JP5113745B2 - ドセタキセルの製造法 - Google Patents

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Description

本発明は、概して、ドセタキセルの製造法に関する。より具体的には、本発明は、架橋珪素に基づく保護基を使用して、10-デアセチルバッカチンIII(10-DAB)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を保護することを含むドセタキセルの製造法に関する。
セイヨウイチイ(taxus baccata L.)の針葉から抽出される10-DAB(1)は、両方とも強力な抗癌剤であるタキソール(パクリタキセルとしても既知)およびドセタキセル(Taxotere(登録商標))の製造における重要な出発物質である。
Figure 0005113745
細胞毒的に活性なタキサンへの10-DABの変換は、C(13)エステル側鎖を形成するための、C(13)ヒドロキシ基の選択的誘導体化を必要とする。10-DABはポリオールであり、かつこれらのヒドロキシ基はそれぞれ、所定の条件下に等しい反応性でないが故に、10-DABからのタキソールまたはドセタキセルの製造には、C(13)側鎖を結合させる前にC(7)およびC(10)ヒドロキシ基の選択的保護および/または誘導体化が典型的には必要である。
10-DABからタキソール、ドセタキセルおよび他のタキサンを製造する初期の方法は、ピリジン中での無水酢酸に対する10-DABの4つのヒドロキシ基の相対的反応性がC(7)-OH>C(10)-OH>C(13)-OH>C(1)-OHであるというSenilhらの観察(C.R. Acad. Sci. Paris, IT, 1981, 293, 501)に基づいていた。Denisら(J. Am. Chem. Soc., 1988, 110, 5917)は、ピリジン中で塩化トリエチルシリルを使用して10-DABのC(7)ヒドロキシ基を選択的にシリル化して、7-トリエチルシリル-10-デアセチルバッカチン(III)を85%の収率で得ることを報告している。
最近、Holtonらは、米国特許第6191287号において、塩基の存在下よりルイス酸の存在下において、C(7)とC(10)との酢酸に対する相対的反応性が異なることを開示している。Holtonらは、10-DABおよび他のタキサンのC(7)またはC(10)ヒドロキシ基の選択的誘導体化の方法を記載し、該方法において、C(7)ヒドロキシ基より先にC(10)ヒドロキシ基を保護または誘導体化しうる。具体的には、Holtonらは、C(7)ヒドロキシ基をアシル化、シリル化またはケタール化する前に、C(10)ヒドロキシ基をアシル化またはシリル化する方法を記載している。
本発明の種々の態様のうちの1つは、既知の方法より少ない工程でドセタキセルを製造する方法を提供することである。それらの工程の1つとして、該方法は、10-デアセチルバッカチンIII(10-DAB)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を、架橋珪素に基づく保護基で保護し、7,10-保護10-DAB誘導体を誘導体化することを含み、保護、誘導体化およびその後の脱保護工程が比較的高い収率で進む。
従って、簡単に言えば、本発明は、下記の工程を含んで成るドセタキセルの製造法を対象とする:
(a) 10-デアセチルバッカチンIII(10-DAB)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を、架橋珪素に基づく保護基で保護して、10-DAB誘導体を生成する工程;
(b) 10-DAB誘導体をさらに誘導体化する工程であって、さらなる誘導体化が、10-DAB誘導体をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理して、側鎖を有する10-DAB誘導体を生成することを含んで成る工程;および
(c) 工程(b)の生成物を脱保護して、ドセタキセルを生成する工程。
他の目的および特徴は、一部は明らかであり、一部は以下に記載する。
本発明の方法によれば、とりわけ、10-デアセチルバッカチンIII(10-DBA)(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を架橋珪素に基づく保護基で選択的かつ同時に保護することによって、ドセタキセルを製造しうることが見出された。次に、得られた7,10-保護10-DAB誘導体を誘導体化し、脱保護して、ドセタキセルを生成する。
一般的に言えば、10-DAB(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を保護するために使用される架橋珪素に基づく保護基は、式(2)に相当する:
Figure 0005113745
[式中、
G1、G2、G3およびG4は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシまたはヘテロシクロであり;
L1およびL2は、独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基であり;
Zは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ヘテロシクロ、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;
各Z10およびZ11は、独立して、ヒドロカルビルであり;
nは、1または2である]。
架橋珪素に基づく保護基が式(2)に相当する一実施形態において、Zはヒドロカルビルである。そのような一実施形態において、Zは-(CH2)y-であり、ここで、yは1〜約8の正の整数である。より好ましくは、この実施形態において、yは1〜約4である。
架橋珪素に基づく保護基が式(2)に相当する他の実施形態において、Zは置換ヒドロカルビルである。1つの特定の実施形態において、Zは-[(Z12)-(Z13)]k-[(Z14)]m-であり、ここで、Z12、Z13およびZ14は、それぞれ独立して、-(CH2)y-、-O-、-S-または-N-であり、但し、Z12およびZ13の少なくとも1つは-O-、-S-または-N-であるものとし、kは1〜約4の正の整数であり、mは0または1であり、yは1〜約4の正の整数である。
架橋珪素に基づく保護基が式(2)に相当するさらに他の実施形態において、Zは-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり、ここで、nは1または2である。即ち、nが1のとき、Zは-O-Si(Z10)(Z11)-O-であり;nが2のとき、Zは-O-Si(Z10)(Z11)-O-Si(Z10)(Z11)-O-である。nが1または2のとき、各Z10および各Z11は独立してヒドロカルビルである(即ち、2個のZ10置換基は同じヒドロカルビル基である必要はなく、2個のZ11置換基は同じヒドロカルビル基である必要はない)。いくつかの実施形態において、Z10およびZ11はアルキルである。他の実施形態において、Z10およびZ11は約1〜約4個の炭素原子を有する低級アルキルである。さらに他の実施形態において、Z10およびZ11はメチルである。
前記の種々の実施形態のいずれか1つにおいて(即ち、Zが、-(CH2)y-、-[(Z12)-(Z13)k-[(Z14)]m-、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-、または-O-である場合)、G1、G2、G3およびG4は、独立して、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルコキシまたはヘテロシクロである。いくつかの実施形態において、G1、G2、G3およびG4は、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルである。他の実施形態において、G1、G2、G3およびG4は、独立して、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル、約1〜約6個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはフェニルである。さらに他の実施形態において、G1、G2、G3およびG4は、独立して、メチル、エテニル、イソプロピル、フェニルまたはシクロペンチルである。G1、G2、G3およびG4のいずれか1つまたはそれ以上がアルコキシである場合、それは好ましくはC1〜C6アルコキシである。
前記の実施形態のいずれか1つまたそれ以上において、L1およびL2は、それぞれ独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基である。一実施形態において、L1およびL2は、ハライド脱離基である。例えば、L1およびL2は、独立して、クロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードであってよい。または、L1およびL2はアミン脱離基であってよい。例えば、L1およびL2は、独立して、環状アミンまたはジアルキルアミン、例えば、イミダゾール、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミンなどであってよい。他の実際形態において、L1およびL2はスルホネート脱離基であってよい。例えば、L1およびL2は、独立して、トシレート、トリフレート、メシレートなどであってよい。
従って、1つの特定の実施形態において、L1およびL2はハライド脱離基であり;G1、G2、G3およびG4は、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;Zは、-(CH2)y-であり;yは1〜約8の正の整数である。
他の特定の実施形態において、L1およびL2はクロロ脱離基であり;G1、G2、G3およびG4は、独立して、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル、1〜約6個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはフェニルであり;Zは、-(CH2)y-であり;yは1〜約4の正の整数である。
第三の特定の実施形態において、L1およびL2はハライド脱離基であり;G1、G2、G3およびG4は、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;Zは、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;nは1または2であり;Z10およびZ11はアルキルである。
第四の特定の実施形態において、L1およびL2はクロロ脱離基であり;G1、G2、G3およびG4は、独立して、約1〜約4個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケニル、約1〜約6個の炭素原子を有するシクロアルキル、またはフェニルであり;Zは、-O-である。
4つの前記特定の実施形態のいずれか1つにおいて、L1およびL2は、ハライド(または、特にクロロ)である代わりに、任意の他の好適な官能性反応性脱離基であってよい。例えば、L1はクロロであってよく、L2は異なる脱離基、例えば、異なるハライド、アミンまたはスルホネート脱離基であってよい。または、L1およびL2のそれぞれが、独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基の任意の他の組合せであってよい。
いくつかの特に好ましい架橋珪素に基づく保護基が表1に記載されている(本発明の方法に使用される各々および他の好適な架橋珪素に基づく保護基は、Gelest, Inc., Morrisville, PAから商業的に入手可能である)。
Figure 0005113745
表1に示されている架橋珪素に基づく保護基のそれぞれは、クロロの代わりに、架橋珪素に基づく保護基の各端におけるシリル原子に結合した他の好適な官能性反応性脱離基を有しうることが、当業者には理解される。例えば、一方の端における脱離基はクロロであってよく、他方の端における脱離基は異なる脱離基、例えば異なるハライド、アミンまたはスルホネート脱離基であってよい。または、2個の脱離基のそれぞれが、独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基の任意の他の組合せであってよい。
前記の架橋珪素に基づく保護基を、天然または合成源から得られる10-DAB(1)と共に使用して、10-DAB(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を保護する。C(7)およびC(10)保護は、以下に詳しく記載される10-DAB(1)の誘導体化、例えば、10-DABにC(13)側鎖を導入するためのβ-ラクタム側鎖先駆物質と10-DABとのカップリング反応に先立って行われる。ドセタキセルに含まれる種々の置換基を有するC(13)側鎖を与えるために10-DAB(1)を適切に誘導体化したら、種々の保護基を除去して(即ち、脱保護して)、ドセタキセルを生成しうる。
前記のように、本発明の方法は、β-ラクタム側鎖先駆物質での処理によって、10-DAB(1)のC(13)位置に側鎖を結合させることを含む。好ましい実施形態において、β-ラクタム側鎖先駆物質は式(3)に相当する:
Figure 0005113745
[式中、X6はヒドロキシ保護基である]。適切なヒドロキシ保護基の例は、アセタール、例えば、テトラヒドロピラニル(THP)、メトキシメチル(MOM)、1-エトキシエチル(EE)、2-メトキシ-2-プロピル(MOP)、2,2,2-トリクロロエトキシメチル、2-メトキシエトキシメチル(MEM)、2-トリメチルシリルエトキシメチル(SEM)およびメチルチオメチル(MTM)である。または、ヒドロキシ保護基は、嵩高いアルキル基を有するシリル保護基、例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリブチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジフェニルメチルシリル、ジメチルフェニルシリルなどであってよい。
一般に、本発明の方法に使用するのに好適なβ-ラクタム側鎖先駆物質は当分野で既知の方法で製造しうる。しかし、種々の実施形態において、通例、式(3)に相当するβ-ラクタム側鎖先駆物質は、反応式1に示される種々の経路によって製造しうる。
