JP2009002695A - 磁性物質の検出装置及び検出方法 - Google Patents

磁性物質の検出装置及び検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】磁性物質を容易に高精度で検出可能な検出装置及び検出方法を提供することにある。
【解決手段】磁性物質の検出に用いる磁性インピーダンス素子を、磁性物質を側面の所定帯状部分に局在させて捕捉できる構成とするか、異なる方向からの複数の磁界の印加におけるインピーダンスの変化から磁性物質を検出可能な構成とする。
【選択図】図3

Description

本発明は、磁性物質を検出するための、あるいは磁性物質を標識として非磁性物質を検出するための検出装置、ならびに検出方法に関する。
定量的なイムノアッセイとして、放射免疫分析法(RIA : radio immunoassayもしくはIRMA:immunoradiometric assay)が古くから知られている。この方法では、放射性核種によって、競合抗原あるいは抗体を標識し、比放射能の測定結果から抗原が定量的に測定される。つまり抗原などの標的物質を放射性物質で標識してこれを間接的に測定する。この方法は感度が高いことから、臨床診断において大きな貢献を果たしたが、放射性核種の安全性の問題が有り、専用の施設や装置が必要となる。そこでより扱いやすい方法として、例えば、蛍光物質、酵素、電気化学発光分子、磁性物質などの標識を用いる方法が提案されてきた。蛍光標識、酵素標識、電気化学発光標識等を標識として用いた場合は、光学的な測定方法が利用できる。例えば、光の吸収率や透過率、あるいは発光光量を計測することによって、標的物質の検出が行われる。標識に酵素を用いる酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immunoassay)は、抗原-抗体反応後に、酵素標識抗体を抗原-抗体複合体と反応させ、その酵素に対する基質を添加して発色させ、その吸光度により比色定量する方法である。また、磁性物質を標識とし磁気センサ素子によって間接的に生体分子を検出するバイオセンサの研究報告が幾つかの研究機関によってなされている。この検出方法で用いられる磁気センサ素子には種々のものが挙げられる。例えば、磁気抵抗効果素子を用いたもの(非特許文献1)、ホール素子を用いたもの(非特許文献2)、ジョセフソン素子を用いたもの(非特許文献3)、コイルを用いたもの(非特許文献4)、磁気インピーダンス素子を用いたもの(非特許文献5)が提案されている。これらの素子を用いた生体物質の検出方法には、それぞれ特徴が有るが、磁気インピーダンス素子は簡素な構造とすることができるという利点を持つ。
磁気インピーダンス素子は、細長い形状をしており、一様な組成の磁性材料、あるいは非磁性導体の周囲を磁性材料で覆われた構造を持つ。長さ方向に対してほぼ垂直な方向が磁化容易方向となり、零磁界において多磁区構造をとる(図7参照)。
この素子に高周波電流を流すと、表皮効果によって、電子は素子表面を流れるが、素子に磁界が印加されると素子の透磁率が変化し、その結果、印加される磁界に依存して素子のインピーダンスが変化する。つまり、素子のインピーダンスを測定することによって、素子に印加された磁界の大きさを測定することが可能である。ただし、磁気インピーダンス素子によって検出される磁界は、素子長さ方向の磁界である。
非特許文献5では、磁気インピーダンス素子を用いたDNAの検出が提案されている。磁気インピーダンス素子の周りをポリマーで覆い、これにビオチンを介して所望の塩基配列を持つDNAを固定しておく。磁性物質を有する溶液中にこの磁気インピーダンス素子を浸漬させる。ただし、磁性物質には調べたいDNAを、ビオチンを介して固定している。調べたい、つまりこの場合は磁性物質に固定されているDNAが、磁気インピーダンス素子表面に固定されているDNAと相補的であるならば、DNAの結合によって、磁性物質は素子表面に固定される。磁気インピーダンス素子は磁性物質から発せられる浮遊磁界に依存したインピーダンスを示すので、間接的にDNAが相補的であるか否かを検出することが可能となる。
H. A. Ferreira, et al, J. Appl. Phys., 93 7281 (2003) Pierre-A. Besse, et al, Appl. Phys. Lett. 80 4199 (2002) SeungKyun Lee, et al, Appl. Phys. Lett. 81 3094 (2002) Richard Luxton, et al, Anal. Chem.16 1127 (2001) Horia Chiriac, et al, J. Magn. Magn. Mat. 293 671 (2005)
インピーダンスの測定は、非特許文献5に見られるように、磁気インピーダンス素子と直列に固定抵抗と交流電源を接続した電気回路で行われ、固定抵抗の両端に生じる電圧を測定することにより行われる。インピーダンスの変化は、磁気粒子が固定される前後でそれぞれ測定したインピーダンスを比較することにより求められる。磁性物質固定後の磁気インピーダンス素子のインピーダンスの値は、固定された磁性物質から磁気インピーダンス素子に印加される磁界の大きさに依存する。ところが、磁性物質の固定位置によって、磁気インピーダンス素子に印加される磁界の大きさが異なってしまう為に、磁性物質の定量測定は困難であった。
一方、磁性物質が固定される前後のインピーダンス変化を測定する場合には、磁気粒子を標識とする標的物質を素子に固定する際に多くの時間を要する場合がある。そのような場合に、固定前と固定終了時とで素子温度などの測定環境が変化したりすると、磁気粒子に依存しないインピーダンス変化を伴ってしまう。例えば、DNAの固定には数時間を要するため、固定前から固定終了までの全期間にわたって厳密な環境管理が必要となる。従って、時間的に大きく隔たった検出信号を精密に比較するにはそのための特別な装置が必要となる場合がある。
本発明の目的は、磁性物質の定量測定を可能にし、かつ磁性物質を容易に高精度で検出可能な検出装置及び検出方法を提供することにある。
本発明にかかる磁気インピーダンス素子は、中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有する磁気インピーダンス素子において、
前記中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた磁性物質の捕捉領域と、該磁気インピーダンス素子側面の前記捕捉領域を除く領域である磁性物質の非捕捉領域と、を有する
ことを特徴とする磁気インピーダンス素子である。
本発明にかかる磁性物質の検出装置の第一の態様は、
中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有する磁気インピーダンス素子と、該磁気インピーダンス素子と磁性物質とを接触させるための反応領域と、該磁気インピーダンス素子に磁界を印加するための磁界印加手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する磁性物質検出装置において、
