JP2008529509A - 核酸単離のための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、細胞培養物およびウィルス培養物と同様に、細菌、植物、動物またはヒト細胞からのDNAおよびRNAなどの核酸の単離のための改良された方法に関する。

Description

本発明は、核酸の単離のための改良方法に関する。
細胞培養またはウィルス培養と同様に植物、動物またはヒト細胞からのDNAおよびRNAなどの核酸の単離は、一定の基本パターンにしたがって通常実施される:核酸を含む出発原料は、タンパク質分解酵素を使用して、はじめに部分的に分解される。その後、個々の構成要素は様々な方法によって以降の段階で分離されうる。
すべての細胞溶解物の中に必然的に存在するタンパク部の分離は、ここで特に重要な段階を表す。その分離は、たとえば、タンパク質/核酸混合物をフェノールおよび/またはクロロホルム/イソアミル・アルコールの混合物と接触させることにより実施されうる。タンパク部はまた、たとえば、グアニジニウム塩酸塩またはグアニジニウム・イソチオシアン酸塩のような、変性塩類の添加によって水相から沈殿されうる。さらに、タンパク質は、プロテアーゼの添加によって分解され、および次いで取り除かれうる。最後に、不要な核酸は、DNアーゼまたはRNアーゼの選択的な添加によって分離され、およびそれぞれの所望の核酸分画が得られうる。しかしながら、単離操作の間に不要な酵素の分解から核酸を保護するために、無菌かつヌクレアーゼなしの条件下で作業が行なわれなければならない。核酸の分離は、超遠心分離によっても行なわれうる。
先行技術から知られるほとんどの方法は、次の2つの分離原則のうちの1つに基づく:
「古典的方法」は、ほとんどの場合においてグアニジニウム塩を含む緩衝液の添加の後、および有機抽出剤−ほとんどの場合においてクロロホルムまたはフェノール−の添加の後、抽出が実施される、単一の段階工程に基づく。その後、不要な付随する物質は有機相で除去される。その後、水相の中に残っている核酸は、相分離によって分離され、および単離されうる。この方法の主な不利点は、グアニジニウム・イソチオシアン酸塩、フェノールまたはクロロホルムなどの、有毒かつ健康危険性物質の使用に加えて、水溶性の物質がさらに非常に時間を消費する精製段階において分離されなければならない不純物として核酸水溶液中に残ることである。たとえば、これらは多くの場合に相当量のポリサッカライドや同様の水溶性物質を含んでいるので、この問題は植物からの核酸の単離に対するこの方法の使用を困難にする。
これらの不利点を考慮して、通常無機物であり、二酸化ケイ素のような担体である、固体上での核酸の選択吸着に基づく、代替方法が先行技術において確立されるようになった。ここで、多段階の操作において、異なる緩衝液(溶解、結合、洗浄および溶出緩衝液)は、細胞またはウィルス溶解物に連続して加えられる;最終段階で、精製された核酸は担体から溶出される。
一方で専門家団体は、カオトロピック塩類の存在下における無機担体への核酸結合の物理化学的な原理を調査した。無機担体表面への核酸結合は、核酸が無機材料、特にガラスおよびシリカ粒子の表面上に吸着する水の環境の高度に規律正しい構造の崩壊に基づくことが仮定された。
上記方法の特有な不利点は、不純(spurious)二次材料の顕著に高い部分を用いて高められる試料を使用するために、所望の高水準の純度を達成するためには相当な収率損失を考慮に入れなければならないということである。
したがって、本発明の目的は、上記されおよび先行技術から知られる不利点を有さないRNAまたはDNAの単離のための方法を提供することであり、および高い収率および純度の核酸を提供することである。
驚くべきことに、核酸を含む溶液が結合の前または間に加熱される場合、シリカ粒子、好ましくは磁性シリカ粒子への核酸の結合における改良を、カオトロピック剤および/またはアルコールの存在下、特にカオトロピック剤およびアルコールの存在下で達成しうることがわかった。この改良は、特に合成RNAならびにウィルスのRNAおよびDNAの結合の両方に有効であり、およびさらに他の核酸種に有効である。
