JP2009001006A - 画像形成装置および画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】マルチビームを使用して画像形成装置および画像形成方法を提供すること。
【解決手段】レーザビームを出射する複数の光源と、出射された各レーザビームを、光量を測定するための第1のレーザビームと、感光体を走査するための第2のレーザビームとに分離する分離手段と、第1のレーザビームの光量を測定し、その光量に応じた電圧を出力する光電変換手段と、出力された電圧に基づいて各レーザビームごとに設定される電流補正値と、複数の光源を共通して駆動するための、あらかじめ定められた共通の駆動電流とに基づいて、レーザビームの光量を制御する制御手段と、を備える。
【選択図】 図2

Description

本発明は、マルチビームを使用して画像形成する画像形成装置および画像形成方法に関する。
電子写真法を使用して画像を形成する画像形成装置では、感光体ドラム上に形成された静電荷を、半導体レーザにより露光して静電潜像を形成し、現像剤により現像して画像形成を行っている。従来の半導体レーザは、1つの半導体素子から1本〜4本、多くて8本程度のレーザビームを照射する。近年では、VCSELとして参照される面発光レーザが市販され、実用化されている。これに伴い、近年、VCSELを使用して、高精細、高速画像形成などを行う画像形成装置が提案されている。
このようなVCSELを使用した画像形成装置として例えば特許文献1に記載されたような技術が知られている。すなわち、一般的な画像形成装置(書き込み光学系)において、光源ユニットが図21に示すように、格子状に複数の光源(複数の半導体レーザ)が配置された半導体レーザアレイ、または、同一チップ上に複数光源(複数の面発光レーザ(VCSEL,面発光型半導体レーザ)が格子状に配置された面発光レーザから構成されるとき、複数の光源の配列方向がポリゴンミラーのような偏向器の回転軸に対してある角度θを有するように、光源ユニット1001の配置と角度を調整する。
図22では、光源の縦配列方向をa〜c、横配列方向を1〜4とし、例えば、図22の左上の光源をa1のように表記する。光源ユニット1001が角度θをもって配置されていることにより、光源a1と光源a2とは異なる走査位置を露光し、この2光源により1つの画素(1画素)を構成する場合、すなわち、図22において、2光源で1画素を実現する場合を考える。例えば2光源a1,a2で1画素、2光源a3,a4で1画素を構成していくとすると、図中の光源によって図22右端に示すような画素が形成される。図の縦方向を副走査方向としたとき、2光源により構成される画素の中心間距離が600dpi相当であるとする。このとき、1画素を構成する2光源の中心間隔は1200dpi相当となり、画素密度に対して光源密度が2倍となっている。よって1画素を構成する光源の光量比を変えることで、画素の重心位置を副走査方向にずらすことが可能となり、高精度な画像形成が実現できる。
VCSELは、1つのチップから40本程度のレーザビームを射出することができる。このため、画像形成装置の潜像形成にVCSELを使用することで、高精細、高速画像形成などが可能になるものと考えられる。VCSELを潜像形成のためのレーザ装置として使用する場合、単に半導体レーザをVCSELに置代えたえただけで充分に高精細な潜像を形成することができるわけではない。例えば、VCSELは、所定の発光領域から面状に多数のレーザビームを発生させる。潜像形成に使用するレーザ装置は、射出するレーザビームの光量を狙いの光量に制御する必要がある。また、VCSELの場合、発光領域内での集積度が高まり、レーザビームの光量を管理することが、高精度の潜像を安定して形成するために必要とされる。
したがって、レーザビームの数が増えると、レーザビームが少ない半導体レーザを使用したと同一の光量制御を行う場合、光量制御のために時間が長くかかることは明らかであり、VCSELを適用してことに伴う高速化の利点を充分に提供できないことになる。また、このためにレーザビームの光量制御を間引くなどすると、逆に高精細化を達成することが困難となる。
この様な理由から、種々の技術が提案されている。例えば、特開2007−021826号公報(特許文献1)では、複数の発光素子と当該発光素子から出射される光量を検出する光量検出素子を有する発光光源部を備える画像形成装置および光書込装置が開示されている。特許文献1で開示された光書込装置は、光ビームの光量制御を行うために、ビーム数分のボリューム抵抗と、サンプルホールドコンデンサを配置する。特許文献1に記載された方法によっても多数のレーザビームの光量制御は可能となる。しかしながら、VCSELの制御回路自体の回路規模が大きくなる。また、光量調整のため、ボリューム抵抗の設定を、射出ビーム数分行わなくてはならず、作業効率が低下し、このためメンテナンスも増大してしまう。
また、特開2005−161790号公報(特許文献2)では、光源から出力された各光ビームを第1の光ビームと第2の光ビームとに分離し、第1の光ビームの光量を測定するための第1の測定手段と、第1の測定手段による光量測定結果が光量指示信号で指示された光量となるように光量制御を行う光量制御手段とを設け、第2の光ビームの光量を測定し、その光量測定結果により、第2の光ビームの光量を複数の光ビーム間で略均一にするための各光ビームの光量補正値を求めて記憶しておき、光量制御を行う制御方法が開示されている。
特許文献2で開示された方法でもVCSELの光量制御を行うことは可能である。しかしながら、各レーザビームの光量補正を行いながら画像形成を行うことは、レーザビーム本数が少ない場合には充分なフィードバック速度を提供できることができるものの、VCSELのように、はるかに多数のレーザビームが射出される場合には、VCSELの環境変動を考慮する場合、画像形成中の走査期間だけでは充分な効率でレーザビーム光量の制御に対しフィードバックできないという不都合が発生する場合があった。また、VCSELを構成する半導体レーザ素子が、初期設定された補正範囲では設定光量を提供できない場合、その時点で形成されている画像に重大な影響を与えることなく画像形成を完了させ、かつ光量補正を効率的に行うことを可能とするものではない。
特開2007−021826号公報 特開2005−161790号公報
上述したように、これまでVCSELを使用した静電潜像形成のためのレーザビーム光量制御を行う場合、レーザビームの本数が増えた分だけ制御動作を増加させなければならず、高精細化および高速化の利点を充分に達成できないという不都合が生じていた。また、上述した不都合があるにもかかわらず、装置コストやメンテナンスコストが高まるという別の弊害も生じていた。すなわちこれまで、VCSELの特性を効果的に利用して光量制御を最適化することにより、高精細、高速な静電潜像形成を可能とする、画像形成装置および画像形成方法を提供することが必要とされていた。