前記磁気インピーダンス素子が、前記中心軸を含む基準平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた磁性物質の捕捉領域と、該磁気インピーダンス素子側面の前記捕捉領域を除く領域である磁性物質の非捕捉領域と、を有する
ことを特徴とする磁性物質の検出装置である。
本発明にかかる磁性物質の検出装置の第二の態様は、
磁気インピーダンス素子と、異なる方向の複数の磁界を印加可能である検出手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する検出装置であって、
前記磁気インピーダンス素子が、大きさが等しく方向の異なる幾つかの印加磁界に対して同じインピーダンスを示し、かつ該磁気インピーダンス素子表面に磁性物質を捕捉可能である
ことを特徴とする検出装置である。
本発明にかかる磁性物質の検出装置の第三の態様は、
磁気インピーダンス素子と、異なる方向の複数の磁界を印加可能である検出手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する検出装置であって、
前記磁気インピーダンス素子が、中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有し、大きさが等しく方向の異なる印加磁界に対して同じインピーダンスを示し、かつ該磁気インピーダンス素子表面に磁性物質を捕捉可能であり、
前記磁性物質を捕捉可能な領域が、該磁気インピーダンス素子の中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた領域である
ことを特徴とする検出装置である。
本発明にかかる磁性物質の検出方法の第一の態様は、
磁性物質を検出するための磁性物質の検出方法において、
磁気インピーダンス素子に磁性物質を接触させる工程と、
前記磁気インピーダンス素子に磁界を印加して、前記磁気インピーダンス素子での前記磁性物質の捕捉の有無に応じたインピーダンスの変化を検出する工程と、
を有し、
前記磁気インピーダンス素子が、中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有し、かつ、前記中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた磁性物質の捕捉領域と、該磁気インピーダンス素子側面の前記捕捉領域を除く領域である非捕捉領域と、を有する
ことを特徴とする磁性物質の検出方法である。
本発明にかかる第二の磁性物質の検出方法は、
上記第一の態様または上記第二の態様にかかる検出装置を用いた磁性物質の検出方法であって、
検出対象である磁性物質に磁界を印加し、次いで該磁界印加を止め、さらに異なる印加方向の磁界印加を行うという一連の磁界印加プロセスを少なくとも1回以上行い、この時に生じるセンサ素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質を検出することを特徴とする検出方法である。
本発明にかかる第三の磁性物質の検出方法は、
磁界印加手段が、前記磁気インピーダンス素子の中心軸に平行な方向に磁性物質の磁化成分を有するように磁界を印加する手段である前記第一の態様にかかる検出装置を用いた磁性物質の検出方法であって、
前記磁界印加手段から、前記磁性物質の磁化が前記磁気インピーダンス素子の中心軸に対して平行な成分を有するように磁界を印加した後に、該磁気インピーダンス素子に検出電流を流すとともに、前記磁界の印加を止め、その直後から磁性物質の検出信号を取得することを特徴とする検出方法である。
本発明の検出装置および検出方法を用いることにより、磁性物質の定量測定を可能にし、かつ磁性物質あるいは磁性物質に固定可能な物質を高精度に検出することが可能である。
本発明にかかる磁性物質の検出装置及び検出方法における検出原理をまず説明する。
磁気モーメントmを持つ1個の磁気粒子が、磁気インピーダンス素子に固定された場合について、本発明の検出原理を図8〜図10を用いて説明する。図8に示す磁気インピーダンス素子上の点Pでの磁気粒子から生じる浮遊磁界Hのz方向成分は以下の式(1)で表される。
Figure 2009002695
H:磁性物質が、ある点Pに作る磁界。(但し、H=|H’|)
μ0:真空中の透磁率
m:磁性物質の磁気モーメント。(但し、m=|m’|)
r:磁性物質中心からの点Pの位置ベクトル。(但し、r=|r’|)
今、図9(A)、図10(A)のように磁気インピーダンス素子の半径方向に磁性物質の磁化が向いている状態をAとする。また、図9(B)、図10(B)のように磁気インピーダンス素子の接線方向に磁性物質の磁化が向いている状態をBとする。これらの状態についてそれぞれ式(1)を解くと、以下のとおりである。
ここで、状態Aではm=(0,m,0)、状態Bではm=(m,0,0)と表されるので、状態Aにおいて、点Pにできる磁界HAと状態Bで点Pにできる磁界HBはそれぞれ、
Figure 2009002695
R:ワイヤ状の磁気インピーダンス素子(MIセンサ)の半径
L:ビーズ(磁性粒子)の半径
と表すことが出来る。
それぞれの場合の磁界について、z成分をHAZ、HBZとする。今回、MIセンサの長手方向をz軸に考えているため、このz成分だけが検出される。それらを、MIセンサワイヤ表面に全体に渡って積分したものをHAZtot、HBZtotとすると、
Figure 2009002695
となる。
ここで、磁気インピーダンス素子の半径と磁性物質の半径をどちらも1、ワイヤの長さ(2l)を磁性物質直径の20倍としたとき、HAztot/HBZtot=3.91/1.33(〜3)が得られる。
図11のグラフは、状態A及び状態Bの両方における検出磁界を比較する例として、θ=0のワイヤ表面にできる磁界のz成分、[HAz]θ=0,[HBZ]θ=0を横軸z座標で示したものである。ピークの位置で、[HAz]θ=0と[HBZ]θ=0の間には、約2倍の違いが現れる。また、これらは磁界強度の積分値では3倍異なる。すなわち、磁気インピーダンス素子に対する磁性物質の固定位置によって磁気インピーダンス素子に印加される磁界強度が異なることがわかる。つまり磁気インピーダンス素子上で磁性物質の固定位置によって検出信号強度が異なり、磁性物質の定量検出が不可能である。ただし、本計算では、磁気インピーダンス素子の半径と磁性物質の半径をどちらも1の場合について計算している。また、磁性物質の固定位置が同じであっても、磁性物質の磁化方向が異なると、磁気インピーダンス素子に印加される磁性物質からの磁界強度は異なる。図11のグラフの横軸は磁気インピーダンス素子のz方向の距離を磁性物質の半径で規格化した値を示す。
そこで、以下の2つの検出原理を導くことができた。
(1)上記のように、磁気インピーダンス素子表面に固定された磁性物質の固定位置によって、磁気インピーダンス素子の磁性物質1つに対する検出感度が異なることになる。従って、磁気インピーダンス素子の磁性物質検出感度が、磁性物質の固定量と検出感度が一対一で対応するような位置に磁性物質を固定することによって、各磁性物質が磁気インピーダンス素子によって検出される信号強度のばらつきが無くなり、磁性物質の定量検出が可能となる。
