JP2008543763A - パクリタキセルの製造法 - Google Patents

パクリタキセルの製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008543763A
JP2008543763A JP2008515900A JP2008515900A JP2008543763A JP 2008543763 A JP2008543763 A JP 2008543763A JP 2008515900 A JP2008515900 A JP 2008515900A JP 2008515900 A JP2008515900 A JP 2008515900A JP 2008543763 A JP2008543763 A JP 2008543763A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
hydroxy
lactam
group
dab
dab derivative
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2008515900A
Other languages
English (en)
Inventor
フォン・ブ
ロバート・エイ・ホルトン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Florida State University Research Foundation Inc
Original Assignee
Florida State University Research Foundation Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Florida State University Research Foundation Inc filed Critical Florida State University Research Foundation Inc
Publication of JP2008543763A publication Critical patent/JP2008543763A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D305/00Heterocyclic compounds containing four-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atoms
    • C07D305/14Heterocyclic compounds containing four-membered rings having one oxygen atom as the only ring hetero atoms condensed with carbocyclic rings or ring systems
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

Landscapes

  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Saccharide Compounds (AREA)

Abstract

本発明は、パクリタキセルの製造法を提供する。パクリタキセルは、架橋珪素に基づく保護基により、10-DABのC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を保護することにより製造される。次いで、得られる7,10保護10-DAB誘導体を誘導体化し、脱保護して、パクリタキセルを生成する。

