JP2008544076A - 熱可塑性エラストマーを生成するための動的加硫方法 - Google Patents

熱可塑性エラストマーを生成するための動的加硫方法 Download PDF

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Abstract

熱可塑性加硫物(TPV)が25以下のショアーA硬度も持ちつつ、「粉末状」でない、すなわち、凝集せず且つ続くプラスチック加工に適したペレット状のTPV組成物を生成するプロセスを持つことは有益である。
本発明の一つの特徴は、全ポリマーベースに基づき18重量%未満の熱可塑性ポリマー、交差結合可能なエラストマー、少なくとも一つの硬化剤及びプロセスオイルを溶融混合することを含む熱可塑性加硫物組成物を生成し、プロセスオイルの熱可塑性ポリマーに対する重量比が200:1から4:1であり;室温のシクロヘキサン中で抽出可能なレベルが6重量%を超えない熱可塑性加硫物組成物を分離し、組成物は50ショアーA未満のジュロメータ(durometer)を持つ、プロセスに関する。
【選択図】なし

Description

本発明はプロセスオイルの存在下で動的加硫により熱可塑性エラストマーを生成する方法、及びそれにより生成される組成物に関する。
動的加硫された熱可塑性エラストマー(熱可塑性加硫物又はTPV)は、伝統的な熱可塑性エラストマーの様に熱可塑性及び弾性特性の両方の組み合わせた特性を持つ。その熱可塑性加硫物は、熱可塑性ポリマー、加硫可能なエラストマー及び硬化剤を混合し、せん断することにより生成される。
加硫可能なエラストマーはせん断及び混合中に動的に硬化され、熱可塑性ポリマーの連続相内で粒状相として緊密且つ均一に分散される。例えば、米国特許第4,130,535号、第4,311,628号, 第4,594,390号 及び第6,147,160号を参照願いたい。典型的には、熱可塑性物質はTPV中に「連続相」を形成し、これは後の工程でTPVを製品に加工するのに望ましい。望ましいのはTPV中のエラストマーと熱可塑性物質のバランスを見出すことであり、エラストマーが熱可塑性物質に対して相対的高い比率であることにより軟らかい製品を作ることができる。
TPVの物理的特性、特にショアーA(又は、D)硬度として数量的に測定される「軟らかさ」(softness)又は、「硬度」(hardness)は多くの要因により影響を受ける。一つの要因はエラストマーの、TPVに存在する熱可塑性物質に対するバランスである。エラストマーの量を相対的に増やすとTPVは軟らかくなる傾向があり、熱可塑性物質の量を相対的に増やすとTPVは硬くなる。しかし、これらの物理的特徴は、TPVの加工性とのバランス関係にある。すなわち、どの様に上手く製品に押し出しされるかである。熱可塑性物質のレベルをある敷居値より下げると、しばしば連続した熱可塑相が失われ、エラストマー相が凝集する結果となり、何れの最終製品も粉末状の性質を有する。また、熱可塑性物質のレベルを下げるとTPVの加工性を減少させる。この加工性の減少はエラストマー/熱可塑性物質ブレンドにオイルを加えることにより埋め合わせることができる。しかし、オイルを過度に加えるとTPVのエラストマー相を不釣合いに膨張させ、熱可塑性相の容量を減少させる。
TPVの硬化状態は、TPVの軟らかさ又は硬度に独立に影響を与える他の要因である。技術分野のある人は、TPVの硬化状態を下げることにより、TPVの「硬い」相の量を減らすことなく、比較的「軟らかい」TPVを作り出すことができることを見出した。しかし、少なくともある状況では、軟らかいそして十分に硬化したTPVが望まれる。エラストマー及びオイルは軟らかい成分であり、これらの成分を増やすことは「軟らかい」TPVを作る方法と見ることができる。十分硬化した性質を持つ、TPVのエラストマー部分を保持しつつこれを実現することが望まれる。
軟らかい熱可塑性加硫物がEP 0 892 831に記載されており、これらの熱可塑性エラストマーは35ショアーAより低い硬度を持つ。特許権者は、少なくとも30重量%の熱可塑性物質を持ち、これらの「軟らかい」ショアーAを持つTPVを幾つか提示している。軟らかさは、少なくとも部分的にはTPV中の非晶質熱可塑性物質の存在により実現される。これがない場合は、熱可塑性物質のみが低いレベルである場合は加工処理ができない製品となる。このことは、例えば、EP 0 109 375 B2に記載の様に、動的加硫された熱可塑性エラストマー中の硬化エラストマーとプラスチックの相対的量を論じる中で、エラストマーを最大量(すなわち、熱可塑性物質の最小量)にすると、製品が崩れ、塊を為さない状態となることが認められている。
熱可塑性ポリオレフィン及び低い熱可塑性含有量をもつ動的加硫されたエラストマーを含むTPVは、硬度が35ショアーAより低いことがWO 2005/010094 Alに記載されており、その場合オイルのエラストマーに対する比率は少なくとも2/1である。これらの例では、熱可塑性エラストマー組成物の全重量に基づき、ポリプロピレン熱可塑性物質の最低レベルは5.12 重量%であり、又は全ポリマーベース(熱可塑性物質及びエラストマーの合計)で18.7重量%であることを示す。これはまた、最小の硬化剤の量で(最小の硬化)、最も軟らかい組成物が得られ、硬化剤のレベルが高い(より高い硬化)と、25ショアーAより高い硬度の組成物が生成されることと示す。より高い硬化レベルでの実施例では全300 phrのオイルを含む。これは、Thermoplastic Elastomers: Fundamentals and Applications, RUBBER COMPOUNDING: CHEMISTRY AND APPLICATIONS 163, 206-209 (Marcel Dekker, 2004)のT. Abraham, C. McMahanの議論と整合し、この文献は、ポリプロピレン、エチレンープロピレンージエンモノマーゴム(ethylene-propylene-diene monomer rubber (EPDM))及びオイルを含む熱可塑性オレフィンブレンド(thermoplastic olefin blends (TPO))を、エラストマーの交差結合により熱可塑性加硫物(thermoplastic vulcanizates (TPV))に変換することを説明する。多くのエラストマー特性が改良されているが、組成物の硬度(ショアーA)は、各変換で増大していることが示されている。この硬度の変化(増大)は製品の形態の変化及びエラストマー相の交差結合によるものと考えられる。また、加硫エラストマーの硬度が、交差結合密度すなわち、硬化状態と共に増大すること、について説明しているA. Y. Coranの「Vulcanization」、SCIENCE AND TECHNOLOGY OF RUBBER, 291-92 (Academic Press, F.R. Eirich編纂., 1978) (特に、図 1) を参照願いたい。
熱可塑性エラストマー、すなわち、熱可塑性加硫物及び他の物質(例えば、スチレン系トリブロック熱可塑性エラストマー)の両方について拡大する用途を考慮し、最良の特性を持つ熱可塑性エラストマー物質を見出し、最も効果的な製法を用いて生成するための努力が拡がりつつある。実質的に硬化されるTPVの望ましい点を考慮すると、25以下のショアーA硬度も持ちつつ、「粉末状」でない、すなわち、凝集せず且つ続くプラスチック加工に適したペレット状のTPV組成物を生成するプロセスを持つことは有益である。
発明の概要
本発明の一つの特徴は、全ポリマーベースに基づき18重量%未満の熱可塑性ポリマー、交差結合可能なエラストマー、少なくとも一つの硬化剤及びプロセスオイルを溶融混合することを含む熱可塑性加硫物組成物を生成し、プロセスオイルの熱可塑性ポリマーに対する重量比が200:1から4:1であり;室温のシクロヘキサン中で抽出可能なレベルが6重量%を超えない熱可塑性加硫物組成物を分離し、組成物は50ショアーA未満のジュロメータ(durometer)を持つ、プロセスに関する。
本発明の他の特徴は、熱可塑性加硫物組成物を生成するプロセスに関し、前記プロセスは:
i) 熱可塑性ポリマーを交差結合可能なエラストマーと動的加硫条件下で溶融混合し;
ii) ステップi)の溶融混合の開始前、溶融混合中又は、その後にエラストマーのための少なくとも一つの硬化剤を加え、溶融混合中にエラストマーを交差結合させ;
iii) 硬化剤の添加の前、添加中、又はその後に、ステップi)の溶融混合にプロセスオイルを導入し、プロセスオイルは、オイルの熱可塑性ポリマーに対する比率が以下の式
(-5.9 TP + 365) ≧ OL ≧ (-8.9 TP + 243),
で算定され、
OLはphrによる全プロセスオイル、Tpは全ポリマーベースによる熱可塑性ポリマーの重量%であり、1から60重量%の範囲であり;及び
iv) 熱可塑性ポリマー、及び続く冷却後に、室温のシクロヘキサン中でその抽出物のレベルが、全エラストマー重量の6重量%未満の、交差結合したエラストマーの熱可塑性加硫物ブレンドを押し出すこと、
を含む。
本発明の更に他の特徴は、全ポリマーベースに基づき、18重量%未満の熱可塑性ポリマー、及び十分に交差結合したエラストマーであって、室温のシクロヘキサン中で抽出物のレベルが6重量%を超えないエラストマーを含む熱可塑性組成物に関し、組成物は熱可塑性加硫物組成物を分離し、組成物は50ショアーA未満のジュロメータを持つ、50ショアーA未満のジュロメータを持つ。
本発明で用いられる熱可塑性ポリマーは固形プラスチック樹脂材料である。好ましくは樹脂は結晶質、又は半結晶質ポリマー樹脂であり、より好ましくは、示差走査熱量計により測定した結晶化度が少なくとも10パーセントある樹脂が良い。高いガラス転移温度を持つポリマー、例えば、非結晶質ガラス状エンジニアリングプラスチックはまた熱可塑性樹脂として使用可能である。これらの樹脂の溶融温度は一般にエラストマーの熱分解温度より低い。したがって、本発明では極性及び非極性ポリマーの何れも使用することができる。本明細書で用いる、熱可塑性ポリマー又は熱可塑性樹脂又はエンジニアリング樹脂は、二以上の異なる熱可塑性ポリマー又は、一以上の相溶化剤及び二以上の熱可塑性ポリマーを含む。
