JP2013035161A - 画像形成装置、光源発光状態検出方法及びプログラム - Google Patents

画像形成装置、光源発光状態検出方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】 温度変化により発光量が変動する光源の発光量を制御するために設定した制御値が適正範囲にあることを温度検出素子によらずに的確に検出する。
【解決手段】 微分発光効率算出部804は、温度変化に依存する発光特性の変化を微分発光効率として、駆動電流(駆動電流制御部803の指令値)の微分と駆動電流の微分により変化する光源の発光量(フィードバックされるA/D変換器807の出力電圧VIN)に基づいて求め、求めた値が所定範囲を越えたことを条件に、LD81に対処が必要な発光特性の変化が生じたことを検出する。対処方法は、駆動電流制御部803に対する初期化処理により、ずれの生じた発光電流、バイアス電流を適正化する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、駆動電流の変化により点滅及び発光量が制御可能な光源の発光量をフィードバック制御することで所定の発光量で感光体を露光する画像形成装置に関し、環境温度等によって変化する光源発光状態を検出する機能を有する画像形成装置、光源発光状態検出方法及び光源発光状態を検出する処理を実行するためのプログラム及び該プログラムを記録した記録媒体に関する。
従来から、画像形成装置(プリンタ、複写機、複合機等)では、光源として例えばレーザーダイオード(LD)を用い、LDから射出される光ビームをポリゴンミラーなどにより走査して、帯電したドラム状感光体表面を露光して静電潜像を描画している。
LDの駆動電流と発光量には一定の関係があるので、駆動電流を変化させて点滅及び発光量が制御可能である。画像データにより駆動電流を制御し、ドットマトリックスの静電潜像を高画質で描画するために、求められる周期で消灯時には確実に発光を止め、点灯時には所定の発光量で動作するように動作条件を定める必要がある。
このために、LDの点灯制御を行うLDドライバにて初期化動作を行っている。初期化動作では、例えばLDの発光特性に基づいて、閾値電流(Ith:発光を開始する駆動電流)や発光電流(Iη:静電潜像の描画に用いる駆動電流)などを設定している。
ここで、従来のLDドライバの動作について、従来のLD点灯制御系の構成を例示する図16を参照して説明する。
同図において、LD81’のLDドライバ80’における駆動電流生成部805’は、駆動電流制御部803’からの入力に応じた駆動電流を生成する。
駆動電流生成部805’は、感光体上に画像を形成する際、画像データに応じて駆動電流をON/OFFしてLD81’を点灯する。LD81’は、駆動電流生成部805’から出力された駆動電流に応じて光ビームを射出する。
また、LD81’から射出された光ビームの一部は、PD(フォトダイオード)90’に入射される。PD90’は、LD81’から射出された光ビームの受光光量に対応するモニタ電流値を出力する。
I/V変換器806’は、PD90’から出力されたモニタ電流値を入力電圧Vinに変換する。
比較器(1)802’は、I/V変換器806’から出力された電圧Vinと目標電圧値Vrefとを比較する。
駆動電流制御部803’は、入力電圧Vinが目標電圧値Vrefとなるような信号を駆動電流生成部805’へ出力する。
LDドライバ80’における初期化動作について説明する。なお、下記動作説明における駆動電流につけた符号(Iop、Ith、Iη)は、後述する本発明の実施形態における図3の説明図と共通するので、同図を参照することとする。
電源投入後、LD81’が消灯状態から点灯を開始する際に、図16中の駆動電流生成部805’が大きな電流を出力すると、LD81’に大電流が流れてしまい、LD81’が破壊する恐れがある。
そこで、電源投入後、LD81’を最初に点灯する際には、初期化動作を実施する。
初期化動作では、駆動電流生成部805’は少しずつ駆動電流Iopを上昇させていき、LD81’の特性値を検出する。
LD81’の駆動電流Iopを少しずつ上昇することで、図3中にあるようにLD81’が発光を開始する閾値電流Ithを検出することができる。これは、初期化動作中に図16中の受光素子LD81’が随時その発光量をモニタし、発光を開始した際の駆動電流を検出すればよい。
上記の操作を続けて、駆動電流Iopを閾値電流Ithより上昇させ、画像形成に用いる所定発光量になったときの駆動電流である発光電流Iηを検出する。この検出の際、図16中の比較器(1)802’に入力されるVrefと検出したVinとが一致した時の駆動電流を検出すればよい。
このようにして初期化動作で得られた閾値電流Ith及び発光電流Iηを用いて、LD81’の点灯制御を行い、静電潜像の描画に用いて、画像を形成する。
LD光ビームによる上記露光動作における閾値電流Ith及び発光電流Iηの役割は、閾値電流Ithは、LD81’がOFFの状態において閾値電流よりも小さな電流を流し、ONの状態になるまでの時間を短くするいわゆるバイアス制御に用いられる。また、発光電流Iηは、適正な画像形成を可能にする発光量の駆動に用いられる。
なお、近年ではLDドライバの内部構成は、アナログ回路からデジタル回路へ変更されてきており、画像形成時のLD点灯制御等においてLDの発光電流ではデジタル値からD/Aコンバータを介して駆動電流が生成され、また、後述するLDドライバの初期化動作等においても同様にデジタル対応の動作になっている。
ところで、LD81’自体の温度又は周辺の環境温度に変動が生じると、LD81’の特性値である閾値電流Ith及び発光電流Iηが変動してしまい(後述する図3の説明参照)、LD81’の点灯制御を行って感光体上に静電潜像を描画する際、変動前の温度に適合する値をそのまま用いると、画像が劣化してしまう。
そのため、温度変動が生じた場合は初期化動作をやり直すか、温度の変動に応じた補正を行うことにより、画像の劣化を防ぐ方法が従来から採用されている。
例えば、特許文献1(特開2007−118521号公報)では、温度上昇に伴う地汚れを防止する目的で、連続プリント時における印刷枚数から予測する温度変化や外部に設けた温度検出素子が検出する温度変化に応じて初期化動作を行い、閾値電流を設定し直す手段を備えることが提案されている。
また、特許文献2(特開2010−167587号公報)では、環境温度変動時にLDの駆動電流を調整する目的で、予め用意された補正テーブルから環境温度に対応した補正値を取得し、LDの駆動電流を調整する手段を備えることが提案されている。
しかし、上記従来例のように、温度の検出を外部に設けられた温度検出素子を用いて行うと、温度検出素子を設ける分コストが上昇してしまう等の問題が生じる。
また、印刷枚数から温度変化を予測し初期化動作をやり直すと、印刷する画像によってはLDの温度またはユニット周辺温度が急激に変動する場合があり、このような場合、初期化動作をやり直す前にLDの発光電流が大きく変動してしまい、印刷画像を劣化させる、といった問題が生じる。
本発明の目的は、温度変化により発光量が変動する光源の発光量を制御するために設定した制御値が適正範囲にあることを、温度検出素子を用いることなく、かつ温度変化によって生じる発光電流の変動を加味して的確に検出する事で、印刷画像の劣化を防ぐことである。
本発明は、駆動電流を変化させて点滅及び発光量が制御可能な光源を有し、前記光源の発光量を検出し、検出値をフィードバック制御し、発生する所定光量の光によって感光体を露光する画像形成装置であって、光源の駆動電流を所定量変えたときに得られる発光量の変化に基づいて発光効率を算出する発光効率算出手段と、前記発光効率算出手段によって算出された発光効率が所定範囲を越えたか否かを検出する光源発光状態検出手段とを有する画像形成装置である。
本発明は、駆動電流を変化させて点滅及び発光量が制御可能な光源を有し、前記光源の発光量を検出し、検出値をフィードバック制御し、発生する所定光量の光によって感光体を露光する画像形成装置における光源発光状態検出方法であって、光源の駆動電流を所定量変えたときに得られる発光量の変化に基づいて発光効率を算出する発光効率算出工程と、前記発光効率算出工程によって算出された発光効率が所定範囲を越えたか否かを検出する光源発光状態検出工程とを有する光源発光状態検出方法である。
