JP2009001644A - 1液型水系接着剤組成物およびそれを用いた合板 - Google Patents

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智三 長澤
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Abstract

【課題】作業性、接着性および耐水性に優れ、アンモニア、酢酸およびVOC13物質の放散が抑制された1液型水系接着剤組成物の提供。
【解決手段】カルボキシ基とブロックイソシアネート基とを有し、軟化点が80℃以上であるウレタンプレポリマーを含むウレタンエマルジョン(A)と、前記カルボキシ基に対して反応性を有する架橋剤(B)とを含有する1液型水系接着剤組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、1液型水系接着剤組成物およびそれを用いた合板に関する。
国宝等の貴重な文化財を長期間にわたり展示・収納する家具には、意匠性に優れた木質系の合板が多用されている。
一方、合板から放散されるホルムアルデヒド、アンモニア、酢酸等の化学物質により文化財が劣化することが知られており、東京国立文化財研究所は、文化財収蔵庫におけるホルムアルデヒドの気中濃度は80ppb以下、アンモニアの気中濃度は30ppb以下、酢酸の気中濃度は430μg/m3以下を推奨値として規定している。また、「VOC13物質(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、スチレン、エチルベンゼン、フタル酸ジ−n−ブチル、クロルピリホス、テトラデカン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、ダイアジノン、アセトアルデヒドおよびフェノブカルブ)」に関しても厚生労働省が定める室内空気環境に関する指針値以下を推奨している。
一般的に、合板用水系接着剤としては、酢酸ビニルエマルジョンを主成分とするものが使用されている。しかし、このような接着剤は酢酸を放出するため、文化財を劣化させるという問題がある。
また、水性ビニルウレタンを主成分とする接着剤は、酢酸を放出する問題はないが、2液型であるため、現場で混合の手間がかかり、可使時間が短く、作業性に劣るという問題がある。
ところで、合板は、一般的に、薄く切った単板に接着剤を塗布し、単板の繊維方向を互い違いに重ね合わせ、この積層体に熱と圧力を加えて熱圧着して製造される。しかし、従来の接着剤は、熱圧着した直後に剥離を生じる場合や、十分な接着性、耐水性(例えば、JAS1類試験合格レベルの耐水性)を有していない場合が多かった。
そこで、本発明は、作業性、接着性および耐水性に優れ、アンモニア、酢酸およびVOC13物質の放散が抑制された1液型水系接着剤組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、カルボキシ基とブロックイソシアネート基とを有し、軟化点が80℃以上であるウレタンプレポリマーを含むウレタンエマルジョンと、上記カルボキシ基に対して反応性を有する架橋剤とを含有する1液型水系接着剤組成物であれば、作業性、接着性および耐水性に優れ、アンモニア、酢酸およびVOC13物質の放散が抑制された接着剤となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は下記(1)〜(9)を提供する。
(1)カルボキシ基とブロックイソシアネート基とを有し、軟化点が80℃以上であるウレタンプレポリマーを含むウレタンエマルジョン(A)と、
前記カルボキシ基に対して反応性を有する架橋剤(B)とを含有する1液型水系接着剤組成物。
(2)前記ウレタンエマルジョン(A)が、前記ウレタンプレポリマーと中和剤とが反応してなる反応物が、水中に分散しているウレタンエマルジョンであって、
前記中和剤がアンモニア以外の第三級アミン化合物である上記(1)に記載の1液型水系接着剤組成物。
(3)前記ウレタンプレポリマーの軟化点が150℃以下である上記(1)または(2)に記載の1液型水系接着剤組成物。
(4)前記架橋剤が、2個以上のオキサゾリン環を有する化合物、2個以上のカルボジイミド基を有する化合物、2個以上のアジリジン環を有する化合物および酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(3)のいずれかに記載の1液型水系接着剤組成物。
(5)前記架橋剤の含有量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、0.5〜20質量部である上記(1)〜(4)のいずれかに記載の1液型水系接着剤組成物。
(6)更に、充填剤を含有する上記(1)〜(5)のいずれかに記載の1液型水系接着剤組成物。
(7)前記充填剤の平均粒子径が、0.001〜100μmである上記(6)に記載の1液型水系接着剤組成物。
(8)前記充填剤の含有量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜50質量部である上記(6)または(7)に記載の1液型水系接着剤組成物。
(9)少なくとも2枚の木質板が上記(1)〜(8)のいずれかに記載の1液型水系接着剤組成物により接着されてなる合板。
本発明の1液型水系接着剤組成物は、作業性、接着性および耐水性に優れ、アンモニア、酢酸およびVOC13物質の放散が抑制されている。
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明の1液型水系接着剤組成物(以下「本発明の組成物」という。)は、カルボキシ基とブロックイソシアネート基とを有し、軟化点が80℃以上であるウレタンプレポリマーを含むウレタンエマルジョン(A)と、上記カルボキシ基に対して反応性を有する架橋剤(B)とを含有する1液型水系接着剤組成物である。