熱可塑性ポリマーは、好ましくは重量平均分子量(Mw)が50,000 から600,000、数平均分子量(Mn)が50,000 から200,000であるのが良い。より好ましくはこれらの樹脂はMwが150,000 から 500,000及びMnが65,000 から150,000であるのが良い。分子量は、典型的には、測定される熱可塑性物質に適当な標準を用いてゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定することができる。更に、Mnは示差屈折率(Differential Rectractive Index (DRI))を用いて測定することができ、Mwは低角度レーザー光散乱(Low Angle Laser Light Scattering (LALLS))を用いて測定することができる。ASTM D 6474はポリオレフィンの一般的な説明を提供する。合成ゴムへの適合については、またISO 11344 及びT. Sun, 「Macromolecules」、 34巻, 6812ページ (2001)を参照願いたい。
代表的な熱可塑性ポリマーには、結晶可能なポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド(ナイロン)、ポリエステル、ポリ(フェニレン エーテル)、ポリカーボネート、スチレンーアクリロニトリル コポリマー、ポリエチレンテレフタル酸、ポリブチレン テレフタル酸、ポリスチレン、ポリスチレン誘導体、ポリフェニレン 酸化物、ポリオキシメチレン、フッ素含有熱可塑性物質、及びポリウレタンを含む。好ましい熱可塑性樹脂は、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン及びこれらの混合物の様なアルファーオレフィンを重合させることにより形成される結晶化可能なポリオレフィンである。例えば、エチレンの結晶化度を持つこととが知られたポリエチレン ホモポリマー及びコポリマーが適している。アイソタクチックポリプロピレン及び、アイソタクチックプロピレンの結晶化度を持つプロピレンとエチレン又は、他のC4-C10アルファーオレフィン、又は、ジオレフィンのコポリマーが好ましい。エチレン及びプロピレン、又は、エチレン又はプロピレンと他のアルファーオレフィン、例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセン及びこれらの混合物とのコポリマーが適当である。これらは、ブロック、ランダム又は混合したポリマー合成に関わらず、反応器ポリプロピレンコポリマー又は衝撃ポリプロピレンコポリマーを含む。
これらのホモポリマー及びコポリマーは、酸化クロム及び有機クロム触媒、チタンベースのチーグラー・ナッタタイプ触媒、メタロセン触媒、バナジウムベース触媒、鉄、ニッケル又はパラジウムベース配位触媒の様な技術分野で知られた触媒を用いて合成されうるが、これに限定されるものではない。プロセスはスラリー又は液相重合(高圧及び低圧)又は気相プロセスを含む。本明細書及び特許請求の範囲で用いられる「コポリマー」の用語は2以上のモノマー誘導単位を含むポリマーを指す。
熱可塑性ポリオレフィン樹脂は、通常溶融温度又は軟化温度 (Tm))が40から 350℃であり、好ましいポリオレフィン樹脂では50から170°C, さらに好ましくは90から170°Cである。これらの樹脂のガラス転移温度(Tg)は−25から10°C, 好ましくは−5から5℃である。より一般的には半結晶質及びガラス状極性ポリマーを含み、有用な樹脂は100℃まで及びそれ以上のTgを持ち、さらに150°Cより大きいTgを持つ。これらの特徴的な温度はASTM D-3418の試験方法に従いDSCにより決定することができる。
特に好ましい商業的に利用可能な熱可塑性ポリオレフィン樹脂は、高度に結晶質のアイソタクチック又は、シンジオタクチックポリプロピレンである。このポリプロピレンは、通常0.85 から0.91 g/cm3の密度を持ち、殆んどが0.90 から0.91 g/ccの密度を持つアイソタクチック ポリプロピレンである。また、分別メルトフローレートを持つ高分子量及び超高分子量プロピレンも非常に好ましい。
これらのプロピレン樹脂は、ASTM D-1238によるメルトフローレートが50 dg分以下、好ましくは35 dg分以下、好ましくは5.0 dg/分以下、最も好ましくは0.8 dg/分以下である特徴を持つ。メルトフローレートは標準圧力下でポリマーがどの程度容易に流れるかの規準となり、230℃及び2.16 kg負荷でASTM D-1238により測定される。0.8 dg/分から50 dg/分の異なるメルトフローレートを持つ一以上のプロピレンホモポリマー又はコポリマーを使用することはまた本発明の実施の態様である。
本発明のある実施の態様においては、熱可塑性加硫物は同様に一以上のポリマー性プロセス添加剤又は特性改質剤を含んでいても良い。使用することのできるプロセス添加剤は、非常に高いメルトフローインデックスを持つポリマー性樹脂である。これらのポリマー性樹脂は、メルトフローレートが500 dg/分より大きく、又は750 dg/分より大きく、又は1000 dg/分より大きく、又は1200 dg/分より大きく、又は1500 dg/分より大きい線状及び分枝状分子の両方を含む。本発明の熱可塑性エラストマーは、線状及び分枝状ポリマー性プロセス添加剤の混合物のみならず、種々の分枝又は種々の線状ポリマー性プロセス添加剤の混合物を含んでもいても良い。ポリマー性プロセス添加剤には、特に断らない限り線状及び分枝状添加剤を含む。線状ポリマー性プロセス添加剤の一つのタイプはプロピレンホモポリマーである。分枝状ポリマー性プロセス添加剤の一つのタイプにはジエン改質ポリプロピレンポリマーを含む。同様なプロセス添加剤を含む熱可塑性加硫物は米国特許第6,451,915号に開示されている。
特性改質のために添加される熱可塑性物質には、TPVでない熱可塑性物質及び熱可塑性エラストマーを含み、追加される非交差結合性エラストマーを含む。これらの例には、ポリエチレンホモポリマー及び一以上のC3-C8αオレフィンのコポリマーを含む。特に留意すべき例には、エチレンープロピレンゴム(EPR), 超低密度ポリエチレン(ULDPE), 非常に低密度のポリエチレン(VLDPE), 線状低密度ポリエチレン (LLDPE), 中密度ポリエチレン (MDPE), 高密度ポリエチレン (HDPE), 及び特にメタロセン触媒により生成されるエチレン及び0.870から0.920 g/cm3の密度を持つC4 - C8のコポリマーである、通常「プラストマー」(plastomer)として知られているポリエチレンを含み、。プロピレンベースのプロピレンと8-20 重量%のエチレンのエラストマー性コポリマーであって、結晶融点(60-120°C)を持つものはプロピレンベース熱可塑性相に特に有用である。主要な熱可塑性物質又はエラストマーとある程度の相溶性を持つ他の熱可塑性エラストマー、例えば、水素化スチレン、ブタジエン及び/又はイソプレン、スチレントリブロックコポリマー(SBC)、例えば、SEBS、SEPS, SEEPS等を添加しても良い。非水素化SBCトリブロックコポリマーは、例えば、熱可塑性末端ブロックを持つゴム状中間ブロックを持つスチレンーイソプレンースチレン、スチレンーブタジエンースチレン、及びスチレンー(ブタジエンースチレン)−スチレンの様に同様に有用である。
本発明の組成物での使用に適しているエラストマーは、通常熱可塑性ポリマーと使用する及び任意選択的に適合する様に選択され、反応性硬化部位を持つ。この様に、熱可塑性ポリオレフィンポリマーは、通常交差結合可能な非極性オレフィン系エラストマー又は2種類以上のエラストマーのブレンドとともに用いられる。硬化部位はエラストマー骨格の不可欠な部分であっても良く、又は追加される官能基により組み入れても良い。本明細書で用いられるエラストマーには二以上のエラストマーの混合物を含む。
本発明の熱可塑性エラストマーを生成するために有用な不飽和非極性ゴムには、二以上のモノオレフィンの非極性、ゴム状コポリマーを含むモノオレフィンコポリマーエラストマー(EPR ゴム)を含み、好ましくは少なくとも一つのポリエン、通常はジエンと共重合している(EPDM ゴム)のが良い。
EPDMはエチレン、プロピレン及び一以上の非共役ジエンポリマーであり、及びモノマー成分は例えば、チーグラー・ナッタ又は、メタロセン触媒反応により重合させても良い。条件を十分満たす非共役ジエンには、5-エチリデン-2-ノルボルネン(5-ethylidene-2-norbornene) (ENB)、1,4-ヘキサジエン(1,4-hexadiene) (HD)、5-メチレン-2-ノルボルネン(5-methylene-2-norbornene) (MNB)、1,6-オクタジエン(1,6-octadiene)、5 -メチル- 1,4-ヘキサジエン(5 -methyl- 1,4-hexadiene)、3,7- ジメチル-l,6-オクタジエン(3,7- dimethyl-l,6-octadiene)、1,3-シクロペンタジエン(1,3-cyclopentadiene)、1,4-シクロヘキサジエン(1,4-cyclohexadiene)、ジシクロペンタジエン(dicyclopentadiene) (DCPD)、5-ビニル-2-ノルボルネン(5-vinyl-2-norbornene) (VNB)、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)等、又は、これらを組合せたものを含む。
この様なエラストマーは、結晶質又は半結晶質ポリマーに起因するその物理的特性を維持しつつ、通常、硬化状態が約95%を超える熱可塑性加硫物を生成する能力を持つ(例えば、6重量%未満のゴムが適当な溶媒中で抽出されうる)。
好ましいジエンモノマーは5-チリデン-2-ノルボルネン(5-ethylidene-2-norbornene)及び5-ビニル-2-ノルボルネン(5-vinyl-2-norbornene)である。コポリマーがエチレン、アルファーオレフィン、及びジエンモノマーから生成される場合は、コポリマーはターポリマー(terpolymer)又は、複数オレフィン又はジエンが用いられる場合にはテトラポリマー(tetrapolymer)とも呼ばれることもある。
エラストマー性コポリマーはエチレンモノマーに由来の20から90モルパーセントエチレン単位を含む。好ましくはこれらのコポリマーは40から85モルパーセントを含み、更により好ましくは50から80 モルパーセントエチレン誘導単位を含むものが良い。更にコポリマーがジエン単位を含む場合、ジエン単位は0.1から5モルパーセント、好ましくは0.2から4 モルパーセント 更に好ましくは1 から2.5 モルパーセントで含むのが良い。コポリマーの残りの部分は通常アルファーオレフィンモノマー由来の単位から成る。したがって、コポリマーは10から80 モルパーセント, 好ましくは15から50 モルパーセント、より好ましくはアルファーオレフィンモノマーに由来の20から40 モルパーセントのアルファーオレフィン単位を含むのが良い。上記のモルパーセントはポリマーの全モルに基づく。