Figure 0005113745
反応式1の段階1において、ベンズアルデヒド(4)を、極性非プロトン溶媒(例えばテトラヒドロフラン(THF))の存在下に、ジシラジド(5)と反応させて、フェニル置換イミン(6)を当量の金属シロキシド(6S)と共に生成する。種々の実施形態において、Mはアルカリ金属であり、R51、R52およびR53は、独立して、アルキル、アリールまたはアラルキルである。好ましくは、R51、R52およびR53はメチルである。1つの好ましい実施形態において、ジシラジド(5)は、リチウム−またはナトリウム−ヘキサメチルジシラジド(即ち、LHMDSまたはNaHMDS)である。
段階2において、イミン(6)をケテンアセタール(7)で処理する。種々の実施形態において、R21、R22およびR23は、独立して、アルキル、アリールまたはアラルキルである。好ましくは、R21、R22およびR23はメチルである。さらに、R11、R12、R13、R14、R15およびR16は独立してアルキルであり、但し、R11、R12およびR13、またはR14、R15およびR16のいずれかがメチルであるものとする。1つの好ましい実施形態において、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R21、R22およびR23のそれぞれがメチルである。この実施形態によれば、ケテンアセタール(7)はトリス(トリメチルシリルオキシ)エテンであり、これは商業的に入手可能である。
段階1および段階2の反応は、N-非置換β-ラクタムを生成する。より具体的には、段階2におけるβ-ラクタム環形成反応はジアステレオ選択性であり、(±)シス-β-ラクタム(8)および(±)トランス-β-ラクタム(8)異性体を、約5:1のシス:トランス比で優先的に生成する。N-非置換β-ラクタムの生成後に、(±)シス-β-ラクタムを異性体混合物から結晶化し(例えば、酢酸エチルを使用)、種々の経路で誘導体化して、ドセタキセルの製造用の、適切な置換基を有するβ-ラクタム側鎖先駆物質を生成する(例えば、通例、前記の式(3)に相当するβ-ラクタム側鎖先駆物質)。種々の実施形態において、(±)シス-β-ラクタム(8)のエナンチオマー混合物をそのエナンチオマーに分離することが望ましい場合もある。N-非置換β-ラクタムを分離および/または誘導体化する種々の経路を以下に詳しく説明する。
1つの経路によれば、異性体N-非置換β-ラクタムのC(3)位置を端とするシリル基(即ち、-SiR21R22R23)は、本発明の方法に使用される好適なβ-ラクタム側鎖先駆物質の生成に使用される種々の工程を通して、その位置に留まる。
段階2Tに示されているように、(±)シス-β-ラクタム異性体を、(±)シス-および(±)トランス−β−ラクタムの異性体混合物から結晶化し(例えば、酢酸エチルを使用)、tert-ブトキシカルボニル(t-Boc)基を(例えば、ジ-tert-ブチルジカーボネートを使用して)-NH基に導入することによって誘導体化して、(±)シス-β-ラクタム(30T)を生成する。種々の実施形態において、(±)シス-β-ラクタム(30T)を、本発明の方法におけるβ-ラクタム側鎖先駆物質として使用しうる。または、他の実施形態において、段階3Tに示されているように、(±)シス-β-ラクタム(30T)のエナンチオマー混合物をそのエナンチマーに分離することが望ましい場合もある。段階3Tにおける分離を、当分野で既知の種々の方法、例えば、酵素的分離によって行って、光学活性(3R,4S)-シス-β-ラクタム(300T)を生成することができ、ここで、X6は-SiR21R22R23である(即ち、C(3)位置を端とするシリル基が、段階2Tおよび3Tを通して留まっている)。
別の経路においては、(±)シス-β-ラクタムを異性体混合物から結晶化し(例えば、酢酸エチルを使用)、段階3において、シリル基をN-非置換β-ラクタムのC(3)ヒドロキシ基から除去する。一般に、シリル保護基を除去する方法は既知である。次に、得られたN-非置換(±)シス-β-ラクタム(9)(即ち、(±)シス-3-ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)を誘導体化し、場合により種々の方法によって分離して、本発明の方法に使用される適切なβ-ラクタム側鎖先駆物質を生成する。
前記の段階2Tと同様に、段階4Tにおいて、N-非置換(±)シス-β-ラクタムをヒドロキシ保護基(X6)の導入によって誘導体化して、β-ラクタム上のC(3)ヒドロキシ基を保護する。適切なヒドロキシ保護基は先に詳しく記載されている。
段階4Tにおける誘導体化も、N-非置換(±)シス-β-ラクタム(9)の-NH基へのtert-ブトキシカルボニル(t-Boc)基(例えば、ジ-tert-ブチルジカーボネートを使用)の導入を含む。種々の実施形態において、本発明の方法に使用されるβ-ラクタム側鎖先駆物質は、分離の前に段階4Tにおいて生成されるN-t-Boc-3-ヒドロキシ保護β-ラクタムである。従って、β-ラクタム側鎖先駆物質は、(±)シス-β-ラクタム(300T)に相当する(即ち、β-ラクタムがエナンチオマーの混合物として存在する)。しかし、前記のように、他の実施形態において、N-非置換(±)シス-β-ラクタム(9)のエナンチオマー混合物を、そのエナンチオマーに分離することが望ましい場合もある。所望により、段階4Tにおける分離を、当分野で既知の種々の方法、例えば酵素的分離によって行って、光学的活性(3R,4S)-シス-β-ラクタム(300T)を生成することができ、ここで、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。
さらに他の経路において、N-非置換(±)シス-ラクタム(9)を、アミン存在下のN-置換-L-プロリンアシル化剤(11)でのエナンチオマー混合物の処理によって分離する。例示的なL-プロリンアシル化剤は、段階4に示されているように、N-t-ブトキシカルボニル-L-プロリンまたはN-カルボベンジルオキシ-L-プロリンの酸塩化物、酸無水物または混合無水物である(例えば、Rnはt-ブトキシカルボニルまたはカルボベンジルオキシであり、Rcは、Cl、OC(O)Raであり、ここでRaは、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロである)。Rcがヒドロキシである場合、光学活性プロリンアシル化剤は、プロリン酸を、酸アシル化剤、例えば、p-トルエンスルホニルクロリド(TsCl)、メタンスルホニルクロリド(MsCl)、蓚酸塩化物、ジ-tert-ブチルジカーボネート(Boc2O)、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、アルキルクロロホルメート、2-クロロ-1,3,5-トリニトロベンゼン、ポリホスフェートエステル、クロロスルホニルイソシアネート、Ph3P-CCl4などで処理することによって製造できる。この方法の一実施形態において、L-プロリンアシル化剤が、エナンチオマー対の1つの構成員と優先的に反応して、N-非置換β-ラクタムエナンチオマーの1つからC(3)ジアステレオマー(110)を生成する。即ち、(±)シス-β-ラクタム(9)のエナンチオマー混合物では、下記によってエナンチオマーの1つを光学的に富ませることができる:(i)原混合物をL-プロリンアシル化剤で処理して、β-ラクタムエナンチオマーの1つをエステル誘導体に優先的に変換し(段階4に示す)、(ii)例えば酢酸エチルを使用して、結晶化によって、未反応エナンチオマーをエステル誘導体から選択的に回収して、光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(9)を生成する。または、他の実施形態において、L-プロリンアシル化剤が両方のエナンチオマーと反応して、ジアステレオマー(110および110A)の対を生成する。これらのジアステレオマーは、異なる化学的および物理的特性を有するので、それらを異なる条件下に結晶化させることができ、それによって分離し、C(3)エステルを加水分解して、C(3)ヒドロキシ光学活性3R、4S(+)シス-β-ラクタム(9)を生成しうる。
エナンチオマーが分離されると、光学活性(3R,4S)-シス-β-ラクタム(9)を前記のように誘導体化する。段階6に示されているように、誘導体化は、ヒドロキシ保護基(X6)を、(3R,4S)-シス-β-ラクタム(9)のC(3)ヒドロキシ基に導入して、(3R,4S)-シス-β-ラクタム(90)を得ることを含み、ここで、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。好ましくは、C(3)ヒドロキシ基をp-トルエンスルホン酸(TsOH)および2-メトキシ-2-プロペンでの処理によってMOPで保護する。
誘導体化は、光学活性(3R,4S)-シス-β-ラクタム(90)の-NH基を誘導体化することも含む。段階7Tに示されているように、(3R,4S)-シス-β-ラクタム(90)の-NH基を、tert-ブトキシカルボニル(t-Boc)基(例えば、ジ-tert-ブチルジカーボネートを使用)の導入によって誘導体化して、光学活性(3R,4S)-シス-β-ラクタム(300T)(即ち、(3R,4S)-シス)-N-t-Boc-3-保護ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)を生成する。
本発明の方法の一実施形態を反応式2に示し(該反応式はドセタキセルの製造を示す)、ここで、G1、G2、G3、G4、L1、L2およびZは、式(2)に関して定義したとおりであり、X6はヒドロキシ保護基である。適切なヒドロキシ保護基は先に詳しく記載されている。
Figure 0005113745
反応式2の段階1は、架橋珪素に基づく保護基(2)で10-DAB(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を同時に保護して、7,10-保護10-DAB誘導体(12)を生成することを示す。本明細書に記載されている任意の架橋珪素に基づく保護基を、この工程で使用できる。例えば、一実施形態において、G1、G2、G3およびG4は、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;Zは-(CH2)y-であり;yは1〜約8の正の整数である。他の実施形態において、G1、G2、G3およびG4は、独立して、置換または非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリールまたはシクロアルキルであり;Zは、-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-または-O-であり;nは1または2であり;Z10およびZ11はアルキルである。これら2つの実施形態のいずれにおいても、L1およびL2は、独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基である。
10-DAB(1)の同時保護は、塩基および溶媒の存在下に行うのが好ましい。適切な塩基の例は、アミン塩基、例えばN,N-4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)であり、好適な溶媒の例は、極性非プロトン溶媒、例えばテトラヒドロフラン(THF)である。または、他の実施形態において、しかしながら、他の塩基および溶媒、例えば、無機塩基および/または非極性溶媒も好ましい場合がある。
段階2において、10-DAB誘導体(12)をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理して、10-DAB誘導体(13)を生成する。示されているように、β-ラクタム側鎖先駆物質は、(±)シスまたは光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300T)(即ち、N-ベンゾイル-3-保護ヒドロキシ-4-フェニルアゼチジン-2-オン)に相当し、ここで、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。(±)シスまたは光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300T)は、前記の反応式1に記載した種々の方法および経路のいずれかによるか、または当業者に既知の他の方法によって生成しうる。
10-DAB誘導体(12)を、段階2において、通例、脱プロトン化剤(例えば、有機金属化合物(例えば、n-ブチルリチウムまたはn-ヘキシルリチウム)、またはジシラジド(例えば、NaHMDSまたはLHMDS)、またはアミンまたはアンモニウム含有化合物(例えば、テトラアルキルアンモニウムハライドまたはアルカリ金属ジアルキルアミン))の存在下に、β-ラクタム側鎖先駆物質で処理する。または、しかしながら、10-DAB誘導体(12)を、第三級アミン(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン、N-メチルイミダゾールおよびN,N-4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))の存在下に、β-ラクタム側鎖先駆物質で処理してよい。
7-保護-10-アセトキシ10-DAB誘導体(13)の生成後に、段階3において、10-DAB誘導体(13)を脱保護してドセタキセル(14)を生成する。C(13)エステル結合および/または10-DAB誘導体(13)の多環部における他の加水分解性置換基および/または側鎖を妨害しないように、比較的緩い条件下に、一般に、種々の保護基を加水分解によって(即ち、加水分解剤を使用)除去する。
本発明の方法の好ましい実施形態を反応式3に示し(該反応式はドセタキセルの製造を示す)、ここで、G1、G2、G3、G4、L1、L2およびZは、式(2)に関して定義したとおりであり、X6は先に定義したヒドロキシ保護基である。
Figure 0005113745
