JP2006089732A - インク組成物及びインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定構造のフタロシアニン染料、水、およびグアニジン系化合物を含有することを特徴とするインク組成物。インクジェット記録に用いる上記インク組成物。上記インク組成物を用いるインクジェット記録方法。
【選択図】 なし
Description
インクジェット記録方法には、ピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。これらのインクジェット記録用インク組成物としては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。これらのインクのうち、製造、取り扱い性・臭気・安全性等の点から水性インクが主流となっている。
既にインクジェット用として様々な染料や顔料が提案され、実際に使用されているが、未だに全ての要求を満足する着色剤は、発見されていないのが現状である。カラーインデックス(C.I.)番号が付与されているような、従来からよく知られている染料や顔料では、インクジェット記録用インクに要求される色相や堅牢性を両立させることは難しい。
1)下記一般式(1)で表される着色剤、水、およびグアニジン系化合物を含有することを特徴とするインク組成物。
Zはそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、これらの基は更に置換基により置換されていてもよい。
R11、R12はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、これらの基は更に置換基により置換されていてもよい。
Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、およびY18はそれぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。
a11〜a14は、X11〜X14の置換基数を表し、それぞれ独立に1または2の整数を表す。
Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。)
2)前記グアニジン系化合物の添加量が、インク組成物中0.1〜10質量%であることを特徴とする上記1)に記載のインク組成物。
3)前記グアジニン系化合物は、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする上記1)又は2)に記載のインク組成物。
4)前記着色剤は、酸化電位が1.0V(vs SEC)よりも貴である染料であることを特徴とする上記1)〜3)の何れかに記載のインク組成物。
5)前記X11〜X14の少なくとも1つは水溶性基であり、かつ該X11〜X14の少なくとも1つは水素結合性基であることを特徴とする上記1)〜4)の何れかに記載のインク組成物。
6)前記水溶性基(x)/水素結合性基(y)(個数比)が、(0<x<3)/(1<y<4)であることを特徴とする上記5)に記載のインク組成物。
7)前記水溶性基が、−SO2(CH2)3SO3Liであり、水素結合性基が、−SO2(CH2)3SO2NHCH2CH(CH3)OHであることを特徴とする上記5)または6)に記載のインク組成物。
8)インクジェット記録に用いることを特徴とする上記1)〜7)の何れかに記載のインク組成物。
9)上記1)〜8)の何れかに記載のインク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
特に、フタロシアニン染料の置換基の種類及び置換位置を特定すると上記耐オゾン性は更に向上し得ることを見出したものである。
即ち、一般式(1)で表される本発明のフタロシアニン染料は、置換基の位置を分子合成の際に制御することにより、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位のみに置換基を有することが、大きな特徴となっている。
通常、フタロシアニン染料では、フタロシアニン骨格のベンゼン環のα位、及びβ位にランダムに水溶性基などの置換基を有している。
本発明のフタロシアニン染料は、上に述べたようにβ位のみに置換基を有し、これによりフタロシアニン染料分子の会合が起こり、このため優れた耐候性(耐光性、耐ガス性)を示すと考えられる
以下、本発明の構成要素について詳述する。
一般式(1)において、X11、X12、X13およびX14はそれぞれ独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR11R12、スルホ基、−CONR11R12、または−CO2R11を表す。これらの置換基の中でも、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR11R12、または−CONR11R12が好ましく、特に−SO2−Z、または−SO2NR11R12が好ましく、−SO2−Zが最も好ましい。ここで、複数のX11、X12、X13およびX14はそれぞれ同一でも異なっていても良く、それぞれ独立に上記のいずれかの基を表す。また、X11、X12、X13およびX14は、それぞれ全く同じ置換基であっても良く、あるいは例えばX11、X12、X13およびX14が全て−SO2−Zであるが各Zは異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的に互いに異なる置換基であっても良く、あるいは例えば−SO2−Zと−SO2NR11R12が同時に置換した場合のように、互いに異なる置換基を含んでいても良い。
本願明細書において、アルケニル基とは、直鎖状、分岐状、環状(単環でも多環でもよく、多環の場合は有橋でもスピロでもよい)あるいはこれらを組合せて得られる芳香族を除く炭素−炭素二重結合を1以上含む1価不飽和炭化水素基を意味する概念であり、更に置換基により置換されていてもよい場合は、置換アルケニル基を包含する。
本願明細書において、例えば、置換アルキル基とは、アルキル基の水素原子が他の置換基で置換されているアルキル基を意味し、該置換基は1種以上を各々1個以上置換し得る。他の置換アリール基等も上記と同様である。