ブチルゴムはまた熱可塑性エラストマー組成物において有用である。本明細書及び特許請求の範囲で用いられるブチルゴムの用語は、イソオレフィン及び共役ジオレフィンのコポリマー、共役ジオレフィンを持つ又は持たないイソオレフィン、ジビニル芳香族モノマーのターポリマー、その様なコポリマー及びターポリマーのハロゲン化誘導体を含む。それらのハロゲン化されたものは特に有用であり、特に臭素化ブチルゴムは有用である。本発明のオレフィンエラストマーの範囲内の他の好適なコポリマーは、C4-7イソモノオレフィン及びパラアルキルスチレンのコポリマー、好ましくはこれらのハロゲン化誘導体であるのが良い。コポリマー中、特にパラアルキルスチレン中では顕著に、ハロゲンの量は0.1から10重量%である。好ましい例としてはイソブチレン及びパラメチルスチレンの臭素化されたコポリマーである。
エラストマー性コポリマーは200,000より大きい、より好ましくは300,000から1,000,000より大きい、更に好ましくは400,000から700,000より大きい重量平均分子量を持つのが良い。これらのコポリマーは、70,000より大きい、より好ましくは100,000 から350,000、より好ましくは120,000 から300,000、及び更に好ましくは130,000から250,000の数平均分子量を持つのが良い。エラストマー、特に分子量範囲の高い上限のものは製造プロセス中しばしば油展され、本発明のプロセスにしたがって直接加工することができる。
有用なエラストマー性コポリマーは、好ましくはムーニー粘度(ML(1+4@125 ℃))が20から450、より好ましくは50から400、更により好ましくは200から 400であるのが良く、ここにムーニー粘度は非油展ポリマーの粘度である。ある実施の態様においては、エラストマー性コポリマーの、230°C、2.16kg負荷でASTM D-1238に従い決定されたメルトフローレートは無視できる程度であっても良く、より具体的には0.1 g/l0分未満、より好ましくは0.05 g/10分未満のMFRであるのが良い。他の実施の態様においては、
0.1から100 g/10分及び好ましくは0.5から50 g/10分のより高いメルトフローレートを使用することができる。
加硫可能なエラストマーはまた、天然ゴム又は、スチレンの様な芳香族モノマー、又はアクリロニトリル又は3から8の炭素原子を持つアルキル置換アクリロニトリルモノマーの様な極性モノマーを持つ少なくとも一つの共役ジエンとの合成ホモポリマー、又はコポリマーであっても良い。これらのエラストマーはEPDMエラストマー又はブチルゴムより不飽和度が高い。これらのエラストマーは、熱及び酸化安定性を増すため、任意選択的に部分的に水素化されても良い。望ましくは、これらのエラストマーは、4から8炭素原子を持つ少なくとも一つの共役ジエンモノマーからの繰り返し単位を少なくとも50重量%含むのが良い。望ましくは他のコモノマーは不飽和カルボン酸、不飽和ジカルボン酸、ジカルボン酸の不飽和無水物を持つモノマーからの繰り返し単位を含み、ジビニルベンゼン、アルキルアクリレート及び3から20の炭素原子を持つ他のモノマーを含むのが良い。
合成エラストマーは好ましくは非極性あるのが良い。合成エラストマーの例には、上のエチレンコポリマーエラストマーに加え、合成ポリイソプレン、ポリブタジエンエラストマー、スチレンーブタジエンエラストマーを含む。これらの材料は市場で購入可能である。非極性エラストマーが好ましい。極性エラストマーは用いることができるが、当業者に知られている様に一以上の相溶化剤が必要となることもある。
熱可塑性加硫物の反応プロセスでは、供給口での物理的な混合を向上させるために、熱可塑性成分が、典型的にはペレット又は粉末の形で溶融プロセス装置に加えられ又は供給され、他方交差結合可能なエラストマーは、小片、顆粒又は粉砕粒子、又は(しばしば充填剤又は半結晶質ポリマー粉末で覆われた)ペレットの形で加えられる。代替的に、熱可塑性物質及びエラストマーのいずれも溶融した形で一緒に、又は別々に直接供給しても良い。
エラストマーを交差結合又は加硫に使用することのできる本発明の硬化物質、又は硬化剤(硬化物質プラス補助剤)は、水素化ケイ素、フェニル樹脂、過酸化物、遊離基開始剤、硫黄、金属亜鉛化合物等を含み、加硫可能なエラストマー、より具体的には熱可塑性加硫物を加工する技術分野の当業者に知られているどの様なものであっても良い。上記の硬化物質は、エラストマーの全体の硬化状態を改善するために、しばしば開始剤、触媒等として作用する一以上の補助剤とともに用いられる。硬化物質は溶融混合押出機の供給ホッパーを含み、一以上の箇所で加えても良い。更に詳しい情報については、S. Abdou-Sabet, R. C. Puydak, 及び C. P. Rader, "Dynamically Vulcanized Thermoplastic Elastomers", Rubber Chemistry and Technology, 69巻, 3号, July- August 1996及びその中での引用文献を参照願いたい。
使用されうる有機過酸化物の例には、di-tert- ブチル過酸化物(di-tert-butyl peroxide)、ジクミル過酸化物(dicumyl peroxide)t-ブチルクミル過酸化物(t-butylcumyl peroxide)、アルファーアルファ-bis(tert-ブチルペロキシ)ジイソプロピルベンゼン(alpha-alpha-bis(tert- butylperoxy)diisopropyl benzene)、2,5 ジンメチル 2,5-di(t-ブチルペロキシ)ヘキサン(2,5 dimethyl 2,5-di(t-butylperoxy)hexane)、1,1- di(t-ブチルペロキシ)-3(1,1- di(t-butylperoxy)-3)、3,5-トリメチルシクロヘキサン(3,5-trimethyl cyclohexane)、n-ブチル-4(n-butyl-4), 4-bis(tert-ブチルペロキシ)吉草酸塩,4-bis(tert-butylperoxy) valerate)、ベンゾイル過酸化物(benzoyl peroxide)、ラウロイル過酸化物(lauroyl peroxide)、ジラウロイル過酸化物(dilauroyl peroxide)、2,5-ジメチル-2(2,5-dimethyl-2), 5-di(tert-ブチルペロキシ)ヘキセン-3), 5-di(tert-butylperoxy) hexene-3)及び一般的に、ジアリ−ル過酸化物(diaryl peroxide)、ケトン過酸化物(ketone peroxide)、ペロキシカーボネ−ト(peroxydicarbonate)、ペロキシエステル(peroxyester)、ジアルキル過酸化物(dialkyl peroxide)、ヒドロペルオキシド(hydroperoxide)、ペロキシケタール(peroxyketal)及びこれらの組み合わせがある。Luazo(登録商標)AP(Azo Chemicalより入手可能)の様なAzo開始剤を遊離基開始剤として用いても良い。
過酸化物に加えて、他の硬化補助物質又は補助剤(coagent)も使用することができる。その例には、トリアリルシアヌール酸塩(triallyl cyanurate)、トリアリルイソシアヌール酸塩(triallyl isocyanurate)、トリアリルリン酸塩(triallyl phosphate)、硫黄(sulfur)、N- フェニル bis-マレアミド(N- phenyl bis-maleamide)、亜鉛ジアクリレート(zinc diacrylate)、亜鉛ジメチルアクリレート(zinc dimethacrylate)、ジビニルベンゼン(divinyl benzene)、1,2ポリブタジエン(1,2 polybutadiene)、トリメチロール プロパン トリメタアクリレート(trimethylol propane trimethacrylate)、テトラメチレン グリコール ジアクリレート(tetramethylene glycol diacrylate)、三官能価アクリル酸エステル(trifunctional acrylic ester)、ジペンタエリトリトールペンタアクリレート(dipentaerythritolpentacrylate)、ポリ官能価アクリレート(polyfunctional acrylate)、ポリ官能価メタアクリレート(polyfunctional methacrylates)、アクリレート(acrylate)及びメタアクリレート金属塩(methacrylate metal salts)及びオキシマー(oximer)、例えば、キノンジオキシム(quinone dioxime)がある。
ヒドロシリル化はまた、熱可塑性加硫物の交差結合方法として使用することができ、ある実施の態様においては、本発明のプロセスに好適である。この方法では、分子内に少なくとも2つのSiH基を持つ水素化ケイ素が、熱可塑性樹脂及びヒドロシリル化触媒の存在下で、熱可塑性エラストマーの不飽和(すなわち、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を含む)エラストマー成分の炭化−炭素多重結合と反応する。本発明のプロセスで有用な水素化シリコンには、メチル水素 ポリシロキサン(methylhydrogen polysiloxane)、メチル水素 ジメチルーシロキサンコポリマー(methylhydrogen dimethyl-siloxane copolymer)、アルキル メチル ポリシロキサン(alkyl methyl polysiloxanes)、bis(ジメチルシリル)アルカン(bis(dimethylsilyl)alkane)及び bis (ジメチルシリル)ベンゼン(bis(dimethylsilyl)benzene)を含む。
本発明のプロセスの改良された硬化を実施するために、水素化ケイ素化合物に有用なプラチナ含有触媒については知られている。これらの触媒には、塩化白金酸(chloroplatinic acid)、塩化白金酸六水和物(chloroplatinic acid hexahydrate)、塩化白金酸とsym-ジビニルテトラメチルジシロキサン(sym-divinyltetramethyldisiloxane)の複合物、ジクロローbis(トリフェニルホスフィン)プラチナ(II)(dichloro- bis(triphenylphosphine) platinum (II))、cis-ジクロロ-bis(アセトニトリル)プラチナ(II)(cis-dichloro-bis(acetonitrile) platinum (II))、ジカルボニルジクロロプラチナ(II)(dicarbonyldichloroplatinum (II))、塩化白金(platinum chloride)及び酸化白金(platinum oxide)を含む。カールシュテット(Karstedt)触媒の様なゼロ価プラチナ金属複合体は特に好ましい。
