JP2009002695A - 磁性物質の検出装置及び検出方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】磁性物質の検出に用いる磁性インピーダンス素子を、磁性物質を側面の所定帯状部分に局在させて捕捉できる構成とするか、異なる方向からの複数の磁界の印加におけるインピーダンスの変化から磁性物質を検出可能な構成とする。
【選択図】図3
Description
H. A. Ferreira, et al, J. Appl. Phys., 93 7281 (2003) Pierre-A. Besse, et al, Appl. Phys. Lett. 80 4199 (2002) SeungKyun Lee, et al, Appl. Phys. Lett. 81 3094 (2002) Richard Luxton, et al, Anal. Chem.16 1127 (2001) Horia Chiriac, et al, J. Magn. Magn. Mat. 293 671 (2005)
前記中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた磁性物質の捕捉領域と、該磁気インピーダンス素子側面の前記捕捉領域を除く領域である磁性物質の非捕捉領域と、を有する
ことを特徴とする磁気インピーダンス素子である。
中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有する磁気インピーダンス素子と、該磁気インピーダンス素子と磁性物質とを接触させるための反応領域と、該磁気インピーダンス素子に磁界を印加するための磁界印加手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する磁性物質検出装置において、
前記磁気インピーダンス素子が、前記中心軸を含む基準平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた磁性物質の捕捉領域と、該磁気インピーダンス素子側面の前記捕捉領域を除く領域である磁性物質の非捕捉領域と、を有する
ことを特徴とする磁性物質の検出装置である。
磁気インピーダンス素子と、異なる方向の複数の磁界を印加可能である検出手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する検出装置であって、
前記磁気インピーダンス素子が、大きさが等しく方向の異なる幾つかの印加磁界に対して同じインピーダンスを示し、かつ該磁気インピーダンス素子表面に磁性物質を捕捉可能である
ことを特徴とする検出装置である。
磁気インピーダンス素子と、異なる方向の複数の磁界を印加可能である検出手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する検出装置であって、
前記磁気インピーダンス素子が、中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有し、大きさが等しく方向の異なる印加磁界に対して同じインピーダンスを示し、かつ該磁気インピーダンス素子表面に磁性物質を捕捉可能であり、
前記磁性物質を捕捉可能な領域が、該磁気インピーダンス素子の中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた領域である
ことを特徴とする検出装置である。
磁性物質を検出するための磁性物質の検出方法において、
磁気インピーダンス素子に磁性物質を接触させる工程と、
前記磁気インピーダンス素子に磁界を印加して、前記磁気インピーダンス素子での前記磁性物質の捕捉の有無に応じたインピーダンスの変化を検出する工程と、
を有し、
前記磁気インピーダンス素子が、中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有し、かつ、前記中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた磁性物質の捕捉領域と、該磁気インピーダンス素子側面の前記捕捉領域を除く領域である非捕捉領域と、を有する
ことを特徴とする磁性物質の検出方法である。
上記第一の態様または上記第二の態様にかかる検出装置を用いた磁性物質の検出方法であって、
検出対象である磁性物質に磁界を印加し、次いで該磁界印加を止め、さらに異なる印加方向の磁界印加を行うという一連の磁界印加プロセスを少なくとも1回以上行い、この時に生じるセンサ素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質を検出することを特徴とする検出方法である。
磁界印加手段が、前記磁気インピーダンス素子の中心軸に平行な方向に磁性物質の磁化成分を有するように磁界を印加する手段である前記第一の態様にかかる検出装置を用いた磁性物質の検出方法であって、
