JP2017181379A - 磁気検出素子及び磁気インピーダンスセンサ - Google Patents

磁気検出素子及び磁気インピーダンスセンサ Download PDF

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宮崎 秀樹
Hideki Miyazaki
秀樹 宮崎
喜崇 田口
Yoshitaka Taguchi
喜崇 田口
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Abstract

【課題】従来よりもヒステリシス特性を向上した磁気検出素子及び磁気インピーダンスセンサを提供すること。【解決手段】磁気検出素子2は、感磁部21と、コイル25、26とを備える。感磁部21は、外部磁界に応じて電磁気特性が変化するワイヤ状の部材である。感磁部21は、結晶構造を有する中心部と、非結晶質合金を含み、中心部の外周部に形成された表層部とを有する。コイル25、26は、感磁部21に作用する外部磁界に対応した誘起電圧を検出する。【選択図】図1

Description

本発明は、磁気検出素子及び磁気インピーダンスセンサに関する。
近年、生体細胞が生ずる磁気信号の検出に用いられる磁気検出装置が種々開発されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の磁気検出装置は、一対の磁気センサと、結合部材とを備える。一対の磁気センサは各々、磁界を検知するための感磁部を有する。結合部材は、一対の感磁部とともに磁気回路を構成する。一対の感磁部の感磁方向と結合部材の長手方向とは、一対の感磁部において共通して印加される磁界を等しく検知できる程度に一致している。
特開2012−185103号公報
特許文献1に記載の磁気検出装置において、ヒステリシス特性の向上が要望されている。
本発明は、従来よりもヒステリシス特性を向上した磁気検出素子及び磁気インピーダンスセンサを提供することを目的とする。
本発明の第一態様に係る磁気検出素子は、外部磁界に応じて電磁気特性が変化するワイヤ状の部材であって、結晶構造を有する金属を含む中心部と、非結晶質合金を含み、前記中心部の外周部に形成された表層部とを有する感磁部と、前記感磁部に作用する前記外部磁界に対応した誘起電圧を検出するコイルとを備える。感磁部と、コイルとを備えるタイプの磁気検出素子は、感磁部に高周波のパルス電流を流すと表皮効果により、感磁部のインピーダンスが外部磁界によって変化する現象を利用して測定対象物の磁気を検出する。従来の磁気検出素子では、感磁部の磁気異方性について、感磁部の中心部と、表層部とではばらつきがある。従来の磁気検出素子は、感磁部の中心部において一部磁化し、ヒステリシス特性が悪化する場合がある。これに対し、第一態様の磁気検出素子は、感磁部を形成する非結晶質合金を中心部において結晶化させることにより、感磁部の中心部と、感磁部の表層部とで磁気特性を分断できる。したがって、磁気検出素子は、中心部が部分的に磁化することによる影響を低減でき、ヒステリシス特性を向上でき、表層部における電磁気特性の変化を好適に検知できる。
第一態様の磁気検出素子において、前記非結晶質合金は、ガラス転移を示してもよい。この場合の磁気検出素子は、感磁部を形成するガラス転移を示す非結晶質合金(金属ガラス)を中心部において結晶化させることにより、感磁部の中心部と、感磁部の表層部とで磁気特性を分断できる。したがって、磁気検出素子は、中心部が部分的に磁化することによる影響を低減でき、ヒステリシス特性を向上でき、表層部における電磁気特性の変化を好適に検知できる。
第一態様の磁気検出素子において、前記非結晶質合金は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、リン(P)、炭素(C)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)からなる群から選択される少なくとも2種の金属からなる合金であってもよい。この場合の磁気検出素子では、感磁部のインピーダンスが外部磁界に依存して変化し、微弱な外部磁界に感応して高感度で応答性のよいインピーダンス変化を示す。磁気検出素子は、正負磁界に対するインピーダンス変化の対称性が良好であり、磁界強度の変化方向に依存するヒステリシスが僅少である。
