JP2009008475A - センサ及びセンサを用いた検出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出対象物質の検出に要する時間を短縮する。
【解決手段】定在波を発生する振動板1103及びピエゾ素子1102と、定在波の節の位置に配置され標的物体を捕捉するための捕捉部と、捕捉部に捕捉した標的物体を検出するためのTMR素子1101とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、標的物体から検出対象物質を検出するためのセンサ及び検出方法に関する。
定量的なイムノアッセイ(免疫測定法)として、放射免疫測定法(RIA:radio immunoassay もしくは、IRMA:immunoradiometric assay)が古くから知られている。この方法は、放射性核種によって、競合抗原あるいは抗体を標識し、比放射能の測定結果から抗原を定量的に測定する。つまり、イムノアッセイは、抗原等の標的物体を、標識して間接的に測定を行う。この方法は感度が高いことから、臨床診断において大きな貢献を果たしたが、放射性核種の安全性を確保する必要があり、専用の施設や装置が必要となるという欠点がある。そこで、より扱い易い方法として、例えば、蛍光物質、酵素、電気化学発光分子、磁性粒子等の標識(特許文献1参照)が提案されている。標識に酵素を用いる酵素免疫測定法(EIA:Enzyme Immunoassay)は、抗原−抗体反応を起こさせた後に、酵素標識抗体を反応させ、その酵素に対する基質を添加して発色させ、その吸光度によって比色定量する方法である。
上述したように、イムノアッセイとしては種々の検出方法が知られているが、検出を行う際には、前処理する工程、測定試料を作製する工程、検出する工程等のいくつかの工程が採られている。それらの工程の中で、測定試料を作製する際に、例えば抗原−抗体反応等のように標的物体を特異的に反応させる工程は、いずれの検出方法においても必須である。
特公平05−004021号公報
ところで、検出対象物質としての標的物体を特異的に反応させる工程は、検出のための全工程にかかる時間の中で大きなウエイトを占めている。標的物体の反応は、現状では例えばブラウン運動や対流によって、標的物体が検出するための所望の検出領域に偶然到達することによって達成されている。したがって、特に標的物体が検体溶液中に著しく低密度で存在する場合には、検出可能となる数量の標的物体が検出領域に固定されるまでに著しく長い時間を要するという問題がある。すなわち、標的物体を検出するために長時間を要している。
そこで、本発明は、検出対象物質を検出領域内に形成された捕捉部近傍に集めることを可能にし、比較的短時間に検出対象物質を捕捉部に固定することで、検出対象物質の検出に要する時間を短縮することができるセンサ及び検出方法を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明に係るセンサは、定在波を発生する発生手段と、定在波の節の位置に配置され検出対象物質を捕捉するための捕捉部と、捕捉部に捕捉した検出対象物質を検出するための検出手段とを有する。
また、本発明に係る検出方法は、本発明に係るセンサを用いた検出方法であって、検体に定常波を与えながら検出対象物質を所定の領域に集める第1ステップと、捕捉部に検出対象物質を捕捉させる第2ステップと、検出対象物質の検出を行う第3ステップとを有する。
本発明によれば、検出対象物質を捕捉部近傍に集めることが可能になり、比較的短時間で検出対象物質の検出を行うことができる。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。
まず、本実施例について、定常波を用いる原理を説明する。図8は、定常波が形成されている領域の端がどちらも固定端である場合の定常波の状態を示す。固定端の場合、図8に示すように、端は必ず定常波の節となる。したがって、定常波の両端が固定端4001である場合、一端から他端までの距離をXとすれば、定常波の周波数fは、V/2Xの整数倍で与えられる。