前記磁界印加手段から、前記磁性物質の磁化が前記磁気インピーダンス素子の中心軸に対して平行な成分を有するように磁界を印加した後に、該磁気インピーダンス素子に検出電流を流すとともに、前記磁界の印加を止め、その直後から磁性物質の検出信号を取得することを特徴とする検出方法である。
μ0:真空中の透磁率
m:磁性物質の磁気モーメント。(但し、m=|m’|)
r:磁性物質中心からの点Pの位置ベクトル。(但し、r=|r’|)
今、図9(A)、図10(A)のように磁気インピーダンス素子の半径方向に磁性物質の磁化が向いている状態をAとする。また、図9(B)、図10(B)のように磁気インピーダンス素子の接線方向に磁性物質の磁化が向いている状態をBとする。これらの状態についてそれぞれ式(1)を解くと、以下のとおりである。
L:ビーズ(磁性粒子)の半径
と表すことが出来る。
(1)上記のように、磁気インピーダンス素子表面に固定された磁性物質の固定位置によって、磁気インピーダンス素子の磁性物質1つに対する検出感度が異なることになる。従って、磁気インピーダンス素子の磁性物質検出感度が、磁性物質の固定量と検出感度が一対一で対応するような位置に磁性物質を固定することによって、各磁性物質が磁気インピーダンス素子によって検出される信号強度のばらつきが無くなり、磁性物質の定量検出が可能となる。
(2)磁気インピーダンス素子として、素子に印加する磁界の方向が変化した場合においてもインピーダンスの値が変化しないものを用いる。そうすると、磁性物質が存在しない場合は、印加磁界の方向が変化しても得られるインピーダンスは同じであり、磁性物質が存在する場合には、その磁性物質から生じ磁気インピーダンス素子に印加される磁界の大きさが印加磁界方向によって変化するので、得られるインピーダンスの値の変化が観察され、磁性物質の検出が高感度に行える。
本発明における検出対象としての磁性物質は、磁気インピーダンス素子により直接あるいは非磁性物質を介して捕捉可能な形状及び大きさを有するものであり、球状などの磁性物質が好適に用いられる。磁性物質を磁気インピーダンス素子表面の捕捉領域に固定させるには、例えばAuとチオール間に働く結合力を用いることができる。磁性物質の表面を末端がチオール基となるような物質で修飾しておき、磁気インピーダンス素子表面の捕捉領域をAu膜で形成しておくと、Auとチオールが結合し、磁性物質が固定される。あるいは、磁性物質の表面をAu薄膜で覆っておき、磁気インピーダンス素子表面の捕捉領域にチオール基を固定しておいても良い。ここではAuとチオール基の結合力を用いた磁性物質の固定方法について述べたが、磁性物質が捕捉領域に選択的に固定可能であればどのような物質或いは方法を用いて構わない。本発明における直接の検出対象は磁性物質であるが、非磁性物質からなる標的物質を磁性物質で標識することで、標的物質を間接的に検出可能である。例えば、試料中に含まれる抗原を、磁気インピーダンス素子に固定した捕捉体としての抗体で捕捉し、抗体に捕捉された状態の抗原を磁性物質で標識することで、試料中での抗原の有無、更には、その量(濃度)を検出することができる。この場合の磁性物質としては、磁性標識として利用できる形状及びサイズのものが利用される。一方、磁気インピーダンス素子が磁性物質そのものを捕捉するものであれば、試料中に含まれる磁性物質を有無、更には、その量(濃度)を直接検出することができる。
磁気インピーダンス素子は、測定に利用する長手方向の磁界の検出を可能とする長軸柱状部分を有する。この長軸柱状部分の中心軸に直交する断面の形状としては、長手方向の磁界を検出できる形状であればよく、中心軸を中心とする円やその内接多角形が好ましい。磁気インピーダンス素子は、通常、一様な組成の磁性材料、あるいは非磁性導体の周囲を磁性材料で覆われた構造を持つ。後者の構成として、非磁性材料からなる心材の周壁に磁性材料からなる被覆層を有する構成などを挙げることができる。
図1に磁性物質の検出に用いる装置の一例を示す。図1は装置の長手方向に対して直交する模式的断面図である。図1の装置は、磁界印加手段を構成する対向して設けられた磁極1101、1102の間に、検出部1300を配置した構成を有する。検出部1300は、試料と素子とを接触させるための反応領域(不図示)を有する。この反応領域の構成としては、例えば図2及び図3に示す構成を用いることができる。
(i)磁界印加手段から、磁性物質の磁化が前記磁気インピーダンス素子の中心軸に対して平行な成分を有するように磁界を印加した後に、磁気インピーダンス素子に検出電流を流すとともに、磁界の印加を止め、その直後から磁性物質の検出信号を取得する。
