JP2009002205A - エンジン用ピストンの支持構造およびその製造方法 - Google Patents

エンジン用ピストンの支持構造およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型、軽量化に有利なエンジン用ピストンの支持構造を提供する。
【解決手段】ピストン頂部1を含み、シール溝3が形成されたクラウン部2と、ピストン頂部1より下方に形成され、軸方向に離れた一対のピン孔9が形成された一対のピンボス部8とを備えたピストン10と、ピン孔9に挿通される略円筒形のピストンピン20と、クランク軸とピストン10とを連接し、その小端部41においてピストンピン20を介してピストン10を支持するコネクティングロッド40とを備え、小端部41が両ピンボス部8の間に位置した状態で、小端部41のコネクティングロッド孔42にピストンピン20が挿通されるエンジン用ピストンの支持構造であって、ピストンピン20は、その軸方向視で、その一部がクラウン部2とオーバーラップするように配置されており、且つ軸方向に少なくとも2以上の分割ピン21,25に分割されているように構成する。
【選択図】図3

Description

本発明はエンジンに用いられるピストンの支持構造に関し、特にピストンとコネクティングロッドの小端部とを接続するピストンピンの位置と構造に関する。
従来、クランク軸とピストンとをコネクティングロッド(以下コンロッドとも言う)で連接したエンジン用ピストンの支持構造が知られている。
図7は、従来の一般的なエンジン用ピストンの支持構造を示す正面図である。概略構造としては、ピストン110とコンロッド40の小端部41がピストンピン120で接続されている。
ピストン110は、上部にクラウン部102が形成され、下部にスカート部105が形成されている(説明の都合上、ピストン頂部側を上、コンロッド側を下とする)。略円筒状のクラウン部102は、その天面に頂部101が形成されており、側面の外周部にシール溝103が形成されている。シール溝103は図略のピストンリングやオイルリングを嵌入する溝であって、通常は3本設けられている。
スカート部105は、クラウン部102の、径方向に対向する一対の部分が下方に延設されたような形状となっている。両スカート部105を繋ぐ一対のサイド壁部107が形成されている。各サイド壁部107は、両スカート部105の対向する方向に交差(直交)する方向(紙面に垂直な方向)に離間している。各サイド壁部107の中央部には、周囲より厚肉とされた一対のピンボス部8が形成されており、各ピンボス部8にはそれぞれ同径、同軸のピン孔109が形成されている。
両ピンボス部108は、コンロッド40の小端部41の厚みよりもやや広い間隔で設けられており、その間隙に小端部41が挿嵌される。小端部41には、ピン孔109と略同径の孔(コンロッド孔)が形成されている。そして、円筒状のピストンピン120が、両ピン孔109とその間のコンロッド孔に同軸で挿通されることにより、ピストン110とコンロッド40との連結がなされている。
ここで、クラウン部102の高さをクラウン部高さHc、ピストンピン120の中心から頂部101までの高さをピストン支持高さHpと呼ぶものとし、ピストンピン120の半径をピン半径Rpと呼ぶものとする。これらの値には、次の(式1)の関係がある。
(ピストン支持高さHp)>(クラウン部高さHc)+(ピン半径Rp)・・(式1)
(式1)の関係は、ピストンピン120をピン孔109に通す工程において、ピストンピン120とクラウン部102とが干渉することを回避するために必要な制約である。
ところで近年、エンジンの小型、軽量化に対する要求が高くなっている。そこでピストンやその支持構造の小型、軽量化が研究されている。しかし、必要なシール性能を確保するためには一定以上のクラウン部高さHcは必要である。また上記(式1)の制約によってピストン支持高さHpを短縮することも困難である。そしてピストンの作動バランスを考慮するとピストン支持高さHpに応じた長さのスカート部105も必要である。結局、ピストン110の小型、軽量化は、構造的には既にかなり困難なレベルとなっている。