本発明によれば、温度変化により発光量が変動する光源の発光量を制御するために設定した制御値が適正範囲にあることを、温度検出素子を用いることなく、かつ温度変化によって生じる発光電流の変動を加味して的確に検出する事で、印刷画像の劣化を防ぐことができる。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。 画像形成装置(図1)の構成要素である光走査装置の構成をより詳細に示す図である。 光走査装置(図2)に用いるLDの発光特性を説明するグラフである。 図2に示したLDドライバの構成をより詳細に示す図である。 微分発光効率算出部(図4)の内部構成の一例を示す図である。 微分発光効率算出部(図4)の内部構成の他の例を示す図である。 主走査のラインごとに確保された微分発光効率ηを算出する処理期間を説明するタイミングチャートである。 LDの微分発光効率算出方法及び発光状態検出方法(実施形態1)を説明するグラフである。 発光状態の検出によって初期化処理を実行する連続印刷の制御フロー(実施形態1)を示す図である。 LDの微分発光効率算出方法及び発光状態検出方法(実施形態2)を説明するグラフである。 LDの微分発光効率算出方法及び発光状態検出方法(実施形態3)を説明するグラフである。 発光状態の検出によって初期化処理を実行する連続印刷の制御フロー(実施形態3)を示す図である。 発光状態の検出によって初期化処理を実行する連続印刷の制御フロー(実施形態4)を示す図である。 発光状態の検出によって初期化処理を実行する連続印刷の制御フロー(実施形態5)を示す図である。 初期化処理を複数の微分発光効率算出期間で断続して行う動作を説明する図である。 従来のLD点灯制御系の構成を例示する図である。
本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
以下に示す実施形態は、いわゆる電子写真方式で画像を形成する装置であり、光源として駆動電流の変化により点滅及び発光量が制御可能な光源を用い、光源から射出される光ビームを走査系によりラスタ走査して、帯電した感光体表面を露光して静電潜像を描画する。
この実施形態では、上記光源としてLDを用いる。LDの駆動電流と発光量には一定の関係があるので、駆動電流を変化させることで、点滅及び発光量が制御可能である。
画像データによりLDの駆動電流を制御することで発光をON/OFFし、発生する光ビームのラスタ走査によって、ドットマトリックスの静電潜像を高画質で描画するために、求められる走査期間においてOFF(消灯)時には確実に発光を止め、ON(点灯)時には所定の発光量となるように動作させる必要がある。
このLDの発光制御動作は、消灯時に所定の電流よりも小さな閾値電流を流し、点灯時に所定の発光量となる発光電流を流す動作となる。閾値電流と発光電流は、後記で詳述するように、LDの発光特性により異なるので、発光特性を知ることにより、これらの制御条件が定まる。
なお、以下では、光源をLDとして説明するが、後述する発光特性と同様の特性を持つ光源であれば、LDに限らない。
また、以下では、本発明の画像形成装置をカラー画像形成装置に実施した例を示すが、モノクロの画像形成装置であってもよい。
[画像形成装置の構成概要]
光ビームによる露光走査におけるLDの発光制御に係る詳細な説明をする前に、本実施形態の画像形成装置の全体構成について、その概要を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成例を示す図である。なお、同図は、電子写真プロセスによりプリント出力動作を行う画像形成部を主に示すもので、本発明の要旨と関係しない印刷ジョブを受け付け、プリント出力に用いる画像データを処理するデータ処理系や機器全体を制御する主制御系等については、省略されている。
図1に示すように、本実施形態の画像形成装置は、搬送ベルト2に沿って、カラーの色成分である(マゼンタ:M、シアン:C、イエロー:Y、ブラック:K)各色の画像形成部が一列に並んだタンデムタイプといわれるカラー画像形成装置である。
搬送ベルト2は、駆動回転する駆動ローラ3とこれと対になって従動回転する従動ローラ4に架設されており、駆動ローラ3の回転により、同図中に示す矢印方向に回転駆動される。
搬送ベルト2の下部には、転写紙1が収納された給紙トレイ5が備えられている。
給紙トレイ5に収納された転写紙1のうち最上位置にある転写紙は、画像形成時には給紙され、静電吸着によって搬送ベルト2上に吸着される。
吸着された転写紙1は、第1の画像形成部(イエロー)に搬送され、ここでイエローの画像形成が行われる。
第1の画像形成部(イエロー)は、感光体ドラム6Yと感光体ドラム6Yの周囲に配置された帯電器7Y、光走査装置8、現像器9Y、感光体クリーナ10Yよりなる。
感光体ドラム6Yの表面は、帯電器7Yで一様に帯電された後、光走査装置8によりイエローの画像に対応したレーザー光11Yで露光され、静電潜像が形成される(詳細は後記図2の説明、参照)。
形成された静電潜像は現像器9Yで現像され、感光体ドラム6Y上にトナー像が形成される。
感光体ドラム6Y上のトナー像は、搬送ベルト2上の転写紙と接する位置(転写位置)で転写器12Yによって転写され、転写紙上に単色(イエロー)の画像を形成する。
転写が終わった感光体ドラム6Yは、ドラム表面に残った不要なトナーを感光体クリーナ10Yによってクリーニングされ、次の画像形成に備えることとなる。
上記のように、第1の画像形成部で単色(イエロー)を転写された転写紙1は、搬送ベルト2によって第2の画像形成部(マゼンタ)に搬送される。
ここでも、第1の画像形成部(イエロー)におけると同様に感光体ドラム6M上に形成されたトナー像(マゼンタ)は、転写紙上に第1の画像形成部(イエロー)で形成された画像に重ねて転写される。
転写紙1は、さらに第3の画像形成部(シアン)及び第4の画像形成部(ブラック)に搬送され、上流の各色におけると同様に形成されたトナー像を転写紙上に形成されているトナー像に重ねて転写してカラー画像を形成してゆく。
第4の画像形成部(ブラック)を通過してカラー画像が形成された転写紙は、搬送ベルト2から剥離され、定着器13にて定着された後、排紙される。
〈光走査装置〉
図1において、LD81(図2)から射出される光ビームにより露光走査を行う光走査装置8の構成について説明を追加する。
図2は、画像形成装置(図1)の構成要素である光走査装置8の構成をより詳細に示す図である。なお、図2の光走査装置8の構成は、各色に共通するので、1色分の説明により各色の説明に代える。
図2において、LD81から射出される光ビームは、一定速度で回転するポリゴンモーター(不図示)によって回転されるポリゴンミラー82に入射し、その反射光がポリゴンミラー82の回転によって偏向され、主走査される。
偏向される走査光ビームは、主走査ラインの画像形成域外に設けた反射ミラー86を介し、所定位置に配置した光検知センサ87に入射する。光検知センサ87は、入射した光ビームを検出し、主走査の画像書き込み制御の基準となる検知信号を書き込み制御部95へ出力する。
走査光ビームは、光検知センサ87への入射位置を過ぎ、fθレンズ83に達する。fθレンズ83を透過する光ビームは、折り返しミラー84を経て、感光体ドラム6に入射される。
走査光ビームは、感光体ドラム6上に設定される画像領域に入るタイミングで、画像データによりLD81の駆動を制御し、発光をON/OFFする点灯制御によりドットマトリックスの静電潜像を描画する。
この点灯制御は、書き込み制御部95が、LD81を駆動するLDドライバ80を制御することにより行われる。
書き込み制御部95は、例えば、主制御部(不図示)のような上位の制御部を構成するCPU(Central Processing Unit)100の制御下で動作する。ラスタ走査では、CPU100によって定められる副走査及び主走査の各方向の画像形成期間にタイミングを合わせて、LDドライバ80を制御することにより、画像データをもとに感光体に所定の画像を描画する書き込み制御を行う。
ここに、ラスタ走査における副走査は、既存の技術と同様に感光体ドラム6の回転により行う。よって、回転する感光体ドラム6面に形成された画像を転写紙1(図1)の所定位置へ転写することになり、上記した副走査方向の画像形成期間は、転写紙1(図1)の搬送動作と同期したタイミングが定められる。
