JP2008526773A - ベクロメタゾンジプロピオネート及びプレドニゾンでの、移植片対宿主病及び白血病の治療 - Google Patents

ベクロメタゾンジプロピオネート及びプレドニゾンでの、移植片対宿主病及び白血病の治療 Download PDF

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Abstract

1)約10日間高投与量のプレドニゾン(約1〜2mg/kg/日)、次いで、その後7日かけて、治療の残りの間の約0.0625mg/kg/日の生理的補充投与量に漸減すること、及び2)約50日間、約4〜12mgq.i.d.の経口BDPを共投与することを含む、経口BDPレジメンで患者を治療することによる、GVHDに関連する死亡率を低減するための方法であり、この場合BDPを即時放出製剤及び腸溶製剤の両方で投与する。別の一方法は、造血細胞移植を行い、その後前記レジメンにより白血病を治療するためである。これらの治療を開始して200日後に、患者の死亡率に有意な減少が認められる。

Description

経口で有効な治療薬による胃腸の移植片対宿主病(GVHD)の治療。
造血細胞移植は、骨髄細胞移植、末梢血幹細胞移植、臍帯静脈血移植、又は多機能造血幹細胞のあらゆる他の供給源を包含する。造血細胞移植は、細胞移植の数日又は数週間後に、移植片対宿主病で知られる合併症を生じることが多い。
急性移植片対宿主病(GVHD)の標準的な治療は、経口又はIVのコルチコステロイド、通常は2mg/kg/日の投与量のプレドニゾンである(Sullivan KM.、1999年、「移植片対宿主病。造血細胞移植(Graft−versus−host disease.Hematopoietic Cell Transplantation)」、編集Thomas,E.D.、Forman,S.J.、及びBlume,K.G.、第2版、515〜36頁、Cambridge、マサチューセッツ州:Blackwell Scientific.、第2版)。グレードIII又はIVのGVHDに進行している患者では、他の免疫抑制薬を治療レジメンに加える場合でも、この投与量のプレドニゾンが何週間も必要とされることが多い。さほど重症ではない胃腸(GI)のGVHDの症状を現す患者には、反応に応じて、より短期間、通常は1〜3週間、2mg/kg/日のプレドニゾンを投与し、その後コルチコステロイドの副作用を避けるために投与量を漸減する(Weisdorf DJ、Snover DC、Haake R、Miller WJ、McGlave PBら、1990年、「急性上部胃腸移植片対宿主病:免疫抑制治療に対する臨床上の意義及び反応(Acute upper gastrointestinal graft−versus−host disease:clinical significance and response to immunosuppressive therapy)」、Blood、76巻、624〜629頁、Wu D、Hockenbery DM、Brentnall TA、Baehr PH、Ponec RJら、1998年、「骨髄移植後の持続性の悪心及び食欲不振:78名の患者の前向き研究(Persistent nausea and anorexia after marrow transplantation:a prospective study of 78patients)」、Transplantation、66巻、1319〜1324頁)。
GIの症状の再発は頻繁であるが、個々の患者で予測するのは容易ではない。プレドニゾンの漸減中又は漸減後に症状の悪化を示す患者は、高投与量のコルチコステロイドで再治療され、概ね反応する。コルチコステロイドの第2及び第3クール後のGI症状の反応頻度は80〜90%であるが、各治療クールは最短でも1〜3週間であり、その後プレドニゾンを漸減して視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸を回復させる(Strasser SI及びMcDonald GB、1999年、「造血細胞移植における胃腸及び肝臓の合併症(Gastrointestinal and hepatic complications in Hematopoietic Cell Transplantation)」、Thomas,E.D.、Blume,K.G.、及びForman,S.J.編集、第2、627〜58頁、Cambridge、マサチューセッツ州:Blackwell Scientific Publications.、第2版)。長期のコルチコステロイドの高投与量治療の副作用はよく知られており、高血糖症、高血圧症、神経精神学的症状、筋肉の弱化、感染症、骨の無機質脱落、及び体質の変化(ムーンフェイス、野牛肩、及び皮膚の菲薄化及び線条を含むクッシング様特徴)が含まれる。
明らかに、造血細胞移植の有用性を増大するために、有効性が匹敵し、毒性がより低いコルチコステロイド治療に代わり得るものが望ましい。ベクロメタゾン17,21−ジプロピオネート(BDP)は、ベクロメタゾンの合成ジエステルであり、炎症を起こしたGI粘膜に治療を誘導できるため、GI GVHDの治療に魅力的なコルチコステロイド類似物質である。8mg/日の投与量を4等分したカプセル剤のBDPは、耐性が良好で、グレードIIのGI GVHDの治療において臨床上の有用性をもたらすことが示されている(Baehr PH、Levine DS、Bouvier ME、Hockenberry DM、Gooley TAら、1995年、「ヒトの大腸の移植片対宿主病を治療するための経口ベクロメタゾンジプロピオネート(Oral beclomethasone dipropionate for treatment of human intestinal graft−versus−host disease)」、Transplantation、60巻、1231〜1238頁;McDonald GB、Bouvier M、Hockenbery DM、Stern JM、Gooley Tら、1998年、「腸の移植片対宿主病を治療するための経口ベクロメタゾンジプロピオネート:無作為化した対照試験(Oral beclomethasone dipropionate for treatment of intestinal graft−versus−host disease:a randomized,controlled trial)」、Gastroenterology、115巻、28〜35頁)。
骨髄移植後のGVHDの治療に関しては相当な前進が遂げられている一方、当技術分野では、GVHDに付随する腸粘膜の損傷、及び造血細胞移植が必要となった白血病などの原疾患の両者に起因する死亡率を特に低下させることに関しては、改善された方法が依然として必要とされている。この分野における進歩の一障害となっているものは、患者の症状がGVHDによるものであったのか、患者を移植にそなえるために用いた免疫抑制方法によるものであったのか、又は、根底を成す疾患によるものであったのかを区別するのが困難であったことである。結果として、以前の試験の参加者の多くは、実際にGVHDではなかったのかもしれず、又は考えたほど重症な症例ではなかったのかもしれない。この状況により、任意の一定の治療の評価、特に治療の期間を延長すると死亡率の結果を改善するかどうかの評価が非常に困難になった。患者におけるGVHDの状態を注意深く評価することにより、本発明は、プレドニゾンを限られた高投与量で共投与した後にBDPで延長治療することで、50日間の薬物治療後、移植患者における死亡率が著しく低下することを立証するものである。
