JP2008508399A - 無機充填ポリアミド組成物のメッキ方法およびそれによって形成された物品 - Google Patents

Abstract

可塑剤を含有する無機充填ポリアミド組成物を含む金属メッキされた物品の製造方法、およびそれによってメッキされた物品。メッキ物品は目に見える表面欠陥の減少した出現率を有する。

Description

本発明は、無機充填剤を含有する金属メッキされたポリアミド樹脂組成物の製造方法に関する。より具体的には本発明は、その多数の最終用途と共に、充填剤および可塑剤を含有するかかる組成物の製造方法に関する。

（関連出願の相互参照）
本件出願は２００４年７月２７日出願の米国仮特許出願第６０／５９１，５３３号の優先権を主張するものである。

無機充填ポリアミド樹脂組成物は良好な耐化学薬品性、剛性、および寸法安定性を有する。かかる組成物は、良好な表面外観を必要とする用途での使用に好適であり、かかる用途向けには組成物から製造された物品を金属メッキすることがしばしば望ましい。しかしながら、しばしば明るい色のまたは白色の縞または汚れの形態にある、マーブリングなどの表面欠陥が無機充填ポリアミド組成物から成形された物品の表面上にしばしば現れる。これらの表面欠陥はメッキ後でさえも物品の表面上で目に見ることができる。これはメッキ物品の高い棄却率をもたらす。

（特許文献１）は、ポリフタルアミド、シリコンオイル、カルボキシル変性ゴム様オレフィンポリマー、および無機充填剤を含むポリフタルアミドブレンドを記載している。該ブレンドは、メッキされた時に改善されたメッキ付着および表面外観を有すると言われている。

無機充填ポリアミド組成物を含む改善された表面外観のメッキ物品の入手方法を有することは望ましいであろう。

欧州特許第６９０ ０９８号明細書 米国特許第３，４４５，３５０号明細書

重量百分率が組成物の総重量を基準としている、
（ａ）約４０〜約９５重量パーセントの少なくとも１つのポリアミド、
（ｂ）約５〜約５０重量パーセントの少なくとも１つの無機充填剤、および
（ｃ）約０．１〜約１０重量パーセントの少なくとも１つの可塑剤
を含むポリアミド組成物を含む物品に金属メッキを施す工程を含む、金属メッキされたポリアミド組成物の製造方法が本明細書で開示され、権利請求の対象となる。

さらに、本明細書に記載される方法によってメッキされた、これらの組成物を組み入れた多種多様な物品が本明細書で開示され、権利請求の対象となる。

良好な表面外観の金属メッキされた無機充填ポリアミド組成物はポリアミド、無機充填剤、および可塑剤を溶融ブレンドすることによって得られたポリアミド組成物がメッキされた時に得ることができることが発見された。

本発明の方法で使用されるポリアミドは少なくとも１つの熱可塑性ポリアミドである。好適なポリアミドは、ジカルボン酸およびジアミン、および／またはアミノカルボン酸の縮合生成物、および／または環状ラクタムの開環重合生成物であることができる。好適なジカルボン酸には、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、イソフタル酸、およびテレフタル酸が含まれる。好適なジアミンには、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、２−メチルペンタメチレンジアミン、２−メチルオクタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス（ｐ−アミノシクロヘキシル）メタン、ｍ−キシリレンジアミン、およびｐ−キシリレンジアミンが含まれる。好適なアミノカルボン酸は１１−アミノドデカン酸である。好適な環状ラクタムはカプロラクタムおよびラウロラクタムである。好ましいポリアミドには、ポリアミド６、ポリアミド６，６、ポリアミド４，６、ポリアミド６，１０、ポリアミド６，１２、ポリアミド１１、ポリアミド１２などの脂肪族ポリアミド；およびポリ（ｍ−キシリレンアジパミド）（ポリアミドＭＸＤ，６）、ポリ（ドデカメチレンテレフタルアミド）（ポリアミド１２，Ｔ）、ポリ（デカメチレンテレフタルアミド）（ポリアミド１０，Ｔ）、ポリ（ノナメチレンテレフタルアミド）（ポリアミド９，Ｔ）、ヘキサメチレンアジパミド−ヘキサメチレンテレフタルアミド・コポリアミド（ポリアミド６，Ｔ／６，６）、ヘキサメチレンテレフタルアミド−２−メチルペンタメチレンテレフタルアミド・コポリアミド（ポリアミド６，Ｔ／Ｄ，Ｔ）などの半芳香族ポリアミド；ならびにコポリマーおよびこれらのポリマーの混合物が含まれる。好ましいポリアミドには、ポリアミド６、ポリアミド６，６、ポリアミド６，Ｔ／６，６、およびポリアミド６，Ｔ／Ｄ，Ｔが含まれる。

