JP2008309357A - 加湿装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】室内空間を汚さず、水の使用量を増加させず、高い除菌および抗菌効果が得られる加湿装置を提供する。
【解決手段】加湿装置1は、貯水部42と、加湿部と、金属イオン生成部400と、制御部103とを備えている。貯水部42は、水を貯水させるための部材である。加湿部は、貯水部42に貯水させた水を気化させるための部材である。金属イオン生成部400は、貯水部42に貯水させた水に金属イオンを添加する動作をするための部材である。制御部103は、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部400を動作させる。
【選択図】図7
【解決手段】加湿装置1は、貯水部42と、加湿部と、金属イオン生成部400と、制御部103とを備えている。貯水部42は、水を貯水させるための部材である。加湿部は、貯水部42に貯水させた水を気化させるための部材である。金属イオン生成部400は、貯水部42に貯水させた水に金属イオンを添加する動作をするための部材である。制御部103は、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部400を動作させる。
【選択図】図7
Description
本発明は、加湿装置に関するものであり、貯水部および加湿部に発生する細菌を抑制する加湿装置に関する。
従来、加湿装置は、水を貯める貯水部と、貯水部の水を気化させる加湿部とを備えた構成のものが用いられている。加湿部の加湿方式としては、水を加熱して蒸発させる加熱方式、空気中に水を超音波などで霧状に放出して気化させる霧化式、および吸水した加湿フィルタに空気を通過させて気化させる気化方式などが知られている。このような加湿装置においては、加湿装置内の貯水部などで細菌が繁殖し、その結果としてぬめりなどが発生することが頻繁にあった。さらにカビが生える場合もあり、使用者が不快感とともに清掃する必要があるという問題があった。
これらの問題を解決するものとして加湿装置の水周りに対する除菌および抗菌技術が、たとえば実公昭61−33457号公報(特許文献1)、特表2004−524875号公報(特許文献2)、特開2005−345047号公報(特許文献3)および特開2006−200887号公報(特許文献4)などに記載されている。
上記特許文献1には、電解により銀イオンを水に添加し、その水を超音波で霧化する霧化式の加湿器が記載されている。上記特許文献2には、供給される水として蒸留水を使用し、電解により銀イオンを蒸留水に添加し、その水を超音波で霧化する霧化式の加湿装置が記載されている。上記特許文献3には、吸水材からなる加湿材に、銀イオン水を掛け流して、加湿材を殺菌する気化方式の加湿器が記載されている。上記特許文献4には、水の電気伝導度に基づいて電極間の電流を制御して除菌を行なう気化方式の加湿装置が記載されている。
実公昭61−33457号公報
特表2004−524875号公報
特開2005−345047号公報
特開2006−200887号公報
しかしながら、上記特許文献1および2に記載の霧化式の場合には、水に含まれる溶存成分が水とともに空気中に飛散してしまい、室内などを汚染してしまうという課題がある。
上記特許文献3および4に記載の気化式の場合には、加湿装置から放出されるのがほとんど水分のみであるので、霧化式の加湿装置のように水に含まれる溶存成分が空気中に飛散するので、室内などを汚染してしまうことは問題にならない。しかし、その溶存成分は加湿器内の水に残留するため、加湿器内の水の溶存成分濃度が非常に高くなる。溶存成分の濃度が高くなると、電極にスケールが発生し、水の導電率が高くなるため、電気分解を行なうための電流および電圧が一定しない。その結果、電気分解により生成される除菌および抗菌物質の量が不安定であるという課題がある。
また上記特許文献3に記載の銀イオン水を掛け流しにする加湿装置では、新しく供給された水に銀イオンを溶出しているため、水の使用量が多くなり、排水が必要になるなど加湿装置の構成への制限が大きくなるという課題がある。特に、電極の通電を運転終了時に行なう場合には、運転終了後に水を電極に供給する必要があり、水の供給を続けなければならないため、水の使用量が多くなる。また、銀イオン水を掛け流しにするため、フィルターに銀が蓄積しにくく、フィルターを十分に抗菌できないおそれもある。
