JP2009031303A - 検出デバイス及び検出用キット - Google Patents

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Abstract

【課題】 標識粒子として磁性粒子を用い、磁気抵抗効果膜を用いて検出を行なう検出デバイスにおいて、磁気抵抗効果膜の電気抵抗は2つの磁性膜の磁化状態によって変化するが、磁化反転可能な磁性膜の中で磁化反転する領域が磁性膜の一部分である場合には、磁気抵抗効果は磁化反転可能な磁性膜全体が磁化反転するよりも小さくなる。つまり例えば磁性粒子の径が小さく、磁気抵抗効果膜の磁化反転領域が著しく小さい場合には、電気抵抗の変化量が小さく検出が困難となる。
【解決手段】 上記課題に鑑み本発明は、被検体溶液中の磁性粒子を検出するための検出デバイスであって、磁化方向が固定された第1の磁性膜と、前記磁性粒子を検出する際に磁化方向が変化し得る第2の磁性膜を含む磁気抵抗効果膜を有し、前記第2の磁性膜が単磁区構造であることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は被検体溶液中の磁性粒子を検出するための検出デバイスおよび検出方法、検出キットに関するものである。
これまで免疫分析には、放射免疫分析法、酵素抗体法など多くの技術が提案され実施されてきた。しかし、例えば放射免疫分析法(RIA:radio immunoassayもしくはIRMA:immunoradiometric assay)は、放射性核種によって、競合抗原あるいは抗体を標識し、比放射能の測定結果から抗原を定量的に測定する。この方法の利点として、感度が高いことがあげられるが、放射性核種の安全性の問題が有り専用の施設や装置が必要となる。また、抗体の標識に酵素を用いる酵素抗体法は、放射免疫分析法と比較した場合、扱いがより容易であり、かつ、実用的な感度を満たしているが、更なる感度向上と取り扱いの容易さが求められている。
そのような状況にあって、近年、GMR素子を用いることによって標識物質として用いた微量の磁性粒子を容易に検出する方法が提案されている。(非特許文献1,2)非特許文献1には80μm×5μmおよび20μm×5μmのサイズの巨大磁気抵抗効果(GMR:Giant Magneticresistance effect)膜を用い、直径2.8μmの複数個の磁性粒子の検出を行なっている。図4に磁性粒子からGMR膜に浮遊磁界が印加される様子を示す。GMR膜で用いられている磁性膜は面内磁化膜であり、磁性粒子に印加する磁界180は磁性膜に対して膜面垂直方向に印加されている。したがって磁界の印加によって磁化された磁性粒子174から生じる浮遊磁界182が、図4に示されるようにGMR膜300の磁性膜に概略膜面内方向に印加され、磁性膜の磁化はこの磁界方向に揃う。なお、181は磁性粒子の磁化方向を示す。
GMR素子の電気抵抗の大きさは2つの磁性膜の相対的な磁化方向に依存しており、磁化方向が平行であると電気抵抗が比較的小さく、反平行であると比較的大きいという特徴を持つ。平行、反平行という磁化状態を実現させるためにGMR素子の2つの磁性膜は一方の磁性膜の磁化方向は固定され、他方は磁性粒子からの浮遊磁界によって磁化反転可能であるような保磁力を有する磁性材料で構成される。もし磁性粒子がGMR素子の上に存在しない場合は、外部磁界を印加しても磁性膜に膜面内方向の磁界が印加されないので磁化反転が生じない。また、検出回路は2つの固定抵抗と磁性粒子が固定されないGMR素子および磁性粒子が固定し得るGMR素子によってブリッジ回路を構成し、このブリッジ回路に誘起される電位差をロッキングアンプで検出する構成となっている。
非特許文献2では2μm×6μmのサイズのGMR素子を用い、直径2μmの磁性粒子の検出を行なっている。非特許文献1と同様にGMR素子は、磁性粒子が固定し得るものと固定されないものを並べて形成し、この2つのGMR素子の出力信号を比較することで磁性粒子の検出を行なっている。磁性膜は面内磁化膜であり、かつ磁性粒子に印加する磁界は磁性膜に対して膜面内長手方向である。