ポリアミドは、重量百分率が組成物の総重量を基準とする、組成物の約４０〜約９５重量パーセント、好ましくは約４５〜約９０重量パーセント存在する。

様々な無機充填剤が本発明の方法で使用されてもよい。前述のものの一般性を限定するという意図なしに、例には、硫酸マグネシウム、カ焼粘土（ケイ酸アルミニウム）、ウォラストナイト（ケイ酸カルシウム）、タルク（ケイ酸マグネシウム）、硫酸バリウム、雲母、二酸化チタン、炭酸ナトリウム・アルミニウム、バリウムフェライト、およびチタン酸カリウムが挙げられる。

本方法がメッキを含む場合、無機充填剤はそれがエッチングに用いられる条件下でメッキに使用されるエッチング液に不溶であるように選択されることが好ましい。

無機充填剤はポリアミド組成物中に、組成物の総重量を基準として、約５〜約５０重量パーセント、好ましくは約１５〜約５０重量パーセント存在する。

本発明の方法で使用される可塑剤は、使用されるポリアミドと混和性であろう。本発明での使用に好適な可塑剤の例にはとりわけ、スルホンアミド、好ましくはベンゼンスルホンアミドおよびトルエンスルホンアミドなどの芳香族スルホンアミドが挙げられる。好適なスルホンアミドの例には、Ｎ−ブチルベンゼンスルホンアミド、Ｎ−（２−ヒドロキシプロピル）ベンゼンスルホンアミド、Ｎ−エチル−ｏ−トルエンスルホンアミド、Ｎ−エチル−ｐ−トルエンスルホンアミド、ｏ−トルエンスルホンアミド、ｐ−トルエンスルホンアミドなどのＮ−アルキルベンゼンスルホンアミドおよびトルエンスルホンアミドが挙げられる。Ｎ−ブチルベンゼンスルホンアミド、Ｎ−エチル−ｏ−トルエンスルホンアミド、およびＮ−エチル−ｐ−トルエンスルホンアミドが好ましい。可塑剤はポリアミド組成物中に、組成物の総重量を基準として、約０．１〜約１０重量パーセント、好ましくは約０．５〜約５重量パーセント存在する。

ポリアミド組成物は強化剤、耐衝撃性改良剤、難燃剤、滑剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、金型剥離剤、着色剤などの追加の任意の原料を溶融ブレンドすることによって製造されてもよい。好ましい強化剤はガラスファイバーである。好ましい追加原料は、１つまたは複数のモノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、高級酸、またはアミノ酸などの、少なくとも１つの有機カルボン酸である。好ましい酸はドデカン二酸およびアジピン酸である。使用される場合、有機酸は好ましくは、ポリアミドの総重量を基準にして、約０．０１〜約３重量パーセントで、より好ましくは約０．０１〜約１重量パーセントで使用されるであろう。