Description

本発明は、概して、パクリタキセルの製造法に関する。より具体的には、本発明は、架橋珪素に基づく保護基を使用して、10-デアセチルバッカチンIII(10-DAB)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を保護することを含むパクリタキセルの製造法に関する。
セイヨウイチイ(taxus baccata L.)の針葉から抽出される10-DAB(1)は、両方とも強力な抗癌剤であるタキソール(パクリタキセルとしても既知)およびドセタキセル(Taxotere(登録商標))の製造における重要な出発物質である。
Figure 2008543763
細胞毒的に活性なタキサンへの10-DABの変換は、C(13)エステル側鎖を形成するための、C(13)ヒドロキシ基の選択的誘導体化を必要とする。10-DABはポリオールであり、かつこれらのヒドロキシ基はそれぞれ、所定の条件下に等しい反応性でないが故に、10-DABからのタキソールまたはドセタキセルの製造には、C(13)側鎖を結合させる前にC(7)およびC(10)ヒドロキシ基の選択的保護および/または誘導体化が典型的には必要である。
10-DABからタキソール、ドセタキセルおよび他のタキサンを製造する初期の方法は、ピリジン中での無水酢酸に対する10-DABの4つのヒドロキシ基の相対的反応性がC(7)-OH>C(10)-OH>C(13)-OH>C(1)-OHであるというSenilhらの観察(C.R. Acad. Sci. Paris, IT, 1981, 293, 501)に基づいていた。Denisら(J. Am. Chem. Soc., 1988, 110, 5917)は、ピリジン中で塩化トリエチルシリルを使用して10-DABのC(7)ヒドロキシ基を選択的にシリル化して、7-トリエチルシリル-10-デアセチルバッカチン(III)を85%の収率で得ることを報告している。
最近、Holtonらは、米国特許第6191287号において、塩基の存在下よりルイス酸の存在下において、C(7)とC(10)との酢酸に対する相対的反応性が異なることを開示している。Holtonらは、10-DABおよび他のタキサンのC(7)またはC(10)ヒドロキシ基の選択的誘導体化の方法を記載し、該方法において、C(7)ヒドロキシ基より先にC(10)ヒドロキシ基を保護または誘導体化しうる。具体的には、Holtonらは、C(7)ヒドロキシ基をアシル化、シリル化またはケタール化する前に、C(10)ヒドロキシ基をアシル化またはシリル化する方法を記載している。
本発明の種々の態様のうちの1つは、既知の方法より少ない工程でパクリタキセルを製造する方法を提供することである。それらの工程の1つとして、該方法は、10-デアセチルバッカチンIII(10-DAB)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を、架橋珪素に基づく保護基で保護し、7,10-保護10-DAB誘導体を誘導体化することを含み、保護、誘導体化およびその後の脱保護工程が比較的高い収率で進む。
従って、簡単に言えば、本発明は、下記の工程を含んで成るパクリタキセルの製造法を対象とする:
(a) 10-デアセチルバッカチンIII(10-DAB)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を、架橋珪素に基づく保護基で保護して、10-DAB誘導体を生成する工程;
(b) 10-DAB誘導体をさらに誘導体化する工程であって、さらなる誘導体化が、
(i) 10-DAB誘導体をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理して、側鎖を有する10-DAB誘導体を生成し、側鎖を有する10-DAB誘導体を塩基の存在下にアルコールで選択的に脱保護して、側鎖を有するC(10)ヒドロキシ10-DAB誘導体を生成し、側鎖を有するC(10)ヒドロキシ10-DAB誘導体のC(10)ヒドロキシ基をアセチル化して、側鎖を有するC(10)アセチル化10-DAB誘導体を生成すること、または
(ii) 10-DAB誘導体を塩基の存在下にアルコールで選択的に脱保護して、C(10)ヒドロキシ10-DAB誘導体を生成し、C(10)ヒドロキシ10-DAB誘導体のC(10)ヒドロキシ基をアセチル化して、C(10)アセチル化10-DAB誘導体を生成し、C(10)アセチル化10-DAB誘導体をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理して、側鎖を有するC(10)アセチル化10-DAB誘導体を生成すること
を含んで成る工程;および
(c) 工程(b)の生成物を脱保護して、パクリタキセルを生成する工程。
本発明は、下記の工程を含んで成るパクリタキセルの製造法も対象とする:
(a) C(7)およびC(10)ヒドロキシ基において架橋珪素に基づく保護基で保護され、かつ3’窒素位置に結合したtert-ブトキシカルボニル基を有する10-DAB誘導体を誘導体化する工程であって、
(i) 10-DAB誘導体のC(10)ヒドロキシ基を塩基の存在下にアルコールで選択的に脱保護して、C(10)ヒドロキシ10-DAB誘導体を生成し、C(10)ヒドロキシ10-DAB誘導体のC(10)ヒドロキシ基をアセチル化して、C(10)アセチル化10-DAB誘導体を生成すること、または
(ii) 10-DAB誘導体のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を塩基で脱保護して、C(7),C(10)-ヒドロキシ10-DAB誘導体を生成し、C(7),C(10)-ヒドロキシ10-DAB誘導体のC(10)ヒドロキシ基を選択的にアセチル化して、C(7)-ヒドロキシ、C(10)-アセチル10-DAB誘導体を生成すること
を含んで成る工程;および
(b) 工程(a)(i)または工程(a)(ii)の生成物をパクリタキセルに変換する工程であって、
(i) C(7)ヒドロキシ保護基およびtert-ブトキシカルボニル基を工程(a)(i)の生成物の3’窒素位置から除去して、工程(a)(i)の生成物を脱保護し、パクリタキセルを生成すること、または
(ii) tert-ブトキシカルボニル基を工程(a)(ii)の生成物の3’窒素位置から除去して、工程(a)(ii)の生成物を脱保護し、パクリタキセルを生成すること
を含んで成る工程。
本発明は、C(2’)酸素位置に結合したベンゾイル基および3’窒素位置に結合したtert-ブトキシカルボニル基を有する10-DAB誘導体を、パクリタキセルに変換することを含んで成るパクリタキセルの製造法も対象とし、該変換は、
(a) 10-DAB誘導体の3’窒素位置からtert-ブトキシカルボニル基を除去し、それによってC(2’)酸素位置に結合したベンゾイル基を3’窒素位置に移動させる工程;および
(b) 存在する場合に、C(7)ヒドロキシ保護基を、10-DAB誘導体から除去する工程;
を含んで成る。
本発明は、式(210)に相当する多環式縮合環化合物も対象とする:
Figure 2008543763
[式中、
R7は、水素または-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-O(R10A)-であり;
R10は、水素またはアセチルであるか;または
R7およびR10は、一緒になって-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-を形成し;
R10Aは、ヒドロカルビルであり;
G1、G2、G3およびG4は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシまたはヘテロシクロであり;
Zは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;
各Z10およびZ11は、独立して、ヒドロカルビルであり;
nは、1または2である]。
本発明は、式(280)に相当する多環式縮合環化合物も対象とする:
Figure 2008543763
[式中、
X6は、ヒドロキシ保護基であり、G1、G2、G3、G4、R7、R10、R10AおよびZは、式(210)に関して定義したとおりである]。
他の目的および特徴は、一部は明らかであり、一部は以下に記載する。
本発明の方法によれば、とりわけ、10-デアセチルバッカチンIII(10-DBA)(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を架橋珪素に基づく保護基で選択的かつ同時に保護することによって、パクリタキセルを製造しうることが見出された。次に、得られた7,10-保護10-DAB誘導体を、種々の経路によって誘導体化し、脱保護して、パクリタキセルを生成する。
一般的に言えば、10-DAB(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を保護するために使用される架橋珪素に基づく保護基は、式(2)に相当する:
Figure 2008543763
[式中、
G1、G2、G3およびG4は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシまたはヘテロシクロであり;
L1およびL2は、独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基であり;
Zは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;
各Z10およびZ11は、独立して、ヒドロカルビルであり;
nは、1または2である]。
架橋珪素に基づく保護基が式(2)に相当する一実施形態において、Zはヒドロカルビルである。そのような一実施形態において、Zは-(CH2)y-であり、ここで、yは1〜約8の正の整数である。より好ましくは、この実施形態において、yは1〜約4である。
架橋珪素に基づく保護基が式(2)に相当する他の実施形態において、Zは置換ヒドロカルビルである。1つの特定の実施形態において、Zは-[(Z12)-(Z13)]k-[(Z14)]m-であり、ここで、Z12、Z13およびZ14は、それぞれ独立して、-(CH2)y-、-O-、-S-または-N-であり、但し、Z12およびZ13の少なくとも1つは-O-、-S-または-N-であるものとし、kは1〜約4の正の整数であり、mは0または1であり、yは1〜約4の正の整数である。
架橋珪素に基づく保護基が式(2)に相当するさらに他の実施形態において、Zは-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり、ここで、nは1または2である。即ち、nが1のとき、Zは-O-Si(Z10)(Z11)-O-であり;nが2のとき、Zは-O-Si(Z10)(Z11)-O-Si(Z10)(Z11)-O-である。nが1または2のとき、各Z10および各Z11は独立してヒドロカルビルである(即ち、2個のZ10置換基は同じヒドロカルビル基である必要はなく、2個のZ11置換基は同じヒドロカルビル基である必要はない)。いくつかの実施形態において、Z10およびZ11はアルキルである。他の実施形態において、Z10およびZ11は約1〜約4個の炭素原子を有する低級アルキルである。さらに他の実施形態において、Z10およびZ11はメチルである。
前記の種々の実施形態のいずれか1つにおいて(即ち、Zが、-(CH2)y-、-[(Z12)-(Z13)k-[(Z14)]m-、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-、または-O-である場合)、G1、G2、G3およびG4は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシまたはヘテロシクロである。いくつかの実施形態において、G1、G2、G3およびG4は、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルである。他の実施形態において、G1、G2、G3およびG4は、独立して、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル、約1〜約6個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはフェニルである。さらに他の実施形態において、G1、G2、G3およびG4は、独立して、メチル、エテニル、イソプロピル、フェニルまたはシクロペンチルである。G1、G2、G3およびG4のいずれか1つまたはそれ以上がアルコキシである場合、それは好ましくはC1〜C6アルコキシである。
前記の実施形態のいずれか1つまたそれ以上において、L1およびL2は、それぞれ独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基である。一実施形態において、L1およびL2は、ハライド脱離基である。例えば、L1およびL2は、独立して、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードであってよい。または、L1およびL2はアミン脱離基であってよい。例えば、L1およびL2は、独立して、環状アミンまたはジアルキルアミン、例えば、イミダゾール、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミンなどであってよい。他の実際形態において、L1およびL2はスルホネート脱離基であってよい。例えば、L1およびL2は、独立して、トシレート、トリフレート、メシレートなどであってよい。
従って、1つの特定の実施形態において、L1およびL2はハライド脱離基であり;G1、G2、G3およびG4は、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;Zは、-(CH2)y-であり;yは1〜約8の正の整数である。
他の特定の実施形態において、L1およびL2はクロロ脱離基であり;G1、G2、G3およびG4は、独立して、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル、約1〜約6個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはフェニルであり;Zは、-(CH2)y-であり;yは1〜約4の正の整数である。
第三の特定の実施形態において、L1およびL2はハライド脱離基であり;G1、G2、G3およびG4は、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;Zは、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;nは1または2であり;Z10およびZ11はアルキルである。
第四の特定の実施形態において、L1およびL2はクロロ脱離基であり;G1、G2、G3およびG4は、独立して、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル、約1〜約6個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはフェニルであり;Zは、-O-である。
4つの前記特定の実施形態のいずれか1つにおいて、L1およびL2は、ハライド(または、特にクロロ)である代わりに、任意の他の好適な官能性反応性脱離基であってよい。例えば、L1はクロロであってよく、L2は異なる脱離基、例えば、異なるハライド、アミンまたはスルホネート脱離基であってよい。または、L1およびL2のそれぞれが、独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基の任意の他の組合せであってよい。
いくつかの特に好ましい架橋珪素に基づく保護基が表1に記載されている(本発明の方法に使用される各々および他の好適な架橋珪素に基づく保護基は、Gelest, Inc., Morrisville, PAから商業的に入手可能である)。
Figure 2008543763
表1に示されている架橋珪素に基づく保護基のそれぞれは、クロロの代わりに、架橋珪素に基づく保護基の各端におけるシリル原子に結合した他の好適な官能性反応性脱離基を有しうることが、当業者には理解される。例えば、一方の端における脱離基はクロロであってよく、他方の端における脱離基は異なる脱離基、例えば異なるハライド、アミンまたはスルホネート脱離基であってよい。または、2個の脱離基のそれぞれが、独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基の任意の他の組合せであってよい。
前記の架橋珪素に基づく保護基を、天然または合成源から得られる10-DAB(1)と共に使用して、10-DAB(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を保護する。C(7)およびC(10)保護は、以下に詳しく記載される10-DAB(1)の種々の位置における誘導体化、例えば、10-DABにC(13)側鎖を導入するためのβ-ラクタム側鎖先駆物質と10-DABとのカップリング反応、および10-DABのC(10)ヒドロキシ基の選択的脱保護およびアセチル化に先立って行われる。パクリタキセルに含まれる種々の置換基を与えるために10-DAB(1)を適切に誘導体化したら、種々の保護基を除去して(即ち、脱保護して)、パクリタキセルを生成しうる。
前記のように、本発明の方法は、β-ラクタム側鎖先駆物質での処理によって、10-DAB(1)のC(13)位置に側鎖を結合させることを含む。好ましい実施形態において、β-ラクタム側鎖先駆物質は式(3)に相当する:
Figure 2008543763
[式中、X5はtert-ブトキシカルボニルまたはベンゾイルであり、X6はヒドロキシ保護基である]。例えば、β-ラクタム側鎖先駆物質は式(3B)に相当する:
Figure 2008543763
[式中、X6はヒドロキシ保護基である]。または、β-ラクタム側鎖先駆物質は式(3T)に相当する:
Figure 2008543763
[式中、X6はヒドロキシ保護基である]。適切なヒドロキシ保護基の例は、アセタール、例えば、テトラヒドロピラニル(THP)、メトキシメチル(MOM)、1-エトキシエチル(EE)、2-メトキシ-2-プロピル(MOP)、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、2-メトキシエトキシメチル(MEM)、2-トリメチルシリルエトキシメチル(SEM)およびメチルチオメチル(MTM)である。または、ヒドロキシ保護基は、嵩高いアルキル基を有するシリル保護基、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジメチルフェニルシリルなどであってよい。
一般に、本発明の方法に使用するのに好適なβ-ラクタム側鎖先駆物質は当分野で既知の方法で製造しうる。しかし、種々の実施形態において、通例、式(3)、(3B)および(3T)に相当するβ-ラクタム側鎖先駆物質は、反応式1に示される種々の経路によって製造しうる。
Figure 2008543763
反応式1の段階1において、ベンズアルデヒド(4)を、極性非プロトン溶媒(例えばテトラヒドロフラン(THF))の存在下に、ジシラジド(5)と反応させて、フェニル置換イミン(6)を当量のシラノレート(6S)と共に生成する。種々の実施形態において、Mはアルカリ金属であり、R51、R52およびR53は、独立して、アルキル、アリールまたはアラルキルである。好ましくは、R51、R52およびR53はメチルである。1つの好ましい実施形態において、ジシラジド(5)は、リチウム−またはナトリウム−ヘキサメチルジシラジド(即ち、LHMDSまたはNaHMDS)である。
段階2において、イミン(6)をケテンアセタール(7)で処理する。種々の実施形態において、R21、R22およびR23は、独立して、アルキル、アリールまたはアラルキルである。好ましくは、R21、R22およびR23はメチルである。さらに、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は独立してアルキルであり、但し、R11、R12およびR13、またはR14、R15およびR16のいずれかがメチルであるものとする。1つの好ましい実施形態において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R22およびR23のそれぞれがメチルである。この実施形態によれば、ケテンアセタール(7)はトリス(トリメチルシリルオキシ)エタンであり、これは商業的に入手可能である。
段階1および段階2の反応は、N-非置換β-ラクタムを生成する。より具体的には、段階2におけるβ-ラクタム環形成反応はジアステレオ選択性であり、(±)シス-β-ラクタム(8)および(±)トランス-β-ラクタム(8)異性体を、約5:1のシス:トランス比で優先的に生成する。N-非置換β-ラクタムの生成後に、(±)シス-β-ラクタムを異性体混合物から結晶化し(例えば、酢酸エチルを使用)、種々の経路で誘導体化して、パクリタキセルの製造用の、適切な置換基を有するβ-ラクタム側鎖先駆物質を生成する(例えば、通例、前記の式(3)に相当するβ-ラクタム側鎖先駆物質)。種々の実施形態において、(±)シス-β-ラクタム(8)のエナンチオマー混合物をそのエナンチオマーに分離することが望ましい場合もある。N-非置換β-ラクタムを分離および/または誘導体化する種々の経路を以下に詳しく説明する。
2つのそのような経路によれば、異性体N-非置換β-ラクタムのC(3)位置を端とするシリル基(即ち、-SiR21R22R23)は、本発明の方法に使用される好適なβ-ラクタム側鎖先駆物質の生成に使用される種々の工程を通して、その位置に留まる。
段階2Tに示されているように、(±)シス-β-ラクタム異性体を、(±)シス-および(±)トランス−β−ラクタムの異性体混合物から結晶化し(例えば、酢酸エチルを使用)、tert-ブトキシカルボニル(t-Boc)基を(例えば、ジ-tert-ブチルジカーボネートを使用して)-NH基に導入することによって誘導体化して、(±)シス-β-ラクタム(30T)を生成する。種々の実施形態において、(±)シス-β-ラクタム(30T)を、本発明の方法におけるβ-ラクタム側鎖先駆物質として使用しうる。または、他の実施形態において、段階3Tに示されているように、(±)シス-β-ラクタム(30T)のエナンチオマー混合物をそのエナンチマーに分離することが望ましい場合もある。段階3Tにおける分離を、当分野で既知の種々の方法、例えば、酵素的分離によって行って、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300T)を生成することができ、ここで、X6は-SiR21R22R23である(即ち、C(3)位置を端とするシリル基が、段階2Tおよび3Tを通して留まっている)。
選択的段階2Bに示されているように、(±)シス-β-ラクタムを、(±)シス-および(±)トランス−β−ラクタムの異性体混合物から結晶化し(例えば、酢酸エチルを使用)、ベンゾイル(Bz)基を(例えば、塩化ベンゾイルを使用して)-NH基に導入することによって(±)シス-β-ラクタムを誘導体化して、(±)シス-β-ラクタム(30B)を生成する。β-ラクタムのN-置換基がベンゾイルである場合、β-ラクタムを、本発明の方法におけるβ-ラクタム側鎖先駆物質として使用する前に、そのエナンチオマーに分離するのが好ましい。前記の段階3Tにおけるように、段階3Bにおける分離を、当分野で既知の種々の方法(例えば、酵素的分離)によって行って、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)を生成することができ、ここで、X6は-SiR21R22R23である(即ち、C(3)位置を端とするシリル基が、段階2Bおよび3Bを通して留まっている)。
選択的経路において、(±)シス-β-ラクタムを異性体混合物から結晶化し(例えば、酢酸エチルを使用)、段階3において、シリル基(即ち、-SiR21R22R23)をN-非置換β-ラクタムのC(3)ヒドロキシ基から除去する。一般に、シリル保護基を除去する方法は既知である。次に、得られたN-非置換(±)シス-β-ラクタム(9)(即ち、(±)シス-3-ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)を誘導体化し、場合により種々の方法によって分離して、本発明の方法に使用される適切なβ-ラクタム側鎖先駆物質を生成する。
前記の段階2Tと同様に、段階4Tにおいて、N-非置換(±)シス-β-ラクタムをヒドロキシ保護基(X6)の導入によって誘導体化して、β-ラクタム上のC(3)ヒドロキシ基を保護する。適切なヒドロキシ保護基は先に詳しく記載されている。
段階4Tにおける誘導体化も、N-非置換(±)シス-β-ラクタム(9)の-NH基へのtert-ブトキシカルボニル(t-Boc)基(例えば、ジ-tert-ブチルジカーボネートを使用)の導入を含む。種々の実施形態において、本発明の方法に使用されるβ-ラクタム側鎖先駆物質は、分離の前に段階4Tにおいて生成されるN-t-Boc-3-ヒドロキシ保護β-ラクタムである。従って、β-ラクタム側鎖先駆物質は、(±)シス-β-ラクタム(300T)に相当する(即ち、β-ラクタムがエナンチオマーの混合物として存在する)。しかし、前記のように、他の実施形態において、N-非置換(±)シス-β-ラクタム(9)のエナンチオマー混合物を、そのエナンチオマーに分離することが望ましい場合もある。所望により、段階4Tにおける分離を、当分野で既知の種々の方法、例えば酵素的分離によって行って、光学的活性(3R,4S)-シス-β-ラクタム(300T)を生成することができ、ここで、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。
関連段階4Bに示されているように、N-非置換(±)シス-β-ラクタムを、ヒドロキシ保護基(X6)の導入によって誘導体化して、β-ラクタム上のC(3)ヒドロキシ基を保護する。適切なヒドロキシ保護基は先に詳しく記載されている。
段階4Bにおける誘導体化も、N-非置換(±)シス-β-ラクタム(9)の-NH基へのベンゾイル(Bz)基(例えば、塩化ベンゾイルを使用)の導入を含む。前記のように、β-ラクタムのN-置換基がベンゾイルである場合、β-ラクタムを、本発明の方法におけるβ-ラクタム側鎖先駆物質として使用する前に、そのエナンチオマーに分離するのが好ましい。前記の段階3Bにおけるように、段階4Bにおける分離を、当分野で既知の種々の方法(例えば、酵素的分離)によって行って、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)を生成することができ、ここで、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。
さらに他の経路において、N-非置換(±)シス-ラクタム(9)を、アミン存在下のN-置換-L-プロリンアシル化剤(11)でのエナンチオマー混合物の処理によって分離する。例示的なL-プロリンアシル化剤は、段階4に示されているように、N-t-ブトキシカルボニル-L-プロリンまたはN-カルボベンジルオキシ-L-プロリンの酸塩化物、酸無水物または混合無水物である(例えば、Rnはt-ブトキシカルボニルまたはカルボベンジルオキシであり、Rcは、Cl、OC(O)Raであり、ここでRaは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロである)。Rcがヒドロキシである場合、光学活性プロリンアシル化剤は、プロリン酸を、酸アシル化剤、例えば、p-トルエンスルホニルクロリド(TsCl)、メタンスルホニルクロリド(MsCl)、蓚酸塩化物、ジ-tert-ブチルジカーボネート(Boc2O)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、アルキルクロロホルメート、2-クロロ-1,3,5-トリニトロベンゼン、ポリホスフェートエステル、クロロスルホニルイソシアネート、Ph3P-CCl4などで処理することによって製造できる。この方法の一実施形態において、L-プロリンアシル化剤が、エナンチオマー対の1つの構成員と優先的に反応して、N-非置換β-ラクタムエナンチオマーの1つからC(3)ジアステレオマー(110)を生成する。即ち、(±)シス-β-ラクタム(9)のエナンチオマー混合物では、下記によってエナンチオマーの1つを光学的に富ませることができる:(i)原混合物をL-プロリンアシル化剤で処理して、β-ラクタムエナンチオマーの1つをエステル誘導体に優先的に変換し(段階4に示す)、(ii)例えば酢酸エチルを使用して、結晶化によって、未反応エナンチオマーをエステル誘導体から選択的に回収して、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(9)を生成する。または、他の実施形態において、L-プロリンアシル化剤が両方のエナンチオマーと反応して、ジアステレオマー(110および110A)の対を生成する。これらのジアステレオマーは、異なる化学的および物理的特性を有するので、それらを異なる条件下に結晶化させることができ、それによって分離し、C(3)エステルを加水分解して、C(3)ヒドロキシ光学活性3R、4S(+)シス-β-ラクタム(9)を生成しうる。
エナンチオマーが分離されると、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(9)を前記のように誘導体化する。段階6に示されているように、誘導体化は、ヒドロキシ保護基(X6)を、3R,4S(+)シス-β-ラクタム(9)のC(3)ヒドロキシ基に導入して、3R,4S(+)シス-β-ラクタム(90)を得ることを含み、ここで、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。好ましくは、C(3)ヒドロキシ基をp-トルエンスルホン酸(TsOH)および2-メトキシ-2-プロペンでの処理によってMOPで保護する。
誘導体化は、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(90)の-NH基を誘導体化することも含む。段階7Tに示されているように、3R,4S(+)シス-β-ラクタム(90)の-NH基を、tert-ブトキシカルボニル(t-Boc)基(例えば、ジ-tert-ブチルジカーボネートを使用)の導入によって誘導体化して、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300T)(即ち、(3R,4S(+)シス)-N-t-Boc-3-保護ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)を生成する。または、段階7Bにおいて、3R,4S(+)シス-β-ラクタム(90)の-NH基を、ベンゾイル(Bz)基(例えば、塩化ベンゾイルを使用)の導入によって誘導体化して、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)((3R,4S(+)シス)-N-ベンゾイル-3-保護ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)を生成する。
本発明の方法の一実施形態を反応式2に示し(該反応式はパクリタキセルの製造を示す)、ここで、G1、G2、G3、G4、L1、L2およびZは、式(2)に関して定義したとおりであり、R10Aはヒドロカルビルであり、X6はヒドロキシ保護基である。適切なヒドロキシ保護基は先に詳しく記載されている。
Figure 2008543763
反応式2の段階1は、架橋珪素に基づく保護基(2)で10-DAB(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を同時に保護して、7,10-保護10-DAB誘導体(12)を生成することを示す。本明細書に記載されている任意の架橋珪素に基づく保護基を、この工程で使用できる。例えば、一実施形態において、G1、G2、G3およびG4は、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;Zは-(CH2)y-であり;yは1〜約8の正の整数である。他の実施形態において、G1、G2、G3およびG4は、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;Zは、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;nは1または2であり;Z10およびZ11はアルキルである。これら2つの実施形態のいずれにおいても、L1およびL2は、独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基である。
10-DAB(1)の同時保護は、塩基および溶媒の存在下に行うのが好ましい。適切な塩基の例は、アミン塩基、例えばN,N-4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)であり、好適な溶媒の例は、極性非プロトン溶媒、例えばTHFである。または、他の実施形態において、しかしながら、他の塩基および溶媒、例えば、無機塩基および/または非極性溶媒も好ましい場合がある。
示されているように、7,10-保護10-DAB誘導体(12)は、パクリタキセルを生成する2つの選択的合成経路に共通の中間化合物である。10-DAB誘導体(12)の生成後に、これらの2つの経路のいずれかによって誘導体(12)を誘導体化して、10-DAB誘導体(17)を生成し、これを脱保護してパクリタキセル(18)を生成する。10-DAB誘導体(12)の誘導体化の2つの選択的経路は、反応式2に経路Aおよび経路Bとして示されている。
経路Aの段階2Aにおいて、10-DAB誘導体(12)をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理して、10-DAB誘導体(13)を生成する。示されているように、β-ラクタム側鎖先駆物質は、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)(即ち、(3R,4S(+)シス)-N-ベンゾイル-3-保護ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)に相当し、ここで、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)は、前記の反応式1に記載した種々の方法および経路のいずれかによるか、または当業者に既知の他の方法によって生成しうる。