(2)磁気インピーダンス素子として、素子に印加する磁界の方向が変化した場合においてもインピーダンスの値が変化しないものを用いる。そうすると、磁性物質が存在しない場合は、印加磁界の方向が変化しても得られるインピーダンスは同じであり、磁性物質が存在する場合には、その磁性物質から生じ磁気インピーダンス素子に印加される磁界の大きさが印加磁界方向によって変化するので、得られるインピーダンスの値の変化が観察され、磁性物質の検出が高感度に行える。
上記(1)における上記説明においては、磁性物質1個が磁気インピーダンス素子表面に固定された場合について説明したが、複数の磁性物質が固定されている場合においても、インピーダンス変化が検出される。
また、上記(2)にける説明においては、磁性物質1個が磁気インピーダンス素子表面に固定された場合について説明した。しかしながら、複数の磁性物質が固定されている場合においても、インピーダンス変化が検出される。
以下、上記の検出原理(1)及び(2)のそれぞれに基づく検出装置及び検出方法などについて説明する。
(A)磁性物質
本発明における検出対象としての磁性物質は、磁気インピーダンス素子により直接あるいは非磁性物質を介して捕捉可能な形状及び大きさを有するものであり、球状などの磁性物質が好適に用いられる。磁性物質を磁気インピーダンス素子表面の捕捉領域に固定させるには、例えばAuとチオール間に働く結合力を用いることができる。磁性物質の表面を末端がチオール基となるような物質で修飾しておき、磁気インピーダンス素子表面の捕捉領域をAu膜で形成しておくと、Auとチオールが結合し、磁性物質が固定される。あるいは、磁性物質の表面をAu薄膜で覆っておき、磁気インピーダンス素子表面の捕捉領域にチオール基を固定しておいても良い。ここではAuとチオール基の結合力を用いた磁性物質の固定方法について述べたが、磁性物質が捕捉領域に選択的に固定可能であればどのような物質或いは方法を用いて構わない。本発明における直接の検出対象は磁性物質であるが、非磁性物質からなる標的物質を磁性物質で標識することで、標的物質を間接的に検出可能である。例えば、試料中に含まれる抗原を、磁気インピーダンス素子に固定した捕捉体としての抗体で捕捉し、抗体に捕捉された状態の抗原を磁性物質で標識することで、試料中での抗原の有無、更には、その量(濃度)を検出することができる。この場合の磁性物質としては、磁性標識として利用できる形状及びサイズのものが利用される。一方、磁気インピーダンス素子が磁性物質そのものを捕捉するものであれば、試料中に含まれる磁性物質を有無、更には、その量(濃度)を直接検出することができる。
(B)磁気インピーダンス素子
磁気インピーダンス素子は、測定に利用する長手方向の磁界の検出を可能とする長軸柱状部分を有する。この長軸柱状部分の中心軸に直交する断面の形状としては、長手方向の磁界を検出できる形状であればよく、中心軸を中心とする円やその内接多角形が好ましい。磁気インピーダンス素子は、通常、一様な組成の磁性材料、あるいは非磁性導体の周囲を磁性材料で覆われた構造を持つ。後者の構成として、非磁性材料からなる心材の周壁に磁性材料からなる被覆層を有する構成などを挙げることができる。
具体的には、例えば、CoSiB、FeCoSiB、FeCoMoSiBなどからなるアモルファス磁性ワイヤや、磁性ワイヤの中央部を非磁性の導電性材料とし、検出感度を向上させた構造のものが挙げられる。このような円形や多角形の断面を有するものは、異なる方向の複数の磁界を用いる場合における磁気インピーダンス素子としても好ましい。
本発明では、磁性物質の捕捉領域と非捕捉領域とを有する磁気インピーダンス素子、あるいは、このような2つの領域を有するように装置内に配置した磁気インピーダンス素子が用いられる。
磁気インピーダンス素子自体が、磁性物質の捕捉領域と非捕捉領域とを有する場合の捕捉領域は、その中心軸の全長を含む平面と側面とが交差して得られる2つの交差線の少なくとも一方に沿った帯状領域内の少なくとも一部に設けられる。ここで、「中心軸を含む平面」(以下、基準平面という)は、中心軸を含む仮想の平面のことであり、この基準平面を基準として捕捉領域の位置が設定される。通常、1つの基準表面が設定される。
この構成における非捕捉領域は、磁気インピーダンス素子の側面のうち前記捕捉領域を除く領域である。基準平面を1つ仮想設定した構成を有する素子の一例を図12に示す。図12に示す素子においては、領域1(1601)が磁性物質の捕捉領域である。領域1を除く磁気インピーダンス素子の側面である領域2(1602)が磁性物質の非捕捉領域であり、これらの領域が区分されて設けられている。なお、図12に示した例では、帯状領域内全域を捕捉領域としている。図3に示す構造の素子では、絶縁層1203が領域2に相当している。
例えば、領域1(1601)を磁性物質或は磁性物質が固定可能な物質との親和性が高いもの、すなわち捕捉容易材料からなるとする。領域2(1602)を領域1に比べて磁性物質との、或は磁性物質が固定可能な物質との親和性が低くなっているものとする。このことにより上記の捕捉領域と非捕捉領域とを有する構成を得ることができる。親和性は領域1から領域2の間の素子表面で徐々に変化していても、領域1及び2において局所的に異なっていても構わない。
領域1と領域2とで磁性物質との親和性を、或は磁性物質が固定可能な物質との親和性を変化させるには、スパッタやめっき、蒸着などにより磁気インピーダンス素子に膜を作製し、該素子表面の構成を領域1と2で異なるようにする方法が利用できる。インピーダンス素子表面に形成する膜の厚みや組成を徐々に変化させることでも、領域1と領域2で磁性物質との親和性、或は磁性物質に固定可能な物質との親和性を変化させることができる。図13のように磁性物質或は磁性物質に固定可能な物質と親和性の高い(或は低い)材料を、領域1または領域2で最も厚い膜厚が得られるように準備しても良い。なお、図13(a)に示す例では、領域2(1602)が、それ以外の領域に対して相対的に、磁性物質との親和性、或は磁性物質に固定可能な物質との親和性の低い材料からなっている。すなわち、磁性物質が捕捉困難な捕捉領域を構成する膜厚を磁気インピーダンス素子の周方向で変化させている。また、図13(b)に示す例では、領域1(1601)が、それ以外の領域に対して相対的に、磁性物質との親和性、或は磁性物質に固定可能な物質との親和性の高い材料からなっている。すなわち、磁性物質が捕捉容易な捕捉領域を構成する膜の厚さを磁気インピーダンス素子の周方向で変化させている。
これらの周方向に厚さの変化をもたせた層は、例えば、非磁性材料からなる心材の周面に磁性材料からなる層を被覆した磁気インピーダンス素子の磁性材料からなる層上の少なくとも一部に非磁性材料を用いて形成することができる。例えば、図3に示す構成の磁気インピーダンス素子の場合は、磁性材料からなる層(磁性膜1202)上の絶縁薄膜1203上の少なくとも一部に設けられる。なお、周面全体を非磁性材料からなる膜で捕捉領域とし、その膜厚を変化させた例としては図19の例を挙げることができる。
上述の磁気インピーダンス素子を準備することで、図15、図16に模式的に示すように、磁性物質の捕捉が可能となる。