白血病、リンパ腫、及びミエローマは、骨髄(白血病及びミエローマの場合)又はリンパ組織(リンパ腫の場合)を起源とする癌である。白血病、リンパ腫、及びミエローマは、同様の機能及び起源を有する細胞の非制御な成長を伴うので、癌に関連すると考えられている。これらの疾患は、異常(悪性)となり継続的に増殖する単一の細胞のDNAの、後天性の(即ち遺伝的ではない)遺伝子の損傷に起因する。悪性細胞が蓄積して身体の健常な血液細胞の産生を妨害し、身体は感染症から自身を保護することができなくなる。
白血病、リンパ腫、及びミエローマの治療は、通常、化学療法及び/又は放射線治療の1つ又は複数の形態を伴う。これらの治療は悪性細胞を破壊するが、身体の健常な血液細胞も同様に破壊する。同種骨髄移植(BMT)は、血液学的悪性腫瘍の多くを治療するのに有効な治療である。同種BMTでは、血縁関係のない、又は血縁の(しかし一卵性双生児ではない)ドナーからの骨髄(又は、場合によっては末梢血)を、癌患者における健常な血液細胞に置き換えるのに使用する。骨髄(又は末梢血)は、血液に見られる様々な細胞型(例えば、赤血球、食細胞、血小板、及びリンパ球)全ての前駆体である幹細胞を含んでいる。同種BMTには、回復効果も治療効果もある。回復効果は、幹細胞が血液の細胞成分を再増殖する能力に起因する。同種BMTの治療特性は、移植片対白血病(GVL)効果に由来するところが大きい。ドナーからの造血細胞(特に、Tリンパ球)が癌細胞を攻撃し、他の形態の治療の抑制効果を増強する。本質的には、GVL効果は、BMTに由来する血液細胞の残存の腫瘍細胞に対する攻撃を含み、移植後に悪性腫瘍が復帰する可能性を低下させるものである。GVL効果を制御することにより、GVL効果のGVHDへの漸増を防ぐ。腫瘍に対する同様の効果(GVT)も、この方法で活用するのに利用可能である。
BMTは、当初、特に骨髄移植を意味していたが、より最近では、血液移植及び骨髄移植の使用を包含するための、血液又は髄移植に対する総称になっている。多くの場合では、より具体的な語である「幹細胞移植」(即ちSCT)が、現在用いられている。
同種BMTは、患者に毒性であることが多い。毒性は、同種BMTのしばしば致死的な合併症である、移植片対宿主病(GVHD)からGVL効果又はGVT効果を分けるのが困難であることに起因する。移植片対宿主病(GVHD)は、最も頻繁には皮膚、肝臓、及び腸である宿主の組織がドナーの移植片からのリンパ球によって損傷される、同種造血細胞移植の合併症である。患者がGVHDを有する場合、治療が功を奏するのはその時の50〜75%にすぎず、残りの患者は概ね死亡する。免疫が介在するこの状態の危険性及び重症度は、造血細胞の宿主とドナーの間のミスマッチの程度に直接関連する。例えば、GVHDは、ヒト白血球抗原(HLA)にマッチする同胞の髄のレシピエントの最高30%に、HLAにマッチする血縁関係のないドナーの髄のレシピエントの最高60%に、また、HLAにミスマッチの髄のレシピエントのより高いパーセント値に発症する。軽症の腸GVHDの患者は、食欲不振、悪心、嘔吐、腹痛、及び下痢を表し、重症のGVHDの患者はこれらの症状によって無能になる。非治療の場合、腸GVHDの症状は持続し、しばしば進行し、自発的な緩解はまれである。GVHDは、最も重症な形態では、大部分の腸粘膜の上皮細胞の壊死及び剥離をもたらし、致死的な状態をもたらすことが多い。
米国特許第6096731号(McDonald)は、GVHDを治療するための方法、又は、腸若しくは肝臓の移植後の患者への予防上有効な量の局所作用性コルチコステロイド(TAC)の投与を含む方法を記載している。TACは、GVHD又はHVGDのいずれかに関連する症状が表れる前に有効な期間投与する。しかし、GVL反応を制御することにより癌を治療する方法に関する情報は、与えられなかった。
骨髄移植後のGVHDの治療に関しては相当な前進が遂げられたが、当技術分野では、GVL効果を制御し、GVHDの発症に付随する損傷を予防することにより癌を治療するための改善された方法が、依然として必要とされている。
本発明の目的は、1)約10日間の高投与量のプレドニゾン(約1〜2mg/kg/日)、次いでその後7日かけて、治療の残りの間の約0.0625mg/kg/日の生理的補充投与量に急速に漸減すること、及び2)約50日間約4〜12mgq.i.d.の経口BDPの共投与を伴う経口BDPレジメンで患者を治療することによりGVHDに関連する致死率を低下させる方法を提供することであり、この場合、BDPを即時放出製剤及び腸溶製剤の両方で投与する。治療開始200日後に、患者致死率の有意な低下が認められる。
本発明の別の一目的は、造血細胞移植を行い、その後、1)約10日間の高投与量のプレドニゾン(約1〜2mg/kg/日)、次いでその後7日かけて、治療の残りの間の約0.0625mg/kg/日の生理的補充投与量に急速に漸減すること、及び2)約50日間約4〜12mgq.i.d.の経口BDPの共投与を含む経口BDPレジメンによる、白血病を治療するための方法を提供することであり、この場合、BDPを即時放出製剤及び腸溶製剤の両方で投与する。治療開始200日後に、患者の致死率の有意な低下が認められる。
本発明の別の位置目的は、リンパ腫、白血病、及びミエローマなどの、血液由来の癌の治療を改善することである。この方法は、局所作用性コルチコステロイド(以降「TAC」)の有効量を、造血細胞移植を受けた患者に経口投与することを含む。
ベクロメタゾンジプロピオネートは、カプセル剤、丸剤、特定の溶解性の特質を有するコーティングされた微小球、又は乳剤としての製剤を含めた、製剤の分野でよく知られている技術により経口投与用に製剤することができる。適切なカプセル剤又は丸剤は、一般的に、BDP1mgから2mg、典型的にはBDP約1mg、プラス任意選択のラクトースなどの充填剤を含み、酢酸フタル酸セルロースなどの様々な材料でコーティングすることができる。
このようなカプセル剤、微小球、又は丸剤は、腸管の様々な場所内で溶解するように作ることができる。例えば、酢酸フタル酸セルロースのコーティングで調製した腸溶カプセル剤は、小腸のアルカリ性の環境で溶解し、したがってその内容物を小腸及び結腸に送達することが知られている。場合により乳化剤を含めたBDPを含む乳剤も、経口送達に使用することができる。
BDPの他に、薬学的に許容できる担体、及び/又は希釈剤を使用することができ、これらは当業者には精通している。丸剤、カプセル剤、微小球、顆粒剤、又は錠剤の形態の製剤は、BDPの他に、希釈剤、分散及び界面活性剤、結合剤、並びに滑沢剤を含むことができる。当業者であれば、BDPを適切なやり方で、且つ、「Remingtonの薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、Gennaro編集、Mack Publishing Co.、Easton、ペンシルバニア州、1990年(本明細書に参照として組み入れられる)に公開されているものなど、容認されている慣例に従って、更に製剤することができる。
本発明の実践において、BDPの投与量は、一般に4mg/日から12mg/日までの範囲、より典型的には6mg/日から8mg/日の範囲である。
本発明の重要な一態様は、BDPが腸に局所投与されるように経口投与することである。したがって、本明細書で用いる経口投与は、静脈内注射によるなど、全身投与を包含することを意図しない。むしろ、BDPには全身性の有効性は殆んどないが、腸組織に対する局所作用が高い。このように分布が制限されることにより、もたらされる副作用はより少なくなり、これが本発明の意義深い利点である。
投与の場所及びタイミングに関する相違の他に、短期と長期の治療レジメン間には、生物学的根拠もある。コルチコステロイドは、GVHDの急性又は短期の管理に用いられてきた。逆に言うと、コルチコステロイドを用いる長期の治療は、プレドニゾンなどの化合物には全身性の副作用があるため、適切ではない。したがって、治療を始めるときにプレドニゾンとBDPとを共投与し、その後急速にプレドニゾンを漸減し、長期のBDP治療をすることで、プレドニゾンの最小の使用で関連する根底をなす疾患であるGVHDの致死率をより低減することができる。