反応式3の段階1は、架橋珪素に基づく保護基(2)で10-DAB(1)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を同時に保護して、7,10-保護10-DAB誘導体(12)を生成することを示す。本明細書に記載されている任意の架橋珪素に基づく保護基を、この工程で使用できる。例えば、架橋珪素に基づく保護基は1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(即ち、L1およびL2はクロロであり;G1、G2、G3およびG4はそれぞれメチルであり;Zは-O-である式(2)の化合物)であってよい。他の例として、架橋珪素に基づく保護基は、1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタン(即ち、下記のように定義される式(2)の保護基:L1およびL2はクロロであり;G1、G2、G3およびG4はそれぞれメチルであり;Zは-(CH2)y-であり;yは2である)であってよい。他の例として、架橋珪素に基づく保護基は、1,5-ジクロロヘキサメチルトリシロキサン(即ち、L1およびL2はクロロであり;G1、G2、G3およびG4はそれぞれメチルであり;Zは-[O-Si(Z10)(Z11)-]nO-であり;nは1であり;Z10およびZ11はメチルである式(2)の化合物)であってよい。10-DAB(1)の7,10-保護10-DAB誘導体(12)の変換は、N,N-4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)およびテトラヒドロフラン(THF)溶媒の存在下に行われる。
段階2において、10-DAB誘導体(12)を、LHMDSおよびTHFの存在下に、(±)シスまたは光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300T)で処理して、7,10-保護10-DAB誘導体(13)を生成する。または、10-DAB誘導体(12)を、他の脱プロトン化剤(例えば、有機金属化合物(例えば、n-ブチルリチウムまたはn-ヘキシルリチウム)または他のジシラジド(例えば、NaHMDS)またはアミンまたはアンモニウム含有化合物(例えば、テトラアルキルアンモニウムハライドまたはアルカリ金属ジアルキルアミン))の存在下に、(±)シスまたは光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300T)で処理してよい。前記のように、(±)シスまたは光学活性3R,4S(+)シス-β-ラクタム(300T)は、反応式1に記載した種々の方法によるか、または当業者に既知の他の方法によって生成しうる。
7-保護-10-アセトキシ10-DAB誘導体(13)の生成後に、10-DAB誘導体(13)を、アセトニトリル(ACN)の存在下に塩酸(HCl)で処理して、C(7)、C(10)およびC(2’)ヒドロキシ保護基を除去し(即ち、脱保護し)、それによってドセタキセル(14)を生成する。
略語および定義:
下記の定義および方法は、本発明をよりよく規定し、本発明の実施において当業者を導くために記載する。他に記載しないかぎり、用語は、当業者による一般的使用に従って理解されるものとする。
本明細書に記載される用語「炭化水素」および「ヒドロカルビル」は、元素炭素および水素のみから成る有機化合物または基を意味する。これらの基は、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール基を包含する。これらの基は、他の脂肪族または環状炭化水素基で置換されたアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアリール基、例えば、アルカリール、アルケナリールおよびアルキナリールも包含する。他に規定しない限り、これらの基は、好ましくは1〜20個の炭素原子を有する。
本明細書に記載される「置換ヒドロカルビル」基は、少なくとも1個の炭素以外の原子で置換されたヒドロカルビル基であり、炭素鎖原子が、ヘテロ原子、例えば、窒素、酸素、珪素、燐、硼素、硫黄またはハロゲン原子で置換された基を包含する。これらの置換基は、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステル、エーテルおよびチオエーテルを包含する。
用語「ヘテロ原子」は、炭素および水素以外の原子を意味する。
他に指定しなければ、本明細書に記載されるアルキル基は、主鎖に1〜8個の炭素原子、および20個までの炭素原子を含有する低級アルキルであるのが好ましい。それらは、直鎖または分岐鎖または環状であってよく、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、へキシルなどを包含する。
他に指定しなければ、本明細書に記載されるアルケニル基は、主鎖に2〜8個の炭素原子、および20個までの炭素原子を含有する低級アルケニルであるのが好ましい。それらは、直鎖または分岐鎖または環状であってよく、エテニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、へキセニルなどを包含する。
他に指定しなければ、本明細書に記載されるアルキニル基は、主鎖に2〜8個の炭素原子、および20個までの炭素原子を含有する低級アルキニルであるのが好ましい。それらは、直鎖または分岐鎖または環状であってよく、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、へキシニルなどを包含する。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「アリール」または「アル(ar)」は、任意に置換された単素環式芳香族基、好ましくは環部分に6〜12個の炭素を有する単環式または二環式基、例えば、フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニルまたは置換ナフチルを意味する。フェニルおよび置換フェニルがより好ましいアリールである。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「ハライド」、「ハロゲン」または「ハロ」は、塩素、臭素、弗素および沃素を意味する。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「ヘテロシクロ」または「複素環式」は、任意に置換され、完全に飽和されているかまたは不飽和の、単環式または二環式、芳香族または非芳香族基であって、少なくとも1個の環に少なくとも1個のヘテロ原子を有し、各環に好ましくは5または6個の原子を有する基を意味する。ヘテロシクロ基は、1または2個の酸素原子、1または2個の硫黄原子、および/または1〜4個の窒素原子を環に有するのが好ましく、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りに結合しうる。例示的なへテロシクロは、複素環式芳香族、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニルなどである。例示的な置換基は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルの1つまたはそれ以上である。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「複素環式芳香族」(または複素芳香環)は、少なくとも1個の環に少なくとも1個のヘテロ原子を有し、各環に好ましくは5または6個の原子を有する任意に置換された芳香族基を意味する。複素環式芳香族基は、1または2個の酸素原子、1または2個の硫黄原子、および/または1〜4個の窒素原子を環に有するのが好ましく、炭素またはヘテロ原子を介して分子の残りに結合しうる。例示的な複素環式芳香族、例えば、フリル、チエニル、ピリジル、オキサゾリル、ピロリル、インドリル、キノリニル、イソキノリニルなどである。例示的な置換基は、ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、ケト、ヒドロキシ、保護ヒドロキシ、アシル、アシルオキシ、アルコキシ、アルケノキシ、アルキノキシ、アリールオキシ、ハロゲン、アミド、アミノ、ニトロ、シアノ、チオール、ケタール、アセタール、エステルおよびエーテルの1つまたはそれ以上である。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「アシル」は、有機カルボン酸の-COOH基からヒドロキシ基を除去することによって生成される基、例えばRC(O)-を意味し、ここで、Rは、R1、R1O-、R1R2N-またはR1S-であり、R1は、ヒドロカルビル、ヘテロ置換ヒドロカルビルまたはヘテロシクロであり、R2は、水素、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビルである。
本明細書において単独でまたは他の基の一部として使用される用語「アシルオキシ」は、酸素結合(-O-)を介して結合した前記のアシル基、例えばRC(O)O-を意味し、ここで、Rは用語「アシル」に関して定義したとおりである。
他に指定しないかぎり、本明細書に記載されるアルコキシカルボニルオキシ基は、低級炭化水素または置換炭化水素または置換炭化水素基を含んで成る。
本明細書において使用される用語「ヒドロキシ保護基」は、遊離ヒドロキシ基を保護することができる基を意味し(「保護ヒドロキシ」)、該基は、保護の対象となる反応の後に、分子の残りを妨害せずに除去しうる。ヒドロキシ保護基の例は、次のような基である:エーテル(例えば、アリル、トリフェニルメチル(トリチルまたはTr)、ベンジル、p-メトキシベンジル(PMB)、p-メトキシフェニル(PMP))、アセタール(例えば、メトキシメチル(MOM)、β-メトキシエトキシメチル(MEM)、テトラヒドロピラニル(THP)、エトキシエチル(EE)、メチルチオメチル(MTM)、2-メトキシ-2-プロピル(MOP)、2-トリメチルシリルエトキシメチル(SEM))、エステル(例えば、ベンゾエート(Bz)、アリルカーボネート、2,2,2-トリクロロエチルカーボネート(Troc)、2-トリメチルシリルエチルカーボネート)、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、トリイソプロピルシリル(TIPS)、トリフェニルシリル(TPS)、t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、t-ブチルジフェニルシリル(TBDPS))など。ヒドロキシ基の種々の保護基、およびそれらの合成は、「Protective Gropus in Organic Synthesis」, T.W. GreeneおよびP.G.M Wuts, John Wiley & Sons, 1999に見出される。
本明細書において使用される「10-DAB」は、10-デアセチルバッカチンIIIを意味し;「Ac」は、アセチル(即ち、CH3C(O)-)を意味し;「ACN」は、アセトニトリルを意味し;「Bz」は、ベンゾイル(即ち、C6H5C(O)-)を意味し;「Boc2O」は、ジ-tert-ブチルジカーボネートを意味し;「Cbz」は、カルボベンジルオキシを意味し;「DMAP」は、N,N-4-ジメチルアミノピリジンを意味し;「EtOAc」は酢酸エチルを意味し;「LHMDS」は、リチウムヘキサメチルジシラジドを意味し;「MsCl」はメタンスルホニルクロリドを意味し;「NaHMDS」は、ナトリウムヘキサメチルジシラジドを意味し;「nBuLi」はn-ブチルリチウムを意味し;「Ph」はフェニルを意味し;「t-Boc」は、tert-ブトキシカルボニルを意味し;「TEA」は、トリエチルアミンを意味し;「THF」は、テトラヒドロフランを意味し;「TMSCl」は、トリメチルシリルクロリドを意味し;「TsOH」は、p-トルエンスルホン酸を意味する。
本明細書において使用される用語「タキサン」は、A、BおよびC環を有する化合物を意味する(環位置の番号を下記に示す):
Figure 0005113745
以下の実施例により、本発明を説明する。
実施例1:トリメチルシリル2-(トリメチルシリルオキシ)アセテートの製造
Figure 0005113745
トリメチルシリル2-(トリメチルシリルオキシ)アセテートは、多くの供給業者から入手可能である。しかし、それは、2当量のピリジンの存在下に、低価格のグリコール酸(75ドル($)/Kg、Aldrichより)およびトリメチルシリルクロリド(80ドル/Kg、Aldrichより)から容易に生成できる。典型的には、グリコール酸(76.05g、1mol)を、乾燥ピリジン(164mL、2mol)に溶解し、次に、混合物を氷水浴中で攪拌しながら0〜5℃に冷却した。純トリメチルシリルクロリド(108.64g、1mol)を滴下して、発熱を40℃未満に調節した。塩化ピリジニウムが易流動性固形物として沈殿した。ヘプタン(500mL)を添加して、攪拌を補助した。第二当量の純トリメチルシリルクロリドを添加し、反応が終了するまで混合物を周囲温度22〜40℃で30分間攪拌した。混合物をヘプタン(1L)でさらに希釈し、塩を沈殿させた。ヘプタン層を、中孔質インラインフィルターを経て回転蒸発器に吸い入れ、濃縮して、トリメチルシリル2-(トリメチルシリルオキシ)アセテートの透明油状物(215g、0.98mol)を得た。それを回転蒸発器において70〜75℃で、6〜8mmHgの真空下に蒸留した。
実施例1A
Figure 0005113745
Hartら(Chem. Rev. 1989, 89, 1447-1465)によって報告されているリチウムエノラート(トリメチルシリル(トリメチルシリルオキシ)アセテートをリチウムヘキサメチルジシラジドで処理することによって生成)と、トリメチルシリルベンズアルジミン(アルデヒド(下記の1a-f)およびリチウムヘキサメチルジシラジドからインサイチュで生成)との反応を試験した場合、エノラートの分解が、0〜5℃におけるそれとイミンとの反応より速く生じた。この問題は、エノラートの反応の温度を-25℃に下げ、過剰量(例えば2当量)のエノラートを使用することによって解決された。
従って、ベンズアルデヒド(5.3g、0.05mol)を、0℃で、THF中のLHMDSの1.0M溶液(150mL、0.15mol)に添加し、混合物を30分間攪拌し、次に、-30〜-25℃に冷却した。反応温度が-30℃になると、THF中のトリメチルシリル2-(トリメチルシロキシ)アセテートエステル(22.0g、0.1mol、2当量)の1M溶液を滴下して、発熱を調節し、反応温度を-25℃未満に維持した。混合物をこの温度で1時間攪拌し、次に、-5〜0℃に温めた。混合物をこの温度で18時間攪拌した。混合物を炭酸水素ナトリウム飽和溶液(100mL)で鎮め、1-ブタノール(500mL)で抽出した。1-ブタノールを真空蒸発させ、残渣を、メタノール(75mL)および炭酸ナトリウム(0.5g、0.005mol)に周囲温度にて約1時間で取った。次に、反応混合物を、酢酸(0.6g、0.010mol)、トリエチルアミン(2g、0.02mol)で鎮め、酢酸エチル100mLで希釈した。混合物をシリカゲル(50g)のパッドで濾過し、結晶が形成されるまで、濾液を回転蒸発器において40℃で濃縮した。混合物を0℃の氷浴で30分間冷却し、結晶を真空濾過によって収集し、冷酢酸エチルで洗浄し、4.13g(収率50%)の恒量になるまで乾燥し、白色粉末を得た。