本発明によれば、生物材料は微粒子または分子を基本とする材料であると理解される。これらは、特にウィルス、ファージ、および、たとえば、細菌だけでなく、ヒト、動物(たとえば、白血球)または植物細胞などの細胞を含む。特に、本発明に係る方法は、好ましくは、たとえば、血液、血漿、血清、口内洗浄、尿、大脳の脊髄分泌液、唾液、便通(stool)、皮膚病変(punctates)、上皮のしみ(smears)、生検および他の組織などの臨床試料または骨髄試料などの−ヒトまたは動物由来の試料からのDNAあるいはRNAなどの核酸の単離に適している。
試料はまた、たとえば、細菌培養、ウィルス培養、ファージ溶解物、空気もしくは水濾過器および、たとえばPCR増幅手順由来産物からの分子生物学研究、環境分析または食物分析の領域を起源としうる。
天然または修飾生物材料は、本発明に係る方法で分離されうる。天然生物材料は、天然に存在する生物材料について不可逆的に修飾されていない構造の材料と理解される。しかしながら、これは、試料の他の構成要素の修飾を除外しない。たとえば、細胞が単離されることになっている場合、細胞を囲む培地は確かに修飾されえるが、細胞それ自体ではない。核酸が単離されることになっている場合、これらも、たとえば、核酸に連結される反応基を有することにより切除または修飾されず、天然型であるべきである。したがって、該定義の天然生物材料は、特にビオチン付加した核酸を含まない。とりわけ、ヒトまたは動物試料材料からのウィルスのDNA、ウィルスのRNAまたは細胞性の核酸は、天然生物材料の例を表す。
修飾生物材料は、天然に存在しない材料、たとえば、ビオチン付加された核酸などの、固定を可能にする基または反応的な、検知可能な、または安定化する基の結合により修飾された核酸を含む;さらに、たとえば「外装化(armored)RNA」と同様に合成DNAおよびRNAが挙げられうる。
ある場合においては、試料は本発明に係る方法において前処理なしで使用されうる。多くの場合では、しかしながら、試料は、適切な方法により消化される(digested)べきであり、および試料に含まれていた生物材料は放出される。試料を消化する方法は、当業者に知られており、および本来的に化学的、酵素的または物理的でありうる。これらの方法の組み合わせもまた可能である。
この状況において、種々の方法が種々の生物材料に対してより有益に見えうるが、他方では、下記方法のうちのいずれかが原則として適切である:たとえば、適切な緩衝液中のSDS、LiDSまたはサルコシル(Sarcosyl)などのイオン性および非イオン性界面活性剤の援助をえた溶解、たとえばグアニジン塩酸塩(GHCl)、グアニジン・チオシアン酸塩(GTC)、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウムなどのカオトロピック塩類の使用;たとえば、フレンチ・プレス、超音波、ガラス球体を用いた粉砕、アルミニウムまたは液体窒素中によるなどの機械的な分解;たとえば、リゾチーム、プロテイナーゼ、プロナーゼもしくはセルラーゼ、または別の市場で入手可能な溶解酵素を用いた酵素溶解;バクテリオファージまたはウィルス感染を用いた細胞の溶解;真空凍結乾燥;浸透圧ショック;マイクロ波処理;たとえば、暖めることもしくは熱することまたは、たとえば、ドライアイスもしくは液体窒素中で凍結すること、および解凍するなどの、温度処理;アルカリ溶解。
既に上記されたように、上記の方法はすべて先行技術において十分に知られている溶解のための標準的な技術を表わし、およびその方法のいずれかまたはそれらの組み合わせが使用されうる。
したがって、カオトロピック物質(chaotropes)および界面活性剤の組み合わせは、細菌細胞の溶解に特に有効である。溶解のための典型的で適切な薬剤は、したがって、たとえば、SDSまたはサルコシルのような洗剤、およびGTCまたはGHClのようなカオトロピック物質を含む。これらの溶解薬剤は、水溶液または緩衝液、いわゆる溶解緩衝液、において存在しうる。いずれかの適切な緩衝液が、たとえば、トリス、ビシン(Bicin)、トリシン(Tricin)などの緩衝液またはリン酸緩衝液として使用されうる。代わりに、溶解剤も別個に加えられうる。溶解試薬の適切な濃度および量は、それぞれのシステム、細胞の種類などによって変わり、およびこの中で当業者によって決定されえ、たとえば、GTC、GHClまたはヨウ化ナトリウムまたは過塩素酸ナトリウムのような2M〜7Mの範囲の濃度であるカオトロピック物質、たとえば、NaOHのような0.1M〜1Mのアルカリ性試薬、および0.1〜50wt%(重量/容積)の試薬が使用されうる。そのような溶解緩衝液の一例は、したがって4MのGTCおよび1%(重量/容積)のサルコシル水溶液を含む。