BDPは、即時放出組成物及び腸溶コーティング組成物の各々の少なくとも1つを含む、少なくとも2つの別々の剤形で投与される。「即時放出」製剤は、胃、十二指腸、及び近位の小腸などの胃腸管の最初の部分で溶解し、活性を有するように意図され、製剤されているものである。
「腸溶コーティング」製剤は、遠位の小腸、回盲部、又は結腸(大腸)などの下部腸管で溶解し、活性を有するように意図され、製剤されているものである。この2つの別々の剤形は、等量又は異なる量の、局所作用性コルチコステロイドを含むことができる。この2つの別々の剤形はプレドニゾンを含むこともできる。
局所作用性コルチコステロイドの好ましい投与量は、一般的に、2.0mg/日から12mg/日の範囲、より典型的には2mg/日から4mg/日の範囲である。
投与量は、薬物が、有意な程度、例えば、有害な全身作用を起こすほどの高い量で全身循環に入ることがなく、したがって全身循環中でのその存在に起因するこのような作用が回避されるような量でなければならない。或いは、投与量は、胃腸管の壁を越える量が、BDPに付随する望ましくない副作用を引き起こすのに必要とされる量よりも少ないようでなければならない。
別々の投与量の数を、少ない数に制限することが好ましい。1日あたり1、2、3、又は4回の別々の投与量が好ましい。
一般的に、2種以上の剤形を用いて送達する場合、患者は、局所作用性コルチコステロイドを、胃から直腸までの胃腸管全体にわたって受け取る。例えば、一剤形は、ゲルカプセル剤として製剤することができ、第2の剤形は腸溶コーティングゲルカプセル剤として製剤することができる。
本発明の一実施形態では、別々の剤形を、別々の錠剤、丸剤、トローチ剤、ゲルキャップ(gelcap)剤などとして患者に投与する。この実施形態では、別々の剤形は、2つの剤形の同時の投与が局所のコルチコステロイドの急速な放出と緩慢な放出の組合せをもたらすように、胃で放出するBDPを含む第1の剤形と、腸で放出するBDPを含む第2の剤形を含むように設計されている。
本発明の更に別の好ましい一実施形態では、別々の剤形を、患者に経口投与するための単一剤形、即ち、単一の錠剤又は単一のゲルキャップ剤に合体させる。本発明のこの実施形態では、BDPは、小腸における放出を制御するために、微小球、ポリマー微小球、ヒドロゲル、油中水型乳剤、水中油型乳剤、リポソーム、ミセル、又は逆ミセルに製剤することができ、また、急速に放出させるために、微小球又は適切なマトリックス中の薬物送達媒体の外側に、BDPを別に加える。換言すると、このような製剤は、内部コアのコーティング、例えばBDPの腸溶製剤を含み、及び、コアを取り囲み、薬物を急速に放出する製剤を含む外部シェルを含む。内部コア又は外部シェルのどちらか一方は、局所用コルチコステロイドとは異なる第2の薬物、例えばプレドニゾンなどの免疫抑制薬などを任意選択で含むことができることも留意されたい。このような組合せにより、緩徐な放出及び急速な放出の両方の特徴を有する単一の製剤がもたらされる。
局所用ステロイドを微小球、ヒドロゲル、及びナノ粒子に捕捉するための適切なポリマー系には、それだけには限定されないが、ポリアルキレンオキシドホモポリマーのポリマー系の単一成分及び組合せ、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレン化ポリオール、ポリオール、ポリイミン、ポリペプチド、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリアスパラギン酸、ポリ酸エステル、ポリアクリル酸、アルギン酸、ヒアルロン酸、キトサン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースオリゴ糖、多糖類、カラギーナン及びその塩、デキストラン、脱アセチル化キトサン、ゼラチン、ブロック共重合体、ポリオキシエチレンとポリオキシプロピレンとのブロック共重合体、メトキシ−PEG、メトキシ−PEGアミン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリビニルアルコール、及びこれらの共重合体が含まれる。
BDPは、Schering−Plough Corporation(Kenilworth、N.J.)などの数々の市販の供給源から、バルクの結晶形態で入手可能である。ベクロメタゾン17,21−ジプロピオネートは以下の構造を有する。
Figure 2008526773
適切なカプセル剤又は丸剤は、一般的に、局所作用性コルチコステロイドを0.1mgから8mg、典型的には約2mg、プラス、それだけには限定されないが、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、又はゼラチンなどの結合剤;デンプン又はラクトースなどの充填剤、コーンスターチ又はアルギン酸などの崩壊剤;ショ糖、サッカリン、又はフェニルアラニンなどの甘味剤;或いはペパーミント、レモン、シナモン、サリチル酸メチル、又はオレンジ香料などの香味剤を含む、任意選択の充填剤を含む。更に、カプセル剤又は丸剤は、ショ糖、シェラック、又は酢酸フタル酸セルロースなどの様々な材料でコーティングすることができる。適切なコーティングを加えることにより、カプセル剤、微小球、又は丸剤は、腸管の様々な場所内で溶解するように作ることができる。
例えば、酢酸フタル酸セルロースのコーティングで調製した腸溶カプセル剤は、胃で完全なままであり、小腸のアルカリの環境で溶解し、したがってその内容物を小腸及び結腸に送達することが知られている。他の有用な腸溶コーティングには、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸酢酸ポリビニル、及び、「Eudragit」の商標で当業者に知られている酸性のイオン化可能基を有するメタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体を主成分とするポリマーが含まれ得る(Roehm GmbH&Co.、Darmstadt、ドイツ)。
BDPは、水中油型乳剤、油中水型乳剤、多層エマルジョン、(w/o/w)、リポソームに捕捉され、又は関連して、及び/又は組織的な脂質相として、製剤することもできる。乳剤系、マイクロエマルジョン系、又は脂質粒子系などの脂質ベースの送達システムは、疎水性分子の水との相互作用を制御するために、極性の脂質及び関連する両親媒性の界面活性分子の使用に基づいている。疎水性薬物に対する送達システムは、薬物と脂質又は界面活性成分との間の分子の相互作用を増大するために、水と混和できる有機溶剤を含むことも必要とされることがある。
5.2.2 GVHDを治療するための経口BDPでの臨床試験
経口BDPは、数年間、Fred Hutchinson Cancer Research Center(FHCRC)で、GVHDの胃腸の発現を有する患者で研究されてきた。1990年代に、Investigational New Drug application(IND)の研究者のもとで、主に胃腸症状のあるGVHD患者で経口BDPの安全性及び有効性を研究するために、2つの試験が行われた。これらの2つの試験を表15に列挙し、それぞれを以下に要約して述べる。
表15:経口BDPの臨床試験
Figure 2008526773

q.i.d.=1日4回
5.2.2.1 胃腸の移植片対宿主病の患者を治療するための経口ベクロメタゾンジプロピオネート(試験番号615)
