JP2009002805A - 小角広角x線測定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】小角X線散乱と広角X線散乱とを同時に測定できると共に、広角X線散乱の測定精度を向上できる小角広角X線測定装置を提供する。
【解決手段】X線源Fから出たX線を試料Sに照射し試料Sから発生する散乱線を小角度領域内で検出器26によって検出する小角X線光学系と、試料Sと検出器26との間に設けられており試料Sから発生する散乱線を広角度領域内で検出する広角X線光学系7とを有する小角広角X線測定装置である。広角X線光学系7は、試料Sと検出器7との間のX線光路上に設けられており、X線像を可視光像に変換する蛍光体38と、蛍光板38上に形成された可視光像を反射する光反射体42と、光反射体42で反射した可視光像を検出する光検出器47とを有する。X線光路と交わる部分の蛍光体38及び光反射体42のそれぞれにX線用開口39,42が設けられ、その開口39,42は小角度領域の最大角度値を見込む開口径を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、試料から発生した散乱線、回折線等を測定するX線測定装置に関し、特に、小角度領域内に発生する散乱線等と広角度領域内に発生する散乱線等の両方を同時に測定するX線測定装置に関する。
試料にX線を照射したときに、所定の条件の下でその試料から2次X線である散乱線及び回折線が発生することは既に知られている。回折線は、特定の角度に散乱線が集中して発生することにより強度が強くなった状態のX線である。試料から発生する2次X線を散乱線と呼ぶか、あるいは回折線と呼ぶかは、場合に応じて適宜に選択されるが、本明細書では、小角度領域内に発生する散乱線を小角散乱線と呼び、広角度領域内に発生する散乱線又は回折線を広角散乱線と呼ぶことにする。
従来、例えば特許文献1に小角X線散乱測定装置が開示されている。ここに開示された小角X線散乱測定装置においては、X線源からポイントフォーカスのX線を取出し、そのX線をX線集光手段である多層膜ミラーによって集光させ、その集光されたX線を3つのスリットを通して試料へ照射する。そして、回折角度2θの小角度領域(例えば0°<2θ≦5°)内において試料から発生した2次X線である散乱線を2次元X線検出器によって検出している。
また、例えば特許文献2に広角X線散乱測定装置が開示されている。ここに開示された広角X線散乱測定装置においては、X線源から放射されたX線を第1ピンホール及び第2ピンホールから成るコリメータによって平行化して試料に照射する。そして、試料の反射側(背面側)であって回折角度2θの広角度領域(5°≦2θ)内において発生した散乱線又は回折線を蛍光板によって可視光像に変換し、その可視光像を鏡面によって反射してテレビカメラによって検出している。
また、例えば非特許文献1に、小角散乱と広角散乱とを同時に測定する装置が開示されている。この装置においては、小角X線散乱測定装置のX線光路上であって試料の手前側の位置にX線光路分の間隔を空けて2枚のフラットパネルX線センサが並置されている。試料から小角散乱線が発生した場合、その小角散乱線は2枚のパネルセンサの間を通って後方に配置されたX線検出器によって検出される。試料から広角散乱線が発生した場合には、その広角散乱線は2枚のパネルセンサによって検出される。
特開2001−356197(第3〜4頁、図1) 特公昭52−41073号公報(第1〜2頁、第1図) N.Yagi、「変更を加えたShad-o-Boxを使用したSAXS/WAXSパターンの同時記録」、[online]、[平成19年4月17日検索]、インターネット<URL:http://www.ads-img.co.jp/products/rad-icon/pdf/saxswaxs.pdf>
一般に、小角X線散乱測定によれば物質内のナノメータ(10−9m)オーダーの構造を解析できる。一方、広角散乱測定によれば物質内のサブナノメータ(10−10m)オーダーの構造を解析できる。特許文献1に開示された小角X線散乱測定装置によれば、小角X線散乱測定を行うことにより、物質内のナノメータオーダーの構造解析を行うことができる。この場合の測定は試料から2次元X線検出器までの距離(いわゆるカメラ長)を長く(例えば1m程度)に設定して行われる。この小角X線散乱測定装置において、カメラ長を短くすれば、広角X線散乱測定を行うことができ、物質内のサブナノオーダーの構造解析を行うことも可能である。
近年、物質に関して小角X線散乱測定と広角X線散乱測定とを同時に行いたいという要望がある。その理由は、例えば物質に荷重をかけながら測定を行う場合や、物質の温度を変化させながら測定を行う場合や、物質の湿度を変化させながら測定を行う場合等においては、小角X線散乱測定と広角X線散乱測定とを同時に行わなければ、物質に対する荷重条件、温度条件、湿度条件が小角X線散乱測定と広角X線散乱測定とで異なってしまい、それ故、正確に同じ条件下で小角X線散乱測定と広角X線散乱測定とを行ったことにならないからである。
特許文献1に開示された小角X線散乱装置では、カメラ長を変化させることにより小角X線散乱測定と広角X線散乱測定とのいずれかを選択するので、それらの測定を同時に行うことができない。また、特許文献2に開示された広角X線散乱測定装置では、そもそも小角散乱測定を行うことができないので、当然のことながら、小角X線散乱測定と広角X線散乱測定とを同時に行うことができない。