検出原理(2)に基づく装置としては、図1に示す装置及び図18に示す装置を挙げることができる。図1に示す装置を用いる場合は、検出部1300をその長手方向の軸中心に磁極1101および1102に対して相対的に回転させて、磁極1101、1102に対する位置を変化させることで、磁界の方向を変化させて検出部1300に印加できる。図18に示す装置では、2対の磁極を直交する方向に配置することで、検出部1300の位置を変化させずに、2つの異なる方向からの磁界を印加可能としている。
(1)検出対象である磁性物質に所望の方向から磁界を印加し、次いで該磁界印加を止め、さらに異なる印加方向の磁界印加を行うという一連の磁界印加プロセスを少なくとも1回以上行う。この時に生じるセンサ素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質を検出する。
(2)磁界印加手段が前記磁気インピーダンス素子を中心として相対的に回転する機構である。印加磁界の方向変化が周期的であり、その周波数がfであり、磁気インピーダンス素子に同時に印加される磁界の方向の数がnであるときに、検出手段によって得られたインピーダンス信号の周波数2nf成分のみを分離して磁性物質検出信号とする。
(A)磁界印加手段と磁気インピーダンス素子の相対的位置は変化せず、磁界印加手段が少なくとも2つ以上の方向の異なる磁界を発生可能とする。磁性物質検出時には一方向の磁界の印加のみが行われるとともに、磁界の方向は順次変化させ、このときの磁気インピーダンス素子のインピーダンス変化を検出して磁性物質検出信号を得る。
(B)磁界印加手段と磁気インピーダンス素子の相対的位置は変化せず、磁界印加手段が少なくとも2つ以上の方向の異なる磁界を発生可能とする。磁界は交番磁界であって、かつ印加方向の異なる磁界はそれぞれ位相がずれており、少なくとも2つ以上の磁界を同時に印加するときに磁気インピーダンス素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質検出信号を得る。
素子に設けられる捕捉領域を、非磁性物質の捕捉領域とし、捕捉領域に捕捉した非磁性物質を、磁性物質を標識として検出することができる。図4に示す例は、非磁性物質である抗原1403を検出するための構成を示すものである。一次抗体1402を捕捉体として利用し、試料中にある抗原1403を一次抗体1402で捕捉し、これに更に磁性標識としての磁性物質1401を有する二次抗体1404を結合させて、複合体とし、この状態で上記の装置により磁性物質の検出を行う。得られた結果から、抗原の捕捉の有無、あるいは捕捉量を求めることができる。なお、抗原−抗体複合体の形成と同様に、核酸のハイブリッド体の形成、タンパク質と基質の複合体の形成など、各種の特異的結合を生じさせる反応物質の組合せを利用して、非磁性物質、例えば生体物質の検出が可能である。
本実施例では、本発明の検出装置および検出方法を用いた免疫センサについて説明をする。
(1)センサ機構
磁気インピーダンス素子1200は、φ(直径)15μmのCuからなる非磁性導電体1201の周りが、7.5μmの膜厚のFeCoSiBからなる磁性膜1202で覆われている。磁性膜1202の一部表面(領域1:1602)には、幅10〜50nm、厚さ20nmのAuからなる長手方向に伸びる帯状の磁性物質固定膜1204が形成される。また、検出電流が磁性物質固定膜1204に流れ、検出信号の低下を招かないように、磁性物質固定膜1204と磁性膜1202の間には、膜厚が50nmのSiO2からなる絶縁薄膜1203が形成される(図3参照)。ただし、各部の材料や膜厚は、上記のものに限定されるものではなく、磁性物質が検出可能であるならば、どのような磁気インピーダンス素子でも使用可能である。本実施例検出部1300は、筐体1301内に流路1302が形成される構造とする。磁気インピーダンス素子1200の全長(長手方向の長さ)は約6mmで、流路1302の領域内で折り返して配される。ただし、折り返して配することは必須ではなく、流路に沿って1本の磁気インピーダンス素子を一直線に配しても構わない。さらに、磁気インピーダンス素子1200は、その上部を流路1302内に僅かに露出させて筐体1301内に埋め込まれる。ただし露出部分は磁性物質固定膜1204が形成されている部分である。このようにすることによって、磁性物質1401は、磁気インピーダンス素子1200の一部分にだけ固定される(図2参照)。
磁性物質1401としては磁気ビーズが用いられ、磁性物質固定膜1204上に、一次抗体1402、抗原1403、二次抗体1404を介して固定される(図4参照)。
(A)抗原(被検体)であるPSA 1403を含むリン酸緩衝生理食塩水(被検体溶液)を流路内に注入し、5分間インキュベートする。
(B)リン酸緩衝生理食塩水を流路1302内に流し、未反応のPSA 1403を除去する。
(C)磁性物質1401により標識された抗PSA抗体(二次抗体)1404を含むリン酸緩衝生理食塩水を流路1302内に注入し、5分間インキュベートする。