また、図9は、一方が自由端で、他方が固定端である場合の定常波の状態を示す。自由端4002では、端は定常波の腹となるが、厳密には、端のやや外側に腹が形成される。一方の端が自由端であり、他方が固定端であるならば、周波数fはV/4(X+ΔX)の
整数倍で与えられる。ここで、Vは波の速度で、ΔXは自由端4002から外側に形成さ
れる腹までの距離、すなわち開口端補正の距離である。
検体に定常波を付与する空間の中で、検出対象物質としての標的物体を捕捉して固定する捕捉部を、定常波によって標的物体の密度が高くなる位置に形成する。すなわち、定常波の節に対応する位置に、標的物体を捕捉して固定する捕捉部を形成する。また、複数の捕捉部を形成する場合には、各捕捉部を波の進行方向に沿ってλ/2の間隔で配置する。ただし、与える波のエネルギーが大き過ぎると、捕捉部に一度固定された標的物体が引き剥がされることもあるので、定常波のエネルギーは適当に選択する。また、捕捉部に固定された標的物体が簡単に引き剥がされる場合には、一旦、定常波によって標的物体を所定の領域に集め、その後、定常波の付与を停止した状態で固定化を行っても良い。
また、与える定在波は周波数が一定にされても良いが、捕捉部の検出領域内に標的物体を均一に固定させるために、定在波の周波数を時間的に変調し、標的物体が高密度に存在する領域が、捕捉部近傍の領域の表面を往復するようにしても良い。また、定常波を発生する発生手段としては、特に限定されないが、例えばピエゾ素子や、スピーカーに類似する電磁石によって振動板を振動させる構造等が挙げられる。
標的物体を捕捉部に固定化する過程が終了した後に、検体中に存在する何らかの物体(非標的物体)が標的物体の検出に悪影響を及ぼす場合には、非標的物体を除去した後に標的物体の検出を行う。非標的物体を除去する方法としては、洗浄液や気体を流しても良く、また定常波の周波数を少しずらして、非標的物体を排出する方向に波を移動させても良い。あるいは遠心力を与えて非標的物体を除去しても良い。
標的物体は、種々の方法で検出可能であり、例えば、表面プラズモン効果、電荷の変化量等によって、標的物体を直接検出可能である。また、標的物体に標識物体を固定させ、間接的に標的物体を検出することも可能である。標識物体には、蛍光、酵素、電気化学発光、放射性、磁性等の様々なものが存在し、標識物体に応じて検出手段を適宜選択して用いて、標的物体の数量や濃度を検出する。例えば、蛍光標識、酵素標識、電気化学発光標識等は、光学的な測定方法に用いられる。この測定方法は、標識物体が固定された標的物体を捕捉することによって捕捉部に光学的変化が生じ、光の吸収率や透過率や発光光量を計測することによって、標的物体を検出する方法である。また、放射性同位元素を含有する放射性標識は、比放射能を測定することによって、標的物体の定量を行う測定方法に用いられる。
次に、具体的な実施例を挙げてさらに詳細に説明する。
(実施例1)
近年、磁気抵抗効果膜を用いることによって、標識物体として用いた微量の磁性粒子を容易に検出する方法が提案されている(引用文献1:David R. Baselt, et al. Biosensors & Bioelectronics 13, 731 (1998)、引用文献2:D. L. Graham, et al. Biosensors & Bioelectronics 18, 483 (2003))。
引用文献1には、80μm×5μm及び20μm×5μmのサイズの巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magnetic Resistance effect)膜を用いて、直径2.8μmの複数個の磁性粒子1004の検出を行なっている。