なお、書き込み制御部95が行う、ラスタ走査によるドットマトリックスの画像の書込みの制御技術そのものは、既存の技術であり、この既存の技術を適用することで本実施形態におけるこの要素を構成することができる。
また、光ビーム露光に用いるLD81は、自身の発生する熱や光走査装置内における環境温度の影響を受け、温度が変動すると、発光特性が変わる。
温度によって変化する発光特性は、形成される画像を劣化させる要因となることから、後記で詳述するように、劣化を防止するための手段を講じる。
この手段は、LD81の温度が画像を劣化させるまでに大きく変動した場合に、LD81の発光電流を調整するなどの制御を必要とするので、この観点でLD81の発光状態を検出する手段を備える。この検出手段は、後記で詳述するように、LDドライバ80内に設ける。
よって、本実施形態では、従来技術において必要とした光走査装置内に設けた環境温度を検出する温度検出素子は不用である。
[LDの発光特性]
ここで、それぞれ異なる発光特性を有するLDを用いて、感光体面に適正な画像を形成することを可能にするために行う発光制御の原理及びLDの温度変化による発光特性への影響について、本実施形態における発光制御の前提技術もしくは前提事項として説明する。
図3は、光走査装置(図2)に用いるLDの発光特性を説明するグラフである。
同図において、横軸はLDドライバから出力されるLDの駆動電流Iopであり、縦軸はLDの発光量Pwである。
同図に描かれたグラフは、使用するLDの発光特性線の1例を示すもので、2本の特性線L1、L2を示している。特性線L1はLDの温度がT1、特性線L2はLDの温度がT2と、それぞれ異なる温度条件のときの特性を表している。
以下、図3を参照して、LDにおける発光特性と発光制御条件の関係及びLDの温度変化による発光特性の変化について説明する。
先ず、LDの温度がT1のときについて、説明する。LDは駆動電流Iopを流し始めてからその電流を大きくしていき、ある閾値電流Ith(T1)を越えた電流が入力されると発光を開始する。さらに駆動電流Iopを大きくしていくと、発光量Pw量は駆動電流Iopの大きさに応じて、線形の特性、即ち、一定の傾きη(T1)により光量が変化する。
画像を形成する際、感光体に所定の発光量Pwrで静電潜像を描画することが適正な出力画像を得るための条件となるから、この発光量Pwrで点灯させるために必要な駆動電流である発光電流Iη(T1)にてLDを点灯する。また、消灯時のバイアス電流を閾値電流Ith(T1)に基づいて定めることが、適正な出力画像や出力動作を得るための条件となる。
その後、温度がT1であったLDの温度が上昇しT2(即ち、T1<T2)へ遷移したとすると、LDが発光を開始する閾値電流は,閾値電流Ith(T1)からより大きな電流値であるIth(T2)へと変化する。
また、閾値電流Ith(T2)よりさらに駆動電流Iopを大きくしていくと、発光量Pwは駆動電流Iopの大きさに応じて、線形の特性、即ち、一定の傾きη(T2)により光量が変化する。ただ、温度が高くなるほど傾きηが小さくなるという関係で、温度に対し発光特性に変化が生じる。
この発光特性の変化が生じるため、温度T1時に適正な画像が形成できる発光量Pwrが得られる駆動電流、即ち発光電流Iη(T1)さらにバイアス電流を定める閾値電流Ith(T1)を、温度がT2に変動した後もそのままの設定で動作させると、発光量が低下し或いは高くなり過ぎ、画像の劣化や動作に不具合が生じてしまう。
このため、温度の変化により発光電流Iη等が最適値からずれることで劣化する画像が許容できなくなる状態になるずれ量を定め、ずれ量が定めた許容量を越える前に、発光電流Iη等を適正化することで対処をする。
本実施形態では、温度変化に依存する発光特性の変化を、駆動電流の微分と駆動電流の微分により変化する光源の発光量に基づいて微分発光効率を求め、求めた微分発光効率が所定範囲を越えたことを条件に、LDに対処が必要な発光特性の変化が生じたことを検出する。なお、この実施形態において求める微分発光効率は、光源の駆動電流を所定量変えたときに得られる発光量の変化に基づいて発光効率を算出する際、所定量変化させる駆動電流の変化量を可能な限り小さくしたときに得られるものであり、以下では、微分発光効率を例に実施形態を説明する。LDの微分発光効率の算出の詳細については、後記[微分発光効率]で、また、許容を越えたLDの発光状態の検出については、後記[LD発光状態の検出動作]で詳述する。
[LDドライバ]
本実施形態では、LD81の温度変動による発光特性の変化をLD81の微分発光効率として検出する。この検出動作は、所定の駆動電流Iopを流し、微分発光効率を算出する、という付加的な動作をするための手段を必要とする。そこで、この付加手段を設けたLDドライバ80の構成について説明する。
図4は、本実施形態のLDドライバ80(図2)のより詳細な構成を示す図である。
図4に示すLDドライバ80は、光量のフィードバック制御及び微分発光効率の検出をデジタル回路部801により行う構成である。よって、比較器(2)802、駆動電流制御部803、微分発光効率算出部804、D/A(デジタル/アナログ)変換器805及びA/D(アナログ/デジタル)変換器807がデジタル回路部801の要素となる。なお、LD81の発光量をPD90で検出しフィードバックする構成は、図16に示した従来例と変わらない。
LD81は、駆動電流制御部803からの指令値(駆動電流)をD/A変換器805を通して変換し、得られる駆動電流Iopで点灯され、光ビームを射出する。
PD90は検出した、LD81の発光量をモニタ電流として、電流/電圧(I/V)変換器806へ入力する。I/V変換器806は、モニタ電流を電圧値に変換し、A/D変換器807に入力する。
A/D変換器807は、モニタ電流に対応する電圧値をデジタル値に変換する。この出力を検出電圧(VIN)という。
駆動電流制御部803は、画像形成時において、初期化処理で設定されたバイアス電流、発光電流Iη等に従い動作を開始し、画像形成における適正量として予め定められた発光量に対応する基準値として比較器(2)802に設定される基準電圧VREFを保つフィードバック制御を行う。このフィードバック制御は、例えば駆動電流を一定ステップで変更する制御方式や一般的なPID(比例積分微分)制御方式などを採用することができる。
また、駆動電流制御部803は、画像形成時とは別の動作モードとして、微分発光効率の算出に基づくLD発光状態の検出動作を行う。微分発光効率の算出は、基本的には、駆動電流の微分により変化するLD81の発光量を微分発光効率として求める。LD発光状態の検出は、求めた微分発光効率が所定範囲を越えたことを条件に、LD81に対処が必要な発光特性の変化が生じたことを検出結果として得る。
上記の検出動作は、駆動電流を所定微小量変化させたときの発光量の変化量を求めるので、駆動電流制御部803は、この動作をLD81に行わせる。このときにA/D変換器807から出力される発光量に対応するVINが、微分発光効率算出部804で用いられる。
微分発光効率算出部804は、取得したVINとLD81へ指令した駆動電流Iopに基づいて、微分発光効率ηを求める。なお、微分発光効率算出部804の動作の詳細は、後記で詳述する。
また、駆動電流制御部803は、初期化処理も行う。
本実施形態では、後記[LD発光状態の検出動作]で説明するように、LD81に対処が必要な発光特性の変化が生じたことを検出し、この検出結果に従って初期化処理により対処するが、この検出動作及び初期化処理を本実施形態では、駆動電流制御部803が行う。ただ、これらの処理は、上位の制御部のCPU100(図2)で行ってもよい。
駆動電流制御部803が行う初期化処理は、上記[LDの発光特性]で図3を参照して説明したLD81の発光特性を表すデータを新たに取得し、取得した発光特性を表すデータを基に、LD81を点灯する発光電流Iηや消灯時のバイアス電流の設定をし直す、という処理になる。
なお、駆動電流制御部803や微分発光効率算出部804を要素として構成するLDドライバ80のデジタル回路部801及びLDドライバ80を制御する上位の制御部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって構成することができるが、CPUとROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の各種メモリよりなるコンピュータによっても構成することができる。
