JP2008504046A - 核酸増幅に有用である試薬を安定化する方法 - Google Patents

核酸増幅に有用である試薬を安定化する方法 Download PDF

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Abstract

(1)核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を含む試薬混合物を調製すること(前記混合物はポリヌクレオチドポリメラーゼを含む。);及び(2)前記試薬を乾燥することを含み;前記試薬混合物が、増幅反応を活性化するのに必要とされるマグネシウムイオンの最終濃度約0.1%から約50%までを含むことを特徴とする、
核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化する方法がここに開発された。試薬、反応容器、核酸増幅反応におけるこのような試薬の使用及びこのようにして調製された試薬を用いて増幅反応を実施する方法も、本明細書に開示されている。

Description

本発明は、試薬、特に、核酸増幅反応において使用されるべき試薬の安定化方法に関する。本発明は、安定化された試薬、このような試薬を含む反応容器及びこのような試薬の使用にも関する。
試薬には、周囲温度、圧力及び湿度では、安定でないものがある。研究室の制御された環境では、例えば、低下した温度で試薬を保存することによって、又は無酸素雰囲気中で試薬を保存することによって、それらの安定性は容易に管理することが可能であるが、研究室環境の外部で使用されるこのような試薬の安定な保存は、より困難である。さらに、多くの手順は、試薬の複雑な混合物を必要とする。同じく、研究室では、このような試薬は、必要とされるまで、分解又は副反応を抑制するために別個に保存することが可能である。しかし、科学的訓練を殆ど又は全く受けていない作業者によって、研究室環境の外部で使用するための手順を開発する場合には、必要とされる手順を簡略化するために、分解又は副反応なしに、試薬を予め混合及び保存することが可能な方法を開発することが好ましい。このため、多岐にわたる環境及び装置プラットフォームにおいて、試薬の様々な種類及びこのようなものの混合物を上手く保存及び使用できるように安定化するために画期的な解決策が必要とされている。
研究室の外部で使用するために現在開発されている研究室手順の一例は、核酸増幅反応である。多様な様々の核酸標的を増幅するこれらの反応は周知であり、研究室において日常的に実施されている。このような増幅反応の例は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。法廷科学、臨床微生物学、腫瘍学、血液バンク用のツールとして、病状を診断し、環境又は食物中の汚染物質を同定する上でのこの反応の有用性は、周知である。しかしながら、現在までのところ、このような反応の複雑さのため、試薬の固有の安定性のため、試薬が最初に混合された際に副反応が起こる可能性のため、並びに専門的技術及び装置が必要とされるため、このような反応を実施するためには、研究室を基礎とするプロトコールを使用することが必要であった。最近、研究室の外部、例えば、科学的訓練を殆ど又は全く受けていない作業者によって、現場又は病院で核酸増幅反応を実施するために使用することが可能な装置及び手順の開発について進歩があった。このようなシステムは、収集後すぐに、迅速な試料の同定を与えるために、個々の検査を完了することが可能である。
核酸増幅反応は、多くの異なる試薬を必要とする。中核的な試薬には、増幅酵素、例えば、ポリヌクレオチドポリメラーゼ、例えば、熱安定性ポリメラーゼ、ヌクレオシド三リン酸、標的物質に対して相補的であるオリゴヌクレオチドプライマー、マグネシウムイオン及び他の緩衝液が含まれる。さらに、リアルタイムPCR又はqPCRで使用されるアッセイ調合物は、色素標識されたオリゴヌクレオチドプローブ、DNA結合色素、例えば、Sybr Gold及び内部対照DNAを含むことができる試薬も含む。
非研究室ベースの核酸増幅システムに対して優れた貯蔵寿命及び優れた性能を有する試薬製剤を作製するための新たなアプローチの開発が必要とされている。これによって、試薬は、十分な貯蔵寿命を有し、検査の失敗又は偽陽性結果の受領をもたらし得る分解を最小化することが確保される。手順をさらに簡略化するために、必要とされる試薬の可能な限り多くが、保存の前に、必要とされる量で混合されることが望ましい。しかしながら、このような試薬を混合した後、及び保存中に、副反応が最小限に抑えられることが重要である。特に、核酸増幅試薬を予め組み合わせると、調合物が低温(0−4℃)で調製される場合でさえ、標的物質の添加に先立つプライマーの非特異的アニーリングのために、混合物内に、ヌクレオチド配列の誤って開始された未成熟増幅が生じ得る。特に、低コピー数の増幅が実施される場合、増幅及び/又は標的検出を妨害し得る望ましくない人工物が生じるので、これによって、標的増幅の失敗を引き起こすことがある。さらに、試薬を予め組み合わせこと、及び溶液中での保存によって、時間が経つにつれて、試薬の分解を引き起こし得る。これは、部分的には、乾燥粉末形態(例えば、フリーズドライ)中に試薬を保存することによって解決することが可能であるが、問題を完全に防げるわけではない。これは、調合中及びフリーズドライの前に、幾らかの試薬の分解/誤って開始された増幅が生じ得るからであり、湿気のある条件中で装置を保存し又は使用する場合には、試薬の再水和が生じ得る。さらに、試薬の濃度が増加するにつれて、フリーズドライプロセス自体が、液体からガラス状態へと遷移する間に、反応成分間での望ましくない相互作用を促進し得る。このように、周囲温度で、理想的には少なくとも3ヶ月、予め混合された試薬(核酸増幅反応で使用する試薬を含む。)の長期保存を可能とする新規且つ改良された調合物及び安定化システムが必要とされている。核酸増幅の前に試薬を安定化することに関して、幾つかの研究が既に実施されている。例えば、Setterquistら(Nucleic Acids Research 1996, vol 24 pp 1580−1581)は、0.5%アガロース/50%グリセロールを含み、周囲温度でさえ容易に搬送することが可能であり、何ヶ月間も、−20℃で保存することが可能な、マトリックス中にPCR反応の成分を封入する方法を開示する。PCR反応は、溶液中に標的DNAを添加し、混合物のサーモサイクリングを行うことによって、簡単に開始することが可能である。しかしながら、これらの混合物は、周囲温度での保存に適していない。あるいは、米国特許第5,599,660号は、必要に応じてPCR反応のために、ワックス担体中に第一の試薬を封入すること、及び、これを、必要に応じてガラス状形態又は脱水された形態中に保存された第二の試薬と組み合わせることを含む試薬の保存及び輸送する方法を開示している。次いで、ワックスを、適切な溶媒とともに溶解することによって、又はワックスが融解するまで、ワックスを加熱することによって、2つの試薬が混合される。