これに対して特許文献1には、ピストンピンを上下に(径方向に)2分割した構造、すなわち半円柱状の2本のピンを組合せて1本の円柱状ピストンピンにした構造が示されている。この構造によれば、ピストンピンは、その軸方向視で、その上半分を超えない範囲でクラウン部とオーバーラップするように配置される。すなわち次の(式2)の関係がある。
(クラウン部高さHc)+(ピン半径Rp)≧(ピストン支持高さHp)>(クラウン部高さHc) ・・・(式2)
(式2)を満たす構造によれば、(式1)の制約を受ける従来の一般的な構造に比べ、ピストン支持高さHpを最大でピン半径Rp分短縮することができる。従ってより小型、軽量化を推進することができる。
実開昭61−172254号公報
しかしながら、特許文献1に示されるようにピストンピンを径方向に分割する構造では、大きなラジアル荷重を受ける径方向にピストンピンを分割することになり、強度面で不利が生じている。特許文献1ではピストンピンが中実ピンとされている。上記強度面の不利を補うには、少なくともこのように中実ピンであることが求められると考えられる。しかし通常のピストンピンが円筒状であることを考えれば、ピストンピン自体の重量が増大するので、その分軽量化効果が目減りするという問題点がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、より小型、軽量化に有利なエンジン用ピストンの支持構造を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、ピストン頂部を含み、略円筒状の外周部にシール溝が形成されたクラウン部と、上記ピストン頂部より下方に形成され、所定の間隔で軸方向に離れた一対のピン孔が形成された一対のピンボス部とを備えたピストンと、上記ピン孔に挿通される略円筒形のピストンピンと、クランク軸と上記ピストンとを連接し、そのピストン側端である小端部において上記ピストンピンを介して上記ピストンを支持するコネクティングロッドとを備え、上記小端部が上記両ピンボス部の間に位置した状態で、該小端部に形成されたコネクティングロッド孔に上記ピストンピンが挿通されるエンジン用ピストンの支持構造であって、上記ピストンピンは、その軸方向視で、少なくともその一部が上記クラウン部とオーバーラップするように配置されており、且つ軸方向に少なくとも2以上の分割ピンに分割されていることを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1記載のエンジン用ピストンの支持構造において、上記各分割ピンは、軸方向長さが何れも上記両ピンボス部の間隔よりも短くなるように形成されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1または2記載のエンジン用ピストンの支持構造において、上記各分割ピンは、ピン結合手段によって互いに結合されていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3記載のエンジン用ピストンの支持構造において、上記ピン結合手段は、上記ピストンピンの内周側で、互いに隣接する上記分割ピンの双方に跨って螺合する雄ネジ部を有するピン結合ボルトであることを特徴とする。
請求項5の発明は、請求項4記載のエンジン用ピストンの支持構造において、上記分割ピンのうち少なくとも1つには、上記ピン結合ボルトの雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が、隣接する分割ピンとの合わせ面から軸方向途中まで形成されており、その終端部が上記ピン結合ボルトの進行を止める係止部となっていることを特徴とする。
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れか1項に記載のエンジン用ピストンの支持構造において、上記ピストンは、上記ピン孔の軸線と交差する方向に、上記クラウン部が部分的に下方に延設された1対のスカート部が形成されるとともに、上記各スカート部と上記各ピンボス部とを繋ぐ一対のサイド壁部が形成され、上記各サイド壁部の外面側かつ上記クラウン部の下部に、上記ピストン頂部側に窪む一対の凹欠部が形成されていることを特徴とする。