この試験は、40名のGVHD患者における、対照なしパイロット試験で、患者のうち17名は、参加の時点ですでに各自のGVHDに対してプレドニゾンを服用しており、23名の患者は服用していなかった(Baehrら、1995年)。したがって、前者の群は、全身性のコルチコステロイドに対する反応が良好でなく、経口投与した強力な局所作用性コルチコステロイドの追加の恩恵を受けたのか否かが疑問であった。後者の群では、このような薬物が、単独でGVHDの胃腸症状を制御するのに十分であるか否かということが疑問であった。両群の患者に、28日間、経口BDP8mg/日(2mgq.i.d.)を投与した。2mgの投与量は、各々、BDPのEC(1mg)カプセル1個及びIR(1mg)カプセル1個から構成されていた。
患者のベースライン状態を自身の対照として用いて、最高28日のBDPにより、両群の患者(即ち、プレドニゾンを投与してもしていなくても)に、殆んどの胃腸症状の低減及び経口の食物摂取の増加がもたらされた。BDP単独の群における反応のタイミングは、高投与量のプレドニゾンで治療した同様の患者での過去の経験よりも緩徐な様子であった。
この試験では、治療に関連した重大な有害事象は認められなかった。試験の間に報告された試験薬物に関連する有害事象には、軽症の金属味及び軽症の臍周囲の重感が含まれていた。プレドニゾンを投与しなかった患者では、HPA軸抑制に対する試験により、大多数の患者に生じた抑制の証拠が示された。いくつかの抑制があるという証拠に関わらず、これらの患者は全員、血清コルチゾールレベルの上昇により、少なくとも部分的にACTH投与に反応することができた。これらの患者のうち、副腎不全の臨床症状を発症したものはいなかった。
5.2.2.2 腸の移植片対宿主病の患者を初期治療するための、経口ベクロメタゾンジプロピオネートあり又はなしでのプレドニゾンの対照試験(試験番号875)
この試験は、胃腸症状のあるグレードII GVHDの患者60名で行った、プラセボ対照の第2相試験であった(試験番号875)(McDonaldら、1998年)。この試験では、10日間のプレドニゾンに対する補助療法として経口BDPを試験し、即ち、全患者にプレドニゾンを投与し、活性又はプラセボのBDPカプセルを30日間投与するよう無作為化した。経口のBDPを、経口BDP8mg/日(2mgq.i.d.)で投与した。2mgの各投与量は、BDPのEC(1mg)カプセル1個及びIR(1mg)カプセル1個から構成されていた。10日目以降、プレドニゾンの投与量を急速に0.125mg/kg/日の投与量まで漸減した。この試験に対する主な有効性のエンドポイントは、各群において、各自の予想カロリー必要量(ECR)の>=70%を摂食した患者の割合であった。
プレドニゾンに対する補助剤としての経口BDPでの治療により、プレドニゾンプラスプラセボでの治療に比べて、経口カロリー摂取が増大した患者の割合が著しく高くなる結果となった。プラセボ群に比べてBDP群で、胃腸症状(悪心、嘔吐、下痢)は全て改善した。BDPの耐用性は良好で、BDP群とプラセボ群との間の感染症の発症率は類似していた。
胃腸症状レジメンを有するグレードII移植片対宿主病の患者の、10日間の高投与量プレドニゾン治療と組み合わせたBDPの経口投与での長期間治療の効果を評価するために、以下の試験を行った。この多施設試験の主な目的は、胃腸(GI)症状を有するグレードII移植片対宿主病(GVHD)患者において、経口BDPレジメン(プレドニゾン1mg/kg/日を10日間プラス経口BDP2mgq.i.d.50日間)の治療不全までの時間と規定された有効性を、治療標準(経口プレドニゾン1mg/kg/日10日間投与、プラス対応するプラセボ錠剤を50日間)の有効性と比較することであった。試験の第2の目的は、:
1.試験10、30、50、60、及び80日目で、2群における治療不全の割合を比較すること。
2.累積の全身のコルチコステロイド曝露に関して治療群を比較すること。
3.試験50日目までに治療不全を経験していない患者において、視床下部−下垂体−副腎(HPA)軸抑制の発症率及び程度に関して、治療群を比較すること。
4.治療で発生した有害事象に関して治療群を比較することによりBDPの安全性を評価すること。
5.移植後200日を通して、全死亡及び死因に関して治療群を比較すること。
6.GI症状を有するグレードII GVHD患者において、50日間、単回投与量、及び経口BDP2mg1日4回投与(即時放出[IR]錠及び腸溶コーティング[EC]錠の間で均等に分割)の複数回投与量の投与の薬物動態学(PK)プロファイルを調査すること。
試験参加に適格するために、患者は、同種造血細胞移植後少なくとも10日間経過し、グレードII GVHDに一致するGI症状を有し、GVHDの内視鏡的証拠を有していた。GVHDの診断は、腸(食道、胃、小腸、若しくは結腸)又は皮膚の生検により確認した。全129名の適格な患者を、2治療群の一方に無作為化した。
適格基準
試験に参加する適格として、あらゆる人種、年齢、又は性別の患者が、以下の組み入れ基準を満たしていた。
1.同種造血細胞移植を、スクリーニング>=10日前に受けている。
2.グレードII GVHDの内視鏡的証拠があり、別の妥当な病因がない、グレードII腸GVHDに一致する症状がある(表1を参照されたい)。
3.腸(食道、胃、小腸、若しくは結腸)又は皮膚の生検によりGVHDの診断が確認されている(試験薬物の第1の投与量の前72時間以内の組織学的診断)。注意:腸生検を行うことが勧められないと医師が考えた場合は、弁明の理由を症例報告書(CRF)に記載しなければならない。
4.試験薬物の最初の投与量の前7日以内に、腸の感染症がないことが確認されている。
5.試験薬物の大きさ及び形状の錠剤を2錠飲み込むことができることが実証されている。
6.試験薬物の最初の投与量の前に、有効な薬物で中咽頭をカンジダに対して予防している。
7.女性及び出産の可能性のある女性の場合は、試験期間の間、研究者の決定で、適切な避妊法を自発的に用いなければならない。
8.適切な患者のインフォームドコンセント又は同意書を、読み、理解し、サイン(又は法律上の代理人のサイン)をする能力がある。
試験に参加する適格として、患者は以下の除外基準のどれも満たさなかった。
1.身体表面の<=50%を伴う、ゆっくりと現れる発疹以外の皮膚のGVHD。
2.血清ビリルビンが>3mg/dLである、肝臓GVHD。
3.試験薬物の最初の投与量の前3日以内に、1日でも>1000mL/日の下痢。
4.GVHDに対する腸生検が陰性である。
5.試験薬物の最初の投与量の前30日以内に、GVHD又は別の炎症性疾患の過程の予防又は治療の目的での、全身の(経口又は非経口の)処方コルチコステロイドの使用。(注意:患者は、シクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、メトトレキセート、及びミコフェノール酸モフェチルを含む免疫抑制剤でGVHDの予防を続けることができる。条件付け療法の間に制吐薬として、デカドロン(Decadron)などのコルチコステロイドを使用すること、又は血液製剤又は薬物の注入と組み合わせて、これらの注入の副作用を低減するためにコルチコステロイドの単回投与量を使用することでは、患者は試験から除外されない)。
6.試験薬物の錠剤の摂取を妨げる、経口摂取物の持続性の嘔吐。
7.多臓器不全、敗血症症候群、又は他の死亡率の高い状態(即ち、余命が3ヶ月未満である)。
8.真菌生物による口腔又は食道の感染症。
9.既知のHIV血清陽性。
10.妊娠又は授乳。
11.BDPの錠剤、カプセル剤、又は吸入製品を以前に使用したことがある。
12.試験薬物の最初の投与量の前30日以内の、任意の治験薬、生物学的薬剤、又は装置の使用。
13.試験手順及び予定された試験の訪問に従うことができない。
試験薬物
ベクロメタゾン17,21−ジプロピオネート(BDP)は、ハロゲン化されたコルチコステロイドである、ベクロメタゾンのジエステルである。この試験では、これは、即時放出(IR)錠の及び腸溶コーティング(EC)錠の両方で供給及び投与され、そのどちらも1錠あたりBDP1mgを含む同じコア製剤から構成されている。プラセボのIR錠及びEC錠は、BDPが非存在であること以外は、BDPのIR錠及びEC錠に全ての面で同じである。