<ウレタンエマルジョン(A)>
本発明の組成物に用いられるウレタンエマルジョン(A)は、カルボキシ基とブロックイソシアネート基とを有し、軟化点が80℃以上であるウレタンプレポリマーを含むウレタンエマルジョンである。
上記ウレタンプレポリマーは、少なくとも1個のカルボキシ基を有し、ウレタンプレポリマーに含まれる一部または全部のイソシアネート基がブロック化剤でブロックされている、軟化点が80℃以上のウレタンプレポリマーである。
上記ブロックイソシアネート基は、熱等によりブロック化剤が解離してイソシアネート基を生ずる。
本明細書において、軟化点は、JIS K5601−2−2(1999)の規定に準じて測定した値を意味する。
上記ウレタンプレポリマーとしては、例えば、ポリオールとポリイソシアネートと2個以上のヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物とブロック化剤とを反応させることにより得られるウレタンプレポリマーが好適に挙げられる。
ウレタンプレポリマーの製造の際に使用されるポリイソシアネートは、特に限定されないが、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、トリイソシアネート等が挙げられる。
上記芳香族ジイソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)およびこれらの水素添加物等が挙げられる。
上記脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等が挙げられる。
上記脂環族ジイソシアネートとしては、例えば、1−メチル−2,4−ジイソシアネートシクロヘキサン、1−メチル−2,6−ジイソシアネートシクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
上記トリイソシアネートとしては、例えば、トリフェニルメタントリイソシアネート等が挙げられる。
上述したポリイソシアネートは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのポリイソシアネートの中でも、軟化点が高いウレタンプレポリマーが得られる点、耐熱性に優れる点および接着強度により優れる点等から、芳香族ジイソシアネートが好ましい。
上記ウレタンプレポリマーの製造の際に使用されるポリオールは、特に限定されないが、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、その他のポリオールおよびこれらの混合ポリオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,2,5−ヘキサントリオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、4,4′−ジヒドロキシフェニルプロパン、4,4′−ジヒドロキシフェニルメタン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールの1種または2種以上に、プロピレンオキサイド、エチレンオキサイド、ブチレンオキサイド、スチレンオキサイド等のアルキレンオキシドの1種または2種以上を付加して得られるポリエーテルポリオール;テトラヒドロフラン等の開環重合によって得られるポリエーテルポリオール等が挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオール、テトラヒドロフランの開環重合によって得られるポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン等の低分子ポリオールの1種または2種以上と、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等の低分子カルボン酸やオリゴマー酸の1種または2種以上との縮合重合体;プロピオンラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン等のラクトンの開環重合体等が挙げられる。
上記アクリルポリオールとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、β−ヒドロキシエチルメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種から得られるアクリルポリオール等が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA等のジオール類の1種または2種以上と、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネートおよびホスゲンのうちの少なくとも1種とを反応させることにより得られるもの等が挙げられる。
その他のポリオールとしては、例えば、ポリマーポリオール;ポリブタジエンポリオール;水素添加されたポリブタジエンポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等の低分子ポリオールが挙げられる。
上述したポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのポリオールの中でも、軟化点が高いウレタンプレポリマーが得られる点から、ポリエステルポリオールが好ましい。
上記ウレタンプレポリマーを製造する際のポリオールとポリイソシアネートの量比は、例えば、ポリオール中のヒドロキシ基に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)が、0.5〜2.0であるのが好ましく、1.5〜2.0であるのがより好ましい。この範囲であると、接着性および耐水性により優れる。