請求項7の発明は、ピストン頂部を含み、略円筒状の外周部にシール溝が形成されたクラウン部と、上記ピストン頂部より下方に形成され、所定の間隔で軸方向に離れた一対のピン孔が形成された一対のピンボス部とを備えたピストンと、上記ピン孔に挿通される略円筒形のピストンピンと、クランク軸と上記ピストンとを連接し、そのピストン側端である小端部において上記ピストンピンを介して上記ピストンを支持するコネクティングロッドとを備えたエンジン用ピストン支持構造の製造方法であって、予め、上記ピストンピンを軸方向に少なくとも2以上の分割ピンに分割し、または同分割状態の分割ピンを製造し、その各分割ピンが、軸方向長さが何れも上記両ピンボス部の間隔よりも短くなるようにしておく分割ピン製造工程と、上記分割ピンのうちの1つである第1ピンを、上記両ピンボス部の間隙に挿入する第1セッティング工程と、上記第1ピンをピストンの内側から外側に向けて一方の上記ピン孔に挿入する第1挿入工程と、挿入した上記第1ピンを、上記コネクティングロッドの組付けに支障のない退避位置にまで軸方向外側に退避させる第1退避工程と、上記分割ピンのうちの他の1つである第2ピンを、上記両ピンボス部の間隙に挿入する第2セッティング工程と、上記第2ピンをピストンの内側から外側に向けて他方の上記ピン孔に挿入する第2挿入工程と、挿入した上記第2ピンを、上記コネクティングロッドの組付けに支障のない退避位置にまで軸方向外側に退避させる第2退避工程と、上記コネクティングロッドの上記小端部を上記両ピンボス部の間に挿入するコネクティングロッドセッティング工程と、軸方向両外側から内側に向けて、上記各分割ピンを押圧し、上記ピストンピンを一体化させるとともに、そのピストンピンが上記コネクティングロッドに形成されたコネクティングロッド孔に挿通された状態となすピン一体化挿通工程とを含むことを特徴とする。
請求項1の発明によれば、以下説明するように、ピストンの支持構造をより小型、軽量化することができる。
本発明の構成によれば、ピストンピンが、その軸方向視で、少なくともその一部がクラウン部とオーバーラップするように配置されているので、上記(式1)の制約によってこのようなオーバーラップ配置を許容しない従来の一般的な構造に比べ、ピストン支持高さHpを短縮することができる。
従って、ピストンないしピストン支持構造の小型、軽量化、ひいてはエンジンの小型、軽量化を促進することができる。またピストンピン位置を高くする(頂部に近づける)ことによりスカート部も短くすることができ、ピストンの挙動の安定化が図られてスラップ音の低減も期待できる。
製造上の問題は、ピストンピンを軸方向に分割することによって解決される。分割ピンはピストンピン全体に比べて軸長が短くなっているので、個々の分割ピンをピンボス部周辺の比較的狭い隙間を利用してピン孔に挿通することができる。全ての分割ピンをピン孔に挿通した後に、それらを一体化させてピストンピンを完成されれば良い。
各分割ピンは略円筒状であって、大きなラジアル荷重を受ける径方向には継ぎ目ない閉断面が確保されている。従って、径方向に分割された特許文献1の構造に対し、強度面で有利となっている。
なおピストンピンは3以上に分割しても良いが、徒に分割数を増やしても強度面、製造面で不利が拡大する。従って分割数は製造上可能な範囲で少ない方が好ましく、2分割が最適である。
請求項2の発明によれば、以下説明するように、確実かつ円滑にピストンピンを組付けることができる。本発明の構成によれば、各分割ピンの軸方向長さが何れも両ピンボス部の間隔よりも短くなるように形成されていることを利用して、次のような製造方法を採ることができる。それは、ピストンピンを従来のようにピストンの外周側から挿通するのではなく、ピストンの内側から組付けるというものである。
すなわち、コンロッドの組付け前に、両ピンボス部の間隙(コンロッドの小端部が入るスペース)から予め各分割ピンを各ピン孔に分割状態で挿通しておき、コンロッドの組付け時に、全分割ピンを一体化させつつピストンピンをコンロッドに形成されたコンロッド孔に挿通させるという方法である。
このように、ピストンピンをピストンの内側から組付ける場合、上記(式1)は勿論、(式2)の制約さえ受けない。従って、特許文献1に示される構造よりも、さらにピストン支持高さHpを低くできる可能性がある。例えば、他の性能上、製造上の問題をクリヤすることを条件として、次の(式3)を満たす構造とすることも可能である。
