JP2008536498A - 可溶性チロシンキナーゼ受容体を使用する、癌療法のための複数の血管新生経路の標的化 - Google Patents
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Abstract
複数の血管新生因子に結合する多価可溶性受容体タンパク質を記載する。多価可溶性受容体タンパク質をコードするヌクレオチド及びベクター配列、並びにそれらを含む宿主細胞、及びそれらを製造及び使用する方法も記載する。多価可溶性受容体タンパク質及びそれらをコードするベクターは、癌及び血管新生に関連するその他の疾患の処置に有用である。本発明は、FGF、VEGF、PDGF、EGF、アンジオポエチン、肝細胞増殖因子(HGF)、インシュリン様増殖因子(IGF)、エフリン、胎盤増殖因子、腫瘍増殖因子α(TGFa)、腫瘍増殖因子β(TGFb)、腫瘍壊死因子α(TNFa)又は腫瘍壊死因子β(TNFb)に関与する経路を阻害する、多価可溶性受容体タンパク質を提供する。
Description
(発明の背景)
(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年4月13日に出願された、米国特許出願第60/670,639号(この内容は、その全体において参考として本明細書に援用される)の優先権を主張する。
(関連出願への相互参照)
本出願は、2005年4月13日に出願された、米国特許出願第60/670,639号(この内容は、その全体において参考として本明細書に援用される)の優先権を主張する。
(発明の分野)
本発明は、複数の血管新生因子を結合する多価可溶性受容体タンパク質、及びそれらをコードする核酸に関する。本発明は、このような多価可溶性受容体コンストラクトを使用して、血管新生を阻害する方法、及び癌を処置する方法にも関する。
本発明は、複数の血管新生因子を結合する多価可溶性受容体タンパク質、及びそれらをコードする核酸に関する。本発明は、このような多価可溶性受容体コンストラクトを使用して、血管新生を阻害する方法、及び癌を処置する方法にも関する。
(技術の背景)
既存の血管床から新しい血管を作り出す血管新生は、細胞外マトリックス成分の分解、並びにその後の内皮細胞の遊走、増殖及び分化による、細管及び最終的には新しい血管の形成を伴う複雑な多段階プロセスである。血管新生は、例えば、胚着床;胚形成及び発達、並びに創傷治癒を含めた正常な生理学的プロセスにて重要である。過剰な血管新生は、例えば腫瘍細胞増殖のような病的状態、並びに例えば血管新生緑内障、関節リウマチ、乾癬及び糖尿病性網膜症のような非癌性病態にも関与する。血管内皮細胞は通常休眠している。しかしながら、内皮細胞は、活性化により増殖し、遊走して原始的な管状ネットワークを形成し、これは最終的に毛細血管床を形成して、増殖する腫瘍を含めた発達する組織に血液を供給する。
既存の血管床から新しい血管を作り出す血管新生は、細胞外マトリックス成分の分解、並びにその後の内皮細胞の遊走、増殖及び分化による、細管及び最終的には新しい血管の形成を伴う複雑な多段階プロセスである。血管新生は、例えば、胚着床;胚形成及び発達、並びに創傷治癒を含めた正常な生理学的プロセスにて重要である。過剰な血管新生は、例えば腫瘍細胞増殖のような病的状態、並びに例えば血管新生緑内障、関節リウマチ、乾癬及び糖尿病性網膜症のような非癌性病態にも関与する。血管内皮細胞は通常休眠している。しかしながら、内皮細胞は、活性化により増殖し、遊走して原始的な管状ネットワークを形成し、これは最終的に毛細血管床を形成して、増殖する腫瘍を含めた発達する組織に血液を供給する。
複数の疾患状態、腫瘍転移、及び内皮細胞による異常な増殖にて発生する持続的な未調節の血管新生は、これらの病態の病理に寄与すると信じられている。未調節の血管新生により形成される種々の病理学的状態は、血管新生依存性又は血管新生関連の疾患として1つの群に分類されている。血管新生プロセスの制御を対象とした治療は、これらの疾患の抑制又は緩和をもたらす可能性がある。
多くの増殖因子、受容体チロシンキナーゼ、及びその他の天然因子が、新しい血管形成の種々の決定地点に関与している。現在、幾つかの抗血管新生療法が開発中であり、VEGFリガンド/受容体ファミリーをターゲティングする臨床試験が行われている。ヒトVEGFは、206、189、165、145及び121アミノ酸を含む5つの成熟したプロセス形態の1つのグリコシル化ホモ二量体として存在し、最も優勢なものは165アミノ酸形態である。血管内皮増殖因子(VEGF)及びそのホモログは、血管内皮細胞膜貫通チロシンキナーゼ受容体に結合することにより活性を付与し、その後この活性がシグナル伝達及び細胞内シグナルを活性化する。
VEGF受容体は、VEGFR1、VEGFR2及びVEGFR3という少なくとも3種類が認められている。VEGFファミリーは、広範な癌、特に血管が非常に発達した腫瘍における役割が示されているが、最近の研究では、更なる増殖因子経路も腫瘍の進行に関与することが指摘されている。VEGFリガンドを遮断する1つの方法は、例えばVEGFR−1又はVEGFR−2に由来するリガンドのような可溶性VEGF受容体の使用である。これらの分子を構成する1つの方法は、VEGFリガンドへの結合に関与するVEGF受容体の細胞外IgG様ドメインを、分泌のためにシグナル配列をN末端に有するヒトIgG1重鎖フラグメントに融合することを伴う。
VEGFによるその受容体への結合の遮断は、腫瘍血管新生の早期の段階を阻害することにより、幾つかの癌に有効であることが証明されている。しかしながら、その他の癌、特に、より確立された血管系を有するか、又はその他の血管新生因子、例えば線維芽細胞増殖因子(FGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)及び内皮増殖因子(EGF)を発現することで、代替の経路を使用することができる癌は、VEGFに対する処置に反応しない。
VEGF系の可溶性受容体は、血管新生の阻害、及び癌の処置に可能性を有すると思われる;しかしながら、血管新生経路を効率的に阻害するのにより有効な戦略が依然として必要とされている。
(発明の要旨)
本発明は、血管新生因子の拮抗薬として作用する多価可溶性受容体タンパク質であって、血管新生に関連する複数の受容体又は経路をターゲティングするタンパク質を提供する。
本発明は、血管新生因子の拮抗薬として作用する多価可溶性受容体タンパク質であって、血管新生に関連する複数の受容体又は経路をターゲティングするタンパク質を提供する。
具体的には、FGF、VEGF、PDGF、EGF、アンジオポエチン、肝細胞増殖因子(HGF)、インシュリン様増殖因子(IGF)、エフリン、胎盤増殖因子、腫瘍増殖因子α(TGFa)、腫瘍増殖因子β(TGFb)、腫瘍壊死因子α(TNFa)又は腫瘍壊死因子β(TNFb)に関与する経路を阻害する、多価可溶性受容体タンパク質を提供する。
一態様において、多価キメラ可溶性受容体タンパク質は、異なる受容体の複数のリガンド結合ドメインを含むように構成され、それらは複数のリガンドをターゲティングする。
本発明は、(a)PDGFR−α Ig様ドメイン、PDGFR−β Ig様ドメイン、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)Ig様ドメイン、線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)Ig様ドメイン、肝細胞増殖因子受容体(HGFR)SEMAドメイン様ドメインからなる群から選択される少なくとも2つのドメインのコード配列;並びに(b)異種多量体化ドメイン、例えばIgGFcドメインのコード配列を含む、多価可溶性受容体タンパク質をコードするヌクレオチド配列を提供する。
一実施形態において、ヌクレオチド配列は、少なくとも1つのPDGFR−α Ig様ドメイン又は少なくとも1つのPDGFR−β Ig様ドメイン、例えばそれぞれ配列番号16又は配列番号19で表される配列、及び少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)Ig様ドメイン、例えば配列番号22で表される配列をコードする。関連する実施形態において、ヌクレオチド配列は、少なくとも1つのPDGFR−α Ig様ドメイン又は少なくとも1つのPDGFR−β Ig様ドメイン、例えばそれぞれ配列番号16又は配列番号19で表される配列、及び少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)Ig様ドメイン、例えば配列番号25で表される配列をコードする。更に関連する実施形態において、ヌクレオチド配列は、少なくとも1つのPDGFR−α Ig様ドメイン又は少なくとも1つのPDGFR−β Ig様ドメイン、例えばそれぞれ配列番号16又は配列番号19で表される配列、及び肝細胞増殖因子受容体(HGFR)由来の少なくとも1つのSEMAドメイン、例えば配列番号28で表される配列をコードする。
別の実施形態において、ヌクレオチド配列は、血管内皮増殖因子受容体1(VEGFR1)Ig様ドメイン2及び血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)Ig様ドメイン3を、例えば配列番号16で表される配列のようなPDGFR−α Ig様ドメイン、例えば配列番号19で表される配列のようなPDGFR−β Ig様ドメイン、例えば配列番号22で表される配列のような線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)Ig様ドメイン、例えば配列番号25で表される配列のような線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)Ig様ドメイン、例えば配列番号28で表される配列のような肝細胞増殖因子受容体(HGFR)SEMAドメインからなる群から選択される少なくとも2つの更なるドメイン;並びに例えばIgGFcドメインのような多量体化ドメインのコード配列と共にコードする。
本発明は更に、例えば、多価可溶性受容体をコードするヌクレオチド配列を含む、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルス(Ad)ベクター、サルウイルス40(SV−40)ベクター、ウシ乳頭腫ウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、及びワクシニアウイルスベクター等のベクター、並びにこのようなベクターを含む宿主細胞を提供する。
本発明は更に、上述のベクター及び宿主細胞を使用して多価可溶性受容体タンパク質を生成する方法も提供する。
本発明は又、本発明の多価可溶性受容体タンパク質、及び/又は多価可溶性受容体タンパク質を発現するベクターを、対象に送達することによって、in vivoで(例えば、哺乳動物において)血管新生及びリンパ管新生を阻害する方法も提供する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、多価可溶性受容体融合タンパク質組成物、並びに多価可溶性受容体融合タンパク質を使用して複数の血管新生経路を阻害する方法を提供する。理論に束縛されることなく、本発明者等は、複数の血管新生経路をターゲティング及び阻害することで、血管新生及び/又はリンパ管新生をより効果的に阻害できると考える。
本発明は、多価可溶性受容体融合タンパク質組成物、並びに多価可溶性受容体融合タンパク質を使用して複数の血管新生経路を阻害する方法を提供する。理論に束縛されることなく、本発明者等は、複数の血管新生経路をターゲティング及び阻害することで、血管新生及び/又はリンパ管新生をより効果的に阻害できると考える。
本発明は、複数の血管新生経路をターゲティング及び阻害するものとして、本明細書に記載される場合がある。これは、多価可溶性受容体融合タンパク質をコードする1つのベクター、又は多価可溶性受容体融合タンパク質の何れかを使用して達成される。
本発明は幾つかの利点を提供する。第一に、本発明のベクター及び融合タンパク質は、複数の血管新生経路をターゲティングする。1つの血管新生経路を遮断するだけでは、血管新生プロセスの経路を完全に、又は有意にでさえも遮断しない場合がある。例えば、腫瘍は、その質量又は寸法を増大させるために血管新生プロセスを必要とする。VEGF経路の遮断に使用する方法は、血管新生を完全に遮断しない場合があるため、腫瘍が増殖し続ける可能性がある。腫瘍は、PDGF、FGF、HGF及びEGF等を含めた複数の血管新生因子を発現することにより、代表的な血管新生経路を使用することができる。これらの経路を遮断することで、より効果的な血管新生の阻害が促進され、対応する腫瘍増殖の低下及び腫瘍の後退を生じることができる。
本発明の実施には、特に指示がない限り、当業者の技量の範囲内に含まれる化学、分子生物学、微生物学、組み換えDNA、遺伝子学、免疫学、細胞生物学、細胞培養及びトランスジェニック生物学の従来の技法を使用する。例えば、Maniatis, et al., 1982, Molecular Cloning (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York); Sambrook, et al., 1989, Molecular Cloning, 2nd Ed. (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York); Sambrook and Russell, 2001, Molecular Cloning, 3rd Ed. (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York); Ausubel, et al., 1992, Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley & Sons, including periodic updates); Glover, 1985, DNA Cloning (IRL Press, Oxford); Anand, 1992, Techniques for the Analysis of Complex Genomes, Academic Press, New York; Guthrie and Fink, 1991, Guide to Yeast Genetics and Molecular Biology, Academic Press, New York; Harlow and Lane, 1988, Antibodies, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York); Jakoby and Pastan, 1979; Nucleic Acid Hybridization (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Transcription And Translation (B. D. Hames & S. J. Higgins eds. 1984); Culture Of Animal Cells (R. I. Freshney, Alan R. Liss, Inc., 1987); Immobilized Cells And Enymes (IRL Press, 1986); B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984); the treatise, Methods In Enzymology (Academic Press, Inc., N.Y.); Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells (J. H. Miller and M. P. Calos eds., 1987, Cold Spring Harbor Laboratory); Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology (Mayer and Walker, eds., Academic Press, London, 1987); Handbook Of Experimental Immunology, Volumes I−IV (D. M. Weir and C. C. Blackwell, eds., 1986); ”Current Protocols in Immunology” (J .E. Coligan, et al., eds., 1991); Riott, Essential Immunology, 6th Edition, Blackwell Scientific Publications, Oxford, 1988; Hogan, et al., ”PCR: The Polymerase Chain Reaction”, (Mullis, et al., eds., 1994); Manipulating the Mouse Embryo, (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1986)を参照されたい。
(定義)
特に指示がない限り、本明細書で使用される全ての用語は、当業者が使用する用語と同じ意味を有し、且つ本発明の実施では、当業者の知識の範囲内に含まれる微生物学及び組み換えDNA技術の従来技法が使用される。
特に指示がない限り、本明細書で使用される全ての用語は、当業者が使用する用語と同じ意味を有し、且つ本発明の実施では、当業者の知識の範囲内に含まれる微生物学及び組み換えDNA技術の従来技法が使用される。
本明細書で使用される「多価可溶性受容体タンパク質」及び「多価可溶性受容体融合分子」という用語は、交換可能に使用される場合があり、二量体化又は多量体化ドメイン(例えばIgGFc)に結合する複数の受容体成分因子間の融合を指し、ここで多価可溶性受容体融合分子は、血管新生に関連する複数の受容体又は経路をターゲティングする。
本明細書で使用される「血管新生因子」という用語は、血管新生を刺激するタンパク質を指す。代表的な血管新生因子には、VEGFタンパク質、FGFタンパク質、PDGFタンパク質、HGFタンパク質、EGFタンパク質及びIGFタンパク質、アンジオポエチン(例えば、アンジオポエチン−1(Ang−1)、アンジオポエチン−2(Ang−2))、エフリンリガンド(例えば、エフリンB2、A1、A2)、インテグリンAV、インテグリンB3、胎盤増殖因子(PLGF)、腫瘍増殖因子−α(TGF−a)、腫瘍増殖因子−β(TGF−b)、腫瘍壊死因子−α(TNF−a)並びに腫瘍壊死因子−β(TNF−b)が含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「VEGF」とは、血管内皮増殖因子を指す。VEGFの形態には、VEGF−206、VEGF−189、VEGF−165、VEGF−145、VEGF−121、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C及びVEGF−Dが含まれるが、これらに限定されない幾つかの形態がある。
本明細書で使用される「VEGFのホモログ」とは、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D及びPlGFのホモ二量体、並びにVEGF−A/P1GFヘテロ二量体を含むがこれに限定されない、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D及びPlGF間で形成される任意の機能的ヘテロ二量体を指す。
本明細書で使用される「KDR」又は「FLK−1」又は「VEGFR2」とは、キナーゼ挿入ドメイン含有受容体、又は胎児肝臓キナーゼ、又は血管内皮増殖因子受容体2を指す。
本明細書で使用される「FLT−1」又は「VEGFR1」とは、血管内皮増殖因子受容体1としても知られるfms様チロシンキナーゼ受容体を指す。
本明細書で使用される「PDGFR」という用語には、PDGFR−α及びPDGFR−βを含めた、PDGFの全受容体が含まれる。
本明細書で使用される「FGFR」という用語には、FGFR1及びFGFR2を含めた、FGFの全受容体が含まれる。
本明細書で使用される「リガンド」という用語は、受容体又は受容体類似体のリガンド結合ドメインにより結合することができる分子を指す。「リガンド」は、合成である場合もあれば、又は天然である場合もある。リガンドは一般的に、作動薬(受容体に結合することで細胞内の応答経路が誘導されるリガンド)及び拮抗薬(受容体に結合することで細胞内の応答経路が遮断されるリガンド)として分類される。
本明細書で使用される、受容体の「リガンド結合ドメイン」とは、天然リガンドの結合に関与する受容体の部分である。
本明細書で使用される「免疫グロブリンドメイン」又は「Ig様ドメイン」という用語は、本発明の多価可溶性受容体タンパク質の細胞外リガンド領域に見出される、独立した別個の各ドメインを指す。「免疫グロブリン様ドメイン」又は「Ig様ドメイン」とは、flt−1、KDR及びFLT4受容体の細胞外リガンド領域に見出される、独立した別個の7つの各ドメインを指す。Ig様ドメインは一般的に数字で示され、この数字は、図1及び図2に示すように、特異的なドメインを指定する。本明細書で使用される「Ig様ドメイン」という用語は、完全野生型ドメインだけでなく、無傷ドメインの機能的特徴を実質的に保持する、その挿入、削除及び置換異形も包含するものとして意図される。野生型ドメインと実質的に同じ機能的特徴を保持するIg様ドメインの異形が数多く得られることが、当業者には容易に明らかになるであろう。
本明細書で使用される「多量体化ドメイン」又は「多量体化成分」という用語は、本発明の多価可溶性受容体タンパク質の結合ドメインと異種であるIgG由来のFcドメイン等のドメインを指す。多量体化ドメインは、別のポリペプチドと共に二量体(又は高次の複合体、例えば三量体、四量体等)を形成する実質的に何れかのポリペプチドである場合がある。場合により、多量体化ドメインは、他の同一の多量体化ドメインと結合することにより、ホモ多量体を形成する。IgG Fc要素は、ホモ多量体を形成する傾向がある二量体化ドメインの例である。本明細書で使用される、多量体化ドメインという用語は、二量体化、三量体化、四量体化ドメイン等を指すのに使用される場合がある。好ましい実施形態において、対象となるIg様ドメインは、免疫グロブリンG1(IgG1)のFcドメインのN末端に融合する。場合によっては、重鎖定常領域全体が、対象となるVEGF受容体Ig様ドメインに融合する。しかしながら、より好ましくは、Fcを化学的に定義するパパイン開裂部位のすぐ上流のヒンジ領域で開始する配列、又はその他の免疫グロブリンの類似部位が、融合で使用される。
「細胞外リガンド結合ドメイン」という用語は、その細胞膜内の天然構造において、細胞外に配向し、そこでその同族リガンドと接触することができる受容体の部分として定義される。細胞外リガンド結合ドメインは、受容体の膜貫通ドメインに関連する疎水性アミノ酸、又は受容体の細胞内ドメインに関連するアミノ酸の何れをも含まない。一般的に、受容体の細胞内又は細胞質ドメインは通常、正電荷又は極性アミノ酸(即ち、リシン、アルギニン、ヒスチジン、グルタミン酸、アスパラギン酸)から構成されている。先行する15〜30の、主に疎水性又は極性アミノ酸(即ち、ロイシン、バリン、イソロイシン、及びフェニルアラニン)は、膜貫通ドメインを含む。細胞外ドメインは、アミノ酸の疎水性膜貫通伸張部分に先行するアミノ酸を含む。通常、膜貫通ドメインは、例えばリシン又はアルギニン等の正電荷又は極性アミノ酸によりフランキングされている(von Heijne, 1995, BioEssays 17: 25−30を参照)。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質に関連して本明細書で使用される「可溶性」という用語は、膜貫通ドメインを介して細胞の表面に固定されていないキメラタンパク質を意味するものとして意図される。従って、本発明の多価可溶性受容体タンパク質の可溶性形態は、VEGFに結合し、それを不活性化することができるものの、膜貫通ドメインを含まず、そのため一般的には分子が発現される細胞の細胞膜に関連するものとならない。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質に関連して本明細書で使用される「膜結合」という用語は、膜貫通ドメインを介して、タンパク質が発現される細胞の表面に固定されたキメラタンパク質を意味するものとして意図される。
「ウイルス」、「ウイルス性粒子」、「ベクター粒子」、「ウイルス性ベクター粒子」、及び「ビリオン」という用語は、交換可能に使用され、例えば感染性粒子の生成に適切な細胞又は細胞株内に本発明のウイルス性ベクターが形質導入される時に形成される、感染性ウイルス粒子を意味するものとして広義に理解される。本発明によるウイルス粒子は、in vitro又はin vivoの何れかで細胞内にDNAを導入するために使用される場合がある。本発明において、これらの用語は、本発明のアデノウイルス性ベクターがアデノウイルスカプシド内に封入される時に形成される組み換えアデノウイルスを含めた、アデノウイルスを指す。
「アデノウイルスベクター」又は「アデノウイルス性ベクター」(交換可能に使用される)とは、本明細書に言及される通り、複製コンピテント又は複製インコンピテント(例えば、欠損性)であるポリヌクレオチドコンストラクトである。
本発明の代表的なアデノウイルス性ベクターには、DNA、アデノウイルスコート内に封入されるDNA、別のウイルス性又はウイルス様形態(例えば、ヘルペスシンプレックス、及びAAV)内にパッケージングされるアデノウイルス性DNA、リポソーム内に封入されるアデノウイルス性DNA、ポリリジンと複合されるアデノウイルス性DNA、合成ポリカチオン分子と複合される、トランスフェリンと結合する、又は抗原性を免疫学的に「マスキング」する及び/若しくは半減期を短縮するためにPEG等の化合物と複合される、又は非ウイルス性タンパク質と結合する、アデノウイルス性DNAが含まれるが、これらに限定されない。従って、本明細書で使用される「アデノウイルスベクター」又は「アデノウイルス性ベクター」という用語には、アデノウイルス粒子又はアデノウイルス性粒子が含まれる。
本明細書で交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドの何れかの、任意の長さのヌクレオチドからなるポリマー形態を指す。これらの用語には、一本鎖、二本鎖又は三本鎖DNA、ゲノムDNA、cDNA、RNA、DNA−RNAハイブリッド、或いはプリン及びピリミジン塩基又はその他の天然の、化学的に修飾された、生化学的に修飾された、非天然の、若しくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれる。好ましくは、本発明のベクターはDNAを含む。本明細書で使用される「DNA」には、塩基A、T、C及びGが含まれるだけでなく、それらの類似体又はこれら塩基の修飾形態(例えば、メチル化ヌクレオチド)ヌクレオチド間修飾(例えば、非電荷結合及びチオエート)、糖類似体の使用、並びに修飾及び/又は代替骨格構造(例えば、ポリアミド)も含まれる。
ポリヌクレオチドの非限定的な例は以下の通りである:遺伝子又は遺伝子断片、エクソン、イントロン、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、cDNA、組み換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、ヌクレオチド配列プローブ、及びプライマー。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド(例えば、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体)、ウラシル、その他の糖及び結合基(例えば、フルオロリボース及びチオエート)、並びにヌクレオチド分岐を含む場合がある。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断される場合がある。ポリヌクレオチドは、重合後、例えば標識成分との結合によって更に修飾される場合がある。この定義に含まれるその他の種類の修飾には、キャップ、1つ以上の天然ヌクレオチドと類似体の置換、及びポリヌクレオチドをタンパク質、金属イオン、標識成分、その他のポリヌクレオチド、又は固体担体に結合する手段の導入がある。好ましくは、ポリヌクレオチドはDNAである。本明細書で使用される「DNA」には、塩基A、T、C、及びGが含まれるだけでなく、それらの任意の類似体又はこれら塩基の修飾形態(例えば、メチル化ヌクレオチド)、ヌクレオチド間修飾(例えば、非荷電結合及びチオエート)、糖類似体の使用、並びに修飾及び/又は代替骨格構造(例えば、ポリアミド)も含まれる。
「コード配列」及び「コード領域」という用語は、例えばmRNA、rRNA、tRNA、snRNA、センスRNA又はアンチセンスRNA等のRNA内に転写されるヌクレオチド配列を指す。一実施形態において、RNAはその後、タンパク質を生成するように細胞内で翻訳される。
「ORF」という用語は、オープンリーディングフレームを意味する。
「遺伝子」という用語は、ゲノム内に位置し、前述のコード配列に加えて、発現、即ちコード部分の転写及び翻訳を制御する役割を有する、その他の主に調節ヌクレオチド配列を含む所定の領域を指す。遺伝子は、その他の5’及び3’非翻訳配列及び終結配列も含む場合がある。遺伝子の供給源に応じて、存在する場合がある更なる要素は、例えばイントロンである。
例えばプロモーター及び遺伝子コード配列等のヌクレオチド配列に関連して本明細書で使用される「異種」及び「外来」という用語は、特定のウイルス又は宿主細胞にとって異質である供給源を起源とする配列、又は同一の供給源に由来する場合、それらの元の形態から修飾されている配列を指す。従って、ウイルス内又は細胞内の異種遺伝子には、特定のウイルス又は細胞に内因的であるが、例えばコドン最適化を介して修飾されている遺伝子が含まれる。これらの用語には、天然ヌクレオチド配列の複数の非天然コピーが含まれる。従って、これらの用語は、ウイルス若しくは細胞に異質若しくは異種の、又はウイルス若しくは細胞に同種であるが、宿主ウイルス若しくは細胞ゲノム内の、通常は配列が存在しない位置に存在するヌクレオチド配列を指す。
「コンピテント」及び「相補的」という用語は、相補的な塩基残基間の水素結合の形成によって、逆平行ヌクレオチド配列にて互いに対を為すことができる逆平行ヌクレオチド配列を含む2つのヌクレオチド配列を指す。
「天然」という用語は、野生型のウイルス又は細胞のゲノム内に存在する遺伝子を指す。
「天然」又は「野生型」という用語は、人により人工的に生成されたものとは異なる、天然に見出される対象を説明するために使用される。例えば、天然供給源より単離することができる、研究室内にて人により意図的に修飾されていない有機体(ウイルスを含む)内に存在するタンパク質又はヌクレオチド配列は、天然のものである。
ヌクレオチド配列に関連して本明細書で使用される「組み換え」という用語は、組み換えDNA技術を使用して互いに結合されて子孫ヌクレオチド配列となるヌクレオチド配列の組み合わせを指す。ウイルス、細胞及び有機体に関連して本明細書で使用される「組み換え」、「形質転換」及び「トランスジェニック」という用語は、異種ヌクレオチド配列が導入されている宿主ウイルス、細胞又は有機体を指す。ヌクレオチド配列は、宿主のゲノムに安定して一体化されてもよければ、染色体外の分子として存在してもよい。このような染色体外の分子は、自己複製してもよい。組み換えウイルス、細胞及び有機体は、形質転換プロセスの最終産物だけでなく、その組み換え子孫も包含するものとして理解される。「非形質転換」、「非トランスジェニック」又は「非組み換え」宿主は、異種ヌクレオチド配列を含まない野生型ウイルス、細胞又は有機体を指す。
「調節要素」は、ヌクレオチド配列の発現の制御に関与する配列である。調節要素には、プロモーター、エンハンサー、及び終結シグナルが含まれる。これらは又一般的に、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要な配列も包含する。
「プロモーター」という用語は、RNAポリメラ−ゼIIの結合部位を含み、DNAの転写を誘導する、通常コード領域の上流に位置する未翻訳DNA配列を指す。プロモーター領域には又、遺伝子発現の調節因子として作用するその他の要素も含まれる場合がある。「最小プロモーター」という用語は、不活性であるか、又は上流活性化要素の非存在下でプロモーター活性が大幅に低下しているプロモーター要素、特にTATA要素を指す。
本明細書で使用される「調節可能プロモーター」は、その活性がシス又はトランス活性化因子(例えば、外部シグナル又は薬剤等の誘導可能なプロモーター)の影響を受ける、任意のプロモーターである。
本明細書で使用される「構成的プロモーター」は、殆どの場合多数又は全ての組織/細胞型内でRNA生成を誘導する任意のプロモーター、例えば、哺乳動物細胞内でクローン化DNA挿入断片の構成的発現を促進する、ヒトCMV最初期エンハンサー/プロモーター領域である。
本発明が意味するところの「エンハンサー」という用語は、コード配列に作動的に結合する場合、プロモーターに作動的に結合するコード配列の転写を、プロモーターそれ自体によって達成される転写活性化よりも幾分増大させる(即ち、プロモーターからの転写を増大させる)任意の遺伝子要素、例えばヌクレオチド配列である場合がある。
「転写調節要素」及び「翻訳調節要素」という用語は、ヌクレオチド配列の転写及び/又は翻訳に影響を与える要素である。これらの要素には、スプライス供与及び受容部位、翻訳終結及び開始コドン、並びにアデニル化シグナルが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「転写応答要素」若しくは「転写調節要素」又は「TRE」とは、1つ以上のエンハンサー及び/又はプロモーター及び/又は例えば1つ以上の転写調節タンパク質応答配列等のプロモーター要素を含む、ポリヌクレオチド配列、好ましくはDNA配列であり、TREを機能させる宿主細胞内で、作動的に結合するポリヌクレオチドの転写を増大させる。
「転写制御下で」とは、当該技術分野で周知の用語であり、ポリヌクレオチド配列(通常DNA配列)の転写が、転写の開始に寄与する又は転写を促進する要素に作動的に結合することに依存することを示す。
「作動的に結合する」という用語は、機能的関係におけるポリヌクレオチド要素の配向に関する。IRESは、コード配列の転写を促進する場合に、そのコード配列に作動的に結合する。「作動的に結合する」とは、結合しているDNA配列が一般的に隣接しており、2つのタンパク質コード領域を連結する必要がある場合に、隣接して同じリーディングフレーム内にあることを意味する。しかしながら、エンハンサーは一般的に、プロモーターから数キロベース離れている場合に機能し、イントロン配列が可変長である場合があることから、幾つかのポリヌクレオチド要素は、作動的に結合するものの隣接していない場合がある。
本明細書で使用される「共転写」は、2つ(又はそれ以上)のコード領域又はポリヌクレオチドが、1つの転写制御又は調節要素の転写制御下にあることを意味する。