実施例2:3-ヒドロキシ-4-置換-アゼチジン-2-オンの製造
THF中のLHMDSの1M溶液(100mL、0.1mol)を0℃に冷却し、実施例1のように調製したTHF中のトリメチルシリル2-(トリメチルシリルオキシ)アセテート(22.0g、0.1mol)の1M溶液を滴下して、発熱を調節し、温度を0℃〜5℃に維持した。この溶液に、1当量のトリメチルシリルクロリドを添加し、次に、1当量のLHMDSおよび1当量のベンズアルデヒドを攪拌しながら0〜15℃で14時間にわたって添加した。3-トリメチルシリルオキシ-β-ラクタム生成物が、5:1のシス:トランス比において定量的収量で観察された(反応混合物のHNMRによる)。この方法は下記の式4に示されている。
Figure 0005113745
シリルエーテルのメタノリシスは、触媒量の炭酸ナトリウムを使用して、周囲温度において15分間で容易に行われ、所望の生成物シス-ヒドロキシ-4-置換-β-ラクタムが、酢酸エチルからの濃縮後に48%の単離収率で晶出した。
実施例3:3-ヒドロキシ-4-チエニル-アゼチジン-2-オンの製造
典型には、リチウムヘキサメチルジシラジドの1.0M THF溶液(140mL、0.14mol)を窒素下に、THF(140mL)で希釈し、氷水浴で0〜5℃に冷却した。トリメチルシリル2-(トリメチルシリルオキシ)アセテート(33.4g、0.14mol)を20分間にわたって滴下した。このエノラート溶液に、トリメチルシリルクロリド(17.7mL、0.14mol)を添加し、5分間攪拌した後、第二部分のTHF中のLHMDS溶液(100mL、0.10mol)を10分間にわたって添加した。この溶液に2-チオフェンカルボキシアルデヒド(11.2g、0.1mol)を15〜20分間にわたって滴下して、発熱を5℃未満に調節した。この溶液を0〜5℃で14時間攪拌して、イミンを完全に消失させた。
反応物を氷酢酸(6g、0.10mol)で中和し、酢酸エチル(400mL)で希釈し、2Lの分液漏斗に移した。混合物を、水(100mL)および塩水(100mL)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルのパッドで濾過し、濃縮して、黄色固形物を得た。固形物をメタノール(300mL)および固体Na2CO3(1.0g)に取り、混合物を周囲温度で15分間攪拌した。2:1の酢酸エチル:ヘキサンで溶離するTLCモニタは、非極性TMS-エーテル(Rf=0.7)から極性生成物(Rf=0.25)への完全な変換を示した。反応を氷酢酸(0.6mL)で鎮め、混合物を濃縮して、固形物を得た。固形物を熱い酢酸エチル(500mL)に溶解し、不溶性塩をシリカゲルのパッドでの濾過によって除去した。濾液を40℃で回転蒸発下に約40mLの量に濃縮して、結晶形成を誘発した。混合物を周囲温度に冷却し、結晶(8.13g、0.048mol、収率48%)を白色粉末として収集した。さらに、実施例4に記載されるように、反応を炭酸水素ナトリウムで鎮め、1-ブタノールおよび酢酸エチルで抽出する場合に、工程をワンポット操作で好都合に行った。
実施例4:種々のアゼチジン-2-オンの製造
ケテンアセタールトリス(トリメチルシリルオキシ)エテンは、市販製品であり、下記の反応式7に示されているように、種々のアルデヒドから出発するβ-ラクタムの合成に使用することができる。従って、ベンズアルデヒドをリチウムヘキサメチルジシラジドのTHF溶液で0℃において処理した場合、N-トリメチルシリルベンズアルジミンが、当量のリチウムトリメチルシラノレートと共に同時に生成した。この混合物をケテンアセタールと共に10〜15℃で14時間攪拌して、反応式5における反応と同様にβ-ラクタムを生成した。このケテンアセタール反応は、我々が試験した種々の芳香族およびエノール化可能脂肪族化合物に一般的であることが見出され(表2参照)、あらゆる場合に、主にシス-β-ラクタムを生成した。
Figure 0005113745
Figure 0005113745
反応条件を最適化するために、ケテンアセタールを添加する前に、0.8当量のトリメチルシリルクロリドを添加した。この変更によって、生成物β-ラクタムaの単離収率が66%に増加した(式6)。従って、容易に入手できるベンズアルデヒドおよびトリス(トリメチルシリルオキシ)エテンで開始する単一操作において、我々は、タキサン合成の重要な中間体であるβ-ラクタムaを高純度で得た。
Figure 0005113745
1つの実験において、THF中のLHMDSの0.5M溶液を、-10〜0℃に冷却し、次に、1.0当量のベンズアルデヒドを15分間にわたって添加して、発熱性イミン反応温度を15℃未満に調節した。反応温度が-10〜-5℃になったら、純トリス(トリメチルシリル)エテン(1.2当量)を添加した。混合物をこの温度で14時間攪拌した。反応の終了を、イミンの消失に関するHNMRによってモニタした。終了した時点で、トリメチルシリルクロリド(1当量)を添加して、リチウムトリメチルシラノレートを揮発性ヘキサメチルジシロキサンに変換した。反応混合物の1/10の量の水で、反応物を2回洗浄して、塩化リチウム塩を除去した。THF溶液に触媒量の1.0M HClを添加し、2時間攪拌して、TLC分析(EtOAc:ヘプタン、3:1)によってモニタされる中間体(Rf=0.8)の完全脱シリル化を行って、生成物(Rf=0.2)を得た。反応物中の塩酸をトリエチルアミンで鎮め、混合物をシリカゲルのパッドで濾過し、次に、回転蒸発下にTHFを酢酸エチルと交換した。結晶を白色固形物として収集し、冷酢酸エチルで洗浄した。β-ラクタムa: 融点140〜145℃;1H NMR(400MHz、CDCl3)(ppm):2.26(d, J=9.4Hz, 1H), 4.96(d, J=4.96Hz, 1H), 5.12(m, 1H), 4.15(bm, 1H), 7.41(m, 5H)
別の試験において、ベンズアルデヒドをLHMDSの1.0M THF溶液(100mL、0.1mol)に0℃で添加し、混合物を15分間攪拌し、次に、TMSCl(10mL、0.08mol)を添加した。この溶液に、トリス(トリメチルシリルオキシ)エチレン(40mL、0.12mol)を添加し、混合物を-10〜-5℃で24時間攪拌した。混合物を周囲温度に2時間温め、炭酸水素ナトリウム飽和溶液(25mL)で鎮め、周囲温度で30分間攪拌し、相を分離した。水性相を1-ブタノール(200mL)で逆抽出し、有機相を合わせ、塩水(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルのパッドで濾過し、濃縮して、固形物を得た。固形物を熱い酢酸エチル(800mL)に取り、不溶性固形物をシリカゲルのパッドでの濾過によって除去した。濾液を40℃で回転蒸発下に約15mLの量に濃縮して、結晶形成を誘発した。混合物を周囲温度に冷却し、結晶(10.73g、0.025mL、収率66%)を白色粉末として収集した。β-ラクタムa:融点140〜145℃;1H NMR(400MHz、CDCl3)(ppm):2.26(d, J=9.4Hz, 1H), 4.96(d, J=4.96Hz, 1H), 5.12(m, 1H), 4.15(bm, 1H), 7.41(m, 5H)
実施例5:トリメチルシリル2-(トリメチルシロキシ)アセテート
Figure 0005113745
グリコール酸(91.2g、2.4mol)を、窒素下の機械攪拌および還流冷却器によって、ピリジン(194g、2.45mol)およびアセトニトリル(600mL)に溶解した。トリメチルシリルクロリド(TMSCl、260g、2.4mol)を、添加漏斗から30分間にわたって添加した。混合物を30分間攪拌し、ヘキサン(250mL)を添加し、相を分離した。底相に2回目のヘキサン(100mL)を添加し、5分間激しく攪拌した。次に、相を分離し、ヘキサン相を合わせ、30℃で回転蒸発下に濃縮して、240g(収率91%)の既知のアセテートを得た。
実施例6:トリス(トリメチルシロキシ)エテン
Figure 0005113745
LHMDSの0.5M THF溶液(200mL、0.1mol)に、0℃で、トリメチルシリル-2-(トリメチルシロキシ)アセテート(23.9mL、0.1mol)を15分間にわたって滴下し、混合物をこの温度でさらに15分間攪拌して、リチウムエノラートを生成した。トリメチルシリルクロリド(12.5mL、0.1mol)を15分間にわたって添加して、エノラートをトリス(トリメチルシロキシ)エテン生成物として捕捉した。混合物を周囲温度に温め、THF溶媒を40℃で真空回転蒸発によって除去して、塩化リチウムを沈殿させた。混合物をヘキサン300mLおよびトリエチルアミン5mLに取り、5分間攪拌し、塩を沈降させた。上澄みを珪藻土のパッドで2回濾過して、透明溶液を得た。溶液を回転蒸発下に濃縮して、淡黄色油状物を得た。溶液を回転蒸発下に濃縮して、市販製品と同じ淡黄色油状物を得た。沸点:1mmHgにおいて90℃
実施例7:N-トリメチルシリル-3-トリメチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 0005113745
以前に報告されていないN-トリメチルシリルβ-ラクタムをトリメチルシリル-2-トリメチルシロキシ-アセテートから合成するワンポット法は、低温冷却を必要としない有効な経済的方法であることが分かった。発熱反応温度を30℃未満に調節する速度で、乾燥1,2-ジメトキシエタン(505mL)中のヘキサメチルジシラザン(390g、2.42mol)の磁気攪拌溶液に、窒素下に循環冷却機を使用して0℃で、n-ブチルリチウムの2.5M溶液(840mL、2.1mol)を添加して(45分間)、必要とされるLHMDS塩基をインサイチュで生成した。LHMDS溶液温度が10℃未満に達した時に、TMSCl(119.5g、1.1mol)とトリメチルシリル-2-(トリメチルシロキシ)アセテート(240g、1.1mol)との正味混合物を15分間にわたって添加して、トリス(トリメチルシロキシ)エテンをインサイチュで得た。次に、発熱反応温度を25℃未満に調節する速度で、純ベンズアルデヒド(106.12g、1.0mol)を添加して、N-トリメチルシリル-ベンズアルジミンをインサイチュで得た。5.4ppm(CDCl3)におけるケテンアセタール共鳴の消失が12時間の反応時間で生じたことが1HNMRモニタにより示されるまで、混合物を周囲温度(22℃)で反応させた。発熱反応温度を22℃未満に維持しながら、反応混合物を、トリメチルクロロシラン(TMSCl、108.64g、1.0mol)、トリエチルアミン(25.3g、0.25mol)、次に、酢酸(6.0g、0.1mol)で鎮めた。混合物をヘキサン(500mL)で希釈し、得られた塩化リチウム塩を、セライト(200g)のパッドでの濾過によって除去し、次に、フィルターケーキをヘキサン(250mL)で洗浄した。濾液を回転真空蒸発下に濃縮して残渣を得た。残渣をヘキサン(500mL)に取り、-25℃で静置して、結晶形成を誘発した。白色結晶を真空濾過によって収集し、-20℃の冷ヘキサン(200mL)で洗浄し、152gの恒量になるまで乾燥した。濾液を濃縮して残渣を得、ヘキサン(200mL)に取り、前記のように再結晶して、第二収集物32gを得た。HNMR分析によって純粋なシス-N-トリメチルシリル-3-トリメチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンであることを確認した後に、収集物を合わせた(184g、収率60%)。融点:53〜55℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):0.11(s, 9H), 0.14(s, 9H), 4.63(d, J=5.01Hz, 1H), 5.06(d, J=5.01Hz, 1H), 7.31(m, 5H)
実施例8:シス-3-トリメチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 0005113745
ヘキサン(600mL)中のN-トリメチルシリル-3-トリメチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(140g、0.46mol)の溶液に、周囲温度で、トリエチルアミン(101g、1mol)、メタノール(22g、0.7mol)を添加し、混合物を15分間攪拌して、N-脱シリル化生成物の結晶を形成した。混合物を0℃に15分間冷却し、白色結晶を真空濾過によって収集し、冷ヘキサンで洗浄し、94g(収率87%)の恒量になるまで乾燥した。融点:118〜120℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):-0.08(s, 9H), 4.79(d, J=4.4Hz, 1H), 5.09(dd、J=4.4, 2.7Hz, 1H), 6.16(bm, 1H), 7.3〜7.4(m, 5H)
実施例9:シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 0005113745
メタノール(500mL)中のN-トリメチルシリル-3-トリメチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(150g、0.49mol)の不均質溶液に、触媒量のトリメチルクロロシラン(1.08g、1mmol)を添加し、混合物を周囲温度で攪拌して、透明溶液を得た。反応の薄層クロマトグラフィー(TLC)モニタ(酢酸エチルおよびヘキサン(3:1)で溶離)は、15分後に完全な変換が行われたことを示した。反応混合物をトリエチルアミン(10.1g、0.1mol)で鎮め、結晶が形成されるまでメタノールを40℃で回転蒸発下に除去した。酢酸エチル(300mL)を添加し、蒸発を継続して、残留メタノールを除去して、濃厚スラリーを得、次に、0〜5℃で20分間冷却した。白色結晶を真空濾過によって収集し、次に、0℃の冷酢酸エチル(75mL)で洗浄し、前記の所望生成物の恒量75g(収率94%)に乾燥した。
実施例10:1-(トリエチルシリルオキシ)-1,2-ビス(トリメチルシリルオキシ)エテン