EPDMゴムを十分に硬化させるフェノール系硬化物質は何れも本発明を実施する上で好適である。熱可塑性エラストマーにおいてEPDMを交差結合させる従来のフェノール系樹脂硬化物質の使用については、米国特許第4,311,628号に記載されている。フェノール系硬化物質系の詳細については、更に「加硫及び加硫剤」(Vulcanization and Vulcanizing Agents)、 W. Hoffman、Palmerton Publishing Companyを参照願いたい。好適なフェノール系硬化樹脂及び臭素化フェノール硬化樹脂は、SP-1045、HRJ14247A、CPJ-352、SP-1055 及びSP-1056の商標名でSchenectady Chemicals、Inc.から市場で購入可能である。同様に機能的に同等なフェノール系硬化樹脂は他の製造者から入手しても良い。完全に硬化させるために必要なフェノール樹脂の量は選択される硬化剤の種類によることもある。
エラストマーはその様な硬化物質を用いて部分的に、または十分に硬化させ、又は交差結合されることもある。ある実施の態様においては、エラストマーは完全に又は十分硬化させるのが有利である。これは、典型的には選択される硬化剤、混合での効率、運転温度等により、硬化剤が100部分に対して1.6 又は3、又は5から8、又は10.0部分のゴムに等しい量が加えられる場合に実現される。
硬化の程度は、シクロヘキサンキサン又は沸騰したキシレン溶媒を抽出剤として用いて、熱可塑性加硫物から抽出可能なエラストマーの量を決定することにより測定することができる。部分的に硬化したエラストマーは、溶媒中で抽出可能重量が50重量%もあることもあり、通常抽出可能重量は6重量%より大きい。好ましい実施の態様においては、エラストマーの硬化のレベルは、23℃で、48時間でシクロヘキサンにより抽出可能な重量が6重量%を超えず、他の実施の態様においては4重量%を超えず、他の実施の態様においては3重量%を超えず、他の実施の態様においては2重量%を超えない。
組成物の熱可塑性ポリマー及び加硫可能はエラストマー、又は加硫されたエラストマーブレンドは、これらの成分の相溶化剤と組み合わされても良い。
相溶化剤は、当業者に良く知られており、一つの成分と相溶する一つのブロック、及び主要成分の内の少なくとも一つの他の成分と相溶する少なくとも一つの他のブロックを含むブロックコポリマーを含む。他の例では、主要成分の一つと相溶する骨格ポリマー、及び他の主要成分中の少なくとも一つと相溶し、又は反応するグラフト部分含む機能性ポリマーを含む。
相溶化剤形成熱可塑性物質(「相溶化剤」)もまた使用しても良い。相溶化剤は主要成分、すなわち、熱可塑性ポリマー及び加硫可能な又は加硫されたエラストマー中に存在する官能基を含むポリマー部分の直接の相互作用により形成された、又は他のバイ(bi−)又は、マルチ(multi-)機能化合物との相互作用により形成することができる。その様な相溶化剤は技術分野で知られており、例えば、Macro Molecular Science Chemistry、A26(8)、1211 (1989)に記載されている。エンジニアリング樹脂がポリアミドである場合、好ましい相溶化剤には、ナイロンと官能基を持つポリプロピレンの反応製品を含み、ナイロン(6)を0.1-2.0重量%のマレイン酸でグラフトされたポリプロピレンと溶融混合することで生成し、ナイロン:マレイン酸塩ポリプロピレンの比は95:5から50:50である(Appl. Polym. Sci.(18)、963 (1974) 及び Eur. Polym. J.、(26)、131 (1990)を参照願いたい)。例えば、マレイン酸ポリオレフィンは、オレフィン系の加硫可能な、又は加硫されたエラストマーとの相溶性及びポリアミドエンジニアリング樹脂との反応性によって選択しても良い。ポリプロピレン分子にグラフトしたエポシキ基、又はオレフィンにグラフトしたオキサゾリン基の様な他の相溶化剤形成材料も、ポリアミド及びオレフィン系加硫物ブレンドの相溶化剤を作るのに適している。マレイン酸エステルSEBS又はSEPS等はそのポリオレフィン系ミッドブロックを考慮すると同様に機能しうる。本発明との目的において、相溶化剤形成材料はエンジニアリング樹脂にグラフトする場合に、相溶化剤を形成するように作用する機能性オレフィン、又はグラフト及び/又はブロックコポリマーと定義される。
相溶化剤は、組成物の全重量に基づき、通常例えば、1-20重量%、好ましくは5-15重量%、より好ましくは5-10重量%の、相溶化に適した量で存在する。
充填剤は、炭酸カルシウム、粘度、シリカ、タルク、二酸化チタンの様な無機充填剤、又は有機黒鉛、強化用ガラス、又はポリマー系繊維又は微小球、及びこれらの何れかの組み合わせたものであっても良い。何れのタイプの黒鉛、例えば、チャネルブラック、炉黒鉛、熱黒鉛、アセチレン黒鉛、ランプ黒鉛及びこれらの組み合わせを使用することができる。硬化剤は加硫物の生成の間は、ゴムの加硫前、その間、又はその後において又は最終組成物の生成の間に加えても良く、添加剤の合計量が添加剤を含む全熱可塑性エラストマー組成物に基づき約75重量%を超えない条件で、その一部を両方において加えても良い。
更に生成されるTPVは、可塑性ペレット化のための方法として知られている方法によりペレット化することにより仕上げても良い。その様なペレットは、有利なことに元の熱可塑性物質の最低量(例えば、熱可塑性物質及び非油展ゴムの全量に基づく1重量%から18重量%未満の熱可塑性ポリマー)を含むゴム粒子含有中間物として使用しうるため、追加される熱可塑性物質は、同じもの、類似のもの又は全く異なるものであっても、同じ又は追加の押出機の続く溶融ブレンドステップに加えることができる。他の添加剤又は改質剤はこの方法により同様に加えることができる。
この様に、硬化剤及び充填剤の間で起こる不利な相互作用を避けることができる。例えば、過酸化物硬化剤の存在下で、知られているポリプロピレンポリマーの切断、又はポリエチレンの交差結合を避けることができる。何故なら硬化性反応は、通常反応性硬化剤を少なくとも殆んど使い尽す様に行われるからである。したがって、本発明はまた、添加剤により改質された熱可塑性エラストマー組成物を生成するプロセスを含み、同プロセスはa)上記に記載の方法により熱可塑性加硫物をペレットの形で溶融ブレンドプロセスに導入し、b) 追加される熱可塑性ポリマー、熱可塑性ポリマー系改質剤、固体微粒子充填剤、エキステンダー又はプロセスオイル及び着色剤から選択されるいずれの一以上の添加剤を、改質のために要する量を加えることを含む。
ゴムエキステンダー及びプロセスオイルは、本発明の反応性プロセスにおいて可塑剤として特に有用である。エラストマーエキステンダー及びプロセスオイルは、石油分画により得られるパラフィン系、ナフテン系又は芳香族プロセスオイルの何れの種類に属するかにより、特定のASTM名称を持つ。使用されるプロセスオイルの種類は、慣例的にエラストマー成分と関連付けて用いられる。特定のエラストマー及び熱可塑性物質の組み合わせについてどの種類のオイルを用いるべきかについては当業者に知られている。プロセスオイルの一部は、得られたゴム(油展ゴム)に含まれていることもしばしばある。コールタール及びパインタールに由来するオイルの様な、石油ベース以外のオイルも用いることができる。石油由来のエラストマープロセスオイルに加え、石油留分から分離された不飽和モノマー、例えば、ポり−アルファーオレフィンの様な、オリゴマー系及び低分子量ポリマーオイル、有機エステル及び他の知られている合成可塑剤も用いることができる。
脂肪アミド(例えば、Crompton Corpにより供給されるケラミドKemamide(登録商標)E 又は U)の様に潤滑及び滑りを促進する添加剤はTPV組成物中の熱可塑性ポリマーを改質するのに用いることができる。その様なタイプの添加剤及び他の添加剤は、硬化の後に、同じステップで、または別のステップで、純粋な又は濃縮されたペレット、粉末又は顆粒状又は液体(溶融又は液体)の形で供給口又は下流で、押出ミキサーの加工部分に直接加えることができる。供給原料は混合のミス又は損失を防ぐために一以上の供給位置に分けても良い。好ましい方法には、添加剤をプロセスに送るために添加溶融システムと重量の損失又はCorialis 質量フローメータ供給システムを組み合わせたものを使用を含んでも良い。TPV中に添加剤を保ち、損失を最小限にすることに関心がある場合は、それらを溶融シールを持つ適当なスクリュー設計により、特に添加剤の揮発性が高い(沸点が低い)場合通風ゾーンの後に添加するのは有利である。
本発明のプロセスでは溶融加工機器は、どの様なものでも用いることができる。一以上の加工機器を、直列又は連続させて用いても良く、好ましくは直列が良い。加工機器の例には、Buss-co混錬機、惑星押出機、共回転、2以上のスクリュー先端を持つ逆回転多スクリュー押出機、2以上のスクリュー先端を持つ共回転混合押出機、リング押出機又はオイル、熱可塑性物質、硬化剤、触媒を混合することのできる他の交差結合可能なエラストマーを加工する他のポリマー加工機器を含み、本発明の実施に用いられる、硬化のための十分高い温度を作りだすことができるものである。スクリュー先端の用語は、押出機のスクリューの溝の主要先端を指す。Coperion Co.のタイプ3スクリュー先端(ZSK 53)、2軸スクリュー押出機(TSE)、直径53mm, L/D 44、Century, Inc.の直径30mm、L/D 44の12スクリュー軸が同心円状に配置されているリング押出機、及びCoperion Coの直径58mm, L/D 60のメガ混合機が、実施例による本発明の説明のために用いられた。各々においてスクリューは噛み合い(intermesh)及び共回転する。用いられたリング押出機12のスクリューは時計の面の様に円上の固定位置に配置され、同じモータにギアで噛み合わせて、同じ速度で回転する。リング押出機の例は国際出願WO 2004/009327 Alに記載されたものがある。メガ混合機の実施の態様については米国特許第6,042,260号により詳しく記載されている。ある実施の態様においては、一以上の溶融加工装置(melt-processor)又は押出機が、例えば直列配置で使用されても良い。好ましくは溶融ブレンドは、材料が溶融又は融解された状態で行われるのが良い。
連続プロセスでは、材料は動的硬化のためにある押出機で混合され、溶融され、又はある押出機で混合され及び溶融され、さらに動的硬化されるために、溶融体として、又は押出機の間でペレット化される場合は、ペレットとして他の押出機に送られる。