本明細書で使用される「ベクター」という用語は、異なる宿主細胞間での移動のために設計されるヌクレオチド配列又はコンストラクトを指す。ベクターは、例えば、挿入されたヌクレオチドの単離、増殖及び複製のために設計された「クローニングベクター」、宿主細胞内におけるヌクレオチド配列の発現のために設計された「発現ベクター」、又は組み換えウイルス若しくはウイルス様粒子を生成するように設計された「ウイルス性ベクター」、又は複数種類のベクターの性状を含む「シャトルベクター」である場合がある。遺伝子導入に使用する何れのベクターも基本的には、所望の配列を有するDNAが導入される「ベクター」として使用してもよい。本発明の実施には、プラスミドベクターが有用である。本発明に適用される「ベクター」という用語は、組み換えベクター、例えばプラスミド又はウイルス性ベクター(複製欠損性又は複製コンピテントウイルスを含む)を説明するために使用される。「ベクター」、「ポリヌクレオチドベクター」、「ポリヌクレオチドベクターコンストラクト」、「ヌクレオチド配列ベクターコンストラクト」及び「ベクターコンストラクト」という用語は、当業者により理解される通り、遺伝子導入のための任意のコンストラクトを意味するものとして本明細書で交換可能に使用される。
本明細書で使用される「コード領域」という用語は、コード配列を含むヌクレオチド配列を指す。コード領域は、イントロンを含めた対応する遺伝子のその他の領域を含む場合がある。「コード配列」(CDS)という用語は、タンパク質をコードするコドンを含むヌクレオチド配列を指す。コード配列は一般的に、翻訳開始コドン(例えば、ATG)から開始し、翻訳終結コドンで終了する。コード配列の上流とされる配列は、翻訳開始コドンの5’であり、CDSの下流とされる配列は、翻訳終結コドンの3’である。
ヌクレオチド分子に関連して本明細書で使用される「同種」という用語は、宿主ウイルス又は細胞に天然で関連するヌクレオチド配列を指す。
「同一」又は「〜%同一」という用語は、本明細書に記載の配列比較アルゴリズムの1つ(例えば、Smith−Watermanアルゴリズム)を使用して、又は視覚検査により測定される通り、最大一致に関して比較及びアラインした場合に、同じであるか、又は同じアミノ酸残基若しくはヌクレオチドを特定の割合で有する、複数のヌクレオチド配列という文脈において本明細書で使用される。
本明細書で使用される「配列同一性」という用語は、配列アラインメントプログラムを使用してアラインされた場合における、複数のアラインされた配列内のヌクレオチド間の同一性の程度を指す。「〜%相同」という用語は、本明細書において「〜%同一」という用語と交換可能に使用され、配列アラインメントプログラムを使用してアラインされた場合における、複数のアラインされた配列間のヌクレオチド又はアミノ酸配列の同一性のレベルを指す。例えば、本明細書で使用される80%相同とは、所定のアルゴリズムにより測定した80%配列同一性と同じものを意味し、従って特定の配列のホモログは、特定の配列長にわたり80%を超える配列同一性を有する。
「形質転換」は一般的に、異種DNAを含む細菌、又は癌遺伝子を発現し、従って例えば腫瘍細胞のような連続増殖モードに転換されている細胞を指すものとして使用される。細胞の「形質転換」に使用されるベクターは、プラスミド、ウイルス又はその他の媒体である場合がある。
一般的に、細胞は、異種DNA(即ち、ベクター)の細胞内への投与、導入又は挿入に使用する手段に応じて、「形質導入」、「感染」、「トランスフェクト」又は「形質転換」と呼ばれる。本明細書において「形質導入」、「トランスフェクト」及び「形質転換」という用語は、異種DNAの導入方法にかかわらず、交換可能に使用される場合がある。
本明細書で使用される「安定して形質転換した」、「安定してトランスフェクトした」及び「遺伝子導入した」とは、ゲノム内に一体化された非天然(異種)ヌクレオチド配列を有する細胞を指す。安定したトランスフェクションは、それらのゲノム内に安定して一体化されたトランスフェクトDNAを含有する娘細胞の集団からなる細胞株又はクローンが樹立されることにより示される。場合によっては、「トランスフェクション」が安定しておらず、即ち一過性である。一過性トランスフェクションの場合、外来又は異種DNAは発現されるが、導入された配列はゲノムに一体化されず、エピソーム的であると考えられる。
本明細書で使用される「投与する」又は「導入する」という用語は、組み換えタンパク質発現のためのベクターを、対象の1つ以上の細胞及び又は器官に送達することを指す。このような投与又は導入は、in vivo、in vitro又はex vivoで実施される場合がある。組み換えタンパク質又はポリペプチド発現のためのベクターは、一般的に物理的手段(例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、電気穿孔、ミクロ注入、又はリポフェクション)による異種DNAの細胞内への挿入を意味するトランスフェクション;一般的に感染体(即ち、ウイルス)を使用した導入を指す感染;或いは一般的にウイルスによる細胞の安定した感染、又はウイルス性剤(例えば、バクテリオファージ)を使用した微生物間の遺伝子材料の移動を意味する形質導入により、細胞内に導入される場合がある。
本明細書で使用される「ex vivo投与」とは、対象から一次細胞が採取され、これらの細胞にベクターが投与されて、形質導入、感染又はトランスフェクトされた組み換え細胞が生成され、そして組み換え細胞が同じ又は異なる対象に再投与されるプロセスを指す。
本発明のウイルス性ベクターに関連して本明細書で使用される「複製欠損性」という用語は、ウイルス性ベクターがそのゲノムをさらに複製及びパッケージングできないことを意味する。例えば、E1及びE4コード領域全体が削除又は不活性化されているアデノウイルス性ベクターに対象の細胞が感染すると、導入遺伝子が細胞内で転写的に活性である場合、異種導入遺伝子が患者の細胞内で発現される。しかしながら、患者の細胞はAd E1及びE4コード配列を欠失するという事実から、Adベクターは複製欠損性であり、ウイルス粒子はこれらの細胞内に形成することができない。
「複製コンピテント」という用語は、ベクターが特定の細胞型(「標的細胞」)、例えば癌細胞内で複製することができ、これらの細胞に細胞溶解を優位にもたらすことを意味する。癌細胞内での選択的複製がこれらの細胞を優位に破壊する、特定の複製コンピテントウイルス性ベクターが開発されている。特定の細胞型内で優位に複製し(それによって該細胞を破壊する)種々の細胞特異的複製コンピテントアデノウイルスが構成されている。このようなウイルス性ベクターは、「腫瘍退縮ウイルス」又は「腫瘍退縮ベクター」と呼ばれる場合があり、「腫瘍退縮性」又は「細胞変性」であると見なされ、標的細胞の「選択的細胞溶解」を達成するものと見なされる。「複製コンピテント」又は「腫瘍退縮」ウイルス性ベクターの例は、例えばPCT公開番号第WO98/39466号、第WO95/19434号、第WO97/01358号、第WO98/39467号、第WO98/39465号、第WO01/72994号、第WO04/009790号、第WO00/15820号、第WO98/14593号、第WO00/46355号、第WO02/067861号、第WO98/39464号、第WO98/13508号、第WO20004/009790号;米国仮出願番号第60/511,812号、米国仮出願番号第60/423,203号、及び米国特許公開番号第20010053352号に記載されている。
「複製条件付きウイルス」、「優位に複製するウイルス」、「特異的に複製するウイルス」及び「選択的に複製するウイルス」という用語は、交換可能に使用される用語であり、特定の細胞又は組織型内では優位に複製するが、他の組織型内では殆ど又は全く複製しない、複製コンピテントウイルス性ベクター及び粒子を指す。本発明の一実施形態において、ウイルス性ベクター及び/又は粒子は、腫瘍細胞及び/又は異常増殖組織(例えば、固体腫瘍及びその他の新生物)内で選択的に複製する。このようなウイルスは、「腫瘍退縮ウイルス」又は「腫瘍退縮ベクター」と呼ばれる場合があり、「腫瘍退縮性」又は「細胞変性」であると見なされ、標的細胞の「選択的細胞溶解」を達成するものと見なされる。
本明細書で使用される「プラスミド」という用語は、染色体外で、又は1つ以上の宿主細胞染色体の一部として、宿主細胞内での自己複製が可能なDNA分子を指す。本明細書の出発プラスミドは市販されており、制限なく公に入手できるか、又は本明細書に開示される通り及び/又は公開された手順に従って、このような入手可能なプラスミドから構成することができる。場合によっては、当業者に明らかな通り、当該技術分野で既知のその他のプラスミドが、本明細書に記載のプラスミドと交換可能に使用される場合がある。
「発現」という用語は、細胞内における内在性遺伝子、導入遺伝子、又はコード領域の転写及び/又は翻訳を指す。
「ポリアデニル化シグナル配列」とは、ポリアデニル化コンセンサス配列AATAAAが後に続く、RNA転写産物のエンドヌクレアーゼ開裂のための認識領域である。ポリアデニル化シグナル配列は、「ポリA部位」、即ち、アデニン残基が転写後のポリアデニル化により付加されるRNA転写産物上の部位を提供する。一般的に、ポリアデニル化シグナル配列には、開裂−ポリアデニル化部位をフランキングする2つの認識要素からなるコアポリ(A)シグナルが含まれる(例えば、第WO02/067861号及び第WO02/068627号の図1)。ポリアデニル化プロセスの完了がポリ(A)部位の強度と相関するため、適切なポリアデニル化シグナル配列を選択することで、ポリアデニル化シグナル配列の強度を考慮することになる(Chao, et al., Molecular and Cellular Biology, 1999, 19:5588−5600)。例えば、強力なSV40 lateポリ(A)部位は、より弱いSV40earlyポリ(A)部位よりも迅速に開裂する。当業者は、希望に応じて、より強力なポリアデニル化シグナル配列の選択を考慮するであろう。原則として、何れのポリアデニル化シグナル配列も、本発明の目的に有用である場合がある。しかしながら、本発明の幾つかの実施形態において、終結シグナル配列は、SV40 lateポリアデニル化シグナル配列又はSV40 earlyポリアデニル化シグナル配列である。通常、終結シグナル配列はその遺伝子供給源から単離されるか、又は合成により構成されて、本発明のベクターの適切な位置へ挿入される。
「多シストロン性転写産物」とは、複数のタンパク質コード領域、即ちシストロンを含むmRNA分子を指す。2つのコード領域を含むmRNAは、「バイシストロン性転写産物」と示される。「5’近位」コード領域又はシストロンは、翻訳開始コドン(通常はAUG)が、多シストロン性mRNA分子の5’末端に最も近いコード領域である。「5’遠位」コード領域又はシストロンは、翻訳開始コドン(通常はAUG)が、mRNAの5’末端に最も近い開始コドンではない。「5’遠位」及び「下流」という用語は、mRNA分子の5’末端に隣接していないコード領域を指すものとして同義に使用される。
本明細書で使用される「内部リボソーム侵入部位」又は「IRES」とは、開始コドン(例えば、シストロン(タンパク質コード領域)のATG)への直接的な内部リボソーム侵入を促進して、キャップ非依存的な遺伝子翻訳を誘導する要素を指す(Jackson R J, Howell M T, Kaminski A (1990) Trends Biochem Sci 15(12):477−83;及びJackson R J and Kaminski, A. (1995) RNA l(10):985−1000)。本発明は、シストロンの開始コドンに対する直接的な内部リボソーム侵入を促進することができる、任意のIRES要素の使用を包含する。PCT公開第WO01/55369号には、合成配列を含めたIRES配列の例が記載されており、これらの配列も本発明に従って使用される場合がある。本明細書で使用される「IRESの翻訳制御下で」とは、翻訳がIRESに関連しており、キャップ非依存的に進行することを意味する。当該技術分野で既知の「IRES」の例には、ピコルナウイルスから得られるIRES(Jackson, et al., 1990, Trends Biochem Sci 15(12):477−483);並びにウイルス性又は細胞内mRNA供給源、例えば免疫グロブリン重鎖結合タンパク質(BiP)、血管内皮増殖因子(VEGF)(Huez, et al., (1998) Mol. Cell. Biol. 18(ll):6178−6190)、線維芽細胞増殖因子2、及びインシュリン様増殖因子、翻訳開始因子eIF4G、酵母転写因子TFIID及びHAP4から得られるIRESが含まれるが、これらに限定されない。IRESは、例えばカルジオウイルス、ライノウイルス、アフトウイルス、HCV、フレンドマウス白血病ウイルス(FrMLV)、及びモロニーマウス白血病ウイルス(MoMLV)等の異なるウイルス内にも報告されている。本明細書で使用される「IRES」は、シストロンの開始コドンへの直接的な内部リボソーム侵入を異形が促進できる限りは、IRES配列の機能的異形を包含する。幾つかの実施形態において、IRESは哺乳動物性である。他の実施形態において、IRESはウイルス性又は原生動物性である。一実施形態において、IRESは、脳心筋炎ウイルス(ECMV)(Novogenから購入可能;Duke, et al., (1992) J. Virol 66(3): 1602−1609)から得られる。本明細書に開示される別の例示的実施形態において、IRESはVEGFに由来する。IRES配列の例は、米国特許第6,692,736号に記載されている。
本明細書で言及される「自己プロセシング開裂部位」又は「自己プロセシング開裂配列」とは、翻訳時に、自己プロセシング開裂部位を含むポリペプチドの迅速な分子内(シス)開裂が起こり、別個の成熟タンパク質又はポリペプチド産物が生成される、DNA又はアミノ酸配列である。このような「自己プロセシング開裂部位」は、翻訳後プロセシング又は共翻訳プロセシング開裂部位(例えば、2A部位、配列若しくはドメイン)とも称される場合がある。2A部位、配列又はドメインは、リボソームの活性を修飾してエステル結合の加水分解を促進し、それにより別個の下流翻訳産物の合成が続くように翻訳複合体からポリペプチドを解放することによって、翻訳効果を示す(Donnelly, 2001)。或いは、2A部位、配列又はドメインは、それ自体のC末端をシスで開裂して、一次開裂産物を生成することにより、「自己タンパク質分解」又は「開裂」を示す(Furler; Palmenberg, Ann. Rev. Microbiol. 44:603−623 (1990))。
「自己プロセシング開裂部位」又は「自己プロセシング開裂配列」は、翻訳後プロセシング又は共翻訳プロセシング開裂部位若しくは配列として本明細書に定義される。このような「自己プロセシング開裂」部位又は配列は、本明細書にて2A部位、配列若しくはドメイン、又は2A様部位、配列若しくはドメインにより例示されるDNA又はアミノ酸配列を指す。本明細書で使用される「自己プロセシングペプチド」は、翻訳時に、自己プロセシング開裂部位を含むタンパク質又はポリペプチドの迅速な分子内(シス)開裂を媒介して、別個の成熟タンパク質又はポリペプチド産物を産生する、自己プロセシング開裂部位又は配列をコードするDNA配列のペプチド発現産物として、本明細書に定義される。
本明細書で使用される「更なるタンパク質分解性開裂部位」という用語は、本発明の発現コンストラクトに自己プロセシング開裂部位(例えば、2A又は2A様配列)に隣接して取り込まれ、自己プロセシング開裂配列による開裂後に残留する更なるアミノ酸を除去する手段を提供する配列を指す。代表的な「更なるタンパク質分解性開裂部位」は、本明細書に記載されており、これにはコンセンサス配列RXK(R)R(配列番号44)を伴うフューリン開裂部位が含まれるが、これに限定されない。このようなフューリン開裂部位は、内在性サブチリシン様プロテアーゼ、例えばフューリン及びタンパク質分泌経路内のその他のセリンプロテアーゼによって開裂されてもよい。
一実施形態において、本発明は、残基アミノ酸及びそれらを発現するための組成物を除去する方法を提供する。タンパク質のC末端からこれらの更なるアミノ酸を除去する幾つかの新規のコンストラクトが設計されている。フューリン開裂は、コンセンサス配列RXR(K)R(配列番号45)(Xは任意のアミノ酸である)を有する開裂部位のC末端に起こる。一態様において、本発明は、米国出願番号第60/659,871号に詳述される通り、カルボキシペプチダーゼD、E及びH(CPD、CPE、CPH)を含むがこれらに限定されない、カルボキシペプチダーゼ(CPs)と呼ばれる酵素群より選択される酵素を使用して、タンパク質のC末端から新しく露出した塩基性アミノ酸残基R又はKを除去する手段を提供する。
本明細書で使用される「導入遺伝子」とは、適切な条件下で、組み換え技法を介して、非天然環境又は異種細胞内に発現することができるポリヌクレオチドを指す。本発明において、導入遺伝子コード領域は、ウイルス性ベクター内に挿入される。一実施形態において、ウイルス性ベクターはアデノウイルスベクターである。導入遺伝子は、該遺伝子が発現される同一の細胞型に由来するが、外来供給源から導入されて、対応する天然形態と比較して修飾され、及び/又は非天然部位から発現される場合もあれば、異種細胞に由来する場合もある。「導入遺伝子」は、「外来遺伝子」、「異質遺伝子」、「異種コード配列」及び「異種遺伝子」と同義である。本発明の実施に使用されるベクターの文脈において、「異種ポリヌクレオチド」又は「異種遺伝子」又は「導入遺伝子」は、対応する野生型ベクター又はウイルス内に存在しない何れかのポリヌクレオチド又は遺伝子である。導入遺伝子コード配列は、特定のタンパク質をコードする天然に見出される配列である場合がある。或いは、導入遺伝子コード配列は、非天然コード配列である場合もある。例えば、当業者は、コドン使用頻度表を使用してコード配列を容易に再コードし、特定の種における発現のためにコドンを最適化することができる。一実施形態において、再コード配列は更に、導入遺伝子の天然コード配列と同じアミノ酸配列をコードする。本発明のベクターに包含される好ましい導入遺伝子の例は、本明細書に示されている。導入遺伝子は治療遺伝子である場合がある。導入遺伝子は必ずしもタンパク質をコードするわけではない。
本明細書で使用される「治療」遺伝子とは、発現時に、該遺伝子が発現される細胞、組織又は哺乳動物に対して有益な効果を与える導入遺伝子を指す。有益な効果の例には、病状若しくは疾患の徴候若しくは症状の回復、病状若しくは疾患の予防若しくは阻止、又は所望の特徴の付与が含まれる。治療遺伝子の例は当該技術分野で数多く知られており、その幾つかについては以下に詳述されている。
本発明の実施に使用されるベクターの文脈において、「異種」配列又は要素とは、対応する野生型ベクター又はウイルスに関連しない、又は由来しないものである。
本発明の実施に使用されるベクターの文脈において、「内在性」配列又は要素は、対応する野生型ベクター又はウイルスに固有の、又は該野生型ベクター又はウイルスに由来するものである。
「複製」及び「増殖」は、交換可能に使用され、本発明のウイルス性ベクターの再生又は増殖能力を指す。これらの用語は、当該技術分野で周知である。本発明において、複製とは、ウイルスタンパク質の生成を伴い、一般的にウイルスの再生を対象とする。複製は、例えばウイルス収率試験、バースト試験又はプラーク試験等、当該技術分野で標準的な、本明細書に記載の試験を使用して測定することができる。「複製」及び「増殖」には、ウイルス製造プロセスに直接又は間接的に関与する任意の活性が含まれ、例えば、ウイルス性遺伝子の発現;ウイルス性タンパク質の生成、ヌクレオチド又はその他の成分の複製;完全ウイルス及び細胞溶解物中へのウイルス性成分のパッケージングが含まれるが、これらに限定されない。
「優位な複製」及び「選択的な複製」及び「特異的な複製」は、交換可能に使用される場合があり、ウイルスが非標的細胞内よりも標的細胞内でより多く複製することを意味する。ウイルスは、非標的細胞よりも標的細胞内でより高速に、例えば、少なくとも約3倍、少なくとも約10倍、少なくとも約50倍、及び場合により少なくとも約100倍、400倍、500倍、1000倍又は1×106倍もの速度で複製する。一実施形態において、ウイルスは、標的細胞内でのみ複製する(即ち、非標的細胞内では全く複製しないか、又は殆ど複製しない)。
本明細書で使用される「パッケージング細胞」とは、アデノウイルスゲノム又は修飾ゲノムをパッケージングして、ウイルス粒子を生成することができる細胞である。この細胞は、欠損遺伝子産物又はその等価物を提供することができる。従って、パッケージング細胞は、アデノウイルスゲノム内で欠失した遺伝子の補足機能を提供することができ、アデノウイルスゲノムをアデノウイルス粒子内にパッケージングすることができる。このような粒子を生成するには、ゲノムを複製し、感染性ウイルスの連結に必要なタンパク質を生成することが必要となる。粒子は、ウイルス粒子の成熟に必要となる特定のタンパク質も必要とする可能性がある。このようなタンパク質は、ベクター又はパッケージング細胞により提供してもよい。
ウイルス性ベクターの「プロデューサー細胞」は、当該技術分野で周知である。プロデューサー細胞は、アデノウイルスベクターが送達及び複製されて、ビリオン内にパッケージングされる細胞である。ウイルス性ベクターが必須遺伝子を欠失又は不活性化している場合、プロデューサー細胞は、不活性化遺伝子を補足する。アデノウイルスベクタープロデューサー細胞の例には、PerC.6(Falluax, et al., Hum Gene Ther. 1998 Sep 1;9(13):1909−17)及び293細胞(Graham, et al., J Gen Virol. 1977 Jul;36(l):59−74)がある。選択的複製ウイルスの場合、プロデューサー細胞は、ウイルスが選択的に複製する細胞型である場合がある。或いは又は更に、プロデューサー細胞は、ウイルス性ベクター内で選択的に制御又は不活性化される遺伝子を発現する場合がある。
「HeLa−S3」という用語は、American Type Culture Collection (ATCC[米国バージニア州マナッサス])から入手可能な、ATCC番号CCL−2.2と指定された、ヒト子宮頸癌由来の細胞株を意味する。HeLa−S3は、親HeLa株(ATCCCCL−2)のクローン誘導体である。HeLa−S3は、T.T. Puck等によって1955年にクローン化された(J. Exp. Med. 103: 273−284 (1956))。
「個体」とは、脊椎動物、哺乳動物、又はヒトである。哺乳動物には、家畜、競技用動物、齧歯類、霊長類、及びペットが含まれるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される「宿主細胞」という用語は、ベクターを形質導入、感染、トランスフェクト又は形質転換されている細胞を指す。ベクターは、プラスミド、ウイルス粒子、ファージ等である場合がある。培養条件、例えば温度、pH等は、発現のために選択された宿主細胞で以前に使用されているものであり、当業者に明らかであろう。「宿主細胞」という用語は、元の形質導入、感染、トランスフェクト又は形質転換された細胞、及びその子孫を指すことが理解されるであろう。
本明細書で使用される「細胞毒性」は、当該技術分野で周知の用語であり、細胞の通常の生物化学的又は生物学的活性が損なわれている(即ち、阻害されている)状態を指す。これらの活性には、代謝;細胞複製;DNA複製;転写;翻訳;分子の取り込みが含まれるが、これらに限定されない。「細胞毒性」には、細胞死及び/又は細胞溶解が含まれる。例えば色素排除、3H−チミジン取り込み、及びプラーク試験等の、細胞毒性を示す試験は、当該技術分野で既知である。
本明細書で使用される「生物活性」及び「生物学的に活性である」とは、培地中の細胞株内で、又はin vivoで特定のタンパク質に起因する活性を指す。「免疫グロブリン」、「抗体」又はその断片の「生物活性」とは、抗原決定基に結合して、免疫学的機能を促進する能力を指す。
本明細書で使用される、本発明のベクター又はキメラ多価可溶性受容体タンパク質の「治療有効量」とは、処置される病状を予防し、悪化を低減し、緩和し、又は治癒するのに有効な量、特にin vivoで血管内皮の増殖を低下させる又は阻害するのに十分な量である。
本明細書で使用される「新生物細胞」、「新生物」、「腫瘍」、「腫瘍細胞」、「癌腫」、「癌種細胞」、「癌」及び「癌細胞」、(交換可能に使用)とは、相対的に自律的な増殖を示すことで、細胞増殖制御の有意な損失により特徴付けられる異常な増殖表現型を示す細胞を指す。新生物細胞は悪性であっても、良性であってもよい。
(多価可溶性受容体タンパク質)
現在、幾つかの抗血管新生療法が開発されている(Marx,Science. 2003 Jul 25;301(5632):452−4)。これらの治療法は一般的に、VEGF受容体の遮断に依存しているが、最近の研究では、腫瘍の進行には更なる増殖因子経路も関与していることが示されている(Rich and Bigner, Nat Rev Drug Discov. May;3(5):430−46 (2004); Garcia−Echeverria and Fabbro, Mini Rev Med Chem. Mar;4(3):273−83 (2004))。これらの因子の中でも、チロシンキナーゼ受容体ファミリーメンバー線維芽細胞増殖因子(FGF; Powers, et al., Endocr Relat Cancer. 2000 Sep;7(3): 165−97)、血小板由来増殖因子(PDGF; Saharinen, et al., J Clin Invest. 2003 May;111(9): 1277−80; Ostman Cytokine & Growth Factor Reviews 15 (2004) 275−286)、内皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF; Trusolino L, Comoglio PM., Nat Rev Cancer. 2002 Apr;2(4):289−300)及びインシュリン様増殖因子(IGF)が関与している。血管新生因子の考察については、Harrigan, Neurosurgery 53(3) 2003 pgs 639−658を参照されたい。
現在、幾つかの抗血管新生療法が開発されている(Marx,Science. 2003 Jul 25;301(5632):452−4)。これらの治療法は一般的に、VEGF受容体の遮断に依存しているが、最近の研究では、腫瘍の進行には更なる増殖因子経路も関与していることが示されている(Rich and Bigner, Nat Rev Drug Discov. May;3(5):430−46 (2004); Garcia−Echeverria and Fabbro, Mini Rev Med Chem. Mar;4(3):273−83 (2004))。これらの因子の中でも、チロシンキナーゼ受容体ファミリーメンバー線維芽細胞増殖因子(FGF; Powers, et al., Endocr Relat Cancer. 2000 Sep;7(3): 165−97)、血小板由来増殖因子(PDGF; Saharinen, et al., J Clin Invest. 2003 May;111(9): 1277−80; Ostman Cytokine & Growth Factor Reviews 15 (2004) 275−286)、内皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF; Trusolino L, Comoglio PM., Nat Rev Cancer. 2002 Apr;2(4):289−300)及びインシュリン様増殖因子(IGF)が関与している。血管新生因子の考察については、Harrigan, Neurosurgery 53(3) 2003 pgs 639−658を参照されたい。
例えばFGF、PDGF、EGF、アンジオポエチン(例えば、アンジオポエチン−1、アンジオポエチン−2)、エフリンリガンド(例えば、エフリンB2、A1、A2)、インテグリンAV、インテグリンB3、胎盤増殖因子、腫瘍増殖因子−α、腫瘍増殖因子−β、腫瘍壊死因子−α及び腫瘍壊死因子−β等のリガンドがそれらの受容体に単独で又はVEGFに加えて結合することを遮断することにより、VEGF処置単独に応答しない、又は完全に応答しない癌型における腫瘍の安定化又は退行がもたらされる場合がある。
PDGF及びFGFリガンドの作用を遮断するのに有効な可溶性受容体も同定されている。チロシンキナーゼ受容体/IgGの融合は、VEGF、PDGF及びFGFに関して記載されている。幾つかのグループは、これらの可溶性受容体を使用して、PDGF、FGF及びVEGFによる対応するリガンド受容体への結合を遮断することで、単独療法として(Strawn, et al., 1994 J Biol Chem. Aug 19;269(33):21215−22)及び併用療法として(Ogawa, et al., 2002 Cancer Gene Ther. Aug;9(8):633−40)、種々の動物モデルにおける腫瘍成長を処置している。何れの場合にも、1つの可溶性受容体が単独療法として送達されるか、又はウイルスコンストラクトを使用して個別に発現される。本発明は、多価可溶性受容体タンパク質、それらをコードするベクター、及び使用方法を提供する。代表的な多価可溶性受容体タンパク質を、図1A〜図1E及び図2A〜図2Hに示す。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質は、複数の血管新生因子を結合する。一態様において、血管新生因子は、FGF、PDGF、EGF、HGF、アンジオポエチン、IGF及びVEGFからなる群から選択される。一実施形態において、本発明は、血管新生因子を結合する少なくとも2つのIg様結合ドメインを含む多価可溶性受容体タンパク質であって、少なくとも2つのIg様ドメインが2つの異なる受容体タンパク質の細胞外部分に由来するタンパク質を提供する。受容体タンパク質には、VEGFR1、VEGFR2、VEGFR3、PDGFR(例えば、PDGFR−α及びPDGFR−β)、Tie−2及びFGFR(例えば、FGFR1及びFGFR2)が含まれる場合があるが、これらに限定されない。
一実施形態において、結合ドメインは、FGF、PDGF、EGF、HGF、アンジオポエチン、IGF及びVEGFからなる群から選択される血管新生因子を結合する。幾つかの実施形態において、結合ドメインは、血管新生因子を結合する受容体の細胞外部分に由来する1つ以上のIg様ドメインからなる場合がある(例えば、VEGFトラップ)。複数のIg様ドメインが使用される場合、これらは、1つ以上の同じ血管新生因子又は異なる因子に結合する場合がある。血管新生因子に結合するドメインは、種々のものが当該技術分野で既知であり、これにはVEGFR1(Flt1)及びVEGFR2(KDR;第WO98/13071号:米国特許第5,712,380号;米国特許第6,383,486号;第WO97/44453号;第WO97/13787号;第WO00/7531号を参照)、FGF受容体(FGFR;米国特許第6,350,593号;米国特許第6,656,728号;Chellaiah, et al., Journal of Biological Chemistry 1999 Dec 274(49): 34785−34794; Powers, et al., Endocrine−Related Cancer 2000 7:165−197; Ogawa, et al., (2002) Cancer Gene Ther. Aug;9(8):633−40; Compagni, et al., Cancer Res. 2000 Dec 15;60(24):7163−9を参照)、PDGF受容体α及び_(Mahadevan, et al., Journal of Biological Chemistry 1995 Nov 270(46):27595−27600; Lokker, et al., Journal of Biological Chemistry 1997 Dec 272(52):33037−33044; Miyazawa, et al., Journal of Biological Chemistry 1998 Sept. 273(39):25495−25502)、VEGFR3(Makiners, et al., Nature Medicine 2001 Feb 7(2):199−205)、並びにTie2(Lin P, et al., 1998 PNAS USA 95(15):8829−34を参照)に由来するドメインが含まれる。
図2A〜図2Hには、本発明による多価可溶性受容体タンパク質の例を示す。多価可溶性受容体タンパク質は、多量体化ドメイン、例えばIgG由来のFcドメインを含む場合もある。Ig様ドメインは、多量体化ドメインの上流(アミノ末端方向)、下流(カルボキシル末端方向)又は上流及び下流の両方である場合がある。一実施形態において、本発明によるIg様ドメインは全て、多量体化ドメインの下流に位置する。
一実施形態において、多量体化ドメインは、IgGのFcドメインである。例えばFc領域は、Fcを化学的に定義するパパイン開裂部位のすぐ上流のヒンジ領域で開始する配列、又はその他の免疫グロブリンの類似部位からなる場合がある。幾つかの実施形態において、コードされたキメラポリペプチドは、免疫グロブリン重鎖の定常領域の少なくとも機能的に活性であるヒンジ、CH2及びCH3ドメインを保持する。幾つかの実施形態において、融合は又、定常ドメインのFc部分のC末端、又は重鎖若しくは軽鎖の対応する領域のCH1のすぐN末端側に行われる。好ましい一実施形態において、対象となるIg様ドメインは、免疫グロブリンG1(IgG−1)のFcドメインのN末端に融合される。
本発明の可溶性キメラ受容体タンパク質のリガンド結合ドメインは、例えばペプチドリンカー等の結合配列により結合される場合もあれば、結合されない場合もある。結合配列は、可溶性キメラ受容体タンパク質の複数の個々のドメインを共有結合させるために使用され、2つのドメイン間に位置している。リンカーは、結合ドメインの柔軟性を増大させ、可溶性キメラ受容体タンパク質内の各機能的結合ドメインの構造を有意に妨害しないことが好ましい。ペプチドリンカーLは、長さ2〜50個のアミノ酸、より好ましくは長さ2〜30個のアミノ酸、最も好ましくは長さ2〜10個のアミノ酸であるのが好ましい。
代表的なリンカーには、少なくとも2つのアミノ酸残基を有する線状ペプチド、例えばGly−Gly、Gly−Ala−Gly、Gly−Pro−Ala、Gly−Gly−Gly−Gly−Ser(配列番号46)が含まれる。例えば、配列番号12〜13(アミノ酸配列)及び配列番号31〜33、40及び41(ヌクレオチド配列)等の代表的なリンカーが、本明細書に示される。好適な線状ペプチドには、ポリグリシン、ポリセリン、ポリプロリン、ポリアラニン、並びにアラニル及び/又はセリニル及び/又はプロリニル及び/又はグリシルアミノ酸残基からなるオリゴペプチドが含まれる。