捕捉領域と非捕捉領域との2つの領域を有するように装置内に磁気インピーダンス素子を配置した一例を図2に示す。図2の例では、筐体に磁気インピーダンス素子1200を埋め込み、磁気インピーダンス素子の表面を露出させ、得られた露出面を捕捉領域とし、それ以外の側面を試料と接触しない状態の領域(非捕捉領域)としている。この埋め込み構造に用いる素子としては、露出面となる領域のみに捕捉領域(例えば図12の領域1)が形成されたものや、図17に示すような素子の側面全体に捕捉領域が形成されたものが利用できる。
一方、異なる方向の複数の磁界を利用して検出を行う場合においては、上記の捕捉領域と非捕捉領域とが得られる素子の構造や、素子の装置内での配置を用いることができる。あるいは、図17に示すような素子の側面全体に捕捉領域が形成されたものも利用できる。更に、図19に示すように磁性物質固定膜の膜厚を側面の周方向において不均一にすることによって、磁性物質と磁気インピーダンス素子表面との距離に違いを持たせ、磁性物質からの浮遊磁界の影響を捕捉位置によって変える構成の素子も利用できる。
なお、捕捉領域としての帯状領域は、帯状領域に磁性物質(磁性粒子)が一列に並ぶように形成されることが好ましい。
(C)検出原理(1)に基づく検出装置及び検出方法
図1に磁性物質の検出に用いる装置の一例を示す。図1は装置の長手方向に対して直交する模式的断面図である。図1の装置は、磁界印加手段を構成する対向して設けられた磁極1101、1102の間に、検出部1300を配置した構成を有する。検出部1300は、試料と素子とを接触させるための反応領域(不図示)を有する。この反応領域の構成としては、例えば図2及び図3に示す構成を用いることができる。
図1の装置においては磁極1101、1102により一方向の磁界が印加される。検出部内に配置された磁気インピーダンス素子(例えば、図2お及び図3における1200)は、検出手段を構成する回路に接続される。検出用の回路の一例を図5に示す。素子1200の長軸柱状部分の両端を交流電源1502と、固定抵抗1501を介して接続し、固定抵抗1501の両端での電圧を電圧計1503で測定することにより、素子のインピーダンスが測定される。
図3に示した磁気インピーダンス素子1200では、絶縁膜1203上の磁性物質固定膜1204により磁性物質の捕捉領域が形成されている。図2及び図3は、試料と素子1200とを接触させることで磁性物質1401を磁性物質固定膜1204に捕捉した状態を示している。この状態で、磁界を検出部に印加し、磁性物質を磁化する。磁性物質が磁化された状態で、図5に示す検出回路を用いて素子1200のインピーダンスを測定する。そして、磁性物質の捕捉前と後でのインピーダンスの変化から、試料中の磁性物質の有無、あるいは素子に捕捉した磁性物質の量を求めることができる。検出部1300への磁界の印加は、検出回路での検出前でも検出中(電流印加後)でもよい。
また、磁界印加手段として、磁気インピーダンス素子の中心軸に平行な方向に磁性物質の磁化成分を有するように磁界を印加する手段を用いた場合には、例えば以下の操作により検出を行うことができる。
(i)磁界印加手段から、磁性物質の磁化が前記磁気インピーダンス素子の中心軸に対して平行な成分を有するように磁界を印加した後に、磁気インピーダンス素子に検出電流を流すとともに、磁界の印加を止め、その直後から磁性物質の検出信号を取得する。
また、磁性物質における磁化の緩和時間が測定に対して充分遅い場合、測定前に外部磁界を素子長手方向に印加し磁性物質の磁化を揃え、検出直前に外部磁界印加を止めるといったプロセスでも磁性物質の測定が可能である。
磁界印加方向は、磁性物質が検出可能な条件であればどの方向でも構わない。上述した磁気インピーダンス素子の中心軸に平行な方向での印加の他に、磁界印加手段により、磁気インピーダンス素子の中心軸に直交しかつ前記磁性物質の中心を通る直線の方向および該直線と平行な方向に磁性物質の磁化成分を有するように磁界を印加する方法がある。
なお、測定中にも磁界印加を行う場合には、磁気インピーダンス素子の検出困難方向である、長さ方向に対して垂直な方向が最も好ましい。
各磁性物質の磁化方向は、磁性物質の検出が可能であればどのような方向でもよいが、素子の中心軸からの放射軸(例えば、円形断面の半径や円内接多角形の中心から辺や頂点に伸びる線)に対して一様(均一)な角度をもつことが好ましい。磁気インピーダンス素子の長さ方向に対して垂直に磁界を印加した場合には、各磁性物質の磁化方向は、この放射軸の一つに沿った方向及びこの放射軸に平行な方向とするこができる。なかでも、先に図8〜図11を用いて説明したとおり、磁性物質の磁化方向は、素子の中心軸からの放射方向(例えば、円形断面の半径方向や円内接多角形の中心から辺や頂点への方向)が好ましい。図2及び図3のように、磁性物質を素子側面の所定位置に局在して捕捉したことで、各磁性物質から生じる磁界が磁気インピーダンス素子のインピーダンスへの影響を一定とし、磁性物質の定量性を向上させることが可能となる。
(D)検出原理(2)に基づく検出装置及び検出方法
検出原理(2)に基づく装置としては、図1に示す装置及び図18に示す装置を挙げることができる。図1に示す装置を用いる場合は、検出部1300をその長手方向の軸中心に磁極1101および1102に対して相対的に回転させて、磁極1101、1102に対する位置を変化させることで、磁界の方向を変化させて検出部1300に印加できる。図18に示す装置では、2対の磁極を直交する方向に配置することで、検出部1300の位置を変化させずに、2つの異なる方向からの磁界を印加可能としている。
この装置における磁気インピーダンス素子としては、大きさが一定である磁界の印加方向が変化した場合において、磁性物質の非存在下(非捕捉下)では同じインピーダンスを示すものが利用される。この検出装置を用いて磁界の印加方向を変化させることにより、磁性物質捕捉状態においては、磁気インピーダンス素子のインピーダンス変化量が異なることになる。例えば、図3に示す構成の素子を用いた場合でも、印加磁界方向毎にインピーダンスが変化するように磁性物質が捕捉されていれば、このインピーダンスの変化に基づいて、磁性物質の捕捉の有無あるいは捕捉量を検出可能である。なお、磁性物質が磁気インピーダンス素子側面全域に小さな磁性物質が高密度に固定されている場合には、磁界の方向を変化させることによるインピーダンス変化が小さくなる場合がある。この場合には、磁気インピーダンス素子表面に固定される磁性物質の固定位置をアンバランスにすることによって、インピーダンス変化を大きくすることができる。固定位置をアンバランスにする方法として、磁気インピーダンス素子表面に形成される磁性物質の固定膜の膜厚を周方向で変化させることで上記問題を解決できる。(例えば図19参照)、また、磁性物質の固定可能領域を限定する(図2、図3、図11など参照)ことでも上記問題を解決できる。後者の構造とすることで、上記(C)項で述べた効果を付加的に得ることもできる。
この異なる方向の磁界を利用する検出装置を用いた検出方法としては、以下の方法を挙げることができる。
(1)検出対象である磁性物質に所望の方向から磁界を印加し、次いで該磁界印加を止め、さらに異なる印加方向の磁界印加を行うという一連の磁界印加プロセスを少なくとも1回以上行う。この時に生じるセンサ素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質を検出する。