以上のようにGMR素子を用いた磁性粒子の検出方法は、磁性粒子を所望の方向に磁化し、磁性粒子から発する浮遊磁界によって磁気抵抗効果膜の磁化方向を変化させて検出を行うものであり、取り扱いが簡単で比較的短い時間で検出が可能である。
David R.Baselt,et al.Biosensors&Bioelectronics 13,731(1998), D.L.Graham,et al.Biosensors&Bioelectronics 18,483(2003))
上記のように磁気抵抗効果膜の電気抵抗は2つの磁性膜の磁化状態によって変化するが、磁化反転可能な磁性膜の中で磁化反転する領域が磁性膜の一部分である場合には、磁気抵抗効果は磁化反転可能な磁性膜全体が磁化反転するよりも小さくなる。つまり例えば磁性粒子の径が小さく、磁気抵抗効果膜の磁化反転領域が著しく小さい場合には、電気抵抗の変化量が小さく検出不可能となる。
また、特に、磁性粒子がスーパーパラ磁性(超常磁性)を示す場合においては、磁性粒子への外部磁界の印加を止めてしまうと磁性粒子からの浮遊磁界は生じず、磁気抵抗効果膜の磁性膜に局部的に形成された小さな磁区は容易に消失してしまうため、検出した磁性粒子の情報を保存することが困難となる。
本発明は上記課題に鑑み、被検体溶液中の磁性粒子を磁気抵抗効果膜を用いて検出するための検出デバイスにおいて、浮遊磁界の小さな磁性粒子1個でも大きな信号で検出可能であり、かつ検出した磁性粒子の情報を安定して保持することが可能なデバイスおよびその方法を提案するものである。
本発明は、被検体溶液中の磁性粒子を検出するための検出デバイスであって、磁化方向が固定された第1の磁性膜と、前記磁性粒子を検出する際に磁化方向が変化し得る第2の磁性膜を含む磁気抵抗効果膜を有し、前記第2の磁性膜が単磁区構造である検出デバイスを特徴とするものである。
本発明の検出デバイスによれば、体積が小さい磁性粒子あるいは磁化の小さな磁性粒子、つまりは浮遊磁界の小さな磁性粒子1個であっても大きな検出信号を得ることが可能で、さらに検出結果を安定して保存することが可能である。
標識物質を磁性粒子とした被検体溶液中の抗原の検出を例として、以下に本発明を詳細に説明する。
検出デバイスは支持体上に磁気抵抗効果素子としてGMR膜が形成された構成を有しており、GMR膜の表面には固定化層が形成され一次抗体を固定しておく。また、GMR膜の磁性膜は垂直磁化膜とし、初期状態では2つの磁性膜の磁化方向はどちらも上向きに向いているとする。GMR膜の電気抵抗を検出するためにGMR膜の左右両端あるいは上下に電極を形成し、この電極に定電流源および電圧計を接続しておく。磁性粒子の検出の際に大きな信号を得るためには、磁気抵抗効果素子の膜面に対して垂直方向に電流が流れるように、電極を設けるのが好ましい。
ここでは磁気抵抗効果膜としてGMR膜を例に説明を行うが、この他にTMR(Tunneling Mageticresistance)膜や、BMR(Ballistic Magneticresistance)を用いても良い。TMR,BMR膜を用いた方が、磁気抵抗変化率が大きいため好ましい。また、磁性膜は垂直磁化膜であっても面内磁化膜であってもどちらでも使用可能である。垂直磁化膜に用いられる材料としては一般に知られている材料が使用可能であり、例えば希土類金属と遷移金属の合金や人工格子膜、遷移金属と貴金属の合金や人工格子膜などが挙げられる。しかしフリー層(磁性粒子からの浮遊磁界によって磁化反転する磁性膜)には小さな保磁力が求められ、希土類金属の中からガドリニウムが好適に用いられる。また、ピン層(磁化方向が固定されている磁性膜)には大きな保磁力が求められ、希土類金属の中からテルビニウムやジスプロシウムが好適に用いられる。面内磁化膜を用いる場合には、フリー層として保磁力の比較的小さなニッケルやニッケルと他の遷移金属の合金膜が好適に用いられる。また、ピン層には鉄、コバルトあるいは鉄とコバルトの合金膜が好適に用いられ、大きな磁界が印加されても磁化反転しないようにするために、ピン層に反強磁性膜を交換結合させるのがよく、さらに、GMR膜やTMR膜においては大きな磁気抵抗変化を得るために非磁性膜と磁性膜の界面にスピン分極率の大きな磁性材料を形成するのが好ましい。