或いは、リンカー部分は、複数の結合ドメインを非線形状に結合する分岐した「腕」を有するポリペプチド多価リンカーである場合がある。例としては、Tam(Journal of Immunological Methods 196:17, 1996)に開示されているものが含まれるが、これに限定されない。好ましくは、多価リンカーは約3〜約40個のアミノ酸残基を有し、その全て又は一部が、結合ドメインに結合するための結合部位を提供する。より好ましくは、このリンカーは、アミノ酸残基側鎖内に位置する官能基であることが多い、約2〜約12個の結合部位を有する。しかしながら、αアミノ基及びαカルボン酸も又、結合部位の役割を果たすことができる。代表的な多価リンカーには、ポリリジン、ポリオルニチン、ポリシステイン、ポリグルタミン酸及びポリアスパラギン酸が含まれるが、これらに限定されない。場合により、不活性側鎖を伴うアミノ酸残基、例えばグリシン、アラニン及びバリンが、アミノ酸配列に含まれていてもよい。このリンカーは又、一旦結合ドメインに結合すると、非経口又は経口投与に好適である化学的リンカーのような、非ペプチドの化学的実体である場合もある。化学的リンカーは、それぞれが結合ドメインと反応する二官能基リンカーである場合がある。或いは、化学的リンカーは、適切に離間された複数の反応性基を有し、それぞれが結合ドメインの官能基と反応することができる、分岐リンカーである場合がある。結合ドメインは、反応性官能基によって結合されており、立体障害が幾つかの反応性官能基(例えば、アミン、カルボン酸、アルコール、アルデヒド及びチオール)とペプチド間の共有結合の形成を実質的に妨害しないように、それぞれのドメインが離間されている。結合部位の全てが占有される必要はない。例えば、米国特許第20030064053号(Liu, et al.)を参照されたい。
(本発明のIg様ドメイン)
本発明の多価可溶性受容体タンパク質は、少なくとも2つの異なる血管新生因子を結合する少なくとも2つのIg様ドメインからなる。多価可溶性受容体タンパク質は又、多量体化ドメインを含む場合もある。融合が行われる正確な部位は重要ではなく;特定の部位が周知であり、タンパク質の生物活性、分泌、バイオアベイラビリティ又は結合特性を最適化するように選択される場合がある。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質は、少なくとも2つの異なる血管新生因子を結合する少なくとも2つのIg様ドメインからなる。多価可溶性受容体タンパク質は又、多量体化ドメインを含む場合もある。融合が行われる正確な部位は重要ではなく;特定の部位が周知であり、タンパク質の生物活性、分泌、バイオアベイラビリティ又は結合特性を最適化するように選択される場合がある。
本発明により提供される多価可溶性受容体タンパク質の例は、本書全体、特に、実施例、並びに図1A〜図1C及び図2A〜図2Hに記載されている。Ig様ドメインは、当業者により知られており、認められている。即ち、Ig様ドメインは一般的に、約110個のアミノ酸残基を含むものとして特徴付けられており、且つ約60個のアミノ酸ループを形成する鎖内ジスルフィド結合を含むものとして特徴付けられる(Immunology, Janis Kuby 1992, W.H Freeman & Company, New York)。X線結晶学では、Ig様ドメインが通常小型構造に折り畳まれていることが明らかにされており、このことは免疫グロブリンの折り畳みとして知られている。この構造は、2個のβプリーツシートからなることを特徴としており、それぞれがアミノ酸の3個又は4個の逆平行β鎖を含んでいる(Kuby, 1992)。
(受容体チロシンキナーゼ(RTK))
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、形質膜を1回だけ貫通する膜貫通タンパク質である。RTKを誘発するリガンドには、インスリン、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、内皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)及びマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)が含まれる。
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、形質膜を1回だけ貫通する膜貫通タンパク質である。RTKを誘発するリガンドには、インスリン、血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、内皮増殖因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)及びマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)が含まれる。
受容体チロシンキナーゼ(RTK)は、細胞内シグナル伝達の役割を担う細胞表面膜貫通タンパク質であり、これは、2つの隣接する受容体とリガンドを結合させることによって、チロシン残基のリン酸化を触媒する活性二量体が形成されることにより活性化される。この活性化二量体は、リン酸基を特定のチロシン残基に結合して、それらを活性状態に変換する。ヒトゲノムは多数の異なるチロシンキナーゼをコードし、その幾つかがそれらのホスフェートを転写因子に直接転移させて、それらを活性化することにより作用する。受容体チロシンキナーゼは、細胞シグナル伝達経路に関与し、例えば増殖、分化、遊走及び浸潤、並びに血管新生等の重要な細胞機能を調節する。70%を超える既知の癌遺伝子及び癌原遺伝子が、PTKの癌コーディング及び過剰発現に関与しており、及び/又は受容体チロシンキナーゼの構造変化が、腫瘍成長、血管新生及び転移に関連していた。
(VEGF(血管内皮増殖因子))
VEGF経路の遮断を目的とした戦略が、幾つか臨床開発されている。VEGF経路の遮断は、例えばVEGF(Asano, M., et al. (1998) Hybridoma 17, 185−190)又はその受容体(Prewett, M., et al., (1999) Cancer Res. 59, 5209−5218)、VEGFによるその正常な受容体への結合を阻止する可溶性囮受容体、及びVEGFRのチロシンキナーゼ活性の化学的阻害剤をターゲティングする抗体を遮断するといった、幾つかの戦略により達成されている。近年、VEGFの遮断の有効性をその他の「抗血管新生」戦略と比較する試験により、この手法が他の多くの手法よりも優れているという確証が得られている(Holash, et al., PNAS, 99(17) 11393, 2002; WO 00/75319)。
VEGF経路の遮断を目的とした戦略が、幾つか臨床開発されている。VEGF経路の遮断は、例えばVEGF(Asano, M., et al. (1998) Hybridoma 17, 185−190)又はその受容体(Prewett, M., et al., (1999) Cancer Res. 59, 5209−5218)、VEGFによるその正常な受容体への結合を阻止する可溶性囮受容体、及びVEGFRのチロシンキナーゼ活性の化学的阻害剤をターゲティングする抗体を遮断するといった、幾つかの戦略により達成されている。近年、VEGFの遮断の有効性をその他の「抗血管新生」戦略と比較する試験により、この手法が他の多くの手法よりも優れているという確証が得られている(Holash, et al., PNAS, 99(17) 11393, 2002; WO 00/75319)。
VEGF受容体は少なくとも以下の3つが認められている:VEGFR1、VEGFR2及びVEGFR3。VEGFR1はFlt−1とも呼ばれ、その生物学的機能は未だに定義されていない。血管内皮増殖因子受容体1は、fms関連チロシンキナーゼ1(FLT1)とも呼ばれるほか、血管内皮増殖因子/血管透過性因子受容体とも呼ばれる。VEGFR2は、Ig様細胞外ドメイン、疎水性膜貫通ドメイン、及び2つのチロシンキナーゼモチーフを含む細胞内ドメインからなる膜貫通チロシンキナーゼ受容体である。VEGFR3は、リンパ管新生に重要な役割を果たす。VEGFR3は、VEGF−C及び−Dを結合する。
血管内皮増殖因子(VEGF)は、VEGF受容体1(Flt−1)及びVEGF受容体2(KDR又はFlk−1)受容体チロシンキナーゼにより、その作用を媒介する。リガンド相互作用に関与するFlt−1の細胞外領域の位置を特定するため、受容体の細胞外リガンド結合ドメインとIgG1 Fcとの間で、分泌されたFc融合タンパク質が生成され、VEGF−A及びPlGF−1の親和性が評価されている(Cunningham, et al., 1997. Biochem Biophys Res Commun. 1997 Feb 24;231(3):596−9; Ma L, et al., Biotechnol Appl Biochem. 34(Pt 3): 199−204, 2001; Holash, et al., Proc Natl Acad Sci USA. Aug 20;99(17): 11393−8 (2002))。リガンド結合試験では、アミノ酸1〜234が最小限のVEGF−A(VEGF 165アイソフォーム)の相互作用を達成するのに十分であることが示されている。この領域を1〜331アミノ酸(配列番号3)に拡張すると、完全受容体に匹敵する高親和性のリガンド結合が提供される。この領域は又、Flt−1と胎盤増殖因子(PIGF−1)の相互作用を達成するのにも十分である。VEGFR1は、VEGF−A及び−Bを結合する。
VEGFR2は、ヒトにおいてKDRとも呼ばれ、そのマウスホモログではFlk−1と呼ばれる。VEGFR2(KDR/FLK−1)は、その活性化が例えば胚発育、創傷治癒、細胞増殖、遊走及び分化等の多くの生物プロセスにおいて役割を果たす受容体チロシンキナーゼファミリーの約210kDaのメンバーである。VEGFR2の発現は、殆ど血管内皮細胞に限定されている。VEGFR2は、VEGF−A及び−Bを結合する。KDRの細胞外領域は、7つの免疫グロブリン様ドメインからなり、欠失試験により、アミノ酸1〜327(配列番号6)が高い親和性でVEGFに結合するのに十分且つ必要であることが示されている(Kaplan, et al., 1997; Fu, et al., 1998)。このコンストラクトからアミノ酸224〜327が欠失することで、VEGFへの結合を1000倍以上低下させ、VEGF/KDRの相互作用におけるこの領域の重大な機能的役割が示された。この結果から、VEGFR−3がVEGFR−2と関連してリガンド依存的細胞応答を誘導する必要があることが示唆されている(Alam A., et al., Biochem Biophys Res Commun. 2004 Nov 12;324(2):909−15)。
血管内皮増殖因子受容体−3(VEGFR−3/Flt4)は、VEGFリガンドファミリーの2つの既知のメンバーであるVEGF−C及びVEGF−Dを結合し、妊娠中期胚の一次毛細血管のリモデリングにおける重要な機能を有する。発達の後期に、VEGFR−3は、リンパ管の増殖及び維持を調節する。VEGFR−3は、血管の発達及びリンパ管の完全性の維持に不可欠である(Alam A., et al., Biochem Biophys Res Commun. 2004 Nov 12;324(2):909−15)。受容体のVEGF−C結合領域は、He, et al., (2002)により、アミノ酸1〜330(配列番号7のアミノ酸1〜330)内に存在することが判明している。
VEGFリガンド遮断の1つの方法には、例えばVEGFR−1又はVEGFR−2由来のもの等の可溶性VEGF受容体の使用がある。これらの分子を構成する1つの方法は、VEGFリガンドを結合する役割を有するVEGF受容体の細胞外IgG様ドメインを、N末端に分泌のためのシグナル配列を有するヒトIgG1重鎖フラグメントに融合することを伴う。Flt−1とKDRの間の高度のアミノ酸相同性を考慮すると、2つの受容体間のアミノ酸の対応する領域は、分子間で交換されると置き換えられ、そのようにして結合親和性の変更された分子を形成することができる。例えば、KDR/Flt−1ハイブリッドVEGFトラップがその例である。VEGF(血管内皮増殖因子)トラップは、2つの異なるVEGF受容体であるVEGFR−1(flt−1)及びVEGFR−2(KDR)の細胞外ドメインの一部を含む複合体囮受容体融合タンパク質である。VEGFトラップ(R1R2)は、VEGFに高い親和性を有する(Holash, et al., Proc Natl Acad Sci USA. Aug 20;99(17):l 1393−8 (2002))。
VEGFR−2及びVEGFR−3から誘導されたキメラであるキメラVEGF受容体は、例えば第WO02/060950号に記載されている。
(その他の血管新生因子)
最近の研究では、幾つかの増殖因子経路が腫瘍の進行に関与することが示されている(Rich and Bigner, Nat Rev Drug Discov. May;3(5):430−46 (2004); Garcia−Echeverria and Fabbro. Mini Rev Med Chem. Mar;4(3):273−83 (2004))。これらの因子には、チロシンキナーゼ受容体ファミリーメンバーの線維芽細胞増殖因子(FGF; Powers, et al., Endocr Relat Cancer. 2000 Sep;7(3): 165−97)、血小板由来の増殖因子(PDGF; Saharinen, et al., J Clin Invest. 2003 May;l11(9): 1277−80; Ostman Cytokine & Growth Factor Reviews 15 (2004) 275−286)、内皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、及びインシュリン様の増殖因子(IGF)が包含されている。
最近の研究では、幾つかの増殖因子経路が腫瘍の進行に関与することが示されている(Rich and Bigner, Nat Rev Drug Discov. May;3(5):430−46 (2004); Garcia−Echeverria and Fabbro. Mini Rev Med Chem. Mar;4(3):273−83 (2004))。これらの因子には、チロシンキナーゼ受容体ファミリーメンバーの線維芽細胞増殖因子(FGF; Powers, et al., Endocr Relat Cancer. 2000 Sep;7(3): 165−97)、血小板由来の増殖因子(PDGF; Saharinen, et al., J Clin Invest. 2003 May;l11(9): 1277−80; Ostman Cytokine & Growth Factor Reviews 15 (2004) 275−286)、内皮増殖因子(EGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、及びインシュリン様の増殖因子(IGF)が包含されている。
例えばFGF、PDGF、EGF、アンジオポエチン(例えば、アンジオポエチン−1、アンジオポエチン−2)、エフリンリガンド(例えば、エフリンB2、A1、A2)、インテグリンAV、インテグリンB3、胎盤増殖因子、腫瘍増殖因子−α、腫瘍増殖因子−β、腫瘍壊死因子−α、及び腫瘍壊死因子−β等のリガンドのそれらの受容体がそれらの受容体に単独で又はVEGFに加えて結合することを遮断することにより、VEGF処置単独に応答しない、又は完全に応答しない癌型における腫瘍の安定化又は退行がもたらされる場合がある。
チロシンキナーゼ受容体/IgGの融合は、VEGF、PDGF及びFGFに関して記載されている。幾つかのグループは、これらの可溶性受容体を使用して、PDGF、FGF及びVEGFによる対応するリガンド受容体への結合を遮断することで、単独療法として(Strawn, et al., 1994 J Biol Chem. Aug 19;269(33):21215−22)及び併用療法として(Ogawa, et al., 2002 Cancer Gene Ther. Aug;9(8):633−40)、種々の動物モデルにおける腫瘍成長を処置している。記載されている何れの場合にも、可溶性受容体は、単独療法として又は別個のウイルスコンストラクトと組み合わせて送達されている。
(血小板由来の増殖因子(PDGF))
血小板の凝固により放出される因子である血小板由来の増殖因子(PDGF)は、in vitroで線維芽細胞の増殖を刺激する役割を有する。PDGFは、血管平滑筋細胞、骨細胞、軟骨細胞、結合組織細胞、及び幾つかの血液細胞の分裂促進因子でもある(Hughes A, et al. Gen Pharmacol 27(7): 1079−89, (1996))。PDGFは、肥厚、走化性、胚神経細胞繊維の発達、及び呼吸細管上皮細胞の発達を含めた多くの生物活性に関与する。
血小板の凝固により放出される因子である血小板由来の増殖因子(PDGF)は、in vitroで線維芽細胞の増殖を刺激する役割を有する。PDGFは、血管平滑筋細胞、骨細胞、軟骨細胞、結合組織細胞、及び幾つかの血液細胞の分裂促進因子でもある(Hughes A, et al. Gen Pharmacol 27(7): 1079−89, (1996))。PDGFは、肥厚、走化性、胚神経細胞繊維の発達、及び呼吸細管上皮細胞の発達を含めた多くの生物活性に関与する。
血小板由来の増殖因子(PDGF)の生物学的効果は、α−及びβ−PDGF受容体(PDGFRα及びβ)により媒介される。PDGFRα受容体は、PDGF−AA、AB、BB及びCCリガンドを結合する。PDGF−AA及び−BB結合部位は、欠失変異誘発を使用して、PDGFRα受容体のアミノ酸1〜314にマッピングされている(配列番号16; Lokker, et al., J Biol Chem. 1997 Dec 26;272(52):33037−44, 1997; Miyazawa, et al., J Biol Chem. 1998 Sep 25;273(39):25495−502, 1998; Mahadevan, et al., J Biol Chem. 1995 Nov 17;270(46):27595−600, 1995)。
血小板由来の増殖因子(PDGF)の生物学的効果は、α−及びβ−PDGF受容体(PDGFRα及びβ)により媒介される。PDGFR β受容体は、PDGF−BBDDリガンドを結合する。PDGF−BB結合部位は、欠失変異誘発を使用して、PDGFR β受容体のアミノ酸1〜315にマッピングされている(配列番号19; Lokker, et al., J Biol Chem. 1997 Dec 26;272(52):33037−44, 1997)。
(線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR))
殆どのFGFは線維芽細胞増殖を誘導するが、内皮細胞、軟骨細胞、平滑筋細胞、及びメラニン形成細胞等の増殖も誘導する。更に、FGF−2分子は、脂肪細胞の分化を誘導し、星状細胞の遊走を刺激し、神経細胞の生存を延長することが示されている(Burgess, W.H. and T. Maciag Annu. Rev. Biochem. 58:575, 1989)。4種の線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR1〜4)は、少なくとも22個のFGFリガンドに対する高親和性受容体の役割を果たす膜貫通チロシンキナーゼのファミリーを構成する。マウスにおける遺伝子ターゲティングは、複数の生物学的プロセスにおけるこの重要な遺伝子ファミリーの機能に、貴重な洞察をもたらしている。これらのプロセスには、中胚葉誘導及びパターニング;細胞増殖、遊走、及び分化;器官形成及び維持;神経細胞の分化及び生存;創傷治癒;並びに悪性腫瘍の形質転換が含まれる。FGFR1に関連しては、酸性及び塩基性FGFの結合に受容体のアミノ酸119〜372が必要であることが、構造結合試験で明らかにされている(配列番号22; Challaiah, et al., 1999; Olsen, et al., 2004)。
殆どのFGFは線維芽細胞増殖を誘導するが、内皮細胞、軟骨細胞、平滑筋細胞、及びメラニン形成細胞等の増殖も誘導する。更に、FGF−2分子は、脂肪細胞の分化を誘導し、星状細胞の遊走を刺激し、神経細胞の生存を延長することが示されている(Burgess, W.H. and T. Maciag Annu. Rev. Biochem. 58:575, 1989)。4種の線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR1〜4)は、少なくとも22個のFGFリガンドに対する高親和性受容体の役割を果たす膜貫通チロシンキナーゼのファミリーを構成する。マウスにおける遺伝子ターゲティングは、複数の生物学的プロセスにおけるこの重要な遺伝子ファミリーの機能に、貴重な洞察をもたらしている。これらのプロセスには、中胚葉誘導及びパターニング;細胞増殖、遊走、及び分化;器官形成及び維持;神経細胞の分化及び生存;創傷治癒;並びに悪性腫瘍の形質転換が含まれる。FGFR1に関連しては、酸性及び塩基性FGFの結合に受容体のアミノ酸119〜372が必要であることが、構造結合試験で明らかにされている(配列番号22; Challaiah, et al., 1999; Olsen, et al., 2004)。
FGFR2に関しては、FGFの結合に受容体のアミノ酸126〜373(配列番号25)が必要であることが、構造結合試験で明らかにされている(Miki, et al., Science. 1991 Jan 4;251(4989):72−5, 1991; 1992; Celli, et al., EMBO J. 1998 Mar 16;17(6): 1642−55, 1998)。
加えて、天然ヒト突然変異に基づくアミノ酸置換は、FGFR2結合領域に導入されて、リガンド親和性又は特異性を向上させることができる。例えば、Apert症候群(AS)は、頭蓋骨癒合症(頭蓋縫合の早期融合)と、手足の重症の合指症により特徴付けられる。FGFR2における2つの活性化突然変異、Ser−252−−>Trp及びPro−253−−>Argは、ASの既知の例のほぼ全ての原因となる。これらの突然変異は、FGFR2とFGF2の間に更なる相互作用を導入することで、FGFR2−FGF2の親和性を増大させる。Pro−253−−>Argの突然変異は、何れかのFGFに対するFGFR2の親和性を無差別に増大させることになる。対照的に、Ser−252−−>Trpの突然変異は、FGFの限られたサブセットに対するFGFR2の親和性を選択的に増大させることになる(Ibrahimi, et al., Proc Natl Acad Sci USA. 2001 Jun 19;98(13):7182−7, 2001)。
(HGFリガンド/受容体ファミリー)
肝細胞増殖因子(HGF)は、肝臓再生時の肝細胞の分裂促進因子として当初説明されていたが、HGFは上皮細胞における有糸分裂誘発及び形態形成を含めた種々の生物活性を有している。HGFは、正常な発生学的発達及び肝臓再生に必須である。HGFの受容体であるc−Metも、チロシンキナーゼ受容体である。又、c−Metの過剰発現、並びに自己分泌HGF発現によるその活性化も、種々のヒト腫瘍内で見出されており、HGF及びc−Metの共発現が腫瘍転移に関与する場合があることを示している(Sakkab D., et al., J Biol Chem, Vol. 275(12) 8806−8811, 2000)。肝細胞増殖因子(HGF)の受容体であるMetは、リガンドに依存した、及びリガンドから独立した機序の両方によって、ヒト癌内で活性化される。肝細胞増殖因子(HGF)は、C−Metの細胞外ドメインを結合して、Met受容体を活性化し、有糸分裂誘発、形態形成、及び運動性を誘発する。Metの細胞外ドメインは、Sema、PSI、及び4つのIPTサブドメインからなる。所見では、受容体の細胞外領域のSemaドメイン及び以下のPSIドメイン(配列番号28;アミノ酸1〜562)のみが、HGFの結合に加えて二量体化に必要であることが示されている(Kong−Beltran, et al., Cancer Cell. 2004 Jul;6(l):75−84, 2004; Trusolino L, Comoglio PM., Nat Rev Cancer . 2002 Apr;2(4):289−300)。
アンジオポエチン(例えば、アンジオポエチン−1、アンジオポエチン−2)
Tie2(Tek)は、アンジオポエチン1及び2(Ang1及びAng2)の受容体である。アンジオポエチンは内皮増殖因子として作用する。Ang1は、Tie2を活性化することにより血管新生を促進する。Ang2も、局所の状況によってTie2を活性化する場合がある(本発明者が配列一覧ファイルにTie2を追加)。
肝細胞増殖因子(HGF)は、肝臓再生時の肝細胞の分裂促進因子として当初説明されていたが、HGFは上皮細胞における有糸分裂誘発及び形態形成を含めた種々の生物活性を有している。HGFは、正常な発生学的発達及び肝臓再生に必須である。HGFの受容体であるc−Metも、チロシンキナーゼ受容体である。又、c−Metの過剰発現、並びに自己分泌HGF発現によるその活性化も、種々のヒト腫瘍内で見出されており、HGF及びc−Metの共発現が腫瘍転移に関与する場合があることを示している(Sakkab D., et al., J Biol Chem, Vol. 275(12) 8806−8811, 2000)。肝細胞増殖因子(HGF)の受容体であるMetは、リガンドに依存した、及びリガンドから独立した機序の両方によって、ヒト癌内で活性化される。肝細胞増殖因子(HGF)は、C−Metの細胞外ドメインを結合して、Met受容体を活性化し、有糸分裂誘発、形態形成、及び運動性を誘発する。Metの細胞外ドメインは、Sema、PSI、及び4つのIPTサブドメインからなる。所見では、受容体の細胞外領域のSemaドメイン及び以下のPSIドメイン(配列番号28;アミノ酸1〜562)のみが、HGFの結合に加えて二量体化に必要であることが示されている(Kong−Beltran, et al., Cancer Cell. 2004 Jul;6(l):75−84, 2004; Trusolino L, Comoglio PM., Nat Rev Cancer . 2002 Apr;2(4):289−300)。
アンジオポエチン(例えば、アンジオポエチン−1、アンジオポエチン−2)
Tie2(Tek)は、アンジオポエチン1及び2(Ang1及びAng2)の受容体である。アンジオポエチンは内皮増殖因子として作用する。Ang1は、Tie2を活性化することにより血管新生を促進する。Ang2も、局所の状況によってTie2を活性化する場合がある(本発明者が配列一覧ファイルにTie2を追加)。
受容体チロシンキナーゼTie2のリガンドであるアンジオポエチン(Ang)1は、胚形成時における血管ネットワークの形成及び安定化を調節する。成人では、Ang1が末梢血管細胞の血管安定化及び動員に関連する一方で、Ang2はこれらの作用に対抗するよう作用する。遺伝子をターゲティングするマウスの最近の結果では、Ang2も又リンパ管の適切なパターニングに不可欠であり、Ang1はこの機能に置き換えられることが示されている。この受容体は、3つのフィブロネクチンIII型様反復に接続されている3つの内皮増殖因子様反復で分離された2つの免疫グロブリン様ループを含む、固有の細胞外ドメインを保有する。試験では、Tie2受容体の細胞外領域(アミノ酸1〜733)がリガンドを結合できることが示されている(Lin P, et al., Proc Natl Acad Sci USA. 1998 JuI 21;95(15):8829−34; Lin P, et al., J Clin Invest. 1997 Oct 15;100(8):2072−8)。
以下の表1には、本発明の多価可溶性受容体タンパク質の構成に使用される代表的な結合ドメインを記載する。リガンドの結合は、例えば細胞からの受容体の分泌、二量体化及びバイオアベイラビリティ等のその他の因子が重要となるため、重要とされる唯一の変数でない場合もある。
1つ以上の血管新生因子に結合するIg様ドメインの変異体又は突然変異が本発明に利用できることが理解される。血管新生を阻害するin vivo、更にin vitroでの用途では、本発明の多価可溶性受容体タンパク質が、血管新生因子への結合に利用可能である必要がある。タンパク質への正電荷は、タンパク質を細胞外マトリックス成分等に結合させ、それらのリガンド(例えば、血管新生因子)を結合する可用性を低下させる可能性があると考えられている。従って、本発明は、正電荷を低下させる(例えば、pIを低下される)ように修飾された修飾多価可溶性受容体タンパク質も提供する。例えば、アセチル化により、及び/又は正の電荷を帯びたアミノ酸をコードするコード領域のコドンを、中性又は負の電荷を帯びたアミノ酸のコドンにより置き換えることにより、タンパク質の電荷を変更する、当業者に既知の方法が幾つか存在する。これらの修飾型の例は、第WO200075319号に記載されている。血管新生因子に結合し、血管新生の阻害するタンパク質の能力に関する本発明の趣旨から逸脱することなく、種々のアミノ酸置換をIg様ドメイン又はドメインで行うことができる。従って、血管新生因子を結合し、血管新生を阻害するキメラタンパク質の能力に実質的に影響を与えない対象特性を付与するために、点変異及びより広域の変更が1つ以上のIg様ドメインで行われる場合がある。本発明の多価可溶性受容体タンパク質のIg様ドメインをコードする配列変異体は、本発明の適用範囲内に含まれる。
配列比較では、一般的に1つの配列が、被験配列と比較する基準配列の役割を果たす。配列比較アルゴリズムを使用する場合、被験配列及び基準配列をコンピュータに入力し、必要に応じてサブ配列座標を指定し、配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。次に、配列比較アルゴリズムは、指定したプログラムパラメータに基づき、基準配列に対する1つ以上の被験配列の配列同一性を計算する。
比較のための最適な配列アラインメントは、以下のアルゴリズムにより行うことができる:例えば、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)に記載の局所相同性アルゴリズム、Needleman & Wunsch, J. Mol. Biol. 48: 443 (1970)に記載の相同性アラインメントアルゴリズム、Pearson & Lipman, Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85: 2444 (1988)に記載の類似性探索方法、これらアルゴリズムのコンピュータ化によるインプリメンテーション(Wisconsin GeneticsソフトウェアパッケージのGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA;Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, Wis)、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を介して公に入手可能なソフトウェアを使用したBLASTアルゴリズム(Altschul, et al., J. Mol. Biol. 215: 403−410 (1990))、又は視覚検査(一般的には、Ausubel et al.,下記を参照)。本発明において、比較のための最適な配列アラインメントは、Smith & Waterman, Adv. Appl. Math. 2: 482 (1981)に記載の局所相同性アルゴリズムにより実施するのが最も好ましい。
本発明によれば、本明細書に記載の抗癌化合物の天然ヌクレオチド又はアミノ酸配列に対して、80、85、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98又は99%又はそれ以上の配列同一性を有する、本発明の多価可溶性受容体タンパク質のIg様ドメインをコードする遺伝子の配列変異体も包含される。配列変異体には、治療化合物又は本明細書に記載の因子によりコードされるものと同じポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が含まれる。従って、Ig様ドメインのコードフレームが既知であれば、遺伝子コードの縮退の結果として、幾つかのコード配列を生成できることが理解されるであろう。例えば、トリプレットCGTは、アミノ酸アルギニンをコードする。或いは、アルギニンは、CGA、CGC、CGG、AGA、及びAGGによりコードされる。従って、コード領域におけるこのような置換は、本発明により包含される配列変異体に含まれることが理解される。
核酸配列は、基準核酸配列が、中〜高ストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件(即ち、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件)及び「ストリンジェントな洗浄条件」)下で互いに特異的にハイブリダイズする場合、「選択的にハイブリダイズ可能」であると見なされる。ハイブリダイゼーション条件は、核酸結合複合体又はプローブの融点(Tm)に基づいている。例えば、「最大ストリンジェンシー」は一般的に、約Tm−5℃(プローブのTmよりも5°低い)で;「高ストリンジェンシー」は、約Tm−5〜10°で;「中ストリンジェンシー」は、約Tm−10〜20°で;及び「低ストリンジェンシー」は、Tm−20〜25°で生じる。機能的には、ハイブリダイゼーションプローブと厳密な同一性又はほぼ厳密な同一性を有する配列を同定する際に最大ストリンジェンシー条件が使用される場合がある一方で;プローブとの約80%以上の配列同一性を有する配列を同定する際に高ストリンジェンシー条件が使用される。
例えばサザン及びノーザンハイブリダイゼーション等の核酸ハイブリダイゼーション実験の文脈において、「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」及び「ストリンジェントな洗浄条件」は、配列に依存しており、種々の環境パラメータの下で異なる。より長い配列ほど、より高い温度でハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションの広範な目安は、Tijssen (1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology−Hybridization with nucleic Acid Probes part 1 chapter 2 ”Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays”, Elsevier, New Yorkに記載されている。一般的に、高ストリンジェントなハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、所定のイオン強度及びpHにおける特定配列の融点(Tm)よりも約5℃〜10℃(好ましくは5℃)低くなるように選択される。一般的に、高ストリンジェントな条件下では、プローブはその標的サブ配列にハイブリダイズするが、その他の関連しない配列には全くハイブリダイズしない。
