JP2008506792A - 黒インク組成物、それを含むインクセット、およびインクジェット記録方法。 - Google Patents
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Abstract
Description
インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。
また、インクジェット記録用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
しかしながら、従来提案されてきた色補正用染料では、吸収が短波過ぎる為に多量添加する必要があったり、更に別の色補正用の染料が必要になるなどの黒色調調整能に欠ける問題を抱えていた。
ところが、一般的な黒染料は570〜620nmに極大吸収を有しており、該色補正染
料を用いたとしても、黒色調の調整に重要な補色関係を考慮すると好適な黒色調が得られないことは明らかである(非特許文献1)。
ブロンズ現象は、耐光性および耐ガス性(耐オゾン性)を向上させるために色素の水溶解性を下げたり、色素構造中に水素結合性基を導入したりすることにより生じやすい傾向がある。ブロンズ現象の発生によって光を反射、散乱するので、記録画像の光学濃度が低下してしまうばかりでなく、記録画像の色相も所望のものとは大きく異なったり、透明度が失われてしまうため、ブロンズ現象の抑制と耐オゾン性向上の両立が望まれていた。
ブロンズ現象を改善する方法として、特許文献4及び特許文献5には、尿素誘導体及びチタン化合物を用いる方法が示されているが、これらの方法は依然としてブロンズ現象を改善するものであって、ブロンズ現象の抑制と耐オゾン性の改良を両立しうるものではない。
本発明の目的は、黒用として良好な色調を有し、ブロンズ現象の発生を抑えて高濃度印字が可能であり、光およびオゾンに対して堅牢性の高い画像を形成することができ、高湿条件下に保存されても滲みの生じない十分な耐湿性を備えた黒インク組成物及びかかる黒インク組成物を用いる記録方法を提供することにある。
(1)少なくとも2種の色材、水、及び添加剤を含む黒インク組成物において、該色材のうち短波側の色材である第1の色材が1分子中に3個以上のアゾ基を有し、かつナフタレン骨格を有する水溶性染料であり、かつ該添加剤が、ブロンズ防止剤及び耐オゾン性向上剤からなる群から選択されることを特徴とする、黒インク組成物。
(2)前記ブロンズ防止剤が、1分子中に10個を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物であることを特徴とする、上記(1)に記載の黒インク組成物。
(3)前記無色の水溶性平面状化合物が、芳香族環を少なくとも2個有する化合物であることを特徴とする、上記(2)に記載の黒インク組成物。
(4)前記ブロンズ防止剤が、カルボキシル基を有する芳香族化合物及び/又はその塩であることを特徴とする、上記(1)に記載の黒インク組成物。
(5)前記芳香族化合物が、ナフタレン骨格を持つ化合物であることを特徴とする、上記(4)に記載の黒インク組成物。
(6)前記耐オゾン性向上剤が、グアニジン系化合物であることを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の黒インク組成物。
(7)前記グアニジン系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする、上記(6)に記載の黒インク組成物。
(式中、R1、R2、R3、又はR4は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基を示す。R5は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基を示す。これらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基は、置換されていても置換されていなくてもよい。)
(9)前記少なくとも2種の色材が、550nmよりも長波長に極大吸収を有する第2の色材を含むことを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれかに記載の黒インク組成物
(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の黒インク組成物を用いたことを特徴とするインクセット。
(11)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の黒インク組成物、又は上記(10)に記載のインクセットを用いたことを特徴とする記録方法。
(12)インクジェット記録方法であることを特徴とする、上記(9)に記載の記録方法。
(黒インク組成物)
本発明の黒インク組成物は、少なくとも2種の色材、水、及び添加剤を含む。以下に本発明の黒インク組成物に含まれる色材、添加剤についてそれぞれ説明する。
[色材]
本発明の黒インク組成物は、色材を少なくとも2種含有し、そのうちの短波側の色材(例えば、他の色材よりも短波長において吸収極大を有する色材等)が、一分子中にアゾ基を3個以上有し、且つナフタレン骨格を有する水溶性染料であることを特徴とする。該染料について以下詳細に説明する(以降、混乱を避ける為、該染料を「短波側染料S」と記する)。