非特許文献1に開示された装置では、2枚のパネルセンサ及び後方配置のX線検出器を用いることにより、小角散乱線と広角散乱線との両方を同時に検出できるようになっている。しかしながら、非特許文献1に開示された装置では、2枚のパネルセンサの間に長いスリット状の開口が形成されるため、得られた広角散乱線データにおいて図8に符号Aで示すようにスリット状開口に対応してデータが取得できないスリット状領域が発生していた。このデータ取得不能領域内には貴重なデータが含まれることが多く、それ故、この装置においては小角散乱測定データと広角散乱測定データとを同時に求めたときに、広角散乱測定データの信頼性が低いという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、小角X線散乱測定と広角X線散乱測定とを同時に行うことができると共に、広角X線散乱測定の測定精度を向上できる小角広角X線測定装置を提供することを目的とする。
本発明に係る小角広角X線測定装置は、X線源から出射したX線を試料に照射すると共に該試料から発生する散乱線を小角度領域内でX線検出手段によって検出する小角X線光学系と、前記試料と前記X線検出手段との間に設けられており該試料から発生する散乱線を広角度領域内で検出する広角X線光学系とを有する。前記広角X線光学系は、前記試料と前記X線検出手段との間のX線光路上に設けられると共にX線像を可視光像に変換する蛍光体と、該蛍光板上に形成された可視光像を反射する光反射体と、該光反射体で反射した可視光像を検出する光検出手段とを有する。前記X線光路と交わる部分の前記蛍光体及び前記光反射体のそれぞれにはX線用開口が設けられ、そのX線用開口は前記小角度領域の最大角度値を見込む開口径を有する。
上記構成において、小角度領域とは、小角散乱線を取得する必要がある角度領域のことであり、回折角度2θで規定すれば、一般的には0°<2θ≦5°で規定される角度領域である。また、広角度領域とは、広角散乱線を取得する必要がある角度領域のことであり、一般的には5°≦2θ≦50°で規定される角度領域である。
上記構成の本発明に係る小角広角X線測定装置によれば、広角X線光学系を構成する蛍光体及び光反射体を小角X線光学系のX線光軸と交わる位置に設け、さらに、X線光軸と交わる部分の蛍光体及び光反射体のそれぞれにX線通過用の開口を設けたので、試料から発生する小角散乱線を小角光学系を用いて検出することと同時に、同じ試料から同時に発生する広角散乱線を広角光学系を用いて同時に検出できる。
2枚のパネルセンサを用いた従来の小角広角X線測定装置では、パネル間に大きなスリット状開口が形成されてしまうので、その開口に対応する広い領域の広角散乱線を検出できなかった。これに対し、本発明に係る小角広角X線測定装置によれば、蛍光体及び光反射体に設けたX線用開口の径は、小角度領域の最大角度値(例えば2θ=5°)を見込む径であって、必要以上に大きくはないので、広角散乱線の全てを漏れなく検出でき、広角X線散乱測定の測定精度を向上できる。
次に、本発明に係る小角広角X線測定装置は、前記蛍光体及び前記光反射体を包囲する暗箱をさらに有することが望ましく、さらには、前記X線光路と交わる部分の前記暗箱にX線用開口が設けられ、そのX線用開口は前記小角度領域の最大角度値を見込む開口径を有することが望ましい。この構成によれば、前記光検出手段に余分な光が取り込まれることが回避され、正確な広角散乱測定を行うことができる。
次に、本発明に係る小角広角X線測定装置において、前記光検出手段は2次元CCD光センサであることが望ましい。2次元CCD光センサは、複数のCCD(Charge coupled device)素子を行列状に、例えば512×512ピクセルの配列で並べることによって構成された光センサである。各CCD素子が光を受けるとその部分に電荷が蓄積され、それらの電荷を所定の方式で読取り走査することにより、光を受けた位置と光量とをデジタルデータとして検出できる。検出手段としてCCD光センサを用いれば、X線光路上には蛍光体及び光反射体を配置すればよいので、X線光路上にX線パネルセンサを設ける場合に比べて、X線光路上における構成が簡単になる。
次に、本発明に係る小角広角X線測定装置において、前記蛍光体は前記X線光軸に対して直角に配置され、前記光反射体は前記X線光軸に対して傾斜して配置されることが望ましい。この構成により、蛍光体によって正確な広角散乱線像を取得できる。また、前記蛍光体は前記光反射体よりも前記試料に近い位置に配置されることが望ましい。この構成により、試料と蛍光体との間の距離を小さくでき、蛍光体上に鮮明な広角散乱線像を形成できる。
次に、本発明に係る小角広角X線測定装置において、前記小角X線光学系は、前記X線源からポイントフォーカスのX線を取出すX線発生装置と、前記X線源と前記試料との間に配置されており前記X線源から取出されたX線を集光させるX線集光手段とを有することが望ましい。小角X線光学系としてはラインフォーカスで取出されたX線を用いることも可能であるが、その場合にはライン方向(縦方向)で散乱線が重なってしまうのでその重なりを補正する演算処理を行う必要が生じる。これに対し、ポイントフォーカスのX線を用いればそのような補正を行うまでもなく正確な散乱線データを得ることができる。ポイントフォーカスのX線はラインフォーカスのX線に比べて強度が低くなるが、本発明態様ではポイントフォーカスのX線をX線集光手段、例えばコンフォーカルミラーによって集光させることにしたので、ポイントフォーカスでありながら高強度のX線を試料に照射できる。