また上記特許文献4に記載の供給される水の電気伝導度を検知して、制御する加湿装置では、貯水槽に貯留される水の電気伝導度が異なる場合に除菌効果が得られる。しかし、供給される水の電気伝導度が高い時に除菌が行なわれるため、供給される水の電気伝導度が低いときに必ずしも除菌が十分でないという課題がある。
したがって、本発明の目的は、室内空間を汚さず、水の使用量を増加させず、高い除菌および抗菌効果が得られる加湿装置を提供することである。
本発明の加湿装置は、貯水部と、加湿部と、金属イオン生成部と、制御部とを備えている。貯水部は、水を貯水させるためのものである。加湿部は、貯水部に貯水させた水を気化させるためのものである。金属イオン生成部は、貯水部に貯水させた水に金属イオンを添加する動作をするためのものである。制御部は、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させるものである。
本発明の加湿装置によれば、加湿部の動作終了を検知できるので、貯水部に貯水された水の硬度および導電率が相対的に低いときである加湿部の動作終了後に、金属イオン生成部を動作できる。そのため、金属イオンが効率良く生成され得る。また、細菌数が相対的に少ない加湿部の動作終了後に、貯水部に貯水させた水に金属イオンを添加できる。そのため、細菌数が相対的に少ない時に除菌および抗菌効果を付与できるので、除菌および抗菌効果を効果的に発揮させることができる。よって、金属イオンを生成するために水の追加を必要とせずに、高い除菌および抗菌効果が得られる。
上記加湿装置において好ましくは、金属イオン生成部は、金属電極を含み、かつ金属電極に電圧を印加することで金属電極から金属イオンを溶出させるように構成されている。
これにより、金属電極の材料および印加する電圧の大きさによって、所望の金属イオンを所望の濃度で容易に得ることができる。
上記加湿装置において好ましくは、金属イオン生成部は、銀イオンを生成するように構成されている。
銀イオンは高い抗菌効果を有するため、銀イオンを貯水させた水に添加することで、その水中における細菌の繁殖を抑制することができる。そのため、カビやぬめりなども防止することができる。
上記加湿装置において好ましくは、金属イオン生成部は、貯水部の内部に配置されている。
これにより、貯水部に供給された水を利用して金属イオンを生成できるので、金属イオンを添加するための水を供給する必要がない。そのため、加湿部の動作に必要な量の水を用いて、除菌および抗菌効果を付与することができる。
本発明の加湿装置によれば、室内空間を汚さず、水の使用量を増加させず、高い除菌および抗菌効果が得られる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には、同一の参照符号を付し、その説明は繰り返さない。
図1〜図6を参照して、本実施の形態における加湿装置の構成を説明する。図1は、本発明の実施の形態における加湿装置を前面側から見た斜視図であり、図2は、背面側から見た分解斜視図である。図3は、給水タンクを示す斜視図である。図4は、トレイを示す斜視図である。図5は、図4におけるV−Vでの断面図である。図6は、金属イオン生成部を示す模式図である。
図1および図2に示すように、本実施の形態における加湿装置1は、本体部2と、給水タンク3と、貯水部としてのトレイ4(トレイ4の貯水部42)と、加湿部としてのフィルタ5およびファン10(図7参照)と、金属イオン生成部400(図5〜図7参照)と、制御部103(図7参照)とを主に備えている。制御部103は、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部400を動作させる。
図1に示すように、本体部2の一方側面には、円弧状に開口した形状のタンク装着壁2aが本体部2の高さ方向に延びて形成されている。タンク装着壁2aは、本体部2の一方側面側に給水タンク3を装着するための空間を形成している。図2に示すように、本体部2の下方には、本体部2の背面側からトレイ4が着脱される空間(トレイ装着部2c)が設けられている。本体部2の他方側面には、縦にスリットの入った吸込口7が設けられている。本体部2の内部には、吸込口7と対向する位置にエアフィルタ(図示せず)が設けられている。本体部2の前面側上部には、各種ボタンが形成された操作部8が設けられている。本体部2の背面側上部には、一方側面から他方側面に向けて複数のスリットが入った吹出口9が設けられている。