(2)磁界印加手段が前記磁気インピーダンス素子を中心として相対的に回転する機構である。印加磁界の方向変化が周期的であり、その周波数がfであり、磁気インピーダンス素子に同時に印加される磁界の方向の数がnであるときに、検出手段によって得られたインピーダンス信号の周波数2nf成分のみを分離して磁性物質検出信号とする。
この装置における検出では、磁性物質を素子に接触させる前の測定を行ってもよいが、この測定は必須ではない。磁性物質を素子に接触させた後に、大きさが一定である磁界の印加方向を変化させて、磁性物質の素子での捕捉の有無、あるいは捕捉量を検出可能である。
上記の(1)の検出方法を行う場合には、更に、以下の(A)または(B)検出方法とすることができる。
(A)磁界印加手段と磁気インピーダンス素子の相対的位置は変化せず、磁界印加手段が少なくとも2つ以上の方向の異なる磁界を発生可能とする。磁性物質検出時には一方向の磁界の印加のみが行われるとともに、磁界の方向は順次変化させ、このときの磁気インピーダンス素子のインピーダンス変化を検出して磁性物質検出信号を得る。
(B)磁界印加手段と磁気インピーダンス素子の相対的位置は変化せず、磁界印加手段が少なくとも2つ以上の方向の異なる磁界を発生可能とする。磁界は交番磁界であって、かつ印加方向の異なる磁界はそれぞれ位相がずれており、少なくとも2つ以上の磁界を同時に印加するときに磁気インピーダンス素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質検出信号を得る。
上記の(2)の検出方法により磁界の印加方向を周期的に変化させる場合には、インピーダンス変化すなわち磁性物質の検出信号がその周期に依存して変化する。したがって、ノイズの大きさに比して検出信号が小さい場合においても、磁界印加方向の周期に依存した信号成分のみを得ることによって、高感度に磁性物質の検出を行うことが可能である。
その検出方法について、図1に示す検出装置と図2に示す検出部を用いた場合を例にとって以下に説明する。
磁極1101および1102を、周波数fで検出部1300の周りを回転させる。この場合、印加磁界は磁気インピーダンス素子の中心軸に対して直交する方向に印加され、磁性物質の磁化方向も同様に前記中心軸に直交する方向となる。上記で説明したように、磁性物質の磁化方向が、磁気インピーダンス素子断面の半径方向に向いている場合と、接線方向に向いている場合では素子のインピーダンスが異なり、磁界の回転に伴ってインピーダンスも周期的に変化する。ただし、磁極が1周回転する間に、磁性物質の磁化方向が素子断面半径方向あるいは接線方向に向く回数は2回であり、つまり、磁極の回転周波数fに対してインピーダンス変化は2fの周波数で変化する。したがって、インピーダンス信号の周波数2f成分の信号のみを分離して検出することで磁性物質を高感度に検出することが可能となる。同様に図18に示した装置を用いた場合には、2対の磁極が直交した位置に配されていることから、磁極の周波数fに対して、インピーダンス変化は4fの周波数となる。磁極対数は更に必要に応じて増やすことができる。その場合、磁極対の数をn(n≧1)とすると、インピーダンス信号の周波数2nf成分のみを分離して検出に利用すればよい。
以上、磁極を回転させることで磁界の印加方向を変化させる方法について述べたが、磁界の印加方向を変化させる手段は、これに限定されるものではない。例えば、図18の装置を用いて、上下に配される1対の磁極と左右に配される1対の磁極から生じる磁界を交互に発生させても良い。あるいは磁極から発生する磁界を交番磁界とし、上下1対の磁極から発生する交番磁界と左右1対の磁極から発生する交番磁界の位相をπ/2 radずらしても良い。
検出原理(2)に基づく検出装置での複数の磁界印加方向は、磁性物質の検出のためのインピーダンス変化が得られるものであれば特に限定されない。図1及び図18に示すように、素子の長手方向(インピーダンス検出困難方向)に対して直交する方向の磁界が好ましい。
(E)非磁性物質の間接的検出
素子に設けられる捕捉領域を、非磁性物質の捕捉領域とし、捕捉領域に捕捉した非磁性物質を、磁性物質を標識として検出することができる。図4に示す例は、非磁性物質である抗原1403を検出するための構成を示すものである。一次抗体1402を捕捉体として利用し、試料中にある抗原1403を一次抗体1402で捕捉し、これに更に磁性標識としての磁性物質1401を有する二次抗体1404を結合させて、複合体とし、この状態で上記の装置により磁性物質の検出を行う。得られた結果から、抗原の捕捉の有無、あるいは捕捉量を求めることができる。なお、抗原−抗体複合体の形成と同様に、核酸のハイブリッド体の形成、タンパク質と基質の複合体の形成など、各種の特異的結合を生じさせる反応物質の組合せを利用して、非磁性物質、例えば生体物質の検出が可能である。
(実施例1)
本実施例では、本発明の検出装置および検出方法を用いた免疫センサについて説明をする。
(1)センサ機構
磁気インピーダンス素子1200は、φ(直径)15μmのCuからなる非磁性導電体1201の周りが、7.5μmの膜厚のFeCoSiBからなる磁性膜1202で覆われている。磁性膜1202の一部表面(領域1:1602)には、幅10〜50nm、厚さ20nmのAuからなる長手方向に伸びる帯状の磁性物質固定膜1204が形成される。また、検出電流が磁性物質固定膜1204に流れ、検出信号の低下を招かないように、磁性物質固定膜1204と磁性膜1202の間には、膜厚が50nmのSiO2からなる絶縁薄膜1203が形成される(図3参照)。ただし、各部の材料や膜厚は、上記のものに限定されるものではなく、磁性物質が検出可能であるならば、どのような磁気インピーダンス素子でも使用可能である。本実施例検出部1300は、筐体1301内に流路1302が形成される構造とする。磁気インピーダンス素子1200の全長(長手方向の長さ)は約6mmで、流路1302の領域内で折り返して配される。ただし、折り返して配することは必須ではなく、流路に沿って1本の磁気インピーダンス素子を一直線に配しても構わない。さらに、磁気インピーダンス素子1200は、その上部を流路1302内に僅かに露出させて筐体1301内に埋め込まれる。ただし露出部分は磁性物質固定膜1204が形成されている部分である。このようにすることによって、磁性物質1401は、磁気インピーダンス素子1200の一部分にだけ固定される(図2参照)。
(2)磁気ビーズ固定
磁性物質1401としては磁気ビーズが用いられ、磁性物質固定膜1204上に、一次抗体1402、抗原1403、二次抗体1404を介して固定される(図4参照)。
上記で説明した検出装置を用いて、以下のプロトコールに従って前立腺癌のマーカーとして知られている前立腺特異抗原(PSA)1403の検出を試みることができる。磁気インピーダンス素子1200の流路内露出部分には、PSA 1403を認識する一次抗体1402が固定化されている。
(A)抗原(被検体)であるPSA 1403を含むリン酸緩衝生理食塩水(被検体溶液)を流路内に注入し、5分間インキュベートする。