次に、本発明に係る小角広角X線測定装置においては、前記X線源から前記X線検出手段に至るX線光路を減圧状態に保持する手段をさらに有することが望ましく、さらには、前記暗箱の内部も減圧状態に保持されることが望ましい。この構成により、空気散乱に起因して不要な散乱線が発生することを防止でき、鮮明な小角散乱線像及び広角散乱線像を得ることができる。
本発明によれば、広角X線光学系を構成する蛍光体及び光反射体を小角X線光学系のX線光軸と交わる位置に設け、さらに、X線光軸と交わる部分の蛍光体及び光反射体のそれぞれにX線通過用の開口を設けたので、試料から発生する小角散乱線を小角光学系を用いて検出することと同時に、同じ試料から同時に発生する広角散乱線を広角光学系を用いて同時に検出できる。しかも、蛍光体及び光反射体に設けたX線用開口の径は、小角度領域の最大角度値(例えば2θ=5°)を見込む径であって、必要以上に大きくはないので、広角散乱線の全てを漏れなく検出でき、広角X線散乱測定の測定精度を向上できる。
(第1実施形態)
以下、本発明に係る小角広角X線測定装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
図1は、本発明に係る小角広角X線測定装置の一実施形態の外観構成を示している。図2はそのX線測定装置に内蔵されたX線光学系を示している。図2は図1の装置を矢印Aで示す上方から見た場合の平面図に相当する。図1及び図2においてXYZで示す3次元表示は本小角広角X線測定装置が設置された3次元空間を示している。XYによって規定される平面はいわゆる赤道面であり、Z方向がその赤道面に直交する緯度方向である。赤道面は一般には水平面であり、試料へ入射するX線及び試料から出射するX線のそれぞれの中心軸(いわゆる光軸)がこの赤道面に含まれる。
図1において、本小角広角X線測定装置は、略中央の位置に試料台6を有し、この試料台6上に測定対象である試料Sが載せられている。試料Sとしては、フィルム状試料、繊維状試料、液体状試料、その他種々の状態の試料が提供される。試料台6は供された試料に対して好適な形状及び構造に形成される。試料台6の左側に入射側光学系が設置され、試料台6の右側に受光側光学系が設置されている。
入射側光学系は、X線発生装置1と、X線集光装置2と、第1スリット部3と、第2スリット部4と、第3スリット部5とを有する。受光側光学系は、広角X線光学系7と、2次元検出器ユニット8と、CCD検出器ユニット9とを有する。X線発生装置1及びX線集光装置2を除いた上記の各要素は、基台11上に設けたレール12上に設けられている。レール12上に設けられた各要素は、そのレール12上で個々に位置を変えた上で固定配置することができる。
第1スリット部3と第2スリット部4との間には第1減圧パス13aが設けられ、第2スリット部4と第3スリット部5との間には第2減圧パス13bが設けられ、そして広角X線光学系7と2次元検出器ユニット8との間には第3減圧パス13cが設けられている。第1減圧パス13a及び第2減圧パス13bは長さが一定で気密構造の管である。第3減圧パス13cは蛇腹状の伸縮可能部材によって形成されていてレール12に沿って伸縮移動して長さを変えることができるようになっている。この伸縮移動はカメラ長の調整を考慮したものである。各減圧パスの内部は図示しない減圧装置、例えばロータリーポンプ及びターボ分子ポンプによって減圧されて、真空又は真空に近い減圧状態に設定される。この減圧は、空気散乱現象によって不要な散乱線が発生することにより、測定データにおけるバックグラウンド成分が上昇することを防止するための措置である。
図1と図2との対応関係を説明すれば、X線発生装置1の内部にX線焦点Fが設けられ、X線集光装置2の内部にX線集光要素22が設けられ、第1スリット部3の内部に第1スリット23が設けられ、第2スリット部4の内部に第2スリット24が設けられ、第3スリット部5の内部に第3スリット25が設けられている。図2に示す試料Sは図1の試料台6によって支持されている。図2に示す検出器プレート26及びダイレクトビームストッパ27は図1の2次元検出器ユニット8の内部に設けられている。本明細書では、X線焦点Fから検出器プレート26の間でX線が進行する領域をX線光路と呼び、そのX線光路の中心軸線をX線光軸X1と呼ぶことにする。X線光軸X1は赤道面XYに含まれる。
検出器プレート26は、X線検出面に蓄積性蛍光体が一様な厚さで層状に設けられた平板状のX線検出器である。ダイレクトビームストッパ27はX線を透過させない物質によって形成され、X線光軸上に設けられている。検出器プレート26は、X線が当った位置にエネルギ潜像を蓄積し、その位置に輝尽励起光(例えばレーザ光)が照射されたときに、蓄積されたエネルギ潜像が光になって出射する性質を有している。ダイレクトビームストッパ27は検出器プレート26にダイレクトビームが照射されることを防止する。検出器プレート26に記録された散乱線像を読取る際には、その検出器プレート26を本小角広角X線測定装置から取り外し、別の場所に設置された読取り装置によって読取り処理を行う。
図1に示すCCD検出器ユニット9の内部構造は図2には示されていないが、例えば、検出器プレート26を配置する位置の後方位置に検出器プレート26と略同じ面積の蛍光体スクリーンを設け、散乱線像をその蛍光体スクリーンによって光像に変換し、その光像を光ファイバ束によって面状CCDセンサへ導き、そのCCDセンサによって散乱線像に対応した2次元画像信号を生成する、という構成を有するCCDX線検出器を配置できる。測定者は、図1において、2次元検出器ユニット8又はCCD検出器ユニット9のいずれかを選択して測定を行う。