Tmは、標的配列の50%が、完全に一致するプローブにハイブリダイズする(所定のイオン強度及びpH下の)温度である。特定のプローブのTmと等しくなるようにするには、極めてストリンジェントな条件が選択される。サザン又はノーザンブロットのフィルター上に100を超える相補的な残基を有する相補的な核酸のハイブリダイゼーションを行うためのストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例は、42℃でヘパリン1mgを伴う50%ホルムアミドであり、ハイブリダイゼーションは一夜実施される。高ストリンジェントな洗浄条件の例は、72℃で約15分間0.15M NaClを使用する条件である。ストリンジェントな洗浄条件の例は、65℃で15分間行う0.2×SSCの洗浄である(SSC緩衝液の説明については、Sambrook,下記を参照)。多くの場合、背景のプローブシグナルを除去するには、高ストリンジェントな洗浄よりも前に、低ストリンジェントな洗浄が行われる。例えば100ヌクレオチドを超える二重鎖の中ストリンジェントな洗浄条件の例は、45℃で15分間行う1×SSCの洗浄である。例えば100ヌクレオチドを超える二重鎖の低ストリンジェントな洗浄の例は、40℃で15分間行われる4〜6×SSCの洗浄である。一方、短いプローブ(例えば、約10〜50ヌクレオチド)の場合、ストリンジェントな条件は一般的に、pH7.0〜8.3にて、約1.0M未満のNaイオンの塩濃度、一般的に約0.01〜1.0MのNaイオンの濃度(又は他の塩)を伴い、温度は一般的に少なくとも約30℃である。ストリンジェントな条件は又、例えばホルムアミド等の不安定化剤を添加しても達成できる。一般的に、特定のハイブリダイゼーション試験において、関連しないプローブに観察されるよりも2倍(以上)のS/N比によって、特定のハイブリダイゼーションの検出が示される。
本明細書に記載の通り、本発明の多価可溶性受容体タンパク質のIg様ドメインと同じ生物活性を伴うポリペプチドをコードし、中〜高ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズする配列変異体は、本発明の適用範囲内に含まれるものと見なされる。更に、このような配列変異体は、高ストリンジェントな条件下で、親配列にハイブリダイズする場合もあれば、ハイブリダイズしない場合もあることが理解される。これは例えば、配列変異体が親ヌクレオチドによりコードされる各アミノ酸の異なるコドンを含む場合に、可能であると思われる。にもかかわらず、このような変異体は、本発明により特に考慮され、包含される。
血管新生又はリンパ管新生に結合し、阻害するキメラタンパク質の能力に関する本発明の趣旨から逸脱することなく、本発明のキメラVEGF受容体タンパク質の1つ以上のIg様ドメインにおいて、種々のアミノ酸置換を行えることが理解されよう。従って、血管新生又はリンパ管新生に結合し、阻害するタンパク質の能力に実質的に影響を与えない対象特性を付与するために、点変異及びその他のより広域の変更が本発明の多価可溶性受容体タンパク質で行われる場合がある。これらの変異体は、一般的に当該技術分野で周知の手段により形成される場合がある。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質内に存在する1つ以上のIg様ドメインのアミノ酸配列変異体は、タンパク質をコードするDNA内に突然変異を形成することによって調製することもできる。このような変異体には、例えば、1つ以上のIg様ドメインのアミノ酸配列内のアミノ酸残基の削除、挿入又は置換が含まれる。最終コンストラクトが所望の活性を所有することを条件として、削除、挿入又は置換の任意の組み合わせを行って、最終コンストラクトに到達することができる。明らかに、変異体をコードするDNAに行う突然変異は、リーディングフレームからの配列を配置しない必要があり、又二次mRNA構造を生成し得る相補的な領域を形成しないことが好ましい(例えばEP75444Aを参照)。
遺伝子レベルにおいて、本発明の多価可溶性受容体タンパク質に通常存在する1つ以上のIg様ドメイン変異体は、1つ以上のIg様ドメインをコードするDNAのヌクレオチドの部位誘導性変異誘発により作成され、それにより変異体をコードするDNAを生成させ、その後、組み換え細胞培地中で又はin vivoでDNAを発現させる。変異体は、一般的に未改変可溶性受容体タンパク質と同じ、リガンドに対する定性的結合能力を示す。
(遺伝子送達ベクター)
本発明は、多価可溶性受容体タンパク質の1つ以上のコード配列を哺乳動物細胞内に導入する、任意のベクターの使用を考慮している。代表的なベクターは、ウイルス性及び非ウイルス性ベクター、例えばレンチウイルス(例えば、HIV−1、HIV−2、SIV、BIV、FIV等由来の)を含むレトロウイルス(例えば、MoMLV、MSCV、SFFV、MPSV、SNV等由来の)、複製コンピテント、複製欠損性及びガットレス形態を含むアデノウイルス(Ad)ベクター、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター、サルウイルス40(SV−40)ベクター、ウシ乳頭腫ウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスベクター、ハーベイマウス肉腫ウイルスベクター、マウス乳癌ウイルスベクター、ラウス肉腫ウイルスベクター、バキュロウイルスベクター及び非ウイルス性プラスミドベクターを含むが、これらに限定されない。1つの手法において、ベクターはウイルス性ベクターである。ウイルスは、細胞を効率的に形質導入して、それ自体のDNAを宿主細胞内に導入し得る。組み換えウイルス性ベクターの生成において、異種(又は非天然)タンパク質の遺伝子又はコード配列を、ウイルス性ベクター内に取り込み得る。
本発明は、多価可溶性受容体タンパク質の1つ以上のコード配列を哺乳動物細胞内に導入する、任意のベクターの使用を考慮している。代表的なベクターは、ウイルス性及び非ウイルス性ベクター、例えばレンチウイルス(例えば、HIV−1、HIV−2、SIV、BIV、FIV等由来の)を含むレトロウイルス(例えば、MoMLV、MSCV、SFFV、MPSV、SNV等由来の)、複製コンピテント、複製欠損性及びガットレス形態を含むアデノウイルス(Ad)ベクター、アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター、サルウイルス40(SV−40)ベクター、ウシ乳頭腫ウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、モロニーマウス白血病ウイルスベクター、ハーベイマウス肉腫ウイルスベクター、マウス乳癌ウイルスベクター、ラウス肉腫ウイルスベクター、バキュロウイルスベクター及び非ウイルス性プラスミドベクターを含むが、これらに限定されない。1つの手法において、ベクターはウイルス性ベクターである。ウイルスは、細胞を効率的に形質導入して、それ自体のDNAを宿主細胞内に導入し得る。組み換えウイルス性ベクターの生成において、異種(又は非天然)タンパク質の遺伝子又はコード配列を、ウイルス性ベクター内に取り込み得る。
場合によっては、ウイルス性ベクターは、非必須遺伝子を、1つ以上の異種遺伝子産物(例えば、RNA、タンパク質)をコードする1つ以上の遺伝子で代替して構成される。ベクターは、それによりベクターが同定及び選択される場合がある「マーカー」又は「選択的マーカー」機能を含んでも、又は含まなくてもよい。任意の選択的マーカーが使用できる上、それら発現ベクターに使用する選択的マーカーは、当該技術分野で周知であり、又適切な選択的マーカーの選択は、宿主細胞及び用途に依存する。抗生物質又は他の毒素に耐性を付与するタンパク質をコードする選択的マーカー遺伝子の例は、アンピシリン、メトトレキサート、テトラサイクリン、ネオマイシン(Southern, et al., J., J MoI Appl Genet. 1982;1(4):327−41 (1982))、ミコフェノール酸(Mulligan, et al., Science 209:1422−7 (1980))、ピューロマイシン、ゼオマイシン、ハイグロマイシン(Sugden, et al., MoI Cell Biol. 5(2):410−3 (1985))又はG418を含む。
当業者により理解される通り、発現ベクターには一般的に、発現する1つ以上のコード配列に適切である通り、複製起点、発現する1つ以上のコード配列に作動的に結合するプロモーター、並びにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写終結配列が含まれる。特定の宿主有機体において、作動的に結合するコード配列の発現に必要なヌクレオチド配列は、制御配列である。原核生物に適切な制御配列には、例えば、プロモーター、場合によりオペレーター配列、リボソーム結合部位等が含まれる。真核生物細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及びエンハンサーを使用することが知られている。
「組み換え体」としてのベクター、又は他のDNA配列の引用は、単に、天然から単離された又は天然に見出された際には、一般的に作動的に結合していないDNA配列の作動的な結合を知らせている。調節(発現/制御)配列は、発現/制御配列が転写を調節し、適宜ヌクレオチド配列を翻訳する場合に、ヌクレオチド配列に作動的に結合する。従って、発現/制御配列は、プロモーター、エンハンサー、コード配列の前の転写終結、開始コドン(即ち、ATG)、イントロンのためのスプライシングシグナル、及び終結コドンを含む場合がある。
本発明のベクターには一般的に、構成的プロモーター、組織又は細胞型に特異的なプロモーター、腫瘍選択的なプロモーター及びエンハンサー、調節性又は誘導性プロモーター、エンハンサー等を含むがこれらに限定されない、異種制御配列が含まれる。
代表的なプロモーターには:サイトメガロウイルス(CMV)の最初期プロモーター、RSV LTR、MoMLV LTR、ホスホグリセリン酸キナーゼ−1(PGK)プロモーター、サルウイルス40(SV40)プロモーター及びCK6プロモーター、トランスサイレチンプロモーター(TTR)、TKプロモーター、テトラサイクリン応答性プロモーター(TRE)、HBVプロモーター、hAATプロモーター、LSPプロモーター(Ill, et al., Blood Coagul. Fibrinolysis 8S2:23−30 (1997)、キメラ肝特異的プロモーター(LSP)、E2Fプロモーター、テロメラーゼ(hTERT)プロモーター;サイトメガロウイルスエンハンサー/鶏β−アクチン/兎β−グロブリンプロモーター(CAG promoter; Niwa H., et al., 1991. Gene 108(2):193−9)及び延長因子1−αプロモーター(EFl−α)プロモーター(Kim DW, et al., 1990. Gene. 91(2):217−23 and Guo ZS, et al., 1996. Gene Ther. 3(9):802−10)が含まれるが、これらに限定されない。好ましいプロモーターには、EF1−αプロモーター、PGKプロモーター、サイトメガロウイルス最初期遺伝子(CMV)プロモーター及びサイトメガロウイルスエンハンサー/鶏β−アクチン(CAG)プロモーターが含まれる。これら及び多数の更なるプロモーターのヌクレオチド配列は、当該技術分野で既知である。関連する配列は、公共のデータベースから容易に得て、本発明の実施に使用されるベクターに取り込まれる場合がある。
第二のコード配列を使用して、発現を増大させ得る。例えば、ジヒドロ葉酸レダクターゼ還元酵素(DHFR)を使用して、細胞培地内で発現を増幅してもよく、それにより発現は、メトトレキサート(MTX)、濃度を変更することにより制御される。
本発明は、免疫グロブリンコード配列の制御された発現のために、遺伝子調節系を含むことも考慮している。遺伝子調節系は、1つ以上の特定遺伝子の発現の調節に有用である。1つの代表的な手法において、遺伝子調節系又はスイッチには、リガンド結合ドメイン、転写活性化ドメイン及びDNA結合ドメインを有するキメラ転写因子が含まれる。ドメインは、事実上何れの供給源からも得られる場合があり、幾つかの方法の何れかにて組み合わせて、新規のタンパク質を得る場合がある。調節性遺伝子系は、キメラ転写因子と相互作用するDNA応答要素も含む場合がある。この要素は、調節する遺伝子の近隣に位置する。
本発明の実施に使用される場合がある代表的な遺伝子調節系には、ショウジョウバエエクジソン系(Yao, et al., Proc. Nat. Acad. ScL、 93:3346 (1996))、カイコガ(Bombyx)エクジソン系(Suhr, et al., Proc. Nat. Acad. ScL, 95:7999 (1998))、RU−486を誘導因子として使用するValentis GeneSwitch(登録商標)合成プロゲステロン受容体系(Osterwalder, et al., Proc Natl Acad Sci 98(22):12596−601 (2001));小分子、例えばテトラサイクリン(Tc)又は類似体、例えばドキシサイクリン又は無水テトラサイクリンを使用して、標的の転写を調節(開始又は終止)する(Knott, et al., Biotechniques 32(4):796, 798, 800 (2002))TetO&RevTetO系(BD Biosciences Clontech);小分子を使用して、それぞれが転写活性化因子又はDNA結合タンパク質の何れかに結合する2つの細胞内分子を一緒にするARIAD Regulation Technologyが含まれる。これらの成分が一緒になると、対象となる遺伝子の転写が活性化される。Ariadは:二量体化に基づく系、及びヘテロ二量体化に基づく系の2つの主な系を有し(Rivera, et al., Nature Med, 2(9):1028−1032 (1996); Ye, et al., Science 283: 88−91 (2000))、その両方を本発明の実施に使用することができる。
本発明の実施に使用される好ましい遺伝子調節系は、ARIAD Regulation Technology及びTetO&RevTetO系である。
(AAVベクター)
アデノ関連ウイルス(AAV)は、染色体一体化により細胞を潜伏感染できるヘルパー依存性ヒトパルボウイルスである。AAVベクターは、その非病原性、卓越した臨床的安全プロファイル、及びin vivoでの直接的な有意な量の導入遺伝子の発現能力により、遺伝子導入ベクターとしての有意な可能性を有する。組み換えAAVベクターは、標的細胞内で、選択されたトランスジェニック産物の発現及び生成を誘導できることにより特徴付けられる。従って、組み換えベクターは、少なくとも、標的細胞の感染のためのカプシド形成及び物理的構造に必須なAAVの全配列を含む。ウイルス性粒子内に取り込まれたAAVウイルス性ベクターで細胞を感染させると、一般的にウイルス性ベクターが宿主細胞ゲノム内に取り込まれる。従って、AAVベクターは、細胞、及び細胞分割により生成される「娘細胞」から長期間発現する可能性を提供する。
アデノ関連ウイルス(AAV)は、染色体一体化により細胞を潜伏感染できるヘルパー依存性ヒトパルボウイルスである。AAVベクターは、その非病原性、卓越した臨床的安全プロファイル、及びin vivoでの直接的な有意な量の導入遺伝子の発現能力により、遺伝子導入ベクターとしての有意な可能性を有する。組み換えAAVベクターは、標的細胞内で、選択されたトランスジェニック産物の発現及び生成を誘導できることにより特徴付けられる。従って、組み換えベクターは、少なくとも、標的細胞の感染のためのカプシド形成及び物理的構造に必須なAAVの全配列を含む。ウイルス性粒子内に取り込まれたAAVウイルス性ベクターで細胞を感染させると、一般的にウイルス性ベクターが宿主細胞ゲノム内に取り込まれる。従って、AAVベクターは、細胞、及び細胞分割により生成される「娘細胞」から長期間発現する可能性を提供する。
本発明は、免疫グロブリンが発現される限りは、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖のコード配列、並びに自己プロセシング開裂配列を含むコンストラクトを細胞内に導入するための、任意のAAVウイルス性ベクター血清型の使用を考慮している。非常に多数のAAVベクターが当該技術分野で公知である。組み換えAAVウイルス性ベクターの生成において、非必須遺伝子を、対象となる遺伝子をコードするタンパク質又はポリペプチドで置き換える。AAV2血清型を使用して、初期の研究が実施された。しかしながら、AAV2以外の代替的AAV血清型の使用は(Davidson, et al., (2000), PNAS 97(7)3428−32; Passini, et al., (2003), J. Virol 77(12):7034−40)異なる細胞指向性及び増大した形質導入能を示した。一態様において、本発明は、AAVベクター、及びin vitro又はin vivoでの免疫グロブリン又は他の治療化合物のAAVベクター媒介による最適な送達及び発現を可能にする方法に関する。
本発明の実施に使用するため、当業者に既知の標準的な方法体系を使用して、rAAVビリオンが生成される場合があり、該ビリオンは、転写の方向において作動的に結合する成分として、転写開始及び終結配列を含めた制御配列、対象となる1つ以上の免疫グロブリンコード配列、及び自己プロセシング開裂配列を含むように構成される。具体的には、本発明の組み換えAAVベクターは:(1)ベクターが複製欠損性AAVビリオン内に取り込まれることを可能にするパッケージング部位;(2)対象となる複数のポリペプチド又はタンパク質、例えば、対象となる免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖のコード配列;並びに(3)自己プロセシング開裂部位を単独で、又は更なるタンパク質開裂部位と組み合わせてコードする配列を含む。本発明の実施に使用されるAAVベクターは、転写方向において作動的に結合する成分として、転写開始及び終結配列を含む制御配列も含むように構成される。これらの成分は、機能的AAV ITR配列により、5’末端及び3’末端に隣接される。「機能的AAV ITR配列」とは、ITR配列が、AAVビリオンの救援、複製及びパッケージングに関して意図するように機能することを意味する。
組み換えAAVベクターは、標的細胞における組み換え免疫グロブリンの発現及び生成を誘導できるという点において特徴付けられる。従って、組み換えベクターは、少なくとも、組み換えAAV(rAAV)ビリオンの感染のためのカプシド形成及び物理的構造に必須なAAVの全配列を含む。従って、本発明のベクター内で使用するAAV ITRは、野生型ヌクレオチド配列(例えば、Kotin, Hum. Gene Ther., 5:793−801, 1994に記載の通り)を有する必要はなく、ヌクレオチドの挿入、削除又は置換により改変されてもよく、又はAAV ITRは、任意の幾つかのAAV血清型に由来してもよい。一般的に、AAVベクターは、AAV−1、AAV−2、AAV−3、AAV−4、AAV−5、AAV−6、AAV−7、AAV−8等を含むが、これらに限定されないアデノ関連ウイルス血清型由来のベクターである。好ましいrAAVベクターは、野生型REP及びCAP遺伝子が全て又は一部削除されているが、機能的な隣接ITR配列を保持する。表2に、本発明の実施に使用される代表的なAAV血清型を示す。
現在、40を超えるAAVの血清型が既知であるが、新たな血清型及び既存の血清型の変異体が、今でも同定されているところであり、これらは本発明の適用範囲に含まれると見なされる。Gao, et al., (2002), PNAS 99(18): 11854−6; Gao, et al., (2003), PNAS 100(10):6081−6; Bossis and Chiorini (2003), J. Virol. 77(12):6799−810)参照。異なるAAV血清型は、特定の標的細胞の形質導入を最適化し、又は特定の標的組織内の特定の細胞型をターゲティングするために使用される。異なるAAV血清型の使用は、病変組織の標的化を促進し得る。特定のAAV血清型は、特定の標的組織型又は細胞内で、より効率的に標的にし及び/又は複製し得る。本発明の実施の際には、単一の自己相補的なAAVベクターを使用して形質導入の効率を高め、導入遺伝子発現の開始を早めてもよい(McCarty, et al., Gene Ther. 2001 Aug;8(16): 1248−54)。
本発明の実施において、rAAVビリオンを生成する宿主細胞には、哺乳動物細胞、昆虫細胞、微生物及び酵母が含まれる。宿主細胞は、AAV rep及びcap遺伝子が該宿主細胞内に安定して維持されているパッケージング細胞であってもよければ、AAVベクターゲノムが安定して維持及びパッケージングされているプロデューサー細胞であってもよい。代表的なパッケージング及びプロデューサー細胞は、293、A549又はHeLa細胞に由来する。AAVベクターは、当該技術分野で既知の標準的な技法を使用して精製及び処方される。
(レトロウイルスベクター及びレンチウイルスベクター)
レトロウイルスベクターは、遺伝子送達の通常のツールである(Miller, 1992, Nature 357: 455−460)。レンチウイルスベクターを含むレトロウイルスベクターは、本発明の実施に使用される場合がある。レトロウイルスベクターは、種々の対象となる遺伝子の、幅広い標的細胞のゲノムDNA内への安定した導入のために、適切な送達ビヒクルであることが試験され且つ見出されている。レトロウイルスベクターの、1つ以上の非再配列導入遺伝子を細胞内に送達する能力は、レトロウイルスベクターを、遺伝子の細胞内導入に非常に適したものとする。更に、レトロウイルスは、レトロウイルス外被糖タンパク質を、宿主細胞上の特定の細胞表面受容体に結合させることにより、宿主細胞内に入る。従って、コードされた天然の外被タンパク質が、天然外被タンパク質とは異なる細胞特異性を有する異種外被タンパク質(例えば、天然外被タンパク質とは異なる細胞表面受容体に結合する)で代替された偽型レトロウイルスベクターも、本発明の実施に用途を見出し得る。
レトロウイルスベクターは、遺伝子送達の通常のツールである(Miller, 1992, Nature 357: 455−460)。レンチウイルスベクターを含むレトロウイルスベクターは、本発明の実施に使用される場合がある。レトロウイルスベクターは、種々の対象となる遺伝子の、幅広い標的細胞のゲノムDNA内への安定した導入のために、適切な送達ビヒクルであることが試験され且つ見出されている。レトロウイルスベクターの、1つ以上の非再配列導入遺伝子を細胞内に送達する能力は、レトロウイルスベクターを、遺伝子の細胞内導入に非常に適したものとする。更に、レトロウイルスは、レトロウイルス外被糖タンパク質を、宿主細胞上の特定の細胞表面受容体に結合させることにより、宿主細胞内に入る。従って、コードされた天然の外被タンパク質が、天然外被タンパク質とは異なる細胞特異性を有する異種外被タンパク質(例えば、天然外被タンパク質とは異なる細胞表面受容体に結合する)で代替された偽型レトロウイルスベクターも、本発明の実施に用途を見出し得る。
本発明は、例えば、本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードする1つ以上の配列を含むレトロウイルス導入ベクター、及び1つ以上のパッケージング要素を含むレトロウイルスパッケージングベクターを含むレトロウイルスベクターを提供する。具体的には、本発明は、異種又は機能的に修飾された外被タンパク質をコードして、偽型レトロウイルスを生成する、偽型レトロウイルスベクターを提供する。
本発明のレトロウイルスベクターのコア配列は、例えば、B型、C型及びD型レトロウイルス、並びにスプマウイルス及びレンチウイルスを含めた、幅広いレトロウイルスから容易に誘導される場合がある(RNA Tumor Viruses, Second Edition, Cold Spring Harbor Laboratory, 1985を参照)。本発明の組成物及び方法で使用するのに好適なレトロウイルスの例には、レンチウイルスが含まれるが、これに限定されない。本発明の組成物及び方法で使用するのに好適なその他のレトロウイルスには、トリ白血病ウイルス、ウシ白血病ウイルス、マウス白血病ウイルス、ミンク細胞巣誘発ウイルス(Mink−Cell Focus−Inducing Virus)、ハツカネズミ肉腫ウイルス、細網内皮症ウイルス及びラウス肉腫ウイルスが含まれるが、これらに限定されない。特に好ましいマウス白血病ウイルスには、4070A及び1504A(Hartley and Rowe, J. Virol. 19:19−25, 1976)、Abelson(ATCC番号VR−999)、フレンド(ATCC番号VR−245)、Graffi、Gross(ATCC番号VR−590)、Kirsten、ハーベイ肉腫ウイルス及びRauscher(ATCC番号VR−998)、並びにモロニーマウス白血病ウイルス(ATCC番号VR−190)が含まれる。このようなレトロウイルスは、例えばAmerican Type Culture Collection (”ATCC”;米国メリーランド州ロックビル)のような寄託若しくは収集機関から容易に得られる場合もあれば、通常利用できる技法を使用して既知の供給源から単離される場合もある。
本発明のレトロウイルスベクター配列は、レンチウイルス由来であることが好ましい。好ましいレンチウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス、例えば1型若しくは2型(即ち、HIV−1若しくはHIV−2、ここでHIV−1は、正式には、リンパ節症関連のウイルス3(HTLV−III)及び後天性免疫不全症候群(AIDS)関連のウイルス(ARV)と呼ばれる)、又は同定され、AIDS若しくはAIDS様疾患に関連付けられた、HIV−1若しくはHIV−2に関連する他のウイルスである。本発明の実施に使用される場合があるその他のレンチウイルスベクターには、羊ビスナ/マエディウイルス、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)、ウシレンチウイルス(例えば、BIV;WO200366810)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ウマ伝染性貧血ウイルス(EIAV)、及びヤギ関節炎脳炎ウイルス(CAEV)が含まれる。
組成物及び方法に使用するのに好適な種々のレトロウイルスの属及び系統は、当該技術分野で周知である(例えば、Fields Virology, Third Edition, edited by B.N. Fields, et al., Lippincott−Raven Publishers (1996)参照、例えば、Chapter 58, Retroviridae: The viruses and Their Replication, Classification, pages 1768−1771を参照)。
本発明は、レトロウイルスを生成するプロデューサー細胞及びプロデューサー細胞株を生成するためのレトロウイルスパッケージング系、並びにこのようなパッケージング系を形成する方法を提供する。従って、本発明は、このようなパッケージング系内にレトロウイルス導入ベクターを導入することにより(例えば、トランスフェクション又は感染により)生成される、プロデューサー細胞及び細胞株、並びにこのようなパッケージング細胞及び細胞株を形成する方法を提供する。
本発明の実施に使用されるレトロウイルスパッケージング系は、少なくとも2つのパッケージングベクターを含む:gag、pol、又はgag及びpol遺伝子を含む第一のヌクレオチド配列を含む第一のパッケージングベクター;異種又は機能的に修飾されたエンベロープ遺伝子を含む第二のヌクレオチド配列を含む第二のパッケージングベクター。一実施形態において、レトロウイルス要素は、例えばHIV等のレンチウイルスに由来する。ベクターは、機能的tat遺伝子及び/又は機能的アクセサリー遺伝子(vif、vpr、vpu、vpx、nef)を欠くことが好ましい。別の実施形態において、系は更に、rev遺伝子を含むヌクレオチド配列を含む第三のパッケージングベクターを有する。パッケージング系は、第一、第二、及び場合により、第三のヌクレオチド配列を含むパッケージング細胞の形態で提供される場合がある。
本発明は、種々のレトロウイルス系に適用でき、当業者は、異なるレトロウイルスのグループ間で共有する通常の要素を理解するであろう。本明細書の記載では、代表的な例として、レンチウイルス系を使用する。しかしながら、全てのレトロウイルスが、表面突起を伴うエンベロープを有するビリオンの特徴を共有しており、線状のポジティブセンス一本鎖RNAである一分子、二量体からなるゲノム、及び共通タンパク質gag、pol及びenvを含む。
レンチウイルスは、env遺伝子でコードされる外被糖タンパク質SU(gp120)及びTM(gp41);gag遺伝子でコードされるCA(p24)、MA(p17)及びNC(p7−l1);並びにpol遺伝子でコードされるRT、PR及びINを含む、幾つかのビリオン構造タンパク質を共有する。HIV−1及びHIV−2は、アクセサリータンパク質、並びにウイルスRNAの合成及びプロセシング、及び他の複製機能の調節に関与する他のタンパク質を含んでいる。vif、vpr、vpu/vpx、及びnef遺伝子でコードされるアクセサリータンパク質は、組み換え系から省略される場合がある(又は不活性化される場合がある)。加えて、tat及びrevは、例えば突然変異又は削除により、省略又は不活性化される場合がある。
一実施形態において、レンチウイルスベクターパッケージング系は、gag/pol及びenvに関して別個のパッケージングコンストラクトを提供し、一般的に異種の又は機能的に修飾された外被タンパク質(例えば、VSVGエンベロープ)を使用する。更なる実施形態において、レンチウイルスベクター系は、アクセサリー遺伝子、vif、vpr、vpu及びnefが削除又は不活性化される。更なる実施形態において、レンチウイルスベクター系は、tat遺伝子が削除又は別様に(例えば、突然変異により)不活性化される。別の実施形態において、gag及びpolコード配列は、当該技術分野で既知の通り、2つの別個のコード配列又はオープンリーディングフレームに「分裂」される。一般的に、分裂したgag及びpolコード配列は、別個のプロモーターに作動的に結合され、異なるヌクレオチド配列上に位置し得る。
通常tatにより提供される、転写調節のための補償は、強力な構成的プロモーター、例えばヒトサイトメガロウイルス最初期(HCMV−IE)エンハンサー/プロモーターの使用により提供し得る。他のプロモーター/エンハンサーは、当該技術分野で既知の通り、構成的プロモーター活性の強度、標的組織(例えば、肝特異的なプロモーター)に関する特異性、又は発現に関する所望の制御に関連する他の要因に基づき選択し得る。例えば、幾つかの実施形態において、例えばtetのような誘導性プロモーターを使用して、発現を制御することが望ましい。revをコードする遺伝子は、別個の発現コンストラクト上に提供されることが好ましく、それによりレンチウイルス性ベクター系は、4つのコンストラクト(例えば、プラスミド)を含む:それぞれgag/pol、rev、エンベロープ及び導入ベクターに関する。使用するパッケージング系の生成にかかわらず、gag及びpolは1つのコンストラクト又は別個のコンストラクト上にて提供し得る。
一般的に、パッケージングベクターはパッケージング細胞内に包含されて、トランスフェクション、形質導入又は感染を介して細胞内に導入される。トランスフェクション、形質導入又は感染の方法は、当業者に周知である。本発明のレトロウイルス性導入ベクターは、トランスフェクション、形質導入又は感染を介してパッケージング細胞株内に導入されて、プロデューサー細胞又は細胞株を生成し得る。本発明のパッケージングベクターは、例えばリン酸カルシウムトランスフェクション、リポフェクション又は電気穿孔を含む標準的な方法により、ヒト細胞又は細胞株内に導入される場合がある。幾つかの実施形態において、パッケージングベクターは、例えばneo、DHFR、Glnシンセターゼ又はADA等のドミナント選択マーカーと共に細胞内に導入され、次に適切な薬物の存在下で選択され、クローンが単離される。選択マーカー遺伝子は、パッケージングベクターによりコードされる遺伝子に対して物理的に結合され、又はパッケージングベクターと共に共導入(例えば、コトランスフェクト)される場合がある。
一般的に、パッケージングベクターはパッケージング細胞内に包含されて、トランスフェクション、形質導入又は感染を介して細胞内に導入される。トランスフェクション、形質導入又は感染の方法は、当業者に周知である。本発明のレトロウイルス性導入ベクターは、トランスフェクション、形質導入又は感染を介してパッケージング細胞株内に導入されて、プロデューサー細胞又は細胞株を生成し得る。本発明のパッケージングベクターは、例えばリン酸カルシウムトランスフェクション、リポフェクション又は電気穿孔を含む標準的な方法により、ヒト細胞又は細胞株内に導入される場合がある。幾つかの実施形態において、パッケージングベクターは、例えばneo、DHFR、Glnシンセターゼ又はADA等のドミナント選択マーカーと共に細胞内に導入され、次に適切な薬物の存在下で選択され、クローンが単離される。選択マーカー遺伝子は、パッケージングベクターによりコードされる遺伝子に対して物理的に結合され、又はパッケージングベクターと共に共導入(例えば、コトランスフェクト)される場合がある。
パッケージング機能が適切なパッケージング細胞により発現されるように構成された安定な細胞株は公知である。例えば、パッケージング細胞を記載した米国特許第5686279号;及びOry, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. (1996) 93:11400−11406を参照されたい。安定な細胞株生成の更なる記載は、Dull, et al., 1998, J. Virology 72(11):8463−8471; and in Zufferey, et al., 1998, J. Virology 72(12):9873−9880.に見出すことができる。
Zufferey, et al., 1997, Nature Biotechnology 15:871−875は、HIV−1エンベロープ遺伝子を含むpolの3’配列が削除された、レンチウイルスパッケージングプラスミドを教示している。このコンストラクトは、tat及びrev配列を含み、3’LTRがポリA配列で代替されている。5’LTR及びpsi配列は、別のプロモーター、例えば誘導性を有するもので代替されている。例えば、CMVプロモーター又はその誘導体を使用することができる。
対象となるパッケージングベクターは、レンチウイルスタンパク質の発現を高め、又安全性を高めるために、パッケージング機能に更なる変更を含む場合がある。例えば、gag上流の全HIV配列を除去してもよい。又、エンベロープ下流の配列を除去してもよい。更に、RNAのスプライシング及び翻訳を増強するために、ベクターを修飾するステップを行ってもよい。
場合により、例えばDull, et al., 1998, J. Virology 72(11):8463−8471に記載されているコンディショナルパッケージング系が使用される。自己不活性化ベクター(SIN)を使用することも好ましく、該ベクターは、例えばZufferey, et al., 1998, J. Virology 72(12):9873−9880に記載の通り、HIV−1長末端反復(LTR)を削除することにより、ベクターのバイオセーフティーを向上させる。tet誘導性LTRを介して誘導性ベクターを使用してもよい。
(アデノウイルスベクター)
in vitro及びin vivoでの強力な発現、卓越した力価、及びin vivoで分割及び非分割細胞を誘導する能力を示すアデノウイルス遺伝子療法ベクターが公知である(Hitt, et al., Adv in Virus Res 55:479−505 (2000))。