10-DAB誘導体(12)を、段階2Aにおいて、通例、脱プロトン化剤(例えば、有機金属化合物(例えば、n-ブチルリチウムまたはn-ヘキシルリチウム)、またはジシラジド(例えば、NaHMDSまたはLHMDS)、またはアミンまたはアンモニウム含有化合物(例えば、テトラアルキルアンモニウムハライドまたはアルカリ金属ジアルキルアミン))の存在下に、β-ラクタム側鎖先駆物質で処理する。または、しかしながら、10-DAB誘導体(12)を、第三級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン、N-メチルイミダゾールおよびN,N-4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))の存在下に、β-ラクタム側鎖先駆物質で処理してよい。
段階3Aにおいて、7,10-保護10-DAB誘導体(13)のC(10)ヒドロキシ基を、アルコール(即ち、R10Aはヒドロカルビルであり、好ましくはアルキルであるR10AOH)またはアルコールの混合物を用いて、塩基の存在下に選択的に脱保護して、7-保護10-DAB誘導体(14)を生成する。好ましくは、C(10)選択的脱保護に使用されるアルコールは、メタノール(即ち、R10AはメチルであるR10AOH)である。C(10)選択的脱保護に好適な塩基は、トリエチルアミン、炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウムを包含し、好ましくは、塩基はトリエチルアミンまたは炭酸水素ナトリウムである。C(10)ヒドロキシ基の選択的脱保護を、溶媒の存在下に付加的に行ってよい。C(10)脱保護用の溶媒は、アルコール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、塩化メチレンまたはそれらの組合せであってよく、好ましくは、溶媒はメタノールである。
C(10)ヒドロキシ基の選択的脱保護の後に、段階4Aにおいて脱保護C(10)ヒドロキシ基の選択的アセチル化を行う。経路Aにおける段階2A、3Aおよび4Aの進行によって、7-保護-10-アセトキシ10-DAB誘導体(17)を生成するが、該誘導体は、以下に詳しく記載する選択的合成経路Bを使用して生成することもできる。段階4Aにおける選択的アセチル化は、C(10)ヒドロキシ基をアセチル化剤で処理してC(10)位置をアセチル化することによって行い、それによって10-DAB誘導体(17)を生成する。種々のアセチル化剤、例えば、ハロゲン化アセチル、無水酢酸などをこの工程で使用できる。好ましくは、アセチル化剤は塩化アセチルである。選択的アセチル化を、典型的には、ジシラジド(例えば、NaHMDSまたはLHMDS)の存在下に行って、C(10)ヒドロキシ基を脱プロトン化する。
選択的経路Bにおいて、先ず、段階2Bにおいて、7,10-保護10-DAB誘導体(12)を塩基の存在下にアルコールまたはアルコールの混合物で処理して7-保護10-DAB誘導体(15)を生成することによって、7-保護-10-アセトキシ10-DAB誘導体(17)を生成する。段階2BにおけるC(10)ヒドロキシ基の選択的脱保護用の試薬および条件は、前記の経路A(即ち、段階3A)における選択的脱保護工程に関して記載したのと同じかまたは類似している。
段階2BにおけるC(10)ヒドロキシ基の選択的脱保護の後に、段階3Bにおいて、前記の経路A(即ち、段階4A)における選択的アセチル化段階に関して記載したのと同じかまたは類似の試薬を使用して、脱保護C(10)ヒドロキシ基の選択的アセチル化を行って、10-DAB誘導体(16)を生成する。例えば、10-DAB誘導体(15)を、ジシラジド(例えば、NaHMDSまたはLHMDS)または有機金属化合物(例えば、n-ブチルリチウムまたはn-ヘキシルリチウム)の存在下に、アセチル化剤(例えば、塩化アセチル)で処理して、10-DAB誘導体(16)を生成しうる。
段階4Bにおいて、10-DAB誘導体(16)をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理することによって、側鎖を10-DAB誘導体(16)のC(13)位置に結合させて、10-DAB誘導体(17)を生成する。示されているように、β-ラクタム側鎖先駆物質は、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)(即ち、(3R,4S(+)シス)-N-ベンゾイル-3-保護ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)に相当し、ここで、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。前記のように、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)は、前記の反応式1に記載した種々の方法および経路のいずれかによるか、または当業者に既知の他の方法によって生成しうる。段階4BにおけるC(13)側鎖結合用の試薬および条件は、前記の経路A(即ち、段階2A)における側鎖結合工程に関して記載したのと同じかまたは類似している。例えば、10-DAB誘導体(16)を、ジシラジド(例えば、NaHMDSまたはLHMDS)の存在下に、β-ラクタム側鎖先駆物質で処理して、10-DAB誘導体(17)を生成しうる。
これら2つの経路(即ち、(12)→(13)→(14)→(17)または(12)→(15)→(16)→(17))のいずれかによる7-保護-10-アセトキシ10-DAB誘導体(17)の生成後に、段階5において、10-DAB誘導体(17)を脱保護してパクリタキセル(18)を生成する。C(13)エステル結合および/または10-DAB誘導体(17)の多環部における他の加水分解性置換基および/または側鎖を妨害しないように、比較的緩い条件下に、一般に、種々の保護基を加水分解によって(即ち、加水分解剤を使用)除去する。
本発明の方法の好ましい実施形態を反応式3に示し(該反応式はパクリタキセルの製造を示す)、ここで、G1、G2、G3、G4、L1、L2およびZは、式(2)に関して定義したとおりであり、R10Aはメチルであり、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。
Figure 2008543763
反応式3の段階1は、架橋珪素に基づく保護基(2)で10-DAB(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を同時に保護して、7,10-保護10-DAB誘導体(12)を生成することを示す。本明細書に記載されている任意の架橋珪素に基づく保護基を、この工程で使用できる。例えば、架橋珪素に基づく保護基は1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(即ち、L1およびL2はクロロであり;G1、G2、G3およびG4はそれぞれメチルであり;Zは-O-である式(2)の化合物)であってよい。他の例として、架橋珪素に基づく保護基は、1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタン(即ち、下記のように定義される式(2)の保護基:L1およびL2はクロロであり;G1、G2、G3およびG4はそれぞれメチルであり;Zは-(CH2)y-であり;yは2である)であってよい。他の例として、架橋珪素に基づく保護基は、1,5-ジクロロヘキサメチルトリシロキサン(即ち、L1およびL2はクロロであり;G1、G2、G3およびG4はそれぞれメチルであり;Zは-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-であり;nは1であり;Z10およびZ11はメチルである式(2)の化合物)であってよい。10-DAB(1)の7,10-保護10-DAB誘導体(12)の変換は、N,N-4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびテトラヒドロフラン(THF)溶媒の存在下に行われる。
前記のように、10-DAB誘導体(12)は、パクリタキセル(18)を生成する2つの選択的経路(反応式3において経路Aおよび経路Bとして示されている)によって誘導体化しうる共通の中間化合物である。
経路Aの段階2Aにおいて、10-DAB誘導体(12)を、LHMDSおよびTHFの存在下に、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)で処理して、7,10-保護10-DAB誘導体(13)を生成する。または、10-DAB誘導体(12)を、他の脱プロトン化剤(例えば、有機金属化合物(例えば、n-ブチルリチウムまたはn-ヘキシルリチウム)または他のジシラジド(例えば、NaHMDS)またはアミンまたはアンモニウム含有化合物(例えば、テトラアルキルアンモニウムハライドまたはアルカリ金属ジアルキルアミン))の存在下に、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)で処理してよい。前記のように、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)は、反応式1に記載した種々の方法によるか、または当業者に既知の他の方法によって生成しうる。
段階3Aにおいて、炭酸水素ナトリウムの存在下に、メタノール(即ち、R10AはメチルであるR10AOH)を用いて、7,10-保護10-DAB誘導体(13)をC(10)ヒドロキシ位置において選択的に脱保護して、10-DAB誘導体(14)を生成する。C(10)ヒドロキシ基の選択的脱保護の後に、段階4Aにおいて、脱保護C(10)ヒドロキシ基の選択的アセチル化を行って、10-DAB誘導体(17)を生成する。段階4Aに示されているように、LHMDSを使用してC(10)ヒドロキシ基を脱プロトン化し、塩化アセチルをアセチル化剤として使用して、7-保護-10-アセトキシ10-DAB誘導体(17)を生成する。
または、経路Bに従って、先ず、段階2Bにおいて10-DAB誘導体(12)を炭酸水素ナトリウムの存在下にメタノール(即ち、R10AはメチルであるR10AOH)で選択的に脱保護して10-DAB誘導体(15)を生成することによって、10-DAB誘導体(17)を生成しうる。C(10)ヒドロキシ基の選択的脱保護の後に、段階3Bにおいて、LHMDSの存在下に塩化アセチルを使用して脱保護C(10)ヒドロキシ基の選択的アセチル化を行って、10-DAB誘導体(16)を生成する。
段階4Bにおいて、10-DAB誘導体(16)をLHMDSおよびTHFの存在下に光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)で処理して、10-DAB誘導体(17)を生成する。または、10-DAB誘導体(16)を、他の脱プロトン化剤(例えば、有機金属化合物(例えば、n-ブチルリチウムまたはn-ヘキシルリチウム)または他のジシラジド(例えば、NaHMDS)またはアミンまたはアンモニウム含有化合物(例えば、テトラアルキルアンモニウムハライドまたはアルカリ金属ジアルキルアミン))の存在下に、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)で処理してよい。前記のように光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300B)は、反応式1に記載した種々の方法によるか、または当業者に既知の他の方法によって生成しうる。
これら2つの経路(即ち、(12)→(13)→(14)→(17)または(12)→(15)→(16)→(17))のいずれかによる7-保護-10-アセトキシ10-DAB誘導体(17)の生成後に、10-DAB誘導体(17)を、アセトニトリル(ACN)の存在下に塩酸(HCl)で処理して、C(7)およびC(2’)ヒドロキシ保護基を除去し(即ち、脱保護し)、それによってパクリタキセル(18)を生成する。
下記の反応式4および5は、パクリタキセルの製造のための他の合成経路を示す。一般に、これらの経路は、式(210)または(280)に相当する多環式縮合環中間化合物を利用する:
Figure 2008543763
[式中、
R7は、水素または-[Si(G3)(G4)]-Z-[ Si(G1)(G2)]-O(R10A)-であり;
R10は、水素またはアセチルであるか;または
R7およびR10は、一緒になって-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-を形成し;
R10Aは、ヒドロカルビルであり;
X6は、先に定義したヒドロキシ保護基であり、G1、G2、G3、G4およびZは、式(2)に関して定義したとおりである]。
このように、本発明の他の実施形態を反応式4に示す(該反応式はパクリタキセルの製造を示す)。反応式4に示されているように、式(260)に一般に相当する多環式縮合環化合物:
Figure 2008543763
を、2つの経路によってパクリタキセルに変換でき、ここで、G1、G2、G3、G4、L1、L2、R10AおよびZは先に定義したとおりであり、R7は水素または-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-O(R10A)-である。一般に、変換は、存在する場合に-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-O(R10A)-をC(7)ヒドロキシ位置から除去することを含み、かつ、tert-ブトキシカルボニル基を10-DAB誘導体(260)の3’窒素位置から除去してベンゾイル基を3’窒素位置に移動させることも含み、それによってパクリタキセルを生成する。
Figure 2008543763
反応式4の段階1は、架橋珪素に基づく保護基(2)を使用して、10-DAB(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を同時に保護して、7,10-保護10-DAB誘導体(12)を生成することを示す。前記のように、任意の架橋珪素に基づく保護基をこの工程で使用でき、同時保護は、典型的には、塩基および溶媒の存在下に行われる。この工程で使用できる適切な塩基および溶媒は、先に詳しく記載されている。
段階1における7,10-保護10-DAB誘導体(12)の生成後に、10-DAB誘導体(12)をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理して、10-DAB誘導体(21)を生成する。示されているように、10-DAB誘導体(21)は2つの選択的経路によって生成しうる。特に、2種類のβ-ラクタム側鎖先駆物質を使用して、1または2段階法によって10-DAB誘導体(21)を生成しうる。
1つの経路によれば、段階2に示されているように、β-ラクタム側鎖先駆物質は(±)シスまたは光学活性3R,4S(+)シス-βラクタム(3000T)(即ち、N-t-Boc-3-ベンゾイル-4-フェニルアゼチジン-2-オン)である。N-置換基はベンゾイルでないので、β-ラクタムは、エナンチオマーの混合物として存在しうるか、または光学活性3R,4S(+)シスエナンチオマーとしてのみ存在しうる。段階2に使用されるβ-ラクタムは、反応式1における種々の経路の1つまたはそれ以上を含む種々の方法によって製造しうる。例えば、β-ラクタム側鎖先駆物質は、ベンズアルデヒド、ジシラジドおよびケテンアセタールを反応させてN-非置換β-ラクタムを生成し、該β-ラクタムをC(3)位置へのベンゾイル基の導入および-NH基へのtert-ブトキシカルボニル基の導入によって誘導体化することによって製造しうる。β-ラクタムは、エナンチオマーの混合物(即ち、非分離)として留まってよく、または、例えばL-プロリンまたは前記のようなL-プロリン誘導体を使用するかまたは酵素的分離などの他の分離法によってエナンチオマーの混合物を分離して、光学活性3R,4S(+)シスエナンチオマーを得てよい。
段階2Aおよび2Bとして示される選択的経路において、β-ラクタム側鎖先駆物質は、(±)シスまたは光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300T)(即ち、N-t-Boc-3-保護ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)であり、ここで、X6はベンゾイル以外のヒドロキシ保護基である。段階2Aに使用されるβ-ラクタムも、反応式1における種々の経路の1つまたはそれ以上を含む種々の方法によって製造しうる(例えば、ベンゾイル以外のヒドロキシ保護基をC(3)位置に導入し、tert-ブトキシカルボニル基を-NH基に導入することによって誘導体化され、エナンチオマーの混合物として存在するか、または分離されて光学活性3R,4S(+)シスエナンチオマーを得る)。好ましくは、X6は架橋珪素に基づく保護基より遅く開裂するヒドロキシ保護基である。段階2Bにおいて、X6ヒドロキシ保護基(以前は、β-ラクタムのC(3)ヒドロキシ基上にあり、現在は、側鎖のC(2’)位置にある)は、ベンゾイル基で置き換えられる。10-DAB誘導体(19)を、ルイス酸(例えば、CeCl3)の存在下に、例えば無水安息香酸と反応させることによって、ベンゾイル基をC(2’)位置に導入して、10-DAB誘導体(21)を生成する。次に、2つの経路によって、10-DAB誘導体(21)からパクリタキセルを生成しうる。
1つの経路において、前記の経路のいずれか(即ち、一段階法(段階2)または二段階法(段階2Aおよび2B))による10-DAB誘導体(21)の生成後に、段階3において、塩基の存在下に、アルコール(即ち、R10Aはヒドロカルビル、好ましくはアルキルであるR10AOH)またはアルコールの混合物を用いて、10-DAB誘導体(21)をC(10)において選択的に脱保護して、7-保護10-DAB誘導体(22)を生成する。この工程に使用される適切なアルコール、塩基および溶媒は、先に詳しく記載されている。
C(10)ヒドロキシ基の選択的脱保護の後に、段階4において、脱保護C(10)ヒドロキシ基の選択的アセチル化を行って、10-アセチル誘導体(23)を生成する。前記のように、選択的アセチル化は、例えば、ジシラジド(例えば、NaHMDSまたはLHMDS)の存在下に10-DAB誘導体(22)をアセチル化剤(例えば塩化アセチル)で処理することによって行いうる。
10-DAB誘導体(22)を選択的にアセチル化した後、得られたC(10)アセチル化誘導体(23)を、段階5において加水分解剤で処理して、C(7)ヒドロキシ基を脱保護し(即ち、-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-O(R10A)-基の除去)、かつ3’窒素tert-ブトキシカルボニル基を除去する。いったん3’窒素が脱保護されると、C(2’)酸素に結合しているベンゾイル基が3’窒素に移動し、それによってパクリタキセル(18)を生成する。
選択的経路において、10-DAB誘導体(21)を段階3Bにおいて塩基(例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3))で脱保護して、架橋珪素に基づく保護基を完全に除去し、誘導体(25)を生成することによって、パクリタキセルを生成しうる。この経路によれば、C(2’)位置におけるベンゾイル基は、アセチル化剤との反応の条件下に、C(2’)酸素に結合したまま留まるように選択される。次に、段階5Aにおいて、誘導体(25)をルイス酸(例えばCeCl3)の存在下にアセチル化剤(例えば無水酢酸)で処理して、C(10)ヒドロキシ基を選択的にアセチル化して、誘導体(26)を生成しうる。10-DAB誘導体(25)を選択的にアセチル化した後に、得られたC(10)アセチル化誘導体(26)を、段階6Aにおいて、加水分解剤で処理して、3’窒素tert-ブトキシカルボニル基を除去する。3’窒素が脱保護されると、C(2’)酸素に結合しているベンゾイル基が3’窒素に移動し、それによってパクリタキセル(18)を生成する。
10-DAB誘導体(21)を生成せずに、パクリタキセルを生成してもよい。段階3Aに示されているように、加水分解剤を使用して10-DAB誘導体(19)を完全に脱保護して、ドセタキセル(24)を生成し、段階4Aにおいて、アミン(例えばピリジン)の存在下に塩化ベンゾイル(または他のハロゲン化ベンゾイル)を使用して、ベンゾイル基をドセタキセルのC(2’)ヒドロキシ位置に選択的に導入して、誘導体(25)を生成しうる。次に、誘導体(25)を、前記のように段階5Aおよび6Aにおいて選択的にアセチル化し脱保護して、パクリタキセルを生成する。
本発明の他の実施形態を反応式5(該反応式はパクリタキセルの製造を示す)に示し、ここで、G1、G2、G3、G4、L1、L2およびZは、式(2)に関して定義したとおりであり、R10Aはヒドロカルビルであり、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。
Figure 2008543763
反応式5の段階1は、架橋珪素に基づく保護基(2)を用いて、10-DAB(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を同時に保護して、7,10-DAB誘導体(12)を生成することを示す。前記のように、任意の架橋珪素に基づく保護基をこの工程で使用でき、同時保護は、典型的には、塩基および溶媒の存在下に行われる。この工程で使用しうる適切な塩基および溶媒は、先に詳しく記載されている。
段階1における7,10-保護10-DAB誘導体(12)の生成後に、10-DAB誘導体(12)をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理し、誘導体化して、パクリタキセルを生成する。示されているように、2種類のβ-ラクタム側鎖先駆物質を使用して誘導体(28)を生成でき、次に、該誘導体を種々の経路によってさらに誘導体化して、パクリタキセルを生成しうる。
段階2に示す誘導体(28)の生成の1つの経路によれば、10-DAB誘導体(12)を、(±)シスまたは光学活性3R,4S(+)シス-βラクタム(300T)(即ち、N-t-Boc-3-保護ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)で処理して、反応式4に関して先に記載したように10-DAB誘導体(19)を生成する。側鎖を結合させて誘導体(19)を生成した後に、ベンゾイル基を側鎖の3’窒素に導入して、誘導体(28)を生成する。
段階2Aに示す選択的経路によれば、10-DAB誘導体(12)を、(±)シスまたは光学活性3R,4S(+)シス-βラクタム(300B)(即ち、N-ベンゾイル-3-保護ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)で処理して、10-DAB誘導体(27)を生成する。側鎖を結合させて誘導体(27)を生成した後に、例えば、極性非プロトン溶媒(例えば、酢酸エチル、テトラヒドロフラン(THF)またはジメチルホルムアミド(DMF))の存在下にジ-tert-ブチルジカーボネート(即ち、Boc2O)を使用して、tert-ブトキシカルボニル基を側鎖の3’窒素基に導入して、誘導体(28)を生成する。
これら2つの経路(即ち、(12)→(19)→(28)または(12)→(27)→(28))のいずれかによる誘導体(28)の生成後に、誘導体(28)を、前記の2つの経路のいずれかによってパクリタキセルに変換することができる。例えば、1つの経路において、誘導体(28)を塩基の存在下にアルコールまたはアルコールの混合物で処理して、C(10)位置において架橋珪素に基づく保護基を選択的に開き、7-保護誘導体(29)を生成する。C(10)脱保護の後に、段階5においてアセチル化剤(例えば塩化アセチル)で処理して10-アセチル誘導体(30)を生成し、次に、段階6において加水分解剤で処理して、種々の保護基(即ち、C(7)ヒドロキシ位置における-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-O(R10A)-基、および3’窒素位置におけるtert-ブトキシカルボニル基)を除去して、パクリタキセルを生成する。
第二の経路において、誘導体(28)を段階4Aにおいて塩基(例えば、炭酸ナトリウム(Na2CO3))で処理して、架橋珪素に基づく保護基を完全に除去して、誘導体(31)を生成し、次に、段階5Aにおいて、ルイス酸(例えばCeCl3)の存在下にアセチル化剤(例えば無水酢酸)でC(10)位置を選択的にアセチル化して、10-アセチル誘導体(32)を生成する。選択的アセチル化した後に、段階6Aにおいて、3’窒素上のtert-ブトキシカルボニル基を加水分解剤で脱保護して、パクリタキセル(18)を生成する。
略語および定義:
下記の定義および方法は、本発明をよりよく規定し、本発明の実施において当業者を導くために記載する。他に記載しないかぎり、用語は、当業者による一般的使用に従って理解されるものとする。
本明細書に記載される用語「炭化水素」および「ヒドロカルビル」は、元素炭素および水素のみから成る有機化合物または基を意味する。これらの基は、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール基を包含する。これらの基は、他の脂肪族または環状炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール基、例えば、アルカリール、アルケナリールおよびアルキナリールも包含する。他に規定しない限り、これらの基は、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する。
本明細書に記載される「置換ヒドロカルビル」基は、少なくとも1個の炭素以外の原子で置換されたヒドロカルビル基であり、炭素鎖原子が、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、珪素、燐、硼素、硫黄またはハロゲン原子で置換された基を包含する。これらの置換基は、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル、エーテルおよびチオエーテルを包含する。
用語「ヘテロ原子」は、炭素および水素以外の原子を意味する。
本明細書に記載される「ヘテロ置換メチル」基は、炭素原子が少なくとも1個のヘテロ原子および任意に水素に共有結合したメチル基であり、ヘテロ原子は、例えば、窒素、酸素、珪素、燐、硼素、硫黄またはハロゲン原子である。次に、ヘテロ原子が他の原子で置換されて、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、オキシ、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、チオール、ケタール、アセタール、エステルまたはエーテル基を形成しうる。
本明細書に記載される「ヘテロ置換アセテート」基は、メチル基の炭素が、少なくとも1個のヘテロ原子および任意に水素に共有結合したアセテート基であり、ヘテロ原子は、例えば、窒素、酸素、珪素、燐、硼素、硫黄またはハロゲン原子である。次に、ヘテロ原子が他の原子で置換されて、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、オキシ、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、チオール、ケタール、アセタール、エステルまたはエーテル基を形成しうる。
他に指定しなければ、本明細書に記載されるアルキル基は、主鎖に1〜8個の炭素原子、および20個までの炭素原子を含有する低級アルキルであるのが好ましい。それらは、直鎖または分岐鎖または環状であってよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、へキシルなどを包含する。
他に指定しなければ、本明細書に記載されるアルケニル基は、主鎖に2〜8個の炭素原子、および20個までの炭素原子を含有する低級アルケニルであるのが好ましい。それらは、直鎖または分岐鎖または環状であってよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、へキセニルなどを包含する。
他に指定しなければ、本明細書に記載されるアルキニル基は、主鎖に2〜8個の炭素原子、および20個までの炭素原子を含有する低級アルキニルであるのが好ましい。それらは、直鎖または分岐鎖または環状であってよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、へキシニルなどを包含する。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「アリール」または「アル(ar)」は、任意に置換された単素環式芳香族基、好ましくは環部分に6〜12個の炭素を有する単環式または二環式基、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニルまたは置換ナフチルを意味する。フェニルおよび置換フェニルがより好ましいアリールである。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「ハライド」、「ハロゲン」または「ハロ」は、塩素、臭素、弗素および沃素を意味する。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「ヘテロシクロ」または「複素環式」は、任意に置換され、完全に飽和されているかまたは不飽和の、単環式または二環式、芳香族または非芳香族基であって、少なくとも1個の環に少なくとも1個のヘテロ原子を有し、各環に好ましくは5または6個の原子を有する基を意味する。ヘテロシクロ基は、1または2個の酸素原子、1または2個の硫黄原子、および/または1〜4個の窒素原子を環に有するのが好ましく、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りに結合しうる。例示的なへテロシクロは、複素環式芳香族、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニルなどである。例示的な置換基は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルの1つまたはそれ以上である。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「複素環式芳香族」(または複素芳香環)は、少なくとも1個の環に少なくとも1個のヘテロ原子を有し、各環に好ましくは5または6個の原子を有する任意に置換された芳香族基を意味する。複素環式芳香族基は、1または2個の酸素原子、1または2個の硫黄原子、および/または1〜4個の窒素原子を環に有するのが好ましく、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りに結合しうる。例示的な複素環式芳香族、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニルなどである。例示的な置換基は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルの1つまたはそれ以上である。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「アシル」は、有機カルボン酸の-COOH基からヒドロキシ基を除去することによって生成される基、例えばRC(O)-を意味し、ここで、Rは、R1、R1O-、R1R2N-またはR1S-であり、R1は、ヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、R2は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「アシルオキシ」は、酸素結合(-O-)を介して結合した前記のアシル基、例えばRC(O)O-を意味し、ここで、Rは用語「アシル」に関して定義したとおりである。
他に指定しないかぎり、本明細書に記載されるアルコキシカルボニルオキシ基は、低級炭化水素または置換炭化水素または置換炭化水素基を含んで成る。
他に指定しないかぎり、本明細書に記載されるカルバモイルオキシ基は、カルバミン酸の誘導体であり、それにおいて、1個または両方のアミン水素が、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロ基によって任意に置換されている。
本明細書において使用される用語「ヒドロキシ保護基」は、遊離ヒドロキシ基を保護することができる基を意味し(「保護ヒドロキシ」)、該基は、保護の対象となる反応の後に、分子の残りを妨害せずに除去しうる。ヒドロキシ保護基の例は、次のような基である:エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、ベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、β-メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2-メトキシ-2-プロピル(MOP)、2-トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、ベンゾエート(Bz)、アリルカーボネート、2,2,2-トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2-トリメチルシリルエチルカーボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS))など。ヒドロキシ基の種々の保護基、およびそれらの合成は、「Protective Gropus in Organic Synthesis」, T.W. GreeneおよびP.G.M Wuts, John Wiley & Sons, 1999に見出される。