1mgIR錠及び1mgEC錠の組成を、表1に示す。全1日投与量を、2形態間に等しく分割した。両方の投与形態を用いる理論的根拠は、胃腸の炎症を治療する際に有効性を最大にする目的で、BDPを胃腸管の近位及び遠位の両部分に送達することであった。
表1:BDP1mg即時放出錠及び脹溶錠の組成
Figure 2008526773

NF=国民医薬品集;USP=米国薬局方
試験デザイン
これは、GI症状のあるグレードII GVHD患者における、多施設の無作為化、二重盲検、プラセボ対照の並行群試験であった。試験に参加する適格性を決定するために、患者は、腸又は皮膚の生検及び感染症の精密検査を含むスクリーニング評価を受けた。
129名の患者が登録され、経口BDP(8mg/日)又は対応するプラセボの錠剤を50日間投与するように無作為化された。無作為化を、同種移植片の供給源により(2つのHLAハプロタイプの一卵性同胞対その他全て)、及び局所コルチコステロイドの使用(はい対いいえ)により層化した。患者は全て、プレドニゾン1mg/kg/日(又は、等しい投与量の静脈内[IV]コルチコステロイド)の10日間の投与を受けた。試験10日目にGVHDが抑制されていると研究者が決定した患者は、試験11日目に開始して7日間かけて急速にそのプレドニゾンを漸減し、試験の残りの間、プレドニゾンの維持投与量の0.0625mg/kg/日が投与された。BDP投与量は、1日あたり4回投与してIR及びEC製剤の等量を含むように均等に分割された。
プレドニゾン及び試験薬物の投与を、図4に示す。試験10日目に患者のGVHDが抑制されていると研究者が判断した場合は、試験11〜17日目に、プレドニゾンの急速な漸減を開始する。
試験薬物の最初の投与量の前3日以内に、腸の感染症がないことの確認(7日以内に決定することができる)以外の、スクリーニング/ベースライン評価を行った。無作為化された患者全てに、試験1日目の朝に試験薬物を投与し、その後、何名かの患者では、この投与量の24時間後までの間、PK分析用に時間を決めた血液サンプルが採取される。全患者に対して、試験薬物の第2の投与量を試験2日目の朝に投与し、その後試験50日目まで1日4回投与した。
患者は全て、病院又は外来の診療所で、移植後の標準手順に従ってモニターした。患者は、試験10、30、50、60、及び80日目に、PK分析用の血液検体を含めた試験の評価を受けた。更に、以前の訪問以来の合間に生じた有害事象を評価し、記録した。試験50日目の朝の試験薬物の最終投与量の後、何名かの患者からPK分析用に、24時間までの間、時間を決めた血液サンプルが採取された。ベースライン時に副腎の反応性が正常であり、他の理由での試験薬物の治療不全を経験せず、又は中止せずに試験50日目に到達した患者は全て、HPA軸機能を評価するために、試験51日目の午前8時頃に再来した。
患者は、試験80日を通して、各自のプレドニゾンの生理的補充投与量を続けた。患者は全て、試験60日目及び試験80日目に診療所ベースの試験評価を受ける。患者が移植センターから帰宅していた場合は、試験80日目に、患者の地元の医師が評価を行った。患者が重大な合併症に罹り、疾患から生き残る可能性がない場合、又はホスピスの介護に入った場合は、試験薬物は中止し、あらゆる更なるプロトコールが規定した試験手順又は評価を受けることはなかった。
試験のエンドポイント
主要な有効性、安全性、及び薬物動態学的エンドポイントは以下の通りであった。
有効性
1.プロトコールに記載されているよりも高投与量の、プレドニゾン若しくは同等のIVコルチコステロイドの使用、又は他の免疫抑制薬の追加と規定される、治療不全。
2.患者が16歳以上の場合はKarnofsky Scaleスコア、又は患者が16歳未満の場合はLansky Scaleスコア。
安全性
1.有害事象
2.累積のプレドニゾン投与量(体重1kgあたり)
3.下痢、発疹、及びビリルビンレベルからの評価により決定した、GVHDの悪化。
4.HPA軸機能。
5.ベースライン時及び試験50日目における血液学的測定値(微分したもの、好酸球を含む)。
6.ベースライン時及び試験50日目における血清化学及び尿検査測定値。
7.移植後200日までの患者の生存。
薬物動態:
1.BDPの最初の投与量及び最終投与量(試験1及び50日目)後連続した時間点での、BDP、並びにその代謝産物であるベクロメタゾン17−モノプロピオネート(17−BMP)及びベクロメタゾン(BOH)の血漿濃度。
2.試験1、10、30、及び50日目における、BDP、17−BMP、及びBOH血漿濃度のトラフ濃度。
3.最初(試験1日目)及び最終(試験50日目)の、BDP、17−BMP、及びBOHの、最高血漿濃度(Cmax)、Cmaxまでの時間(Tmax)、曲線下面積(AUC)、及び排出半減期(t1/2)。
統計上の計画
有効性の分析:
この2群試験の有効性の一次エンドポイントは、治療不全までの時間であった。有効性の一次分析は、患者の無作為化の層に対してコントロールした対数順位検定を用いて試験50日を通して治療不全までの時間を比較することである。不全までの時間の積極限(product−limit)推定値を説明の目的で提供する。対数順位検定に対する帰無仮説は、不全までの時間は治療群にわたって均一であるということである。
治療不全の二次分析では、治療群を、治療不全の割合に関して、及び主要な時間点でのKarnofsky Scale(又はLansky Scale)スコアに関して比較した。試験10、30、50、60、及び80日目における治療不全の割合における差を、両側のFisherの正確確率検定を用いて、治療群間では差がないという帰無仮説で評価した。治療群間の中央値には差がないという帰無仮説を評価するために、同じ時間点におけるKarnofsky Scale(又はLansky Scale)スコアにおける差を、両側のWilcoxon検定を用いて評価した。
安全性分析:
治療で発生した有害事象を、発生率、身体システム内の発生率、重症度による発生率、試験薬物に対する関連、及び結果によりまとめた。有害事象による試験薬物の中止を、全般で、及び試験における日数によりまとめた。
GVHD患者に全身のコルチコステロイド曝露をしないですむようにするBDPの能力を、試験の過程にわたって蓄積性プレドニゾンの投与量をmg/kgで評価することにより評価した。記述用の統計を用いて、治療群を比較する。
GVHDの悪化は、試験10、30、50、及び60日目に、下痢(GI)、発疹(皮膚)、及びビリルビン(肝臓)を評価することにより評価した。これらのエンドポイントを、記述用の統計を用いて分析した。
HPA軸機能に対する経口BDPの効果は、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の血漿濃度、安静時の朝のコルチゾール、標準の試験投与量の静脈内ACTH後の血漿コルチゾール濃度の変化を測定することにより評価した。試験に登録した患者は全員、ベースライン時(試験0日目の2日前以内)に、各自のHPA軸機能を評価された。ベースライン時の副腎の反応性が正常であり、治療不全を経験しないで試験50日目に到達した患者全てを、試験51日目にHPA軸抑制に対して評価した。これらの患者は、1プロトコールあたり、生理的補充投与量のプレドニゾンを受けていた。上記に記載した3つの試験の任意のものが正常範囲外にある場合は、患者はHPA軸機能が異常である証拠を有するとみなされた。治療群間及び治療群内の結果を、記述用の統計を用いて分析した。
薬物動態学的分析:
BDP、17−BDP、及びBOHの血漿濃度を、試験1及び50日目の24時間に12回測定した。BDP、17−BMP、及びBOHの血漿濃度の有病率及び規模が許容される場合は、BDPに無作為化した各患者についてAUC、Cmax、Tmax、及びt1/2のノンコンパートメントの概算を計算した。対応のあるT検定を用いて、試験1及び50日目のPKパラメータを比較する。試験1、10、30、及び50日目のトラフ濃度を、記述用の統計を用いてまとめた。
6.3 無作為化、試験薬物治療群、及びプレドニゾン投与
患者を、2つの治療群、即ち、毎日8mgのBDP(1mgIR錠1個及び1mgER錠1個をq.i.d.投与)又はプラセボ錠剤の1つに無作為化した。両レジメンには、試験1から10日目に1日あたり2分割された投与量で投与される経口プレドニゾン(1mg/kg/日)又は等しい投与量のIVメチルプレドニゾロン(IVメチルプレドニゾロンの投与量=0.8×経口プレドニゾンの投与量)が含まれていた。
適格な患者は、4つの層の1つに適合していた:1)2つのHLAハプロタイプの一卵性同胞で、ベースライン時にコルチコステロイドを局所使用、2)他の同種移植片の供給源で、ベースライン時にステロイドの局所使用、3)2つのHLAハプロタイプの一卵性同胞の移植片で、ベースライン時にコルチコステロイドの局所使用なし、又は4)他の同種移植片の供給源で、ベースライン時にステロイドの局所使用なし。薬剤師は、患者に正しい層を決定した後、その層における次の患者番号を、患者に割り当てた。薬剤師は、Enteronにより供給された各部位に独特のブロックランダム化スケジュールに従って試験薬物を処方する。
試験10日目に、患者に対してGVHDの徴候及び症状を評価した。研究者が判断して、GVHDが十分に抑制されているという反応基準を満たした両治療群の患者に対しては、試験11日目に始まる7日間でプレドニゾンを漸減した(表2)。プレドニゾンの生理的補充投与量を、試験17日目に始まる試験の残り期間に投与した。試験10日目にGVHDが抑制されていないと研究者が判定した場合は、患者は試験薬物を中止したが、プレドニゾンを初めに1mg/kg/日で継続した。これらの患者は治療不全例とみなされた。治療不全例では、医師は、適切とみなした場合、その後プレドニゾンの投与量を加減した。
表2:プレドニゾン投与量及び漸減スケジュール
Figure 2008526773

又は、等価用量のIVコルチコステロイド(IVメチルプレドニゾロンの投与量=0.8×経口プレドニゾンの投与量)
試験期間のプレドニゾンの投与量は、ベースラインの訪問(試験0日目)時の患者の体重に基づくものであった。1日のプレドニゾン投与情報を修正するのに、毎日の日誌を使用する。
漸減の間に副腎機能不全の徴候又は症状が生じた場合は、医学的ストレスのレベルに応じてより高投与量でプレドニゾンを再開し、より緩やかな漸減を行った。プレドニゾンの漸減の間に患者のGVHDが悪化した場合は、研究者の裁量でより高投与量のプレドニゾンを再開し、患者は治療不全とみなした。しかし、外科手術など、予測された期間の医学的ストレスの間に副腎の反応性低下の可能性を補うためにより高投与量のコルチコステロイドが<96時間処方された場合は、治療不全のこの定義に例外が適用された。
結果
DOR BioPharma,Inc.は、orBec(登録商標)が、一次エンドポイントにおける陽性の傾向、及び死亡率に統計学的に高度に有意な減少を実証する腸の移植片対宿主病に対して中枢となるorBec(登録商標)のIII相臨床試験の最も重要な結果を発表する。
フロリダ州マイアミ、2004年12月30日、DOR BioPharma,Inc.(AMEX:DOR)(「DOR」又は「当社」)は、腸の移植片対宿主病(iGVHD)の治療に対してorBec(登録商標)(経口ベクロメタゾンジプロピオネート)の、その多施設の、中枢となるIII相臨床試験の最も重要な結果を発表した。
腸の移植片対宿主病(iGVHD)について
iGVHDは、生命を脅かす状態であり、骨髄移植処置の不全の最も一般的な原因の1つである。これらの処置は、残存する疾患を排除し、再発の見込みを低減するという期待から、白血病及び他の癌患者を治療するのにますます利用されている。orBec(登録商標)は、GVHDが最も頻繁に発症し、非常にやっかいとなる臓器系である、腸内でのGVHDの発現を治療する目的で作製した、この種で最初の経口の局所作用性治療薬である。orBec(登録商標)は、iGVHDを治療するために、全身性免疫抑制薬の必要性を低減することを意図するものである。iGVHDを抑制するために利用されている、現在認可済みの全身性免疫抑制薬は、骨髄移植片の非常に好ましい移植片対白血病(GVL)効果を実質的に阻害し、高率の悪性型の再発、及び日和見感染による相当な率の死亡率をもたらす。
試験デザイン
グレードII iGVHDを表す129名の骨髄移植後の患者が、無作為化した、二重盲検の、プラセボ対照の、多施設の臨床試験に登録し、臨床試験は米国及びフランスの16の骨髄移植センターで行った。第3相の臨床試験における患者を全て、最初、現在標準的な治療法である一定のプレドニゾンの高投与量(1〜2mg/kg)の1日投与量を、orBec(登録商標)(8mg/日)又はプラセボのいずれかの経口投与量と組み合わせて、最初の10日間治療した。10日目に、患者が治療に反応した場合は、高投与量のプレドニゾンを急速に漸減し、患者には更なる40日間、orBec(登録商標)又はプラセボのいずれかを経口的に引き続き与えた。試験の一次エンドポイントは、GVHDの徴候又は症状が抑制されないことによる追加治療の必要性と規定される、治療不全までの時間の2治療群間の比較であった。試験の二次エンドポイントには、無作為化10日、30日、50日、60日、及び80日後の、治療不全及び臨床スコアの割合の比較、全身性ステロイドへの累積の曝露の比較、並びに移植200日後における死亡率の比較が含まれていた。
現在の最も重要なデータ
Figure 2008526773

n/a=統計学的方法により達成されず
治療不全までの時間
orBec(登録商標)は、50日を通して治療不全までの時間の一次エンドポイントにおける統計学的有意性を達成しなかったが(p値0.1177)、orBec(登録商標)は、80日を通して治療不全までの時間の二次エンドポイントにおける統計学的有意性を達成した(p値0.0226)。当社は、50日を通して主要なエンドポイントで達成した0.1177というp値は、主に、試験0〜10日の間の治療不全の予想した率よりも高いことによると考えている。この期間の間、患者は、高投与量のプレドニゾン(1〜2mg/kg/日)、プラスorBec(登録商標)(8mg/日)又はプラセボのいずれかを投与されていた。この試験の目的では、レジメンで要求される10日目に高投与量のプレドニゾンの急速な漸減を開始しなかった患者は、50日目における治療不全までの時間の統計学的有意性の計算を含む、全ての目的に対して治療不全とみなされた。当社は、0〜10日目の治療不全群、及びこの群が50日目における治療不全までの時間の一次エンドポイントに及ぼす統計上の影響を更に分析し、この分析の結果をFDAと検討するつもりである。励みになることには、50日目における治療不全の割合は、統計学的有意性に接近していた(p値0.0515)。更に、80日目における治療不全までの時間の二次エンドポイント、及び80日目における治療不全の割合は、各々、統計学的有意性を達成した(それぞれ、p値0.0226及び0.0048)。
orBec(登録商標)は、死亡率における統計学的に高度に有意な減少を実証する
おそらく最大の臨床上の関連性で、orBec(登録商標)は、死亡率の70%の減少を実証し、先を見越して規定される移植後200日の期間の間に死亡は5名(8%)しか記録されず、それに対し、プラセボ群では死亡は17名(26%)であった(p値0.006)。当社が行った別の分析に基づくと、治療不全と死亡率の間には、また、統計学的に有意な相関がある。