(B)リン酸緩衝生理食塩水を流路1302内に流し、未反応のPSA 1403を除去する。
(C)磁性物質1401により標識された抗PSA抗体(二次抗体)1404を含むリン酸緩衝生理食塩水を流路1302内に注入し、5分間インキュベートする。
(D)未反応の該標識抗体をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄する。
上記プロトコールによって、抗PSA抗体(二次抗体)1404、抗原1403、一次抗体1402を介して磁気インピーダンス素子1200表面に磁性物質1401が固定される。つまり、被検体の中に抗原1403が存在しない場合には、磁性物質1401は磁気インピーダンス素子1200上部に固定されないので、磁性物質1401の有無を検出することによって、抗原1403の検出が可能である。
(3)測定手順
基本的な検出回路は、図5に示す構成とする。つまり、磁気インピーダンス素子1200に直列に交流電源1502と固定抵抗1501を接続し、固定抵抗1501の両端の電圧を検出する。検出部1300は、磁極1101と磁極1102の間の中央に配する。ただし、図1は断面図であり、磁極1101、磁極1102および検出部1300は、紙面垂直方向に長い形状となる。磁性物質1401の磁化が磁気インピーダンス素子1200に対して、半径方向を向くか、あるいは接線方向を向くかで、インピーダンスの変化量が異なる。したがって、磁気インピーダンス素子に対して異なる磁化方向を有する磁性物質1401が混在している場合、インピーダンスの変化量は粒子の数に単純には比例しないことになる。そこで、本実施例では磁性物質1401の磁気インピーダンス素子の半径方向に対する磁化方向をそろえることで、磁性物質数に比例したインピーダンス変化を得ることが出来る。より好ましくは、磁性物質の磁化がインピーダンス素子の半径方向を向くようにそろえることで、強い感度が得られる。磁気インピーダンス素子1200の検出信号の大きさから、固定された磁性物質1401の数量を特定し、被検体中に含まれる抗原1403の量を間接的に知ることが可能である。
本実施例では、流路を1つのみ形成する場合について説明したが、複数個の流路を持つ検出部とし、各流路で異なる抗原-抗体反応が生じるようにすることで、一度に複数の抗原を検出することも可能である。
(実施例2)
実施例1におけるインピーダンス素子は、図14に例を示すように、断面積が中心点で対称な多角形であっても構わない。
(実施例3)
実施例1および2において、図6に示す様に磁性物質固定膜1204を局所的に配し、磁性物質1401が固定可能な領域を限定することによっても、同様に磁性物質1401の検出が可能である。ただし、この場合の絶縁膜1202は、磁性物質1401が固定されない材料で構成される必要がある。例えば本実施例については絶縁膜をプラズマCVD(Camical Vaper Deposition)装置によるSiO2膜とする。均一な絶縁膜を形成するために磁気インピーダンス素子を、中心軸を軸として回転させながら絶縁膜を形成する。その後、磁性物質固定化膜を形成しない領域をレジスト膜で覆う。そのようにした磁気インピーダンス素子にマグネトロンスパッタリング装置を用いてAu膜を成膜し、さらにレジスト膜およびその上部に形成されたAu膜を除去する。以上のようなプロセスによってレジスト膜で覆われていない領域のみAu膜からなる磁性物質固定膜を形成する。本実施例では成膜にプラズマCVD装置やマグネトロンスパッタ装置を用いるが、成膜方法はこれに限られるものではなく、例えば蒸着やめっき等形成する膜に適切な成膜装置が選択される。
(実施例4)
本実施例では、本発明の検出装置および検出方法を用いた免疫センサについて説明をする。磁気インピーダンス素子1200は、φ15μmのCuからなる非磁性導電体1201の周りが、7.5μmの膜厚のFeCoSiBからなる磁性膜1202で覆われている。磁性膜1202の周りは、さらに、20nmの膜厚のAuからなる磁性物質固定膜1302が形成される。また、検出電流が磁性物質固定膜1302に流れ、検出信号の低下を招かないように、磁性物質固定膜1302と磁性膜1202の間には、膜厚が50nmのSiO2からなる膜絶縁薄膜1301が形成される。(図17参照)。ただし、各部の材料や膜厚は、上記のものに限定されるものではなく、磁性物質が検出可能であるならば、どのような磁気インピーダンス素子でも使用可能である。
本実施例検出部1300は、筐体1301内に流路1302が形成される構造とする。磁気インピーダンス素子1200の全長は約6mmで、流路1302の領域内で折り返して配される。ただし、折り返して配することは必須ではなく、流路に沿って1本の磁気インピーダンス素子を一直線に配しても構わない。さらに、磁気インピーダンス素子1200は、その上部を流路1302内に僅かに露出させて筐体1301内に埋め込まれる。このようにすることによって、磁気粒子1401は、磁気インピーダンス素子1200の一部分にだけ固定される(図2参照)。
磁性物質1401は、磁性物質固定膜1302上に、一次抗体1402、抗原1403、二次抗体1404を介して固定される(図4参照)。
検出部1300は、磁極1101と磁極1102の間の中央に配する。ただし、図1は断面図であり、磁極1101、磁極1102および検出部1300は、紙面垂直方向に長い形状となる。検出部と磁極は紙面垂直方向を長手方向として相対的に回転する。つまり、磁性物質1401は磁気インピーダンス素子1200に対して、半径方向から接線方向へ、また、半径方向へと印加磁界方向が変化することになる。したがって、磁性物質1401が磁気インピーダンス素子1200上に固定されている場合、つまり、抗原1403が存在する場合には、磁性物質1401からの浮遊磁界が変化するために、磁気インピーダンス素子1200のインピーダンスが変化する。あるいは、磁性物質1401が存在しない場合には、インピーダンスは変化しない。
基本的な検出回路は、図5に示すような構成とする。つまり、磁気インピーダンス素子1200に直列に交流電源1502と固定抵抗1501を接続し、固定抵抗1501の両端の電圧を検出する。ノイズに比して信号が小さい場合には、得られる信号の磁極の回転周波数の2倍の周波数成分のみを取得することによって高感度に磁性物質を検出することが可能である。
上記で説明した検出装置を用いて、以下のプロトコールに従って前立腺癌のマーカーとして知られている前立腺特異抗原(PSA)1403の検出を試みることができる。磁気インピーダンス素子1200の流路内露出部分には、PSA 1403を認識する一次抗体1402が固定化されている。
(A)抗原(被検体)であるPSA 1403を含むリン酸緩衝生理食塩水(被検体溶液)を流路内に注入し、5分間インキュベートする。
(B)リン酸緩衝生理食塩水を流路1302内に流し、未反応のPSA 1403を除去する。
(C)磁性物質1401により標識された抗PSA抗体(二次抗体)1404を含むリン酸緩衝生理食塩水を流路1302内に注入し、5分間インキュベートする。
(D)未反応の該標識抗体をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄する。
