JP2008508263A - 白頭翁根の抗腫瘍効果を向上させる方法及びその方法により調合した組成物 - Google Patents

白頭翁根の抗腫瘍効果を向上させる方法及びその方法により調合した組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は白頭翁根を酵素反応させ抽出することで、抗腫瘍活性が強い3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン(コードNo.SB365)が増量した組成物に関する。

Description

本発明は、白頭翁根の抗腫瘍効果を向上させる方法及びその方法により調合した組成物に関する。
白頭翁根(Pulsatillae radix)はキンポウゲ科(Ranunculaceae)に属するオキナグサ(Pulsatilla
koreana)の根を乾燥したものである。(非特許文献1:K.W. Bae、韓国植物相の画報本)。白頭翁根は漢方薬として血液浄化、収斂、止血、下痢止め薬等に使用される。白頭翁根の抽出物はアメーバ赤痢とトリコモナスに対して抗菌性効果があると報告されている。白頭翁根のサポニンも抗ガン性作用があると報告されている。
乾燥白頭翁根には、約9%のサポニンが含まれる。現在まで分離されたサポニンとしては、プロトアネモニン(protoanemonin)、アネモニン(anemonin)、ラヌンキュリン(ranunculin)、ヘデラゲニン(hederagenin)、ベトゥリニック酸(betulinic
acid)、およびオレアノール酸(oleanolic acid)誘導体とその配糖体がある。白頭翁根のサポニンの作用に対する研究はあまり為されていない。その中で、プロトアネモニンは有糸分裂毒性(mitotoxicity)を持つと報告されている(Vonderbank、F、Pharmazie、5、210、1950年)。ラヌンキュニンはKB細胞に対して細胞毒性を示し、ラヌンキュリンの細胞毒性のメカニズムはDNAポリメラーゼ阻害によると報告された。
本発明者は、既に白頭翁根から新血管の形成及び腫瘍細胞の成長を抑制する物質を分離した(特許文献1:韓国特許315200号、非特許文献2:Y.Kim Planta med)。白頭翁根の水抽出物から、抗腫瘍効果があるサポニンは分離され、コードNo.
SB365とされている。この物質はBDF1マウスのLL/2ガンに対して80%の強い抑制効果がある。(非特許文献3:Y. Kim et.al著、SB31注射(商標名)の抗腫瘍活性と臨床的に使用される抗腫瘍媒体の抗腫瘍活性との比較(Comparison
of the antitumor activity of SB31-Injection (Trade name) with those of some
clinically used antitumor agents)薬剤研究のアーカイブ2004年1月、特許文献2:韓国出願番号2002-0043016号)発明者は、白頭翁根から全部で16種類のサポニンを分離し、結合した処方箋と一緒に各サポニンの抗腫瘍活性を判断した。(韓国特許出願番号2002-0043016)
K.W. Bae、韓国植物相の画報本 Y.Kim Planta med Y. Kim et.al著、SB31注射(商標名)の抗腫瘍活性と臨床的に使用される抗腫瘍媒体の抗腫瘍活性との比較(Comparisonof the antitumor activity of SB31-Injection (Trade name) with those of someclinically used antitumor agents)薬剤研究のアーカイブ2004年1月 韓国特許315200号 韓国出願番号2002-0043016号 韓国特許72982号(特許公開番号1994-234号)
白頭翁根の抽出物若しくは抗腫瘍成分を含む抗腫瘍組成物は、様々な特許明細書に記載されている。例えば、韓国特許72982号(特許公開番号1994-234号)は、抗腫瘍活性の活性成分として白頭翁根の抽出物を含む薬剤組成物を開示している。さらに、本出願の発明者によって発明された韓国特許出願番号2002-0043016(特許公開番号2004-9172号)には白頭翁根の抗腫瘍活性の活性成分は白頭翁のサポニンDである3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン(コードNo.SB365)であり、活性成分としてSB365を有する抗腫瘍組成物であることを開示している。SB365はアドリアマイシン(adriamicine)と比べて、NCI-H23細胞系統に対してより優れた抗腫瘍活性を示す。