本発明の短波染料Sは、一分子中にアゾ基を3個以上有する。かかる構造により、発色性を増強させ、また、色素平面が大きく広がっているために定着性の良い画像を与えることができる。該アゾ基の数は、発色性、定着性の観点から、3個以上であることが好ましく、4個以上であることが特に好ましい。
さらに、本発明の短波染料Sは、ナフタレン骨格を有するため、上記と同様、色素平面が大きく広がっているために定着性の良い画像を与えることができる。
なお、ナフタレン骨格とは、ナフタレン環を含む構造を意味する。
短波染料Sは、かかる吸収特性を有している為、ジスアゾ染料またはトリスアゾ染料の吸収スペクトルで不足となりがちな、青色から緑色にかけて広い範囲の光を吸収することができ、色補正染料として好ましい吸収特性を有する。
短波染料Sの吸収極大としては、450〜520nmの間であることが好ましく、460〜500nmにあることが特に好ましい。
短波染料Sの半値幅としては、100nm〜180nmの間にあることが好ましく,1
10nm〜160nmの間にあることが特に好ましい。
ここで、解離性のフェノール性水酸基とは、アリール基に置換されている解離性の水酸基を意味する。このアリール基は、他の置換基で置換されていてもよい。
(D)n−Y
なお、本願明細書において、アルキル基とは、直鎖状、分岐状、環状(単環でも多環でもよく、多環の場合は有橋でもスピロでもよい)あるいはこれらを組合せて得られる1価飽和炭化水素基を意味し、シクロアルキル基、シクロアルキルアルキル基等を包含する概念である。
なお、本願明細書において、アルケニル基とは、直鎖状、分岐状、環状(単環でも多環でもよく、多環の場合は有橋でもスピロでもよい)あるいはこれらを組合せて得られる芳香族を除く炭素−炭素二重結合を1以上含む1価不飽和炭化水素基を意味する。
好ましいカウンターカチオンとしては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム
、カリウム)、アンモニウム、及び有機のカチオン(例えばピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム)を挙げることができる。
尚、市販の染料以外の上記短波染料Sについても、カラーインデックス第4巻(The Society of Dyers and Colourists 発行)に記載されているC.I.Direct Red84、もしくは同Brown 106の合成ルートに従って、市販の原料から容易に合成できる。
一般に、アゾ基の共役位に水酸基を有する染料は、受像材料の種類や印字物の保存条件によっては、光や空気中の活性ガスに対する堅牢性が劣る場合があるので、長波染料Lとしては、会合性を有し、物理的に反応を抑制できる性質を有するものが更に好ましい。
染料が会合状態であるかどうかについては、染料濃度を振って可視吸収スペクトルを測定し、その吸収極大波長、モル吸光係数および波形の変化を調べることで染料が会合性を有するかどうかを判断し、それらの溶液物性と受像材料上での染料の吸収スペクトルとの比較から容易に判断できる。
具体的には、特開2004−307831(米国特許公開2004/187735)で定義されている、0.1mmol/L染料水溶液を光路長1cmのセルを使用して測定した可視域吸収の極大波長におけるモル吸光係数(ε1)と、0.2mol/L水溶液を光路長5μmの液晶セルを使用して測定した時のモル吸光係数(ε2)の間で、ε1/ε2>1.2の関係が成り立つ染料が好ましい。
本発明で好ましく用いられる、吸収極大波長を550nmよりも長波長側に有する長波染料Lの中でも、以下の一般式に該当するものが特に好ましい。
下記一般式では染料を遊離の酸の構造で示すが、実際の使用にあたっては塩の形で用いても良いことは言うまでもない。
好ましい電子吸引性基としては、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、スルファモイル基、カルバモイル基、エステル基等を挙げることができる。
好ましい複素環の例としては、縮合環を有してよい、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、ピリジンを挙げることができる。
一般式(3)の中でも特に好ましいものは、下記一般式(6)で表される化合物である。
好ましいカウンターカチオンとしては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アンモニウム、及び有機のカチオン(例えばピリジニウム、テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム)を挙げることができる。
本発明の短波染料Sと長波染料Lとの比率は、長波染料Lに対して、短波染料Sが1〜50質量%となることが好ましく、5〜40質量%となることが更に好ましく、10〜30質量%となることが最も好ましい。
以下、本発明の黒インク組成物に含有させる添加剤について詳細に説明する。
本発明の黒インク組成物は、ブロンズ防止剤および耐オゾン性向上剤からなる群から選択される添加剤を含有する。
以下、本発明の黒インク組成物に含有されるブロンズ防止剤について説明する。本発明で用いられるブロンズ防止剤は、一分子中に10個を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面化合物であることが好ましい。