Figure 0005113745
THF(100mL)中のジイソプロピルアミン(15.5mL、0.11mol)の溶液に、-78℃で、n-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(70mL、0.11mol)を15分間にわたって添加した。この温度でさらに15分間攪拌した後、トリエチルシリルクロリド(16.7mL、0.1mol)を10分間にわたって添加し、次に、トリメチルシリル-2-(トリメチルシロキシ)アセテート(24.4mL、0.1mol)を30分間にわたって添加した。反応物を-78℃で30分間攪拌し、低温浴を除去することによって周囲温度に温めた。THF溶媒を40℃で真空回転蒸発によって除去して、塩化リチウムを沈殿させた。混合物をヘキサン300mLおよびトリエチルアミン5mLに取り、5分間攪拌し、塩を沈降させた。上澄みを珪藻土のパッドで2回濾過して、透明溶液を得た。溶液を回転蒸発下に濃縮して、淡黄色油状物を、幾何異性体の混合物(4:1)として得た。
実施例11:トリエチルシリル-2-(トリエチルシリルオキシ)アセテート
Figure 0005113745
グリコール酸(76.05g、1mol)を、乾燥ピリジン(164mL、2mol)に溶解し、混合物を攪拌しながら氷水浴で冷却した。純トリエチルシリルクロリド(115g、1mol)を滴下して、発熱を40℃未満に調節した。塩化ピリジニウムが易流動性固形物として沈殿した。ヘプタン(500mL)を添加して、攪拌を補助した。第二当量の純トリエチルシリルクロリドを添加し、反応が終了するまで混合物を周囲温度(22〜40℃)で30分間攪拌した。混合物をヘプタン(1L)でさらに希釈し、塩を沈殿させた。ヘプタン層を、中孔質インラインフィルターを経て回転蒸発器に吸い入れ、濃縮して、トリエチルシリル-2-(トリエチルシリルオキシ)アセテートエステルの透明油状物(215g、0.98mol)を得た。油状物を真空蒸留によってさらに精製した。沸点:128〜130℃、1.5mmHg
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):0.64(q, J=8.04Hz, 6H), 0.78(q, J=8.04, 6H), 0.97 (t, J=8.04, 2x9H), 4.2(s, 2H)
実施例12:トリス(トリエチルシロキシ)エテン
Figure 0005113745
エステルを、0.5M THF(200mL、0.1mol)溶液に15分間にわたって添加し、混合物をこの温度でさらに15分間攪拌して、リチウムエノラートを生成した。トリエチルシリルクロリド(16.7mL、0.1mol)を15分間にわたって添加して、エノラートをトリス(トリエチルシロキシ)エテン生成物として捕捉した。混合物を周囲温度に温め、THF溶媒を40℃で真空回転蒸発によって除去して、塩化リチウムを沈殿させた。混合物をヘキサン300mLおよびトリエチルアミン5mLに取り、5分間攪拌し、その間に塩を沈降させた。上澄みを珪藻土のパッドで2回濾過して、透明溶液を得た。溶液を回転蒸発下に濃縮して、淡黄色油状物を得た。
実施例13:1,2-ビス(トリエチルシリルオキシ)-1-(トリメチルシリルオキシ)エテン
Figure 0005113745
THF(100mL)中のジイソプロピルアミン(15.5mL、0.11mol)の溶液に、-78℃で、n-ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(70mL、0.11mol)を15分間にわたって添加した。この温度でさらに15分間攪拌した後、トリエチルシリルクロリド(16.7mL、0.1mol)を10分間にわたって添加し、次に、トリエチルシリル-2-(トリエチルシロキシ)アセテート(37.6g、0.1mol)を30分間にわたって添加した。反応物を-78℃で30分間攪拌し、低温浴を除去することによって周囲温度に温め、THF溶媒を40℃で真空回転蒸発によって除去して、塩化リチウムを沈殿させた。混合物をヘキサン300mLおよびトリエチルアミン5mLに取り、5分間攪拌し、塩を沈降させた。上澄みを珪藻土のパッドで2回濾過して、透明溶液を得た。溶液を回転蒸発下に濃縮して、淡黄色油状物を幾何異性体の1:1混合物として得た。
実施例14:シス-3-トリエチルシロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 0005113745
発熱反応温度を30℃未満に調節する速度で、乾燥1,2-ジメトキシエタン(50mL)中のヘキサメチルジシラザン(39g、0.242mol)の磁気攪拌溶液に、窒素下に循環冷却機を使用して0℃で、n-ブチルリチウムの2.5M溶液(84.0mL、0.21mol)を添加して(15分間)、必要とされるLHMDS塩基をインサイチュで生成した。LHMDS溶液温度が-30℃未満に達した時に、TMSCl(12g、0.11mol)の正味溶液を添加し、トリエチルシリル-2-(トリエチルシロキシ)アセテート(33.5g、0.11mol)を15分間にわたって添加して、1,2-ビス(トリエチルシリルオキシ)-1-(トリメチルシリルオキシ)エテンを、幾何異性体の混合物(6:1)としてインサイチュで得た。次に、発熱反応温度を-25℃未満に調節する速度で、純ベンズアルデヒド(10.6g、0.10mol)を添加して、N-トリメチルシリル−ベンズアルジミンをインサイチュで得た。ヘキサン溶媒を真空除去し、5.43ppm(CDCl3)におけるケテンアセタール共鳴の消失が14時間の反応時間後に生じたことが1HNMRモニタにより示されるまで、混合物を周囲温度(22℃)で反応させた。発熱反応温度を22℃未満に維持しながら、反応混合物を、トリメチルクロロシラン(TMSCl、10.8g、1.0mol)、トリエチルアミン(2.53g、0.025mol)および酢酸(0.60g、0.01mol)で鎮めた。混合物をヘキサン(50mL)で希釈し、得られた塩化リチウム塩を、セライト(20g)のパッドでの濾過によって除去し、次に、フィルターケーキをヘキサン(25mL)で洗浄した。濾液を回転真空蒸発下に濃縮して残渣を得た。残渣を、ヘキサン(50mL)、トリエチルアミン(5mL)およびメタノールに周囲温度で取り、15分間攪拌した。混合物のTLC分析(酢酸エチル:ヘキサン(2:1)で溶離)は、10分間の反応時間後に所望生成物(Rf=0.45)への完全な変換を示した。次に、混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、シリカゲル(25g)のパッドで濾過し、結晶が形成されるまで濃縮した。結晶を真空濾過によって収集し、ヘキサンで洗浄し、7.68gの恒量の白色易流動性粉末に乾燥した。周囲温度で2時間静置した後に、濾液から第二収集物2.8gを得た。合わせた収率は38%であった。融点:98〜100℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):0.44(m, 6H), 0.78(t, J=8.0Hz, 9H), 4.80(d, J=4.80, 1H), 5.08(dd, 4.80, 2.80, 2H), 6.18(bs, 1H), 7.28〜7.38(m, 5H)
実施例15:シス-N-t-ブトキシカルボニル-3-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 0005113745
ラセミシス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(100g、0.61mol)を、THF(2.7L)に、周囲温度において約25mL/gで溶解し、次に、-10〜-15℃に冷却した。TsOH一水和物触媒(3.5g、0.018mol、3mol%)を添加し、次に、2-メトキシ-2-プロペン(65mL、1.1〜1.2当量)を滴下して、発熱反応を調節した。反応をTLCによってモニタし、2-メトキシ-2-プロペン(2.9mL)を、出発物質が消失するまで必要に応じて添加した。トリエチルアミン(85mL、0.612mol)を添加して、TsOH触媒を鎮めた。ジ-tert-ブチルジカーボネート(160.5g、0.735mol、1.2当量)をDMAP(2.25g、0.018mol、3mol%)と共に添加し、反応を、周囲温度で、終了するまで進めた。混合物を、使用したTHFとほぼ同量のヘプタン(1.97L)で希釈し、シリカゲル(100g)床で濾過して、極性触媒を除去した。フィルターケーキを酢酸エチル:ヘプタンの1:1混合物1Lで洗浄して、完全な生成物回収を確実にした。結晶形成が生じるまで濾液を濃縮した。結晶を収集し、2%トリエチルアミンを含有する氷冷ヘプタンで洗浄した。粉末を、真空下に(0.1mmHg)、周囲温度(22℃)で161.0g(0.48mol、78%)の恒量になるまで乾燥した。融点:90〜92℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):0.92(s, 3H), 1.21(s,3H), 1.37(s, 9H), 1.58(s, 3H), 3.12(s, 3H), 5.03(d, J=5.69Hz, 1H), 5.17(d, J=5.69Hz, 1H), 7.33(m, 5H)
実施例16:ラセミシス-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 0005113745
無水ジメトキシエタン(200mL)中のヘキサメチルジシラザン(HMDS、460mL、2.2mol)の溶液に、0℃で、n-ブチルリチウムの2.5M溶液(nBuLi、800mL、2.0mol)を45分間にわたって添加して、反応温度を40℃未満に維持した。添加後に、ベンズアルデヒドを反応混合物に1時間にわたって添加して、反応温度を40℃未満に維持した。添加後に、混合物を0℃に冷却し、トリス(トリメチルシロキシ)エテン(643g、2.2mol)を添加し、混合物を、反応が終了するまで(12時間)攪拌し、反応の終了は、エテン出発物質の消失によって確認した。反応混合物を、トリメチルシリルクロリド(TMSCl、217.28g、1.0当量)、トリエチルアミン(50mL)および酢酸(20mL)で鎮め、酢酸エチル(1.0L)で希釈した。リチウム塩を、焼結漏斗での濾過によって除去した。濾液を濃縮乾固した。固形物をヘプタン(1.0L)に取り、メタノール(96g、1.5当量)で20〜40℃において処理して、生成物の結晶を得た。固体生成物をブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、ヘプタン中15%の冷酢酸エチルで洗浄した。固形物を酢酸エチル(1.5L)に取り、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム(200g)で乾燥し、濃縮して、白色粉末を得た。融点:118〜120℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):-0.08(s, 9H), 4.79(d, J=4.4Hz, 1H), 5.09(dd, J=4.4、2.7Hz, 1H), 6.16(bm, 1H)、7.3〜7.4(m,5H)
実施例17:ラセミシス-N-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 0005113745
ラセミシス-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(11.5g、48.9mmol)を、テトラヒドロフラン(THF、250mL)に、周囲温度で窒素下に溶解し、ジ-tert-ブチルジカーボネートをN,N-4-ジメチルアミノピリジン(DMAP、0.185g、1.5mmol)と共に添加し、混合物を、ガスの発生が止むまで磁気攪拌した。混合物をシリカゲル(10g)床で濾過し、回転蒸発器で濃縮して、白色固体生成物を得た。生成物を冷ヘプタン(50mL)で洗浄し、真空濾過によって収集し、周囲温度で真空下に(0.2mmHg)、12.3g(収率75%)の恒量になるまで乾燥した。融点:75〜77℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):-0.07(s, 9H), 1.38(s, 9H), 5.01(d, J=5.6Hz, 1H), 5.06(d, J=5.6Hz, 1H), 7.26〜7.38(m, 5H)
実施例18:ラセミ(±)-シス-N-t-ブトキシカルボニル-3-ジフェニルメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 0005113745
THF(70mL)中のラセミ(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(4.5g、27.8mmol)の溶液に、窒素下に、トリエチルアミン(8.4g、83.4mmol)、DMAP(100mg、0.83mmol)を添加し、0℃に冷却した。ジフェニルメチルシリルクロリド(7.1g、30.6mmol)を滴下し、TLC(酢酸エチルとヘキサンとの3:1混合物で溶離)によって示される出発物質の完全消失まで、混合物を0℃で30分間攪拌した。ジ-tert-ブチルジカーボネート(Boc2O、6.68g、30.6mmol)を添加し、混合物を周囲温度で3時間攪拌して、TLC(3:1 酢酸エチル:ヘプタン)によって示される所望生成物への完全な変換を得た。混合物をヘプタン(150mL)で希釈し、シリカゲル(20g)で濾過し、濾液を濃縮して固形物を得た。固形物をヘプタン(150mL)から再結晶して、白色粉末(9.5g、74%)を得た。融点:98℃。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):0.46(s, 3H), 1.39(s, 9H), 4.94(d, J=5.5Hz, 1H), 5.04(d, J=5.5Hz, 1H), 7.2〜7.4(m 15H)
実施例19:(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-(2-フリル)-アゼチジン-2-オンの分離