コンピュータにより構成する場合、上述の微分発光効率の算出、初期化処理等の動作及び後述する図9及び図12〜14に示す制御フローにしたがって行う動作を実行するためのソフトウェア(プログラム)を搭載し、このソフトウェアを動作させることでコンピュータを、上記動作を実現する手段として機能させることができる。
[微分発光効率の算出]
LD81の発光量を駆動電流により微分し得られる発光量の変化に基づいて微分発光効率を算出する手段としての微分発光効率算出部804の構成について、具体例にて説明する。
図5は、微分発光効率算出部(図4)の内部構成の一例を示す図である。
図5の微分発光効率算出部804は、所定の算出タイミングで入力データである、A/D変換器807(図4)から出力される発光量に対応するVINとLD81の駆動電流Iop(正しくは駆動電流制御部803(図4)が設定する駆動電流)を取り込み、算出結果である微分発光効率ηを出力する。
微分発光効率算出部804は、5つのレジスタ(1)〜(5)8041〜8045、2つの加減算器8046,8047、乗算器8048及び除算器8049を要素として構成する。
レジスタ(1)〜(5)8041〜8045各々は、算出タイミングに同期した信号で更新されるものとする。
また、各演算器は算出タイミングと同じか又は算出タイミングよりも速いクロックで動作するものとする。
レジスタ(1)8041は、A/D変換器807によって変換されたPD90の検出電圧値(LD発光量を表す)を保持する。
レジスタ(2)8042は、一つ前の算出タイミングでレジスタ(1)8041に保持されたPD90の検出電圧値を保持する。
レジスタ(3)8043は、駆動電流制御部803がD/A変換器805に入力する駆動電流の設定値を保持する。
レジスタ(4)8044は、一つ前の算出タイミングでレジスタ(3)8043に保持されたD/A変換器805に入力する駆動電流の設定値を保持する。
レジスタ(5)8045は、微分発光効率の算出に必要な、定数項の値を保持する。
乗算器8048は、加減算器8047の出力である、レジスタ(3)8043とレジスタ(3)8043が保持する駆動電流値Iopの差分(微分)と、レジスタ(5)8045が保持する定数項の値を掛け合わせる。
除算器8049は、加減算器8046の出力である、レジスタ(1)8041とレジスタ(2)8042が保持するPD90の検出電圧値(LD発光量)の差分(変動)量を、乗算器8048の出力で割り算を行い、出力値として微分発光効率ηを得る。
ここで、図5の微分発光効率算出部804による微分発光効率ηの算出過程について詳しく説明する。
LD81の発光量Pwは、閾値電流Ith及び微分効率ηを用いて、駆動電流(Iop)の関数として以下の式(1)のように表すことができる。ただし、Iop>Ith、であり、温度Tは一定とする。
Pw(Iop)=η×(Iop−Ith)・・・式(1)
また、PD90は、発光量Pwに応じたモニタ電流Imを出力する。そこで、PD90のモニタ電流ImはPD90の特性に応じたゲインαを用いて、発光量Pw(Iop)の関数として、式(2)のように表すことができる。
Im(Pw(Iop))=αPw(Iop)・・・式(2)
上記式(2)におけるPD90のモニタ電流Imは、I/V変換器806を通してA/D変換器807に入力される。例えば、モニタ電流Imを抵抗Rを介して電圧に変換した場合、A/D変換器807に入力される入力電圧VINは、式(1)、式(2)を用いて下記式(3)と表すことができる。
IN=Rαη×(Iop−Ith)・・・式(3)
また、A/D変換器807によりデジタル変換されるので、下記式(3-1)と書き直すことができる。ただし、下記式(3-1)における「i」は、算出タイミングの順番を示す数字である。
IN[i]=Rαη×(Iop[i]−Ith)・・・式(3-1)
上記式(3-1)において、ある算出タイミングi番目とi−1番目の差をとると、下記式(4-1)と表すことができる。
IN[i]−VIN[i−1]=Rαη×(Iop[i]−Iop[i−1])・・・式(4-1)
式(4-1)を微分発光効率ηについての式に直すと、下記式(4-2)となる。
η=(VIN[i]−VIN[i−1])/(Rα(Iop[i]−Iop[i−1]))・・・式(4-2)
式(4-2)において、(Iop[i]−Iop[i−1])は、D/A変換器805の設定値であり、微分発光効率算出時は一定量で変化する動作とすると、Iop[i]−Iop[i−1]=ΔIopとして式(4-2)を書き直すと、下記式(4-3)となる。
η=(VIN[i]−VIN[i−1])/(RαΔIop)・・・式(4-3)
式(4-3)において、抵抗R、PD90のゲインα及び駆動電流変化量設定値ΔIopは一定値である。
式(4-3)は、ある一定温度の場合、微分効率ηはVIN[i]−VIN[i−1]の変動量で変化することを示している。
ここで、温度TがT1からT2に変動する場合を説明する。
この場合、式(4-3)において、PD90のゲインα及び駆動電流変化量設定値ΔIopは一定値であるから、式(4-3)右辺において、温度の変動に影響を受けるのは検出電圧VIN[i]となる。よって、ある温度Tの場合の検出電圧値の変動分をΔVIN(T)=VIN[i](T)−VIN[i−1](T)とすると、式(4-3)は式(4-4)と書き直すことができる。
η(T)=ΔVIN(T)/(RαΔIop)・・・式(4-4)
式(4-4)より、ΔVIN(T)を検出することで、微分発光効率ηの温度による変動を算出することができる。
このように、本実施形態のLDドライバ80は、図4、図5の構成をとることで、連続印刷中において、微分効率ηを算出することができる。
〈処理の簡略化〉
図5により例示した上記構成は、後述するが、主走査ラインの1ラインごとにでも、上記微分の演算を行うことで、微分発光効率ηを算出することができる。
ただ、乗算、除算、加減算といった複雑な演算を必要とし、構成上もこれら各種の演算器を必要とし、デジタル回路部801の回路構成が複雑になってしまう。
そこで、式(4-4)おいて、η(T)=ΔVIN(T)として、η(T)の変動量のみを検出しても、微分効率ηが温度により変動していることを擬似的に算出できるようにする。
以下、擬似的に微分発光効率を求める方法を導入することで処理を簡略化する方法をとる微分発光効率算出部の実施形態について説明する。
図6は、この実施形態に係る微分発光効率算出部804’の内部構成例を示す図である。
図6に示す微分発光効率算出部804’は、レジスタ(1)8041’とレジスタ(2)8042’の2つのレジスタ、1つの加減算器8046’のみを要素として構成する。
この回路構成は、図5の構成で1/(RαΔIop)を算出する回路を不要にしたものである。つまり、RαΔIopをほぼ「1」とする設定を条件とする。
よって、算出タイミング等を調整しΔIopを定数化するとともに、定数であるRαとの乗算が「1」となる設定値を選ぶことにより実現する。
このようにすることで、図5の構成よりも簡素な構成で微分発光効率ηを算出することができる。
〈算出動作の実行タイミング〉
上述のように、微分発光効率算出部804,804’により温度の変化の関数としてη(T)を算出することにより、LD81の発光特性を変動させる環境温度等の変化を検知するために従来技術において設けた温度検知手段を排することを可能にしている。
ただ、微分発光効率ηを算出するためには所定の発光動作を行わせる必要があり、温度変化による発光特性の変動が生じても、光画質を維持するためには、短い時間間隔でこの算出処理を実行するタイミングを確保することが望ましい。
そこで、本実施形態では、主走査のラインごとに実行することで、必要なタイミングを逸することなく、変化に即応することを可能にする。
図7は、主走査のラインごとに確保された微分発光効率ηを算出する処理期間を説明するタイミングチャートである。
同図は、横軸を時間にとり、縦軸をLD点灯信号のレベルにとって、主走査の1ラインにおけるLD点灯信号のレベル変化を示しており、LD点灯信号がLowのときにはLD81が点灯している期間である。