Figure 2008508263
しかしながら、白頭翁根中の3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン(SB365)の含有量は非常に少なく、白頭翁サポニンDのほとんどは3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン 28−0−α−L−ラムノピラノシル−(1→4−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシル エステル(コードNo.SB365-0)の形で存在する(Viqar
U.A. Spectroscopic data of saponins press: CRC, 2000年;Vol.3.2520ページ; Kang,
S.S., Saponins from the root of Pulsatilla Korean (Arch. Pharm. Res. 12(1),
42-47ページ, 1989年)。この物質はSB365のアグリコンの17位でカルボキシル基に3単糖類が結合するエステルである。構造式は以下のとおりである。
Figure 2008508263
SB365-0には抗腫瘍活性がない。白頭翁根の通常の抽出条件では、SB365のエステル構造(SB365-0)はそのまま抽出され、抗腫瘍活性はほぼないに等しい。実際、ある文献では、SB365-0が最初に抽出され次にSB365へ加水分解される方法を開示しているが、この方法は経済的ではない。通常の溶媒抽出は酸またはアルカリで加水分解してSB365を得るが、この方法もまた経済的ではなく、白頭翁根の別の成分が酸あるいはアルカリ条件の下で化学反応する可能性がある。発明者は長い間研究を行った後に、本発明が完成した。
本出願の発明者は白頭翁根がエステル結合を分解する酵素含み、酵素反応した場合SB365-0のエステル結合は加水分解されてSB365となり、その結果、白頭翁根の抽出物の抗腫瘍活性は急激に増加するという事実を発見した。SB365-0の酵素加水分解の化学反応式は以下のとおりである。
Figure 2008508263
したがって、本発明の目的の1つはa)白頭翁根中のSB365-0のほとんどを抗腫瘍成分であるSB365に酵素で変化させて、b)SB365-0の大半がSB365へ変化した白頭翁根を抽出する白頭翁根の抗腫瘍活性を増大させる方法を提供することである。
本発明の他の目的は、a)白頭翁根中のSB365-0の大半を抗腫瘍成分であるSB365に酵素で変化させて、b)SB365-0の大半がSB365へ変化した白頭翁根を抽出して調合された薬剤組成物と、SB365が増加した白頭翁根抽出物を提供することである。
本発明の更に他の目的は、主要活性成分としてSB365が増加した白頭翁根の抽出物を含み、またチョウセンニンジン抽出物、カンゾウ抽出物、アケビ果皮の抽出物から成るグループから選択される補助成分を含む薬剤組成物を提供することである。
SB365-0をSB365へ分解する最適条件は、水分量、酵素反応時間および温度によって確立する。更に、最適条件を決める前に、3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン(SB365:白頭翁サポニンD)と、その基質である3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン 28−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→4−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシル エステル(コードNo.SB365-0)(Viqar
U.A. Spectroscopic data of saponins press: CRC, 2000; Vol.3. pp.2520; Kang,
S.S., Saponins from the root of Pulsatilla Korean (Arc. Pharm. Res. 12(1),
42-47, 1989)の中身を分析して基質SB365-0とSB365の化学的関連を明確にする。白頭翁根それ自体が持つ反応媒体およびメカニズムを使用してSB365を得ることは、本発明の重要な特徴の1つである。
酵素反応の対象は、主要な活性成分としては白頭翁根であり(SB31:白頭翁根の抽出物から成る薬剤組成物の商標名、韓国特許番号72982号、米国特許番号6071521号)、補助成分としては朝鮮人参根、カンゾウ(Glycyrrhiza