(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-(2-フリル)-アゼチジン-2-オン(500g、3.265mol)を、0.5当量のp-トルエンスルホニルクロリド(335.53g、1.76mol)および1-メチルイミダゾール(303.45g、3.7mol)の存在下に、-78℃で12時間にわたってN-t-Boc-L-プロリン(378.83g、1.76mol)で処理した。混合物をシリカゲル5kgで濾過した。t-Boc-L-プロリンエステルの望ましくない(-)-β-ラクタムエナンチオマーを、水でのトリチュレーションによって除去した。2-メチル-1-プロパノールを用いた水の共沸除去によって所望のエナンオマーを回収し、酢酸エチルから再結晶して、所望の(+)-シス-3-ヒドロキシ-4-(2-フリル)-アゼチジン-2-オンを得た。酢酸エチルからの再結晶後の光学純度は98%超であった。融点:133〜135℃。[α]20D=+109.5(MeOH, c=1.0)、1H NMR(400MHz、CDCl3)(ppm):2.69(bs, 1H), 4.91(d, J=4.96Hz, 1H), 5.12(bs, 1H), 6.10(bs, 1H), 6.34(dd, J=3.32, 3.32Hz, 1H), 6.47(d, J=3.32Hz, 1H), 7.49(m, 1H)
実施例20:(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンの分離
(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(60g、0.368mol)を、0.5当量のp-トルエンスルホニルクロリド(35g、0.184mol)および1-メチルイミダゾール(45mL、0.56mol)の存在下に、-78℃で12時間にわたってN-cBz-L-プロリン(45g、0.184mol)で処理した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルで濾過して、1-メチルイミダゾリウムトシラート塩を除去した後に、所望のジアステレオマーを酢酸エチルから結晶化して、白色固形物14.5g(48%)を得た。このプロトコールはエナンチオマー混合物の動的分離を生じて、所望の(+)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンを与えた。酢酸エチルからの再結晶後の光学純度は98%超であった。融点:175〜180℃;[α]578 20=+202(MeOH, c=1.0)、1H NMR(400MHz、CDCl3)(ppm):2.26(d, J=9.4Hz, 1H), 4.96(d, J=4.96Hz, 1H), 5.12(m, 1H), 4.15(bm, 1H), 7.41(m, 5H)
実施例21:(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンの動的分離
Figure 0005113745
乾燥250mL丸底フラスコに、アセトニトリル(50mL)および1-メチル-イミダゾール(28g、0.2mol)を窒素下に添加し、混合物を0〜5℃に冷却した。メタンスルホニルクロリド(MsCl、17.44g、0.1mol)を混合物にゆっくり添加して、発熱反応を調節した。反応温度が0〜-5℃に低下した後に、N-cBz-L-プロリン(25g、0.1mol)を添加し、混合物をこの温度で30分間攪拌した。分離3Lフラスコにおいて、窒素下に、ラセミ(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(16.3g、0.1mol)をアセトン(1L)に溶解し、-65〜-78℃に冷却し、機械的に攪拌した。温度が-65℃未満に達したら、プロリン試薬を含有するフラスコの含有物を、ラセミ出発物質のアセトン溶液に添加した。混合物をこの温度で最低6時間維持し、白色沈殿物が観察された。沈殿物を沈降させ、上澄みを、真空吸引によって浸漬フィルターを経て冷溶液(約-45℃)として回転蒸発器に移した。アセトンを除去し、酢酸エチル(500mL)およびトリエチルアミン(50g、5当量)塩基と交換した。得られた塩を濾過によって除去し、濾液を約100mLに濃縮し、結晶形成を生じさせた。結晶をブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、冷酢酸エチルで洗浄し、真空下(0.1mmHg)に周囲温度で7.5g(収率46%)の恒量になるまで乾燥した。
式7に従って、1H NMRによって、Boc-L-プロリンを使用して、β-ラクタムのジアステレオマーエステルの比率(SSS:RRS)によって、動的分離の有効性を確認した。表3において、TsClはトシルクロリドであり、Boc2Oはジ-tert-ブチルジカーボネートであり、MsClはメシルクロリドであり、MstClはメシチルクロリドである。
Figure 0005113745
Figure 0005113745
実施例22:(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンの古典的分離
Figure 0005113745
前記の動的分離の代替法として、プロリンエステルのジアステレオマー混合物を、酢酸エチルからの再結晶によって分離した。次にプロリンエステルを別々に加水分解して、β-ラクタムの両方のエナンチオマーを得、キラルアミノ酸を回収する。従って、アセトニトリル(80mL)中のN-メチル-イミダゾール(12g、150mmol)の溶液に、0℃で、メタンスルホニルクロリド(MsCl、5.7g、50mmol)を添加し、発熱反応温度が0℃で安定するまで15分間攪拌した。この溶液に、N-Boc-L-プロリン(11g、50mmol)を少しずつ添加し、0℃で30分間攪拌した。ラセミ(±)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(8.2g、50mmol)を少しずつ添加し、TLCモニタ(3:1 酢酸エチル:ヘキサン)が1時間後にエステル生成物への完全な変換を示すまで、混合物をこの温度で攪拌した。アセトニトリル溶媒を40℃で回転蒸発下に除去し、残渣を酢酸エチル(500mL)に取り、水(100mL)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥剤を真空濾過によって除去し、濾液を濃縮して固形物18gを得た。混合物の一部(7g)を40℃の酢酸エチル(60mL)に取り、結晶(1.5g)を40℃で形成し、結晶を収集し、該結晶は(2S)-tert-ブチル(3R,4S)-2-オキソ-4-フェニルアゼチジン-3-イルピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの所望の3R,4S-ジアステレオマーであることが示された。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):このジアステレオマーは、5.12ppm低磁場における多重項から、エステル化生成物における二重項の二重項対(J=4.68, 2.57Hz)としての5.8ppmへの出発物質C(3)-カルビノールプロトンの特徴的化学シフト変化によって典型的に表されるようなNMR時間スケールにおいて1.7:1(δ(ppm)5.84:5.87)ジアステレオマー対として存在する。
濾液を周囲温度で5時間静置して、第二結晶形を得(2.4g)、該結晶は(2S)-tert-ブチル(3S,4R)-2-オキソ-4-フェニルアゼチジン-3-イルピロリジン-1,2-ジカルボキシレートの3S,4R-ジアステレオマーであることが示された。1H NMR(400MHz、CDCl3)δ(ppm):このジアステレオマーは、5.12ppm低磁場における多重項から、エステル化生成物における二重項の二重項対(J=4.68, 2.57Hz)としての5.9ppmへの出発物質C(3)-カルビノールプロトンの特徴的化学シフト変化によって典型的に表されるようなNMR時間スケールにおいて1:1.9(δ(ppm)5.90:5.94)ジアステレオマー対として存在する。
古典的熱力学支配分離が動的分離と異なる点は、理論量の試薬が使用され、注意深い低温調節が不可欠でないことである。しかし、古典的分離は、所望のC3-ヒドロキシ置換β-ラクタムを回収するために、ジアステレオマーエステルを脱エステル化する1つの付加的工程を必要とする。
実施例23:光学活性(+)-シス-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 0005113745
光学活性(+)-シス-3-ヒドロキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(3.4g、20.8mmol)を、トリエチルアミン(5.8g、57.4mmol)およびDMAP(76mg、0.62mmol)と共に、0℃でTHF(30mL)に溶解した。トリメチルシリルクロリド(2.4g、22mmol)を滴下し、混合物を30分間攪拌した。TLC(3:1 酢酸エチル:ヘプテン)は、より低い極性の生成物への完全な変換を示した。混合物を酢酸エチル(30mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(15mL)、塩水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(5g)で乾燥した。硫酸ナトリウムを濾過し、濾液を濃縮し、溶媒をヘプタン(50mL)と交換して、白色粉末を得た。粉末を、ブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、真空下に(<1mmHg)周囲温度で乾燥して、3.45g(収率72%)の恒量になるまで乾燥した。融点:120〜122℃。[α]22 578=+81.9(MeOH, 1.0)、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm):-0.08 (s, 9H), 4.79 (d, J= 4.4 Hz, 1H), 5.09 (dd, J=4.4, 2.7 Hz, 1H), 6.16 (bm, 1H), 7.3 to 7.4 (m, 5H)
実施例24:光学活性(+)-シス-N-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン
Figure 0005113745
THF(10mL)中の光学活性(+)-シス-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(0.95g、4mmol)の溶液に、トリエチルアミン(1.1g、5mmol)、DMAP(15mg、0.12mmol)およびジ-tert-ブチルジカーボネート(Boc2O、5.04g、5mmol)を添加した。混合物を、ガスの発生が止むまで周囲温度で攪拌し、より低い極性の生成物への完全な変換が、TLC(2:1 酢酸エチル:ヘプタン)によって観察された。反応混合物をヘプタン(20mL)で希釈し、シリカゲル(10g)のパッドで濾過し、結晶形成が生じるまで30℃で回転蒸発器において濃縮した。結晶をブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、冷ヘプタンで洗浄し、真空下に(<1mmHg)周囲温度で乾燥して、0.87g(65%)の恒量になるまで乾燥した。融点:85〜88℃。[α]22 578=+106.9(MeOH, 1.0)、1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm):-0.07 (s, 9H), 1.38 (s, 9H), 5.01 (d, J=5.6 Hz, 1H), 5.06 (d, J=5.6 Hz, 1H), 7.26 to 7.38 (m, 5H)
実施例25:7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB
Figure 0005113745
典型的には、10-DAB(108.96g、0.20mol)を、約20〜25mL/g(2.2L)のTHFに、2.5当量のDMAP(61.08g、0.5mol)と共に溶解した。TLC(3:1 酢酸エチル/ヘプタン)により生成物への変換が終了するまで、この溶液に、1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン(42.67g、0.21mol)を周囲温度で添加した。次に、反応混合物をヘプタン(2L)で希釈して、DMAP-HCl塩を沈殿させ、シリカゲル(104.5g)で濾過した。フィルターケーキを、酢酸エチルおよびヘプタンの1:1混合物(800mL)で洗浄して、完全な生成物回収を確実にした。濾液をトリエチルアミン(14mL)で安定化し、結晶が形成されるまで濃縮した。混合物を0℃に30分間冷却し、白色固形物をブフナー漏斗によって収集し、ヘプタン(500mL)中の氷冷20%酢酸エチルで洗浄した。フィルターケーキを真空下(0.1mmHg)に50℃で109gの恒量になるまで乾燥した。濾液をシリカゲルで濾過し、濃縮して、第二収集の結晶13.2gを得た。合計収量は、99.2%HPLC純度において122.2g(0.18mol、90%)であった。融点:220〜223℃。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.07 (s, 3H), 0.11 9 (s, 3H), 0.14 (s, 3H), 0.41 (s, 3H), 1.09 (s, 6H), 1.51 (s, 1H), 1.89 (ddd, J=13.9, 12.4,2.2 Hz, 1H), 1.99 (d, J=4.6 Hz) 1.56 (s, 3H), 2.04 (bs, 3H), 2.27 (m, 1H), 2.29 (s, 3H), 2.33 (m, 1H), 3.92 (d, 7.5 Hz, 1H), 4.19 (d, J=8.5 Hz, 1H), 4.3 (d, J=8.5 Hz, 1H), 4.51 (dd, J=10.6,6.7 Hz, 1H), 4.87 (bm, 1H), 4.95 (dd, J=9.4, 1.7 Hz, 1H), 5.60 (d, J=7.5, 1H), 5.61 (s, 1H), 7.48 (dd, J=7.8,7.7 Hz, 2H), 7.6 (dd, J=7.8, 7.7 Hz, 1H)8.1 (d J=7.8, 2H)
実施例26:7,10-O-(2,5-ジメチル-2,5-ジシラヘキサン-2,5-ジイル)-10-DAB
Figure 0005113745