従来技術には、主要な増幅試薬の1つを除去し、増幅直前にこれを添加することによって、反応混合物を安定化するための数多くの示唆も含まれる。例えば、Kaijalainenら(Nucleic Acids Research 1993, vol 21, pp2959−2960)は、増幅混合物が加熱され、ワックスが融解するにつれて、増幅混合物の残りの中にプライマーが放出されるように、ワックスビーズ内にプライマーを乾燥及び包埋することによって、PCR反応混合物を安定化する方法を開示する。Blairら(PCR Methods and Applications 1994, vol 4 ppl91−194)は、PCR試薬(熱に不安定な試薬を含む。)を、ワックスと一緒に同時固化するが、プライマー又は熱に安定な酵素の何れか(後に、増幅直前に、溶液として添加される。)を省略することを開示している。しかしながら、これらの事例の各々では、非研究室環境で反応が行われるべき場合には、熟練していない作業者が、増幅の前に、正しい量で、重要な試薬を添加することがなお必要である。さらに、これらの混合物の幾つかでは、誤ったプライミング現象がなお発生し、副反応及び望ましくない人工物をもたらした。
反応混合物からマグネシウムイオンを除去することによって、増幅用試薬を安定化することも開示されている。これは、マグネシウムの不存在下で、ポリメラーゼが不活性であるという利点を有している。米国特許第5,411,876号は、2つのサブセット(第一のサブセットは、マグネシウムを含み、第二のサブセットは全ての他の試薬を含む。)として試薬を調合すること、および、必要に応じて界面活性剤を含むワックス/グリースの層によって、反応容器内でサブセットを分離することを開示している。米国特許第6,403,341号は、上昇した温度で溶解可能な沈殿として、必要に応じてホスファートイオン源とともに、マグネシウムを封鎖すること、試薬の残りを添加すること、及びサーモサイクリングが開始したときに、試薬を混合させることを開示している。ポリメラーゼは、プライマー及びトリフォスファートの存在下で保存されるので、反応混合物はマグネシウムを一切含まないことが重要であり、さもないと、誤ったプライミングがなお生じ得ることを、従来技術は教示する。遊離のマグネシウムが全く存在しないようにするために、キレート剤などのマグネシウム封鎖物質が添加される。しかしながら、このような系の幾つかでは、試薬が保存中に完全には安定化されず、望ましくない人工物の形成がなお観察されることが、今では観察されている。試薬、特に、核酸増幅反応において使用するための試薬を、保存のために、安定化するさらに改善された方法を開発する必要がなお存在する。
核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化する新規且つ改善された方法が、ここに開発された。
本方法は、
(i)核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を含む試薬混合物を調製すること(前記混合物はポリヌクレオチドポリメラーゼを含む。);及び
(ii)前記試薬を乾燥することを含み;
前記試薬混合物が、増幅反応を活性化するのに必要とされるマグネシウムイオンの最終濃度約0.1%から約50%までを含むことを特徴とする。
マグネシウムの存在は、以下の機序によって増幅反応に影響を与えると考えられる。ポリヌクレオチドポリメラーゼ酵素を活性化すること、オリゴヌクレオチドとの相互作用、dNTPとの錯体形成及び反応混合物の緩衝化。
増幅反応を活性化するために必要とされるマグネシウムイオンの最終濃度の測定は、試行錯誤を必要とするとして本分野において公知であり、ある特定のポリヌクレオチドポリメラーゼに対して、反応が所望の特異性で進行する最適範囲が存在する。所望の増幅反応を活性化するために必要とされるマグネシウムイオンの最終濃度は、典型的には、1mMと5mMの間の範囲であり得る。
増幅が進行しないように、マグネシウムのレベルが選択される場合には、誤ったプライミング現象が最小化又は抑制化される。さらに、反応混合物が、幾らかのマグネシウムイオンを含むように調合することによって、フリーズドライプロセスの間に生じ得る、反応要素間での、特にオリゴヌクレオチドプライマー、プローブ及びDNA結合色素間での望ましくない相互作用が最小化されることにより、標的への結合に利用可能なプライマー及びプローブが確保できると考えられている。これは、増幅反応の効率を改善し、保存時又は増幅時の副産物の形成又は望ましくない人工物を低減する。
反応混合物を乾燥する工程は、室温保存に対して調合物を安定化し、試薬分解を最小限に抑える。このようにして安定化された試薬混合物は、必要とされるマグネシウムの残り及び増幅されるべき標的を含む適切な溶媒の添加によって、核酸増幅において使用することが可能である。
この方法は、乾燥された試薬混合物を、ワックス又はグリースの層によって周囲から隔離する追加工程によって必要に応じて改善される。溶媒、標的物質及び残りのマグネシウムイオンの添加によって、乾燥された試薬を再構成する場合には、当初、ワックス又はグリースの層によって、乾燥された試薬から分離されたままである。これによって、反応混合物を加熱する結果として、ワックス又はグリースが融解し始めるまで、標的物質又はマグネシウムイオンの、ポリメラーゼとの混合が全く生じなくなる。これは、さらに、副産物又は望ましくない人工物をもたらす誤ったプライミング反応を最小限に抑える。融解時に、ワックス又はグリースが水より低い密度を有する場合には、反応混合物の上に最上層を形成する。これは、溶媒がサーモサイクリングの間に蒸発するのを防ぐというさらなる利点を有し、これらの反応は、通常極めて少量で実施されるので、これは重要である。さらに、増幅反応が完結した後に、ワックス/グリースは、反応混合物が冷却するにつれて、反応混合物の最上部で固化する。これは、試薬及び増幅された標的を密封し、使用者を汚染する増幅された標的又はさらなる反応のおそれなく、安全に廃棄することが可能となる。
本発明の本方法は、核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化するための改善された方法を提供することなど、幾つかの利点を有する。本発明の方法によって、ある期間にわたって周囲温度で、理想的には、25℃で最低3時間、非研究室環境中での保存を可能とするために予め混合された試薬を十分に安定化することが可能となる。さらに、安定化法は、増幅前又は増幅中に、反応人工物の形成を最小限に抑えることによって、増幅効率性及び標的物質の検出を改善する。標的物質が低濃度で入手可能な場合、又は低コピー数を有する場合には、これは特に有用である。
本発明は、本発明の方法に従って安定化された試薬にも関し、及び本発明に従って安定化された試薬を含む反応容器にも関する。核酸増幅反応で直接使用するのに適した反応容器中に本発明の試薬を直接安定化することの利点は、使用前に、反応容器中に試薬を移す必要がないことである。非研究室環境では、これにより、試薬の必要量を測定する必要がなくなり、これによって、プロセスが簡略化される。これは、使用中に、試薬又は反応容器が汚染された状態になる可能性も減らす。
本発明は、
(i)核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を含む試薬混合物を調製すること(前記混合物はポリヌクレオチドポリメラーゼを含む。);
(ii)前記試薬を乾燥すること;及び
(iii)ワックス又はグリースの層で、乾燥された試薬を被覆することを含み;
試薬混合物が、増幅反応を活性化するのに不十分なマグネシウムイオンを含むことを特徴とする、核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化する方法にも関する。