glabra)、アケビ(Akebia quinata)の果皮およびウルミ皮質(Ulmi cortex)である。
(a)白頭翁根からSB365を含む抽出物を得るための条件
配糖体を持つ植物は酵素、すなわち配糖体を加水分解するグリコシダーゼを含んでいる。配糖体を抽出する際に配糖体の原構造を維持するためには、酵素を不活性化することが不可欠である。通常の有機溶媒を使用する抽出条件では、酵素は不活性化されて配糖体には影響しない。対照的に本発明では、我々は、白頭翁根中に多数存在し、酵素によってSB365に加水分解することで抗腫瘍活性がほぼなくなる基質であるSB365-0を分解させることで自然状態より多くのSB365含有量を得ようとした。本発明は韓国特許出願番号10-203-0008090号の改良発明である。
・実験例1:メタノール/水の混合溶媒中で酵素反応する白頭翁根
一般に、有機溶媒が存在していると、酵素反応は起こりにくいが、水が存在していると酵素反応は起こりうる。白頭翁根の酵素反応作用を観察するためには、有機媒体抽出と水抽出の違いを検討することが重要である。白頭翁根の粉末を様々な水中メタノール濃度で一定時間酵素反応させ、酵素反応させた白頭翁根を3回抽出して抽出物を得る。SB365に対応するHPLC(高速液体クロマトグラフィー)のピークエリア率を比較した。結果は表1及び図1にそれぞれ示す。
表1及び図1から分かるように、水とメタノールの混合溶媒を酵素反応させて抽出した抽出物は、水のみで酵素反応して抽出した抽出物に比べてSB365の含有量が非常に少ない。純メタノールと20%メタノール溶液とでは酵素反応して抽出した抽出物のSB365含有量の差がないという結果が出た。これは酵素が白頭翁根中のSB365-0を純水でSB365に加水分解するのであって、SB365-0をSB365に加水分解する酵素はメタノールにとても敏感で少量のメタノールでも酵素が不活性化することを意味する。実際、水で白頭翁根を酵素反応させて抽出した場合では、純メタノールやメタノール水溶液中で白頭翁根を酵素反応して抽出した場合に比べて抽出物中のSB365含有量は18−44倍となる。したがって、SB365含有量を最大にするためには、白頭翁根は純水で酵素反応し抽出するべきである。
Figure 2008508263
・実験例2:SB365構造と水分量の関係
上述において確認されたように、白頭翁根の酵素反応において水の存在は重要な要素である。我々は、この要因を量的見地から検討した。最初に、酵素反応温度を40℃、時間を1時間に固定して、白頭翁根と水分量のSB365形成関係を観察した。結果は表2および図2に示す。表2及び図2で確認できるように白頭翁根の重量に対して2倍の量の水分を加えると、SB365形成において素晴らしい結果が得られた。白頭翁根と水の重量が1:2で最適条件となるのは、酵素及びSB365-0、つまりSB365の前駆体の濃度、塩、pH、反応条件等が、白頭翁根細胞の自然状態に非常に近くなるからである。水2mlに対して白頭翁根1gの比率は、混合処理可能な最小量である。白頭翁根の1gに対してその2〜20倍、好ましくは2〜10倍の量の水を加えて、その混合物を撹拌して酵素反応させる。水の蒸発を防ぐため、酵素反応は好ましくは相対湿度70〜90%の室内で行う。
表2及び図2から分かるように、SB365は水分の増加に従って減少する傾向にある。1gの白頭翁根に対して水を2〜5mlとした場合、24.9〜23.4mg/gという多量のSB365が形成され、水を6ml以上にすると、SB365形成される量は、減少する傾向がある。この傾向は恐らく反応混合物中の反応媒体が希釈されることにより酵素活性が減少するためだと思われる。SB365形成の変化は白頭翁根の発酵中は水分量の10倍程度まではほぼ無いように見える。表2及び図2には記載していないが、SB365の形成は水分量が20倍になったときに、急激に減少する。白頭翁根1gに対するSB365含有量は周知の方法(韓国特許番号72982号及び米国特許番号6071521号)よりもかなり多い。
Figure 2008508263
・実験例3:酵素反応温度とSB365形成の関係