時間を追って主走査ラインの周期ごとに生じるLD点灯信号のレベル変化と動作との関係を説明すると、図7において最初のLD81の点灯期間は、同期検知点灯期間Tdであり、周期走査するLD光ビームを光検知センサ87(図2)によって検知し、入射時に発生する検知信号を光書き込みの基準とする同期信号として用いるために点灯する期間である。
同期検知点灯期間Tdの開始から所定の期間を画像形成期間Tfとし、その期間内に実際に画像を書き込む画像描画期間Tiを設ける。画像描画期間Tiは、同期検知点灯期間Tdの終了時から時間t1後を開始時とし画像形成期間Tfの終了時までの期間で、この期間に画像データによってLD点灯制御を行い、感光体表面に静電潜像を描画する。
通常、上記の主走査のライン走査は連続して行われるので、紙間での実行タイミングを待たずに微分発光効率ηを算出するためには、ライン周期内に確保することになる。
そこで、本実施形態では、微分発光効率ηの算出を開始するタイミングは、画像描画期間Tiを過ぎ適当な間隔を置いて微分発光効率算出期間Teを設ける。この微分発光効率算出期間Teは、同期検知点灯期間Tdの終了時から時間t2後を開始時とし、微分発光効率ηを算出するための発光動作に必要な時間t3を確保する。
なお、図7は画像描画期間Tiよりも後に微分発光効率算出期間Teを設けているが、微分発光効率算出期間Teのために確保する時間t3が、上記時間t1内に収まる、即ち、t3<t1であれば、同期検知点灯期間Tdと画像描画期間Tiの間に、微分発光効率算出期間Teを設けても問題はない。
[LD発光状態の検出動作]
温度変化に依存するLDの発光特性の変化を表す微分発光効率を上記のように算出するが、この算出は、発光電流Iηを設定し直す等の対処が必要な発光特性の変化がLDに生じたことを検出するために行う。
したがって、算出したLDの微分発光効率が画像を劣化させるまでに大きく変動したことを判断するために予め定めた範囲を越えたか否かを検出する、発光状態の検出が必要である。
また、LDの発光状態の上記検出結果が、許容範囲を越える場合、LD81を点灯する発光電流Iηや消灯時のバイアス電流の設定をし直す初期化処理という形で画像形成動作に反映させる必要があり、このための手順を用意しなければならない。
以下に、印刷動作において、LDの発光状態の検出と検出結果を画像形成動作に反映させる初期化処理を行う際の制御手順に係る実施形態を示す。
実施形態にて例示する印刷動作の制御手順は、連続印刷動作において、基本的には図7を参照して上記で説明したように、主走査の単位周期内に設定された所定期間に、上記[微分発光効率の算出]で述べた方法によって微分発光効率を算出する動作を行うことを前提とする。
以下に示す「実施形態1」〜「実施形態3」は、LDの発光状態の検出方法を異にする形態を示す。
また、「実施形態4」及び「実施形態5」は、として、初期化処理の実行タイミングを異にする形態を示す。
「実施形態1」
この実施形態は、図7のタイミングチャートに示した微分発光効率算出期間Teに微分発光効率ηを算出し、得られた発光効率ηに対する閾値ηrefによる閾値処理で現在のLD発光状態を検出する。即ち、算出された発光効率ηが、LD81の発光電流Iηを設定し直す等の対処が必要な発光特性の変化が生じたことを検出するために予め定められた閾値ηrefを越えて変化したか否かを検出する。
ここで、閾値ηrefを越えて変化したことが検出された場合、初期化処理を行い、LD81の発光電流Iη等の設定をし直す。
ここで、閾値ηrefによる閾値処理について説明する。
図8は、LDの微分発光効率算出方法及び発光状態検出方法を説明するグラフである。
同図において、横軸は時間であり、縦軸は発光量に対応するPD90の検出電圧VIN、LD81の駆動電流Iop、算出タイミングをそれぞれ示す。算出タイミングは、検出電圧VIN、及び駆動電流Iopの設定値をもとに微分発光効率算出部804がηを算出するタイミングを示している。
図8では、駆動電流Iopが変更されるたびに一回ずつ検出するタイミングを示しているが、より正確に検出するためにLD駆動電流が変化するステップごとに複数回検出を行い、その平均値を算出してもよい。
図8に示すように、T1からT2への温度の変動が生じた場合には、同一ステップで駆動電流を変化させて検出電圧VINをとると、温度の変動により発光特性が変化し、検出電圧VINの駆動電流Iopに基づいて算出される微分発光効率は、η(T1)とη(T2)として示される直線(特性線)の傾きの変化として現れる。従って、予め定められた閾値ηrefの傾きを持つ特性線を跨いで(越えて)変化した場合、LD81の発光電流Iηを設定し直す等の対処が必要な発光特性の変化が検出されたと判断する。閾値ηrefの特性線を跨ぐ変化とは、図8において、η(T1)からη(T2)への変化、或いはη(T2)からη(T1)への変化を指す。
なお、閾値ηrefは、微分発光効率ηの変化と画像の劣化との関係について、実験等を行い、その量的関係を確認し、得られる経験値に基づいて許容範囲を定めることにより得ることができる。
このように微分発光効率ηの変動が生じた場合に、発光電流Iηや消灯時のバイアス電流の設定をし直す初期化処理を行い、温度により発光特性が変動した場合でも、画像形成におけるLD81の発光制御動作を最適な状態にすることができる。
ここで、上記のように閾値ηrefによる閾値処理でLD発光状態を検出し、検出結果に従い初期化処理の実行を可能にする方法を適用して行う印刷処理の制御手順について説明する。
図9は、本実施形態における発光状態の検出によって初期化処理を実行する連続印刷の制御フローを示す図である。なお、この制御フローでは、微分発光効率の算出は主走査の1ラインごとに行う例を示す。
連続印刷の制御を起動し、先ず、主走査ラインにおいて微分発光効率の算出を行う動作タイミングを確認するために、画像描画期間Ti(図7)外の微分発光効率算出期間Te(図7)であることを確認する(ステップS101)。
ステップS101で微分発光効率算出期間Teが確認できれば(ステップS101-YES)、現在の微分発光効率ηを算出する(ステップS102)。
次いで、ステップS102で算出した微分発光効率ηが予め定めた閾値ηref以上であるか否かを確認し(ステップS103)、確認結果により処理を分岐する。
ここで、閾値ηref以上であった場合(ステップS103-YES)、同じ走査ラインでもう一度現在の微分発光効率ηを算出する(ステップS104)。
次いで、ステップS104で算出した微分発光効率ηが予め定めた閾値ηref未満であるか否かを確認する(ステップS105)。
ステップS105で算出した微分発光効率ηが予め定めた閾値ηref以上であった場合(ステップS105-NO)、ステップS101に戻し、次の主走査ラインの発光状態の検出を行う。つまり、ステップS102及びステップS104で算出した微分発光効率ηの閾値ηrefに対する関係は変わらないので、初期化処理を実行しなければならないほど発光特性が変化していない、という判断をし、よって、次の主走査ラインの検出に移行する。
他方、ステップS102で算出された微分発光効率ηが閾値ηref未満であった場合(ステップS103-NO)、ここでも、同じ走査ラインでもう一度現在の微分発光効率ηを算出する(ステップS106)。
次いで、ステップS106で算出した微分発光効率ηが予め定めた閾値ηref以上であるか否かを確認する(ステップS107)。
ステップS107で算出した微分発光効率ηが予め定めた閾値ηref未満であった場合(ステップS107-NO)、ステップS101に戻し、次の主走査ラインの発光状態の検出を行う。つまり、ステップS102及びステップS106で算出した微分発光効率ηの閾値ηrefに対する関係は変わらないので、初期化処理を実行しなければならないほど発光特性が変化していない、という判断をし、よって、次の主走査ラインの検出に移行する。
上記のフローに対し、ステップS104で算出した微分発光効率ηが予め定めた閾値ηref未満であった場合(ステップS105-YES)、ステップS102及びステップS104で算出した微分発光効率ηの閾値ηrefに対する関係が変わり、初期化処理を実行しなければならないほど発光特性が変化している、という判断をする。
また、ステップS106で算出した微分発光効率ηが予め定めた閾値ηref以上であった場合(ステップS107-YES)、ステップS102及びステップS106で算出した微分発光効率ηの閾値ηrefに対する関係が変わり、初期化処理を実行しなければならないほど発光特性が変化している、という判断をする。