また、硬化剤を用いた、又は用いないポリマー系組成物の混合は一以上の混合機で実施されることもあり、そしてその後硬化が一以上の押出機で行われる。
当業者に知られた他の配置及び動的加硫加工装置も加工の必要に応じて用いることができる。加工は米国特許第5,158,725号に記載の様に、プロセス変数フィードバックを用いて制御しても良い。
熱可塑性エラストマーブレンドの動的加硫においては、特にエラストマーの大半を含むこれらのブレンドは、混合の初期の段階で、2つの成分が溶融して一体になるに連れて、低い温度で溶融するエラストマーは熱可塑性ポリマーを含む分散の連続相を含む。熱安定性物質が溶融し、エラストマーの交差結合が起きると硬化されたエラストマーは次第に融解した熱可塑性ポリマーに浸透し、最終的に熱可塑性ポリマーの連続相に分散した不連続相となる。これは位相反転と呼ばれ、もし位相反転が起きない場合は、熱可塑性ポリマーは押出加硫物の交差結合したエラストマーの網目に閉じ込められ、そして生成押出物は熱安定性製品を生産するには使用不能なものとなる。温度及び粘土制御、及び改良された混合を行うために、プロセスオイルがスクリュー軸に沿った1箇所以上の位置で添加され、例えば、2−5箇所、好ましくは2−4箇所で添加されるのが良い。オイルの添加は硬化前、硬化中又は、その後であっても良い。
本発明の一つの特徴は、全ポリマーベースに基づき、18、または 17、または 16、または 12、または 10、または 8、または 6 重量%未満の熱可塑性ポリマー、エラストマー、硬化剤及びオイルを溶融混合することを含み、オイルの熱可塑性物質に対する重量比は、200:1、または 180:1、または 150:1、または 140:1から30:1、または 10:1、または 8:1、または 5:1、 または 4:1であり、及び室温のシクロヘキサンで抽出物のレベルが6重量%である熱可塑性加硫組成物を分離することを含む、熱可塑性加硫物組成物を生成するプロセスに関し、前記組成物はジュロメータがショアーAの50、または 40、または 30、または 25を持ち、本明細書に記載の、オイル:熱可塑性物質の比率の上限の何れも、 オイル:熱可塑性物質の比率の下限の何れとも組み合わせることができる。本発明のこの特徴に係る実施の態様においては、組み合わされた熱可塑性物質の量は1、または 4、または6 から16、または18重量%である。
図1は本発明の他の特徴を示す。グラフのy軸はphrで示すプロセスオイルの量であり、これにはエラストマー中のエキステンションオイル、硬化剤とともに添加されたプロセスオイル、及び押出機に直接注入された追加オイルを含む。グラフのx軸は実施例の熱可塑性物質、ポリプロピレンホモポリマーの量を、全ポリマーの重量に基づいて重量%で表わしたものである。グラフの中空の円(○)は、加工可能な、十分に硬化された熱可塑性エラストマーが生成された実施例の条件のデータを表わす。三角(△)は実施例32-34のデータを表わす。
図1の線(A)及び(B)は、加工可能及び加工できない熱可塑性エラストマーの上限及び下限の敷居値を表わす。本明細書で用いる「加工可能」(processable)は、熱可塑性エラストマーが、例えば、更に製品を混合し又は、仕上げする場合に、例えば、溶融押出のよる、加工において「連続した」熱可塑性相を持つ能力があることを言う。
最小又は敷居値全オイルphr含有量と本発明の熱可塑性エラストマー組成物の熱可塑性物質(TP)の最小重量%の関係は、硬度が、ある実施の態様の5ショアー (Sh)Aから83ショアーAにおいて、ある実施の態様においては、等式(1):
(-5.9 TP + 365) ≧ OL ≧(-8.9 TP + 243) (1)
であらわされ、式中OLは常に0より大きい数であり、全プロセスオイルのphrでのレベルを表わし、Tpは全ポリマーのベースでの熱可塑性ポリマーの重量%を表わし、1 または 2 または 3 または 4重量% から60、または50、または30、または 25、 または18。 または 8 重量%.の範囲である。
より好ましくは、最小又は敷居値全オイルphr含有量と本発明の熱可塑性エラストマー組成物の熱可塑性物質(TP)の最小重量%の関係は、硬度が、ある実施の態様の5ショアー (Sh)Aから83ショアーAにおいて、ある実施の態様においては、等式(2):
(-6.3 TP + 350) ≧ OL ≧ (-8.5 TP + 258), (2)
で表され、式中OL及びTpは上に定義した通りである。
最も好ましくは、最小又は敷居値全オイルphr含有量と本発明の熱可塑性エラストマー組成物の熱可塑性物質(TP)の最小重量%の関係は、硬度が、ある実施の態様の5ショアー (Sh)Aから83ショアーAにおいて、ある実施の態様においては、等式(3):
(-6.7 Tp + 334) ≧ OL ≧ (-7.0 TP + 289), (3)
で表され、式中OL及びTpは上に定義した通りである。
等式(1)−(2)の傾き及び切片は、例えば、スクリューデザイン、熱可塑性物質の特性及び/又はEPDMの特性を変えることで影響されうる。例えば、分子量の比較的小さいエラストマーはオイルのあるphrでは熱可塑性物質のはない量で良く、同様に、大きい分子量のエラストマーは熱可塑性物質をより多く必要とし、本発明の実施例ではプロピレン(PP)であり、100部分(phr)ゴムに対するある部分の重量%で与えられる。等式の敷居値加工条件より下に動かす場合(例えば、あるオイルphrレベル、又はある熱可塑性物質のある重量%で図1の(B)線より下に熱可塑性物質の量を下げる場合、オイルphrをその等式より下に下げる場合)、ペレットは表面が粗くなり、加工されたポリマーは溶融ろ過メッシュスクリーンをブロックし、続けて加工が出来なくなる。フィルターで止めることができない場合は、エラストマーが粉末状の粒子になり更に可塑剤としての加工又は混合が殆んど不可能となる。
図2は、実施例19の熱可塑性加硫物の原子間力顕微鏡写真である。熱可塑性加硫物(2)は、明るい色(Y)で示される熱可塑性ポリマー中に小さいエラストマー粒子の分布を対照的な暗い色(X)で示されている。(2)中のエラストマー粒子は熱可塑性があり、十分交差結合しているが、熱可塑性ポリマー中に分散していることより、その機械的特性を失うことなく熱可塑性加硫物を再加熱し、最終製品に形成し、スクリム(scrim)を除去し、及び最終的にリサイクルすることが可能である。図3は実施例12(13.8ショアーA)の熱可塑性加硫物(3)の走査型電子顕微鏡(scanning electron microscope(SEM)写真であり、熱可塑性物質のTPV(2)に対する相対量が小さい。熱可塑性加硫物(3)は、対照的に暗い色(X)で示される熱可塑性ポリマーの連続相中に明るい色彩の小さいエラストマー粒子が分布しているのを示す。SEM写真を撮るため、サンプルはPowerTome XL装置を用いて−130℃で冷凍ミクロトーム処理され、染色前にデシケーターで乾燥窒素により洗浄された。染色はRuO4溶液を用いて75分間実施された。SEM写真はIS-DS 130 SEMを用いて二次電子造影により撮影した。
本発明によれば、熱可塑性加硫物組成物で使用される熱可塑性ポリマーの量を減らすことにより、高いモジュラス、又は高結晶質熱可塑性ポリマーを用いて非常に軟らかい材料を生成することができ、しかも高い温度で使用可能な点で損なわれず、ペレット化後においても清潔な(染み出さない又は押出さない)、非粘着性の押出製品が提供されることが分かった。非常に軟らかい組成物は、オイルの熱可塑性物質に対する比率が、ある実施の態様においては、例えば、phrで177:1から30:1(熱可塑性ポリマー2.0−6.3重量%)のプロセスオイルを含んでも良い。軟らかい組成物はプロセスオイルを、phrで熱可塑性ポリマーに対し例えば、177:1から4.2:1 (熱可塑性ポリマーが2.0 重量%から18.7重量%)より多く含んでも良く、更に他の実施の態様においては、中間硬度組成物は phrで熱可塑性ポリマーに対し例えば、4.2:1から0.34:1 (熱可塑性物質が18.7重量%より多い)まで含んでも良い。
プロセスオイルは、それを混合することのできるスクリュー設計で、硬化の前、硬化中及び/又は硬化後に加えることができ、好ましくは供給口でまたはその近くで、加硫の開始時、又はそれに近い時に一部加え、更に交差結合反応が実質完了するとき、またはその後に加えるのが良い。この様に本発明は、最小のphrのオイル及び熱可塑性物質を用いることができるため調剤中の交差結合可能なエラストマーを最大にして(全ポリマーベース)TPV組成物を生成することを特徴とする。
したがって、本発明の他の特徴は、本発明はペレット又は、他の製造製品を形成する熱可塑性加硫組成物の使用に関し、熱可塑性加硫物は、全ポリマーに基づき、1から18、または17、または16、 または12、または10、または8、 または6重量%の熱可塑性ポリマー、及び室温のシクロヘキサンにおいて抽出物のレベルが2、または4、 または6重量%を超えない十分交差結合したエラストマーを含み、組成物はジュロメータのショアーA硬度が50、または 40、または 30、または 25未満である。
本発明の更なる実施の態様においては、追加の熱可塑性ポリマーが、同じ又は異なる押出機において硬化剤を加えた後に、ポリマー溶融体に加えても良い。その様な実施の態様においては、追加の熱可塑性ポリマーは相溶化剤としての能力を持つ理由で加えられ、又は最初の熱可塑性物質、例えば、ポリプロピレンと同じものであっても良く、又はそのエンジニアリング特性の故に、例えば、ポリアミド又は、ポリエステルの様な極性熱可塑性物質として加えられても良い。したがって、ある実施の態様においては、熱可塑性ポリマーは一又は複数の異なる熱可塑性材料を含み、そして更に押出中に押出機の種々の位置でその様な熱可塑性ポリマーを加えるステップを含む。加えられる熱可塑性ポリマーはペレット又は、溶融した形、又は使用条件で有用と考えられる他の形で加えられても良く、ペレット投入機又は、溶融供給押出機を用いて下流ポートに加えることもできる。加硫物の特性は、熱可塑性ポリマーの一部を供給口で加え、及び硬化剤を加えた後に押出機の更に少なくとも一つの位置で、一以上の部分を加えることで改質することができる。他の実施の態様においては、熱可塑性ポリマーはその追加の一部を、硬化剤を加える前に更に押出機の少なくとも一つの位置で加える。その様な方法を採ることにより、加工エネルギーに影響を与え、温度を低減させ、そのため硬化ゾーンの制御を向上させ、反応速度、硬化反応の効率を改善させることができ、及びその他の点でプロセスをより効率的なものにする。
