よりも変化の割合を小さくすることができる。
静電アクチュエータに所望の電圧を充電する時間は、振動板8が変動し始めた初期(図
5参照)に該当するため、充電時間が遅くなるようにばらつきが大きくなると、振動板8
の挙動もばらつくことになる。つまり、充電時間の変化の割合(充電時間の応答性のばら
つきの割合)が大きくなると、振動板8の挙動もばらつき、安定した吐出性能を発揮する
ことができない吐出ヘッドになってしまうのである。
したがって、静電容量のばらつきが大きい場合にも、液滴吐出ヘッド100は、充電時
間の変化の割合を小さくすることが可能となり、振動板8を安定して吸引でき、インク滴
12の吐出特性も安定させることが可能となる。
以上より、静電容量がばらついていても、静電アクチュエータの振動板8及び個別電極
17に所望の電圧が充電されるまでの時間のばらつきを小さくすることが可能である。こ
のため、ギャップ18のばらつきや、配線の引き回し面積のばらつき、ギャップ18の気
密を確保する封止材14の塗布面積のばらつきがあったとしても、充電時間の応答性を所
定の範囲で満足しながら充電時間の応答性のばらつきの低減化を図ることができる。よっ
て、振動板8を安定して吸引可能であり、インク滴12の吐出特性も安定する。また、振
動板8と個別電極17との間に設けた絶縁膜19に誘電率の高い材料を用いても、充電時
間の応答性を確保することが可能となる。
図8は、液滴吐出ヘッド100に印加する駆動電圧の電圧波形の別の例を説明するため
の説明図である。図8(a)では、縦軸が電圧を、横軸が時間を示し、駆動電圧の駆動波
形を表している。また、図8(b)では、縦軸が振動板8の変位量を、横軸が時間を示し
、印加される駆動電圧に応じて変位する振動板8の変位量を表している。この図8に基づ
いて、駆動パルス発生回路46で生成され、個別電極17及び共通電極端子16に印加さ
れる駆動電圧の電圧波形の別の例について説明する。
液滴吐出ヘッド100が動作を開始すると、振動板8を変位するのに十分な駆動電圧V
1(振動板8を個別電極17に当接させるのに必要な駆動電圧V2及び振動板8を個別電
極17に当接保持させるのに必要な駆動電圧V3よりも大きな駆動電圧、たとえば駆動電
圧V2よりも10%程度大きな駆動電圧)が印加される(t0〜t1)。そうすると、そ
の個別電極17と振動板8との間に静電気力が発生し、振動板8が個別電極17側に撓む
。それから、振動板8が個別電極17に接触する前に、駆動電圧V1から駆動電圧V2に
まで電圧値を低下させる(t1〜t2)。そして、駆動電圧V2の印加を続け、振動板8
を個別電極17に当接させる(t2〜t3)。
その後、印加していた駆動電圧V2を、振動板8が個別電極17に当接保持できる駆動
電圧V3まで電圧値を低下させる(t3〜t4)。最後に、駆動電圧の印加を停止し、圧
力室7に発生した圧力振動に合わせて当接保持した振動板8の当接の解除を行う(t4〜
t5)。そうすると、振動板8と個別電極17との間の静電気力がなくなり、振動板8は
その弾性力により元の状態に復元する。このとき、圧力室7内のインクをノズル孔5から
インク滴12として吐出させることができる。すなわち、液滴吐出ヘッド100の動作開
始直後に、駆動電圧V1を印加することによって、振動板8及び個別電極17の充電時間
を短くすることを可能にするとともに、振動板8が個別電極17に当接した時の電圧値を
低くすることが可能である。
したがって、図5で示した駆動波形の効果に加えて、振動板8が当接した時の電圧値を
低くすることが可能であるため、振動板8と個別電極17との間に設けた絶縁膜19に印
加される電界を小さくすることが可能である。つまり、絶縁膜19の耐久性を大幅に向上
することができるのである。また、電圧解除の際の電圧変化(傾き)を小さくすることが
可能となるため、ピーク電流を低減させることが可能となり、外部回路での経時的な破壊
モードを発生させないようにすることができる。さらに、圧力室7に発生した圧力振動に
合わせて当接保持した振動板8の当接を解除するため、インク滴12の吐出特性が向上し
、安定した吐出が可能となる。
実施の形態2.