この実験では、様々な白頭翁根の原料を混合して使用した。実験例2において、最適な水の量は確定した。予備温度基準からの反応温度の範囲を確定する。酵素反応温度を1℃単位で分割して、酵素反応を実行して酵素反応媒体中のSB365の含有量を測定した。結果は表3及び図3に示す。表3及び図3を見ると、実験は37℃から始めているがSB365の形成は40℃から急激に増大している。SB365の含有量は、温度の上昇に従って徐々に増加し、40℃で最大含有量の15.44mg/gが得られた。温度が40℃を超えた場合、SB365の形成は徐々に減少した。しかし、42℃でも14.6mg/gものSB365含有量が得られた。よって、本発明中で実際に適用可能な温度範囲は38〜42℃である。
Figure 2008508263
・実験例4:酵素反応時間によるSB365形成の変化
実験例3で使用された原料と同じものを使用した。SB365の最大の含有量を得るために、水の量と酵素反応温度を固定して、最適な酵素反応時間を見つけようとした。結果は表4及び図4で示す。表4および図4から分かるように、SB365の形成は、それぞれ20分で9.1mg、90分で16.3mg、180分で20.1mg、240分で19.2mgだった。したがって、酵素反応時間は20分から12時間、好ましくは90分から240分の約180分間であることが最も望ましい。結論として、酵素反応時間は180分が最適である。実際に適用される最適酵素反応時間の範囲は90−240分である。その後、SB365の含有量は、減少する傾向がある。これは、その後SB365が破壊されるか、酵素が不活性化されることを意味する。
Figure 2008508263
[実験結果]
1.上記実験に基づく白頭翁根の酵素反応の結論
ある一定量の白頭翁根粉末を酵素処理する際、水分量は2倍が最も望ましい。しかし、4-10倍に水分量を増やした場合でも、かなり多量のSB365が形成される。最適温度は40℃であるが、38〜42℃の温度範囲であれば経済的見地からして意味のある量のSB365が形成される。水分量を2倍にして白頭翁根を30℃で3時間酵素反応させた場合、SB365の産出量は実験例で得られたように20.1mg/g〜24.5mg/gであった。この量は韓国特許番号722982号及び米国特許6071521号(タイトル:
抗ガン性活性を有する新規な薬剤組成物)に開示される量の3〜5倍に相当した。本発明の中で酵素反応して抽出された白頭翁根の抽出物は、"Pu-ex"とする。
2.SB365形成の化学的性質
SB365の形成量は酵素反応の温度と時間に比例し水分量に反比例するので、SB365の形成は間違いなく加水分解の酵素が関係する化学反応である。本出願の発明者は、この酵素反応を厳密に研究するためにSB365の前駆物質であると思われるSB365-0を厳密に(混じり気のないように)分離した。実験例1の通り、アセトニトリル:水=36:64の溶媒条件でSB365はうまく分離され保持時間(RT)は29-30分を示した。更に実験例1のHPLC条件中溶媒条件がアセトニトリル:水=25:75のときにSB365-0のピークがよく分離され、保持時間が15-16分であった。
SB365とSB365-0の保持時間を固定して2gの水を1gの白頭翁根に加えて、39℃でSB365の形成とSB365-0の減少を時間の経過と共に観察した。結果は表5および図5の中で示した。図5から分かるようにSB365の形成とSB365-0の減少は反比例の関係にある。また結果から、SB365-0は確実にSB365の基質である。反応速度の初速度は速くその後、時間の経過に伴って反応速度が安定することからわかるように、反応は典型的な酵素反応であるとみなされる。
3.上記実験結果から、酵素反応は、1gの白頭翁根に対し水分量は2〜20倍、温度は37-43℃、時間は20〜360分の間で起こりうる。
Figure 2008508263
(b)酵素反応させた白頭翁根からのSB365の溶媒抽出
酵素反応させた白頭翁根のペーストにメタノールを加えて30〜90%メタノール溶液に調整した。混合物をかき混ぜて遠心力を作用させることにより溶液が得られる。残留分は、30〜90%メタノール溶液でさらに2回抽出される。結合した30〜90%メタノール抽出物は、1gのもとの白頭翁根に対して20〜50倍の99%以上の純メタノール量となるまで乾燥させる。混合物はかき混ぜて置いておく。沈殿した炭水化物およびポリマーはろ過され、メタノール溶液は蒸留してメタノール残留物を得た。メタノール残留物(メタノール抽出物)の生成率は1gの白頭翁根に対して平均580mgである。メタノール抽出物は、抗腫瘍剤そのものとしても補助の成分との化合物としても使用される。
エタノール、イソプロパノールあるいはブタノールが同じパーセントで使用される場合、得られた抽出物はそれぞれ478mg、501mgおよび411mgである。最も生産性が高いのは高極性のメタノールであった。