よって、温度が上昇、低下の双方向のいずれかに変動し、変動によって微分発光効率ηが予め定めた閾値を越えた場合(ステップS105-YES,ステップS107-YES)、初期化処理を実行し(ステップS108)、温度により変化したLD81の発光特性に適した、発光電流Iηや消灯時のバイアス電流の設定をし直すことで、画像形成におけるLD81の発光制御動作を最適な状態にする。
次いで、連続印刷の終了を確認し(ステップS109)、未印刷のものがあれば(ステップS109-NO)、ステップS101に戻す。
他方、連続印刷の終了が確認できれば(ステップS109-YES)、この制御フローを終了する。
「実施形態2」
この実施形態は、上記「実施形態1」の動作において生じ得る問題の解決手段を備えた実施形態に係る。
上記「実施形態1」では、温度が上昇、低下の双方向のいずれかに変動し、変動によって微分発光効率ηが予め定めた閾値ηrefを越えることを条件に、初期化処理等の対処が必要な発光特性の変化が生じたことを検出する。ただ、上記のように、予め定めた閾値ηrefを一定値とすると、あるタイミングで検出した微分発光効率ηと閾値ηrefとの差が大きくなる場合があり、この場合には、閾値ηrefまで変化する間にLDの発光特性が大きく変化してしまう場合がある。
そこで、LDの発光状態を検出するための閾値ηrefとして大小複数を用意し、いずれかを選択して用いるようにする。
図10は、本実施形態におけるLDの微分発光効率算出方法及び発光状態検出方法を説明するグラフである。
同図は、上記「実施形態1」に示した図8と同じ座標軸に示した特性線と閾値との関係を示す図である。ただ、本実施形態では、閾値ηrefが閾値ηref1と閾値ηref2の2つ示されている。なお、図9は、閾値ηref1と閾値ηref2を図8の閾値ηrefに代えて示した以外、駆動電流と、算出される微分発光効率がη(T1)とη(T2)として示される直線(特性線)の傾きの変化で表されている点で図8と変わらない。
図10に示すように、閾値ηref1と閾値ηref2を2本用意することで、温度がT1からT2へ変化する、即ち、特性線がη(T1)からη(T2)へ変化する場合には、閾値ηref1を適用し、また、温度がT2からT1へ変化する、即ち、特性線がη(T2)からη(T1)へ変化する場合には、閾値ηref2を適用する。
これらの閾値は例えば、予め図示しないレジスタに設定しておき、検出電圧VINの大きさに応じて閾値ηrefの参照先を変更する、といった方法を採用することができる。
本実施形態のように閾値ηrefを変更することで、各閾値ηrefまで変化する間にLDの発光特性が大きく変化してしまうということを防ぐことができ、初期化処理の実行タイミングを逸することなく適正な対処ができる。
「実施形態3」
この実施形態は、上記「実施形態1」とは異なるLD発光状態の検出方法を採用するものである。
本実施形態は、図7のタイミングチャートに示した微分発光効率算出期間Teに微分発光効率ηを算出する点では「実施形態1」と変わらない。ただ、「実施形態1」では、微分発光効率の各算出時点において算出した微分発光効率ηに対して予め定められた閾値ηrefを越えるか否かを検出するので、微分発光効率ηの変化、即ち発光特性の変化を判断することができない。このため、閾値ηrefを一定値とすると、発光特性の変化によっては、必ずしも検出が適正に行われなくなる可能性がある。
そこで、本実施形態では、2つのタイミング、即ち時間の経過前後に算出される微分発光効率ηの差分値に対し予め定めた閾値Δηにより閾値処理を行うことで、LD81の発光電流Iηを設定し直す等の対処が必要な発光特性の変化が生じたことを検出する。
上記の閾値処理について、LDの微分発光効率算出方法及び発光状態検出方法を説明するグラフを示す図11を参照して説明する。
同図において、横軸は時間であり、縦軸は発光量に対応するPD90の検出電圧VIN、LD81の駆動電流Iop、算出タイミングをそれぞれ示す。算出タイミングは、検出電圧VIN、及び駆動電流Iopの設定値をもとに微分発光効率算出部804がηを算出するタイミングを示している。
図11では、駆動電流Iopが変更されるたびに一回ずつ検出するタイミングを示しているが、より正確に検出するためにLD駆動電流が変化するステップごとに複数回検出を行い、その平均値を算出してもよい。
図11に示すように、ある時間を隔てて、T1からT2への温度の変動が生じた場合には、同一ステップで駆動電流を変化させて検出電圧VINをとると、温度の変動により発光特性が変化し、検出電圧VINの駆動電流Iopに基づいて算出される微分発光効率は、ηv(T1)とηv(T2)として示される直線(特性線)の傾きの変化として現れる。従って、ηv(T1)とηv(T2)の差分値が予め定められた閾値Δηを越えて変化した場合、LD81の発光電流Iηを設定し直す等の対処が必要な発光特性の変化が検出されたと判断する。
動作手順としては、
Δη>|ηv(T1)−ηv(T2)|
の場合には、初期化動作を実行し、発光電流Iηや消灯時のバイアス電流の設定をし直す。
他方、
Δη<|ηv(T1)−ηv(T2)|
の場合には、微分発光効率ηの算出を行えばよい。
なお、閾値Δηは、微分発光効率ηの変化と画像の劣化との関係について、実験等を行い、その量的関係を確認し、得られる経験値に基づいて許容範囲を定めることにより得ることができる。また、Δηは図示しないが、予めLDドライバ80内のレジスタに設定しておき、微分発光効率ηの算出し、閾値処理を行う際に用いる。
このように、ある時間を隔てて、T1からT2への温度の変動により生じる微分発光効率ηの変化が閾値Δηを越える場合に、発光電流Iηや消灯時のバイアス電流の設定をし直す初期化処理を行うことで、画像形成におけるLD81の発光制御動作を最適な状態に保つことができる。
ここで、上記のように、ある時間を隔てて算出する微分発光効率ηの差分値に対する閾値Δηによる閾値処理でLD発光状態を検出し、検出結果に従い初期化処理の実行を可能にする方法を適用して行う印刷処理の制御手順について説明する。
図12は、本実施形態における発光状態の検出によって初期化処理を実行する連続印刷の制御フローを示す図である。なお、この制御フローでは、微分発光効率の算出は主走査の1ラインごとに行う例を示す。
連続印刷の制御を起動し、先ず、主走査ラインにおいて微分発光効率の算出を行う動作タイミングを確認するために、画像描画期間Ti(図7)外の微分発光効率算出期間Te(図7)であることを確認する(ステップS201)。
ステップS201で微分発光効率算出期間Teが確認できれば(ステップS201-YES)、現在の微分発光効率ηv(T1)を算出する(ステップS202)。なお、算出した微分発光効率ηv(T1)は、後段で使用するので、記憶部に保存しておく。
次いで、同じ走査ラインにおいて適当に定めた時間の経過後、微分発光効率を再び算出するが、このときも、ステップS201と同様に、画像描画期間Ti外の微分発光効率算出期間Teであることを確認する(ステップS203)。
ステップS203で微分発光効率算出期間Teが確認できれば(ステップS203-YES)、現在の微分発光効率ηv(T2)を算出する(ステップS204)。
この後、ステップS202及びS204でそれぞれ算出した微分発光効率ηv(T1)、ηv(T2)の差の絶対値|ηv(T1)−ηv(T2)|が、予め定めた閾値Δη以上であるか否かを確認する(ステップS205)。
ステップS205で|ηv(T1)−ηv(T2)|が、予め定めた閾値Δη未満であった場合(ステップS205-NO)、初期化処理を実行しなければならないほど発光特性が変化していないという判断をし、ステップS204に戻し、同じ微分発光効率算出期間Teにおいて再び現在の微分発光効率ηv(T2)を算出する。
他方、ステップS205で|ηv(T1)−ηv(T2)|が、予め定めた閾値Δη以上であった場合(ステップS205-YES)、初期化処理を実行しなければならないほど発光特性が変化している、という判断をする。
よって、この場合、初期化処理を実行し(ステップS206)、温度により変化したLD81の発光特性に適した、発光電流Iηや消灯時のバイアス電流の設定をし直すことで、画像形成におけるLD81の発光制御動作を最適な状態にする。