中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、およびスルホ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
炭素数1〜12の直鎖または分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖または分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖または分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖または分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性およびインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アニリノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基および4級アンモニウム基)が挙げられる。
a11〜a14は、X11〜X14の置換基数を表し、それぞれ独立に1または2の整数を表し、好ましくは4≦a11+a12+a13+a14≦6であり、特に好ましいのはa11=a12=a13=a14=1のときである。また、該置換基は、水溶性基と水素結合性基からなることが好ましい。
なかでも特に、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
ハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編、「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。
一般式(A)中、Mは前記一般式(1)のMと同一であり、Yはハロゲン原子、酢酸陰イオン、アセチルアセトネート、酸素などの1価又は2価の配位子を示し、dは1〜4の整数である。
水溶性基とは、一般式(1)で表される染料(染料(1)とも記す)の水溶解性に寄与する基であって、その構造中にイオン性親水性基を少なくとも1つ有する置換基である。水溶性基は、イオン性親水性基のみからなるものでもイオン性親水性基を有する基でもよい。
イオン性親水性基には、カルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、スルホ基、ホスホノ基、スルホンアミド基および4級アンモニウム基等が含まれる。前記イオン性親水性基としては、カルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、スルホ基、およびホスホノ基が好ましく、中でもカルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、スルホ基が好ましい。特に少なくとも1つはカルボキシル基である事が最も好ましい。また、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、もしくはスルホンアミド基は、インク中における染料の保存安定性を高める作用がある為、好ましい。
カルボキシル基、ヘテロ芳香環を含む芳香環上の水酸基、ホスホノ基、スルホンアミド基およびスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。
なお、水素結合性基は、染料(1)と後述の添加剤との間で水素結合が可能であってもよい。
染料(1)1分子において、水溶性基と水素結合性基が共存する場合、和が8個の条件で各々1〜7個が可能であるが、本発明では、水溶性基(x)/水素結合性基(y)(個数比)が、(0<x<3)/(1<y<4)であることが好ましく、(1<x<3)/(1<y<3)が更に好ましく、(x=2)/(y=2)が特に好ましい。この個数比の各値はそのまま染料(1)1分子中に占める個数であることが好ましい。
なお、上記個数比は、多数の染料(1)分子が統計的に平均化されたものであって、かりに個々の分子においてその個数比が下限または上限から外れたものが存在しても、全分子を平均化したものが上記範囲であれば、本発明では許容範囲である。この個数比は後述されるように染料(1)の合成原料の配合比を制御することにより調整可能である。この個数比は、染料(1)の水溶液中の吸収スペクトル特性(λmax,ε値、吸収波形)で管理することができる。
特に好ましい水溶性基、水素結合性基の具体例を以下に示すが、本発明に用いられる水溶性基、水素結合性基は、下記の例に限定されるものではない。
また、水溶性基に付いては遊離の形で以下に示すが、本発明に用いられる水溶性基は、塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)および有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましい。
本発明に用いられるグアニジン系化合物とは、N−C(=N)−N構造を有する化合物を意味する。
グアニジン系化合物としては、一般式(2)で表される化合物が好ましい。
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、特に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピぺリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
R1〜R5で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはヘテロ環基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、塩素などのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基、アリールオキシ基(アリール部分は、ここで列記する置換基により更に置換されていてもよい)等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。また、上記アミノ基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基は、その水素原子が上記R1〜R5で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