抗腫瘍剤のための主成分であるPu-exに加え、補助成分として、チョウセンニンジン抽出物、カンゾウ(Glycyrrhiza
glabra)抽出物、アケビ(Akebia quinata)果皮の抽出物、ウルミ皮質の抽出物からなるグループから選択された1以上の成分が組み込まれて抗腫瘍活性を活発にする。
チョウセンニンジンは抗ストレス活性、抗糖尿病活性および様々な薬理的活性を持っている。チョウセンニンジンは抗腫瘍活性に機能する食物として使用されるが、そのような活性はとても弱く、薬理的媒体として使用することはできない。チョウセンニンジンに含まれたジアセチレン誘導体は強い細胞傷害活性を持つと報告されたが、ジアセチレン誘導体の抗腫瘍活性に関する研究は報告されていない。
カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)は、腎臓と肝臓の保護、解毒、鎮痛、消炎に使用される。カンゾウの肝臓の保護に対しては様々な研究がなされてきたが、抗腫瘍活性に関する研究は行なわれなかった。カンゾウは毒性が低く解毒効力を持つので、本発明の組成物にカンゾウの抽出物を加えることにした。
アケビ(Akebia quinata)の果皮はアケビの果実であり、腰痛、肋間痛、胃痛、尿道結石、月経不順、下痢に効果がある。アケビの果皮がヘデラジニン(hederagenin)およびオレアノール酸のようなサポニンを含むので白頭翁根の抗腫瘍活性に相乗効果をもたらす可能性がある。
ウルミ(Ulmi)皮質はニレ種の樹皮および根であり、利尿と浮腫に使用される。最近の文献では、ウルミ皮質が全身性及び局所性アナフィラキシーを防ぐと報告されている。(Him,H.M.、Shin,
H.Y.、Choi、I.Y.、Lee E.H.、Lee, E.J.、Ulmi radicis cortex extract on systemic and
local anaphylaxis on rats. Gen. Pharmacol., 31, 483-488(1998年))この文献では、ウルミ皮質が有毒効果がないと報告されている。
以下の例を用いて本発明をより詳細に説明する。
[例1]
各1gの白頭翁根粉を正確に量り、それぞれ9つの遠心管に入れる。水を2mlから10mlまで1ml単位で増やしたものを各遠心管に加えて、それぞれペースト状にする。各遠心管は、40℃で1時間酵素反応させる。各遠心管に、それぞれメタノールを30ml加えて、10分間超音波で攪拌し、3000回転(rpm)で20分間遠心分離させて、それぞれの上層部を採集した。各管に、メタノールをそれぞれ30mlずつ加え、超音波で10分間攪拌し、3000回転で20分間遠心分離させる。各結合層は蒸留して残留物を得る。各残留物に、HPLC用にメタノールを各30ml加えて溶解、濾過してHPLC分析用の各溶液を得た。各溶液はHPLCによる解析を行ってSB365の生成率を得た。
白頭翁根1g毎のSB365含有量(mg)=標準液中のSB365含有量(mg/ml)×(AT/AS)×30(ml)
移動相の溶媒条件 アセトニトリル:水=36:64
結果は図2に示す。
[例2]
それぞれ1gの白頭翁根粉を正確に量り、6つの遠心管に入れる。それぞれの管に2mlの水を加えて、その混合物をペースト状にする。管は37〜42℃の間で1℃毎に条件を変えてそれぞれの温度で1時間恒温器の中で酵素反応させた。その後、各管にメタノールを30ml加え、超音波で10分間攪拌し、3000回転(rpm)で20分間遠心分離させ、それぞれ上層部を採取した。各管に、それぞれ30mlのメタノールを加えて、超音波で10分間攪拌し、3000回転(rpm)で20分間遠心分離させる。それぞれの結合層を蒸留して残留物を得るようにする。それぞれの残留物に、HPLC用にメタノールを10ml加えて分解し、0.45μmメンブランフィルターで濾過してHPLC分析用の溶液がそれぞれ得られた。各溶液はHPLCによる分析を行ってSB365の生成率を得た。
白頭翁根1g中のSB365含有量(mg)=標準液中のSB365含有量(mg/ml)×(AT/AS)×10(ml)
移動相の溶媒条件 アセトニトリル:水=35:65
結果は図3に示す。
[例3]
それぞれ1gの白頭翁根粉を正確に量り、8つの遠心管に入れる。それぞれの管に2mlの水を加えて、その混合物をペースト状にする。管は39℃で一定時間恒温器の中で酵素反応させた。その後、各管にメタノールを30ml加え、超音波で10分間攪拌し、3000回転(rpm)で20分間遠心分離させ、それぞれ上層部を採取した。各管に、それぞれ30mlのメタノールを加えて、超音波で10分間攪拌し、3000回転(rpm)で20分間遠心分離させる。それぞれの結合層を蒸留して残留物を得るようにする。それぞれの残留物に、HPLCのためにメタノールを5ml加えて分解し、0.45μmメンブランフィルターで濾過してHPLC分析のための溶液がそれぞれ得られた。各溶液はHPLCによる分析を行ってSB365の生成率を得た。
