JP2008311529A - 圧電発電装置およびそれを用いた発電システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】両主面に電極が形成され、厚さ方向に分極されて成る圧電板12,22と、金属板11,21とを接合して、圧電素子10,20が構成され、この圧電素子10,20を厚さ方向に複数個積層して成り、圧電素子10,20の圧電板12,22と、厚さ方向に隣り合う圧電素子10,20との間に、導電性金属材料からなる加圧部材50が挟持されている圧電発電装置100を構成する。
【選択図】図5
Description
一方、地球環境の維持改善のために、できるだけ環境負荷の少ない電池の研究開発も活発に行われている。
このような状況の中で、これまで無意識のうちに無駄に消費されていたエネルギーを、電気エネルギーに変換して二次電池などに充電し、この電気エネルギーを上記携帯電子機器などの電源として利用することが考えられている。
そのため、上記特許文献1に開示された構成に、例えばユニモルフ圧電素子として一般的な金属円板に圧電円板を接合した円形のユニモルフ圧電素子を用いた場合には、圧電円板の中央部に孔を形成する必要がある。
圧電円板は、セラミックス材料から構成されているため、中央部に孔を形成する加工の際に割れを生じたり、加工の際に圧電円板に加わる力によって圧電特性が劣化したりする、などの問題がある。
特に、あらかじめ金属円板に圧電円板を接着してユニモルフ圧電素子を形成した後に、中央部に孔を開ける製造方法を採ると、上述の割れや圧電特性の劣化の問題を生じやすい。
一方、孔を形成したリング状の圧電板(セラミックス材料)とリング状の金属板とを接着する製造方法を採ると、その場合には圧電板と金属板とをそれぞれ事前にリング状に加工することが必要になり工程数が増大する上に、接着時に精度の良い位置合わせが必要になる。また、圧電円板に孔を形成してリング状の圧電板に加工する際に、前述した割れや圧電特性の劣化の問題を生じることがある。
このような構成とするためには、圧電体と絶縁板(ユニモルフ圧電素子の場合には金属板)とを接着させるが、この際に精度の良い位置合わせが必要になる。
また、支持体と圧電体とが離れているため、圧電効果により圧電体に生じた電荷を支持体に直接取り出すことができない。そして、上記特許文献1には、圧電体に生じた電荷を取り出すための具体的な構成については説明されていない。
これにより、加圧部材を通じて、隣り合う圧電素子に力を伝達させることができるので、複数の圧電素子に同時に安定な撓み変形を生じさせることができ、全体として大きい電力を取り出すことができる。
また、圧電板の表面の電極を、導電性金属材料からなる加圧部材を通じて、端子を引き出した電極板や隣り合う圧電素子の金属板に電気的に接続することができるため、圧電板の両主面に金属板を接合する必要がない。これにより、両主面に金属板を接合した構成と比較して、圧電板の撓み変形を生じさせやすくなり、圧電板を大きく撓ませることができ、同じ構成の圧電板でより大きな電力が得られる。また、圧電素子の端子を簡単に電気的に接続することができる。
(1)圧電板と金属板とを接合した圧電素子を使用しているので、比較的小さな荷重に対して、効率良く電力を取り出すことができる。
(2)圧電素子として、発音体(ブザー)などに広く利用されている、安価なユニモルフ圧電素子を使用することが可能である。
(3)隣り合う圧電素子との間に設けた加圧部材により、複数の圧電素子に同時に安定な撓み変形を生じさせることができ、全体として大きい電力を取り出すことが可能になる。
(4)使用する部品の構造が簡単で、種類も少ない。
(5)複数の圧電素子の端子を、簡単に電気的に接続することができる。
など、実用的な効果が大きい。
図2に示すユニモルフ圧電素子20は、円形の金属板21の上面の中央部に、両主面に電極が形成され、図中矢印で示すように厚さ方向下向きに分極された円形の圧電板22が接着されており、金属板21の周辺の一部(図中下側)に切欠き部23が形成されている。
金属板11および21と、圧電板12および22との接着は、例えばエポキシ樹脂を用いて熱圧着により行うことができる。このとき、圧電板12および22の主面の電極と、金属板11および21とが、接触して導通するように、接着する。
図1と図2において、ユニモルフ圧電素子10とユニモルフ圧電素子20とは、圧電板12および22の形状は同じであるが、圧電板12および22の分極の向きが逆向きとなっている点が異なっている。
図3に示す加圧部材50は、中央部に凸レンズ状の加圧子51が形成されている。また、この加圧部材50は、導電性金属からなり、加圧力が加わったときにそれ自身が塑性変形しない程度のヤング率を有する金属で構成されている。
これにより、上面や下面を平面とした場合に面の端縁付近に生じるような、応力集中を回避することができる。