(ピストン支持高さHp)≦(クラウン部高さHc) ・・・(式3)
但し本発明の構造は、上記製造方法によるものに限定する趣旨ではない。上記製造方法は、本発明の構造の製造方法の一例を示したものであって、上記以外の方法で当該構造を製造しても良い。
請求項3の発明によれば、各分割ピンを互いに結合することにより、ピストンピンの剛性を高めることができる。
請求項4の発明によれば、簡単な構造で確実に分割ピンの結合を図ることができる。また少なくとも分割ピンの結合部においてはピストンピンがピン結合ボルトによって中実となるので、効果的な剛性補強が図られる。
なおこの場合、ピン結合ボルトの分は重量増となる。しかしその長さを結合部分に限定する等の対処により、ピストンピン全体を中実にする特許文献1の分割ピストンピン構造よりは、その重量増分を抑制することができる。或いは部分的に中実化することによって剛性が向上した分、例えば円筒部の薄肉化を図る等して軽量化し、その重量増分の幾らかを相殺することも可能である。
請求項5の発明によれば、係止部でピン結合ボルトを停止させることにより、ボルトの締め付けが可能となり、分割ピン同士の軸方向結合力を高めることができる。
請求項6の発明によれば、凹欠部による肉抜き効果でピストンの軽量化を図ることができる。また凹欠部を設けることによって生じた空間を、製造時に効果的に利用することができる。例えばその空間を、分割ピンの上記退避位置として利用することができる。或いは、製造時に必要な工具の挿入空間として利用することができる。
請求項7の発明によれば、ピストン頂部を含み、略円筒状の外周部にシール溝が形成されたクラウン部と、上記ピストン頂部より下方に形成され、所定の間隔で軸方向に離れた一対のピン孔が形成された一対のピンボス部とを備えたピストンと、上記ピン孔に挿通される略円筒形のピストンピンと、クランク軸と上記ピストンとを連接し、そのピストン側端である小端部において上記ピストンピンを介して上記ピストンを支持するコネクティングロッドとを備えたエンジン用ピストン支持構造を、確実かつ円滑に製造することができる。
なおこの製造方法は、ピストンピンが3つ以上に分割されている場合にも適用することができる。その場合には第iピン(i=3,4,・・・)に対して、第iセッティング工程、第i挿入工程及び第i退避工程を適宜追加すれば良い。
またこの製造方法は、ピストンピンが、その軸方向視で、少なくともその一部がクラウン部とオーバーラップするように配置されているもの、すなわちピストンピンを円筒状態のままピストンの外側からピン孔に挿通することが困難な構造に好適であるが、必ずしもそのような構造への適用に限定する趣旨ではなく、上記オーバーラップのない構造にも適用可能である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るエンジン用ピストンの支持構造を示す正面図である。図2は、図1の分解斜視図である。図3は、図1のIII−III線断面図である。
このピストンピン支持構造の概略構造としては、図略のクランク軸とピストン10とを連接するコネクティングロッド(以下コンロッド40という)が設けられ、そのピストン側端である小端部41(図2参照)においてピストンピン20を介してピストン10が支持されている。
ピストン10は、上部にクラウン部2が形成され、下部にスカート部5が形成されている。略円筒状のクラウン部2は、その天面に頂部1が形成されており、側面の外周部にシール溝3が形成されている。シール溝3は図略のピストンリングやオイルリングを嵌入する溝であって、通常は3本設けられている。
スカート部5は、クラウン部2の、径方向に対向する一対の部分が下方に延設されたような形状となっている。両スカート部5を繋ぐ一対のサイド壁部7が形成されている。両サイド壁部7は、両スカート部5の対向する方向に交差(直交)する方向に離間している。各サイド壁部7の中央部には、周囲より厚肉とされた一対のピンボス部8が形成されており、各ピンボス部8にはそれぞれ同径、同軸のピン孔9が形成されている(図3参照)。