本方法は、核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化するための改善された方法を提供することなど、幾つかの利点を有する。本方法によって、一定期間にわたって周囲温度で、理想的には、25℃で最低3時間、非研究室環境中での保存を可能とするために予め混合された試薬を十分に安定化することが可能となる。乾燥された試薬上にワックス又はグリースの被覆を添加することによって、試薬の保存時に生じ得る試薬のあらゆる再水和が最小限に抑えられる。湿った又は湿気のある環境中に試薬を保存すべき場合には、これは、特に有用である。さらに、反応混合物が、増幅反応を活性化するのに不十分なマグネシウムイオンを含むように確保し、これによって、ポリヌクレオチドポリメラーゼの最小活性を確保することにより、増幅前又は増幅中の反応混合物中での人工物の形成が最小限に抑えられ、これにより、増幅効率及び標的物質のその後の検出が向上する。本発明は、このようにして安定化された試薬、及び、このようにして安定化された試薬を含む核酸増幅反応において使用するのに適した反応容器にも関する。
周囲温度で、核酸増幅反応において使用するのに適した試薬の安定な保存を可能とする方法を開発することが本発明の目的である。本方法は、増幅反応前又は増幅反応中に生じ得る副反応を最小限に抑えるはずであり、これにより、望ましくない人工物を低減し、増幅反応の効率性を増加する。さらに、本方法は、乾燥プロセス中の、反応成分間での好ましくない相互作用を最小限に抑えるはずであり、これにより、望ましくない人工物の形成をさらに最小限に抑える。このようにして安定化された試薬及びこのようにして安定化された試薬を含む反応容器を開発することが、本発明のさらなる目的である。本発明のこれらの目的及びその他の目的は、以下の開示に照らして明らかとなるであろう。
第一の局面によれば、本発明は、
(i)核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を含む試薬混合物を調製すること(前記混合物はポリヌクレオチドポリメラーゼを含む。);及び
(ii)前記試薬を乾燥すること、を含み;
前記試薬混合物が、増幅反応を活性化するのに必要とされるマグネシウムイオンの最終濃度約0.1%から約50%までを含むことを特徴とする、核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化する方法に関し、本方法が開発された。
第二の局面によれば、本発明は、本発明に従って安定化された核酸増幅反応において使用するのに適した試薬に関する。
第三の局面によれば、本発明は、本発明に従って安定化された試薬を含む核酸増幅反応において使用するのに適した反応容器に関する。
第四の局面によれば、本発明は、核酸増幅反応における、このように安定化された試薬の使用に関する。
第五の局面によれば、本発明は、
(i)本発明に従って試薬混合物を調製すること;
(ii)前記試薬混合物に、増幅されるべき標的物質と、増幅反応を活性化するのに十分なさらなるマグネシウムイオンと、及び適切な溶媒とを添加すること;並びに
(iii)このように形成された反応混合物を加熱及び冷却すること、を含む、核酸増幅反応を実施する方法に関する。
第六の局面によれば、本発明は、
(i)核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を含む試薬混合物を調製すること(前記混合物はポリヌクレオチドポリメラーゼを含む。);
(ii)前記試薬を乾燥すること;及び
(iii)ワックス又はグリースの層で、乾燥された試薬を被覆すること、を含み;
試薬混合物が、増幅反応を活性化するのに不十分なマグネシウムイオンを含むことを特徴とする、核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化する方法に関する。
説明
本明細書中に引用されている全ての刊行物は、別段の記載がなければ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
「本明細書」で使用される「試薬」という用語は、酵素、ペプチドホルモン、構造タンパク質、アミノ酸、抗体、タンパク質群を含有する分子、RNA、DNA、核酸、プライマー、プローブ、緩衝液及び核酸に抱合されたタンパク質など、化学的又は生化学的反応、特に核酸増幅反応における成分であり得るあらゆる物質を表すものとする。試薬は、蛍光団が付着されたプローブ、DNA結合色素(例えば、臭化エチジウム、Sybr Goldなど)などの核酸インターカレート色素を含む検出物質とすることも可能である。
本明細書で使用される「マグネシウムイオン」という用語は、二価マグネシウムが、好ましくは約6から約9までのpHを有するあらゆる水性溶媒中に放出されるように形態でマグネシウムを含有するあらゆる物質を表すものとする。マグネシウムイオンを放出できる可能性を秘める物質には、塩化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム及び硫酸マグネシウムが含まれるが、これらに限定されるものではない。
本明細書で使用される「核酸反応容器」という用語は、増幅中に核酸増幅試薬を保持するのに適したあらゆる容器を表すものとし、従って、このような反応を阻害する材料で作製されるべきではない。一般に、このような容器は、ポリプロピレンから作製される。反応容器を作製する材料は、実質的に同じサイズ/形状を保持しながら約20℃から約100℃までの範囲の温度に耐えることができ、且つ、約4分以下の時間にわたって実施された場合に、約40℃の内容物の温度の変化を完了することが可能であるように選択すべきである。
本明細書において使用される「油」という用語は、約40℃未満の温度で液体であり」、水より低い密度を有する、水に混和しない有機物質を表すものとする。「鉱油」は、液体石油及びパラフィン油としても知られ、無色であり、必要に応じて、0.84g/mL付近の密度を有する高分子の何れかの炭化水素の透明な混合物であり、広く市販されており、一般的に、核酸増幅反応上の蒸気バリアとして使用されている。
本明細書において使用される「ワックス」という用語は、周囲温度で固体である、炭化水素、アルコール、脂肪酸及びエステルから構成される物質のあらゆる群を表す。これらの物質は、植物又は動物由来であり得、主に、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル、遊離脂肪酸及びアルコール、並びに飽和炭化水素を含有する。適切な担体ワックスは、ある温度で液体であり、これより低い温度で固体である。さらに、適切なワックスは、水溶液中で可溶性又は膨潤可能でない。好ましくは、担体ワックスは、室温より上の融点を有する材料から選択される。最も好ましくは、担体ワックスは、室温の通常の変動で、同時固化される材料が固体の状態を保つように、37℃を超える融点を有する材料から選択される。融解されると、ワックスは、好ましくは、水より低い密度を有する液体を形成する。有用なワックスである典型的な純粋化合物は、エイコサン、オクタコサン、パルミチン酸セチル及びペンタエリスリトール、テトラベヘナートが含まれる。典型的なワックス混合物には、パラフィン、パラプラスト、ウルトラフレックス及びBesquare 175、Ampliwax(Perkin Elmer Cetus)及びPolyfin(Polysciences)が含まれるが、これらに限定されない。ワックスは、純粋なワックス又は混合されたワックスを互いに混合することによって、又は一般にワックスの特徴を保持するあらゆる比率でグリース若しくは油と混合することによって調製することが可能である。このような技術は、当業者に周知である。
本明細書において使用される「グリース」という用語は、固体又は半固体であるが、約40℃未満の温度では極めて柔らかく、約40℃から約80℃までの範囲で融解して、水より低い密度を有する液体を形成する有機物質を表すものとする。典型的なグリースは、白色ワセリン(高分子量炭化水素の混合物)である。
