JP2009000601A - 磁選機及び該磁選機により磁選された電子写真用キャリア - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る磁選機は、少なくとも非磁性材料からなる中空円筒体と、該中空円筒体の内部に配置された磁極発生部材と、該中空円筒体を回転させる駆動部と、該磁極発生部材を固定保持する保持部と、該中空円筒体の表面へ粉末状物質を供給する供給部と、粉末状物質を回収する回収部とを有する磁選機であって、該中空円筒体を複数具備し、且つこれら該中空円筒体が近接して隣り合うよう配置されており、近接して配置された該中空円筒体間を移動させて該回収部へ到達させることを特徴とする。前記粉末状物質に対して振動を与えながら移動させるのが好ましい。
【選択図】図1
Description
〔Am2/kg〕とし、これらが一様に混在しているような粉末状物質から後者の弱磁性
体のみを除去するのは困難である。また粒子毎の磁化が40〜70〔Am2/kg〕まで
連続的に分布を持つような粉末状物質に対し、磁化が55〔Am2/kg〕以下の粒子の
みを除去するというように、磁性の閾値をもって分離を行う場合は、これらの良品と不良品を精度良く分離することは困難であった。更には強磁性体が多く含まれる粉末状物質から、その中に少量含まれる弱磁性体を精度良く分離するのは極めて困難であった。
、その中で様々な磁性の強さを有する物質が混在しているような粉末状物質に対し、ある磁性の閾値よりも低い成分のみを除去するというような磁選処理を行う場合は、分離除去したい磁性の低い物質自体も磁性により中空ドラム表面に引き付けられているために、精度良い分離ができない。分離するためには、中空ドラムの回転数を上げる、若しくは磁束密度を下げる等の手段を取らざるを得ず、その結果、回収するべき磁性の高い成分も除去してしまい、分離精度が低下するばかりか、収率低下という問題も発生することとなる。
(1)本発明の磁選機は、少なくとも非磁性材料からなる中空円筒体と、中空円筒体の内部に配置された磁極発生部材と、中空円筒体を回転させる駆動部と、磁極発生部材を固定保持する保持部と、中空円筒体の表面へ粉末状物質を供給する供給部と、粉末状物質を回収する回収部を有しており、前記中空円筒体を複数備え、且つこれら中空円筒体が近接して隣り合うように配置されていることを特徴としている。
(2)粉末状物質の移動経路において、下方に位置する中空円筒体から上方に位置する中空円筒体へと粉末状物質が上がっていく近接部を少なくとも1箇所以上有することが好ましく、移動経路全体に渡って下方から上方へ上がって行くようになっていることがより好
ましい。これにより、弱磁性体や非磁性体の重力による落下を利用して、より精度の良い分離が可能となる。
ここで磁束密度の上記条件において、数値が5を超えた場合は、上流側に位置する中空円筒体の表面に形成される磁界に対し、下流側に位置する中空円筒体の表面に形成される磁界が過剰に強くなり、除去すべき弱磁性体も下流側に位置する中空円筒体に移動していまい磁選精度が著しく低下するおそれがある。
(4)中空円筒体表面へ供給された粉末状物質が中空円筒体表面を移動している最中に、粉末状物質に振動を与えることで、より精度の良い分離が可能となる。前述したように、強磁性体と弱磁性体は常に混在しており、弱磁性体が強磁性体中に巻き込まれた状態になっていると、強磁性体の磁石への吸着力により弱磁性体も磁石側へ束縛されて磁選機外部へ排出されない他、強磁性体と一体となって次の中空円筒体へ移動してしまい、分離精度が著しく低下する。その為、常に粉末状物質を振動させておくことで、粉末状物質中の強磁性体、弱磁性体及び非磁性体の入れ替わりを頻繁に行い、精度の良い分離が可能となる。
(5)複数ある中空円筒体各々の近接している部位の間隔は、3mmから50mmの範囲であることが好ましく、10mmから20mmの範囲がより好ましい。間隔が狭くなり過ぎると弱磁性体や非磁性体も中空円筒体間を移動し易くなる。一方、間隔が広くなり過ぎると強磁性体が中空円筒体間を移動出来なくなる。
(7)中空円筒体表面へ供給された粉末状物質が中空円筒体表面を移動している最中に、中空円筒体各々の回転が時計回りと反時計回りの2方向に入れ替わることで、より精度の良い分離が可能となる。前述したように、中空円筒体表面は、円周方向に複数の磁極が存在しており、磁極中央では粉末状物質による磁気穂が形成されるが、磁極中央から位置がずれると磁気穂が横に寝た状態となり、次の磁極へ移動すると再び磁気穂が形成され、中空円筒体が1回転する間にこの繰り返しを行い、粉末状物質中の強磁性体、弱磁性体及び非磁性体の入れ替わりが頻繁に行われる。このとき、時計回りと反時計回りを入れ替える