本明細書において使用される「10-DAB」は、10-デアセチルバッカチンIIIを意味し;「Ac」は、アセチル(即ち、CH3C(O)-)を意味し;「ACN」は、アセトニトリルを意味し;「Bz」は、ベンゾイル(即ち、C6H5C(O)-)を意味し;「BzCl」は、塩化ベンゾイルを意味し;「Cbz」は、カルボベンジルオキシを意味し;「DMAP」は、N,N-4-ジメチルアミノピリジンを意味し;「EtOAc」は酢酸エチルを意味し;「LHMDS」は、リチウムヘキサメチルジシラジドを意味し;「NaHMDS」は、ナトリウムヘキサメチルジシラジドを意味し;「Ph」はフェニルを意味し;「t-Boc」は、tert-ブトキシカルボニルを意味し;「TEA」は、トリエチルアミンを意味し;「THF」は、テトラヒドロフランを意味し;「TMSCl」は、トリメチルシリルクロリドを意味し;「TsOH」は、p-トルエンスルホン酸を意味する。
本明細書において使用される用語「タキサン」は、A、BおよびC環を有する化合物を意味する(環位置の番号を下記に示す):
Figure 2008543763
以下の実施例により、本発明を説明する。
実施例1:トリメチルシリル2-(トリメチルシリルオキシ)アセテートの製造
Figure 2008543763
トリメチルシリル2-(トリメチルシリルオキシ)アセテートは、多くの供給業者から入手可能である。しかし、それは、2当量のピリジンの存在下に、低価格のグリコール酸(75ドル($)/Kg、Aldrichより)およびトリメチルシリルクロリド(80ドル/Kg、Aldrichより)から容易に生成できる。典型的には、グリコール酸(76.05g、1mol)を、乾燥ピリジン(164mL、2mol)に溶解し、次に、混合物を氷水浴中で攪拌しながら0〜5℃に冷却した。純トリメチルシリルクロリド(108.64g、1mol)を滴下して、発熱を40℃未満に調節した。塩化ピリジニウムが易流動性固形物として沈殿した。ヘプタン(500mL)を添加して、攪拌を補助した。第二当量の純トリメチルシリルクロリドを添加し、反応が終了するまで混合物を周囲温度22〜40℃で30分間攪拌した。混合物をヘプタン(1L)でさらに希釈し、塩を沈殿させた。ヘプタン層を、中孔質インラインフィルターを経て回転蒸発器に吸い入れ、濃縮して、トリメチルシリル2-(トリメチルシリルオキシ)アセテートの透明油状物(215g、0.98mol)を得た。それを回転蒸発器において70〜75℃で、6〜8mmHgの真空下に蒸留した。
実施例1A
Figure 2008543763
Hartら(Chem. Rev. 1989, 89, 1447-1465)によって報告されているリチウムエノラート(トリメチルシリル(トリメチルシリルオキシ)アセテートをリチウムヘキサメチルジシラジドで処理することによって生成)と、トリメチルシリルベンズアルジミン(アルデヒド(下記の1a-f)およびリチウムヘキサメチルジシラジドからインサイチュで生成)との反応を試験した場合、エノラートの分解が、0〜5℃におけるそれとイミンとの反応より速く生じた。この問題は、エノラートの反応の温度を-25℃に下げ、過剰量(例えば2当量)のエノラートを使用することによって解決された。
従って、ベンズアルデヒド(5.3g、0.05mol)を、0℃で、THF中のLHMDSの1.0M溶液(150mL、0.15mol)に添加し、混合物を30分間攪拌し、次に、-30〜-25℃に冷却した。反応温度が-30℃になると、THF中のトリメチルシリル2-(トリメチルシロキシ)アセテートエステル(22.0g、0.1mol、2当量)の1M溶液を滴下して、発熱を調節し、反応温度を-25℃未満に維持した。混合物をこの温度で1時間攪拌し、次に、-5〜0℃に温めた。混合物をこの温度で18時間攪拌した。混合物を炭酸水素ナトリウム飽和溶液(100mL)で鎮め、1-ブタノール(500mL)で抽出した。1-ブタノールを真空蒸発させ、残渣を、メタノール(75mL)および炭酸ナトリウム(0.5g、0.005mol)に周囲温度にて約1時間で取った。次に、反応混合物を、酢酸(0.6g、0.010mol)、トリエチルアミン(2g、0.02mol)で鎮め、酢酸エチル100mLで希釈した。混合物をシリカゲル(50g)のパッドで濾過し、結晶が形成されるまで、濾液を回転蒸発器において40℃で濃縮した。混合物を0℃の氷浴で30分間冷却し、結晶を真空濾過によって収集し、冷酢酸エチルで洗浄し、4.13g(収率50%)の恒量になるまで乾燥し、白色粉末を得た。
実施例2:3-ヒドロキシ-4-置換-アゼチジン-2-オンの製造
THF中のLHMDSの1M溶液(100mL、0.1mol)を0℃に冷却し、実施例1のように調製したTHF中のトリメチルシリル2-(トリメチルシリルオキシ)アセテート(22.0g、0.1mol)の1M溶液を滴下して、発熱を調節し、温度を0℃〜5℃に維持した。この溶液に、1当量のトリメチルシリルクロリドを添加し、次に、1当量のLHMDSおよび1当量のベンズアルデヒドを攪拌しながら0〜15℃で14時間にわたって添加した。3-トリメチルシリルオキシ-β-ラクタム生成物が、5:1のシス:トランス比において定量的収量で観察された(反応混合物のHNMRによる)。この方法は下記の式6に示されている。
Figure 2008543763
シリルエーテルのメタノリシスは、触媒量の炭酸ナトリウムを使用して、周囲温度において15分間で容易に行われ、所望の生成物シス-ヒドロキシ-4-置換-β-ラクタムが、酢酸エチルからの濃縮後に48%の単離収率で晶出した。
実施例3:3-ヒドロキシ-4-チエニル-アゼチジン-2-オンの製造
典型には、リチウムヘキサメチルジシラジドの1.0M THF溶液(140mL、0.14mol)を窒素下に、THF(140mL)で希釈し、氷水浴で0〜5℃に冷却した。トリメチルシリル2-(トリメチルシリルオキシ)アセテート(33.4g、0.14mol)を20分間にわたって滴下した。このエノラート溶液に、トリメチルシリルクロリド(17.7mL、0.14mol)を添加し、5分間攪拌した後、第二部分のTHF中のLHMDS溶液(100mL、0.10mol)を10分間にわたって添加した。この溶液に2-チオフェンカルボキシアルデヒド(11.2g、0.1mol)を15〜20分間にわたって滴下して、発熱を5℃未満に調節した。この溶液を0〜5℃で14時間攪拌して、イミンを完全に消失させた。
反応物を氷酢酸(6g、0.10mol)で中和し、酢酸エチル(400mL)で希釈し、2Lの分液漏斗に移した。混合物を、水(100mL)および塩水(100mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルのパッドで濾過し、濃縮して、黄色固形物を得た。固形物をメタノール(300mL)および固体Na2CO3(1.0g)に取り、混合物を周囲温度で15分間攪拌した。2:1の酢酸エチル:ヘキサンで溶離するTLCモニタは、非極性TMS-エーテル(Rf=0.7)から極性生成物(Rf=0.25)への完全な変換を示した。反応を氷酢酸(0.6mL)で鎮め、混合物を濃縮して、固形物を得た。固形物を熱い酢酸エチル(500mL)に溶解し、不溶性塩をシリカゲルのパッドでの濾過によって除去した。濾液を40℃で回転蒸発下に約40mLの量に濃縮して、結晶形成を誘発した。混合物を周囲温度に冷却し、結晶(8.13g、0.048mol、収率48%)を白色粉末として収集した。さらに、実施例4に記載されるように、反応を炭酸水素ナトリウムで鎮め、1-ブタノールおよび酢酸エチルで抽出する場合に、工程をワンポット操作で好都合に行った。
実施例4:種々のアゼチジン-2-オンの製造
ケテンアセタールトリス(トリメチルシリルオキシ)エテンは、市販製品であり、下記の反応式7に示されているように、種々のアルデヒドから出発するβ-ラクタムの合成に使用することができる。従って、ベンズアルデヒドをリチウムヘキサメチルジシラジドのTHF溶液で0℃において処理した場合、N-トリメチルシリルベンズアルジミンが、当量のリチウムトリメチルシラノレートと共に同時に生成した。この混合物をケテンアセタールと共に10〜15℃で14時間攪拌して、反応式7における反応と同様にβ-ラクタムを生成した。このケテンアセタール反応は、我々が試験した種々の芳香族およびエノール化可能脂肪族化合物に一般的であることが見出され(表2参照)、あらゆる場合に、主にシス-β-ラクタムを生成した。
Figure 2008543763
Figure 2008543763
反応条件を最適化するために、ケテンアセタールを添加する前に、0.8当量のトリメチルシリルクロリドを添加した。この変更によって、生成物β-ラクタムaの単離収率が66%に増加した(式8)。従って、容易に入手できるベンズアルデヒドおよびトリス(トリメチルシリルオキシ)エテンで開始する単一操作において、我々は、タキサン合成の重要な中間体であるβ-ラクタムaを高純度で得た。
Figure 2008543763
1つの実験において、THF中のLHMDSの0.5M溶液を、-10〜0℃に冷却し、次に、1.0当量のベンズアルデヒドを15分間にわたって添加して、発熱性イミン反応温度を15℃未満に調節した。反応温度が-10〜-5℃になったら、純トリス(トリメチルシリル)エテン(1.2当量)を添加した。混合物をこの温度で14時間攪拌した。反応の終了を、イミンの消失に関するHNMRによってモニタした。終了した時点で、トリメチルシリルクロリド(1当量)を添加して、リチウムトリメチルシラノレートを揮発性ヘキサメチルジシロキサンに変換した。反応混合物の1/10の量の水で、反応物を2回洗浄して、塩化リチウム塩を除去した。THF溶液に触媒量の1.0M HClを添加し、2時間攪拌して、TLC分析(EtOAc:ヘプタン、3:1)によってモニタされる中間体(Rf=0.8)の完全脱シリル化を行って、生成物(Rf=0.2)を得た。反応物中の塩酸をトリエチルアミンで鎮め、混合物をシリカゲルのパッドで濾過し、次に、回転蒸発下にTHFを酢酸エチルと交換した。結晶を白色固形物として収集し、冷酢酸エチルで洗浄した。β-ラクタムa: 融点140〜145℃;1H NMR(400MHz、CDCl3)(ppm):2.26(d, J=9.4Hz, 1H), 4.96(d, J=4.96Hz, 1H), 5.12(m, 1H), 4.15(bm, 1H), 7.41(m, 5H)
別の試験において、ベンズアルデヒドをLHMDSの1.0M THF溶液(100mL、0.1mol)に0℃で添加し、混合物を15分間攪拌し、次に、TMSCl(10mL、0.08mol)を添加した。この溶液に、トリス(トリメチルシリルオキシ)エチレン(40mL、0.12mol)を添加し、混合物を-10〜-5℃で24時間攪拌した。混合物を周囲温度に2時間温め、炭酸水素ナトリウム飽和溶液(25mL)で鎮め、周囲温度で30分間攪拌し、相を分離した。水性相を1-ブタノール(200mL)で逆抽出し、有機相を合わせ、塩水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルのパッドで濾過し、濃縮して、固形物を得た。固形物を熱い酢酸エチル(800mL)に取り、不溶性固形物をシリカゲルのパッドでの濾過によって除去した。濾液を40℃で回転蒸発下に約15mLの量に濃縮して、結晶形成を誘発した。混合物を周囲温度に冷却し、結晶(10.73g、0.025mL、収率66%)を白色粉末として収集した。β-ラクタムa:融点140〜145℃;1H NMR(400MHz、CDCl3)(ppm):2.26(d, J=9.4Hz, 1H), 4.96(d, J=4.96Hz, 1H), 5.12(m, 1H), 4.15(bm, 1H), 7.41(m, 5H)
実施例5:トリメチルシリル2-(トリメチルシロキシ)アセテート
Figure 2008543763
グリコール酸(91.2g、2.4mol)を、窒素下の機械攪拌および還流冷却器によって、ピリジン(194g、2.45mol)およびアセトニトリル(600mL)に溶解した。トリメチルシリルクロリド(TMSCl、260g、2.4mol)を、添加漏斗から30分間にわたって添加した。混合物を30分間攪拌し、ヘキサン(250mL)を添加し、相を分離した。底相に2回目のヘキサン(100mL)を添加し、5分間激しく攪拌した。次に、相を分離し、ヘキサン相を合わせ、30℃で回転蒸発下に濃縮して、240g(収率91%)の既知のアセテートを得た。
実施例6:トリス(トリメチルシロキシ)エタン
Figure 2008543763
LHMDSの0.5M THF溶液(200mL、0.1mol)に、0℃で、トリメチルシリル-2-(トリメチルシロキシ)アセテート(23.9mL、0.1mol)を15分間にわたって滴下し、混合物をこの温度でさらに15分間攪拌して、リチウムエノラートを生成した。トリメチルシリルクロリド(12.5mL、0.1mol)を15分間にわたって添加して、エノラートをトリス(トリメチルシロキシ)エテン生成物として捕捉した。混合物を周囲温度に温め、THF溶媒を40℃で真空回転蒸発によって除去して、塩化リチウムを沈殿させた。混合物をヘキサン300mLおよびトリエチルアミン5mLに取り、5分間攪拌し、塩を沈降させた。上澄みを珪藻土のパッドで2回濾過して、透明溶液を得た。溶液を回転蒸発下に濃縮して、淡黄色油状物を得た。溶液を回転蒸発下に濃縮して、市販製品と同じ淡黄色油状物を得た。沸点:1mmHgにおいて90℃
実施例7:N-トリメチルシリル-3-トリメチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
以前に報告されていないN-トリメチルシリルβ-ラクタムをトリメチルシリル-2-トリメチルシロキシ-アセテートから合成するワンポット法は、低温冷却を必要としない有効な経済的方法であることが分かった。発熱反応温度を30℃未満に調節する速度で、乾燥1,2-ジメトキシエタン(505mL)中のヘキサメチルジシラザン(390g、2.42mol)の磁気攪拌溶液に、窒素下に循環冷却機を使用して0℃で、n-ブチルリチウムの2.5M溶液(840mL、2.1mol)を添加して(45分間)、必要とされるLHMDS塩基をインサイチュで生成した。LHMDS溶液温度が10℃未満に達した時に、TMSCl(119.5g、1.1mol)とトリメチルシリル-2-(トリメチルシロキシ)アセテート(240g、1.1mol)との正味混合物を15分間にわたって添加して、トリス(トリメチルシロキシ)エテンをインサイチュで得た。次に、発熱反応温度を25℃未満に調節する速度で、純ベンズアルデヒド(106.12g、1.0mol)を添加して、N-トリメチルシリル-ベンズアルジミンをインサイチュで得た。5.4ppm(CDCl3)におけるケテンアセタール共鳴の消失が12時間の反応時間で生じたことが1HNMRモニタにより示されるまで、混合物を周囲温度(22℃)で反応させた。発熱反応温度を22℃未満に維持しながら、反応混合物を、トリメチルクロロシラン(TMSCl、108.64g、1.0mol)、トリエチルアミン(25.3g、0.25mol)、次に、酢酸(6.0g、0.1mol)で鎮めた。混合物をヘキサン(500mL)で希釈し、得られた塩化リチウム塩を、セライト(200g)のパッドでの濾過によって除去し、次に、フィルターケーキをヘキサン(250mL)で洗浄した。濾液を回転真空蒸発下に濃縮して残渣を得た。残渣をヘキサン(500mL)に取り、-25℃で静置して、結晶形成を誘発した。白色結晶を真空濾過によって収集し、-20℃の冷ヘキサン(200mL)で洗浄し、152gの恒量になるまで乾燥した。濾液を濃縮して残渣を得、ヘキサン(200mL)に取り、前記のように再結晶して、第二収集物32gを得た。HNMR分析によって純粋なシス-N-トリメチルシリル-3-トリメチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンであることを確認した後に、収集物を合わせた(184g、収率60%)。融点:53〜55℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):0.11(s, 9H), 0.14(s, 9H), 4.63(d, J=5.01Hz, 1H), 5.06(d, J=5.01Hz, 1H), 7.31(m, 5H)
実施例8:シス-3-トリメチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
ヘキサン(600mL)中のN-トリメチルシリル-3-トリメチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(140g、0.46mol)の溶液に、周囲温度で、トリエチルアミン(101g、1mol)、メタノール(22g、0.7mol)を添加し、混合物を15分間攪拌して、N-脱シリル化生成物の結晶を形成した。混合物を0℃に15分間冷却し、白色結晶を真空濾過によって収集し、冷ヘキサンで洗浄し、94g(収率87%)の恒量になるまで乾燥した。融点:118〜120℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):-0.08(s, 9H), 4.79(d, J=4.4Hz, 1H), 5.09(dd、J=4.4, 2.7Hz, 1H), 6.16(bm, 1H), 7.3〜7.4(m, 5H)
実施例9:シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
メタノール(500mL)中のN-トリメチルシリル-3-トリメチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(150g、0.49mol)の不均質溶液に、触媒量のトリメチルクロロシラン(1.08g、1mmol)を添加し、混合物を周囲温度で攪拌して、透明溶液を得た。反応の薄層クロマトグラフィー(TLC)モニタ(酢酸エチルおよびヘキサン(3:1)で溶離)は、15分後に完全な変換が行われたことを示した。反応混合物をトリエチルアミン(10.1g、0.1mol)で鎮め、結晶が形成されるまでメタノールを40℃で回転蒸発下に除去した。酢酸エチル(300mL)を添加し、蒸発を継続して、残留メタノールを除去して、濃厚スラリーを得、次に、0〜5℃で20分間冷却した。白色結晶を真空濾過によって収集し、次に、0℃の冷酢酸エチル(75mL)で洗浄し、前記の所望生成物の恒量75g(収率94%)に乾燥した。
実施例10:1-(トリエチルシリルオキシ)-1,2-ビス(トリメチルシリルオキシ)エタン
Figure 2008543763
THF(100mL)中のジイソプロピルアミン(15.5mL、0.11mol)の溶液に、-78℃で、n-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(70mL、0.11mol)を15分間にわたって添加した。この温度でさらに15分間攪拌した後、トリエチルシリルクロリド(16.7mL、0.1mol)を10分間にわたって添加し、次に、トリメチルシリル-2-(トリメチルシロキシ)アセテート(24.4mL、0.1mol)を30分間にわたって添加した。反応物を-78℃で30分間攪拌し、低温浴を除去することによって周囲温度に温めた。THF溶媒を40℃で真空回転蒸発によって除去して、塩化リチウムを沈殿させた。混合物をヘキサン300mLおよびトリエチルアミン5mLに取り、5分間攪拌し、塩を沈降させた。上澄みを珪藻土のパッドで2回濾過して、透明溶液を得た。溶液を回転蒸発下に濃縮して、淡黄色油状物を、幾何異性体の混合物(4:1)として得た。
実施例11:トリエチルシリル-2-(トリエチルシリルオキシ)アセテート
Figure 2008543763
グリコール酸(76.05g、1mol)を、乾燥ピリジン(164mL、2mol)に溶解し、混合物を攪拌しながら氷水浴で冷却した。純トリエチルシリルクロリド(115g、1mol)を滴下して、発熱を40℃未満に調節した。塩化ピリジニウムが易流動性固形物として沈殿した。ヘプタン(500mL)を添加して、攪拌を補助した。第二当量の純トリエチルシリルクロリドを添加し、反応が終了するまで混合物を周囲温度(22〜40℃)で30分間攪拌した。混合物をヘプタン(1L)でさらに希釈し、塩を沈殿させた。ヘプタン層を、中孔質インラインフィルターを経て回転蒸発器に吸い入れ、濃縮して、トリエチルシリル-2-(トリエチルシリルオキシ)アセテートエステルの透明油状物(215g、0.98mol)を得た。油状物を真空蒸留によってさらに精製した。沸点:128〜130℃、1.5mmHg
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):0.64(q, J=8.04Hz, 6H), 0.78(q, J=8.04, 6H), 0.97 (t, J=8.04, 2x9H), 4.2(s, 2H)
実施例12:トリス(トリエチルシロキシ)エタン
Figure 2008543763
エステルを、0.5M THF(200mL、0.1mol)溶液に15分間にわたって添加し、混合物をこの温度でさらに15分間攪拌して、リチウムエノラートを生成した。トリエチルシリルクロリド(16.7mL、0.1mol)を15分間にわたって添加して、エノラートをトリス(トリエチルシロキシ)エテン生成物として捕捉した。混合物を周囲温度に温め、THF溶媒を40℃で真空回転蒸発によって除去して、塩化リチウムを沈殿させた。混合物をヘキサン300mLおよびトリエチルアミン5mLに取り、5分間攪拌し、その間に塩を沈降させた。上澄みを珪藻土のパッドで2回濾過して、透明溶液を得た。溶液を回転蒸発下に濃縮して、淡黄色油状物を得た。
実施例13:1,2-ビス(トリエチルシリルオキシ)-1-(トリメチルシリルオキシ)エテン
Figure 2008543763
THF(100mL)中のジイソプロピルアミン(15.5mL、0.11mol)の溶液に、-78℃で、n-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(70mL、0.11mol)を15分間にわたって添加した。この温度でさらに15分間攪拌した後、トリエチルシリルクロリド(16.7mL、0.1mol)を10分間にわたって添加し、次に、トリエチルシリル-2-(トリエチルシロキシ)アセテート(37.6g、0.1mol)を30分間にわたって添加した。反応物を-78℃で30分間攪拌し、低温浴を除去することによって周囲温度に温め、THF溶媒を40℃で真空回転蒸発によって除去して、塩化リチウムを沈殿させた。混合物をヘキサン300mLおよびトリエチルアミン5mLに取り、5分間攪拌し、塩を沈降させた。上澄みを珪藻土のパッドで2回濾過して、透明溶液を得た。溶液を回転蒸発下に濃縮して、淡黄色油状物を幾何異性体の1:1混合物として得た。
実施例14:シス-3-トリエチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
発熱反応温度を30℃未満に調節する速度で、乾燥1,2-ジメトキシエタン(50mL)中のヘキサメチルジシラザン(39g、0.242mol)の磁気攪拌溶液に、窒素下に循環冷却機を使用して0℃で、n-ブチルリチウムの2.5M溶液(84.0mL、0.21mol)を添加して(15分間)、必要とされるLHMDS塩基をインサイチュで生成した。LHMDS溶液温度が-30℃未満に達した時に、TMSCl(12g、0.11mol)の正味溶液を添加し、トリエチルシリル-2-(トリエチルシロキシ)アセテート(33.5g、0.11mol)を15分間にわたって添加して、1,2-ビス(トリエチルシリルオキシ)-1-(トリメチルシリルオキシ)エテンを、幾何異性体の混合物(6:1)としてインサイチュで得た。次に、発熱反応温度を-25℃未満に調節する速度で、純ベンズアルデヒド(10.6g、0.10mol)を添加して、N-トリメチルシリル−ベンズアルジミンをインサイチュで得た。ヘキサン溶媒を真空除去し、5.43ppm(CDCl3)におけるケテンアセタール共鳴の消失が14時間の反応時間後に生じたことが1HNMRモニタにより示されるまで、混合物を周囲温度(22℃)で反応させた。発熱反応温度を22℃未満に維持しながら、反応混合物を、トリメチルクロロシラン(TMSCl、10.8g、1.0mol)、トリエチルアミン(2.53g、0.025mol)および酢酸(0.60g、0.01mol)で鎮めた。混合物をヘキサン(50mL)で希釈し、得られた塩化リチウム塩を、セライト(20g)のパッドでの濾過によって除去し、次に、フィルターケーキをヘキサン(25mL)で洗浄した。濾液を回転真空蒸発下に濃縮して残渣を得た。残渣を、ヘキサン(50mL)、トリエチルアミン(5mL)およびメタノールに周囲温度で取り、15分間攪拌した。混合物のTLC分析(酢酸エチル:ヘキサン(2:1)で溶離)は、10分間の反応時間後に所望生成物(Rf=0.45)への完全な変換を示した。次に、混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、シリカゲル(25g)のパッドで濾過し、結晶が形成されるまで濃縮した。結晶を真空濾過によって収集し、ヘキサンで洗浄し、7.68gの恒量の白色易流動性粉末に乾燥した。周囲温度で2時間静置した後に、濾液から第二収集物2.8gを得た。合わせた収率は38%であった。融点:98〜100℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):0.44(m, 6H), 0.78(t, J=8.0Hz, 9H), 4.80(d, J=4.80, 1H), 5.08(dd, 4.80, 2.80, 2H), 6.18(bs, 1H), 7.28〜7.38(m, 5H)
実施例15:シス-N-t-ブトキシカルボニル-3-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
ラセミシス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(100g、0.61mol)を、THF(2.7L)に、周囲温度において約25mL/gで溶解し、次に、-10〜-15℃に冷却した。TsOH一水和物触媒(3.5g、0.018mol、3mol%)を添加し、次に、2-メトキシ-2-プロペン(65mL、1.1〜1.2当量)を滴下して、発熱反応を調節した。反応をTLCによってモニタし、2-メトキシ-2-プロペン(2.9mL)を、出発物質が消失するまで必要に応じて添加した。トリエチルアミン(85mL、0.612mol)を添加して、TsOH触媒を鎮めた。ジ-tert-ブチルジカーボネート(160.5g、0.735mol、1.2当量)をDMAP(2.25g、0.018mol、3mol%)と共に添加し、反応を、周囲温度で、終了するまで進めた。混合物を、使用したTHFとほぼ同量のヘプタン(1.97L)で希釈し、シリカゲル(100g)床で濾過して、極性触媒を除去した。フィルターケーキを酢酸エチル:ヘプタンの1:1混合物1Lで洗浄して、完全な生成物回収を確実にした。結晶形成が生じるまで濾液を濃縮した。結晶を収集し、2%トリエチルアミンを含有する氷冷ヘプタンで洗浄した。粉末を、真空下に(0.1mmHg)、周囲温度(22℃)で161.0g(0.48mol、78%)の恒量になるまで乾燥した。融点:90〜92℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):0.92(s, 3H), 1.21(s,3H), 1.37(s, 9H), 1.58(s, 3H), 3.12(s, 3H), 5.03(d, J=5.69Hz, 1H), 5.17(d, J=5.69Hz, 1H), 7.33(m, 5H)
実施例16:ラセミシス-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
無水ジメトキシエタン(200mL)中のヘキサメチルジシラザン(HMDS、460mL、2.2mol)の溶液に、0℃で、n-ブチルリチウムの2.5M溶液(nBuLi、800mL、2.0mol)を45分間にわたって添加して、反応温度を40℃未満に維持した。添加後に、ベンズアルデヒドを反応混合物に1時間にわたって添加して、反応温度を40℃未満に維持した。添加後に、混合物を0℃に冷却し、トリス(トリメチルシロキシ)エタン(643g、2.2mol)を添加し、混合物を、反応が終了するまで(12時間)攪拌し、反応の終了は、エテン出発物質の消失によって確認した。反応混合物を、トリメチルシリルクロリド(TMSCl、217.28g、1.0当量)、トリエチルアミン(50mL)および酢酸(20mL)で鎮め、酢酸エチル(1.0L)で希釈した。リチウム塩を、焼結漏斗での濾過によって除去した。濾液を濃縮乾固した。固形物をヘプタン(1.0L)に取り、メタノール(96g、1.5当量)で20〜40℃において処理して、生成物の結晶を得た。固体生成物をブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、ヘプタン中15%の冷酢酸エチルで洗浄した。固形物を酢酸エチル(1.5L)に取り、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム(200g)で乾燥し、濃縮して、白色粉末を得た。融点:118〜120℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):-0.08(s, 9H), 4.79(d, J=4.4Hz, 1H), 5.09(dd, J=4.4、2.7Hz, 1H), 6.16(bm, 1H)、7.3〜7.4(m,5H)
実施例17:ラセミシス-N-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
ラセミシス-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(11.5g、48.9mmol)を、テトラヒドロフラン(THF、250mL)に、周囲温度で窒素下に溶解し、ジ-tert-ブチルジカーボネートをN,N-4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、0.185g、1.5mmol)と共に添加し、混合物を、ガスの発生が止むまで磁気攪拌した。混合物をシリカゲル(10g)床で濾過し、回転蒸発器で濃縮して、白色固体生成物を得た。生成物を冷ヘプタン(50mL)で洗浄し、真空濾過によって収集し、周囲温度で真空下に(0.2mmHg)、12.3g(収率75%)の恒量になるまで乾燥した。融点:75〜77℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):-0.07(s, 9H), 1.38(s, 9H), 5.01(d, J=5.6Hz, 1H), 5.06(d, J=5.6Hz, 1H), 7.26〜7.38(m, 5H)
実施例18:ラセミ(±)-シス-N-t-ブトキシカルボニル-3-ジフェニルメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
THF(70mL)中のラセミ(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(4.5g、27.8mmol)の溶液に、窒素下に、トリエチルアミン(8.4g、83.4mmol)、DMAP(100mg、0.83mmol)を添加し、0℃に冷却した。ジフェニルメチルシリルクロリド(7.1g、30.6mmol)を滴下し、TLC(酢酸エチルとヘキサンとの3:1混合物で溶離)によって示される出発物質の完全消失まで、混合物を0℃で30分間攪拌した。ジ-tert-ブチルジカーボネート(Boc2O、6.68g、30.6mmol)を添加し、混合物を周囲温度で3時間攪拌して、TLC(3:1 酢酸エチル:ヘプタン)によって示される所望生成物への完全な変換を得た。混合物をヘプタン(150mL)で希釈し、シリカゲル(20g)で濾過し、濾液を濃縮して固形物を得た。固形物をヘプタン(150mL)から再結晶して、白色粉末(9.5g、74%)を得た。融点:98℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):0.46(s, 3H), 1.39(s, 9H), 4.94(d, J=5.5Hz, 1H), 5.04(d, J=5.5Hz, 1H), 7.2〜7.4(m 15H)
実施例19:(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-(2-フリル)-アゼチジン-2-オンの分離
(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-(2-フリル)-アゼチジン-2-オン(500g、3.265mol)を、0.5当量のp-トルエンスルホニルクロリド(335.53g、1.76mol)および1-メチルイミダゾール(303.45g、3.7mol)の存在下に、-78℃で12時間にわたってN-t-Boc-L-プロリン(378.83g、1.76mol)で処理した。混合物をシリカゲル5kgで濾過した。t-Boc-L-プロリンエステルの望ましくない(-)-β-ラクタムエナンチオマーを、水でのトリチュレーションによって除去した。2-メチル-1-プロパノールを用いた水の共沸除去によって所望のエナンオマーを回収し、酢酸エチルから再結晶して、所望の(+)-シス-3-ヒドロキシ-4-(2-フリル)-アゼチジン-2-オンを得た。酢酸エチルからの再結晶後の光学純度は98%超であった。融点:133〜135℃。[α]20D=+109.5(MeOH, c=1.0)、1H NMR(400MHz、CDCl3)(ppm):2.69(bs, 1H), 4.91(d, J=4.96Hz, 1H), 5.12(bs, 1H), 6.10(bs, 1H), 6.34(dd, J=3.32, 3.32Hz, 1H), 6.47(d, J=3.32Hz, 1H), 7.49(m, 1H)
実施例20:(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンの分離
(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(60g、0.368mol)を、0.5当量のp-トルエンスルホニルクロリド(35g、0.184mol)および1-メチルイミダゾール(45mL、0.56mol)の存在下に、-78℃で12時間にわたってN-cBz-L-プロリン(45g、0.184mol)で処理した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルで濾過して、1-メチルイミダゾリウムトシラート塩を除去した後に、所望のジアステレオマーを酢酸エチルから結晶化して、白色固形物14.5g(48%)を得た。このプロトコールはエナンチオマー混合物の動的分離を生じて、所望の(+)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンを与えた。酢酸エチルからの再結晶後の光学純度は98%超であった。融点:175〜180℃;[α]578 20=+202(MeOH, c=1.0)、1H NMR(400MHz、CDCl3)(ppm):2.26(d, J=9.4Hz, 1H), 4.96(d, J=4.96Hz, 1H), 5.12(m, 1H), 4.15(bm, 1H), 7.41(m, 5H)