第二態様の磁気インピーダンスセンサは、第一態様の磁気検出素子と、前記感磁部に入力されるパルス電流を発生するパルス発生部と、前記コイルに接続され、前記パルス電流が前記感磁部に流れた時に、前記コイルから出力される前記誘起電圧を取得する電圧取得部とを備える。第二態様の磁気インピーダンスセンサを用いた磁気信号の検出において、従来に比べてヒステリシス特性を向上できる。
第二態様の磁気インピーダンスセンサにおいて、前記磁気検出素子の前記感磁部は、前記感磁部の延設方向における中点を通り、前記延設方向に対して直角な直線及び面の何れかである基準について対称の形状を有し、前記磁気検出素子の前記コイルは、前記基準について対称となるように一対設けられ、前記電圧取得部は、一対の前記コイルの各々から出力される前記誘導電圧の差分を出力してもよい。この場合の磁気インピーダンスセンサでは、一対のコイルが、1本の感磁部の延設方向における基準に対して対称となるように設けられるので、電圧取得部が一対のコイルの内の一方を参照用のコイルとし、他方を測定用のコイルとして用いることで、地磁気等の環境磁界の影響を好適に相殺することができる。
磁気検出素子2及び回路部3を備える磁気インピーダンスセンサ1の概略構成図である。 感磁部21の断面の模式図である。 評価試験の磁気検出素子102及び回路部103を備える磁気インピーダンスセンサ101の概略構成図である。 実施例と、比較例とについての、測定範囲の評価試験結果を示すグラフである。 実施例と、比較例とについての、ヒステリシス特性の評価試験結果を示すグラフである。
本発明の実施形態を、図面を参照して順に説明する。図1及び図2を参照して、磁気インピーダンスセンサ及び磁気検出素子の物理的構成を説明する。図1の上下方向、及び左右方向が各々、磁気インピーダンスセンサ(以下、単に「センサ」という。)1及び磁気検出素子2の上下方向、及び左右方向である。
図1に示すように、センサ1は、磁気検出素子2及び回路部3を備える磁気インピーダンスセンサである。磁気検出素子2は、感磁部21と、感磁部21の磁束の変化を検出する一対のコイル25、26を備える。感磁部21は、外部磁界に応じて電磁気特性が変化する、左右方向を長手方向L(延設方向、軸方向)とする棒状のワイヤである。感磁部21の長さ及び径は、感磁部21のインピーダンス特性、及び目標感度等を考慮して適宜設定される。感磁部21は、例えば、長さ72mm、線径30μmのものが用いられる。
感磁部21は、非結晶質合金を用いて形成される。図2に示すように、感磁部21は、中心部22及び表層部23を有する。中心部22は、結晶構造を有する金属を含む。表層部23は、非結晶質合金を含み、中心部22の外周部に形成される。本例の表層部23は、ガラス転移を示す非結晶質合金(金属ガラス)を含む。表層部23の非結晶質合金は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、リン(P)、炭素(C)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)からなる群から選択される少なくとも2種の金属からなる合金であることが好ましい。表層部23のガラス転移を示す非結晶質合金は、例えば、組成式Fe56CoNiZrNb20又はFe56CoNiZrNb20で表される合金である。
感磁部21に通電された場合、表層部23の金属原子のスピンは、感磁部21の円周方向に配列する。ここで、「スピン」とは、1原子当たりの磁気モーメントをいう。感磁部21の中心部22と表層部23とは、感磁部21に対して直流電流を通電することにより、所定条件となるように加熱後に冷却する熱処理を行うことで形成される。所定条件とは、感磁部21を形成する金属ガラス合金の中心部22における温度が結晶化温度以上となり、且つ表層部23における温度が結晶化温度以下となる条件である。つまり、感磁部21の中心部22と、表層部23との各々は、感磁部21が通電により発熱した場合に、表層部23の温度が放射及び対流の影響で中心部22の温度に比べ低くなることを利用して形成される。