図1は、プラセボ又はBDPを投与された患者における、最初の50日間の累積の治療不全を示している。
図2は、プラセボ又はBDPを投与された患者における、最初の80日間の累積の治療不全を示している。
表13.Kaplan−Meier法に基づく特定の時間点における累積の治療不全率の概算(全分析セット)
Figure 2008526773

1頁の1
累積の治療不全率は、Kaplan−Meier分布の補数から概算してある。
Kaplan−Meierの概算の分散(標準誤差)は、Greenwoodの公式を用いて計算してある。
治療不全率における差の検定(プラセボ−BDP)は、Z検定に基づく。
有意レベルは0.05(両側)。
有意性の多重検定に対して調節していない。
表28.全体の生存状態−移植後200日(安全性解析対象集団)
Figure 2008526773

1頁の1
本発明の別の一態様は、リンパ腫、白血病、及びミエローマなどの血液由来の癌の治療の改善である。この方法は、造血細胞移植を受けた患者に局所作用性コルチコステロイド(以降「TAC」)の有効量を経口投与することを含む。
TACの投与により、造血細胞移植後に引き起こされる移植片対白血病(GVL)反応が制御され、その結果GVHD反応が発症せず、又は重症度が低減される。GVL反応により、造血細胞移植に由来する細胞が介在する、血液における癌性の腫瘍細胞の死滅がもたらされる。このような投与を造血細胞移植後1日目に開始するのが好ましく、造血細胞移植後最高80日、又は365日ほど継続するのが好ましい。
本発明の重要な一態様は、TACが腸及び/又は肝臓組織に局所的に投与されるように、TACを経口投与することである。したがって、本明細書で用いる経口投与では、静脈内注射などによるあらゆる形態の全身性の投与を除外することが意図される。経口投与により、TACには、(あるとしても)殆んど全身性の有効性がないが、腸及び/又は肝臓組織に対して高度に局所作用があることが確実になる。このように分布が限定されることにより、副作用は少なくなり、これが本発明の意義深い利点である。
TACの好適な製剤(腸溶カプセルなど)により、TACは高投与量で腸及び/又は肝臓の粘膜表面全てに送達され得る。したがって、TACは、同種免疫認識の開始事象が行われる腸粘膜で、高濃度を達成することができる。この開始事象を弱めることで、GVHD及びHVGDの症候群を構成する生体事象の大カスケードを防止すると考えられている。
本発明の方法は、造血細胞移植又は臓器同種移植片移植を受けた、又は受ける患者に対しての、局所作用性コルチコステロイド(TAC)の有効量の経口投与を使用する。代表的なTACには、それだけには限定されないが、ベクロメタゾン17,21−ジプロピオネート、アルクロメタゾンジプロピオネート、ブセドニド(busedonide)、22Sブセドニド、22Rブセドニド、ベクロメタゾン−17−モノプロピオネート、クロベタゾールプロピオネート、ジフロラゾンジアセテート、フルニソリド、フルランドレノイド、フルチカゾンプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ハルシノサイド(halcinocide)、モメタゾンフロエート、及びトリアムシノロンアセトニドが含まれる。このようなTACは、例えば、腸の障害の分野の技術者にはよく知られており、あらゆる数の供給源から市販されている。本発明を実施するのに有用な適切なTACは、以下の特徴を有するあらゆるものである:腸及び肝臓における初回通過代謝が速い、全身性のバイオアベイラビリティが低い、局所作用が高い、及び排泄が速い(例えば、Thiesenら、Alimentary Pharmacology&Therapeutics、10巻、487〜496頁、1996年を参照されたい)(本明細書に参照として組み入れられる)。
本発明の好ましい一実施形態では、TACはベクロメタゾンジプロピオネート(BDP)である。各剤形におけるTACの有効量は、患者によって異なることがあり、当業者であればよく知られている投与量−反応の試験により容易に決定することができる。このような有効量は、一般的には約0.1mg/日から約8mg/日の間の範囲であり、より典型的には約2mg/日から約4mg/日の間の範囲である。したがって、適切なカプセル又は丸剤は、一般的にTACを1mgから2mg、典型的にはTACを約1mg、プラス、ラクトースなどの任意選択の充填剤を含み、酢酸フタル酸セルロースなどの様々な材料でコーティングすることができる。適切なコーティングにより、このようなカプセル、微小球、又は丸剤を、腸管の様々な場所内で溶解するように作ることができる。例えば、酢酸フタル酸セルロースのコーティングで調製されている腸溶カプセルは、小腸のアルカリ性の環境で溶解することが知られており、したがってその内容を小腸及び結腸に送達する。場合により乳化剤を含めたTACを含む乳剤を、経口送達のために使用することもできる。
TACの他に、許容できる担体及び/又は希釈剤を使用することができ、当業者には精通している。丸剤、カプセル剤、微小球、顆粒剤、又は錠剤の形態の製剤は、1つ又は複数のTACの他に、希釈剤、分散及び界面活性剤、結合剤、並びに滑沢剤を含むことができる。当業者であれば、好適なやり方で、及び、「Remingtonの薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)」、Gennaro編集、Mack Publishing Co.、Easton、ペンシルバニア州、1990年(本明細書に参照として組み入れられる)に公開されているもののような容認されている慣例により、TACを更に製剤することができる。
任意選択の成分として、(それだけには限定されないが)プレドニゾン、プレドニゾロン、シクロスポリン、メトトレキセート、タクロリムス、及び抗リンパ球グロブリン、抗T細胞モノクローナル抗体、又は抗T細胞免疫毒など、Tリンパ球に影響を及ぼす生物学的物質を含む他の有効物質をTACと組み合わせて投与することができる。プレドニゾン又はプレドニゾロンは、少なくとも約1mg/kg体重/日の濃度で投与することが好ましい。
GVHDに関しては、TACの長期治療投与は、造血細胞の注入後第1日の後に開始し、造血細胞の注入後80日間及び最高365日継続することが好ましい。
ミニ移植は、従来の幹細胞移植ほど激しい移植前処置を必要とせず、したがって抗腫瘍効果は、主に、移植片対白血病(GVL)又は移植片対腫瘍(GVT)効果によって行われる。GVHDは、GVL/GVT効果に対する代用マーカーとして作用することができる。ミニ移植後のGVHDの発生率及び重症度は、従来の幹細胞移植(CST)後とほぼ同じである。宿主抗原提示細胞(APC)は、GVHDの発症で重要な役割を果たし、したがってドナー−宿主キメラ現象の存在は重大である。
本発明の別の一態様は、全身に比べて胃腸系及び/又は肝臓で主に免疫抑制効果を発揮する、局所性の免疫抑制薬の薬学的に有効な量を経口投与することにより、1回又は複数回のミニ移植処置後に、動物に混合キメラ現象を促進する方法である。
本明細書には、例示の目的で本発明の特定の実施形態が記載されているが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなしに、様々な変更を行うことができることが理解されよう。
プラセボ又はBDPを投与された患者における最初の50日間の累積の治療不全を示す図である。 プラセボ又はBDPを投与された患者における最初の80日間の累積の治療不全を示す図である。 全体の生存期間−無作為化後(安全性解析対象集団)を示す図である。 プレドニゾン及び試験薬物投与を示す図である。

Claims (47)

  1. 全身に比べて胃腸系及び/又は肝臓で主に免疫抑制効果を発揮する、局所性免疫抑制薬の薬学的に有効な量を経口投与することにより、骨髄又は幹細胞の移植処置後の動物における癌の再発を治療する方法。