ウレタンプレポリマーの製造の際に使用される2個以上のヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物は、2個以上のヒドロキシ基と1個以上のカルボキシ基とを有する化合物であれば特に制限されない。例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸、2,2−ジメチロールペンタン酸、2,2−ジメチロール酪酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のヒドロキシアルカン酸等が挙げられる。
ウレタンプレポリマーにカルボキシ基を導入するにあたって、2個以上のヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物を用いると、アミノカルボン酸を用いる場合に比較して、反応速度のコントロールが容易であり、均一に分子中にカルボキシ基を導入することができるという利点がある。
2個以上のヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物とポリイソシアネートの量比は、例えば、2個以上のヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物中のヒドロキシ基に対するポリイソシアネート中のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)が、0.5〜2.0であるのが好ましく、1.5〜2.0であるのがより好ましい。この範囲であると、接着性および耐水性により優れる。
ウレタンプレポリマーの製造の際に使用されるブロック化剤としては、例えば、アルコール類、フェノール類、オキシム類、ピラゾール類、トリアゾール類、カプロラクタム類等が挙げられる。
上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、ラウリルアルコール、t−ブタノール、シクロヘキサノール等が挙げられる。
上記フェノール類としては、例えば、キシレノール、ナフトール、4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノール等が挙げられる。
上記オキシム類としては、例えば、2,6−ジメチル−4−ヘプタノンオキシム、メチルエチルケトオキシム、2−ヘプタノンオキシム等が挙げられる。
上記ピラゾール類としては、例えば、3,5−ジメチルピラゾール等が挙げられる。
上記トリアゾール類としては、例えば、1,2,4−トリアゾール等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、貯蔵安定性に優れるという点から、3,5−ジメチルピラゾール、オキシム類が好ましく、メチルエチルケトオキシムがより好ましい。
ブロック化剤の使用量は、例えば、原料であるウレタンプレポリマーのイソシアネート基に対するブロック化剤の活性水素の当量比(活性水素/イソシアネート基)が、0.5〜2.0であるのが好ましく、0.8〜1.2であるのがより好ましい。この範囲であると、貯蔵安定性、接着性および耐水性により優れる。
ウレタンプレポリマーの製造の際に使用される、ポリオール、ポリイソシアネート、2個以上のヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物およびブロック化剤の組合せは特に制限されない。
上記ウレタンプレポリマーとしては、例えば、ポリオールとしてヘキサンジオール、プロピレングリコールおよびエチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種、ポリイソシアネートとしてTDI、XDIおよびMDIからなる群から選択される少なくとも1種、2個以上のヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物としてジメチロールプロピオン酸、ならびに、ブロック化剤としてメチルエチルケトオキシムを反応させて得られるウレタンプレポリマーが、反応性という点から好ましい。
上記ウレタンプレポリマーは、取扱い性の点から室温で液状であるのが好ましい。
上記ウレタンプレポリマーの製造方法は、特に制限されず、公知の方法により製造することができる。例えば、ポリオールとポリイソシアネートと2個以上のヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物とを反応させて得られるウレタンプレポリマーにブロック化剤を反応させる方法が挙げられる。
具体的には、例えば、ポリオールとポリイソシアネートと2個以上のヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物とを、触媒(例えば、有機スズ化合物、有機ビスマス化合物)の存在下でまたは触媒を使用せず、反応温度10〜100℃程度、常圧下で、反応させて、カルボキシ基を有するウレタンプレポリマーとする。次に、カルボキシ基を有するウレタンプレポリマーにブロック化剤を加えて、反応温度60〜90℃、常圧で、1〜3時間反応させ、カルボキシ基とブロックイソシアネート基とを有する上記ウレタンプレポリマーを得ることができる。
また、ポリオールとポリイソシアネートと2個以上のヒドロキシ基を有するカルボキシ基含有化合物との反応中に任意の段階でブロック化剤を投入してブロック化剤をウレタンプレポリマーに導入し、カルボキシ基とブロックイソシアネート基とを有する上記ウレタンプレポリマーとする方法が挙げられる。
ウレタンプレポリマーのイソシアネート基のブロック化率は、貯蔵安定性に優れ、熱圧着後の接着性および耐水性により優れるという点から、80モル%以上であるのが好ましく、90モル%以上であるのがより好ましく、100モル%であるのが更に好ましい。