本発明は、上述した問題点が、VCSELの画像形成装置への適用に際し、従来の半導体レーザに利用されていた光量制御技術を単に延長して適用することが原因となっていることに着目してなされたものである。すなわち、本発明は、従来の半導体レーザについての光量制御技術ではなく、VCSELが多数のレーザビームを照射する特性を効果的に利用することで、回路規模拡大、ボリューム抵抗調整を行うことなく、多数のレーザビームの光量管理を効率的に行うことができる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる画像形成装置は、レーザビームを出射する複数の光源と、前記複数の光源から出射された複数の前記レーザビームのそれぞれを、光量を測定するための複数の第1のレーザビームと、感光体を走査するための第2のレーザビームとに分離する分離手段と、前記複数の第1のレーザビームの光量を測定し、測定された前記複数の第1のレーザビームの光量に応じた電圧を出力する光電変換手段と、前記光電変換手段が出力した電圧に基づいて前記レーザビームの光量を補正するための前記複数のレーザビームの各レーザビームごとに設定される電流補正値と、前記複数の光源を共通して駆動するための、あらかじめ定められた共通の駆動電流とに基づいて、前記レーザビームの光量を制御する制御手段と、を備えること、を特徴とする。
また、本発明は、上記画像形成装置で実行される画像形成方法である。
本発明によれば、複数の光源から出力されたレーザビームを、あらかじめ設定されたレーザビームの共通の駆動電流と、複数のレーザビームから分離されたレーザビームの光量に応じて出力された電圧に基づいて、共通の駆動電流をレーザビーム毎に補正した補正値を生成し、生成された補正値にしたがって、複数のレーザビーム毎に光量を制御するので、多数のレーザビームを照射して画像を形成する場合であっても、回路規模を大きくすることなく、照射されるレーザビームの光量を効率的に制御することができるという効果を奏する。即ち、レーザビームの出力特性に応じてチャネル毎の電流補正値を生成し、生成したチャネル毎の補正値を用いて各チャネル共通の駆動電流を補正することによってレーザビームの光量を補正するので、回路規模の拡大を最小限に抑制しつつ、効率的にレーザビームの光量を制御することができるという効果を奏する。
画像形成装置は、レーザビームの光量をモニタして制御値を計算する制御手段と、同期信号および紙間信号を受領し、さらに制御手段から受け取った制御値を、光源を駆動する駆動手段に通知して前記レーザビームの光量制御を行う特定用途集積回路手段を含む光学装置を備えている。特定用途集積回路手段は、面発光レーザなどの光源から射出されるレーザビームで感光体を走査する前に、同期信号を受領して第1光量補正で予めレーザビーム光量を測定し、モニタ電圧とする。画像形成装置は、測定されたレーザビーム光量に対応する、モニタ電圧の値を利用して、潜像を形成させるための半導体レーザ素子の駆動電流についての補正値を、各レーザビームごとに計算する。
駆動電流補正値が計算された後、VCSELを、各レーザビームに対して補正した駆動電流レベルで駆動して設定光量での潜像形成を実行させる。補正値が設定できない場合、補正範囲の上限値または下限値を一時的に割当て、当該画像形成処理で、画像形成処理を停止させることなく、後続する紙間タイミングまで継続して画像形成を実行させる。このため、仮に特定の半導体レーザ素子の光量が制御範囲外となった場合でも、潜像形成に与える影響を最低化することができる。
また、制御手段は、特定用途集積回路手段が通知する紙間タイミングを使用して第2光量補正を行う。第2光量補正は、半導体レーザ素子が現在設定された補正範囲で設定光量を提供できるかどうかを判断し、現在設定された補正範囲で設定光量を提供できない場合、現在設定された駆動電流の値または補正範囲を修正する補正処理を実行する。特定用途集積回路手段は、制御手段からの制御値を受領して修正後の制御値で該当するチャネルの半導体レーザ素子を駆動させる。
上述したように、本実施形態の画像形成装置は、同期信号および紙間信号を使用して、潜像形成に与える影響を最低化させつつ、VCSELが射出する多数のレーザビームに対する最適な光量制御を可能とする。
このため、本実施形態の画像形成装置は、回路規模およびメンテナンスコストを最小化しつつ、潜像形成に対して重大な影響を与えることなく、良好な画像形成が可能となる。
以下、本発明を、実施形態をもって説明するが、本発明は、後述する実施形態に限定されるものではない。図1は、画像形成装置の実施形態を示す。画像形成装置100は、半導体レーザ、ポリゴンミラーなどの光学要素を含む光学装置102と、感光体ドラム、帯電装置、現像装置などを含む像形成部112と、中間転写ベルトなどを含む転写部122を含んで構成される。光学装置102は、半導体レーザ(図示せず)などの光源から放出された光ビームを、ポリゴンミラー102cにより偏向させ、fθレンズに入射させている。光ビームは、図示した実施形態ではシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に対応した数発生されていて、fθレンズ102bを通過した後、反射ミラー102aで反射される。
WTLレンズ102dは、光ビームを整形した後、反射ミラー102eへと光ビームを偏向させ、露光のために使用される光ビームLとして感光体ドラム104a、106a、108a、110aへと、光ビームを像状照射する。感光体ドラム104a、106a、108a、110aへの光ビームLの照射は、上述したように複数の光学要素を使用して行われるため、主走査方向および副走査方向に関して、タイミング同期が行われている。なお、以下、主走査方向を、光ビームの走査方向として定義し、副走査方向を、主走査方向に対して直交する方向、画像形成装置100では、感光体ドラム104a、106a、108a、110aの回転する方向として定義する。
感光体ドラム104a、106a、108a、110aは、アルミニウムなどの導電性ドラム上に、少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とを含む光導電層を備えている。光導電層は、それぞれ感光体ドラム104a、106a、108a、110aに対応して配設され、コロトロン、スコロトロン、または帯電ローラなどを含んで構成される帯電器104b、106b、108b、110bにより表面電荷が付与される。
各帯電器104b、106b、108b、110bにより感光体ドラム104a、106a、108a、110a上に付与された静電荷は、光ビームLにより像状露光され、静電潜像が形成される。感光体ドラム104a、106a、108a、110a上に形成された静電潜像は、現像スリーブ、現像剤供給ローラ、規制ブレードなどを含む現像器104c、106c、108c、110cにより現像され、トナー像が形成される。
感光体ドラム104a、106a、108a、110a上に担持されたトナー像は、搬送ローラ114a、114b、114cにより矢線Bの方向に移動する中間転写ベルト114上に転写される。中間転写ベルト114は、C、M、Y、Kトナー像を担持した状態で2次転写部へと搬送される。2次転写部は、2次転写ベルト118と、搬送ローラ118a、118bと含んで構成される。2次転写ベルト118は、搬送ローラ118a、118bにより矢線Cの方向に搬送される。2次転写部には、給紙カセットなどの受像材収容部128から上質紙、プラスチックシートなどの受像材124が搬送ローラ126により供給される。
2次転写部は、2次転写バイアスを印加して、中間転写ベルト114上に担持された多色トナー像を、2次転写ベルト118上に吸着保持された受像材124に転写する。受像材124は、2次転写ベルト118の搬送と共に定着装置120へと供給される。定着装置120は、シリコーンゴム、フッソゴムなどを含む定着ローラなどの定着部材130を含んで構成されていて、受像材124と多色トナー像とを加圧加熱し、印刷物132として画像形成装置100の外部へと出力する。多色トナー像を転写した後の中間転写ベルト114は、クリーニングブレードを含むクリーニング部116により転写残トナーが除去され、次の像形成プロセスに備えている。