GMR膜で用いられている磁性膜は、面内磁化膜であり、図2に示すように、磁性粒子1004に印加される印加磁界1005は、磁性膜に対して膜面垂直方向に印加されている。したがって、磁界の印加によって磁化された磁性粒子1004から生じる浮遊磁界1006が、GMR膜の磁性膜に概略膜面内方向に印加され、磁性膜の磁化はこの磁界方向に揃う。磁気抵抗効果膜の電気抵抗の大きさは、2つの磁性膜の相対的な磁化方向に依存しており、磁化方向が平行であると電気抵抗が比較的小さく、反平行であると比較的大きいという特徴を有する。平行、反平行という磁化状態を実現させるために、磁気抵抗効果膜の2つの磁性膜は、一方の磁性膜であるピンド層1001の磁化方向が固定され、他方の磁性膜であるフリー層1002が、磁性粒子からの浮遊磁界によって磁化反転が可能な保磁力を有している。このような保磁力を有する磁性材料によって、磁気抵抗効果膜の2つの磁性膜を形成する。
また、ピンド層1001は、強磁性膜に反強磁性膜を交換結合させることによって構成することも可能である。ピンド層1001とフリー層1002の間には非磁性金属膜1003が形成される。初期状態として、フリー層1002とピンド層1001の磁化を完全平行状態あるいは完全反平行状態としておく。磁性粒子1004がGMRセンサの上に存在しない場合には、印加磁界1005を印加してもフリー層1002に膜面内方向の磁界が印加されないので磁化反転が生じない。しかしながら、磁性粒子1004がGMRセンサ上部に存在する場合には、上述のようにフリー層1002の磁化状態が変化するので、GMRセンサの電気抵抗値が変化し、その結果、磁性粒子1004が検出される。図3に示すように、抗原1011(標的物体)と一次抗体1012及び二次抗体1013の特異的な結合を用いることで、抗原1011が存在する場合にのみ磁性粒子1004がGMRセンサ上部に固定される。これによって、間接的に抗原1011の有無を検出することが可能である。
また、検出回路は、2つの固定抵抗と磁性粒子1004が固定されないGMRセンサ、及び磁性粒子1004が固定し得るGMRセンサによってブリッジ回路を構成し、このブリッジ回路に誘起される電位差をロックインアンプで検出する構成となっている。引用文献2では2μm×6μmのサイズのGMRセンサを用い、直径2μmの磁性粒子の検出を行っている。引用文献1と同様にGMRセンサは、磁性粒子1004が固定し得るものと固定されないものを並べて形成し、この2つのGMRセンサの出力信号を比較することで磁性粒子1004の検出を行っている。ただし、磁性膜は面内磁化膜であり、かつ磁性粒子1004に印加する印加磁界1005は、磁性膜に対して膜面内長手方向である。
以上のように磁気抵抗効果膜を用いた磁性粒子の検出方法は、磁性粒子1004を所望の方向に磁化し、磁性粒子から発する浮遊磁界によって磁気抵抗効果膜の磁化方向を変化させて検出を行うものであり、取り扱いが簡単で著しく短い時間で検出が可能である。
磁気抵抗効果膜としては、GMR膜の他にTMR(Tunneling Magnetic Resistance)膜や、BMR(Ballistic Magnetic Resistance)膜がある。これらTMR膜、BMR膜は、GMR膜よりも大きな抵抗変化を示すので、センサ素子としてより好ましい。TMR膜(スピントンネル効果膜)は、基本構造がGMR膜と同様に、2つの磁性膜の間に非磁性体が形成された構造を有するが、非磁性体が薄い誘電体膜であり、この誘電体膜を電子がトンネリングする点でGMR膜と異なる。また、BMR膜は、2つの磁性体が局所的に著しく狭い領域で結合した構造を持つ。
上述のいずれの磁気抵抗効果膜もセンサ素子(磁気抵抗効果素子)として使用可能であるが、本実施例においては、磁気抵抗効果素子としてTMR素子1101を用いる。TMR素子1101の作製方法は以下の通りである。
シリコンウエハ表面に、膜厚20nmのCr膜、膜厚20nmのPt膜、膜厚10nmのMnIr膜、膜厚5nmのFeCo膜、膜厚1.6nmのMgO膜をマグネトロンスパッタリングによって順次積層する。さらに、シリコンウエハ表面に、膜厚5nmのFeCo膜、膜厚20nmのNiFe膜、膜厚5nmのPt膜をマグネトロンスパッタリングによって順次積層する。MgO膜は、Mgターゲットを用いてArとO2の混合ガスを用いて成膜が行われる。シリコンウエハ側から順に、Cr/Pt多層膜は下部電極となり、MnIr/FeCo多層膜はTMR膜のピンド層1001(磁化方向が固定されている層)であり、MgO膜はトンネル膜である。また、FeCo/NiFe多層膜はフリー層1002(磁化方向が印加磁界によって変化しやすい層)であり、Pt膜は加工時の磁性膜の変質を防ぐための保護層である。