上記ウレタンプレポリマーは、軟化点が80℃以上である。例えば、合板を製造する場合は一般的に100〜150℃で加熱プレスを行い、そのときの合板の温度は70〜100℃になるが、軟化点が80℃以上であるため、熱により樹脂が柔らかくなり過ぎることがなく、熱圧着直後に剥離が生じることがない。上記ウレタンプレポリマーは、より高温で接着させる場合にも適用できる点から、軟化点が100℃以上であるのが好ましい。
また、上記ウレタンプレポリマーは、接着性および耐水性に優れる点から、軟化点が150℃以下であるのが好ましい。
また、上記ウレタンプレポリマーのカルボキシ基の酸価は、水中で十分に乳化または分散させることができ、接着性に優れるという点から、10〜60mgKOH/gであるのが好ましく、10〜40mgKOH/gであるのがより好ましい。
上記ウレタンプレポリマーは、イソシアネート基、ブロックイソシアネート基、カルボキシ基のほかに、例えば、ヒドロキシ基、酸無水物基、アミノ基、潜在性アミノ基およびメルカプト基からなる群から選ばれる少なくとも1種を更に分子内に有していてもよい。これらの基はイソシアネート基と反応しうるので、ウレタンプレポリマーがこれらの基を含有する場合、本発明の組成物が硬化して得られる硬化物の架橋密度を高くし、その物性を優れたものとすることができる。
本発明の組成物において、上記ウレタンプレポリマーは水中でエマルジョンとなっている。上記ウレタンプレポリマーを水中でエマルジョンとする方法としては、例えば、上記ウレタンプレポリマーと中和剤とを反応させ、その反応物を水中に分散させてエマルジョンとする方法等が挙げられる。また、上記ウレタンプレポリマーを水中で乳化剤を用いて乳化させた後、ポリアミンまたは水との反応により高分子量化してエマルジョンとする方法が挙げられる。
上記中和剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の第三級アミン化合物等が挙げられる。上記中和剤としては、アンモニア以外の第三級アミン化合物がアンモニアを放散させない点から好ましい。
上記乳化剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系の活性剤等が挙げられる。
上記ポリアミンとしては、例えば、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキシレンジアミン、イソホロンジアミン、キシリレンジアミン、ピペラジン、ジフェニルメタンジアミン、エチルトリレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
上記ウレタンプレポリマーを含有するウレタンエマルジョン(A)の固形分質量は、乾燥性の点から、30〜70質量%であるのが好ましく、40〜60質量%であるのがより好ましい。
ウレタンエマルジョン(A)としては、市販品を使用することもできる。例えば、第一工業製薬社製のF2844−E2−4、F2844−E2−5が好適に挙げられる。
本発明の組成物は、上述したようなウレタンエマルジョン(A)を含有することにより、貯蔵安定性に優れ、熱圧着後の剥離がなく、接着性および耐水性に優れる。
即ち、上記ウレタンプレポリマーはイソシアネート基がブロックされているので、1液型にすることができるため作業性に優れ、更に、貯蔵安定性にも優れる。また、イソシアネート基がブロックされているため、カルボキシ基がイソシアネート基との反応により失活するのを防止でき、カルボキシ基が後述する架橋剤(B)と十分に反応できる。そのため、本発明の組成物は接着性および耐水性に優れる。
また、ブロックイソシアネート基は加熱することによりイソシアネート基を生成し、このイソシアネート基が木材表面のヒドロキシ基等と反応することにより、優れた接着性および耐水性を発現する。
また、上記ウレタンプレポリマーの軟化点が上記の範囲であるため、加熱プレス等する際に、樹脂が軟らかくなり過ぎることがなく、熱圧着後に剥離が生じることがない。
<架橋剤(B)>
本発明の組成物に含有される架橋剤(B)は、上記ウレタンプレポリマー中のカルボキシ基に対して反応性を有する架橋剤であれば、特に制限されない。
架橋剤(B)としては、例えば、2個以上のオキサゾリン環を有する化合物、2個以上のカルボジイミド基を有する化合物、2個以上のアジリジン環を有する化合物および酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種が好適に挙げられる。
また、接着性、耐水性および耐熱性により優れる点から、2個以上のオキサゾリン環を有する化合物、2個以上のカルボジイミド基を有する化合物および2個以上のアジリジン環を有する化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種は、水中でエマルジョンとなっているのが好ましい。
2個以上のオキサゾリン環を有する化合物は、1分子中に2個以上のオキサゾリン環を有するものであれば特に限定されない。2個以上のオキサゾリン環を有する化合物は、低分子量のものまたはオキサゾリン環を含有する重合体(以下「オキサゾリン環含有重合体」という。)が挙げられる。なかでも、接着性および耐水性により優れるという点から、オキサゾリン環含有重合体が好ましい。