次に、連続印刷の終了を確認し(ステップS207)、未印刷のものがあれば(ステップS207-NO)、ステップS204に戻す。なお、この後行うステップS204以降のLD81の発光状態の検出では、次の主走査ラインにおいて微分発光効率ηv(T2)を算出することになるが、微分発光効率ηv(T1)は、前の主走査ラインにおいてステップS202で保存した算出値を用いる。
他方、連続印刷の終了が確認できれば(ステップS207-YES)、この制御フローを終了する。
〈閾値Δηの変更〉
上記図11及び図12の実施形態では、ある時間を隔てて算出する微分発光効率の差分値が、一定値以上変化した場合に初期化動作を実行する動作としているが、印刷する画像によってはより細かいタイミングで初期化動作を実行したほうがよい場合がある。
例えば、印刷する画像がカラー写真などの場合は、画像形成する際、LDの点灯時間が長くなり、より高精度にLDの点灯制御を行う必要がある。こうした場合は、頻繁に初期化動作を実行することが望ましい。
そこで、時間を隔てて算出する微分発光効率の差分値に対する閾値Δηを変更することで、初期化動作の実行タイミングを速めに変更する調整を行えるようにする。
具体的には、図示しないLDドライバ80内のレジスタに閾値Δηを複数個用意して、カラー印刷/モノクロ印刷等の各印刷モードに対応して、参照するΔηを変更して設定する手段を備えることにより実現できる。
このように、印刷モードに応じて、初期化動作による対処が必要なLD81の発光特性の変化が生じたことを検出するための閾値Δηを変更し、初期化動作の実行タイミングを速めに変更する調整を行うことで、高画質を保つことができる。
「実施形態4」
この実施形態は、上記各実施形態とは異なるタイミングで初期化処理を実行する手順に係る実施形態である。
上記各実施形態では、主走査ラインごとに設けた微分発光効率算出期間Te(図7)において、初期化動作による対処が必要なLD81の発光特性の変化が生じたことを検出する動作を行うことを条件としている。よって、この検出の結果を受けて行う初期化処理についても、主走査ラインごとに行うことが有意といえる。
しかし、通常、初期化処理は先に述べたように、小さな駆動電流から少しずつ駆動電流を上昇させていき、LDの発光特性によって定まる閾値電流Ith及び発光電流Iηを検出する動作を行う。このため、連続印刷中に初期化処理を行う場合、CPU等の処理能力によっては、初期化処理に使用できる微分発光効率算出期間Te(図7)に収まらずに画像形成期間Tf(図7)にまたがってしまう可能性がある。
そこで、微分発光効率の算出は、微分発光効率算出期間Teに実施し、初期化処理は連続印刷中に印刷される転写紙間(以下「紙間」という)で実施する制御手順とする。
図13は、本実施形態における発光状態の検出によって初期化処理を実行する連続印刷の制御フローを示す図である。
連続印刷の制御を起動し、先ず、主走査ラインにおいて微分発光効率の算出を行う動作タイミングを確認するために、画像描画期間Ti(図7)外の微分発光効率算出期間Te(図7)であることを確認する(ステップS301)。
ステップS301で微分発光効率算出期間Teが確認できれば(ステップS301-YES)、現在の微分発光効率ηを算出する(ステップS302)。
次いで、ステップS302で算出した微分発光効率ηに対し、予め定めた閾値による閾値処理により初期化処理を実行するか否かを確認する(ステップS303)。
ステップS303の処理は、上記「実施形態1」ではステップS105又はS107の検出ステップに相当し、また、上記「実施形態3」ではステップS205の検出ステップに相当し、いずれも初期化処理を実行するか否かを確認する手順として行う。よって、これらの検出ステップを適用することで、本実施形態のステップS303の処理を行える。ただし、上記「実施形態1」と「実施形態3」は、検出方法が異なるので、検出ステップの前段で行う微分発光効率ηの算出の手順(ステップS301,S302)をそれぞれに応じて行う必要がある。
ステップS303で初期化処理を実行する条件を満たしていることが確認できなければ(ステップS303-NO)、ステップS301に戻す。
他方、ステップS303で初期化処理を実行する条件を満たしていることが確認できれば(ステップS303-YES)、初期化処理の実行タイミングの紙間になっているか否かを確認する(ステップS304)。
ステップS304では、紙間が確認できるまでループ処理を行い、確認ができれば(ステップS304-YES)、初期化処理を実行し(ステップS305)、温度により変化したLD81の発光特性に適した、発光電流Iηや消灯時のバイアス電流の設定をし直すことで、画像形成におけるLD81の発光制御動作を最適な状態にする。
次に、連続印刷の終了を確認し(ステップS306)、未印刷のものがあれば(ステップS306-NO)、ステップS301に戻す。
他方、連続印刷の終了が確認できれば(ステップS306-YES)、この制御フローを終了する。
上記のように、初期化処理に使用できる微分発光効率算出期間Teに収まらずに画像形成期間Tfにまたがってしまう可能性がある場合にも、紙間において初期化処理を実行できるようにしたことで、印刷動作に不具合が生じることがなく、確実に初期化処理を実行できる。
「実施形態5」
この実施形態は、上記各実施形態とは異なるタイミングで初期化処理を実行する手順に係る実施形態である。
上記実施形態1〜3では、主走査ラインごとに設けた微分発光効率算出期間Te(図7)において、初期化動作による対処が必要なLD81の発光特性の変化が生じたことを検出する動作を行うことを条件としている。よって、この検出の結果を受けて行う初期化処理についても、主走査ラインごとに行うことが有意といえ、基本的には微分発光効率算出期間Te内で処理を完了させる。
ただ、CPU等の処理能力によっては、完了できない場合があり、この対処法として、上記実施形態4では、微分発光効率算出期間Te内で初期化処理が実行できない場合に紙間で行う実施形態を示した。
本実施形態は、微分発光効率算出期間Te内で初期化処理が実行できない場合のもう一つの解決手段を示すものである。本実施形態では、主走査ラインごとに行う場合に完了できない初期化処理を分割して、複数ラインで断続して行うことで、主走査ラインごとに行う方法に準じた処理を行うことを可能にするものである。
図14は、本実施形態における発光状態の検出によって初期化処理を実行する連続印刷の制御フローを示す図である。
連続印刷の制御を起動し、先ず、主走査ラインにおいて微分発光効率の算出を行う動作タイミングを確認するために、画像描画期間Ti(図7)外の微分発光効率算出期間Te(図7)であることを確認する(ステップS401)。
ステップS401で微分発光効率算出期間Teが確認できれば(ステップS401-YES)、現在の微分発光効率ηを算出する(ステップS402)。
次いで、ステップS402で算出した微分発光効率ηに対し、予め定めた閾値による閾値処理により初期化処理を実行するか否かを確認する(ステップS403)。
ステップS403の処理は、上記「実施形態1」ではステップS105又はS107の検出ステップに相当し、また、上記「実施形態3」ではステップS205の検出ステップに相当し、いずれも初期化処理を実行するか否かを確認する手順として行う。よって、これらの検出ステップを適用することで、本実施形態のステップS403の処理を行える。ただし、上記「実施形態1」と「実施形態3」は、検出方法が異なるので、検出ステップの前段で行う微分発光効率ηの算出の手順(ステップS401,S402)をそれぞれに応じて行う必要がある。
ステップS403で初期化処理を実行する条件を満たしていることが確認できなければ(ステップS403-NO)、ステップS401に戻す。
他方、ステップS403で初期化処理を実行する条件を満たしていることが確認できれば(ステップS403-YES)、初期化処理の実行タイミングである、画像描画期間Ti外の微分発光効率算出期間Teであることを確認する(ステップS404)。
ステップS404では、微分発光効率算出期間Teが確認できるまでループ処理を行い、確認ができれば(ステップS404-YES)、この期間にて初期化処理を実行する(ステップS405)。
ステップS405で行う初期化処理は、温度により変化したLD81の発光特性に適した、発光電流Iηや消灯時のバイアス電流の設定をし直すことで、画像形成におけるLD81の発光制御動作を最適な状態にする。