図1において、X線焦点Fの周囲にハウジング16が設けられている。X線焦点Fから発生したX線はハウジング16に設けられたX線取出し窓17を通して外部へ取出される。X線を発生するX線源は、例えば図3に示すように、ロータターゲット(すなわち回転対陰極)18と、それに対向するフィラメント(すなわち陰極)19とを有する。フィラメント19に通電が成されると、そのフィラメント19から熱電子が放出され、その熱電子がターゲット18へ衝突する。この衝突領域がX線焦点Fである。ターゲット18の内部には冷却水が流される。ターゲット18を回転させ、さらにその内部に冷却水を流すことにより、ターゲット18が高温のために損傷することを防止している。
本実施形態では、ターゲット18の表面をCuによって形成し、CuKαの特性X線を用いて測定を行うものとする。また、X線焦点FからのX線の取出し角度αは約6°であり、約6°の視射角での焦点サイズdを0.08mmφ(又は0.08mm×0.08mm)に設定した。つまり、0.08mmφの焦点サイズのポイントフォーカスのX線を取出すことにした。図2において、X線焦点Fから取出されたX線は、X線集光要素22、第1〜第3スリット23,24,25を通って試料Sへ照射される。そして、試料Sから発生した2次X線は広角X線光学系7に取り込まれたり、広角X線光学系7を通過して検出器プレート26に取り込まれたりする。
次に、X線集光要素22は、図4(a)に示すように、互いに直角を成して接合された一対のX線反射ミラーである第1ミラー22a及び第2ミラー22bによって形成されている。このX線集光要素22はコンフォーカルミラーと呼ばれることがある。第1ミラー22a及び第2ミラー22bのX線反射面29は、図4(b)に示すように、X線を集光させることができる所定の湾曲面、例えば放物面、楕円面等となっている。湾曲面の形状により、入射X線を適宜の1点に集束する集束ビームに成形したり、平行ビームに成形したりすることができる。本実施形態では、X線集光要素22によってX線を集束ビームに成形するものとする。集束ビームの集光点は必要に応じて適宜に選定されるが、本実施形態では図2において試料Sの少し後方の位置に集光するように設定する。なお、集光点を試料Sに一致させたり、検出器プレート26に一致させたりしても良い。
図4(b)に示すように、X線反射面29は、重元素層30と軽元素層31との積層構造によって形成されている。図では、重元素層30と軽元素層31の層対が3対のみ示されているが、実際には、この層対は数百〜数千個設けられる。重元素層30を構成する重元素としては、例えばタングステン(W)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)を用いることができる。また、軽元素層31を構成する軽元素としては、例えば炭素(C)、珪素(Si)を用いることができる。本実施形態では、重元素としてニッケルを用い、軽元素として炭素を用いることにする。ニッケルと炭素の組合せを採用した場合に強度の強い集束X線を得ることができた。
X線焦点Fから発生したX線がミラー22a,22bに入射したとき、X線の波長を「λ」、X線の入射角度を「θ」、層対30,31の厚さに相当する格子面間隔を「d」とすれば、周知のブラッグの回折条件
2dsinθ=nλ
が満たされたときに、回折X線が発生する。なお、上式において「n」は反射次数である。
本実施形態において、層対30,31によって形成される格子面間隔dは特定波長、例えばCuKα線に対してX線反射面29の任意の位置でブラッグの回折条件を満足するように湾曲面29に沿って連続的に変化する状態に形成されている。このような多層膜の製造は、例えば特開昭60−7400号公報に開示された方法に基づいて行うことができる。ミラー22a,22bのX線反射面29はこのように各点においてX線を回折できる複数の層対30,31によって形成されているので、X線焦点Fから放射されてX線反射面29で回折したX線は集束X線ビームとなってミラー22a,22bから出射する。しかも、この集束X線ビームは、多層膜の各層対から発生したものが集まったものであるので、強度が非常に強い。
図4(a)において、第1ミラー22a及び第2ミラー22bへ入射したX線は、それらのミラー22a,22b間で交互に反射を繰り返した後、集束X線ビームとして出射する。この場合、第1ミラー22aと第2ミラー22bは互いに直角の位置関係にあるので、出射したX線ビームの断面形状はひし形形状又は正方形状となる。
なお、第1ミラー22a及び第2ミラー22bを3次元空間XYZ内でどのような角度配置に設定するかは、必要に応じて任意に設定されるものであるが、本実施形態では、第1ミラー22a及び第2ミラー22bはそれぞれ垂直軸(Z軸)及び水平軸(Y軸)に対して45°の角度で傾けられている。これは、平行X線ビームを赤道面(XY平面)内に取出し易くするためである。但し、第1ミラー22a及び第2ミラー22bはそれぞれZ軸及びY軸と平行に設けられていても良い。
図4(c)において、X線集光要素22を構成する第1ミラー22a及び第2ミラー22bから出射する平行X線ビーム内の個々のX線ビームを見ると、個々のX線ビームは広がり角度δを持っている。この広がり角δは、多層膜ミラー22a,22bに関してロッキングカーブを測定したときに、そのロッキングカーブのピーク幅、一般的には半価幅として与えられる。多層膜の層対を重元素であるニッケルと軽元素である炭素とによって形成した本実施形態では、ミラー22a,22bそれ自体によるX線ビームの広がり角度δは約0.04°であった。