本発明で使用される組成物は、非ポリマー原料のすべてがポリアミドマトリックス中に均一に分散され、それによって結び付けられ、その結果ブレンドが統合全体を形成する、溶融混合ブレンドの形態にある。ブレンドは、当業者の間で理解されるような任意の溶融ブレンディング法を用いて成分材料を組み合わせることによって得られてもよい。成分材料は、樹脂組成物を与えるための、単軸または二軸スクリュー押出機、ブレンダー、混練機、バンバリー（Ｂａｎｂｕｒｙ）ミキサーなどの溶融ミキサーを用いて均一まで混合されてもよい。または、材料の一部が溶融ミキサーでブレンドされ、材料の残りが次に加えられ、そして均一になるまでさらに溶融ブレンドされてもよい。

本発明で使用されるポリアミド組成物を含む物品は、当業者に公知の方法による成形によって製造されてもよい。射出成形、押出成形、ブロー成形、射出ブロー成形、ガス射出成形、水射出成形などの普通に用いられる溶融成形法が好ましい。

物品は当業者に公知の方法を用いて金属メッキされてもよい。典型的には、かかる方法は、クロム酸／硫酸ブレンドなどの酸で物品の表面をエッチングする工程と、引き続いて表面上に錫安定化コロイド状パラジウム粒子などのメッキ触媒を溶着させ、次に錫安定剤を除去する工程と、ニッケルまたは銅などの金属の層の無電解メッキを施す工程と、銅、ニッケル、および／またはクロムなどの金属の電解メッキを施す（電気メッキする）工程とを含む。好適な方法の詳細な説明は、本明細書に参照により援用される、米国特許公報（特許文献２）に見いだすことができる。

本発明の方法で金属メッキされた物品は、内部または外部・ドアハンドル、トランクハンドル、ギアシフター、ロゴ、ステアリングホイール、ホイールカバー、ハブキャップ、トリムなどの自動車用途で、ならびにオートバイおよびスクーター用のエンジンカバー、タンク給油口蓋およびハンドルバー端などで使用されてもよい。本物品は、電気製品（例えば冷蔵庫、オーブンなど）ハンドル、引き出し取っ手およびノブ、食器棚ハンドルおよびノブ、シャワーヘッド、蛇口および蛇口ハンドル、鏡枠、タオルラック、石鹸皿、トイレットペーパーホルダー、トイレ水洗レバー、スイッチおよびコンセントカバープレート、支持体、ブラケットなどのハードウェア用途で使用されてもよい。本物品は、ガラスラック、シャンパンバケット、香水瓶ストッパー、ワインラック、ナイフラックなどの家庭用途で、ならびにカメラ、ビデオカメラ、携帯電話、およびコンピュータハウジングなどのエレクトロニクス用途で使用されてもよい。上記のようにリストされた使用および用途の範囲を考えれば、これらを越える、無数の用途をカバーする他の物品が想像されることは容易に理解される。

本発明の方法を用いて製造されたメッキされた無機充填ポリアミド物品は、可塑剤を含有しない組成物を使用して製造されたものより少ない表面欠陥および改善された表面外観を有する。

実施例および比較例を記載する表で使用される材料は次の通り特定される。
ポリアミド６は４７の相対粘度のポリアミドである。
カ焼粘土は、イメリーズ・ミネラルズ社、英国コーンウォール（Ｉｍｅｒｙｓ Ｍｉｎｅｒａｌｓ Ｌｔｄ．，Ｃｏｒｎｗａｌｌ ＵＫ）から入手可能な、ポラライト（Ｐｏｌａｒｉｔｅ）（登録商標）１０２Ａである。
熱安定剤はヨウ化カリウム、ヨウ化銅、およびアルミニウムジステアレートのブレンドである。

ノッチ付きシャルピー（Ｎｏｔｃｈｅｄ Ｃｈａｒｐｙ）衝撃強度はＩＳＯ（国際標準化機構）方法１７９／１ｅＡを用いて成形したままドライで測定した。引張弾性率、破断応力、および破断歪みはＩＳＯ １５７−１／２を用いて成形したままドライで測定した。