(D)未反応の該標識抗体をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄する。
基本的な検出回路は、図5に示す構成とする。つまり、磁気インピーダンス素子1200に直列に交流電源1502と固定抵抗1501を接続し、固定抵抗1501の両端の電圧を検出する。検出部1300は、磁極1101と磁極1102の間の中央に配する。ただし、図1は断面図であり、磁極1101、磁極1102および検出部1300は、紙面垂直方向に長い形状となる。磁性物質1401の磁化が磁気インピーダンス素子1200に対して、半径方向を向くか、あるいは接線方向を向くかで、インピーダンスの変化量が異なる。したがって、磁気インピーダンス素子に対して異なる磁化方向を有する磁性物質1401が混在している場合、インピーダンスの変化量は粒子の数に単純には比例しないことになる。そこで、本実施例では磁性物質1401の磁気インピーダンス素子の半径方向に対する磁化方向をそろえることで、磁性物質数に比例したインピーダンス変化を得ることが出来る。より好ましくは、磁性物質の磁化がインピーダンス素子の半径方向を向くようにそろえることで、強い感度が得られる。磁気インピーダンス素子1200の検出信号の大きさから、固定された磁性物質1401の数量を特定し、被検体中に含まれる抗原1403の量を間接的に知ることが可能である。
実施例1におけるインピーダンス素子は、図14に例を示すように、断面積が中心点で対称な多角形であっても構わない。
実施例1および2において、図6に示す様に磁性物質固定膜1204を局所的に配し、磁性物質1401が固定可能な領域を限定することによっても、同様に磁性物質1401の検出が可能である。ただし、この場合の絶縁膜1202は、磁性物質1401が固定されない材料で構成される必要がある。例えば本実施例については絶縁膜をプラズマCVD(Camical Vaper Deposition)装置によるSiO2膜とする。均一な絶縁膜を形成するために磁気インピーダンス素子を、中心軸を軸として回転させながら絶縁膜を形成する。その後、磁性物質固定化膜を形成しない領域をレジスト膜で覆う。そのようにした磁気インピーダンス素子にマグネトロンスパッタリング装置を用いてAu膜を成膜し、さらにレジスト膜およびその上部に形成されたAu膜を除去する。以上のようなプロセスによってレジスト膜で覆われていない領域のみAu膜からなる磁性物質固定膜を形成する。本実施例では成膜にプラズマCVD装置やマグネトロンスパッタ装置を用いるが、成膜方法はこれに限られるものではなく、例えば蒸着やめっき等形成する膜に適切な成膜装置が選択される。
本実施例では、本発明の検出装置および検出方法を用いた免疫センサについて説明をする。磁気インピーダンス素子1200は、φ15μmのCuからなる非磁性導電体1201の周りが、7.5μmの膜厚のFeCoSiBからなる磁性膜1202で覆われている。磁性膜1202の周りは、さらに、20nmの膜厚のAuからなる磁性物質固定膜1302が形成される。また、検出電流が磁性物質固定膜1302に流れ、検出信号の低下を招かないように、磁性物質固定膜1302と磁性膜1202の間には、膜厚が50nmのSiO2からなる膜絶縁薄膜1301が形成される。(図17参照)。ただし、各部の材料や膜厚は、上記のものに限定されるものではなく、磁性物質が検出可能であるならば、どのような磁気インピーダンス素子でも使用可能である。
(A)抗原(被検体)であるPSA 1403を含むリン酸緩衝生理食塩水(被検体溶液)を流路内に注入し、5分間インキュベートする。
(B)リン酸緩衝生理食塩水を流路1302内に流し、未反応のPSA 1403を除去する。
(C)磁性物質1401により標識された抗PSA抗体(二次抗体)1404を含むリン酸緩衝生理食塩水を流路1302内に注入し、5分間インキュベートする。
(D)未反応の該標識抗体をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄する。
本実施例において、磁気インピーダンス素子1200は、φ15μmのCuからなる非磁性導電体1201の周りが、7.5μmの膜厚のFeCoSiBからなる磁性膜1202で覆われている。磁性膜1202の周りは、さらに、膜厚が位置によって異なるAuからなる磁性物質固定膜1302が形成される。また、検出電流が磁性物質固定膜1302に流れ、検出信号の低下を招かないように、磁性物質固定膜1302と磁性膜1202の間には、膜厚が50nmのSiO2からなる絶縁薄膜1301が形成される。磁気インピーダンス素子1200の長さは5mmとした。(図19および図20参照)。このように磁性物質固定膜の膜厚を不均一にすることによって、磁性物質と磁気インピーダンス素子表面との距離に違いを持たせ、磁性物質からの浮遊磁界の影響を固定位置によって変えることができる。