in vitro及びin vivoでの強力な発現、卓越した力価、及びin vivoで分割及び非分割細胞を誘導する能力を示すアデノウイルス遺伝子療法ベクターが公知である(Hitt, et al., Adv in Virus Res 55:479−505 (2000))。
本明細書で使用される「アデノウイルス」及び「アデノウイルス粒子」は、アデノウイルスと分類される場合がある任意の及び全てのウイルスを含むように使用され、それにはヒト又は動物に感染する任意のアデノウイルスが含まれ、公知の及び後に発見されたグループ、サブグループ、及び血清型の全てが含まれる。従って、本発明で使用される「アデノウイルス」及び「アデノウイルス粒子」は、別に指摘されない限り、ウイルスそれ自体又はその誘導体を指し、全血清型及びサブタイプ、並びに天然及び組み換え形態の両方を包含する。このようなアデノウイルスは、野生型である場合もあれば、当該技術分野で既知の、又は本明細書に開示される種々の方法で修飾される場合もある。これらの修飾には、感染性ウイルスを形成するために粒子内にパッケージングされるアデノウイルスゲノムの修飾が含まれる。このような修飾には、当該技術分野で既知の削除、例えば複製に不可欠な1つ以上のアデノウイルス遺伝子(例えば、E1a、E1b、E2a、E2b、E3又はE4コード領域)の削除が含まれる。「複製に不可欠な遺伝子」という用語は、その転写が標的細胞でのウイルス性ベクターの複製に必要であるヌクレオチド配列を指す。例えば、本発明のアデノウイルスベクターでは、複製に不可欠な遺伝子は、E1a、E1b、E2a、E2b及びE4遺伝子からなる群から選択される場合がある。これらの用語には又、複製特異的なアデノウイルス;即ち、所定の種類の細胞又は組織内で優位に複製するが、その他の種類の細胞又は組織内では殆ど又は全く複製しないウイルスも含まれる。このようなウイルスは、時には「細胞溶解性」又は「細胞変性」ウイルス(又はベクター)と呼ばれ、これらが腫瘍細胞上にこのような効果を有する場合、「腫瘍退縮」ウイルス(又はベクター)と呼ばれる。
本発明のアデノウイルスベクターは、複製インコンピテント(欠損性)及び複製コンピテントベクターを含む。本発明の代表的なアデノウイルスベクターには、DNA;アデノウイルスコート内に封入されるDNA;別のウイルス又はウイルス様形態(例えばヘルペスシンプレックス、及びAAV)にパッケージングされるアデノウイルスDNA;リポソーム内に封入されるアデノウイルスDNA;ポリリジンと複合されるアデノウイルスDNA;合成ポリカチオン分子と複合される、トランスフェリンと結合する、又はPEG等の化合物と複合して、抗原性を免疫学的に「マスキング」する及び/若しくは半減期を延長させる、又は非ウイルス性タンパク質と結合するアデノウイルスDNAが含まれるが、これらに限定されない。
アデノウイルスベクターの文脈において、「5’」という用語は、「上流」と交換可能に使用されて、左逆方向末端反復(ITR)の方向を意味する。アデノウイルスベクターの文脈において、「3’」という用語は、「下流」と交換可能に使用されて、右ITRの方向を意味する。
挿入した配列の発現のためのアデノウイルスベクターを生成する標準的なシステムは、当該技術分野で既知であり、例えばClontech(Clontechniques(January 2000) p. 10−12)のAdeno−XTM発現システム等、販売元から入手することができる。
本発明は、本発明によるアデノウイルスベクター及びウイルス粒子を構成する際に、任意の及び全てのアデノウイルス血清型を使用することを考慮している。本発明に従って使用できるアデノウイルスストックには、任意のアデノウイルス血清型が含まれる。現在、American Type Culture Collection(ATCC[米国バージニア州マナッサス])からアデノウイルス血清型1〜47が入手可能であり、本発明には任意の供給源から入手可能なその他何れかのアデノウイルス血清型が含まれる。本発明に従って使用できるアデノウイルスは、ヒト又は非ヒト起源のものである場合がある。例えば、アデノウイルスは、サブグループA(例えば、血清型12、18、31)、サブグループB(例えば、血清型3、7、11、14、16、21、34、35)、サブグループC(例えば、血清型1、2、5、6)、サブグループD(例えば、血清型8、9、10、13、15、17、19、20、22〜30、32、33、36〜39、42〜47)、サブグループE(血清型4)、サブグループF(血清型40、41)、又は任意の他のアデノウイルス血清型であってもよい。本明細書全体を通して、アデノウイルス5型の特定のヌクレオチドを引用する。当業者は、他の血清型において対応するヌクレオチドを決定することができ、従って他のアデノウイルス血清型において同様のアデノウイルスベクターのコンストラクトを構成することができる。好ましい一実施形態において、アデノウイルスヌクレオチド配列骨格は、アデノウイルス血清型2(Ad2)、5(Ad5)又は35(Ad35)に由来し、又はアデノウイルス血清型2(Ad2)若しくは5(Ad5)の部分と、アデノウイルス血清型35(Ad35)の部分との組み合わせを含むキメラアデノウイルス骨格に由来する。
一実施形態において、本発明のアデノウイルスベクターは、複製インコンピテントである。複製インコンピテントベクターは、従来、複製のための1つ以上の遺伝子を欠いている。複製インコンピテントベクターは、標的細胞内で複製せず、又は非常に低いレベルで複製する。一実施形態において、複製欠損性ベクターは、E1a、E1b、E2a、E2b又はE4内の少なくとも1つのコード領域が、該コード領域の一部又は全てを削除又は変異導入することにより不活性化されている。これらのベクターを増殖させる方法は、当該技術分野で周知である。これら複製インコンピテントウイルスは、欠損した1つ以上の不可欠な遺伝子を補足する細胞上で繁殖する。複製インコンピテントアデノウイルスベクターは、in vitro及びin vivoで細胞の形質導入に広範に使用され、種々の導入遺伝子を発現する。
本発明の組み換えAdベクターを封入する複製欠損性Adビリオンは、Adパッケージング細胞及びパッケージング技術を使用して、当該技術分野で既知の標準的な技法により形成される。これらの方法の例は、米国特許第5872005号に見出すことができる。本発明によるAdベクター形成の際には、多価可溶性受容体タンパク質をコードする配列を、アデノウイルス内のウイルスゲノムの削除されたE1A、E1B又はE3領域内に挿入する。本発明の実施に使用される好ましいアデノウイルスベクターは、1つ以上の野生型Ad遺伝子産物、例えばE1a、E1b、E2、E3、E4を発現しない。好ましい実施形態は、E1、E2A、E4、及び場合によりE3遺伝子領域の機能を補う、一般的にパッケージング細胞株と共に使用されるビリオンである。例えば米国特許第5872005号、米国特許第5994106号、米国特許第6133028号及び米国特許第6127175号を参照されたい。アデノウイルスベクターは、当該技術分野で既知の標準的な技法を使用して精製及び調製される。
一実施形態において、アデノウイルスベクターは、複製コンピテント又は複製コンディショナル(conditional)である。このようなベクターは、標的細胞内で複製し得る。複製コンピテントウイルスには、野生型ウイルス及び標的細胞内で複製するように操作されたウイルスを含む。これらのベクターには、他と比較して1つの標的細胞型内で特異的に又は優位に複製するように設計されたベクターが含まれる。標的細胞は、特定の細胞型であってもよければ、組織型であってもよく、特定の細胞状態を有してもよい。
アデノウイルス血清型2及び5のDNA及びタンパク質配列は、ジェンバンクにて受入番号NC_001405(Ad2)及びAY339865(Ad5)の下で見出すことができる。ジェンバンクの登録情報には、完全ゲノムDNA配列に加えて、スプライシングシグナルの位置、ポリアデニル化部位、TATAシグナル、イントロン、同定された各遺伝子の開始及び終結コドン、タンパク質配列、各遺伝子のcDNA、並びに文献全体に存在する配列変異体のリスト等の有用な詳細も含まれる。又、本発明に関して特に興味深いことは、各遺伝子又は領域に関して示されたスプライシング部位及びポリアデニル化開裂部位と、これらのジェンバンク記録内の関連する公表物の参照リストから、各領域に関するmRNA構造を推定し得ることである。
例として、アデノウイルス血清型5に基づくアデノウイルスベクターは、ウイルス配列の削除を必要とすることなく、剰余配列と共にゲノムサイズの約105%を構成するか又は天然Ad5ゲノムより約1.8kb大きい状態で、ウイルス性粒子内にパッケージされる場合がある。アデノウイルスゲノムから非必須配列が除去された場合、更に4.6kbの挿入物に耐え得る(即ち、約6.4kbの総挿入収容力)。
本発明のウイルス性ベクターは、当該技術分野で標準的な組み換え技法を使用して調製し得る。複製コンピテント又は複製インコンピテントなウイルス性ベクターの修飾方法は、当該技術分野で周知であり、本明細書に記載され、又本明細書に引用される刊行物に記載されている。導入遺伝子及び所望の転写要素をアデノウイルス内にクローニングする種々の方法が本明細書に記載され、又当該技術分野で周知である。導入遺伝子及び所望の転写要素は、本明細書に記載のように、アデノウイルスベクターゲノム内の種々の部位にクローン化される。例えば、アデノウイルスゲノムの異なる部分を含む、種々のプラスミドが存在し、それには完全アデノウイルスゲノムを含むプラスミドが含まれる。これらプラスミドの構成も、当該技術分野で詳細に記載されている(例えば、米国特許第20030104625号)。一旦、1つ以上の導入遺伝子の挿入部位が選択されると、適切なプラスミドを使用して、修飾が実施される場合がある。次に、修飾物を、例えば相同組み換え又はin vitroでの結合により、完全長アデノウイルスベクターゲノム内に導入し得る。相同組み換えは、哺乳動物細胞(例えば、PerC6)又は細菌細胞(例えば、大腸菌、WO9617070を参照)内で行われ得る。ウイルスベクターゲノムの操作は、或いは又は更に、ポリメラ−ゼ連鎖反応(PCR)、PCR−SOEing、制限酵素での消化を含むが、これらに限定されない周知の分子生物学的方法を含む場合がある。相同組み換えを使用する場合、2つのプラスミドは少なくとも約500bpの配列オーバーラップを共有する必要があるが、より小さいオーバーラップ領域でも、通常より低い効率であるが、組み換える。希望に応じて、各プラスミドを個別に操作し、次いでインコンピテント宿主に共トランスフェクトして、適宜遺伝子を補足して、アデノウイルスベクターを増殖させることもできる。プラスミドは一般的に、適切な導入手段、例えばカチオン性リポソーム又はリン酸カルシウム等を使用して、適切な宿主細胞(例えば、293、PerC.6、Hela−S3細胞)内に導入される。或いは、アデノウイルスゲノムの右及び左手部分のin vitroでの連結を使用して、アデノウイルスゲノムの複製必須部分の全てを含む、組み換えアデノウイルス誘導体を構成してもよい。Berkner, et al., (1983) nucleic acid Research 11: 6003−6020; Bridge, et al., (1989) J. Virol. 63: 631−638。
ポリヌクレオチドをアデノウイルス粒子内にパッケージングする方法は、当該技術分野で既知であり、又PCT PCT/US98/04080に記載されている。好ましいパッケージング細胞は、野生型アデノウイルス粒子を誘導し得る相同組み換えに限定されるように設計された細胞である。本発明のアデノウイルス粒子の生成に使用される場合がある細胞には、ヒト胚腎臓細胞株293(Graham, et al., J Gen. Virol. 36:59−72 (1977)),ヒト胚網膜芽細胞株PER.C6(米国特許第5994128号及び米国特許第6033908号;Fallaux, et al., Hum. Gene Ther. 9: 1909−1917 (1998))、及びヒト子宮頸癌由来の細胞株HeLa−S3(PCT公開第US04/11855号)が含まれる。
便宜上、アデノウイルスの必要部分を提供するプラスミドが入手可能である。プラスミドpXC.1(McKinnon (1982) Gene 19:33−42)は、Ad5の野生型左手末端を含む。pBHG10(Bett, et al., (1994); Microbix Biosystems Inc., Toronto) は、E3内が削除されたAd5の右手末端を提供する。E3内の削除は、ウイルス性ベクター内に、異種配列を挿入するためのより大きい空間を提供する。E3の遺伝子は、E4(r−鎖)とは反対側の鎖上に位置する。pBHG11は、更に大きいE3削除を提供し、更に0.3kbが削除されている(Bett, et al., (1994)。或いは、pBHGE3(Microbix Biosystems, Inc.)の使用は、E3の完全長と共に、Ad5の右手末端を提供する。
本発明は更に、本発明による組み換えウイルス性ベクターを含む組み換えアデノウイルス粒子を提供する。一実施形態において、アデノウイルス粒子のカプシドタンパク質は、標的リガンドを含む。一実施形態において、カプシドタンパク質は、線維タンパク質又はpIXである。一実施形態において、カプシドタンパク質は、線維タンパク質であり、リガンドは、線維タンパク質のC末端又はHIループ内に存在する。アデノウイルスベクター粒子は、線維タンパク質に対する他の突然変異も含む場合がある。一実施形態において、アデノウイルス線維タンパク質のカルボキシル末端に、リガンドが付加される。更なる実施形態において、ウイルスは、線維ノブの部分を、別のアデノウイルス血清型からの線維ノブで代替することにより、ターゲティングされる。これら突然変異の例には、米国特許出願第10/403337号;米国特許出願公開第20040002060号;PCT公開第WO98/07877号;WO99/39734号;WO00/67576号;WO01/92299号;並びに米国特許第5543328号;米国特許第5731190号;米国特許第5756086号;米国特許第5770442号;米国特許第5846782号;米国特許第5962311号;米国特許第5922315号;米国特許第6057155号;米国特許第6127525号;米国特許第6153435号;米国特許第6455314号;米国特許第6555368号及び米国特許第6683170号、並びにWu, et al., (J Virol. 2003 JuI l;77(13):7225−7235)に記載されているものが含まれるが、これらに限定されない。又、これらの突然変異には、1つ以上の特定細胞型へのウイルス性ベクター粒子の結合を低下させて、1つ以上の特定細胞型へのウイルス性ベクター粒子の結合を向上させる、及び/又は動物におけるアデノウイルスベクター粒子に対する免疫応答を低下させる突然変異が含まれるが、これらに限定されない。
本発明のベクターは、エンハンサー及びシグナルペプチドのコード配列も含む場合がある。ベクターコンストラクトは、イントロンを含んでも、含まなくてもよい。従って、本発明のベクターは、任意数の導入遺伝子、導入遺伝子の組み合わせ及び導入遺伝子/調節要素の組み合わせを含む場合があることが理解されよう。
代表的な複製コンピテントアデノウイルスベクターは、例えばWO95/19434、WO97/01358、WO98/39465、WO98/39467、WO98/39466、WO99/06576、WO98/39464、WO00/20041、WO00/15820、WO00/39319、WO01/72994、WO01/72341、WO01/73093、WO03078592、WO04/009790、WO04/042025、WO96/17053、WO99/25860、WO02/067861、WO02/068627に記載されている。
(導入遺伝子)
本発明のベクターは、本発明の血管新生阻害剤のコードに加え、1つ以上の他の導入遺伝子を含む場合がある。又、本発明のベクター及び/又は多価可溶性受容体タンパク質は、他の導入遺伝子をコードするベクターと組み合わせて使用される場合がある。一実施形態において、これらの導入遺伝子は、マーカーをコードし得る。一実施形態において、これらの導入遺伝子は、細胞毒性タンパク質をコードし得る。これらの細胞毒性タンパク質をコードするベクターは、研究的設定内で、又は治療的効果を達成するために、所定の細胞の排除に使用される場合がある。例えば、場合によっては、細胞毒性の割合を高めることにより、治療的効果の程度を高めることが望ましいと思われる。このことは、細胞特異的な複製による細胞毒性を、例えばHSV−tk、ニトロ還元酵素、シトクロームP450、又は細胞を5−フルオロシトシン(5−FC)を化学療法薬5−フルオロウラシル(5−FU)に代謝可能にするシトシンデアミナーゼ(CD)、カルボキシエステラーゼ(CA)、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2; Niculescu−Duvaz, et al., J Med Chem. 2004 May 6;47(10):2651−2658)、チミジンホスホリラーゼ(TP)、チミジンキナーゼ(TK)又はキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)等の一種又はそれ以上の代謝酵素の発現と結合させて達成される場合がある。この種類の導入遺伝子は、バイスタンダー効果を与える際にも使用される場合がある。
本発明のベクターは、本発明の血管新生阻害剤のコードに加え、1つ以上の他の導入遺伝子を含む場合がある。又、本発明のベクター及び/又は多価可溶性受容体タンパク質は、他の導入遺伝子をコードするベクターと組み合わせて使用される場合がある。一実施形態において、これらの導入遺伝子は、マーカーをコードし得る。一実施形態において、これらの導入遺伝子は、細胞毒性タンパク質をコードし得る。これらの細胞毒性タンパク質をコードするベクターは、研究的設定内で、又は治療的効果を達成するために、所定の細胞の排除に使用される場合がある。例えば、場合によっては、細胞毒性の割合を高めることにより、治療的効果の程度を高めることが望ましいと思われる。このことは、細胞特異的な複製による細胞毒性を、例えばHSV−tk、ニトロ還元酵素、シトクロームP450、又は細胞を5−フルオロシトシン(5−FC)を化学療法薬5−フルオロウラシル(5−FU)に代謝可能にするシトシンデアミナーゼ(CD)、カルボキシエステラーゼ(CA)、デオキシシチジンキナーゼ(dCK)、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)、カルボキシペプチダーゼG2(CPG2; Niculescu−Duvaz, et al., J Med Chem. 2004 May 6;47(10):2651−2658)、チミジンホスホリラーゼ(TP)、チミジンキナーゼ(TK)又はキサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(XGPRT)等の一種又はそれ以上の代謝酵素の発現と結合させて達成される場合がある。この種類の導入遺伝子は、バイスタンダー効果を与える際にも使用される場合がある。
本発明のベクター内に導入し得る更なる導入遺伝子は、アポトーシスを開始可能な因子、アンチセンス又はリボザイムを含み、これらは他の能力の中でも、例えば構造タンパク質、転写因子、ポリメラーゼ等、ウイルス、又は細胞内で増殖する他の病原性タンパク質、細胞毒性タンパク質、例えばジフテリア、リシン、アブリン等の鎖、ヌクレアーゼ(例えば、RNase A)又はプロテアーゼ(例えば、トリプシン、パパイン、プロテイナーゼK、カルボキシペプチダーゼ等)の操作された細胞質変異体をコードする遺伝子、ケモカイン、例えばMCP3α又はMIP−1、ウイルス、細菌、又は哺乳動物細胞に由来する孔形成タンパク質、フスジェニック(fusgenic)遺伝子、化学療法感作遺伝子及び放射線療法感作遺伝子等の、細胞又は病原体の増殖に必須のタンパク質をコードするmRNAに指向される場合がある。対象となるその他の遺伝子には、サイトカイン、抗原、膜貫通タンパク質、等、例えばIL−I、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18又はflt3、GM−CSF、G−CSF、M−CSF、IFN−α、−β、−γ、TNF−α、−β、TGF−α、−β、NGF、MDA−7(黒色腫分化関連の遺伝子−7、mda−7/インターロイキン−24)等が含まれる。更なる例には、例えばFas、Bax、Caspase、TRAIL、Fasリガンド、一酸化窒素シンターゼ(NOS)等のアポトーシス促進性遺伝子;例えばV22、VSV等の細胞融合を誘導又は促進し得る融合遺伝子;例えばp53、RB、p16、p17、W9等の腫瘍抑制遺伝子;細胞周期に関連する遺伝子、並びに例えばエンドスタチン、アンジオスタチン等の抗血管新生タンパク質をコードする遺伝子が含まれる。
特定の遺伝子修飾のための他の機会は、T細胞、例えば腫瘍浸潤性リンパ球(TIL)を含み、ここでTILは、拡張を高め、細胞毒性を高め、増殖阻害剤に対する応答を低下させ、リンホカインの発現を高める等のために修飾される場合がある。標的細胞の脆弱性を高めたい場合には、特定の表面膜タンパク質、例えばB7、SV40T抗原突然変異体等の発現を提供し得る。
本発明を実施する際には、関連する任意の遺伝子又はコード配列を使用される場合があるが、所定の遺伝子、又はその断片が特に適切である。例えば、免疫原性ポリペプチド、毒素、免疫毒素及びサイトカインをコードするコード領域は、本発明の実施に有用である。このようなコード領域は、上記のものを含み、又更なるコード領域は、以下をコードするものを含む:免疫細胞との相互作用を刺激するタンパク質、例えばB7、CD28、MHCクラスI、MHCクラスII、TAP、腫瘍関連の抗原、例えばMART−1からの免疫原性配列、gp100(pmel−17)、チロシナーゼ、チロシナーゼ関連のタンパク質1、チロシナーゼ関連のタンパク質2、メラニン細胞刺激ホルモン受容体、MAGE1、MAGE2、MAGE3、MAGE12、BAGE、GAGE、NY−ESO−1、β−カテニン、MUM−1、CDK−4、カスパーゼ8、KIA0205、HLA−A2R1701、α−フェトプロテイン、テロメラーゼ触媒タンパク質、G−250、MUC−1、癌胎児性タンパク質、p53、Her2/neu、トリオースリン酸イソメラーゼ、CDC−27、LDLR−FUT、テロメラーゼ逆転写酵素、PSMA、阻害シグナルを遮断する(CTLA4遮断)抗体のcDNA、ケモカイン(MTP1α、MIP3α、CCR7リガンド、及びカルレティキュリン)、METH−1、METH−2、TrpRS断片をコードする遺伝子を含むが、これらに限定されない抗血管新生遺伝子、プロリフェリン関連のタンパク質、プロラクチン断片、PEDF、バソスタチン、細胞外マトリックスタンパク質の種々の断片、及び増殖因子/サイトカイン阻害剤、アンジオスタチン、エンドスタチン、キニノスタチン(kininostatin)、フィブリノーゲン−E断片、トロンボスポンジン、タムスタチン、カンスタチン、レスチンを含むが、これらに限定されない細胞外マトリックスタンパク質の種々の断片、VEGF/VEGFR拮抗薬、sFlt−1、sFlk、sNRP1、アンジオポエチン/tie拮抗薬、sTie−2、ケモカイン(IP−10、PF−4、Gro−β、IFN−γ(Mig)、IFNα、FGF/FGFR拮抗薬(sFGFR)、エフリン/Eph拮抗薬(sEphB4及びsephrinB2)、PDGF、TGFβ及びIGF−1を含むが、これらに限定されない増殖因子/サイトカイン阻害剤。本発明の実施に使用される適切な遺伝子は、酵素(例えば、ウレアーゼ、レニン、トロンビン、メタロプロテアーゼ、一酸化窒素シンターゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、カタラーゼ及び他の当業者に周知のもの)、酵素阻害剤(例えば、α1−アンチトリプシン、アンチトロンビンIII、細胞若しくはウイルス性プロテアーゼ阻害剤、プラスミノーゲン活性化因子阻害剤−1、メタロプロテアーゼの組織阻害剤等)、嚢胞性線維症膜貫通コンダクタンス調節因子(CFTR)タンパク質、インスリン、ジストロフィン、又はクラスI若しくはIIの主要組織適合性複合体(MHC)抗原をコードし得る。対応する遺伝子の発現を調節/制御し得るポリペプチドをコードする遺伝子、細菌、寄生虫若しくはウイルスの感染若しくはその発達を阻害し得るポリペプチド(例えば、抗原ポリペプチド、抗原エピトープ、及び競合により天然タンパク質の作用を阻害するトランスドミナントタンパク質変異体)、アポトーシス誘導因子若しくは阻害因子(例えば、Bax、Bc12、Bc1X及び当該技術分野で既知の他の)、細胞分裂阻害剤(例えば、p21、p16、Rb等)、アポリポタンパク質(例えば、ApoAI、ApoAIV、ApoE等)、酸素基スカベンジャー、抗腫瘍効果を有するポリペプチド、抗体、毒素、免疫毒素、マーカー(例えば、β−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ等)、又は当該技術分野で臨床的状態の治療又は予防に有用であると認識された対象となる任意の他の遺伝子も有用である。更に、導入遺伝子には、細胞分割又はシグナル伝達を阻害するポリペプチド、腫瘍抑制因子タンパク質(例えば、p53、Rb、p73等)、宿主免疫系を活性化するポリペプチド、場合によりサイトカインと組み合わせた腫瘍関連の抗原(例えば、MUC−1、BRCA−1、初期又は後期抗原、例えばE6、E7、L1、L2等)をコードする導入遺伝子が含まれる。
本発明は更に、相乗的、相補的及び/又は非重複の毒性を伴う複数の導入遺伝子の組み合わせと、作用方法とを提供する。概略すれば、本発明は、ウイルスベクターゲノムの特定の領域内に導入遺伝子コード領域を挿入する方法を提供する。該方法は、公知のウイルス転写要素とAd遺伝子発現の機序の利点とを採用し、更なるプロモーターを必要とせず、又調節シグナルがより小さいサイズのDNA断片を包含するため、Adゲノム内に挿入する導入遺伝子発現のためのDNA配列のサイズを縮小し、導入遺伝子の一時的調節に柔軟性を提供し(例えば、感染の早期段階対後期段階と;感染の早期対中間段階)、そして発現される導入遺伝子の量を調節する技法を提供する。例えば、導入遺伝子を、通常高いレベルで発現する転写産物内に挿入することにより、及び/又は高い効率を有するスプライス受容部位を導入遺伝子コード領域に作動的に結合することにより、より多量の導入遺伝子を発現することができる。発現レベルは、調節シグナルの、それらのコンセンサス配列との近接さにも影響され;所望により発現を目的に合わせる変更を為すことができる。
本発明のアデノウイルスベクターを設計するに当たっては、導入遺伝子の生物活性が考慮される。例えば、場合によっては、導入遺伝子が感染の後期の段階(ウイルス性DNA複製後)でのみ、又は殆どこの段階で発現するように、導入遺伝子をベクターに挿入することが有利な場合がある。例えば、導入遺伝子は、本明細書で詳述する通り、L3に挿入される場合がある。幾つかの導入遺伝子に関しては、ウイルスの生活環の早期に導入遺伝子を発現することが好ましい場合がある。このような場合、導入遺伝子は、初期領域の何れか(例えば、E3)又は上流L1領域に挿入される場合がある。
(細胞内へのベクターの導入)
本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む本発明のベクターコンストラクトは、in vitroで、ex vivoで若しくはin vivoで細胞内に導入されて、多価可溶性受容体タンパク質を細胞、例えば体細胞に送達し得るか、又は本発明の多価可溶性受容体タンパク質は、当該技術分野で既知の標準的な方法体系を使用して、ベクター導入細胞により生成される。このような技法には、リン酸カルシウムを使用したトランスフェクション、培養細胞内への微量注入(Capecchi, Cell 22:479−488 [1980])、電気穿孔法(Shigekawa, et al., BioTechn., 6:742−751 [1988])、リポソーム媒介による遺伝子導入(Mannino, et al., BioTechn., 6:682−690 [1988])、脂質媒介による形質導入(Feigner, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413−7417 [1987])、及び高速マイクロプロジェクタイルを使用した核酸送達(Klein, et al., Nature 327:70−73 [1987])が含まれる。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む本発明のベクターコンストラクトは、in vitroで、ex vivoで若しくはin vivoで細胞内に導入されて、多価可溶性受容体タンパク質を細胞、例えば体細胞に送達し得るか、又は本発明の多価可溶性受容体タンパク質は、当該技術分野で既知の標準的な方法体系を使用して、ベクター導入細胞により生成される。このような技法には、リン酸カルシウムを使用したトランスフェクション、培養細胞内への微量注入(Capecchi, Cell 22:479−488 [1980])、電気穿孔法(Shigekawa, et al., BioTechn., 6:742−751 [1988])、リポソーム媒介による遺伝子導入(Mannino, et al., BioTechn., 6:682−690 [1988])、脂質媒介による形質導入(Feigner, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7413−7417 [1987])、及び高速マイクロプロジェクタイルを使用した核酸送達(Klein, et al., Nature 327:70−73 [1987])が含まれる。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードするウイルスコンストラクトは、当業者により日常的に使用されている標準的な感染技法を使用して、細胞内に導入される場合がある。
in vitro又はex vivoでの発現のために、機能的多価可溶性受容体タンパク質の発現に有効な任意の細胞を使用される場合がある。タンパク質発現に使用される細胞及び細胞株の多数の例が、当該技術分野で周知である。例えば、原核生物細胞及び昆虫細胞を発現に使用される場合がある。加えて、真核生物微生物、例えば酵母を使用される場合がある。原核生物、昆虫及び酵母系内での組み換えタンパク質の発現は、当該技術分野で周知であり、本発明の組成物及び方法を使用した抗体発現に関して適合される場合がある。
多価可溶性受容体タンパク質発現に有用な細胞の例には更に、例えば線維芽細胞等の哺乳動物細胞、例えばヒツジ、ブタ、ハツカネズミ及びウシ細胞等の非ヒト哺乳動物由来の細胞、昆虫細胞等が含まれる。哺乳動物細胞の特定の例には、COS細胞、VERO細胞、HeLa細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、293細胞、NSO細胞、SP20細胞、3T3線維芽細胞、W138細胞、BHK細胞、HEPG2細胞、DUX細胞及びMDCK細胞が含まれる。
宿主細胞は、プロモーターの誘導、形質転換体の選択、又は所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適宜修飾された、従来の栄養培地中で培養される。哺乳動物宿主細胞は、多様な培地中で培養される場合がある。市販の培地、例えばHamのF10(Sigma)、最小必須培地(MEM,Sigma)、RPMI1640(Sigma)、及びDulbeccoの修正イーグル培地(DMEM, Sigma)が一般的に、宿主細胞の培養に適切である。所定の培地は一般的に、必要に応じてホルモン及び/又は他の増殖因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は内皮増殖因子)、DHFR、塩(例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びリン酸塩)、緩衝液(例えばHEPES)、ヌクレオシド(例えばアデノシン及びチミジン)、抗生物質、微量要素、並びにブドウ糖又は等価なエネルギー源により補充される。必要な任意の他の補充物を、当業者に既知であると思われる適切な濃度にて含めることができる。特定の細胞株のための適切な培養条件、例えば温度、pH等は、当該技術分野で周知であり、多数の細胞株の培養のための提案された培養条件が、例えばオンラインで<”http://www.atcc.org/ Search catalogs/AHCollections.cfm”>にて入手可能なATCCカタログに提供されている。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードするベクターは、動物モデル又はヒト対象内へのベクターの送達に有効な多数の経路(例えば、皮内、静脈内、腫瘍内、脳内、門脈内、腹腔内、筋内、膀胱内等)の何れかを介して、in vivoで投与される場合がある。組み換え多価可溶性受容体タンパク質は、投与経路に応じて、局所又は全身にて効果を引き出す。1つ以上の多価可溶性受容体タンパク質オープンリーディングフレームの5’側に組織特異的なプロモーターを使用すると、組織非特異的なプロモーターの制御下で発現される組み換えタンパク質の発現に関して、組織特異性が向上する。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードするベクターは、動物モデル又はヒト対象内へのベクターの送達に有効な多数の経路(例えば、皮内、静脈内、腫瘍内、脳内、門脈内、腹腔内、筋内、膀胱内等)の何れかを介して、in vivoで投与される場合がある。組み換え多価可溶性受容体タンパク質は、投与経路に応じて、局所又は全身にて効果を引き出す。1つ以上の多価可溶性受容体タンパク質オープンリーディングフレームの5’側に組織特異的なプロモーターを使用すると、組織非特異的なプロモーターの制御下で発現される組み換えタンパク質の発現に関して、組織特異性が向上する。
例えば、本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードする組み換えAAVベクターのin vivoでの送達は、脳、肝臓、血管、筋肉、心臓、肺及び皮膚を含むがこれらに限定されない幅広い器官型にターゲティングされる場合がある。組み換えAAVベクターのin vivo送達は又、ウイルスの血清型、細胞の状態(即ち、癌細胞を細胞周期に基づきターゲティングし得る)、細胞環境の低酸素状態、又はその同一の細胞が、非癌(正常な生理的条件下で、非分割又は規則的な分割状態)の場合の通常の正常な生理的状態から逸脱した他の生理学的状態に基づき、幅広い細胞型にターゲティングされる場合がある。細胞状態に関連するプロモーターの例には、テロメラーゼ逆転写酵素プロモーター(TERT)及びE2Fプロモーターが含まれる。
ex vivoでの遺伝子導入の場合、宿主から標的細胞を取り出し、本発明による多価可溶性受容体タンパク質をコードする組み換えベクターと、当該技術分野で周知の方法とを使用して、研究室内で遺伝子を組み換える。
本発明の組み換えベクターは、上述のモードを含むがこれらに限定されない従来の投与モード、並びに液剤及び縣濁剤、マイクロベシクル、リポソーム並びに注射剤又は注入剤を含むが、これらに限定されない種々の製剤を使用して投与される場合がある。好ましい剤形は、投与モード及び治療的用途に依存する。