より詳細には通電により感磁部21を熱処理する場合、以下の点を考慮して所定条件を決定する。単位長さあたりの表面積Aの感磁部21が温度Twのときの放射熱量(輻射伝熱量)Q1はA及びTwの4乗に比例する。室温Tからの輻射吸熱はTの4乗に比例する。
輻射伝熱量Q1∝A・(Tw−T
また対流による放熱量(対流伝熱量)Q2は表面積及び周囲との温度差に比例する。
対流伝熱量Q2∝A・(Tw−T)
上記の2つが放熱の主な経路であるとすると、総放熱量Qrは表面積Aに比例する。
Qr=Q1+Q2∝A
通電開始後、充分時間が経ったとき、発熱量Qeは総放熱量Qrに釣り合っている。
Qe=Qr
発熱量Qeは感磁部21の電気抵抗R及び電流値の2乗(I)に比例する。
Qe=R・I
I=√(Qe/R)=√(Qr/R)∝√(A/R)
図1に示すように、感磁部21の両端には、感磁部21にパルス電流を印加することができるように配線が設けられている。感磁部21の一端(左端)には後述するパルス発生部31が接続され、他端(右端)は接地されている。
一対のコイル25、26は各々、中空のコイル状に設けられている。一対のコイル25、26は、感磁部21に作用する外部磁界に対応した誘起電圧を検出する。一対のコイル25、26の一端(左端)は各々、電圧取得部32に接続され、他端(右端)は各々接地されている。一対のコイル25、26は互いに同一の形状である。一対のコイル25、26は各々、例えば、線径60μm、内径0.2mm、巻数500、及び長さ10mmの中空のコイルである。
一対のコイル25、26の中空部分には、感磁部21が通されている。感磁部21は一対のコイル25、26の中空部分を通る(貫く)様に配設される。一対のコイル25、26は各々、基準について対称となるように配置される。基準は、感磁部21の延設方向における中点Mを通り、感磁部21の延設方向に対して直角な直線及び面の何れかである。かかる構成によれば、感磁部21の外部磁界は、感磁部21の長手方向Lに関して対称に分布することが発明者らの知見により分かっている。そのため、磁気検出素子2は、一対のコイル25、26はそれぞれ、感磁部21における磁界、すなわち、両者に共通して印加される外部磁界を検出できる。
一対のコイル25、26のうち、一方のコイル25は測定対象物が生ずる磁界を検出するための測定用のコイルである。他方のコイル26は、測定対象物からの磁界を検出しない一方、地磁気等の測定対象物以外によって生ずる磁界である外部磁界を検出する。参照用のコイル26は測定対象物からの磁界を検出しない様に配設されている。2つのコイル25、26は近ければ近いほど、その差分は小さくなり外部のノイズに対して有利になるが、測定対象物の磁界が大きければ、測定用、参照用のコイル両方で検出してしまい、結果、測定対象物の磁界を精度よく検出できない。2つのコイル25、26の距離を適切に配置すること(参照用のコイル26では測定対象物の磁界を検出しない距離)により測定対象物からの磁界を差分として精度よく検出できる。例えば感磁部21の長さ72mm、コイルの長さが10mm、感磁部21の左右両端が1mmずつコイル25、26から突出していると一対のコイル25、26間の距離は50mmと設定される。
回路部3は、パルス電流を感磁部21に印加するパルス発生部31、及び一対のコイル25、26の出力信号を処理し、磁気検出素子2において検出された磁界強度に関する情報を算出する電圧取得部32を備える。パルス発生部31は、アンプ33を介して、感磁部21に接続される。パルス発生部31によって生成されたパルス電流は、アンプ33によって所定の増幅が行なわれ、感磁部21に印加される。パルス電流は、アンプ33により振幅が2から3Vとなるように増幅される。パルス電流の繰り返し周波数は、センサ1の感度が良好となる繰り返し周波数が選択される。例えば、繰り返し周波数が10kHz以上においてはセンサの感度がほぼ一定である場合には、繰り返し周波数に10kHzとされる。パルス幅は、センサ1が高感度化するように、予め実験的にあるいはシミュレーションにより得られた値に設定される。具体的には、感磁部21のインピーダンス変化が最も顕著な周波数が10MHzである場合には、パルス幅が50nsとなり、デューティー比は0.0005となる。