したがって、本実施例においては、磁性物質固定膜1302の膜厚を不均一としたが、絶縁薄膜1301の膜厚を不均一にすることによっても、同様の効果を得ることが可能である。磁性物質1401が磁気インピーダンス素子1200に局所的に固定された場合には、実施例1と同様の原理によって磁性物質を検出することが可能である。磁性物質1401が高密度に磁気インピーダンス素子全面について場合においては、磁界の印加方向が、磁性物質固定化膜1204の膜厚の厚い方向に印加された場合と、薄い方向に印加された場合では、磁性物質1401からの浮遊磁界が磁気インピーダンス素子に与える影響が異なる為に、磁界の印加方向によってインピーダンスが異なる。したがって、やはり、磁界の印加方向を変化させることによって、磁性物質1401の検出が可能である。
さらに、図3および図6に示す様に磁性物質固定膜1204を局所的に配し、磁性物質1401が固定可能な領域を限定することによっても、同様に磁性物質1401の検出が可能である。ただし、この場合の絶縁膜1202は、磁性物質1401が固定されない材料で構成される必要がある。
1200 磁気インピーダンス素子
1201 非磁性導電体
1202 磁性膜
1203 絶縁膜
1204 磁性物質固定膜
1301 筐体
1302 流路
1401 磁性物質
1402 一次抗体
1403 抗原
1404 二次抗体
1501 固定抵抗
1502 交流電源
1503 電圧計
1601 領域1
1602 領域2
Claims (23)
- 中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有する磁気インピーダンス素子において、
前記中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた磁性物質の捕捉領域と、該磁気インピーダンス素子側面の前記捕捉領域を除く領域である磁性物質の非捕捉領域と、を有することを特徴とする磁気インピーダンス素子。 - 前記磁気インピーダンス素子が、非磁性材料からなる心材と、該心材の側面に被覆された磁性材料からなる被覆層と、を少なくとも有する請求項1に記載の磁気インピーダンス素子。
- 前記磁気インピーダンス素子の側面が、磁性物質の非捕捉領域を形成する物質で覆われ、かつ該非捕捉領域の表面の一部を覆うように磁性物質の捕捉領域を有する請求項1または2に記載の磁気インピーダンス素子。
- 前記磁気インピーダンス素子の側面が磁性物質の捕捉領域を形成する物質で覆われ、かつ該捕捉領域の表面の一部を覆うように磁性物質の非捕捉領域を有する請求項1または2に記載の磁気インピーダンス素子。
- 中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有する磁気インピーダンス素子と、該磁気インピーダンス素子と磁性物質とを接触させるための反応領域と、該磁気インピーダンス素子に磁界を印加するための磁界印加手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する磁性物質検出装置において、
前記磁気インピーダンス素子が、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気インピーダンス素子であることを特徴とする磁性物質の検出装置。 - 前記磁界印加手段が、一方向の磁界を印加する手段である請求項5に記載の検出装置。
- 前記磁界印加手段が、前記磁気インピーダンス素子の中心軸に直交しかつ前記磁性物質の中心を通る直線と平行な方向に前記磁性物質の磁化成分を有するように磁界を印加する手段である請求項6に記載の検出装置。
- 前記磁界印加手段が、前記磁気インピーダンス素子の中心軸に平行な方向に前記磁性物質の磁化成分を有するように磁界を印加する手段である請求項6に記載の検出装置。
- 磁気インピーダンス素子と、異なる方向の複数の磁界を印加可能である検出手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する検出装置であって、
前記磁気インピーダンス素子が、大きさが等しく方向の異なる印加磁界に対して同じインピーダンスを示し、かつ該磁気インピーダンス素子表面に磁性物質を捕捉可能である
ことを特徴とする検出装置。 - 磁気インピーダンス素子と、異なる方向の複数の磁界を印加可能である検出手段と、該磁気インピーダンス素子での磁性物質の捕捉に基づくインピーダンスの変化を検出するための検出手段と、を有する検出装置であって、
前記磁気インピーダンス素子が、中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有し、大きさが等しく方向の異なる印加磁界に対して同じインピーダンスを示し、かつ該磁気インピーダンス素子表面に磁性物質を捕捉可能であり、