図2に示すように、フィルタ5は、トレイ4に貯水させた水を気化させるための加湿部を構成している。フィルタ5は、トレイ4の貯水部42の内部に収納された状態で、本体部2のトレイ装着部2cに装着されている。フィルタ5は、直方体形状の枠体であるフィルタケース51の枠内に凹凸が繰り返し形成された形状の給水フィルタ52が収容されている。
図3に示すように、給水タンク3は、トレイ4に水を給水するためのものであり、本体部2に対して着脱可能である。給水タンク3の容器30は、内部に水を保持し、一方が開口した有底円筒体であり、水位が外から見えるように構成されている。取手部31は、容器30に取り付けられており、手先を挿入すると給水タンク3を持ち運びできる。蓋部32は、容器30の開口部に対して着脱可能である。蓋部32には溝(図示せず)が設けられている。蓋部32が容器30に取り付けられた状態の給水タンク3をトレイ4に装着すると、溝を介して容器30からトレイに水が給水される。
図4に示すように、トレイ4は、水を貯水させるための貯水部であり、本体部2に対して着脱可能である。トレイ4は、有底筒型のタンク挿入部41と、皿形状の貯水部42とを含んだ樹脂製の一体成型品である。また、トレイ4が本体部2のトレイ装着部2c(図2参照)に装着される。トレイ4が本体部2に取り付けられると、トレイ4は本体部2の背面および側面の一部を構成している。
トレイ4の一方側面側(図4において左側)には、筒状のタンク挿入部41が形成されている。トレイ4がトレイ装着部2cに装着されると、本体部2の一方側面ではタンク挿入部41が本体部2の外部に露出し、本体部2の内部では貯水部42が収容される。また、本体部2の一方側面におけるトレイ装着部2cの上方に形成されたタンク装着壁2aと、トレイ4のタンク挿入部41の円弧状壁41bとが連なり、タンク挿入部41の内部とその上方空間に、給水タンク3を装着するための円柱型のタンク装着部が形成される。
タンク挿入部41には、周囲に半円形の壁41aと、壁41aと連なり、壁41aの高さよりも高い円弧状壁41bとが設けられている。タンク挿入部41の底面において、最も高さの低い領域に水路41cが形成され、水路41cよりも高い領域には円台41eが形成されている。円弧状壁41bの底部において、タンク挿入部41と貯水部42との境界に開口41dが設けられ、水路41cは開口41dを介して貯水部42内に通じている。円台41eには、円柱43が設けられている。給水タンク3がトレイ4に装着されたときに円柱43が蓋部32を押圧し、蓋部32の溝を介して給水タンク3の内部の水がタンク挿入部41に流れ込み、流れ込んだ水が水路41cおよび開口41dを流れて貯水部42内に水が貯水される。
図4および図5に示すように、貯水部42の底面には、前面側から背面側への略中央において、タンク挿入部41から他方側面へかけて平面形状が矩形の凹部42bが設けられている。凹部42b上には、水が下方に浸透するように空洞を有する網状の樹脂製の蓋部42dが配置されている。蓋部42dと、底面部42aとは同一平面上に位置付けられている。底面部42aと蓋部42dとからなる平面は、凸部42cに対して凹部となり、フィルタ5を装着するためのフィルタ装着部を形成する。すなわち、フィルタ5は、底面部42aおよび蓋部42dで構成される平面と、凸部42cとの間にはめ込まれる。
図5に示すように、網状の蓋部42dの下に形成された凹部42bには、金属イオン生成部400が設けられている。金属イオン生成部400は、貯水部としてのトレイ4に貯水させた水に金属イオンを添加する動作をするためのものである。金属イオン生成部400は、電気配線(図示せず)により、金属イオン生成部400を動作させるための制御部103(図7参照)および加湿装置1の運転制御を行なっている制御部105(図7参照)に繋がっている。
図6に示すように、金属イオン生成部400は、貯水部42に貯水させた水に金属イオンを添加する動作をするためのものである。金属イオン生成部400が金属イオンを生成させる方法は、特に限定されず、たとえば電気分解や溶出などが挙げられる。金属イオン生成部400は、金属電極を含み、かつ金属電極に電圧を印加することで金属電極から金属イオンを溶出させるように構成されていることが好ましい。