電圧取得部32は、一対のコイル25、26に接続され、パルス電流が感磁部21に流れた時に、一対のコイル25、26から出力される誘起電圧を取得する。電圧取得部32は、電圧取得回路34、36、バッファアンプ35、37、及び差動アンプ38を備える。電圧取得回路34、36には各々、コイル25、26の両端電位差(起電力)が入力される。電圧取得回路34、36は、感磁部21へのパルス電流の印加開始によりコイル25、26に発生する誘導電圧を出力する。誘導電圧は、感磁部21へのパルス電流の印加開始からピークを含む時間範囲(例えば、10ns〜50ns)の電圧値が積分されて出力される。電圧取得回路34、36には前述のパルス発生部31によって出力されるパルス電流が印加されており、電圧取得回路34、36はこのパルス電流の印加開始をスイッチとして作動する。バッファアンプ35、37は各々、電圧取得回路34、36の出力を差動アンプ38へ流す。差動アンプ38は、バッファアンプ35を介した電圧取得回路34の出力と、バッファアンプ37を介した電圧取得回路36の出力との差を、センサ1に接続される装置(例えば、パーソナルコンピュータ)に出力する。
本実施形態の磁気検出素子2では、コイル25、26が基準について対称な位置に設けられている。このため、外部磁界のみが印加されている場合の差動アンプ38の出力は、理論的には零であり、実際にはノイズのみが出力される。一方、測定対象物がセンサ1の検出対象範囲に存在あるいは通過した場合には、局所的に外部磁界が影響を受けるため、一対のコイル25、26のうちのコイル25がより測定対象物の磁気の影響を受けることとなる。そのため、両者の差動出力に変動が生じる。
磁気インピーダンスセンサ1及び磁気検出素子2は各々、本発明の磁気インピーダンスセンサ及び磁気検出素子の一例である。感磁部21、中心部22、及び表層部23は各々、本発明の感磁部、中心部、及び表層部の一例である。一対のコイル25、26は、本発明の一対のコイルの一例である。パルス発生部31及び電圧取得部32は各々、本発明のパルス発生部及び電圧取得部の一例である。
[評価試験]
本実施形態の磁気検出素子及び磁気インピーダンスセンサの出力特性を評価する試験を行った。評価試験は、図3に示すセンサ101を用いて行った。図3に示すようにセンサ101は、磁気検出素子102及び回路部103を備える磁気インピーダンスセンサである。磁気検出素子102は、外部磁界に応じて電磁気特性が変化するワイヤ状の感磁部121と、感磁部121の磁束の変化を検出するコイル125を備える。コイル125は、線径が60μmであり、内径が0.5であり、巻き数が1000であり、長さが10mmのものを用いた。感磁部121は、線径の30μm アモルファスワイヤ Fe−Co−Si−B (ユニチカ製 センシィ A111 30DC2T)を用いた。コイル125の一端(左端)は回路部103に接続され、他端(右端)は接地される。感磁部121の一端(左端)は回路部103に接続され、他端(右端)は接地される。回路部103は、パルス電流を感磁部121に印加するパルス発生部131と、コイル125の出力信号を処理し、磁気検出素子102において検出された磁界強度に関する情報を算出する電圧取得部132とを備える。回路部103は、装置104に接続される。松定プレシジョン株式会社製 PK60−6.6を用い、室温条件下で感磁部121に直流電流を印加した磁気検出素子102を実施例とし、印加しない磁気検出素子を比較例とした。感磁部121に直流電流を印加することにより、実施例では感磁部121の中心部は、結晶化した金属を含む。
実施例の感磁部121の熱処理の条件は、直流電流の値と、印加時間とを変化させた場合の感磁部121の軸方向Lの透磁率を計測した値に基づき決定した。印加する直流電流の値が一定である場合、通電時間が長いほど透磁率が低下する。通電によって感磁部121の中心部において金属の結晶化が進むことにより、透磁率が低下すると考えられる。透磁率は、ある一定値に達すると、通電時間を増やしても変化しなくなる。直流電流を50〜80mAの範囲の値、通電時間を0〜180分間の範囲の値で、種々の条件を検討し、実施例の感磁部121の熱処理条件を70mAの直流電流を120分印加することとした。