本明細書に提供する実験結果が示すように、in vivoでのタンパク質生成において、本発明の多価可溶性受容体タンパク質を使用して実現される多数の利点が存在し、それらは例えば、患者内で長期間及び持続的に多価可溶性受容体タンパク質を発現させる単一ベクターの投与;多価可溶性受容体タンパク質のin vivoでの発現である。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードする組み換えベクターのコンストラクトは、治療に使用するための組み換えタンパク質のin vitroでの生成に有用である。組み換えタンパク質の生成方法は、当該技術分野で周知であり、本明細書に記載のベクターコンストラクトを使用した組み換え多価可溶性受容体タンパク質の発現に使用される場合がある。
(本発明を実施するための組成物及び方法)
本発明は、多価可溶性受容体融合タンパク質(例えば、図3A〜図3Cを参照)及び多価可溶性受容体タンパク質(例えば、図1A〜図1C及び図2A〜図2Hを参照)の発現のためのヌクレオチド配列及びベクターを含む、複数の血管新生経路を阻害する単一の薬剤を提供する。
本発明は、多価可溶性受容体融合タンパク質(例えば、図3A〜図3Cを参照)及び多価可溶性受容体タンパク質(例えば、図1A〜図1C及び図2A〜図2Hを参照)の発現のためのヌクレオチド配列及びベクターを含む、複数の血管新生経路を阻害する単一の薬剤を提供する。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードするヌクレオチド配列は、標準的な組み換えDNA技法を使用して構成される。殆どの場合、これらのベクターは、有糸分裂誘発又は血管新生を刺激せずに血管新生因子を結合可能な受容体の少なくとも一部をコードするように構成される。その受容体の一部は一般的に、少なくとも一種の血管新生因子を結合する受容体の細胞外ドメインの一部である。例えば、これは、血管新生因子を結合する1つ又は多数の受容体からのIg様ドメインである場合がある。
一実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも2種の異なる血管新生因子を結合する多価可溶性受容体タンパク質である。一実施形態において、2種の異なる血管新生因子は、血管新生因子の異なるファミリー、例えばFGF、VEGF、PDGF、EGF、アンジオポエチン、エフリン、胎盤増殖因子、腫瘍増殖因子α(TGFa)、腫瘍増殖因子β(TGFb)、腫瘍壊死因子α(TNFa)及び腫瘍壊死因子β(TNFb)からなる群から選択される血管新生因子のファミリーに由来する。
本発明は更に、治療有効量の多価可溶性受容体タンパク質又は該タンパク質をコードするベクターを対象、一般的に癌を伴う患者に投与することを含む、腫瘍性疾患を有する対象の治療方法に関する。関連する実施形態において、本発明の多価可溶性受容体タンパク質は、多価可溶性受容体タンパク質又は該タンパク質をコードするベクターを対象へin vivoで投与することによる、非腫瘍性疾患の治療に有用である。或いは、細胞はex vivoで修飾されて、腫瘍性又は非腫瘍性疾患の治療のために対象に投与されてもよい。ex vivo修飾細胞は、対象に投与する前に、当業者により日常的に使用されている技法を使用して、一般的に照射により増殖インコンピテントにされる。
一般的に、対象は、ヒト患者である。多価可溶性受容体タンパク質又はそれをコードするベクターの治療有効量は、投薬量において、又所望の結果を達成するのに必要なある期間に有効な量である。この量は、対象の性別、年齢、体重、等を含むが、これらに限定されない種々の要因に従って変動し得る。
本発明をコードするベクターの治療有効量は、生理食塩水溶液、適切な緩衝剤、保存剤、安定剤を含むが、これらに限定されない薬学的に許容される賦形剤中の組成物として対象(例えば、ヒト)に投与され、又例えば制吐剤等の適切な薬剤と共に投与されてもよい。有効量は、臨床的有効性を含む、有益な又は所望の結果を達成するのに十分な量である。有効量は、一回又はそれ以上の投与にて投与される場合がある。本発明の目的のために、有効量のベクターは、疾患状態の進行を軽減、回復、安定化、逆行、緩徐若しくは遅延させ、又は疾患の症状を緩和するのに十分な量である。数人の対象は、これらの治療に難治であり、該方法は、これら対象に対する投与を包含することが理解される。付与する量は、個体の状態、疾患の程度、投与経路、投与する回数、及び所望の目的により決定される。
本発明のベクターの送達は一般的に、部位特異的な注入又は静脈内注入の何れかにより達成される。ベクターの部位特異的な注入は、例えば腫瘍内への注入、及び腹腔内、胸膜内、くも膜下腔内、動脈内、皮下、又は局所適用を含む場合がある。これらの方法は、ベクターと化学療法薬との組み合わせを使用した治療に容易に適応する。本発明は又、ex vivoで動物からの細胞を感染させるベクターの使用を考慮している。例えば、動物から細胞を単離する。単離した細胞は、腫瘍細胞と非腫瘍細胞の混合物を含む場合がある。細胞を複製コンピテントであるウイルスで感染させ、ウイルスは腫瘍細胞内で特異的に複製する。従って、腫瘍細胞が排除され、希望に応じて、残りの非腫瘍細胞を同一の動物に投与し戻すか、又は希望に応じて、異なる動物に投与してもよい。
ウイルス性ベクターは、リポソーム、当該技術分野で周知の一般的なトランスフェクション方法(例えば、リン酸カルシウム沈殿法又は電気穿孔法)、直接注入、及び静脈内注入を含むが、これらに限定されない種々の方法で、標的細胞に送達される場合がある。送達手段は、主に特定のベクター(その形態を含む)に依存し、又標的細胞の種類及び位置(即ち、細胞がin vitroかin vivoか)に依存する。
パッケージウイルスとして使用する場合、AAVベクターは、生理学的に許容される適切な担体中で、用量約104〜約1014で投与される場合がある。ポリヌクレオチドコンストラクト(即ち、ウイルスとしてパッケージングされていない)として投与する場合、AAVベクター約0.01ug〜約1000ugを投与し得る。投与する正確な用量は、患者の年齢、体重及び性別、並びに治療する病状の大きさ及び重篤さを含む種々の要因に依存する。1つ以上のアデノウイルスベクターは、意図する使用、及び宿主の免疫応答能に応じて、一回以上投与されてもよく、多数の同時注入として投与されてもよい。免疫応答が望ましくない場合、種々の免疫抑制剤を使用して、又は血液からアデノウイルス抗体を除去して、強力な免疫応答を起こすことなく、反復投与を可能にする例えば免疫吸着法(例えば、イムノアフェレーシス(immunoapheresis))等の技法を使用して、免疫応答を低下させ得る。
他のウイルス形態、例えばアデノウイルス又はHSVとしてパッケージングされる場合、投与する量は、その特定のウイルス(例えば、公開された文献から容易に得られる)に関する標準的な知識に基づき、又経験的に決定し得る。
(組み合わせ)
本発明の実施形態には、米国特許出願第2003/0068307号に詳述されている通り、本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードするベクター及び/又は多価可溶性受容体タンパク質と、放射線、抗新生物剤の投与等を含む場合がある第二の抗新生物療法(例えば、化学療法薬)との組み合わせを、新生物を有する個体に投与する方法が含まれる。ベクター及び/又はタンパク質、並びに抗新生物剤は、同時に投与される場合もあれば、連続して投与される場合もあり、連続投与に関しては、種々の時間間隔で投与される。幾つかの実施形態において、有効量のベクター及び/又は多価可溶性受容体タンパク質、並びに有効量の少なくとも一種の抗新生物剤は、適切な賦形剤及び/又は緩衝液と組み合わせて、本明細書に列挙した又は当業者に既知の方法の何れかにより、同一溶液から同時に投与される。これは、抗新生物剤がベクター又はタンパク質それ自体のバイアビリティ及び/又は活性を損なわない場合に適用可能である場合がある。
本発明の実施形態には、米国特許出願第2003/0068307号に詳述されている通り、本発明の多価可溶性受容体タンパク質をコードするベクター及び/又は多価可溶性受容体タンパク質と、放射線、抗新生物剤の投与等を含む場合がある第二の抗新生物療法(例えば、化学療法薬)との組み合わせを、新生物を有する個体に投与する方法が含まれる。ベクター及び/又はタンパク質、並びに抗新生物剤は、同時に投与される場合もあれば、連続して投与される場合もあり、連続投与に関しては、種々の時間間隔で投与される。幾つかの実施形態において、有効量のベクター及び/又は多価可溶性受容体タンパク質、並びに有効量の少なくとも一種の抗新生物剤は、適切な賦形剤及び/又は緩衝液と組み合わせて、本明細書に列挙した又は当業者に既知の方法の何れかにより、同一溶液から同時に投与される。これは、抗新生物剤がベクター又はタンパク質それ自体のバイアビリティ及び/又は活性を損なわない場合に適用可能である場合がある。
二種以上の抗新生物剤を投与する場合、薬剤は同一の組成物中で一緒に;連続して任意の順序で投与されるか;又は或いは、異なる組成物中で同時に投与される場合がある。薬剤が連続して投与される場合、投与は更に時間遅延を含む場合がある。連続投与は任意の順序であり得、従って有効量のベクターを最初に投与し、その後有効量の抗新生物薬を投与することを包含する。多価可溶性受容体タンパク質を発現するベクター及び/又はタンパク質それ自体と、化学療法薬との投与間の間隔は、少なくとも数分(若しくは、或いはそれ未満)、数時間、又は数日である場合がある。連続投与は又、選択した抗新生物薬を投与し、その後ベクター及び/又はタンパク質を投与することも包含し得る。投与間の間隔は、少なくとも数分(若しくは、或いはそれ未満)、数時間、又は数日である場合がある。
治療的用途に関して、本発明の多価可溶性受容体タンパク質は、薬学的に許容される剤形で哺乳動物、好ましくはヒトに投与され、これには、ヒトに対して静脈内ボーラス投与される場合もあれば、筋内、腹腔内、脳脊髄内、皮下、動脈内、滑液嚢内、くも膜下腔内、経口、局所、又は吸入の経路により一定時間にわたって連続注入される場合があるものが含まれる。本発明の多価可溶性受容体タンパク質は又、適切には腫瘍内、腫瘍周囲、病変部内又は病変部周囲の経路によっても投与される。
本発明の更なる態様において、本発明のベクター及び/又はキメラ多価可溶性受容体タンパク質と、薬学的に許容される担体とを含有する医薬組成物を提供する。薬学的に許容される担体中に、有効量のベクター及び/又はキメラ多価可溶性受容体タンパク質を含有し得るこのような組成物は、単位剤形、無菌腸管外溶液又は縣濁液、無菌非腸管外溶液又は経口溶液若しくは縣濁液、水中油又は油中水のエマルジョン等にて、個体に局所又は全身投与するのに適している。腸管外及び非腸管外薬物送達のための製剤は、当該技術分野で既知である。組成物には又、本発明の癌特異的なベクター又は粒子の凍結乾燥及び/又は再構成形態も含まれる。許容される医薬担体は、例えば生理食塩水溶液、硫酸プロタミン(Elkins−Sinn, Inc.[米国ニュージャージー州チェリーヒル])、水、水性緩衝液、例えばリン酸緩衝液及びトリス緩衝液、又はポリブレン(Sigma Chemical[米国ミズーリ州セントルイス])並びにリン酸緩衝生理食塩水及びショ糖である。好適な医薬担体の選択は、本明細書に含まれる教示から当業者に明白であると考えられる。これらの溶液は無菌であり一般的に、所望の癌特異的なベクター以外の遊離粒状物質を含有していない。組成物は、生理学的状態に近づくために、必要に応じて、例えばpH調整及び緩衝剤、毒性調整剤、並びに同様物等の薬学的に許容される補助物質、例えば酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、乳酸ナトリウム等を含有してもよい。細胞によるベクター又はキメラ多価可溶性受容体タンパク質の取り込みを高める賦形剤を含有してもよい。
キメラ多価可溶性受容体タンパク質の投与のために、適切には従来のデポー製剤が使用される。このような形態には、例えば、マイクロカプセル剤、ナノカプセル剤、リポソーム、プラスター、吸入形態、鼻用スプレー、舌下錠、及び徐放製剤が含まれる。例えば徐放組成物の例は、米国特許第3773919号、EP58481A、米国特許第3887699号、EP158277A、カナダ特許第1176565号、U. Sidman, et al., Biopolymers 22:547 (1983)及びR. Langer, et al., Chem. Tech. 12:98 (1982)を参照されたい。タンパク質は通常、それらのビヒクル中に、約0.01mg/ml〜1000mg/mlの濃度で調製される。
場合により、例えば酸化防止剤、例えばアスコルビン酸;低分子量(約10個未満の残基)ポリペプチド、例えばポリアルギニン又はトリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸又はアルギニン;セルロース若しくはその誘導体、ブドウ糖、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の炭水化物;キレート化剤、例えばEDTA;並びに糖アルコール、例えばマンニトール又はソルビトール等の他の成分を、医薬製剤に添加してもよい。
治療的投与に使用するベクター又はキメラ多価可溶性受容体タンパク質製剤は、一般的に無菌である。無菌は、当該技術分野で既知の種々の方法、例えば無菌濾過膜(例えば、0.2ミクロン膜)を介した濾過により容易に達成し得る。ベクター又はキメラ多価可溶性受容体タンパク質は、凍結乾燥形態、又は水性溶液として保管し得る。ベクター又はキメラ多価可溶性受容体タンパク質製剤のpHは、一般的に約6〜8であると思われるが、所定の場合には、より高い又は低いpH値も適切である場合がある。
疾患の予防又は治療に関して、所定のベクター又はキメラ多価可溶性受容体タンパク質の適切な用量は、治療する疾患の種類、疾患の重篤さ及び経過、それらが予防又は治療目的のどちらで投与されるか、薬歴、患者の病歴、及び応答、そしてヒトの場合、主治医の思慮に依存する。ベクター又はキメラ多価可溶性受容体タンパク質は、適切には患者に対して1回、又は一連の治療の全体にわたり投与される。
抗新生物(化学療法)剤には、化学療法の主要な各クラスからのものが含まれ、例えば、アルキル化剤、アルカロイド、抗代謝産物、抗腫瘍抗生物質、ニトロソ尿素、ホルモン作動薬/拮抗薬及び類似体、免疫調節剤、光感受性物質、酵素等が含まれるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態において、抗悪性腫瘍剤は、アルカロイド、代謝拮抗薬、抗生物質又はアルキル化剤である。特定の実施形態において、抗悪性腫瘍剤には、例えば、チオテパ、インターフェロンα−2a、及びM−VAC組み合わせ(メトトレキサート−ビンブラスチン、ドキソルビシン、シクロホスファミド)が含まれる。好ましい抗悪性腫瘍剤には、例えば、5−フルオロウラシル、シスプラチン、5−アザシチジン、及びゲムシタビンが含まれる。特に好ましい実施形態には、5−フルオロウラシル、ゲムシタビン、ドキソルビシン、ミロキサントロン(miroxantrone)、マイトマイシン、ダカルバジン、カルムスチン、ビンブラスチン、ロムスチン、タモキシフェン、ドセタキセル、パクリタキセル又はシスプラチンが含まれるが、これらに限定されない。1つ以上の化学療法薬の両者の特定の選択は、とりわけ、治療する疾患の特徴に依存する。その特徴とは、腫瘍の位置、疾患の段階、及び、存在する場合、以前の治療に対する個体の応答を含むが、これらに限定されない。
経口及び非経口方法を含む、当該技術分野で周知の抗悪性腫瘍剤投与のための多様な送達方法が存在する。多くの抗悪性腫瘍剤薬剤の経口投与には幾つかの不都合が存在し、これには、低バイオアベイラビリティ、消化管の刺激作用、及び複雑な薬物の組み合わせを投与することを思い出す必要性等が含まれる。抗悪性腫瘍剤の非経口投与の大部分は静脈内であり、これは、多くの場合、筋内及び皮下注入が、組織に対する刺激作用又は損傷に繋がるためである。非経口注入の局所的バリエーションには、動脈内、膀胱内、腫瘍内、くも膜下腔内、胸膜内、腹腔内及び腔内注入がある。
化学療法薬を送達する方法には、静脈内、腸管外及び腹腔内方法、並びに経口投与が含まれる。静脈内方法には又、四肢の静脈を介した送達が含まれるほか、例えば門脈内への静脈内点滴等のより部位特異的な送達も含まれる。その他の腸管外送達方法には、例えば抗新生物溶液の皮下、腔内、又は腫瘍内への直接注入が含まれる。
特定の治療計画の効力の評価は、例えばイメージング技法、血清腫瘍マーカーの分析、生検、腫瘍関連の症状の存在、不在又は回復等の診断方法を含めた、当業者により対象の病状の治療に使用される何れかの技法により決定される場合がある。所定の治療計画は、最大の効力のために適宜変更し得ることが理解される。
(効用)
本発明の多価可溶性受容体タンパク質は、任意の及び全ての癌並びに関連する疾患の治療に有用である。治療を受け入れられる代表的な癌及び関連する病状には、前立腺癌、乳房癌、肺癌、食道癌、大腸癌、直腸癌、肝臓癌、尿路癌(例えば、膀胱癌)、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、生殖器系癌(例えば、卵巣癌、子宮頸癌及び子宮内膜癌)、膵臓癌、胃腸管癌、胃癌、甲状腺癌、内分泌系癌、呼吸器系癌、胆管癌、皮膚癌(例えば、黒色腫)、喉頭癌、リンパ系又は骨髄系の造血器癌、神経系癌、頭部及び頸部癌、鼻咽頭癌(NPC)、神経膠芽腫、奇形癌腫、神経芽腫、腺癌、間葉に由来する癌、例えば線維肉腫又は横紋筋肉腫、軟組織肉腫及び癌腫、絨毛膜癌腫(choriocarcinioma)、肝芽腫、カポシ肉腫、並びにウイルムズ腫瘍が含まれる。
本発明の多価可溶性受容体タンパク質は、任意の及び全ての癌並びに関連する疾患の治療に有用である。治療を受け入れられる代表的な癌及び関連する病状には、前立腺癌、乳房癌、肺癌、食道癌、大腸癌、直腸癌、肝臓癌、尿路癌(例えば、膀胱癌)、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(例えば、非小細胞肺癌)、生殖器系癌(例えば、卵巣癌、子宮頸癌及び子宮内膜癌)、膵臓癌、胃腸管癌、胃癌、甲状腺癌、内分泌系癌、呼吸器系癌、胆管癌、皮膚癌(例えば、黒色腫)、喉頭癌、リンパ系又は骨髄系の造血器癌、神経系癌、頭部及び頸部癌、鼻咽頭癌(NPC)、神経膠芽腫、奇形癌腫、神経芽腫、腺癌、間葉に由来する癌、例えば線維肉腫又は横紋筋肉腫、軟組織肉腫及び癌腫、絨毛膜癌腫(choriocarcinioma)、肝芽腫、カポシ肉腫、並びにウイルムズ腫瘍が含まれる。
血管新生又はリンパ管新生の影響を受ける非新生物性病状も、本発明のキメラ多価可溶性受容体融合タンパク質を使用した治療を受け入れられる。例えば、血管新生は、例えば関節リウマチ、乾癬、アテローム性動脈硬化症、糖尿病性及び他の網膜症、水晶体後方線維増殖症(retrolentral fibroplasia)、新生血管緑内障、加齢関連の黄斑変性症、甲状腺肥大(バセドウ病を含む)、角膜及び他の組織の移植、慢性炎症、肺炎症、ネフローゼ症候群、子癇前症(preclampasia)、腹水症、心膜液貯留(例えば、心膜炎に関連する)及び胸水貯留等の病状に役割を果たすことが示唆されている。その結果、これらの病状は、本発明のベクター又はキメラ多価可溶性受容体タンパク質を使用して治療し得る。
別の実施形態において、多数の血管新生促進因子に結合する多価可溶性受容体タンパク質は、多数の血管新生因子の精製に使用される場合がある。例えば、VEGF及びPDGFタンパク質の両方に結合する多価可溶性受容体タンパク質は、これら両方のタンパク質の精製に使用される場合がある。
従って、VEGF及びPDGF溶液を使用して、血管新生プロセスを試験してもよければ、哺乳動物内で血管新生を誘導してもよく、この誘導には哺乳動物の治療のための血管新生の誘導が含まれる。このことは、多数の血管新生タンパク質を精製するための多数の精製プロセスの実施の必要性を排除する。この場合、「精製」という用語とは、望ましくないタンパク質の有意な量が精製プロセスで除去され、得られた精製タンパク質は必ずしも所望のタンパク質100%ではないことを意味する。一態様において、望ましくないタンパク質の有意な量が、精製プロセス中に除去される。タンパク質精製の手順は、当業者に既知である(例えば、Scopes, Protein purification − principle and practice. Third Edition 1994を参照)。
本発明は、本発明の好ましい実施モードを含むように、本発明者等により見出され又は提案された特定の実施形態の観点から記載されてきた。当業者は、本開示に照らして、本発明の意図する範囲から逸脱することなく、例証される特定の実施形態に多数の修正及び変更を為し得ることを理解するであろう。例えば、コドン重複性により、タンパク質配列に影響を与えずに、基礎を為すDNA配列を変更し得る。更に、生物の機能的等価性を考慮することにより、生物作用の種類又は量に影響を与えずに、タンパク質構造を変更し得る。これらの全修正は、好ましい実施形態の範囲内に含まれるものとする。
(材料及び方法)
1.多価可溶性受容体タンパク質の特徴付け
所定の多価可溶性受容体タンパク質の発現及び効力は、当該技術分野で既知の多数の方法の何れかを使用して、in vitro及びin vivoで評価し得る。
1.多価可溶性受容体タンパク質の特徴付け
所定の多価可溶性受容体タンパク質の発現及び効力は、当該技術分野で既知の多数の方法の何れかを使用して、in vitro及びin vivoで評価し得る。
例えば、遺伝子発現は、特定の多価可溶性受容体タンパク質を発現するよう遺伝子を組み換えられた細胞の培養後、例えば、発現したタンパク質の細胞内レベルを測定して、又は培地上清中の発現したタンパク質の量を評価して、多価可溶性受容体タンパク質又はそのIgG様ドメインを測定することにより評価される場合がある。遺伝子発現は、例えば、タンパク質をコードするウイルス性ベクターの投与後、動物の血清中の所定の多価可溶性受容体タンパク質の量を測定することにより、in vivoでも評価される場合がある。このような分析には、免疫学的測定、例えばELISA(以下に更に記載する)、競合的免疫学的測定、放射免疫学的測定、ウエスタンブロット、間接免疫蛍光試験等が含まれるが、これらに限定されない、当業者により日常的に使用されている幾つかの技法により実施される場合がある。所定の多価可溶性受容体融合タンパク質に関するmRNAの活性、発現及び/又は生成も、ノーザンブロット及び/又は逆転写酵素ポリメラ−ゼ連鎖反応(RT−PCR)により測定される場合がある。
A イムノブロッティング及びELISAによる検出
NuPageビス−トリスゲル及びMOPS緩衝液を使用して、4〜12%SDS−PAGE(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)により多価タンパク質を分解する。分解したタンパク質を、20%メタノール含有転写緩衝液(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)中で、ニトロセルロース上に1時間転写する。5%BSA及び0.2%Tween−20(ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CA)を含有するトリス緩衝生理食塩水(TBS)中で膜を1時間ブロックした後、受容体構成に対応する抗血清で1時間プローブする(VEGFR3に関しては、ビオチン化ヤギ抗VEGFR3抗血清(R&Dsystems, Minneapolis, MN))。ブロットをTBS−5%BSAで広範囲に洗浄し、HRP結合ストレプトアビジン(BD Pharmingen)で1時間プローブし、続いてSupersignal基質(Pierce, Rockford IL)を使用して、高感度ケミルミネッセンス法により可視化する。
NuPageビス−トリスゲル及びMOPS緩衝液を使用して、4〜12%SDS−PAGE(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)により多価タンパク質を分解する。分解したタンパク質を、20%メタノール含有転写緩衝液(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA)中で、ニトロセルロース上に1時間転写する。5%BSA及び0.2%Tween−20(ICN Pharmaceuticals, Inc., Costa Mesa, CA)を含有するトリス緩衝生理食塩水(TBS)中で膜を1時間ブロックした後、受容体構成に対応する抗血清で1時間プローブする(VEGFR3に関しては、ビオチン化ヤギ抗VEGFR3抗血清(R&Dsystems, Minneapolis, MN))。ブロットをTBS−5%BSAで広範囲に洗浄し、HRP結合ストレプトアビジン(BD Pharmingen)で1時間プローブし、続いてSupersignal基質(Pierce, Rockford IL)を使用して、高感度ケミルミネッセンス法により可視化する。
B IgG捕捉による多価可溶性受容体タンパク質の定量、IgG検出ELISA
市販のサンドイッチELISAキット(R&D Systems, Minneapolis, MN)を使用して、可溶性VEGFR1−Fcを定量する。ヒトIgG1−Fcに対するペア抗体を使用して、サンドイッチELISA法により可溶性VEGFR1/R2を定量する。即ち、96ウェルのImmulon−4マイクロタイタープレート(VWR, Willard, OH)に、0.1M炭酸塩pH9.6緩衝液中のヤギ抗ヒトIgG−Fcポリクローナル抗体(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を被覆し、4°Cで一夜インキュベートする。プレートをPBS−0.05%Tween−20で洗浄し、ホウ酸緩衝液(KPL, Gaithersburg, MD)中の2%無脂肪乳希釈液でブロックする。1%BSA希釈ブロッキング溶液(KPL, Gaithersburg, MD)を使用した一連の希釈後、プラスミドをトランスフェクトしたHEK293細胞からのタンパク質−G精製sVEGFR1/R2タンパク質を標準曲線のために使用する。希釈したサンプル及び標準をウェル内で2時間インキュベートし、広範囲に洗浄した後、500ng/ml HRP結合抗ヒトIgG−Fc抗体(Bethyl Laboratories, Montgomery, TX)と共に1時間インキュベートする。広範囲な洗浄後、ABTSペルオキシダーゼ検出基質を使用して、450nmでの光学濃度でサンプルを検出する。
市販のサンドイッチELISAキット(R&D Systems, Minneapolis, MN)を使用して、可溶性VEGFR1−Fcを定量する。ヒトIgG1−Fcに対するペア抗体を使用して、サンドイッチELISA法により可溶性VEGFR1/R2を定量する。即ち、96ウェルのImmulon−4マイクロタイタープレート(VWR, Willard, OH)に、0.1M炭酸塩pH9.6緩衝液中のヤギ抗ヒトIgG−Fcポリクローナル抗体(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)を被覆し、4°Cで一夜インキュベートする。プレートをPBS−0.05%Tween−20で洗浄し、ホウ酸緩衝液(KPL, Gaithersburg, MD)中の2%無脂肪乳希釈液でブロックする。1%BSA希釈ブロッキング溶液(KPL, Gaithersburg, MD)を使用した一連の希釈後、プラスミドをトランスフェクトしたHEK293細胞からのタンパク質−G精製sVEGFR1/R2タンパク質を標準曲線のために使用する。希釈したサンプル及び標準をウェル内で2時間インキュベートし、広範囲に洗浄した後、500ng/ml HRP結合抗ヒトIgG−Fc抗体(Bethyl Laboratories, Montgomery, TX)と共に1時間インキュベートする。広範囲な洗浄後、ABTSペルオキシダーゼ検出基質を使用して、450nmでの光学濃度でサンプルを検出する。
C 多価可溶性受容体タンパク質による受容体チロシンキナーゼ(RTK)遮断の評価
(抗血管新生因子の評価)
所定の多価可溶性受容体融合タンパク質の、関連する因子の活性を阻害する効力を、当該技術分野で既知の多数の方法の何れかを使用して、in vitroで評価し得る。in vitroでの代表的な血管新生試験は、内皮細胞遊走試験、マトリゲル管形成試験、内皮及び腫瘍細胞増殖試験、アポトーシス試験及び大動脈輪試験を含むが、これらに限定されない。
(抗血管新生因子の評価)
所定の多価可溶性受容体融合タンパク質の、関連する因子の活性を阻害する効力を、当該技術分野で既知の多数の方法の何れかを使用して、in vitroで評価し得る。in vitroでの代表的な血管新生試験は、内皮細胞遊走試験、マトリゲル管形成試験、内皮及び腫瘍細胞増殖試験、アポトーシス試験及び大動脈輪試験を含むが、これらに限定されない。
(in vitro試験)
内皮細胞遊走の速度は、修正Boydenチャンバー試験(Clyman, et al., 1994, Cell Adhes Commun. l(4):333−42 and Lin, P, et al., 1998, Cell Growth Differ. 9(l):49−58)においてヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を使用して評価する。マトリゲル管形成試験を使用して、内皮細胞の分化を示す。試験を実施する際、内皮細胞を細胞外マトリックス(マトリゲル)上に重ね、これにより内皮細胞は管様構造に分化することができる。融合タンパク質又はプロテアーゼ処理プラスミノーゲンの何れかの形態のアンジオスタチンは、内皮細胞の増殖、内皮細胞の遊走、マトリゲル管形成の阻害、及び内皮細胞のアポトーシス誘導を阻害することが示されている(O’Reily, et al., Cell. 1994, 79(2):315−28 and Lucas, et al., 1998, Blood 92(12):4730−41)。内皮及び腫瘍細胞増殖試験を使用して、ベクター生成多価可溶性受容体タンパク質の細胞増殖に対する阻害効果を示し得る。大動脈輪試験を使用した、ウイルスにより生成したアンジオスタチン及びエンドスタチンによるラット大動脈輪の微細血管増殖の阻害が示されている(Kruger, E. A., et al., 2000, Biophys. Res. Comm. 268, 183−191)。本発明の多価可溶性受容体タンパク質の抗血管新生活性の更なる指標として、腫瘍細胞アポトーシスを評価し得る。
内皮細胞遊走の速度は、修正Boydenチャンバー試験(Clyman, et al., 1994, Cell Adhes Commun. l(4):333−42 and Lin, P, et al., 1998, Cell Growth Differ. 9(l):49−58)においてヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を使用して評価する。マトリゲル管形成試験を使用して、内皮細胞の分化を示す。試験を実施する際、内皮細胞を細胞外マトリックス(マトリゲル)上に重ね、これにより内皮細胞は管様構造に分化することができる。融合タンパク質又はプロテアーゼ処理プラスミノーゲンの何れかの形態のアンジオスタチンは、内皮細胞の増殖、内皮細胞の遊走、マトリゲル管形成の阻害、及び内皮細胞のアポトーシス誘導を阻害することが示されている(O’Reily, et al., Cell. 1994, 79(2):315−28 and Lucas, et al., 1998, Blood 92(12):4730−41)。内皮及び腫瘍細胞増殖試験を使用して、ベクター生成多価可溶性受容体タンパク質の細胞増殖に対する阻害効果を示し得る。大動脈輪試験を使用した、ウイルスにより生成したアンジオスタチン及びエンドスタチンによるラット大動脈輪の微細血管増殖の阻害が示されている(Kruger, E. A., et al., 2000, Biophys. Res. Comm. 268, 183−191)。本発明の多価可溶性受容体タンパク質の抗血管新生活性の更なる指標として、腫瘍細胞アポトーシスを評価し得る。
(VEGF−A阻害バイオ試験)
HMVEC細胞を96ウェル平底プレートに5×103細胞/ウェルの密度で播種し、加湿インキュベーター内にて37℃で一夜培養する。翌日、培地を、5%FBSを含有するEBM−2基本培地と交換し(Cambrex, East Rutherford, NJ)、6時間インキュベートして、細胞から分裂促進増殖因子を欠乏させる。次に、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質の存在下、又は不在下、細胞を20ng/ml組み換えヒトVEGF(R&D Systems, Minneapolis, MN)で刺激する。72時間後、WST−8テトラゾリウム塩系の細胞計数キット(Dojindo Laboratories, Gaithersburg, MD)を使用して、製造業者の仕様書に従って、細胞増殖を測定する。
HMVEC細胞を96ウェル平底プレートに5×103細胞/ウェルの密度で播種し、加湿インキュベーター内にて37℃で一夜培養する。翌日、培地を、5%FBSを含有するEBM−2基本培地と交換し(Cambrex, East Rutherford, NJ)、6時間インキュベートして、細胞から分裂促進増殖因子を欠乏させる。次に、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質の存在下、又は不在下、細胞を20ng/ml組み換えヒトVEGF(R&D Systems, Minneapolis, MN)で刺激する。72時間後、WST−8テトラゾリウム塩系の細胞計数キット(Dojindo Laboratories, Gaithersburg, MD)を使用して、製造業者の仕様書に従って、細胞増殖を測定する。
(VEGF−C阻害バイオ試験)
VEGF−C生物活性の遮断を調べるバイオ試験を、以下のように実施する。多価可溶性受容体融合タンパク質、例えばVEGFR−3の細胞外ドメインと、エリスロポイエチン受容体(K. Alitalo, Univ. Helsinki, 06/013682 Finlandから獲得)の細胞内ドメインとを含むキメラ受容体を安定して発現するBaF3/VEGFR3−EpoR細胞(Makinen, et al., Nat Med, 2001; 7(2): 199−205, 2001)、ハツカネズミB細胞株を、5%胎児ウシ血清(GIBCO, Grand Island, N.Y.)で補充したDulbecoの修正必須培地中で維持する。BaF3/VEGFR3−EpoR細胞を、96ウェルタイタープレート上で1×104細胞/ウェルにて播種し、5%FBS含有培地中で一夜インキュベートする。翌日、細胞を100ng/ml組み換えヒトVEGF−C(RnD Systems, Minneapolis, MN)の存在下、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質で刺激する。72時間後、VEGF−C−媒介による細胞増殖を、WST−8テトラゾリウム塩により、細胞計数キット−8(Dojindo Laboratories, Kumamato, Japan)を使用して、製造業者の推奨に従って測定する。