低分子量の2個以上のオキサゾリン環を有する化合物としては、例えば、2,2′−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−メチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−トリメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−テトラメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−ヘキサメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−オクタメチレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−エチレン−ビス−(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2′−p−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレン−ビス−(2−オキサゾリン)、2,2′−m−フェニレン−ビス−(4,4′−ジメチル−2−オキサゾリン)、ビス−(2−オキサゾリニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス−(2−オキサゾリニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。
オキサゾリン環含有重合体は、付加重合性オキサゾリンを重合されることにより得られる重合体であれば特に制限されない。オキサゾリン環含有重合体は、例えば、付加重合性オキサゾリンと、付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体および/または親水性単量体とを重合させることにより得ることができる。
付加重合性オキサゾリンとしては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等が挙げられる。なかでも、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが、工業的に入手しやすい点から好ましい。
付加重合性オキサゾリンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
付加重合性オキサゾリンの使用量は、使用する単量体全量中、5質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは5〜90質量%、更に好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは30〜60質量%とするのがよい。このような範囲の場合、水系接着剤組成物を硬化させることにより得られる硬化物の耐久性、耐水性、耐溶剤性に優れる。
付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体としては、例えば、(メタ)アクリル系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル;エチレン、プロピレン等のα−オレフイン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン原子を含有するα,β−不飽和脂肪族炭化水素;スチレン、α−メチルスチレン、スチレンスルホン酸ナトリウム等のα,β−不飽和芳香族炭化水素等が挙げられる。
(メタ)アクリル系モノマーは、CH2=CH−またはCH2=C(CH3)−を有する化合物であれば、特に制限されない。例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸−2−アミノエチルおよびその塩等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム等の(メタ)アクリル酸塩;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド等の不飽和アミドが挙げられる。
付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
付加重合性オキサゾリンと共重合可能な単量体の組合せとしては、例えば、(メタ)アクリル系モノマーとα,β−不飽和芳香族炭化水素との組合せが挙げられる。
親水性単量体しては、例えば、上記と同様の付加重合性オキサゾリン、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールのモノエステル化物、(メタ)アクリル酸2−アミノエチルおよびその塩、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸アンモニウム、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸とポリエチレングリコールとのモノエステル化物等のポリエチレングリコール鎖を有する単量体が、水への溶解性の高いことから好ましい。
親水性重合体の使用量は、オキサゾリン環含有重合体を水中でエマルジョン化させやすくするという点から、使用する単量体全量中、50質量%以上とすることが好ましく、更に好ましくは、エマルジョン化および硬化性の点から60〜90質量%とするのがよい。
2個以上のオキサゾリン環を有する化合物は、水溶性、水希釈性または水分散性であることが好ましく、水分散性であることがより好ましい。
また、2個以上のオキサゾリン環を有する化合物は、水中でエマルジョンとなっているのが、接着性および耐水性により優れ、少なくとも一方の被着体に塗布することにより被着体同士をより接着させやすくすることができるという点から好ましい。
水中でエマルジョンとなっている2個以上のオキサゾリン環を有する化合物の製造方法は特に制限されない。例えば、2個以上のオキサゾリン環を有する化合物がオキサゾリン環含有重合体である場合、水性媒体中で、上述の単量体を、溶液重合、乳化重合、懸濁重合または塊状重合させる方法が挙げられる。重合の条件は、使用される単量体の組成等に応じて設定することができる。例えば、反応温度は20〜150℃程度が好適であり、反応時間は1〜24時間程度が好適である。また、使用される単量体は、例えば、反応器に一括して添加してもよく、滴下等の方法によって連続的または逐次的に添加することができる。重合は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下で行うことができる。