本実施の形態では、図6に示すように、金属イオン生成部400の内部には、2枚の板状の金属を含む電極401a,401bが間隔をおいて配置されている。電極401a,401bは電極端子収納部402を介して電気配線(図示せず)に接続されており、印加される電圧に応じた電気的制御を受ける。電極401a,401bが短絡しないように、電極401a,401b間を一定間隔に保つためスペーサー403が設けられている。貯水部42に水が供給されているときに、電極401a,401b間に電圧を印加することにより、金属イオン生成部400の内部に金属イオンが溶出し、貯水部42に貯水されている水に除菌および抗菌効果が付与される。
金属イオン生成部400の配置は、生成する金属イオンを貯水部42に貯水させた水に添加できれば特に限定されないが、本実施の形態では、金属イオン生成部400は貯水させた水と接触するように配置されている。
また、金属イオン生成部400は、電極401a,401bを構成する材料を分解するための電気分解部である。また、金属イオン生成部400は、金属イオンを生成できれば特に限定されないが、銀イオンを生成するように構成されていることが好ましい。すなわち、電極401a,401bは、銀を含む材料であることが好ましい。電極401a,401bを構成する材料が銀で、電極401a,401b間を流れる電流が直流である場合には、陽極側の電極において下記の(式1)の反応が生じ、貯水部42に貯水させた水に銀イオン(Ag+)が溶出する。
Ag→Ag+e- ・・・・・(式1)
Ag→Ag+e- ・・・・・(式1)
電極401a,401bを構成する金属は銀に限定されず、たとえば銅、亜鉛、および、銀と銅と亜鉛との合金などであってもよい。銀を含む電極から溶出する銀イオンと、亜鉛を含む電極から溶出する亜鉛イオンとは、殺菌効果に優れている。銅を含む電極から溶出する銅イオンは、防カビ性に優れている。また、これらの合金を含む電極は、これらの金属のイオンを同時に溶出させることができるので、優れた殺菌効果および防カビ効果を得ることができる。
次に、図1〜図8を参照して、本実施の形態における加湿装置1の動作について説明する。図7は、本発明の実施の形態における加湿装置の除菌効果を付与する工程を示すフローチャートである。図8は、本発明の実施の形態における加湿装置の制御を示す模式図である。
まず、加湿装置1の加湿動作を説明する。図1〜図5に示すように、内部に水が保持されている給水タンク3を本体部2のタンク装着壁2aおよびトレイ4のタンク挿入部41に装着する。給水タンク3の蓋部32の溝およびトレイ4のタンク挿入部41の開口41d(図4参照)を介して、給水タンク3の内部の水が貯水部42に供給される。供給された水を貯水部42に貯水させ、貯水させた水をフィルタ5に吸い込ませる。この状態で本体部2の操作部8により、またはタイマー運転により、加湿装置1の電源をONにすると、加湿部の動作が開始される。具体的には、ファン10が起動され、ファン10により本体部2の吸込口7から吸込んだ空気をフィルタ5に送り込み、フィルタ5に吸水された水が急速に気化されて、気化された水を含んだ空気が吹出口9から排出される。このようにして、加湿装置1の加湿部が動作される。
続いて、加湿装置1を停止させる動作を説明する。本実施の形態では、加湿部の動作終了後に金属イオン生成部400を動作させる。
まず、図7および図8に示すように、本体部2の操作部8により、またはタイマー運転により、加湿部の運転を停止させる(ステップS101)。本実施の形態では、ファン10を停止させることによって、加湿部の運転を停止させている。加湿部の運転を停止させると、センサ101に加湿部の運転停止(動作終了)の信号が送られる。
センサ101で加湿部の動作終了が検知されると、貯水部42に金属イオン生成部400を動作させるために要する量の水が貯水されているかが判断される(ステップS102)。水の貯水量は、水位センサ102で検出される。水位センサ102で検出された水の量が金属イオン生成部400を動作させる量に満たない場合には、工程(ステップS102)においてNoと判断される。この場合は、後述する加湿装置1の電源がOFFにされる(ステップS105)。一方、水位センサ102で検出された水の量が金属イオン生成部400を動作させることができる量を満たしている場合には、工程(ステップS102)においてYesと判断される。