両ピンボス部8は、コンロッド40の小端部41の厚みよりもやや広い間隔で設けられており、その間隙8a(図3参照)に小端部41が挿嵌される。小端部41には、ピン孔9と略同径のコンロッド孔42が形成されている。そして、円筒状のピストンピン20が、両ピン孔9とその間のコンロッド孔42に同軸で挿通されることにより、ピストン10とコンロッド40との連結がなされている。
図1に示すように、ピストンピン20は、その上縁が上記クラウン部の下縁よりも高くなる位置に配設されている。つまりピストンピン20の軸方向視で、ピストンピン20の少なくとも一部(上部)がクラウン部2とオーバーラップするように配置されている(以下このような配置をオーバーラップ配置と称する)。
ここで、クラウン部2の高さをクラウン部高さHc、ピストンピン20の中心から頂部1までの高さをピストン支持高さHpとし、ピストンピン20の半径をピン半径Rpとすると、一般的には、これらの値には、次の(式1)〜(式3)の何れかの関係がある。
(ピストン支持高さHp)>(クラウン部高さHc)+(ピン半径Rp)・・(式1)
(クラウン部高さHc)+(ピン半径Rp)≧(ピストン支持高さHp)>(クラウン部高さHc) ・・・(式2)
(ピストン支持高さHp)≦(クラウン部高さHc) ・・・(式3)
(式1)は、オーバーラップ配置ではない関係であって、従来の一般的な構造における制約条件でもある。(式2)は、オーバーラップ配置としつつ、そのオーバーラップ領域を、ピストンピンの上半分未満に限定するものである。特許文献1に示される構造は(式2)の関係を有する。(式3)は、オーバーラップ配置としつつ、そのオーバーラップ領域を、ピストンピンの上半分以上とするものである。ピストンピン全体をオーバーラップするものを含む。
ピストン10及びピストン10の支持構造において、小型、軽量化のためには(式1)よりも(式2)、(式2)よりも(式3)の関係がある構造の方が有利である。本実施形態では、図1から明らかなように、(式2)の関係がある。その中でも(ピストン支持高さHp)≒(クラウン部高さHc)であって、(式3)の関係に近い。他の性能上、製造上の問題をクリヤすることを条件として、もう少しピストンピン20の位置を頂部1に近づけ、(式3)を満たす関係とすることも可能である。
本実施形態の特徴として、ピストンピン20が軸方向に分割された分割ピストンピン構造がある。以下特に図2及び図3を参照してこの分割ピストンピン構造について説明する。
ピストンピン20は軸方向に2分割されており、略円筒状の第1,第2ピン21,25からなる。第1,第2ピン21,25の各軸長は、両ピンボス部8の間隔8aよりも短い。
またピストンピン20の内部には、第1,第2ピン21,25を互いに結合させるピン結合ボルト30(ピン結合手段)が設けられている。ピン結合ボルト30は、ピストンピン20の内周側で、第1,第2ピン21,25の双方に跨って螺合する雄ネジ部31を有する。その少なくとも一端側(第1ピン21側)には、このピン結合ボルト30を回転させる工具(六角レンチ相当)を受け入れる六角孔32が形成されている。ピン結合ボルト30の軸長は、第1ピン21の軸長と同程度以下である。
第1ピン21の一端側(組付け時に軸方向外側となる側)には、この第1ピン21を回転させる工具(六角レンチ相当)を受け入れる六角孔22が形成されている。第1ピン21の内周部には、六角孔22を除く略全長に亘り、ピン結合ボルト30の雄ネジ部31に螺合する雌ネジ部23が形成されている。
第2ピン25にも、その内周部に、ピン結合ボルト30の雄ネジ部31に螺合する雌ネジ部26が形成されている。但しその雌ネジ部26は、第1ピン21との合わせ面から軸方向途中まで形成されており、その終端部がピン結合ボルト30の進行を止める係止部27となっている。図3に示すように、ピン結合ボルト30は、第1ピン21側から、その先端が第2ピン25の係止部27に係止する位置まで締め込まれる。
次にピストン10の特徴について説明する。ピストン10は、ピン孔9がクラウン部2に対してオーバーラップ配置とされている他に、凹欠部15(図3参照)が設けられているという特徴を有する。凹欠部15は、サイド壁部7の外面側かつクラウン部2の下部に、頂部1側に窪む形状として一対形成されている。