オキサゾリン環含有重合体のエマルジョンを製造する際に使用される水性媒体としては、例えば、水、水と均一に混合する溶剤と水との混合溶剤が挙げられる。なかでも水が好ましい。
水と均一に混合する溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の低級アルコール;エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール等のグリコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトンが挙げられる。
水と均一に混合する溶剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。水に対する、水と均一に混合する溶剤の使用量は特に限定されない。
オキサゾリン環含有重合体のエマルジョンの固形分(不揮発分)は、接着性および耐水性により優れ、乾燥性に優れるという点から、1〜70質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。
また、オキサゾリン環含有重合体のエマルジョンは、市販品を使用することができる。2個以上のオキサゾリン環を有する化合物のエマルジョンの市販品としては、例えば、日本触媒社製の、エポクロスK−1010E、エポクロスK−2010E、エポクロスK−1020E、エポクロスK−2020E、エポクロスK−1030E、エポクロスK−2030E、エポクロスWS−500、エポクロスWS−700、エポクロスRPS−1005、エポクロスRAS−1005が挙げられる。なかでも、貯蔵安定性に優れ、接着性および耐水性により優れるという点から、エポクロスK−2030Eが好ましい。
オキサゾリン環含有重合体のオキサゾリン価は、接着性および耐水性により優れ、密着性に優れるという点から、50〜3,000g−solid/eq.であることが好ましく、より好ましくは100〜2,000g−solid/eq.であり、更に好ましくは200〜1,500g−solid/eq.である。
2個以上のオキサゾリン環を有する化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
2個以上のカルボジイミド基を有する化合物は、1分子内に2個上のカルボジイミド基(−N=C=N−)を有する化合物であれば、特に制限されない。
2個以上のカルボジイミド基を有する化合物は、その製造について、特に制限されず、例えば、2分子以上のポリイソシアネートとカルボジイミド化触媒とを用いて、2個のイソシアネート基を脱炭酸反応させて−N=C=N−を形成させる方法によって製造することができる。2個以上のカルボジイミド基を有する化合物の製造の際に使用されるポリイソシアネートおよびカルボジイミド化触媒は特に制限されない。ポリイソシアネートおよびカルボジイミド化触媒は、例えば、従来公知のものを使用することができる。
2個以上のカルボジイミド基を有する化合物は、水溶性、水希釈性または水分散性であることが好ましく、水分散性であることがより好ましい。
また、2個以上のカルボジイミド基を有する化合物は、水中でエマルジョンとなっているのが、接着性および耐水性により優れ、少なくとも一方の被着体に塗布することにより被着体同士をより接着させやすくできるという点から好ましい。
2個以上のカルボジイミド基を有する化合物のエマルジョンは市販品を使用することができる。2個以上のカルボジイミド基を有する化合物のエマルジョンの市販品としては、例えば、日清紡社製の、カルボキシライトE−01、カルボキシライトE−02が挙げられる。
2個以上のカルボジイミド基を有する化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
2個以上のアジリジン環を有する化合物は、1分子内に2個上のアジリジン環を有する化合物であれば、特に制限されない。
2個以上のアジリジン環を有する化合物としては、例えば、トリメチロールプロパン−トリ3−[(1−アジリジニル)プロピオネート]、ジフェニルメタン−ビス−4,4′−N,N′−ジエチレンウレア、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N′−トルエン−2,4−ビス−(1−アジリジンカルボキシアミド)、N,N′−ヘキサメチレン−1,6−ビス−(1−アジリジンカルボキシアミド)が挙げられる。
2個以上のアジリジン環を有する化合物は、水溶性、水希釈性または水分散性であることが好ましく、水分散性であることがより好ましい。
また、2個以上のアジリジン環を有する化合物は、水中でエマルジョンとなっているのが、接着性および耐水性により優れ、少なくとも一方の被着体に塗布することにより被着体同士をより接着させやすくできるという点から好ましい。
2個以上のアジリジン環を有する化合物のエマルジョンは市販品を使用することができる。2個以上のアジリジン環を有する化合物のエマルジョンの市販品としては、例えば、日本触媒社製の、ケミタイトPZ−33、ケミタイトDZ−22Eが挙げられる。
2個以上のアジリジン環を有する化合物は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の組成物に用いられる酸化亜鉛は特に制限されない。例えば、従来公知のものを使用することができる。酸化亜鉛は、その平均粒子径が、0.1〜1μmであるのが分散性、反応性の点から好ましい。