10-DAB(0.544g、1mmol)を、約20〜25mL/g(10mL)のTHFに、2.5当量のDMAP(0.3g、2.5mmol)と共に溶解した。TLC(3:1 酢酸エチル/ヘプタン)により生成物への変換が終了するまで、この溶液に、1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタン(0.215g、1mol)を周囲温度で添加した。次に、反応混合物をヘプタン(20mL)で希釈して、DMAP-HCl塩を沈殿させ、シリカゲル(10g)で濾過した。フィルターケーキを、酢酸エチルおよびヘプタンの1:1混合物(20mL)で洗浄して、完全な生成物回収を確実にした。濾液をトリエチルアミン(0.5mL)で安定化し、結晶が形成されるまで濃縮した。混合物を0℃に30分間冷却し、白色固形物をブフナー漏斗によって収集し、ヘプタン(10mL)中の氷冷20%酢酸エチルで洗浄した。フィルターケーキを真空下(0.1mmHg)に50℃で0.58g(収率85%)の恒量になるまで乾燥した。融点:191〜193℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.05 (s, 3H), 0.9 (s, 3H), 0.17 (s, 3H), 0.33 (s, 3H), 0.43 (m, 1H), 0.57 (dd, J=11.8, 5.6 Hz, 2H), 0.78 (m, 1H), 1.05 (s, 3H), 1.10 (s, 3H), 1.54 (s, 1H), 1.69 (s, 3H), 1.87 (m, J=14.1, 12.6, 4.2, 1.9 Hz, 1H), 2.06 (d, J=1.2 Hx, 3H), 2.11 (d, J=5.0 Hz, 1H), 2.26 (m 1H), 2.27, (s, 3H), 2.32 (m, 1H), 3.92 (d, J=6.8 Hz, 1H), 4.15 (d, J=8.5), 4.28 (d, J=8.5 Hz), 4.31 (dd, J=10.1, 6.5 Hz, 1H), 4.84 (m, 15.2, 5.4, 7.7 Hz), 4.92 (dd, J=9.7, 2.0 Hz, 1H), 5.46 (s, 1H), 5.57 (d, J=7.3, 1H), 7.48 (dd, J=7.8,7.7 Hz, 2H), 7.6 (dd, J=7.8, 7.7 Hz, 1H)8.1 (d J=7.8, 2H)
実施例27:7,10-O-(1,1,3,3,5,5-ヘキサメチル-1,3,5-トリシロキサンジイル)-10-DAB
Figure 0005113745
10-DAB(0.544g、1mmol)を、約20〜25mL/g(10mL)のTHFに、2.5当量のDMAP(0.3g、2.5mmol)と共に溶解した。TLC(3:1 酢酸エチル/ヘプタン)により生成物への変換が終了するまで、この溶液に、1,5-ジクロロヘキサメチルトリシロキサン(0.277g、1mol)を周囲温度で添加した。次に、反応混合物をヘプタン(20mL)で希釈して、DMAP-HCl塩を沈殿させ、シリカゲル(10g)で濾過した。フィルターケーキを、酢酸エチルおよびヘプタンの1:1混合物(20mL)で洗浄して、完全な生成物回収を確実にした。濾液をトリエチルアミン(0.5mL)で安定化し、結晶が形成されるまで濃縮した。混合物を0℃に30分間冷却し、白色固形物をブフナー漏斗によって収集し、ヘプタン(10mL)中の氷冷20%酢酸エチルで洗浄した。フィルターケーキを真空下(0.1mmHg)に50℃で0.65g(収率87%)の恒量になるまで乾燥した。融点:240〜242℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.06 (s, 6H), 0.09 (1, 3H), 0.15 (s, 3H), 0.16 (s, 3H), 0.29 (s, 3H), 1.05 (s, 3H),1.19 (s, 3H), 1.56 (s, 1H), 1.70 (s, 3H), 1.89 (m, 1H), 1.96 (d, J=5.3 Hz, 1H), 2.10 (d, J=1.0 Hz, 3H), 2.27 (m, 1H), 2.29 (s, 3H), 2.42 (m, 1H), 3.96 (d, J=7.1 Hz, 1H), 4.17 (d, J=8.1 Hz, 1H), 4.29 (d, J=8.1 Hz, 1H), 4.49 (dd, J=10.0, 6.9 Hz, 1H), 4.85 (m, 1H), 4.94 (dd, J=9.6, 1.9 Hz, 1H), 5.63 (s, 1H), 5.64 (d, 6.75 Hz, 1H), 7.47 (dd, J=7.8,7.7 Hz, 2H), 7.59 (dd, J=7.8, 7.7 Hz, 1H)8.11 (d J=7.8, 2H)
実施例28:ドセタキセル
Figure 0005113745
10-DABから開始して、C(7)およびC(10)ヒドロキシ基を、1,3-ジクロロテトラメチルジシロキサン(即ち、式(4)の架橋珪素に基づく保護基;ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、L1およびL2はクロロであり、Zは-O-である)で保護し;環状中間体(29)(ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、Zは-O-である)を、酢酸エチルおよびヘプタンからの再結晶後に収率95%で得た。中間体(29)とβ-ラクタム側鎖先駆物質(36)(ここで、P2はMOPである)とのカップリングを、LHMDSおよび3当量のラセミ(36)を使用して動的分離下に行い;中間体(410)(ここで、G1、G2、G3およびG4はメチルであり、P2はMOPであり、Zは-O-である)を、ジクロロメタンおよびヘプタンからの再結晶後に収率90%で得た。簡単な希塩酸脱保護によって、イソプロパノールおよびヘプタンからの再結晶後にドセタキセルを収率75%で得た。
実施例29:2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル
Figure 0005113745
7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB(0.67g、0.99mmol)およびシス-N-t-ブトキシ-3-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(1.0g、3当量)を、窒素下に無水THF(5mL)に溶解し、次に、-45℃に冷却した。THF中1.0MのLHMDS(1.2mL、1.1当量)を滴下して、発熱を調節した。反応を-35℃未満で2〜5時間進めた。反応を、酢酸エチル(25mL)中の酢酸(1.2当量)の溶液で鎮め、炭酸水素ナトリウム(5mL)および塩水(5mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(7g)で乾燥し、シリカ(7g)で濾過し、濃縮した。1%トリエチルアミンを含有する最少量のジクロロメタン(1mL)に残渣を取り、ヘプタン(15mL)に添加し、過剰のβ-ラクタムをすりつぶした。単一ジアステレオマーとしての生成物(0.88g、88%)をブフナー漏斗によって収集し、ヘプタンで洗浄した。融点:235〜238℃。1H NMR (MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.07 (s, 3H), 0.08 (s, 3H), 0.12 (s, 3H), 0.41 (s, 3H), 1.08 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.25 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.32 (s, 9H), 1.53 (s, 1H), 1.67 (s, 3H), 1.90 (bs, 3H), 1.92 (m, 1H), 2.07 (m, 1H), 2.30 (m, 2H), 2.50 (s, 3H), 2.66 (bs, 3H), 3.84 (d, J=6.9 Hz, 1H), 4.22 (d, J=8.7 Hz, 1H), 4.32 (d, J=8.7 Hz, 1H), 4.48 (dd, J=9.9, 6.4 Hz, 1H), 4.50 (d, J=3.3 Hz, 1H), 4.95 (m, J=8.6, 1H), 5.22 (bm, 1H), 5.49 (bm,1H), 5.57 (s, 1H), 5.65 (d, J=6.9 Hz, 1H), 6.24 (bm, 1H), 7.24 (m, 1H), 7.30 (d, J=7.2, 2H), 7.37 (dd, J=7.2, 7.2, 2H), 7.51 (dd, J=8.0, 7.5 Hz, 2H), 7.60 (dd,J=8.0, 7.2 Hz, 1H), 8.11 (d, J=7.5 Hz, 2H)
フレキシブル側鎖プロトン化学シフトは、CDCl3溶媒中の水レベルに依存して変動を示す。
実施例30:ドセタキセル
Figure 0005113745
アセトニトリル(580mL)中の2’-(2-メトキシ-2-プロポキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル(38.38g、38.2mmol)、次に、0.2M HCl(115mL)を添加し、混合物を周囲温度(22℃〜25℃)で2〜3時間、TLC(3:1 酢酸エチル:ヘプタン)により生成物(Rf=0.15)への完全な変換が観察されるまで攪拌した。次に、生成物混合物を酢酸エチル(580mL)で希釈し、水(290mL)、塩水(150mL)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(290mL)、塩水(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(60g)で乾燥した。混合物をシリカゲル(30g)で濾過し、フィルターケーキを酢酸エチル(350mL)で濯いだ。合わせた濾液を約192mLに濃縮し、次に、ヘプタン(550mL)を添加して、結晶化を誘導した。混合物をさらに濃縮して、約200mLの溶媒を除去した。混合物を周囲温度に冷却し、結晶をブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、結晶を、98.3%HPLC純度において30.57g(収率99.3%)の恒量になるまで乾燥した。融点:186〜188℃、元素分析:%C:理論値63.93、実測値63.38、%H:理論値6.61、実測値6.59
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 1.13 (s, 3H, H-17), 1.24 (s, 3H, H-16), 1.34 (s, 9H, H-t-Boc), 1.64 (s, 1H, HO-1), 1.76 (s, 3H, H-19), 1.85 (s, 3H, H-18), 1.79 to 1.88 (m, 1H, H-6), 2.27 (m, J=8.8 Hz, 2H, H-14), 2.38 (s, 3H, Ac-4), 2.60(m, 1H, H-6), 3.32 (bd, J=4.8 Hz, 1H, HO-2’), 3.92 (d, J=6.9 Hz, 1H, H-3), 4.18 (d, J=8.5 Hz, 1H, H-20), 4.19 (bs, 1H, HO-10), 4.23 (m, 1H, H-7), 4.32 (d, J=8.5 Hz, 1H, H-20), 4.62 (bm, 1H, H-2’), 4.94 (m, 1H, H-5), 5.20 (bd, J=1.7 Hz, H-10), 5.26 (bm, 1H, H-3’), 5.40 (bd, J=9.6 Hz, H-N), 5.68 (d, J=6.9 Hz, 1H, H-2), 6.22 (bm, 1H, H-13), 7.29 to 7.4 (m, 5H, H-Ph), 7.50 (dd, J=7.9, 7.6 Hz, 2H, H-mBz), 7.62 (dd, J=7.25, 7.6 Hz, 1H-pBz), 8.10 (d, J=7.9 Hz, 2H, H-oBz)
文献と一致:(a) Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals, 2004;47:763-777、および(b) Tetrahedron, 1989, 45:13, p.4177-4190
実施例31:2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル
Figure 0005113745
7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB(4.29g、6.4mmol)およびN-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(6.4g、19.1mmol)を、窒素下に無水THF(43mL)に溶解し、次に、-45℃に冷却した。LHMDS(1.2mL、1.1当量、THF中1.0M)を滴下して、発熱を調節した。反応を-45℃未満で5時間進めた。反応を、酢酸エチル(50mL)中の酢酸(1.2当量)の溶液で鎮め、炭酸水素ナトリウム(10mL)および塩水(10mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(10g)で乾燥し、シリカ(10g)で濾過し、濃縮して、固形物を得た。固形物をメタノールから再結晶し、真空下に(<1mmHg)周囲温度で乾燥した後に、白色粉末3.6g(55%)を単一ジアステレオマーとして得た。融点:248〜250℃。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ: -0.12 (s, 9H), 0.08 (s, 3H), 0.09 (s, 3H), 0.12 (s, 3H), 0.42 (s, 3H), 1.12 (s, 3H), 1.27 (s, 3H), 1.31 (s, 9H), 1.54 (s, 1H), 1.68 (s, 3H), 1.88 (s, 3H), 1.86 to 1.96 (m, 1H), 2.08 to 2.18 (m, 1H), 2.26 to 2.43 (m, 2H), 2.54 (s, 3H), 3.85 (d, J=7.2 Hz, 1H), 4.24 (d, J=8.5 Hz, 1H), 4.32 (d, J=8.5 Hz, 1H), 4.45 (bs, 1H), 4.50 (dd, J=6.8, 10.3 Hz, 1H), 4.96 (m, J=8.5 Hz, 1H), 5.29 (m, J=8.5 Hz, 1H), 5.52 (bm, J= 8.5 Hz, 1H), 5.57 (s, 1H), 5.66 (d, J=7.5 Hz, 1H), 6.31 (bt, J=8.6 Hz, 1H), 7.3 to 7.41 (m, 5H), 7.48 (dd, J=6.9, 8.4 Hz, 2H,) 7.59 (dd, J=6.9, 7.5, 1H), 8.12 (d, J=7.5 Hz, 2H)