上記検出デバイスに被検体溶液を注入し、GMR膜上に固定された抗体に被検体溶液中の抗原を固定させる。次いで標識物質としての磁性粒子を固定させた二次抗体を検出デバイスに注入し抗原と結合させGMR膜上に固定させる。その後抗原抗体反応しなかった磁性粒子をGMR膜上から除去する。このようなプロセスによって被検体溶液中に目的とする抗原が存在している場合は磁性粒子がGMR膜上に固定され、抗原が存在しない場合には磁性粒子はすべて除去される。ここでは、一次抗体と検体とを先に反応させた後に二次抗体を反応させた例を示したが、二次抗体と検体を反応させた上で、一次抗体と反応させても構わない。本発明に用いられる抗体は従来用いられているものが使用可能であり、また、磁性粒子に固定させる二次抗体も同様に種々のものが使用可能である。検体としては、生体物質(タンパク質、核酸、糖鎖)やアレルゲン、バクテリア、ウイルス等の抗体が特異的に認識できるものが対象となる。
つづいて、膜面垂直下方向の外部磁界を印加し、磁性粒子を磁化する。ただし、外部磁界の大きさはGMR膜の磁化反転を伴わない大きさとする。今、磁性粒子が大きさMで磁化されているとき、この磁性粒子から生じる浮遊磁界の下方向成分HZは一般に知られているように次式で表される。(図1参照)
Figure 2009031303
ここでμは透磁率、rは磁性粒子の中心からの距離、θは磁性膜の膜面垂直方向からの傾きである。図3に2cos2θ−sin2θのθに対する変化の様子を示す。この図から分かるように、θの大きさが−55deg〜55degの範囲辺りでは浮遊磁界は下方向(2cos2θ−sin2θの値が正)を向いているのに対して、−55deg〜−90degおよび55deg〜90degの範囲辺りでは浮遊磁界は上方向を向いている。つまり磁性粒子の存在によって磁化反転可能な領域は−55deg〜55degの範囲内に限られる。もし、磁性粒子の径に対して十分に大きな磁気抵抗効果膜上に1個の磁性粒子が存在しており、その磁性粒子からの浮遊磁界が磁気抵抗効果膜に印加されているとしても、磁化反転する領域は磁性膜の全面積に対して小さく、したがって磁気抵抗効果膜の抵抗変化量は小さくなってしまう。また、磁化反転した領域が小さい場合には磁壁エネルギーを小さくしようとして磁性膜中に形成された磁区は容易に消失してしまうため、磁性粒子つまりは抗原の検出結果を保存することができない。
そこでフリー層の大きさを磁性粒子からの浮遊磁界が正の方向に印加される領域内に収まる大きさ、つまりはフリー層表面と磁性粒子の中心との距離をdとしたとき半径√2dの円に収まる大きさとすることで、フリー層の面積に対する磁化反転する面積の割合を大きくし、1個の磁性粒子であっても十分に大きな信号を得ることが可能である。また、フリー層の面積に対する磁化反転する面積の割合が大きいため、形成された磁区はそのまま保存されるかあるいはフリー層全体が磁化反転するように拡大し、得られた抗原の検出結果を安定に保存することが可能である。
上記説明では磁気抵抗効果膜の磁性膜に垂直磁化膜を用いたが、面内磁化膜を用いた場合について説明する。
図2に示すように磁性粒子は右向きに磁化されているとし、磁性粒子の下方に面内磁化膜が位置している。フリー層の磁化は初期状態では磁性粒子の磁化方向と同じ右向きにしておく。このとき磁性粒子の中心点から距離rにある点での浮遊磁界の膜面内方向成分HXは式1と同様に次式で表される。
Figure 2009031303