VEGF−C生物活性の遮断を調べるバイオ試験を、以下のように実施する。多価可溶性受容体融合タンパク質、例えばVEGFR−3の細胞外ドメインと、エリスロポイエチン受容体(K. Alitalo, Univ. Helsinki, 06/013682 Finlandから獲得)の細胞内ドメインとを含むキメラ受容体を安定して発現するBaF3/VEGFR3−EpoR細胞(Makinen, et al., Nat Med, 2001; 7(2): 199−205, 2001)、ハツカネズミB細胞株を、5%胎児ウシ血清(GIBCO, Grand Island, N.Y.)で補充したDulbecoの修正必須培地中で維持する。BaF3/VEGFR3−EpoR細胞を、96ウェルタイタープレート上で1×104細胞/ウェルにて播種し、5%FBS含有培地中で一夜インキュベートする。翌日、細胞を100ng/ml組み換えヒトVEGF−C(RnD Systems, Minneapolis, MN)の存在下、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質で刺激する。72時間後、VEGF−C−媒介による細胞増殖を、WST−8テトラゾリウム塩により、細胞計数キット−8(Dojindo Laboratories, Kumamato, Japan)を使用して、製造業者の推奨に従って測定する。
(PDGF−BB及びPDGF−AA阻害バイオ試験)
NIH 3T3細胞(ATCC[米国バージニア州マナッサス])を、96プレート上で5×103細胞/ウェルの密度で播種し、加湿インキュベーター内にて37℃でインキュベートする。プレーティングから2日後、培地を2%乏血小板血漿(BioMedical Technologies, Stoughton, MA)で補充したDMEMと交換し、6時間インキュベートして、細胞から分裂促進増殖因子を欠乏させる。次に、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質の存在下、培地を除去して、2%乏血小板血漿及び10ng/ml PDGF−BB(R&D Systems; for PDGF−BB stimulated bioassay)又は30ng/ml pfPDGF−AA(R&D Systems; for PDGF−AAV stimulated bioassay)を含有する培地で代替する。48時間後、WST−8テトラゾリウム塩系の細胞計数キット(Dojindo Laboratories, Gaithersburg, MD)を使用して、製造業者の仕様書に従って細胞増殖を測定する。
NIH 3T3細胞(ATCC[米国バージニア州マナッサス])を、96プレート上で5×103細胞/ウェルの密度で播種し、加湿インキュベーター内にて37℃でインキュベートする。プレーティングから2日後、培地を2%乏血小板血漿(BioMedical Technologies, Stoughton, MA)で補充したDMEMと交換し、6時間インキュベートして、細胞から分裂促進増殖因子を欠乏させる。次に、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質の存在下、培地を除去して、2%乏血小板血漿及び10ng/ml PDGF−BB(R&D Systems; for PDGF−BB stimulated bioassay)又は30ng/ml pfPDGF−AA(R&D Systems; for PDGF−AAV stimulated bioassay)を含有する培地で代替する。48時間後、WST−8テトラゾリウム塩系の細胞計数キット(Dojindo Laboratories, Gaithersburg, MD)を使用して、製造業者の仕様書に従って細胞増殖を測定する。
(HGF増殖試験)
HepG2細胞(ATCC[米国バージニア州マナッサス])を、10%FBSで補充したDMEM high(JRH Biosciences, Lanexa, KS)中、密度5×103細胞/ウェルで96ウェルプレート内に播種する。プレーティングから24時間後、血清を含まないDMEM high中で細胞を6時間飢えさせる。血清飢餓後、ヒト組み換えHGF(R&D Systems, Minneapolis, MN)を、濃度10ng/mlで、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質の存在下で加える。HGF添加から72時間後、WST−8テトラゾリウム塩系の細胞計数キット(Dojindo Laboratories, Gaithersburg, MD)を使用して、製造業者の仕様書に従って細胞増殖を測定する。
HepG2細胞(ATCC[米国バージニア州マナッサス])を、10%FBSで補充したDMEM high(JRH Biosciences, Lanexa, KS)中、密度5×103細胞/ウェルで96ウェルプレート内に播種する。プレーティングから24時間後、血清を含まないDMEM high中で細胞を6時間飢えさせる。血清飢餓後、ヒト組み換えHGF(R&D Systems, Minneapolis, MN)を、濃度10ng/mlで、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質の存在下で加える。HGF添加から72時間後、WST−8テトラゾリウム塩系の細胞計数キット(Dojindo Laboratories, Gaithersburg, MD)を使用して、製造業者の仕様書に従って細胞増殖を測定する。
(bFGF阻害バイオ試験)
HMVEC細胞を、96ウェル平底プレートに5×103細胞/ウェルの密度で播種し、加湿インキュベーター内にて37℃で一夜培養する。翌日、培地をEBM−2基本培地(Cambrex, East Rutherford, NJ)で4時間代替して、細胞から分裂促進増殖因子を欠乏させる。次に、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質の存在又は不在下で、2ng/ml組み換えヒトbFGF(R&D Systems, Minneapolis, MN)により細胞を刺激する。72時間後、WST−8テトラゾリウム塩系の細胞計数キット(Dojindo Laboratories, Gaithersburg, MD)を使用して、製造業者の仕様書に従って細胞増殖を測定する。
HMVEC細胞を、96ウェル平底プレートに5×103細胞/ウェルの密度で播種し、加湿インキュベーター内にて37℃で一夜培養する。翌日、培地をEBM−2基本培地(Cambrex, East Rutherford, NJ)で4時間代替して、細胞から分裂促進増殖因子を欠乏させる。次に、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質の存在又は不在下で、2ng/ml組み換えヒトbFGF(R&D Systems, Minneapolis, MN)により細胞を刺激する。72時間後、WST−8テトラゾリウム塩系の細胞計数キット(Dojindo Laboratories, Gaithersburg, MD)を使用して、製造業者の仕様書に従って細胞増殖を測定する。
VEGF及びbFGF誘導内皮細胞遊走試験(修正Boydenチャンバー遊走試験)
簡単に言えば、24ウェルのポリカーボネート製フィルターウェル(8um細孔径のCostar Transwell)に、細胞培養フード内にて室温で2〜4時間、PBS中2%ゼラチンを被覆し、続いて0.1%BSAを含有するDMEMと共に、37℃で1時間インキュベートする。HUVEC細胞をトリプシン処理し、遠心分離によりペレット化し、洗浄して、新鮮DMEM/BSA中に再懸濁して最終濃度2×106細胞/mlとする。細胞2×105細胞のアリコートを、フィルターウェルの上部チャンバーに適用する。細胞を伴うフィルターインサートを、対照としての培地のみ、又は培地とヒト組み換えVEGF(VEGF誘導に関して)又はbFGF(bFGF誘導に関して)の何れかを10ng/mlにて含む24ウェル培養プレートのウェル内に配置して、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質と共に30分間プレインキュベートする。37℃で6時間インキュベートした後、フィルターインサートの底部表面に遊走した細胞を、Diff−Quik(Dade International)で2分間固定し;溶液Iで2分間、溶液IIで3分間固定する。フィルターインサートを、顕微鏡下にて200×の倍率で検査する。
簡単に言えば、24ウェルのポリカーボネート製フィルターウェル(8um細孔径のCostar Transwell)に、細胞培養フード内にて室温で2〜4時間、PBS中2%ゼラチンを被覆し、続いて0.1%BSAを含有するDMEMと共に、37℃で1時間インキュベートする。HUVEC細胞をトリプシン処理し、遠心分離によりペレット化し、洗浄して、新鮮DMEM/BSA中に再懸濁して最終濃度2×106細胞/mlとする。細胞2×105細胞のアリコートを、フィルターウェルの上部チャンバーに適用する。細胞を伴うフィルターインサートを、対照としての培地のみ、又は培地とヒト組み換えVEGF(VEGF誘導に関して)又はbFGF(bFGF誘導に関して)の何れかを10ng/mlにて含む24ウェル培養プレートのウェル内に配置して、増大する濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質と共に30分間プレインキュベートする。37℃で6時間インキュベートした後、フィルターインサートの底部表面に遊走した細胞を、Diff−Quik(Dade International)で2分間固定し;溶液Iで2分間、溶液IIで3分間固定する。フィルターインサートを、顕微鏡下にて200×の倍率で検査する。
(マトリゲル管形成試験−bFGF及びVEGF)
マトリゲル(Beckton Dickinson)を、氷上で24ウェル細胞培養プレート上に被覆し、37℃で30分間インキュベートする。多価可溶性受容体融合タンパク質をコードするベクターコンストラクトを形質導入した細胞からの条件培地を収集し、抗血管新生活性の生成に関して試験する。次に、条件培地を、300ng/mlの制御タンパク質を含有するように用量設定して、マトリゲル被覆プレート上に重ねるために使用する。5×105FIUVEC細胞を条件培地上に加える。プレートを37℃で12時間インキュベートし、該プレートを顕微鏡下で、内皮細胞により形成された多数の接合部の合計を5領域からスコアし、平均する。
マトリゲル(Beckton Dickinson)を、氷上で24ウェル細胞培養プレート上に被覆し、37℃で30分間インキュベートする。多価可溶性受容体融合タンパク質をコードするベクターコンストラクトを形質導入した細胞からの条件培地を収集し、抗血管新生活性の生成に関して試験する。次に、条件培地を、300ng/mlの制御タンパク質を含有するように用量設定して、マトリゲル被覆プレート上に重ねるために使用する。5×105FIUVEC細胞を条件培地上に加える。プレートを37℃で12時間インキュベートし、該プレートを顕微鏡下で、内皮細胞により形成された多数の接合部の合計を5領域からスコアし、平均する。
(大動脈輪試験−bFGF試験)
12ウェル組織培養プレートをマトリゲル(Becton−Dickinson,Bedford, MA)でカバーし、37℃インキュベーターにて1時間固化させる。4〜6週齢の雄Sprague−Dawleyラットから胸大動脈を切除し、線維脂肪組織を除去する。大動脈を1.2mm長の断面にて切片化し、EGM−2(Clonetics Inc.)で多数回濯ぎ、マトリゲル被覆ウェル上に配置し、更なるマトリゲルでカバーした後、37℃で更に1時間固化させる。輪をEGM−2 2ml中で一夜培養し、翌日培地を除去し、輪をbFGF及び異なる濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質と共に4日間培養する。
12ウェル組織培養プレートをマトリゲル(Becton−Dickinson,Bedford, MA)でカバーし、37℃インキュベーターにて1時間固化させる。4〜6週齢の雄Sprague−Dawleyラットから胸大動脈を切除し、線維脂肪組織を除去する。大動脈を1.2mm長の断面にて切片化し、EGM−2(Clonetics Inc.)で多数回濯ぎ、マトリゲル被覆ウェル上に配置し、更なるマトリゲルでカバーした後、37℃で更に1時間固化させる。輪をEGM−2 2ml中で一夜培養し、翌日培地を除去し、輪をbFGF及び異なる濃度の多価可溶性受容体融合タンパク質と共に4日間培養する。
(PDGFR−βホスホ−チロシンキナーゼELISA)
U−87MGヒトグリア細胞種細胞を6ウェルプレート上で、10%FBSで補充したDMEM培地(JRH Biosciences, Lanexa, KS)中、ウェル毎5×105細胞にて播種する。プレーティングから48時間後、細胞を2%乏血小板血漿で補充したDMEM中で24時間飢えさせる。飢餓後、多価可溶性受容体融合タンパク質と伴に、又は伴わずに、DMEM中で5分間、33ng/mlのヒトPDGF−BB(R&D Systems, Minneapolis, MN)で細胞を刺激する。刺激後、細胞を濯ぎ、血小板由来増殖因子受容体βのリン酸化を、リン酸特異的なELISAにより、製造業者の指示(R&D Systems, Minneapolis, MN)に従って測定する。
U−87MGヒトグリア細胞種細胞を6ウェルプレート上で、10%FBSで補充したDMEM培地(JRH Biosciences, Lanexa, KS)中、ウェル毎5×105細胞にて播種する。プレーティングから48時間後、細胞を2%乏血小板血漿で補充したDMEM中で24時間飢えさせる。飢餓後、多価可溶性受容体融合タンパク質と伴に、又は伴わずに、DMEM中で5分間、33ng/mlのヒトPDGF−BB(R&D Systems, Minneapolis, MN)で細胞を刺激する。刺激後、細胞を濯ぎ、血小板由来増殖因子受容体βのリン酸化を、リン酸特異的なELISAにより、製造業者の指示(R&D Systems, Minneapolis, MN)に従って測定する。
D. in vivoでの腫瘍モデル:
代表的なin vivoでの血管新生モデルは、B16 Bl/6マウス黒色腫転移モデル;Xenogen Imaging(以下に記載)を伴うB16F10−luc転移モデル;ルイス肺癌(LLC)異種移植摘出モデル(O’Reilly, et al., 1994, Cell. 79(2):315−28);LLC−luc転移モデル/Xenogen Imaging;LLC−luc SC摘出モデル/Xenogen Imaging;RIP−Tag膵島癌トランスジェニックモデル(Hanahan, et al., Nature, 315(6015):115−122, 1985 and Bergers, et al., Science, 284:808−811, 1999);正所性乳癌モデルMDA−231(Hiraga T., et al., 2001, Cancer Res. 61(11):4418−24);C6グリア細胞種モデル(Griscelli F, et al., 1998, Proc Natl Acad Sci USA. 95(11):6367−72)、4C8グリア細胞種モデル(Weiner NE, et al. J Neuropathol Exp Neurol. 1999 Jan;58(l):54−60)、U−251MGグリア細胞種モデル(Ozawa T, et al., In Vivo. 2002 Jan−Feb;16(l):55−60)又はU−87MGグリア細胞種モデル、LnCP前立腺癌モデル(Horoszewicz JS, et al., Cancer Res. 43(4):1809−18, 1983);及びPC−3異種移植膵臓腫瘍モデル(Donaldson JT, et al., 1990, Int J Cancer . 46(2):238−44)を含むが、これらに限定されない。
代表的なin vivoでの血管新生モデルは、B16 Bl/6マウス黒色腫転移モデル;Xenogen Imaging(以下に記載)を伴うB16F10−luc転移モデル;ルイス肺癌(LLC)異種移植摘出モデル(O’Reilly, et al., 1994, Cell. 79(2):315−28);LLC−luc転移モデル/Xenogen Imaging;LLC−luc SC摘出モデル/Xenogen Imaging;RIP−Tag膵島癌トランスジェニックモデル(Hanahan, et al., Nature, 315(6015):115−122, 1985 and Bergers, et al., Science, 284:808−811, 1999);正所性乳癌モデルMDA−231(Hiraga T., et al., 2001, Cancer Res. 61(11):4418−24);C6グリア細胞種モデル(Griscelli F, et al., 1998, Proc Natl Acad Sci USA. 95(11):6367−72)、4C8グリア細胞種モデル(Weiner NE, et al. J Neuropathol Exp Neurol. 1999 Jan;58(l):54−60)、U−251MGグリア細胞種モデル(Ozawa T, et al., In Vivo. 2002 Jan−Feb;16(l):55−60)又はU−87MGグリア細胞種モデル、LnCP前立腺癌モデル(Horoszewicz JS, et al., Cancer Res. 43(4):1809−18, 1983);及びPC−3異種移植膵臓腫瘍モデル(Donaldson JT, et al., 1990, Int J Cancer . 46(2):238−44)を含むが、これらに限定されない。
(細胞)
ヒトU−87MG及びラットC6グリア細胞種腫瘍細胞を、ATCC(米国バージニア州マナッサス)から購入する。ヒトU−251MG神経膠芽腫細胞株を、University of California, San FranciscoのDepartment of Neurological Surgery Tissue Bankから獲得する。トランスジェニックMBP/c−neuマウス(Dyer and Philibotte 1995; Weiner, et al., 1999)内で自然に生じたグリア細胞種由来の4C8腫瘍細胞株は、Dr.C.A.Dyer(Children’s Hospital of Philadelphia, PAにより好意で提供された。全腫瘍細胞を、10%照射FBS(JRH Biosciences, Lenexa, KS)、2mML−グルタミン(JRH Biosciences, Lenexa, KS)、100U/mlペニシリン及び100?g/mlストレプトマイシン(Gibco BRL, Rockville, Maryland)で補充したDMEM培地(JRH Biosciences, Lenexa, KS)中で培養する。
ヒトU−87MG及びラットC6グリア細胞種腫瘍細胞を、ATCC(米国バージニア州マナッサス)から購入する。ヒトU−251MG神経膠芽腫細胞株を、University of California, San FranciscoのDepartment of Neurological Surgery Tissue Bankから獲得する。トランスジェニックMBP/c−neuマウス(Dyer and Philibotte 1995; Weiner, et al., 1999)内で自然に生じたグリア細胞種由来の4C8腫瘍細胞株は、Dr.C.A.Dyer(Children’s Hospital of Philadelphia, PAにより好意で提供された。全腫瘍細胞を、10%照射FBS(JRH Biosciences, Lenexa, KS)、2mML−グルタミン(JRH Biosciences, Lenexa, KS)、100U/mlペニシリン及び100?g/mlストレプトマイシン(Gibco BRL, Rockville, Maryland)で補充したDMEM培地(JRH Biosciences, Lenexa, KS)中で培養する。
(皮下腫瘍試験)
6〜8週齢の雌NCRnu/ヌードマウスをTaconic(Germantown, NY)から獲得し、SPF条件下で収容する。実験用動物の世話及び使用に関するILARガイドに従って動物を取り扱い、動物の全プロトコールは、Cell Genesys Institution Animal Care and Use Committee (ACUC)により再考及び承認されている。全身的遺伝子導入試験のために、多価可溶性受容体融合タンパク質をコードするベクターコンストラクト(例えばrAAV)を、単回の尾静脈内注入、又は種々の投与計画で腹腔内注入により投与する。マウスを交互の眼窩後方穿孔により、予定した間隔にて出血させて、循環多価可溶性受容体融合タンパク質の血清レベルをELISAにより測定する。皮下グリア細胞種腫瘍モデルC6(2×105細胞/部位)、4C8(2×106細胞/部位)、U−251MG(5×106細胞/部位)又はU−87MG(5×106細胞/部位)に関して、腫瘍細胞を100?lの無菌基本培地中で希釈し、右横腹後部にs.c.注入する。インプラント前に、U−87MG細胞を等容積のマトリゲル(BD Biosciences, MA)と予め混合する。マウスの健康に関して連日監視し、デジタルノギスを使用して腫瘍を週に2回測定する。腫瘍の容積(平方ミリメーターとして)を、容積=長さ×幅2×0.5として計算する。s.c.腫瘍容積が1500mm3を超えるか、又は腫瘍が過度に壊死となった場合、マウスを「癌死」として安楽死させる。80日間を超えて実施される試験を、能動的に終了させる。
6〜8週齢の雌NCRnu/ヌードマウスをTaconic(Germantown, NY)から獲得し、SPF条件下で収容する。実験用動物の世話及び使用に関するILARガイドに従って動物を取り扱い、動物の全プロトコールは、Cell Genesys Institution Animal Care and Use Committee (ACUC)により再考及び承認されている。全身的遺伝子導入試験のために、多価可溶性受容体融合タンパク質をコードするベクターコンストラクト(例えばrAAV)を、単回の尾静脈内注入、又は種々の投与計画で腹腔内注入により投与する。マウスを交互の眼窩後方穿孔により、予定した間隔にて出血させて、循環多価可溶性受容体融合タンパク質の血清レベルをELISAにより測定する。皮下グリア細胞種腫瘍モデルC6(2×105細胞/部位)、4C8(2×106細胞/部位)、U−251MG(5×106細胞/部位)又はU−87MG(5×106細胞/部位)に関して、腫瘍細胞を100?lの無菌基本培地中で希釈し、右横腹後部にs.c.注入する。インプラント前に、U−87MG細胞を等容積のマトリゲル(BD Biosciences, MA)と予め混合する。マウスの健康に関して連日監視し、デジタルノギスを使用して腫瘍を週に2回測定する。腫瘍の容積(平方ミリメーターとして)を、容積=長さ×幅2×0.5として計算する。s.c.腫瘍容積が1500mm3を超えるか、又は腫瘍が過度に壊死となった場合、マウスを「癌死」として安楽死させる。80日間を超えて実施される試験を、能動的に終了させる。
(正所性4C8ハツカネズミ神経膠芽腫モデル)
トランスジェニックマウス内に生じた自然のグリア細胞種様腫瘍に由来する細胞株、4C8を使用して、免疫コンピテントマウスにおいて正所性ハツカネズミ神経膠芽腫モデルが開発されている(Weiner NE, et al. J Neuropathol Exp Neurol. 1999 Jan;58(l):54−60)。即ち、6週齢の雄B6D2F1マウスをJackson Laboratories (Bar Harbor, ME)から獲得し、SPF条件下で収容する。腫瘍インプラントのために、マウスにペントバルビタールで麻酔をかけ、定位ヘッドフレーム(David Kopf Instruments[米国カリフォルニア州タハンガ])内に固定する。4C8細胞(5_l中1×106細胞)を左大脳皮質内に、中央線から2.0mmのブレグマのレベルにて、1mmバーホールを介して深さ2.0mmに注入する。注入は、26ゲージのHamilton非孔あけ面取り針(Hamilton Company[米国ネバダ州リノ])、及びUltra Micro PumpIIマイクロインフューザー(World Precision Instruments[米国フロリダ州サラソタ])を使用して、2分間で実施する。4C8インプラントから7日後、多価受容体を(a)多価可溶性受容体融合タンパク質をコードするベクターコンストラクト(例えば、rAAV)の単回尾静脈内注入;又は(b)組み換え多価可溶性受容体融合タンパク質の種々の投与計画での腹腔内注入により投与して送達する。腫瘍寸法評価のために、一般的な麻酔下で、Oxford7.0Tesla/183クリアボア磁石(Oxford Instruments[英国オックスフォード])に結合するBruker Biospec DBXスキャナー(Bruker Medical[米国マサチューセッツ州ビラリア])を使用して、4C8正所性腫瘍の連続MR像を獲得する。グラジエントエコー及びスピンエコー連続画像の両方上の低下したシグナル強度の、はっきりと画定された領域として、腫瘍の位置を特定する。1.2mmのスライス間距離の脳の連続MR画像を獲得し、NIH Image 1.62ソフトウェア(NIH[米国メリーランド州ベゼスダ])を使用して、各スライスに関する腫瘍面積を計算する。UC Davis ACUCの組織ガイドラインで評価して、有意な有害神経系を示した場合、マウスを安楽死させ、癌による死としてスコアする。
トランスジェニックマウス内に生じた自然のグリア細胞種様腫瘍に由来する細胞株、4C8を使用して、免疫コンピテントマウスにおいて正所性ハツカネズミ神経膠芽腫モデルが開発されている(Weiner NE, et al. J Neuropathol Exp Neurol. 1999 Jan;58(l):54−60)。即ち、6週齢の雄B6D2F1マウスをJackson Laboratories (Bar Harbor, ME)から獲得し、SPF条件下で収容する。腫瘍インプラントのために、マウスにペントバルビタールで麻酔をかけ、定位ヘッドフレーム(David Kopf Instruments[米国カリフォルニア州タハンガ])内に固定する。4C8細胞(5_l中1×106細胞)を左大脳皮質内に、中央線から2.0mmのブレグマのレベルにて、1mmバーホールを介して深さ2.0mmに注入する。注入は、26ゲージのHamilton非孔あけ面取り針(Hamilton Company[米国ネバダ州リノ])、及びUltra Micro PumpIIマイクロインフューザー(World Precision Instruments[米国フロリダ州サラソタ])を使用して、2分間で実施する。4C8インプラントから7日後、多価受容体を(a)多価可溶性受容体融合タンパク質をコードするベクターコンストラクト(例えば、rAAV)の単回尾静脈内注入;又は(b)組み換え多価可溶性受容体融合タンパク質の種々の投与計画での腹腔内注入により投与して送達する。腫瘍寸法評価のために、一般的な麻酔下で、Oxford7.0Tesla/183クリアボア磁石(Oxford Instruments[英国オックスフォード])に結合するBruker Biospec DBXスキャナー(Bruker Medical[米国マサチューセッツ州ビラリア])を使用して、4C8正所性腫瘍の連続MR像を獲得する。グラジエントエコー及びスピンエコー連続画像の両方上の低下したシグナル強度の、はっきりと画定された領域として、腫瘍の位置を特定する。1.2mmのスライス間距離の脳の連続MR画像を獲得し、NIH Image 1.62ソフトウェア(NIH[米国メリーランド州ベゼスダ])を使用して、各スライスに関する腫瘍面積を計算する。UC Davis ACUCの組織ガイドラインで評価して、有意な有害神経系を示した場合、マウスを安楽死させ、癌による死としてスコアする。
(正所性U−251 MG神経膠芽腫モデル)
正所性ラットモデルにおいて、4個のヒト神経膠芽腫を試験した。結果は、U−251MG及びU−87MG細胞が100%の移植率で固形脳内腫瘍を生成した一方、SF−767及びSF−126細胞は、胸腺欠損ラットの脳内で増殖しないことを示した。U−87MG腫瘍は、U−251MG腫瘍よりも高速で増殖することが示され、両方ともヒト神経膠芽腫に関して再現性を有することが測定された(Ozawa T, et al., In Vivo. 2002 Jan− Feb;16(l):55−60)。即ち、6週齢の雄胸腺欠損ラットをHarlan(米国インディアナ州インディアナポリス)から購入し、SPF条件下で収容する。U−251MG腫瘍細胞を前述のようにインプラントする(Ozawa, et al., 2002)。インプラント可能なガイドスクリューシステムを使用して、5×106U−251細胞を胸腺欠損ラットの右尾状核被殻内に頭蓋内注入する。U−251インプラントから15日後、200_l Alzet浸透圧ミニポンプ(米国カリフォルニア州クパチーノ)を、背部上の肩甲骨中央(midsacapular)領域内の皮下ポケット内に挿入し、脳注入カニューレとポンプとの間にカテーテルを接続する。(a)多価可溶性受容体融合タンパク質をコードするベクターコンストラクト(例えば、rAAV)の投与;又は(b)組み換え多価可溶性受容体融合タンパク質の種々の投与計画での腹腔内注入のために、浸透圧ミニポンプを24時間(8_l/時間)負荷する。薬物送達後、動物の生存を監視し、動物がUCSF ACUCの組織ガイドラインにより評価して、有意な有害神経系と示された場合、癌死としてスコアする。
正所性ラットモデルにおいて、4個のヒト神経膠芽腫を試験した。結果は、U−251MG及びU−87MG細胞が100%の移植率で固形脳内腫瘍を生成した一方、SF−767及びSF−126細胞は、胸腺欠損ラットの脳内で増殖しないことを示した。U−87MG腫瘍は、U−251MG腫瘍よりも高速で増殖することが示され、両方ともヒト神経膠芽腫に関して再現性を有することが測定された(Ozawa T, et al., In Vivo. 2002 Jan− Feb;16(l):55−60)。即ち、6週齢の雄胸腺欠損ラットをHarlan(米国インディアナ州インディアナポリス)から購入し、SPF条件下で収容する。U−251MG腫瘍細胞を前述のようにインプラントする(Ozawa, et al., 2002)。インプラント可能なガイドスクリューシステムを使用して、5×106U−251細胞を胸腺欠損ラットの右尾状核被殻内に頭蓋内注入する。U−251インプラントから15日後、200_l Alzet浸透圧ミニポンプ(米国カリフォルニア州クパチーノ)を、背部上の肩甲骨中央(midsacapular)領域内の皮下ポケット内に挿入し、脳注入カニューレとポンプとの間にカテーテルを接続する。(a)多価可溶性受容体融合タンパク質をコードするベクターコンストラクト(例えば、rAAV)の投与;又は(b)組み換え多価可溶性受容体融合タンパク質の種々の投与計画での腹腔内注入のために、浸透圧ミニポンプを24時間(8_l/時間)負荷する。薬物送達後、動物の生存を監視し、動物がUCSF ACUCの組織ガイドラインにより評価して、有意な有害神経系と示された場合、癌死としてスコアする。
(免疫組織化学)
動物から回収した組織を4%パラホルムアルデヒド中で固定し、30%ショ糖に浸漬し、OCT化合物(Triangle Biomedical Sciences[米国ノースカロライナ州ダーラム])中で冷凍する。クリオスタット切片を25ミクロン(脳)又は5ミクロン(腫瘍)に切り、Superfrost Plusスライド(Fisher Scientific[米国ペンシルバニア州ピッツバーグ])上に載せる。標本をTBS中で戻して、0.1%TritonX−100(Sigma)で透過処理し、10%正常血清(Vector Labs[米国カリフォルニア州ベーリンゲーム])中でインキュベートする。対象となる一次抗体を、4℃で一夜適用する。使用する抗体は、ヤギポリクローナル抗PECAM−1(Santa Cruz Biotech[米国カリフォルニア州サンタクルーズ])、ウサギポリクローナル抗ヒトIgG(DAKO[米国カリフォルニア州カーピンテリア])マウスモノクローナルPDGFR β及びDesmin(DAKO[米国カリフォルニア州カーピンテリア])である。対応する二次抗体、ヤギ抗ウサギAlexa594及びウサギ抗ヤギAlexa594(Molecular Probe[米国オレゴン州ユージーン])を、室温で30分間インキュベートする。スライドをDAPI(Vector Laboratories[米国カリフォルニア州ベーリンゲーム])と共にVectashield Mounting Medium内に載せ、SPOT RT Sliderデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Inc.[米国ミシガン州スターリンハイツ])を搭載したZeiss Axioplan(ドイツ)顕微鏡を使用して、蛍光顕微鏡検査法により分析する。Image Pro Plus(MediaCybernetics[米国メリーランド州シルバースプリング])ソフトウェアを使用して、定量を実施する。
動物から回収した組織を4%パラホルムアルデヒド中で固定し、30%ショ糖に浸漬し、OCT化合物(Triangle Biomedical Sciences[米国ノースカロライナ州ダーラム])中で冷凍する。クリオスタット切片を25ミクロン(脳)又は5ミクロン(腫瘍)に切り、Superfrost Plusスライド(Fisher Scientific[米国ペンシルバニア州ピッツバーグ])上に載せる。標本をTBS中で戻して、0.1%TritonX−100(Sigma)で透過処理し、10%正常血清(Vector Labs[米国カリフォルニア州ベーリンゲーム])中でインキュベートする。対象となる一次抗体を、4℃で一夜適用する。使用する抗体は、ヤギポリクローナル抗PECAM−1(Santa Cruz Biotech[米国カリフォルニア州サンタクルーズ])、ウサギポリクローナル抗ヒトIgG(DAKO[米国カリフォルニア州カーピンテリア])マウスモノクローナルPDGFR β及びDesmin(DAKO[米国カリフォルニア州カーピンテリア])である。対応する二次抗体、ヤギ抗ウサギAlexa594及びウサギ抗ヤギAlexa594(Molecular Probe[米国オレゴン州ユージーン])を、室温で30分間インキュベートする。スライドをDAPI(Vector Laboratories[米国カリフォルニア州ベーリンゲーム])と共にVectashield Mounting Medium内に載せ、SPOT RT Sliderデジタルカメラ(Diagnostic Instruments, Inc.[米国ミシガン州スターリンハイツ])を搭載したZeiss Axioplan(ドイツ)顕微鏡を使用して、蛍光顕微鏡検査法により分析する。Image Pro Plus(MediaCybernetics[米国メリーランド州シルバースプリング])ソフトウェアを使用して、定量を実施する。
E. in vivoでの転移モデル
(リンパ管新生及びリンパ性転移のin vitroでの評価)
多価可溶性受容体融合タンパク質をコードする所定のベクターの効力を、当該技術分野で既知の幾つかの方法の何れかを使用して、in vitroで評価し得る。リンパ管新生の修飾因子を試験するin vitroでの多数の試験は、血管新生の評価に使用したものと類似している。例えば、in vitroでのリンパ管新生試験は、in vitro及びex vivoでの、リンパ管内皮細胞増殖試験、リンパ管内皮遊走試験、及びプロリンパ管新生因子に応答するリンパ毛細管の形成に関する試験を含むが、これらに限定されない。他の試験は、多価可溶性受容体融合タンパク質の、応答性細胞内でのプロリンパ管新生増殖因子シグナリング経路の生物化学的及び生物学的活性を遮断する能力の試験を含む場合がある。例えば、sVEGFR3の、リンパ管新生増殖因子、VEGF−C又はVEGF−Dを阻害する能力は、VEGF−C刺激に応答して分裂促進的となるように操作されている応答性組織培養細胞内で試験し得る。血管内皮増殖因子受容体3シグナリングの遮断は、腫瘍リンパ管新生及びリンパ性転移を抑制することが示されている(He Y, et al., J Natl Cancer Inst. 94(11):819−25, 2002)。