その理由は、ユニモルフ圧電素子に外力が与えられ、電荷が発生したときに、一方のユニモルフ圧電素子の圧電体の一方の表面電極(金属板が接合されていない側)と、厚さ方向に隣り合う他方のユニモルフ圧電素子の金属板および外部端子とを電気的に接続する機能を奏するために、加圧子の抵抗が小さいことが望ましいからである。
そして、この加圧子51は、例えば、所望の厚みを有した上記材質からなる円板状部材を中央部が凸レンズ状になるように加圧成型して製造される。
図4に示す支持リング60は、例えば樹脂材料等の絶縁体からなり、同心円の内周面および外周面からなるリング状とされている。さらに、支持リング60の外周の、図1および図2に示したユニモルフ圧電素子10および20に形成された切欠き部13および23に対応した位置には、半径方向の切欠きによる切欠き部61及び62が形成されている。
図5に示す圧電発電装置100は、底部用支持リング81、ユニモルフ圧電素子10、支持リング60および加圧部材50、ユニモルフ圧電素子20、支持リング60および加圧部材50、ユニモルフ圧電素子10・・・の順に、5個のユニモルフ圧電素子を積層した積層圧電体によって構成されている。
このとき、図1に示したユニモルフ圧電素子10の切欠き部13の位置を、支持リング60の一方の切欠き部61の位置に合わせ、図2に示したユニモルフ圧電素子20の切欠き部23の位置を、支持リング60の他方の切欠き部62の位置に合わせて、圧電素子10,20および支持リング60を積層させている。
なお、図5中の破線は、支持リング60およびユニモルフ圧電素子10,20の切欠き部13,23,61,62がない場合の断面に相当する線である。
そして、圧電板12,22の表面の電極を、導電性金属材料からなる加圧部材50を通じて、隣り合う圧電素子20,10の金属板21,11に電気的に接続することができるため、圧電板12,22の両主面に金属板を接合する必要がない。これにより、両主面に金属板を接合した構成と比較して、圧電板12,22の撓み変形を生じさせやすくなり、圧電板12,22を大きく撓ませることができ、同じ構成の圧電板12,22でより大きな電力が得られる。また、複数の圧電素子10,20の端子を、リード線83,84によって簡単に電気的に接続することができる。
また、本実施の形態の圧電発電装置100は、使用する部品の構造が簡単であり、比較的部品の種類が少なく、前述した特許文献1に開示された構成などと比較して容易に製造することができる。
図8と図9において、ユニモルフ圧電素子30とユニモルフ圧電素子40は、圧電板32および42の形状は同じであるが、圧電板32および42の分極の向きが逆向きとなっている点が異なっている。
図10に示す支持リング70は、例えば樹脂材料等の絶縁体からなり、同心円の内周面および外周面からなるリング状とされている。さらに、支持リング70には、支持リング70の外周の異なる位置2箇所に、図8および図9に示したユニモルフ圧電素子30,40の金属円板31,41に形成された、第一の孔33,43および第二の孔34,44に対応した位置に、第二の孔34,44の径以上の径を有する孔73および74が形成されている。
図11に示す圧電発電装置110は、底部用支持リング111、ユニモルフ圧電素子30、支持リング70および図5に示した加圧部材50、ユニモルフ圧電素子40、支持リング70および加圧部材50、ユニモルフ圧電素子30・・・の順に、5個のユニモルフ圧電素子を積層した積層圧電体によって構成されている。
このとき、図8に示したユニモルフ圧電素子30の第一の孔33の位置を、支持リング70の一方の孔73または74の位置に合わせ、図9に示したユニモルフ圧電素子40の第一の孔43の位置を、支持リング70の他方の孔74または73の位置に合わせて、圧電素子および支持リング70を積層させている。
このように重ねることにより、支持リング70の孔73,74と、ユニモルフ圧電素子30,40の金属板31,41の第一および第二の孔33,43および34,44とが、全て積層方向に重ねられることになる。
これにより、図5に示した先の実施の形態の圧電発電装置100と比較して、所定の金属板同士を電気的に接続する際の作業容易性に優れている。
そして、両主面に金属板を接合した構成と比較して、圧電板32,42の撓み変形を生じさせやすくなり、圧電板32,42を大きく撓ませることができ、同じ構成の圧電板32,42でより大きな電力が得られる。また、複数の圧電素子30,40の端子を、ピン端子113,114によって簡単に電気的に接続することができる。
また、ユニモルフ圧電素子30,40を使用していることにより、比較的小さな荷重に対して、効率よく電力を取り出すことができ、また、安価に製造することができる。
さらに、使用する部品の構造が簡単であり、比較的部品の種類が少なく、前述した特許文献1に開示された構成などと比較して容易に製造することができる。