なお、各感光体ドラム104a、106a、108a、110aの主走査方向の終点付近には、副走査ずれ検出装置(図示せず)が配設されていて、副走査方向のずれを検出している。
図2は、画像形成装置100の光学装置102を矢線Aの方向から見た場合の平面構成を示す。なお、図2には、静電潜像が形成される感光体ドラム104aに対する走査上の配置を説明するため、感光体ドラム104aについても併せて示す。光学装置102は、VCSELの駆動を制御するためのVCSELコントローラ(以下、GAVDとして参照する。)200を含んで構成されている。GAVD200は、特定用途集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)として構成されていて、画像形成装置100の画像形成を制御するメインCPU(図示せず)からの制御信号を受領して、VCSELの駆動制御を指令する。また、GAVD200は、メインCPUからの指令に応答してVCSELに対する工場調整信号、初期化信号、ラインAPC信号、紙間APC信号などを発行する。また、ラインAPCとは、画像形成装置100が動作中に、レーザビームが主走査方向に走査される毎のタイミングでレーザビームの光量補正を行う制御であり、紙間APCとは、複数の枚数を連続印刷中の印刷物と印刷物の間(紙間)において、ラインAPCとは異なる手法にてレーザビームの光量補正を行う制御のことである。
具体的には、紙間APCとは、図3に示すように、例えば、中間転写ベルトが搬送方向Bに移動する場合において、用紙Pのためのトナー像を形成するために光ビームLが感光体ドラムKを走査し、その後次の用紙P’に対する照射がされた場合に、光ビームLが感光体ドラムKを走査するまでの間であるINTで示した間隔において、レーザビームの光量補正を行う制御のことである。
さらに、光学装置102は、VCSEL208およびVCSEL208に対して駆動電流を供給するドライバ206を含んで構成されている。ドライバ206は、GAVD200による制御信号を受領して、対応する駆動電流でVCSEL208を駆動させ、レーザビームを発生させる。VCSEL208からのレーザビームは、本実施形態では、40チャネルに対応する40本射出されるものとして以下説明を行うが、射出されるレーザビームの数は特に限定はない。
レーザビームは、カップリング光学素子210により平行光とされ、アパーチャ211により波面を整形された後、誘電体多層膜コーティングなどにより形成されたハーフミラーを用いた光分離手段212によりモニタビームと走査ビームとに分離される。走査ビームは、ポリゴンミラー102cにより偏向されてfθレンズ102bを通過して感光体ドラム104aへと照射される。なお、感光体ドラム104aの走査開始位置付近には、フォトダイオード(PD)を含む同期検出装置220が配置されている。同期検出装置220は、レーザビームを検出し、第1光量補正を含む各種制御についてのタイミングを与える同期信号を発行する。
また、上記光分離手段212として、特開2007−298563に示されるような一部のビームを通過させ、残りのビームを反射させる光反射部材を用いることができる。図4に、光反射部材を用いた光分離手段212を、レーザビームの進行方向に向かって見た図を示す。この光分離手段212の形状は、アパーチャ211を通過したビームを整形する役割も担っており、図5(a)〜(c)に示すように、図5(a)が略円形の断面を持つビームとすると、図5(b)は整形後のビーム断面を、図5(c)は光分離手段212を通過しないビーム断面を示している。従来、アパーチャでは通常捨ててしまう図5(c)のビームを、この光分離手段212では、光反射部212bにより反射し、この反射されるビームをモニタビーム、開口部212aを通過するビームを走査ビーム、とする(以後この光分離形態をアパーチャミラーと呼ぶ)。このアパーチャミラー方法では、モニタビームを作るために、前述したハーフミラー方式のように走査ビームの一部を分割する必要が無く、通常捨てられてしまう光量を使用するので、その分VCSEL208の発光量をハーフミラー方式より小さく抑えることが出来る。また、アパーチャミラー方式の場合、光学装置102よりアパーチャ211は取り除かれる。
ただし、光分離手段212の走査ビームとモニタビームの分離の比率の点において、ハーフミラー方式ではその比率は一定にできるが、アパーチャミラー方式では、その分離比率がVCSELのビーム広がり角という、レーザ光の発光点からの広がりを表す値により異なってしまう。これは、図6(a)、(b)に示すように、アパーチャミラー光分離手段211の開口部212aを通過するビーム面積と、光反射部211bで反射するビームを通るビーム面積の比率が、例えば、広がり角が大きいビーム208aでは5:5、ビーム広がり角が小さいビーム208bでは7:3といった値になるためである。同一のVCSEL内においても、チャネルごとにそのビーム広がり角は異なるため、その分離比率もチャネルごとに異なる。この問題点に関しての対策は、後述するモニタ電圧をメモリに記録する実施例にて説明する。なお、以後は、光分離手段212はアパーチャミラーとして説明する。
光分離手段212で分離された他方のレーザビームは、モニタビームとして利用される。モニタビームは、全反射ミラー214により第2集光レンズ216へと反射され、第2集光レンズ216を経てフォトダイオードなど光電変換素子218に照射される。光電変換素子218は、モニタビームの光量に対応したモニタ電圧Vpdを発生させる。発生したモニタ電圧Vpdは、電圧変換部202に入力され、演算処理を実行する駆動電流制御部204へと送られる。駆動電流制御部204は、GAVD200へとレーザビーム光量の値から計算された、例えば8ビットのVCSEL制御値を、ドライバ206による駆動電流の制御のために生成し、ドライバ206へと送っている。なお、電圧変換部202および駆動電流制御部204は、別モジュールとして構成することもでき、また一体として構成され、処理のために使用する各種制御値を格納するROM、RAMなどを備えるマイクロコントローラとして構成してもよい。
図7は、図2で説明したVCSEL208の駆動回路の詳細なブロック図を示す。GAVD200は、メインCPU300からの制御信号を受領して、VCSEL208の工場設定調整、初期化設定、および同期検出装置220動作制御を開始する。一方、図7に示した実施形態では、電圧変換部202は、A/D変換部304として構成され、また駆動電流制御部204は、演算部306として構成され、さらに演算部306が使用する各種制御値などを格納するROM領域およびRAM領域を含むメモリ308を含むマイクロコントローラ302として実装される。メモリ308は、工場設定データなどを格納するROMと、処理のために必要な値を格納するレジスタメモリなどとしても利用されるRAMを含んで構成されている。
マイクロコントローラ302は、GAVD200からの指令に対応して、工場設定データと、レーザビームの光量とを使用して初期化設定を実行し、初期化設定された値を、RAMの一部が割り当てられるレジスタメモリに格納する。その後、マイクロコントローラ302は、GAVD200からの指令に応答して、動作制御のための値を計算し、レジスタメモリに格納されVCSEL208の制御データを更新して、VCSEL208の連続動作および画像形成装置100の環境変動によるVCSEL208の光量制御を実行する。