π電子の数の上限に特に制限はないが、80個以下が好ましく、中でも50個以下が好ましく、特に30個以下が好ましい。また、10個を超えるπ電子が1つの大きな非局在系を形成していてもよいが、2つ以上の非局在系を形成していてもよい。特に、1分子中に2つ以上の芳香族環を有する化合物が好ましい。芳香族環は、芳香族炭化水素環であっても良いしヘテロ原子を含む芳香族ヘテロ環であっても良く、縮環して1つの芳香族環を形成するものであっても良い。芳香族環の例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジンなどを挙げることができる。
非局在化したπ電子系を構成するπ電子の数が増え、π電子系が広がると可視域に吸収を持つことが多い。本発明で無色とは、画像に影響を及ぼさない範囲で極わずかに着色している状態も含まれる。また、蛍光性の化合物であっても良いが、蛍光のない化合物が好ましく、さらに好ましくは最も長波側の吸収ピークのλmaxが350nm以下、より好ましくは320nm以下で、且つモル吸光係数が1万以下の化合物である。
1分子中に2つ以上の芳香族環を有する化合物の場合には、分子中の芳香族環に結合している少なくとも2個の可溶化基を有することがとりわけ望ましい。有用な可溶化基には、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ホスホノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、4級アンモニウム塩および当業者に明らかな他の基が含まれるが、これらに限定されない。なかでも、スルホ基およびカルボキシル基が好ましく、スルホ基がもっとも好ましい。
分子中の可溶化基の最大数は、利用可能な置換基の位置の数によってのみ制限されるけれども、実用上の目的には、分子中に、同じかまたは異なる可溶化基が10個存在すれば十分である。これらの可溶性基のカウンターカチオンに制限はなく、アルカリ金属、アンモニウム、有機のカチオン(テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピリジニウムなど)を挙げることができるが、中でもアルカリ金属、アンモニウムが好ましく、特にリチウム、ナトリウム、アンモニウムが好ましく、リチウム,アンモニウムが最も好ましい。
具体的な化合物としては、特開昭63−55544号の他、特開平3−146947号、同3−149543号、特開2001−201831号、同2002−139822号、同2002−196460号、同2002−244257号、同2002−244259号、同2002−296743号、同2002−296744号、特願2002−17728号の各公報あるいは明細書に記載の化合物を挙げることができる。
一般式(8);
A−X−L−(Y−B)n
化合物P−1〜P−38に関する共役π電子を有する原子の数
カルボキシル基を有する芳香族化合物の塩は、塩の形で添加され、インク中に含有されることも可能であり、また、カルボキシル基を有する芳香族化合物と塩基とが別々に添加され、インク中に含有されることも可能である。
インク組成物におけるブロンズ防止剤の含有量は、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜10重量%、最も好ましくは1〜5重量%である。
以下、本発明で用いられる耐オゾン性向上剤について詳細に説明する。
本発明で用いられる耐オゾン性向上剤としては、グアニジン化合物が好ましい。
本発明で用いられるグアニジン系化合物とは、N−C(=N)−N構造を有する化合物を意味する。
グアニジン系化合物としては、一般式(1)で表される化合物が好ましい。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、特に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピぺリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
R1〜R5で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはヘテロ環基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されていてもよい。そのような置換基としては、塩素などのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基、アリールオキシ基(アリール部分は、ここで列記する置換基により更に置換されていてもよい)等が挙げられる。これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。また、上記アミノ基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基は、その水素原子が上記R1〜R5で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
R1〜R4で示されるアミノ基は、その水素原子が上記R1〜R5で示されるアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基等で置換されていてもよい。