種々の保温条件は、種々の溶解システムに適しえ、および先行技術から知られる。洗剤および/またはカオトロピック物質を含む溶解緩衝液について、保温は、たとえば、室温または、たとえば、37〜65℃の範囲にある高められた温度で実施されうる。
同様に、保温時間もまた、数分〜24時間に、たとえば、5分〜2時間に変えられうる。GTC/サルコシル溶解緩衝液および細菌細胞の場合において、たとえば、65℃、10〜20分の間での保温が有利であると証明したが、必要に応じて変更し得る。たとえば、プロテイナーゼKなどを用いる酵素溶解については、より長い処理時間、たとえば、12時間の期間、が必要になりえる。
溶解は、好ましくは、カオトロピック塩類の存在下で実施され、これらの塩類の濃度は2〜8mol/lであり、好ましくは4〜6mol/lである。カオトロピック塩類は、たとえば、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、グアニジニウム・チオシアン酸塩、グアニジニウム・イソチオシアン酸塩またはグアニジニウム塩酸塩である。しかしながら、結合はこれらの合成物に制限されない。結合は、好ましくは、アルコールの存在下で起こる。たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールまたはペンタノール類などの1〜5炭素原子を持つ短鎖、分岐状または線状アルカノール(alkanols)が好まれる。アルカノールの濃度は、1〜100%(容積/容積)、好ましくは2〜80%、さらに好ましくは5〜70%、なおさらに好ましくは10〜60%および最も好ましくは15〜50%の範囲で変化する。驚くべきことに、特にカオトロピック試薬およびアルコールの存在下で核酸を含む溶液を加熱することは、ウィルスのRNAおよびDNAの結合、および合成RNAおよび他の核酸種の結合の両方に同様の影響を及ぼすことが示された。
核酸の単離について、試料は、支持材料、好ましくは上記で言及された粒子と接触させられ、および結合のために十分な時間の間保温される。核酸に対する保温時間は、10秒〜30分の間で適切にとりうる。実際上、11+/−10分の範囲での保温時間が有利であると分かった。
ビーズ状または球状であり、および5〜25μm、好ましくは6〜15μm、および特に好ましくは6〜10μm、および非常に狭いサイズ分布の範囲にある粒子サイズを持っている、シラン化磁性粒子は、核酸の単離のために好まれる。本発明に係る方法において有利に使用されうる磁性シリカ粒子は、国際特許出願WO01/71732の6ページの29行から8ページの22行に記載されており、その引用はあらゆる点で本願により言及される。本発明によれば、それにより、結合は、36〜75℃、好ましくは46〜70℃、特に好ましくは50〜65℃の温度範囲で、および最も特に好ましくは56℃で起こる。
核酸の結合に対する同様の効果は、たとえば、ジメチルサルフォキサイド(dimethylsulphoxide)などの物質を変性することにより示される。
生物材料、好ましくは試料液体からの核酸の分離は、保温後に実施される。これは、磁場の助けで、−磁性シリカ粒子の使用で−本発明に係る粒子に結合された核酸の分離によって達成される。たとえば、磁性粒子は保温が行なわれた容器の壁に引きつけられる場合がある。これに続いて、磁性粒子に結合されなかった試料内容物を含む液体が除去される。
この除去は、保温が行なわれた容器の型に依存する。液体の除去に適した方法段階は、たとえば、液体をピペッティングまたは吸収して除くことである。
もし所望すれば、負荷された−磁性−粒子は、洗浄液で一度または数度浄化されうる。洗浄液は、粒子表面から生物材料、たとえば核酸の放出がむしろ起こらない−または少なくともいずれかの顕著な量においてではない−、しかし、存在する不純物ができる限り洗い流されるように選ばれる。この洗浄段階は、好ましくは、負荷された粒子を用いて洗浄液の保温により行い、好ましくは、粒子の懸濁は、たとえば、振とうまたは最初の磁場と同一でない磁場の適用によって実施される。汚れた洗浄液は、好ましくは、核酸結合の終わりに溶解物液体と同じ方法で除去される。