表面外観は、標準的な射出成形機を様々な射出速度で用いた射出成形プラークによって評価した。各プラークの表面を欠陥について目視により検査した。表面が主にマーブリング、または白色の縞および汚れである外観欠陥を示した場合、それは不合格と見なした。マーブリングを示すことなく本組成物を射出成形できる最高射出速度を「マーブリングなしの最高射出速度」という見出し下に表１に示す。少なくとも２０ｍｍ／秒の速度を合格と見なした。

サンプルを、商業メッキ施設での標準メッキ技術を用いてクロムメッキした。

（実施例１〜６および比較例１）
実施例１〜６について表１に示す原料を、約２６０℃で運転する５５ｍｍ混練機で溶融ブレンドした。溶融温度は約３００℃であった。可塑剤はダイに近い液体注入器によって供給した。押出機を出ると直ぐにストランドを冷却し、ペレットへカットした。比較例１は、本願特許出願人から入手可能なミンロン（Ｍｉｎｌｏｎ）（登録商標）７３Ｍ４０ ＮＣ０１０であった。物理的特性および組成物のマーブリングを全く示さない成形プラークをもたらす射出成形速度を測定した。結果を表１に示す。

比較例１の組成物から射出成形したプラークをクロムメッキした場合、表面上で目に見える欠陥がメッキした表面上で明らかに目に見えた。プラークを実施例６の組成物から射出成形した場合、表面欠陥は全く目に見えなかった。これらのプラークをクロムメッキした場合、欠陥は表面上で全く目に見えなかった。実施例４および５の組成物から射出成形した物品をクロムメッキした場合、容易に明らかな表面外観欠陥はメッキ表面上に全くなかった。

Claims (10)

1. 重量百分率が組成物の総重量を基準としている、
   （ａ）約４０〜約９５重量パーセントの少なくとも１つのポリアミド、
   （ｂ）約５〜約５０重量パーセントの少なくとも１つの無機充填剤、および
   （ｃ）約０．１〜約１０重量パーセントの少なくとも１つの可塑剤
   を含むポリアミド組成物を含む物品に金属メッキを施す工程を含むことを特徴とする金属メッキされたポリアミド組成物の製造方法。
2. 前記ポリアミドがポリアミド６、ポリアミド６，６、ポリアミド６，Ｔ／６，６、またはポリアミド６，Ｔ／Ｄ，Ｔの１つまたは複数であることを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記ポリアミド組成物がポリアミド（ａ）の総重量を基準にして（ｄ）約０．０１〜約３重量パーセントの少なくとも１つの有機酸をさらに溶融ブレンドすることによって製造されることを特徴とする請求項１に記載の方法。
4. 前記有機酸がドデカン二酸および／またはアジピン酸であることを特徴とする請求項３に記載の方法。
5. 前記無機充填剤がカ焼粘土、タルク、および／またはウォラストナイトであることを特徴とする請求項１に記載の方法。
6. 前記可塑剤がＮ−ブチルベンゼンスルホンアミド、Ｎ−エチル−ｏ−トルエンスルホンアミド、またはＮ−エチル−ｐ−トルエンスルホンアミドの１つまたは複数であることを特徴とする請求項１に記載の方法。
7. 前記金属メッキ工程が前記物品の表面を酸でエッチングする工程と、エッチングされた表面にメッキ触媒を塗布する工程と、無電解金属メッキを施す工程と、電気メッキを施す工程とを含むことを特徴とする請求項１に記載の方法。
8. 請求項１に記載の方法によってメッキされることを特徴とする物品。
9. 車両ドアハンドル、トランクハンドル、ギアシフター、ロゴ、ステアリングホイール、ホイールカバー、トリムエレメント、またはハブキャップの形態にあることを特徴とする請求項８に記載の物品。
10. オートバイもしくはスクーター・エンジンカバー、タンク給油口蓋、トリムエレメント、またはハンドルバー端の形態にあることを特徴とする請求項８に記載の物品。