以下、上記化合物について詳細に説明する。
本発明に用いられるチオール系化合物とは、SH基を有する化合物であり、芳香族チオール、脂肪族チオールが好ましく、一般式(9)で表される化合物が好ましい。
一般式(9);
R−SH
(式中、Rはアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基である。)
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、更に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、更に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピぺリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
Rで示される上記置換基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されていてもよく、そのような置換基としては、カルボキシル基、オキソ基、アミノ基、アミノ酸残基(好ましくは炭素数2〜8個)、アンモニウム基、ヒドロキシル基、チオール基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12個)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数1〜12個であり、カルボキシル基、アミノ基等が置換されていてもよい)、カルバモイル基等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。
本発明に用いられるアミジン系化合物とは、−C(=NH)−NH2基(アミジノ基)が炭素含有基の炭素原子に結合した構造を示すものを意味し、前記−C(=NH)−NH2基の水素原子の1以上は置換基により置換されてもよい。
アミジン系化合物としては、一般式(10)で表される化合物が好ましい。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、更に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、更に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピぺリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
R1〜R4で示される置換基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されていてもよい。そのような置換基としては、塩素などのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アミジノ基、アリールオキシ基(アリール部分は、ここで列記する置換基により更に置換されていてもよい)等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。また、上記アミノ基、カルバモイル基、アミジノ基は、その水素原子が上記R1〜R4で示されるアルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
アミジン系化合物は、塩酸塩などの塩の形態であっても良い。
本発明に用いられるカルバジド系化合物とは、カルバジド及びその誘導体を意味し、好ましくは一般式(11)R5R6NCONHNR7R8(R5〜R8は、それぞれ独立に、水素原子または有機基である。)で表される化合物である。
前記有機基としては、前記R1〜R4で挙げられたものが好ましい。
R5〜R8で示される置換基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されていてもよい。そのような置換基としては、前記R1〜R4に置換し得るものとして例示したものの他に、−HNCONHNR9R10(ここで、R9、R10は、有機基であり、その好ましい例は、R1〜R4と同様である。)が好ましいものとして挙げられる。本発明において、−HNCONHNR9R10をカルバジド構造という。本発明で用いられるカルバジド系化合物としては、同一分子中にカルバジド構造を好ましくは2つ以上(更に好ましくは2〜6つ)有するものである。
本発明に用いられるヒドラジド系化合物とは、ヒドラジド及びその誘導体を意味し、好ましくは一般式(12)R11CONHNR12R13(R11〜R13は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドラジノ基、または有機基である。また、R11はR12またはR13と結合することにより環を形成してもよい。)で表される化合物である。
前記有機基としては、前記一般式(10)のR1〜R4で挙げられたものが好ましい。