以上説明したように、本実施形態のピストン支持構造は、(式1)の制約によってオーバーラップ配置を許容しない従来の一般的な構造に対し、(式2)または(式3)を満たすオーバーラップ配置を採るので、ピストン圧縮交差Hpを短縮することができる。従って、ピストン10ないしピストン支持構造の小型、軽量化、ひいてはエンジンの小型、軽量化を促進することができる。またピストンピン位置を高くする(頂部1に近づける)ことによりスカート部5も短くすることができ、ピストン10の挙動の安定化が図られてスラップ音の低減も期待できる。
しかも円筒状のピストンピン20は軸方向に分割されており、大きなラジアル荷重を受ける径方向には継ぎ目ない閉断面が確保されている。従って、径方向に分割された特許文献1の構造に対し、強度面で有利となっている。
また螺合によって容易に組付け可能なピン結合ボルト30(ピン結合手段)が、第1ピン21と第2ピン25とを互いに結合することにより、ピストンピン20の剛性を高めることができる。しかもピン結合ボルト30が設けられた結合部においては、ピストンピン20が中実となるので、効果的な剛性補強が図られる。
またピストン10の凹欠部15は、肉抜きとしてピストン10の軽量化に貢献する。また後述するように、凹欠部15を設けることによって生じた空間16を、製造時に効果的に利用することができる。
次に当該ピストン支持構造の製造方法について図4〜6を参照しつつ説明する。図4はこの製造方法の主要工程図である。図5及び図6は、図3と同位置での断面図であって、図4の工程図における工程途中図である。
当該製造工程は、ピストンピン20をピン孔9に組付けるに際し、従来のようにピストンの外周側から挿通するのではなく、ピストン10の内側から組付ける点に最大の特徴がある。
まず部品の製造段階において、ピストンピン20の分割ピンとして、第1ピン21及び第2ピン25を製造する(分割ピン製造工程S1)。これらは最初から分割状態の部品として製造しても良いし、完成済みのピストンピン20を軸方向に2分割して製造しても良い。なお本実施形態のピストンピンは2分割タイプなので、N=2である。
続く図外の工程において、ピン結合ボルト30も製造する。
次に組立工程について説明する。まず準備段階として、図5の二点鎖線で示すように、第1ピン21の内周側にピン結合ボルト30が完全に収納されるように、第1ピン21とピン結合ボルト30とを螺合させる。この際、第1ピン21の六角孔22とピン結合ボルト30の六角孔32とが同方向を向くようにしておく。
次にi=1と設定して(処理S2)、第iピン(第1ピン21)の仮組みを行う。それには図5の矢印A1に示すように、第1ピン21を、両ピンボス部8の間隙8a(コンロッド40の小端部41が入るスペース)に挿入する(第1セッティング工程S3)。第1ピン21の軸長が間隙8aよりも短いのでそれが可能である。
次に第1ピン21とピン孔9との同軸をとって、ピストン10の内側から外側に向けて第1ピン21を一方(図5では右側)のピン孔9に挿入する(第1挿入工程S4)。この第1挿入工程S4では、例えば第1ピン21の後端面(図5では左端面)に板状の治具を当て、その治具ごと軸方向外側に移動させることによって行うことができる。
次に第1ピン21を、コンロッド40の組付けに支障のない退避位置(図5に実線で示す位置)にまで、軸方向外側に退避させる(第1退避工程S5)。この第1退避工程S5において、ピストン10の凹欠部15によって形成された空間16が、第1ピン21を退避させるためのスペースとして有効に利用される。
こうして第1ピン21の仮組みが完了する。この時点でi≠Nなので、判定S6でNOとなり、iに1を足してi=2とする(処理S7)。続いて第2セッティング工程S3〜第2退避工程S5を繰り返す。
第2セッティング工程S3では、第2ピン25の雌ネジ部26が形成された側が第1ピン21に対向するように配置する。
また第2挿入工程S4では、第1ピン21とは反対側のピン孔9に挿入する。
図5に示す状態が、第2退避工程S5が完了するとともに、i=Nとなって(判定S6でYES)、仮組みが完了した状態である。
仮組みの完了した図5に示す状態で、コンロッド40の小端部41を挿入するための間隙8aが確保されているので、次に間隙8aに小端部41を挿入する(コンロッドセッティング工程S8)。