いずれかの従来の洗浄緩衝液またはいずれかの他の適切な培地が洗浄液として使用されうる。一般に、低度または適度なイオン強度を備えた緩衝液は、たとえば、pH 8の10mM トリス−塩酸、0〜10mM 塩化ナトリウムなどが好ましい。さらに、しかしながら、より高い塩濃度を有する洗浄緩衝液−たとえば、3M グアニジニウム塩酸塩−もまた、使用されうる。同様に、洗浄段階を実施するための他の標準培地は、たとえば、アルコール含有培地、たとえば、1〜5炭素原子を持つより低級アルコール溶液、好ましくはエタノール水溶液および特に好ましくは70%エタノール水溶液などが使用されうる。
磁性粒子を使用することで、当業者に必要と思える程度の頻度での、粒子の磁性凝集、核酸結合培地の分離、洗浄培地の除去および新鮮な洗浄培地の添加によって洗浄段階の簡潔な操作が可能になる。
核酸の単離およびいずれかの任意の所望の洗浄段階の操作の後に、核酸を運ぶ担体は、いずれかの適した培地、たとえば、水または低イオン強度の緩衝液に移送され、たとえば、再懸濁または浸潤されうる。
真空でまたは液体を取り除くことによる磁性粒子の短い乾燥段階は、最後の洗浄段階の後に実施されうる。
上記した洗浄と乾燥の段階が、核酸の精製および/または単離だけでなく他の上記した生物材料の精製および/または単離に適していることも当然に明白である。
担体および後続の作業の性質によって、担体から核酸を溶出すること、または担体から核酸を溶出しないことは望ましいかもしれない。上記した磁性粒子のような特別の固体担体の場合には、それらは多くの場合において直接的に使用され、たとえば、担体から溶出されなければならない核酸のない他の増幅方法またはPCRにおける場合である。さらに、DNAと球体表面の接触は偶然に生じ、およびDNAは水素結合またはイオン結合または他の力により多くの位置で結合されうるけれども、十分な長さのDNAはオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションおよび増幅に利用可能であるので、溶出もまた多くのDNA検出方法またはDNA同定方法において必要ではない。
生物材料が天然の核酸である場合に、核酸は低い塩分の溶出緩衝液を用いた本発明に係る磁性粒子から除去されうる。そのような緩衝液は先行技術から知られる[Analytical Biochemistry 175,196−201(1988)]。0.1mol/l未満の塩分の緩衝液は、低い塩分の溶出緩衝液として特に使用される。特に好ましくは、溶出緩衝液はトリス−塩酸を含む。
脱イオン化された水も溶出に特に適している。
所望であれば、たとえば、RNアーゼまたはアルカリ、たとえばNaOH、の添加によって、DNA分離段階前にRNAの分解により達成されうる、DNAからのRNAを除去することも可能である。
上記された本発明に係る細胞の単離と、同様に記載された本発明に係る核酸の単離との組み合わせにより、好ましくは、それらの天然形体、好ましくは粒子形体において磁性担体材料に結合することにより、本発明に係る上昇せしめた結合温度で、細胞試料からの核酸の単離のための顕著に有利な方法が提供される。この態様の利点は、上昇された温度でのシリカ表面への核酸の本発明に係る結合を通して、その単純性かつ高感度および容易に自動化されることにあるだけでなく、顕著に高収率であることにある。
本発明に係る方法の結果として、単離された生物材料は、こうなると、いずれかの所望の方式でさらに使用されうる。たとえば、それは基質として異なる酵素の反応に使用されうる。例として挙げられた核酸の場合には、シークエンシング、放射性または非放射性のタグ付け、そこに含まれる1以上のシーケンスの増幅、転写、タグ化されたプローブ核酸でのハイブリダイゼーション、翻訳またはライゲーションがある。本発明に係る方法の1つの利点はまた、液体からの生物材料、特に核酸の分離が、簡単だけでなく、高収率および高スループットで実施されうることにある。
例1
ウィルスRNAおよびウィルスDNAの抽出(マグアトラクト(MagAttract)ウィルス・ミニM48キット(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)で実施)
400μlの血漿、血清またはCSF(水溶液)が、市場で入手可能な溶解緩衝液、たとえば、3μgの担体−RNAを含む435μlのQIAGEN溶解緩衝液ALおよびプロテアーゼ、たとえば、80μlの凍結乾燥されたQIAGENプロテアーゼで処理され、QIAGENプロテアーゼ再懸濁緩衝液で再懸濁され、および混合される。その混合物は56℃の温度で15分間の期間保温される。