上述の多層膜の表面に、レジスト膜をスピンコーターによって1μm程度の均一な膜厚で塗布し、ベーキング処理した後に紫外線によって所望の形状にパターニングする。その後、再度、ベーキング処理を行い、現像液内に浸漬した後に純水によって洗浄し、所望のパターン形状のレジスト膜を得る。本実施例では、レジストパターニング形状は2μm×20μmの長方形とする。
続いて、試料を、Arガスを用いたドライエッチングによって、試料表面からMgO膜表面までエッチングを行う。さらに、MgターゲットをArとO2の混合ガスを導入してマグネトロンスパッタし、MgOからなる層間絶縁膜を形成する。その後、試料をレジスト剥離液中に浸漬した状態で超音波洗浄し、レジスト膜及びその上部に形成されるMgO膜を除去する。
微細加工された試料の表面に、所望のレジストパターニングを施し、その後、膜厚20nmのPt膜を成膜し、レジスト膜及びその上部に付着したPt膜を除去してTMR素子1101の上部電極を形成する。さらに、標的物体を捕捉するための捕捉部として、TMR素子1101上部に、パターニングされた膜厚が20nmのAu膜を形成すると共に、その周りの領域を20nmの膜厚のSiN膜で覆い非固定領域とする。検出対象物(磁性粒子1004)と磁気センサとの距離は、感度において重要であり、その距離が短いほど高い検出信号が期待される。したがって、TMR素子1101のフリー層1002上部に形成される多層膜は、各膜がそれぞれの機能を発揮する範囲で薄くされているのが好ましく、各膜厚は本実施例で示した値に限定されるものではない。
図1に、本実施例のセンサの模式的な断面図を示す。本実施例のセンサは、図1に示すように、長さ2cm×幅100μm×深さ30μmの流路1100を備えている。流路1100の底面、すなわち流路形成基板1106上には、TMR素子1101が、流路1100の横方向(流路1100の幅方向)に対して32個、流路1100の縦方向(流路1100の長手方向)に対して256個が配列されている。TMR素子1101の長手方向は、流路1100の縦方向と一致している。流路1100の横方向に配列された32個のTMR素子1101は、図4に示すように、電気的に直列に接続され、さらに選択トランジスタ1110に接続されている。ただし、検出電流はTMR素子1101の膜面垂直方向に流れるように配線されている。また、流路の縦方向に沿って配列されたTMR素子1101は、定常波の節が形成される箇所に配置されている。直列に接続された32個のTMR素子1101は、それぞれセンスアンプ1108と定電流源1109に電気的に接続されている。
図1に示すように、流路1100の一端には、振動板1103を介して、定常波を発生するためのピエゾ素子1102が固定されている。流路1100の一端には、検体を注入するための注入孔が形成されており、他端には、検体を排出するための排出孔が形成される。定常波を印加するときには、これら注入孔及び排出孔は、詮1107が取り付けられてそれぞれ塞がれている。
本実施例では、前立腺特異抗原(PSA)1011を標的物体とし、磁性粒子1004を標識物体とする。
標的物体の検出領域に一次抗体1012を担持するために、捕捉部としてのAu膜の表面は、まず親水化処理が施された後、アミノシランカップリング剤で処理される。さらに、一次抗体1012を固定化させるためのグルタルアルデヒド等架橋剤を用いて、アミノシランカップリング剤由来のアミノ基とペプチド鎖間とを化学結合させ、所望の抗原1011を捕捉する一次抗体1012が固定されている。
次に、PSAを含む検体を流路1100内に注入し、注入孔と排出孔を詮1107で塞いだ後に、定常波を印加する。定常波の周波数は、例えば12.5MHz程度である。ただし、検体の種類によって最適な周波数がずれるため、TMR素子1101付近で標的物体1011の密度が高くなるように周波数を調節する。定常波を印加することによってセンサ素子1101表面におけるPSAの密度を高められ、PSAの固定時間を短縮することができる。