前記磁性物質を捕捉可能な領域が、該磁気インピーダンス素子の中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた領域である
ことを特徴とする検出装置。 - 前記磁気インピーダンス素子が、非磁性材料からなる心材と、該心材の側面に被覆された磁性材料からなる被覆層と、を少なくとも有する請求項9または10に記載の検出装置。
- 前記磁気インピーダンス素子の側面が、磁性物質の非捕捉領域を形成する物質で覆われ、かつ該非捕捉領域の表面の一部を覆うように磁性物質の捕捉領域を有する請求項9〜11のいずれかに記載の検出装置。
- 前記磁気インピーダンス素子の側面が、磁性物質の捕捉領域を形成する物質で覆われ、かつ該捕捉領域の表面の一部を覆うように磁性物質の非捕捉領域を有する請求項9〜11のいずれかに記載の検出装置。
- 前記磁性材料からなる層上の少なくとも一部に、非磁性材料からなる膜を有し、該非磁性材料からなる膜厚が前記磁気インピーダンス素子の周方向に変化を有することを特徴とする請求項11に記載の検出装置。
- 前記異なる方向の複数の磁界が、前記中心軸に直交する方向の磁界である請求項9から14のいずれかに記載の検出装置。
- 磁性物質を検出するための磁性物質の検出方法において、
磁気インピーダンス素子に磁性物質を接触させる工程と、
前記磁気インピーダンス素子に磁界を印加して、前記磁気インピーダンス素子での前記磁性物質の捕捉の有無に応じたインピーダンスの変化を検出する工程と、
を有し、
前記磁気インピーダンス素子が、中心軸に直交する断面が該中心軸を中心とする円またはその内接多角形をなす長軸柱状部分を有し、かつ、前記中心軸を含む平面と前記長軸柱状の部分の側面とが交差する2つの交差線の少なくとも一方に沿って伸びる帯状領域に設けられた磁性物質の捕捉領域と、該磁気インピーダンス素子側面の前記捕捉領域を除く領域である非捕捉領域と、を有する
ことを特徴とする磁性物質の検出方法。 - 磁気インピーダンス素子に磁性物質を接触させる前にインピーダンスの測定を行い、次いで、磁気インピーダンス素子に磁性粒子を接触させ、さらに磁気インピーダンス素子のインピーダンスの測定を行い、磁気インピーダンス素子に磁性物質を接触させる前後でのインピーダンスの変化を測定することによって、磁性物質の有無あるいは量を検出することを特徴とする請求項16に記載の磁性物質の検出方法。
- 請求項9から15のいずれかに記載の検出装置を用いた磁性物質の検出方法であって、
検出対象である磁性物質に磁界を印加し、次いで該磁界印加を止め、さらに異なる印加方向の磁界印加を行うという一連の磁界印加プロセスを少なくとも1回以上行い、この時に生じるセンサ素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質を検出することを特徴とする検出方法。 - 前記印加磁界の方向が、磁気インピーダンス素子の中心軸に対して垂直方向であることを特徴とする請求項18に記載の検出方法
- 前記磁界印加手段が前記磁気インピーダンス素子を中心として相対的に回転する機構であり、前記印加磁界の方向変化が周期的であり、その周波数がfであり、前記磁気インピーダンス素子に同時に印加される磁界の方向の数がnであるときに、検出手段によって得られたインピーダンス信号の周波数2nf成分のみを分離して磁性物質検出信号とすることを特徴とする請求項18または19に記載の検出方法。
- 前記磁界印加手段と前記磁気インピーダンス素子の相対的位置は変化せず、前記磁界印加手段が少なくとも2つ以上の方向の異なる磁界を発生可能であり、磁性物質検出時には一方向の磁界の印加のみが行われるとともに、該磁界の方向は順次変化させ、このときの前記磁気インピーダンス素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質検出信号を得ることを特徴とする請求項18または19に記載の検出方法。
- 前記磁界印加手段と前記磁気インピーダンス素子の相対的位置は変化せず、前記磁界印加手段が少なくとも2つ以上の方向の異なる磁界を発生可能であり、該磁界は交番磁界であって、かつ印加方向の異なる磁界はそれぞれ位相がずれており、少なくとも2つ以上の磁界を同時に印加するときに前記磁気インピーダンス素子のインピーダンス変化を検出することによって磁性物質検出信号を得ることを特徴とする請求項18または19に記載の検出方法。
- 請求項8に記載の検出装置を用いた磁性物質の検出方法であって、
前記磁界印加手段から、前記磁性物質の磁化が前記磁気インピーダンス素子の中心軸に対して平行な成分を有するように磁界を印加した後に、該磁気インピーダンス素子に検出電流を流すとともに、前記磁界の印加を止め、その直後から磁性物質の検出信号を取得することを特徴とする検出方法。
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