工程(ステップS102)でYesと判断された場合には、制御部103にその信号を送り、金属イオン生成部400を動作させる。制御部103は、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部400を動作させる。制御部103には、タイマーが取り付けられていてもよい。言い換えると、センサ101および水位センサ102から信号を受信して直ちに金属イオン生成部400を動作させてもよいし、センサ101および水位センサ102から信号を受信してから時間をあけて金属イオン生成部400を動作させてもよい。センサ101および水位センサ102から信号を受信してから金属イオン生成部400を動作させるまでの時間は、貯水させた水の導電率および硬度が低いこと、および発生している細菌数が少ない理由から、30分以内であることが好ましい。
本実施の形態の金属イオン生成部400は電気分解部であるので、制御部103により、電極401a,401b間に電圧を印加することで電極401a,401bから金属イオンを溶出させる。溶出させた金属イオンは、貯水部42に貯水させた水に添加される。貯水部42に貯水させた水に銀イオンがなどの金属イオンを溶出させると、除菌および抗菌効果を付与することができる。また、貯水部42に貯水された除菌および抗菌効果を付与された水はフィルタ5に吸い上げられることにより、フィルタ5にも除菌および抗菌効果が付与される。
制御部103は、印加する電圧を制御して、高濃度の金属イオンを生成することが好ましい。高濃度の金属イオンを貯水部42に貯水させた水に添加することによって、フィルタ5に金属イオンを蓄積させやすい。そのため、金属イオンを含む水が接触するタンク挿入部41や貯水部42のみでなく、最も細菌が繁殖される加湿フィルタ5にも除菌および抗菌効果を付与できる。このような高濃度の金属イオンとしては、たとえば450ppb以上の濃度の銀イオンが例示される。電極401a,401bが銀電極である場合には、たとえば29mAの一定電流が流れるよう電圧を印加する。ただし、銀イオンの濃度は特にこれに限定されず、細菌の除去に効果がある濃度以上の濃度であればよい。
所望の濃度の金属イオンを生成した後に、金属イオン生成部400の動作を停止させる(ステップS104)。本実施の形態では、電極401a,401bに電圧を印加することを停止する。金属イオン生成部400の動作の停止は、制御部103で制御される。
金属イオン生成部400の動作を停止させると、制御部105に金属イオン生成部400の運転停止の信号が送られる。あるいは、工程(ステップS102)でNoと判断された信号が制御部105に送られる。このような信号を受信した制御部105によって、加湿装置1の電源がOFFにされる。すなわち、使用者による操作部8の操作またはタイマーにより、加湿部の運転が停止されると、加湿装置1の電源はすぐにOFFにならずに、貯水部42の水に抗菌効果を付与した後に、自動的に加湿装置1の電源がOFFになる。
以上説明したように、本実施の形態における加湿装置1は、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部400を動作させる制御部103を備えている。
加湿部の運転停止(ステップS101)直後は、貯水部42に貯水させた水が供給された直後で比較的新鮮であり、水中に存在する細菌数が少ないため、水に金属イオンを添加すると除菌が容易である。また、加湿部の運転停止(ステップS101)直後の貯水部42に貯水させた水の硬度も高くないため、スケールの析出などが抑制されているので、金属イオン生成部400を動作させると、効率よく所望の濃度の金属イオンを含む水を得ることができる。一方、加湿部の運転停止(ステップS101)から所定時間(たとえば数時間)以上経過すると、フィルタ5に繁殖している細菌が重力によって落ちてくるため、貯水部42に貯水された水の細菌数は多くなる。また、フィルタ5に蓄積している水道水中の硬度成分も落ちてくるため、貯水部42に貯留している水の硬度が高くなる。本発明者は、金属イオン生成部400を動作させるタイミングと生成された金属イオンを貯水部42に貯水された水に添加するタイミングとに着目して、本発明の制御部103を見出した。