実施例21:(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンの動的分離
Figure 2008543763
乾燥250mL丸底フラスコに、アセトニトリル(50mL)および1-メチル-イミダゾール(28g、0.2mol)を窒素下に添加し、混合物を0〜5℃に冷却した。メタンスルホニルクロリド(MsCl、17.44g、0.1mol)を混合物にゆっくり添加して、発熱反応を調節した。反応温度が0〜-5℃に低下した後に、N-cBz-L-プロリン(25g、0.1mol)を添加し、混合物をこの温度で30分間攪拌した。分離3Lフラスコにおいて、窒素下に、ラセミ(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(16.3g、0.1mol)をアセトン(1L)に溶解し、-65〜-78℃に冷却し、機械的に攪拌した。温度が-65℃未満に達したら、プロリン試薬を含有するフラスコの含有物を、ラセミ出発物質のアセトン溶液に添加した。混合物をこの温度で最低6時間維持し、白色沈殿物が観察された。沈殿物を沈降させ、上澄みを、真空吸引によって浸漬フィルターを経て冷溶液(約-45℃)として回転蒸発器に移した。アセトンを除去し、酢酸エチル(500mL)およびトリエチルアミン(50g、5当量)塩基と交換した。得られた塩を濾過によって除去し、濾液を約100mLに濃縮し、結晶形成を生じさせた。結晶をブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、冷酢酸エチルで洗浄し、真空下(0.1mmHg)に周囲温度で7.5g(収率46%)の恒量になるまで乾燥した。
式9に従って、1H NMRによって、Boc-L-プロリンを使用して、β-ラクタムのジアステレオマーエステルの比率(SSS:RRS)によって、動的分離の有効性を確認した。表3において、TsClはトシルクロリドであり、Boc2Oはジ-tert-ブチルジカーボネートであり、MsClはメシルクロリドであり、MstClはメシチルクロリドである。
Figure 2008543763
Figure 2008543763
実施例22:(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンの古典的分離
Figure 2008543763
前記の動的分離の代替法として、プロリンエステルのジアステレオマー混合物を、酢酸エチルからの再結晶によって分離した。次にプロリンエステルを別々に加水分解して、β-ラクタムの両方のエナンチオマーを得、キラルアミノ酸を回収する。従って、アセトニトリル(80mL)中のN-メチル-イミダゾール(12g、150mmol)の溶液に、0℃で、メタンスルホニルクロリド(MsCl、5.7g、50mmol)を添加し、発熱反応温度が0℃で安定するまで15分間攪拌した。この溶液に、N-Boc-L-プロリン(11g、50mmol)を少しずつ添加し、0℃で30分間攪拌した。ラセミ(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(8.2g、50mmol)を少しずつ添加し、TLCモニタ(3:1 酢酸エチル:ヘキサン)が1時間後にエステル生成物への完全な変換を示すまで、混合物をこの温度で攪拌した。アセトニトリル溶媒を40℃で回転蒸発下に除去し、残渣を酢酸エチル(500mL)に取り、水(100mL)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を真空濾過によって除去し、濾液を濃縮して固形物18gを得た。混合物の一部(7g)を40℃の酢酸エチル(60mL)に取り、結晶(1.5g)を40℃で形成し、結晶を収集し、該結晶は(2S)-tert-ブチル(3R,4S)-2-オキソ-4-フェニルアゼチジン-3-イルピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの所望の3R,4S-ジアステレオマーであることが示された。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):このジアステレオマーは、5.12ppm低磁場における多重項から、エステル化生成物における二重項の二重項対(J=4.68, 2.57Hz)としての5.8ppmへの出発物質C(3)-カルビノールプロトンの特徴的化学シフト変化によって典型的に表されるようなNMR時間スケールにおいて1.7:1(δ(ppm)5.84:5.87)ジアステレオマー対として存在する。
濾液を周囲温度で5時間静置して、第二結晶形を得(2.4g)、該結晶は(2S)-tert-ブチル(3S,4R)-2-オキソ-4-フェニルアゼチジン-3-イルピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの3S,4R-ジアステレオマーであることが示された。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):このジアステレオマーは、5.12ppm低磁場における多重項から、エステル化生成物における二重項の二重項対(J=4.68, 2.57Hz)としての5.9ppmへの出発物質C(3)-カルビノールプロトンの特徴的化学シフト変化によって典型的に表されるようなNMR時間スケールにおいて1:1.9(δ(ppm)5.90:5.94)ジアステレオマー対として存在する。
古典的熱力学支配分離が動的分離と異なる点は、理論量の試薬が使用され、注意深い低温調節が不可欠でないことである。しかし、古典的分離は、所望のC3-ヒドロキシ置換β-ラクタムを回収するために、ジアステレオマーエステルを脱エステル化する1つの付加的工程を必要とする。
実施例23:光学活性(+)-シス-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
光学活性(+)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(3.4g、20.8mmol)を、トリエチルアミン(5.8g、57.4mmol)およびDMAP(76mg、0.62mmol)と共に、0℃でTHF(30mL)に溶解した。トリメチルシリルクロリド(2.4g、22mmol)を滴下し、混合物を30分間攪拌した。TLC(3:1 酢酸エチル:ヘプテン)は、より低い極性の生成物への完全な変換を示した。混合物を酢酸エチル(30mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(15mL)、塩水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(5g)で乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、濾液を濃縮し、溶媒をヘプタン(50mL)と交換して、白色粉末を得た。粉末を、ブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、真空下に(<1mmHg)周囲温度で乾燥して、3.45g(収率72%)の恒量になるまで乾燥した。融点:120〜122℃。[α]22 578=+81.9(MeOH, 1.0)、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm):-0.08 (s, 9H), 4.79 (d, J= 4.4 Hz, 1H), 5.09 (dd, J=4.4, 2.7 Hz, 1H), 6.16 (bm, 1H), 7.3 to 7.4 (m, 5H)
実施例24:光学活性(+)-シス-N-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
THF(10mL)中の光学活性(+)-シス-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(0.95g、4mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.1g、5mmol)、DMAP(15mg、0.12mmol)およびジ-tert-ブチルジカーボネート(Boc2O、5.04g、5mmol)を添加した。混合物を、ガスの発生が止むまで周囲温度で攪拌し、より低い極性の生成物への完全な変換が、TLC(2:1 酢酸エチル:ヘプタン)によって観察された。反応混合物をヘプタン(20mL)で希釈し、シリカゲル(10g)のパッドで濾過し、結晶形成が生じるまで30℃で回転蒸発器において濃縮した。結晶をブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、冷ヘプタンで洗浄し、真空下に(<1mmHg)周囲温度で乾燥して、0.87g(65%)の恒量になるまで乾燥した。融点:85〜88℃。[α]22 578=+106.9(MeOH, 1.0)、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm):-0.07 (s, 9H), 1.38 (s, 9H), 5.01 (d, J=5.6 Hz, 1H), 5.06 (d, J=5.6 Hz, 1H), 7.26 to 7.38 (m, 5H)
実施例25:(+)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンからの(+)-シス-N-ベンゾイル-3-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 2008543763
(+)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(13.67g、83.8mmol)を、無水THF(275mL)に、窒素下に20mL/gの濃度で溶解し、-15〜-10℃に冷却し、TsOH一水和物(0.340g、1.8mmol)を添加した。この温度で、2-メトキシ-2-プロペン(6.49g、90mmol)を反応に滴下した。反応混合物の試料を酢酸エチル中の5%TEAで鎮め、中間体への変換をTLC(3:1 酢酸エチル:ヘプタン)によってモニタした。反応が終了した時点で、トリエチルアミン(25.5g、251mmol)およびDMAP(0.220g、1.8mmol)を添加した。塩化ベンゾイル(12.95g、92.18mmol)を反応混合物に添加し、次に、周囲温度に温め、(+)-シス-N-ベンゾイル-3-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-4-フェニル-アゼチジン-2-オンへの変換が終了するまで(3〜5時間)攪拌した。混合物を、THFと同量のヘプタンで希釈した。固体塩を濾過によって除去し、混合物を、水、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および塩水で洗浄した。有機相をシリカゲルで濾過し、結晶が形成されるまで濾液を濃縮した。固形物を真空濾過によって収集し、ヘプタン:トリエチルアミン(95:5)で洗浄して白色固形物(21.0g、61.9mmol、収率74%)を得た。融点:98〜100℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.99 (s, 3H), 1.54 (s, 3H), 3.15 (s, 3H), 5.27 (d, J=6.3 Hz, 1H), 5.41 (d, J=6.3 Hz, 1H), 7.30 to 7.43 (m, 5H), 7.47 (t, J=7.54 Hz, 2H), 7.59 (m, J=7.54 Hz, 1H)), 8.02 (m, J=7.54 Hz, 2H)
実施例26:7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB
Figure 2008543763
典型的には、10-DAB(108.96g、0.20mol)を、約20〜25mL/g(2.2L)のTHFに、2.5当量のDMAP(61.08g、0.5mol)と共に溶解した。TLC(3:1 酢酸エチル/ヘプタン)により生成物への変換が終了するまで、この溶液に、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(42.67g、0.21mol)を周囲温度で添加した。次に、反応混合物をヘプタン(2L)で希釈して、DMAP-HCl塩を沈殿させ、シリカゲル(104.5g)で濾過した。フィルターケーキを、酢酸エチルおよびヘプタンの1:1混合物(800mL)で洗浄して、完全な生成物回収を確実にした。濾液をトリエチルアミン(14mL)で安定化し、結晶が形成されるまで濃縮した。混合物を0℃に30分間冷却し、白色固形物をブフナー漏斗によって収集し、ヘプタン(500mL)中の氷冷20%酢酸エチルで洗浄した。フィルターケーキを真空下(0.1mmHg)に50℃で109gの恒量になるまで乾燥した。濾液をシリカゲルで濾過し、濃縮して、第二収集の結晶13.2gを得た。合計収量は、99.2%HPLC純度において122.2g(0.18mol、90%)であった。融点:220〜223℃。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.07 (s, 3H), 0.11 9 (s, 3H), 0.14 (s, 3H), 0.41 (s, 3H), 1.09 (s, 6H), 1.51 (s, 1H), 1.89 (ddd, J=13.9, 12.4,2.2 Hz, 1H), 1.99 (d, J=4.6 Hz) 1.56 (s, 3H), 2.04 (bs, 3H), 2.27 (m, 1H), 2.29 (s, 3H), 2.33 (m, 1H), 3.92 (d, 7.5 Hz, 1H), 4.19 (d, J=8.5 Hz, 1H), 4.3 (d, J=8.5 Hz, 1H), 4.51 (dd, J=10.6,6.7 Hz, 1H), 4.87 (bm, 1H), 4.95 (dd, J=9.4, 1.7 Hz, 1H), 5.60 (d, J=7.5, 1H), 5.61 (s, 1H), 7.48 (dd, J=7.8,7.7 Hz, 2H), 7.6 (dd, J=7.8, 7.7 Hz, 1H)8.1 (d J=7.8, 2H)
実施例27:7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-エタンジイル)-10-DAB
Figure 2008543763
10-DAB(0.544g、1mmol)を、約20〜25mL/g(10mL)のTHFに、2.5当量のDMAP(0.3g、2.5mmol)と共に溶解した。TLC(3:1 酢酸エチル/ヘプタン)により生成物への変換が終了するまで、この溶液に、1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタン(0.215g、1mol)を周囲温度で添加した。次に、反応混合物をヘプタン(20mL)で希釈して、DMAP-HCl塩を沈殿させ、シリカゲル(10g)で濾過した。フィルターケーキを、酢酸エチルおよびヘプタンの1:1混合物(20mL)で洗浄して、完全な生成物回収を確実にした。濾液をトリエチルアミン(0.5mL)で安定化し、結晶が形成されるまで濃縮した。混合物を0℃に30分間冷却し、白色固形物をブフナー漏斗によって収集し、ヘプタン(10mL)中の氷冷20%酢酸エチルで洗浄した。フィルターケーキを真空下(0.1mmHg)に50℃で0.58g(収率85%)の恒量になるまで乾燥した。融点:191〜193℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.05 (s, 3H), 0.9 (s, 3H), 0.17 (s, 3H), 0.33 (s, 3H), 0.43 (m, 1H), 0.57 (dd, J=11.8, 5.6 Hz, 2H), 0.78 (m, 1H), 1.05 (s, 3H), 1.10 (s, 3H), 1.54 (s, 1H), 1.69 (s, 3H), 1.87 (m, J=14.1, 12.6, 4.2, 1.9 Hz, 1H), 2.06 (d, J=1.2 Hx, 3H), 2.11 (d, J=5.0 Hz, 1H), 2.26 (m 1H), 2.27, (s, 3H), 2.32 (m, 1H), 3.92 (d, J=6.8 Hz, 1H), 4.15 (d, J=8.5), 4.28 (d, J=8.5 Hz), 4.31 (dd, J=10.1, 6.5 Hz, 1H), 4.84 (m, 15.2, 5.4, 7.7 Hz), 4.92 (dd, J=9.7, 2.0 Hz, 1H), 5.46 (s, 1H), 5.57 (d, J=7.3, 1H), 7.48 (dd, J=7.8,7.7 Hz, 2H), 7.6 (dd, J=7.8, 7.7 Hz, 1H)8.1 (d J=7.8, 2H)
実施例28:7,10-O-(1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,3,5-トリシロキサンジイル)-10-DAB
Figure 2008543763
10-DAB(0.544g、1mmol)を、約20〜25mL/g(10mL)のTHFに、2.5当量のDMAP(0.3g、2.5mmol)と共に溶解した。TLC(3:1 酢酸エチル/ヘプタン)により生成物への変換が終了するまで、この溶液に、1,5-ジクロロヘキサメチルトリシロキサン(0.277g、1mol)を周囲温度で添加した。次に、反応混合物をヘプタン(20mL)で希釈して、DMAP-HCl塩を沈殿させ、シリカゲル(10g)で濾過した。フィルターケーキを、酢酸エチルおよびヘプタンの1:1混合物(20mL)で洗浄して、完全な生成物回収を確実にした。濾液をトリエチルアミン(0.5mL)で安定化し、結晶が形成されるまで濃縮した。混合物を0℃に30分間冷却し、白色固形物をブフナー漏斗によって収集し、ヘプタン(10mL)中の氷冷20%酢酸エチルで洗浄した。フィルターケーキを真空下(0.1mmHg)に50℃で0.65g(収率87%)の恒量になるまで乾燥した。融点:240〜242℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.06 (s, 6H), 0.09 (1, 3H), 0.15 (s, 3H), 0.16 (s, 3H), 0.29 (s, 3H), 1.05 (s, 3H),1.19 (s, 3H), 1.56 (s, 1H), 1.70 (s, 3H), 1.89 (m, 1H), 1.96 (d, J=5.3 Hz, 1H), 2.10 (d, J=1.0 Hz, 3H), 2.27 (m, 1H), 2.29 (s, 3H), 2.42 (m, 1H), 3.96 (d, J=7.1 Hz, 1H), 4.17 (d, J=8.1 Hz, 1H), 4.29 (d, J=8.1 Hz, 1H), 4.49 (dd, J=10.0, 6.9 Hz, 1H), 4.85 (m, 1H), 4.94 (dd, J=9.6, 1.9 Hz, 1H), 5.63 (s, 1H), 5.64 (d, 6.75 Hz, 1H), 7.47 (dd, J=7.8,7.7 Hz, 2H), 7.59 (dd, J=7.8, 7.7 Hz, 1H)8.11 (d J=7.8, 2H)
実施例29:ドセタキセル
Figure 2008543763
10-DABから開始して、C(7)およびC(10)ヒドロキシ基を、1,3-ジクロロテトラメチルジシロキサン(即ち、式(4)の架橋珪素に基づく保護基;ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、L1およびL2はクロロであり、Zは-O-である)で保護し;環状中間体(29)(ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、Zは-O-である)を、酢酸エチルおよびヘプタンからの再結晶後に収率95%で得た。中間体(29)とβ-ラクタム側鎖先駆物質(36)(ここで、P2はMOPである)とのカップリングを、LHMDSおよび3当量のラセミ(36)を使用して動的分離下に行い;中間体(410)(ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、P2はMOPであり、Zは-O-である)を、ジクロロメタンおよびヘプタンからの再結晶後に収率90%で得た。簡単な希塩酸脱保護によって、イソプロパノールおよびヘプタンからの再結晶後にドセタキセルを収率75%で得た。
実施例30:2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル
Figure 2008543763
7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB(0.67g、0.99mmol)およびシス-N-t-ブトキシ-3-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(1.0g、3当量)を、窒素下に無水THF(5mL)に溶解し、次に、-45℃に冷却した。THF中1.0MのLHMDS(1.2mL、1.1当量)を滴下して、発熱を調節した。反応を-35℃未満で2〜5時間進めた。反応を、酢酸エチル(25mL)中の酢酸(1.2当量)の溶液で鎮め、炭酸水素ナトリウム(5mL)および塩水(5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(7g)で乾燥し、シリカ(7g)で濾過し、濃縮した。1%トリエチルアミンを含有する最少量のジクロロメタン(1mL)に残渣を取り、ヘプタン(15mL)に添加し、過剰のβ-ラクタムをすりつぶした。単一ジアステレオマーとしての生成物(0.88g、88%)をブフナー漏斗によって収集し、ヘプタンで洗浄した。融点:235〜238℃。1H NMR (MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.07 (s, 3H), 0.08 (s, 3H), 0.12 (s, 3H), 0.41 (s, 3H), 1.08 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.25 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.32 (s, 9H), 1.53 (s, 1H), 1.67 (s, 3H), 1.90 (bs, 3H), 1.92 (m, 1H), 2.07 (m, 1H), 2.30 (m, 2H), 2.50 (s, 3H), 2.66 (bs, 3H), 3.84 (d, J=6.9 Hz, 1H), 4.22 (d, J=8.7 Hz, 1H), 4.32 (d, J=8.7 Hz, 1H), 4.48 (dd, J=9.9, 6.4 Hz, 1H), 4.50 (d, J=3.3 Hz, 1H), 4.95 (m, J=8.6, 1H), 5.22 (bm, 1H), 5.49 (bm,1H), 5.57 (s, 1H), 5.65 (d, J=6.9 Hz, 1H), 6.24 (bm, 1H), 7.24 (m, 1H), 7.30 (d, J=7.2, 2H), 7.37 (dd, J=7.2, 7.2, 2H), 7.51 (dd, J=8.0, 7.5 Hz, 2H), 7.60 (dd,J=8.0, 7.2 Hz, 1H), 8.11 (d, J=7.5 Hz, 2H)
フレキシブル側鎖プロトン化学シフトは、CDCl3溶媒中の水レベルに依存して変動を示す。
実施例31:ドセタキセル
Figure 2008543763
アセトニトリル(580mL)中の2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル(38.38g、38.2mmol)、次に、0.2M HCl(115mL)を添加し、混合物を周囲温度(22℃〜25℃)で2〜3時間、TLC(3:1 酢酸エチル:ヘプタン)により生成物(Rf=0.15)への完全な変換が観察されるまで攪拌した。次に、生成物混合物を酢酸エチル(580mL)で希釈し、水(290mL)、塩水(150mL)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(290mL)、塩水(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(60g)で乾燥した。混合物をシリカゲル(30g)で濾過し、フィルターケーキを酢酸エチル(350mL)で濯いだ。合わせた濾液を約192mLに濃縮し、次に、ヘプタン(550mL)を添加して、結晶化を誘導した。混合物をさらに濃縮して、約200mLの溶媒を除去した。混合物を周囲温度に冷却し、結晶をブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、結晶を、98.3%HPLC純度において30.57g(収率99.3%)の恒量になるまで乾燥した。融点:186〜188℃、元素分析:%C:理論値63.93、実測値63.38、%H:理論値6.61、実測値6.59
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 1.13 (s, 3H, H-17), 1.24 (s, 3H, H-16), 1.34 (s, 9H, H-t-Boc), 1.64 (s, 1H, HO-1), 1.76 (s, 3H, H-19), 1.85 (s, 3H, H-18), 1.79 to 1.88 (m, 1H, H-6), 2.27 (m, J=8.8 Hz, 2H, H-14), 2.38 (s, 3H, Ac-4), 2.60(m, 1H, H-6), 3.32 (bd, J=4.8 Hz, 1H, HO-2’), 3.92 (d, J=6.9 Hz, 1H, H-3), 4.18 (d, J=8.5 Hz, 1H, H-20), 4.19 (bs, 1H, HO-10), 4.23 (m, 1H, H-7), 4.32 (d, J=8.5 Hz, 1H, H-20), 4.62 (bm, 1H, H-2’), 4.94 (m, 1H, H-5), 5.20 (bd, J=1.7 Hz, H-10), 5.26 (bm, 1H, H-3’), 5.40 (bd, J=9.6 Hz, H-N), 5.68 (d, J=6.9 Hz, 1H, H-2), 6.22 (bm, 1H, H-13), 7.29 to 7.4 (m, 5H, H-Ph), 7.50 (dd, J=7.9, 7.6 Hz, 2H, H-mBz), 7.62 (dd, J=7.25, 7.6 Hz, 1H-pBz), 8.10 (d, J=7.9 Hz, 2H, H-oBz)
文献と一致:(a) Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals, 2004;47:763-777、および(b) Tetrahedron, 1989, 45:13, p.4177-4190
実施例32:2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル
Figure 2008543763
7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB(4.29g、6.4mmol)およびN-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(6.4g、19.1mmol)を、窒素下に無水THF(43mL)に溶解し、次に、-45℃に冷却した。LHMDS(1.2mL、1.1当量、THF中1.0M)を滴下して、発熱を調節した。反応を-45℃未満で5時間進めた。反応を、酢酸エチル(50mL)中の酢酸(1.2当量)の溶液で鎮め、炭酸水素ナトリウム(10mL)および塩水(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(10g)で乾燥し、シリカ(10g)で濾過し、濃縮して、固形物を得た。固形物をメタノールから再結晶し、真空下に(<1mmHg)周囲温度で乾燥した後に、白色粉末3.6g(55%)を単一ジアステレオマーとして得た。融点:248〜250℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: -0.12 (s, 9H), 0.08 (s, 3H), 0.09 (s, 3H), 0.12 (s, 3H), 0.42 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 1.31 (s, 9H), 1.54 (s, 1H), 1.68 (s, 3H), 1.88 (s, 3H), 1.86 to 1.96 (m, 1H), 2.08 to 2.18 (m, 1H), 2.26 to 2.43 (m, 2H), 2.54 (s, 3H), 3.85 (d, J=7.2 Hz, 1H), 4.24 (d, J=8.5 Hz, 1H), 4.32 (d, J=8.5 Hz, 1H), 4.45 (bs, 1H), 4.50 (dd, J=6.8, 10.3 Hz, 1H), 4.96 (m, J=8.5 Hz, 1H), 5.29 (m, J=8.5 Hz, 1H), 5.52 (bm, J= 8.5 Hz, 1H), 5.57 (s, 1H), 5.66 (d, J=7.5 Hz, 1H), 6.31 (bt, J=8.6 Hz, 1H), 7.3 to 7.41 (m, 5H), 7.48 (dd, J=6.9, 8.4 Hz, 2H,) 7.59 (dd, J=6.9, 7.5, 1H), 8.12 (d, J=7.5 Hz, 2H)
実施例33:2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル
THF(10mL)中の7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB(0.84g、1.24mmol)の溶液に、-45℃で窒素下に、ヘキサン中の1.0Mブチルリチウム(0.93mL)を添加した。この温度で30分後、THF(2mL)中の(+)-N-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(0.5g、1.5mmol)の溶液を添加し、混合物を攪拌し、0℃に4時間温めた。反応を、トリエチルアミン(1当量)および酢酸(1当量)で鎮め、ヘプタン25mLで希釈し、シリカゲル(30g)で濾過した。濾液を回転蒸発によって濃縮して、白色結晶(0.69g、55%)を得た。粗生成物の1HNMRは、2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O- (1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセルの構造と一致していた。
実施例34:2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセルの脱保護
アセトニトリル(2.5mL)中の2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル(0.5g、0.495mmol)の溶液に、周囲温度で、0.2M HClの溶液を添加し、生成物(Rf=0.15)への完全な変換がTLC(3:1 酢酸エチル:ヘプタン)によって観察されるまで、混合物を周囲温度(22℃〜25℃)で2〜3時間攪拌した。次に、混合物を酢酸エチル(5mL)で希釈し、水(2mL)、塩水(2mL)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(2mL)、塩水(2mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(6g)で乾燥した。混合物をシリカゲル(5g)で濾過し、フィルターケーキを酢酸エチル(5mL)で濯いだ。合わせた濾液を約1mLに濃縮し、ヘプタン(5mL)を添加して、結晶化を誘発した。次に、混合物を濃縮して、約1〜2mLの溶媒を除去した。混合物を周囲温度に冷却し、次に、結晶をブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、ドセタキセルと一致するHNMRスペクトルを有する結晶性生成物の0.399g(収率93%)の恒量になるまで乾燥した。
ドセタキセルの回収を最大にするために、光学純粋(+)-N-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンを使用した場合、中間体2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセルの精製が必要でないことが見出された。
実施例35:ドセタキセル
Figure 2008543763
磁石攪拌機を取り付けた炉乾燥25mL丸底フラスコ(RBF)に、窒素下に、ジイソプロピルアミン(0.83mL、5.86mmol)およびTHF(1.5mL)を添加した。混合物を-45℃に冷却し、n-ヘキシルリチウムの溶液(2.33mL、2.30M、5.37mmol)を滴下して、発熱を調節し、反応器温度を-40℃未満に維持した。添加を終了した後、冷却浴温度を使用前に0〜5℃に上げた。
カップリング反応:磁石攪拌機を取り付けた炉乾燥した250mLのRBFに、7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-1-DAB(3.29g、4.88mmol)およびTHF(30mL)を添加した。混合物を-45℃に冷却した。既に調製したLDAを、反応混合物に注射器で5分間にわたって添加し、その温度で45分間攪拌した。次に、この混合物に、(+)-N-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(THF(8mL)中1.80g(5.37mmol))を添加した。反応混合物を-15℃まで温め、-15〜-10℃で1時間攪拌した。1時間後の反応のTLCモニタ(1:3 酢酸エチル:ヘプタン)は、2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセルへの完全な変換を示した。