マイクロコントローラ302から送られたVCSELの制御値は、GAVD200に送られ、初期設定電流値を使用して計算された補正値として、各チャネルの点灯信号と共にドライバ206に入力される。ドライバ206は、入力される補正値をPWM変換して駆動電流を設定し、チャネル点灯信号により指定されるチャネルへと当該駆動電流レベルの電流を供給し、VCSEL208の該当するチャネルのレーザビームの光量にフィードバックする。
ドライバ206は、半導体レーザ素子ごとにチャネルが割り当てられており、さらに当該チャネル共通のしきい値電流IbとIsw、および半導体レーザ素子ごとに異なる補正値DEViを使用して、VCSEL208に対してPWM制御を行う。iはVCSEL208のレーザビームの各chを表しており、本実施形態ではch=1〜40の値を取る。
図8は、このドライバ206の詳細を示すブロック図である。図8において、ドライバ206は、補正値設定部206a、バイアス電流設定部206b、LD電流供給部206c、および共通電流供給部206dから基本的に構成されている。補正値設定部206aは、各半導体レーザ素子LDにそれぞれ設けられ、各補正値設定部206aには共通電流供給部206dから共通電流Iswが供給され、LD電流供給部206cは補正値設定部206a、バイアス電流設定部206bでそれぞれ設定された電流値を加算して半導体レーザ素子LDに供給する。
なお、前記補正値設定部206a、LD電流供給部206cは、各半導体レーザ素子LDにそれぞれ設けられ、前述のようにLDは40チャネル設けられていることから、図8では、1chから40chまで各符号に添え字を付けて区別している。共通電流供給部206dは0〜5mAの間を8bitのデジタルアナログ変換器であるDAC(Isw[7:0])によって設定可能である。
補正値設定部206aは供給される共通電流に対して各ch個別の補正値DEVを設定する。補正値設定部206aでは、Iswで設定された電流値を68%〜132%で補正可能であり、この補正値はDAC(DEV[7:0])で設定される。バイアス電流設定部206bは、ドライバ206により予め設定された値Ib、例えば3mAを各チャネルに供給する。このような各部を備えたドライバ206では、例えば各chの半導体レーザ素子LDi(iは1〜40の整数)では、LD電流i=Isw×DEVi+Ibの駆動電流が供給できる。
図9は、本実施形態でのVCSEL208のレーザビームの出力特性(以下、I−L特性として参照する。)400の実施形態を示す。また、VCSEL208は、40chの半導体レーザ素子から構成されているものとして説明する。半導体レーザ素子は、レーザ発振を開始するしきい値電流Ibが存在し、また素子特性に対応して、出力L−駆動電流レベルIが相違する。このため、各半導体レーザ素子に対して同一のレーザビーム光量を与えるため、駆動電流Iηは、初期設定時であっても値ΔIで示される分だけ相違することになる。
図10は、マイクロコントローラ302のメモリ308のROM領域に格納される、VCSEL208の制御データ500の実施形態を示す。VCSELの制御データ500は、半導体レーザ素子に割り当てられたチャネル502ごとに各種の制御値が登録されている。制御値500としては、工場出荷時に設定された、走査ビームが所定光量発光時の光電変換素子218のモニタ電圧であるVpd(0)を登録する。なお、前述したように、光分離手段212をアパーチャミラーにした場合、各チャネルの走査ビームが所定光量で同一でも、光分離手段212の走査ビームとモニタビームの分離比率が異なるため、得られるモニタ電圧は各チャネルで異なる。したがって、各チャネルごとに異なるモニタ電圧Vpdi(0)を登録することで、アパーチャミラーの光分離率のチャネル間バラツキを吸収する。また、Isw(0)は、半導体レーザ素子それぞれに設定光量を与えるための電流値である工場設定時に得られたIswiの中央値(Iswiの最大値と最小値の平均値)であり、初期化光量制御時のモニタ光量を与えるための電流である。
一方、メモリのRAM領域には、画像形成装置100が画像形成動作を実行している時に初期設定により得られた当該チャネルの半導体レーザ素子が設定光量を与えるための駆動電流の値であるIsw(1)が登録されている。その時の電流補正値510であるDEVi(0)が対応して登録されている。なお、Isw(m)と、DEVi(n)との関係は、下記式(1)で与えられるように、使用している光電変換素子、半導体レーザ素子の特性に応じて予め工場設定値としてROM領域内に設定される値を使用して初期設定により与えられる各値を使用して計算される。

なお、上記式中、m、nは、1以上の整数であり、補正値を計算する処理を説明するために用いるものであって、特定の回数を登録するために使用するものではない。また、n=1の時のDEVi(0)の値は1とする。また、Isw(0)は工場設定時に得られる値であり、DEVi(n)_max、DEVi(n)_minは、現在設定されている各chのDEVi(n)の最大値と最小値である。また、Vpdi(0)は、初期設定時に得られた光電変換素子218の出力電圧であり、マイクロコントローラ302の適切なアドレスのレジスタメモリに格納しておくことができる。
上述した関係は、補正値が、I−L特性的に、図11で与えられる関係にある場合に適用されるものである。図11で示すように、設定光量が出力されていれば、光電変換素子218の出力は、Vpdi(0)となる。ここで、ラインAPC制御時に光電変換素子の出力電圧が、Vpdi(n)であることが検出されると、レーザビームの光量が低下しているものと判断され、補正値であるDEVi(n)の値を計算し、GAVD200に通知する。DEVi(n)の値を通知されたGAVD200は、チャネル番号とDEV値とをドライバ206に送付する。
ドライバ206は、受領したチャネル番号および補正値DEViの値を使用して、PWM信号を生成させ、使用してチャネルiで指定される半導体レーザ素子に駆動電流を供給する。なお、本実施形態では、DEViの値は、8ビットの分解能で設定されており、Iswを、例えば68%〜132%の範囲で可変としている。
以下、本実施形態での光量制御について説明する。
(1)工場設定
工場出荷時において、VCSEL208の各チャネルが、感光体ドラム面上に規定光量でレーザビームを照射している場合の光電変換素子218によるモニタ電圧の値を、ROMライタを使用してマイクロコントローラ302に記録する。このときの測定は、感光体ドラム面に相当する位置に光センサを配置し、モニタ電圧の値と感光体ドラム面上でのレーザビーム光量との相関性を取得する。光センサは、パーソナルコンピュータ(以下、PCとして参照する。)に接続されている。また、PCは、GAVD200を制御しており、PCからGAVD200を介して演算部306に、工場調整開始信号が送られる。
マイクロコントローラ302は、GAVD200を介して、ドライバ206に、最初に工場調整を行うチャネル(ch1とする。)の動作イネーブル信号をONし、その後、駆動電流Iswiを徐々に上げていく。光センサは、ch1のレーザビームの光量が設定光量に達したことを検出すると、PCに通知する。当該通知を受領したPCは、GAVD200を介し、マイクロコントローラ302に、ch1のレーザビーム光量が設定光量に達したことを通知する。マイクロコントローラ302は、当該通知を受け取ると、その時点で光電変換素子218の出力電圧Vpd1をメモリ308のROM領域に記録し、同時に電流値Isw1を、メモリ308のRAM領域(NVRAM)に記録する。メモリ308に記録するデータ内容は、図10に示す通りである。上述した処理を、40ch記録するまで繰り返す。40chの記録が終了したら、PCは、Isw1〜Isw40の中央値Isw(0)を計算し、メモリ308のROM領域に書込む。