R1〜R4で示されるアミノ基は、その水素原子が上記R1〜R5で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基等で置換されていてもよい。
グアニジン系化合物としては、以下のものが挙げられ、単独もしくは組み合わせて用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。受像材料としては支持体上に白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料が好ましい。なお、本発明のインクジェット記録方法として特開2003−306623号公報の段落番号0093〜0105の記載が適用できる。
インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
(インク組成物の調製)
表1に示す組成を有する各成分を30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌溶解した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過して、各インク組成物を得た。
上記のインクLC−01〜06を、エプソン社製インクジェットプリンターPM−G800のライトシアンインクのカートリッジに装填し、同機にて富士写真フィルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」に画像を印刷し、下記の評価を行った。評価結果を表3に示す。
シアン単色の階段パッチ画像を印字した。この階段パッチ画像の印字後24時間経過したところで、階段パッチ部分の各濃度域を、ステータスAフィルターが標準装備されたX−rite310濃度計を用いて反射濃度の測定を行った(Ci)。この試料を、常に5mg/Lのオゾンガス濃度となるように調節可能なオゾンガス褪色試験機中に保存することにより、褪色試験を行った。オゾナイザーには5kV交流電圧印加の高圧放電方式の市販装置を使用し、オゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定及び制御を行った。
1週間保存後、再び画像濃度測定を行い、保存後の濃度(Cf)を求め、色素残存率[%]=(Cf/Ci)×100を求め評価を行った。色素残存率としては反射濃度Ciが0.9〜1.1での値を採用した。
耐オゾン性評価と同様にして印字及び画像濃度測定を行い、その後、試料をアトラス社製ウェザーメーターを用いて画像にキセノン光(8万5千ルクス)を2週間照射した後、再び画像濃度Dfを測定し、色素残存率[%]=(Df/Di)×100を求め評価とした。色素残存率については反射濃度Diが0.9〜1.1での値を採用した。
表3の結果より、本発明によるインク組成物を用いた場合は、優れた耐オゾン性、耐光性を示すことが分かる。
耐オゾン性に注目すると、実用的な色素残存率は80%程度と想定し、上記の結果から、色素残存率が80%になるのに要する時間を求め、それを実際環境(オゾン濃度)での時間に換算すれば、LC−01、02では約15年、LC−03は約10年であるのに対して、LC−04は約5年、LC−05、06は約2年程度の寿命しか持たないと予想される。
Claims (9)
- 下記一般式(1)で表される着色剤、水、およびグアニジン系化合物を含有することを特徴とするインク組成物。
Zはそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、これらの基は更に置換基により置換されていてもよい。
R11、R12はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、これらの基は更に置換基により置換されていてもよい。
Y11、Y12、Y13、Y14、Y15、Y16、Y17、およびY18はそれぞれ独立に、水素原子または一価の置換基を表す。
a11〜a14は、X11〜X14の置換基数を表し、それぞれ独立に1または2の整数を表す。
Mは水素原子、金属原子またはその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物である。) - 前記グアニジン系化合物の添加量が、インク組成物中0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
- 前記着色剤は、酸化電位が1.0V(vs SEC)よりも貴である染料であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のインク組成物。
- 前記X11〜X14の少なくとも1つは水溶性基であり、かつ該X11〜X14の少なくとも1つは水素結合性基であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のインク組成物。
- 前記水溶性基(x)/水素結合性基(y)(個数比)が、(0<x<3)/(1<y<4)であることを特徴とする請求項5に記載のインク組成物。
- 前記水溶性基が、−SO2(CH2)3SO3Liであり、水素結合性基が、−SO2(CH2)3SO2NHCH2CH(CH3)OHであることを特徴とする請求項5または6に記載のインク組成物。
- インクジェット記録に用いることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載のインク組成物。
- 請求項1〜8の何れかに記載のインク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
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