ワークアップ:反応フラスコに、反応温度で、1mLの飽和炭酸水素ナトリウムを添加し、5分間攪拌した。次に、それを酢酸エチル(50mL)で希釈し、塩水50mLで洗浄した。有機相を分離し、MgSO4で乾燥し、濃縮して、5.10gの粗2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセルを得、それを直接に脱保護に使用した。前記の粗混合物をアセトニトリル(50mL)に溶解し、0.2N HCl(25mL)を添加し、室温で4時間攪拌した。TLCモニタ(3:1 EtOAc:ヘプタン)が反応の終了を示した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、蒸留水(50mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(50mL)および塩水(50mL)で2回洗浄した。得られた有機相をMgSO4で乾燥し、濃縮して、96.5%HPLC純度のドセタキセル3.76g(収率95.3%)を得た(主要不純物は、C(7)-ヒドロキシ基における非脱シリル化(1.6%)中間体であった)。
実施例36:パクリタキセル
10-DABで開始して、C(7)およびC(10)ヒドロキシ基を、1,3-ジクロロテトラメチルジシロキサン(即ち、式(4)の架橋珪素に基づく保護基;ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、L1およびL2はクロロであり、Zは-O-である)で保護し;環状中間体(29)(ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、Zは-O-である)を、酢酸エチルおよびヘプタンからの再結晶後に収率95%で得た。中間体(29)を、(+)-N-ベンゾイル-4-フェニル-3-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-アゼチジン-2-オン(即ち、β-ラクタム(16)、ここで、P2はMOPである)(1.1当量)で、LHMDS(1.1当量)の存在下に、-45℃〜-10℃で3時間処理して、化合物(210)を生成した(ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、Zは-O-であり、P2はMOPである)。化合物(210)を酢酸エチルから結晶化した(収率85%、純度98%)。化合物(210)を、メタノールおよび触媒量のNaHCO3で、室温で20時間処理して、化合物(211)を得(ここで、P2はMOPである)、次に、これをイソプロピルアルコールとヘプテンとの混合物から結晶化した(収率75〜80%、純度97%)。化合物(211)を、塩化アセチル(1.05当量)およびLHMDS(1.1当量)で、-45℃で30分間処理して、純度96%の粗混合物を得た。イソプロパノールからの結晶後に、C(10)-アセチル化化合物が収率85〜90%および純度97%で生成された。次に、その化合物をアセトニトリル中0.2MのHClで、室温で2時間処理し、メタノールから結晶化してパクリタキセルを得た。
実施例37:パクリタキセルの製造
10-DAB(23)で開始して、C(7)およびC(10)ヒドロキシ基を、1,3-ジクロロテトラメチルジシロキサン(即ち、式(4)の架橋珪素に基づく保護基;ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、L1およびL2はクロロであり、Zは-O-である)で保護し;環状中間体(29)(ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、Zは-O-である)を、酢酸エチルおよびヘプタンからの再結晶後に収率95%で得た。中間体(29)を、メタノールおよび触媒量のNa2CO3で、室温で20分間処理して、化合物(212)を得た(ここで、R10A、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、Zは-O-である)。化合物(212)を、酢酸エチルから結晶化した(収率75%、純度97%)。次に、化合物(212)を、塩化アセチル(1.02当量)およびLHMDS(1.1当量)で30分間処理した。中間体を分離せずに、10-アセチル誘導体(220)(ここで、R10A、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、Zは-O-である)を、(+)-N-ベンゾイル-4-フェニル-3-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-アゼチジン-2-オン(即ち、β-ラクタム(16)、ここで、P2はMOPである)(1.1当量)で、LHMDS(1.1当量)の存在下に、-45℃〜-10℃で3時間処理して、収率85%および純度94%で化合物(221)を生成した(ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、Zは-O-であり、P2はMOPである)。次に、化合物(221)をアセトニトリル中0.2MのHClで、室温で2時間処理し、酢酸エチルおよびヘプタンから結晶化してパクリタキセルを得た。
実施例38:2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-パクリタキセル
Figure 2008543763
7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB(12.1g、17.93mmol)および(+)-シス-N-ベンゾイル-3-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(6.69g、19.7mmol)のTHF(200mL)溶液に、窒素および磁気攪拌下に-45℃で、LHMDS 1.0M THF溶液(19.7mL、19.7mmol)を15分間にわたって添加した。反応の温度を-10℃に温め、TLC分析(1:1 酢酸エチル:ヘキサン)が7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DABの完全消失を示すまで、この温度で攪拌した。反応混合物を酢酸(1.182g、19.7mmol)で鎮め、酢酸エチル(200mL)で希釈し、周囲温度に温めた。混合物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を真空濾過によって除去し、濾液を濃縮して固形物を得た。固形物を熱酢酸エチル(450mL)に溶解し、25〜30℃で回転蒸発下に半量に減少させて、結晶形成を誘発し、次に、0℃浴で1時間冷却した。白色結晶を真空濾過によって収集し、1:1の酢酸エチル:ヘキサンの冷溶液で洗浄し、15.2g(収率84%)の恒量になるまで乾燥した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.07 (s, 3H), 0.08 (s, 3H), 0.12 9 (s,3H), 0.42 (s, 3H), 1.11(s, 3H), 1.13 (s, 3H), 1.23 (s, 3H), 1.34 (s, 3H), 1.61 (s, 1H), 1.68 (s, 3H), 1.91 (d, J=1.10 Hz), 1.92 (m, 1H), 2.07 (dd, 15.1, 8.92 Hz. 1H), 2.24 to 2.36 (m, 2H), 2.53 (s, 3H), 2.78 (s, 3H), 3.84 9d, J=7.0 Hz), 4.25 (d, J=8.75 Hz, 1H), 4.23 (d, J=8.75 Hz), 4.49 (dd, J=10.48, 6.72 Hz, 1H), 4.65 (d, J=3.23 Hz), 1H), 4.95 (dd, J=9.56, 2.47 Hz, 1H), 5.56 (s, 1H), 5.62 (dd, J=8.01, 3.08 Hz, 1H), 5.66 (d, J=7.23 Hz, 1H), 6.24 (t, J=8.60, 1H), 7.18 (d, J=8.03 Hz), 7.24 to 7.54 (m, 10H), 7.60 (m, 1H), 7.78 (d, J=7.88 Hz, 2H), 8.12 m, 2H)
実施例39:2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7-O-(1-メトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサニル)-10-ヒドロキシパクリタキセル
Figure 2008543763
炭酸水素ナトリウムメタノリシス:無水メタノール(250mL)中の2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-パクリタキセル(5.0g、4.93mmol)の溶液に、炭酸水素ナトリウム(0.5g、5.95mmol)を添加し、混合物を周囲温度(22〜25℃)で窒素下に2日間攪拌した;TLC分析(30:70 酢酸エチル:ヘキサン)は、より高い極性の生成物への変換が終了したことを示した。トリエチルアミン(2g、19.7mmol)および酢酸(0.4g、6.7mmol)を添加し、メタノールを減圧回転蒸発下に除去して、固体残渣を得た。固形物をイソプロパノール(75mL)に取り、次に、ヘプタン(75mL)を添加した。次に、混合物を、減圧回転蒸発下に、ほぼ半量に濃縮して、40℃での結晶形成を誘発した。混合物を周囲温度(20〜22℃)に冷却し、結晶(3.6g、収率70%)を収集した。
トリエチルアミン-メタノリシス:無水メタノール(5mL)中の2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-パクリタキセル(100mg、0.1mmol)の溶液に、トリエチルアミン(0.014mL)を窒素下に添加し、TLC(30:70 酢酸エチル:ヘキサン)分析が、より低いRf生成物への完全な変換を示すまで、混合物を周囲温度(22〜25℃)で12時間攪拌した。ヘプタン(5mL)を添加し、混合物を40℃で減圧蒸発下にほぼ半量に濃縮して、結晶形成を誘発した。混合物を周囲温度(22〜25℃)に冷却し、結晶90mg(収率88%)を収集した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.083 (s, 3H), 0.088 (s, 3H), 0.11 (s, 3H), 0.12 (s, 3H), 1.11 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.22 (s, 3H), 1.34 (s, 3H), 1.70 (s, 1H), 1.76 (s, 3H), 1.96 (d, J=1.10 Hz), 1.98 (m, 1H), 2.07 (dd, J=14.68, 8.66, 1H), 2.29 (dd, J=15.05, 9,41, 1H), 2.49 (m, 1H), 2.52 (s, 3H), 2.79 (m,3H), 3.47 (s, 3H), 3.91 (d, J=7.52, 1H), 4.23 (d, J=8.97, 1H), 4.27 (d, J=1.95 Hz, 1H), 4.33 (d, J=8.97, 1H), 4.47 (dd, J=10.51, 6.6 Hz, 1H), 4.65 (d, J=3.13 Hz, 1H), 4.95 (dd, J=9.8, 1.75 Hz, 1H), 5.13 (d, J=1.95 Hz, 1H), 5.60 (dd, J=7.99, 3.19 Hz, 1H), 5.68 (d, J=7.19 Hz, 1H), 6.25 (t, J=9.27 Hz, 1H), 7.18 (d, J=8.03 Hz), 7.24 to 7.54 (m, 10H), 7.60 (m, 1H), 7.78 (d, J=7.88 Hz, 2H), 8.12 m, 2H)
実施例40:7-O-(1-メトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサニル)-10-DAB
Figure 2008543763
トリエチルアミン-メタノリシス:7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB(1g、1.48mmol)に、無水メタノール20mLを添加した。溶液を均一になるまで攪拌した(約10分間)。フラスコに1当量のトリエチルアミン(TEA、1.48mmol、206mL)を添加し、約23時間攪拌した。反応の終了を、TLC(1:1 酢酸エチル:ヘキサン)でモニタした。終了した際に、溶液をヘプタン約15mLで希釈し、全てのメタノールが除去されるまで蒸発させた。結晶が蒸発時に形成され、2時間攪拌した。結晶を濾過し、ヘプタンで洗浄して、白色固形物948mg(収率90.6%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.085 (s, 3H), 0.099 (s, 3H), 0.120 (s, 3H), 0.0123 (s, 3H), 1.09 (overlap, 2-s (6H), 1.75 (s, 3H), 1.93 (m, 1H), 1.97 (d, J=5.07 Hz, 1H), 2.09 (d, J=1.22 Hz, 3H), 2.27 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.55 (m, 1H), 3.48 (s, 3H), 3.98 (d, J=6.86 Hz, 1H), 4.18 (d, J=8.14 Hz, 1H), 4.25 (d, J=2.03 Hz, 1H), 4.31 (d, J=8.14 Hz, 1H), 4.49 (dd, J=10.91, 6.71 Hz, 1H), 4.88 (dd, 17.60 , 7.48 Hz, 1H), 4.95 (dd, J=9.49, 1.79 Hz, 1H), 5.18 (d, J=2.03, 1H), 5.62 (d, J=6.94 Hz, 1H),7.48(t, J=7.7- Hz, 2H), 7.60 (m, J=7.7 Hz, 1H), 8.11 (m, 2H)
実施例41:2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7-O-(1-メトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサニル)-パクリタキセル
Figure 2008543763
無水THF(22mL)中の2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7-O-(1-メトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキシ)-10-ヒドロキシパクリタキセル(2.62g、2.5mmol)の溶液に、-45℃で磁気攪拌および窒素下に、LHMDSのTHF 1.0M溶液(2.9mL、2.9mmol)、次に、塩化アセチル(0.275mL、2.88mmol)を添加した。混合物を-45℃で1時間攪拌し、その際に、TLC分析(30:70 酢酸エチル:ヘキサン)が、より低い極性の生成物(Rf=0.5)への変換を示した。反応を酢酸(0.173g、2.88mmol)で鎮め、酢酸エチル(50mL)で希釈し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を除去し、濾液を濃縮して、固形物2.6gを得た(HPLC純度95%)。
ワンポットC(10)-ヒドロキシアセチル化およびC(13)側鎖カップリング:無水THF(40mL)中の7-O-(1-メトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキシ)-10-DAB(3.24g、4.58mmol)の溶液に、-45℃で磁気攪拌および窒素下に、THF中のLHMDSの1.0M溶液(5mL、5mmol)、次に、塩化アセチル(AcCl、0.335mL、4.7mmol)を添加した。反応の進行を1HNMR分析によってモニタし、15分後にCDCl3中5.18ppmにおけるC(10)-カルビノール共鳴の消失が観察された。アセチル化の終了が示されたら、第二当量のTHF中のLHMDSの1.0M溶液(5mL、5mmol)、次に、固体(+)-シス-N-ベンゾイル-3-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-4-フェニル-アゼチジン-2-オンを添加した。温度を-10℃に上げ、より低い極性の生成物2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7-O-(1-メトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサニル)-パクリタキセルへの変換をTLC(30:40 酢酸エチル:ヘキサン)によってモニタした。3時間後に、反応混合物を酢酸(0.3g、5mmol)で鎮め、酢酸エチル(200mL)で希釈し、周囲温度に温めた。混合物を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を真空濾過によって除去し、濾液を濃縮して、固体残渣を得た。残渣をヘプタン(100mL)ですりつぶして、生成物4.2gを得た(HPLC純度94%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm):0.059 (s, 3H), 0.092 (s, 6H), 0.20 (s, 3H), 1.13 (s 3H), 1.20 (s, 3H), 1.22 (s, 3H), 1.33 (s, 3H), 1.71 (s, 3H), 1.96 (m, 1H), 1.98 (d, J=1.0), 2.10 (dd, J=15.74, 9.18 Hz, 1H), 2.17 (s, 3H), 2.31 (dd, J=15.57, 9.36 Hz, 1H), 2.53 (s, 3H), 2.58 (m, 1H), 2.78 (s, 3H), 3.46 (s, 3H), 3.88 (d, J=7.06 Hz, 1H), 4.21 (d, J=8.53, 1H), 4.32 (d, J=8.53, 1H), 4.54 (dd, J=10.23, 6.62 Hz, 1H), 4.66 (d, J=3.19 Hz, 1H), 4.96 (bd, J=9.80 Hz, 1H), 5.31 (bs, 1H), 5.62 (dd, J=8.28, 3.20 Hz, 1H), 5.71 (d, J=6.99 Hz, 1H), 6.20 (bt, J=9.03 Hz, 1H), 6.41 (s, 1H), 7.17 (d, J=8.12Hz, 1H), 7.24 to 7.54 (m, 10H), 7.60 (m, 1H), 7.78 (d, J=7.88 Hz, 2H), 8.12 m, 2H)
実施例42:パクリタキセル
アセトニトリル(12mL)中の2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7-O-(1-メトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサニル)-パクリタキセル(1.6g、純度97%、1.47mmol)の溶液に、周囲温度(22〜25℃)で磁気攪拌および窒素下に、HClの0.2M溶液(3mL、0.6mmol)を添加した。3時間後に、TLCモニタ(3:1 酢酸エチル:ヘキサン)が、所望生成物パクリタキセルへの完全な変換を示した。混合物をトリエチルアミン(0.121g、1.2mmol)で鎮め、溶媒を回転蒸発下に除去した。残渣を酢酸エチル(20mL)に取り、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を濾過によって除去し、濾液を濃縮し、溶媒をヘプタン(20mL)と交換して、白色粉末を得た。その粉末を真空濾過によって収集し、ヘプタンで洗浄し、1.2g(1.40mmol、収率95%、純度97%)の恒量になるまで乾燥した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 1.14 (s, 3H), 1.24 (s, 3H), 1.68 (s, 3H), 1.79 (d, J=0.9 Hz, 3H), 1.88 (m, 1H), 2.23 (s, 3H), 2.28 (m, 1H), 2.35 (m, 1H), 2.38 (s, 3H), 2.48 (d, J=3.31, 1H), 2.54 (m, 1H), 2.79 (d, J=7.13 Hz, 1H), 4.19 (d, J=8.53, 1H), 4.30 (d, J=8.53 Hz, 1H), 4.40 (m, 1H), 4.78 (dd, J=5.29, 2.65 Hz, 1H), 4.94 (dd, J=9.45, 2.3 Hz, 1H), 5.16 (bs, 1H), 5.67 (d, J=7.02 Hz, 1H), 5.78 (dd, J=8.78, 2.50 Hz, 1H), 6.22 (bt, J=9.0 Hz, 1H) 6.26 (s, 3H), 6.97 (d, J=8.68, 1H), 7.32 to 7.53 (m, 10H), 7.61 (m,1H), 7.73 (m, 2H), 8.12 (m, 2H)
実施例43:2’-(ベンゾイルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル
Figure 2008543763
無水THF(25mL)中の2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル(5.0g、4.95mmol)の溶液に、窒素および磁気攪拌下に、三塩化セリウム七水和物(CeCl3・7H2O、0.274g、0.735mmol)を添加した。混合物を周囲温度(22〜25℃)で30分間攪拌し、その際に、TLC(40:60 酢酸エチル:ヘキサン)分析が、2-メトキシ-2-プロピル(MOP)保護基の完全消失を示し、出発物質(Rf=0.5)と比較してより高い極性の中間体(Rf=0.4)を得た。反応混合物に無水安息香酸(1.6g、7.4mmol)を添加し、周囲温度で12時間にわたって攪拌し、その際に、TLC(40:60 酢酸エチル:ヘキサン)分析が、より低い極性の生成物(Rf=0.6)への完全な変換を示した。混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム(2x50mL)、次に塩水(25mL)で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、回転蒸発によって濃縮して、残渣を得た。残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:2 酢酸エチル:ヘキサン)によってさらに精製して、未反応無水安息香酸を除去した。清浄画分を抜き取り、濃縮して、所望生成物(4.91g、収率95%)を得た。
7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB(1.66g、2.47mmol)を、無水THF(35mL)に取り、均一になるまで攪拌した。溶液を、アセトニトリル/ドライアイス浴において-45℃に冷却した。次に、溶液を、2.27mLのLHMDS(THF中1M、1.1当量)で脱プロトン化し、約15分間攪拌した。(+)-シス-N-t-ブトキシカルボニル-3-ベンゾイルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(1.0g、2.72mmol)を固形物として、混合物に添加し、5時間攪拌した。温度を5時間にわたって-30℃に温めた。約3.5時間後に、さらなるβ-ラクタム(10%、100mg)を、さらなるLHMDS(10%、272mL)と共に添加して、反応を終了させた。約5%の未反応7,10-保護10-DABを残して、反応が停止した。THF(10mL)中で前もって混合した1.2当量の酢酸(169mL)および1.5当量のトリエチルアミン(515mL)で、反応を鎮めた。有機層を約30mLの酢酸エチルで希釈し、塩水15mLで2回洗浄した。溶媒を回転蒸発器で除去し、粗泡状物2.9gを回収した。フラッシュカラムを使用して、1:1 酢酸エチル/ヘキサンの溶媒系を用いて生成物を清浄にした。2.11g(収率82.1%)の清浄生成物を回収した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.073 (s, 3H), 0.085 (s, 3H), 0.13 (s, 3H), 0.41 (s, 3H), 1.11 (s, 3H), 1.23 (s, 3H), 1.35 (s, 9H), 1.66 (s, 3H), 1.91 (m, 1H), 1.97 (s, 3H), 2.08 (m, 1H), 2.29(m, 2H), 2.44 (s, 3H), 3.84 (d, J=6.93, 1H), 4.21 (d, J=8.53, 1H), 4.30 (d, J=8.53), 4.50 (dd, J=10.58, 6.58 Hz, 1H), 4.95 (dd, J=9.78, 2.38 Hz, 1H), 5.43 (bd, J=9.26 Hz, 1H), 5.49 (bd, J=3.09 Hz, 1H), 5.57 (bs, 1H), 5.59 (s, 1H), 5.65 (d, J=7.22 Hz, 1H), 6.27 (bt, J=8.97 Hz, 1H), 7.28 (m, 1H), 7.35 to 7.54 (m, 8H), 7.60 (m, 2H), 7.99 (d, J=7.68 Hz, 2H), 8.10 (d, 7.68, 2H)
(+)-シス-N-t-ブトキシカルボニル-3-ベンゾイルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンを、(+)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンと、無水安息香酸およびt-ブトキシカルボニル無水物との反応によって得、結晶性固形物として分離した。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 1.44 (s, 9H), 5.37 (d, J=5.42 hz, 1H), 6.18 (s, J=5.42 Hz, 1H), 7.18 to 7.34 (m, 7H), 7.49 (bt, 1H), 7.66 (bd, 2H)
実施例44:2’-ベンゾイルオキシドセタキセル
ドセタキセルのベンゾイル化が、塩化ベンゾイル-ピリジン条件下に、C(2’)ヒドロキシ位置において選択性であることが分かった。ピリジン(10mL)中のドセタキセル(1.62g、2mmol)の溶液に、塩化ベンゾイル(0.394g、2.8mmol)を添加し、混合物を攪拌し、-25℃未満で12時間維持した。TLC分析(75:25 酢酸エチル:ヘキサン)は、出発物質(Rf=0.3)と比較してより低い極性の主要生成物(Rf=0.5)への約80%の変換を示した。混合物を、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液で鎮め、酢酸エチル(50mL)で抽出し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、残渣を得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(60:40 酢酸エチル:ヘキサンで溶離)によって精製して、出発物質を除去し、清浄画分を収集し、濃縮および乾燥後に1.28g(71%)の2’-ベンゾイルオキシ-ドセタキセルを得た。
アセトニトリル(3mL)中の2’-(ベンゾイルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル(1.0g、0.95mmol)の溶液に、周囲温度22〜25℃で、HClの0.2M溶液(2mL、0.2mmol)を添加した。2時間攪拌した後に、TLC分析(1:1 酢酸エチル:ヘキサン)が、出発物質(Rf=0.45)と比較してより高い極性の生成物(Rf=0.15)への完全な変換が行われたことを示した。反応を、トリエチルアミン(0.5g、0.49mmol)で鎮め、濃縮して、アセトニトリル溶媒を除去した。残渣を酢酸エチル(20mL)に取り、飽和炭酸水素ナトリウム、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濾液を濃縮し、溶媒をヘプタンと交換して、生成物0.78g(収率90%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 1.12 (s, 3H), 1.22 (s, 3H), 1.35 (s, 9H), 1.75 (s, 3H), 1.85 (m, 1H), 1.98 (bs, 3H), 2.12 (m, 1H), 2.28 (m, 1H), 2.43 (s, 3H), 2.60 (m, 1H), 3.95 (d, J=7.06, 1H), 4.17 (d, J=1.46 Hz, 1H), 4.19 (d, J=8.61 hz, 1H), 4.26 (m, 1H), 4.32 (d, J=8.61 Hz, 1H), 4.96 (bdd, J=9.68, 2.27 Hz, 1H), 5.21 (bd, J=1.46 hz, 1H), 5.43 (bd, J=9.45 Hz, 1H), 5.54 (m, 2H), 5.69 (d, J=7.07, 1H), 6.25 (bt, J=8.91, 1H), 7.28 (m, 1H), 7.35 to 7.54 (m, 8H), 7.60 (m, 2H), 7.99 (d, J=7.68 Hz, 2H), 8.10 (d, 7.68, 2H)
実施例45:2’-ベンゾイルオキシ-10-アセトキシドセタキセル
無水THF(7mL)中の2’-ベンゾイルオキシドセタキセル(1.28g、1.4mmol)の溶液に、窒素下に、三塩化セリウム七水和物(CeCl3・7H2O、0.128g、0.344mmol)、無水酢酸(0.285g、2.8mmol)を添加し、混合物を周囲温度(22〜25℃)で12時間攪拌した。TLC分析(60:40 酢酸エチル:ヘキサン)が、出発物質2’-ベンゾイルオキシドセタキセル(Rf=0.15)と比較してより低い極性の生成物(Rf=0.25)への完全な変換を示した。混合物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、塩水で2回洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮して、固体残渣1.42gを得た。フラッシュシリカゲル精製(酢酸エチル:ヘキサン(45:55)で溶離)によって所望の2’-ベンゾイルオキシ-10-アセトキシドセタキセル1.2g(収率90%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 1.14 (s, 3H), 1.25 (s, 3H), 1.34 (s, 9H), 1.67 (s, 3H), 1.89 (m, 1H), 1.97 (bs, 3H), 2.12 (m, 1H), 2.24 (s, 3H), 2.28 (m, 1H), 2.44 (s, 3H), 2.51 (d, 4.10 Hz, 1H), 2.57 (m, 1H), 3.82 (d, J=7.12 Hz, 1H), 4.17 (d, J=8.50 Hz, 1H)), 4.31 (d, J=8.50, 1H), 4.46 (m, 1H), 4.98 (dd, J=9.65, 2.16 Hz, 1H), 5.42 (bd, J=9.79, 1H), 5.50 (d,J=3.76 Hz, 1H), 5.57 (bm, 1H), 5.67 (d, J=7.10, 1H), 6.26 (bt, J=8.73 hz, 1H), 6.30 9s, 1H), 7.28 (m, 1H), 7.35 to 7.54 (m, 8H), 7.60 (m, 2H), 7.99 (d, J=7.68 Hz, 2H), 8.10 (d, 7.68, 2H)
実施例46:パクリタキセル
アセトニトリル(1mL)中の2’-ベンゾイルオキシ-10-アセトキシドセタキセル(0.50g、0.524mmol)の溶液に、90%の蟻酸水溶液(2mL)を添加し、混合物を周囲温度22〜25℃で16時間攪拌し、その際に、TLC分析(90:10 酢酸エチル:メタノール)が、出発物質(Rf=0.75)と比較してより高い極性の中間体(Rf=0.35)への完全な変換を示した。溶媒および過剰の酸を、ヘプタン(15mL)との共沸蒸発によって除去した。油状残渣をジクロロメタン(2mL)およびヘプタン(15mL)に取り、濃縮して、白色粉末を得た。粉末をジクロロメタン(5mL)およびトリエチルアミン(2mL)に取り、C2’における酸素から3’Nへのベンゾイル移動を誘発して、粗パクリタキセルを得た。シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(60:40 酢酸エチル:ヘキサン)によって精製し、清浄画分を抜き取り、蒸発して、パクリタキセル0.277gを得た。精製パクリタキセルの1HNMRは、先の既知試料と同じであった。さらに、光学活性エナンチオマーではなくラセミβ-ラクタムを使用し、それによって高コストの酵素試薬を必要としなかった。
前記実施例に示したように、10-DABおよびβ-ラクタム側鎖先駆物質を使用して、パクリタキセルおよびドセタキセルが高収率で製造された。これは、他の保護基と比較して容易に除去された架橋珪素に基づく保護基の新規使用によるものである。表4に列記したものを包含する他の類似の架橋珪素に基づく保護基は、同様の収率の7,10-保護10-DAB誘導体を与える。
Figure 2008543763