  2. GVHDを避ける一方で免疫治療効果を促進するために、ある疾患に対して免疫活性な細胞のBMTで前記疾患を治療し、その後、局所作用性経口免疫抑制薬で治療する方法。
  3. 全身に比べて胃腸系及び/又は肝臓で主に免疫抑制効果を発揮する、局所性免疫抑制薬の薬学的に有効な量を経口投与することにより、1回又は複数回のミニ移植処置後の動物における癌の再発を治療する方法。
  4. 癌が血液由来の癌である、請求項3に記載の方法。
  5. 癌が白血病である、請求項4に記載の方法。
  6. GVHDの発生率又は重症度を最小にする一方で、GVL及び又はGVT効果を促進する、請求項3に記載の方法。
  7. GVHDの発生率又は重症度を最小にする一方で、全身の耐性を促進する、請求項3に記載の方法。
  8. 全身に比べて胃腸系及び/又は肝臓で主に免疫抑制効果を発揮する、局所性免疫抑制薬の薬学的に有効な量を経口投与することにより、1回又は複数回のミニ移植処置後の動物における混合キメラ現象を促進する方法。
  9. GVHDの発生率又は重症度を最小にする一方で、GVL及び又はGVT効果を促進する、請求項8に記載の方法。
  10. GVHDの発生率又は重症度を最小にする一方で、全身の耐性を促進する、請求項8に記載の方法。
  11. 局所作用性コルチコステロイドを、少なくとも1mg/kg体重/日の濃度のプレドニゾン又はプレドニゾロンと組み合わせて投与する、請求項8に記載の方法。
  12. 患者が同種骨髄移植を受け終えている、請求項8に記載の方法。
  13. 患者が同種血液移植を受け終えている、請求項8に記載の方法。
  14. 局所作用性コルチコステロイドを、シクロスポリン、メトトレキセート、タクロリムス、抗リンパ球グロブリン、抗T細胞モノクローナル抗体、及び抗T細胞免疫毒素の少なくとも1つと組み合わせて投与する、請求項8に記載の方法。
  15. 局所作用性コルチコステロイドが、アルクロメタゾンジプロピオネート、ブセドニド、22Sブセドニド、22Rブセドニド、ベクロメタゾン−17−モノプロピオネート、クロベタゾールプロピオネート、ジフロラゾンジアセテート、フルニソリド、フルランドレノリド、フルチカゾンプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ハルシノサイド、モメタゾンフロエート、又はトリアムシノロンアセトニドである、請求項8に記載の方法。
  16. 造血細胞移植を行うこと、並びにa)約10日間は高投与量、その後7日間で漸減し、残り治療期間はより低い投与量の免疫抑制薬と、b)約50〜365日間の有効量の局所作用性コルチコステロイドとを、それを必要とする対象に共投与することを含む、血液由来の癌の動物を治療する方法。
  17. 局所作用性コルチコステロイドを、即時放出製剤及び腸溶製剤の両方で投与する、請求項16に記載の方法。
  18. 局所作用性コルチコステロイドを、少なくとも1mg/kg体重/日の濃度でプレドニゾン又はプレドニゾロンと組み合わせて投与する、請求項16に記載の方法。患者が、同種骨髄移植を受け終えている、請求項1に記載の方法。
  19. 患者が同種血液移植を受け終えている、請求項16に記載の方法。
  20. 局所作用性コルチコステロイドを、シクロスポリン、メトトレキセート、タクロリムス、抗リンパ球グロブリン、抗T細胞モノクローナル抗体、及び抗T細胞免疫毒素の少なくとも1つと組み合わせて投与する、請求項16に記載の方法。
  21. 局所作用性コルチコステロイドが、アルクロメタゾンジプロピオネート、ブセドニド、22Sブセドニド、22Rブセドニド、ベクロメタゾン−17−モノプロピオネート、クロベタゾールプロピオネート、ジフロラゾンジアセテート、フルニソリド、フルランドレノリド、フルチカゾンプロピオネート、ハロベタゾールプロピオネート、ハルシノサイド、モメタゾンフロエート、又はトリアムシノロンアセトニドである、請求項16に記載の方法。
  22. a)約10日間は約1〜2mg/kg/日、その後7日間で漸減し、残り治療期間は約0.0625mg/kg/日の生理的補充投与量のプレドニゾンと、b)約50日間の約4〜12mgq.i.d.の経口BDPとを、それを必要とする対象に共投与することを含み、BDPを即時放出製剤及び腸溶製剤の両方で投与する、造血細胞移植に起因する移植片対宿主病に付随する死亡率を低下させるための方法。
  23. 前記対象がヒトである、請求項22に記載の方法。
  24. BDPを、1日あたり約4.0mgから1日あたり約8mgの間の投与量で経口投与する、請求項22に記載の方法。
  25. BDPを、1日あたり約2mgから1日あたり約4mgの間の投与量で経口投与する、請求項22に記載の方法。
  26. BDPを、造血細胞移植後1日目から約80日目まで経口投与する、請求項22に記載の方法。
  27. BDPを、造血細胞移植後1日目から約50日目まで経口投与する、請求項22に記載の方法。
  28. BDPが丸剤、錠剤、カプセル剤、又は微小球の形態である、請求項22に記載の方法。
  29. 丸剤、微小球、又はカプセル剤が、胃、小腸、又は結腸で溶解するようにBDPが製剤されている、請求項28に記載の方法。
  30. BDPが乳剤の形態で経口投与用に製剤されている、請求項22に記載の方法。
  31. BDPの投与を前記共投与治療の開始後50日で終了する、請求項22に記載の方法。
  32. BDPの投与を前記共投与治療の開始後80日で終了する、請求項22に記載の方法。
  33. 対象が同種骨髄移植を受け終えている、請求項22に記載の方法。
  34. 患者が同種血液移植を受け終えている、請求項22に記載の方法。
  35. BDPを、シクロスポリン、メトトレキセート、タクロリムス、抗リンパ球グロブリン、抗T細胞モノクローナル抗体、及び抗T細胞免疫毒素の少なくとも1つと組み合わせて投与する、請求項22に記載の方法。
  36. 造血細胞移植を行うこと、並びにa)約10日間は約1〜2mg/kg/日、その後7日間で漸減し、残り治療期間は約0.0625mg/kg/日の生理的補充投与量のプレドニゾンと、b)約50日間の約4〜12mgq.i.d.の経口BDPとを、それを必要とする対象に共投与することを含み、BDPを即時放出製剤及び腸溶製剤の両方で投与する、白血病を治療するための方法。
  37. 前記対象がヒトである、請求項36に記載の方法。
  38. BDPを、1日あたり約4.0mgから1日あたり約8mgの間の投与量で経口投与する、請求項36に記載の方法。
  39. BDPを、1日あたり約2mgから1日あたり約4mgの間の投与量で経口投与する、請求項36に記載の方法。
  40. BDPを、造血細胞移植後1日目から約80日目まで経口投与する、請求項36に記載の方法。
  41. BDPが丸剤、錠剤、カプセル剤、又は微小球の形態である、請求項36に記載の方法。
  42. 丸剤、微小球、又はカプセル剤が、胃、小腸、又は結腸で溶解するようにBDPが製剤されている、請求項41に記載の方法。
  43. BDPが乳剤の形態で経口投与用に製剤されている、請求項36に記載の方法。
  44. BDPの投与を前記共投与治療の開始後50日で終了する、請求項36に記載の方法。
  45. 対象が同種骨髄移植を受け終えている、請求項36に記載の方法。
  46. 患者が同種血液移植を受け終えている、請求項36に記載の方法。
  47. BDPを、シクロスポリン、メトトレキセート、タクロリムス、抗リンパ球グロブリン、抗T細胞モノクローナル抗体、及び抗T細胞免疫毒素の少なくとも1つと組み合わせて投与する、請求項36に記載の方法。
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