したがって磁気抵抗効果膜に対して磁性粒子からの浮遊磁界がフリー層の磁化を反転する向きつまり左向きに向く領域はθが55deg〜125degの範囲付近である。つまり、磁性粒子の中心からフリー層の表面までの距離をdとすると、フリー層の大きさを半径d/√2の円内に収まるようにすればフリー層の面積に対する磁化反転する面積の割合を大きくし、1個の磁性粒子であっても十分に大きな信号を得ることが可能である。また、フリー層の面積に対する磁化反転する面積の割合が大きいため、形成された磁区はそのまま保存されるかあるいはフリー層全体が磁化反転するように拡大し、得られた抗原の検出結果を安定に保存することが可能である。
上記のようにフリー層の大きさを限定することによって、フリー層の面積に対する磁化反転領域の面積の比を大きくし、検出信号を大きくする、あるいは検出結果を保存することが可能であるが、さらにフリー層を単磁区構造の磁性体で構成することによっても大きな検出信号を得ることが可能である。これはつまり磁性粒子から生じる浮遊磁界によってフリー層の一部分が磁化反転すると、単磁区構造を持つ磁性体はその内部に磁壁を形成しないように、磁化反転するために必要な磁界が印加されない領域の磁化も磁化反転し、結局はフリー層の全領域が磁化反転するためである。
図5は本発明を説明するための検出デバイスの断面を模式的に示した図である。支持体111上に第1の垂直磁化膜131/第1の高スピン分極率層13/非磁性膜150/第2の高スピン分極率層142/第2の垂直磁化膜141が順次成膜される磁気抵抗効果膜100を形成する。第1の垂直磁化膜131および第1の高スピン分極率層132からなる2層交換結合膜は膜面垂直方向が磁化容易軸であるピン層130であり磁化方向が固定される。そのため第1の垂直磁化膜131はテルビウム、鉄およびコバルトからなる厚さ30nmの合金膜によって形成し、そのテルビウムの組成は補償組成に近い21at%とする。また、第1の高スピン分極率層132および第2の高スピン分極率層142は鉄とコバルトからなる平均膜厚が約0.5nm程度の合金膜であり、Co組成を40at%とする。また、第2の垂直磁化膜141および第2の高スピン分極率層142の2層交換結合膜はフリー層140であり、比較的小さな磁界で磁化反転できるように保磁力を小さくする必要がある。そこで第2の垂直磁化膜141をガドリニウム、鉄およびコバルトからなる合金で形成する。ガドリニウムの組成は垂直磁化膜となりかつ磁性粒子の浮遊磁界によって磁化反転可能な保磁力を持つものであればどのような組成でもよいが、本実施例においては20at%とする。高スピン分極率層132および142は面内磁化膜であるが、その膜厚を薄くすることによって垂直磁化膜131または141との交換力によりピン層130およびフリー層140は膜面垂直方向が磁化容易軸となる。平均膜厚が薄いために高スピン分極率層は膜形状ではなく島状あるいはネットワーク状になる場合もあるが、そのような場合においても磁気抵抗効果は増加する。フリー層140とピン層130の間の非磁性膜は膜厚3nmの銅とする。また、第2の垂直磁化膜141の表面を10nmのシリコンからなる保護膜151で覆う。GMR膜100は、磁性粒子の中心から磁気抵抗効果膜の表面までの距離をdとすると、半径√2dの円内に収まる大きさとし、その両端にPtからなる電極121および122を形成する。さらにGMR膜100の磁化方向を上方向に揃えるために、膜面上方向で30kOeの大きさの外部磁界をGMR膜100に印加する磁界印加手段(不図示)を設ける。ただし、ピン層130およびフリー層140の保磁力の大きさは30kOeよりも小さい。
保護膜151の表面に一次抗体171を担持するために、保護膜151の表面は、まず親水化処理が施された後、アミノシランカップリング剤処理される。さらに一次抗体171を固定化させるためのグルタルアルデヒド等架橋剤を用いて、前記アミノシランカップリング剤由来のアミノ基とペプチド鎖間を化学結合させ所望の抗原を補足する一次抗体171が固定されている。