上記プロトコールによって、抗PSA抗体(二次抗体)1404、抗原1403、一次抗体1402を介して磁気インピーダンス素子1200表面に磁性物質1401が固定される。つまり、被検体の中に抗原1403が存在しない場合には、磁性物質1401は磁気インピーダンス素子1200上部に固定されないので、磁性物質1401の有無を検出することによって、抗原1403の検出が可能である。また、磁気インピーダンス素子1200の検出信号の大きさから、固定された磁性物質1401の数量を特定し、被検体中に含まれる抗原1403の量を間接的に知ることが可能である。
本実施例では、流路を1つのみ形成する場合について説明したが、複数個の流路を持つ検出部とし、各流路で異なる抗原-抗体反応が生じるようにすることで、一度に複数の抗原を検出することも可能である。
本実施例では、磁極と検出部を相対的に回転させることによって、磁界印加方向を変化させたが、図18のように、検出部に対して上下方向に磁界を印加するための磁極と、左右に磁界を印加するための磁極にコイルを巻き、電流によって磁界を発生させる機構を用いることも可能である。このような磁界印加手段を用いることで、回転機構を設けることなく、瞬時に磁界の切り替えが可能である。
(実施例5)
本実施例において、磁気インピーダンス素子1200は、φ15μmのCuからなる非磁性導電体1201の周りが、7.5μmの膜厚のFeCoSiBからなる磁性膜1202で覆われている。磁性膜1202の周りは、さらに、膜厚が位置によって異なるAuからなる磁性物質固定膜1302が形成される。また、検出電流が磁性物質固定膜1302に流れ、検出信号の低下を招かないように、磁性物質固定膜1302と磁性膜1202の間には、膜厚が50nmのSiO2からなる絶縁薄膜1301が形成される。磁気インピーダンス素子1200の長さは5mmとした。(図19および図20参照)。このように磁性物質固定膜の膜厚を不均一にすることによって、磁性物質と磁気インピーダンス素子表面との距離に違いを持たせ、磁性物質からの浮遊磁界の影響を固定位置によって変えることができる。したがって、本実施例においては、磁性物質固定膜1302の膜厚を不均一としたが、絶縁薄膜1301の膜厚を不均一にすることによっても、同様の効果を得ることが可能である。磁性物質1401が磁気インピーダンス素子1200に局所的に固定された場合には、実施例1と同様の原理によって磁性物質を検出することが可能である。磁性物質1401が高密度に磁気インピーダンス素子全面について場合においては、磁界の印加方向が、磁性物質固定化膜1204の膜厚の厚い方向に印加された場合と、薄い方向に印加された場合では、磁性物質1401からの浮遊磁界が磁気インピーダンス素子に与える影響が異なる為に、磁界の印加方向によってインピーダンスが異なる。したがって、やはり、磁界の印加方向を変化させることによって、磁性物質1401の検出が可能である。
さらに、図3および図6に示す様に磁性物質固定膜1204を局所的に配し、磁性物質1401が固定可能な領域を限定することによっても、同様に磁性物質1401の検出が可能である。ただし、この場合の絶縁膜1202は、磁性物質1401が固定されない材料で構成される必要がある。
本発明の検出装置および検出方法を用いることにより、磁性物質あるいは磁性物質を標識とした非磁性物質の検出が容易となる。
実施例1の測定における装置の断面図である。 本発明の検出装置の検出部について、一構成例を示す断面図である。 本発明の検出装置に用いる磁気インピーダンス素子について、一構成例を示す断面図である。 抗原−抗体反応によって、磁性物質固定膜上に磁性物質が固定された様子を説明するための概念図である。 本発明の検出装置の検出回路を示す回路図である。 図3で示した磁気インピーダンス素子の側面および磁性物質が固定された状態を示す模式図である。 磁気インピーダンスの磁区の様子と電流を流す方向を示す模式図である。 磁気インピーダンス素子の半径方向と磁性物質の磁化の向きとの関係性が異なれば、検出感度が異なることになることを説明するための概念図である。 磁気インピーダンス素子側面に固定される磁性物質の固定位置によって、磁気インピーダンス素子に印加される磁性物質から発生する磁界の大きさが異なることを説明するための模式図である。 磁気インピーダンス素子の半径方向と磁性物質の磁化の向きとの関係性が異なれば、検出感度が異なることになるを説明するための模式図である。 磁気インピーダンス素子の半径方向と磁性物質の磁化の向きとの関係性がなるばあいについての|Hz|計算結果である。 本発明の検出装置に用いる磁気インピーダンス素子について、一構成例である。 本発明の検出装置に用いる磁気インピーダンス素子について、一構成例の断面図である。 本発明の検出装置に用いる磁気インピーダンス素子について、一構成例および磁性物質が固定された状態を示す断面図である。 本発明の検出装置に用いる磁気インピーダンス素子について、一構成例および磁性物質が固定された状態を示す断面図である。 図12の磁気インピーダンス素子について、磁性物質が固定された状態を示す断面図である。 本発明の検出装置に用いる磁気インピーダンス素子について、一構成例を示す断面図である。 本発明の検出装置の一構成例を示す断面図である。 本発明の検出装置に用いる磁気インピーダンス素子について、一構成例および磁性物質が固定された状態を示す断面図である。 図19で示した磁気インピーダンス素子の側面および磁性物質が固定された状態を示す模式図である。
符号の説明
1101, 1102 磁極
1200 磁気インピーダンス素子
1201 非磁性導電体
1202 磁性膜
1203 絶縁膜
1204 磁性物質固定膜
1301 筐体
1302 流路
1401 磁性物質
1402 一次抗体
1403 抗原
1404 二次抗体
1501 固定抵抗
1502 交流電源
1503 電圧計
1601 領域1
1602 領域2

Claims (23)

  1. 中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有する磁気インピーダンス素子において、
    前記中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた磁性物質の捕捉領域と、該磁気インピーダンス素子側面の前記捕捉領域を除く領域である磁性物質の非捕捉領域と、を有することを特徴とする磁気インピーダンス素子。
  2. 前記磁気インピーダンス素子が、非磁性材料からなる心材と、該心材の側面に被覆された磁性材料からなる被覆層と、を少なくとも有する請求項1に記載の磁気インピーダンス素子。
  3. 前記磁気インピーダンス素子の側面が、磁性物質の非捕捉領域を形成する物質で覆われ、かつ該非捕捉領域の表面の一部を覆うように磁性物質の捕捉領域を有する請求項1または2に記載の磁気インピーダンス素子。
  4. 前記磁気インピーダンス素子の側面が磁性物質の捕捉領域を形成する物質で覆われ、かつ該捕捉領域の表面の一部を覆うように磁性物質の非捕捉領域を有する請求項1または2に記載の磁気インピーダンス素子。