R11〜R13で示される置換基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されていてもよい。そのような置換基としては、前記R1〜R4に置換し得るものとして例示したものの他に、アシル基、シアノ基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、ベンゾイル基、−CONHNR14R15(ここで、R14、R15は、有機基であり、その好ましい例は、R1〜R4と同様である。)が好ましいものとして挙げられる。本発明において、−CONHNR14R15をヒドラジド構造という。本発明で用いられるヒドラジド系化合物としては、同一分子中にヒドラジド構造を好ましくは2つ以上(更に好ましくは2〜6つ)有するものである。
インク組成物中に含まれる耐オゾン性改良剤の含有量は、好ましくは0.1〜20重量%、更に好ましくは0.5〜15重量%、特に好ましくは1〜7.5重量%である。
以下、本発明の黒インク組成物に含有させることが可能な、その他の添加剤について説明する。
本発明で使用される界面活性剤としては、脂肪酸塩類、高級アルコールのエステル塩類、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類、高級アルコールのリン酸エステル塩類等のアニオン界面活性剤、脂肪族アミン塩類、4級アンモニウム塩類等のカチオン界面活性剤、高級アルコールのエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールのエチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルのエチレンオキサイド付加物、アセチレングリコール及びそのエチレンオキサイド付加物等のノニオン界面活性剤、アミノ酸系、ベタイン系等の両性界面活性剤、フッ素系、シリコーン系化合物等が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を用いることができる。
これらの内、ベタイン系界面活性剤は、画像の耐水性の向上や印字したインクの滲みの防止という効果を奏する。ここでは、ベタイン系界面活性剤は例えば油溶性染料の分散に用いたものをも含むこととする。
本発明で使用するベタイン系界面活性剤とは、分子中にカチオン性の部位とアニオン性の部位を両方とも有し、かつ界面活性を有する化合物である。カチオン性の部位としてはアミン性の窒素原子、ヘテロ芳香族環の窒素原子、リン原子などを挙げることができる。この中で好ましくはアミン性の窒素原子もしくはヘテロ芳香族環の窒素原子である。中でも特に第4級の窒素原子であることが好ましい。アニオン性の部位としては、水酸基、チオ基、スルホンアミド基、スルホ基、カルボキシル基、イミド基、リン酸基、ホスホン酸基などを挙げることができる。この中でも特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。ベタイン化合物としての荷電は、カチオン、アニオン、中性のいずれでもよいが、好ましくは中性である。
中でも本発明に用いるベタイン界面活性剤は、下記一般式(13)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(13);
(R)p−N−[L3−(COOM)q]r
さらに、本発明に使用するベタイン系界面活性剤としては、特に下記一般式(13−1)または一般式(13−2)で表される化合物が好ましく用いられる。
一般式(13−1);
また、可能な場合には互いに連結して環を形成していても良い。また、R1B〜R3BもしくはL4を介して、ベタイン構造が複数含まれていてもよい。
本発明で使用するベタイン系界面活性剤においては、R1B〜R3BもしくはL4中の少なくとも1つに、炭素数8以上の基を含有する。中でも特に、R1B〜R3Bに長鎖アルキル基が含有されるものが好ましい。
(R)p1−N−[L3−(COOM1)q]r1
式中、R、L3、qは一般式(13)におけると同義である。p1は0以上3以下の整数を表し、r1は1以上3以下の整数を表す。M1はアルカリ金属カチオンまたは水素原子である。但し、p1+r1は3である。p1が2以上の時はRは同じでも異なっていてもよい。r1が2以上の時はL3−(COOM1)qは同じでも異なっていてもよい。
式中、Rはアルキル基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数1ないし20の基である。例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、ドデシル基、セチル基、ステアリル基、オレイル基など)、アリール基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数6ないし20の基である。例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、クミル基、ドデシルフェニル基など)、複素環基(置換されていてもよい。好ましくは炭素数2ないし20の基である。例えばピリジル基、キノリル基など)を表し、それぞれが互いに連結して環状構造を形成してもよい。この中で特に好ましくはアルキル基である。
一般式(13−3);
R−N−(L3−COOM1)2
中でもある2種のインクA、Bの染料濃度がそれぞれDa、Db(Da>Db)であり、ベタイン系界面活性剤の濃度がそれぞれVa、Vb(Va>Vb)である場合、Da/Db=k(Va/Vb)におけるkは、0.1〜10であることが好ましい。
さらに本発明のインク組成には、消泡剤を含有することが好ましい。