磁性シリカ粒子−たとえば、30μlのマグアトラクト再懸濁B(キアゲン、ヒルデン、ドイツ)−および525μlのイソプロパノールがその後に添加される。8℃、18℃、26℃、36℃、46℃、56℃、65℃または75℃での5分間の保温(以下参照)をその後に核酸が磁性シリカ粒子に結合する間に続ける。粒子の分離後、水相は除去され、および粒子は洗浄緩衝液、たとえば、エタノールで再構成された500μlのQIAGEN洗浄緩衝液AW1液体で洗浄される。粒子の分離後、水相が除去され、および粒子は再び−エタノールで再構成された500μlのQIAGEN洗浄緩衝液AW2で−洗浄される。その後洗浄段階は繰り返される。その後、粒子は500μlのエタノールで洗浄される。粒子の分離後、エタノール相は除去され、および粒子は室温で乾燥される。次に、核酸は市場で入手可能な溶出緩衝液で−たとえば、100μlのQIAGEN AVE溶出緩衝液で−溶出され、磁性シリカ粒子は除去され、および溶出液は75℃の温度で5分間以上加熱される。
HCV(RNAウィルス)を含む陰性ヒト血漿は上記の方法にしたがって処理された。試料の12回の実験の各々は、8℃、18℃、26℃、36℃、46℃、56℃、65℃および75℃でそれぞれ結合する前に調節された。得られた溶出液を、各場合において、HCV特異的リアル・タイム(RT)−PCRにかけた。36℃〜75℃の温度範囲で結合する本発明に係る方法論を用いると、本発明の基礎をなす目的が印象深く解決されることは、図1で示された結合温度に関連するCt価の平均値から明確に見られる。
例2
さらなる実験では、「外装化HIV」(タンパク質外殻に詰め込まれた合成RNA)と同様にHCV(単一鎖のRNAウィルス)およびHBV(2本鎖のDNAウィルス)を有する陰性ヒト血漿は、上記の例で記載された方法論にしたがって処理された。
一方で、試料の6回の実験の各場合における6ランの各々は、標準QIAGENマグアトラクトウィルスミニM48プロトコール(8℃での核酸の結合を除いて、例1にある通りのプロトコール)、および溶解が結合前に56℃で調節された修正マグアトラクトウィルスミニM48プロトコールで処理された。得られた溶出液を、各場合において、HCV、HBVおよびHIVに特異的なリアル・タイム(RT)−PCRにかけた。図2a)〜c)の中で表わされた結合温度に関連するCt価の平均値から、本発明に係る方法論を用いると、高い温度での核酸の結合は収率を著しく増加させることは全く明らかである。
図1は、結合温度に関連する、リアル・タイム(RT)−PCRの後のHCV−RNAのCt価の平均値を示す。実例のさらなる記載は例1で示される。 図2は、結合温度に関連する、リアル・タイム(RT)−PCRの後のHCV−RNA(図2a)、HBV−DNA(図2b)および「外装化HIV」(図2c)のCt価の平均値を示す。実例のさらなる記載は例2で示される。

Claims (22)

  1. 核酸の固定化が36℃〜75℃の温度範囲で実施されるという点で特徴づけられる、下記方法段階を含む核酸の単離および/または精製のための方法:
    a)生体試料の溶解、
    b)カオトロピック化合物および/または分岐状または線状アルカノールの存在下で、1以上のシリコン−酸素化合物を基礎とするマトリックス上での解放型核酸の固定化ならびにマトリックス上で固定された核酸の任意の洗浄、
    c)知られる方式での固定された核酸の分離。
  2. 固定化が46℃〜70℃の範囲にある温度で実施されるという点で特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  3. 固定化が50℃〜65℃の範囲にある温度で実施されるという点で特徴づけられる、請求項2に記載の方法。
  4. 固定化が56℃の温度で実施されるという点で特徴づけられる、請求項3に記載の方法。