白頭翁根1g中のSB365含有量(mg)=標準液中のSB365含有量(mg/ml)×(AT/AS)×5(ml)
移動相の溶媒条件 アセトニトリル:水=35:65
結果は図4に示す。
[例4]
1gの白頭翁根粉を正確に量り、遠心管に入れる。2mlの水を管に加えて、その混合物をペースト状にする。管は39℃の恒温に保った恒温器の中で最適条件下のもと3時間酵素反応させた。その後、メタノールを30ml加え、超音波で10分間攪拌し、3000回転(rpm)で20分間遠心分離させ、上層部を採取した。30mlのメタノールを管に加えて、超音波で10分間攪拌し、3000回転(rpm)で20分間遠心分離させる。結合層を蒸留して残留物を得るようにする。HPLC用に残留物にメタノールを30ml加えて分解し、0.45μmメンブランフィルターで濾過してHPLC分析用の溶液を得た。溶液はHPLCによって分析し、SB365の生成率を得た。
白頭翁根1g中のSB365含有量(mg)=標準液中のSB365含有量(mg/ml)×(AT/AS)×30(ml)
移動相の溶媒条件 アセトニトリル:水=36:64
結果は図4に示す。最良の結果が180分間抽出した抽出物から得られ、それを”Pu-ex”とする。
[例5]
白頭翁根を含んでいる自然植物の酵素反応準備(GGG-exの準備)(配合表6):
3gの白頭翁根粉末、1.5gのチョウセンニンジン根の粉末及び0.45gのカンゾウの粉末を細かく混合して、10mlの蒸留水をそれに加えてペースト状にする。ペーストは250mlのビーカーに入れる。ビーカーはガーゼで覆われており、ペーストを覆うようにして39℃の恒温器で相対湿度90%で3時間酵素反応させる。ビーカーに、50mlのメタノールを加え、10分間攪拌し、ろ過する。残留物に、80%メタノール溶液を50ml加えて抽出することが2回行われた。混合メタノール溶液は、減圧して蒸発させ残留物を得た。残留物に純メタノール60mlを加えて攪拌し、不純物を除去するために0.45μmのメンブランフィルターでろ過する。濾液は減圧下で蒸発させて抽出物を2.13g得た。抽出物は30mlの生理食塩水中で溶解し、溶液を注入して0.22μmミリディスクカートリッジフィルターで濾過する。長期貯蔵するため、抽出物は凍結乾燥してもよい。
[例6]
チョウセンニンジン抽出物の調合("G-ex"の準備)
1gのチョウセンニンジン粉末に水を2ml加えてペースト状にし、そして例4と同じ条件で酵素反応させた。10mlのメタノールをそこに加えて攪拌して抽出する。残留物は、80%メタノール溶液を5mlずつ加えて抽出することを2回行う。結合したメタノール抽出物を蒸留してG-exを431mg得る。
[例7]
カンゾウ抽出物の調合("Gg-ex"の準備)
1gのカンゾウ粉末を例6と同じ条件で処理してGg-exを470mg得る。
[例8]
アケビ果皮の抽出物の調合("Q-ex"の準備)
1gのアケビ果皮粉末を、例6で同じ条件で処理してQ-exを553mg得る。
[例9]
ウルミ皮質の抽出物の調合("U-ex"の準備)
1gのウルミ皮質を、例6で同じ条件で処理してU-exを367mg得る。
抗腫瘍活性が増加した本発明による白頭翁根の抽出物は、単独で調合してもよいし、チョウセンニンジン、カンゾウ、アケビ果皮、ウルミ皮質のグループから選択した補助成分と共に調合してもよい、また注射、タブレット、粉末、液剤、シロップ、ソフトカプセルにするための医薬品賦形剤と共に調合しても良い。
[調合例(処方箋)]
調合例1(処方箋1)
例4で得たPu-ex250mgを50mlの生理食塩水中で溶解し0.22μmミリディスクカートリッジフィルターで濾過して、5mlのアンプルに入れる。この溶液を0.2mlはマウスに注射する。
[調合例2(処方箋2)]
韓国特許番号72982号及び米国特許番号6,071,521号の公知文献の方法により組成物を調合する(商品名:
SB31)
[調合例3(処方箋3)]
250mg のPu-ex、90mgのG-ex、30mgのGg-exを、生理食塩水50mlに溶かし、0.22μmミリディスクカートリッジフィルターで濾過して使用する。
[調合例4(処方箋4)]
250mgのPu-ex、120mgのQ-ex、30mgのGg-exは、生理食塩水50mlで溶かし、0.22μmミリディスクカートリッジフィルターで濾過して使用する。