(2)画像処理装置の初期化動作
画像形成装置100は、ユーザにより使用される場合、画像形成装置100の起動時または動作開始時に初期化動作が実行される。初期化動作は、VCSEL208のレーザビームで、感光体ドラムを照射する前に実行される。初期化動作は、VCSEL208の40ch分のDEVi(1)を計算する処理を行う。初期化動作のフローチャートを図12に示す。初期化動作は、ステップS700でユーザにより画像形成装置の電源がONされるか、またはオートモードでユーザからの画像形成指令を受け付けて画像形成が開始される。初期化動作は、まず、メインCPU300からGAVD200へと、初期化開始信号が送られる。GAVD200は、マイクロコントローラ302に初期化開始信号を受け取ったことを通知する。ステップS701では、マイクロコントローラ302は、当該通知を受け取ると、初期化を最初に始めるVCSEL208のチャネル番号(例えば、ch1)と、工場設定として初期設定されているメモリ308内のROM領域に記録されたIsw(0)を、GAVD200を介して、ドライバ206に送信する。
次いで、GAVD200は、ステップS702で同期検出装置220からの同期検知信号(以下、DETP信号として参照する。)に同期してch1を、共通の駆動電流Isw(0)×DEV1(1)=100%(補正量0に対応する。)で一定時間点灯させる。一定時間点灯している期間内に、マイクロコントローラ302は、A/D変換部304によりモニタ電圧Vpd1(1)を取得する。その後、ステップS703で、マイクロコントローラ302は、取得したモニタ電圧Vpd1(1)と、ROM領域に記録され初期値として使用される設定光量出力時の光電変換素子218の出力値Vpd1(0)とから、ch1の補正値であるDEV1(1)を計算する。DEV1(1)の計算式は、上記式(1)のn=1の式で与えられる。
ステップS704では、すべてのチャネルについて初期化動作が終了したか否かを判断し、すべてのチャネルについて終了していない場合(no)、処理をステップS701に分岐させ、DETP信号に同期して、ch2、ch3、…、ch40について初期化を実行し、DEV40(1)を取得する。また、全チャネルについて初期化動作が終了した場合(yes)、処理をステップS705に進め、初期化動作を終了させる。なお、初期化動作で計算した各chのDEVi(1)は、上記式(1)に示すように、次回の動作での補正値変化量を与える基準値として必要なので、メモリ308のRAM領域に記録する。
図13には、初期化動作でのマイクロコントローラ302の処理のタイミングチャートを示す。初期化動作は、メインCPU300が初期化開始通知であるapcsttrig_rをアサート(本実施形態では、apcsttrig_r=high)を発行し、GAVD200が当該通知を受領して、ラインAPC制御信号であるAPCSTARTをアサートした時点で開始される。マイクロコントローラ302は、GAVD200が発行したAPCSTARTを受信して、初期化開始チャネル設定、Isw(0)送信、ストローブコマンドであるSW_STBなどのコマンドをGAVD200に発行する。ストローブSW_STBは、GAVD200によりドライバ206に向けて送信され、これにより、ドライバ206側で先に受信したIswの値、この場合はIsw(0)が確定される。
SW_STBコマンドによるストローブ信号SW_STB送信後、マイクロコントローラ302は、Isw(0)データ設定終了を示すswend_rをアサートし、メインCPU300に通知する。メインCPU300は、半導体レーザ素子のイネーブル指令信号であるslp_rをアサートする。イネーブル指令信号slp_rを受領したGAVD200は、ドライバ206に対して全チャネルのスリープの解除を指令する。その後、GAVD200は、同期検出装置220による同期検知信号を検出すると、APCイネーブルを指令する信号ACPENをマイクロコントローラ302に発行する。
マイクロコントローラ302は、APCENを受領してDEVi(1)の値を計算する。さらに、マイクロコントローラ302は、計算終了後、DEViのデータDEV_Dを送信する。同様の処理は、40ch目のDEV_Dが送信完了するまで繰り返される。40ch目のDEV_Dが送信完了すると、マイクロコントローラ302は、初期化終了を通知するshokiend_rをGAVD200に発行する。また、マイクロコントローラ302は、半導体レーザ素子のエラー状態を通知されると、エラー信号LDERRを発行する。なお、LDERRについては、より詳細に後述する。
初期化動作の後、マイクロコントローラ302は、GAVD200を介して、マイクロコントローラ302が算出した補正値であるDEV1(1)を、ドライバ206に送信する。ドライバ206は、DEV1(1)を取得して、制御電圧を設定し、ch1に供給する駆動電流を、Isw(0)×DEV1(1)として設定し、ch1が割り当てられた半導体レーザ素子を、PWM制御などにより工場設定時の設定光量と同一の値に制御することが可能となる。
(3)画像形成動作
画像形成装置100は、初期化動作によって決定された補正値DEVi(1)を用いて、画像形成動作を開始する。画像形成動作は、感光体ドラム上に静電荷を付与し、半導体レーザによる露光によって静電潜像を形成し、トナーによる現像、転写、定着、印刷物排出を含む、従来の処理を使用することができる。
また、画像形成装置100は、コピー動作の期間中、ラインAPCを使用して、環境変動に伴うレーザビーム光量を制御して画像形成を実行する。なお、初期化動作以降のDEViの計算およびDEViのフィードバックによるレーザビーム光量制御を、以下、ラインAPCとして参照する。ラインAPCは、主走査ラインの1走査ごとにDETP信号に同期して行われる。図14に、GAVD200およびマイクロコントローラ302により実行されるラインAPCのタイミングチャートを示す。なお、図14のタイミングチャートは、連続的なラインAPCの制御を説明するために、前回のラインAPCのチャネル40測定終了時点から開始している。図14に示すように、GAVD200が、同期検出装置220からの同期信号DETP_Nを受領すると、GAVD200は、データ取得のためのゲートlgateを設定する。その後、GAVD200は、PWMON信号を発行し、図示した実施形態では、チャネル40を指定してAPCENを発行し、チャネルch40の半導体レーザ素子を駆動させ、モニタビームを発生させる。
マイクロコントローラ302は、この間、DEV40(n)を計算し、DEV40(n)の計算が終了すると、シリアル通信を使用してGAVD200に対しDEV40(n)を送信する。そして、GAVD200はドライバ206に向けてストローブ信号DEV_STB40を送信し、DEV40(n)の値をドライバ206に設定する。その後、再度GAVD200が、同期検出装置220からの同期信号を取得すると、チャネル1を指定し、Vpd(n+1)を読み取り、DEV1(n+1)を計算し、計算されたDEV1(n+1)を、シリアル通信を使用してGAVD200に送信する処理を実行する。そして、GAVD200はドライバ206に向けてストローブ信号DEV_STB1を送信し、DEV1(n)の値をドライバ206に設定する。なお、Vpd(n+1)が検出できない場合は、ch1が割り当てられた半導体レーザ素子がエラーであることを通知する信号LDERRを発行する。