ここで行う初期化処理は、先に述べたように、小さな駆動電流から少しずつ駆動電流を上昇させていき、LDの発光特性によって定まる閾値電流Ith及び発光電流Iηを検出する動作を行う。
本実施形態では、上記初期化処理を一度の処理ステップで完了できない場合があることを前提に、複数ラインもしくは複数の微分発光効率算出期間Teで断続して行う。
図15は、初期化処理を複数の微分発光効率算出期間で断続して行う動作を説明する図である。
同図は、横軸を時間にとり、縦軸を(A)についてはLD点灯信号のレベルに、また、(B)についてはLD発光量にとっている。
図15(A)は、主走査の各ラインにおけるLD点灯信号のレベル変化及びを示しており、LD点灯信号がLowのときにはLD81が点灯している期間である。なお、同図中に示された微分発光効率算出期間Teは、前記図7の同期間を示している。
図15(B)は、微分発光効率算出期間Teにおいて初期化処理を行ったときに点灯させたLD81の発光量を示している。
図15(B)に示す微分発光効率算出期間Teに点灯されたLD発光量は、初期化処理を複数の微分発光効率算出期間で断続して行う動作の状態を示しており、この例では、LD81の発光特性を得るために駆動電流を徐々に上昇させている状態を表している。
この断続動作により初期化処理を分割することで、できるだけ早く初期化を実行できるようにすることが可能になる。
図14の制御フローの手順としては、一度の処理ステップで初期化処理が完了できない場合、処理を中断するので、ステップS405で初期化処理を行った後、初期化処理を終えることができたかを確認する(ステップS406)。
ステップS406で初期化処理の終了を確認できなければ(ステップS406-NO)、次の微分発光効率算出期間Teで残りの処理を行うためにステップS404に戻す。
他方、ステップS406で初期化処理の終了を確認できれば(ステップS406-YES)、次に、連続印刷の終了を確認する(ステップS407)。
ここで、未印刷のものがあれば(ステップS407-NO)、ステップS401に戻す。
また、連続印刷の終了が確認できれば(ステップS407-YES)、この制御フローを終了する。
上記のように、主走査ラインごとに行う場合に完了できない初期化処理を分割して、複数ラインで断続して行うことで、主走査ラインごとに行う方法に準じた処理を行うことが可能になり、印刷動作に不具合が生じることがなく、確実に初期化処理を実行できる。
1・・転写紙、2・・搬送ベルト、6、6Y、6M、6C、6K・・感光体ドラム、8・・光走査装置、11Y、11M、11C、11K・・レーザー光、80・・LDドライバ、81・・LD(レーザーダイオード)、87・・光検知センサ、90・・PD(フォトダイオード)、95・・書き込み制御部、100・・CPU、803・・駆動電流制御部、804,804’・・微分発光効率算出部。
特開2007−118521号公報 特開2010−167587号公報

Claims (15)

  1. 駆動電流を変化させて点滅及び発光量が制御可能な光源を有し、前記光源の発光量を検出し、検出値をフィードバック制御し、発生する所定光量の光によって感光体を露光する画像形成装置であって、
    光源の駆動電流を所定量変えたときに得られる発光量の変化に基づいて発光効率を算出する発光効率算出手段と、
    前記発光効率算出手段によって算出された発光効率が所定範囲を越えたか否かを検出する光源発光状態検出手段と
    を有する画像形成装置。
  2. 請求項1に記載された画像形成装置において、
    前記発光効率算出手段は、光源を駆動する電流の制御量で表した駆動電流、発光量を変換し得られた電圧及び所定の定数を用い、電流の制御量を所定量変えたときに得られる発光量の変換電圧の差分を求め、求めた差分に所定の定数を乗算する手段である画像形成装置。
  3. 請求項2に記載された画像形成装置において、
    前記発光効率算出手段は、電流の制御量を所定量変えたときの量を定数化することで、発光量の変換電圧の差分のみを変量として発光効率を算出する手段である画像形成装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、
    前記光源発光状態検出手段は、前記発光効率算出手段によって算出された発光効率を基に上昇、低下の双方向に予め定めた閾値により、その後算出される発光効率に対する閾値処理を行う手段である画像形成装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれかに記載された画像形成装置において、
    前記光源発光状態検出手段が、時間の経過前後に前記発光効率算出手段によって算出される発光効率の差分値に対し予め定めた閾値により閾値処理を行う手段である画像形成装置。
  6. 請求項4又は5に記載された画像形成装置において、
    前記閾値の設定を変更する手段を有する画像形成装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置において、
    前記発光効率算出手段は、発光量を駆動電流により微分し得られる光量変化に基づいて発光効率を算出する手段である画像形成装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載された画像形成装置において、
    前記光源発光状態検出手段によって所定範囲を越えた発光効率が検出されたときに、発光量の制御に用いる設定値を現在の発光状態に対応するように初期化する設定値初期化手段
    を有する画像形成装置。
  9. 請求項8に記載された画像形成装置において、
    前記設定値初期化手段により初期化する設定値が、光源が発光を開始する閾値としての駆動電流値、光源発光時の所定発光量に対応する駆動電流値の少なくともいずれかである画像形成装置。
  10. 請求項8又は9に記載された画像形成装置において、
    前記光源からビーム状に発生させた光によりラスタ走査方式で感光体を露光することで画像を形成する手段を有し、
    前記設定値初期化手段による初期化をラスタ走査における画像有効走査期間の間で発光効率の算出と同時に行うよう制御する手段
    を有する画像形成装置。
  11. 請求項8又は9に記載された画像形成装置において、
    前記感光体の露光を経て形成する画像を間欠的に搬送する用紙に転写する手段を有し、
    前記設定値初期化手段による初期化を間欠的に搬送される用紙の紙間で行うよう制御する手段
    を有する画像形成装置。
  12. コンピュータを請求項1乃至5又は7のいずれかに記載された画像形成装置が有する前記発光効率算出手段、前記光源発光状態検出手段の各手段として機能させるためのプログラム。
  13. コンピュータを請求項1乃至5又は7乃至9のいずれかに記載された画像形成装置が有する前記発光効率算出手段、前記光源発光状態検出手段、前記設定値初期化手段の各手段として機能させるためのプログラム。
  14. 請求項12又は13に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
  15. 駆動電流を変化させて点滅及び発光量が制御可能な光源を有し、前記光源の発光量を検出し、検出値をフィードバック制御し、発生する所定光量の光によって感光体を露光する画像形成装置における光源発光状態検出方法であって、
    光源の駆動電流を所定量変えたときに得られる発光量の変化に基づいて発光効率を算出する発光効率算出工程と、
    前記発光効率算出工程によって算出された発光効率が所定範囲を越えたか否かを検出する光源発光状態検出工程と
    を有する光源発光状態検出方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2015204358A (ja) * 2014-04-14 2015-11-16 株式会社リコー 半導体レーザ駆動装置及び方法
JP2017124491A (ja) * 2016-01-12 2017-07-20 株式会社リコー 光ビーム走査装置及び光ビーム走査方法

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