上記架橋剤(B)の含有量(固形分)は、上記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、接着性および耐水性により優れるという点から、0.5〜20質量部であるのが好ましく、5〜20質量部であるのがより好ましい。
架橋剤(B)は、ウレタンプレポリマー中のカルボキシ基と反応し、架橋構造を形成することができる。本発明の組成物はこのような架橋構造を形成することによって、接着性および耐水性を大幅に向上できる。
本発明の組成物は、乾燥性の点から、更に、充填剤を含有するのが好ましい。
充填剤としては、例えば、無機充填剤、有機充填剤が挙げられ、無機充填剤が好ましい態様の1つとして挙げられる。無機充填剤は、特に制限されない。例えば、炭酸カルシウム(例えば、重質炭酸カルシウム)、酸化チタン、酸化ケイ素(例えば、シリカ微粉末)、タルク、クレー、カーボンブラックが挙げられる。また、充填剤としては、表面処理剤によって表面処理されたものを使用することができる。表面処理剤としては、例えば、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステルが挙げられる。なかでも、乾燥性の点から、シリカ微粉末、非表面処理重質炭酸カルシウムが好ましい。
充填剤は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
充填剤の平均粒子径は、0.001〜100μmであるのが好ましく、1〜10μmであるのがより好ましい。このような範囲の場合、乾燥性、分散性に優れる。
充填剤の含有量は、乾燥性、分散性、レべリング性の点から、ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜50質量部であるのが好ましく、10〜30質量部であるのがより好ましい。
また、充填剤の含有量は、乾燥性の点から、本発明の組成物中の水100質量部に対して、5〜50質量部であるのが好ましく、10〜30質量部であるのがより好ましい。
本発明の組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、上述した各成分以外の添加剤、例えば、増粘剤、顔料、染料、防腐剤、防カビ剤、抗菌剤、分散安定剤、造膜助剤、レベリング剤、ゲル化防止剤、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤、可塑剤、滑剤、補強材、硬化剤、消泡剤等を含有することができる。
上記増粘剤としては、例えば、ポリエーテル系増粘剤、ウレタン変成ポリエーテル、変成ポリアクリル酸系増粘剤等が挙げられる。
また、本発明の組成物は、ウレタンエマルジョン(A)以外のエマルジョンを含有することができる。このようなエマルジョンとしては、例えば、アクリルエマルジョン、ポリエステルエマルジョン、ポリオレフィンエマルジョン、酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、エポキシ樹脂系エマルジョン等の樹脂系エマルジョン;ニトリルゴム系エマルジョン、クロロプレンゴム系エマルジョン等のゴム系エマルジョン;ガムロジン、トール油ロジン等のロジン系エマルジョン;テルペン樹脂、フェノール樹脂、石油樹脂等の粘着性付与樹脂のエマルジョン等が挙げられる。
本発明の組成物は、環境や文化財に対する悪影響が少ない点から、アンモニア、酢酸およびVOC13物質(ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、スチレン、エチルベンゼン、フタル酸ジ−n−ブチル、クロルピリホス、テトラデカン、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、ダイアジノン、アセトアルデヒドおよびフェノブカルブ)を含有しないのが好ましい。ただし、本発明の組成物は、本発明の目的を逸脱しない範囲であればこれらの化学物質を含んでいてもよい。
本発明の組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、反応容器に上記の各必須成分と任意成分とを入れ、減圧下で混合ミキサー等の撹拌機を用いて十分に混合する方法を用いることができる。
本発明の組成物は、上述したように、作業性、接着性および耐水性に優れ、アンモニア、酢酸およびVOC13物質の放散を抑制することができる。更に、本発明の組成物は、軟化点が上記範囲であるウレタンプレポリマーを用いているため、加熱プレス等により熱圧着した直後の剥離が生じにくいため、合板の製造等に好適に用いることができる。また、本発明の組成物は1液型であるにも関わらず貯蔵安定性に優れる。
本発明の合板は、少なくとも2枚の木質板が上述した本発明の1液型水系接着剤組成物により接着されてなる合板である。
上記木質板は、木材から構成されていれば特に限定されないが、シンゴンからなるものがホルムアルデヒド等の放散量が少ない点および意匠性に優れる点等から好ましい。
本発明の合板を構成する木質板の枚数は、2枚以上であれば特に限定されないが、3〜12枚であるのが好ましい。
本発明の合板の製造方法としては、例えば、薄く切った単板(木質板)に上述した本発明の組成物を塗布し、単板の繊維方向を互い違いに重ね合わせ、この積層体に熱と圧力を加えて熱圧着して合板を得る方法が挙げられる。
熱圧着する際の温度は、100〜180℃が好ましく、120〜150℃がより好ましい。この範囲であると、単板同士を強固に接着できる。
また、熱圧着する際の圧力は、5〜20kg/cm2が好ましい。
本発明の合板は、接着性および耐水性に優れ、アンモニア、酢酸およびVOC13物質の放散が抑制されている。
本発明の合板は、このような優れた特性を有しており、種々の用途に用いることができるが、特に、文化財の展示・収納家具に好適に用いることができる。