熱可塑性ポリマーが少量存在する場合、例えば、上に記載した様に熱可塑性ポリマー プラスエラストマーの合計重量に基づき、1.0重量%より大きいが18又は17重量%未満の場合、相溶化されたブレンドを生成する好ましいプロセスは、相溶化剤である熱可塑性ポリマー、又は相溶化剤を形成する熱可塑性物質を含む熱可塑性ポリマーを含み;プロセスは更に熱可塑性加硫物をペレット化すること、及び少なくとも更に一つの追加の熱可塑性ポリマーにより形成されるペレットを溶融加工することとを含む。代替的プロセスは、熱可塑性ポリマーが相溶化剤であり、又は相溶化剤を形成する熱可塑性物質を含み、またプロセスは更に硬化の後にプロセスに、元の熱可塑性ポリマーと同じ又は異なる一以上の追加の熱可塑性ポリマーを加工工程に導入することを含む。更に代替的なプロセスとして、
a) 本発明の熱可塑性加硫物成分をペレット化し、
b) a)で形成されたペレットの続く溶融プロセスに、相溶化剤又は相溶化剤形成熱可塑性物質を加え、及び
c)それとともに、又は続けて熱可塑性加硫物と異なる少なくとも一つの熱可塑性物質を加えることを含むプロセスである。
熱可塑性加硫物を生成するために用いられる熱可塑性ポリマーの溶融温度は例えば、シンジオタクチックポリプロピレンの様に、50-175℃まで低くても良く、これに対しナイロンの融点は、例えば、350℃まで高くなり得る。せん断され及び分散されることにより、材料中で生成される摩擦及び粘性消散は溶融ゾーンでの材料の温度を決定する。ペレット又は顆粒状材料が溶融し始めると、摩擦が減少し、温度の上昇が横ばいとなるが、加工の必要性に応じて更に操作しても良い。エラストマーの交差結合は、存在する官能基及びエラストマーの化学的性質により幾分異なるが、通常165及び250℃の間で始まり、熱可塑性加硫物の加工で用いられるエラストマーの殆んどでは、交差結合は175及び230°C.の間で起こる。
以上の説明及び以下の実施例より明らかな様に、2以上の熱可塑性ポリマーの混合物を、熱可塑性加硫物を形成するために用いても良く、2以上のエラストマーの混合物を用いても良い。硬化剤は固形状又は液状で加えても良く、溶液触媒は濃縮されるか又は希釈されても良い。加硫物の特性を制御するのみならず、加工される組成物の温度及び整合を制御するために、オイルは1箇所又は複数個所で加えても良い。
実施例
以下の実施例においては、下記の市販の材料が使用された(表1)。
Figure 2008544076
本明細書で用いる表中の略記号及びテスト方法を以下に説明する。
Hard はASTM D2240により測定されたTPVのショアー(Sh)A 又はショアー(Sh)D単位による硬度である。
M100は材料のモジュラスであり、M100テストは、ASTM D412 (ISO 37 タイプ2)による単位面積当たりの100%伸長の歪み抵抗を示す。
UE% は最大伸びであり、ASTM D412 (ISO 37 タイプ 2)により、一本の材料が破断するまでに伸長することのできる距離を示す。
WtGn% はオイル膨潤抵抗試験でサンプルが吸収するオイルの量の測定値である。この試験は米国特許第6,150,464号に示されている。試験はASTM D471及びISO 1817に基づくもので、TPVのサンプルをIRM 903 オイルに24 時間、121℃で浸すことが求められる。重量の増加パーセントが加硫物の交差結合の完全さの指標になる。重量の増加は、同じ組成を持つTPV中で、エラストマーが油展されているか、またそれの程度により変わり得るが、その数値は加硫物の相対的な交差結合量を示すものである。
TnSet%は 残留伸び(tension set)であり、これは伸長された場合の、TPV の永久歪みの指標である。射出成形された板から切り取られた50.8 mm (2 インチ) 長さ, 2.54 mm (0.1インチ)幅及び2.03 mm (0.08インチ) 厚さのテスト見本が100%伸長され、23℃で10分保持される。その後23℃で10分間緩和された。元の見本の長さの変化が測定され、TnSet%が次の式により計算される:
TnSet% = ((L1 - L0)/L0) x 100, L0 は元の長さ、L1 は最終長さである。
Comset%は圧縮歪みであり、圧縮されたときのTPVの永久歪みの測定値を示す。試験方法はISO 815:1991に基づく。サイズ29 + 0.5 mm 直径及び12.5 ± 0.5 mm 厚さをもつISO 815のタイプAの要件を満たす試験見本が、射出成形された板でから切り取られ、各々の厚さが2.03mm板が積み重ねられる。サンプルは元の高さの75%(ショアーA硬度が75未満)に70℃で22時間圧縮される。サンプルはその後23℃で約30分間緩和(relax)される。元の見本の高さの変化が測定され、Comset%が以下の式で計算される:
Comset% = 100 X (最初の厚さ − 最終厚さ) /(最初の厚さ − スペーサーの厚さ マイナス シム(shim)及び/又は薄片(foil)の厚さ)
ESRは TPVの表面の滑らかさの指標であり、ここで数値が小さい程表面が滑らかであることを示す。ESR はFederal社製のSurfanalizerにより、製作者指示に従い測定された。
UTS は,最大引張り強さであり、 ASTM D412 (ISO 37 タイプ2) により単位面積当りの力で示す。
LCRは、Dyniscoの実験室血管レオメータを用いて、ASTM D 3835の方法に従い、1200 sec-1のせん断速度の粘度をPa-secで測定するものである。
SpE はKW-時間/Kgで示す押出プロセスでの比エネルギーであり、加工効率の指標である。SpE は、押出機により消費されたKW表示の全電力を、Kg/時間による生産率で除したものである。
Std. Dev.は標準偏差であり、数値(Xn)が平均又は中間値(Xave)からどの程度分散しているかの測定値の目安である。これは原材料供給ソース、加工サンプル、テストサンプル準備、試験の内容及びオペレータ等の偏差を含む。これは以下に示すn-1法,ここでn> 21、により計算される:
Std.DeV. = [((X1- Xave)2 + (X2- Xave)2 + (X3- Xave)2 + (Xn-Xave)2)/(n-l) ] 0.5
Ext%は室温でのシクロヘキサン溶媒中で48時間後に測定された抽出物の重量%である。低いExt%(Lower Ext)はエラストマーの硬化度又は交差結合密度が高い状態を意味する。これはエラストマーの非硬化重量%の規準である。交差結合したエラストマーのパーセントは、100から抽出可能重量を引くことにより計算することができる。
本発明を更に以下の実施例を参照して説明する。
実施例1−24
これらの実施例では、異なるphrのオイルで、加硫物中の熱可塑性ポリマーの下限の敷居値が2軸スクリュー押出機で検討された。加工での熱可塑性ポリマー含有パーセントは、全ポリマーベースで29.6から2.4重量%で変化させ、一方オイル含有量は82.4 phr (内7.4 phrは2軸スクリュー押出機に加えられた自由オイルであった)から282.4 phr (内207.4phrは2軸スクリュー押出機に加えられた自由オイルであった)。加工に用いられたエラストマーはV3666であり、エラストマーは、実施例22及び23を除いては、フェノール樹脂硬化剤10.5 phr (内7.4 phrはプロセスオイルであった)を用いて硬化させた。
実施例22は、5.27 phr のHRJ- 14247 A (内3.69 phr はプロセスオイルであった) 及び実施例23 は2.63 phrのHRJ-14247A (内1.84 phr はプロセスオイルであった)。油展しないエラストマーのムーニー粘土((1+4) 125°C)は約250、平均分子量は170,000,重量平均分子量は1,000,000より大きく, 及び固有粘土は約3.6 m3/Kgである。
Coperion Corporation(Ramsey N. J)製の共回転、完全インターメッシュタイプ2軸スクリュー押出機が、米国特許第4,594,391号に記載の方法に従って用いられた。触媒、熱可塑性物質及び交差結合可能な熱可塑性エラストマーが供給口に添加された。オイルで希釈されたフェノール樹脂硬化剤が押出機の最初の46%で注入され、追加のプロセスオイル(可塑剤)が硬化剤の添加前、硬化中及び実質的に硬化の完了後に1箇所から加えられた。油展オイル、プラス硬化の前、及び硬化中に加えられたオイルを含み、オイルの全量は60%以上であった。押出される材料は押出機に70 kg/時間の速度で供給された。押出混合は350 RPMで実施された。℃で表示されるバレルの金属の温度プロフィールは、バレル部分2以下金型の向けバレル部分12方向へ160/160/160/160/160/150/ 150/150/150/150/150/200(最後の数字は金型の温度)を使用した。低い分子汚染物質、反応副産物、残留湿気等が一以上の通気口より典型的には真空にして、必要に応じて通気することで除去された。
サンプル生成において、L/Dが約44の3軸スクリュー先端よりなる2軸スクリュー押出機が使用された。前進コンベヤー、中立、及び左手混練ブロックの組み合わせより成る幾つかの混合部分を持つスクリューデザインであり、プロセスオイルを混合し、また硬化反応を完了させるに十分な滞留時間及びせん断を与えるのに適しているデザインのスクリューが使用された。硬化ゾーンの混合部分は、前進タイプの混練ブロック、続いて中立、続いて左手要素の好ましい組み合わせよりなる。その様な混練ブロックの組み合わせは押出された製品の表面外観が良いものを生成した。上記の混合部分の各混練ブロックは少なくともL/Dが0.25あった。スクリュー混練ブロックの機能については、Coperion Corporationの刊行物"Processing Lines", vol. 9(1) (January, 1999)に記載されている。
表2はフェノール樹脂硬化によるタイプ3葉の2軸スクリュー押出機での実施例1−24を示す。
Figure 2008544076
表2及び他の表における、「良好」(Good)のコメントは、凝集しないTPVは押出機の下流の端に向け設けられている100メッシュフィルタースクリーンを詰まらせなかったことを示し、一体となる(加工可能)である部品の加工に適しているTPV組成物を提供する。この欄及びこれより後の表に示す「劣る」(Poor)は、100メッシュフィルタースクリーンを詰まらせ、2300 psiより高い加工圧力のためにプロセスを停止させ、又はペレットを凝集させ、又は粗い又はけばだった表面であることを示し、何時でも製品が粉末状粒子に分解し始めることを表わしているTPVサンプルであることを示す。「非常に劣る」(Very Poor)は、凝集が極めて強かったものを言う。この表及び以下の表で、「NM」は測定が行われなかったものを示す。実施例2, 8, 13, 17 - 21はPPの削減及び/又はオイルレベルが本発明の関係する比率外にあって、熱可塑性加硫物を「劣る」状態とする転移点になるものである。この表及び以下の表での実施例24では、PP(27.8phr)の量は比較的高いものであったにも関わらず(調剤中の全オイルの量が不十分であったため)、急速なスクリーンの詰まりのためにサンプルは収集されなかった。表より判明する様に、オイルを同じ132.4 phrのレベルとしてで単にPPレベルを27.8 phrから32.8 phrに増加させることにより良好なTPVが生成可能である(実施例19を参照)。