ことで、中空円筒体1本当りに対する粉末状物質の表面移動距離が延長されて入れ替わり回数が増え、弱磁性体や非磁性体の磁選機外部への排出が促進される。
(9)本発明は、上記(1)〜(8)の何れかに記載の手段にて電子写真用キャリアの磁選を行う磁選機である。
一般的に、電子写真用キャリアは、鉄を主成分とする芯材粒子の表面に樹脂被膜を形成して得られるが、キャリアの核となる芯材粒子は、一般的に細かく粉砕されて粉末状になった磁性体とバインダー樹脂から成るスラリーを造粒し、その後、焼成工程での焼結を経て得られる。このとき、スラリー中の磁性体や樹脂成分の分散が不均一で芯材粒子内の成分比に偏りが生じたり、造粒〜焼結過程で芯材粒子内に空孔等の構造的欠陥が生じると、所望の磁化よりも低い磁化を持った芯材粒子が生成されることになる。また、所望の磁化を持った芯材粒子でも、キャリア化する際の機械装置による攪拌や運搬といったハンドリング作業にて、割れや角欠けといった構造破壊により磁化が所望の値よりも低下する場合がある。このような、磁化が所望の値よりも低い、いわゆる弱磁性体を核としたキャリアがキャリア製品内に混入していると、コピー機内の現像部にて使用される磁気ローラーから受ける磁気力が弱く、現像部内で弱磁性体から成るキャリアが飛散し、異常画像発生の原因に繋がる。そこで、キャリア製造工程の最終段階で、磁選処理を行い、異常画像の原因となる弱磁性体を除去することで画像を高品質に保つことができる。
本発明に係る磁選機の一態様としては、例えば図1、図2、図3、図4に示すような装置がある。
質の回収トレイ、(10)は粉末状物質の回収ホッパー、(11)は粉末状物質の排出方向、(12)は中空円筒体の回転方向、(13)は中空円筒体の近接ギャップ、(14)は磁極発生部材の保持部、(15)は中空円筒体を回転させる駆動部、(16)は振動子、(17)は気体ノズル、(18)は交流電圧電源、(19)はアース、(20)は網目状の凹部、(21)は対向電極板である。
[実験方法]
磁選機の磁選精度について評価を行う為、粉末状物質サンプルとして、異なる磁性を有するキャリアA、キャリアB、そして非磁性体Cを用いる。ここで、キャリアAは強磁性体、キャリアBは弱磁性体であり、それぞれ外部磁場1000〔Oe〕での磁化が70〔Am2/kg〕、及び40〔Am2/kg〕である。非磁性体Cは磁性を持たないため、磁化は0〔Am2/kg〕である。先ず、キャリアAとキャリアBをA:B=7:3、キャ
リアAと非磁性体CをA:C=7:3の比率で混ぜて、それぞれ混合粉末AB、ACを作製する。これらを別々に磁選機にて磁選処理し、混合粉末AB、ACよりそれぞれキャリアB、非磁性体Cを分離除去する作業を行う。そして、磁選処理された混合粉末AB´、AC´の磁化を測定し、以下式で定義される磁選分級精度Dを評価する。キャリアAに混ぜたキャリアB及び非磁性体Cを、キャリアAから完全に分離除去することができれば磁選分級精度は理論上100%となるため、磁選分級精度が高い程、磁選機の磁選精度が高いことになる。
・磁選分級精度D(%)=100×(Y−X)/(A−X)
(A:キャリアAの磁化,X:磁選前の混合粉末の磁化,Y:磁選後の混合粉末の磁化)
磁化の測定にはVSM計測機を用い、外部磁場1000〔Oe〕に印加してサンプルの磁化を測定した。
(比較例1の実験条件)
比較例1として、ドラム式磁選機を用いて磁選処理を行った。ドラム式磁選機は、産業界では最も広く利用されているタイプの一つであり、鉱業・窯業・化学・食品等、様々な分野で使用されている汎用性の高い機構を持った磁選機である。ドラム上部より粉末AB、及びACをドラム表面に供給し、ドラム表面を回転させる。ドラム真下よりも若干下流に位置する場所に粉末回収部を設置し、落下してくる磁選処理済みの粉末を回収した。弱磁性体や非磁性体はドラム真下に到達するまでに重力とドラム回転による遠心力で不良品回収部に落下する構造となっている。
本発明で提案する磁選機の一例である図1に示す磁選機を用い、ここから中空円筒体1本のみを残して、それ以外の中空円筒体を取り除いた構造とし、粉末に振動を与えずに磁選処理を行った。これは、本発明で提案する複数の中空円筒体間の近接ギャップを粉末が移動する特徴と、粉末に振動を与える特徴を無くしており、これより本発明の効果をより
顕著に表す比較実験とした。構造としては、比較例1のドラム式磁選機に近いものとなっている。
本発明で提案する磁選機の一例である図1に示す磁選機を用い、中空円筒体2本のみを残して、それ以外の中空円筒体を取り除いた構造とし、磁選機底部に設置した振動子を振動させることで、装置全体を振動させて粉末に振動を与え、磁選処理を行った。なお中空円筒体の表面には図4に示す網目状の凹凸形状が形成されており、磁選手段の近接ギャップ等は以下の表1に示すとおりである。