以下、実施例を示して、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.1液型水系接着剤組成物の調製
(実施例1〜3および比較例1〜5)
下記第1表に示す各成分を、第1表に示す割合(質量部)で、撹拌機を用いて混合し、第1表に示される各組成物を得た。
2.合板の作製
インドネシア産シンゴンの単板(縦300mm×横300mm×厚さ2mm)に得られた接着剤を塗布し、接着剤を介して6枚重ね合わせた。この積層体を120℃(実施例2のみ150℃)、プレス圧10kg/cm2の条件で10分間熱圧着して合板を作製した。
3.評価
3−1.熱圧着直後の剥離の有無
熱圧着直後に、得られた合板が自然に剥離していないかを目視で観察した。剥離がなかったものを「○」、剥離があったものを「×」とした。
結果を第1表に示す。なお、第1表中の各ウレタンエマルジョンの軟化点は、各エマルジョンを自然乾燥させて得た固形物の軟化点をJIS K5601−2−2(1999)に準じて測定した値である。
3−2.耐水性(接着性)
JAS2類試験およびJAS1類試験に準じて耐水性の評価を行った。なお、耐水性の評価は、接着性の評価を兼ねている。
具体的な試験方法は下記のとおりである。
(JAS2類試験)
得られた各合板を70℃の温水に2時間浸漬し、次に60℃で3時間乾燥させた後、合板を目視で観察し、合板に剥離がない場合を「○」とした。試験中に剥離が生じた場合を「×」とし、温水に浸漬してから剥離が生ずるまでの時間を測定した。なお、熱圧着直後に剥離が生じた試料については本試験を行わなかった。
結果を第1表に示す。
(JAS1類試験)
得られた各合板を100℃の沸騰水に4時間浸漬し、次に60℃で3時間乾燥させた後、合板を目視で観察し、合板に剥離がない場合を「○」とし、剥離がある場合を「×」とした。なお、JAS2類試験で「○」であった試料についてのみ本試験を行った。
結果を第1表に示す。
Figure 2009001644

上記第1表中の各成分は下記のとおりである。
・ウレタンエマルジョン1:ポリエステル系ウレタン、F2844E2−4、第一工業製薬社製
・ウレタンエマルジョン2:ポリエステル系ウレタン、F2844E2−5、第一工業製薬社製
・ウレタンエマルジョン3:ポリエステル系ウレタン、F2844E2、第一工業製薬社製
・ウレタンエマルジョン4:ポリエステル系ウレタン、ADS−120、大日本インキ化学工業社製
・ウレタンエマルジョン5:ポリエステル系ウレタン、HW−333、大日本インキ化学工業社製
・ウレタンエマルジョン6:ポリエステル系ウレタン、APX−101H、大日本インキ化学工業社製
・ウレタンエマルジョン7:ポリエステル系ウレタン、HW−163、大日本インキ化学工業社製
・架橋剤1:オキサゾリン環を含有するポリマーのエマルジョンタイプ、エポクロスK2030E、日本触媒社製
・架橋剤2:2個以上のカルボジイミド基を有する化合物のエマルジョンタイプ、カルボジライトE−01、日清紡社製
・充填剤:炭酸カルシウム、スーパーSS、白石工業社製
・増粘剤:M2005A、第一工業製薬社製
第1表に示す結果から明らかなように、軟化点が60℃であるウレタンエマルジョンを用いた場合(比較例1)、熱圧着直後に剥離が生じた。また、ブロックイソシアネート基が無く、カルボキシ基の代わりにスルホン酸ナトリウム基を有するウレタンエマルジョンを用いた場合(比較例2)、JAS2類試験開始後5分で剥離を生じた。また、ブロックイソシアネート基が無いウレタンエマルジョンを用いた場合(比較例3〜5)、JAS2類試験開始後1時間で剥離を生じた。
一方、実施例1〜3は、熱圧着直後に剥離せず、JAS2類試験およびJAS1類試験後にも剥離が生じなかった。また、実施例1〜3の組成物は、アンモニア、酢酸およびVOC13物質を含有していないため、これらの化学物質の放散がない。

Claims (9)

  1. カルボキシ基とブロックイソシアネート基とを有し、軟化点が80℃以上であるウレタンプレポリマーを含むウレタンエマルジョン(A)と、
    前記カルボキシ基に対して反応性を有する架橋剤(B)とを含有する1液型水系接着剤組成物。
  2. 前記ウレタンエマルジョン(A)が、前記ウレタンプレポリマーと中和剤とが反応してなる反応物が、水中に分散しているウレタンエマルジョンであって、
    前記中和剤がアンモニア以外の第三級アミン化合物である請求項1に記載の1液型水系接着剤組成物。
  3. 前記ウレタンプレポリマーの軟化点が150℃以下である請求項1または2に記載の1液型水系接着剤組成物。
  4. 前記架橋剤(B)が、2個以上のオキサゾリン環を有する化合物、2個以上のカルボジイミド基を有する化合物、2個以上のアジリジン環を有する化合物および酸化亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の1液型水系接着剤組成物。
  5. 前記架橋剤(B)の含有量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、0.5〜20質量部である請求項1〜4のいずれかに記載の1液型水系接着剤組成物。
  6. 更に、充填剤を含有する請求項1〜5のいずれかに記載の1液型水系接着剤組成物。
  7. 前記充填剤の平均粒子径が、0.001〜100μmである請求項6に記載の1液型水系接着剤組成物。
  8. 前記充填剤の含有量が、前記ウレタンプレポリマー100質量部に対して、1〜50質量部である請求項6または7に記載の1液型水系接着剤組成物。
  9. 少なくとも2枚の木質板が請求項1〜8のいずれかに記載の1液型水系接着剤組成物により接着されてなる合板。
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