本明細書において使用される「界面活性剤」という用語は、水又は水溶液とポリオレフィンプラスチック、油、グリース及びワックスのような疎水性固体又は液体の間の界面張力を減少する物質を意味する。界面活性剤は、構造的には、共有結合された親水性及び疎水性部分から構成される。「非イオン性界面活性剤」は、正又は負に帯電された部分を含有しない。典型的な非イオン性界面活性剤には、構造的相同物の以下のファミリーが含まれる。Span、Tween、Brij、Myrj及びTriton。
脱水及び凍結乾燥された生物試薬及び化学試薬は、とりわけ、「L. R. Rey “Glimpses into the Fundamental Aspects of Freeze Drying” in International Symposium on Freeze Drying of Biological products Washington DC 1976 in Develop. Biol. Standard 36:19−27, 1977 (S. Karger, Basel)」に記載されている方法に従って調製することが可能である。あるいは、物質は、米国特許第5,250,429号及び第5,098,893号に記載されているような多糖で作製された「ガラス」中に保存され得る。何れの事例においても、安定化された試薬を再水和するために、水又は水性溶媒が一般に添加される。
本発明は、
(i)核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を含む試薬混合物を調製すること(前記混合物はポリヌクレオチドポリメラーゼを含む。);及び
(ii)前記試薬を乾燥することを含み;
前記試薬混合物が、増幅反応を活性化するのに必要とされるマグネシウムイオンの最終濃度約0.1%から約50%までを含むことを特徴とする、核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化する方法に関し、本方法がここに開発された。
核酸増幅反応において使用するために一般的に混合される試薬には、以下から選択される試薬が含まれる。約1×10−5Mないし約1×10−3Mの範囲の濃度の全4つの化合物ヌクレオシド三リン酸(例えば、DNAポリメラーゼの場合、4つの共通dNTP−dATP、dGTP、dTTP、dCTP);通常約1−5mMの濃度の、適切な物質の形態(通常MgCl)のマグネシウムイオン;通常、約1×10−10Mから約1×10−8Mまでの濃度のポリヌクレオチドポリメラーゼ、好ましくは熱安定性ポリメラーゼ、より好ましくは熱安定性DNAポリメラーゼ、最も好ましくはサームス・アクアティカス(Thermus aquaticus)から得たDNAポリメラーゼI(米国特許第4,889,818号に記載されているように、Taqポリメラーゼ)及び約1×10−7Mから約1×10−5Mまでの濃度で通常存在する標的核酸配列の両鎖上の配列に対して相補的である塩基配列。プライマーは、一般的には、核酸化学の分野で周知の固相法によって合成される。
増幅されるべき標的核酸が上記試薬を含む溶液に添加すると、核酸増幅反応が起こる。次いで、混合物が周期的に加熱され、その間に増幅が起り得る。増幅反応は、通常、溶媒約5ないし約200μL中で、好ましくは、約6から約9までの範囲のpHを有するように緩衝化された水溶液中で実施される。
必要に応じて、増幅反応混合物は、色素(蛍光色素;必要に応じて蛍光性であり得る核酸インターカレート色素を含み、DNA結合蛍光色素、例えば、臭化エチジウム、SYBR Goldなどを含む。);牛血清アルブミン;内部対照核酸及びこれらの混合物で必要に応じて標識され得る、標識されたオリゴヌクレオチドプローブも含み得る。
本発明では、所望の試薬が一緒に混合される。好ましくは、試薬は、核酸増幅反応に必要な試薬であり、より好ましくは、熱安定性ポリメラーゼを含み、さらに好ましくは、反応中に増幅することが意図される標的核酸を含まない。混合プロセス中に試薬間の反応を最小化するために、約15℃未満の温度、より好ましくは約10℃未満の温度、もっとも好ましくは約5℃未満の温度で混合されることが好ましい。
試薬が一緒に混合された後、試薬は、あらゆる溶媒(通常、水性溶媒)を除去するために乾燥される。溶媒の除去は、安定化操作の第一の局面を提供し、試薬を、この形態で、ある期間、周囲温度で保存できるようにする。試薬混合物は、本分野で公知の任意の方法によって乾燥することが可能である。好ましくは、この方法は、試薬混合物中で生じる副反応を抑制し、又は最小化するために選択され、したがって、理想的には、試薬混合物を高温に加熱することを含まない。試薬混合物は、好ましくは、フリーズドライ法を用いて乾燥され、あるいは、当業者に公知である凍結乾燥などの風乾法を用いて乾燥される。このような乾燥法を実施する場合には、タンパク質成分を安定化するために、トレハロースなどの糖を、必要に応じて試薬混合物に添加し得る。
試薬混合物は、増幅反応を活性化するのに必要なマグネシウムイオンの最終濃度の、約0.1%ないし約50%、好ましくは約3%から約30%まで、より好ましくは約5%から約15%までを含む。必要に応じて、選択されるマグネシウムイオンのレベルは、ポリヌクレオチドポリメラーゼを活性化するのに必要なマグネシウムイオンの最終濃度の、約0.1%から約50%まで、好ましくは約3%から約30%まで、より好ましくは約5%から約15%までである。
マグネシウムイオンは、増幅反応において幾つかの主要な役割を有すると考えられている。これらには、ポリヌクレオチドポリメラーゼ酵素を活性化すること、オリゴヌクレオチドとの相互作用、dNTPとの錯体形成及び反応混合物の緩衝化が含まれる。従って、マグネシウムイオンの利用可能性は、使用されるdNTPの濃度、使用されるオリゴヌクレオチドの濃度などを含む当業者に周知の多くの因子によって影響を受ける。マグネシウムイオンの利用可能性は、反応容器が作製されている材料など他の因子によっても影響を受け得る。しかしながら、不十分なマグネシウムイオンが利用可能であれば、増幅反応は進行しない。従って、増幅が進行するために必要とされるマグネシウムの量を確認するために、最終の増幅反応混合物を最適化することが必要である。これは、当業者によって容易に実施可能である。このような最適化には、ポリヌクレオチドポリメラーゼ酵素を活性化するために必要とされるマグネシウムのレベルを同定することが含まれる。
標的の添加前に、まず混合物が調製されたときに、誤ったプライミング現象が抑制されるように、マグネシウムイオンのレベルは増幅反応又はポリヌクレオチドポリメラーゼを活性化するのに不十分であることが重要である。しかしながら、幾らかのマグネシウムを含めることによって、核酸増幅反応中で使用するために試薬混合物が後に再構成される場合に、望ましくない人工物の産生をさらに最小化することが、本発明において示された。理論に拘泥することを望むものではないが、これは、試薬混合物中のマグネシウムの少量を含めることが、フリーズドライ工程中に、反応成分間の好ましくない相互作用を最小化するからであると考えられる。その結果、オリゴヌクレオチドプライマー/プローブと酵素間の極めて近接した相互作用の形成が最小化されると考えられる。これは、その後の増幅中に、望ましくない人工物の減少が観察されるという結果をもたらす。総合すると、乾燥前にマグネシウムの少量をこのように含めると、調合物をさらに安定化し、増幅反応中でのさらなる使用のためにこれを最適化するという効果を有する。
試薬混合物は、具体的なポリヌクレオチドポリメラーゼに応じて、約0.1mMから約10mMまで、約0.5mMから約5mMまで又は約1mMから約2.5mMまでの濃度でマグネシウムイオンを含む。しかしながら、好ましくは、反応混合物は、500μM未満の濃度でマグネシウムイオンを含む。マグネシウムイオン濃度は、とりわけ、特にTaqポリメラーゼが使用される場合には、10μMと300μMの間、好ましくは10μMと100μMの間の範囲であり得る。