図1のグラフでは、曲線の上部にあるオイル及び熱可塑性ポリマーの量を組み合わせたものを用いて生成された加硫物は良好なTPVであった。それは非凝集性の、加工可能な熱可塑性加硫物製品である。図1の中空の円は表2に記載の実施例に対応する。これらのデータを通して引かれた直線は、良好な熱可塑性加硫物を生成するための、全phrオイルのPPの重量%に対する敷居値レベルの関係を示し、プロセスオイルは硬化剤の添加前、添加中又は添加後に加えられ、プロセスオイルはエンジニアリング可塑性物質に対する比率で加えられる。
以下の表3は、表2の硬度が25ショアーAより大きい熱可塑性加硫物の特性を纏めたものである。「コメント」は表2及び本明細書全体を通して同じ意味で用いられる。この結果は有用な機械的及び弾性特性を持つショアーA硬度が29から74の範囲の熱可塑性加硫物を示す。調剤中のエラストマーの重量の合計に基づく硬化されていないエラストマー重量%、 Ext%は0.81 重量%以下である。表2の実施例のLCR粘度は52 - 135 Pa-秒であり、良好な加工性を示していた。
Figure 2008544076
表4はTPV組成物特性に対するphrで表わしたフェノール樹脂硬化剤の効果のレベルを示す。PP 重量%は4.8及びオイルのphrは282.4であった。実施例22及び23では、フェノール樹脂レベルは、3.15 phr (全てネットベース)を含む実施例17に比べて50%及び75%減少していた。本明細書及び特許請求の範囲のphrによるフェノール樹脂の硬化レベルは、特に断らない限り何れもネットベース(オイル希釈による重量を含まない)である。
表4に示す様に、結果は1.58 phr以下で、2.45%より大きい抽出物であることを示す。この非常に低いレベルのショアーAスケールでの硬度測定は、多孔性又は非常に薄い部分(小皮膚)の熱可塑性結晶質PPにより容易に影響を受け、このため時には極端に低い数字例えば、0.2ショアーAを示す。
実施例22の熱可塑性加硫物製品のペレットは軽い凝集のため劣ると判断された。実施例23のペレット製品ははるかに凝集する傾向を示し、劣る(又は、非常に劣る)TPVと判断される。この表中の非常に軟らかい実施例ではLCR粘度が38 - 44 Pa-秒の範囲を示し、これは加工性に取り良い数字である。次の表の実施例は熱可塑性物質を非常に小量(2.4phrまで低い)しか含まず、最終使用用途は弾性特性及びあまり引張り強度が高くないことが主要関心事である応用分野に限られるであろう。この表及び以下の表での「B」の文字はサンプルが試験中に破壊され、測定が不可能であったことを示す。この表及び以下の表での「NO」は測定が不可能であったことを示す。
表5に纏めた実施例は、表2の最大ショアーA硬度が25の熱可塑性加硫物の特性を表わす。これらの実施例のLCR粘度の範囲は29 - 142 Pa-秒であった。
Figure 2008544076
Figure 2008544076
実施例25−26
表6は、直径30mm及びL/Dが約44のリング押出機が840rpmのスクリュー速度で軟らかい組成物を生成するために使用された実施例での加工特徴を示す。本発明のこの実施例及び比較例の調剤には、以下のもの(phr表示)を含む:EPDM (V3666) = 175 (内 75 phrはエキステンダーオイル), 酸化亜鉛 = 2.0, 塩化第一スズ = 1.26, プロセスオイル = 59.1, フェノール樹脂 = 8.4 (内5.88 phr は希釈オイル), 粘度 = 42, ワックス = 3.27。PP及びプロセスオイルの量については以下の表5を参照。使用されたPPは6phrのFl80A 及び残りはF008Fのブレンドである。供給速度は150 Kg/時間に維持され、オイル中のフェノール樹脂が硬化剤として用いられ、フェノール樹脂は押出機の最初の長さの25%でバレルに注入された。混合加工の間に、オイルが、硬化剤を添加する前、及び添加後に更に加えられた。反応は各TPV組成物のバレル温度プロフィールの整定値が同じになる様に実施された。フェノール樹脂硬化のためのバレル温度設定は:供給バレル=冷却; バレル部分2−6=180°C (356°F); バレル部分7-11 = 1700C (338°F); バレル部分12-14 = 160°C (320°F); 金型 = 200℃ (392°F)であった。硬化剤はオイルで希釈され、本発明の処方で必要とされる全オイルを補うために、硬化剤の添加後、加工中に追加のオイルが加えられた。この実施例及び以下の例において、プロセスオイルは可塑剤として使用された。低分子量汚染物質、反応副産物、残留湿気等が2箇所(必要に応じて更に増やすことが可能)で通気によ除去された。
実施例で使用されるオイル含有量を変化させることとが可能であるため、オイルの吸収による重量の増加はエラストマーの交差結合が完全であったことを示す意味のある指標とはならない。表6のデータは、物理的特性、残留伸び(tension set)及びUTSは、TPVの軟らかさを考慮すると、非常に良好なものである。物理的特性はPPの量が減少するに連れて悪化したが、受容可能なレベルに維持された。実施例25及び26は図1のグラフに含まれ、「+」のマークで示す。
Figure 2008544076
実施例27−29
表7はSiH硬化系を用いるリング押出機による本発明の説明である。
この表では、軟らかい熱可塑性加硫物の特性が、使用されるPP及びオイルの量を変えて検討された。ららにrpmの特性に対する影響を測定する検討がされた。供給速度は150 Kg/時間が維持された。水素化ケイ素(SiH)硬化剤、特に2-5084が使用された。水素化ケイ素硬化剤は供給バレルのL/D = 8から始め添加され、プラチナ触媒がL/D = 14で添加され、いずれの場合も開始点は供給バレルからである。プラチナ触媒は、使用前に更にオイルで希釈されたPC085であった。全調剤に基づき0.66重量%のSiHが実施例27及び28で使用され、全調剤に基づき0.83重量%のSiHが実施例29で使用された。プラチナ触媒、0.0066 - 0.0082 phrがこれらの実施例で使用された。
使用されたエラストマーはVXl 696であり、使用されたPPはEquistar の51SO7Aであった。オイルはParalux(登録商標)6001Rであった。
これらの発明の実施例の、結果の調剤は以下を含んでいた(phr表示): PP = 15-31, VX1696 = 200 (内100 phr はエキステンダーオイル),酸化亜鉛 = 2.0, PC085 = 3.00-3.75 (オイルで希釈された0.011重量% PC085),プロセスオイル= 138.5-178.5, 水素化ケイ素= 3.01-3.76, 粘度= 42。水素化ケイ素硬化のためのバレル温度は実施例25及び26のそれと同じであった。
表7のデータは、押出機を560 RPMに維持しつつ、オイル及びPP含有量を変えることによる影響を示す。実施例28の製品は図2にその形態を示す。表8の結果は、熱可塑性加硫物の硬度が13ショアーA未満の製品を生成することができることを示す。
Figure 2008544076
表8は表7に示す最も軟らかい熱可塑性加硫物を生成する際のリング押出機RPMの効果を示す。表8の実施例29、30及び31の特性は各380, 560及び840 RPMで生成された熱可塑性加硫物について決定されたものである。
Figure 2008544076
データは、840RPMで混合されたものに比べ、オイル膨潤特性の極めて大きい低下、伸長特性の低下、及びTPVのM100の増加が見られ、低いPRMにおいてより良い特性が得られることを示す。
実施例32−34
実施例9a及び9bはCoperion Co.製の共回転2軸スクリューMEGA混合機を用いて得た結果を示す。この実施例では、フェノール樹脂硬化剤が6.3 phr (内4.41はプロセスオイル及び1.89は硬化剤), エラストマーV3666 が175パート (内75 phr はエキステンダーオイルであった)の量で使用され、オイル及びプロピレン (PP)ブレンド(50%がPP5341及び50%がFPl 80A)の量は表8(a)に示す。バレル温度プロフィールは、バレル2から8の温度は180℃、バレル7から10の温度は170℃、バレル11から15の温度は180℃、金型温度は200℃であった。質量流量は426 kg/時間及び RPM は900であった。調剤中の全オイルの重量に基づき53%から60%のオイルが3箇所の位置(硬化剤を含む希釈剤を含む)で硬化前及び硬化中に添加された。硬化剤は供給口からバレル部分番号5の中間で添加された。実施例34では、質量流量は417 kg/時間に維持された。実験のための調剤及び他の条件は実施例32及び33に記載のものと同じである。揮発性物質、反応副産物 又は湿気を取除くために真空化可能な一以上の通風口が用いられた。これらの実施例は、ショアーA硬度25以下のTPV製品がMEGA混合機を用いて生成されうることを示していた。図1の三角印(Δ)は実施例32−34を表わす。
Figure 2008544076
Figure 2008544076
実施例19−21、C1−C3
表9の実施例(19, 20及び21)は、本発明のエラストマー含有量が他の調剤(C1−C3)より高いことを示していた。本発明の組成物の、この高いエラストマー含有量は改良された弾性効果を必要とする応用分野での使用に有益であり得る。
Figure 2008544076
この様に本発明の他の特徴は全ポリマーに基づき、1 又は 3、又は 6重量%から6、又は 8、又は 10、又は 16、又は18重量%の熱可塑性ポリマー及び十分交差結合したエラストマーであって、室温のシクロヘキサン中で溶出物のレベルが6重量%を超えないエラストマーを含む熱可塑性加硫物組成物に関し、組成物は25 ショアー A未満のジュロメータ硬度を持つ。本発明の更なる特徴はその様な熱可塑性加硫組成物の使用に関する。
本発明の特徴は以下に列挙する実施の態様より記載することができる。