実施例と、比較例とについて、測定範囲と、ヒステリシス特性について評価試験を行った。測定範囲の評価試験は、磁束密度を既知の値(μT)に変化させた場合の、磁気インピーダンスセンサの出力値(V)を測定することにより行った。測定範囲の評価試験を図4に示す。図4に示すように、白抜きの四角で示す比較例では、磁束密度−50μT程度で、磁気インピーダンスセンサの出力値と、磁束密度とがリニアな関係を示さなくなった。これは、比較例では磁束密度−50μT程度で飽和磁界に至ったためであると考えられる。これに対し黒丸で示す実施例では、−80〜20μTの範囲で磁気インピーダンスセンサの出力値と、磁束密度とがリニアな関係を示した。
ヒステリシス特性について評価試験は、磁束密度を既知の値(μT)に変化させた場合の、磁気インピーダンスセンサの出力値(V)を測定することにより行った。図5に示すように、白抜きの四角で示す比較例に比べ、黒丸で示す実施例の方が、ヒステリシス特性が良好であった。
磁気インピーダンスセンサの感磁部の表層部の磁化は、外部磁界と中心部からの漏洩磁界の両方の影響を受けている。感磁部の中心部の磁化は感磁部の長手方向Lで保磁力を持っている。磁化ベクトルの方向の逆向きに外部から磁界が印加された場合は保磁力を超えると、磁化ベクトルの向きの反転が生じることが磁気インピーダンスセンサのヒステリシス特性に影響を与えている。感磁部に直流電流を印加することで、感磁部にジュール熱が発生し温度が上昇する。室温環境において感磁部に電流を印加させる場合、感磁部の中心部と表層部とでは、温度に差があるので、感磁部の内部のみ結晶化が進み、感磁部の表層部の磁気異方性は保たれる。つまり、中心部は結晶化した金属を含む一方で、表層部は非結晶質合金を含む感磁部が得られる。これにより、感磁部の表層部とで磁気特性が分断され、ヒステリシス特性の向上と、飽和磁界範囲の拡大がもたらされたと考えられる。
同様に、感磁部の金属材料として、ガラス転移を示す合金(所謂、金属ガラス)を用いた場合にも、中心部は結晶化した金属を含む一方で、表層部は非結晶質合金を含む感磁部が得られる。ガラス転移を示す非結晶質合金では、ガラス転移点と、結晶化温度との間に差があるため、感磁部の中心部のみの金属を結晶化させる際の温度制御が容易である。
一般に、感磁部と、コイルとを備える磁気検出素子は、感磁部の表層部に存在するスピンが外部磁界強度に応じて感磁部の軸方向に傾く変化量をコイルで出力する。従来の磁気検出素子では、感磁部の磁気異方性について、感磁部の中心部と、表層部との間にばらつきがある。従来の磁気検出素子は、感磁部の中心部において一部磁化しているものもあるので、ヒステリシス特性が悪化する場合がある。これに対し、センサ1の磁気検出素子2は、感磁部21の中心部22の磁気異方性を、感磁部21を形成する非結晶質合金(金属ガラス)を中心部において結晶化させることにより、感磁部21の中心部22と、感磁部21の表層部23とで磁気特性を分断できる。したがって、磁気検出素子2は、表層部23における電磁気特性の変化を好適に検知できる。
感磁部21の表層部23の非結晶質合金は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、リン(P)、炭素(C)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)からなる群から選択される少なくとも2種の金属からなる合金である。磁気検出素子2では、感磁部21のインピーダンスが外部磁界に依存して変化し、微弱な外部磁界に感応して高感度で応答性のよいインピーダンス変化を示す。磁気検出素子2は、正負磁界に対するインピーダンス変化の対称性が良好であり、磁界強度の変化方向に依存するヒステリシスが僅少である。