そのため、本実施の形態の加湿装置1によれば、加湿部の動作終了を検知できるので、加湿部の動作終了(ステップS101)後の貯水部42に貯水された水が相対的に硬度および導電率が低いときに、スケールの析出により金属イオンの生成が妨げられることを防止できるので、金属イオンが効率良く生成される。また、貯水部42に貯水された水に仮に細菌が発生しても、細菌数が相対的に少ない加湿部の動作終了(ステップS101)後に金属イオンを添加できる。そのため、細菌数が相対的に少ない時に除菌および抗菌効果を付与できるので、除菌および抗菌効果を効果的に発揮させることができる。また、加湿部の運転停止(ステップS101)後から次の加湿装置1の運転開始までの間に、金属イオンが添加された水がタンク挿入部41や貯水部42に接触するため、除菌および抗菌効果を高めることができる。さらに、加湿部の運転停止された後の加湿装置1の運転開始後には、貯水部42に貯水された金属イオンが添加された水をフィルタ5が吸い上げるので、フィルタ5には金属イオンが定着しやすい。そのため、フィルタ5に高い抗菌効果が得られる。よって、高い除菌および抗菌効果を有する。
また、貯水部42に貯水された水が、クリーンな状態に保たれるので、水が接触する貯水部42やフィルタ5にぬめりが発生しにくく、加湿装置1が清潔な状態に保たれる。そのため、使用者の不快感を抑制するとともに清掃する頻度を低減できる。
さらに、金属イオン生成部400は、貯水部42に貯水させた水に金属イオンを添加する動作をするので、金属イオンを生成するために水を要しない。特に、金属イオン生成部400が貯水部の内部に配置されていると、金属イオンを生成するために使用する水と金属イオンを添加する水とが同じである。そのため、新たに水を要しないので、水の使用量を増加させない。
さらには、気化式の加湿装置1は、霧化式の加湿装置のように、水に含まれる溶存成分を水とともに空気中に飛散しない。そのため、室内などを汚染してしまうことを防止できる。
本実施の形態における加湿装置1において好ましくは、制御部103は、加湿部の動作終了(ステップS101)を検知して、30分以内に金属イオン生成部400を動作させることが好ましい。加湿部の動作終了(ステップS101)後30分以内の間は、細菌数が非常に少なく、導電率および硬度が低いので、除菌および抗菌効果を高めることができる。
なお、本明細書では、加湿部の運転の停止直後とは、センサ101で加湿部の動作終了が検知された時を意味し、加湿部の動作が停止した時からセンサ101で加湿部の動作終了が検知された時までのタイムラグがあってもよい。
[実施例1]
本実施例では、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させる制御部により、硬度および導電率が低いときに金属イオン生成部を動作する効果について確認した。
本実施例では、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させる制御部により、硬度および導電率が低いときに金属イオン生成部を動作する効果について確認した。
図1〜図7において制御部103を備えていない加湿装置を用いて、加湿部の運転開始から運転停止後3時間まで所定時間経過時の貯水部に貯水された水の硬度および導電率を測定した。その結果を図9および表1に示す。図9は、実施例1における加湿部の運転開始からの経過時間と硬度との関係を示す図である。図9において、横軸は加湿部の運転開始からの経過時間(単位:時間)を示し、縦軸は、硬度(単位:mg/L)を示す。
なお、図9および表1において経過時間が0の運転開始には、加湿装置1を運転開始する前に貯水部に貯水された水、すなわち前回の加湿部の運転停止後に金属イオンが添加されずに残っていた水の硬度および導電率を測定した。
図9および表1に示すように、加湿装置1の運転開始前に貯水部に貯水された水の硬度は2000(mg/L)と高く、かつ導電率は14160(μS)と高かった。これは、フィルタ5に蓄積されている水の硬度成分が、加湿部の運転停止中に貯水部42に残っていた水に溶け出したと考えられる。