[調合例5(処方箋5)]
230mgのPu-ex、80mgのU-ex、30mgのGg-exは、生理食塩水50mlで溶かし、0.22μmミリディスクカートリッジフィルターで濾過して使用する。
[調合例6(処方箋6)]
例5で得た組成物。
・実験例5
Pu-exをベースにして、上で得た植物の抽出物に他の植物の抽出物を加えて下記表6の抗腫瘍の処方箋を得た。表6の抗腫瘍処方箋の抽出率と投与量は韓国特許番号72982号及び米国特許番号6,071,521号の処方箋に従う。(SB31(商品名) 白頭翁根:チョウセンニンジン:カンゾウ(重量比)=3:1.5:0.45)。
各5mlの注射中の抽出物生成量と含有量は、表6に示す通りである。
Figure 2008508263
処方箋1〜6中のバイアル5mlで各抽出量の含有量は、表7の中で示す。
Figure 2008508263
[実験の結果]
酵素反応させた白頭翁根からの抽出物で構成される処方箋1は、SB31(登録商標)の周知の処方箋2よりも優れた抗腫瘍活性を示した。処方箋6ではSB31(登録商標)と同じ重量比の植物を最適条件で酵素反応させ、メタノールで抽出される。したがって、処方箋6は、酵素処理されずに水で抽出されるSB31(登録商標)の処方箋とは全く異なる。
従って、処方箋6はSB31(登録商標)より優れた抗腫瘍活性を示した。処方箋4及び5はG-exの代わりにQ-exあるいはU-exが使用される混合処方箋である。処方箋4および5は、抗腫瘍活性においては公知の処方箋2あるいは応用である処方箋6よりも優れているということはない。
結論として、SB31を酵素反応させる処方箋で得られたGGG-exは、SB31の公知の処方箋より優れた抗腫瘍活性を示した。よって、試験的に段階1および2が必要となる。
[毒性]
白頭翁根を酵素反応させてメタノールで抽出することにより得られた組成物は、公知の方法である酵素反応させずに水抽出によって得た抽出物よりも毒性が少なく、白頭翁根を酵素反応させて水抽出して得られた抽出物は、優れた抗腫瘍活性を有する。
[処方箋中のSB365の含有量]
Pu-exの処方箋は、0.80-1.35mgの範囲でSB365が含まれる。
[投与量の範囲]
前記処方箋では、SB31(登録商標)の第1試験の結果に基づいて、5mlの生理食塩水で溶かして血管に点滴注入する。最適注入量は、12.15mg/kg−29.1mg/kgであり、非常に最適な含有量は21.87mg/kgである。
[実験例7]
一般的なSB365の量的分析
テストサンプル:白頭翁根粉1gを正確に量り遠心管に加えて一定量の水分でペースト状にする。管は、恒温器の中で所定時間、所定温度で酵素反応させる。その後、メタノール30mlをそこに加え、混合物を超音波で攪拌し、3000回転(rpm)で20分間遠心分離させてメタノール溶液を採集する。残留物に、80%メタノール水溶液を30ml加える。混合物は、超音波で10分間攪拌し、3000回転(rpm)で20分間遠心分離させてメタノール水溶液を採集する。結合したメタノール溶液は乾燥・蒸留して抽出物を得た。完全に乾いた抽出物に、HPLC用のメタノールを追加して、溶かした。メタノール溶液は0.45μmのメンブランフィルターでろ過した。濾液はビンに充填して、テストサンプルとした。
標準液:物量標準SB365を5mg正確に量り、メタノールで溶解して50mlの標準溶液を作る。
作業:テストサンプルおよび標準液は、HPLC法でテストしてSB365、ATおよびASのピークエリアを得た。
白頭翁根1g当たりのSB365含有量(mg)=標準液におけるSB365含有量×(AT/AS)×前回使用した溶液の量(ml)
作業条件:
検出器:紫外線吸着分光光度計(波:210nm)
カラム: Watcher ODS-BP
溶媒:アセトニトリルおよび水の混合液(35:65または36:64)
速度:1ml/min
量:20μl
[実験例8]
抗腫瘍活性の判定
1.テスト動物:
テストの中で使用されるマウスは生後4週で体重20-23gのBDF-1マウスで、韓国動物試験センターから供給されたものである。
2.動物の繁殖:
繁殖期の間、22±2℃、相対湿度65±5%を維持して、明暗サイクルを12時間サイクルとした。水と食物は自由に与えた。マウス用抗生物質を含まない食物が使用された。
3.試験方法:
Teruhiro方法に従って、1マウスに対してそれぞれLL/2(ルイス肺癌細胞)1×106がBDF-1マウスの左前足の腋下に移植された。移植の24時間後に、5匹ずつのグループに分けた。各マウスの体重変化を検査するとともに、各テストサンプルを2週間腹腔内に注入した。対照群の腫瘍の大きさが2,3cmに達すると、テスト群の腫瘍の大きさを測定し、抗腫瘍活性は次の方程式によって測定された。