図15は、画像形成装置100が実行する画像形成方法の実施形態のフローチャートを示す。画像形成装置100は、通常、B5、A4、B4、A3などの規格とされたサイズの上質紙やプラスチックフィルムに画像形成を行う。一方、ラインAPCを実行している間、比較的多い枚数を印刷していると、画像形成装置100および光学装置102内の温度が上昇値が高くなり、DEVの補正範囲(ここでは68%〜132%)では補正しきれなくなる場合が想定される。
これを図を用いて説明すると、まず初期化直後のIswおよびDEVの状態が図16に示すように、Iswは各chの電流値のバラツキの中央にあり、各chのDEVの値はIswの値を中心に±均等の範囲に設定される。その後、印刷が開始すると、光学装置102内の温度が上昇し、それに伴いVCSEL208の温度も上昇する。VCSEL208の温度が上昇すると、図16に示した各chの電流値は図17の様に全体的に増加する。そして、印刷枚数が多く、温度上昇が継続すると、図18に示すように、やがて、DEVの調整範囲を超えてしまい、ラインAPCで目標光量に調整できなくなったchについては、光量が目標光量に対して小さくなり、薄い画像を出力してしまうことになる。
そこで、ラインAPC中にDEVの調整範囲の上限および下限に達したchが発生した場合、各ch共通電流のIswの変更を行う。変更するIswの値は上記式(1)で計算される。ただし、計算した新しいIswをドライバ206に設定した場合は、新しいIswに対して各chのDEV値を再設定しなくてはいけなく、その分上記ラインAPCを実行しなくてはならない。今回のように40chの場合は40回のラインAPCを実行することになる。
しかし、このIswの変更と40回のラインAPCを画像形成中(感光体に画レーザビームで画像を露光中)に実行してしまうと、40回のラインAPCが終わるまでの間、感光体ドラム上のレーザビームの光量は所定の値と異なるものとなり、その間出力される画像は、異常な濃度の画像となってしまう。
そこで、このIswの変更と各chのDEVの再設定は、画像形成を行わない印刷物と印刷物の間の紙間で実行することとする。紙間で実行することにより、印刷する画像に影響を与えることなく、かつIswの変更と各chのDEVの再設定にかかる時間は、レーザビームの主走査方向の40回走査分の数msであり、このために紙間を広げる必要は無いため、印刷の生産性を落とすことなくIswの変更と各chのDEVの再設定を行うことができる。
また、上記実施例では、DEV調整範囲の上限および下限値に達した時に、共通電流Iswの変更を次にくる紙間で行うとしたが、そうした場合、つぎの紙間が来るまでに更に電流量の変動があった場合、DEVの調整量を超えているため電流の補正ができなくなり、出力する画像に異常を発生する可能性がある。
そこで、もう1つの実施例として、Iswの変更を行うかどうかの判断を、DEV調整範囲の上限および下限値ではなく、上下限値にマージンを持たせた値で行うことにする。マージンの量としては、1枚の印刷が終了するまでの時間で変動する電流量の最大値分、例えば5%を設定する(図19)。そうすることにより、つぎの紙間が来るまでに更に電流量の変動があったとしても、その分を設定したマージン分の補正量でカバーすることができ、画像に異常を発生させることも無くなる。
また、画像形成装置100の周囲温度や、画像形成装置100を長期に使用したことによるVCSEL208の劣化により各chの駆動電流が増加し、上記したVCSEL208初期化時に、DEVの値が調整値の上下限値、またはマージンを足した調整値に達する可能性がある。この場合は、初期化後にこの紙間APCを実行し、画像形成前にIswを各chの駆動電流の中央値に再設定することにより、周囲温度や劣化による駆動電流の増大を吸収する。これにより、VCSELを用いた画像形成装置の長期使用を可能とする。
図15の処理は、ステップS1000から開始し、ステップS1001でレーザチャネルを指定する。ステップS1002で、共通電流と補正値によるIsw(m)×DEVi(n)の電流を流し、チャネルiのレーザビームの光量を測定する。ステップS1003では、レーザビームの光量に対応するDEViを計算し、DEViの制御範囲で対応可能か否かを判断する。ステップS1003の判断で、制御可能範囲外のものがないと判断された場合(no)、図13および図14で説明した処理を使用して、第1光量補正であるラインAPCを実行し、ステップS1004で補正値を更新しレジスタメモリに格納させる。
一方、ステップS1003の判断で、制御可能範囲外のものがあると判断された場合(yes)、処理をステップS1009に分岐させ、紙間APC実行フラグをONする。そして、処理をステップS1007に分岐させる。なお、制御可能範囲外を登録する方法については種々想定され、範囲外フラグを設定する方法、レジスタメモリの所定アドレスに記述する方法などを利用することができる。
ステップS1007では、GAVD200は、メインCPU300から紙間タイミングであることを指令する紙間信号fgateがネゲートされているか否かを判断し、fgateがネゲート(fgate=low)されておらず、紙間タイミングでない場合(no)には、処理をステップS1001に分岐させて、次のレーザチャネルを指定する。一方、ステップS1007でfgateがネゲートされていて紙間タイミングであると判断された場合(yes)、処理をステップS1008に分岐させて紙間APC処理を実行する。
図20は、ステップS1008での、紙間APC処理の実施形態のフローチャートを示す。ステップS1100から開始し、ステップS1101で、紙間APC実行フラグの状態で、制御可能範囲外か否かを判断する。ステップS1101の判断で、制御範囲外でないと判断された場合(no)、処理をステップS1106に分岐させ、通常のラインAPCと同様の処理を行ってレーザビーム光量を制御する。
一方、ステップS1101で、制御範囲外であると判断された場合(yes)、ステップS1102で、該当するチャネルの駆動電流値を増減させるように2次補正値SCを設定し、SC×Isw(m)=Isw(m+1)の値を新規Iswとして、さらにその新規Iswに対応するレーザチャネルを指定し(ステップS1103)、ステップS1104でGAVD200に送信し、データを書き換えて制御範囲内となるように設定する。なお、新規Iswの算出式として、上記式(1)を使用した場合、2次補正値SCはDEVi(n)_max+DEVi(n)_min}/2、となる。
その後、ステップS1104にてさらに新規Iswに対する各チャネルのDEVをラインAPCにて求め、ステップS1105で全チャネル検査終了したか否かを判断し、全チャネルの検査が終了した場合(yes)、処理をステップS1106に分岐させ、fgateをアサートさせるための紙間APC処理終了通知を発行する。また、全チャネルの検査が終了していない場合(no)処理をステップS1103に分岐させて、全チャネルの検査が終了するまで処理を繰り返す。