図2においてX線焦点Fから発生し、所定の焦点サイズで取出されたポイントフォーカスのX線は、発散しながらX線集光要素22のX線入射口から取り込まれる。この場合、発散するX線の断面サイズがX線集光要素22のX線入射口の開口面積よりも小さ過ぎると十分な強度のX線が得られないし、X線の断面サイズが大き過ぎるとX線焦点Fから出たX線のうち無駄に消費されるX線が多くなる、という不都合が発生する。本実施形態では、X線焦点FからX線集光要素22の中心位置までの距離Lを約125mm(X線入射口までは85mm)に設定し、X線入射口を1.3mm×1.3mmに設定することにより、X線焦点Fから出たX線が無駄に消費されること無くX線集光要素22によって取り込まれるようにし、強い強度のX線ビームが得られるように構成している。
次に、第1スリット23、第2スリット24、及び第3スリット25はいずれも円形状のピンホールとして形成されている。スリット形状としては円形状以外に長方形状又は正方形状があるが、小角散乱測定の場合には円形状スリットを用いた方が鮮明な散乱線像が得られる。これは、長方形状又は正方形状のスリットでは角部において不要な散乱線が発生するからではないかと考えられる。第1スリット23と第2スリット24はピンホールコリメータを構成している。つまり、X線集光要素22から出射したX線は第1スリット23と第2スリット24との協働により発散が抑制されて平行ビーム又は集束ビームへと成形される。そして、第3スリット25は、不要な散乱線が試料Sへ入射することを防止するガードスリットとして作用する。以上のように、各スリット23,24,25によって試料Sへ入射するX線の分散を抑え、しかも試料Sへ不要な散乱線が入射することを防止することにより、回折角度2θでの小角度領域(例えば0°<2θ≦5°)において試料Sから発生する散乱線を測定することを可能にしている。
試料Sは図1において試料台6によって支持される。試料台6は、例えば4軸回転機構を備えている。この4軸回転機構のうちの任意の軸を選択して試料Sを所望の角度だけ回転させることにより、試料Sの所望の部分をX線光軸X1上に載せることができる。なお、試料台6は、3軸回転機構を含む構成であっても良い。
図2において、X線源F、X線集光要素22、第1スリット23、第2スリット24、第3スリット25、試料S、そして検出器プレート26は、小角X線散乱測定を行うための小角X線光学系を構成している。そして、広角X線光学系7はこの小角X線光学系のX線光路上に配置されている。この広角X線光学系7は、図5に示すように、X線光軸X1を含むX線光路を横切って配置された暗箱34と、その暗箱34に接続された検出部35とを有する。暗箱34は内部に光が進入しないように密閉された箱である。暗箱34の内部は、光の反射を防ぐため、例えば艶消し黒色処理を施したアルミニウム板材によって形成されている。
暗箱34の試料S側の側壁部分には、例えばアクリル樹脂やガラスによって形成された蛍光層支持体36が設けられ、その蛍光層支持体36の平面上に蛍光層37が一定の厚さで層状に設けられている。蛍光層支持体36と蛍光層37とによって蛍光板38が構成されている。蛍光層37は透過型蛍光層であり、試料S側の面で受けたX線像がその反対側の面で可視光像として表示される。蛍光板38がX線光軸X1と交わる部分には円形状のX線開口39が設けられている。また、蛍光板38よりも試料S側の暗箱34の壁にシート状遮光部材40、例えば黒色紙、遮光性の高分子樹脂膜等が取付けられている。遮光部材40は光の通過を阻止し、X線の通過を許容する部材である。
暗箱34の内部の対角位置に光反射板42が設けられている。本実施形態ではX線光軸X1に対して略45°の角度で光反射板42が傾斜している。この光反射板42は、例えば、アクリル樹脂やガラス等から成る支持体の表面に光反射性の金属(例えばAl(アルミニウム)の薄膜を一様な厚さで層状に形成することによって形成されている。金属薄膜が形成された光反射面は蛍光板38の方向を向いている。光反射板42がX線光軸X1と交わる部分にX線開口43が設けられている。このX線開口43は、これをX線光軸X1から見たときに円形となるような楕円状又は長円状に形成されている。
暗箱34の検出器プレート26側の側壁に円形状のX線開口44が設けられている。このX線開口44は適宜の遮光部材によって遮光されている。図2においてX線源F、X線集光要素22、スリット23〜25、試料S、及び検出器プレート26から成る小角X線光学系を用いて小角X線散乱測定が行われる際には、図2において試料Sから発生した散乱線が、蛍光板38のX線開口39、光反射板42のX線開口43、及び暗箱34の側壁のX線開口44を順次に通過して検出器プレート26へ到達してこれを露光する。なお、ダイレクトビームストッパ27に対応する部分の検出器プレート26は測定データである散乱線を受けることはできない。
各X線開口39、43、44の開口円の半径は次のようにして決められる。X線開口39及びX線開口44はX線光軸X1に対して直角に配置されているので、小角X線散乱測定において測定したい小角領域の最大角度を“β”とし、試料SからX線開口39までの距離をL3とすれば、X線開口39の開口円の半径は“L3×tanβ”である。また、試料SからX線開口44までの距離をL5とすれば、X線開口44の開口円の半径は“L5×tanβ”である。なお、一般的には小角X線散乱測定における小角測定領域は0°<2θ(回折角度)≦5°であるので、β=5°に設定すれば良い。つまり、X線開口39及び44の開口円の半径は小角度領域(0°<2θ≦5°)の最大角度値(5°)を見込む円の半径となっている。