PSAを固定させた後、二次抗体1013が修飾された磁性粒子1004を流路1100内に注入し、インキュベート(保温)する。続いて、磁性粒子1004をPSAに固定させた後、流路1100内をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄し、固定されていない磁性粒子1004を流路1100内から除去する。以上の過程を経ることにより、検体中にPSAが存在する場合にのみ、磁性粒子1004がTMR素子1101の表面に固定される。
続いて、PSAの検出は以下の方法で行われる。図5に示すように、磁性粒子1004に印加磁界1005を印加して、磁性粒子1004の磁化方向を所望の方向に向けることで、浮遊磁界1006を発生させる。この浮遊磁界1006と外部磁界である印加磁界1005とは逆の方向でTMR素子1101に印加されるため、TMR素子1101のフリー層1002の磁化方向は、印加磁界1005と浮遊磁界1006の合成磁界によって決定される。つまり、初期状態においてフリー層1002とピンド層1001の磁化状態を平行としておき、このとき、センスアンプ1108からの出力信号が零となるようにリファレンス電圧を調整しておく。
PSAが検体中に存在する場合には、TMR素子1101の抵抗値が高くなり、リファレンス電圧よりもTMR素子1101にかかる電圧が高くなるので、センスアンプ1108から検出信号が得られる。一方、PSAが検体中に存在しない場合には、TMR素子1101表面に磁性粒子1004が固定されないので、検出信号が生じない。また、検出は選択トランジスタ1110を切り替えて、各ブロックの信号を順次センスアンプ1108へ送るようにする。このようにすることによって、PSAの含有量が僅かなときであっても、より感度良く検出することが可能である。また、検体中のPSAの濃度も検出することが可能である。
以上のように、センス素子としてTMR素子を用いることが可能である。本実施例では、PSAの検出に関するものであるが、本発明で検出可能である標的物体としては、生体物質(タンパク質、核酸、糖鎖)やアレルゲン、バクテリア、ウイルス等の抗体が特異的に認識できるものが対象となる。さらに、本実施例は、生体分子の検出に限定されるものではなく、何らかの方法で検出可能であり、定常波の印加によって集められる物質であれば、他のいかなる物質を検出するために用いられてもよい。また、磁気抵抗効果膜としては、TMR素子以外にも上述のように、GMR素子やBMR素子等が使用可能である。
(実施例2)
上述した実施例1では、センサ素子としてTMR素子を用いた例について述べたが、ホール素子を用いても同様に実施可能である。Pierre-A. Besse, et al.Appl. Phys. Let. 22, 4199 (2002) (引用文献3)には、ホール素子を磁気センサとして用いた磁性粒子検出方法が提案されている。
引用文献3では、DC磁界を印加してホール素子の直上に置かれた直径2.8μmの磁性粒子を磁化し、さらにAC磁界を印加することによって磁性粒子の磁化方向を変化させ、磁性粒子の検出を行っている。ホール素子の膜面内方向に電流を流しながら、Z軸方向に磁界を印加したとき、電子がローレンツ力を受けるので、膜面内で電流と直交する方向に電位差が生じる。その電位差は、磁界強度に比例するので、磁性粒子から生じる浮遊磁界の変化に伴って、ホール効果による電位差が変化する。磁性粒子が無ければ浮遊磁界が生じないので、磁性粒子の有無によってホール素子に印加される磁界の大きさが異なり、電位差の大きさが異なる。つまり、磁性粒子の有無をホール素子によって検出することが可能である。