インク組成物に使用出来る消泡剤としては、メタノール、エタノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類、ジ−t−アミルフェノキシエタノール、3−ヘプチルセロソルブ、ノニルセロソルブ、3−ヘプチルカルビトール等のエーテル類、ステアリン酸イソアミル、コハク酸ジエステル、ジエチレングリコールジステアレート、オキシエチレンソルビタンモノラウリル酸エステル等の脂肪酸エステル類、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸カリウム等の金属石鹸、シリコンオイル、シリコンエマルジョン、有機変性シリコンオイル等のシリコン類、燐酸エステル類、及びノニオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの内でノニオン性界面活性剤が、その効果、及びインク組成物への悪影響が無いという点で、最も好ましい。
ノニオン性界面活性剤のうち、消泡剤としては、下記一般式(14)で示される化合物が好ましい。
HO−L1−(B−O)X−(A−O)Y−(B'−O)Z−L2−H
これらの反応工程は、一般的に高温で実施される。それぞれの工程で、異なる触媒が使用されても良く、また同じ触媒が使用されても良い。適切な塩基触媒の例としては、水酸化ナトリウム又はカリウム、ナトリウムメトキシド、及びナトリウムエトキシド等が挙げられる。適切な酸触媒の例としては、三フッ化ホウ素、ジエチルエーテル三フッ化ホウ素付加物の様なエーテル三フッ化ホウ素化合物、及びトリエチロキソニウム、四フッ化ホウ素等が挙げられる。
触媒残留物はイオン交換樹脂、又は中和により除去することが出来る。
一般式(15);
HO−(P−O)X−(E−O)Y−(P−O)Z−H
一般式(15)において、Pはプロピレン基を表す(P−Oはプロピレンオキシドを表す)。Eはエチレン基を表す(E−Oはエチレンオキシドを表す)。X、Y及びZはそれぞれ1以上の整数である。
また添加量は、0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜3質量%がさらに好ましい。添加量が、少なすぎる場合は、インク組成物の抑泡性能、消泡性能が劣り、多すぎる場合は、インク組成物への溶解性が低下しインク組成物の保存安定性等に悪影響を及ぼす。
HO-(EO)a-(PO)b-(EO)c-(PO)d-(EO)e-H
HO-(EO)a-(PO)b-(EO)c-(PO)d-(BO)e-H
HO-(BO)a-(PO)b-(EO)c-(PO)d-(BO)e-H
HO-(EO)a-(PO)b-(EO)c-(BO)d-(EO)e-H
HO-(EO)a-(PO)b-(EO)c-(BO)d-(PO)e-H
HO-(BO)a-(PO)b-(EO)c-(BO)d-(PO)e-H
HO-(EO)a-(BO)b-(EO)c-(BO)d-(EO)e-H
HO-(EO)a-(BO)b-(EO)c-(BO)d-(PO)e-H
HO-(PO)a-(BO)b-(EO)c-(BO)d-(PO)e-H
HO-(EO)a-(BO)b-(PO)c-(BO)d-(EO)e-H
HO-(EO)a-(BO)b-(PO)c-(BO)d-(PO)e-H
HO-(BO)a-(PO)b-(PO)c-(BO)d-(PO)e-H
HO-(EO)a-(PO)b-(EO)c-(PO)d-(EO)e-H
HO-(EO)a-(PO)b-(EO)c-(PO)d-(BO)e-H
HO-(BO)a-(PO)b-(EO)c-(PO)d-(BO)e-H
HO-(EO)a-(PO)b-(EO)c-(BO)d-H
HO-(PO)a-(EO)b-(BO)c-(EO)d-H
HO-(PO)a-(EO)b-(BO)c-(PO)d-H
HO-(BO)a-(PO)b-(EO)c-(BO)d-H
HO-(BO)a-(EO)b-(BO)c-(EO)d-H
HO-(BO)a-(EO)b-(BO)c-(PO)d-H
HO-(EO)a-(BO)b-(PO)c-(BO)d-H
HO-(BO)a-(PO)b-(BO)c-(PO)d-H
HO-(PO)a-(EO)b-(PO)c-H
HO-(PO)a-(EO)b-(BO)c-H
HO-(BO)a-(EO)b-(BO)c-H
HO-(BO)a-(PO)b-(BO)c-H
上記中、EOはエチレンオキシド、POはプロピレンオキシド、BOはブチレンオキシドを表す。上記のa、b、c、d、eは分子量の好ましい範囲内の数値を選ぶことが出来る。a+b+c+d+eの値が30〜200、好ましくは40〜150の範囲で、分子量が10000以下である。
E−1: HO-(CH3CHCH2O)m-(CH2CH2O)n-(CH3CHCH2O)m'-H
m+n+m'=60、n:15
E−2: HO-(CH3CHCH2O)m-(CH2CH2O)n-(CH2CH(CH3)O)m'-H
m+n+m'=50、n:25
E−3: HO-(CH3CHCH2O)m-(CH2CH2O)n-(CH3CHCH2O)m'-H
m+n+m'=55、n:15
E−4: HO-(CH3CHCH2O)m-(CH2CH2O)n-(CH3CHCH2CH2O)m'-H
m+n+m'=71、n:15
E−5: HO-(CH3CHCH2CH2O)m-(CH2CH2O)n-(CH3CHCH2CH2O)m'-H
m+n+m'=140、n:72
E−6: HO-(CH3CHCH2CH2O)m-(CH2CH2CH2O)n-(CH3CHCH2CH2O)m'-H