1. 全ポリマーに基づき、1から18重量%の熱可塑性ポリマー、エラストマー、硬化剤及びプロセスオイルを溶融ブレンドし、プロセスオイルの熱可塑性ポリマーに対する重量比率が200:1から4:1であり;及び室温のシクロヘキサン中の抽出物のレベルが6重量%を超えない熱可塑性加硫物組成物を分離することを含む熱可塑性加硫物組成物を生成するプロセスであり、組成物はジュロメータによるショアーA硬度が25未満である、前記プロセス。
2. 熱可塑性加硫物組成物を生成するプロセスであり、前記プロセスは:
i) 動的加硫の条件下で熱可塑性ポリマーを交差結合可能なエラストマーと溶融ブレンドし;
ii) 溶融ブレンド中にエラストマーを交差結合させるために、ステップi)の溶融ブレンドの開始前、ブレンド中又は、その後に少なくとも一つの硬化剤を加え;
iii) 硬化剤の添加前、添加中、添加後、又は断続的に、i)の溶融ブレンドにプロセスオイルを導入し、プロセスオイルは、熱可塑性ポリマーとの比率が
(-5.9 TP + 365) ≧OL≧ (-8.9 TP + 243),
の式により規定される量で加えられ、式中OLはphrによる全プロセスオイルレベル、Tpは全ポリマーに基づく熱可塑性ポリマーの重量%であり、1から60重量%であり;及び
iv)熱可塑性ポリマー、及び交差結合されたエラストマーであって、続く冷却の後に室温のシクロヘキサン中の抽出物のレベルがエラストマーの全重量の6重量%未満であるエラストマー、の熱可塑性加硫物ブレンドを押出すこと、
を含む、プロセス。
3. 前記硬化剤が1.6から10.0phr量のゴムと等しい量で添加される1又は2の実施の態様のプロセス。
4. 前記硬化剤が3.0 から8.0phr量のゴムと等しい量で添加される1又は2の実施の態様のプロセス。
5. 前記熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリマー プラスエラストマーの合計重量に基づき、1重量%より多く18重量%未満の量で存在する前記1乃至4のいずれか1の実施の態様のプロセス。
6. 前記熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリマー プラスエラストマーの合計重量に基づき2.0重量%より多く6重量%未満の量で存在する実施の態様5のプロセス。
7. 前記熱可塑性ポリマーが、相溶化剤であるか、又は熱可塑性物質を形成する相溶化剤である実施の態様2のプロセスであって、前記プロセスは更に、
v)ステップiv)の熱可塑性加硫物をペレット化すること;及び
vi)ステップv)で形成されたペレットを一以上の追加の熱可塑性ポリマーと溶融加工すること
を含む、前記プロセス。
8. 前記熱可塑性ポリマーが、相溶化剤、又は熱可塑性物質を形成する相溶化剤であるか又はこれを含む実施の態様2のプロセスであって、前記プロセスは更に、
v)硬化後に、元の熱可塑性ポリマーと同一又は異なる一以上の追加の熱可塑性ポリマーを、加工工程に導入することを含む実施の態様2のプロセス。
9. 溶融加工で一以上の溶融成形装置(processor)が使用される実施の態様2のプロセス。
10. 前記プロセスオイルが、オイルと熱可塑性ポリマーの比率を150:1から5:1とする様に加えられる実施の態様1又は2のプロセス。
11. 前記プロセスオイルが、オイルと熱可塑性ポリマーの比率を140:1から30:1とする様に加えられる実施の態様1又は2のプロセス。
12. 前記熱可塑性ポリマーが、ポリプロピレン由来の一以上のアイソタクチックホモポリマーである実施の態様1又は2のプロセス。
13. 前記熱可塑性ポリマーがポリプロピレンホモポリマー又はコポリマーから選択され、交差結合可能なエラストマーが非極性エラストマーである実施の態様12のプロセス。
14. 前記交差結合可能なエラストマーが、モノオレフィン コポリマー エラストマー、EPDM、ブチルゴム、スチレンーブタジエン エラストマー、天然ゴム及びブタジエン エラストマーから選択される実施の態様13のプロセス。
本発明の他の特徴は、本発明は熱可塑性加硫物組成物をペレット又は製造する商品の成形で使用することに関し、熱可塑性加硫物は全ポリマーベースで1から18重量%の熱可塑性ポリマー、及び室温のシクロヘキサンにおいて抽出物が6重量%を越えないレベルである十分交差結合したエラストマーを含み、前記組成物はジュロメータのショアーA硬度が50または 40、または 30、または 25未満である組成物の使用に関する。
図1は組成物に添加されるプロセスオイルと、熱可塑性物質の量の間の関係を熱可塑性物質の関数としてグラフの形で表わしたものであり、この実施の態様では熱可塑性物質は本発明のパラメータを示す、実施例2, 8, 13, 17-21の組成物に存在するポリプロピレンである。 図2は、実施例19の熱可塑性加硫物の原子力間顕微鏡(Atomic Force Microscopy (AFM))写真である。 図3は実施例12の熱可塑性加硫物の走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscopy)写真である。

Claims (20)

  1. 全ポリマーベースに基づく1から18重量%の熱可塑性ポリマー、交差結合可能なエラストマー、少なくとも一つの硬化剤及びプロセスオイルを溶融ブレンドすることを含む熱可塑性加硫物組成物の生成プロセスであって、プロセスオイルの熱可塑性ポリマーに対する重量比率が200:1から4:1であり;及び室温のシクロヘキサン中の抽出物のレベルが6重量%を超えない熱可塑性加硫物組成物を分離することを含む熱可塑性加硫物組成物を生成するプロセスであり、前記組成物はジュロメーターによるショアーA硬度が50未満である、前記プロセス。
  2. 熱可塑性加硫物組成物を生成するプロセスであり、前記プロセスは:
    i) 動的加硫の条件下で熱可塑性ポリマーを交差結合可能なエラストマーと溶融ブレンドし;
    ii) 溶融ブレンド中にエラストマーを交差結合させるために、ステップi)の溶融ブレンドの開始前、ブレンド中又はその後にエラストマーのための少なくとも一つの硬化剤を添加し;
    iii) 硬化剤の添加前、添加中、及び/又は添加後に、i)の溶融ブレンドにプロセスオイルを導入し、プロセスオイルは、熱可塑性ポリマーとの比率が
    (-5.9 TP + 365) ≧OL≧ (-8.9 TP + 243),
    の式により規定される量で加えられ、
    式中OLはphrによる全プロセスオイルレベル、Tpは全ポリマーに基づく熱可塑性ポリマーの重量%であり、1から60重量%であり;及び
    iv)熱可塑性ポリマー、及び交差結合されたエラストマーであって、前記エラストマーは続く冷却の後に室温のシクロヘキサン中の抽出物のレベルがエラストマー全重量の6重量%未満であるエラストマーの、熱可塑性加硫物ブレンドを押出すこと、
    を含む、前記プロセス。
  3. 前記硬化剤が1.6から10.0phr量のゴムと等しい量で添加される請求項1又は2のプロセス。
  4. 前記硬化剤が3.0 から8.0phr量のゴムと等しい量で添加される請求項1又は2のプロセス。
  5. 前記熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリマー プラス エラストマーの合計重量に基づき、1重量%より多く18重量%未満の量で存在する請求項2のプロセス。
  6. 前記熱可塑性ポリマーが、熱可塑性ポリマー プラス エラストマーの合計重量に基づき2重量%より多く6重量%未満の量で存在する請求項5のプロセス。
  7. 前記熱可塑性ポリマーが、相溶化剤、又は熱可塑性物質を形成する相溶化剤であるか又はこれを含む請求項2のプロセスであって、前記プロセスは更に、
    v)ステップiv)の熱可塑性加硫物をペレット化すること;及び
    vi)ステップv)で形成されるペレットを一以上の追加の熱可塑性ポリマーと溶融加工すること
    を含む、前記プロセス。
  8. 前記熱可塑性ポリマーが、相溶化剤、又は熱可塑性物質を形成する相溶化剤であるか又はこれを含む請求項2のプロセスであって、前記プロセスは更に、
    v)硬化後に元の熱可塑性ポリマーと同一又は異なる一以上の追加の熱可塑性ポリマーを、加工工程に導入すること、を含む前記プロセス。
  9. 一以上の溶融成形装置(processor)が溶融加工(melt processing)で使用される請求項1乃至8のいずれか1項のプロセス。
  10. 前記熱可塑性ポリマーがプロピレン由来の一以上のアイソタクチックホモポリマーである請求項1乃至9のいずれか1項のプロセス。
  11. 前記熱可塑性ポリマーがプロピレンホモポリマー又はコポリマーから選択され、交差結合可能なエラストマーが非極性エラストマーである請求項1乃至10のいずれか1項のプロセス。
  12. 前記交差結合可能なエラストマーがモノオレフィンコポリマーエラストマー、EPDM、ブチルゴム、スチレン−ブタジエン エラストマー、天然ゴム及びブタジエン エラストマーから選択される請求項1乃至11のいずれか1項のプロセス。
  13. 全ポリマーに基づく1から18重量%の熱可塑性ポリマー、及び室温のシクロへキサン中での抽出物のレベルが6重量%を越えない十分交差結合したエラストマー、を含む熱可塑性加硫物組成物であって、組成物はジュロメータのショアーA硬度が50未満である、前記組成物。
  14. 前記十分交差結合したエラストマーが室温のシクロへキサン中の抽出物のレベルが2重量%を越えない請求項13の熱可塑性加硫物組成物。
  15. 、前記熱可塑性ポリマーが、DSCにより測定したモノマー由来のプロピレンのアイソタクッチク配列により50から175℃の溶融温度を持つ一以上のプロピレンホモポリマー又はコポリマーである請求項13の熱可塑性加硫物組成物。
  16. 前記熱可塑性ポリマーが0.90から0.91 g/cm の密度、0.3 dg/分 から50 dg/分のメルトフローレートを持つ一以上のプロピレンホモポリマーである請求項13の熱可塑性加硫物組成物。
  17. 前記エラストマーがEPDMである請求項13の熱可塑性加硫物組成物。
  18. 1重量%以上6重量%未満の熱可塑性ポリマーを含む請求項13の熱可塑性加硫物組成物。
  19. 前記組成物の、ジュロメータのショアーA硬度が25未満である、請求項13の熱可塑性加硫物組成物。
  20. 熱可塑性加硫物組成物のペレット又は製造する商品の成形においての使用であって、熱可塑性加硫物組成物は全ポリマーに基づく1から18重量%の熱可塑性ポリマー、及び室温のシクロヘキサンにおいて抽出物が6重量%を越えないレベルである十分交差結合したエラストマーを含み、前記組成物はジュロメータのショアーA硬度が50、または 40、または 30、または 25未満である組成物の前記使用。
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