図9は、上述した液滴吐出ヘッド100を搭載した液滴吐出装置150の一例を示した
斜視図である。図9に示す液滴吐出装置150は、一般的なインクジェットプリンタであ
る。なお、この液滴吐出装置150は、周知の製造方法によって製造することができる。
上述した液滴吐出ヘッド100は、静電アクチュエータに印加する駆動電圧の電圧波形(
図5または図8参照)に特徴を有するものである。
なお、液滴吐出ヘッド100は、図8に示す液滴吐出装置150の他に、液滴を種々変
更することで、液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造、有機EL表示装置の発光部分
の形成、生体液体の吐出等にも適用することができる。また、液滴吐出ヘッド100は、
圧電駆動方式の液滴吐出装置や、バブルジェット(登録商標)方式の液滴吐出装置にも適
用できる。たとえば、液滴吐出ヘッド100をディスペンサとし、生体分子のマイクロア
レイとなる基板に吐出する用途に用いる場合では、DNA(Deoxyribo Nuc
leic Acids:デオキシリボ核酸)、他の核酸(例えば、Ribo Nucle
ic Acid:リボ核酸、Peptide Nucleic Acids:ペプチド核
酸等)タンパク質等のプローブを含む液体を吐出させるようにしてもよい。
なお、本発明の実施の形態に係る静電アクチュエータの駆動方法、液滴吐出ヘッドの駆
動方法及び液滴吐出装置の駆動方法は、上述の実施の形態で説明した内容に限定されるも
のではなく、本発明の思想の範囲内において変更することができる。また、液滴吐出ヘッ
ド100が電極ガラス基板4、キャビティ基板3及びノズル基板1からなる3層構造を例
に説明したが、これに限定するものではなく、液滴吐出ヘッドが電極ガラス基板、キャビ
ティ基板、リザーバ基板及びノズル基板からなる4層構造であってもよい。
実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解した状態を示す分解斜視図である。 液滴吐出ヘッドが組み立てられた状態の縦断面図である。 液滴吐出ヘッドが搭載された液滴吐出装置の制御系を示す概略ブロック図である。 電力供給手段及びCOM発生回路の内部構成の一例を示す概略ブロック図である。 液滴吐出ヘッドに印加する駆動電圧の電圧波形を説明するための説明図である。 静電容量のばらつきが基準の範囲内である場合における液滴吐出ヘッドに印加する駆動電圧の電圧波形による効果を説明するための説明図である。 静電容量のばらつきが大きい場合における液滴吐出ヘッドに印加する駆動電圧の電圧波形による効果を説明するための説明図である。 液滴吐出ヘッドに印加する駆動電圧の電圧波形の別の例を説明するための説明図である。 液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置の一例を示した斜視図である。
符号の説明
1 ノズル基板、3 キャビティ基板、4 電極ガラス基板、5 ノズル孔、7 圧力
室、8 振動板、12 インク滴、13 ダイヤフラム、14 封止材、15 ドライバ
IC、16 共通電極端子、17 個別電極、18 ギャップ、19 絶縁膜、23 リ
ザーバ、24 オリフィス、25 インク供給孔、32 凹部、33 リード部、34
端子部、41 駆動制御装置、42 制御部、42a CPU、43 外部装置、44a
ROM、44b RAM、44c キャラクタジェネレータ、45 理論ゲートアレイ
、46 駆動パルス発生回路、46a COM発生回路、47 コネクタ、52 バス、
53 内部バス、61 シフトレジスタ、62 ラッチ回路、63 反転回路、64 レ
ベルシフタ、65 SEGドライバ、66 COMドライバ、70 電源回路、100
液滴吐出ヘッド、150 液滴吐出装置。

Claims (5)

  1. ギャップを隔てて対向配置されている個別電極と振動板との間に、駆動電圧を印加し、
    これらの電極間に発生する静電気力によって前記振動板を駆動させる静電アクチュエータ
    の駆動方法であって、
    前記振動板と前記個別電極との間に、前記振動板を前記個別電極に当接させるのに必要
    な駆動電圧V2よりも大きく、前記振動板を変位させるのに十分な駆動電圧V1を印加す
    る工程と、
    前記振動板が対応する前記個別電極に接触する前に、前記駆動電圧V1を前記駆動電圧
    V2にまで低下させる工程と、
    前記振動板が対応する前記個別電極に接触する前に、前記駆動電圧V2の印加を所定時
    間継続させる工程とを有する
    ことを特徴とする静電アクチュエータの駆動方法。
  2. 所定時間経過後、
    前記駆動電圧V2を、前記振動板が対応する前記個別電極に当接保持可能な駆動電圧V
    3にまで低下させる工程を有する
    ことを特徴とする請求項1に記載の静電アクチュエータの駆動方法。
  3. ギャップを隔てて対向配置されている個別電極と振動板とからなる静電アクチュエータ
    に駆動電圧を印加し、これらの電極間に静電気力を発生させ、前記振動板を前記個別電極
    に当接させ、その後、前記振動板を前記個別電極から離脱させて前記振動板を振動させ、
    これにより発生する液体圧力変動を利用して、圧力室内の液体を吐出させる液滴吐出ヘッ
    ドの駆動方法であって、
    前記振動板と前記個別電極との間に、前記振動板を前記個別電極に当接させるのに必要
    な駆動電圧V2よりも大きく、前記振動板を変位するのに十分な駆動電圧V1を印加する
    工程と、
    前記振動板が対応する前記個別電極に接触する前に、前記駆動電圧V1を前記駆動電圧
    V2にまで低下させる工程と、
    前記振動板が対応する前記個別電極に接触する前に、前記駆動電圧V2の印加を所定時
    間継続させる工程と、
    前記振動板が対応する前記個別電極に当接した後も、前記駆動電圧V2の印加を所定時
    間継続させる工程とを有し、
    前記駆動電圧V2の印加を停止させ、前記振動板の当接を解除し、前記圧力室に液体圧
    力変動を発生させて、前記圧力室内の液体を吐出させる
    ことを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  4. 前記駆動電圧V2を所定時間印加させた後、
    前記駆動電圧V2を、前記振動板が対応する前記個別電極に当接保持可能な駆動電圧V
    3にまで低下させる工程を有し、
    前記駆動電圧V3の印加を停止させ、前記振動板の当接を解除し、前記圧力室に液体圧
    力変動を発生させて、前記圧力室内の液体を吐出させる
    ことを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
  5. 前記請求項3又は4に記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法を適用した
    ことを特徴とする液滴吐出装置の駆動方法。
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