m+n+m'=140、n:80
E−7:HO-(CH2CH2O)n'-(CH3CHCH2O)m-(CH2CH2O)n-(CH3CHCH2O)m'-(CH2CH2O)n''-H
m+m'=50、n:15、n'+n''=20
上記のn等の値は実際には、分布巾を持ち、その分布の平均値である。
更に、上記一般式(15)で示される、エチレンオキシド・プロピレンオキシドのブロック共重合体の具体的な例としては、BASF社製のPluronic RPE 1720、RPE 1740、RPE2035、RPE2510、RPE 2520、RPE2525、RPE 3110、10R5、10R8、12R8、17R1、17R2、17R4、17R8、22R4、25R1、25R2、25R4、25R5、25R8、31R1、31R2、51R4等が挙げられる。
本発明の消泡剤は単独で用いても良いし、又本発明の消泡剤を複数種使用しても良い。更に、本発明の消泡剤と前掲の消泡剤とを併用しても良い。
本発明の黒インク組成物には、さらに金属キレート剤を含有することが好ましい。金属キレート剤とは金属イオンと結合した分子の中に2個以上のドナー原子を持つ金属イオン錯体を形成可能な化合物を指す。
通常、染料は、水系溶媒への溶解性を向上させるために、解離基を導入して金属塩の形で使用することが多いが、重金属類が存在するとヘッドの傷みによる吐出安定性の劣化がはやく、特に高湿条件下でこの劣化が著しい。インク組成物中に、金属キレート剤をインク組成物中に導入することで、重金属類をトラップ可能であり、吐出安定性の劣化を防止することができる。
このような化合物としては種々の化合物が知られている。
例えば、脂肪族もしくは芳香族のカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸以上のポリカルボン酸、オキシカルボン酸、ケトカルボン酸、チオカルボン酸、芳香族アルデヒド、アミン系化合物、ジアミン化合物、ポリアミン化合物、アミノポリカルボン酸、ニトリロトリ酢酸誘導体、エチレンジアミンポリカルボン酸、アミノ酸、ヘテロ環カルボン酸、ヘテロ環類、ピリミジン類、ヌクレオシド類、プリン塩基類、β−ジケトン類、オキシン類等を挙げることができる。この中でも特にエチレンジアミンポリカルボン酸類もしくは窒素原子のローンペアがドナーとして作用可能なキレート剤が好ましい。
本発明のインク組成物は、媒体として水を含有する。本発明のインク組成物には、さらに親油性媒体を含有させてもよく、該水媒体中に本発明の染料を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。また水媒体は、所望により水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例は特開2003−306623号公報に記載のものが使用できる。水混和性有機溶剤は、インク組成物中に少なくとも一種含まれることが好ましい。水混和性有機溶剤としてはアルコール類またはジオール類であることが好ましく、より好ましくはイソプロパノール、1,2−へキサンジオールである。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
本発明のインク組成物は、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、本発明のインク組成物のほかにマゼンタ色調インク組成物、シアン色調インク組成物、及びイエロー色調インク組成物を用いたインクセットとして用いてもよい。各色についてそれぞれ濃淡2色のインク組成物を用いることもできる。更には、ブルーやオレンジといった中間色調のインク組成物を用いることもできる。
本発明のインクジェット記録方法は、前記インク組成物にエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。受像材料としては支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料が好ましい。なお、本発明のインクジェット記録方法として特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105の記載が適用できる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインク組成物を小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインク組成物を用いて画質を改良する方式や無色透明のインク組成物を用いる方式が含まれる。
[実施例1]
(インク組成物の調製)
表2に示す組成を有する各成分を30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌溶解した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過して、各インク組成物を得た。
次に上記の黒インク組成物を、エプソン社製インクジェットプリンターPM970Cのブラックインクカートリッジに装填し、他のインク組成物は全て純正のインクカートリッジを装填して、同機にて印刷を行った。