Claims (16)

  1. (a) 10-デアセチルバッカチンIII(10-DAB)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を、架橋珪素に基づく保護基で保護して、10-DAB誘導体(12)を生成する工程;
    (b) 10-DAB誘導体(12)を誘導体化して、10-DAB誘導体(17)を生成する工程であって、該誘導体化が、
    (i) 10-DAB誘導体(12)をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理して、10-DAB誘導体(13)を生成し、10-DAB誘導体(13)のC(10)ヒドロキシ基を、塩基の存在下にアルコールで選択的に脱保護して、10-DAB誘導体(14)を生成し、10-DAB誘導体(14)のC(10)ヒドロキシ基をアセチル化して、10-DAB誘導体(17)を生成すること、または
    (ii) 10-DAB誘導体(12)のC(10)ヒドロキシ基を、塩基の存在下にアルコールで選択的に脱保護して、10-DAB誘導体(15)を生成し、10-DAB誘導体(15)のC(10)ヒドロキシ基をアセチル化して、10-DAB誘導体(16)を生成し、10-DAB誘導体(16)をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理して、10-DAB誘導体(17)を生成すること
    を含んで成る工程、および
    (c) 10-DAB誘導体(17)を脱保護して、パクリタキセルを生成する工程;
    [ここで、
    10-DAB誘導体(12)、10-DAB誘導体(13)、10-DAB誘導体(14)、10-DAB誘導体(15)、10-DAB誘導体(16)、および10-DAB誘導体(17)は、それぞれ、式(12)、(13)、(14)、(15)、(16)および(17)に相当し:
    Figure 2008543763
    架橋珪素に基づく保護基は式(2)に相当し:
    Figure 2008543763
    β-ラクタム側鎖先駆物質は式(3B)に相当し:
    Figure 2008543763
    G1、G2、G3およびG4は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシまたはヘテロシクロであり;
    L1およびL2は、独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基であり;
    R10Aは、ヒドロカルビルであり;
    X6は、ヒドロキシ保護基であり;
    Zは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;
    各Z10およびZ11は、独立して、ヒドロカルビルであり;
    nは、1または2である]
    を含んで成る、パクリタキセルの製造法。
  2. (a) 10-DAB(28)を誘導体化して、10-DAB誘導体(30)または10-DAB誘導体(32)を生成する工程であって、該誘導体化が、
    (i) 10-DAB誘導体(28)のC(10)ヒドロキシ基を、塩基の存在下にアルコールで選択的に脱保護して、10-DAB誘導体(29)を生成し、10-DAB誘導体(29)のC(10)ヒドロキシ基をアセチル化して、10-DAB誘導体(30)を生成すること、または
    (ii) 10-DAB誘導体(28)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を塩基で脱保護して、10-DAB誘導体(31)を生成し、10-DAB誘導体(31)のC(10)ヒドロキシ基を選択的にアセチル化して、10-DAB誘導体(32)を生成すること
    を含んで成る工程;および
    (b) 10-DAB誘導体(30)または10-DAB誘導体(32)をパクリタキセルに変換する工程であって、
    (i) C(7)ヒドロキシ位置に結合した-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-O(R10A)-基およびtert-ブトキシカルボニル基を3’窒素位置から除去して、10-DAB誘導体(30)を脱保護し、パクリタキセルを生成すること、または
    (ii) tert-ブトキシカルボニル基を3’窒素位置から除去して、10-DAB誘導体(32)を脱保護し、パクリタキセルを生成すること
    を含んで成る工程;
    [ここで、
    10-DAB誘導体(28)、10-DAB誘導体(29)、10-DAB誘導体(30)、10-DAB誘導体(31)、および10-DAB誘導体(32)は、それぞれ、式(28)、(29)、(30)、(31)および(32)に相当し:
    Figure 2008543763
    G1、G2、G3およびG4は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシまたはヘテロシクロであり;
    R10Aは、ヒドロカルビルであり;
    X6は、ヒドロキシ保護基であり;
    Zは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;
    各Z10およびZ11は、独立して、ヒドロカルビルであり;
    nは、1または2である]
    を含んで成る、パクリタキセルの製造法。
  3. 10-DAB誘導体(260)をパクリタキセルに変換する工程であって、該変換、
    (a) 10-DAB誘導体(260)の3’窒素位置からtert-ブトキシカルボニル基を除去し、それによってC(2’)酸素位置に結合したベンゾイル基を3’窒素位置に移動させること、
    (b) 存在する場合に、-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-O(R10A)-基を、10-DAB誘導体(260)のC(7)ヒドロキシ位置から除去すること
    を含んで成る工程
    [ここで、
    10-DAB誘導体(260)は、式(260)に相当し:
    Figure 2008543763
    R7は、水素または-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-O(R10A)-であり;
    R10Aは、ヒドロカルビルであり;
    G1、G2、G3およびG4は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシまたはヘテロシクロであり;
    Zは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;
    各Z10およびZ11は、独立して、ヒドロカルビルであり;
    nは、1または2である]
    を含んで成る、パクリタキセルの製造法。
  4. 式(210):
    Figure 2008543763
    [式中、
    R7は、水素または-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-O(R10A)-であり;
    R10は、水素またはアセチルであるか;または
    R7およびR10は、一緒になって-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-を形成し;
    R10Aは、ヒドロカルビルであり;
    G1、G2、G3およびG4は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシまたはヘテロシクロであり;
    Zは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;
    各Z10およびZ11は、独立して、ヒドロカルビルであり;
    nは、1または2である]
    に相当する多環式縮合環化合物。
  5. 式(280):
    Figure 2008543763
    [式中、
    R7は、水素または-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-O(R10A)-であり;
    R10は、水素またはアセチルであるか;または
    R7およびR10は、一緒になって-[Si(G3)(G4)]-Z-[Si(G1)(G2)]-を形成し;
    R10Aは、ヒドロカルビルであり;
    X6は、ヒドロキシ保護基であり;
    G1、G2、G3およびG4は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシまたはヘテロシクロであり;
    Zは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;
    各Z10およびZ11は、独立して、ヒドロカルビルであり;
    nは、1または2である]
    に相当する多環式縮合環化合物。
  6. Zは、-(CH2)y-、-[(Z12)-(Z13)]k-[(Z14)]m-、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-、または-O-であり;
    Z12、Z13およびZ14は、それぞれ独立して、-(CH2)y-、またはヘテロ原子であり、但し、Z12およびZ13の少なくとも1つはヘテロ原子であるものとし;
    kは、1〜約4の正の整数であり;
    mは、0または1であり;
    nは、1または2であり;
    yは、1〜約8の正の整数である、請求項1〜5のいずれか1つに記載の方法または化合物。
  7. G1、G2、G3およびG4が、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルである、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法または化合物。
  8. G1、G2、G3およびG4が、独立して、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル、約1〜約6個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはフェニルである、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法または化合物。
  9. L1およびL2が、ハライド脱離基である、請求項1および6〜8のいずれか1つに記載の方法。
  10. L1およびL2が、クロロ脱離基である、請求項1および6〜9のいずれか1つに記載の方法。
  11. L1およびL2が、アミン脱離基である、請求項1および6〜8のいずれか1つに記載の方法。
  12. L1およびL2が、スルホネート脱離基である、請求項1および6〜8のいずれか1つに記載の方法。
  13. 架橋珪素に基づく保護基が、1,3-ジクロロテトラメチルジシロキサン;1,5-ジクロロヘキサメチルトリシロキサン;1,7-ジクロロオクタメチルテトラシロキサン;1,3-ジクロロ-1,3-ジフェニル-1,3-ジメチルジシロキサン;1,3-ジクロロテトラフェニルジシロキサン;1,3-ジビニル-1,3-ジメチル-1,3-ジクロロジシロキサン;1,1,3,3-テトラシクロペニルジクロロジシロキサン;1,1,3,3-テトライソプロピル-1,3-ジクロロジシロキサン;1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタン;1,3-ビス(クロロジメチルシリル)プロパン;1,6-ビス(クロロジメチルシリル)ヘキサン;および1,8-ビス(クロロジメチルシリル)オクタンから成る群から選択される、請求項1および6〜10のいずれか1つに記載の方法。
  14. β-ラクタム側鎖先駆物質が、式(300B):
    Figure 2008543763
    [式中、X6はヒドロキシ保護基である]
    に相当する光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタムである、請求項1および6〜13のいずれか1つに記載の方法。
  15. X6が2-メトキシ-2-プロピル(MOP)である、請求項1〜2および5〜14のいずれか1つに記載の方法または化合物。
  16. (a) N-非置換β-ラクタム(8)を生成する工程であって、
    (i) ベンズアルデヒドをジシラジドと反応させて、イミンを生成すること、
    (ii) 該イミンをケテンアセテールと反応させて、N-非置換β-ラクタム(8)を生成し、N-非置換β-ラクタム(8)がエナンチオマー混合物として存在すること、
    によって行う工程;
    (b) N-非置換β-ラクタム(8)のエナンチオマー混合物を分離する工程であって、該分離が、
    (i) N-非置換β-ラクタム(8)のC(3)ヒドロキシ基からシリル基を除去すること、
    (ii) エナンチマー混合物を光学活性プロリンアシル化剤で、アミンの存在下に処理して、生成物混合物を形成し、該生成物混合物が、第一および第二C(3)-ヒドロキシ置換β-ラクタムエナンチオマーを、それぞれ、光学活性プロリンアシル化剤と反応させることによって生成された第一および第二C(3)-エステル置換β-ラクタムジアステレオマーを含有し、該生成物混合物が、未反応第二C(3)-ヒドロキシβ-ラクタムエナンチオマーを含有する場合もあること
    (iii) 第一C(3)-エステル置換β-ラクタムジアステレオマーを、未反応第二C(3)-ヒドロキシβ-ラクタムエナンチオマーまたは第二C(3)-ヒドロキシ置換β-ラクタムジアステレオマーから分離すること
    を含んで成る工程;および
    (c) 未反応第二C(3)-ヒドロキシβ-ラクタムエナンチオマーまたは第二C(3)-ヒドロキシ置換β-ラクタムジアステレオマーを誘導体化する工程であって、該誘導体化が、
    (i) ヒドロキシ保護基をC(3)ヒドロキシ基に導入すること、
    (ii) ベンゾイル基を-NH基に導入して、式(300B)に相当する光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタムを生成すること
    を含んで成る工程;
    [ここで、
    N-非置換β-ラクタム(8)は、式(8):
    Figure 2008543763
    に相当し、
    R21、R22およびR23は、独立して、アルキル、アリールまたはアラルキルである]
    を含んで成る、式(300B)に相当する光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタムを製造する方法。
JP2008515900A 2005-06-10 2006-06-08 パクリタキセルの製造法 Pending JP2008543763A (ja)