  5. 中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有する磁気インピーダンス素子と、該磁気インピーダンス素子と磁性物質とを接触させるための反応領域と、該磁気インピーダンス素子に磁界を印加するための磁界印加手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する磁性物質検出装置において、
    前記磁気インピーダンス素子が、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気インピーダンス素子であることを特徴とする磁性物質の検出装置。
  6. 前記磁界印加手段が、一方向の磁界を印加する手段である請求項5に記載の検出装置。
  7. 前記磁界印加手段が、前記磁気インピーダンス素子の中心軸に直交しかつ前記磁性物質の中心を通る直線と平行な方向に前記磁性物質の磁化成分を有するように磁界を印加する手段である請求項6に記載の検出装置。
  8. 前記磁界印加手段が、前記磁気インピーダンス素子の中心軸に平行な方向に前記磁性物質の磁化成分を有するように磁界を印加する手段である請求項6に記載の検出装置。
  9. 磁気インピーダンス素子と、異なる方向の複数の磁界を印加可能である検出手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する検出装置であって、
    前記磁気インピーダンス素子が、大きさが等しく方向の異なる印加磁界に対して同じインピーダンスを示し、かつ該磁気インピーダンス素子表面に磁性物質を捕捉可能である
    ことを特徴とする検出装置。
  10. 磁気インピーダンス素子と、異なる方向の複数の磁界を印加可能である検出手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する検出装置であって、
    前記磁気インピーダンス素子が、中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有し、大きさが等しく方向の異なる印加磁界に対して同じインピーダンスを示し、かつ該磁気インピーダンス素子表面に磁性物質を捕捉可能であり、
    前記磁性物質を捕捉可能な領域が、該磁気インピーダンス素子の中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた領域である
    ことを特徴とする検出装置。
  11. 前記磁気インピーダンス素子が、非磁性材料からなる心材と、該心材の側面に被覆された磁性材料からなる被覆層と、を少なくとも有する請求項9または10に記載の検出装置。
  12. 前記磁気インピーダンス素子の側面が、磁性物質の非捕捉領域を形成する物質で覆われ、かつ該非捕捉領域の表面の一部を覆うように磁性物質の捕捉領域を有する請求項9〜11のいずれかに記載の検出装置。
  13. 前記磁気インピーダンス素子の側面が、磁性物質の捕捉領域を形成する物質で覆われ、かつ該捕捉領域の表面の一部を覆うように磁性物質の非捕捉領域を有する請求項9〜11のいずれかに記載の検出装置。
  14. 前記磁性材料からなる層上の少なくとも一部に、非磁性材料からなる膜を有し、該非磁性材料からなる膜厚が前記磁気インピーダンス素子の周方向に変化を有することを特徴とする請求項11に記載の検出装置。
  15. 前記異なる方向の複数の磁界が、前記中心軸に直交する方向の磁界である請求項9から14のいずれかに記載の検出装置。
  16. 磁性物質を検出するための磁性物質の検出方法において、
    磁気インピーダンス素子に磁性物質を接触させる工程と、
    前記磁気インピーダンス素子に磁界を印加して、前記磁気インピーダンス素子での前記磁性物質の捕捉の有無に応じたインピーダンスの変化を検出する工程と、
    を有し、
    前記磁気インピーダンス素子が、中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有し、かつ、前記中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた磁性物質の捕捉領域と、該磁気インピーダンス素子側面の前記捕捉領域を除く領域である非捕捉領域と、を有する
    ことを特徴とする磁性物質の検出方法。
  17. 磁気インピーダンス素子に磁性物質を接触させる前にインピーダンスの測定を行い、次いで、磁気インピーダンス素子に磁性粒子を接触させ、さらに磁気インピーダンス素子のインピーダンスの測定を行い、磁気インピーダンス素子に磁性物質を接触させる前後でのインピーダンスの変化を測定することによって、磁性物質の有無あるいは量を検出することを特徴とする請求項16に記載の磁性物質の検出方法。
  18. 請求項9から15のいずれかに記載の検出装置を用いた磁性物質の検出方法であって、
    検出対象である磁性物質に磁界を印加し、次いで該磁界印加を止め、さらに異なる印加方向の磁界印加を行うという一連の磁界印加プロセスを少なくとも1回以上行い、この時に生じるセンサ素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質を検出することを特徴とする検出方法。
  19. 前記印加磁界の方向が、磁気インピーダンス素子の中心軸に対して垂直方向であることを特徴とする請求項18に記載の検出方法
  20. 前記磁界印加手段が前記磁気インピーダンス素子を中心として相対的に回転する機構であり、前記印加磁界の方向変化が周期的であり、その周波数がfであり、前記磁気インピーダンス素子に同時に印加される磁界の方向の数がnであるときに、検出手段によって得られたインピーダンス信号の周波数2nf成分のみを分離して磁性物質検出信号とすることを特徴とする請求項18または19に記載の検出方法。
  21. 前記磁界印加手段と前記磁気インピーダンス素子の相対的位置は変化せず、前記磁界印加手段が少なくとも2つ以上の方向の異なる磁界を発生可能であり、磁性物質検出時には一方向の磁界の印加のみが行われるとともに、該磁界の方向は順次変化させ、このときの前記磁気インピーダンス素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質検出信号を得ることを特徴とする請求項18または19に記載の検出方法。
  22. 前記磁界印加手段と前記磁気インピーダンス素子の相対的位置は変化せず、前記磁界印加手段が少なくとも2つ以上の方向の異なる磁界を発生可能であり、該磁界は交番磁界であって、かつ印加方向の異なる磁界はそれぞれ位相がずれており、少なくとも2つ以上の磁界を同時に印加するときに前記磁気インピーダンス素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質検出信号を得ることを特徴とする請求項18または19に記載の検出方法。
  23. 請求項8に記載の検出装置を用いた磁性物質の検出方法であって、
    前記磁界印加手段から、前記磁性物質の磁化が前記磁気インピーダンス素子の中心軸に対して平行な成分を有するように磁界を印加した後に、該磁気インピーダンス素子に検出電流を流すとともに、前記磁界の印加を止め、その直後から磁性物質の検出信号を取得することを特徴とする検出方法。
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