(実施例2の実験条件)
本発明で提案する磁選機の一例である図1に示す磁選機を用い、中空円筒体を4本とし、磁選機底部に設置した振動子を振動させることで、装置全体を振動させて粉末に振動を与え、磁選処理を行った。
(実施例3の実験条件)
本発明で提案する磁選機の一例である図1に示す磁選機を用い、中空円筒体を6本とし、磁選機底部に設置した振動子を振動させることで、装置全体を振動させて粉末に振動を与え、磁選処理を行った。
本発明で提案する磁選機の一例である図1に示す磁選機を用い、ここから中空円筒体2本のみを残して、それ以外の中空円筒体を取り除いた構造とし、粉末に振動を与えずに磁選処理を行った。
上記比較例1又は2、実施例1〜4の実験を行う上で、磁選処理速度、処理量、磁選する粉末の粒径を以下のように設定した。また、比較例1又は2、実施例1〜4の磁選処理の実験条件を表1に示す。
(2)処理量: 30kg
(3)キャリアA、B及び非磁性体Cの平均粒径:50μm
比較例1又は2、実施例1〜4の磁選分級精度の評価結果を表2に、画像評価を表3に示す。尚、これらは本発明の一態様に過ぎず、本発明はこれらに限定されない。
2 中空円筒体
3 磁極発生部材
4 シャフト
5 不良品回収部
6 投入ホッパー
7 投入トレイ
9 回収トレイ
10 粉末状物質の回収ホッパー
13 中空円筒体の近接ギャップ
14 保持部
15 駆動部
16 振動子
17 気体ノズル
20 網目状の凹部
21 対向電極板
Claims (12)
- 少なくとも非磁性材料からなる中空円筒体と、該中空円筒体の内部に配置された磁極発生部材と、該中空円筒体を回転させる駆動部と、該磁極発生部材を固定保持する保持部と、該中空円筒体の表面へ粉末状物質を供給する供給部と、粉末状物質を回収する回収部とを有する磁選機であって、該中空円筒体を複数具備し、且つこれら該中空円筒体が近接して隣り合うよう配置されており、近接して配置された該中空円筒体間を移動させて該回収部へ到達させることを特徴とする磁選機。
- 前記中空円筒体が近接して配置された近接部において、下方に位置する該中空円筒体から上方に位置する該中空円筒体へと粉末状物質が移動していく部位を少なくとも1箇所以上有することを特徴とする請求項1に記載の磁選機。
- 前記中空円筒体が近接して配置された近接部において、粉末状物質の移動経路の上流側に位置する該中空円筒体の内部に配置された前記磁極発生部材により形成される磁界の磁束密度をB1〔T〕とし、粉末状物質の移動経路の下流側に位置する該中空円筒体の内部に配置された該磁極発生部材により形成される磁界の磁束密度をB2〔T〕としたとき、0≦Log(B2/B1)≦5の条件を満たすことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁選機。
- 前記中空円筒体に振動を与えることで粉末状物質を振動させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の磁選機。
- 前記中空円筒体の表面を移動している粉末状物質に気体を吹き付けることで粉末状物質を振動させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の磁選機。
- 前記中空円筒体に近接するよう対向電極板を設け、該中空円筒体と該対向電極板の間に交流電圧を印加することで粉末状物質を振動させることを特徴とする請求項1〜3の何れか一に記載の磁選機。
- 隣接する前記中空円筒体の近接間隔が、3mm〜50mmであることを特徴とする請求項1〜6の何れか一に記載の磁選機。
- 前記中空円筒体の表面の少なくとも一部が凹凸の形状を有していることを特徴とする請求項1〜7の何れか一に記載の磁選機。
- 一の前記中空円筒体が時計回りに回転し、隣接する他の中空円筒体が反時計回りに回転することを特徴とする請求項1〜8の何れか一に記載の磁選機。
- 複数ある前記中空円筒体各々の回転数の平均値をR〔rpm〕、該中空円筒体の半径をr〔cm〕、該中空円筒体何れかの表面に供給される粉末状物質の供給速度をM〔kg/h〕としたとき、2≦1000(M/2πrR)≦80の条件を満たすことを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の磁選機。
- 前記粉末状物質が電子写真用キャリアであることを特徴とする請求項1〜10の何れか一に記載の磁選機。
- 請求項11に記載の磁選機によって磁選されたことを特徴とする電子写真用キャリア。
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