また、計算された2次補正値SCは、メモリ308がリセットされるまで、紙間APC処理が実行されるごとに計算し、更新することにより、画像形成装置100の画像形成特性に対応して適切なレーザビーム光量を出力する。なお、2次補正値は、画像形成装置100の(1)リセット、(2)オートパワーオフ、(3)電源スイッチオフなどのイベントによりクリアされるまで保持される。また、初期設定値は、次回の起動時またはパワーオン時に初期設定とともに再度設定される。
図21は、マイクロコントローラ302が実行する紙間APC処理のタイミングチャートを示す。マイクロコントローラ302は、GAVD200から、紙間である紙間信号fgateがネゲートされるタイミングを検出し、紙間APC処理を開始する。fgateがネゲートされると、マイクロコントローラ302は、制御可能範囲外であるか否かにつき、図20に示した処理を実行させ、Iswの修正またはDEViの修正を実行し、最終チャネルであるch40の処理が終了するまで処理を継続する。ch40の処理が終了した時点で、マイクロコントローラ302は、GAVD200に、紙間APC処理終了通知kamikan_r信号を発行し、GAVD200によるVCSEL208の制御を開始させる。
このように、画像形成中には行えない全体の光量制御を、時間的余裕がある紙間で行うことにより、作像を中断させること無く、高速な画像形成を可能とする。
本実施形態のマイクロコントローラ302は、光電変換素子218の出力レベルが、半導体レーザ素子の機能不全であるしきい値を、メモリ308のROM領域に格納しており、半導体レーザ素子が機能不全であると判断した場合、半導体レーザ素子の機能不全を通知するエラー通知LDERRを発行し、GAVD200に通知を行う。GAVD200は、LDERRがアサートされるとメインCPU300に通知を行い、サービスコールの表示などの処理を指令する。以下、LDERR発行処理について説明する。
マイクロコントローラ302は、光電変換素子218の出力レベルを判断し、エラーと判断した場合、LDERR信号をアサートし、同時に工場設定時の初期設定値としてメモリ308のROM領域に格納したエラーコードを読み出して、GAVD200に送信する。GAVD200は、レジスタメモリに、エラーの種類を示す値を設定し、メインCPU300にエラーの種類を通知して、以後の対応について判断させる。
工場調整時に、工場設定としてROM領域に登録するエラーの種類は以下の種類を例示することができる。
(1)エラーNo.1:光電変換素子218の故障
検出方法…VCSEL208の、全てのchのモニタ電圧が0V、かつ同期検出装置220などレーザビームの出力レベルを利用する光量測定器の出力は0mVではない場合。
(2)エラーNo.2:VCSEL208の故障
検出方法…VCSEL208の、全てのchのモニタ電圧が0V、かつ光量測定器の出力も0mVの場合。
(3)エラーNo.3:VCSEL208の特定chの故障
検出方法…VCSEL208の、特定のchのモニタ電圧が0Vの場合。この場合、故障chの番号もGAVD200に送信し、GAVD200のレジスタメモリに書込む。
また、初期化動作時のエラーについても同時にROM領域に登録して、判断処理に利用することができる。
初期化時に検出されるエラーの種類は、例えば、以下に説明する機能不全を挙げることができる。
(4)エラーNo.4:全chのモニタ電圧得られず
検出方法…VCSEL208の、全てのchのモニタ電圧が0Vの場合。
(5)エラーNo.5:特定chのモニタ電圧得られず
検出方法…VCSEL208の、特定のchのモニタ電圧が0Vの場合。
(6)エラーNo.6:VCSEL208の劣化
検出方法…全チャネルについてDEVの調整範囲が±32%を超えた場合。
さらに、LDERRは、ラインAPC時についても設定でき、ラインAPC時に検出される可能性の有るエラーの種類は、例えば以下として登録しておくことができる。
(7)エラーNo.7:特定chのモニタ電圧得られず
検出方法…VCSEL208の、特定のchのモニタ電圧が0Vの場合。
(8)エラーNo.8:VCSEL208の劣化
検出方法…全チャネルについてDEVの調整範囲が±32%を超えた場合。
また、紙間APC時に検出されるエラーの種類は、例えば以下のように設定することができる。
(9)エラーNo.9:VCSEL208の劣化
検出方法…Isw変更後も、DEVの調整範囲が±32%に収まらない場合。
上述したエラーのうち、エラーNo.6、8については紙間APC処理で対応し、紙間APC処理で対応できない場合、最終的にエラーNo.9として通知することができる。画像形成装置100は、GAVD200が取得したエラー情報をメインCPU300に通知する。メインCPU300は、当該通知を受領し、サービスコールなどとして、画像形成装置100のオペレーションパネルに表示させる。
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置は、VCSELの光量補正を、VCSELによる多数のレーザビームが射出されることを効果的に利用して行うことを可能とする、画像形成装置および画像形成方法を提供することができる。このため、本実施形態の画像形成装置は、回路規模およびメンテナンスコストを最小化しつつ、潜像形成に対して重大な影響を与えることなく、良好な画像形成が可能となる。
これまで本発明を、実施形態をもって説明してきたが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本実施形態の画像形成装置の概略図である。 本実施形態について、光学装置の平面構成を示す概略図である。 紙間APCのタイミングの具体例を示す図である。 レーザビームの進行方向より見た場合の光反射部材を用いた光分離手段を示す図である。 (a)光分離手段によって整形される前のアパーチャのビームの形状、(b)整形後のビーム断面、(c)光分離手段を通過しないビーム断面の例を示す図である。 (a)ビームの広がり角が大きい場合のアパーチャミラー光分離手段の開口部を通過するビーム面積と、光反射部で反射するビームを通るビーム面積の比率を示す図、(b)ビームの広がり角が小さい場合のアパーチャミラー光分離手段の開口部を通過するビーム面積と、光反射部で反射するビームを通るビーム面積の比率を示す図である。 図2で説明したVCSELの駆動回路の詳細なブロック図である。 ドライバの詳細を示すブロック図である。 本実施形態でのレーザビームの出力特性の実施形態を示した図である。 マイクロコントローラのROM領域に格納される、VCSELの制御データの実施形態を示した図である。 補正値を計算する処理の実施形態を示した図である。 初期化動作の実施形態についてのフローチャートである。 初期化動作でのマイクロコントローラの処理のタイミングチャートである。 GAVDおよびマイクロコントローラにより実行されるラインAPCのタイミングチャートである。 画像形成装置の画像形成方法の実施形態のフローチャートである。 初期化直後のIswおよびDEVの状態の例を示す図である。 VCSEL208の温度が上昇した場合の各chの電流値の変化を示す図である。 VCSEL208の温度が上昇し、DEVの調整範囲を超えた場合の各chの電流値の変化を示す図である。 Iswの変更を行うかどうかの判断を、DEV調整範囲の上下限値にマージンを持たせた値で行った場合の例を示す図である。 紙間APC処理の実施形態のフローチャートである。 マイクロコントローラが実行する紙間APC処理のタイミングチャートである。 光源ユニットが半導体レーザアレイ、または面発光レーザから構成される場合の例を示す図である。
符号の説明
100 画像形成装置
102 光学装置