本実施例では、図6に示すように、実施例1と同様に32個×256個のホール素子をGaSb基板上に配する。ホール素子2101は、300nmのInSbを分子線エピタキシャルによって成膜する。横方向に対して配列された32個のホール素子2101は、電気的に直列に接続されており、ホール素子2101内を検出電流が膜面内方向に流れる。この検出電流が流れる方向に対して膜面内垂直方向に検出信号である起電力を検出するための配線が各ホール素子2101に設けられている。検出電流は、定電流源2109から選択トランジスタ2110を介してホール素子2101に供給される。検出信号はホール素子2101の両端に接続された選択トランジスタ2110を介してセンスアンプ2108入力される。さらに、検出信号はロックインアンプ2111に入力される。ロックインアンプ2111の参照周波数はAC磁界の周波数とする。
実施例1における固定化と同様に行って、標的物体として前立腺特異抗原(PSA)を、標識物体として磁性粒子を固定化する。
信号検出時には、ホール素子2101の膜面内方向に50[Oe]のAC磁界を印加しながら、膜面垂直方向に500[Oe]の大きさの磁界を印加する。ただし、垂直方向の磁界は周期的に極性を変化させる。以上のように磁界を印加しながらホール素子2101の膜面内方向に検出電流を流す。ホール素子2101上に磁性粒2004が存在している場合には、ロックインアンプ2111から得られる信号の大きさが、膜面垂直方向に印加する磁界方向と同期して変化する。また、選択トランジスタ2110を順次切り替えて32個×256個のホール素子2101の信号をすべて検出する。全ホール素子2101の検出信号を積算することによって、PSAの濃度が比較的低い検体も検出可能である。また、検体中のPSAの濃度も検出することが可能である。
以上のように、センス素子としてホール素子を適用することでも可能である。なお、本実施例では、PSAの検出に関するものであるが、本発明で検出可能である標的物体としては、生体物質(タンパク質、核酸、糖鎖)やアレルゲン、バクテリア、ウイルス等の抗体が特異的に認識できるものが対象となる。さらに、本実施例は、生体分子の検出に限定されるものではなく、何らかの方法で検出可能であり、定常波の印加によって集められる物質であれば、他のいかなる物質を検出するために用いられてもよい。
(実施例3)
上述の実施例1、2では、標識粒子を用いた例について述べたが、本実施例は標識粒子を用いずに、標的物体を直接検出する点が異なる。
図7に示すように、素子形成筐体(透明ガラス基板)3105上には、定常波の節に対応する位置に、幅50nm、長さ300nmのAu素子3101が複数配置されている。Au素子3101は、流路3100の縦方向に対して100nmの間隔で100個を配列し、流路3100の横方向に対して50nmの間隔で400個を配列して形成する。この領域は、長さ1cm×幅50μm×深さ30μmの流路3100の中央部分に形成する。また、流路3100は流路形成筐体(透明ガラス基板)3106に形成されている。流路3100の一端側には、振動板3103を介してピエゾ素子3102が取り付けられている。実施例1及び実施例2と同様に、流路3100の両端部には、検体を注入及び排出するための注入孔と排出孔がそれぞれ設けられている。定在波を印加するときには、これら注入孔と排出孔は、詮3107が取り付けられてそれぞれ塞がれている。
実施例1と同様に、前立腺特異抗原(PSA)を標的物体とし、Au素子3101表面に一次抗体を固定させた後、PSAを含む検体を流路3100内へ注入し、940MHz程度の定常波を印加する。ただし、定常波の周波数は、Au素子3101が定常波の節の部分に位置するように微調整される。PSAは、Au素子3101周辺で高濃度となり、比較的短時間にAu素子3101の表面に固定される。Au素子3101表面に固定されたPSAは、局所表面プラズモン(Localized Surface Plasmon Resonance)によって検出可能である。このLSPRでは、光源3108から白色光3104をAu素子3101に照射し、Au素子3101からの透過光を分光器3111により分光した後に、受光素子3112によって受光して、各周波数成分の強度の測定を行う。Au素子3101上に一次抗体のみが固定されている場合と、PSAが固定されている場合とでは、光強度が最も高くなる周波数が異なるので、検体溶液中に存在するPSAの存在を検出することが可能である。ただし、白色光3104は、Au素子3101が形成されている40μm×40μmの領域よりも小さな領域内にのみ照射されることが、感度の点から好ましい。つまり、レンズ3109によって検出領域内に白色光3104を収束させ、その後、レンズ3110を通して白色光3104を分光器3111へ導く。