X線開口43はX線光軸X1に対して傾斜しているので、試料SからX線開口43の中心までの距離をL4としたとき、X線開口43のX線光軸X1に直角方向の見掛け上の開口円の半径が“L4×tanβ”となるように、X線開口43を長円形状又は楕円形状に形成する。つまり、X線開口43の開口円の半径も小角度領域(0°<2θ≦5°)の最大角度値(5°)を見込む円の半径となっている。
暗箱34と検出部35とを接続する円筒状の接続部45の内部に結像レンズ46が設けられている。また、検出部35の内部には、2次元X線検出器である2次元CCD(Charge coupled device)センサ47が設けられている。この2次元CCDセンサは、複数のCCD素子を平面内で行列状に並べることによって形成されている。本実施形態では、CCD素子の画素数及び配列を512×512ピクセルとした。このCCDセンサ47は2次元領域内で受光した光の受光位置と受光光量とを電気信号として出力する素子である。2次元CCDセンサ47の受光面と反対側の面に冷却装置48が設けられている。この冷却装置48は、CCDセンサ47においてダークカレント(暗電流)が発生することを抑えることにより、CCDセンサ47を長時間露光することを可能にするための要素である。この冷却装置48は、例えばペルチェ素子を用いたり、液体冷媒を用いたり、フィン等からの放熱を利用したりすること等によって実現される。
次に、図1において、広角X線光学系7の暗箱34は第3減圧パス13cに連結されている。第3減圧パス13cの内部が減圧される際には暗箱34の内部も同時に減圧される。そのため、暗箱34は気密構造に形成され、しかも外部が大気圧状態で内部が真空状態になっても壊れることのない十分な強度を有する構造に形成されている。
以下、本測定装置を用いた測定について説明する。本測定装置は小角X線散乱測定と広角X線散乱測定とを同時に行うことができる。以下、それらの測定を個別に説明する。なお、小角X線散乱測定では0°<2θ(回折角度)≦5°の小角度領域を測定範囲とし、広角X線散乱測定では5°≦2θ≦50°の広角度領域を測定範囲とすることにする。
まず、小角X線散乱測定は次のようにして行われる。図2において、試料Sから検出器プレート26に至る距離、いわゆるカメラ長L2を長い距離、例えば1mに設定する。そして、X線焦点FからCuKα線を含むポイントフォーカスのX線を取出し、そのX線をX線集光要素22の構成要素である第1ミラー22a及び第2ミラー22bで反射させて特定点に集光するようにビーム成形する。この場合のX線はスリットによって一部分がカットされたX線ではなく、ミラー22a及び22bでの回折によって得られたものであるので、強度が非常に強いX線である。この高強度のX線は第1スリット23及び第2スリット24によって発散を抑えられた状態で試料Sへ入射する。このとき、第3スリット25は試料Sへ不要な散乱線が入射することを防止する。
こうして高強度で発散が抑えられたX線が試料Sへ入射すると、試料S内に含まれるナノ(10−9m)構造に起因して小角度領域(0°<2θ≦5°)内における試料に固有の散乱角度(回折角度)2θの角度位置に散乱線が発生する。この散乱線は図5において、広角X線光学系7内の各X線開口39、43、44を通過して検出器プレート26に到達し、X線散乱線像を形成する。X線散乱線像を保有した検出器プレート26に対して読取り装置によって読取り処理を行うことにより、試料Sに関する散乱線データを得ることができ、この散乱線データを分析することにより試料Sの内部のナノスケール(10−9m)の構造、より具体的には、分子レベルの構造(1nm〜100nmのマクロ構造)から原子レベルの構造(0.2nm〜1nmのミクロ構造)を評価できる。
一方、広角X線散乱測定は小角X線散乱測定と同時に次のようにして行われる。図2において、試料Sから蛍光体38の蛍光層37に至る距離L3を40cm≦L3≦50cm内の適宜の距離に設定する。図5において試料SにX線が入射すると、試料S内に含まれるサブナノ(10−10m)構造に起因して広角度領域(5°≦2θ)内における試料に固有の散乱角度(回折角度)2θの角度位置に散乱線(回折線)が発生する。この散乱線は図5において、蛍光板38の蛍光層37へ入射し、その蛍光層37の作用により可視光像へ変換されて、背面(図の右面)に表示される。この可視光像は光反射板42で反射し、レンズ46の作用により2次元CCDセンサ47の受光面に結像される。CCDセンサ47は所定の走査読取り方式に基づいて可視光像を読取り、回折線データを生成する。この回折線データを分析することにより試料Sの内部のサブナノスケール(10−10m)の構造を評価できる。
試料SにX線が照射される時間は数分である。この数分間の間CCDセンサ47は露光を受けて画像が蓄積される。一般にCCDセンサに対する露光時間が長くなると暗電流が上昇して正確なデータが得られなくなるが、本実施形態ではCCDセンサを冷却するので長時間の露光にも耐えられる。好ましい冷却温度は−50°C程度であった。画像蓄積後のCCDセンサ47による読取り時間は、通常、数秒間である。なお、図5において特に図示はしていないが、レンズ46とCCDセンサ47との間にはメカニカルシャッタを設けておくことが望ましい。そして、画像蓄積時はメカニカルシャッタを開け、読取り時には外部光がCCDセンサ47に入らないようにメカニカルシャッタを閉じることが望ましい。
以上のようにして試料Sを、全く同じ共通の条件に置いたときの小角散乱線データと広角散乱線データとを同時に得ることができる。その結果、試料Sの内部構造を正確に評価できる。図1及び図2では特に図示していないが、試料Sに荷重付与装置、温度制御装置、湿度制御装置等といった付帯機器を装備することができる。荷重付与装置は試料Sに引張り又は圧縮の荷重を加えることができる装置である。温度制御装置は試料Sの温度を上げたり又は下げたりして制御できる装置である。湿度制御装置は試料Sの周囲の湿度を上げたり又は下げたりして制御できる装置である。