感磁部21は、感磁部21の延設方向における中点Mを通り、延設方向に対して直角な直線及び面の何れかである基準について対称の形状を有し、一対のコイル25、26は、基準について対称となるように設けられる。磁気検出素子2では、一対のコイル25、26が、1本の感磁部21の延設方向における基準に対して対称となるように設けられる。このためセンサ1は、電圧取得部32が一対のコイル25、26の内の一方を参照用のコイル26とし、他方を測定用のコイル25として用い、一対のコイル25、26の各々から出力される誘導電圧の差分を出力することで、地磁気等の環境磁界の影響を好適に相殺することができる。
本発明の磁気検出素子及び磁気インピーダンスセンサは、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更が加えられてもよい。例えば、以下の変形が適宜加えられてもよい。
磁気検出素子及び磁気インピーダンスセンサの構成は適宜変更してよい。磁気検出素子は、磁気インピーダンスセンサ以外の磁気センサ(例えば、フラックスゲートセンサなど)に適用されてもよい。磁気検出素子が有するコイルの数は、1以上であればよく適宜変更されてよい。感磁部は、外部磁界に応じて電磁気特性が変化するワイヤ状の部材であって、結晶構造を有する金属を含む中心部と、非結晶質合金を含み、中心部の外周部に形成された表層部とを有していればいい。したがって、感磁部が含む金属材料は、ガラス転移を示す非結晶質合金に限定されず適宜変更さえてよい。感磁部は、基準について対称の形状を有し、コイルは、基準について対称となるように一対設けられなくてもよい。磁気インピーダンスセンサにおいて、パルス発生部と、電圧取得部との構成は各々、適宜変更されてよい。
1、101 磁気インピーダンスセンサ
2、102 磁気検出素子
3、103 回路部
21、121 感磁部
22 中心部
23 表層部
25、26、125 コイル
31、131 パルス発生部
32、132 電圧取得部
33 アンプ
34、36 電圧取得回路
35、37 バッファアンプ
37 バッファアンプ
38 差動アンプ

Claims (5)

  1. 外部磁界に応じて電磁気特性が変化するワイヤ状の部材であって、結晶構造を有する金属を含む中心部と、非結晶質合金を含み、前記中心部の外周部に形成された表層部とを有する感磁部と、
    前記感磁部に作用する前記外部磁界に対応した誘起電圧を検出するコイルと
    を備えることを特徴とする磁気検出素子。
  2. 前記非結晶質合金は、ガラス転移を示すことを特徴とする請求項1に記載の磁気検出素子。
  3. 前記非結晶質合金は、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)、ホウ素(B)、クロム(Cr)、リン(P)、炭素(C)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、バナジウム(V)からなる群から選択される少なくとも2種の金属からなる合金であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁気検出素子。
  4. 前記1から3の何れかに記載の磁気検出素子と、
    前記感磁部に入力されるパルス電流を発生するパルス発生部と、
    前記コイルに接続され、前記パルス電流が前記感磁部に流れた時に、前記コイルから出力される前記誘起電圧を取得する電圧取得部と
    を備えることを特徴とする磁気インピーダンスセンサ。
  5. 前記磁気検出素子の前記感磁部は、前記感磁部の延設方向における中点を通り、前記延設方向に対して直角な直線及び面の何れかである基準について対称の形状を有し、
    前記磁気検出素子の前記コイルは、前記基準について対称となるように一対設けられ、
    前記電圧取得部は、一対の前記コイルの各々から出力される前記誘導電圧の差分を出力することを特徴とする請求項4に記載の磁気インピーダンスセンサ。
JP2016071306A 2016-03-31 2016-03-31 磁気検出素子及び磁気インピーダンスセンサ Pending JP2017181379A (ja)

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