Applications Claiming Priority (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US68942505P 2005-06-10 2005-06-10
US70893105P 2005-08-17 2005-08-17
US70892905P 2005-08-17 2005-08-17
US72452705P 2005-10-07 2005-10-07
US78894306P 2006-04-04 2006-04-04
PCT/US2006/022214 WO2006135656A2 (en) 2005-06-10 2006-06-08 Processes for the preparation of paclitaxel

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2008543763A true JP2008543763A (ja) 2008-12-04

Family

ID=37467606

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008515928A Expired - Fee Related JP5113745B2 (ja) 2005-06-10 2006-06-08 ドセタキセルの製造法
JP2008515900A Pending JP2008543763A (ja) 2005-06-10 2006-06-08 パクリタキセルの製造法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008515928A Expired - Fee Related JP5113745B2 (ja) 2005-06-10 2006-06-08 ドセタキセルの製造法

Country Status (11)

Country Link
US (2) US7358378B2 (ja)
EP (2) EP1891033A2 (ja)
JP (2) JP5113745B2 (ja)
KR (2) KR20080033252A (ja)
AU (2) AU2006258012B2 (ja)
BR (2) BRPI0611737A2 (ja)
CA (2) CA2610908A1 (ja)
IL (2) IL187824A0 (ja)
MX (2) MX2007015596A (ja)
TW (2) TW200718705A (ja)
WO (2) WO2006135656A2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006135669A2 (en) * 2005-06-10 2006-12-21 Florida State University Research Foundation, Inc. RESOLUTION OF ENANTIOMERIC MIXTURES OF β-LACTAMS
GB0701523D0 (en) * 2007-01-26 2007-03-07 Chatham Biotec Ltd Semi-synthetic process for the preparation of taxane derivatives
US20090292131A1 (en) * 2008-05-07 2009-11-26 Ladislav Cvak Processes for preparation of taxanes and intermediates thereof
PL388144A1 (pl) 2009-05-29 2010-12-06 Przedsiębiorstwo Produkcyjno-Wdrożeniowe Ifotam Spółka Z Ograniczoną Odpowiedzialnością Solwaty (2R,3S)-3-tert-butoksykarbonylamino-2-hydroksy-3-fenylopropionianu 4-acetoksy-2α-benzoiloksy -5β,20-epoksy-1,7β,10β-trihydroksy-9-okso-taks-11-en-13α-ylu, sposób ich otrzymywania i zastosowanie

Family Cites Families (19)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2629818B1 (fr) * 1988-04-06 1990-11-16 Centre Nat Rech Scient Procede de preparation du taxol
MY110249A (en) * 1989-05-31 1998-03-31 Univ Florida State Method for preparation of taxol using beta lactam
US5175315A (en) 1989-05-31 1992-12-29 Florida State University Method for preparation of taxol using β-lactam
US5015744A (en) * 1989-11-14 1991-05-14 Florida State University Method for preparation of taxol using an oxazinone
US5430160A (en) * 1991-09-23 1995-07-04 Florida State University Preparation of substituted isoserine esters using β-lactams and metal or ammonium alkoxides
US5284864A (en) * 1991-09-23 1994-02-08 Florida State University Butenyl substituted taxanes and pharmaceutical compositions containing them
US5399726A (en) * 1993-01-29 1995-03-21 Florida State University Process for the preparation of baccatin III analogs bearing new C2 and C4 functional groups
US5602246A (en) * 1992-11-25 1997-02-11 Schering Aktiengesellschaft Process for the preparation of fludarabine or fludarabine phosphate from guanosine
ZA94128B (en) * 1993-02-01 1994-08-19 Univ New York State Res Found Process for the preparation of taxane derivatives and betalactam intermediates therefor
US5703247A (en) * 1993-03-11 1997-12-30 Virginia Tech Intellectual Properties, Inc. 2-Debenzoyl-2-acyl taxol derivatives and methods for making same
US5763477A (en) * 1994-07-22 1998-06-09 Dr. Reddy's Research Foundation Taxane derivatives from 14-β-hydroxy-10 deacetylbaccatin III
US5760251A (en) 1995-08-11 1998-06-02 Sepracor, Inc. Taxol process and compounds
FR2740451B1 (fr) * 1995-10-27 1998-01-16 Seripharm Nouveaux intermediaires pour l'hemisynthese de taxanes, leurs procedes de preparation et leur utilisation dans la synthese generale des taxanes
US7288665B1 (en) * 1997-08-18 2007-10-30 Florida State University Process for selective derivatization of taxanes
EP0933360A1 (en) * 1997-12-22 1999-08-04 Pharmachemie B.V. Synthesis of new beta-lactams
US6479679B1 (en) 2001-04-25 2002-11-12 Napro Biotherapeutics, Inc. Two-step conversion of protected taxane ester to paclitaxel
CA2495476C (en) 2002-08-04 2011-08-02 James H. Johnson Methods and compositions for converting taxane amides to paclitaxel or other taxanes
US20050288521A1 (en) * 2004-06-29 2005-12-29 Phytogen Life Sciences Inc. Semi-synthetic conversion of paclitaxel to docetaxel
CN105879114A (zh) 2005-02-18 2016-08-24 阿布拉西斯生物科学公司 用于整合入医疗装置的疏水性改善的药物

Also Published As

Publication number Publication date
WO2006135656A3 (en) 2007-06-28
JP5113745B2 (ja) 2013-01-09
KR20080033252A (ko) 2008-04-16
TW200716656A (en) 2007-05-01
WO2006135656B1 (en) 2007-08-16
US20060281933A1 (en) 2006-12-14
EP1891033A2 (en) 2008-02-27
KR101333438B1 (ko) 2013-11-27
US20060281932A1 (en) 2006-12-14
AU2006258012A1 (en) 2006-12-21
IL187855A (en) 2013-08-29
BRPI0611771A2 (pt) 2011-12-20
AU2006258012B2 (en) 2011-04-07
MX2007015597A (es) 2008-02-21
IL187824A0 (en) 2008-03-20
IL187855A0 (en) 2008-03-20
AU2006258066A1 (en) 2006-12-21
CA2610898C (en) 2013-01-22
US7550608B2 (en) 2009-06-23
WO2006135692A3 (en) 2007-02-08
CA2610908A1 (en) 2006-12-21
CA2610898A1 (en) 2006-12-21
WO2006135692A2 (en) 2006-12-21
WO2006135656A2 (en) 2006-12-21
EP1893594A2 (en) 2008-03-05
JP2009501134A (ja) 2009-01-15
TW200718705A (en) 2007-05-16
KR20080027829A (ko) 2008-03-28
MX2007015596A (es) 2008-02-21
US7358378B2 (en) 2008-04-15
BRPI0611737A2 (pt) 2011-12-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5475011A (en) Anti-tumor compounds, pharmaceutical compositions, methods for preparation thereof and for treatment
JPH08508254A (ja) β−ラクタムおよびアンモニウムアルコキシドから合成したタキサン
IL168553A (en) History of Bakatin for the process of making a C-4 methylcarbonate analogue of Paclitaxel
US6020507A (en) Synthesis of paclitaxel from baccatin III by protection of the 7-hydroxyl of baccatin III using a strong base and an electrophile
JP5113745B2 (ja) ドセタキセルの製造法
EA000679B1 (ru) C-2' гидроксил-бензил защищенный, n-карбамат защищенный (2r, 3s)-3-фенилизосерин и способ его получения
JP2008545791A (ja) 多環式縮合環化合物の製造法
JP2008545792A (ja) β−ラクタムの合成
KR100921036B1 (ko) 탁산유도체의 제조방법 및 이에 사용되는 중간체
KR20010102234A (ko) 박카틴 iii의 c-7 금속 알콕사이드