この検出デバイスを用い、以下のプロトコールに従って前立腺癌のマーカーとして知られている前立腺特異抗原(PSA)の検出を試みることができる。検出デバイスには、PSAを認識する一次抗体171が固定化されている。
(1)抗原(被検体)173であるPSAを含むリン酸緩衝生理食塩水(被検体溶液)に上記検出デバイスを浸し、5分間インキュベートする。
(2)未反応のPSAをリン酸緩衝生理食塩水で洗浄する。
(3)磁性粒子174により標識された抗PSA抗体(二次抗体)を含むリン酸緩衝生理食塩水に工程(1)および(2)が終了した上記検出デバイスを浸し、5分間インキュベートする。
(4)未反応の該標識抗体をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄する。
ただし、磁性粒子174の平均直径は約400nmでスーパーパラ磁性を示す。磁性粒子は溶液中で凝集しないことが好ましく、このために磁性粒子はスーパーパラであるほうが好ましい。また、磁気抵抗効果素子上で反応させる際にもスーパーパラである方が反応効率が上がると考えられるため好ましい。
また、フリー層140表面から磁性粒子174までの平均距離は約35nmで、GMR膜は半径約300nmの円と同等(円周上)、もしくはその中に含まれるものとする。
まず、無磁場中でGMR膜100に定電流を流し、このときのGMR膜100の電圧を測定しておく。次いでGMR膜100の表面に抗原抗体抗体反応を介して固定された磁性粒子174に下方向で15Oeの大きさの外部磁界180を印加し、磁性粒子174の磁化を下方向に向ける。磁性粒子174からは浮遊磁界が発生し、フリー層140には外部磁界180と浮遊磁界の合成磁界が印加され磁化反転が生じる。この状態で再びGMR膜100に定電流を流し電圧の変化量を測定し、被検体溶液中の抗原173を検出することができる。
図6は本実施例を説明するための検出デバイスの断面を模式的に示した図である。支持体111上に下電極123として10nmの厚さのプラチナ膜を成膜し、その上に鉄およびコバルトからなる膜厚10nmのピン層230と1.6nmの膜厚のアルミ膜を形成し、アルミ膜の表面を酸素雰囲気に晒すことによりアルミ膜をアルミナトンネル障壁膜150とする。次いでアルミナトンネル障壁膜150表面にパーマロイ膜を20nmの膜厚で成膜してフリー層240を形成し、TMR膜200を形成する。さらに膜厚10nmのプラチナ上電極124を成膜する。上電極124と下電極123の電気的ショートを防ぐためにTMR膜の周囲にアルミナ層間絶縁膜152を形成しておく。プラチナ上電極124上のフリー層240上部部分に10nmのシリコン膜を形成する。TMR膜200の磁化方向を右方向に揃えるために、右方向に5kOeの大きさの外部磁界をTMR膜200に印加するための磁界印加手段(不図示)を設ける。
その後、実施例1と同様に抗原抗体反応を介して磁性粒子174をTMR膜200表面に固定する。ただし、磁性粒子174の平均直径は約400nmでスーパーパラ磁性を示す。また、フリー層240表面から磁性粒子174までの距離は55nmで、TMR膜は短辺の長さが90nmで長辺の長さが180nmの長方形である。また、フリー層240およびピン層230は単磁区構造を示し、磁性膜の長さ方向が磁化容易軸となる。
まず、零磁場中でTMR膜200に定電流を膜面垂直方向に流し、このときのTMR膜200の電圧を測定しておく。次いでTMR膜200表面に抗原抗体反応を介して固定された磁性粒子174に右方向の外部磁界180を印加し、磁性粒子174の磁化を右方向に向ける。磁性粒子174からは浮遊磁界が発生し、フリー層240には外部磁界180(磁性粒子174の磁化方向)と反対方向の浮遊磁界が印加され磁化反転が生じる。この状態で再びTMR膜200に定電流を流し電圧の変化量を測定し、被検体溶液中に抗原173を検出することができる。