次にコンロッド孔42とピン孔9との同軸をとり、図6に矢印A2,A3で示すように、軸方向両外側から内側に向けて、第1ピン21及び第2ピン25を押圧し、それぞれの内側部分をコンロッド孔42に挿入させる。そして第1ピン21と第2ピン25とを突き合わせて1本のピストンピン20に一体化させる(ピン一体化挿通工程S9)。図6に示す状態がピン一体化挿通工程S9の完了した状態である。
続いて、ピン結合ボルト30の六角孔32に六角レンチ相当の工具を当て、回転させてピン結合ボルト30を第2ピン25側に移動させる。ピン結合ボルト30の先端が係止部27に当たり、その進行が停止したら、所定の締付トルクで締付ける。これによってピン結合ボルト30と第2ピン25とが強固に結合される。
最後に、第1ピン21の六角孔22に六角レンチ相当の工具を当て、回転させて第1ピン21を所定のトルクで締付ける。これにより、ボルトをダブルナットで締結したような締結効果が得られ、第1ピン21、第2ピン25及びピン結合ボルト30が、互いに強固に結合される(ピン結合工程S10)。これにより、図3に示す状態となる。
このピン結合工程S10において、凹欠部15によって形成される空間16が、六角レンチ相当の工具を挿し入れ、作動させるためのスペースとして有効に利用される。
以上の製造方法により、オーバーラップ配置とされたピストンピン20を、確実かつ円滑に組付けることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、ピストンピン20の分割数は3以上であっても良い。その場合は図4に示す工程図において、その分割数=Nとすれば良い。
また必ずしも図4に示すようなピストン10の内側から分割ピンを組付ける工程としなくても良い。例えばピストン10に凹欠部15が設けられたものについて、凹欠部15が形成する空間16を利用して分割ピンをピンボス部8の外側から挿入するようにしても良い。その場合、必ずしも各分割ピンの軸長が両ピンボス部8の間隔よりも短くなくても良い。
ピン結合手段として、必ずしもピン結合ボルト30を用いなくても良い。例えば、スナップリング等の他の結合部材を用いても良い。或いは、隣接する分割ピン同士が直接互いに結合し得る係合部を有するようにしても良い。
本発明の一実施形態に係るエンジン用ピストンの支持構造を示す正面図である。 図1の分解斜視図である。 図1のIII−III線断面図である。 図1に示す構造の製造方法に係る主要工程図である。 図3と同位置での断面図であって、図4の工程図における工程途中図である。 図5に続く工程途中図である。 従来の一般的なエンジン用ピストンの支持構造を示す正面図である。
符号の説明
1 頂部
2 クラウン部
3 シール溝
5 スカート部
7 サイド壁部
8 ピンボス部
8a 一対のピンボス部の間隔、間隙
9 ピン孔
10 ピストン
15 凹欠部
20 ピストンピン
21 第1ピン(分割ピン)
25 第2ピン(分割ピン)
26 雌ネジ部
27 係止部
30 ピン結合ボルト(ピン結合手段)
31 雄ネジ部
40 コンロッド(コネクティングロッド)
41 小端部
S1 分割ピン製造工程
S3 第iセッティング工程(i=1,2,・・・,N:Nは分割数)
S4 第i挿入工程(i=1,2,・・・,N:Nは分割数)
S5 第i退避工程(i=1,2,・・・,N:Nは分割数)
S8 コネクティングロッドセッティング工程
S9 ピン一体化挿通工程

Claims (7)

  1. ピストン頂部を含み、略円筒状の外周部にシール溝が形成されたクラウン部と、上記ピストン頂部より下方に形成され、所定の間隔で軸方向に離れた一対のピン孔が形成された一対のピンボス部とを備えたピストンと、
    上記ピン孔に挿通される略円筒形のピストンピンと、
    クランク軸と上記ピストンとを連接し、そのピストン側端である小端部において上記ピストンピンを介して上記ピストンを支持するコネクティングロッドとを備え、
    上記小端部が上記両ピンボス部の間に位置した状態で、該小端部に形成されたコネクティングロッド孔に上記ピストンピンが挿通されるエンジン用ピストンの支持構造であって、