従来の小角X線散乱測定装置は図2において広角X線光学系7を備えていなかった。この小角X線散乱測定装置によって広角散乱測定を行うことを希望する場合、カメラ長L2を1m等といった長い距離から広角領域を測定できる短い距離に変更すれば、広角散乱測定を行うことも可能である。さもなければ、試料Sを専用の広角X線測定装置へ載せ代えて広角X線測定をしなければならない。上記の各種付帯機器によって試料に対する条件を変化させながら小角散乱線データ及び広角散乱線データを取得しようとする場合、カメラ長を変化させたり、測定装置を変更させたりする従来の測定手法を採用するものとすれば、試料Sを正確に共通の条件下に置いた状態でそれら2種類のデータを得ることは不可能である。これに対し、本実施形態によれば、全く同じ条件下で小角散乱線データと広角散乱線データの2種類のデータが得られるので、それらのデータに基づいて非常に正確な分析を行うことが可能となる。
他方、2枚のパネルセンサをX線光軸を挟んで並置させた構造の従来の小角広角X線測定装置においては、図8に示したようにパネルセンサの間隔部分に相当する散乱線像が得られなかったため、十分に正確な評価を行うことが難しかった。これに対し、本実施形態では、図2において試料Sから発生する広角散乱線は、中心部に小さなX線開口39を空けただけの蛍光層37によって受光されるので、広い領域にわたって広角散乱線像を取得することができ、それ故、広角散乱に関して正確な評価を行うことが可能である。
ところで、図5に示した2次元CCDセンサ47は特定の構造のCCDセンサである必要はないが、望ましくは背面照射型CCDセンサを用いる。この背面照射型CCDセンサは、複数のCCD素子やそれらに付随する配線が形成された面と反対側の面を非常に薄く形成してその背面を受光面として機能させる構造のCCDセンサである。配線が形成された面を受光面とすると配線が形成された部分に入った光はデータとして検出されることなく無駄に消費されるだけなので、効率が悪い。これに対し、CCDセンサの背面を受光面として用いれば、受光した全ての光をデータとして検出できるので、X線像を正確に検知することができる。
(第2実施形態)
図6は、本発明に係る小角広角X線測定装置の他の実施形態を示している。この図は先の実施形態における図2に相当する構成を示している。図6において図2と同じ符号は同じ部材を示しており、それらの部材の説明は省略することにする。本実施形態では、図2に示した実施形態に対して広角X線光学系に改変を加えている。本実施形態で用いる広角X線光学系57は、図7に示すように、断面が方形状でない暗箱64を有している。この暗箱64には図5の実施形態の場合と同様に接続部45を介して検出部35が接続されている。検出部35内には2次元CCDセンサ47及び冷却装置48が設けられ、接続部45内には結像レンズ46が設けられている。
暗箱64の試料S側の側壁部分には光反射板42が設けられ、さらにその外側に遮光部材40aが設けられている。光反射板42は内面側が光反射面であり、レンズ46及びCCDセンサ47へ向けて光像を反射する。この場合、光反射板は、X線に対してほとんど吸収を受けないことが必要で、その支持体が薄い高分子材料でできていることが望ましい。暗箱64の検出器プレート26側の側壁部分に蛍光板68が設けられ、その外側に遮光部材40bが設けられている。蛍光板68は、蛍光層支持体36及びそれに支持された蛍光層67によって形成されている。蛍光層67は図5に示した蛍光層37と同様にX線を光に変換する要素であるが、図5の蛍光層37が透過方向に光を発生するのに対し、本実施形態の蛍光層67は反射方向(すなわち試料Sへ向かう方向)に光を発生する。
本実施形態においても、光反射板42及び蛍光板68の中心部分(すなわちX線光軸X1と交わる部分)にX線通過用の開口59及び60が設けられている。開口59及び開口60の開口径は、図5に示した実施形態におけるX線開口39、43、44の場合と同様に、測定を希望する小角度領域の最大角度値“β”と、試料Sからそれらの開口59,60までの距離によって決められる。
本実施形態においては、試料Sから発生した小角散乱線は暗箱64内のX線開口59,60を通って検出器プレート26に到達してこれを露光する。他方、試料Sから発生した広角散乱線は光反射板42を透過して蛍光層67に到達して光に変換される。この光像は、光反射板42の反射面で反射して、結像レンズ46によってCCDセンサ47の受光面に結像し、CCDセンサ47によって2次元的に読取られる。このCCDセンサ47による読取りにより、広角散乱線データが生成される。
図5に示した実施形態では蛍光板38を試料S側に配置し、光反射板42を検出器プレート26側に配置したが、本実施形態のように、蛍光板68を検出器プレート26側に配置し、光反射板42を試料S側に配置することもできる。
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、図2に示した実施形態では検出器プレート26によって小角散乱線を検出したが、図1に示すCCD検出器ユニット9を用いて小角散乱線を検出することもできる。