腫瘍体積(mm3)=長さ(mm)×面積2(mm2)
/2

腫瘍成長の阻害率(%)=(対照群(C)の平均腫瘍体積−テスト群(T)の平均腫瘍体積)/対照群(C)の平均腫瘍体積×100
4.投与:
P-exをそれぞれ250mgと他の処方箋2〜6を生理食塩水50mlで溶かし、0.22μmミリディスクカートリッジフィルターで濾過し、それぞれ10アンプルに分割して充填した。各溶液のそれぞれ0.2mlを各動物に注射した。試験結果は上記の表7に示す通りである。
抗腫瘍成分である、3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン(コードNo.SB365)は白頭翁根中の組成物であるが量は非常に乏しく、ほとんどが3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン 28−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→4−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシル エステル(コードNo.SB365-0)の形で存在するが、この組成物は腫瘍に対して不活性である。白頭翁根は、エステル結合を分解する酵素を含み、また白頭翁根を酵素反応させて抽出することにより、SB365が増量した白頭翁根の抗腫瘍活性は急激に向上する。
溶媒比(メタノール:水)によるSB365の含量量の変化を示すグラフである。 水分量と温度の変化によるSB365生成への影響を表すグラフである。 温度によるSB365の含有量の変化を示すグラフである。 酵素反応時間によるSB365の含有量の変化を示すグラフである。 酵素反応時間によるSB365形成及びSB365-0減少の傾向を示すグラフである。

Claims (4)

  1. 1重量の白頭翁根(Pulsatillae radix)と2〜20重量の水との混合物を37〜43℃で20〜360分酵素反応させて、白頭翁根に多数存在する腫瘍細胞に対して不活性である3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン 28−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→4−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシル エステル(コードNo.SB365-0)を、抗腫瘍活性が強く一般的な溶媒で抽出可能な3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン(SB365)に変形させることを特徴とする白頭翁根の抽出物の抗腫瘍活性を増加させる方法。
  2. 1重量の白頭翁根と2〜20重量の水との混合物を37〜43℃で20〜360分酵素反応させて、白頭翁根に多数存在する腫瘍細胞に対して不活性である3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン 28−O−α−L−ラムノピラノシル−(1→4−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→6)]−β−D−グルコピラノシル エステル(コードNo.SB365-0)を、抗腫瘍活性が強く一般的な溶媒で抽出可能な3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン(SB365)に変形させることを特徴とする、抗腫瘍活性が強く通常の溶媒で抽出可能な3−O−[O−α−L−ラムノピラノシル−(1→2)−[O−β−D−グルコピラノシル−(1→4)−α−L−アラビノピラノシル]ヘデラゲニン(SB365)が増量した白頭翁根の組成物。
  3. 主な活性成分として請求項2のSB365が増量した白頭翁根の抽出物と、チョウセンニンジン(Pulsatillae
    Radix)抽出物、カンゾウ(Glycyrrhizaeradix)抽出物、アケビ(Akebia quinata)果皮抽出物から成るグループより選択した補助成分とを含む薬剤組成物。
  4. 活性成分および薬学的に許容できる補助成分として請求項2又は3の組成物を含む薬剤処方箋。
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