    上記ピストンピンは、その軸方向視で、少なくともその一部が上記クラウン部とオーバーラップするように配置されており、且つ軸方向に少なくとも2以上の分割ピンに分割されていることを特徴とするエンジン用ピストンの支持構造。
  2. 上記各分割ピンは、軸方向長さが何れも上記両ピンボス部の間隔よりも短くなるように形成されていることを特徴とする請求項1記載のエンジン用ピストンの支持構造。
  3. 上記各分割ピンは、ピン結合手段によって互いに結合されていることを特徴とする請求項1または2記載のエンジン用ピストンの支持構造。
  4. 上記ピン結合手段は、上記ピストンピンの内周側で、互いに隣接する上記分割ピンの双方に跨って螺合する雄ネジ部を有するピン結合ボルトであることを特徴とする請求項3記載のエンジン用ピストンの支持構造。
  5. 上記分割ピンのうち少なくとも1つには、上記ピン結合ボルトの雄ネジ部に螺合する雌ネジ部が、隣接する分割ピンとの合わせ面から軸方向途中まで形成されており、その終端部が上記ピン結合ボルトの進行を止める係止部となっていることを特徴とする請求項4記載のエンジン用ピストンの支持構造。
  6. 上記ピストンは、上記ピン孔の軸線と交差する方向に、上記クラウン部が部分的に下方に延設された1対のスカート部が形成されるとともに、上記各スカート部と上記各ピンボス部とを繋ぐ一対のサイド壁部が形成され、
    上記各サイド壁部の外面側かつ上記クラウン部の下部に、上記ピストン頂部側に窪む一対の凹欠部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のエンジン用ピストンの支持構造。
  7. ピストン頂部を含み、略円筒状の外周部にシール溝が形成されたクラウン部と、上記ピストン頂部より下方に形成され、所定の間隔で軸方向に離れた一対のピン孔が形成された一対のピンボス部とを備えたピストンと、
    上記ピン孔に挿通される略円筒形のピストンピンと、
    クランク軸と上記ピストンとを連接し、そのピストン側端である小端部において上記ピストンピンを介して上記ピストンを支持するコネクティングロッドとを備えたエンジン用ピストン支持構造の製造方法であって、
    予め、上記ピストンピンを軸方向に少なくとも2以上の分割ピンに分割し、または同分割状態の分割ピンを製造し、その各分割ピンが、軸方向長さが何れも上記両ピンボス部の間隔よりも短くなるようにしておく分割ピン製造工程と、
    上記分割ピンのうちの1つである第1ピンを、上記両ピンボス部の間隙に挿入する第1セッティング工程と、
    上記第1ピンをピストンの内側から外側に向けて一方の上記ピン孔に挿入する第1挿入工程と、
    挿入した上記第1ピンを、上記コネクティングロッドの組付けに支障のない退避位置にまで軸方向外側に退避させる第1退避工程と、
    上記分割ピンのうちの他の1つである第2ピンを、上記両ピンボス部の間隙に挿入する第2セッティング工程と、
    上記第2ピンをピストンの内側から外側に向けて他方の上記ピン孔に挿入する第2挿入工程と、
    挿入した上記第2ピンを、上記コネクティングロッドの組付けに支障のない退避位置にまで軸方向外側に退避させる第2退避工程と、
    上記コネクティングロッドの上記小端部を上記両ピンボス部の間に挿入するコネクティングロッドセッティング工程と、
    軸方向両外側から内側に向けて、上記各分割ピンを押圧し、上記ピストンピンを一体化させるとともに、そのピストンピンが上記コネクティングロッドに形成されたコネクティングロッド孔に挿通された状態となすピン一体化挿通工程とを含むことを特徴とするエンジン用ピストン支持構造の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108757207A (zh) * 2018-06-06 2018-11-06 大丰市勇拓机械厂 一种高精度连杆对中定位活塞
CN112901365A (zh) * 2021-02-10 2021-06-04 李斯特技术中心(上海)有限公司 一种复合式活塞及发动机

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