(リンパ管新生及びリンパ性転移のin vitroでの評価)
多価可溶性受容体融合タンパク質をコードする所定のベクターの効力を、当該技術分野で既知の幾つかの方法の何れかを使用して、in vitroで評価し得る。リンパ管新生の修飾因子を試験するin vitroでの多数の試験は、血管新生の評価に使用したものと類似している。例えば、in vitroでのリンパ管新生試験は、in vitro及びex vivoでの、リンパ管内皮細胞増殖試験、リンパ管内皮遊走試験、及びプロリンパ管新生因子に応答するリンパ毛細管の形成に関する試験を含むが、これらに限定されない。他の試験は、多価可溶性受容体融合タンパク質の、応答性細胞内でのプロリンパ管新生増殖因子シグナリング経路の生物化学的及び生物学的活性を遮断する能力の試験を含む場合がある。例えば、sVEGFR3の、リンパ管新生増殖因子、VEGF−C又はVEGF−Dを阻害する能力は、VEGF−C刺激に応答して分裂促進的となるように操作されている応答性組織培養細胞内で試験し得る。血管内皮増殖因子受容体3シグナリングの遮断は、腫瘍リンパ管新生及びリンパ性転移を抑制することが示されている(He Y, et al., J Natl Cancer Inst. 94(11):819−25, 2002)。
(リンパ管新生及びリンパ性転移のin vivoでの評価)
リンパ系媒介による転移を遮断するsVEGFR3の能力は、その増殖及び広がりがリンパ管新生に依存する腫瘍を発症している動物モデル内で評価し得る。代表的なモデルは、前立腺癌、黒色腫、乳房癌、頭部及び頸部癌、並びに腎臓細胞癌の転移モデルを含む場合があるが、これらに限定されない。リンパ性転移の動物腫瘍モデルの開発には、リンパ節に優位に転移する腫瘍変異細胞株を選択し得るか、又はVEGF−C若しくはVEGF−Dを高度に発現する腫瘍株を使用される場合がある。
リンパ系媒介による転移を遮断するsVEGFR3の能力は、その増殖及び広がりがリンパ管新生に依存する腫瘍を発症している動物モデル内で評価し得る。代表的なモデルは、前立腺癌、黒色腫、乳房癌、頭部及び頸部癌、並びに腎臓細胞癌の転移モデルを含む場合があるが、これらに限定されない。リンパ性転移の動物腫瘍モデルの開発には、リンパ節に優位に転移する腫瘍変異細胞株を選択し得るか、又はVEGF−C若しくはVEGF−Dを高度に発現する腫瘍株を使用される場合がある。
(細胞株及びトランスフェクション)
ヒト前立腺癌細胞株、PC−3、及びヒト黒色腫細胞株、A375を、ATCC(ATCC[米国バージニア州マナッサス])から購入する。PC−3−mlg2及びA375−mln1は、それぞれPC−3及びA375の亜系統であり、PC−3又はA375皮下腫瘍保持マウスからのリンパ節転移のin vivoでの選択により樹立された(Lin, et al., 2005を参照)。PC−3−mlg2−VEGF−Cは、PC−3−mlg2の亜系統であり、ヒトVEGF−Cをコードするレンチウイルスベクターの形質導入により樹立された。上記の腫瘍細胞株を、2mM l−グルタミン、100U/mlペニシリン、100?g/mlストレプトマイシン、及び10%胎児ウシ血清(GIBCO[米国ニューヨーク州グランドアイランド])で補充したRPMI−1640(JRH Biosciences[米国カンザス州レネックサ])培地中で維持する。ヒト腎明細胞癌細胞株、Caki−2、i]l.psをATCCから購入し、2mM l−グルタミン、100U/mlペニシリン、100ug/mlストレプトマイシン、及び10%胎児ウシ血清(ATCC[米国バージニア州マナッサス])で補充したMcCoyの5A培地(JRH Biosciences[米国カンザス州レネックサ]))中で維持する。上記の腫瘍細胞株の全ては、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレンチウイルスベクターで形質導入する。
ヒト前立腺癌細胞株、PC−3、及びヒト黒色腫細胞株、A375を、ATCC(ATCC[米国バージニア州マナッサス])から購入する。PC−3−mlg2及びA375−mln1は、それぞれPC−3及びA375の亜系統であり、PC−3又はA375皮下腫瘍保持マウスからのリンパ節転移のin vivoでの選択により樹立された(Lin, et al., 2005を参照)。PC−3−mlg2−VEGF−Cは、PC−3−mlg2の亜系統であり、ヒトVEGF−Cをコードするレンチウイルスベクターの形質導入により樹立された。上記の腫瘍細胞株を、2mM l−グルタミン、100U/mlペニシリン、100?g/mlストレプトマイシン、及び10%胎児ウシ血清(GIBCO[米国ニューヨーク州グランドアイランド])で補充したRPMI−1640(JRH Biosciences[米国カンザス州レネックサ])培地中で維持する。ヒト腎明細胞癌細胞株、Caki−2、i]l.psをATCCから購入し、2mM l−グルタミン、100U/mlペニシリン、100ug/mlストレプトマイシン、及び10%胎児ウシ血清(ATCC[米国バージニア州マナッサス])で補充したMcCoyの5A培地(JRH Biosciences[米国カンザス州レネックサ]))中で維持する。上記の腫瘍細胞株の全ては、ホタルルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するレンチウイルスベクターで形質導入する。
(異種移植及び転移の検出)
動物で実施する全実験は、組織ガイドラインに従う。転移性PC−3変異体の選択のために、50?1の血清フリー培地中のルシフェラーゼ発現PC−3細胞約3×106を、7〜9週齢の雌NCRnu/ヌードマウスの横腹後部の皮下組織内にインプラントする(マウス当たり1腫瘍)。デジタルノギスで腫瘍を測定し、腫瘍容積(平方ミリメートルとして)を以下のように計算する:容積=長さ×幅2×0.5。6週間後、マウスを安楽死させ、両側からの腋窩及び鼠径リンパ節を含む内部器官を収集し、生物発光イメージングにより分析する。即ち、マウスにルシフェリン基質(Xenogen Corp.[米国カリフォルニア州アラメダ])を、マウス体重1g当たり1.5mgの用量で腹腔内注入により投与する。基質注入から15分後、マウスを安楽死させて;リンパ節を収集し、生物発光イメージング分析のためにペトリ皿上に配置する。生物発光イメージング分析分析(Xenogen)により検出して生物発光CCDカウントが1e5を超えるリンパ節を収集して、一次培養物を樹立する。即ち、リンパ節を細かく切り、0.5%トリプシンと共に37℃で15分間インキュベートする。10%FBS含有培地を加えて、反応を停止する。溶液を収集して、培養皿内に配置する。2日毎の反復トリプシン処理により、腫瘍細胞を選択する。5代継代後、腫瘍細胞を回収する。50?lの血清フリー培地中の約3×106細胞を、増殖及び更なる転位性選択のために、雌NCRnu/ヌードマウスの横腹後部の皮下組織内にインプラントする。上述のようなin vivoでの2回の選択後、PC−3−mlg2腫瘍細胞を樹立する。上述のものと同様の手順を使用して、375−mln2腫瘍細胞を1回の選択後に選択する。腫瘍サンプルを、RT−PCR及びタンパク質分析のために、液体窒素中でスナップ冷凍して−70℃で保管するか、又は更なる組織学的分析のために、直ちに4%パラホルムアルデヒド中で固定する。
動物で実施する全実験は、組織ガイドラインに従う。転移性PC−3変異体の選択のために、50?1の血清フリー培地中のルシフェラーゼ発現PC−3細胞約3×106を、7〜9週齢の雌NCRnu/ヌードマウスの横腹後部の皮下組織内にインプラントする(マウス当たり1腫瘍)。デジタルノギスで腫瘍を測定し、腫瘍容積(平方ミリメートルとして)を以下のように計算する:容積=長さ×幅2×0.5。6週間後、マウスを安楽死させ、両側からの腋窩及び鼠径リンパ節を含む内部器官を収集し、生物発光イメージングにより分析する。即ち、マウスにルシフェリン基質(Xenogen Corp.[米国カリフォルニア州アラメダ])を、マウス体重1g当たり1.5mgの用量で腹腔内注入により投与する。基質注入から15分後、マウスを安楽死させて;リンパ節を収集し、生物発光イメージング分析のためにペトリ皿上に配置する。生物発光イメージング分析分析(Xenogen)により検出して生物発光CCDカウントが1e5を超えるリンパ節を収集して、一次培養物を樹立する。即ち、リンパ節を細かく切り、0.5%トリプシンと共に37℃で15分間インキュベートする。10%FBS含有培地を加えて、反応を停止する。溶液を収集して、培養皿内に配置する。2日毎の反復トリプシン処理により、腫瘍細胞を選択する。5代継代後、腫瘍細胞を回収する。50?lの血清フリー培地中の約3×106細胞を、増殖及び更なる転位性選択のために、雌NCRnu/ヌードマウスの横腹後部の皮下組織内にインプラントする。上述のようなin vivoでの2回の選択後、PC−3−mlg2腫瘍細胞を樹立する。上述のものと同様の手順を使用して、375−mln2腫瘍細胞を1回の選択後に選択する。腫瘍サンプルを、RT−PCR及びタンパク質分析のために、液体窒素中でスナップ冷凍して−70℃で保管するか、又は更なる組織学的分析のために、直ちに4%パラホルムアルデヒド中で固定する。
(リンパ節転移の評価)
抗力試験において、マウスに多価受容体を投与し、該受容体は:(a)多価可溶性受容体融合タンパク質をコードするベクターコンストラクト(例えば、rAAV)の投与;又は(b)組み換え多価可溶性受容体融合タンパク質の種々の投与計画での注入により投与して送達する。動物を、試験期間中、計画した時間間隔にて、交互に眼窩後方穿孔により出血させ、ELISAにより多価タンパク質の血清レベル(+/−sem)を測定する。PC−3及びA375腫瘍モデルに関して、動物を腫瘍細胞接種から5週後又は3週後の何れかにて安楽死させる。リンパ行性転移を評価するために、各動物からリンパ節(両側からの腋窩及び鼠径節を含む)を収集し、上述のように生物発光イメージングにより分析する。ナイーブマウスから収集した6個のリンパ節の組を、各試験にて負の対照として使用する。総生物発光(CCDカウント)に基づき、各マウスの転移を計算する。別個の試験にて、多価タンパク質の投与から10日後、5×106Caki−2腫瘍細胞を投与する。各動物からリンパ節(両側からの腋窩及び鼠径節)を収集し、リンパ節の長さ及び幅を測定する。容積(平方メートルとして)を、容積=(π/6)×(長さ×幅)3/2として計算する。
抗力試験において、マウスに多価受容体を投与し、該受容体は:(a)多価可溶性受容体融合タンパク質をコードするベクターコンストラクト(例えば、rAAV)の投与;又は(b)組み換え多価可溶性受容体融合タンパク質の種々の投与計画での注入により投与して送達する。動物を、試験期間中、計画した時間間隔にて、交互に眼窩後方穿孔により出血させ、ELISAにより多価タンパク質の血清レベル(+/−sem)を測定する。PC−3及びA375腫瘍モデルに関して、動物を腫瘍細胞接種から5週後又は3週後の何れかにて安楽死させる。リンパ行性転移を評価するために、各動物からリンパ節(両側からの腋窩及び鼠径節を含む)を収集し、上述のように生物発光イメージングにより分析する。ナイーブマウスから収集した6個のリンパ節の組を、各試験にて負の対照として使用する。総生物発光(CCDカウント)に基づき、各マウスの転移を計算する。別個の試験にて、多価タンパク質の投与から10日後、5×106Caki−2腫瘍細胞を投与する。各動物からリンパ節(両側からの腋窩及び鼠径節)を収集し、リンパ節の長さ及び幅を測定する。容積(平方メートルとして)を、容積=(π/6)×(長さ×幅)3/2として計算する。
(ヒト腫瘍細胞転移の定量的検出)
マウスリンパ節におけるヒト腫瘍細胞の定量的検出は、マウスリンパ節DNA抽出物中に存在するヒトalu配列の定量的検出に基づいている。Puregene DNA精製システム(Centra Systems[米国ミネソタ州ミネアポリス])を使用して、回収した組織からゲノムDNAを抽出する。マウス組織中のヒト細胞を検出するために、ヒトalu配列に特異的なプライマーを使用して、マウスリンパ節から抽出したゲノムDNA中に存在するヒトalu反復を増幅する。alu配列の増幅及び検出に使用したリアルタイムPCRは、30ngゲノムDNA、2mm MgC12、0.4?Mそれぞれプライマー、200?M DNTP、0.4単位のPlatinum Taqポリメラ−ゼ(Invitrogen Corp.[米国カリフォルニア州カールスバッド])及びSYBRグリーン色素の1:100,000希釈物(Molecular Probes[米国オレゴン州ユージーン])を含んでいた。各PCRを、10ulの鉱油下にて最終容積10ulで、iCycler iQ(Bio−Radlab[米国カリフォルニア州ヘラクレス])を使用して、以下の条件下で実施する:95℃で2分間のポリメラ−ゼ活性化、次いで95℃で30秒、63℃で30秒、及び72℃で30秒の30サイクル。増幅可能なマウスDNAの定量的測定は、aluに関して記載したものと同じ条件を使用して、mGAPDHプライマーを使用したマウスGAPDHゲノムDNA配列の増幅を介して獲得する。各組織サンプル中に存在する腫瘍細胞の実際の数を概算するために、組織ホモジネート中に混合したヒト腫瘍細胞の連続希釈から抽出したゲノムDNAの定量的増幅を介して、標準曲線を生成する。実験サンプルからのaluシグナルを標準曲線に内挿して、腫瘍細胞の実際の数/リンパ節プール(各マウスからの6個のリンパ節)を決定し得る。
マウスリンパ節におけるヒト腫瘍細胞の定量的検出は、マウスリンパ節DNA抽出物中に存在するヒトalu配列の定量的検出に基づいている。Puregene DNA精製システム(Centra Systems[米国ミネソタ州ミネアポリス])を使用して、回収した組織からゲノムDNAを抽出する。マウス組織中のヒト細胞を検出するために、ヒトalu配列に特異的なプライマーを使用して、マウスリンパ節から抽出したゲノムDNA中に存在するヒトalu反復を増幅する。alu配列の増幅及び検出に使用したリアルタイムPCRは、30ngゲノムDNA、2mm MgC12、0.4?Mそれぞれプライマー、200?M DNTP、0.4単位のPlatinum Taqポリメラ−ゼ(Invitrogen Corp.[米国カリフォルニア州カールスバッド])及びSYBRグリーン色素の1:100,000希釈物(Molecular Probes[米国オレゴン州ユージーン])を含んでいた。各PCRを、10ulの鉱油下にて最終容積10ulで、iCycler iQ(Bio−Radlab[米国カリフォルニア州ヘラクレス])を使用して、以下の条件下で実施する:95℃で2分間のポリメラ−ゼ活性化、次いで95℃で30秒、63℃で30秒、及び72℃で30秒の30サイクル。増幅可能なマウスDNAの定量的測定は、aluに関して記載したものと同じ条件を使用して、mGAPDHプライマーを使用したマウスGAPDHゲノムDNA配列の増幅を介して獲得する。各組織サンプル中に存在する腫瘍細胞の実際の数を概算するために、組織ホモジネート中に混合したヒト腫瘍細胞の連続希釈から抽出したゲノムDNAの定量的増幅を介して、標準曲線を生成する。実験サンプルからのaluシグナルを標準曲線に内挿して、腫瘍細胞の実際の数/リンパ節プール(各マウスからの6個のリンパ節)を決定し得る。
本発明の方法及び組成物は、種々の実施形態に組み込むことができ、それらのごく一部が本明細書に開示されていることが理解されよう。その他の実施形態も存在し、本発明の趣旨から逸脱しないことは、当業者に明らかとなろう。従って、記載した実施形態は、例示的なものであり、限定的なものと解釈してはならない。以下の実施例は、例示を目的としたものであり、限定を目的としたものではない。
以下の実施例は、本発明を製造及び使用する方法の完全な開示及び説明を当業者に提供するために示されており、本発明者等が自らの発明と見なす範囲を限定することを目的としたものではなく、又以下の実験が実施した全ての又は唯一の実験であることを表明することを目的としたものでもない。使用した数値(例えば、量、温度等)に関する正確性を保証する努力は為されているが、多少の実験誤差及び偏差が計上されているはずである。特に指示がない限り、部は重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度は摂氏で表し、圧力は大気圧又はほぼ大気圧である。
(実施例1)sVEGFR−PDGFRb−Fc融合コードプラスミドの構成
本実施例では、CAGプロモーターの制御下で多価融合タンパク質sVEGFR−PDGFRb−Fc(図2A;配列番号35)をコードするpTR−CAG−VT.Pb.Fcと呼ばれる組み換えプラスミドを構成する一方法を記載する。
本実施例では、CAGプロモーターの制御下で多価融合タンパク質sVEGFR−PDGFRb−Fc(図2A;配列番号35)をコードするpTR−CAG−VT.Pb.Fcと呼ばれる組み換えプラスミドを構成する一方法を記載する。
プラスミドは、プラスミドpTR−CAG−sPDGFRb1−5Fc(図10;配列番号39)をBglIIで開裂し、該部位をT4DNAポリメラ−ゼで平滑末端化した後、Xbalと共にインキュベートして、PDGFRbIg−様ドメイン1〜5をコードする8049b.p.を抽出することにより生成する。次に、この断片をpTR−CAG−VEGF−TRAP−WPRE−BGHpA(図9;配列番号38)の801b.p.XbaI−SmaI断片に連結して、pTR−CAG−VT.Pb.Fcを形成する。制限酵素分析及び配列決定により、組み換え構造を確認する。配列番号34は、sVEGFR−PDGFRb−IgG1融合タンパク質の組成を表す。
(実施例2)sPDGFRb−VEGFR−Fc融合コードプラスミドの構成
本実施例では、CAGプロモーターの制御下で多価融合タンパク質sPDGFRb−VEGFR−Fc(図2B;配列番号35)をコードするpTR−CAG−Pb.VT.Fcと呼ばれる組み換えプラスミドを構成する一方法を記載する。プラスミドは、PDGFRb Ig−様ドメイン1〜5をコードするプラスミドpTR−CAG−sPDGFRb1−5Fc(図10;配列番号39)からXbaI−ApaI断片を取り、リンカー(リンカー配列5’−CGGGCT−3’(配列番号40)及び5’−CCGGAGCCCGGGCC−S’(配列番号29)を使用してpTR−CAG−VEGF−TRAP−WPRE−BGHpA(図9;配列番号38)内のBspEI−XbaI部位内に連結してpTR−CAG−Pb.VT.Fcを形成することにより生成する。
本実施例では、CAGプロモーターの制御下で多価融合タンパク質sPDGFRb−VEGFR−Fc(図2B;配列番号35)をコードするpTR−CAG−Pb.VT.Fcと呼ばれる組み換えプラスミドを構成する一方法を記載する。プラスミドは、PDGFRb Ig−様ドメイン1〜5をコードするプラスミドpTR−CAG−sPDGFRb1−5Fc(図10;配列番号39)からXbaI−ApaI断片を取り、リンカー(リンカー配列5’−CGGGCT−3’(配列番号40)及び5’−CCGGAGCCCGGGCC−S’(配列番号29)を使用してpTR−CAG−VEGF−TRAP−WPRE−BGHpA(図9;配列番号38)内のBspEI−XbaI部位内に連結してpTR−CAG−Pb.VT.Fcを形成することにより生成する。
(実施例3)sVEGFR−Fc−PDGFRb融合コードプラスミドの構成
本実施例では、CAGプロモーターの制御下で多価融合タンパク質sVEGFR−Fc−PDGFRb(図2C;配列番号36)をコードするpTR−CAG−VT.Fc.Pbと呼ばれる組み換えプラスミドを構成する一方法を記載する。最初に、pTR−CAG−VEGF−TRAP−WPRE−BGHpA(図9;配列番号38)からのXbaI−NsiI断片を、合成オリゴヌクレオチドリンカー(リンカー配列フォワード5’−TGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAACA−3’(配列番号30)及び逆転5’−GATCTGTTTACCCGGAGACAGGGAGAGGCTCTTCTGCGTGTAGTGGTTGTGCAGAGCCTCATGCA−3’(配列番号31)を使用して、pTR−CAG−sPDGFRb1−5Fc(図10;配列番号39)内に存在するBglII−XbaI部位内にクローニングすることにより、中間体コンストラクト、pTR−CAG−VT.Fc.Pb.Fcを構成する。制限酵素分析及び配列決定によりpTR−CAG−VT.Fc.Pb.Fc配列を確認した後、pTR−CAG−VT.Fc.Pb.FcからのNotI−NsiI及びNsiI−ApaI断片と、合成リンカー(リンカー配列フォワード5’−TAACGCGTACCGGTGC−S’(配列番号32)及び逆転5’−GGCCGCACCGGTACGCGTTA−S’(配列番号33)との連結と、続くT4 DNAポリメラーゼによるApaI部位の除去により、第二のC末端IgG1Fc領域を除去する。得られたpTR−CAG−VT.Fc.Pbのプラスミド構造を、配列決定により確認する。
本実施例では、CAGプロモーターの制御下で多価融合タンパク質sVEGFR−Fc−PDGFRb(図2C;配列番号36)をコードするpTR−CAG−VT.Fc.Pbと呼ばれる組み換えプラスミドを構成する一方法を記載する。最初に、pTR−CAG−VEGF−TRAP−WPRE−BGHpA(図9;配列番号38)からのXbaI−NsiI断片を、合成オリゴヌクレオチドリンカー(リンカー配列フォワード5’−TGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAACA−3’(配列番号30)及び逆転5’−GATCTGTTTACCCGGAGACAGGGAGAGGCTCTTCTGCGTGTAGTGGTTGTGCAGAGCCTCATGCA−3’(配列番号31)を使用して、pTR−CAG−sPDGFRb1−5Fc(図10;配列番号39)内に存在するBglII−XbaI部位内にクローニングすることにより、中間体コンストラクト、pTR−CAG−VT.Fc.Pb.Fcを構成する。制限酵素分析及び配列決定によりpTR−CAG−VT.Fc.Pb.Fc配列を確認した後、pTR−CAG−VT.Fc.Pb.FcからのNotI−NsiI及びNsiI−ApaI断片と、合成リンカー(リンカー配列フォワード5’−TAACGCGTACCGGTGC−S’(配列番号32)及び逆転5’−GGCCGCACCGGTACGCGTTA−S’(配列番号33)との連結と、続くT4 DNAポリメラーゼによるApaI部位の除去により、第二のC末端IgG1Fc領域を除去する。得られたpTR−CAG−VT.Fc.Pbのプラスミド構造を、配列決定により確認する。
(実施例4)sPDGFRb−Fc−VEGFR融合コードプラスミドの構成
本実施例では、CAGプロモーターの制御下で多価融合タンパク質sPDGFRb−Fc−VEGFR(図2D;配列番号37)をコードするpTR−CAG−Pb.Fc.VTと呼ばれる組み換えプラスミドを構成する一方法を記載する。最初に、pTR−CAG−sPDGFRb1−5Fc(図10;配列番号39)からのXbaI−NsiI断片を、合成オリゴヌクレオチドリンカー(リンカー配列フォワード5’−TGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAT−3’(配列番号41)及び逆転5−CCGGATTTACCCGGAGACAGGGAGAGGCTCTTCTGCGTGTAGTGGTTGTGCAGAGCCTCATGCA−3’(配列番号47)を使用して、pTR−CAG−VEGF−TRAP−WPRE−BGHpA(図9;配列番号38)からのBspEI−XbaI断片に連結することにより、中間体コンストラクトpTR−CAG−Pb.Fc.VT.Fcを構成する。制限酵素消化及び/又は配列決定によりpTR−CAG−Pb.Fc.VT.Fc配列を確認した後、pTR−CAG−Pb.Fc.VT.FcからのXbaI−BspEI断片を、pTR−CAG−VEGF−TRAP−WPRE−BGHpA(Apal部位はT4 DNAポリメラーゼにより除去)からのBspEI−ApaI及びNotI−XbaI断片と、合成リンカー(リンカー配列forward5’−TAACGCGTACCGGTGC−S’(配列番号32)及び逆転5’−GGCCGCACCGGTACGCGTTA−3’(配列番号33)に連結することにより、第二のC末端IgGlFc領域を除去する。得られたpTR−CAG−Pb.Fc.VTのプラスミド構造を、配列決定により確認する。
本実施例では、CAGプロモーターの制御下で多価融合タンパク質sPDGFRb−Fc−VEGFR(図2D;配列番号37)をコードするpTR−CAG−Pb.Fc.VTと呼ばれる組み換えプラスミドを構成する一方法を記載する。最初に、pTR−CAG−sPDGFRb1−5Fc(図10;配列番号39)からのXbaI−NsiI断片を、合成オリゴヌクレオチドリンカー(リンカー配列フォワード5’−TGAGGCTCTGCACAACCACTACACGCAGAAGAGCCTCTCCCTGTCTCCGGGTAAAT−3’(配列番号41)及び逆転5−CCGGATTTACCCGGAGACAGGGAGAGGCTCTTCTGCGTGTAGTGGTTGTGCAGAGCCTCATGCA−3’(配列番号47)を使用して、pTR−CAG−VEGF−TRAP−WPRE−BGHpA(図9;配列番号38)からのBspEI−XbaI断片に連結することにより、中間体コンストラクトpTR−CAG−Pb.Fc.VT.Fcを構成する。制限酵素消化及び/又は配列決定によりpTR−CAG−Pb.Fc.VT.Fc配列を確認した後、pTR−CAG−Pb.Fc.VT.FcからのXbaI−BspEI断片を、pTR−CAG−VEGF−TRAP−WPRE−BGHpA(Apal部位はT4 DNAポリメラーゼにより除去)からのBspEI−ApaI及びNotI−XbaI断片と、合成リンカー(リンカー配列forward5’−TAACGCGTACCGGTGC−S’(配列番号32)及び逆転5’−GGCCGCACCGGTACGCGTTA−3’(配列番号33)に連結することにより、第二のC末端IgGlFc領域を除去する。得られたpTR−CAG−Pb.Fc.VTのプラスミド構造を、配列決定により確認する。
Claims (42)
- 多価可溶性受容体タンパク質をコードするヌクレオチド配列であって:
(a)PDGFR−α Ig様ドメイン、PDGFR−β Ig様ドメイン、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)Ig様ドメイン、線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)Ig様ドメイン、肝細胞増殖因子受容体(HGFR)SEMAドメイン様ドメインからなる群から選択される少なくとも2つのドメインのコード配列;及び
(b)異種多量体化ドメインのコード配列
を含む、配列。 - 前記多量体化ドメインがIgGFcドメインである、請求項1に記載のヌクレオチド配列。
- 少なくとも1つのPDGFR−α Ig様ドメイン及び少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)Ig様ドメインをコードする、請求項1に記載のヌクレオチド配列。
- 前記PDGFR−α Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号16で表される配列を含む、請求項3に記載のヌクレオチド配列。
- 前記FGFR1 Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号22で表される配列を含む、請求項3に記載のヌクレオチド配列。
- 少なくとも1つのPDGFR−α Ig様ドメイン及び少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)Ig様ドメインをコードする、請求項1に記載のヌクレオチド配列。
- 前記PDGFR−α Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号16で表される配列を含む、請求項6に記載のヌクレオチド配列。
- 前記FGFR2 Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号25で表される配列を含む、請求項6に記載のヌクレオチド配列。
- 少なくとも1つのPDGFR−α Ig様ドメイン及び肝細胞増殖因子受容体(HGFR)由来のSEMAドメインをコードする、請求項1に記載のヌクレオチド配列。
- 前記PDGFR−α Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号16で表される配列を含む、請求項9に記載のヌクレオチド配列。
- 前記FGFR2 Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号25で表される配列を含む、請求項9に記載のヌクレオチド配列。
- 少なくとも1つのPDGFR−β Ig様ドメイン及び少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)Ig様ドメインをコードする、請求項1に記載のヌクレオチド配列。
- 前記PDGFR−β Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号19で表される配列を含む、請求項12に記載のヌクレオチド配列。
- 前記FGFR1 Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号22で表される配列を含む、請求項12に記載のヌクレオチド配列。
- 少なくとも1つのPDGFR−β Ig様ドメイン及び少なくとも1つの線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)Ig様ドメインをコードする、請求項1に記載のヌクレオチド配列。
- 前記PDGFR−β Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号19で表される配列を含む、請求項15に記載のヌクレオチド配列。
- 前記FGFR2 Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号25で表される配列を含む、請求項15に記載のヌクレオチド配列。
- 少なくとも1つのPDGFR−β Ig様ドメイン及び肝細胞増殖因子受容体(HGFR)のSEMAドメインをコードする、請求項1に記載のヌクレオチド配列。
- 前記PDGFR−β Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号19で表される配列を含む、請求項18に記載のヌクレオチド配列。
- 前記HGFR SEMAドメインをコードする配列が、配列番号28で表される配列を含む、請求項18に記載のヌクレオチド配列。
- 多価可溶性受容体タンパク質をコードするヌクレオチド配列であって、
(a)血管内皮増殖因子受容体1(VEGFR1)Ig様ドメイン2及び血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)Ig様ドメイン3のコード配列;
(b)PDGFR−α Ig様ドメイン、PDGFR−β Ig様ドメイン、線維芽細胞増殖因子受容体1(FGFR1)Ig様ドメイン、線維芽細胞増殖因子受容体2(FGFR2)Ig様ドメイン、肝細胞増殖因子受容体(HGFR)SEMAドメインからなる群から選択される少なくとも2つの更なるドメインのコード配列;並びに
(c)多量体化ドメインのコード配列
を含む、配列。 - 前記多量体化ドメインがIgGFcドメインである、請求項21に記載のヌクレオチド配列。
- 前記コード配列が少なくとも1つのPDGFR−α Ig様ドメインをコードする、請求項21に記載のヌクレオチド配列。
- 前記PDGFR−α Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号16で表される配列を含む、請求項23に記載のヌクレオチド配列。
- 前記コード配列が少なくとも1つのPDGFR−β Ig様ドメインをコードする、請求項21に記載のヌクレオチド配列。
- 前記PDGFR−β Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号19で表される配列を含む、請求項25に記載のヌクレオチド配列。
- 前記コード配列が少なくとも1つのFGFR1 Ig様ドメインをコードする、請求項21に記載のヌクレオチド配列。
- 前記FGFR1 Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号22で表される配列を含む、請求項27に記載のヌクレオチド配列。
- 前記コード配列が少なくとも1つのFGFR2 Ig様ドメインをコードする、請求項21に記載のヌクレオチド配列。
- 前記FGFR2 Ig様ドメインをコードする配列が、配列番号25で表される配列を含む、請求項29に記載のヌクレオチド配列。
- 前記コード配列が少なくとも1つのHGFR SEMAドメインをコードする、請求項21に記載のヌクレオチド配列。
- 前記HGFR SEMAドメインをコードする配列が、配列番号28で表される配列を含む、請求項31に記載のヌクレオチド配列。
- 請求項1に記載のヌクレオチド配列を含む、多価可溶性受容体タンパク質の発現のためのベクター。
- アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルス(Ad)ベクター、サルウイルス40(SV40)ベクター、ウシ乳頭腫ウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、及びワクシニアウイルスベクターからなる群から選択される、請求項33に記載のベクター。
- 前記ベクターがAAVベクターである、請求項34に記載のベクター。
- 請求項33に記載のベクターを含む宿主細胞。
- 前記発現される多価可溶性受容体タンパク質が、複数の血管新生因子に結合する、請求項33に記載のベクターによりコードされる多価可溶性受容体タンパク質。
- 多価可溶性受容体タンパク質が、請求項21に記載のヌクレオチド配列を含む、多価可溶性受容体タンパク質の発現のためのベクター。
- アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルス(Ad)ベクター、サルウイルス40(SV40)ベクター、ウシ乳頭腫ウイルスベクター、エプスタイン・バーウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、及びワクシニアウイルスベクターからなる群から選択される、請求項38に記載のベクター。
- 前記ベクターがAAVベクターである、請求項39に記載のベクター。
- 請求項38に記載のベクターを含む宿主細胞。
- 前記発現される多価可溶性受容体タンパク質が、複数の血管新生因子に結合する、請求項38に記載のベクターによりコードされる多価可溶性受容体タンパク質。
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