実施例32:2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル
THF(10mL)中の7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB(0.84g、1.24mmol)の溶液に、-45℃で窒素下に、ヘキサン中の1.0Mブチルリチウム(0.93mL)を添加した。この温度で30分後、THF(2mL)中の(+)-N-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(0.5g、1.5mmol)の溶液を添加し、混合物を攪拌し、0℃に4時間温めた。反応を、トリエチルアミン(1当量)および酢酸(1当量)で鎮め、ヘプタン25mLで希釈し、シリカゲル(30g)で濾過した。濾液を回転蒸発によって濃縮して、白色結晶(0.69g、55%)を得た。粗生成物の1HNMRは、2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O- (1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセルの構造と一致していた。
実施例33:2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセルの脱保護
アセトニトリル(2.5mL)中の2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセル(0.5g、0.495mmol)の溶液に、周囲温度で、0.2M HClの溶液を添加し、生成物(Rf=0.15)への完全な変換がTLC(3:1 酢酸エチル:ヘプタン)によって観察されるまで、混合物を周囲温度(22℃〜25℃)で2〜3時間攪拌した。次に、混合物を酢酸エチル(5mL)で希釈し、水(2mL)、塩水(2mL)、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液(2mL)、塩水(2mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム(6g)で乾燥した。混合物をシリカゲル(5g)で濾過し、フィルターケーキを酢酸エチル(5mL)で濯いだ。合わせた濾液を約1mLに濃縮し、ヘプタン(5mL)を添加して、結晶化を誘発した。次に、混合物を濃縮して、約1〜2mLの溶媒を除去した。混合物を周囲温度に冷却し、次に、結晶をブフナー漏斗での真空濾過によって収集し、ドセタキセルと一致するHNMRスペクトルを有する結晶性生成物の0.399g(収率93%)の恒量になるまで乾燥した。
ドセタキセルの回収を最大にするために、光学純粋(+)-N-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オンを使用した場合、中間体2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセルの精製が必要でないことが見出された。
実施例34:ドセタキセル
Figure 0005113745
磁石攪拌機を取り付けた炉乾燥25mL丸底フラスコ(RBF)に、窒素下に、ジイソプロピルアミン(0.83mL、5.86mmol)およびTHF(1.5mL)を添加した。混合物を-45℃に冷却し、n-ヘキシルリチウムの溶液(2.33mL、2.30M、5.37mmol)を滴下して、発熱を調節し、反応器温度を-40℃未満に維持した。添加を終了した後、冷却浴温度を使用前に0〜5℃に上げた。
カップリング反応:磁石攪拌機を取り付けた炉乾燥した250mLのRBFに、7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-1-DAB(3.29g、4.88mmol)およびTHF(30mL)を添加した。混合物を-45℃に冷却した。既に調製したLDAを、反応混合物に注射器で5分間にわたって添加し、その温度で45分間攪拌した。次に、この混合物に、(+)-N-t-ブトキシカルボニル-3-トリメチルシリルオキシ-4-フェニル-アゼチジン-2-オン(THF(8mL)中1.80g(5.37mmol))を添加した。反応混合物を-15℃まで温め、-15〜-10℃で1時間攪拌した。1時間後の反応のTLCモニタ(1:3 酢酸エチル:ヘプタン)は、2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセルへの完全な変換を示した。
ワークアップ:反応フラスコに、反応温度で、1mLの飽和炭酸水素ナトリウムを添加し、5分間攪拌した。次に、それを酢酸エチル(50mL)で希釈し、塩水50mLで洗浄した。有機相を分離し、MgSO4で乾燥し、濃縮して、5.10gの粗2’-(トリメチルシリルオキシ)-7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-ドセタキセルを得、それを直接に脱保護に使用した。前記の粗混合物をアセトニトリル(50mL)に溶解し、0.2N HCl(25mL)を添加し、室温で4時間攪拌した。TLCモニタ(3:1 EtOAc:ヘプタン)が反応の終了を示した。反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、蒸留水(50mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(50mL)および塩水(50mL)で2回洗浄した。得られた有機相をMgSO4で乾燥し、濃縮して、96.5%HPLC純度のドセタキセル3.76g(収率95.3%)を得た(主要不純物は、C(7)-ヒドロキシ基における非脱シリル化(1.6%)中間体であった)。
実施例35:7-O-(1-メトキシ-1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサニル)-10-DAB
Figure 0005113745
トリエチルアミン-メタノリシス:7,10-O-(1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジシロキサンジイル)-10-DAB(1g、1.48mmol)に、無水メタノール20mLを添加した。溶液を均一になるまで攪拌した(約10分間)。フラスコに1当量のトリエチルアミン(TEA、1.48mmol、206mL)を添加し、約23時間攪拌した。反応の終了を、TLC(1:1 酢酸エチル:ヘキサン)でモニタした。終了した際に、溶液をヘプタン約15mLで希釈し、全てのメタノールが除去されるまで蒸発させた。結晶が蒸発時に形成され、2時間攪拌した。結晶を濾過し、ヘプタンで洗浄して、白色固形物948mg(収率90.6%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ (ppm): 0.085 (s, 3H), 0.099 (s, 3H), 0.120 (s, 3H), 0.0123 (s, 3H), 1.09 (overlap, 2-s (6H), 1.75 (s, 3H), 1.93 (m, 1H), 1.97 (d, J=5.07 Hz, 1H), 2.09 (d, J=1.22 Hz, 3H), 2.27 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.55 (m, 1H), 3.48 (s, 3H), 3.98 (d, J=6.86 Hz, 1H), 4.18 (d, J=8.14 Hz, 1H), 4.25 (d, J=2.03 Hz, 1H), 4.31 (d, J=8.14 Hz, 1H), 4.49 (dd, J=10.91, 6.71 Hz, 1H), 4.88 (dd, 17.60 , 7.48 Hz, 1H), 4.95 (dd, J=9.49, 1.79 Hz, 1H), 5.18 (d, J=2.03, 1H), 5.62 (d, J=6.94 Hz, 1H),7.48(t, J=7.7- Hz, 2H), 7.60 (m, J=7.7 Hz, 1H), 8.11 (m, 2H)
前記実施例に示したように、10-DABおよびβ-ラクタム側鎖先駆物質を使用して、ドセタキセルが高収率で製造された。これは、他の保護基と比較して容易に除去された架橋珪素に基づく保護基の新規使用によるものである。表4に列記したものを包含する他の類似の架橋珪素に基づく保護基は、同様の収率の7,10-保護10-DAB誘導体を与える。
Figure 0005113745

Claims (12)

  1. (a) 10-デアセチルバッカチンIII(10-DAB)のC(7)およびC(10)ヒドロキシ基を、架橋珪素に基づく保護基で保護して、10-DAB誘導体(12)を生成する工程;
    (b) 10-DAB誘導体(12)を誘導体化する工程であって、該誘導体化が、10-DAB誘導体(12)をβ-ラクタム側鎖先駆物質で処理して、10-DAB誘導体(13)を生成することを含んで成る工程、および
    (c) 10-DAB誘導体(13)を脱保護して、ドセタキセルを生成する工程;
    [ここで、
    10-DAB誘導体(12)および10-DAB誘導体(13)は、それぞれ、式(12)および(13)に相当し:
    Figure 0005113745
    架橋珪素に基づく保護基は式(2)に相当し:
    Figure 0005113745
    β-ラクタム側鎖先駆物質は式(3)に相当し:
    Figure 0005113745
    L 1およびL2は、独立して、アミン、ハライドまたはスルホネート脱離基であり;
    X6は、ヒドロキシ保護基であり;
    Zは、-CH 2 -CH 2 -、-O-Si(CH 3 )(CH 3 )-O-または-O-であり;
    Bzは、ベンゾイルであり;
    Acは、アセチルであり;
    Phは、フェニルである]
    を含んで成る、ドセタキセルの製造法。
  2. L1およびL2が、ハライド脱離基である、請求項1に記載の方法。
  3. L1およびL2が、クロロ脱離基である、請求項2に記載の方法。
  4. L1およびL2が、アミン脱離基である、請求項1に記載の方法。
  5. L1およびL2が、スルホネート脱離基である、請求項1に記載の方法。
  6. 架橋珪素に基づく保護基が、1,3-ジクロロテトラメチルジシロキサン;1,5-ジクロロヘキサメチルトリシロキサン;および1,2-ビス(クロロジメチルシリル)エタンから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
  7. X6が2-メトキシ-2-プロピル(MOP)である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 式(3)に相当するβ-ラクタム側鎖先駆物質は、
    (a) N-非置換β-ラクタム(8)を生成する工程であって、
    (i) ベンズアルデヒドをジシラジドと反応させて、イミンを生成すること、
    (ii) 該イミンをケテンアセールと反応させて、N-非置換β-ラクタム(8)を生成すること、
    によって行う工程;および
    (b) N-置換β-ラクタム(8)を誘導体化する工程であって、該誘導体化が、
    (i) ヒドロキシ保護基-SiR 21 R 22 R 23 を、他のヒドロキシ保護基X 6 に置き換えること、
    (ii) tert-ブトキシカルボニル基を-NH基に導入して、式(3)に相当するβ-ラクタム側鎖先駆物質を生成すること
    を含んで成る工程;
    [ここで、
    N-非置換β-ラクタムは、式(8):
    Figure 0005113745
    に相当し、
    R21、R22およびR23は、独立して、アルキル、アリールまたはアラルキルである]
    を含んで成る方法によって製造する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 工程(a)(ii)で生成したN-非置換β-ラクタム(8)が、第一および第二C(3)-保護ヒドロキシ置換β-ラクタムエナンチオマーのエナンチオマー混合物として存在し、式(3)に相当するβ-ラクタム側鎖先駆物質を製造する方法が、脱保護により第一および第二C(3)-ヒドロキシ置換β-ラクタムエナンチオマーのエナンチオマー混合物を形成し、このエナンチオマー混合物を分離する工程をさらに含んで成り、該分離が、
    (a) 第一および第二C(3)-ヒドロキシ置換β-ラクタムエナンチオマーのエナンチマー混合物を光学活性プロリンアシル化剤で、アミンの存在下に処理して、生成物混合物を形成し、該生成物混合物が、第一および第二C(3)-ヒドロキシ置換β-ラクタムエナンチオマーを、それぞれ、光学活性プロリンアシル化剤と反応させることによって生成された第一および第二C(3)-エステル置換β-ラクタムジアステレオマーを含有し、該生成物混合物が、未反応第二C(3)-ヒドロキシ置換β-ラクタムエナンチオマーを含有する場合もあること、および
    (b) 第一C(3)-エステル置換β-ラクタムジアステレオマーを、未反応第二C(3)-ヒドロキシ置換β-ラクタムエナンチオマーおよび第二C(3)-エステル置換β-ラクタムジアステレオマーから分離すること
    を含んで成る請求項8に記載の方法。
  10. Zが-CH 2 -CH 2 -である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  11. Zが-O-Si(CH 3 )(CH 3 )-O-である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
  12. Zが-O-である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
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