「増幅反応を活性化する」という用語は、マグネシウムイオンの所定レベルを用いて、標準的な増幅サーモサイクリング条件を用いて、増幅反応が実施される場合に、増幅産物が検出されることを意味する。このような産物は、所望の標的物質の増幅であってもよく、又はなくてもよい。あるいは、このような産物は、反応混合物の他の成分の増幅、例えば、オリゴヌクレオチドプライマーなどの望ましくない増幅に関連し得る。このような増幅は、当業者に公知の幅広い適切な方法の何れか1つによって検出することが可能である。増幅反応が活性化されない場合には、最小レベルの増幅産物のみが観察され、好ましくは全く増幅産物が観察されない。標準的な増幅サーモサイクリング条件及び検出条件は、実施される増幅反応の種類に応じて変動するが、当業者に周知である。増幅産物が蛍光を用いて検出されれば、増幅反応が活性でない場合には、増幅産物の指標となる最小の蛍光のみが検出され、好ましくは全く検出されない。
「ポリヌクレオチドポリメラーゼを活性化する」という用語は、マグネシウムの選択されたレベルで、標準的な増幅サーモサイクリング条件を用いて、増幅反応が完結される場合に、増幅産物が検出されることを意味する。このような産物は、当業者に公知の幅広い適切な方法の何れか1つによって検出することが可能である。ポリヌクレオチドポリメラーゼが活性でない場合には、最小レベルの増幅産物のみが観察され、好ましくは全く増幅産物が観察されない。標準的な増幅サーモサイクリング条件及び検出条件は、実施される増幅反応の種類に応じて変動するが、当業者に周知である。増幅産物が蛍光を用いて検出され、次いで、ポリヌクレオチドポリメラーゼが活性でない場合には、増幅産物の指標となる最小の蛍光のみが検出され、好ましくは全く検出されない。
必要に応じて、本発明の方法は、乾燥された試薬を、ワックス又はグリースの層で被覆する追加の工程を含み得る。試薬が容器内に保存される場合、これは、乾燥された試薬の上の容器内に密封層を与えることを意味し得る。あるいは、これは、ワックス又はグリースから製造された小胞内に乾燥された試薬を封入することを意味し得る。使用されるワックス又はグリースの量は、好ましくは、乾燥された試薬混合物と雰囲気間にバリアを形成するのに十分であるべきである。このバリアは、さらに、乾燥された試薬混合物の安定化を増加し、これにより、周囲条件での乾燥された試薬の貯蔵寿命を増加させる。層は、ワックス又はグリースが試薬と接触するように調製され得る。あるいは、層は、乾燥された試薬がその中に保存される容器内にワックス又はグリースが栓を形成するようにしてもよい。ワックス又はグリース層を用いる他の適切な方法は、乾燥された試薬がその中に保存等され得る小胞を形成するなど、当業者によって決定することもできる。
本分野において公知の任意のワックス、グリース若しくは油又はこれらの混合物を使用し得る。ワックス、グリース又は油は、室温で固体又は粘性であることによって、試薬を環境から分離し、搬送中でさえ、あらゆる容器から漏出しない保護層を形成することが好ましい。これは、バリアを最も効率的に形成することが可能なので、ワックスを使用することが最も好ましい。好ましくは、物質は、約40℃から約90℃までの範囲で融解する。好ましくは、乾燥された試薬が水性溶媒で再構成された場合に、反応混合物の最上部に浮遊するように、材料は、融解されたときに、水より小さな密度を有する。必要に応じて、ワックス又はグリースは、ワックス又はグリースと水の間のメニスカスの深さを低減し、これにより、増幅中に、可溶化された反応混合物を完全に被覆するのに必要とされるワックス又はグリースの質量を低減する界面活性剤を含み得る。
必要であれば、ワックス又はグリース層は、ポリマー粒子又は比較的微細なプラスチックの網をその中に取り込むことによって薄くすることができる。適切なプラスチックの例には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリエステル、ナイロン及び様々なフッ化炭素が含まれるが、これらに限定されない。選択される全てのプラスチックは、増幅反応用試薬、特に核酸配列を結合できないことが好ましい。適切なポリマー性粒子の例には、ポリスチレン、ポリメチルメタクリラートが含まれるが、これらに限定されない。これらは、球形又は不規則な形状であることが可能である。試薬を捕捉するために、より少ない表面積を与えるので、非多孔性材料が好ましい。好ましくは、前者が油中に溶解する場合には、水層の最上部に層を形成する可能性があるように、粒子は、水より低い密度又は水と極めて近い密度を有する。グリース又はワックス中のポリマー性粒子の濃度は、かなりの変動を許容し、当業者に公知であるように、混合物の幾つかの機能的特性の何れに対しても最適化することが可能である。
試薬がその中でできるだけ早く乾燥される容器中に試薬を配置することが好ましく、好ましくは、その中で試薬を乾燥すべき容器中で試薬は直接混合される。さらに、試薬が最終的にその中で反応のために使用される容器(例えば、核酸増幅反応容器)内で試薬を直接乾燥することが好ましい。試薬は反応容器中に移されるので、これにより、使用前の試薬の汚染の可能性が最小限に抑えられる。さらに、試薬の所望の量を、反応容器中に直接測定することが可能であり、これにより、現場での容器の使用が簡略化されることを意味している。
さらなる局面によれば、本発明は、本発明の方法に従って安定化された試薬、特に、核酸増幅反応を実施するのに適した試薬に関する。
別の局面によれば、本発明は、本発明の方法に従って安定化された試薬を含む反応容器、特に、核酸増幅反応を実施するのに適した反応容器に関する。
本発明は、核酸増幅反応を実施するための、本発明に従って安定化された試薬の使用にも関する。
別の局面によれば、本発明は、
(i)本発明に従って試薬混合物を調製すること;
(ii)前記試薬混合物に、増幅されるべき標的物質と、増幅反応を活性化するのに十分なさらなるマグネシウムイオンと、及び適切な溶媒とを添加すること;並びに
(iii)このように形成された反応混合物を加熱及び冷却すること、
を含む、核酸増幅反応を実施する方法に関する。
増幅反応は、好ましくは、ポリメラーゼ連鎖反応であり、より好ましくは、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応である。必要な試薬は、使用されている実際の増幅反応に応じて、当業者によって決定することが可能である。最も好ましくは、核酸増幅反応は、プローブをベースとしたリアルタイムPCR反応である。
標的核酸は、好ましくは、増幅反応を実施するのに必要とされる溶液の容量で、水溶液中の試薬混合物に必要に応じて添加される。あるいは、好ましくは、増幅反応を実施するのに必要とされる溶液の容量で、マグネシウムイオンを水溶液に添加してもよい。好ましくは、試薬混合物への添加前に、標的核酸及びマグネシウムイオンを一緒に混合する。溶液中に、標的物質若しくはマグネシウムイオンが添加されない場合、又は、増幅反応が生じるのに不十分な溶液の容量で添加される場合には、所望の濃度の試薬で反応が進行できるようにするために、さらなる溶媒、好ましくは水を添加することが必要であり得る。
必要に応じて、標的物質を試料(例えば、臨床試料又は環境試料)として集めた後に、標的物質を精製し、又はその他の方法で調製することが必要であり得る。このような調製又は精製は、本分野で公知の任意の様式で実施することが可能である。これらの工程には、増幅反応が起こるために、溶媒の適切な少容量内に標的を濃縮することが含まれ得る。