さらにまた、厚さ方向に隣り合う圧電素子30,40の分極方向が互いに逆向きになっており、分極の向きが同じ圧電素子30の金属板31同士および圧電素子40の金属板41同士が電気的に接続されて外部端子117(T1),118(T2)に接続されているので、隣り合う圧電素子30,40の電極を共有化して、圧電発電装置110の構成を簡略化することができる。
図12に示すように、この圧電発電機120は、圧電発電装置110を設置するための平らな台121と、この台121上に固定された支柱122と、この支柱122に支点125によって支持されたレバー123とによって構成されている。また、レバー123には、圧電発電装置110の積層圧電体を押圧するための、凸曲面状の加圧部124が形成されている。
そして、圧電発電装置110が台121の平坦な面の上に設置され、レバー123に設けられた加圧部124が、圧電発電装置110の上面に当接されている。
このとき、積層された加圧子50を介して全てのユニモルフ圧電素子30,40にほぼ同じ変形量を生じさせるので、結果として、全てのユニモルフ圧電素子30,40にほぼ同じ量の電荷を発生させることができ、これらの発生した電荷は、足し合わされて出力されることになる。
このため、圧電発電装置を用いた発電においては、出力端子に整流回路が設けられ、発生した電荷が逆流することがないように堰き止めて、大容量のコンデンサや充電池等の蓄電手段に蓄えられる。そして、圧電発電装置に対して力を繰り返し印加することにより、コンデンサや充電池に蓄えられる充電量を増やすことができる。
図13に示す回路図において、積層圧電体130の二つの端子は、整流回路131に接続されている。この整流回路131の出力は、蓄電手段としての充電コンデンサ132に接続されている。
外力が加えられた積層圧電体130から発生した電荷は、整流回路131によって整流され、充電コンデンサ132に蓄えられる。そして、充電コンデンサ132に蓄えられた電力が、スイッチ133を介して負荷抵抗134に供給される。
また、圧電素子の平面形状は、円形に限らず、楕円形、正方形、長方形、菱形など、その他の形状としても構わない。
また、電極の接続方法は、図5に示したようにリード線で電気的に接続する代わりに、板状の導体で電気的に接続しても構わない。例えば、圧電素子の金属板に設けた切欠き部や突出部に、板状の導体を接続する。
圧電素子の分極を同じ向きにする場合には、上下に隣り合う圧電素子の間に、それぞれ端子が引き出された、+の電極および−の電極が両方とも必要になる。このため、これらの電極の間に加圧子を設けて力を伝達させると共に、これらの電極間を絶縁すればよい。例えば、加圧子を絶縁性材料により構成したり、+の電極および−の電極のうち少なくとも一方と導電性材料からなる加圧子との間に絶縁板を設けたりすることが考えられる。
11,21,31,41:金属板(円形)
12,22,32,42:圧電板(円形)
13,23:切欠き部
33,43:第一の孔
34,44:第二の孔
50:加圧部材
51:加圧子
60,70:支持リング
61,62:切欠き部
73,74:孔
81,111:底部用支持リング
82,112:金属板
83,84:リード線
85,115:底部
86,116:ケース
87,88,117,118:外部接続端子
113,114:ピン端子
100,110:圧電発電装置
120:圧電発電機
121:台
122:支柱
123:レバー
124:加圧部
125:支点
130:積層圧電体
131:整流回路
132:充電コンデンサ
133:スイッチ
134:負荷抵抗
Claims (3)
- 両主面に電極が形成され、厚さ方向に分極されて成る圧電板と、金属板とを接合して、圧電素子が構成され、
前記圧電素子を、前記厚さ方向に複数個積層して成る圧電発電装置であって、
前記圧電素子の前記圧電板と、前記厚さ方向に隣り合う前記圧電素子との間に、導電性金属材料からなる加圧部材が挟持されている
ことを特徴とする圧電発電装置。 - 請求項1に記載の圧電発電装置において、
前記厚さ方向に隣り合う前記圧電素子の分極方向が互いに逆向きとされており、
分極の向きが同じ圧電素子における前記金属板同士が電気的に接続されて、外部端子に接続されている
ことを特徴とする圧電発電装置。 - 圧電発電装置と、前記圧電発電装置に接続された整流回路と、前記整流回路によって整流された電荷を蓄える蓄電手段とを備え、
前記圧電発電装置は、
両主面に電極が形成され、厚さ方向に分極されて成る圧電板と、金属板とを接合して、圧電素子が構成され、
前記圧電素子を前記厚さ方向に複数個積層して成り、
前記圧電素子の前記圧電板と、前記厚さ方向に隣り合う前記圧電素子との間に、導電性金属材料からなる加圧部材が挟持されている
ことを特徴とする発電システム。
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