102a 102e 反射ミラー
102b fθレンズ
102c ポリゴンミラー
104a 106a 108a 110a 感光体ドラム
104b 106b 108b 110b 帯電器
104c 106c 108c 110c 現像器
112 像形成部
114 中間転写ベルト
114a 114b 114c 搬送ローラ
118 2次転写ベルト
120 定着装置
122 転写部
124 受像材
130 定着部材
132 印刷物
200 VCSELコントローラ(GAVD)
202 電圧変換器
204 駆動電流制御部
206 ドライバ
208 VCSEL
210 集光レンズ
211 アパーチャ
212 光分離手段
214 全反射ミラー
216 集光レンズ
218 光電変換素子
220 同期検出装置
300 メインCPU
302 マイクロコントローラ
304 A/D変換部変換部
306 演算部
308 メモリ
400 出力特性(I−L特性)
500 制御値

Claims (11)

  1. レーザビームを出射する複数の光源と、
    前記複数の光源から出射された複数の前記レーザビームのそれぞれを、光量を測定するための第1のレーザビームと、感光体を走査するための第2のレーザビームとに分離する分離手段と、
    前記第1のレーザビームの光量を測定し、測定された前記第1のレーザビームの光量に応じた電圧を出力する光電変換手段と、
    前記光電変換手段が出力した電圧に基づいて前記レーザビームの光量を補正するための前記複数のレーザビームの各レーザビームごとに設定される電流補正値と、前記複数の光源を共通して駆動するための、あらかじめ定められた共通の駆動電流とに基づいて、前記レーザビームの光量を制御する制御手段と、を備えること、
    を特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、前記第2のレーザビームが前記感光体を走査する際に前記電流補正値を更新するタイミングを示す同期信号に応答して、前記レーザビームの光量を補正する第1光量補正を実行し、または第2のレーザビームが出力媒体のための前記感光体への走査を終了し、次の出力媒体のための前記感光体への走査を開始する間に、前記共通の駆動電流を補正するタイミングを示す紙間信号に応答して、前記レーザビームの光量を補正する第2光量補正とを実行することにより前記レーザビームの光量を制御すること、
    を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記電流補正値の範囲が、あらかじめ定められた前記光量の補正対象範囲内にある場合には、前記同期信号に応答して前記第1光量補正を行い、前記電流補正値の範囲が、前記光量の補正対象範囲を超えた範囲にある場合には、前記紙間信号に応答して前記第2光量補正を行うこと、
    を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御手段は、前記電流補正値によって補正された駆動電流と、前記補正対象範囲内にある前記駆動電流に対応する前記電圧と、あらかじめ定められた設定電圧と、に基づいて前記補正対象範囲内における前記駆動電流の補正値を計算し、この補正値に基づいて前記第1光量補正を行うこと、
    を特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御手段は、さらに前記電流補正値を、前記制御手段が格納する前記設定電圧を、前記レーザビームを前記共通の駆動電流および前記補正対象範囲内で前記レーザビームを出射した場合の前記電圧で除した値に、現在の前記駆動電流補正値を乗じることにより求め、求めた前記電流補正値に基づいて前記第1光量補正を行うこと、
    を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 前記制御手段は、前記レーザビームの光量が前記補正対象範囲内の光量とならない場合に、前記共通の駆動電流を増減させる2次補正値を計算し、この2次補正に基づいて前記第2光量補正を実行すること、
    を特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
  7. 前記制御手段は、前記レーザビームの前記電流補正値によって補正された駆動電流が、前記レーザビームの駆動電流の補正値の最大値と最小値の平均値となるように、前記2次補正値を計算し、この2次補正値に基づいて前記第2光量補正を行うこと、
    を特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記複数の光源のそれぞれは、面発光レーザであり、
    前記制御手段は、前記第1光量補正を、前記レーザビームのそれぞれを前記感光体の主走査方向に走査するタイミングで前記光量を制御するライン制御処理の実行中に実行し、前記第2光量補正を、第2のレーザビームが出力媒体のための前記感光体への走査を終了し、次の出力媒体のための前記感光体への走査を開始するタイミングで前記光量を制御する紙間制御処理の実行中に実行すること、
    を特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
  9. レーザビームを出力する複数の光源を備える画像形成装置で実行される画像形成方法において、
    分離手段が、前記複数の光源から出射された複数の前記レーザビームのそれぞれを、光量を測定するための第1のレーザビームと、感光体を走査するための第2のレーザビームとに分離する分離ステップと、
    光電変換手段が、前記第1のレーザビームの光量を測定し、測定された前記第1のレーザビームの光量に応じた電圧を出力する光電変換ステップと、
    制御手段が、前記光電変換手段が出力した電圧に基づいて前記レーザビームの光量を補正するための前記複数のレーザビームの各レーザビームごとに設定される電流補正値と、前記複数の光源を共通して駆動するための、あらかじめ定められた共通の駆動電流とに基づいて、前記レーザビームの光量を制御する制御ステップと、を含むこと、
    を特徴とする画像形成方法。
  10. 前記制御ステップは、前記第2のレーザビームが前記感光体を走査する際に前記電流補正値を更新するタイミングを示す同期信号に応答して、前記レーザビームの光量を補正する第1光量補正を実行し、または第2のレーザビームが出力媒体のための前記感光体への走査を終了し、次の出力媒体のための前記感光体への走査を開始する間に、前記共通の駆動電流を補正するタイミングを示す紙間信号に応答して、前記レーザビームの光量を補正する第2光量補正とを実行することにより前記レーザビームの光量を制御すること、
    を特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
  11. 前記制御ステップは、前記電流補正値の範囲が、あらかじめ定められた前記光量の補正対象範囲内にある場合には、前記同期信号に応答して前記第1光量補正を行い、前記共通の駆動電流が、前記光量の補正対象範囲を超えた範囲にある場合には、前記共通の駆動電流を増減させる2次補正値を計算し、この2次補正に基づいて前記第2光量補正を実行すること、
    を特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。



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