富士写真フィルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」上に、30℃80%RHの環境下で、イエロー、マゼンタ、及びシアンのベタ中に黒線のある画像を印刷した。同条件下で1晩放置後、目視によりイエロー、マゼンタ、シアンの各色と黒との境界部分を観察したが、色間滲み等の画質欠陥は見られなかった。
同じ実験をセイコーエプソン株式会社製の写真用紙、及びキャノン社製のPR101を用いて行ったが、どちらの場合も色間滲み等の画像欠陥は見られなかった。
富士写真フィルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」上に、30℃80%RHの環境下で、黒ベタ画像を印刷し、同条件下で1晩放置後、目視によりブロンズ(プリント表面の金属光沢)の評価を以下の基準で行った。
A:ブロンズ光沢は全く見られない。
B:僅かながらブロンズ光沢が見られる。
C:明らかにブロンズ光沢が認められる。
ブラックインクを用いて、グレーの階段パッチ画像を、富士写真フィルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」上に印字した。この階段パッチ画像の印字後24時間経過したところで、ステータスAフィルターが標準装備されたX−rite310濃度計を用いて、階段パッチ部分の各濃度域の反射濃度の測定を行った(Ci)。この試料を、常に5mg/Lのオゾンガス濃度となるように調節可能なオゾンガス褪色試験機中に保存することにより、褪色試験を行った。オゾナイザーには5kV交流電圧印加の高圧放電方式の市販装置を使用し、オゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定及び制御を行った。
1週間保存後、再び画像濃度測定を行い、保存後の濃度(Cf)を求め、色素残存率[%]=Cf/Ci×100を求め評価を行った。色素残存率としてはCiが0.9〜1.1での値を採用した。
(インク組成物の調製)
次に、実施例1と同様にして、表5に示す組成を有するインク組成物を調液した。
次に上記の黒インクを、キャノン社製インクジェットプリンターPixus990iのブラックインクカートリッジに装填し、他のインクは全て純正のインクカートリッジを装填して、同機にて印刷を行い、実施例1と同様の評価を行った。
実施例1と同じ方法で、画質評価を行ったが、色間滲み等の画質欠陥は見られなかった。セイコーエプソン株式会社製の写真用紙、及びキャノン社製のPR101を用いた場合も色間滲み等の画像欠陥は見られなかった。
結果を、表6に示す。セイコーエプソン株式会社製の写真用紙、及びキャノン社製のPR101を用いた場合も同様の結果が得られた。
(耐オゾン性評価)
結果を、表7に示す。セイコーエプソン株式会社製の写真用紙、及びキャノン社製のPR101を用いた場合も同様の結果が得られた。
また、これらの添加剤を組み合わせることにより、インクの性能が総合的に高くなることが分かる。
ここで十分に説明したように、本出願において請求された他国の優先権によるそれぞれ全ての開示及び全ての外国特許出願が、ここに援用して組み込まれる。
Claims (12)
- 少なくとも2種の色材、水、及び添加剤を含む黒インク組成物において、該色材のうち短波側の色材である第1の色材が1分子中に3個以上のアゾ基を有し、かつナフタレン骨格を有する水溶性染料であり、かつ該添加剤が、ブロンズ防止剤及び耐オゾン性向上剤からなる群から選択されることを特徴とする、黒インク組成物。
- 前記ブロンズ防止剤が、1分子中に10個を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の黒インク組成物。
- 前記無色の水溶性平面状化合物が、芳香族環を少なくとも2個有する化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の黒インク組成物。
- 前記ブロンズ防止剤が、カルボキシル基を有する芳香族化合物及び/又はその塩であることを特徴とする、請求項1に記載の黒インク組成物。
- 前記芳香族化合物が、ナフタレン骨格を持つ化合物であることを特徴とする、請求項4に記載の黒インク組成物。
- 前記耐オゾン性向上剤が、グアニジン系化合物であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の黒インク組成物。
- 前記第1の色材の、水溶媒における極大吸収波長が440〜540nm、半値幅が90nm〜200nmであることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の黒インク組成物
- 前記少なくとも2種の色材が、550nmよりも長波長に極大吸収を有する第2の色材を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の黒インク組成物
- 請求項1〜9のいずれかに記載の黒インク組成物を用いたことを特徴とするインクセット。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の黒インク組成物、又は請求項10に記載のインクセットを用いたことを特徴とする記録方法。
- インクジェット記録方法であることを特徴とする、請求項9に記載の記録方法。
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