  5. シリコン−酸素化合物がシリカにより表されるという点で特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  6. マトリックスがシリカ表面を有する磁性粒子により表されるという点で特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  7. カオトロピック化合物がカオトロピック・ナトリウムまたはグアニジニウム塩により表されるという点で特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  8. カオトロピック・ナトリウムまたはグアニジニウム塩がヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、グアニジニウム・チオシアン酸塩、グアニジニウム・イソチオシアン酸塩もしくはグアニジニウム塩酸塩であるか、または上記塩類の2以上の混合物を表すという点で特徴づけられる、請求項7に記載の方法。
  9. 分岐状または線状アルカノールが1〜5の炭素原子を有するアルコールを表すという点で特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
  10. アルコールがメタノール、エタノール、イソプロパノールにより、または分岐状もしくは線状ブタノールもしくはペンタノール、または上記アルコールの混合物により表されるという点で特徴づけられる、請求項9に記載の方法。
  11. アルカノールは、1〜100%(容積/容積)、好ましくは2〜80%、さらに好ましくは5〜70%、なおさらに好ましくは10〜60%および最も好ましくは15〜50%の濃度の水溶液の形態で存在するという点で特徴づけられる、請求項9または10に記載の方法。
  12. 請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法にしたがって単離された核酸。
  13. 核酸の固定化が36〜75℃の温度範囲で実施されるという点で特徴づけられる、カオトロピック剤および/または分岐状もしくは線状アルカノールの存在下で、シリコン−酸素化合物を基礎とするマトリックス上での核酸の固定化のための方法。
  14. シリカ表面を有するマトリックス上での固定化は、46℃〜70℃の範囲にある温度で1〜5の炭素原子の分岐状もしくは線状アルカノールまたはその水溶液の存在下で実施されるという点で特徴づけられる、請求項13に記載の方法。
  15. 固定化は、50℃〜65℃の範囲における温度で、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよび/または分岐状もしくは線状ブタノールもしくはペンタノールの存在下で、または上記アルコールの水溶液もしくはそれらの混合物の存在下で実施されるという点で特徴づけられる、請求項14に記載の方法。
  16. 固定化は、56℃の温度で、1〜100%(容積/容積)、好ましくは、2〜80%、さらに好ましくは5〜70%、なおさらに好ましくは10〜60%および最も好ましくは15〜50%の範囲の濃度のメタノール、エタノール、プロパノールおよび/またはイソプロパノールの水溶液の存在下で実施されるという点で特徴づけられる、請求項15に記載の方法。
  17. カオトロピック化合物がカオトロピック・ナトリウムまたはグアニジニウム塩により表されるという点で特徴づけられる、請求項13に記載の方法。
  18. カオトロピック・ナトリウムまたはグアニジニウム塩は、ヨウ化ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、グアニジニウム・チオシアン酸塩、グアニジニウム・イソチオシアン酸塩もしくはグアニジニウム塩酸塩、または上記塩類の2以上の混合物であるという点で特徴づけられる、請求項17に記載の方法。
  19. シリカ表面を有するマトリックス上での固定化は46℃〜70℃の範囲の温度で実施されるという点で特徴づけられる、請求項13、17または18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 固定化は50℃〜65℃の範囲の温度で実施されるという点で特徴づけられる、請求項19に記載の方法。
  21. 固定化が56℃の温度で実施されるという点で特徴づけられる、請求項20に記載の方法。
  22. マトリックスがシリカ表面を有する磁性粒子により表されるという点で特徴づけられる、請求項13に記載の方法。
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