また、図2の実施形態ではX線源Fから放射されたX線の発散をX線集光要素22によって抑えることによって集束ビーム又は平行ビームを形成することにしたが、X線集光要素22を用いることなく、3つのスリット23,24,25によって試料Sへの入射X線の発散を抑えるだけでも小角X線散乱測定を行うことが可能である。また、図2のX線集光要素22に代えてグラファイトモノクロメータを配置することも可能である。グラファイトモノクロメータは集光作用は持っていないが、X線源Fから発生したX線を単色化(特定波長の特性線を選択的に取出す処理)することにより、小角散乱線測定及び広角散乱線測定におけるバックグラウンドを下げて、鮮明な散乱線ピークを生成できる。
なお、X線発生装置からラインフォーカスのX線を取出して小角X線散乱測定を行うことが可能である。そしてこの装置に広角X線光学系を付設して本発明を構成することも可能である。但しこの場合には、ラインフォーカス方向(例えば緯度方向)で散乱線の重なりによって散乱線像が不鮮明になるので、得られたデータを計算によって補償する必要がある。
本発明に係る小角広角X線測定装置の1実施形態の外観を示す斜視図である。 図1の小角広角X線測定装置の内部のX線光学系を示す平面図である。 X線源の一例を示す斜視図である。 X線集光要素の一例を示す図である。 広角X線光学系の一例を示す平面図である。 本発明に係る小角広角X線測定装置の他の実施形態を示す平面図である。 広角X線光学系の他の例を示す平面図である。 従来の小角広角X線測定装置を用いた測定の結果の一例を示す図である。
符号の説明
1.X線発生装置、 2.X線集光装置、 3.第1スリット部、
4.第2スリット部、 5.第3スリット部、 6.試料台、 7.広角X線光学系、
8.2次元検出器ユニット、 9.CCD検出器ユニット、 11.基台、
12.レール、 13a〜13c.減圧パス、 16.ハウジング、
17.X線取出し窓、 18.ロータターゲット、 19.フィラメント、
22.X線集光要素、 22a.第1ミラー、 22b.第2ミラー、
23〜25.スリット、 26.検出器プレート、 27.ダイレクトビームストッパ、
29.X線反射面、 30.重元素、 31.軽元素、 34.暗箱、 35.検出部、
36.蛍光層支持体、 37.蛍光層、 38.蛍光板、 39.X線開口、
40.遮光部材、 40a,40b.遮光部材、 42.光反射板、 43.X線開口、
44.X線開口、 45.接続部、 46.結像レンズ、 47.2次元CCDセンサ、
48.冷却装置、 57.広角X線光学系、59,60.X線開口、 64.暗箱、
67.蛍光層、 68.蛍光板、 A.データ取得不能領域、 d0.焦点サイズ、
F.X線焦点、 α.X線取出し角度、 X1.X線光軸

Claims (7)

  1. X線源から出射したX線を試料に照射すると共に該試料から発生する散乱線を小角度領域内でX線検出手段によって検出する小角X線光学系と、
    前記試料と前記X線検出手段との間に設けられており該試料から発生する散乱線を広角度領域内で検出する広角X線光学系とを有し、
    前記広角X線光学系は、
    前記試料と前記X線検出手段との間のX線光路上に設けられており、X線像を可視光像に変換する蛍光体と、
    該蛍光板上に形成された可視光像を反射する光反射体と、
    該光反射体で反射した可視光像を検出する光検出手段と、を有し、
    前記X線光路と交わる部分の前記蛍光体及び前記光反射体のそれぞれにX線用開口が設けられ、そのX線用開口は前記小角度領域の最大角度値を見込む開口径を有する
    ことを特徴とする小角広角X線測定装置。
  2. 請求項1記載の小角広角X線測定装置において、
    前記蛍光体及び前記光反射体を包囲する暗箱をさらに有し、
    前記X線光路と交わる部分の前記暗箱にX線用開口が設けられ、そのX線用開口は前記小角度領域の最大角度値を見込む開口径を有する
    ことを特徴とする小角広角X線測定装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の小角広角X線測定装置において、前記光検出手段は2次元CCD光センサであることを特徴とする小角広角X線測定装置。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の小角広角X線測定装置において、
    前記蛍光体は前記X線光軸に対して直角に配置され、前記光反射体は前記X線光軸に対して傾斜して配置されることを特徴とする小角広角X線測定装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の小角広角X線測定装置において、
    前記蛍光体は前記光反射体よりも前記試料に近い位置に配置されることを特徴とする小角広角X線測定装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の小角広角X線測定装置において、
    前記小角X線光学系は、
    前記X線源からポイントフォーカスのX線を取出すX線発生装置と、
    前記X線源と前記試料との間に配置されており前記X線源から取出されたX線を集光させるX線集光手段とを有する
    ことを特徴とする小角広角X線測定装置。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の小角広角X線測定装置において、
    前記X線源から前記X線検出手段に至るX線光路を減圧状態に保持する手段をさらに有し、
    前記暗箱の内部も減圧状態に保持される
    ことを特徴とする小角広角X線測定装置。
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