溶媒が試薬混合物に添加された後、乾燥された試薬は、増幅が進行するための所望且つ最適化された濃度で必要な試薬の各々が溶液中に存在するように、再構成する。(ポリヌクレオチドポリメラーゼを活性化するなど)増幅反応を活性化するために、十分なマグネシウムイオンが利用可能であるためには、反応混合物に追加のマグネシウムイオンを添加することが必要である。さらに、反応溶液を緩衝化する上で役割を有し得る。マグネシウムイオンは、任意の適切な手段によって添加することが可能である。好ましくは、乾燥された試薬への添加前に、調製されたマグネシウム溶液中に標的を溶解する。無機であるので、マグネシウム塩は、微生物汚染に対する特別な注意を払って調製又は保存する必要がないため、これは理想的である。あるいは、標的物質が、カラムから溶出されるべき場合には、マグネシウムイオンも溶出されるように、カラムが設計される。あるいは、乾燥された試薬混合物を安定化する際にワックス又はグリースの層が使用される場合には、ワックス又はグリースの層内にマグネシウム化合物が含有されてもよい。例えば、Mgの脂肪酸塩は油/ワックス/グリース中で溶解できる可能性があり、さらに、油/ワックス/グリースが湯に接触する場合に、水の中に抽出し、従って、油/ワックス/グリース層中に、マグネシウムを保存することが可能である。これは、反応混合物が加熱され、油/ワックス/グリースが標的を含有する水溶液の最上部に融解及び浮遊するにつれて、存在する全てのマグネシウムが反応混合物中に放出されることを意味する。
さらなる局面に従えば、本発明は、
(i)核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を含む試薬混合物を調製すること(前記混合物はポリヌクレオチドポリメラーゼを含む。);
(ii)前記試薬を乾燥すること;及び
(iii)ワックス又はグリースの層で、乾燥された試薬を被覆すること;を含み、
試薬混合物が、増幅反応を活性化するのに不十分なマグネシウムイオンを含むことを特徴とする、核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化する方法に関する。
この方法は、試薬混合物がマグネシウムイオンの様々な異なるレベル(マグネシウムイオンの極めて低いレベル、あるいは無マグネシウムイオンを含む。)を含むことができるようにしながら、試薬、特に核酸増幅反応中で使用するのに適した試薬の混合物を安定化する改善された方法を提供するという利点を有する。
本発明は、本方法に従って安定化された、核酸増幅反応において使用するのに適した試薬;本発明の方法によって安定化された、核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を含む反応溶液に関し、並びに、本発明の方法に従って安定化された試薬を採取すること、標的核酸及び十分なマグネシウムを前記試薬に添加すること、並びに反応混合物を加熱することを含む、核酸増幅反応を実施する方法にも関する。
実施例
以下の実施例は、本発明の範囲に属する好ましい実施形態をさらに説明する。これらの実施例は、専ら例示の目的で記載されているに過ぎず、本発明の精神又は範囲から逸脱せずに本発明の多くの改変が可能であるので、本発明を限定するものと解釈してはならない。
熱安定性ポリメラーゼ酵素の活性を刺激せずに、PCR試薬混合物に添加できるマグネシウムのレベルを決定するために、マグネシウムイオン(塩化マグネシウムの形態で供給される。)の異なる濃度を用いて、リアルタイムPCR反応を実施した。
蒸留水で作業濃度まで希釈したときに、5OmM TRIZMA pH8.8、dUTPを含有する200μM dNTP、250ng/μL BSA、8%(v/v)グリセロール、0.02U/μLウラシル−N−グリコシダーゼ(UNG)、0.04U/μLTaqポリメラーゼ、0.03μM TaqStart抗体を含む「2倍マスターミックス」を作製するために、以下のPCR試薬を混合した。
上記混合物に、塩化マグネシウムの様々な異なる濃度(0mM;0.3mM;0.6mM;1mM;3mM)を添加した。さらに、オリゴヌクレオチドプライマー(1μMの最終濃度)及びSybr Gold色素(原液の1:20000希釈)も添加した。アッセイの半分に、約1×10コピー/μL/アッセイの濃度になるまで、標的DNAを添加した(t)。アッセイの残りは、標的DNA物質の不存在下で実施した(ntc)。これは、望ましくない人工物の明確な同定を可能とした。全ての事例で、最終アッセイ容量は、最大20μLとした。各アッセイは、2つ組みで行った。
Roche LightCycle中のガラスキャピラリー容器中で増幅を実施し、各増幅を通じて、F1チャネル中で蛍光データを集めた。全てのアッセイで、以下のサーモサイクリング条件を使用した。50℃60秒間、;95℃60秒間;95℃5秒間;60℃5秒間;74℃5秒間。次いで、95℃で5秒間;60℃で5秒間;74℃で5秒間の加熱を、50サイクルにわたって繰り返した。サイクル50の終了時に、産物の融解ピークを生成するために、PCR反応混合物を50℃から95℃まで加熱した。
図1は、増幅反応が進行するにつれて、サイクル数とともに蛍光が増加することを示している。
図2は、異なる各アッセイの増幅後に形成される産物の融解ピークを示している。
図1に示された結果は、0mMないし1mMの範囲の塩化マグネシウムの濃度で、時間が経過しても蛍光の増加が存在しないことを示しており、TAQポリメラーゼの活性が全く存在しないことを示唆している。しかしながら、3mMの塩化マグネシウムの濃度で反応を繰り返したときに、蛍光の増加が存在し、TAQポリメラーゼが活性であること、および増幅産物が形成されていたことを示している。3mM塩化マグネシウムで、但し、標的DNAの不存在下で実施されたアッセイでさえ、観察される蛍光の増加がなお存在した。これは、プライマー・プライマー相互作用と増幅から形成されている望ましくない人工物及び副産物の結果であった。
図2に示されている結果は、実施された増幅反応から形成された産物の融解ピーク分析を示している。予想通り、塩化マグネシウムの3mM未満の濃度を含むアッセイについては、増幅産物が全く形成されず、このため、ピークが観察されない。標的DNAを含む3mM塩化マグネシウムで実施されたアッセイは、約83℃に明瞭なピークを示す。このピークは、標的の増幅によって達成される増幅産物を示している。しかしながら、これらの結果は、標的DNAを添加せずにアッセイを実施したときに、非特異的な人工物も形成されたことも示している。これらは、標的産物の融解点より高い融解点及び低い融解点を有する広いピークによって示される。しかしながら、これらの非特異的人工物の存在は、3mMの塩化マグネシウムの濃度でのポリメラーゼの活性をさらに示す。
総合すると、これらの結果は、PCRアッセイに必要とされる最適な濃度未満のMgClの濃度を、液体調合物に添加することが可能であり、得られるPCRは、特異的又は非特異的産物を生成しないことを示している。これは、たとえ、保存前にこのような混合物の調製中に、このようなより少量のマグネシウムが試薬の混合物に添加されても、ポリメラーゼが十分に活性化されないので、望ましくない増幅が生じる可能性は存在しないことをさらに支持している。
マグネシウムイオンの異なる濃度を含有するように調製され、フリーズドライされた後、保存された試薬を用いてリアルタイムPCR反応を実施した。マグネシウムを含まないか、又はポリメラーゼが不活性であるように選択されたマグネシウムの低レベルを含む凍結乾燥された試薬を調製する核酸増幅反応に対する影響を比較するために、これらのアッセイを実施した。