図9に示すように、加湿部の運転開始後は、新たな水が供給されるため硬度が徐々に低下し、運転開始から3時間経過した後には、通常の水道水レベルになった。また、加湿部の運転開始から4時間経過した後には、貯水部に貯水された水の導電率も通常の水道水レベルになった。
その後、さらに加湿部を運転すると、貯水部の水の硬度および導電率は、通常の水道水レベルを維持できた。そして、加湿部を8時間運転した後、加湿部を停止させた。
図9に示すように、加湿部の停止から1時間経過までの間は、貯水部に貯水された水は、停止直後の低い硬度を維持できた。しかし、加湿部の停止から1時間を越えると、貯水部に貯水された水の硬度が高くなり始めた。また、表1に示すように、加湿部の運転停止から30分経過までは、貯水部に貯水された水は、加湿部の停止直後の低い導電率を維持できた。しかし、加湿部の停止から30分を越えると、貯水部に貯水された水の導電率が高くなり始めた。
このことから、加湿部の運転停止直後から30分経過までの間は、硬度および導電率が水道水レベル(効率よく金属イオンを溶出できるレベル)であり、金属イオンを溶出するのに好ましい条件であることがわかった。そのため、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させる制御部を備えた加湿装置1によれば、硬度および導電率が低いときに金属イオン生成部を動作させることができるため、金属イオンが効率よく生成されることがわかった。特に、本実施例によれば、制御部は、加湿部の動作終了を検知して、30分以内に金属イオン生成部を動作させることが好ましいことがわかった。
また、加湿部の運転開始(経過時間が0時間)後に水の硬度および導電率が低下したことから、加湿部の運転停止中に貯水部に貯水された水に溶け出していた硬度成分がフィルタ5に吸い上げられていたことがわかる。そのため、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させる制御部を備えた加湿装置1によれば、加湿部の運転停止中に水に添加した金属イオンをフィルタ5に吸い上げることができるので、加湿部の運転停止中に金属イオンがフィルタ5上に存在していることとなる。よって、本発明によれば、フィルタ5の除菌および抗菌効果が得られることがわかった。
なお、図9および表1に示したデータは、通常よりも多く硬度成分が付着したフィルタ5を用いた限界実験とした。そのため、運転開始時に貯水部に貯水された水の硬度は、通常の使用時と比べて非常に高い値であった。フィルタ5に硬度成分を付着していない通常の使用の場合には、運転開始時の水の硬度は480(mg/L)程度であり、加湿部を8時間運転させた後に、加湿部の運転を停止させた時の硬度は、通常の水道水レベル(約50mg/L)である。
[実施例2]
本実施例では、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させる制御部により、細菌数が少ないときに金属イオン生成部を動作する効果について確認した。
本実施例では、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させる制御部により、細菌数が少ないときに金属イオン生成部を動作する効果について確認した。
図1〜図7において制御部を備えていない加湿装置を用いて、貯水部42に貯水させた水に104(個/ml)の細菌を添加し、その状態で加湿部を8時間運転した後に加湿部の運転を停止した。加湿部の運転開始直前の細菌数と、加湿部の停止直後の細菌数と、加湿部停止から12時間経過後の細菌数とを測定した。その結果を図10に示す。図10は、加湿部の運転および停止と細菌数との関係を示す図である。図10において横軸は、加湿部の運転状態を示し、縦軸は細菌数(単位:個/ml)を示す。
図10に示すように、運転開始直前に添加した104(個/ml)の細菌数は、8時間の加湿部の運転で102(個/ml)未満となった。ただし、フィルタ5に細菌が吸い上げられている可能性が考えられる。
また、図10に示すように、加湿部の運転停止から12時間経過後の貯水部に貯水されていた水の細菌数は、104(個/ml)を越えていた。このことから、フィルタ5に吸い上げられた細菌が貯水部の水中に再分散した可能性が考えられる。