なお、本発明の実施例では1つの磁気抵抗効果膜を用いて、抗原を検出する方法について述べているが、例えば引用文献1で開示されているように、2つの磁気抵抗効果膜と2つの固定抵抗によってブリッジ回路を構成し、一方の磁気抵抗効果膜には磁性粒子が固定され得るようにしておき、他方には磁性粒子が固定されないようにしておくことで、磁気抵抗効果膜の抵抗変化を検出することによって、抗原等の検出を行なっても良い。
また、支持体上に多くの磁気抵抗効果膜を形成しておき、これらの表面に異なった抗体を固定しておくことによって、一度に複数種の抗原等の標的物質を定量的に検出することが可能である。
本発明の検出方法および検出デバイスは特に、生体物質の検出方法に用いられ、小さな磁性粒子あるいは磁化の小さな磁性粒子1個であっても高い検出信号を得られるとともに、検出データを安定して保存することが可能な検出デバイスとして用いられる。
本発明の検出デバイスであって、磁性粒子の磁化方向を磁気抵抗効果膜の膜面垂直方向に磁化した場合に、この磁性粒子から生じる浮遊磁界の膜面垂直方向成分の極性を説明する概念図である。 本発明の検出デバイスであって、磁性粒子の磁化方向を磁気抵抗効果膜の膜面内方向に磁化した場合に、この磁性粒子から生じる浮遊磁界の膜面内方向成分の極性を説明する概念図である。 磁性粒子から生じる浮遊磁界の膜面垂直方向成分あるいは膜面内方向成分の極性を説明するグラフである。 引用文献1に記載の磁性粒子検出デバイスにおいて、磁性粒子から磁気抵抗効果膜に印加される浮遊磁界の方向を説明する概念図である。 本発明の実施例1の検出デバイスの概念図である。 本発明の実施例2の検出デバイスの概念図である。
符号の説明
100 本発明の検出デバイスを構成し膜面垂直方向に磁化容易軸を有する磁気抵抗効果膜
111 支持体
121 左電極
122 右電極
123 下電極
124 上電極
130 ピン層
131 第1の垂直磁化膜
132 第1の高スピン分極率層
140 フリー層
141 第2の垂直磁化膜
142 第2の高スピン分極率層
150 非磁性膜
151 保護層
152 層間絶縁膜
153 抗体固定化層
171 一次抗体
172 二次抗体
173 抗原(PSA)
174 磁性粒子
180 外部印加磁界
181 磁性粒子の磁化方向
182 磁性粒子から生じる浮遊磁界
190 検出回路
191 定電流源
192 電圧計
200 本発明の検出デバイスを構成し膜面内方向に磁化容易軸を有する磁気抵抗効果膜
230 ピン層
240 フリー層
300 磁気抵抗効果膜

Claims (5)

  1. 被検体溶液中の磁性粒子を検出するための検出デバイスであって、磁化方向が固定された第1の磁性膜と、前記磁性粒子を検出する際に磁化方向が変化し得る第2の磁性膜を含む磁気抵抗効果膜を有し、前記第2の磁性膜が単磁区構造であることを特徴とする検出デバイス。
  2. 前記磁気抵抗効果膜近傍に磁性粒子を固定するための固定化層が形成されている、請求項1に記載の検出デバイス。
  3. 前記磁気抵抗効果膜に電流を流す手段と、前記磁気抵抗効果膜の電圧を読み出す手段と、前記磁気抵抗効果膜に磁界を印加する手段を含む請求項1または2のいずれかに記載の検出デバイス。
  4. 前記磁気抵抗効果膜はトンネル磁気抵抗効果膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の検出デバイス。
  5. 検体中の標的物質を検出するためのキットであって、磁化方向が固定された第1の磁性膜と、前記磁性粒子を検出する際に磁化方向が変化し得る第2の磁性膜を含む磁気抵抗効果膜を含む検出素子と、表面に標的物質を捕捉する捕捉体を固定した磁性粒子を含む検出用試薬と、を少なくとも含み、前記第2の磁性膜が単磁区構造であることを特徴とする検出用キット。
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