PCR試薬の液体調合物は、IXの作業濃度となるように再構成されたときに、50mM TRIZMA pH8.8、dUTPを含有する200μM dNTP、250ng/μL BSA 0.02U/μL ウラシル−N−グリコシダーゼ(UNG)、0.04U/μL Taqポリメラーゼ、0.03μM TaqStart抗体及び10%w/vトレハロースを含有するように、前述のように調製した。
次いで、リアルタイムPCR増幅及び検出反応の2つの異なる種類で原PCR試薬使用できるように、以下のとおり、これらの原PCR試薬混合物を修飾した。
(i)色素結合アッセイ。本アッセイにおいて、試薬混合物は、300μM若しくは3mMの濃度までMgClを添加し、若しくは添加せずに、オリゴヌクレオチドプライマー(1μM最終濃度)及びSybr Gold(原液の1:20000希釈)をさらに含んだ。)
(ii)WO99/28500号に記載されているアッセイなどのプローブベースのアッセイ。本アッセイにおいて、反応混合物は、300μの濃度でMgClを添加し、若しくは添加せずに、オリゴヌクレオチドプライマー(1μMの最終濃度)、Sybr Gold(原液の1:20000希釈)及びCy5.5標識されたオリゴヌクレオチドプローブをさらに含んだ。
次いで、以下の熱処理プロセスに従って、−60℃及び600mTorrに設定されたコンデンサー中のポリプロピレンPCRチューブの中に入れて、全てのアッセイ調合物をフリーズドライした。
(i)−50℃で、2分間、試料を維持する;
(ii)58分にわたって、試料を、−50℃まで、上昇させ;
(iii)120分間、試料を、−50℃に維持する;
次いで、試料を、以下の第一乾燥工程にかけた。
(i)360分間、−50℃で、試料を、200mTorrに維持する;
(ii)60分にわたって、200mTorrで、試料を、−20℃まで、上昇させる;
(iii)300分間、100mTorrで、試料を−20℃に維持する;
(iv)80分にわたって、50mTorrで、試料を、20℃まで、上昇させる;
(v)400分にわたって、50mTorrで、試料を、20℃まで、上昇させる;
(vi)360分間、20mTorrで、試料を20℃に維持する。
次いで、必要とされるまで、試料を25℃で保存した。
次いで、アッセイを実施できるように、精製された水の添加により、乾燥された試薬を含有するチューブを再構成した。チューブの半分に、1×10コピー/μLの濃度で標的DNAを含む再構成混合物を添加した。チューブの残り半分には、DNAを添加しなかった。フリーズドライ前に、300μMの濃度でマグネシウムが添加されたこれらのチューブに、2.7mM MgClをさらに添加した。フリーズドライ前にマグネシウムを含有していないチューブには、3mM MgClを添加した。全ての事例で、標的DNAを含む又は含まない試薬混合物の再構成された最終容量は20μLであった。簡単なアッセイを2回繰り返すことができる十分な材料を調製した。
次いで、各アッセイを、実施例1に対して記載した増幅反応に供した。サイクル50の終了時に、産物の融解ピークを生成するために、PCR反応混合物を50℃から95℃まで加熱した。
図3は、塩化マグネシウムの不存在下で試薬が保存されたプローブベースのアッセイの増幅後に形成された産物の融解ピークを示している。
図4は、300μM塩化マグネシウムの存在下で試薬が保存された色素結合アッセイの増幅後に形成された産物の融解ピークを示している。
図5は、3mM塩化マグネシウムの存在下で試薬が保存された色素結合アッセイの増幅後に形成された産物の融解ピークを示している。
図6は、塩化マグネシウムの不存在下で試薬が保存されたプローブベースのアッセイの増幅後に形成された産物の融解ピークを示している。
図7は、300μM塩化マグネシウムの存在下で試薬が保存されたプローブベースのアッセイの増幅後に形成された産物の融解ピークを示している。
図3に示されている結果は、塩化マグネシウムの不存在下で保存された試薬を用いて、標的DNAの存在下で色素結合アッセイを行った場合に、所望の増幅産物のみが観察される(86℃のピーク)ことを示している。標的DNAの不存在下で同じアッセイを行うと、73℃と86℃の間の広いピークによって示されているように、異種の望ましくない人工物が大量に産生される。
図4に示されている結果は、マグネシウムの低濃度(300μM)の存在下で保存された試薬を用いて、標的DNAの存在下で色素結合アッセイを行った場合に、形成された唯一の産物は85℃にピークを有する所望の増幅産物であることを示している。標的DNAの存在下で同じアッセイを行うと、72℃と80℃の間の広いピークによって示されているように、望ましくない人工物が少量産生される。
図5に示されている結果は、マグネシウムの高濃度(3mM)の存在下で保存された試薬を用いて、標的DNAの存在下で色素結合アッセイを行った場合にも、同じく、85℃にピークを有する所望の増幅産物が観察されることを示している。あらゆる標的DNAの不存在下で同じアッセイを行うと、72℃と84℃の間の広いピークによって示されているように、望ましくない人工物が産生される。
図3、4及び5から得られる結果を比較すると、乾燥された試薬中の塩化マグネシウムの濃度が、再構成された色素結合アッセイで形成された産物の品質に影響を与えることを示している。全ての事例で、標的DNAの過剰量の存在下での増幅反応は、試薬の保存のされ方に関わらず、明瞭に進行するように見える。しかしながら、臨床又は環境試料でしばしば見られるように、標的物質が極めて低濃度で存在するに過ぎない場合には、標的DNAの存在下での反応に対する効果の差が、どのように反応が進行し得るかの指標となる可能性があるので、この差は極めて興味深い。理論に拘泥することを望むものではないが、これらの結果は、以下のように説明することが可能であると考えられる。乾燥された試薬中のマグネシウムの濃度がゼロである場合には、望ましくない人工物の巨大且つ複雑な混合物が形成され、この混合物は、フリーズドライプロセス中に発生するプライマー・プライマー相互作用から生じ、次いで、反応が再構成されるときに、ポリメラーゼ酵素に対するテンプレートとして作用することができると考えられる。乾燥された試薬中のマグネシウム濃度が低い(300μM)場合には、再構成されたアッセイが実施される際に観察される望ましくない人工物の量は劇的に減少し、望ましくない副反応が劇的減少することを示す。幾らかのマグネシウムの存在が全てのプライマー・プライマー相互作用を最小限に抑えることにより、望ましくないポリメラーゼテンプレートの形成を最小化するためにこれが起こると考えられている。しかしながら、乾燥された試薬中のマグネシウムの濃度がポリメラーゼ活性を与えるのに十分である場合には(ここでは、3mM)、望ましくない人工物のレベルの増加が存在し、幾らかの副反応を示唆する(望ましくない人工物の量は減少したままであり、マグネシウムが完全に存在しない場合に観察されるものと比べてきれいであることに注目すべきである。)。同じく、これらの人工物は、試薬自体の乾燥中に生じるポリメラーゼ活性の結果として形成すると考えられている。総合すると、これらの結果は、望ましくない副反応の減少を達成し、従って、望ましくない人工物の減少を達成するために、幾らかのマグネシウムの存在下で試薬を保存することが理想であるが、試薬混合物中に存在するポリメラーゼが活性でないように十分低い濃度が選択される。これは、特に、標的が極めて低濃度で存在するに過ぎない場合に、増幅の効率と検査の感受性を向上させるであろう。
図6及び7は、プローブベースのアッセイに関する。