以上のように、標識物体を使用することなく、例えばLSPRによってPSAを検出することが可能である。本実施例は、PSAの検出に関するものであるが、検出可能な標的物体としては、生体物質(タンパク質、核酸、糖鎖)やアレルゲン、バクテリア、ウイルス等の抗体が特異的に認識できるものが対象となる。さらに、本発明は、生体分子の検出に限らず、何らかの方法で検出でき、定常波を印加することによって集められる物質であれば、どのようなものでも実施可能である。
なお、本発明は、特にバイオセンサとして利用されて好適である。
実施例1のセンサの構成を説明するための模式図である。 引用文献1における検出原理を説明するための概念図である。 抗原−抗体反応を用いた磁性粒子の固定化を説明するための概念図である。 実施例1のTMR素子を用いたセンサの検出回路を示す図である。 実施例1のTMR素子を用いたセンサの検出原理を説明するための概念図である。 実施例2のホール素子を用いたセンサの検出回路を示す図である。 実施例3のセンサの構成を説明するための模式図である。 両端が固定端の位置における定在波の状態を説明するための概念図である。 一端が固定端で他端が自由端の位置における定在波の状態を説明するための概念図である。
符号の説明
1100 流路
1101 TMR素子
1102 ピエゾ素子
1103 振動板

Claims (14)

  1. 定在波を発生する発生手段と、該定在波の節の位置に配置され検出対象物質を捕捉するための捕捉部と、該捕捉部に捕捉した検出対象物質を検出するための検出手段とを有するセンサ。
  2. 前記捕捉部は、前記検出対象物質を捕捉することによって光学的変化が生じる請求項1に記載のセンサ。
  3. 前記捕捉部に捕捉された前記検出対象物質に、標識粒子を特異的に固定することによって、前記検出対象物質を間接的に検出する請求項1に記載のセンサ。
  4. 前記標識粒子は光を発する物質である請求項3に記載のセンサ。
  5. 前記標識粒子は磁界を発する物質である請求項3に記載のセンサ。
  6. 前記捕捉部には前記検出手段が配置され、
    前記検出手段は、前記検出対象物質を検出するためのセンサ素子を有する請求項1、3、5のいずれか1項に記載のセンサ。
  7. 前記検出手段は、前記検出対象物に光を照射する光源と、前記検出対象物からの光を受光する受光素子とを有する請求項1ないし4のいずれか1項に記載のセンサ。
  8. 前記検出手段はホール素子である請求項1、3、5、6のいずれか1項に記載のセンサ。
  9. 前記検出手段は磁気抵抗効果素子である請求項1、3、5、6のいずれか1項に記載のセンサ。
  10. 前記磁気抵抗効果素子はスピントンネル効果膜である請求項9に記載のセンサ。
  11. 前記検出対象物質は生体分子である請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載のセンサ。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載のセンサを用いた検出方法であって、
    検体に定常波を与えながら検出対象物質を所定の領域に集める第1ステップと、捕捉部に検出対象物質を捕捉させる第2ステップと、前記検出対象物質の検出を行う第3ステップとを有する検出方法。
  13. 前記第2ステップでは、定在波の付与を停止した状態で、前記捕捉部に前記検出対象物質を固定する請求項12に記載の検出方法。
  14. 前記第2ステップでは、定在波を時間的に変調させる請求項12に記載の検出方法。
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