以上より、本実施例によれば、金属イオンを添加するタイミングは、貯水部に貯水された水の細菌数が少ない加湿運転停止直後が好ましいことがわかる。そのため、本発明の加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させる制御部を備えた加湿装置1によれば、貯水部に貯水された水の細菌数が少ないタイミングで金属イオンを添加することができるので、高い除菌効果が得られることがわかる。なお、再分散する細菌についても同様に、水中の金属イオンにより殺菌される。
[実施例3]
本実施例では、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させる制御部を備えることにより、発生する細菌数を低減できる効果について確認した。
本実施例では、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させる制御部を備えることにより、発生する細菌数を低減できる効果について確認した。
本発明例では、加湿部の動作終了を検知して、直ちに(加湿部の動作が停止した信号をセンサ101から制御部103が受信して時間をあけずに)金属イオン生成部を動作させて450ppbの銀イオンを添加する制御部103を備えた図1〜図7に示す加湿装置を用いた。一方、比較例では、本発明例と基本的には同様の構成を備えているが、制御部を備えていない点においてのみ異なる加湿装置を用いた。すなわち、比較例では、加湿部の動作終了後に金属イオンを添加しない加湿装置を用いた。
本発明例および比較例の加湿装置を用いて、8時間の加湿部の運転を行ない、運転動作終了直後に銀イオン濃度が450pbとなるように銀イオンを1回添加した。その後、加湿装置を16時間停止させた後、加湿部の運転を開始した。この加湿部の運転開始直前に、貯水部42に貯水させた水の細菌数について測定した。その結果を図11に示す。図11は、加湿装置の設置日数と細菌数との関係を示す図である。図11において横軸は、加湿装置の設置日数(単位:日)を示し、縦軸は細菌数(単位:個/ml)を示す。
図11に示すように、37日後の細菌数は、本発明例では10(個/ml)以下で、高い除菌および抗菌効果を示していた。一方、比較例では、37日後の細菌数は、103(個/ml)を越えており、細菌数に2桁以上の差があった。
以上より、本実施例によれば、加湿部の動作終了を検知して、金属イオン生成部を動作させる制御部を備えることにより、細菌数を低減できる加湿装置が得られることが確認できた。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 加湿装置、2 本体部、2a タンク装着壁、2c トレイ装着部、3 給水タンク、4 トレイ、5 フィルタ、7 吸込口、8 操作部、9 吹出口、30 容器、31 取手部、32 蓋部、41 タンク挿入部、41a 壁、41b 円弧状壁、41c 水路、41d 開口、41e 円台、42 貯水部、42a 底面部、42b 凹部、42c 凸部、42d 蓋部、43 円柱、51 フィルタケース、52 給水フィルタ、101 センサ、102 水位センサ、103,105 制御部、400 金属イオン生成部、401a,401b 電極、402 電極端子収納部、403 スペーサー。
Claims (4)
- 水を貯水させるための貯水部と、
前記貯水部に貯水させた水を気化させるための加湿部と、
前記貯水部に貯水させた水に金属イオンを添加する動作をするための金属イオン生成部と、
前記加湿部の動作終了を検知して、前記金属イオン生成部を動作させる制御部とを備えた、加湿装置。 - 前記金属イオン生成部は、金属電極を含み、かつ前記金属電極に電圧を印加することで前記金属電極から前記金属イオンを溶出させるように構成されている、請求項1に記載の加湿装置。
- 前記金属イオン生成部は、銀イオンを生成するように構成されている、請求項1または2に記載の加湿装置。
- 前記金属イオン生成部は、前記貯水部の内部に配置されている、請求項1〜3のいずれかに記載の加湿装置。
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- 2007-06-12 JP JP2007155351A patent/JP2008309357A/ja active Pending
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