図6に示されている結果は、マグネシウムの不存在下で保存された試薬を使用し、アッセイに添加される標的物質が存在しない、プローブベースのアッセイを実施すると、73℃と90℃の間の大きく、極めて広いピークによって示されるように、不均一な望ましくない人工物が極めて大量に産生される。あるいは、標的DNAの存在下で同じアッセイを実施すると、これらのグラフには望ましくない人工物が全く見られないが、増幅の効率は極めて低く、85℃の極めて小さなピークによって示されるように、増幅された標的の極めて少量が生産されるに過ぎない。
図7に示されている結果は、マグネシウムの低濃度(300μM)の存在下で保存された試薬を用いて、標的DNAの存在下でプローブベースのアッセイを行った場合に、アッセイは極めてきれいで、形成された唯一の産物は85℃にピークを有する所望の増幅産物であることを示している。標的DNAの不存在下で同じアッセイを行うと、74℃と82℃の間のピークによって示されているように、同じく、望ましくない人工物が見られる。しかしながら、産生される望ましくない人工物の量は、塩化マグネシウムを含有しない乾燥された試薬から再構成されたアッセイで観察される量より著しく少ない。
図6と7の結果を比較すると、マグネシウム調製された試薬を用いて、標的DNAの存在下でアッセイを実行すると、有意により多くの所望の産物が形成されることが分かる。さらに、標的DNAの不存在下でプローブベースのアッセイを実施すると、マグネシウム調製された試薬を使用した場合とマグネシウムの不存在下で調製及び保存された試薬を使用した場合とを比較したときに、産生される望ましくない人工物の量が激減する。同じく、臨床及び環境試料でしばしば見られるように、標的物質の極めて低濃度のみを含有する試料に対して、反応効率及び感受性が増加されるように、望ましくない人工物のレベルを減少することが重要である。理論に拘泥することを望むものではないが、マグネシウムイオンの低レベルの存在が、乾燥プロセス中のオリゴヌクレオチド間の相互作用を最小化するように作用し、これにより、その後の増幅中のオリゴヌクレオチドの相互作用を低減又は除去するので、望ましくない人工物の減少が生じると考えられる。実施されたPCRアッセイの2つの異なる種類から得られる結果を比較すると、使用される試薬が、マグネシウムの低濃度を用いて調製された試薬であった場合には、何れも陽性に応答したことが分かる。すなわち、産生される望ましくない人工物の量が減少した。標的の増幅に関して、プローブベースのアッセイも、達成される所望の標的の生成の増加において、陽性に応答したことも明らかである。これらの結果は、マグネシウムイオンの存在下での試薬の調製及び保存は、適切な試薬を安定化するための安定な方法を提供するのみならず、増幅反応がより感受性となり、且つより効率的となるように、試薬を最適化することを明瞭に示している。
増幅反応が進行するにつれて、サイクル数とともに蛍光が増加することを示している。 異なる各アッセイの増幅後に形成される産物の融解ピークを示している。 塩化マグネシウムの不存在下で試薬が保存されたプローブベースのアッセイの増幅後に形成された産物の融解ピークを示している。 300μM塩化マグネシウムの存在下で試薬が保存された色素結合アッセイの増幅後に形成された産物の融解ピークを示している。 3mM塩化マグネシウムの存在下で試薬が保存された色素結合アッセイの増幅後に形成された産物の融解ピークを示している。 塩化マグネシウムの不存在下で試薬が保存されたプローブベースのアッセイの増幅後に形成された産物の融解ピークを示している。 300μM塩化マグネシウムの存在下で試薬が保存されたプローブベースのアッセイの増幅後に形成された産物の融解ピークを示している。

Claims (18)

  1. (i)核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を含む試薬混合物を調製すること(前記混合物はポリヌクレオチドポリメラーゼを含む。);及び
    (ii)前記試薬を乾燥すること;を含み、
    前記試薬混合物が、増幅反応を活性化するのに必要とされるマグネシウムイオンの最終濃度約0.1%から約50%までを含むことを特徴とする、
    核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化する方法。
  2. 核酸増幅試薬混合物が、オリゴヌクレオチドプライマー、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸、オリゴヌクレオチドプローブ、インターカレート蛍光色素、ウシ血清アルブミン、内部対照核酸及びこれらの混合物からなる群から選択される1又は複数の試薬を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 核酸増幅試薬混合物が、オリゴヌクレオチドプライマー、デオキシリボヌクレオシド三リン酸及び緩衝液を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 試薬混合物が、フリーズドライ法又は凍結乾燥法の何れかを用いて乾燥される、請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
  5. 試薬混合物が、マグネシウムイオンの最終濃度約3%から約30%まで、より好ましくは約5%から約15%までを含む、請求項1から4までの何れか1項に記載の方法。
  6. 反応混合物を乾燥した後に、ワックス又はグリースの被覆が添加される、請求項1から5の何れかに記載の方法。
  7. ワックス又はグリースが試薬と接触する、請求項6に記載の方法。
  8. ワックス又はグリースが、試薬の上の容器内にプラグを形成する、請求項6に記載の方法。
  9. ワックス又はグリースが、約40℃から約90℃までの範囲の融点を有する、請求項6に記載の方法。
  10. 請求項1に記載の方法に従って安定化された核酸増幅反応において使用するのに適した試薬。
  11. 請求項1に記載の方法に従って安定化された試薬を含む核酸増幅反応において使用するのに適した反応容器。
  12. 核酸増幅反応における、請求項1に従って調製された試薬の使用。
  13. (i)請求項1に記載の試薬混合物を調製すること;
    (ii)前記試薬混合物に、増幅されるべき標的物質と、増幅反応を活性化するのに十分なさらなるマグネシウムイオンと、及び適切な溶媒とを添加すること;並びに
    (iii)このように形成された反応混合物を加熱及び冷却すること、
    を含む、核酸増幅反応を実施する方法。
  14. 標的物質が、水溶液として添加される、請求項13に記載の方法。
  15. さらなるマグネシウムイオンが、標的物質とともに添加される、請求項14に記載の方法。
  16. 試薬混合物を乾燥した後に、乾燥された試薬が、ワックス又はグリースの層で被覆される、請求項13に記載の方法。
  17. さらなるマグネシウムイオンが、ワックス又はグリースの層内に含有される、請求項16に記載の方法。
  18. (i)核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を含む試薬混合物を調製すること(前記混合物はポリヌクレオチドポリメラーゼを含む。);
    (ii)前記試薬を乾燥すること;及び
    (iii)ワックス又はグリースの層で、乾燥された試薬を被覆すること;を含み、
    試薬混合物が、増幅反応を活性化するのに不十分なマグネシウムイオンを含むことを特徴とする、
    核酸増幅反応において使用するのに適した試薬を安定化する方法。
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